(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6196114
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】難燃性接着剤組成物
(51)【国際特許分類】
C09J 201/10 20060101AFI20170904BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20170904BHJP
C09J 11/04 20060101ALI20170904BHJP
【FI】
C09J201/10
C09J11/06
C09J11/04
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-208774(P2013-208774)
(22)【出願日】2013年10月4日
(65)【公開番号】特開2015-71716(P2015-71716A)
(43)【公開日】2015年4月16日
【審査請求日】2016年7月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100698
【氏名又は名称】アイカ工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 雅密
(72)【発明者】
【氏名】神田 瞬
【審査官】
菅野 芳男
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−225695(JP,A)
【文献】
特開2005−306891(JP,A)
【文献】
特開2009−179776(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/089987(WO,A1)
【文献】
特開2009−263618(JP,A)
【文献】
特開2006−117845(JP,A)
【文献】
特開2007−284687(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第02177571(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 201/10
C09J 11/04
C09J 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加水分解により架橋可能なシリル基を有する湿気硬化性樹脂(A)と、金属水酸化物から成る難燃性フィラー(B)と、少なくともテトラアルコキシシラン又はテトラアルコキシシランの縮合物から成る(C)と、硬化触媒(D)とを含み、少なくともテトラアルコキシシラン又はテトラアルコキシシランの縮合物から成る(C)は、加水分解により架橋可能なシリル基を有する湿気硬化性樹脂(A)100重量部に対して、0.5〜20重量部であり、前記テトラアルコキシシランが、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシランからなる群から選ばれることを特徴とする難燃性接着剤組成物。
【請求項2】
加水分解により架橋可能なシリル基を有する湿気硬化性樹脂(A)100重量部に対して、金属水酸化物から成る難燃性フィラー(B)は100〜300重量部であることを特徴とする請求項1記載の難燃性接着剤組成物。
【請求項3】
テトラアルコキシシランはテトラエトキシシランであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の難燃性接着剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,湿気硬化型の難燃性接着剤組成物に関し,特に難燃性を有しながら低粘度で作業性が良好であって、且つ高い凝集力と接着性を有する難燃性接着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、(A)架橋可能な加水分解性シリル基を2個以上含有する有機重合体、(B)平均粒径0.1〜200μmの金属水酸化物、(C)架橋可能な加水分解性シリル基を片末端のみに有するポリエーテル化合物を必須成分として含有することを特徴とする難燃性湿気硬化型樹脂組成物が提案されている(特許文献1)。該難燃性湿気硬化型樹脂組成物は、ハロゲン系難燃剤や酸化アンチモンなどを使用せず、難燃性の規格であるUL94垂直燃焼性試験でV−0に合格し、低粘度で作業性が良好でありながら接着性も良好で、また低揮発性と低ブリードアウト性を有し、硬化物も強靭であるとされている。
【0003】
また、難燃性を要求される電気製品もしくは精密機器の組立用等の接着剤、固着剤として優れた性能を有する接着剤組成物として、(A)反応性珪素基含有有機重合体、(B)平均粒径0.1〜200μmの金属水酸化物、及び(C)23℃における粘度が500mPa・s以下である液状化合物であって、誘電率が5以上及び/又は沸点が170℃以下の液状化合物、を必須成分として含有する難燃性湿気硬化型接着剤組成物が提案されている(特許文献2)。
【0004】
