【文献】
J.C. Rodrigues et al.,"Calibration of near infrared spectroscopy for solid fat content of fat blends analysis using nuclear magnetic resonance data",Analytica Chimica Acta,2005年 7月15日,Vol. 544, No. 1-2,pp. 213-218
【文献】
RUTLEDGE D. N.,MAGNETIC RESONANCE IN FOOD SCIENCE: A VIEW TO THE FUTURE,THE ROYAL SOCIETY OF CHEMISTRY,2001年,P179-192
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
1つの態様では、本開示は、生物学的生産工程の1つまたは複数のステップにおいて物質を評価する分析手法に関する。
【0020】
近赤外線(NIR)分光法は、医薬業界では原材料を特定するために
11, 12、また生物製剤
13-21の製造において上流ステップのモニタリングをするために広く使用されている。化学および医薬業界ではNIRを工程制御にも多く適用している
20, 22, 23。NIRは明確で堅牢な分光手法として受け入れられているが、生物由来製剤の製造と研究においてより広域で採用されるためには依然として障害がある。化学者または化学エンジニアの視点では、主たる制限は、化学的直観によりスペクトルを解釈することの困難にある。ある工程が所望通りに実施されていないことを知るだけでは多くの場合不十分であり、その理由が特定されねばならない。
【0021】
1つの態様では、本開示は、NIRの直観的欠点に対処するように、プロトンNMRを使用してNIRスペクトルを解釈する手法を提供する。いくつかの実施形態では、因子分析の後に外部変数を用いてNIRとNMRを組み合わせるか、またはNIR対NMRとして、NIRの波長を選択しNIRオンリーモデル原材料モデルに含める手法を実施する。
【0022】
細胞培養系の生産は、培地と供給原料の主要な栄養素のレベルと質に敏感であり得る。最近の刊行物には、バイオ医薬製品のばらつきの有意な原因となる複雑な栄養混合物中の主要成分を正確に示す高分解能NMRとLC−MSの使用が記載されている
24, 25。類似の手法はビールの品質分析でも報告されている
26, 27。混合物中のどの化合物が主として生産に影響を与えているかについて詳細な情報を持っているにもかかわらず、この知識を日常的に使用できる堅牢な分析試験法に変換することは尚も困難である。具体的には、現行の規制ガイド文書の解釈を満足させるには、原材料の出荷物は、使用できるようになる前にそれぞれ確認されなくてはならない。細胞培養工程では、各製造運転につきそれぞれ試験を必要とする数百もの異なる化学物質、クロマトグラフィー樹脂および製品に接触する物品が存在し得る。試験量(volume)を管理するためには単純な機器操作と最小限の試料取扱いが必要とされる。分析方法は、生産環境における厳しい締切に合うように強力である必要もある。高分解能NMRなどの手法は、定期的なメンテナンスを必要とするので、ルーチン運転をサポートするには繊細すぎる。
【0023】
1つの態様では、本開示は、原材料に関する工程知識を効果的な操作法に変換する方法を提供する。いくつかの実施形態では、粉末原材料と溶液のNMRおよびNIRスペクトルにおける類似の情報内容を使用して、強力で有意味なNIRオンリー試験法を得るのに必要とされる波長を予測する。原材料の品質について偽陰性率を低下させるとともに警戒を増大させる必要性により、原材料のNIRオンリー原材料スクリーニング法を支持する新しい戦略が求められている。
【0024】
既知組成の生物製剤の細胞培養栄養粉末は典型的には10から40の物質からなる。製造に影響を及ぼし得る欠陥のある原材料バッチを見つければ、生産チェーンにおいて早期に情報が提供され、調節が可能かもしれない。第1に、供給業者と一緒に既知の問題の発生率を低下させることが可能であり得る。第2に、設計スペースの調節が可能であり得、それによって既知の原材料の問題が補正されよう。最後に、特定ロットの原材料が回避され得る。これらの対応は、最終結果としてより良い製品の品質および制御が得られるので、それぞれ価値を付加するものである。さらに、当該技術は、天候変化から生じるサプライチェーンの破損により適切に対応する、より柔軟な製造工程を創ることとの重要な結びつきをもたらす。
【0025】
原材料制御の問題は既知組成の原材料により容易になったものの、現行のGMP CFR規定に基づき、新たに受領した原材料ロットに対しそれぞれID試験を行う必要がしばしばある。しかし、法律上の狭小な確認試験基準に加えて、原材料のばらつきが生産品質と工程の一貫性に及ぼす影響を予測する能力のある試験法も求められている。確認試験の要件を満たし、新しく入ってくる他の点では適格な原材料ロットを直接的または間接的に測定することができる方法を開発することにより、不適格な原材料を検出する確率とともに製品品質を確保する能力も向上する。
【0026】
いくつかの実施形態では、ID試験はGO/NO GO試験を指す。ID試験をより情報を提供できるものにする課題は、材料の良し悪しを判断する重要な属性(複数可)を見出すことである。そのような基準および/またはスペクトルのどの部分が材料の重要な性質を反映するかを見出すために、相関法を実施して、原材料の重要な性質/化合物およびスペクトルのどの部分がその傾向を反映する兆候を示すかを特定できる。外積分析または逐次PLSの場合、どちらもスペクトルの重要な部分の特定(波長選択)に使用される。この知識を用いて分析法を実行し、予測性能に基づきGO/NO GO決定を得るのを補助することができる。いくつかの実施形態では、この情報は、ベストプラクティス準拠に必要なID試験基準も支持し得る。
【0027】
近赤外線分析
NIR(近赤外性)は、選択的であり試料調製を要しないため、製造工程のID試験にとって魅力的であり得る。定性的であれ定量的であれ、複数の波長を対象の特性と関連づける回帰モデルが開発されると、操作者は高度な訓練なしに新たなスペクトルを得ることができる。モデルは対象の何らかの変数に対し部分最小二乗法(PLS)を使用して開発されることが多く、IDを予測するかまたは値を計算する。
【0028】
NIR吸収スペクトルは、典型的には各波長の複数の試料成分由来の信号を含む。信号は、有機化合物、温度またはイオン強度などの水素結合に影響を及ぼす要因、および粉末試料を測定する場合は光散乱から生じる。結合バンドと倍音の間のモル吸光率における大きな差に加えて、NIR分光計は、関心のスペクトル範囲全体で限定的および可変の光源強度を有する。従って、シグナルノイズ比はスペクトル全体で大幅に変動し得る。ノイズに支配された波長が削除されるとより強力なNIRモデルが得られることが広く報告されている。波長を選択する様々な戦略が記載されており、これにはマニュアル、知識ベースの方法、回帰手法、遺伝的アルゴリズムなどの自動波長領域セレクターおよび間隔選択法が含まれる
28。このなかでは遺伝的アルゴリズムが最も高性能であるが、化学的知識に基づき容易に解釈することはできない。それよりも原材料用途に関し問題となるのは、強力な定量化と低偽陰性率に対する必要性の間のバランスである。標準的な手法は、もともと乏しい原材料用途の試料の制約を受ける。工程をしっかりと理解するために原材料のベンダーロットで十分な経験を積むには何年もかかり得る。そのような長期スパンで生じ得る原材料の全種類の変化を予測することは不可能である。
【0029】
試料が以前に見たもののどれとも違ってはいるが、個々の成分のレベルが許容可能なので許容可能である場合、エラーの危険性が大いに残る。いずれの場合も、操作上の問題は、原材料のIDと特徴決定にNIRのような分光法を使用したことによる警戒増大と明らかにつながりがある。
【0030】
ツールの利用可能性、およびNIRの情報内容とNMR(核磁気共鳴)の情報内容とを関連付ける化学的直観にもかかわらず、高分解能NMRとNIRのデータ融合は報告されていない。本開示は、必要とされる独自のデータ処理戦略、および設計した実験的混合物と生物製剤の製造で原材料として使用される実際の複雑な栄養剤のスペクトルとを用いるNIRとNMRの組み合わせに由来する、必要かつ有益な独自のデータ処理戦略を提供する。いくつかの実施形態では、OPA(外積分析)または逐次PLS(部分最小二乗)モデルから得られたVIPプロット(射影変数の重要度)と回帰ベクトルの情報を組み合わせることにより、NIR波長は製品収量と明確に正または負の相関関係とされ、NMRを用いて混合物の特定成分にリンクされる。本開示はまた、NIRとNMRスペクトルの組み合わせに基づく増強されたNIRオンリーの波長選択も提供する。
【0031】
1つの態様では、本開示は、(生物学的)試料を分析するためにNIRとNMR分光手法を組み合わせる方法を提供する。NMRは強力な技術であり、試料(例えば生体試料または製品合成試料)の定性的および定量的な組成の決定を補助することができる。しかし、洗練された機器が必要とされ、操作者の広範な訓練もあるので、NMRは生物学的生産工程の前またはその間のルーチンの材料分析に簡単に実施することができない高価な技術である。NMRに対し、NIRは試料中の1つまたは複数の成分の存在を素早く分析し、その試料の評価ができる廉価な手法である。例えば、NIRスペクトルは、試料に光ファイバーを加えることによりほぼ連続的に得ることができる。しかし、複雑な試料(例えば3または4種類以上の成分を有するもの)をNIR単独で分析する能力は、本開示以前は限られていた。
【0032】
NMRとNIRデータの融合分析
