(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電流オフセット値、前記電圧オフセット値はそれぞれ、第2の動作モードの第1の状態の間に前記電源の前記端子でそれぞれ測定された電圧、電流を前記電流オフセット値、前記電圧オフセット値に加えたものが前記処理手段の動作範囲の中心点に等しい、請求項1に記載の電力変換器。
前記第2の動作モードの前記第2の状態において、幾つかの連続的な固定励起周波数で、前記所定の値の前記直流に重ね合わせられる交流を投入することによって前記電源(S)を励起することが可能であって、
前記処理手段は、前記電流値、電圧値をそれぞれ決定された電流オフセット値、決定された前記電圧オフセット値の関数としてオフセットした後、各励起周波数の励起に続いて前記電源の前記端子の連続的な電流値と電圧値を測定することができ、
前記インピーダンスを決定するための前記手段は、連続的に測定した前記電流値と前記電圧値の関数として、固定励起周波数ごとに前記電源の前記インピーダンスを決定する、
請求項1または2に記載の電力変換器。
前記処理手段は、前記第2の動作モードの前記第2の状態において、前記電流値、電圧値をそれぞれオフセットした後、かつ、第1の手段の前記測定値と前記動作範囲の偏差の関数として決定された倍数値をそれぞれ前記電流値と前記電圧値にそれぞれ適用した後に、前記励起周波数での励起に続いて前記電源の前記端子の連続的な電流値と電圧値を測定することができる、請求項1乃至3の何れか1項に記載の電力変換器。
前記第1の動作モードおよび前記第2の動作モードにおいて、所与の指令周波数のデューティ比に対応する正方波によって指令される少なくとも1つのスイッチを備え、前記第2の動作モードの前記第1の状態において、前記直流の決定された前記値が前記電源の前記端子で取得されるまで前記デューティ比の値を変化させる、請求項1乃至4の1項に記載の電力変換器。
前記第1の動作モードおよび前記第2の動作モードにおいて、所与の指令周波数で正方波により指令された少なくとも1つのスイッチを備え、前記処理手段は、前記第2の動作モードの前記第2の状態において、前記指令周波数または前記指令周波数の約数全体に等しい標本化周波数で、前記励起周波数での励起に続いて前記電源の前記端子の連続的な電流値と電圧値を測定することができる、請求項1乃至5の1項に記載の電力変換器。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の1実施形態における電力変換器1の線図である。
【0012】
従来、電力変換器1は、ソースS(バッテリ、スーパーキャパシタ、燃料セル)と負荷C、例えば直流電力グリッド、モータ等の間のエネルギ伝送機能を実施する。
【0013】
ソースSが可逆であるときは(例えば、バッテリおよびスーパーキャパシタ)、エネルギ伝送は双方向であってもよい。電力変換器1は、電圧および/または電流のタイプの入力電気量を出力電気量に適合させることができる(現在のケースでは、直流・直流変換)。
【0014】
公知な方法で、変換器は、例えば半導体を用いて製造されたスイッチ(
図1では図示せず)を備え、エネルギを保存しつつ電圧および/または電流を修正することができる。当該スイッチを用いると、電圧および/または電流が(変換器の入力周波数または出力周波数と比べて)非常に高い周波数でカットされ、取得された結果が平滑化されてそこから平均値が抽出される。
【0015】
変換器1はさらにマイクロ・コントローラ10を備える。マイクロ・コントローラ10は変換器1を制御する。マイクロ・コントローラ10は、監視する電気量を支配するのに必要な測定を実施して、PWM(Pulse Width Modulation)で変換器1の半導体に指令し、当該変換器の安全性を保証することができる。
【0016】
図2は、本発明の1実施形態における電力変換器1のエネルギ伝送機能を示す電気回路図である。ここで検討するケースでは、ソースSはバッテリであり、電力変換器1の手段により負荷Cに接続され、負荷Cは直流グリッドに対応し、電力変換器1はここでは電流可逆漸増タイプの直流・直流変換器であって、エネルギの双方向伝送(バッテリの充電と放電)を可能とする。
【0017】
この種の変換器1は、その電圧漸増関数によりハイブリッド自動車の適用事例に使用される変換器を最も代表するものであり、直流グリッドの電圧は一般にバッテリの電圧よりも高い。変換器1は、平滑化インダクタンスLおよび逆並列ダイオードを有する2つのIGBTトランジスタT