さらには、同様に難燃性を要求される電気製品もしくは精密機器の組立用等の接着剤、固着剤として優れた性能を有する接着剤組成物として、(A)反応性珪素基含有有機重合体、(B)平均粒径0.1〜200μmの金属水酸化物、(C)親水性シリカ、及び(D)平均粒径0.01〜10μmの表面処理された炭酸カルシウムを必須成分として含有し、前記重合体(A)100質量部に対して、前記金属水酸化物(B)150〜350質量部、前記親水性シリカ(C)0.1〜15質量部、前記炭酸カルシウム(D)1〜50質量部を配合することを特徴とする難燃性湿気硬化型組成物が提案されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−225695号公報
【特許文献2】特開2007−332258号公報
【特許文献3】特開2007−84633号公報
【0006】
しかしながら、これらの組成物は、十分に低粘度であると言えない場合があり、また接着強さは最大でも3.6N/mm
2が示されるに留まり、より高い接着強さと組成物自体に高い凝集力を要求される場合は、十分に満足するものでない場合があるという課題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、十分に低粘度に設計しても高い接着強さを有し、且つ組成物自体に高い凝集力を有しながら、UL94垂直燃焼性試験でV−0に合格する難燃性を有する難燃性接着剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、加水分解により架橋可能なシリル基を有する湿気硬化性樹脂(A)と、金属水酸化物から成る難燃性フィラー(B)と、少なくともテトラアルコキシシラン又はテトラアルコキシシランの縮合物から成る(C)と、硬化触媒(D)とを含み、少なくともテトラアルコキシシラン又はテトラアルコキシシランの縮合物から成る(C)は、加水分解により架橋可能なシリル基を有する湿気硬化性樹脂(A)100重量部に対して、0.5〜20重量部であ
り、前記テトラアルコキシシランが、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシランからなる群から選ばれることを特徴とする難燃性接着剤組成物である。
【0009】
請求項2記載の発明は、加水分解により架橋可能なシリル基を有する湿気硬化性樹脂(A)100重量部に対して、金属水酸化物から成る難燃性フィラー(B)は100〜300重量部であることを特徴とする請求項1記載の難燃性接着剤組成物である。
【0010】
請求項3記載の発明は、テトラアルコキシシランはテトラエトキシシランであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の難燃性接着剤組成物である。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る難燃性接着剤組成物は、UL94垂直燃焼性試験でV−0に合格する難燃性を有すると共に、十分に低粘度に設計しても高い接着強さを有するという効果があり、結果として優れた接着作業性を有するという効果がある。また、硬化後の組成物の凝集力が高く、使用環境温度が高い場合であっても接着強さが維持され、優れた接着信頼性を有するという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の請求項1記載の難燃性接着剤組成物は、加水分解により架橋可能なシリル基を有する湿気硬化性樹脂(A)と、金属水酸化物から成る難燃性フィラー(B)と、少なくともテトラアルコキシシラン又はテトラアルコキシシランの縮合物から成る(C)と、硬化触媒(D)とを含むことを特徴とする難燃性接着剤組成物であり、この他に必要に応じて脱水剤、接着性付与剤、充填剤等を配合することが出来る。
【0014】
加水分解により架橋可能なシリル基を有する湿気硬化性樹脂(A)
本発明に係る加水分解により架橋可能なシリル基を有する湿気硬化性樹脂(A)は、例えば水等の活性水素基含有化合物と反応することによりシラノール基を生成できるシリル基を有する樹脂であり、脱離する保護基の種類によって、脱アルコール型、脱オキシム型、脱酢酸型、脱アミド型、脱アセトン型などがある。該湿気硬化性樹脂(A)としては、主鎖としてポリシロキサン構造を有するシリコーン樹脂やポリオキシアルキレン構造を有する変性シリコーン樹脂を使用することが出来る。
【0015】
加水分解により架橋可能なシリル基を有する湿気硬化性樹脂(A)を硬化させる際は、硬化触媒(D)が用いられ、該硬化触媒(D)としては、有機錫、無機錫、チタン触媒、ビスマス触媒、金属錯体、白金触媒、塩基性物質及び有機燐酸化物などが使用される。有機錫の具体例としては、ジブチル錫ジラウリレート、ジオクチル錫ジマレート、ジブチル錫フタレート、オクチル酸第一錫、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫塩と正珪酸エチルとの反応生成物等が挙げられる。金属錯体としては、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、トリエタノールアミンチタネート等のチタネート化合物類、オクチル酸鉛、ナフテン酸鉛、ナフテン酸ニッケル、ナフテン酸コバルト等のカルボン酸金属塩、アルミニウムアセチルアセテート錯体等の金属アセチルアセテート錯体、バナジウムアセチルアセトナート錯体等の金属アセチルアセトナート錯体などが挙げられる。硬化触媒(D)は加水分解により架橋可能なシリル基を有する湿気硬化性樹脂(A)100重量部に対して0.01〜20重量部が適当である。0.01重量部未満では硬化が不十分となり、20重量部超では反応が速くなりすぎて増粘が顕著になり、接着作業性が不良となる。
