特許第6196211号(P6196211)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6196211医薬品取り出し用キャビネットおよび取り出し用キャビネットの運用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6196211
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】医薬品取り出し用キャビネットおよび取り出し用キャビネットの運用方法
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20170904BHJP
   G06Q 50/24 20120101ALI20170904BHJP
   B41J 5/30 20060101ALI20170904BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20170904BHJP
【FI】
   A61J3/00 300Z
   G06Q50/24
   B41J5/30 B
   B41J29/38 Z
【請求項の数】29
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-509387(P2014-509387)
(86)(22)【出願日】2012年5月2日
(65)【公表番号】特表2014-515690(P2014-515690A)
(43)【公表日】2014年7月3日
(86)【国際出願番号】US2012036126
(87)【国際公開番号】WO2012151280
(87)【国際公開日】20121108
【審査請求日】2015年4月20日
(31)【優先権主張番号】61/481,368
(32)【優先日】2011年5月2日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/566,931
(32)【優先日】2011年12月5日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/461,578
(32)【優先日】2012年5月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505411125
【氏名又は名称】オムニセル, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ペイダル、アクバル
(72)【発明者】
【氏名】キム、スタンリー
(72)【発明者】
【氏名】リチャードソン、クリス
(72)【発明者】
【氏名】フット、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】アミニ、マームード
(72)【発明者】
【氏名】モリタ、スチュアート
(72)【発明者】
【氏名】カートライト、ジェニファー
(72)【発明者】
【氏名】カン、キョン−ヒ
(72)【発明者】
【氏名】ブランク、ジェフ
(72)【発明者】
【氏名】グレッグ、スコット
(72)【発明者】
【氏名】チャイ、アンドリュー
【審査官】 胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−530781(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0048712(US,A1)
【文献】 特開平10−235941(JP,A)
【文献】 特開2005−038265(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
B41J 5/30
B41J 29/38
G06Q 50/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬品取り出し用キャビネットであって、
少なくとも1つの施錠可能な保管区画と、
物品を取り出すユーザによる、前記少なくとも1つの施錠可能な保管区画の内部へのアクセスを管理するコントローラと、
前記コントローラに接続され、医薬品取り出し用キャビネットに組み込まれた2つのプリンタであって、レシートプリンタおよびラベルプリンタを備え、かつ、異なる媒体を使用する、2つのプリンタと、
を備えており、
前記プリンタの両方が当該医薬品取り出し用キャビネットの外部に出力し、
当該医薬品取り出し用キャビネットが、前記レシートプリンタおよびラベルプリンタから印刷物を取り出す単一の共通開口を画成している、
医薬品取り出し用キャビネット。
【請求項2】
前記2つのプリンタが共通のベゼルに搭載されていることを特徴とする、請求項1に記載の医薬品取り出し用キャビネット。
【請求項3】
前記プリンタの少なくとも一方が印刷本紙を保持する印刷本紙ホルダーを備えており、当該印刷本紙ホルダーが当該印刷本紙に略一致するように成形されている曲面を備えており、当該曲面が滑らかに形成されている隆起形状を有することにより、当該本紙を取り出し時に摺動自在としたことを特徴とする、請求項1に記載の医薬品取り出し用キャビネット。
【請求項4】
前記コントローラに動作可能に接続されたカメラを備えていことを特徴とする、請求項1に記載の医薬品取り出し用キャビネット。
【請求項5】
前記カメラが当該医薬品取り出し用キャビネットのユーザを撮影するように位置決めされていることを特徴とする、請求項に記載の医薬品取り出し用キャビネット。
【請求項6】
前記カメラを用いて撮影された当該医薬品取り出し用キャビネットのユーザの写真が使用ログと関連付けられていることを特徴とする、請求項に記載の医薬品取り出し用キャビネット。
【請求項7】
キャビネット電子装置一式と、
第1の所要電圧源セットを前記コントローラに供給するとともに第2の所要電圧源セットを前記キャビネット電子装置に供給する回路を備えている配電・通信回路基板であって、前記コントローラとキャビネット電子装置間で通信信号を送信する配電・通信回路基板と、を備えていことを特徴とする、請求項1に記載の医薬品取り出し用キャビネット。
【請求項8】
前記回路が前記2つの所要電圧源セットを単一の電源電圧から取り出すことを特徴とする、請求項に記載の医薬品取り出し用キャビネット。
【請求項9】
無線自動識別(RFID)リーダーを備えており
前記コントローラが、前記RFIDリーダーからの情報を受信して、前記少なくとも1つの施錠可能な保管区画へのアクセスを調整することを特徴とする、請求項1に記載医薬品取り出し用キャビネット。
【請求項10】
前記コントローラが、当該医薬品取り出し用キャビネットのユーザのID、パスワード、およびセキュリティコードのいずれかまたは任意の組み合わせを含む前記RFIDリーダーからの情報を受信して、前記少なくとも1つの施錠可能な保管区画へのアクセスを調整することを特徴とする、請求項に記載の医薬品取り出し用キャビネット。
【請求項11】
生体センサーをさらに備えている、請求項に記載の医薬品取り出し用キャビネット。