1つの態様では、本開示は、データ融合分析の方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、NMR実験で得られたデータとNIR実験で得られたデータを融合する方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法はNMR実験で得られたデータの分解能の向上を可能にする。いくつかの実施形態では、方法はNIR実験で得られたデータの分解能の向上を可能にする。いくつかの実施形態では、方法はNMRとNIR実験の両方で得られたデータの分解能の向上を可能にする。
【0033】
NIRとNMRは共通して分光特徴を有するため、データ融合には適している。いずれの手法も、同様の分析感度でプロトンの物理的および化学的環境を調査する。NIRにおける振動の時間尺度は、NMR中に誘導される磁気相互作用よりも有意に速いが、この2つの手法に共通する物理的基礎(分子内の原子の相対的位置)により、この2つの手法を組み合わせることが可能である。いくつかの実施形態では、本開示は、プロトンNMR核スピンの遷移と分子の電磁スペクトル依存性振動運動の関係を利用する方法を提供する。NMRスペクトルを同時獲得しながら分子を特定の振動周波数で照射すると、その振動周波数と関連する特定の結合の化学シフトおよび/または線幅拡大のいずれかの変化がプロトンNMR信号に観察され得る。NMRスペクトルを獲得しながらこれらの分子特異性振動モードを刺激することにより、NMRで追加の分子特異性を与える方法が得られる。
【0034】
いくつかの実施形態では、本開示は、プロトンNMRを用いてNIRを解釈する分析法を提供する。該分析は、この2種類の分光法の強さ、限界、感度および選択性の多面的な類似性に基づく。いくつかの実施形態では、本開示は、NIRを利用してNMRスペクトルを改善する(逆もまた同様)方法を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書の方法により得られた改善点は、改良されたシグナルノイズ比、増強された選択的定量的NIRモデルおよび/または直観的NIRスペクトルの解釈を含む。1つの態様では、本開示は、NIRとNMRの関係を利用して装置ノイズのばらつきをNMRスペクトルから除去する方法を提供する。
【0035】
1つの態様では、本開示は、生体試料を評価する方法を提供し、該方法は、試料の核磁気共鳴(NMR)分析を行ってNMRスペクトルを得ること、試料の近赤外線分光法(NIR)分析を行ってNIRスペクトルを得ること、およびデータ融合分析を行ってNIRスペクトルを評価することを含む。
【0036】
1つの態様では、本開示は、生体試料を評価する方法を提供し、該方法は、試料の近赤外線分光法(NIR)分析を行ってNIRスペクトルを得ること、および参照NMRスペクトルとのNIRスペクトルのデータ融合分析を行うことを含む。
【0037】
1つの態様では、本開示は、生体試料を評価する方法を提供し、該方法は、試料の近赤外線分光法(NIR)分析を行ってNIRスペクトルを得ること、およびNMRスペクトルとのデータ融合分析で特定されたNIRスペクトルの一部分を分析することを含む。
【0038】
1つの態様では、本開示は、生体試料を評価する方法を提供し、該方法は、試料の近赤外線分光法(NIR)分析を行って、NIR波長のサブセットのNIRスペクトルを得ることを含み、該サブセットはNMRスペクトルとのデータ融合分析で特定されたものである。
【0039】
本明細書に提供する方法のいくつかの実施形態では、データ融合分析は、外積分析(OPA)を含む。いくつかの実施形態では、OPAは、NMRスペクトルをNIRスペクトルで乗じることを含む。
【0040】
1つの態様では、OPAは、射影変数の重要度(VIP)と回帰ベクトルの積としての結果を分析することにより使用される。回帰ベクトルとVIPベクトルを乗じることにより、より理解しやすいスペクトル評価が得られる。いくつかの実施形態では、結合ベクトルが使用される。射影変数の重要度(VIP)と回帰ベクトルの積は、積のデータおよび/または結果を表示することにより、アルゴリズムの使用を含む積のデータおよび/または結果を比較することにより、分析され得ることを理解されたい。しかし、他の分析手法も使用してよい。
【0041】
1つの態様では、本明細書で使用されるように、OPAは細胞増殖、製品収量または製品品質に重要な代謝産物の比較を可能にする。例えば、製造の列に沿った異なるバイオリアクター拡張ステージの培地試料由来のNMRスペクトルおよび/またはNIRスペクトル間の外積分析は、工程の特定のステップにおいて、最終収量を決定するのに関連し得る主要な生化学工程の特定(例えば視覚化による)を可能にする。
【0042】
いくつかの実施形態では、データ融合分析は、部分最小二乗(PLS)を含む。いくつかの実施形態では、PLS分析は、NIRとNMRデータのxブロックと生体試料の1つまたは複数の成分のyブロックを含む。
【0043】
本明細書に開示のいずれの方法においても、データ融合分析またはその成分(例えばOPAまたはPLS)、または前処理ステップは、コンピューターで実行されるステップであり得る。
【0044】
1つの態様では、本開示は、NIRスペクトルにおいてピークを割り当てる方法を提供する。いくつかの実施形態では、NIRスペクトルにおけるピークは、NIRスペクトルのピークをNMRスペクトルのピークと相関させることにより、割り当てられる。
【0045】
1つの態様では、本開示は、NIRスペクトルにおいて関心領域を特定する方法を提供する。いくつかの実施形態では、NIRスペクトルにおける関心領域は、NIRスペクトルのピークをNMRスペクトルのピークと相関させることにより、割り当てられる。いくつかの実施形態では、NIRスペクトルの関心領域は、生物学的に関連のある分子の特定を可能にする。
【0046】
1つの態様では、本開示は、NMRスペクトルにおいて得られたデータとのデータ融合分析を実行することにより、NIRスペクトルにより得られたデータを改良する方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、試料のNMRとNIRスペクトルの外積分析(OPA)を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の方法は、NIRの特定の振動信号をNMRスペクトルの化学シフトと相関させることにより、該信号の割当を可能にする。
【0047】
1つの態様では、PLSは、NIRとNMRスペクトルの組に対し順次使用される。予測結果は、NIRもNMRスペクトルも、それぞれの元のスペクトルと比べて、工程収量などの「標識された」結果に対する良好な相関を提供する。特定の機構に制限されるものではないが、この改良は、NMRとNIRそれぞれに存在する装置のまたは化学的ノイズの相対的抑制による可能性が高い。
【0048】
1つの態様では、本明細書に示す方法は、NIR波長割当および選択を実行する戦略として、VIPと回帰ベクトルを結合して使用することを可能にする。
【0049】
いくつかの実施形態では、方法は、試料のNMRスペクトルを得るステップ、同じ試料のNIRスペクトルを得るステップ、およびNMRとNIRスペクトルの各ポイントを乗じて外積データ群を得るステップを含む。いくつかの実施形態では、該データ群を部分最小二乗(PLS)分析のXブロック入力として使用し、試料の既知成分の1つを(PLS分析の)Yブロックとして使用してPLSを実行し、回帰ベクトルと射影変数の重要度(VIP)を得る。いくつかの実施形態では、ベネチアンブラインド交差確認を使用してPLSを実行する。いくつかの実施形態では、回帰ベクトルとVIPを乗じて結合アレイを得る。いくつかの実施形態では、結合アレイは、NIRの特定の振動信号とNMRスペクトルの化学シフトの解析を可能にする。
【0050】
1つの態様では、本開示は、試料のNIRとNMRスペクトルを得るステップ、全スペクトルまたはスペクトルのある特定の領域が前処理される(例えば、標準化および/または尺度化される)NIRおよび/またはNMRスペクトルを前処理するステップ、前処理されたNMRとNIRスペクトルを乗じるステップ、PLSまたはOPAを使用して回帰ベクトルとVIPを得るステップ、回帰ベクトルとVIPを乗じてNIRとNMRスペクトルの相関を得るステップ、該相関に基づいてNIRスペクトルの関心領域を特定するステップ、および所望により、該関心領域を新しい試料を評価する基準として用いるステップの1つまたは複数を含む方法を提供する。
【0051】
1つの態様では、本開示は、試料のNIRとNMRスペクトルを得るステップ、全スペクトルまたはスペクトルのある特定の領域が前処理されるNIRおよび/またはNMRスペクトルを前処理するステップ、前処理されたNMRとNIRスペクトルを乗じるステップ、PLSを使用して回帰およびVIPを得るステップ、回帰とVIPベクトルを乗じて情報を組み合わせるステップ、結合ベクトルに基づいてNIRスペクトルの関心領域を特定するステップ、および所望により、選択された波長領域に基づいて新規のNIR法を創造するステップを含む方法を提供する。
【0052】
1つの態様では、本開示は、試料のNIRとNMRスペクトルを得るステップ、全スペクトルまたはスペクトルのある特定の領域が前処理されるNIRおよび/またはNMRスペクトルを前処理するステップ、NMRポイントをyブロックとしNIRスペクトルをxブロックとするかまたはその逆としてPLSを実行するステップ、VIPを乗じた回帰ベクトルのマップを分析してNIRとNMRの相関を強調するステップ、結合ベクトルに基づいてNIRスペクトルの関心領域を特定するステップ、および所望により、選択された波長領域に基づいて新規のNIR法を創造するステップを含む方法を提供する。
