(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6196009
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】パンチング装置
(51)【国際特許分類】
B21D 28/24 20060101AFI20170904BHJP
B21D 28/12 20060101ALI20170904BHJP
B21D 28/36 20060101ALN20170904BHJP
【FI】
B21D28/24 D
B21D28/12
!B21D28/36 Z
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-504407(P2017-504407)
(86)(22)【出願日】2015年7月28日
(65)【公表番号】特表2017-522189(P2017-522189A)
(43)【公表日】2017年8月10日
(86)【国際出願番号】IB2015055694
(87)【国際公開番号】WO2016016807
(87)【国際公開日】20160204
【審査請求日】2017年1月26日
(31)【優先権主張番号】BO2014A000429
(32)【優先日】2014年7月29日
(33)【優先権主張国】IT
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507385752
【氏名又は名称】サルヴァニーニ イタリア エッセ.ピ.ア.
【氏名又は名称原語表記】SALVAGNINI ITALIA S.p.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】メネゲッティ,ニコラ
【審査官】
塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】
欧州特許出願公開第1634663(EP,A1)
【文献】
欧州特許出願公開第1445042(EP,A1)
【文献】
特開平1−316197(JP,A)
【文献】
特開平10−337696(JP,A)
【文献】
特開平6−126348(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第102005005214(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 28/24
B21D 28/12
B21D 28/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パンチング装置であって、
− 作業軸心(X)周りで回転可能で、各パンチング工具(10)をスライド可能に収納するのに適した複数のシート(21)を備える工具ホルダユニット(20)、
− 前記作業軸心(X)に沿ってその周りで移動可能で、セットされたパンチング工具(10)と選択的に相互作用するための打ち付け部(8)を有する作業端部(7)を備える打ち付け部材(2)、
− 前記セットされたパンチング工具(10)に当接してこれを移動させるべく、前記打ち付け部材(2)を前記作業軸心(X)に沿って移動させる第1駆動手段(3)、
− 前記工具ホルダユニット(20)を前記作業軸心(X)周りで回転させる第2駆動手段(4)、を備え、前記パンチング装置は、さらに、
前記作業端部(7)は第1接続部材(9)を有し、前記工具ホルダユニット(20)は、複数の第2接続部材(22)を有し、
これら第2接続部材(22)のそれぞれは、各シート(21)と関連するパンチング工具(10)とに連動し、かつ、前記打ち付け部材(2)と前記工具ホルダユニット(20)とが接続されて共に回転する接続構成(F)において第1接続手段(9)と接続されるよう構成され、
前記第2駆動手段(4)は、選択構成(E)において、前記セットされたパンチング工具(10)を前記作業端部(7)の前記打ち付け部(8)に対面するように位置決めするために前記工具ホルダユニット(20)を回転させ、前記第1接続部材(9)が、前記セットされたパンチング工具(10)の前記シート(21)と連動する前記第2接続部材(22)と接続されることを可能にし、
前記接続構成(F)においては、前記セットされたパンチング工具(10)を角度配向するべく互いに接続された前記工具ホルダユニット(20)と前記打ち付け部材(2)とを回転させるパンチング装置。
【請求項2】