【請求項12】
前記コントローラが、前記生体センサーからの情報を受信して、前記少なくとも1つの施錠可能な保管区画へのアクセスを調整することを特徴とする、請求項1に記載の医薬品取り出し用キャビネット。
【請求項13】
スマートカードリーダーをさらに備えている、請求項に記載の医薬品取り出し用キャビネット。
【請求項14】
前記コントローラが、前記スマートカードリーダーからの情報を受信して、前記少なくとも1つの施錠可能な保管区画へのアクセスを調整することを特徴とする、請求項1に記載の医薬品取り出し用キャビネット。
【請求項15】
記コントローラデータ記憶媒体を備ており
RAID技術の一実施態様に従って、前記データ記憶媒体にデータが冗長的に記憶されることを特徴とする、請求項1に記載の医薬品取り出し用キャビネット。
【請求項16】
記コントローラ冗長な有線電子通信ネットワークインターフェースを備えていことを特徴とする、請求項1に記載の医薬品取り出し用キャビネット。
【請求項17】
記コントローラ、当該コントローラのオペレーティングシステムの状態とは独立している帯域外ネットワーク通信チャンネルを含んでいることを特徴とする、請求項1に記載の医薬品取り出し用キャビネット。
【請求項18】
前記コントローラが、当該医薬品取り出し用キャビネットから物品が取り出された場合にラベルが自動的に印刷されるように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の医薬品取り出し用キャビネット。
【請求項19】
ラベルの印刷前に前記取り出された物品の識別確認が必要であることを特徴とする、請求項1に記載の医薬品取り出し用キャビネット。
【請求項20】
前記取り出された物品を識別する印刷ラベル上にバーコードを含むか、または含まないように前記コントローラが構成可能であることを特徴とする、請求項1に記載の医薬品取り出し用キャビネット。
【請求項21】
前記取り出された物品の使用期限を印刷ラベル上に含むか、または含まないように前記コントローラが構成可能であることを特徴とする、請求項1に記載の医薬品取り出し用キャビネット。
【請求項22】
ラベルの印刷に成功したか否かに関わらず、当該医薬品取り出し用キャビネットからの物品の支給を当該キャビネットのユーザが完遂可能であることを特徴とする、請求項1に記載の医薬品取り出し用キャビネット。
【請求項23】
取り出し用キャビネットの運用方法であって、
取り出され物品の指定を当該取り出し用キャビネットのユーザから受ける工程と、
当該取り出し用キャビネットに設けられているラベルプリンタを用いて前記物品を識別するラベルを印刷する工程と、
当該取り出し用キャビネットに設けられているレシートプリンタを用いて前記取り出された物品のレシートを印刷する工程であって、前記ラベルおよびレシートの両方は、共通開口から当該取り出し用キャビネットの外部へ排出されるとともに、異なる媒体に印刷される工程と、
前記取り出された物品への前記ラベルの貼り付けをユーザに促す工程と、
を含む取り出し用キャビネットの運用方法。
【請求項24】
前記物品の取り出し時に前記ラベルが自動的に印刷されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項25】
前記ラベルの印刷指示をユーザから受ける工程をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項26】
前記取り出された物品の識別確認を要求する工程をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項27】
前記取り出された物品を識別するバーコードを前記ラベルに印刷する工程をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項28】
使用期限を前記ラベルに印刷する工程をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項29】
第2の取り出された物品の指定を受ける工程と、
前記第2の取り出された物品の識別確認を要求する工程と
前記確認を受けていないことを認識する工程と、をさらに含み、
前記確認を受けていないことの結果として、前記第2の取り出された物品のラベルが印刷されないことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品や医療用品を管理するためのキャビネットシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
病院等の患者治療環境においては、数々の医薬品およびその他の医療用品を使用する可能性がある。通常は、患者に依って異なる医薬品が必要であり、医薬品に依ってアクセスおよび管理の法的基準も異なる場合がある。投薬過誤の回避、不法アクセスの回避、ならびに在庫管理および会計機能の容易化には、医薬品および医療用品を追跡するとともに、アクセスを管理することが強く望まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上記した事項を鑑みてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様によれば、医薬品取り出し用キャビネットは、少なくとも1つの施錠可能な保管区画と、上記少なくとも1つの施錠可能な保管区画へのアクセスを管理するコントローラと、上記コントローラに接続され、医薬品取り出し用キャビネットに組み込まれた2つのプリンタとを備える。上記プリンタは、レシートプリンタおよびラベルプリンタを備えていてもよい。上記2つのプリンタは、共通のベゼルに搭載されていてもよい。一部の実施形態において、上記プリンタの少なくとも一方は、印刷本紙を保持する印刷本紙ホルダーを備え、当該印刷本紙ホルダーが当該印刷本紙に略一致するように成形された曲面を備え、当該曲面が滑らかに形成された隆起形状を有することにより、当該本紙を取り出し時に摺動自在である。
【0005】
別の態様によれば、医薬品取り出し用キャビネットは、少なくとも1つの施錠可能な保管区画と、上記少なくとも1つの施錠可能な保管区画へのアクセスを管理するコントローラと、上記コントローラに動作可能に接続されたカメラとを備える。一部の実施形態において、上記カメラは、当該キャビネットのユーザを撮影するように位置決めされる。上記カメラを用いて撮影された当該キャビネットのユーザの写真は、使用ログと関連付けられていてもよい。
【0006】
別の態様によれば、医薬品取り出し用キャビネットは、少なくとも1つの施錠可能な保管区画と、上記少なくとも1つの施錠可能な保管区画へのアクセスを管理するコントローラと、キャビネット電子装置一式と、配電・通信回路基板とを備える。上記配電・通信回路基板は、第1の所要電圧源セットを上記コントローラに供給するとともに第2の所要電圧源セットを上記キャビネット電子装置に供給する回路を備え、当該コントローラとキャビネット電子装置間で通信信号を送信する。上記回路は、上記2つの所要電圧源セットを単一の電源電圧から提供してもよい。