【0053】
いくつかの実施形態では、分析される1つまたは複数のスペクトルのデータが(例えばデータ融合分析の前に、またはその一部として)前処理される。いくつかの実施形態では、データを標準化(例えば1に標準化)および/または尺度化する(例えば、強度が0から1の範囲となるように尺度化する)。いくつかの実施形態では、スペクトル(例えばNMRスペクトル)は標準化(例えば総面積に標準化)および/またはベースライン相関(例えば加重最小二乗法(WLS)を用いて)および/または平均中心化(mean-centered)され得る。いくつかの実施形態では、スペクトル(例えばNIRスペクトル)は補正(例えば拡張多重散乱補正(EMSC)を用いて)および/または標準化(例えば総面積に標準化)および/または平均中心化される。いくつかの実施形態では、スペクトルを最小0、最大1となるように移動および標準化することにより、外積分析(OPA)のデータを準備する。しかし、他の前処理ステップ(例えば他の補正、標準化、尺度化および/または中心化)手法もいくつかの実施形態では使用され得ることを理解されたい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるように、次元乗算前のデータ前処理が便利である。
【0054】
NMR結果はある成分を定量化するのに使用され、その結果はNIRモデルの基準データとして使用されている(L. Andreade, I.A. Farhat, K. Aeberhardt, S.B. Engelsen, Food Biophysics 3, 33, 2008)。磁気共鳴画像法はNIR画像法と関連付けられ、どちらの方法も生体試料の血中酸素分布について類似の結果を提供することが示されている(Y. Chen, D.R. Tailor, X. Intes, B. Chance, Physics in Medicine & Biology 48, 2003, 417)。タイムドメインNMR(TDN)とNIRを比較すると、この2つの手法の外積が相関していることが示された(D.N. Rutledge, A.S. Barros, R. Giangiacomo, Spec. Publ. - R. Soc. Chem. Special Publication - Royal Society of Chemistry 262, 179, 2001)。
【0055】
アブイニシオ計算によると、振動性およびNMR結果を組み合わせてNMRスペクトル予測計算を改善することができることが示されている(K. Ruud, P.-O. Astrand, P.R. Taylor, Journal of the American Chemical Society 123, 4826, 2001)。固体mid−IRと固体NMRが、表面ヒドロキシル結合の異なる化合物について、振動周波数とNMR化学シフトを相関させるのに使用されている。(E. Brunner, H.G. Karge, H. Pfeifer, Z. Phys. Chem. (Munich): Zeitschrift fuer Physikalische Chemie (Muenchen, Germany) 176, 173, 1992)。
【0056】
しかし、生物学的増殖および発現システムの出発原料、または増殖および発現システムそのものの試料などのより複雑な生体試料を分析し評価するためにNIRまたはNMRスペクトルを処理するのにデータ融合手法は使用されていない。
【0057】
NIRスペクトルの予測
1つの態様では、本開示は、NIRスペクトルを予測する方法を提供する。いくつかの実施形態では、NIRスペクトルを予測する方法は、試料のNMRスペクトルを得ること、同じ試料のNIRスペクトルを得ること、および本明細書に提供される方法に従ってスペクトル前処理を実行すること、を含む。いくつかの実施形態では、前処理済NMRスペクトルを逐次PLSにおいてxブロックとして使用し、前処理済NIRスペクトルをPLSにおいてyブロックとして使用する。いくつかの実施形態では、次のステップでNIR波長のそれぞれについて潜在変数PLSモデルを計算し、予測NIRスペクトルの組を得る。いくつかの実施形態では、予測NIRスペクトルを逐次PLSでxブロックとして使用し、試料の既知成分の濃度を逐次PLSのyブロックとして使用する。いくつかの実施形態では、PLSにより得られた予測NIRスペクトルにより生体試料の良好な解釈が可能になる。
【0058】
生体試料の分析
1つの態様では、本開示は、生体試料を分析する方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、生物学的生産工程を評価する方法を提供する。いくつかの実施形態では、生体試料または生物学的生産工程の分析は、生体試料中の1つまたは複数の成分の存在を決定することを含む。いくつかの実施形態では、生体試料の分析は、生体試料中の1つまたは複数の成分の量を決定することを含む。本明細書に提供されるある特定の方法により多様な生体試料の分析が可能になることを理解されたい。本明細書では、生体試料とは、生物学的生産工程の1つまたは複数の成分を含む試料を意味する。例えば、生物学的工程は、細胞生産系(例えば、任意適当な細菌、酵母、哺乳類、昆虫または他の細胞株を用いる)における1つまたは複数の生体分子の生産であり得る。生体分子は、抗体または他の分子(例えば組換えポリペプチド)であり得る。生物学的生産工程の成分は、糖、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、核酸などを含む。いくつかの実施形態では、生体試料は界面活性物質を含む。いくつかの実施形態では、界面活性物質はプルロニックF68である。
【0059】
いくつかの実施形態では、分析する試料は、生物学的合成に使用される1つまたは複数の成分を含むかまたはそれらからなる(例えば、主としてそれらからなる)。成分は、細胞成長に有用な原材料、例えばアミノ酸、ペプチド、糖、炭水化物、ビタミン類、増殖因子、塩、合成材料、抗生物質、界面活性物質、バッファーまたは他の材料またはそれらの任意の組合せであり得る。いくつかの実施形態では、試料は乾燥型であり得る。いくつかの実施形態では、試料は液体型(例えば水溶液または懸濁液)であり得る。いくつかの実施形態では、試料は、NMRおよび/またはNIR分析前に処理され得る(例えば、追加成分の添加により、または濃縮若しくは希釈により、適切なバッファーまたは液相などの添加による)。
【0060】
生物学的製造工程における原材料ロットのロットごとのばらつきは、バイオテクノロジーと関連業界に常時製造リスクを提示する。材料(ほぼ完全に水溶液)についての情報を得るための分析法がいくつか使用されているが、これらの方法ほとんどは、このようなばらつきを理解し制御するのを助けるような実用的なルーチンの試験を提供できるほど強力ではない。
【0061】
NIRは、乾燥粉末材料および濃縮有機原材料を特定することが周知であり、それに広く使用されている。NIR分光計は堅牢で操作が簡単であり、メンテナンスも容易である。しかし、NIR分析では水は分析対象の化合物や成分と相互作用してNIRの感受性を強力に減ずるので、NIRは典型的には水溶液には適用されない。
【0062】
NIRとは対照的に、NMRははるかに精密な分析計器を有し、NMRはルーチンの(生物学的生産工程における)原材料分析には一般的に使用されていない。
【0063】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供する方法は、一定の時間かけて同一の原材料の液体調製物のNMRおよびNIRスペクトルを得ることにより、NIRスペクトルから得られたスコアに基づきNMR負荷量(loadings)プロットに投影するステップを含む。従って、原材料の未知ロットにおける特定成分のレベルの増加がNMR結果に基づき特定され得、原材料の新ロットが製造プラントで使用可能かどうか検証するのに必要な任意の追加のフォローアップ分析試験の時間を節約できる。
【0064】
NIRを品質管理および工程監視ツールとして使用する主な限界は、混合物の異なる成分のスペクトルが重複するので、試料間の化学組成の差異についての情報がNIRスペクトル検査により効果的に演繹できないことである。NIRスペクトルは、何かが異なっていることは示すが、予備知識なしに何がその差をもたらすかを示すことはできない。本明細書に提供される方法によると、NIRスペクトルの差異をNMRスペクトルに関連づけることにより、NIRの差異を説明する根底にある化学変化が追加の分析なしに決定された。
【0065】
いくつかの実施形態では、生体試料の評価は、生体試料中の1つまたは複数の成分の存在を決定することを含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の成分の存在は、試料の品質および/または特定の生物学的製造工程の進行と相関し得る。本明細書に提供する方法により分析され得る成分は、糖、アミノ酸、核酸などを含む。たとえば、最適な生物学的生産工程では、生物学的生産工程の開始時に特定量のグルコースが存在していることが望ましいかもしれない。するとグルコースの存在および/または量を決定することで生体試料の評価が可能になる。例えば、所望の量より少ないグルコースが存在する場合、出発原料のそのバッチは生物学的製造前に不合格とされ得る。
【0066】
