特許第6196075号(P6196075)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6196075
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】照明器具の取付構造
(51)【国際特許分類】
   F21V 21/00 20060101AFI20170904BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20170904BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20170904BHJP
   H05B 33/06 20060101ALI20170904BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20170904BHJP
【FI】
   F21V21/00 140
   H05B33/14 A
   H05B33/02
   H05B33/06
   F21Y115:15
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-130185(P2013-130185)
(22)【出願日】2013年6月21日
(65)【公開番号】特開2015-5419(P2015-5419A)
(43)【公開日】2015年1月8日
【審査請求日】2016年5月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000111166
【氏名又は名称】DNライティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100090468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐久間 剛
(72)【発明者】
【氏名】廣田 吉美
(72)【発明者】
【氏名】伊勢田 幸祐
(72)【発明者】
【氏名】門間 徹
(72)【発明者】
【氏名】加藤 由祐
(72)【発明者】
【氏名】加藤 福明
(72)【発明者】
【氏名】中村 康仁
【審査官】 杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−055160(JP,A)
【文献】 特開2012−199219(JP,A)
【文献】 特開2012−114084(JP,A)
【文献】 特開2013−062159(JP,A)
【文献】 特開2011−008918(JP,A)
【文献】 特開2007−172918(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 21/00
H01L 51/50
H05B 33/02
H05B 33/06
F21Y 115/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面、この底面から立ち上がった一側面、および前記底面から立ち上がって前記一側面と反対側を向く他側面を有する基体と、
この基体に配設された発光体とを備えてなる照明器具を、前記底面の側から取付器具に取り付ける構造であって、
前記取付器具において、
前記一側面および他側面の一方を第一受面で受承する第一受け部材と、
前記第一受面と向かい合う位置に配されて、前記一側面および他側面の他方を第二受面で受承する第二受け部材と、
前記第一受け部材を、その前記第一受面と前記第二受面との間の距離が変わる方向に移動自在に保持する受け部材保持機構と、
この受け部材保持機構に保持された前記第一受け部材を、前記距離が短くなる方向に付勢する付勢手段と、
前記第二受け部材を、取り付けられた状態にある前記照明器具の前記底面と略平行で、かつ前記移動の方向に略直交する軸の周りに回動可能に軸支する受け部材軸支機構と、
が設けられてなり、
前記基体の一側面および他側面がそれぞれ、側面厚さ方向の略中央が最外方に有る凸形湾曲面とされ、
前記第一受面が前記一側面および他側面の一方に倣った形状の凹形湾曲面とされ、
前記第二受面が前記一側面および他側面の他方に倣った形状の凹形湾曲面とされている照明器具の取付構造。
【請求項2】
底面、この底面から立ち上がった一側面、および前記底面から立ち上がって前記一側面と反対側を向く他側面を有する基体と、
この基体に配設された発光体とを備えてなる照明器具を、前記底面の側から取付器具に取り付ける構造であって、
前記取付器具において、
前記一側面および他側面の一方を第一受面で受承する第一受け部材と、
前記第一受面と向かい合う位置に配されて、前記一側面および他側面の他方を第二受面で受承する第二受け部材と、
前記第一受け部材を、その前記第一受面と前記第二受面との間の距離が変わる方向に移動自在に保持する受け部材保持機構と、
この受け部材保持機構に保持された前記第一受け部材を、前記距離が短くなる方向に付勢する付勢手段と、