1およびT
2から構成される。トランジスタT
1およびT
2は補完的に指令される。スイッチT
1の指令信号C
T1は、
図3の上部に示されており、ノッチの形状であり、T
PWMの期間を有する。T
1の指令信号のデューティ比はαで示されている。
図3の下部には、
図3の上部に示したスイッチT
1の指令に続いて得られた、ソースS内の電流I
Lの形状が示されている。
【0018】
ソースと直流グリッドCの電流および電圧の平均値は、関係
【0020】
により結び付けられる。ここで、V
Bは負荷Cの端子の電圧であり、V
1はソースSの端子の電圧であり、I
Bは負荷Cでの電流であり、I
LはソースS内の電流である。
【0021】
期間T
PWMにおける電流変動I
Lを、誘導コイルLのインダクタンスの値を増大させることにより、または、カット周波数1/T
PWMを増大させることにより、減少させてもよい。
【0022】
したがって、インダクタンスはそのコスト、重量、および容量を損ねるまで増大し、カット周波数を増大させることは、半導体におけるジュール効果による損失の増大に寄与することとなる。
【0023】
エネルギ伝送機能の他に、本発明に従う電力変換器1はさらにソースのインピーダンス測定のための機能を備える。したがって、電力変換器の典型的な機能に関連して、本発明に従う変換器は、
ソースの周波数電気的励起を可能とする補完的な監視アルゴリズムの実装と、
周波数インピーダンス測定に有効な量の抽出を可能とするための、マイクロ・コントローラ10による測定電子機器の適応化およびその制御と、
信号をリアルタイムに処理してインピーダンス・スペクトルの計算を可能とするためのアルゴリズムの実装と、
を用いてインピーダンス分光器の機能を実現する。
【0024】
ここで検討する実施形態では、エネルギ管理(変換器の主要機能)を可能とする変換器1の監視、インピーダンス分光器の制御、および関連する信号の処理は、例えば、CPU周波数が30MHzである固定小数点の16ビットDSPタイプの単一マイクロ・コントローラ10によって行われる。
【0025】
使用されるマイクロ・コントローラ10はTMS320LF2407であり、産業用の監視アプリケーションに特化したものである。本発明と電力変換器1を実現するために使用される、マイクロ・コントローラ10に組み込まれた主要なハードウェア機能は、
電力変換器1のトランジスタを制御するためのPWM(Pulse Width Modulation)出力またはMLI出力と、
アナログ量を測定するための、アナログ/デジタル変換器(ADC)および関連するアナログ入力と、
測定電子機器を制御(プログラム可能な利得とシフトを監視)するためのSPI(Serial Peripheral Interface)または同期シリアル・コントローラと、
外部インタフェース(PC、端子)と通信するためのSCI(Serial Communication Interface)コントローラまたはRS232コントローラと、
である。
【0026】
図4に示すように、バッテリSをインピーダンスと直列な電動力(EMF)によりモデル化することができる。このモデルを、スーパーキャパシタおよび燃料セルのケースで使用することもできる。
【0027】
インピーダンス分光器は、観測される現象に依存する周波数範囲でバッテリのインピーダンスZ
batを測定することから構成される。当該インピーダンスは、Z
batで循環する電流スペクトルI
batの各周波数成分と、Z
batの端子の電圧V
Zとを測定することで決まる。周波数fのインピーダンスの各成分は、式
【0030】
EMFと、バッテリS内部にありしたがって物理的にアクセス不可能であるインピーダンスとの間の中間点Aについては、以下の難点を解決する必要がある。即ち、
Z
batの端子の電圧は無負荷のEMFと比べて非常に低い振幅を有し、合理的な精度で測定しなければならない。一方、E
batおよびV
Zは物理的に分離不可能であること(無負荷のEMFは、単一素子に対する数ボルトから素子の関連付け後の数百ボルトまで(例えば、1Vから600Vまで)変化し、インピーダンスZ
batは数mOhmから数百mOhmまで変化し、一般にVzは高々E
batの0から5%の間にある)、
無負荷のEMFのE
batはバッテリの充電状態とともに変化し、これがZ
batの端子の電圧測定中の補償を困難にすること(適応的な補償の必要性)、
Z