前記第1接続部材は、前記打ち付け部材(2)の外壁に形成された突出部材(9)を含み、前記第2接続部材は、前記接続構成(F)において前記打ち付け部材(2)の前記作業端部(7)を受け入れるのに適した前記工具ホルダユニット(20)のハウジング(24)の内壁に形成されたそれぞれの溝(22)を含み、前記突出部材(9)は、セットされた溝(22)に係合し挿入されるように構成され、特に、前記突出部材(9)と前記溝(22)とは相補的形状を有する請求項1に記載のパンチング装置。
【請求項3】
前記第1駆動手段(3)と前記打ち付け部材(2)とを収納するように構成された上方支持部材(11)を有する請求項1または2に記載のパンチング装置。
【請求項4】
前記第1駆動手段(3)は第1アクチュエータ(31,32)を含む請求項1〜3の何れか一項に記載のパンチング装置。
【請求項5】
前記第1アクチュエータは、前記打ち付け部材(2)に回転可能に接続されるとともに、前記上方支持部材(11)の、加圧流体が供給される、チャンバ(32)内でスライド移動可能な、ピストン(31)を備える、シリンダ、具体的には、油圧シリンダ、を含む請求項3に従属の請求項4に記載のパンチング装置。
【請求項6】
所定の初期角度位置において、前記打ち付け部材(2)を前記ピストン(31)に対して弾性的かつ可逆的にロックするべく前記打ち付け部材(2)と前記ピストン(31)との間に設けられた基準手段(40)を有する請求項5に記載のパンチング装置。
【請求項7】
前記第2駆動手段(4)は、前記打ち付け部材(2)のための内側貫通キャビティ(16)を備えるとともに、前記工具ホルダユニット(20)と共に回転するべく前記工具ホルダユニット(20)に接続されるブッシング(15)と、前記ブッシング(15)に対して伝動手段(27,28)を介して接続されて、前記ブッシング(15)と前記工具ホルダユニット(20)とを前記作業軸心(X)回りで回転させる第2アクチュエータ(33)とを有する請求項1〜6の何れか一項に記載のパンチング装置。
【請求項8】
前記ブッシング(15)は、前記パンチング装置(1)の前記上方支持部材(11)に回転可能に収納されている請求項3に従属の請求項7に記載のパンチング装置。
【請求項9】
前記ブッシング(15)は、第3接続手段(17)を備える接続端部(15a)を有し、前記工具ホルダユニット(20)は、前記接続端部(15a)に面するとともに、前記第3接続手段(17)と接続されるように、特に、スライド可能に、接続されるように構成された第4接続手段(18)を備える接続端部(26)を有する請求項7又は8に記載のパンチング装置。
【請求項10】
前記工具ホルダユニット(20)をスライド可能かつ回転可能に収納する下方支持部材(12)を有する請求項1〜9の何れか一項に記載のパンチング装置。
【請求項11】
複数の工具ホルダユニット(20)と、これら工具ホルダユニット(20)のセットされたパンチング工具(10)と相互作用する複数の打ち付け部材(2)とを有し、前記打ち付け部材(2)は、前記第1駆動手段(3)の各第1アクチュエータ(31,32)によって駆動される請求項1〜10の何れか一項に記載のパンチング装置。
【請求項12】
前記第2駆動手段(4)は、複数のブッシング(15)を有し、これらブッシングのそれぞれは、各工具ホルダユニット(20)と共に各作業軸心(X)周りで回転するべく各工具ホルダユニット(20)と接続され、前記複数のブッシング(15)は、前記第2駆動手段(4)の第2アクチュエータ(33)によって共に作動されて供回りするべく伝動手段(27,28)を介して互いに接続されている請求項11に記載のパンチング装置。
【請求項13】
前記伝動手段(27,28)は、隣接するブッシング(15)の各歯付き部分(27)と係合するように構成された各ブッシング(15)の歯付き部分(27)と、前記歯付き部分(27)の一つに係合して前記第2アクチュエータ(33)によって回転される歯車(28)とを有する請求項12に記載のパンチング装置。
【請求項14】
請求項1〜13の何れか一項に記載のパンチング装置(1)を含むパンチング工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工物および/又は金属シートの加工のための工作機械に関し、詳しくは、本発明は、切断および/又はパンチングを行うためにパンチング機械と連動可能なパンチング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