前記第二受け部材を、取り付けられた状態にある前記照明器具の前記底面と略平行で、かつ前記移動の方向に略直交する軸の周りに回動可能に軸支する受け部材軸支機構と、
が設けられてなり、
前記第二受け部材に、該第二受け部材を前記軸の周りに回動させるための操作部が設けられている照明器具の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具を取付器具に取り付ける構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば有機EL(エレクトロルミネッセンス)パネル等の発光体を薄型の筐体内に収めてなる照明器具が広く実用に供されている。その種の薄型の照明器具は、例えば特許文献1に示されているように、建物の壁面や天井面等に1次元あるいは2次元方向に並べてマトリクス状に配設し、発光面積が極めて大きい面状光源や、あるいは表示装置を構成するように用いられることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-218149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで多くの照明器具は、建物の壁面や天井面等に取り付けるに当たっては、壁面等に固定された取付器具に取り外し可能に取り付けられるのが一般的であり、上記薄型の照明器具に対してもそのような取付構造が適用されることが多い。このような取付構造を薄型の照明器具に適用する場合、特に複数の照明器具がマトリクス状に配設される場合は、各照明器具を基本的にその前面(光が取り出される面)側から押し込んだり、引いたりする操作だけで簡単に着脱自在にすることが望まれる。すなわち、複数の照明器具がマトリクス状に密に配設されていると、ある一つの照明器具を取り付けたり、あるいは取り外したりする際、それに隣接して別の照明器具が横に存在するため、照明器具を横方向に大きく動かすような操作は困難になるからである。
【0005】
以上、特に薄型の照明器具がマトリクス状に配置される場合のことについて説明したが、それに限らず、底面を有する筐体内に発光体を収容してなる照明器具を底面側から取付器具に取り外し自在に取り付ける場合は、照明器具を簡単な操作、つまり基本的に前面側から押し込んだり、引いたりする操作だけで簡単に着脱自在となっていれば、照明器具の取り付け作業や取り外し作業が極めて容易なものとなる。
【0006】
そこで本発明は、底面を有する筐体内に発光体を収容してなる照明器具を、簡単な操作で取付器具に対して着脱することを可能にする、照明器具の取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による照明器具の取付構造は、
底面、この底面から立ち上がった一側面、および前記底面から立ち上がって前記一側面と反対側を向く他側面を有する基体と、
この基体に配設された発光体とを備えてなる照明器具を、前記底面の側から取付器具に取り付ける構造であって、
取付器具において、
前記一側面および他側面の一方を第一受面で受承する第一受け部材と、
前記第一受面と向かい合う位置に配されて、前記一側面および他側面の他方を第二受面で受承する第二受け部材と、
前記第一受け部材を、その前記第一受面と前記第二受面との間の距離が変わる方向に移動自在に保持する受け部材保持機構と、
この受け部材保持機構に保持された前記第一受け部材を、前記距離が短くなる方向に付勢する付勢手段と、
前記第二受け部材を、取り付けられた状態にある前記照明器具の前記底面と略平行で、かつ前記移動の方向に略直交する軸の周りに回動可能に軸支する受け部材軸支機構と、
が設けられてなることを特徴とするものである。
【0008】
なお、上記構成を有する本発明による照明器具の取付構造においては、
基体の一側面および他側面がそれぞれ、側面厚さ方向の略中央が最外方に有る凸形湾曲面とされ、
第一受面が前記一側面および他側面の一方に倣った形状の凹形湾曲面とされ、
第二受面が前記一側面および他側面の他方に倣った形状の凹形湾曲面とされていることが望ましい。
【0009】
また、上記第二受け部材には、該第二受け部材を前記軸の周りに回動させるための操作部が設けられていることが望ましい。
【0010】
また、本発明による照明器具の取付構造においては、
取付器具の、照明器具の底面と接する面に、照明器具の発光体を点灯させる駆動電流および/または該点灯を制御する信号電流を給電する給電端子が設けられ、
照明器具の底面に、該照明器具が取付器具に取り付けられたとき前記給電端子と電気的に接続する受電端子が設けられていることが望ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明による照明器具の取付構造は、
底面、この底面から立ち上がった一側面、および前記底面から立ち上がって前記一側面と反対側を向く他側面を有する基体と、
この基体に配設された発光体とを備えてなる照明器具を、前記底面の側から取付器具に取り付ける構造であって、
取付器具において、
