(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施の形態1.
図1は、本発明による媒体搬送装置を備えた実施の形態1の画像形成装置としてのプリンタ1000を側面からみた、要部構成を説明するための概略構成図である。
図2、
図3は、切換えガイド25の切換え動作説明に伴う、切換えガイド25近傍の部分拡大図である。
【0009】
図1に示すように、プリンタ1000は、通常の記録用紙1をセットするための媒体カセット2と、厚紙をセットするためのマルチパーパスフィーダ101を備えている。マルチパーパスフィーダ101には、給紙サブローラ103、分離ローラ104、トレイ部106等が備えられ、普段使用しない場合には、同図に示すようにプリンタ1000本体に収納されている。
【0010】
媒体カセット2の用紙排出方向の上部には、媒体カセット2に積載された媒体としての記録用紙1を給紙するための給紙ローラ3、給紙サブローラ4が配置され、更に給紙する記録用紙1を一枚ずつに捌いて送出するための分離ローラ5が配設されている。
【0011】
給紙ローラ3、給紙サブローラ4の、記録用紙搬送方向下流側には、中間搬送ローラ6とピンチローラ7、記録用紙1の斜行を矯正するレジストローラ8とプレッシャーローラ9、中間搬送ローラ10とプレッシャーローラ11が搬送路に沿って順次配列されている。レジストローラ8とプレッシャーローラ9の上流側には、搬送される記録用紙1の位置を検知する給入センサ12が配置され、中間搬送ローラ10とプレッシャーローラ11の下流側には、記録用紙1に画像形成させるタイミングを指示する書出しセンサ13が配設され、その下流には画像形成部14が備えられている。
【0012】
画像形成部14は、転写ローラ15、イメージドラム16、LEDヘッド17、及び定着ユニット18を備え、イメージドラム16にトナーを供給するためのトナーカートリッジ19を装着している。また、定着ユニット18は、図示しない熱源を備えたヒートローラ20と、これに圧接する加圧ローラ21を備える。
【0013】
定着ユニット18の下流側には、記録用紙1の排出を検知する排出センサ22、排出ローラ23とピンチローラ24、搬送ルートを切り換える切換えガイド25が順次配列され、切換えガイド25の下流側は、後述する複数の搬送路に分かれている。
【0014】
図2に示すように、第1の切換え部としての切換えガイド25は、排出ポジションPa1(第1位置に相当)にあるとき、第1の搬送路64に配設された排出ローラ23から搬送される記録用紙1を、引き続き第1の搬送路64に導き、
図3に示すように、反転ポジションPa2(第2位置に相当)にあるとき、記録用紙1を第1の搬送路64から分岐した第2の搬送路65に導く。
【0015】
図2に示すように、引き続いて第1の搬送路64に導かれた記録用紙1は、排出ローラ26とピンチローラ28、及び排出ローラ27とピンチローラ29によって第1のスタッカとしてのスタッカ30に導かれる。
【0016】
図3に示すように、第1の搬送路64から分岐する第2の搬送路65に導かれた記録用紙1は、後述する退避ポジションPc1(第3位置に相当)に位置する第2の切換え部としてのフェイスアップトレイ切換えガイド45によって、第2の搬送路65から分岐した第3の搬送路66に導かれる。第3の搬送路66に導かれた記録用紙1は、順次配列された搬送ローラ31とピンチローラ33、及び搬送ローラ32とピンチローラ34によって一旦引き込み位置57(
図6)に引き込まれ、後述するように搬送ローラ38とピンチローラ41を含む両面印刷ユニット35へと搬送される。
【0017】
尚、フェイスアップトレイ切換えガイド45は、フェイスアップトレイ36のトレイ部72(
図18)が閉じられているときにはこの退避ポジションPc1に位置するが、トレイ部72が開かれると、排出ポジションPc2(
図18)に位置し、記録用紙1を引き続き第2の搬送路65に導いてフェイスアップトレイ36のトレイ部72(
図18)に排出するが、この点については後述する。
【0018】
両面印刷ユニット35は、反転ガイド37、搬送ローラ38〜40、ピンチローラ41〜43、及び両面吸入センサ44を備えて、中間搬送ローラ6とピンチローラ7へつながる搬送路を形成し、後述するように、一旦、引き込み位置57(