公知のパンチング機械は、パンチングヘッドと称されるパンチング装置を備え、この装置は、パンチング工具を作業軸心に沿って支持し移動させる。パンチング工具は、下方のパンチングダイ又はカウンタパンチとの協働で、通常、板金に対して作用する。通常、前記ダイは加工されるべき前記加工物を支持する前記パンチング機械の作業台に固定されている。
【0003】
単一の工具を備えるパンチングヘッドにおいて、この工具は、支持部材、所謂マンドレル、に取り付けられ、これは各アクチュエータによって前記作業軸心に沿って直進駆動されるとともに当該作業軸心周りで回転される。前記作業軸心に沿った両方向での前記直線移動によって、パンチングプロセスにおいて前記工具の作業ストロークとバックストロークを行うことが可能となる。前記作業軸心周りでの回転移動によって、前記パンチング工具を回転させその角度配向(インデキシング)を変えて加工物に対する様々な切断又はパンチング作業を行う。
【0004】
前記工具を支持する前記マンドレルを直線移動および回転させるためにそれぞれ、油圧式又は電動式の、二つの別々のアクチュエータが使用される。
【0005】
マルチ工具パンチングヘッドは、打ち付け部材、所謂ラム、を有し、これが作業軸心に沿って直線移動されて、加工物に対して加工を行うために必要な運動エネルギと直線運動を与えることによって選択された工具に対して作用する。
【0006】
前記パンチング工具は、前記パンチングヘッドに固定されるとともに、前記ラムと加工物との間に配置される工具ホルダ装置に収納されている。当該工具ホルダ装置は、一般に、回転ドラムを有し、その内部に、工具が当該ドラム自身の回転軸心周りで周方向にスライド可能に収納されている。
【0007】
前記マルチ工具パンチングヘッド、所謂固定式ヘッドでは、前記ラムは、工具を駆動するために前記作業軸心に沿って直線移動されるとともに、前記工具ホルダ装置内に収納された様々な工具のうちの特定の工具を選択しそれを駆動するために前記作業軸心周りで回転可能である。
【0008】
角度配向(インデキシング)のための各軸心周りでの前記パンチング工具の回転は、前記工具ホルダ装置と前記ラムとを協調回転させることによって行われる。
【0009】
前記ラムを直線移動および回転駆動するためには二つの別々のアクチュエータが必要であり、前記工具ホルダ装置を回転させて工具の角度配向を行うために第3のアクチュエータが設けられる。
【0010】
マルチ工具パンチングヘッド、所謂回転式パンチングヘッドにおいては、前記ラムは直線移動のみ可能であり、工具の選択のその角度配向は、ヘッド部と工具ホルダ装置とを協調回転させることによって行われる。より正確には、駆動すべき工具の選択は、前記ヘッド(これは工具の打ち付け手段を含む)の上方部分を、工具を収納する下方部分に対して回転させることによって行われる。角度配向(インデキシング)は、パンチングヘッド全体(上方部と下方部)を作業軸心周りで回転させることによって行われる。
【0011】
或いは、工具を選択するためには、前記パンチングヘッドの下方部を、その上方部をブロック手段(たとえば、空気ボルト)によってブロックされた状態に維持することによって回転させることができる。
【0012】
両方のケースにおいて、ラムを直線移動させるために必要なアクチュエータの他に、パンチングヘッドの前記二つの部分を回転させるためには、又は、下方部を回転させ上方部をブロックするためには、二つのアクチュエータが必要である。
【0013】
所謂多重パンチングヘッドが知られており、これは、同じ加工物に対する複数の加工作業を行うため、若しくは、工具を交換する必要無く、単に、加工物を適切なラムの下へ移動させ位置決めするだけで、加工物に対してより多くの連続の加工作業を行うために、単数又は複数の平行な列に配設された複数の工具ホルダ装置とそのそれぞれのラムとを有している。又このケースにおいては、各ラムおよび各工具ホルダのために、ラムを直線移動させ、パンチング工具を選択し角度配向を行うために三つのアクチュエータが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
固定式ヘッド又は回転式ヘッド、単一の工具ホルダ装置、又は複数の工具ホルダ装置(多重パンチングヘッド)を備える、公知のマルチ工具パンチング装置の欠点は、それらが、ラムを移動させるパンチング工具を選択して角度配向を行うために三つの別々のアクチュエータを必要とすることにある。これら三つのアクチュエータとそれらのそれぞれの、通常は複雑な、伝動手段は、それに対応してサイズが大きく高コストである。
【0015】