【0007】
別の態様によれば、医薬品取り出し用キャビネットは、少なくとも1つの施錠可能な保管区画と、上記少なくとも1つの施錠可能な保管区画へのアクセスを管理するコントローラと、無線自動識別(RFID)リーダーとを備える。上記コントローラは、上記RFIDリーダーからの情報を受信して、上記少なくとも1つの施錠可能な保管区画へのアクセスを調整する。一部の実施形態において、上記コントローラは、当該キャビネットのユーザのID、パスワード、およびセキュリティコードのいずれかまたは任意の組み合わせを含む上記RFIDリーダーからの情報を受信して、上記少なくとも1つの施錠可能な保管区画へのアクセスを調整する。一部の実施形態において、当該医薬品取り出し用キャビネットは、生体センサーをさらに備える。上記コントローラは、上記生体センサーからの情報を受信して、上記少なくとも1つの施錠可能な保管区画へのアクセスを調整するようにしてもよい。一部の実施形態において、当該医薬品取り出し用キャビネットは、スマートカードリーダーをさらに備える。上記コントローラは、上記スマートカードリーダーからの情報を受信して、上記少なくとも1つの施錠可能な保管区画へのアクセスを調整するようにしてもよい。
【0008】
別の態様によれば、医薬品取り出し用キャビネットは、少なくとも1つの施錠可能な保管区画と、上記少なくとも1つの施錠可能な保管区画へのアクセスを管理するコントローラであって、データ記憶媒体を備えたコントローラとを備える。データは、RAID技術の一実施態様に従って、上記データ記憶媒体に冗長的に記憶される。
【0009】
別の態様によれば、医薬品取り出し用キャビネットは、少なくとも1つの施錠可能な保管区画と、上記少なくとも1つの施錠可能な保管区画へのアクセスを管理するコントローラとを備える。上記コントローラは、冗長な有線電子通信ネットワークインターフェースを備える。
【0010】
別の態様によれば、医薬品取り出し用キャビネットは、少なくとも1つの施錠可能な保管区画と、上記少なくとも1つの施錠可能な保管区画へのアクセスを管理するコントローラとを備える。上記コントローラは、そのオペレーティングシステムの状態とは独立な帯域外ネットワーク通信チャンネルを備える。
【0011】
別の態様によれば、取り出し用キャビネットは、少なくとも1つの施錠可能な保管区画と、上記少なくとも1つの施錠可能な保管区画へのアクセスを管理するコントローラと、上記コントローラに接続されたラベルプリンタとを備える。上記コントローラは、当該取り出し用キャビネットから物品が取り出された場合にラベルが自動的に印刷されるように構成されている。一部の実施形態においては、ラベルの印刷前に上記取り出された物品の識別確認が必要である。一部の実施形態において、上記コントローラは、上記取り出された物品を識別する印刷ラベル上にバーコードを含むか、または含まないように構成可能である。また、一部の実施形態において、上記コントローラは、上記取り出された物品の使用期限を印刷ラベル上に含むか、または含まないように構成可能である。さらに、一部の実施形態においては、ラベルの印刷に成功したか否かに関わらず、当該取り出し用キャビネットからの物品の支給を取り出し用キャビネットのユーザが完遂可能である。
【0012】
別の態様によれば、取り出し用キャビネットの運用方法は、取り出された物品の指定をキャビネットのユーザから受ける工程と、上記物品を識別するラベルを印刷する工程と、上記取り出された物品への上記ラベルの貼り付けをユーザに促す工程とを含む。上記ラベルは、上記物品の取り出し時に自動的に印刷されるようになっていてもよい。一部の実施形態において、当該方法は、上記ラベルの印刷指示をユーザから受ける工程をさらに含む。当該方法は、上記取り出された物品の識別確認を要求する工程をさらに含んでいてもよい。また、当該方法は、上記取り出された物品を識別するバーコードを上記ラベルに印刷する工程をさらに含んでいてもよい。一部の実施形態において、当該方法は、使用期限を上記ラベルに印刷する工程をさらに含む。また、一部の実施形態において、当該方法は、第2の取り出された物品の指定を受ける工程と、上記第2の取り出された物品の識別確認を要求する工程と、上記確認を受けていないことを認識する工程とをさらに含み、上記確認を受けていないことの結果として、上記第2の取り出された物品のラベルが印刷されないことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係る医薬品取り出し用キャビネットを示した図。
図2図1のような医薬品取り出し用キャビネットに2つのプリンタを組み込む構成の一例としてのモジュールを示した図。
図3図2のモジュールの背面図。
図4】実施形態に係る卓上型医薬品取り出し用キャビネットを示した図。
図5図4の医薬品取り出し用キャビネットの内部図。
図6】実施形態に係るベゼルに搭載された2つのプリンタを示した図。
図7図5の内部を逆の角度から示した図。
図8図4に例示の医薬品取り出し用キャビネットをさらに詳しく示した図。
図9】実施形態に係るカメラと医薬品取り出し用キャビネットとの一体化を示した図。
図10A】医薬品取り出し用キャビネットにカメラを組み込む技術の一例を示した図。
図10B】医薬品取り出し用キャビネットにカメラを組み込む技術の一例を示した図。
図11図4の医薬品取り出し用キャビネットのモニターを含む一部を示している図。
図12図11のモニターを逆の角度から示している図。
図13】医薬品取り出し用キャビネットの電子的構成の一例を示した図。
図14】配電・通信回路基板の一例を示した概略図。
図15】オプションとしてリーダー装置を備えた実施形態に係る医薬品取り出し用キャビネットを示した図。
図16】RAID技術の一実施態様を示した図。
図17】冗長ネットワーク接続を備えた実施形態に係る医薬品取り出し用キャビネットを示した図。
図18】遠隔管理機能を備えた実施形態に係る医薬品取り出し用キャビネットを示した図。
図19A】設定メニューの一例を示した図。
図19B】一実施形態に係る自動ラベル印刷のワークフローを示した図。
図19C】印刷ラベルの一例を示した図。
図20A】設定メニューの一例を示した図。
図20B】ラベル印刷に医薬品識別が必要な一実施形態に係るワークフローを示した図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、実施形態に係る医薬品取り出し用キャビネット100を示した図である。キャビネット100は、引き出し101a〜101e等の複数の区画と、扉102aおよび102bを通してアクセス可能な区画とを備えている。また、医薬品取り出し用キャビネット100は、コントローラ103と、キーボード104およびキーパッド105等の1または複数のデータ入力装置とを備えている。医薬品取り出し用キャビネット100のユーザへの情報伝達は、ディスプレイ106により可能となっている。一部の実施形態において、医薬品取り出し用キャビネットは、以下に詳述するその他の装置を含んでいてもよい。