batの電流周波数成分は、バッテリ内を循環する平均電流と比べて低い振幅を維持しなければならず、合理的な精度(動作点周りの測定)で測定しなければならないこと(平均電流は、関連素子の数に依存し、適用事例に応じて数アンペアから数百アンペア(例えば、1Aから200A)まで変化する)、および、分光器が有効でありソースの損傷を回避するために、交流を低く保たねばならないこと(振幅は、例えば、ソースの名目電流の1%から10%の間に保たれる)、
バッテリ内の電流の平均値が、バッテリの所望の充電レベルと放電レベルに応じて変化する可能性があり、それがZ
batでの電流測定中の補償を困難にすること、
電力変換器1のIGBTトランジスタのスイッチングが、特定の周波数範囲でバッテリの電流と電圧に強い寸断をもたらし、これがインピーダンス分光分析に有用な成分の測定を困難にすること、
である。
【0031】
本発明の1実施形態における電力変換器1の測定電子機器はしたがって、以下の機能を実施するように生成される。即ち、
ホール効果プローブ(帯域幅は100kHzで0.5dB)によるバッテリ電流の測定。
ガルバニック絶縁なしの直接的な関連における電圧V
1の測定。
オフセット補償および利得による電流と電圧の較正。当該オフセットと利得は、直流成分(E
batおよび平均電流I
0)を補償しインピーダンス分光器に有用な交流成分を抽出するためにマイクロ・コントローラ10によりプログラム可能である。
【0032】
図5は、電力変換器1の測定電子機器によるソースSに関連する電圧量/電流量の測定と、電力変換器1によるこれらの測定の較正とを示すブロック図である。
【0033】
電力量X(V
1、I
L)は、測定センサ20(例えば、電流I
Lに対するホール効果センサLTS15NP)により測定され、固定較正21が測定量に対して(固定された利得値およびオフセット値で)実施され、所望の量(バッテリSの電流に対してはI_out、電圧に対してはV_out)のイメージを提供する。このイメージは、エネルギ伝送機能により使用される。インピーダンス分光器の機能が電力変換器1によってエネルギ伝送の代わりに実現される場合、適切なプログラム可能な較正が、(測定値を増幅または減少させるために)利得値による乗算演算22と、乗算された測定値のオフセット演算23とを通じて行われる。次いで、所望の量(バッテリSの電流に対してはI_out、電圧に対してはV_out)のイメージを取得する。利得値とオフセット値は、SPIコントローラを介して、後に示すようにマイクロ・コントローラ10によりリアルタイムでプログラムされる。
【0034】
図6Aおよび
図6Bは、これらの測定と較正を可能にする電力変換器1の電子ボード12の図を示す。
【0035】
電子成分の値は、
初期利得を適用事例(名目電圧と電流ソースS、測定すべきインピーダンスの桁数)の関数として調節し、
アンチエイリアシング・フィルタのカットオフ周波数を調節し、
交流電圧と交流の成分の測定のライン・インピーダンスをバランスして、これらのラインの間の寄生位相シフトの発生を回避する(位相の較正。インピーダンスは、交流電圧と交流の成分の振幅と位相により特徴付けられる)
ために定義される。
【0036】
これらの測定電子機器12は、ソースSの電流と電圧に対して、前述のようにA/DCによるデジタル化の前に2つのアナログ「イメージ」(または代表値)、即ち、
エネルギ伝送機能の状況でエネルギ伝送に使用される、ソースSでの電流および/または電圧の絶対的なサイズを評価可能とする、固定較正から生じたイメージ(I_outおよびV_outの出力)と、
当該量の交流成分のみを測定しインピーダンス分光分析で使用することができる、プログラム可能な可変な較正から生じたイメージ(Ialt_outおよびValt_outの出力)と、
を復元することができる。
【0037】
当該較正は、マイクロ・コントローラ10の測定範囲におけるアナログ電圧を適応させるように行われる。ここで検討するケースでは、この範囲は[0;3.3V]である。中間値1.65Vは参照として使用され、0Vに等しいソースの端子で測定した電圧または0Aに等しいソースを循環する電流に対応しなければならない。
【0038】
当該利得とオフセットは、(例えば、SPIインタフェースを有するMCP4922のタイプの)デジタル・アナログ変換器を用いてデジタル的に調節される。それらは以下のように定義される。
【0040】
ここで、D
aおよびD
bは0から4095の値(12ビットの精度)である。
測定値Xに対して、対応する較正値はG.X−V
0に等しいであろう。