図6)へと導いた記録用紙1を、再び中間搬送ローラ6とピンチローラ7へ搬送する。フェイスアップトレイ36は、フェイスアップトレイ切換えガイド45、ピンチローラ46、トレイ部72などを備え、普段使用しない場合には、トレイ部72が閉じられて
図1に示すようにプリンタ1000本体の中に収納されている。
【0019】
制御部55は、プリンタ1000全体の動作を制御するが、ここでは、排出センサ22、トレイ開閉検出器61(
図16)等のセンサからの検出信号に基づいて行う切換えガイド25の切換え制御について後で説明する。
【0020】
尚、
図1中のX、Y、Zの各軸は、記録用紙1が中間搬送ローラ10とプレッシャーローラ11を通過する際の搬送方向にX軸をとり、中間搬送ローラ10の回転軸方向にY軸をとり、これら両軸と直交する方向にZ軸をとっている。また、後述する他の図においてX、Y、Zの各軸が示される場合、これらの軸方向は、共通する方向を示すものとする。即ち、各図のXYZ軸は、各図の描写部分が、
図1に示すプリンタ1000を構成する際の配置方向を示している。またここでは、Z軸が略鉛直方向となるように配置されるものとする。
【0021】
以上の構成によるプリンタ1000の印刷動作について説明する。
【0022】
図1において、媒体カセット2にセットされた記録用紙1は、給紙ローラ3、給紙サブローラ4によって中間搬送ローラ6とピンチローラ7へ送られ、更に中間搬送ローラ6の搬送力によってレジストローラ8とプレッシャーローラ9に突き当てられる。記録用紙1は、一定時間突き当てられることで斜行が矯正され、レジストローラ8は、給入センサ12の用紙検出に同期して回転し、斜行が矯正された記録用紙1を中間搬送ローラ10とプレッシャーローラ11に搬送する。中間搬送ローラ10は、記録用紙1を下流側に配置されたイメージドラム16と転写ローラ15に向けて更に搬送し、書出しセンサ13は、通過する記録用紙1を検出し、画像形成部14に対して画像形成を指示する。
【0023】
画像形成部14は、書出しセンサ13による記録用紙1の検出に同期して画像形成を開始し、LEDヘッド17が画像データに基づいて発光してイメージドラム16上に静電潜像を形成し、このイメージドラム16上の静電潜像にトナーカートリッジ19から供給されるトナーを吸着させて現像したトナー画像を形成する。
【0024】
イメージドラム16上に形成されたトナー画像は、転写ローラ15によって、回転するイメージドラム16と転写ローラ15との圧接部を通過する記録用紙1に転写される。その後、トナー画像が転写された記録用紙1は、定着ユニット18の図示されていない熱源を備えて回転するヒートローラ20と加圧ローラ21との圧接部を通過し、その際の高温高圧定着処理によってトナー画像が定着される。
【0025】
以上のようにして画像が印刷された記録用紙1は、後述するように切換えガイド25の動作によって、通常の片面印刷の場合には、スタッカ30へと搬送され、両面印刷の場合には両面印刷ユニット35に送られる。
【0026】
図4は、切換えガイド25を回動自在に保持し、自らも切換えガイド25周辺の用紙搬送路の一部を構成するガイドシャーシ60と切換えガイド25の切換え機構の外観斜視図であり、
図5は、切換えガイド25を駆動して
図2に示す排出ポジションPa1と
図3に示す反転ポジションPa2とに切り換える、切換え機構の構成及び動作を説明するための要部構成図である。
図5(a)は、切換えガイド25が排出ポジションPa1(第1位置)に切り換えられた状態を示し、
図5(b)は、切換えガイド25が反転ポジションPa2(第2位置)に切り換えられた状態を示す。
【0027】
図4に示すように、切換えガイド25は、ガイドシャーシ60によって回動自在に保持され、切換え機構を構成する駆動部としての電磁ソレノイド48及び第1リンクレバー47は、ガイドシャーシ60の右側(Y軸のマイナス側)に配置されている。このため、
図5(a),(b)は、切換え機構を奥側(Y軸のマイナス側)からみた図となっている。
【0028】
図4、
図5に示すように、切換えガイド25は、ガイドシャーシ60によって回動自在に保持される回動軸25c(Y軸と平行)と、回動軸25cに沿って形成され記録用紙1をガイドするガイド部25aとガイド部25aの一端側(ここでは右側であり、Y軸のマイナス側)に形成された側板部25bを有し、この側板部25bには回動軸25cから離れた位置に係合ポスト25dが形成されている。
【0029】
