(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6196210
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】2つの個別の区画を有する圧力容器を形成するため外側容器の中に配置されるように意図された袋と、そのような袋を使用して作製される圧力容器およびさまざまな寸法を有する一連の圧力容器と、そのような一連の圧力容器の作製方法
(51)【国際特許分類】
B65D 83/00 20060101AFI20170904BHJP
B05B 9/04 20060101ALI20170904BHJP
【FI】
B65D83/00 G
B05B9/04
【請求項の数】13
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-508653(P2014-508653)
(86)(22)【出願日】2012年5月2日
(65)【公表番号】特表2014-515716(P2014-515716A)
(43)【公表日】2014年7月3日
(86)【国際出願番号】BE2012000021
(87)【国際公開番号】WO2012149613
(87)【国際公開日】20121108
【審査請求日】2015年4月23日
(31)【優先権主張番号】2011/0257
(32)【優先日】2011年5月2日
(33)【優先権主張国】BE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513277223
【氏名又は名称】ドイチュ エアロゾル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】フランセン アルフォンス
【審査官】
小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−169482(JP,A)
【文献】
特開2006−264785(JP,A)
【文献】
特表昭56−501157(JP,A)
【文献】
特表平04−500793(JP,A)
【文献】
特表2006−515549(JP,A)
【文献】
特開2004−323109(JP,A)
【文献】
米国特許第6439430(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00
B05B 9/04
B65D 77/04
B65D 83/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋(1)が中に配置されている圧力容器(2)であって、前記圧力容器(2)が、2つの個別の区画(3,4)を有するタイプであり、第1の区画(3)が外側容器(5)によって形成されており、前記外側容器の中に前記袋(1)が内側袋(1)として設けられて第2の区画(4)を形成しており、前記袋(1)が製品(9)によって充填されている、または製品(9)によって充填されるように意図されており、前記袋(1)に製品(9)を供給するためと前記袋(1)から製品(9)を取り出すためのバルブ(7)が前記圧力容器(2)にさらに設けられており、前記外側容器(5)および前記内側袋(1)の両方が気密結合部(10,27,28)によって前記バルブ(7)に結合されている、圧力容器(2)において、
前記袋(1)が弾性かつ伸長性の材料から製造されており、したがって、前記袋(1)を空の状態から最大限に広がった非伸長状態に広げることができ、前記袋(1)が前記製品(9)によって充填されるとき、または前記袋(1)が空気または別の気体によって膨らむとき、前記袋(1)が非伸長状態から伸長状態に伸びることができ、前記袋(1)の伸長が可逆的であり、前記伸長が相当に大きいため、前記袋(1)を使用してさまざまな寸法の圧力容器(2)を構築することができ、
前記袋(1)が、
伸長状態において前記袋(1)によって占有される体積が、前記袋(1)が最大限に広がった非伸長状態にあるときに前記袋(1)が占有できる最大体積の少なくとも2倍であるような伸長性があり、天然ゴム(ラテックス)、天然ゴムと1種類または複数種類のプラスチックの混合のうちの少なくとも1種類の単層の材料、
から製造されていることを特徴とする、
圧力容器(2)。
【請求項2】
前記袋(1)に、周囲縁部(11)を境界とする開口部(12)が設けられており、前記周囲縁部(11)が、前記圧力容器(2)との気密結合部(10)を形成するための密封材料として機能することができるように、厚くされていることを特徴とする、
請求項1に記載の圧力容器(2)。
【請求項3】
前記袋(1)が、
伸長状態において気密性である、もしくは前記製品(9)に対して不浸透性である、またはその両方である材料、
から製造されていることを特徴とする、
請求項1または請求項2に記載の圧力容器(2)。
【請求項4】
前記袋(1)が、生物分解性の材料から製造されていることを特徴とする、
請求項1から請求項3のいずれかに記載の圧力容器(2)。
【請求項5】
前記外側容器(5)と前記袋(1)とが、それぞれ個別の気密結合部(27,28)によって、より具体的には、前記容器(5)と前記バルブ(7)との間の第1の気密結合部(27)と、前記袋(1)と前記バルブ(7)との間の第2の気密結合部(28)によって、前記バルブ(7)に結合されていることを特徴とする、
請求項1から請求項4のいずれかに記載の圧力容器(2)。
【請求項6】
前記外側容器(5)と前記袋(1)とが、同じ共通の気密結合部(10)によって前記バルブ(7)に結合されていることを特徴とする、
請求項1から請求項5のいずれかに記載の圧力容器(2)。
【請求項7】
前記圧力容器(2)との気密結合部(10,28)が、
