(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
畝の上面の凹凸を検出する検出部の検出結果に基づいて制御部がアクチュエータを制御動作させて、制御動作されたアクチュエータが畝に苗を植付ける左右一対の植付部を設けた機体を昇降動作させることで、植付部による畝への苗の植深を一定に保つようにした歩行型移植機であって、
検出部は、機体に基端部を枢支して左右方向の軸線廻りに上下揺動自在となしたローラ支持体と、ローラ支持体の先端部に後方へ向けて突出させた天秤桿支軸と、天秤桿支軸に中央部を枢支して左右両端部を上下揺動自在となした左右方向に延伸する天秤桿と、天秤桿の両端部に取り付けたローラ枢支体ボス部と、各ローラ枢支体ボス部の軸線廻りに上下回動自在に取り付けた左右一対のローラ枢支体と、各ローラ枢支体に左右方向に軸線を向けて横架したローラ支軸と、各ローラ支軸にその軸線廻りに回転自在に取り付けた左右一対のセンサローラと、を具備し、畝の上面上に左右一対のセンサローラを当接させて、畝の上面の凹凸を検出するようにしたことを特徴とする歩行型移植機。
機体に、植付部を支持する植付部支持体の基端部を枢支して、その先端部側を上下揺動自在となし、植付部支持体の先端部には畝の上面に沿って転動しながら畝に植え付けられた苗に覆土する覆土輪を取り付けて、畝の上面の凹凸に応じた覆土輪の上下変位動作に植付部支持体を介した植付部の上下変位動作を連動させたことを特徴とする請求項1又は2記載の歩行型移植機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記した歩行型移植機では、2条の畝にそれぞれ1条(計2条)の苗を植付ける必要性がある場合に、機体に設けられているセンサローラが単一であるために、機体の昇降制御が十分になされず、この場合の対応ができないという不具合があった。また、単に各畝の上面を検出するセンサローラ(計2つ)をそれぞれ設けると、畝の高さが高い方の検出結果に基づいて機体の昇降制御がなされるために、低い方の畝における植深が浅くなるという不具合がある。また、センサローラを複数個設けると、畝面に作用する各センサローラの荷重に差異が生じて、それが原因で畝が崩されたり、各センサローラが畝にめり込んだりすることがある。
【0006】
そこで、本発明は、2条の畝にそれぞれ1条(計2条)の苗を植付け可能とするとともに、2つのセンサローラを設けて適切な機体の昇降制御を可能とし、しかも、畝が崩され難いように2つのセンサローラの畝面への面圧を均等化させることができ、かつ、半減化させることができる歩行型移植機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、畝の上面の凹凸を検出する検出部の検出結果に基づいて制御部がアクチュエータを制御動作させて、制御動作されたアクチュエータが畝に苗を植付ける左右一対の植付部を設けた機体を昇降動作させることで、植付部による畝への苗の植深を一定に保つようにした歩行型移植機であって、検出部は、機体に
基端部を枢支して左右方向の軸線廻りに上下揺動自在
となしたローラ支持体と、
ローラ支持体の先端部に後方へ向けて突出させた天秤桿支軸と、天秤桿支軸に中央部を枢支
して左右
両端部を上下揺動自在となした
左右方向に延伸する天秤桿と、
天秤桿の両端部に取り付けたローラ枢支体ボス部と、各ローラ枢支体ボス部の軸線廻りに上下回動自在に取り付けた左右一対のローラ枢支体と、各ローラ枢支体に左右方向に軸線を向けて横架したローラ支軸と、各ローラ支軸にその軸線廻りに回転自在に取り付けた左右一対のセンサローラと、を具備し、畝の上面上に左右一対のセンサローラを当接させて、畝の上面の凹凸を検出するようにし
たことを特徴とする。
【0008】
請求項1記載の発明では、上記のように構成しているため、2条の畝にそれぞれ1条(計2条)の苗を植付ける場合にも適正に対応することができる。つまり、左右一対の2つのセンサローラが、左右の植付位置における畝高さの平均値をセンシング(検出)して、適切に機体を昇降制御できる。しかも、2つのセンサローラの畝面への面圧を均等化させることができ、かつ、畝への面圧を半減化させることができるため、畝が崩され難くなる。また、畝の表面にマルチフィルムを張設している場合にも、畝への面圧が均等化・半減化された左右一対のセンサローラでは、マルチフィルムを前方へ引っ張ることが減少するため、苗とマルチフィルムに開口した植付孔の位置ずれが減少する。