第1リンクレバー47は、その回動軸47aが、切換えガイド25の回動軸25cと平行となるようにプリンタ1000本体によって回動自在に保持され、その先端部の係合部47bが切換えガイド25の係合ポスト25dと係合可能に配置されている。電磁ソレノイド48は、プランジャ49が鉛直方向でスライドするようにプリンタ1000本体に固定配置され、プランジャ49の先端部49aが第1リンクレバー47に形成された連結凹部47cに嵌入し、変位自在な連結状態が保たれる。
【0030】
トーションスプリング50は、巻回部50aが、例えばガイドシャーシ60によって保持され、その両端部がガイドシャーシ60と切換えガイド25の係合ポスト25d間に架けられ、切換えガイド25を矢印A方向(係合ポスト25dが第1リンクレバー47の係合部47bに向かう方向であり、反転ポジションPa2から排出ポジションPa1に向かう方向)に付勢している。
【0031】
以上のように構成された切換え機構において、電磁ソレノイド48に電流が流れていない状態(以下、オフ状態と称す場合がある)のとき、
図5(a)に示すように自由状態のプランジャ49は、自重によって下方に移動した開放位置に留まる。これにより、プランジャ49とリンクした第1リンクレバー47は、自重等による矢印C方向への回動が制限され、トーションスプリング50による付勢によって圧接する切換えガイド25を、排出ポジションPa1の回動位置に留める。
【0032】
次に、電磁ソレノイド48に電流が流れている状態(以下、オン状態と称す場合がある)について説明する。例えば、上記した
図5(a)の状態において、電磁ソレノイド48がオン状態となると、プランジャ49は、吸引されて上方に移動し、第1リンクレバー47は、切換えガイド25を介したトーションスプリング50による付勢に抗して矢印D方向に回動する。切換えガイド25は、第1リンクレバー47のこの回動に伴って矢印B方向に回動し、プランジャ49が上方に移動してその吸引位置を維持するとき、
図5(b)に示すように第1リンクレバー47に圧接した状態で、反転ポジションPa2の回動位置に留まる。
【0033】
尚、ここでの電磁ソレノイド48に流す電流制御は、制御部55が行うものである。
【0034】
図6〜
図9は、両面印刷を実行する際の、記録用紙1の搬送過程の説明に供する動作説明図であり、これらの動作説明図を参照しながら、両面印刷時の記録用紙1の搬送過程について説明する。尚、ここでは、フェイスアップトレイ切換えガイド45は、退避ポジションPc1に位置している。
【0035】
図6に示すように、表面への印刷が終了して第1の搬送路64を搬送される記録用紙1の先端部が排出センサ22を通過すると、排出センサ22がこれを検出して制御部55に通過情報を送信する。制御部55は、この通過情報を受けて、両面印刷時には電磁ソレノイド48をオン状態とし、
図5(b)で説明したように、切換えガイド25の回動位置を反転ポジションPa2とし、搬送ローラ31,32を
図6に示す矢印方向、即ち記録用紙1を引き込み位置57へ引き込む方向(以下順方向と称す場合がある)へ回転させる。従って、記録用紙1は、切換えガイド25によって第1の搬送路64から第2の搬送路65へと導かれ、更に退避ポジションPc1に位置しているフェイスアップトレイ切換えガイド45(
図3)によって第3の搬送路66へと導かれる。
【0036】
一方、反転ガイド37は、その回動軸37aが切換えガイド25の回動軸25cと平行にガイドシャーシ60(
図4)によって回動自在に保持され、図示しない付勢手段によって矢印F方向に僅かに付勢されてガイドシャーシ60に形成された規制部51(
図7)に当接し、第2の搬送路65を塞ぐ回動位置である逆送防止位置Pb1に留まっている。また反転ガイド37は、図示しない検出手段によって回動位置が検出され、逆送防止位置Pb1にあるか否かの情報が制御部55に送られる。
【0037】
反転ポジションPa2にある切換えガイド25によってガイドされて搬送される記録用紙1は、その先端部が、僅かに付勢されて逆送防止位置Pb1にある反転ガイド37に当接すると、反転ガイド37を押しのけて搬送ローラ31とピンチローラ33に送られ、やがて
図7に示すように、搬送ローラ31とピンチローラ33、及び搬送ローラ32とピンチローラ34によって引き込み位置57まで搬送される。この過程で、記録用紙1の後端部が反転ガイド37を通過すると、反転ガイド37は、
図7に点線で示す退避位置Pb2から、再び逆送防止位置Pb1に戻る。
【0038】