前記一側面および他側面の一方を第一受面で受承する第一受け部材と、
前記第一受面と向かい合う位置に配されて、前記一側面および他側面の他方を第二受面で受承する第二受け部材と、
前記第一受け部材を、その前記第一受面と前記第二受面との間の距離が変わる方向に移動自在に保持する受け部材保持機構と、
この受け部材保持機構に保持された前記第一受け部材を、前記距離が短くなる方向に付勢する付勢手段と、
前記第二受け部材を、取り付けられた状態にある前記照明器具の前記底面と略平行で、かつ前記移動の方向に略直交する軸の周りに回動可能に軸支する受け部材軸支機構と、
が設けられてなるものであるので、この取付構造によれば、以下の通りにして、照明器具を簡単な操作で取付器具に対して着脱可能となる。
【0012】
すなわち、照明器具を取り付ける際には照明器具を、その筐体の一方の側面(前記一側面および他側面の一方)が第一受面に当接するようにして第一受け部材側に押し込む。すると、第一受け部材が付勢手段の付勢力に抗しながら後退する、つまり第二受け部材から離れる方向に移動するので、筐体の他方の側面(前記一側面および他側面の他方)が第二受け部材の第二受面と向かい合う位置まで照明器具を動かし、その状態になったところで照明器具を第一受け部材側に押し込むのを止めれば、付勢手段の付勢力により第一受け部材が照明器具を第二受け部材側に押すので、それら両受け部材の間に照明器具が弾力的に保持されるようになる。
【0013】
照明器具を取り外す際には第二受け部材を、その第二受け面が第一受面を向いている状態から、第一受面から外れた方向を向くように回動させれば、両受け部材の間に照明器具を弾力的に保持している状態が解除され、照明器具を簡単に取り外すことができる。
【0014】
なお、前述したように第二受け部材を前記軸の周りに回動させるための操作部が設けられている場合は、上記第二受け部材を回動させる操作がより容易になされ得る。しかし、このような操作部が特に設けられていなくても、例えば両受け部材の間に弾力的に保持されている照明器具を把持して持ち上げる等の操作によって第二受け部材を回動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態による照明器具の取付構造を示す一部破断側面図
図2図1に示した照明器具の平面図
図3】上記照明器具の側面図
図4】上記照明器具の底面図
図5図1に示した取付器具の平面図
図6】上記取付器具の一部破断側面図
図7】上記取付器具を示す斜視図
図8】本発明の別の実施形態による照明器具の取付構造を示す一部破断側面図
図9】本発明のさらに別の実施形態による照明器具の取付構造を示す一部破断側面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態による照明器具の取付構造を示す側面図である。この取付構造は、一例として概略薄い直方体状の外形形状を有する照明器具1を横にした状態、つまり光を取り出す前面16が上を向いた状態で取付器具5に取り付けるためのものである。
【0017】
まず図2〜4を参照して、照明器具1について説明する。図2および図3はそれぞれ、照明器具1の平面形状および側面形状を示しており、また図4は照明器具1の底面の形状を示している。この照明器具1は基本的に、概略薄い直方体状に形成された筐体10内に、例えば有機EL(エレクトロルミネッセンス)パネル等の発光体20を収容して構成されている。発光体20が配設される基体としての筐体10は例えば透明あるいは白色の合成樹脂から形成され、底面11と、この底面11から立ち上がった一側面12と、同じく底面11から立ち上がって一側面12と反対側を向く他側面13とを有している。これらの一側面12および他側面13は共に、側面厚さ方向(図3中の上下方向)の中央が最外方に有る凸形湾曲面とされており、互いに平行で直線方向(矢印A方向)に細長く延びる状態に形成されている。これらの一側面12および他側面13は、照明器具1が取付器具5に取り付けられた状態では各々左側面と右側面となる。そしてこれらの一側面12と他側面13の各端部の間を延びる、互いに平行な上側面14および下側面15が形成され、それら4つの側面12〜15の上に前面16が形成されている。発光体20からの光は、この前面16から発せられる。
【0018】
図4は筐体10の底面11を示すものである。この底面11には、他側面13の近傍位置において、概略T字状とされて底面11から若干低くなった凹部41が形成され、その下方には、縦長の長方形状とされて底面11から若干低くなった凹部43が形成されている。またこの底面11には、一側面12の近傍位置において、概略T字状とされて底面11から若干低くなった凹部42が形成され、その下方には、縦長の長方形状とされて底面11から若干低くなった凹部44が形成されている。
【0019】
またこの底面11には、発光体15を点灯させる駆動電流を取付器具5側から受電するための受電端子17および19と、発光体15の点灯を制御する信号電流を取付器具5側から受電するための受電端子18および20が設けられている。さらにこの底面11には、四隅のそれぞれに近い位置において4つの丸穴37が設けられ、各丸穴37の中には、コイルバネ38が固定されている。これらのコイルバネ38による作用については後述する。