【0016】
金属水酸化物から成る難燃性フィラー(B)
本発明に係る難燃性接着剤組成物に配合される難燃性フィラーは金属水酸化物であり、特には、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム又はこれらの混合物を使用することができる。水酸化アルミニウム又は水酸化マグネシウムは一般的にプラスチックの難燃化剤として使用されているが、通常、UL94垂直燃焼性試験でV−0に合格する難燃性を付与するためには該水酸化アルミニウム又は水酸化マグネシウムを多量に配合しなければならず、そうすると組成物が高粘度となって作業性が不良となる。これを解決するために上記特許文献1及び特許文献2のように架橋可能な加水分解性シリル基を片末端のみに有するポリエーテル化合物や液状化合物を配合すると、組成物の粘度は低下しても同時に硬化物の凝集力が低下して接着力が低下するという相矛盾する傾向にあった。このような従来の技術に対して、本発明は難燃性フィラーとしてこれらの金属水酸化物を多量に配合しても、従来のようなポリエーテル化合物や液状化合物を配合することなく、以下に詳述する少なくともテトラアルコキシシラン又はテトラアルコキシシランの縮合物から成る(C)を配合する処方をとっている。このため、硬化前は該少なくともテトラアルコキシシラン又はテトラアルコキシシランの縮合物から成る(C)の希釈効果により組成物は低粘度となり、次に硬化触媒(D)により硬化反応が開始すると、該少なくともテトラアルコキシシラン又はテトラアルコキシシランの縮合物から成る(C)によって湿気硬化性樹脂(A)の架橋度が高められて硬化物の凝集力が高くなるものである。結果的には本発明により、難燃性接着剤組成物の低粘度化と硬化物の高凝集力化が初めて実現されている。
【0017】
金属水酸化物から成る難燃性フィラー(B)の配合量は湿気硬化性樹脂(A)100重量部に対して100〜300重量部であり、100重量部未満では難燃性が不十分となり、300重量部超では組成物の粘度が高くなり、作業性が不良となる。
【0018】
少なくともテトラアルコキシシラン又はテトラアルコキシシランの縮合物から成る(C)
本発明に係る難燃性接着剤組成物に配合される少なくともテトラアルコキシシラン又はテトラアルコキシシランの縮合物から成る(C)は、上述の目的で配合されるが、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、及びこれらの縮合物を使用することができる。その中でも、好ましいものとしては、テトラエトキシシラン及びテトラエトキシシランの縮合物(5量体)及び同縮合物(10量体)である。
【0019】
少なくともテトラアルコキシシラン又はテトラアルコキシシランの縮合物から成る(C)の配合量は、湿気硬化性樹脂(A)100重量部に対して0.5〜20重量部であり、0.5重量部未満では組成物の粘度が高くなり、作業性が不良となり、20重量部超では難燃性が不十分となる。配合量が1.0重量部未満では組成物の粘度が高くなる傾向があるが、難燃性に影響を与えない範囲で他の希釈剤を併用することにより作業性を良好とすることができる。
【0020】
また、本発明に係る難燃性接着剤組成物には脱水剤を添加することができ、該脱水剤の添加により貯蔵中に湿気と反応して増粘または硬化することを抑制することができる。脱水剤には、ビニルトリメトキシシラン、オルソギ酸エチルなどを使用することができ、湿気硬化性樹脂(A)100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲で添加される。
【0021】
また、本発明に係る難燃性接着剤組成物には、使用される被着体に対する接着性を向上させるために接着性付与剤を添加することができる。具体的にはシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、シラン系又はチタネート系カップリング剤とポリイソシアネート系化合物との反応生成物などを用いることができる。これらは単独で使用、または2種以上を併用することができる。
【0022】
また、本発明に係る難燃性接着剤組成物には充填剤を配合することができる。該充填剤は、粘度調整、粘性調整、固形分調整などの目的で配合され、具体例として、炭酸カルシウム、硅砂、タルク、カーボンブラック、酸化チタン、カオリンなどの無機充填材、硬化樹脂の補強のためにガラス繊維などの補強材、軽量化及び粘度調整などのためにシラスバルーン、ガラスバルーンなどの中空体などを使用することができる。
【0023】
以下,実施例及び比較例にて本発明に係る難燃性接着剤組成物について具体的に説明する。
【実施例】
【0024】
実施例1乃至実施例7