本発明の課題は、公知のパンチング装置、特に、単一の工具ホルダユニット又は複数の工具ホルダユニットを備えるマルチ工具パンチング装置、を改善することにある。
【0016】
別の課題は、単純でコンパクトな構造と小さなサイズを持つパンチング装置を提供することにある。
【0017】
更に別の課題は、パンチング処理を最適に行うことが可能であるとともに、同時に、限られた数のアクチュエータを使用してパンチング工具の選択と角度配向を行うことが可能なパンチング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
これらおよびその他の課題は、下記の任意の請求項によるパンチング装置によって達成される。
【0019】
本発明のいくつかの例示的ではあって非限定的な実施例を図示する添付の図面を参照することによって本発明はより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】打ち付け部材が内部作業位置にある状態の本発明のパンチング装置の長手方向断面図である。
【
図2】前記打ち付け部材が外部作業位置にある状態の
図1のパンチング装置の長手方向断面図である。
【
図4】前記打ち付け部材が中間作業位置にある状態の
図3と同様な拡大部分断面図である。
【
図5】下方にある部材をよりよく図示するべくいくつかの部材が省略された状態の
図1のパンチング装置の破断斜視図である。
【
図7】
図1の装置の工具ホルダユニットの上方斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1〜6を参照すると、加工物、具体的には、シートメタル、に切断および/又はパンチングを行うよう構成された公知のタイプであって図示されていないパンチング工具機械と連動可能な本発明によるパンチング装置1が図示されている。
【0022】
前記パンチング装置1は、従来ではパンチングヘッドとも呼ばれている、は、複数のパンチング工具10を備える工具ホルダユニット20と、セットされたパンチング工具10、所謂パンチ、と相互作用しそれを選択的に駆動する、打ち付け部材2、所謂ラム、と、前記打ち付け部材2を移動させる第1駆動手段3と、前記工具ホルダユニット20を移動させる第2駆動手段4とを有している。
【0023】
前記工具ホルダユニット20は、実質的に、ドラムから構成され、これは、作業軸心X周りで回転可能で、かつそれぞれのパンチング工具10をスライド可能に収納するのに適した複数のシート21を備える。前記打ち付け部材2は、筒状部材から構成され、前記作業軸心Xに沿って、かつ、その周りで移動可能であり、更に、セットされたパンチング工具10と選択的に相互作用するように構成された打ち付け部8を有する作業端部7を備えている。より詳しくは、前記打ち付け部8は、セットされたパンチング工具10にのみ当接して、これを加工物に対して押し付ける形状とされている。
【0024】
前記第1駆動手段3は、前記セットされたパンチング工具10を加工物に対して押し付けるべく前記打ち付け部材2を前記作業軸心Xに沿って移動させるように構成されている。より詳しくは、前記第1駆動手段3は、前記打ち付け部材2を、当該打ち付け部材2が前記工具ホルダ20とパンチング工具10とからより離間した内側作業位置Aと、前記打ち付け部材2が前記工具ホルダユニット20に係合し接続される中間作業位置Bと、前記打ち付け部材2が前記工具ホルダユニット20によって係合されて前記パンチング工具10に当接し、これを加工物に対して押し付ける外側作業位置Cとの間で移動させる。
【0025】
前記第2駆動手段4は、前記工具ホルダユニット20を前記作業軸心X周りで回転させるように構成されている。
【0026】
前記打ち付け部材2の前記作業端部7は第1接続部材9を有し、他方、前記工具ホルダユニット20は、複数の第2接続部材22を有し、これら第2接続部材22のそれぞれが各シート21に連動するとともに、前記打ち付け部材2と前記工具ホルダユニット20とが一体回転するように接続される接続構成Fで前記第1接続部材9に接続されるように構成されている。
【0027】
以下の記載においてより良く説明されるように、前記第2駆動手段4は、選択構成E(前記打ち付け部材2と工具ホルダユニット20とが互いに分離して接続されない)においては、セットされたパンチング工具10が前記打ち付け部材2の前記作業端部7の前記打ち付け部8に対向して、その後、前記打ち付け部材2と前記工具ホルダユニット20とが前記接続構成Fに配置された時に、前記セットされたパンチング工具10の前記シート21と連動する前記第2接続部材22に第1接続部材9が接続されることを許容するように、このセットされたパンチング工具10を位置決めするために前記工具ホルダユニット20を回転させる。前記接続構成Fにおいて、前記第2駆動手段4は、前記セットされたパンチング工具10を角度配向させるべく互いに接続された前記工具ホルダユニット20と前記打ち付け部材2とを回転させる。