前記気密結合部(10,28)を形成するための密封材料として機能する、前記袋(1)の厚くされた周囲縁部(11)、
によって形成されていることを特徴とする、
請求項5または請求項6に記載の圧力容器(2)。
【請求項8】
前記袋(1)における開口部(12)の前記周囲縁部(11)が、前記バルブ(7)と、前記外側容器(5)の周囲縁部(13)の間に固定されて、前記共通の気密結合部(10)を形成していることを特徴とする、
請求項7に記載の圧力容器(2)。
【請求項9】
前記袋(1)に流れ促進手段(26)が設けられており、
前記流れ促進手段(26)が、前記袋(1)の内面に設けられた数本の縦リブ(26)または局所的な隆起部または肥厚部(26)からなることを特徴とする、
請求項1から請求項8のいずれかに記載の圧力容器(2)。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれかに記載の圧力容器(2)を備えていることを特徴とする、スプレー缶。
【請求項11】
請求項1から請求項9のいずれかに記載の圧力容器(2)として構築されていることを特徴とする、
請求項10に記載のスプレー缶。
【請求項12】
2つの区画(3,4)を有するタイプの、さまざまな寸法の一連の圧力容器(36)であって、第1の区画(3)が外側容器(5)によって形成されており、前記外側容器の中に前記袋(1)が設けられて第2の区画(4)を形成しており、前記袋(1)が製品(9)によって充填されている、または製品(9)によって充填されるように意図されており、前記袋(1)に製品(9)を供給するためと前記袋(1)から製品(9)を取り出すためのバルブ(7)が前記圧力容器(2)にさらに設けられており、前記外側容器(5)および前記内側袋(1)の両方が気密結合部(10,27,28)によって前記バルブ(7)に結合されており、前記袋(1)を空の状態から最大限に広がった状態に広げることができる、一連の圧力容器(36)において、
前記袋(1)が弾性かつ伸長性の材料から製造されており、したがって、前記袋(1)が前記製品(9)によって充填されるとき、または前記袋(1)が空気または別の気体によって膨らむとき、前記袋(1)が前記最大限に広がった状態から伸長状態に伸びることができ、前記袋(1)の伸長が可逆的であり、各圧力容器(2)に、その寸法には関係なく、同じ内部の袋(1)が設けられており、前記袋(1)すべてが同じ特性を有する、より具体的には、前記最大限に広がった非伸長状態において、同じサイズおよび同じ壁厚を有し、
前記袋(1)が、
伸長状態において前記袋(1)によって占有される体積が、前記袋(1)が最大限に広がった非伸長状態にあるときに前記袋(1)が占有できる最大体積の少なくとも2倍であるような伸長性があり、天然ゴム(ラテックス)、天然ゴムと1種類または複数種類のプラスチックの混合のうちの少なくとも1種類の単層の材料、
から製造されていることを特徴とする、
一連の圧力容器(36)。
【請求項13】
さまざまな寸法の一連の圧力容器(2)を製造する方法であって、各圧力容器(2)が2つの区画(3,4)を有するタイプであり、第1の区画(3)が外側容器(5)によって形成され、前記外側容器の中に内側袋(1)が設けられて第2の区画(4)を形成し、前記袋(1)が製品(9)によって充填され、前記袋(1)に製品(9)を供給するためと前記袋(1)から製品(9)を取り出すためのバルブ(7)が前記圧力容器(2)にさらに設けられ、前記外側容器(5)および前記内側袋(1)の両方が気密結合部(10,27,28)によって前記バルブ(7)に結合される、方法において、
前記袋(1)が弾性かつ伸長性の材料から製造され、したがって、前記袋(1)を、空の状態から最大限に広がった非伸長状態に広げることができ、前記袋(1)が前記製品(9)によって充填されるとき、または前記袋(1)が空気または別の気体によって膨らむとき、前記袋(1)が非伸長状態から伸長状態に伸びることができ、前記袋(1)の伸長が可逆的であり、さまざまな寸法の圧力容器(2)において同じ内部の袋(1)が使用され、前記同じ内部の袋(1)それぞれが、同じ寸法および特性を有し、より具体的には、前記圧力容器(2)の寸法には関係なく、前記非伸長状態において特定の固定されたサイズおよび壁厚を有し、
前記袋(1)が、
伸長状態において前記袋(1)によって占有される体積が、前記袋(1)が最大限に広がった非伸長状態にあるときに前記袋(1)が占有できる最大体積の少なくとも2倍であるような伸長性があり、天然ゴム(ラテックス)、天然ゴムと1種類または複数種類のプラスチックの混合のうちの少なくとも1種類の単層の材料、
から製造されていることを特徴とする、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの個別の区画を有する圧力容器を形成するため外側容器の中に配置される袋に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、2つの個別の区画を有する圧力容器を形成するため外側容器の中に配置される袋であって、外側容器が第1の区画を形成し、袋が第1の区画の中に内側袋として配置されて第2の区画を形成するように意図されている、袋、に関する。
【0003】
さらに、袋は製品によって充填することができる。
【0004】
さらに、本発明は、このような袋を使用して製造される、2つの個別の区画を有するタイプの圧力容器に関する。
【0005】
より詳細には、本発明は、このような圧力容器であって、第1の区画が外側容器によって形成されており、外側容器の中に、上述した袋が内側袋として設けられて第2の区画を形成しており、袋が製品によって充填されている、または製品によって充填されるように意図されており、袋に製品を供給するためと袋から製品を取り出すためのバルブが、圧力容器にさらに設けられており、外側容器および内側袋の両方が、気密結合部によってバルブに結合されている、圧力容器、にさらに関する。