【0009】
より具体的に説明すると、畝の上面上に当接させた左右一対のセンサローラが畝の上面の凹凸に応じて上下変位動作する。この際、左右一対のセンサローラは、天秤桿の左側端部及び右側端部に取り付けられており、天秤桿は、ローラ支持体に中央部が枢支されるとともに、左右側部が上下揺動自在であり、ローラ支持体は、機体に上下揺動自在に取り付けられているため、左右のセンサローラの各上下変位量の平均変位量がローラ支持体の上下変位量として、ローラ支持体を上下変位動作させる。そして、検出部の検出結果であるローラ支持体の上下変位動作に基づいて制御部がアクチュエータを制御動作させて、制御動作されたアクチュエータが畝に苗を植付ける左右一対の植付部を設けた機体を昇降動作させる。その結果、植付部による畝への苗の植深を一定に保つことができる。
【0010】
また、検出部は、機体に基端部を枢支して左右方向の軸線廻りに上下揺動自在となしたローラ支持体と、ローラ支持体の先端部に後方へ向けて突出させた天秤桿支軸と、天秤桿支軸に中央部を枢支して両端部を上下回動自在となした左右方向に延伸する天秤桿と、天秤桿の両端部に取り付けたローラ枢支体ボス部と、各ローラ枢支体ボス部の軸線廻りに上下回動自在に取り付けた左右一対のローラ枢支体と、各ローラ枢支体に左右方向に軸線を向けて横架したローラ支軸と、各ローラ支軸にその軸線廻りに回転自在に取り付けたセンサローラと、を具備することを特徴とする。
【0011】
これにより、機体に基端部を枢支して左右方向の軸線廻りに上下揺動自在となしたローラ支持体の先端部に、天秤桿支軸を後方へ向けて突出させ、天秤桿支軸に左右方向に延伸する天秤桿の中央部を枢支して、天秤桿の両端部を上下回動自在となし、天秤桿の両端部に後方へ向けてローラ枢支体ボス部を取り付けたて、ローラ枢支体ボス部の軸線廻りに左右一対のローラ枢支体を上下回動自在に取り付け、各ローラ枢支体に左右方向に軸線を向けてローラ支軸を横架して、各ローラ支軸にその軸線廻りに回転自在にセンサローラを取り付けることで検出部を構成しているため、左右一対のセンサローラの畝面への面圧の均等化及び半減化を堅実に実現できる。また、上記のように構成した検出部は、軟弱畝への対応部品として容易に交換できるため、適切な対応が可能となる。
【0012】
請求項
2記載の発明は、請求項
1記載の発明であって、ローラ支持体に、天秤桿の上下揺動範囲を規制するための規制体を取り付けたことを特徴とする。
【0013】
請求項
2記載の発明では、ローラ支持体に取り付けた規制体が天秤桿の上下揺動範囲を規制するため、天秤桿が回転するのを防止できる。そのため、畝を跨ぐように本機を進入配置する際や、本機を畝から退出させる際に、天秤桿が畝を崩す虞がなくなる。その結果、本機の畝への進入・退出作業が円滑かつ堅実に行える。
【0014】
請求項
3記載の発明は、請求項1
又は2記載の発明であって、機体に、植付部を支持する植付部支持体の基端部を枢支して、その先端部側を上下揺動自在となし、植付部支持体の先端部には畝の上面に沿って転動しながら畝に植え付けられた苗に覆土する覆土輪を取り付けて、畝の上面の凹凸に応じた覆土輪の上下変位動作に植付部支持体を介した植付部の上下変位動作を連動させたことを特徴とする。
【0015】
請求項
3記載の発明では、畝の上面の凹凸に応じた覆土輪の上下変位動作に植付部支持体を介した植付部の上下変位動作を連動させているため、植付部の初期位置と畝の上面との間の間隔を一定に確保することができる。その結果、各条の苗の植付位置における畝高さと、左右一対のセンサローラがセンシングする左右の植付位置における平均化した畝高さとの多少のずれを、上記した覆土輪の作用が協働して補正することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、2条の畝にそれぞれ1条(計2条)の苗を植付け可能とするとともに、2つのセンサローラを設けて適切な機体の昇降制御を可能とし、しかも、畝が崩され難いように2つのセンサローラの畝面への面圧を均等化させることができ、かつ、半減化させることができる歩行型移植機を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。すなわち、