表1に示す配合にて、加水分解により架橋可能なシリル基を有する湿気硬化性樹脂(A)として変性シリコーン樹脂であるEST250(商品名、PPG骨格変性シリコーン樹脂、粘度:20Pa・s/23℃、株式会社カネカ製)を、金属水酸化物から成る難燃性フィラー(B)として、水酸化アルミニウムであるハイジライトH−32(商品名、昭和電工株式会社製、平均粒子径8μm)を、充填剤として重質炭酸カルシウム ホワイトンSB(商品名、白石カルシウム株式会社製、平均粒子径4μm)を、少なくともテトラアルコキシシラン又はテトラアルコキシシランの縮合物から成る(C)として、テトラエトキシランであるエチルシリケート28(商品名、コルコート株式会社製)、又はテトラエトキシシラン(5量体)であるエチルシリケート40(商品名、コルコート株式会社製)、又はテトラエトキシシラン(10量体)であるエチルシリケート48(商品名、コルコート株式会社製)を、脱水剤としてA−171(ビニルトリメトキシシラン、商品名、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)を、接着性付与剤としてSH−6020(3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、商品名、東レ・ダウコーニング社製)を、硬化触媒(B)としてジブチル錫化合物であるネオスタンU−220H(商品名、日東化成株式会社製)を使用し、減圧下で撹拌・混合し、実施例1乃至実施例7の難燃性接着剤組成物を得た。
【0025】
比較例1乃至比較例5
表1に示す配合にて、実施例1乃至実施例7で使用した材料の他、希釈剤としてポリエチレングリコール P−1000(重量平均分子量Mw;1000、商品名、株式会社ADEKA製)、フタル酸ジイソノニル、及びイソパラフィン系希釈剤としてIPソルベント1620(商品名、密度0.761/15℃、出光興産株式会社製)を使用し、減圧下で撹拌・混合し、比較例1乃至比較例5の難燃性接着剤組成物を得た。
【0026】
【表1】
【0027】
評価項目および評価方法
【0028】
粘度
実施例及び比較例の難燃性接着剤組成物を23℃雰囲気下に4時間以上静置した後、BS型粘度計(ローターNo.6またはNo.7、10rpm)にて粘度を測定した。500Pa・s/23℃以下を○と評価し、これを超えるものを×と評価した。
【0029】
難燃性
実施例及び比較例の難燃性接着剤組成物を、シリコーン離型紙間で1.5mmのスペーサを用いてシートを作製する。23℃7日後、離型紙から剥がし、1.5×13×130mmの硬化シートを作製した。得られた硬化シートに対し、UL94V−0規格に基づき試験を行い、難燃性を評価した。具体的には以下の各項目を全て満たすものを合格、一つでも満たさないものを不合格とした。
a)各試料の残炎時間t1またはt2が「10秒以下」
b)全ての処理による各組の残炎時間の合計(5枚の試料のt1+t2)が「50秒以下」
c)第2回接炎の各試料の残炎時間と残じん時間の合計(t2+t3)が「30秒以下」
d)各試料の保持クランプまでの残炎または残じんが「無いこと」
e)発炎物質または滴下物による標識用綿の着火が「無いこと」
なお、t1〜t3は以下の通りである。
t1:第1回接炎の試料の残炎時間(秒)
t2:第2回接炎の試料の残炎時間(秒)
t3:第2回接炎の試料の残じん時間(秒)
【0030】
被膜強さ(凝集力)
実施例及び比較例の難燃性接着剤組成物を、シリコーン離型紙上にて2mm厚のスペーサを用いて厚さ2mmのシート状となるよう塗布する。23℃50%RHにて7日間養生させて厚さ2mmのシート状硬化皮膜とした後、離型紙から剥がし、打抜き刃形等を用いてJIS K6251に規定するダンベル状3号形試験片を作成する。該試験片を引張速度100mm/分にて引張り、破断強度を測定し、該測定値を皮膜強さ(単位:N/mm
2)とした。皮膜強さが3.4N/mm
2以上を○と評価し、3.4N/mm
2未満を×と評価した。
【0031】
被膜硬度
上記皮膜強さ(凝集力)の評価において作製した実施例及び比較例の難燃性接着剤組成物のシート状硬化皮膜を3〜4枚程度重ねて、JIS K6253−3:2012に規定するタイプAデュロメータにて硬度を測定し、該硬度を皮膜硬度とした。皮膜硬度が75以上を○と評価し、75未満を×と評価した。
【0032】
接着強さ
実施例及び比較例の難燃性接着剤組成物を、SUS304ステンレス鋼板(1mm厚×25mm×70mm)の接着面積25×25mmに約100μm厚に塗布し、3分間23℃50%RHにて放置後、同様に接着剤組成物を塗布、放置した同形状のSUS304ステンレス鋼板を貼り合わせ23℃50%RHにて7日間養生後、引張速度50mm/分で引張せん断強さを測定し、該測定値を接着強さ(N/mm
2)とした。接着強さが3.7N/mm
2以上を○と評価し、3.7N/mm
2未満を×と評価した。
【0033】
評価結果
評価結果を表2に示す。実施例1乃至実施例7の難燃性接着剤組成物は、接着強さが3.70N/mm
2以上有し、特に実施例7の難燃性接着剤組成物は粘度が70Pa・s/23℃と低粘度でありながら被膜強さは5.00N/mm
2、且つ接着強さは3.90N/mm
2と成り、高い接着性と硬化被膜の高い凝集力を示した。これに対して、比較例2乃至比較例4の難燃性接着剤組成物は低粘度ではあるが、皮膜強さ、皮膜硬度、接着強さも低下した。また、比較例5の難燃性接着剤組成物は、難燃性が低下した。
【0034】
【表2】