【0028】
前記パンチング装置1は、前記第1駆動手段3と前記打ち付け部材2とを収納するように構成された上方支持部材11と、前記工具ホルダユニット20をスライド可能かつ回転可能に収納するように構成された下方支持部材12とを有する。
【0029】
図面に示されている実施例において、前記工具ホルダユニット20は、各パンチング工具10を収納し、前記作業軸心Xと実質的に一致する前記工具ホルダユニット20の長手軸心周りで回転方向において互いに均等間隔で配置されている6つのシート21を有する。
【0030】
前記第1接続部材は、前記打ち付け部材2、具体的には、前記作業端部7、の外壁に固定されている、突出部材9、たとえば、タブ、から構成され、前記第2接続部材は、前記接続構成Fにおいて前記打ち付け部材2の前記作業端部7を少なくとも部分的に受け入れるのに適した前記工具ホルダユニット20のハウジング24の内部筒状壁に形成された各溝又はノッチ22から構成される。
【0031】
図示されている実施例において、前記タブ9は、前記打ち付け部材2の筒状外壁に径方向に固定され、かつ、設定溝22に入ってそれに選択的に係合することができる。前記タブ9と前記溝22とは、実質的に相補的な形状を有する。
【0032】
或いは、前記第1接続部材は、前記作業端部7において前記打ち付け部材2の前記外壁に直接に形成された径方向突起から構成することも可能である。
【0033】
本発明の前記装置1は、更に、加工物に対して切断および/又はパンチングを行うために各パンチング工具10と協働するのに適した複数のダイ又はカウンタパンチ36を備えるマルチダイユニット35を有する。当該マルチダイユニット35は、前記パンチング機械の作業台と連動する。
【0034】
前記第1駆動手段3は、図示されている実施例では、前記打ち付け部材2が回転可能に接続されるとともに、加圧流体が供給される前記上方支持部材11のチャンバ32内で移動可能な、ピストン31を備える油圧シリンダを備えるリニアアクチュエータから構成される。作業中に前記ピストン31が作業軸心X周りで回転することを防止するために、図示されない回転防止手段が設けられている。前記ピストン31と前記打ち付け部材22との接続によって、打ち付け部材2が前記作業軸心X周りで自由回転可能となる。
【0035】
或いは、前記第1駆動手段3は、伝動部材を介して前記打ち付け部材2に接続されてこの打ち付け部材を前記作業軸心Xに沿って直線移動させる電動回転アクチュエータから構成することも可能である。前記伝動部材は、たとえば、公知のタイプのネジ−ナットユニットから構成される。
【0036】
前記第1駆動手段3は、前記加工物の厚さの関数であるところの長さを有する作業ストロークに沿って前記打ち付け部材2とそれに連動する前記パンチング工具10とを移動させる。
【0037】
前記打ち付け部材2の回転を防止するべく、当該打ち付け部材2の所定の初期回転位置、所謂ゼロ位置、で打ち付け部材2をピストン31に対して弾性的かつ可逆的にブロックするために前記打ち付け部材2とピストン31との間には基準手段40が設けられている。図示されている実施例において、この基準手段40は、前記ピストン31に固定されて前記打ち付け部材2の当接壁に対して作用するバネストップから構成されている。より詳しくは、基準手段40は、バネ42によって、前記基準シート44が形成されている前記打ち付け部材2の当接壁43に対して押し付けられるボール41から構成されている。当該ボール41が、前記基準シート44に係合すると、前記打ち付け部材2を前記ピストン31に対してロックする形状(フォーム)接続が行われる。前記打ち付け部材2に対して、所定の最小トルクよりも大きな回転トルクを加えることによって、前記ボール41を基準シート44から係合解除させ、前記打ち付け部材2を回転させることが可能となる。
【0038】
前記第2駆動手段4は、第2アクチュエータ33によって作業軸心X周りで回転するべく、前記装置1の前記上方支持部材11、具体的には、ベアリング45、に回転可能に収納されたブッシング又はフェルール15を有する。前記ブッシング15は、前記作業軸心X周りで回転自由な前記打ち付け部材2の挿入と通過を許容する筒形状の内部貫通キャビティ16を備える筒状部材から構成される。