図1〜
図3に示すAは、本実施形態としての歩行型移植機Aであり、歩行型移植機Aは、圃場Gに形成され
た畝Uの上面の凹凸を検出する検出部70の検出結果に基づいて、制御部としての昇降バルブ27が、アクチュエータとしての昇降シリンダ29を制御動作させて、制御動作された昇降シリンダ29が畝Uに苗を植付ける左右一対の植付部50,50を設けた機体10を昇降動作させることで、植付部50,50による畝Uへの苗の植深を一定に保つようにしている。
【0019】
検出部70は、
図4〜
図6に示すように、機体10に上下揺動自在に取り付けたローラ支持体71と、ローラ支持体71に中央部を枢支することで左右側部を上下揺動自在となした天秤桿72と、天秤桿72の左側端部及び右側端部に転動自在に取り付けた左右一対のセンサローラ73,73と、を具備している。そして、畝Uの上面上に左右一対のセンサローラ73,73を転動自在に当接させて、畝Uの上面の凹凸を検出するようにしている。
【0020】
このように構成しているため、2条の畝Uにそれぞれ1条(計2条)の苗を植付ける場合にも適正に対応することができる。つまり、左右一対の2つのセンサローラ73,73が、左右の植付位置における畝高さの平均値をセンシング(検出)して、適切に機体10を昇降制御できる。しかも、2つのセンサローラ73,73の畝U面への面圧を均等化させることができ、かつ、畝Uへの面圧を半減化させることができるため、畝Uが崩され難くなる。また、畝Uの表面にマルチフィルムを張設している場合にも、畝Uへの面圧が均等化・半減化された左右一対のセンサローラ73,73では、マルチフィルムを前方へ引っ張ることが減少するため、苗とマルチフィルムに開口した植付孔の位置ずれが減少する。
【0021】
より具体的に説明すると、畝Uの上面上に当接させた左右一対のセンサローラ73,73が畝Uの上面の凹凸に応じて上下変位動作する。この際、左右一対のセンサローラ73,73は、天秤桿72の左側端部及び右側端部に取り付けられており、天秤桿72は、ローラ支持体71に中央部が枢支されるとともに、左右側部が上下揺動自在であり、ローラ支持体71は、機体10に上下揺動自在に取り付けられているため、左右のセンサローラ73,73の各上下変位量の平均変位量がローラ支持体71の上下変位量として、ローラ支持体71を上下変位動作させる。そして、検出部70の検出結果であるローラ支持体71の上下変位動作に基づいて昇降バルブ27が昇降シリンダ29を制御動作させて、制御動作された昇降シリンダ29が畝Uに苗を植付ける左右一対の植付部50,50を設けた機体10を昇降動作させる。その結果、植付部50,50による畝Uへの苗の植深を一定に保つことができる。
【0022】
機体10には、植付部50を支持する植付部支持体66の基端部(前端部)を枢支して、その先端部(後端部)側を上下揺動自在となし、植付部支持体66の先端部には畝Uの上面に沿って転動しながら畝Uに植え付けられた苗に覆土する覆土輪としての輪体61を取り付けて、畝Uの上面の凹凸に応じた輪体61の上下変位動作に植付部支持体66を介した植付部50の上下変位動作を連動させている。
【0023】
このように構成して、畝Uの上面の凹凸に応じた輪体61の上下変位動作に植付部支持体66を介した植付部50の上下変位動作を連動させているため、植付部50の初期位置と畝Uの上面との間の間隔を一定に確保することができる。その結果、各条の苗の植付位置における畝高さと、左右一対のセンサローラ73,73がセンシングする左右の植付位置における平均化した畝高さとの多少のずれを、上記した輪体61の作用が協働して補正することができる。
【0024】