【0015】
コントローラ103は、プロセッサ、メモリー、入出力インターフェースおよびその他の構成要素を備えたコンピュータを含む。また、コントローラ103は、診療記録システムや在庫・会計システム等の他のコンピュータ制御システムと遠隔通信を行う。
【0016】
引き出し101a〜101e等の様々な保管区画は、コントローラ103の管理下にある。たとえば、各引き出し101a〜101eは、電子制御可能な施錠機構を備えていてもよいし、コントローラ103の管理下でのみ開くようにしてもよい。また、コントローラ103は、どのような医療用品が医薬品保管キャビネット100のどの区画に保管されているかについての情報を記憶する。通常の基本的な使用シナリオにおいては、医療従事者がキーボード104または別の入力装置を用いて、回診中に医薬品が必要となる担当の患者のIDを入力する。コントローラ103は、患者の診療ファイルにアクセスして、過去に処方された医薬品を把握する。また、コントローラ103は、患者の処方医薬品を含む1または複数の引き出しのみを開ける。また、医療従事者が正しい医薬品へと誘導されるように、たとえば発光インジケータによって、正しい引き出しの中の特定の区画を目立たせるようにしてもよい。こうして、医療従事者は、患者の処方医薬品を持ち出すことができる。コントローラ103による管理のレベルは、医療従事者が医薬品取り出し用キャビネット100から正しくない医薬品を持ち出す可能性を低減することによって投薬過誤を防止するのに有用なものである。さらに、コントローラ103は、取り出された医薬品の文書化および記録を行うとともに、その情報を在庫・会計システムに転送することが可能である。
【0017】
同様に、その他多くの特徴および機能が考えられる。たとえば、医療従事者が自身のIDを入力するようにしてもよい。また、コントローラ103は、医療従事者がアクセスを許可された医薬品および医療用品にのみアクセスを提供するようにしてもよい。
【0018】
医薬品取り出し用キャビネット100は、据置型の装置として示しているが、本発明はこれに限定されない。別の実施形態に係るキャビネットは携帯型であってもよく、たとえば、施設中心の用品店から特定の病棟または部門への医薬品および医療用品の移送を容易化するものであってもよい。本発明の実施形態に係るキャビネットの引き出し、扉、またはその他の形状に関する特定の構成は、変更するようにしてもよい。たとえば、本発明を具現化するキャビネットまたは取り出し用カートにおいては、引き出しまたは扉のみを用いるものがあってもよいし、その他何らかのアクセス方法を利用するものがあってもよい。また、引き出しの中の区画は、個別に施錠可能かつ管理可能であってもよい。その他の取り出し用ユニットについては、リップス(Lipps)に付与された2001年8月7日発行の米国特許第6,272,394号、リップス(Lipps)に付与された2002年5月7日発行の米国特許第6,385,505号、リップス(Lipps)に付与された2004年7月6日発行の米国特許第6,760,643号、リップス(Lipps)に付与された1998年9月8日発行の米国特許第5,805,455号、リップス(Lipps)に付与された2003年8月19日発行の米国特許第6,609,047号、ヒガム(Higham)ほかに付与された1998年9月8日発行の米国特許第5,805,456号、ヒガム(Higham)ほかに付与された1998年4月28日発行の米国特許第5,745,366号、ヒガム(Higham)ほかに付与された1999年5月18日発行の米国特許第5,905,653号、ゴドレフスキ(Godlewski)に付与された1999年7月27日発行の米国特許第5,927,540号、ホームズ(Holmes)に付与された2000年3月21日発行の米国特許第6,039,467号、ホームズ(Holmes)ほかに付与された2003年10月28日発行の米国特許第6,640,159号、アーノルド(Arnold)ほかに付与された2000年11月21日発行の米国特許第6,151,536号、ブレッチェル(Blechl)ほかに付与された1995年1月3日発行の米国特許第5,377,864号、ブレッチェル(Blechl)に付与された1993年3月2日発行の米国特許第5,190,185号、ダンカン(Duncan)ほかに付与された2005年12月13日発行の米国特許第6,975,922号、ダンカン(Duncan)ほかに付与された2009年8月4日発行の米国特許第7,571,024号、ダンカン(Duncan)ほかに付与された2010年11月16日発行の米国特許第7,835,819号、ホームズ(Holmes)に付与された2000年1月4日発行の米国特許第6,011,999号、ハイアム(Higham)に付与された2008年3月25日発行の米国特許第7,348,884号、ハイアム(Higham)に付与された2010年3月9日発行の米国特許第7,675,421号、ウィルソン(Wilson)ほかに付与された2001年1月9日発行の米国特許第6,170,929号、ファールベルク(Vahlberg)ほかによる2008年12月25日公開の米国特許出願公開第2008/0319579号、およびレビー(Levy)ほかによる2010年2月18日公開の米国特許出願公開第2010/0042437号等の共有に係る米国特許および特許出願に記載されており、その内容を本明細書中に参考として援用する。
【0019】
本発明の態様を具現化するキャビネット100等の医薬品取り出し用キャビネットは、先行技術のキャビネットと比較して、利便性および信頼性が改善されたものである。
一態様において、医薬品取り出し用キャビネットは、複数の組み込みプリンタを提供する。これらプリンタに依って、異なる媒体またはその他の特性を必要とする異なる機能を提供することができる。たとえば、医療従事者がキャビネット100から医薬品または医療用品を持ち出すご度にレシートを印刷することが望ましい場合もある。このようなレシートは、患者ファイルに保管するか、または治療オーダーに添付するようにしてもよい。また、特定の医薬品またはその使用説明を記述した接着ラベルを印刷することが望ましい場合もある。このようなラベルは、医薬品を移し替える注射器、ボトルまたはその他の容器に貼り付けるようにしてもよい。このように、ラベルプリンタでは、レシートプリンタと異なる種類の媒体が必要となる。
【0020】
図2は、医薬品取り出し用キャビネット100等のキャビネットに2つのプリンタを組み込む構成の一例としてのモジュール200を示した図である。モジュール200は、キーボード104およびキーパッド105を備えるとともに、組み込みレシートプリンタ201および組み込みラベルプリンタ202を備えている。両プリンタともモジュール式であるのが好ましく、現場または工場で設置可能であってもよい。また、プリンタは、ユニバーサルシリアルバス(USB)接続等のインターフェースを介して、コントローラ103により独立してアドレス指定可能であってもよい。
【0021】