いくつかの実施形態では、生物学的生産工程の間、生物学的生産工程の進行を監視するのに一成分の量が用いられ得る。従って、例えば、生物学的生産工程の間グルコースが消費される場合、生物学的生産工程の進行中にその生物学的生産工程の開始時と同量のグルコースが存在していることは、その生物学的工程が所望のとおりに進行していないことを示す。さらに、新しい成分の存在は、その生物学的生産工程が計画通りに進行しているかまたは進行していないことを示し得る。従って、生物学的生産工程は、所望の生成物または所望通りに生物学的生産工程が進行しているという指標の発生について監視され得る。一方で、特定の代謝物の存在は、生物学的生産工程において細胞が所望の生成物を産出しているのではなく、例えば、単に増殖しているだけであることを示し得る。従って、生体試料中の1つまたは複数の成分の存在を決定することは、試料を評価し、生物学的生産工程成功率(例えば収量)を予測する一方法である。
【0067】
成分分析は複数の成分にも拡張され得ることを理解されたい。従って、例えば生物学的生産工程は、最適な進行のためにグルコースとフェニルアラニンの両方が3:1の比率で存在することを必要とするかもしれない。試料はこの関係について反応の前または最中に監視され得、観測比率が所望の比率である3:1から逸脱している場合に条件が調節され得る。
【0068】
1つの態様では、本開示は、生体試料を評価する方法を提供し、生体試料の成分のNMR実験を行いNMRスペクトルを得るステップ、生体試料の成分のNIR実験を行いNIRスペクトルを得るステップ(NMRとNIR実験はどのような順序で実施してもよい)、NIRスペクトルとNMRスペクトルのデータ融合分析を行い割当NIRスペクトルを生成するステップ、生体試料のNIR実験を行いNIRスペクトルを得るステップ、および生体試料のNIRスペクトルを割当NIRスペクトルに対し分析することにより、生体試料における生体試料成分の存在を決定するステップを含む。生体試料を評価する方法で使用されるデータ融合分析は、OPAおよびSPLSを含む本明細書に提供するデータ融合分析のどれを含んでもよい。本明細書に提供する方法のいずれにおいても、データ融合分析はコンピューターで実行されるステップであり得る。本明細書に提供する方法のいずれにおいても、決定ステップもまたコンピューターで実行されるステップであり得ることも理解されたい。成分のNMRおよびNIRスペクトルを得るステップとデータ融合分析は同じ時間枠で実行する必要はなく、生体試料の分析と同じ場所でなくてもよいことをさらに理解されたい。例えば、成分分析はいくつかの成分について実施され得るので成分の参照スペクトルライブラリーが生成し得、それを使用して生体試料のNIRスペクトルを成分の存在について分析してもよい。
【0069】
1つの態様では、本開示は、特定の結果を有する試料と関連づけられるスペクトルの参照ライブラリーを生成することにより生体試料を評価する方法を提供する。例えば、生物学的生産工程において良好な収量が得られるとわかっている試料由来のスペクトルを回収し、低収量と関連付けられる試料から参照スペクトルを採取してもよい。次いで未知の試料由来のスペクトルを採取し、参照スペクトルのライブラリーを用いて解釈してもよい。
【0070】
いくつかの実施形態では、NIRスペクトルのライブラリーは、結果が既知である生体試料のNMRとNIRスペクトルのデータ融合から生成される。次に新しい試料のNIRスペクトルをNIRスペクトルのライブラリーのスペクトルと比較して該新しい試料を用いる生物学的生産工程を予測する。従って、いくつかの実施形態では、本開示は、生体試料を評価する方法を提供し、該方法は、所望の試料の第1のNIR実験を行い所望の試料と相関するNIRスペクトルを得ること、非所望の試料の第2のNIR実験を行い非所望の試料と相関するNIRスペクトルを得ること、生体試料のNIR実験を行いNIRスペクトルを得ること、および生体試料のNIRスペクトルが所望の試料のNIRスペクトルまたは非所望の試料NIRスペクトルと相関するかどうかを決定することを含む。いくつかの実施形態では、決定ステップは、コンピューターで実行されるステップである。いくつかの実施形態では、方法はさらに、1つまたは複数のNIRスペクトルと同じ試料のNMRスペクトルのデータ融合分析を行うことを含む。いくつかの実施形態では、データ融合分析は、コンピューターで実行されるステップである。(所望のおよび非所望の試料と相関する)NIR参照スペクトルの生成と、その後のNMRスペクトルとのデータ融合分析は、生体試料のNIRスペクトル生成と必ずしも同じ時/場所である必要はないことを理解されたい。さらに、いくつかの実施形態では、生体試料は、所望の試料のみまたは非所望の試料のみと比較してもよい。
【0071】
1つの態様では、本開示は、生体試料を評価する方法を提供し、該方法は、生体試料のNIR実験を行いNIRスペクトルを得ることと、該NIRスペクトルをNMRスペクトルとのデータ融合分析を経た参照NIRスペクトルと比較することを含む。いくつかの実施形態では、比較ステップは、コンピューターで実行されるステップである。
【0072】
本明細書に提供する予測NIRスペクトルを生成する方法は、生体試料の評価にも使用され得ることを理解されたい。1つの態様では、本開示は、生体試料を評価する方法を提供し、該方法は、生体試料中の1つまたは複数の成分のNIR実験を行い該生体試料の1つまたは複数の成分のNIRスペクトルを得ること、データ融合分析を行い予測NIRスペクトルを生成すること、生体試料のNIR実験を行いNIRスペクトルを得ること、および予測NIRスペクトルを用いて生体試料のNIRスペクトルを評価することを含む。
【0073】
1つの態様では、本開示は、NMRスペクトルを得るステップを含む。本明細書ではNMRとは、ある特定の原子核の磁気特性を利用してそれらが含有されている原子または分子の物理的および化学的性質を決定する分光法を意味する。この技術は核磁気共鳴現象に依拠し、分子の構造、力学、反応状態および化学的環境についての詳細な情報を提供することができる。典型的には、NMRでは、分析する試料を含む溶液が入った管が磁石内に配置される。適当なエネルギーの高周波を試料に照射する。試料管を取り囲んでいるレシーバーコイルが吸収されたラジオ波をモニターする。NMRスペクトルは、試料からのラジオ波信号を観察しながら小範囲にわたって磁場を変化させるまたは掃引することにより、または外部場を一定に保持しつつラジオ波照射の周波数を変化させることにより得られる。いくつかの実施形態では、NMRの全周波数範囲、すなわち全(プロトン)化学シフトを包含して調査する。いくつかの実施形態では、周波数範囲のサブセットのみが調査される。
【0074】
1つの態様では、本開示は、NIRスペクトルを得るステップを含む。近赤外線分光法(NIR)は、電磁スペクトルの近赤外線領域(約800nmから2500nm)を使用する分光法である。近赤外線分光法は、分子の振動の倍音と結合音を基本とする。典型的には、NIR分光計は、光源、検出器および分光素子(プリズムさらには回折格子など)を含み、様々な波長での強度を記録することができる。いくつかの実施形態では、NIRの全周波数範囲、すなわち全ての可能な分子振動が調査される。いくつかの実施形態では、周波数範囲のサブセットのみが調査される。
【0075】
例えば、NIRおよび/またはNMRの周波数範囲の有用なサブセットは本明細書に記載のように特定され得、次いで新しい試料を評価するために分析され得る。
【0076】
本明細書に記載される方法は、任意適当な液体または乾燥(例えば粉末)試料のNIRおよび/またはNMRスペクトルに使用され得ることを理解されたい。いくつかの実施形態では、試料は生物学的培地の材料を含み得る。いくつかの実施形態では、試料は細胞または細胞材料を含み得る。いくつかの実施形態では、試料は生物由来製品(例えば、ペプチド、タンパク質、核酸などまたはそれらの任意の組合せ)を含み得る。いくつかの実施形態では、試料は合成化合物を含み得る。いくつかの実施形態では、試料は評価されている他の材料を含み得る。従って、ある特定の材料またな試料の文脈で本明細書に記載または例示の方法は、他のソース由来および/または他の材料または分子に関連しているデータの分析に使用され得る。
【0077】
1つの態様では、ある特定の方法は1つまたは複数のコンピューターで実行されるステップを含む。いくつかの実施形態では、NMRおよび/またはNIRの情報を分析する方法が提供される。対象の組成物または調製物のNMRおよび/またはNIRデータは、本明細書に記載される1つまたは複数の分析手法を実行するコンピューター上で処理され得る。いくつかの実施形態では、データは1台のコンピューターに保存され得るが、データは他のソースから検索してもよい。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の出力が表示され得る。しかし、必ずしも出力が表示されるわけではない。例えば、いくつかの実施形態では、分析している材料の特徴(例えば、製造用に許容可能または許容不可など)に基づき、出力を用いて信号またはメッセージ(例えば警告メッセージまたは肯定的なメッセージ)を作成してよい。
【0078】
図53を参照すると、本発明の1つまたは複数の態様を実行するための例示的なシステムは、コンピューター1210として、汎用コンピューター装置を含む。コンピューター1210の構成要素としては、限定ではなく、演算処理装置1220、システムメモリ1230およびシステムメモリを含む様々なシステム構成要素を演算処理装置1220に連結するシステムバス1221が含まれ得る。システムバス1221は、様々なバスアーキテクチャのいずれかを使用したメモリバスまたはメモリコントローラー、ペリフェラルバスおよびローカルバスを含む複数のタイプのバス構造のいずれでもあり得る。例として、限定ではなく、そのようなアーキテクチャは、産業標準構成(ISA)バス、マイクロチャネルアーキテクチャ(MCA)バス、エンハンスドISA(EISA)バス、ビデオ電子装置規格化協会(VESA)ローカルバスおよび周辺装置相互接続(PCI)バス(メザニンバスとしても知られる)を含む。