次に、上記のように構成した歩行型移植機Aの構成を、より具体的に説明する。すなわち、機体10は、機体フレーム11の後端部にミッション部12を連設して形成しており、これら機体フレーム11とミッション部12を前・後輪13,14により支持するとともに、機体フレーム11上に油圧ユニットケース15とエンジン16を載設して、エンジン16からミッション部12と油圧ユニットケース15にそれぞれ動力を伝達可能としている。機体フレーム11の前端部には、前輪取付ブラケット17を取り付け、前輪取付ブラケット17に左右方向に延伸する支軸18をその軸線廻りに回転自在に枢支し、支軸18の左右側端部に、ボス部18a,18aを介して、上下方向に延伸する前輪支持アーム19,19の上端部を取り付けて、前輪支持アーム19,19の下端部に前輪軸20,20を介して前輪13,13を転動自在に取り付けている。また、ミッション部12の左右側部には、それぞれ左右方向に延伸する後輪伝動軸ケース28,28の内側端部を連動連結して、後輪伝動軸ケース28,28の外側端部には、上下方向に延伸する後輪伝動ケース21,21の上端部を左右方向の軸線廻りに回動自在に連動連結し、後輪伝動ケース21,21の下端部には後輪軸22,22を介して後輪14,14を連動連結している。そして、ボス部18aから上方へ突設した前側突片23と、後輪伝動ケース21の上端部から上方へ突設した後側突片24との間に、前後方向に延伸する連結ロッド25を介設して昇
降機構26を形成し、昇降機構26に昇降連動機構34を介して前記した昇降シリンダ29を連動連結している。
【0025】
昇降連動機構34は、左右方向に軸線を向けた昇降ロッド35の左右側端部に突設した連結突片37,37と、昇降機構26の後側突片24,24とを、前後方向に軸線を向けた前後摺動ロッド36,36により連動連結して構成しており、昇降ロッド35の中途部には、前後方向に伸縮自在に配置した昇降シリンダ29のピストン29aの先端部を連結している。そして、昇降連動機構34は、昇降シリンダ29の伸長動作に連動して後輪14を下降動作させるとともに、昇降機構26を介して前輪13を下降動作させるようにしている。また、昇降シリンダ29の短縮動作に連動して後輪14を上昇動作させるともに、昇降機構26を介して前輪13を上昇動作させるようにしている。
【0026】
油圧ユニットケース15内には、エンジン16によって駆動される油圧ポンプ(図示せず)と、油圧ポンプと昇降シリンダ29との間に介設して昇降シリンダ29の作動を制御するロータリ弁型の昇降バルブ27を配設している。
【0027】
このように構成して、昇降シリンダ29の伸縮作動に連動させて昇降機構26及び昇降連動機構34を介して前・後輪13,14を一体的に昇降作動させるようにしており、昇降バルブ27が昇降シリンダ29を制御動作させて、制御動作された昇降シリンダ29が機体10を昇降動作させるようにしている。
【0028】
機体フレーム11の後端部には、左右一対の板状の支持体30,30を後上方へ向けて延設し、各支持体30,30の後端部には前後方向に延伸する左右一対の支持フレーム31,31の前端部を連結し、両支持フレーム31,31の後端部間には、ループ状に形成したハンドル32の両端を一体的に連結している。両支持フレーム31,31の中途部は下方へ凸状に湾曲させて形成し、中途部間に苗供給部支持枠体33を架設して、苗供給部支持枠体33上に苗供給部40を載設している。
【0029】
苗供給部40は、上下方向の軸線廻りに回動する駆動スプロケットと従動スプロケット(これらは図示せず)を左右に配置し、両スプロケト間にチェーン状に連結した苗搬送ポット41連を巻回して構成している。各苗搬送ポット41は、苗を収容した状態で巻回方向に移送されるようにしている。そして、所定の2箇所(前部側の左右側部)において苗搬送ポット41,41の底部が開口されて、各苗搬送ポット41,41内に収容されている苗が自重で下方へ落下されるようにしている。つまり、順次2つずつの苗が一定時間毎に落下される。落下された2つの苗は、その下方に配置された植付部50のカップ状の植付爪57が受けるとともに、畝Uに移植するようにしている。その結果、2条の畝Uにそれぞれ1条(計2条)の苗を植付けることができる。
【0030】
植付部50は、ミッション部12の左右側後方にそれぞれ配設して構成している。すなわち、植付部50は、ミッション部12に左右方向に軸線を向けた植付駆動軸51を左右側方にそれぞれ延出させて設け、左