一部の実施形態において、レシートプリンタ201は、比較的軽量の印刷本紙に印刷を行う感熱式プリンタであってもよい。インクジェットプリンタ等、その他のプリンタも同様に使用可能である。ラベルプリンタ202は、ラベル本紙に印刷を行う感熱式またはインクジェットプリンタ、もしくは別のプリンタであってもよい。ラベルを印刷したら、裏当てから外して接着剤に曝した後、容器にラベルを貼り付けてもよい。
【0022】
図3は、モジュール200の背面図であって、モジュール式のレシートプリンタ201およびラベルプリンタ202のモジュール200への搭載を示している。
図4は、2つの組み込みプリンタを備えた卓上型医薬品取り出し用キャビネット400を示した図である。2つのプリンタは、プリンタ扉401の下方に収容され、印刷物を提供する共通開口402を共有している。扉401は、磁気的に閉じられている。
【0023】
図5は、医薬品取り出し用キャビネット400の内部図であって、共通ベゼル503の後部に成形されたレシートプリンタ用紙ガイド501およびラベルプリンタ用紙ガイド502を示している。用紙ガイド501および502は、それぞれの用紙ロールを真っ直ぐにしてプリンタと揃えるためのガイドとして機能するものであってもよいし、ガイドに沿って用紙を摺動させることによりユーザによる手動の用紙装着を支援するものであってもよい。図6は、ベゼル503に搭載された2つのプリンタを示した図である。
【0024】
図7は、医薬品取り出し用キャビネット400の内部を逆の角度から示した図であって、レシート用紙ホルダー701およびラベル本紙ホルダー702の構成を示している。図7に見られるように、用紙ホルダー701およびラベル本紙ホルダー702は、媒体ロールのスピンドルが存在する場合に、そのスピンドルを係合する形状703を有する。ただし、上記プリンタの一方または両方において、スピンドルを備えていないロール媒体を使用可能である。スピンドルのない媒体ロールの使用を容易にするには、隆起形状704によって媒体を支持する。隆起形状704は、滑らかに形成することによって、媒体を取り出し時に摺動自在としてもよい。
【0025】
図8は、例示の医薬品取り出し用キャビネット400をさらに詳しく示した図である。本例の実施形態においては、3つの爪部と3つの螺子とによって、ベゼル503が前蓋アセンブリに搭載されている。プリンタ201および202は、各々2つの螺子と耳部とによって、ベゼル503に搭載されている。また、ベゼル503の耳部は、必要なワイヤをプリンタ201および202へと送る際にも役立つ(図8にはワイヤを示していない)。
【0026】
別の態様によれば、キャビネット100等の医薬品取り出し用キャビネットは、カメラを備えている。図9に示すように、カメラ901は、医薬品取り出し用キャビネット100のキーボード104近傍の領域902に組み込まれていてもよいし、その他の位置も考えられる。カメラ901は、キャビネット100へのアクセス時にその如何なるユーザもが存在し得る領域を網羅する視野903のような視野を提供するものであってもよい。また、コントローラ103の管理下において、キャビネット100にアクセスする各ユーザの写真を撮り、保管して将来的に参照するようにしてもよい。たとえば、その写真を使用ログと関連付けて、キャビネット100から取り出された医薬品または医療用品の追跡を強化するようにしてもよい。この機能は特に、キャビネットからの持ち出しが特定の人物にのみ許可された規制薬物の追跡に役立つ。また、保管した写真は、キャビネット100に対する未遂または実際の任意の不法アクセスの検出を支援するものであってもよい。
【0027】
図10Aおよび図10Bは、例示の医薬品取り出し用キャビネット100のモジュール200にカメラ901を組み込む技術の一例を示した図である。
カメラ901等のカメラは、デスクトップ型医薬品取り出し用キャビネット400等、別のキャビネットに組み込んでもよい。図11にキャビネット400の一部を示す。キャビネット400は自立型モニター1101を備えており、カメラは、モニター1101のベゼルに対して、たとえばベゼルの上部中心近傍に組み込まれていると都合が良い。また、カメラはオプションであって、カメラが存在しない場合には、標準的なベゼルを使用するようにしてもよい。ただし、カメラが存在する場合には、視野窓を有するベゼルを使用してもよい。
【0028】
図12は、モニター1101を逆の角度から示している。一部の実施形態において、カメラは、ユニバーサルシリアルバス(USB)インターフェースを備えたモジュールであってもよく、モニター1101のUSBハブ1201に接続されていてもよい。
【0029】
別の態様において、図13は、キャビネット100等の医薬品取り出し用キャビネットの電子的構成の一例を示した図である。上記説明および図13に示すように、コントローラ103は、プロセッサ、入出力インターフェース、ストレージ、およびその他の構成要素を備えたコンピュータシステムを含んでいてもよい。図13の例において、コントローラ103は、ATX(Advanced Technology Extended)構成に準拠したマザーボード1301を備えている。たとえば、マザーボード1301は、マイクロプロセッサ、拡張カードスロット、揮発性メモリー、不揮発性メモリー、およびその他のコンピュータシステム構成要素を備えていてもよい。揮発性メモリーは、一時的なプログラムおよびデータの記憶に用いるランダムアクセスメモリー(RAM)を含んでいてもよい。不揮発性メモリーは、読み出し専用メモリー(ROM)、フラッシュメモリー、およびその他の不揮発性メモリーの任意の組み合わせを含んでいてもよく、これらをマザーボード1301、システム設定、基本入出力システム(BIOS)、およびその他の項目のブートコードとして保持していてもよい。一部の実施形態においては、不揮発性メモリーの内容の少なくとも一部が遠隔で再プログラミング可能であってもよい。
【0030】
また、コントローラ103は、たとえばキーボード104、キーパッド105、およびディスプレイ106を備えた入出力(I/O)装置1302を備えていてもよい。さらに、別の装置を備えていてもよい。コントローラ103は、たとえば1または複数のハードディスクドライブまたは半導体ドライブ等の長期ストレージを含むストレージ1303をさらに備えている。ストレージ1303は、マザーボード1301のオペレーティングシステムを記憶し、キャビネットの在庫等のデータを記憶し、キャビネットの動作を制御するプログラム命令を保持していてもよい。
【0031】
キャビネット電子装置1304は、様々なアクチュエータおよびインジケータのほか、たとえばコントローラ103の管理下で引き出しまたは扉の開錠および施錠を行うキャビネットの管理に関わるその他の構成要素を備えていてもよい。また、キャビネット電子装置1304は、1または複数の付加的なマイクロプロセッサまたはその他の論理回路をオプションとして備えていてもよい。マザーボード1301は、通信リンク1305を介してキャビネット電子装置1304と通信を行う。