【0020】
次に図5〜7を参照して、取付器具5について説明する。図5および図6はそれぞれ、取付器具5の平面形状および一部破断側面形状を示しており、図7は取付器具5の斜視形状を示している。なお図7においては、底面51の上に形成された要素を省略して示している。
【0021】
取付器具5は例えば合成樹脂から形成され、照明器具1を取り付けるための取付部50を有している。この取付部50は、底面51の上方の空間が、第一受け部材52、第二受け部材53、上側板54および下側板55により四方から閉じられて画成されたものである。また取付器具5は、凹部57aが形成された受け部材保持部57を有している。
【0022】
上記第一受け部材52は、概略四角柱の一面が凹形湾曲面とされた形状のもので、矢印A方向に延びる状態に配設されている。上記凹形湾曲面は、後述するように照明器具1の一側面12を受承する第一受面52aとされたもので、この一側面12に倣った形状とされている。第一受け部材52は、その後端面(第一受面52aと反対側の端面)側から上記凹部57a内にほぼ緊密に収容されて、第二受け部材53との距離が変わる方向、つまり図5および図6中の左右方向に移動自在に保持されている。そしてこの第一受け部材52は、凹部57a内に保持された例えば2つのコイルバネ58により、上記距離が短くなる方向つまり図5および図6中の右方向に付勢されている。
【0023】
上記第二受け部材53も、概略四角柱の一面が凹形湾曲面とされた形状のもので、矢印A方向に延びる状態に配設されている。上記凹形湾曲面は、後述するように照明器具1の他側面13を受承する第二受面53aとされたもので、他側面13に倣った形状とされている。この第二受け部材53は、それぞれ上側板54、下側板55に固定された回動軸59の周りに回動可能に保持されている。回動軸59は受け部材軸支機構を構成するものであり、第二受け部材53が延びる方向つまり矢印A方向に平行に配されている。なおこの矢印A方向は、より詳しく説明すれば、照明器具1が取付器具5に取り付けられた状態にあるとき該照明器具1の底面11と平行で、かつ、第一受け部材52の移動方向に直交する方向である。また第二受け部材53には、回動軸59よりも後方つまり第二受面53aと反対側において、後方に張り出した操作部53bが形成されている。
【0024】
取付部50は、照明器具1の筐体10をほぼ緊密に収容する形状とされている。すなわち、この取付部50に対して後述するようにして照明器具1が収められると、図2および図3に示した筐体10の一側面12および他側面13はそれぞれ上記第一受面52aおよび第二受面53aと接し、筐体10の上側面14および下側面15はそれぞれ上側板54および下側板55と微小間隔を置いて向き合う状態となる。またこのとき、筐体10の底面11は、取付器具5の第一受け部材52と第二受け部材53との間に形成された底面51と接するようになる。
【0025】
上記底面51には、第二受け部材53の近傍位置において、概略T字状とされて底面51から若干高くなった凸部61が形成され、その下方には、縦長の長方形状とされて底面51から若干高くなった凸部63が形成されている。また底面51には、第一受け部材52の近傍位置において、概略T字状とされて底面51から若干高くなった凸部62が形成され、その下方には、縦長の長方形状とされて底面51から若干高くなった凸部64が形成されている。
【0026】
また底面51には、外部から駆動電流を受けるための配線が接続されるコネクタ70および71、外部から信号電流を受けるための配線が接続されるコネクタ72および73、取付器具5を壁面等に取り付けるための取付孔74〜77、一端が筐体10側に固定される照明器具落下防止用紐(図示せず)の他端が取り付けられる紐取付部78、取付器具5の上下取付方向を示す表示79および80、上述した配線を通すための配線通過孔81等が設けられている。さらに底面51には、照明器具1が取付器具5に取り付けられた際に、照明器具1が取り付け方向、つまり取付器具5との距離が変わる方向にガタ付くことを防止するための円柱状の突起84が4個形成されている。
【0027】
また底面51には、照明器具1がその底面11側から取付器具5に取り付けられた際に、該底面11に形成されている前記受電端子17および19と各々接触する駆動電流給電端子87および89と、前記受電端子18および20と各々接触する信号電流給電端子88および90とが設けられている。なお給電端子87、88、89および90は、それぞれ受電端子との接触を確実にするために、図示外のバネ等の付勢手段により、外方つまり図5中で手前側に付勢されている。取付器具5の内部には、上記駆動電流や信号電流用の回路基板(図示せず)が収容されている。
【0028】