右側方の植付駆動軸51の左側端部に連動ケース52の前端部を連動連結するとともに、植付駆動軸51の軸線廻りに連動ケース52を上下揺動自在となしている。連動ケース52の後端部には左右方向に軸線を向けた第1連動軸58を介して植付ミッションケース53の前端部を連動連結し、植付ミッションケース53の後端部には、左右方向に軸線を向けた第2連動軸59を介してロータリケース54の下端部を連動連結するとともに、第2連動軸59の軸線廻りにロータリケース54を回転自在となしている。ロータリケース54の上端部には植付爪支持体56を介して植付爪57を取り付けている。植付爪57は、前後一対の爪形成片57a,57aの下部同士を接続させて逆円錐カップ状となすことも、また、各爪形成片57a,57aの下部同士を離隔させて下端開口状となすこともできるようにしている。そして、植付爪57は、カップ状態で苗搬送ポット41から落下された苗を受けるとともに、畝U側に下降し、畝U中に進入した後に下端開口状態で苗を畝U中に移植して、その後に上昇復帰するようにしている。
【0031】
植付駆動軸51には、連動ケース52の右側方に間隔をあけてガイド体58の前端部を植付駆動軸51の軸線廻りに回動自在に枢支連結しており、ガイド体58の後端部と、植付ミッションケース53の中途部に、平面視U字状のガードフレーム59の前端部を架設状に連結して植付部支持体66を形成している。ガードフレーム59の後端部には、輪体昇降機構60を介して覆土鎮圧を行う輪体61を取り付けている。62は輪体61を昇降調節する調節レバー、63は調節レバー62を係止する調節ガイド体である。
【0032】
このように構成した植付部50は、植付駆動軸51の左右側方にそれぞれ装設して、2条の移植を同時に可能としており、植付駆動軸51の軸芯を中心にして、畝Uの上面に追従して上下動する輪体61により上下フローティング(上下揺動)自在となしている。65は上下フローティング範囲を規制する規制体であり、規制体65は支持フレーム31,31の中途部に垂設して、ガードフレーム59の上下動作を規制するようにしている。
【0033】
検出部70は、
図4〜
図6に示すように、機体10に基端部を枢支して左右方向の軸線廻りに上下揺動自在となしたローラ支持体71と、ローラ支持体71の先端部に後方へ向けて突出させた天秤桿支軸79と、天秤桿支軸79に中央部を枢支して両端部を上下回動自在となした左右方向に延伸する天秤桿72と、天秤桿72の両端部に取り付けた枢支体ボス部82,82と、各枢支体ボス部82,82の軸線廻りに上下回動自在に取り付けた左右一対のローラ枢支体83,83と、各ローラ枢支体83,83に左右方向に軸線を向けて横架したローラ支軸87,87と、各ローラ支軸87,87にその軸線廻りに回転自在に取り付けたセンサローラ73,73と、を具備している。
【0034】
すなわち、機体フレーム11の中途部に、左右方向に軸線を向けた枢支ピン75,75を介して左右一対の枢支片74,74の上端部を枢支ピン75,75の軸線廻りに上下揺動自在に枢支し、左右一対の枢支片74,74の下半部を内方に切曲させて形成している。ローラ支持体71は、左右方向に軸線を向けた棒状の前部形成片76と、前部形成片76の右側端部から後方へ延伸させた棒状の中途部形成片77と、中途部形成片77の後端部に直交させて左右方向に軸線を向けた棒状の後部形成片78と、後部形成片78の左側端部から後方へ突出させた(前後方向に軸線を向けた)ピン状の天秤桿支軸79とから形成している。そして、ローラ支持体71は、左右一対の枢支片74,74の下半部間に前部形成片76を横架状に架設して、左右方向に軸線を向けた枢支ピン75,75を中心に天秤桿支軸79側を上下揺動自在としている。
【0035】
天秤桿72は、天秤桿支軸79に回動自在に外嵌する天秤桿ボス部80と、天秤桿ボス部80の周面から左側方及び右側方へそれぞれ同一長さに延伸させて形成した左及び右側形成桿81,81と、左及び右側形成桿81,81の外側端部に軸線を前後方向に向けて取り付けたローラ枢支体ボス部82,82とから形成している。そして、天秤桿72は、前後方向に軸線を向けた天秤桿支軸79を中心にローラ枢支体ボス部82,82側を上下揺動自在としている。ローラ枢支体ボス部82,82には、ローラ枢支体83,83を介してセンサローラ73,73を取り付けている。
【0036】
ローラ枢支体83は、前後方向に軸線を向けた枢支体ボス部82中に回動自在に挿入する枢支体支軸84と、枢支体支軸84の後端部に中央部を取り付けるとともに、左右方向に延伸させた左右延伸片85と、左右延伸片85の左右側端部からそれぞれ後方へ並列的に延伸する後方延伸片86,86とから形成している。そして、ローラ枢支体83は、枢支体ボス部82を中心に後方延伸片86,86側を上下揺動自在としている。両後方延伸片86,86の後端部間には、左右方向に軸線を向けたローラ支軸87を横架し、ローラ支軸87にその軸線廻りに回転自在にセンサローラ73を取り付けている。