【0032】
コントローラ103およびキャビネット電子装置1304はいずれも、動作に電力を要する。配電・通信回路基板1306は、他のシステム構成要素に対する電力調整および配電を行うとともに、コントローラ103とキャビネット電子装置1304間の通信路を提供する。配電・通信回路基板1306の電力供給源は、主電源1307である。第1の電源1308は、主電源1307から得られる電圧を整流して、単一のDC電圧を配電・通信回路基板1306に供給するようになっていてもよい。配電・通信回路基板1306上の電力調整回路1309は、マザーボード1301およびその他のシステム構成要素への電力路供給に要する様々な電圧を引き出して、電力の調整を行う。
【0033】
また、配電・通信回路基板1306は、1または複数のバッテリ1310と連動していてもよく、主電源が利用可能な場合にバッテリの充電を行うとともに、システムへの電力供給の必要に応じてバッテリ1310から電力を引き出す。さらに、配電・通信回路基板1306は、電源オンインジケータ、電源スイッチ、診断ポートコネクタ等、またはそれらの組み合わせ等の構成要素1311とのインターフェースを提供するものであってもよい。
【0034】
図14は、配電・通信回路基板1306をさらに詳しく示した図であって、マザーボード1301に必要な様々な電圧路と、供給される各種通信信号の一例を示している。また、配電・通信回路基板1306は、ホットスワップコントローラ1401を備えていてもよく、キャビネット電子装置1304への電力を遮断することによって、コントローラ103の電源を落とすことなく、キャビネットの引き出し、ボタンインターフェース等の構成要素を交換可能である。
【0035】
別の態様において、キャビネット100等の医薬品取り出し用キャビネットは、キャビネットへのアクセスを管理するセキュリティ手段を備えていてもよい。アクセス管理は特に、法的に規制された薬物をキャビネットに保管している場合に有用である。一部の実施形態において、キャビネットのユーザは、キャビネットへのアクセス許可を受けるために、キーボード104上で識別情報を入力する必要があってもよい。入力された情報は、権限付与ユーザリストと比較され、当該リスト中に入力情報が見つかった場合にのみアクセスが認められる。権限付与リストは、コントローラ103が有していてもよいし、ネットワーク接続を介してアクセスされる遠隔サーバー上にあってもよい。その代替または追加として、パスワード等のセキュリティコードが必要であってもよく、正しいコードを受け付けた場合にのみアクセスを認めるようにしてもよい。
【0036】
別の実施形態において、キャビネットは、アクセス要求をより高速に識別可能な1または複数の装置を備えていてもよい。図15は、オプションとしてリーダー装置1501および1502を備えた実施形態に係る医薬品取り出し用キャビネット1500を示した図である。異なる種類のリーダーが個別または組み合わせとして設けられていてもよい。
【0037】
一部の実施形態において、リーダーは、カード読み取りスロット1503を備えていてもよい。キャビネット1500の各権限付与ユーザは、自身の識別情報をプログラムしたカードを携行するようにしてもよい。ユーザは、カード読み取りスロットにカードを通して、識別情報をキャビネット1500に提供可能である。識別情報は、キャビネット1500または遠隔サーバーにおいて、キャビネット1500へのアクセス権限付与者リストと比較され、カード読み取りスロット1503で読み出された情報がリストと一致するか、またはリスト上に見つかった場合にのみアクセスが認められる。ユーザが携行するカードは、磁気ストライプカードであってもよい。また、スマートカードを使用してもよく、キャビネット1500は、スマートカードリーダーを備えていてもよい。別の実施形態において、キャビネット1500はバーコードスキャナを備えていてもよく、各ユーザは、自身を識別するバーコードを印刷したカード、バッジ等を携行するようにしてもよい。このシナリオでは、バーコードのスキャンによりユーザ識別情報が得られ、上記同様にこの情報を用いて、キャビネット1500へのアクセスの許可または拒絶が行われる。
【0038】
また、キャビネット1500は、指紋リーダー1504等の生体センサーを備えていてもよい。キャビネット1500へのアクセスを要求するユーザが指紋リーダー1504上に指を乗せ、これにより指紋を読み取るようにしてもよい。そして、指紋により、キャビネット1500へのアクセス権限付与者としてファイル上に存在するか否かを確認するようにしてもよい。存在する場合は、アクセスが認められる。
【0039】
一部の実施形態において、キャビネット1500は、無線自動識別(RFID)リーダー1505を備えていてもよい。RFID技術では、トークンに一意のコードがプログラムされ、リーダーが無線でトークンからコードをスキャンする。パッシブRFIDシステムでは、リーダーからの無線信号によりトークンがアクティブとなって、これによりトークンは、リーダーにコードを返すことができる。アクティブRFIDシステムでは、トークンがバッテリ等の電源を備えるとともに、パッシブシステムに比べリーダーから遠くの距離でコードを送ることができるようになっていてもよい。キャビネット1500へのアクセスを要求するユーザがトークンを携行し、トークンがキャビネット1500に近接した場合にトークンからコードが自動的にスキャンされるようになっていてもよい。コードは、アクセス権限が付与されたコードリストと比較され、一致する場合にアクセスが認められる。
【0040】
キャビネット1500の内容物に求められるセキュリティのレベルに応じて、多元的な認証が必要であってもよい。たとえば、キャビネット1500へのアクセス認証を得るため、ユーザは、承認コードを有するトークン(ユーザ所有)を提供するとともに、正しいパスワード(ユーザ既知)を提供する必要があってもよい。また、指紋(その他ユーザを特定できるもの)を提供する必要があってもよい。様々な識別要素を任意の組み合わせで使用してもよい。
【0041】
別の態様によれば、コントローラ103は、データを冗長的に記憶して、信頼性およびデータ完全性を向上するようにしてもよい。たとえば、マザーボード1301はRAID(独立ディスク冗長アレイ)コントローラを備えていてもよく、ストレージ1303は複数の記憶装置を備えていてもよい。記憶装置は、ハードディスク等の回転媒体を利用してもよいし、フラッシュメモリー等の半導体メモリーを利用してもよい(RAID技術は回転ディスクと併用されることが多いが、これに限定されず、冗長な半導体メモリーをRAIDシステムと見なしてもよい)。キャビネットの在庫および患者の情報を冗長記憶することにより、記憶装置の障害によるデータ損失のリスクが抑えられるため、在庫記録または患者情報が失われるリスクも低くなる。
【0042】