【背景技術】
【0006】
2つの個別の区画を有するこのタイプの圧力容器は、すでに公知であり、例えば、「ピストン缶(piston can)」、「缶の中の缶(can in can)」、「バルブ付き袋(bag on valve)」、「缶内袋(bag in can)」などの名称でも知られているタイプの最近のスプレー缶に応用されている。
【0007】
2つの区画を有するこのような公知の圧力容器は、同様にスプレー缶にしばしば応用されている1つの区画のみを有する別の公知の圧力容器と比較して多くの利点を提供し、1つの区画のみを有する圧力容器では、噴射剤と製品が同じ区画に格納される。
【0008】
2つの区画を有する公知の圧力容器の第1の利点として、製品と噴射剤がそれぞれ個別に区画の一方に存在し、上述した内側袋によって互いに隔てられており、したがって、製品と噴射剤が混合せず、製品はより長期にわたり安定した状態を維持することができ、噴射剤との起こり得る相互作用のために製品の組成を考慮する(必要な場合には変更する)必要なしに、製品を単純に袋に格納することができる。
【0009】
2つの区画を有する公知の圧力容器の別の利点として、第2の区画内の噴射剤によって圧力のかかる内側袋の中に製品が格納されるため、製品の99%を回収することができ、1つの区画のみを有する公知の圧力容器では、一般的には使用後に製品の約5%が区画の中に残る。
【0010】
例えば上述した公知のスプレー缶において使用するための、2つの区画を有する公知の圧力容器は、噴射剤が圧力容器から放出されないため、より環境的にやさしくもある。
【0011】
さらに、通常では噴射剤として圧縮空気を使用することができ、したがって使用後、あるいは圧力容器が破壊された場合にも、環境に有害な噴射剤が放出されない。
【0012】
さらに、2つの区画を有する圧力容器の動作は音が小さく、2つの区画を有するこのような圧力容器は、任意の角度において(たとえ逆さまであっても)問題なく使用することができる。1つの区画のみを有する公知の圧力容器(特定のスプレー缶にしばしば応用されている)では、このように使用することはできず、なぜならこのような圧力容器では、一般には製品を吸い込むための吸込管が設けられており、この吸込管が正常に動作するためには、その端部がつねに製品の中に浸されていなければならないためである。
【0013】
2つの区画を有する公知の圧力容器の別の利点として、圧力容器の開発がずっと容易であり、なぜなら、多くの製品(より液体性の製品および粘性の高い製品の両方)を放出させるのに同じ噴射剤を使用することができ、バルブに配置されているノズルの例えば開口部を変更したり、例えば異なる放出量や噴霧パターンを得るためには、バルブを有する圧力容器のヘッドを変更すれば十分である。
【0014】
1つの区画のみを有する圧力容器と比較したときの、2つの区画を有する圧力容器の上記の数多くの利点とともに、2つの区画を有する公知の圧力容器には、多くの欠点も存在する、または改善が望まれている多くの面も存在する。
【0015】
2つの区画を有する公知の圧力容器の第1の欠点として、内側容器に格納する製品の体積を変更するとき、袋の形状または寸法を変更することによって、内側袋の容積を適合させなければならない。
【0016】
このように内側容器に格納する製品の体積を変更する必要が生じるのは、例えば圧力容器の外側容器の容積が変更されるときであるが、外側容器の容積もしくは形状またはその両方が変更されることなく、格納する製品の体積の変更を容易に行えることが望ましい。
【0017】
すなわち、格納される製品の体積を変更する場合、または圧力容器に格納する必要のある製品の種類を変更する場合、圧力容器を製造して圧力容器に充填するための生産ラインに一般的には大きな変更を加えなければならない、あるいは、まったく異なる生産ラインを使用しなければならず、これにより、膨大な経済的損失、時間のロス、生産ロスが発生する。
【0018】
さらに、新しい生産ラインを完成させて試験するとき、または圧力容器の生産ラインに変更を加えるとき、多くの材料が失われ、大量の無駄が発生する。
【0019】
さらには、圧力容器のバルブは、それを目的として専用に設計された機械によって作製された後、その後の製造段階において、または圧力容器を充填するときに、別の高い技術の機械を使用して容器に組み込まれる。
【0020】
このような高い技術の機械は、例えば別の公知の「成形、充填、および密封」機械をベースとすることができ、この機械は、2つの区画を有する特定のタイプの圧力容器のニーズに専用に適合化される。
【0021】
2つの区画を有する公知の圧力容器の欠点として、用途に応じてこのようなバルブに異なる内側袋を取り付けなければならず、これは複雑でありコストがかかり、生産ラインおよび専用機械に多くの変更が要求される。
【0022】
2つの区画を有する公知の圧力容器の別の欠点として、内側袋が積層材料から作製されており、時間が経過すると製品との接触によって層の剥離がしばしば起こる。
【0023】
2つの区画を有する公知の圧力容器の別の欠点は、そのような圧力容器内の袋を製品によって充填するときの問題に関連する。
【0024】
この充填時には、袋によって形成される第2の区画の中に、製品をバルブを通じて高圧で送り込まなければならない。
【0025】
結果として、第1の区画(言い換えれば、内側袋と外側容器との間の圧力容器の部分)に、このバルブの周囲の内側袋の密封部とバルブヘッドとの間の空間を介して、製品の一部がしばしば入り込む。
【0026】