以下、照明器具1を取付器具5に取り付ける操作について説明する。図1は照明器具1が取付器具5に取り付けられるときの状態を、(A)、(B)と時間を追って示している。なおここでは、取付器具5を破断して示している。
【0029】
まず同図(A)に示すように、取付器具5の第二受け部材53は、その操作部53bを作業者が押し下げることにより、第二受面53aが斜め上方を向く状態にされ、その状態が維持される。なおこの状態は、作業者が操作部53bを押し続けることにより維持されるようにしてもよいし、あるいは、例えば回動軸59と第二受け部材53との間に適当なフリクション機構を介在させることにより、作業者が操作部53bから手を離しても小さな摩擦力により維持されるようにしてもよい。
【0030】
次に照明器具1は、その一側面12が第一受け部材52の第一受面52aに接するように斜めにして取付部50内に挿入され、そしてこの状態から、第一受け部材52に当接する方向(図中の矢印B方向)に適宜長さ押し込まれる。このとき第一受け部材52は、コイルバネ58を圧縮しつつ凹部57a内で移動して、後退する。
【0031】
次いで照明器具1は、その他側面13が取付部50内に入る方向(図中の矢印C方向)に押し下げられる。すると、照明器具1の他側面13が第二受け部材53の第二受面53aに掛かって、この第二受け部材53を回動軸59の周りに図1中で反時計方向に回動させ、同図(B)に示す状態となって照明器具1が取付器具5に取り付けられる。この状態において照明器具1は、コイルバネ58の付勢力により、第一受け部材52と第二受け部材53との間に弾力的に保持される。
【0032】
なお、上述の通りにして照明器具1が取付器具5に取り付けられるとき、それら両者の相対位置が正しければ、取付器具5の底面51に形成された凸部61、62は照明器具1の筐体10に形成されている凹部41、42と組み合い、また凸部63、64は同じく筐体10に形成されている凹部43、44と組み合うようになる(図4、5参照)。
【0033】
取付器具5に対して照明器具1が不正な向きで取り付けられようとすると、上述の組み合いがなされず、筐体10を所定位置まで押し下げることが不可能になるので、不正な向きで照明器具1が取り付けられることが防止される。そして凸部61、62、63および64が、それぞれ凹部41、42、43および44と組み合うと、照明器具1は上下左右方向(図2の矢印A方向およびそれと直角な方向)に移動できなくなり、該照明器具1の位置が規定される。
【0034】
また、照明器具1が正しい向きで取付器具5に取り付けられると、取付器具5の4つの突起84がそれぞれ照明器具1の筐体10の丸穴37に入り込み、該丸穴37内に配設されているコイルバネ38を圧縮する。そこで筐体10は取付器具5から離れる方向に軽く押され、一側面12が第一受面52aの上を、そして他側面13が第二受面53aの上を滑って僅かに移動し、それ以上移動し得ないところで筐体10が静止してその状態が維持される。こうして、照明器具1が取り付け方向、つまり取付器具5との距離が変わる方向にガタ付くことが防止される。
【0035】
なお、上記4つの突起84の外径が、丸穴37の内径より僅かに小さいだけの値に設定されている場合は、突起84が上記凸部61〜64と同様に、筐体10の上下左右方向位置を規定する位置規定部材としても作用するようになる。
【0036】
また、照明器具1が正しい向きで取付器具5に取り付けられると、筐体10の底面11に形成されている受電端子17および19が各々取付器具5の駆動電流給電端子87および89と接触し、また、同じく底面11に形成されている受電端子18および20が各々取付器具5の信号電流給電端子88および90と接触して、取付器具5から照明器具1に給電がなされ得る状態となる。なお前述した通り、給電端子87、88、89および90はそれぞれ外方に向けて付勢されているので、それぞれ受電端子17、18、19および20との接触が確実なものとなる。
【0037】
照明器具1を取付器具5から取り外す際には、操作部53bが押し下げられることにより、第二受け部材53が図1中で時計方向に回動される。すると照明器具1および取付器具5は、図1の(B)の状態から(A)の状態に変わり、照明器具1が他端面13の側から跳ね上がって取付器具5から離脱するので、照明器具1を取付器具5から取り外すことができる。
【0038】
なお、特に上側板54および下側板55が省かれるような場合は、上記操作部53bを設けずに、照明器具1の上側面14あるいは下側面15の近傍部分を把持して持ち上げることにより、第二受け部材53を図1中で時計方向に回動させつつ照明器具1を取り外すようにしてもよい。
【0039】
また、照明器具1を取付器具5に取り付ける際に、第二受け部材53を図1(A)に示すように斜めにしておくことは必ずしも必要ではない。すなわち、第二受け部材53を図1(B)に示す状態にしておいて照明器具1を第一受け部材52の第一受面52aに強く押し当て、第一受け部材52を十分な長さ後退させれば、他端面13を第二受け部材53と干渉させることなく、底面11が底面51に十分近接する位置まで照明器具1を押し下げることができる。そして、その状態になったところで照明器具1を第一受け部材52側に押し込むのを止めれば、コイルバネ38の付勢力により第一受け部材52が照明器具1を第二受け部材53側に押すので、それら両受け部材52、53の間に照明器具1が弾力的に保持されるようになる。