【0079】
コンピューター1210は、典型的には様々なコンピューター可読媒体を含む。コンピューター可読媒体は、コンピューター1210がアクセス可能であり、揮発性と非揮発性媒体、可換型と非可換型媒体の両方を含む、任意の入手可能な媒体であり得る。例として、限定ではなく、コンピューター可読媒体は、コンピューター記憶媒体および通信媒体を含みうる。コンピューター記憶媒体は、コンピューター可読指令、データ構造、プログラムモジュールまたは他のデータなどの情報を記憶するあらゆる方法または技術において実現される、揮発性と非揮発性、可換型と非可換型媒体の両方を含む。コンピューター記憶媒体には、限定ではなく、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリまたは他のメモリ技術、CD−ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)または他の光学ディスク記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置または他の磁気記憶装置、または所望の情報を保存しコンピューター1210によりアクセス可能な任意の他の媒体が含まれる。通信媒体は典型的にはコンピューター可読指令、データ構造、プログラムモジュールまたは搬送波または他の伝達機構などの被変調データ信号中の他のデータを包含し、あらゆる情報伝送媒体を含む。「被変調データ信号」という用語は、その信号内に情報をコード化するように1つまたは複数の特徴を設定または変化させた信号を意味する。例として、限定ではなく、通信媒体は、有線ネットワークまたは直接有線接続などの有線媒体および音響、ラジオ波、赤外線および他の無線媒体などの無線媒体を含む。上記の任意の組合せも、コンピューター可読媒体の範囲内に含まなければならない。
【0080】
システムメモリ1230は、読出し専用メモリ(ROM)1231およびランダムアクセスメモリ(RAM)1232などの揮発性および/または非揮発性メモリの形態でコンピューター記憶媒体を含む。起動中などにコンピューター1210内の構成要素同士の情報伝達を補助する基本的ルーチンを格納する基本入出力システム1233(BIOS)は、典型的にはROM1231に記憶されている。RAM1232は典型的には演算処理装置1220が即アクセス可能なおよび/または現在演算中のデータおよび/またはプログラムモジュールを格納する。例として、限定ではなく、
図53は、オペレーティングシステム1234、アプリケーションプログラム1235、他のプログラムモジュール1236およびプログラムデータ1237を例示する。
【0081】
コンピューター1210は、他の可換型/非可換型、揮発性/非揮発性コンピューター記憶媒体も含みうる。単なる例として、
図53は、非可換型非揮発性磁気媒体から読み出すまたはそれに書き込むハードディスクドライブ1241、可換型非揮発性磁気ディスク1252から読み出すまたはそれに書き込む磁気ディスクドライブ1251、およびCD ROMまたは他の光学媒体などの可換型非揮発性光学ディスク1256から読み出すまたはそれに書き込む光学ディスクドライブ1255を例示する。例示的な動作環境で使用され得る他の可換型/非可換型、揮発性/非揮発性コンピューター記憶媒体としては、限定ではなく、磁気テープカセット、フラッシュメモリカード、デジタル多用途ディスク、デジタルビデオテープ、固体RAM、固体ROMなどが挙げられる。ハードディスクドライブ1241は典型的にはインターフェース1240などの非可換型メモリインターフェースを介してシステムバス1221に接続され、磁気ディスクドライブ1251および光学ディスクドライブ1255は典型的にはインターフェース1250などの可換型メモリインターフェースによりシステムバス1221に接続される。
【0082】
上述した、
図53に例示するドライブとそれらに関連するコンピューター記憶媒体は、コンピューター1210のコンピューター可読指令、データ構造、プログラムモジュールおよび他のデータを記憶する。
図53では、例えば、ハードディスクドライブ1241は、オペレーティングシステム1244、アプリケーションプログラム1245、他のプログラムモジュール1246およびプログラムデータ1247を記憶するものとして例示されている。これらの構成要素は、オペレーティングシステム1234、アプリケーションプログラム1235、他のプログラムモジュール1236およびプログラムデータ1237と同一であっても異なっていてもよいことに注意されたい。オペレーティングシステム1244、アプリケーションプログラム1245、他のプログラムモジュール1246およびプログラムデータ1247は、本明細書では少なくとも異なるコピーであることを示すために異なる番号を付与されている。ユーザーはキーボード1262および一般にはマウス、トラックボールおよびタッチパッドといわれるポインティング装置1261などの入力装置によりコンピューター1210にコマンドおよび情報を入力してよい。他の入力装置(図示せず)は、マイクロフォン、ジョイスティック、ゲームパッド、衛星放送受信用アンテナ、スキャナーなどを含み得る。これらおよび他の入力装置は、システムバスに連結しているユーザー入力インターフェース1260を介して演算処理装置1220に接続されることが多いが、パラレルポート、ゲームポートまたはユニバーサルシリアルバス(USB)などの他のインターフェースおよびバス構造により接続されてもよい。モニター1291または他のタイプの表示装置もビデオインターフェース1290などのインターフェースを介してシステムバス1221に接続されている。モニターに加えて、コンピューターは、スピーカー1297およびプリンター1296などの他の周辺出力装置も含み得、出力周辺機器インターフェース1295を介して接続され得る。
【0083】
コンピューター1210は、遠隔コンピューター1280などの1つまたは複数の遠隔コンピューターと論理接続を使用するネットワーク環境で動作してもよい。遠隔コンピューター1280は、パーソナルコンピューター、サーバー、ルーター、ネットワークPC、ピアーデバイスまたは他の共通ネットワークノードであってもよく、典型的にはコンピューター1210に関して上述した多くのまたは全ての構成要素を含むが、メモリ記憶装置1281だけを
図53に例示してある。
図53に描写する論理接続は、ローカルエリアネットワーク(LAN)1271とワイドエリアネットワーク(WAN)1273を含むが、他のネットワークも含んでよい。そのようなネットワーク環境は、オフィス、企業規模のコンピューターネットワーク、イントラネットおよびインターネットでは一般的である。
【0084】
LANネットワーク環境で使用される場合、コンピューター1210は、ネットワークインターフェースまたはアダプター1270を介してLAN1271に接続される。WANネットワーク環境で使用される場合、コンピューター1210は、WAN1273においてインターネットなどの通信を確立するために、典型的にはモデム1272または他の手段を含む。モデム1272は内部でも外部でもよいが、ユーザー入力インターフェース1260または他の適切な機構を介してシステムバス1221に接続され得る。ネットワーク環境では、コンピューター1210と関連して描写されるプログラムモジュールまたはその一部分は、遠隔メモリ記憶装置に記憶され得る。例として、限定ではなく、
図53は、遠隔アプリケーションプログラム1285がメモリ装置1281にあるのを例示する。図示するネットワーク接続は例示であり、コンピューター間の通信回線を確立する他の手段も使用され得ることを理解されたい。
【0085】
本発明は、以下の実施例によりさらに例示されるが、該実施例をさらなる限定と解釈してはならない。本明細書を通して引用される全参照文献の全容(参照論文、登録特許、公開特許出願および同時継続出願を含む)は、特に上記参照の教示について、参照により明白に本明細書に組み込まれる。
(実施例)
【実施例1】
【0086】
材料および方法
試料および対照
グルタミン(gln)、グルコースおよびフェニルアラニン(phe)は全てSigma Aldrich社から入手したACS試薬グレードであった。d4−トリメチル−シリルプロピオネートをSigma Aldrich社から入手した。D
2OをCambridge Isotopes Lab社から入手した。gln、グルコースおよびpheの試料を表1の要因デザインに従い合わせた。
【0087】
【表1】
【0088】
ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)試料をSigma−Aldrich社またはHyclone社から入手した。水吸着を低下させるため、大気曝露を最小限にした。水分レベルは、カールフィッシャー滴定法(Mettler Toledo)により、試料を105℃に加熱して測定した。
【0089】
NIR獲得パラメーター
NIRスペクトルは、粉末試料用の積分球と硫化鉛検出器を搭載したBruker MPA分光計を用いて得られた。スペクトルは、256スペクトルを用いて得られた参照スペクトルを用いて、分解能2cm
−1で128スペクトルを共付与して獲得した。参照スペクトルは、ドリフトを低下させるために毎時間再獲得した。液体試料は、光路長5mmのキュベットとInGaAs検出器を用いて透過セル内で測定した。試料は獲得6分前に装置内で平衡化させて温度を安定化させた。液体試料は、相分解能32cm
−1で256スキャンを加えた。全てのスペクトルはOPUSソフトウェア バージョン6.5(Bruker Optics社、マサチューセッツ州ビレリカ)を使用して獲得した。
【0090】
NMR獲得パラメーター