【0041】
図7および8はそれぞれ、2つの出力I_out、Ialt_outに対して期待される結果を、分光分析中の時刻(ins)の関数として示し、電流(I_out)の直流成分、交流励起(Ialt_out)、変換器のスイッチT
1、T
2により行われたカットに起因する寸断を示す。
【0042】
必要に応じて、交流成分Ialt_outは[0−3.3]の範囲に良く集約され、行われた較正による利用可能な範囲を占有する。
【0043】
マイクロ・コントローラ10を用いて実装された、電力変換器1に組み込まれたインピーダンス分光分析プロセスを以下でより厳密に説明する。
【0044】
フェーズA:エネルギ伝送、即ち、分光分析なし。
特に電力変換器1内のコントローラ10により行われるエネルギ伝送向けの通常の監視アルゴリズムがアクティブである(動作中のバッテリの充電/放電、場合によっては、アイドル時の充電の維持)。
【0045】
フェーズB:分光分析の前、インピーダンス分光分析を変換器1により実現する時点
・インピーダンス測定を実行する前に、エネルギ伝送の監視を停止する。
・バッテリSの所望の動作点は、バッテリS内を循環する直流を調節することによって調節される。スイッチT
1のデューティ比α
0は、所望の値の電流I
0(例:I
0=1A)が得られるように定義される。インピーダンス・スペクトルが、当該特定の動作点に対して定義される。
・測定値Ialt_outおよびValt_outに対するオフセット補償が、その較正を可能とするように、このフェーズBの間に連続的に実施される。値Ialt_outおよびValt_outが1.65V、即ち、それぞれ0Aと0Vに対応する中間軸に保たれるように、したがってその変動間隔に対して集約されるように、オフセットが計算される。
【0046】
フェーズC:インピーダンス分光分析の間
・リアルタイムなオフセット補償を停止する。実現されるオフセットは、フェーズBの終了時に決定されたものである。
・ソースSは、動作点を特徴付ける電流I
0に重ね合わせられた交流励起周波数電流f
iを投入することによって励起される。励起周波数f
iにより、インピーダンス・スペクトルを連続的に走査することができる。各周波数の励起期間は、幾つかの信号期間によって定義される。この値は構成可能である。
・投入中に、交流信号Ialt_outおよびValt_outが、安定化を待機した後に構成可能な長さで標本化されデジタル化される。当該標本化モーメントは、取得ごとに等しく同期され、励起周波数の関数として二次標本化される。
・信号の測定中は、以下の原理に従ってインピーダンスを計算する。即ち、
・電圧と電流の複素表現の計算は、測定の揺らぎや残差直流成分をフィルタするために、考えられる周波数fiで離散フーリエ変換(DFT)によって行われる。
・考えられる周波数fiのインピーダンスの複素表現を計算する。
・インピーダンス・スペクトルからの値をマイクロ・コントローラ10のインタフェースRS232に転送する。
【0047】
エネルギ伝送の監視をインピーダンス・スペクトルの測定の全期間にわたって停止し、バッテリSの安定状態を、分光器の状態を特徴付ける決定された値(I
0)に保たなければならない。
【0048】
当該インピーダンス・スペクトルは実際、ソース内を循環する電流レベルとともに変化する。ソースの無故障特性を可能とするため、直流を既知の値I
0に保たなければならない。したがって、各インピーダンス・スペクトルが既知の電流I
0に対して定義される。
【0049】
さらに、ソースSのインピーダンスの無故障測定を可能とするために、考えられる周波数成分の近傍またはそれ未満での寄生周波数の寸断を回避する必要がある。したがって、エネルギ伝送に対する監視アルゴリズムを停止して、系を安定状態に保たなければならない(停止した直流グリッドの電流または電圧の支配)。所望の動作点したがって電流I
0に到達したとき、変換器の指令のデューティ比α
0は、インピーダンス分光分析が動作点周りで行われるように固定される。
【0050】
負荷に関して遷移状態にあるケースでは、負荷の電圧(即ち、直流グリッドの電圧)はその参照値から離れることがある。直流グリッドの電圧の安定性に優先度が与えられる場合には、振幅が大きい遷移が現れたときにインピーダンス分光分析を停止して、それに関連する支配を再起動することによってエネルギ伝送の監視を再開するのが適切であろう。
【0051】
この条件は、直流グリッドの電圧を測定することによって容易に実現される。
【0052】