【0040】
本実施形態において照明器具1の上下左右方向位置は、前述した通り照明器具1側の凹部41、42、43および44と、取付器具5側の凸部61、62、63および64との組合いによって規定される。すなわち、それらの凹部41、42、43および44、並びに凸部61、62、63および64が、照明器具1の位置を規定する位置規定部材を構成している。ただし照明器具1の位置は、その他の部材によって規定するようにしても構わない。照明器具1の位置を特に高精度に規定する必要が無い場合は、照明器具1を、第一受け部材52と第二受け部材53とにより挟んで保持するだけとしても構わない。
【0041】
次に、本発明の別の実施形態について説明する。図8は本実施形態による照明器具の取付構造を示す側面図であり、図1と同様に、照明器具1が取付器具5に取り付けられるときの状態を、(A)、(B)と時間を追って示している。なおここでも、取付器具5は破断して示している。またこの図8において、図1〜7中の要素と同等の要素には同番号を付してあり、それらについての説明は特に必要のない限り省略する(以下、同様)。
【0042】
本実施形態の取付構造は図1に示した構造と比べると、第一受け部材および第二受け部材の受面の形状が異なるものである。すなわち本実施形態において、第一受け部材152の第一受面152aは、その上端に近い部分および下端に近い部分が一部前方に張り出す形状とされて、それらが各々、照明器具1の一側面12の前面16に近い部分および底面11に近い部分に接するように構成されている。第二受け部材153の第二受面153aも、同じような形状とされている。
【0043】
以上の通りに構成した本実施形態においても、図1に示した取付構造の場合と同様の操作により、照明器具1を取付器具5に取り付け、そして取り外すことが可能である。
【0044】
次に、本発明のさらに別の実施形態について説明する。図9は本実施形態による照明器具の取付構造を示す側面図であり、図1と同様に、照明器具1が取付器具5に取り付けられるときの状態を、(A)、(B)と時間を追って示している。なおここでも、取付器具5は破断して示している。
【0045】
本実施形態の取付構造は図1に示した構造と比べると、第一受け部材および第二受け部材の受面の形状が異なると共に、照明器具1の筐体10の形状が異なるものである。すなわち本実施形態において、照明器具1の筐体10の一側面12および他側面13は、それぞれ底面11および前面16に対して直角な平面とされている。一方第一受け部材252の第一受面252aおよび第二受け部材253の第二受面253aは、その上端に近い部分および下端に近い部分が一部前方に張り出す形状とされている。
【0046】
以上の通りに構成した本実施形態においても、図1に示した取付構造の場合と同様の操作により、照明器具1を取付器具5に取り付け、そして取り外すことが可能である。なお、このような構造においては、照明器具1を取付器具5に取り付ける際の両者の組み合いをより円滑にするために、上記第一受面252aおよび第二受面253aの表面を、弾性変形可能な材料で構成してもよい。
【0047】
なお、以上説明した各実施形態では、照明器具1が水平な状態で取付器具5に取り付けられるようにしているが、上に説明した通りの各構造をそのまま用いて、照明器具1を垂直に立てた状態で取付器具5に取り付けることも可能である。また、照明器具1を水平な状態で取付器具5に取り付ける場合、上記実施形態とは反対に、取付器具5を例えば天井に固定する等により、照明器具1の前面16つまり光を取り出す面が下向きとなるように構成することも可能である。
【0048】
また筐体の形状も特に薄い直方体状に限られるものではなく、その他の形状に形成された筐体を取付器具に取り付ける構造に対しても本発明は適用可能である。
【0049】
さらに本発明による照明器具の取付構造は、複数の取付器具を1次元あるいは2次元方向に並べて配設し、それぞれの取付器具に照明器具を取り付けるように構成することも可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 照明器具
5 取付器具
10 筐体(基体)
11 筐体の底面
12 筐体の一側面
13 筐体の他側面
16 筐体の前面
20 発光体
41〜44 筐体の凹部
50 取付器具の取付部
51 取付器具の底面
52、152、252 第一受け部材
52a、152a、252a 第一受面
53、153、253 第二受け部材
53a、153a、253a 第二受面
57 受け部材保持部
58 コイルバネ
59 回動軸
61〜64 取付器具の凸部
87〜90 給電端子
84 突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9