製品のこの部分に起因して例えば外側容器が腐食することがあり、なぜなら例えば製品が化学的攻撃性を有するためであり、この外側容器は、圧力容器に製品および噴射剤を充填した後、圧力容器内の高い圧力のため最も弱い部分において破損してはならず、危険な状況が起こり得る。
【0027】
これを防止する目的で、一般的にバルブのバルブハウジングは、極めて高い力の作用下でバルブのバルブシートに固定されており、相当な応力が材料にかかり、この応力に起因して、外側容器などに結合されているバルブからバルブハウジングが剥離する。
【0028】
2つの区画を有する公知の圧力容器の別の欠点として、圧力容器に激しい衝撃が加わった場合(例えば圧力容器を落下させるなどによる)、圧力容器内の内側袋が簡単に破れる、あるいは破損することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
本発明の目的は、上述した欠点およびその他の欠点の解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0030】
これを目的として、本発明は、2つの個別の区画を有する圧力容器を形成するため外側容器の中に配置される袋であって、外側容器が第1の区画を形成し、袋が、第1の区画の中に内側袋として配置されて第2の区画を形成するように意図されており、さらに袋が製品によって充填されるように意図されており、袋が弾性かつ伸長性の材料から製造されており、したがって、袋を空の状態から最大限に広がった非伸長状態に広げることができ、袋が製品によって充填されるとき、または袋が空気または別の気体によって膨らむとき、袋が非伸長状態から伸長状態に伸びることができ、袋の伸長が可逆的であり、この伸長が相当に大きいため、袋を使用してさまざまな寸法の圧力容器を構築することができる、袋、に関する。
【0031】
さらに、本発明は、本発明による袋が中に配置されている圧力容器であって、この圧力容器は、2つの個別の区画を有するタイプであり、第1の区画が外側容器によって形成されており、外側容器の中に袋が内側袋として設けられて第2の区画を形成しており、袋が製品によって充填されている、または製品によって充填されるように意図されており、袋に製品を供給するためと袋から製品を取り出すためのバルブが圧力容器にさらに設けられており、外側容器および内側袋の両方が気密結合部によってバルブに結合されており、袋が弾性かつ伸長性の材料から製造されており、したがって、袋を空の状態から最大限に広がった非伸長状態に広げることができ、袋が製品によって充填されるとき、または袋が空気または別の気体によって膨らむとき、袋が非伸長状態から伸長状態に伸びることができ、袋の伸長が可逆的であり、この伸長が相当に大きいため、袋を使用してさまざまな寸法の圧力容器を構築することができる、圧力容器、に関する。
【0032】
本発明によるこのような袋と、このような袋が本発明に従って中に配置されている圧力容器の第1の重要な利点として、袋を使用して異なる体積の製品を格納することができ、この目的のために何らの変更も行う必要がない。
【0033】
すなわち、異なる体積の製品の範囲全体に対して同じ内側袋を使用することができ、したがって、例えば、小型、中型、および大型の圧力容器に従って、合計で数種類のみの標準サイズの内側袋を製造すればよい。
【0034】
本発明によるこのような袋およびこのような圧力容器の別の利点として、さまざまな寸法の圧力容器の生産工程および充填がずっと容易であり、より迅速に行うことができる。
【0035】
実際には、特定の寸法、特定の形状、および特定の材料特性を有する、本発明による特定のタイプの袋および特定のタイプの圧力容器を、多数の異なる用途または製品(袋にはさまざまな体積を充填しなければならない)に使用することができ、したがって、生産ライン、生産ラインにおける機械、充填機械などを、異なる用途または製品に従ってもはや変更する必要がない、あるいは、異なる用途または製品のために個別の生産ラインまたは個別の充填機械などを用意する必要がない。
【0036】
本発明によるこのような袋およびこのような圧力容器では、本発明による圧力容器のバルブの製造と、バルブに内側袋を取り付けるステップと、圧力容器にバルブを組み込むステップが、公知の袋によって形成される、2つの区画を有する公知の圧力容器よりも、いくらか単純である。
【0037】
その一方で、多数の異なる用途および製品において、および寸法が大きく異なる圧力容器において、本発明による同じタイプの内側袋を使用することができ、したがって要求される変更がずっと少ない。
【0038】
本発明による袋、および本発明による圧力容器の別の利点として、これらは、衝撃(例えば圧力容器を落下させた結果としての衝撃)に対する耐性がずっと高い。
【0039】
内側袋は極めてフレキシブルであるため、衝撃の発生時、内側袋はその形を崩し、したがって2つの区画を有する公知の圧力容器よりも破れにくい。
【0040】
本発明による圧力容器が衝撃に対して高い耐性を有する別の理由として、衝撃の発生時、伸長性の内側袋の底部が外側容器の底面に接触することができ、したがって袋が底面によって支持され、内側袋の中の製品の重量がかかって袋が破れる危険性が小さい。
【0041】
さらに、本発明による圧力容器は、2つの区画を有する圧力容器の利点(ほとんどは最初の方に記載してある)すべてを依然として有する。
【0042】
本発明による袋の好ましい実施形態によると、袋には、周囲縁部を境界とする開口部が設けられており、この周囲縁部は、圧力容器との気密結合部を形成するための密封材料として機能することができるように、厚く構築されている。
【0043】
本発明によるこのような袋は、極めて実用的であり、なぜなら圧力容器の密封が大幅に単純化され、追加の密封リングなどが要求されない。