RAID保護では、様々なレベルが利用可能である。図16に示す「RAID1」では、すべてのデータが冗長記憶装置にミラーリングされる。また、より複雑なRAIDレベルでは、複数の記憶装置にデータを分散することによって、データ読み出し速度の増大およびエラー修正が可能となっていてもよい。記憶装置の障害率は、(回転ディスクの場合の)可動部品および衝撃不耐性または(半導体ドライブの場合の)過剰なフラッシュ書き込みサイクル疲労のいずれであろうとも、医療用組み込みシステムの予想障害率に大きく寄与し得る。1つのシステムにおいて2つ以上のディスクドライブが同時に故障する可能性は非常に低いため、信頼性が向上する。このような冗長性によって、緊急治療が必要な患者がいない際、不良ディスクを交換するのに十分な時間システムを動作させることができる。
【0043】
また、データ完全性も向上する。医薬品配給機で処理されるデータとしては、安全を最重視すべき医薬品の調剤、投与量、およびタイミングが挙げられる。患者の安全を守るには、システム設計のレベルごとにデータエラーを即座に検出して警告する予防対策が重要である。RAIDは、患者および医薬品のデータに関して、別の重複する安全手段を提供するものである。
【0044】
別の態様において、実施形態に係る医薬品取り出し用キャビネットは、冗長ネットワーク接続を備えることによって、信頼性を向上するようにしてもよい。この構成を図17に示す。マザーボード1301には、ポート1701および1702を設けてもよい。医薬品キャビネットは、施設のローカルコンピュータネットワークを介して、医薬品オーダー、患者情報、完了したトランザクションの会計、およびその他の安全を最重視すべき情報を出し入れするサーバー1703と通信を行うようになっていてもよい。そして、2重のネットワーク経路1704および1705を使用することにより、フェイルオーバー保護のためのネットワークリンクの冗長性を提供している。キャビネットのマザーボード上のイーサネット(登録商標)コントローラまたは変換器、コンピュータから壁面コネクタに至るイーサネット(登録商標)パッチケーブル、または病院の壁を通って主ルーターまたはスイッチに至る施設配線を含む経路上の任意の場所で障害が発生した場合には、LAN通信が第2のネットワークリンクへと自動的に切り替わる。フェイルオーバーペアの使用は、通常のITシステムにおけるスイッチまたはルーターの他方側のLANに関して既存のものであってもよい。このことは、患者が移動した場合でも、患者の支援に必要となる最新で最も正確な情報を病院の各キャビネットが有するように保証するのに役立つ。あるいは、両経路を平行に使用してネットワークスループットを改善するか、またはLANおよびWANの個別ネットワークを構築して安全および脆弱な機能を実現するように、2つのネットワークインターフェースを構成可能である。
【0045】
別の態様によれば、実施形態に係る医薬品取り出し用キャビネットのコントローラは、遠隔管理機能を備えていてもよい。この機能を図18に示す。たとえば、コントローラ103は、コンピュータのオペレーティングシステムの状態、電源状態、およびディスクやメモリー等のハードウェア構成要素の状態とは独立な暗号化帯域外ネットワーク通信チャンネルによるハードウェア構成の遠隔管理を含んでいてもよい。この機能により、施設の情報技術部門は、医薬品キャビネットをよりよく発見、修復、および保護することができる。たとえば、このような機能は、米国カリフォルニア州サンタクララにあるIntel社製のマイクロプロセッサを用いたコンピュータシステム上で利用可能なAMT(Advanced Management Technology)により実装してもよい。
【0046】
帯域外チャンネルは、様々な機能に利用してもよい。たとえば、コントローラ103は、保守とサービスの自動化またはハードウェアの在庫確認のためのスクリプト記述と帯域外チャンネルとを組み合わせることによって、遠隔管理するようにしてもよい。また、当該システムによりセキュリティを向上させてもよい。たとえば、医薬品キャビネットの電源を入れてコンピュータが起動したら、帯域外チャンネルを用いて、不正なソフトウェアエージェントを確実に監視するか、またはコンソールを異なる遠隔コンピュータにリダイレクトすることができる。また、たとえば危険な状態またはウイルス感染の可能性があるキャビネットをポートブロック、帯域制限、もしくは完全に分離することによって、ネットワークトラフィックをフィルタリングするようにしてもよい。当該システムは、電力管理に利用してもよい。たとえば、医薬品キャビネットの電源状態をオン/オフのように遠隔で変更してもよい。これにより、コンピュータが不安定またはフリーズ状態となった場合に電源を入れ直すことができ、医療環境における運転時間が向上する。また、当該システムは、たとえばBIOSの再プログラミングまたはストレージドライブの遠隔再画像化等、コントローラ103の遠隔設定に利用してもよい。
【0047】
上記実施形態では、処方医薬品の取り出しを説明しているが、実施形態に係る取り出し用キャビネットは、医師の処方の必要がない医薬品または包帯、手袋等の医療用品の取り出しに用いてもよい。また、実施形態に係るキャビネットは、麻酔設定に用いてもよい。
【0048】
また、実施形態に係るシステムは、取り出し用キャビネットから持ち出された医薬品またはその他の医療用品の適正なラベル付けを促進・容易化する機能を備えていてもよい。たとえば、承認を受けた患者治療規格では、如何なる医薬品、医薬品容器、および液剤についても、即座に投与されるものでなければラベル付けを行うことを求めている。ラベリングの失敗または不適正なラベリングは、投薬過誤、投薬忘れ、医療スタッフの無計画な作業、および医薬品の浪費につながる場合がある。
【0049】
プリンタ202等の組み込みラベルプリンタは、取り出しに関連したラベルを印刷する機構を提供する。また、実施形態に係る取り出し用キャビネットは、好都合かつ正確なラベリングを容易化するワークフローによって医療従事者を指示するようにプログラムされていてもよい。
【0050】
例示的な一構成において、取り出し用キャビネットは、キャビネットから物品が支給されるごとにラベルを自動的に印刷するように構成されている。図19Aは、自動印刷を含む様々な動作に関してシステムを設定するメニューを示した図である。メニュー1900は、たとえば取り出し用キャビネットのコントローラにより表示され、看護師等のユーザがメニュー項目の選択/非選択によってシステムを設定するようにしてもよい。ユーザは、ラベルを印刷したら、たとえば注射可能な医薬品を移し替える注射器等、物品を移し替える容器に新たに印刷したラベルを貼り付けることができる。場合によっては、医薬品等の取り出した物品にラベルを直接貼り付けてもよい。
【0051】