【0039】
図示されている実施例において、前記ブッシング15は、当該ブッシング15の外筒状壁に形成された歯付き部分27と、この歯付き部分27に係合するとともに前記第2アクチュエータ33によって回転される歯車28とから構成される伝動手段を介して前記第2アクチュエータ33によって回転される。
【0040】
或いは、前記伝動手段は、前記ブッシング15の筒状部分と、前記第2アクチュエータ33によって回転される駆動プーリとに巻回されるベルトから構成してもよい。
【0041】
前記ブッシング15は、前記工具ホルダユニット20に接続されて、このユニット20と共に、前記作業軸心X周りで回転する。この目的のために、前記ブッシング15は、第3接続手段17を備える接続端部15aを有し、前記工具ホルダユニット20は、前記接続端部15aに面するとともに、前記第3接続手段17と、接続、特に、スライド可能に接続されるように構成された第4接続手段18を備える接続端部26を有する。
【0042】
特に
図5を参照すると、前記第3接続手段は、前記接続端部15aから長手方向にかつ前記作業軸心Xに対して平行に延出するとともに、前記工具ホルダユニット20の前記第4接続手段の各接続面18に係合し結合されるように構成された2〜3の突出部材17を備えている。互いに平行でかつ対向する前記接続面18は、前記工具ホルダユニット20の外側筒状壁25と、長手方向かつ当該工具ホルダユニット20の前記接続端部26から前記打ち付け部材2の方向において前記作業軸心Xに対して平行に延出する二つの各突起19、とに形成されている。この構成により、前記第3接続手段17と前記第4接続手段18とが、前記パンチング工具10に対する前記打ち付け部材2の衝撃によって工具ホルダユニット20が作業軸心Xに沿って加工物に向けて移動する時にも、前記ブッシング15と工具ホルダユニット20との間の結合、従って、その回転トルクの伝達、を保証する(
図2)。
【0043】
前記工具ホルダユニット20は、前記パンチング装置1の前記下方支持部材12の各ハウジング29にスライドおよび回転可能に収納されている。
【0044】
図示されているように、前記パンチング装置1は、好ましくは、複数の工具ホルダユニット20と、工具を交換する必要無しで、単に、加工物を適切な打ち付け部材2の下方へと移動し位置決めするだけで、たとえば、同じ加工物に対して複数の作業を行うため、および/又は、より多くの連続した加工作業を行うために、単数又は複数の平行な列に沿って配設された複数のそれぞれの打ち付け部材2とを有している。前記パンチング装置1は、所謂マルチパンチングヘッドを構成する。各打ち付け部材2は、対応の工具ホルダユニット20のセットされたパンチング工具10と選択的に相互作用するべく前記第1駆動手段3の各第1アクチュエータ31,32によって駆動される。
【0045】
前記第2駆動手段4は、複数のブッシング15を有し、これらブッシングのそれぞれは各工具ホルダユニット20と共に前記作業軸心X周りで回転するべく各工具ホルダユニット20に接続されている。
【0046】
前記ブッシング15は、好ましくは、適当な伝動手段を介して単一の第2アクチュエータ33によって駆動されて共に回転するべく互いに対して接続される。
【0047】
図示されている実施例において、各ブッシング15は、隣接するブッシング15の歯付き部分27と係合するように構成された各歯付き部分27を有し、前記第2アクチュエータ33は、これらの歯付き部分27の一つに係合する歯車28を回転させる。前記ブッシング15の前記歯付き部分と27と前記歯車28とによって前記伝動手段が形成される。
【0048】
或いは、前記伝動手段は、前記ブッシング15の筒状部分の周りと前記第2アクチュエータ33によって回転される駆動プーリの周りとに巻回されるベルトとして構成することも可能である。
【0049】
図示されていない実施例において、本発明の前記パンチング装置1は、単一の工具ホルダユニット20と単一の各打ち付け部材2とを備えるものとして構成される。
【0050】
本発明の前記パンチング装置1は、更に、公知タイプで図示されていない複数のセンサを有し、これらセンサは、以下の記載において更に説明されるように、前記パンチング工具の選択の工程と、その後の、選択されたパンチング工具10の角度配向(インデキシング)の工程とにおいて、前記第2駆動手段4の駆動を制御するために、前記打ち付け部材2(すなわち、その作業位置)の直線方向位置と、前記ブッシング15の、従って、前記工具ホルダユニット10と前記打ち付け部材2自身との、回転とを検出するように構成されている。