【0044】
本発明による袋および圧力容器の別の好ましい実施形態によると、内側袋は単層の材料から製造されている。
【0045】
本発明による圧力容器に配置される本発明による袋のこのような実施形態の利点として、当然ながら層の剥離が起こり得ない。
【0046】
さらに、本発明は、上述した圧力容器を備えているスプレー缶、またはこのような圧力容器として構築されているスプレー缶に関する。
【0047】
本発明によるこのようなスプレー缶の利点は、上述した圧力容器の利点そのままであり、したがってこれ以上詳しくは説明しない。
【0048】
さらに、本発明は、上述したように弾性かつ伸長性の材料から製造されている本発明による袋が中に配置されている、2つの区画を有するタイプの、さまざまな寸法を有する、本発明による一連の圧力容器であって、各圧力容器に、その寸法には関係なく、同じタイプの袋が設けられており、上述した袋すべてが同じ特性を有し、より具体的には、最大限に広がった非伸長状態において同じサイズおよび壁厚を有する、一連の圧力容器、に関する。
【0049】
さらに、本発明は、さまざまな寸法を有する本発明による一連の圧力容器を製造する方法であって、各圧力容器が、上述したように2つの区画を有するタイプであり、本発明による袋が、上述したように配置され、それぞれが同じ寸法および特性を有する、より具体的には非伸長状態において特定の一定のサイズおよび壁厚を有する、同じタイプの本発明による袋が、さまざまな寸法を有する圧力容器に、圧力容器の寸法には関係なく使用される、方法、に関する。
【0050】
以下では、本発明の特徴を深く理解できるように示すことを目的として、本発明による、袋と、圧力容器と、さまざまな寸法を有する一連の圧力容器のいくつかの好ましい実施形態について、本発明を制限することのない一例として、添付の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】本発明による袋の斜視図を示しており、弛緩状態を示している。
【
図2】本発明による袋の斜視図を示しており、最大限に広がった非伸長状態を示している。
【
図3】本発明による袋の斜視図を示しており、伸長状態を示している。
【
図4】本発明による圧力容器の斜視図を示しており、バルブおよび内側袋を外側容器に取り付ける前の状態である。
【
図5】
図1の圧力容器の斜視図を概略的に示しており、バルブおよび内側袋を外側容器に取り付け、袋に製品を充填した後の状態である。
【
図6】充填されていない状態における第1の可能な実施形態を、
図4のVI−VIで切断した断面図として示している。
【
図7】
図6と同様に、本発明による圧力容器の別の可能な実施形態の断面図を示している(ただしこの図は充填された状態)。
【
図8】
図6および
図7と同様に、本発明による圧力容器の別の実施形態の断面図を示しており、空の状態である。
【
図9】
図6および
図7と同様に、本発明による圧力容器の別の実施形態の断面図を示しており、充填状態である。
【
図10】本発明による、さまざまな寸法を有する一連の圧力容器を示しており、各圧力容器には、同じタイプの(より具体的には空の状態の)本発明による袋が設けられている。
【
図11】
図10と同じ一連の圧力容器を、充填された状態において示している。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1〜
図3は、本発明による袋1を示しており、この袋1は、
図4〜
図11に示したように本発明による圧力容器の中に配置されるように意図されている。
【0053】
本発明による袋1は、弾性かつ伸長性の材料から製造されている。
【0054】
袋1は、
図1に示した空の状態から、
図2に示した最大限に広がった非伸長状態に広げることができる。
【0055】
袋1は、高い弾性のため、袋1が充填される、または空気などで膨らむとき、非伸長状態から、
図3に示した伸長状態にさらに伸ばすことができる。
【0056】
この場合、袋1の伸長は可逆的であり、
図3に示した伸長した袋1は、例えば袋を空にすることによって伸長が取り除かれたとき、元の状態である非伸長状態(例えば
図1または
図2に示した状態)に戻ることができる。
【0057】
重要な点として、本発明による袋1の伸長は相当に大きいため、袋1を使用して、さまざまな寸法を有する圧力容器2を構築することができる。
【0058】
本発明による圧力容器2は、2つの個別の区画3,4を有するタイプの圧力容器2である。
【0059】
この場合、圧力容器2はスプレー缶2として構築されており、これは本発明が主として意図する形態であるが、本明細書に記載されている本発明による同様の技術を、スプレー缶2以外の圧力容器(例えば化学製品などを格納するためのより大きな圧力容器)に適用することも可能である。
【0060】
この場合、第1の区画は、外側容器5と、内側袋5として外側容器5の中に設けられた袋1との間に画成される空間によって形成され、実施形態によっては、この空間の境界は、内側袋1と外側容器5との間に延在する、バルブ7の部分6(例えば
図7の実施形態を参照)によっても形成される。
【0061】
第2の区画4は、袋1の壁と、バルブ7の部分8とによって画成される、袋1の中の空間によって形成される。
【0062】
製品9は、バルブ7を通じて供給することによって内側袋1の中に格納され、その後に製品9を使用するときにバルブ7を通じて取り出される。
【0063】
必要な場合、第2の区画4に真空を印加することができ、これは例えば、バルブ7を有する内側袋1を外側容器5に取り付けて圧力容器2を形成するとき、またはより後の時点、例えば圧力容器2に製品9を充填する直前である。
【0064】