【0037】
このように構成した検出部70では、左右一対のセンサローラ73,73の畝U面への面圧の均等化及び半減化を堅実に実現できる。また、上記のように構成した検出部70は、ボス部の箇所で着脱できるため、軟弱畝への対応部品として容易に交換することができて、適切な対応が可能となる。
【0038】
また、ローラ支持体71の後部形成片78には、天秤桿72の右側形成桿81側に向けて側面視コ字状の規制体90を取り付けており、規制体90は上下方向に延伸する連結片91と、連結片91の上下端部からそれぞれ後方へ向けて突出する上・下片92,92とから形成して、上・下片92,92を右側形成桿81の上方及び下方に配置して、上下揺動する右側形成桿81が、上・下片92,92に交差状に当接して、上下揺動範囲が規制されるようにしている。
【0039】
したがって、規制体90により天秤桿72が回転するのを防止できる。そのため、畝Uを跨ぐように本機を進入配置する際や、本機を畝Uから退出させる際に、天秤桿72が畝Uを崩す虞がなくなる。その結果、本機の畝Uへの進入・退出作業が円滑かつ堅実に行える。
【0040】
上記のように構成した検出部70は、
図3〜
図5に示すように、連動リンク機構100を介して昇降バルブ27に連動連結している。すなわち、連動リンク機構100は、昇降バルブ27の回転スプール101に取り付けたバルブレバー102の先端部に、第1連結ピン116を介して前後方向に延伸する前後延伸リンク103の前端部を連結している。前後延伸リンク103の後端部には、第2連結ピン117を介して中間レバー体104の上端部を連結するとともに、中間レバー体104の下端部には、第3連結ピン118を介して上下方向に延伸する上下延伸リンク105の上端部を連結している。上下延伸リンク105の下端部は、ローラ支持体71の後部形成片78の右側端部に連結している。中間レバー体104は、上方延出片106の下端部と前方延出片107の後端部を接続部108を介して接続して側面視L字状に形成している。
【0041】
接続部108には、連動操作機構109を介して植深操作レバー110を連動連結している。連動操作機構109は、右側の支持フレーム31に左右方向に軸線を向けた枢支部111を枢支し、枢支部111から前方へ延出させて前部連動片112を設ける一方、枢支部111から後方へ延出させて後部連動片113を設けて構成している。そして、前部連動片112の前端部は、中間レバー体104の接続部108に左右方向に軸線を向けた連結ピン115を介して枢支連結している。後部連動片113の後端部には植深操作レバー110の基端部を連結している。114は苗供給部支持枠体33に垂設したレバーガイド片であり、レバーガイド片114を介して植深操作レバー110を操作することにより、枢支部111を中心に前部連動片112を介して中間レバー体104の姿勢を変更可能としており、中間レバー体104の姿勢を変更することで機体10の昇降量を微調整することができるようにしている。
【0042】
このように構成して、センサローラ73,73が畝Uに沿って上昇(下降)されると、両センサローラ73,73の平均量だけローラ支持体71が上昇(下降)されて、ローラ支持体71に連動して上下延伸リンク105が上方(下方)へ摺動される。そうすると、上下延伸リンク105に連動して中間レバー体104が連結ピン115を中心に時計(
反時計)廻りに回動されて、前後延伸リンク103が後方(前方)へ摺動される。そうすると、バルブレバー102を介して昇降バルブ27の回転スプール101が正回動(逆回動)されて前・後輪13,14が下降(上昇)される。つまり、機体10が上昇(下降)される。その結果、植付部50,50による苗の植深が一定に確保される。
【0043】
また、植深操作レバー110を上げ(下げ)操作すると、中間レバー体104が連結ピン115を中心に時計(
反時計)廻りに回動されて、前後延伸リンク103及びバルブレバー102を介して昇降バルブ27の回転スプール101が正回動(逆回動)され、前・後輪13,14が下降(上昇)されて、機体10が上昇(下降)側に微調整される。