インピーダンス測定の状況では、マイクロ・コントローラ10のA/DC機能によって行った取得アナログ信号Ialt_out、Valt_outの標本化により、アンチエイリアシング現象を回避しつつ、かつ、マイクロ・コントローラに過負荷をかけないように、十分に忠実なデジタル信号を取得できるようにしなければならない。
【0053】
変換器1のカット周波数は、スイッチのスイッチング周波数であり、F
PWM=1/T
PWMであって、デューティ比の調整周波数を定義し、したがって、分光器に使用される励起信号の調整限界を定義する。
【0054】
したがって、標本化周波数はF
PWMより大きい必要はない。したがって、パルス幅変調から生じた測定すべき信号とそのスペクトルは本質的に、x軸を周波数としy軸を振幅とした
図9aのグラフに示すように形成される。当該振幅は、プログラム信号の周波数f
i(励起周波数)にある主線と、アンチエイリアシング・フィルタリングでは排除困難な周波数F
PWMにある有意振幅線と、周波数F
PWM±n*f
iにある幾つかの低振幅線から構成される。
【0055】
上記の課題は、標本化周波数を2*F
PWMを超えて押し戻し、デジタル・フィルタリングの後に標本化信号を場合によっては第2のステップで間引き(または二次標本化)することによって解決することができる。この戦略には、計算負荷が大幅に増大し、より大型のしたがってより高価な電力マイクロ・コントローラが必要になるという欠点がある。
【0056】
ここで検討する実施形態で使用する標本化原理により、低標本化周波数F
e=F
PWMを保存しつつ調波を排除することができる。
【0057】
これは、先ず、F
e/2より大きい周波数ではあまり問題にならない低振幅調波を排除する部分アンチエイリアシングアナログフィルタリングを実施することから成る。部分アンチエイリアシング・フィルタリングの後に測定される信号(Ialt_outまたはValt_out)のスペクトルを
図9bに示す。このフィルタリング機能は、
図6Aおよび
図6Bを参照して説明したアナログ測定電子機器によって実施される。
【0058】
次に、標本化がスイッチT
1、T
2のスイッチングと同期して行われる。これにより、0Hzに等しい周波数で、F
PWMに位置する線のエイリアシングを較正し、当該エイリアシングがインピーダンス分光器(f
i)に有用な励起線の測定を妨げないようにすることができる。周波数F
e=F
PWMで標本化した信号のスペクトルを
図9cに示す。矢印Rは、F
PWMに位置する線の、0Hzへのエイリアシングを示す。
【0059】
したがって、臨界Nyquist周波数F
e/2により制限される離散フーリエ変換(DFT)の正当領域VALは、励起周波数f
iにある線と間隔T
e=T
PWM内の標本化モーメントに依存する直流成分とのみを含む。したがって、電圧および電流周波数f
iにある線をDFTのエラーなしで測定することができる。
【0060】
図10は、時刻tを示す同じx軸に対して、調整信号の発生(曲線100)、スイッチT
1の指令信号(曲線101)、ソースS内の電流(曲線102)、およびF
e=F
PWMで標本化した信号を示す。
【0061】
曲線100を参照すると、カウンタおよび比較器を使用してF
PWMおよびデューティ比αが調節され、それにより、
図10に示すように電流の変動を制限することができる。
【0062】
曲線101は、曲線100の周波数F
PWMおよびデューティ比αの値に対して取得した指令信号スイッチT1を示す。
【0063】
曲線102は、かかる指令信号の印加から生ずるソース内電流を示す。
【0064】
曲線103は、スイッチが行うカットと同期した標本化のケースにおいてF
e=F
PWMで標本化した信号を示す。
【0065】
取得した信号を、低標本化周波数を必要とする低周波数励起信号のケースにおいて、エイリアシングのリスクなしに二次標本化してもよい。
【0066】
ここで検討する実施形態では、単一のプロセッサが電力変換器を監視するために、かつ、インピーダンス分光分析に対して使用され、それにより、ハードウェアとソフトウェアの動作を最小限にすることができる。
【0067】
上述のように、統合分析アルゴリズムのタイミングを、変換器(F
PWM)のスイッチのスイッチング周波数に等しい標本化周波数F
eにより取る。この取得の全ては周波数F
E=F
PWMで行われ、場合によっては次いで二次標本化を行う。
【0068】
励起周波数f
iに厳密に従うことができるようにするために、後者を以下の関係により定義する。即ち、