制御部55は、反転ガイド37が再び逆送防止位置Pb1に戻ったのを確認すると、搬送ローラ31,32を
図7に示す矢印方向、即ち記録用紙1を両面印刷ユニット35に排出する方向(以下逆方向と称す場合がある)へ回転させ、両面印刷ユニット35内の各搬送ローラ38,39,40を
図7に示す矢印方向(記録用紙1を再び中間搬送ローラ6に搬送する方向)に回転させる。
【0039】
従って、記録用紙1は、一旦引き込み位置57に至った後、
図8に示すように、逆送防止位置Pb1に戻った反転ガイド37にガイドされて両面印刷ユニット35に搬送され、各搬送ローラ38〜40、ピンチローラ41〜43によって
図1に示す中間搬送ローラ6とピンチローラ7に搬送され、更に、裏面を記録面として再び画像形成部14に搬送される。
【0040】
制御部55は、排出センサ22によって、画像形成部14にて裏面への印刷が終了して第1の搬送路64を搬送される記録用紙1の先端部が排出センサ22を通過するのを確認すると、電磁ソレノイド48をオフ状態とし、
図5(a)で説明したように、切換えガイド25の回動位置を
図9に示すように排出ポジションPa1に切り換え、記録用紙1を引き続き第1の搬送路64に導く。両面印刷済みの記録用紙1は、排出ローラ26〜27、ピンチローラ28〜29によって搬送され、最終的にスタッカ30へと排出される。
【0041】
次に、厚紙印刷を行う場合に使用するマルチパーパスフィーダ101とフェイスアップトレイ36の構成について説明する。
【0042】
図10は、マルチパーパスフィーダ101及びフェイスアップトレイ36が共に開いて使用状態にセットされたプリンタ1000を側面からみた概略構成図であり、
図11は、マルチパーパスフィーダ101を収納した状態のプリンタ1000の外観斜視図であり、
図12は、マルチパーパスフィーダ101を開いて使用状態としたプリンタ1000の外観斜視図であり、
図13は、フェイスアップトレイ36を収納した状態のプリンタ1000の外観斜視図であり、
図14は、フェイスアップトレイ36を開いて使用状態としたプリンタ1000の外観斜視図である。
【0043】
プリンタ1000本体に格納されたマルチパーパスフィーダ101を使用状態とするには、
図11、
図12に示すように、取っ手部105に指をかけ、プリンタ1000本体に回動自在に保持されたトレイ部106を開く。トレイ部106は、これによってプリンタ1000本体にロックされた状態が解除され、
図10に示すように、先端部が水平よりやや上方となる所定の開位置で回動が規制され、その開位置を維持する。トレイ部106には、サブトレイ107,108が収容されており、これ等のサブトレイが
図10及び
図12に示すように、2段階にわたって前方に伸縮可能となっている。
【0044】
使用状態にセットされたマルチパーパスフィーダ101を使用して媒体としての厚紙を印刷する際には、連続した平面状に開いたトレイ部106及びサブトレイ107,108上に載置した厚紙が、給紙ローラ102、給紙サブローラ103、及び分離ローラ104によって、画像形成部14に搬送される。この場合、媒体カセット2から画像形成部14へ搬送する際の通常の記録用紙1の搬送経路に比べてより直線的な搬送経路で搬送できるため、厚紙印刷に適している。
【0045】
同様に、プリンタ1000本体に格納されたフェイスアップトレイ36を使用状態とするには、
図13、
図14に示すように、取っ手部71に指をかけ、プリンタ1000本体に回動自在に保持されたトレイ部72を開く。トレイ部72は、これによってプリンタ1000本体にロックされた状態が解除され、
図10に示すように、先端部が水平よりやや上方となる所定の開位置で回動が規制され、その開位置を維持する。トレイ部72には、サブトレイ73,74が収容されており、これ等のサブトレイが
図10及び
図14に示すように、2段階にわたって前方に伸縮可能となっている。尚、トレイ部72が第2のトレイに相当する。
【0046】
また、開かれたフェイスアップトレイ36に厚紙を排出するには、後述するように、切換えガイド25を
図8に示す反転ポジションPa2とし、更にフェイスアップトレイ36の切換えガイド45を排出ポジションPc2(
図18)とする必要がある。これにより、
図10に示すように、画像形成部14で印刷が行われた厚紙は、切換えガイド25及び切換えガイド45に導かれて搬送ローラ31とピンチローラ46に搬送され、連続した平面状に開いたトレイ部72及びサブトレイ73,74上に排出される。この場合、画像形成部14から排出までの搬送路がより直線的となるため、厚紙印刷に適している。尚、このとき、搬送ローラ31は、逆方向に回転制御されるものである。