外側容器5および内側袋1は、それぞれ、気密結合部10によってバルブ7に結合されている。
【0065】
図4〜6の実施形態においては、これらの結合は同じ共通の気密結合部10によって達成される。
【0066】
この場合、袋5における開口部12の周囲縁部11は、バルブ7と、外側容器4の周囲縁部13の間に固定されて、上述した共通の気密結合部10を形成している。
【0067】
このような気密結合部10を実施できるようにする目的で、周囲縁部11は厚くされており、したがってこの厚くされた周囲縁部11は、圧力容器1との気密結合部10を形成するための密封材料としても機能することができる。
【0068】
本発明によるこのような密封方法では、密封材料として袋1を使用することにより、当然ながら効率が高く、密封リングなど追加の密封手段を使用する通常の場合よりも、要求される材料が少ない。
【0069】
図6は、バルブ7および上述した気密結合部10の構造をさらに詳しく示している。
【0070】
バルブ7は、遮断部(shutoff)14を有する逆止弁7であり、遮断部は、バルブハウジング16の通路15の中で、通路15が閉じる位置と通路15が開く位置との間で、前後に動くことができる。
【0071】
バルブハウジング16には円形のバルブシート17が設けられており、このバルブシート17は、バルブハウジング16から半径方向に延在しており、その外側縁部18には、折り曲げ縁部20を有する直立カラー(upright collar)19が設けられている。
【0072】
通路15には、ばね21も存在しており、ばね21は、バルブハウジング16と、バルブシート17に載っているゴムシール22との間に、遮断部14を押し付けて固定しており、したがって、通常の状態(製品9が圧力下で袋1の中に送り込まれていない、または遮断部14が外力によって押されてゴムシール22から離れていない)では、遮断部14は、通路15が閉じる位置にある。
【0073】
図6に示した実施形態においては、袋1の開口部12の上述した周囲縁部11が、バルブシート17の上述した折り曲げ縁部20の中に挿入されており、この場合、折り曲げ縁部20の空洞を袋1の材料によって満たす目的で、周囲縁部11が部分的に巻き上がっている。
【0074】
図6は、組み立て前の状態を示しているが、当然ながら、外側容器の周囲縁部13もバルブシート17の上述した折り曲げ縁部20の中に挿入され、袋1の縁部11がバルブシート17の折り曲げ縁部20と外側容器5の周囲縁部13との間に固定され、共通の気密結合部10が形成される。
【0075】
さらに、第1の区画3に噴射剤を充填し、このステップは、例えば、第1の区画3の中にこのような噴射剤を導入することのできる追加のバルブ24を、外側容器の底部23に設けることによって行うことができ、ただしこれ以外の方法を使用することも可能である。
【0076】
例えば「カップ下(Under-The-Cup)」工程は、このような代替の充填方法である。
【0077】
この場合、バルブシート17の折り曲げ縁部20と外側容器5の周囲縁部13との間から噴射剤を導入した後、バルブシート17の折り曲げ縁部20を、袋1の厚くされた縁部11とともに、外側容器5の周囲縁部13に押し込んで固定することによって、気密結合部10を形成する。
【0078】
気密結合部10を形成するためのこの固定ステップは、組立て時に直立カラー19を制御された方法で(in a controlled way)変形させる、例えば、直立カラー19の一部を周囲縁部13の下に折り曲げることによって、行うことができる。この固定方法は、「内側固定」("internal clinching")とも称される。
【0079】
気密結合部10を形成するための別の固定方法として、バルブシート17の折り曲げ縁部20を外側容器5の周囲縁部13の周りに巻くことができる。この固定方法は、「外側固定」("external clinching")とも称される。
【0080】
バルブシート17の縁部20を外側容器5の周囲縁部13の周りに巻く場合、業界では「延長された」縁部20を有するバルブ7としてすでに設計されている。
【0081】
「延長された」縁部20を有するこのようなバルブ7は、例えばポリエチレンテレフタレートから作製されたスプレー缶(PETスプレー缶)に気密状態に固定することができる。
【0082】
噴射剤は、任意の気体(例えば任意の不活性ガス)とすることができるが、本発明によると、環境に対する負荷ができる限り小さい気体(例えば空気など)を使用することが好ましい。
【0083】
当然ながら、噴射剤は袋1に対して圧力をかけ、したがって、使用者が遮断部14を作動させて、バルブ7の通路15が閉じていない状態になったとき、袋1の中の製品9が、噴射剤によって提供される圧力下で袋から流れ出すことができる。
【0084】
特に、粘性の高い製品の入った袋1を完全に、または十分に空にする目的で、バルブハウジング16における通路15を拡張するため、バルブハウジング16に流管25が設けられている。
【0085】
伸長性の袋1の作製時、この袋1の内側に流れ促進手段(flow-fostering means)26を設けることができ、この手段26は、圧力容器2を空にするときに袋1をある程度開いた状態に維持し、したがって十分に大きな開口部を提供することで、開いたバルブ7への製品9の流れを確保し、結果として袋1を完全に、または少なくとも所望の程度まで空にすることができる。
【0086】
このような流れ促進手段26は、例えば、数本の縦リブ26または局所的な隆起部または肥厚部26によって形成することができ、これらは程度の差はあるが袋1の内面全体にわたり均一に分布している。
【0087】