【0070】
である。ここで、N
pts_spectは測定すべき信号の期間ごとの点の数であり、kは整数であり、線の周波数を定義できるようにするものである(k≧1)。積k・N
pts_spectは、アルゴリズムの16ビット符号化を保つため(および32ビット符号化により生ずるCPU負荷の増大を防ぐため)に2
16に制限される。このケースにおける観測可能な周波数領域はしたがって、
【0072】
により与えられる。
例えば、F
e=20480Hz、N
pts_spect=20とすると、
【0075】
エネルギ伝送を監視するためのアルゴリズムが停止されると、上述のように、考えられる周波数帯で連続的な周波数が選択され動作点を定義する直流I
0に重ね合わせられた、一定の振幅の電流を投入することによって、ソースSの励起が行われる。
【0076】
励起電流が、その振幅とその周波数に従うことを保証する比例補正器(P)により監視される。当該励起電流を監視するデューティ比d
αの指令が、動作点をI=I
0に調整した後に一定に保たれる値α
0に重ね合わせられる。
【0077】
対応する支配原理を
図11に示す。
重ね合わせられる交流I
alt_out_refの周波数を、考えられる周波数線の周波数f
iにより定義する。その振幅I
maxはソースの名目電流I
0と比べて比較的低く定義され(例えば、I
maxはソースの名目電流の1%から10%の間である)、当該線と無関係に不変のままである。I
alt_out_refは、角度精度2π/1000および振幅精度1/500
thである予め計算された正弦曲線信号のテーブルから構築される。
【0079】
励起周波数ごとに、電圧V
alt_outおよび電流I
alt_outの値が、励起周波数により以下のパラメータを定義することによって測定される。即ち、測定期間の数と、期間ごとの点の数(N
pts_spect)である。
【0080】
期間ごとの一定数の測定点で、分光分析に使用される信号の標本化周波数は線の周波数、したがってkの関数として変化する。即ち、
【0082】
したがって、分光分析に対して、考えられる線の周波数f
iの関数として、信号がF
eで標本化され、次いで二次標本化される。
【0083】
数kにより、(線の周波数が変化したときでも、期間ごとのNpts_spect個の点を常に有するように)二次標本化を線の周波数の関数として調節することができる。
【0084】
整数個の期間(複数可)における取得の前にバッテリを励起することによって、投入の開始またはその周波数の変化に起因する遷移現象が測定されるという潜在的なリスクを排除することができる。
【0085】
図12、
図13は、それぞれ、x軸上の標本数およびy軸上のアナログ/デジタル変換のデジタルな結果とともに、5つの期間、期間ごとに20個の点で、それぞれ1024Hz、0.32Hzの励起周波数で取得した電圧(V)および電流(I)の交流成分の測定結果を示す。
【0086】
特に、周波数F
PWMの調波の排除を効果的に行えることに留意されたい(
図8の曲線で確認できる揺らぎは
図12と
図13の曲線では排除されている。当該曲線は、準正弦曲線である)。
【0087】
上述のように、それぞれの電流線と電圧線はDFTにより測定信号から抽出されている。周波数f
iでの励起に続いて取得された信号のN個の標本により、階数k
hおよび周波数f
iの調波の実部と虚部を取得することができる。当該励起周波数を有する線の階数k
hはまた、測定期間の数を表す(即ち、N=k
h・N
pts_spectが、期間ごとの標本数に期間の数を乗じたものに等しい標本の総数である)。即ち、
【0089】
である。次いで、インピーダンスが電流と電圧の複素表現から推定される。即ち、
【0092】
当該計算はスペクトルの線ごとに行われる。したがって、所望のスペクトル幅を走査するように選択された異なる周波数f
iでソースが連続的に励起され、I
alt_outおよびV
alt_outが測定され、これらの周波数の各々のインピーダンスが計算され、考えられるスペクトル幅に対してインピーダンス・スペクトルを構成することができる。
【0093】
産業界において、本発明を、電流プロセッサを備えるマイクロ・コントローラにより低コストで実装することができる。
【0094】
本発明により、インピーダンス値の正確な測定が可能となる。本発明は特に、オンボードのエネルギ源のケースで興味深いものである。なぜならば、測定をそのままで実施できるからである。