NMRスペクトルは、低温プローブを搭載した500MHzのAvance II分光計(Bruker BioSpin社、マサチューセッツ州ビレリカ)を用いて得られた。試料は、1mMのTSPと共に10%のD
2Oを含有した。
【0091】
【表2】
【0092】
収量データ
タンパク質濃度と量の測定に基づき、工程収量と他の製品品質特性を得た。各DMEMベンダーロットを使用して、他の原材料と独自の組合せで1〜9の間の製品バッチを作った。
【0093】
データ処理
ソフトウェア
NMR獲得をTopSpin バージョン3.0(Bruker)を用いて制御した。スペクトルは、スペクトルの実数部(real)65536ポイント、線の広がり0.3、自動位相ベースライン補正を用いて変換し処理した。スペクトルをMatLab バージョン7(Mathworks社、マサチューセッツ州ナティック)に転送してPLSToolbox バージョン3.5(Eigenvector Research社、ワシントン州ワナッチー)で前処理し、部分最小二乗法および主成分分析を実行した。
【0094】
データ融合手法
前処理
NMRスペクトルはまず全面積に標準化し、加重最小二乗法(WLS)を用いてベースライン補正し、最後に平均中心化した。NIRスペクトルは拡張多重散乱補正(EMSC)を用いて補正し、全面積に標準化してから平均中心化した。データをスペクトル移動と標準化により外積分析(OPA)用に準備し、最小値0最大値1とした(コードを
図12〜15に示す)。
【0095】
回帰とVIPプロットの結合
回帰ベクトルと射影変数の重要度(VIP)は2つの異なるタイプの情報を提供する。回帰ベクトルはどの変数がYブロックと正または負の相関があるかを示し、VIPアレイはそのような変数の重要度を示す。両タイプの情報を1つのプロットにまとめるために、2つのアレイを乗じて回帰ベクトルの符号(sign)を保ちながら、VIPアレイの振幅情報を強調する。データ融合する場合、Matlabのimagescグラフ化関数を用いて2次元プロットを画像として表示した。
【0096】
外積分析
図10は外積の流れ図を示す。外積分析は記載どおりに実行した(Rutledge, D. N.; Barros, A. S.; Giangiacomo, R. Spec. Publ. - R. Soc. Chem. Special Publication - Royal Society of Chemistry 2001, 262, 179-192)。NMRとNIRスペクトルの外積は、NMRとNIRスペクトルの各ポイントを乗じて計算した(コードを
図12〜13に示す)。次いでデータ群をPLSのXブロックとして使用し、GLN、グルコースまたはPHEの濃度をYブロックとした。次いでモデルをベネチアンブラインド交差確認で計算した。回帰ベクトルと射影変数の重要度(VIP)を乗じて結合アレイを作成した。コードを
図14に示す。さらに、視覚化および解釈のために、得られたアレイを1次元アレイから2次元マトリックスに変形した。
【0097】
逐次PLS
逐次PLSでは、前処理済NMRスペクトルを逐次PLSにおいてxブロックとして使用し、前処理済NIRスペクトルをPLSにおいてyブロックとして使用した(
図11A)。逐次PLSモデルは3つの潜在変数(LV)を用いて計算した。回帰ベクトル、射影変数の重要度プロット(VIP)および予測を計算モデルから抽出した。次いで回帰ベクトルを展開し、展開VIPを乗じて結合ベクトルを作成した。次いでこのベクトルを再度折り畳んでNMRとNIRスペクトルの相関を示す結合画像を生成した。
【0098】
図11は、NMRスペクトルを用いてNIRスペクトルの特徴を決定するための逐次PLSの使用を例示する流れ図を示す。3LV PLSモデル由来のNIR予測を各NIR波長について計算し、それから1組の予測NIRスペクトルを得た(
図11B参照)。これらの予測を次のPLSのxブロックとして使用し、各試料のPHE、GLNおよびグルコースの濃度をyブロックとして用いた。前処理済NIRスペクトルはPLSモデルでxブロックとしても直接使用され比較に用いられた。コードを
図15に記述する。
【0099】
結果と考察
グルタミン、グルコース、フェニルアラニンのNMRとNIRスペクトル
元のおよび前処理済NMRとNIRスペクトルを
図1と2に示す。水と関連のあるNMRスペクトルは排除している。NIRスペクトルの2番目と3番目の倍音領域のみが含まれる。
【0100】
元のおよび前処理済NMRとNIRスペクトルを
図33と34にも示す。水と関連のあるNMRスペクトルは排除している。NIRスペクトルの結合バンド領域のみが含まれる。前処理済NIRスペクトルはSavitzky−Golayフィルターを用いて15ポイントの平滑化で平滑化した。
【0101】
回帰とVIPプロットの結合結果
外積分析は、混合物の各成分について、どのNMR化学シフトがNIRの特定の振動信号に対応するかを示した。別のモデルでは、3成分の混合物中の成分ごとに明瞭な定性的像が得られた。この情報にアクセスするため、3種類の図式戦略を
図3で比較した。回帰ベクトルとVIPの値を乗じることで、両ベクトルを個別に用いるよりも、NIRとNMRのピーク関係の明瞭な割当が可能であった。この概念を説明するために、PHEモデルの結果から8755cm
−1のNMRプロファイルのスライスを3通りに表示した:VIPプロットを乗じた結合回帰ベクトル、回帰ベクトルのみ、およびVIPベクトルのみ。
図3AはPHEの結合プロットを示す。PHEの化学シフトは、ピークの正符号と高振幅のため明確に区別され得る。
図3BはPHEのみのVIPプロットを示す。ピークの振幅しか見られないので、PHEのピークをグルコースとGLNの化学シフトと区別することが難しい。
図3CはPHEの回帰ベクトルを示す。同様に、この表示ではPHEの相関を決定することが難しいが、これはVIPの振幅の情報がプロット中に欠けているからである。このことは特に、グルコース、GLNおよびPHEのピークが重複し互いに近接している3〜4ppmの領域に見られる。観察すると、回帰ベクトルとVIPを結合したプロットではNMRとNIRプロファイルがより解釈しやすいことがわかる。
【0102】
結果の視覚化
結合した回帰ベクトル−VIPマトリックスを1つの画像とみなすと、より多くの情報がアクセス可能になった。
図4〜6はこのことをPHE、GLNおよびグルコースのOPA−PLSモデルについて例示する。OPAにより不同性データ群を直観的に理解できるようになる。
【0103】
図4Aは、外積のPLS由来の回帰と変数重要度の画像を乗じて得られたVIPと回帰マトリックスを結合した画像を示す。この画像は、強度の変化および完全なOPA−PLSモデル由来の符号を示す。VIP−回帰結合画像をいかに使用するかを理解するために、
図4B〜Eは
図4Aの特定のNIR波長とNMRシフトチャネルを示す。例えば、
図4Bは、8.17ppmに関連するNIRピークはないことを示すが、それはその化学シフトのNMRピークがないためである。しかし、NMRスペクトルの7.43ppmに対応する
図4Cは、NIRにおいて8500と9000cm
−1の間に明瞭なピークを有する。7.43の化学シフトはPHEの芳香族プロトン由来のNIRピークと関連がある。NIRの軸を見ていくと、異なるNMR化学シフトが異なるNIR波長で強調されている。NIR波数8755.81cm
−1に対応している
図4Dでは、PHEに関連するNMRピークは高振幅であり、PLSのYブロックと正の相関がある。8700’s cm
−1台の領域は芳香族の強力な吸収領域としても知られ、そのことはこの方法の信頼性を再確認するものである(Workman Jr., J.; Weyer, L. Practical Guide to Interpretive Near-Infrared Spectroscopy, 1
st ed.; CRC Press: Boca Raton, FL, 2008)。一方、
図4Eは、PHEとは強い相関関係をもたないが、GLNとは2.1、2.4および3.7ppmの化学シフトで相関のある、NIR波数を示す。
【0104】
図5B〜Fは、
図5Aの結合GLNマトリックスのNMR軸とNIR軸に沿ってのスライスを示す。
図5Bは、既知のPHE化学シフトである7.43ppmのNMRのスライスを示し、PHEの結合マトリックスにおける発見を再確認する。波数8500から9000cm
−1は尚もPHEにとって重要である。
図5Cは、既知のGLN化学シフト(2.45ppm)のNIRスライスも示し、8000cm
−1および9700cm
−1付近のピークがGLNにとって重要であることを示す。
図5D、5Eおよび5Fは、3つの異なるNIR波数:8312(CH
2)、8655(芳香族)および9882cm
−1(アミン)に沿ってのNMRプロファイルを示す。各図は、どの化合物がその特定の波数で重要かを示す。
図5DはGLNが、その正の符号と8312cm
−1の高振幅のため、明らかに重要であることを示す。
【0105】
図6A〜Fは、グルコースの類似の結果を示す。
図6Aは、グルコース濃度をPLSモデルのYブロックとして用いた、結合マトリックスの画像である。
図6Bと6Dでは、NIRプロファイルは、3.91ppmと3.49ppmでグルコースとの高い相関を示しているが、これらはグルコースの化学シフトとして知られる。NIRプロファイルは高い正の振幅を有するので、特に8,400および10,000cm
−1のNMR化学シフトと高い相関を示す(CHとCH
2OH;Workman Jr., J.; Weyer, L. Practical Guide to Interpretive Near-Infrared Spectroscopy, 1
st ed.; CRC Press: Boca Raton, FL, 2008)。