本発明による圧力容器2の特徴として、袋1が弾性かつ伸長性の、好ましくは気密性の材料から製造されており、したがって袋1が製品9によって充填されるとき、または袋1が空気または別の気体によって膨らむとき、袋1は、非伸長状態(
図1、
図2、
図6、
図8、および
図10に示した状態)から、伸長状態(
図3、
図7、
図9、および
図11に示した状態)に伸びることができる。
【0088】
最初の方ですでに説明したように、本発明による圧力容器2は、袋1のこの弾性によって、2つの区画3,4を有する既存の圧力容器と比較して多くの利点を提供する。例えば、袋1の中の製品9の体積を容易に変更することができ、この目的のために異なる袋1を使用する必要がなく、結果としてこのような圧力容器2の製造に関して多くの利点が得られ、あるいは、圧力容器2に衝撃が加わった場合に、このような袋は損傷を受けにくい。
【0089】
本発明による圧力容器2の好ましい実施形態によると、袋1は伸長性である材料から製造されており、したがって、伸長状態において袋1が占有する体積は、非伸長状態におけるよりも相当に大きく、これにより、特定の寸法および材料特性を有する同じタイプの袋1を使用して、極めてさまざまな寸法を有する圧力容器2に充填することができる。
【0090】
例えば、袋1が伸長状態において破れるまたは損傷することなく長時間にわたり占有できる体積は、袋1が伸長していないときに占有できる最大体積の少なくとも2倍であり、好ましくは、袋1が伸長状態において破れや損傷なしに占有できる体積は、袋1が伸長していないときに占有できる最大体積の少なくとも3倍またはそれ以上である。
【0091】
さらに、本発明によると、重要な点として、袋1が製造されている材料は、たとえ袋1が長時間にわたり伸長状態にあった後にも、元の形状および寸法、または少なくともほぼ元の形状および寸法に自動的に戻る。
【0092】
本発明の別の好ましい特徴として、袋は、以下の材料のうちの少なくとも1種類から製造される。
− 天然ゴム(ラテックス)
− 合成ゴム
− シリコーンゴム
− プラスチック
− 天然ゴムと1種類または複数種類のプラスチックの混合
− エラストマ
− 熱可塑性エラストマ
− ポリウレタン
− ハイブリッド材料
− ナノ構造材料
− LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)
− バイオポリマ
さらに、本発明によると、袋1は、単層の材料から製造されていることが好ましく、したがって、袋1は、最初の方で記載した層の剥離現象が起こりにくく、この剥離現象は、2つの区画3,4を有する公知の圧力容器2の、複数の層から製造される袋1において起こる。
【0093】
本発明による圧力容器2の別の好ましい実施形態によると、袋1は、伸長状態において気密性である、もしくは製品9に対して不浸透性である、またはその両方である材料から製造されている。
【0094】
より広義に表現するならば、すなわち、本発明によると、圧力容器2に存在する圧力のかかった第1の区画3の中の気体が浸透しない程度に、または用途において許容される範囲で浸透性であり区画3から製品9の入った第2の区画4への噴射剤の浸透ができる限り回避される程度に、伸長状態にある袋1が不浸透性でなければならない。
【0095】
同様に、袋1から第1の区画3への製品9の浸透を最大限に阻止する、または極めて限られた程度のみ許容されるようにする目的で、袋1に使用される材料は、製品9に対してできる限り不浸透性であることが好ましい。
【0096】
例えば、上述した条件下の材料の浸透性について、特定の最大限度を設定することができ、この最大限度は噴射剤および製品9の両方に対するものである。
【0097】
本発明による圧力容器2のさらに好ましい実施形態によると、袋1は、生物分解性の材料から製造されている。
【0098】
当然ながら、この材料を選択することは極めて有利であり、なぜなら、この実施形態による圧力容器2は、袋1が生物分解性の材料ではない本発明による圧力容器2よりも、環境に対する負荷が小さい。しかしながら、環境に対する負荷が大きい方の後者の実施形態においても、使用時に圧力容器2から噴射剤が放出されないため、生態学的に重要な恩恵が得られる。
【0099】
図7は、本発明による圧力容器2の別の実施形態を示しており、この場合、外側容器5と袋1とが、それぞれ個別の気密結合部(より具体的には、外側容器5とバルブ7との間の第1の気密結合部27と、袋1とバルブ7との間の第2の気密結合部28)によって、バルブ7に結合されている。
【0100】
第2の気密結合部28を形成するため、袋1の上述した周囲縁部11は、いくらかの距離だけバルブシート17の下方においてバルブハウジング16から半径方向に突き出している突起部29と、バルブシート17との間に固定されている。
【0101】
外側容器5とバルブ7との間の第1の気密結合部27には、前の実施形態と同様に、バルブシート17の折り曲げ縁部20が設けられており、外側容器5の周囲縁部13がこの折り曲げ縁部20内に固定されている。
【0102】
図8にさらに詳しく示したように、これを目的として、良好なシールを得るため、折り曲げ縁部20に個別のゴムシール30を取り付けることができる。
【0103】
本発明による圧力容器2のこの実施形態の利点として、袋1とバルブ7をあらかじめ組み立てておくことができ、その後に袋1とバルブ7のこの組合せを外側容器5に取り付ければ十分であり、外側容器5の最終的な具体的な形状は、ほとんど、またはまったく影響しない。
【0104】
この場合、袋1とバルブ7のこのような組合せを1種類、または袋1とバルブ7のこのような組合せを限られた数のみ製造することによって、さまざまな圧力容器2を作製することができ、生産時間および生産コストも大幅に減少する。
【0105】