【0047】
次に、トレイ部72の開閉と連動して切り換わる、フェイスアップトレイ36の切換えガイド45、及び切換えガイド25の切り換え機構について説明する。
【0048】
図15は、切換えガイド25及び切り換えガイド45を回動自在に保持し、更にトレイ部72を回動自在に保持し、自らも切換えガイド25周辺の用紙搬送路の一部を構成するガイドシャーシ60と切換えガイド25の切換え機構の外観斜視図であり、
図16〜
図18は、トレイ部72の開閉に連動して、切換えガイド45及び切換えガイド25を切り換える、切り換え機構の構成及び動作を説明するための要部構成図である。
図16は、トレイ部72が閉じられて切換えガイド25が排出ポジションPa1にあるときの状態を示し、
図17は、トレイ部72が閉じられて切換えガイド25が反転ポジションPa2に切り換えられた状態を示し、
図18は、トレイ部72が開けられ、フェイスアップトレイ36を使用状態としたときの状態図である。尚、
図16〜
図18は、切換え機構を奥側(Y軸のマイナス側)からみた図となっている。
【0049】
図16〜
図18において、電磁ソレノイド48、第1リンクレバー47、及び切換えガイド25は、
図5で説明したように、トーションスプリング50による付勢力を受けながら互いに連結している。
【0050】
フェイスアップトレイ切換えガイド45は、その回動軸45aがガイドシャーシ60(
図15)によって回動自在に保持され、同軸部に備えられてフェイスアップトレイ切換えガイド45とガイドシャーシ60間に架けられたトーションスプリング85によって、矢印J方向(退避ポジションPc1(第3位置)から排出ポジションPc2(第4位置)に向かう方向)に付勢されている。またフェイスアップトレイ切換えガイド45は、トレイ部72の規制面72aに当接可能な突起部45bと、第2リンクレバー81の係合部81bに当接可能であって搬送される媒体をガイドするガイド部45cとを備える。
【0051】
第2リンクレバー81は、その回動軸81aがガイドシャーシ60(
図15)によって回動自在に保持され、同軸部に備えられて第2リンクレバー81とガイドシャーシ60間に架けられたトーションスプリング82によって、矢印G方向(フェイスアップトレイ切換えガイド45に当接する方向)に付勢されている。また第2リンクレバー81は、フェイスアップトレイ切換えガイド45のガイド部45cと当接する係合部81bと、第1リンクレバー47の係合部47dに当接可能な押圧部81cとを備える。
【0052】
尚、フェイスアップトレイ切換えガイド45、第2リンクレバー81、第1リンクレバー47、及びトーションスプリング85,82,80が移動機構に相当する。
【0053】
図16に示すように、トレイ部72が閉じられているとき、フェイスアップトレイ切換えガイド45は、その突起部45bがトレイ部72の内側壁部に形成された規制面72aに当接して矢印J方向への回動が規制されて退避ポジションPc1を保ち、第2リンクバー81は、その係合部81bがフェイスアップトレイ切換えガイド45のガイド部45cに当接して矢印G方向への回動が規制されている。このとき、第2リンクバー81の押圧部81cと第1リンクレバー47の係合部47dとは、第1リンクレバー47の回動に係らず常に離間した状態となる。
【0054】
従って、トレイ部72が閉じているとき、電磁ソレノイド48と第1リンクバー47による切換えガイド25の切換え機構は、第2リンクレバー81による作用を受けることなく、両面印刷時等に行なわれる切換えガイド25の切換え動作を実行し、退避ポジションPc1にあるフェイスアップトレイ切換えガイド45は、例えば
図3に示すように、通常媒体の印刷時における用紙搬送路を妨げることはない。
【0055】
図16は、トレイ部72が閉じているとき、電磁ソレノイド48をオフにして切換えガイド25を排出ポジションPa1に切り換えたときの状態を示す。この時、第1の搬送路64に配設された排出ローラ23から搬送される記録用紙1は、引き続き第1の搬送路64に導かれ、
図9に示すようにスタッカ30に排出される。
【0056】