【0051】
本発明の前記パンチング装置1の作動によって、当該装置1が、前記選択構成Eとされる第1の選択の工程が提供され、その構成では、前記打ち付け部材2と前記工具ホルダユニット20とが互いに分離して接続されず、セットされたパンチング工具10を前記打ち付け部材2の前記作業端部7の前記打ち付け部8に載置するべく、工具ホルダユニット20が、前記ブッシング15を介して前記第2駆動手段4によって前記作業軸心X周りに回転される。前記打ち付け部材2は、前記内側作動位置Aに配設され、そこでは、当該打ち付け部材2は、前記工具ホルダユニット20から離間される(
図1)とともに、所定の、前記パンチング装置又は当該装置1が取り付けられる工作機械の制御ユニットに知られている前記初期回転位置又は「ゼロ位置」において、前記基準手段40を介して、前記第1駆動手段3の前記ピストン31に対して角度拘束される。これにより、前記制御ユニットは、前記センサとの協働で、所望のパンチング工具10を選択するために必要な工具ホルダユニット20の回転を正確に制御することができる。
【0052】
第2の工程において、前記打ち付け部材2は、前記第1駆動手段3によって前記中間作動位置Bに移動され、ここでは、前記第1接続部材9は、前記選択されたパンチング工具10を収納している前記シート21に連動する前記第2接続部材22に係合することができる(
図4)。この接続構成Fにおいて、前記打ち付け部材2は、選択されたパンチング工具10を前記作業軸心X周りで回転させて加工物に対して行われるべき加工に応じてその角度配向(インデキシング)を変えるべく、前記工具ホルダユニット20によってドラグされて回転することができる。前記第2駆動手段4によって前記ブッシング15と前記工具ホルダユニット20とを介して行われる前記打ち付け部材2の回転によって、前記基準手段40の前記ボール41が打ち付け部材2の基準シート44から係合解除される。前記パンチング工具10が角度配向されると、前記打ち付け部材2は、当該打ち付け部材2が前記パンチング工具10に当たって、これを加工物10に対して徐々に移動させて押し付ける作業ストロークを行う前記外側作業位置C(
図2)において前記第1駆動手段3の前記ピストン31によって移動される。
【0053】
加工物の加工が完了すると、前記第1駆動手段3は打ち付け部材2を前記中間作業位置Bに移動させ、ここでは、前記打ち付け部材2は、前記ブッシング15と前記工具ホルダユニット20とを介して前記第2駆動手段4によって初期回転位置へと回転される。その後、前記打ち付け部材2は、前記第1駆動手段3によって前記内側作業位置Aへと戻され、ここで、前記参照部材40によって前記打ち付け部材2が前記ピストン31に対して弾性的に回転ロックされる。この内側作業位置Aにおいて、前記打ち付け部材2と前記工具ホルダユニット20とは互いから係合解除される。
【0054】
従って、本発明の前記パンチング装置1によって、同じ駆動手段(前記第2駆動手段4)を、前記工具ホルダユニット20のセットされるパンチング工具10の選択と、必要な加工を行うためのそのセットされたパンチング工具10の角度配向との両方に使用することが可能である。事実、前記接続手段9,22は、前記打ち付け部材2の前記作業端部7が、前記ブッシング15を介して前記第2駆動手段4の前記第2アクチュエータ33によって回転される前記工具ホルダユニット20と供回りすることを可能にする。公知のパンチング装置においては二種類の別々のアクチュエータを必要とする二つの別々の作業を行うために単一の回転アクチュエータ(前記第2アクチュエータ33)が使用される。このような技術的解決構成によって、前記パンチング装置の重量と、サイズと全体コストが削減され、従って、この装置は特にコンパクトで、単純でより効率的で信頼性の高い構造を備えたものとなる。
【0055】
本発明の解決構成は、又、マルチパンチングヘッドの場合、即ち、前記装置1が複数の工具ホルダユニット20とそれぞれの打ち付け部材2とを有する場合、において特に有利である。事実、前記第2アクチュエータ33を、すべての工具ホルダユニット20(連続的にかつ異なるタイミングで)において、必要なパンチング工具10を選択するためと、これら工具を配向するためとに使用することが可能であり、それによって、装置の構造が大幅に単純化され、その重量、サイズおよび全体コストが低減される。