図8に示した圧力容器2の実施形態は、袋5とバルブ7との間の第2の気密結合部がいくらか変更された形で実施されてはいるが、
図7の実施形態に類似している。
【0106】
より具体的には、袋1の開口部12の周囲の巻き縁部(rolled-up edge)11は、バルブハウジング16から半径方向にいくらかの距離Dだけ隔てて配置されており、バルブハウジング16における半径方向の突起部29の溝31と、バルブシート17の溝32とに収まっている。
【0107】
このようにすることで、周囲縁部11によって形成される袋5の開口部12が、前の実施形態よりもいくらか大きい。
【0108】
図8の実施形態においては、バルブハウジング16の突起部29に、より具体的には、第2の気密結合部28と、バルブハウジング16の壁34(そこから突起部29が半径方向に延びている)との間に位置する突起部29の部分に、追加の通過溝(transit channels)33が設けられている。
【0109】
本発明による圧力容器2の
図8によるこの実施形態の大きな利点として、袋1に製品9を充填するときに、遮断部14を介して直接閉じることのできる通路15を通じてと、突起部29における通過溝33を介して、製品9を供給することができ、ずっと高い速度で袋1に製品を充填することができ、特に大量生産において時間が大幅に節約される。
【0110】
図9は、本発明による圧力容器2の別の実施形態を示している。
【0111】
図7および
図8の前の実施形態と同様に、外側容器5および袋1それぞれが個別の気密結合部27,28によってバルブ7に結合されている。
【0112】
この場合、容器5とバルブ7との間の第1の気密結合部27は変更されていないが、第2の気密結合部28は、バルブハウジング16における突起部29と、バルブ7における個別の装着可能部材35との間に実施されており、前の場合のように突起部29とバルブシート17との間ではない。
【0113】
この場合、部材35は、バルブハウジング16の円筒状の外壁34に合致する内側開口部36を有する円筒要素35からなり、この開口部36の直径は一方の端部において広くなっている。
【0114】
壁34には、固定手段37も設けられており、この場合、固定手段37は圧縮性であり、部材35がバルブハウジング16に沿って動くとき、一時的に圧縮され、部材35がバルブハウジング16に沿って突起部29の方に十分に大きく動いた時点で再び広がることができ、したがって、広い方の開口部36の中で広がることが可能であり、したがって部材35が固定手段37と突起部29との間に固定され、袋1の周囲縁部11も突起部29と部材35の間に固定されて気密シール28を形成する。
【0115】
当然ながら、固定手段37は、本発明の範囲から逸脱することなく、数多くの代替実施形態が可能である。
【0116】
例えば、固定手段37は、バルブハウジング16における圧縮できない隆起部37からなることができ、隆起部37はバルブハウジング16にしっかりと固定されている、または単にバルブハウジング16の一部を形成しており、個別の装着可能部材35が隆起部37の上を通って突起部29の方向に押し込まれることによって配置され、したがって、隆起部37が広い方の開口部36の中に位置する。
【0117】
個別の装着可能な部材35とバルブハウジング16との間の結合は、必ずしも固定手段37を利用せずに別の方法で実施することもできる。
【0118】
例えば、部材35の一部とバルブハウジング16の一部を、例えば特定のタイプの溶接法(例えば超音波溶接、誘導溶接など)を適用することによって、ひとつに接合することができる。
【0119】
本発明による圧力容器2のこの実施形態では、装着が容易であり、あらゆる種類の袋1(例えば適切な形状または容積を有する袋5、あるいは用途に応じて適切な材料から製造される袋1)を、極めてフレキシブルな方法で問題なくバルブに装着することができる。
【0120】
上述した実施形態においては、バルブ7と容器5またはバルブ7と袋1との間の気密結合部10,27,28は、バルブ7において直接実施されているが、別の実施形態においては、これらの気密結合部は、本発明の範囲から逸脱することなく、中間要素を利用することによって実施することもできる。
【0121】
図10および
図11は、本発明が、さまざまな寸法を有する一連の圧力容器36にも関連することを、さらに明示的に示している。
【0122】
図示した例においては、一連の圧力容器36は、3つの圧力容器2(より具体的には、小型の圧力容器2、中型の圧力容器2、および大型の圧力容器2)からなる。
【0123】
この場合、各圧力容器2には、その寸法には関係なく、同じタイプの袋1が設けられており、3つの袋1それぞれは、同じ特性を有し、より具体的には、
図2に示した状態による最大限に広がった非伸長状態において、同じサイズおよび同じ壁厚を有する。
【0124】
このことは、
図10に明確に示してある。
【0125】
図11は、さまざまな寸法を有する、本発明による一連の圧力容器36を示しており、圧力容器2に製品9が充填された状態である。
【0126】
図11に明確に示したように、袋1は大きく伸長することができ、そのように伸長することによって、寸法が大きく異なる圧力容器2において使用することができ、このことは当然ながら、さまざまな寸法の圧力容器2を製造するための最先端の公知の製造方法と比較して、相当に有利である。
【0127】
本発明は、本発明による袋1、圧力容器2、または一連の圧力容器36の実施形態(例として説明し図面に示した本発明によるスプレー缶として構築されている)に限定されない。本発明による袋1、圧力容器2、または一連の圧力容器36、およびスプレー缶は、本発明の範囲から逸脱することなく、あるゆる種類の変形形態において実施することができる。