図17は、トレイ部72が閉じているとき、電磁ソレノイド48をオンにして切換えガイド25を反転ポジションPa2に切り換えたときの状態を示す。この時、第1の搬送路64に配設された排出ローラ23から搬送される記録用紙1は、切換えガイド25によって第1の搬送路64から分岐した第2の搬送路65に導かれ、更にフェイスアップトレイ切換えガイド45によって第2の搬送路65から分岐した第3の搬送路66に導かれ、
図7に示すように引き込み位置57に搬送される。
【0057】
尚、検出部としてのトレイ開閉検出器61は、光りセンサで構成され、トレイ部72が閉じているとき光を遮光する第2リンクレバー81の遮光部81d(
図16)の検出情報を制御部55に送信し、制御部55によるトレイ部72の開閉の判断を可能としている。
【0058】
次に、例えば操作者によって、
図16に示すように閉じられた状態のトレイ部72のロックを解除してこれを開ける際の各部の動きについて説明する。
【0059】
トレイ部72が
図18に示す開位置への回動を開始すると、トレイ部72の規制面72aによる、フェイスアップトレイ切換えガイド45の矢印J方向への回動規制が解除され、フェイスアップトレイ切換えガイド45は、トーションスプリング85による付勢力によって矢印J方向への回動を開始する。このとき、そのガイド部45cは、トーションスプリング82に付勢されて当接している第2リンクレバー81の係合部81bを押圧し、第2リンクレバー81を矢印H方向に回動する。従って、ここでは、係合部81bとガイド部45cとの当接部において、トーションスプリング85による付勢力が勝るように各トーションスプリングの強さが設定されている。
【0060】
第2リンクレバー81の矢印H方向への回動開始により、制御部55は、トレイ開閉検出器61からの信号によりトレイ部72が開けられたと判断し、電磁ソレノイド48を無条件でオフ状態とする。これにより電磁ソレノイド48がオン、オフの何れの状態にあっても、トレイ部72が開けられた時点でオフ状態となる。従ってこの時点で、
図17に示すように電磁ソレノイド48がオン状態であった場合には
図17に示す状態から
図16に示す状態に移行し、電磁ソレノイド48がオフ状態であった場合にはすでに
図16に示す状態となっている。
【0061】
何れの場合にも、トーションスプリング85による付勢によって矢印H方向に回動する第2リンクレバー81の押圧部81cが、直ちに第1リンクレバー47の係合部47dに当接して押圧して第1リンクレバー47を矢印D方向に回動し、
図18に示すように切換えガイド25を反転ポジションPa2に維持する。またフェイスアップトレイ切換えガイド45は、この時のフェイスアップトレイ切換えガイド45の回動により、退避ポジションPc1から排出ポジションPc2に切り換わる。
【0062】
これにより、
図10、
図18に示すように、マルチパーパスフィーダ101及びフェイスアップトレイ36が共に開いて使用状態にセットされたプリンタ1000において、マルチパーパスフィーダ101から供給されて画像形成部14で印刷が行われ、第1の搬送路64に配設された排出ローラ23から搬送される厚紙は、反転ポジションPa2の切換えガイド25によって第1の搬送路64から分岐した第2の搬送路65に導かれ、更に排出ポジションPc2のフェイスアップトレイ切換えガイド45によって引き続き第2の搬送路65に導かれて搬送ローラ31とピンチローラ46に搬送され、連続した平面状に開いたトレイ部72及びサブトレイ73,74上に排出される。
【0063】
尚、トーションスプリング85は、トーションスプリング50やトーションスプリング82による付勢、及びプランジャ49や第1リンクレバー47の自重に抗して、切換えガイド25を排出ポジションPa1から反転ポジションPa2に切り換える付勢力を備えるものである。
【0064】
以上のように、プリンタ1000においては、フェイスアップトレイ36が使用状態にセットされたとき、切換えガイド25を反転ポジションPa2にした状態で、搬送される記録媒体をガイドする必要があるが、本実施の形態においては、このとき、電磁ソレノイドをオンにして反転ポジションPa2にするのではなく、フェイスアップトレイ36をセットする動作に連動した機械的な機構のみで反転ポジションPa2としている。
【0065】
以上のように、本実施の形態のプリンタ1000によれば、フェイスアップトレイ36の使用時に、切換えガイド25の駆動に電磁ソレノイドを使用しないため、長時間にわたって電磁ソレノイドをオン状態とする使用を避けることができ、発熱等の問題を解消し、省電力化にも貢献できる。