【0106】
逐次PLS
回帰ベクトルとVIPをGln、グルコースおよびPheのNMRとNIRを用いて得られた3LV逐次PLSモデルから抽出した。2つのアレイを展開してから乗じ、結合アレイを計算し折り畳んで
図28Aに示すようにプロットした。結合画像は、NMR化学シフトがNIR波数と相関する部位を示す。
【0107】
図28−Bは、グルコースの化学シフトとの正の相関を示す、9350cm
−1のNMR軸のスライスを示す。このバンドは水素結合したO−Hのバンドとして知られるので、グルコースと相関しているのは確かである。同様に、
図28−Cは、Pheの化学シフトとの正の相関を示す、8744cm
−1のNMR軸のスライスを示す。このバンドはC−H芳香族バンドとしても知られる。さらに、
図28−Dは、Glnの化学シフトとの相関を示す、8355cm
−1のNMR軸のスライスを示す。このバンドはC−H
2メチレンバンドとしても知られ、Glnはこのバンドで確かに吸収を有する。同様に、
図28−Eと28−Fは、それぞれ2.14ppm(Glnピーク)と7.43ppm(Pheピーク)のNIRのスライスを示す。このことは、
図4CでPheおよび
図5CでGlnについて示したOPAの結果をさらに確証する。逐次PLSとOPAはいずれもGln、グルコースおよびPheのNMRスペクトルと相関のあるNIRのいくつかの重要な部位を強調している。
【0108】
逐次PLSの結果は
図35にも提供されている。回帰ベクトルとVIPをgln、グルコースおよびpheの混合物のNMRとNIRを用いて得られた逐次PLSモデルから抽出した。2つのアレイを乗じて結合アレイを計算し、プロットして
図35−Aに示した。結合画像は、NMR化学シフトがNIR波数と相関する部位を示す。
【0109】
結合した回帰ベクトル−VIPマトリックスを1つの画像とみなすと、より多くの情報がアクセス可能になる。
図35−Aは、NIR波数と相関するNMRの化学シフトを強調する逐次PLSから得られた回帰とVIPの結合画像を示す。この画像のスライスを採取して
図35−Bおよび
図35−Cに示した。
図35−Bは、NMR軸のスライスを示す。Glnは特徴的NMRピークを2.15ppmに有し、青色で示されている。同様に、グルコースは独特のNMR化学シフトを3.49ppmに有し緑色で示されている。Pheも芳香族領域において7.34ppmに特徴的な化学シフトを有し、赤色で示されている。Glnのプロファイルは4376cm−1で正の相関を示し、これはCONH
2の吸収バンドである。Glnの構造観察から、これはアミノ酸に存在するアミン基の固有の吸収度であろう。また、glnとの正の相関を強調している4235cm−1に存在するNIRピークは、gln構造においても明らかであるC−Hメチレン基によるものとわかっている。
図35−Bに緑色で示したグルコースのプロファイルはまた、CH−CH
2相互作用並びにCH−CC領域においてそれぞれ4312cm−1と4112cm−1で類似の正の相関を示す。さらに、
図35−Bに赤色で強調したPheのプロファイルは、Pheの構造に見られCH−芳香族領域として知られる4056cm−1と4623cm−1の領域において正の相関を示す。この相関は、glnを青色で、グルコースを緑色で、pheを赤色で表す吸収度バンドを示した
図35−CのNIRスライスを観察しても確認できる。GlnはNMR化学シフトを2.15、2.45および3.78ppmに有する。4227cm−1のNIRスライスを分析すると、glnの化学シフトは正の相関に見えるが他の全ての化学シフトはそうではない。グルコースの化学シフトも緑色で強調されて4110cm−1のNIR吸収において正の相関を有し、pheの化学シフトは特に芳香族領域(7.34ppm)で4060cm−1で正の相関を有することが示されている。従って、この方法は、更なる化学的濃度の知識や化合物の情報なしに、どの吸収バンドがどの化合物と相関しているか、およびそれらの個々の化学シフトを強調する正確かつ特定の方法を提供する。
【0110】
逐次PLSモデルは予測NIRスペクトルも生成する。各波長の平均予測NIRスペクトルを
図7に示す。
図2Bの元ののNIRスペクトルと比較すると、予測スペクトルにおいて信号対雑音比が改善され、強度パターンが大幅に再編成されていることがわかる。元のスペクトルに見出されるよりも、予測されたNIR強度の方が不同性の値でクラスター形成が多い。
【0111】
NMRをNIRと組み合わせて使用してNIRスペクトルを予測する影響を表3に示す。元の前処理済スペクトルの代わりに予測NIRスペクトルを用いることで、より良いピアソンの相関係数または過適合の低下、またはその両方のPLSモデルが生成された。表3は、モデルR
2、キャリブレーション平方根平均二乗誤差(RMSEC)、交差確認平方根平均二乗誤差(RMSECV)の値を示し、潜在変数(LV)の数も含む。全3つの化合物の場合、RMSECとRMSECVの値が共に近かったので、予測NIRスペクトルを元のデータの代わりに使用すると高品質のより良いフィッティングモデルが示された。また、予測NIRスペクトルを使用すると、より多くの潜在変数(LV)を確保する能力が得られたので最小限の誤差でより包括的なモデルが得られた。
【0112】
【表3】
【0113】
DMEM例
図8は、DMEMのNMRとNIRの生のおよび前処理済スペクトルの組を示す。1.7から2.6ppmのNMR領域を外積分析に使用し、4000と5029cm
−1の間の領域をNIRに使用した。
【0114】
図9Aは、NIR−NMRの外積結果のPLSから得られたDMEMの回帰ベクトルとVIPの結合とタンパク質収量の画像を示す。
図9Bは、2.44ppmのNMRを示すが、これは既知のGLNの化学シフトであり、4500cm
−1と4700cm
−1の間のNIR領域における高い正の相関を示す。
図9Cは1.92ppmの別のNMRスライスを示し、4790cm
−1から4850cm
−1のNIR領域において高い負の相関を有する。
図9Dと9Fは、それぞれ4296.9cm
−1と4824.4cm
−1のNIRスライスを示し、1.92ppmのNMRピークとの高い負の相関を表している。このことは、この特定のNMRシフトがそれらの2つのNIR吸収領域と負の相関関係にあることを示す。同様に、
図9Eは4653.7cm
−1のNIRスライスを示し、2.44ppmと2.1ppmのGLNのピークとの高い正の相関関係を表している。
【0115】
外積分析(OPA)の結果
図29〜31は、Phe、GlnおよびグルコースについてOPA−PLSモデルおよび結合した表示を使用してNMR−NIRの相関領域を特定する例示である。
【0116】
図29Aは、外積をXブロックとしGln濃度をYブロックとするPLS由来の回帰と変数重要度の画像を乗じて得られたVIPと回帰マトリックスの結合画像を示す。
図29Aでは、強度はNIRでは4010、4325、4380および4762cm
−1、NMRでは2.15、2.45および3.78ppmの領域内の部位で増加する。このことは、
図29BのGlnのスライスの高強度を観察しても明らかである。他の全てのスライスの強度はより低く、これは、それらがグルコースとPheの特徴だからである。同様に、
図29Cでは、Glnの化学シフト(2.15ppm)に対応するNIRスライスは、グルコースとPheに関する他の全てのスライスのうち最も高い強度を有する。また、特定の伸長するNIRバンドがNIRから観察されたが、それらはGlnの構造中に示される異なる結合に対応する(
図29)。例えば、CONH
2の特徴である4380cm
−1の吸収は、Glnでは最高強度で明白に見られる。これはGlnに特有でもあるが、それは、この混合物中それが唯一のCONH
2化学構造を有する化合物だからである。
【0117】
図30Aは、グルコース濃度をYブロックとして得られたOPA−PLSの結合プロットを示す。相関強度は、NIR領域4011、4108、4322および4469cm
−1並びに既知のグルコースのNMR化学シフトで最高である。
図30から、4108cm
−1に関連のNMRスライスは、その波数とグルコースの化学シフトの高い相関を確認する最も高い強度を有する。このNIRスペクトルの領域は、CH伸長の吸収バンドとして知られている。
図30Cは、結合プロットのNIRスライスを示す。このプロットでは、最も高い相関がCH2−CHの伸長領域(4322cm
−1)並びにC−O−C領域(4011cm
−1)に存在しており、いずれも
図30に示すグルコースの構造において明らかである。
【0118】
図31Aは、Phe濃度をYブロックとするOPA−PLSから得られた結合プロットを示す。NIRの高強度領域は、4065、4268、4629および4677cm
−1であり、PheのNMR化学シフト信号を強調している。Pheは特徴的なNMRピークを芳香族領域(7.15ppm)に有することが知られている。このことは、CH芳香族ベンゼン環に特定の吸収度を有するであろうNIRスペクトルにも反映される。
図31Bは、NMRピークが芳香族の4060cm
−1のNIR吸収で最高であるが、グルコースとGln領域では強度が大幅に低いことを示す。
図31Cは、これらのNIR吸収がPheのNMR化学シフトに関連があるという事実も強調するが、それは最高強度が7.15ppmのNIRスライスに属するからである。このことは、ベンゼン環並びにNIRスペクトルで強調されるCH2−CH結合の伸長を有する(4268cm
−1)
図31に表示のPheの構造でも明らかであり得る。
【0119】
図32は、各OPA−PLS結合グラフから得たプロファイルを示す。各NIRプロファイルは、3つの化合物のうちの1つに関連のあるNMRピークを通じて採取した。Glnは2.15ppmで採取し、グルコースは3.49ppmで採取し、Pheは7.34ppmで採取した。