図19Bは、自動ラベル印刷のワークフローを示した図である。ステップ1901において、看護師等の医療従事者は、取り出し用キャビネットにアクセスして医薬品を取り出す対象の患者を選択する。ステップ1902において、看護師は、特定の医薬品を取り出す旨を指示する。たとえば、看護師は、モニター1101等のモニターに表示されたユーザインターフェース中の「Remove Now(今すぐ持ち出す)」ボタンをクリックまたはタッチするようにしてもよい。ステップ1903において、システムは、正しい容器から物品を持ち出すよう看護師に指示する。たとえば、「Open lid of flashing bin for this medication(この医薬品については、点滅する容器の蓋を開けること)」等のメッセージを表示するようにしてもよい。ステップ1904においては、ラベルが自動的に印刷される。ステップ1905において、看護師は、医薬品にラベルを貼り付けるよう指示を受ける。たとえば、「Apply the label to the correct medication(正しい医薬品にラベルを貼り付けること)」等のメッセージを表示するようにしてもよい。
【0052】
図19Cは、印刷ラベルの一例を示した図である。ラベル上の情報としては、物品に関するデータ、患者、特記事項、またはラベルを印刷したユーザを含んでいてもよい。このデータは、外部システムから取得したものであってもよい。
【0053】
この一般ワークフローにおいては、別のオプションを提供するようにしてもよい。たとえば、システムは、医薬品を識別するバーコードを印刷ラベル上に含むことによって、取り出した医薬品の使用を後々ベッドサイドで容易に文書化できるように構成されていてもよい。印刷ラベル上にバーコードを含むことによって、医薬品の患者への投与時には、元の医薬品容器が不要となる。一部の実施形態において、特に危険性の高い医薬品を取り出す際には、確認ステップが必要となる場合がある。たとえば、システムは、元の医薬品パッケージをキャビネットから持ち出す際に、バーコードをスキャンすることを必要としてもよく、それによって、取り出された医薬品の識別確認を可能とする。また、システムは、確認が必要だが確認を受けていない場合にはラベルを印刷しないように構成されていてもよい。医療従事者は、たとえば元の医薬品パッケージ上のバーコードが読み取り不可能な状況に対応するため、バーコードスキャンを無効化することができてもよい。また、医療従事者は、バーコードスキャン要求を無効化する正当な理由の説明を入力する必要があってもよい。
【0054】
図20Aは、バーコードおよび確認のオプションが選択された状態の設定メニュー1900を示した図である。図20Bは、本実施形態に係るワークフローを示した図である。いくつかのステップは、図19Bと同じである。追加ステップ2001においては、確認が要求される。ステップ2002において、システムは、たとえば元の医薬品パッケージからのバーコードスキャンに成功したか否か等、確認を受けたか否かを判定する。確認を受けた場合は、ラベルを印刷して取り出された医薬品に貼り付ける。たとえば看護師が確認要求を無効化した場合等、確認を受けていない場合は、ステップ2003に示すように、ラベルを印刷しない。
【0055】
第2の例示的なワークフローにおいて、ラベルは、自動的に印刷するのではなく、物品の取り出しに関連してオンデマンドで印刷するようにしてもよい。自動印刷の場合のワークフローと同様に、確認は必要であってもよく、取り出し用キャビネットの現行構成に応じたオプションとして、バーコードが印刷ラベルに含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。
【0056】
第3の例示的なワークフローにおいて、ラベルは、取り出し用キャビネットから過去に取り出しまたは支給された医薬品等の物品について印刷するようにしてもよい。たとえば、ユーザは、その日の初めに取り出された物品のラベルを印刷してもよい。このワークフローにおいて、看護師は、取り出し用キャビネットのコントローラを用いることにより、特定の患者向けに取り出された医薬品等の物品の記録にアクセスして、当該物品のラベルを印刷する旨を指示する。他のワークフローと同様に、確認は必要であってもよく、取り出し用キャビネットの現行構成に応じたオプションとして、バーコードが印刷ラベルに含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。取り出し用キャビネットのユーザは、別のユーザが取り出した物品のラベルを印刷可能であってもよい。
【0057】
どちらのワークフローが有効であっても、看護師は、ラベルの印刷に成功したか否かに関わらず、医薬品の支給を完遂可能であることが好ましい。一部の実施形態において、看護師等の医療従事者は、たとえばラベルプリンタからの取り出し時にラベルが損傷した場合等の必要に応じて、ラベルを再印刷可能であってもよい。一部の実施形態において、システムは、取り出された医薬品の使用期限を計算して、印刷ラベル上に印刷するように構成されていてもよい。
【0058】
特定の取り出し期間においては、単一の医薬品オーダーに従って複数の物品を取り出してもよい。この際、取り出された物品ごとに個別のラベルを印刷するのが好ましい。一部のオーダーにおいては、すべての物品が自動ラベル印刷の対象でなくてもよい。一部の実施形態において、医薬品オーダー中の少なくとも1つの物品が自動ラベル印刷の対象であれば、オーダー中のすべての物品についてラベルが自動的に印刷される。
【0059】
システムは、異なるワークフローおよびオプションを選択するように構成可能であってもよい。たとえば、システムは、確認を必要とするように構成可能であってもよいし、確認を不要とするように構成可能であってもよい。別の例において、システムは、印刷ラベル上にバーコードを含むように構成可能であってもよいし、バーコードを含まないように構成可能であってもよい。さらに別の例において、システムは、印刷ラベル上に計算した使用期限を含むように構成可能であってもよいし、使用期限を含まないように構成可能であってもよい。図19Aは、システム設定の一技術を示しているが、別の方法を想定してもよい。
【0060】
ラベルプリンタは、注意を向ける必要がある場合に、取り出し用キャビネットのコントローラにその旨を報告可能であるのが好ましい。たとえば、プリンタは、センサーを備えることによって、ラベル本紙の補充の必要性を検出したり、プリンタの印刷設定が適正でなくなったことを検出したりするようにしてもよい。医療従事者には、たとえばモニター1101上に表示されたメッセージ等のリアルタイムなメッセージにより、プリンタに注意を向ける必要がある旨を通知するようにしてもよい。また、複数のキャビネットから、状態およびトランザクションを中央サーバーに報告可能である。サーバーは、データをレポートに統合・集約して、管理者によるラベルプリンタの状態および印刷統計の精査に供するようにしてもよい。
【0061】
本明細書に記載の任意の特徴の任意の有効な組み合わせが開示されている。
以上、本発明をその明確化および理解を目的として詳細に説明したが、当業者であれば、添付の請求の範囲において特定の変更および修正を実施可能であることを理解するであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19A
図19B
図19C
図20A
図20B