図32ではNIRプロファイル間の区別は明白である。例えば、GlnはCONH
2の高いピークを有し、グルコースはそのすぐ隣のCH2−CH伸長バンドの高いピークを有する。Pheは、図内でも明瞭に観察されるCH芳香族領域に独特の信号も有する。
【0120】
結論
外積分析または逐次PLSを用いるデータ融合は、典型的には生物製剤の細胞培養培地に使用される単純な混合物と複雑な混合物の両方の栄養剤の特定の化学成分にNIR吸収バンドを割り当てる強力な手法である。回帰とVIP画像を組み合わせることにより、これらのベクトルのより典型的な単独の分析法よりも優れた選択性と直観的理解が可能になる。
【0121】
NIRとNMR間の逐次PLSは、NIRスペクトルの予測能力を改善する。NMRの水抑制と粉末NIRスペクトルを組み合わせることで、NIRにおいて水信号を強調解除し、より強力なモデルが可能になる。
【実施例2】
【0122】
プルロニックF68のデータ融合
バイオリアクターでの細胞培養には高生産性を得るために酵素を要する。しかし、空気が入ったり撹拌されると、気泡が同調細胞を溶解し得るので細胞が損傷することがあり、生存細胞数が減少し収量が低下する。細胞の気泡への接着を低減するために、一般に界面活性物質がバイオリアクター工程に添加される。しかし、界面活性物質の構造の差異(例えば、ロット間のばらつき)は、界面活性物質と気泡間の結合自由エネルギーの差異をもたらし得るので、試薬が細胞を保護する能力が変更される。
【0123】
表4は、およそ5年に渡る実動運転を用いた2つの大規模製造工場の平均収量を要約している。プルロニックF68のロット間には微妙な収量差が見られる。NIRまたは融合したNIRとNMRスペクトルと比較した収量データを評価し、プルロニックF68ロットのどの特徴がこれらの差異に影響を及ぼしたかを決定した。
【0124】
【表4】
【0125】
方法:
各プルロニックF68(BASF)ロットの一部分を1%のテトラメチルシラン(TMS)を含有する重水素化クロロホルム(CDCl
3)中に溶解させた。CDCl
3中プルロニックの最終濃度は5mg/mlであった。NMRにおける関心領域は
図37に示すように0.5〜5ppmの間で選択した。NMRスペクトルをラインナップ(Lineup)を用いて前処理し、化学シフトを揃えた。さらに、スペクトルを加重最小二乗法(WLS)を用いてベースライン補正してから
図38に示すように平均中心化した。粉末プルロニックF68試料のNIRスペクトルも、2cm
−1の分解能と128スキャンを用いて得た。
図39に示すように、結合バンドのみを選択した(4000〜4800cm
−1)。スペクトルは、拡張多重散乱補正アルゴリズム(EMSC)を用いて前処理してから
図40に示すように平均中心化した。
【0126】
逐次PLS結合ベクトルの結果
回帰ベクトルと変数重要度プロット(VIP)を逐次PLSモデルから抽出して
図41に示した。得られたプロットは4200〜4450cm−1の間のバンドと3.6ppmの化学シフトにおいてNMRとNIRの高い相関を示す。NMR分析によると、3.6ppmの化学シフトは、
図36に示すプルロニックF68分子の主鎖上のメチレン基による。従って、このグラフは、4200〜4450の間のNIRバンドは主鎖のメチレン基の吸収に対応することを示唆している。
【0127】
プルロニックF68外積分析
プルロニックF68のNMRとNIRスペクトルについて外積分析を実行した。スペクトルは外積前処理アルゴリズム(尺度化と移動)を用いてさらに処理した。次いで280nmの亜鉛総吸収度をYブロックとして、展開プルロニックNIR−NMRデータ群をXブロックとして用いPLSモデルを計算した。得られた回帰ベクトルとVIPベクトルを次いで結合して
図42に表示の結合プロットを生成した。該結合プロットは、3.6ppmのNMR領域とNIR軸の4200〜4450cm
−1の領域でYブロックとの強い相関があることを示す。
【0128】
NIRオンリーモデルにおける波長選択
4200〜4450cm
−1のNIR吸収バンド間の高い相関についての情報は、将来的にはNIRオンリーモデルで波長選択として使用され得る。NIRの重要な部分はNMRによってメチレン基に関すると強調され特定されたので、NIRモデル対収量は、4200から4450cm
−1の間の領域のみに縮小され得る。表5は、波長選択モデル使用間の利点を示す。第1モデルは、4000から9500cm
−1の間の全NIRスペクトルを使用したが、水と水蒸気の領域は削除した。第2モデルは、外積結果により推奨された領域(4200〜4450cm
−1)のみ使用した。両モデルとも同じ前処理(EMSCと平均中心化)を使用した。
【0129】
【表5】
【0130】
表5は、波長選択を用いる新規NIRオンリーモデルは、同じR2と誤差を含むが、少ない潜在変数を用い、使用ポイント数が95%削減されることを示す。このことはより強力で反復可能なモデルを生成するので、NMRにまた頼ることのないNIRオンリーモデルのより多くのルーチン試験への将来的有用性を保証するものである。NIRオンリーPLSモデルでは、新しい確証ロットはモデルの信頼水準の外側にあるので、性能予測の結果は同様に正確でも強力でもない。
図44では、同じ組のプルロニック新ロットが95%信頼水準の内側にあるので、該モデルは確証され、新ロットの性能について予測することができる。該モデルで使用するポイント数も95%削減されるので、あまり計算能力または時間を必要としないがより解釈可能な結果を付加する簡易モデルを生成する。
【実施例3】
【0131】
外積融合実行前のスペクトルデータ融合
この実施例は、2つの次元の乗算前のスペクトル処理が非常に有用であり得ることを示す。第1セットは、古典的な方法を用いて前処理したが標準化や尺度化はしなかったデータ群の比較に関する。第2セットは、同じ古典的な方法を用いた同じスペクトルに関するが、さらに1に標準化し、強度範囲を0〜1の間で尺度化した。
【0132】
スペクトルデータは、濃度の異なるグルタミン(Gln)、フェニルアラニン(Phe)およびグルコースを含む実験のものである。近赤外線(NIR)のほかにプロトン核磁気共鳴(NMR)も獲得した。次いでデータを融合に用い、2つの処理法間の大きな差異が実証された。標準化と尺度化ステップの付加により、外積から展開したデータ群のモデリングに大幅な改善がもたらされる。
【0133】
前処理の古典的な方法は平均中心化ステップを含むので、正のスペクトルデータは全て負の成分をもつようになる。このことは、スペクトルにおける主要な差異を強調し、分解に必要な主要成分の数を減少させる利点はあるが、平均中心化スペクトルの外積がノイズをもたらすのでモデルの性能が低下する。
【0134】
外積分析を実行して得られた3次元マトリックスを展開し、第1次元がスペクトル情報で第2次元が試料数のキューブを生成した。次いで表示
1のように展開データに対し主要成分分析(PCA)と部分最小二乗法(PLS)を実行した。
【0135】
改善度を評価するために、PLSモデルの外積マトリックスの標準化と尺度化ありとなしの結果を表示する。拡張多重散乱補正(EMSC)と平均中心化(mncn)を用いて処理し、次いで15ポイントの平滑化でSavitzky−Golayアルゴリズムを用いて平滑化したNIRスペクトルを
図45に示す。
図46は、Savitzky−Golay法の15ポイント平滑化のほか荷重最小二乗法(WLS)とmncnを用いてベースライン補正した後のNMRスペクトルを示す。
【0136】
最初に平均中心化しておいた外積展開マトリックスのPLS分析実行後、以下
図47に示すベネチアンブラインド交差確認から示唆されるように、2つの潜在変数のみをモデルで使用することができた。モデルは、RMSEC値が0.231、RMSECV値が0.268、R
2値が0.47であった。
【0137】
潜在変数スコアはこのモデルでは十分に分離されていない。
図48の潜在変数スコアと予測プロットに示されるように、予測プロットは大きな誤差を含んでいる。一方、NIRとNMRの標準化および尺度化スペクトルに対して実行したPLSモデルをそれぞれ
図49と50に示す。スペクトルの強度を1に標準化し、強度値の範囲が0から1の間になるように尺度化した。
【0138】
PLSモデルは、
図51に示すベネチアンブラインド交差確認PRESSプロットにより正当化されるように、4成分を用いて計算した。得られたモデルはRMSEC値が0.01、RMSECV値が0.013、R
2値が0.999であった。
【0139】
モデルの詳細は
図52に明らかにされており、潜在変数スコア間の良好な分離が示され、非常に精確な予測値対実測値プロットが得られる。表6は、2つの処理のRMSEC、RMSECVおよびR2の値を示し、外積を実行する前の標準化と尺度化の利点をさらに例示する。
【0140】
【表6】
【0141】
参照文献
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【0142】
対応特許
上述の明細書は、当業者による本発明の実施を可能にするのに十分であると考えられる。提供された例は本発明の一態様の一つの例示を意図するので、本発明の範囲はそれらの例により限定されるものではなく、他の機能的に同等の実施形態は本発明の範囲内である。本明細書に示し記載したものに加えて本発明の様々な変形が上記明細書から当業者には明らかになり、それらは添付の特許請求の範囲内に含まれよう。本発明の利点と目的は本発明の各実施形態に必ずしも包含されるわけではない。
【0143】
本願全体で引用される全ての参照文献、特許および公開特許出願の内容は、その全容が、特に本明細書に参照される使用または主題について、本明細書に参照として組み込まれる。