(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
特定の用語が、便発明が属する宜上、以下の明細書中で使用され得るが、限定されるものではない。用語「下側」、「上側」、「上部」及び「下部」は、参照符号が付与される図面中の方向を示す。用語は、特に上記した用語、その派生語及び同様の意味の用語を含む。
【0013】
特に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての技術的及び科学的用語は、この発明が属する技術の通常の知識を有する者によって共通に理解されるのと同様の意味を有する。本明細書中に記載される方法及び材料と同様又は同等の任意の方法及び材料は、本発明の実施又は試験において使用されることができるが、ここでは、好ましい方法、構成及び材料について説明する。本明細書中に記載される全ての刊行物は、それらの全体において参照によって本明細書中に援用される。参照によって援用される参考文献中に使用される用語及び定義における相違があるが、本願において使用される用語は、本明細書中で与えられる定義を有するものとする。
【0014】
本発明の目的は、ハンドヘルド及び手動であり得るとともに使い捨ての流体カートリッジを含む、静電式の、自己内蔵型の流体分配装置によって達成されることができる。スプレー流体を含むことに加えて、各カートリッジは、オリフィス構造及び一体型の直接電荷注入エミッタ電極を有し、静電噴霧を促進する。この安価な噴霧器は、エアゾール缶によって提供されるスプレープロフィールと同等に便利な、高い、瞬時流量及び制御された用量のスプレープロフィールを提供することが可能である。
【0015】
消耗された使い捨てプラスチックカートリッジは、チューインガムの塊のエコロジカルフットプリントまで、エコロジカルフットプリントを低減することができる。残渣の活物質は、消耗されたカートリッジ内に閉じ込められ、漏出に対して二重にシールされるため、環境に優しい。分配装置は、静電霧化装置のための電源を包含するハウジングと、流体カートリッジのために圧力を生成するための及びオリフィス構造を移動させるための作動機構と、を含む。ハウジングは、流体カートリッジを収容するとともに取り外し可能に保持するための収容部を含む。収容部内に配置される場合、流体カートリッジは、電源と電気的接続を形成するとともに、作動機構と機械的接続を形成する。
【0016】
作動機構は、少なくとも部分的にハウジングの内部に位置され、所定量の圧力及び移動が、操作者による機構の作動を介して作動機構に付与される場合、流体カートリッジ内部に十分量の圧力及びオリフィス構造の十分な移動を提供する。作動機構は、ハンドル又は他の機械的レバーを絞る操作者によって作動される。交換式カートリッジは、単量又は複数用量の、好ましくは、約10ml〜約60mlの濃縮された活性成分を提供するように形成される。
【0017】
装置の手作動によって同時に、噴霧器が作動されるとともに、流体カートリッジ内部の流体に、流体カートリッジから流体を押し出すのに十分な圧力を、付与する。噴霧器の作動は、出口開口部を有するオリフィス構造を移動することを含み、出口開口部の少なくとも一つは、流体放出流路及びエミッタ電極先端部と整列し、それによって、流体が流体放出流路の内部で静電的に荷電され、流体が装置を出た後、流体の霧化及び分配が行われる。
【0018】
(線形オリフィス構造)
まず
図1を参照して、流体を静電的に分配するための分配装置100の概略図を示す。分配装置100は、とりわけ、ハウジング102と、(十分に伸長された位置に示す)加圧機構104と、使い捨てカートリッジ106と、カートリッジ収容部116と、使い捨てカートリッジエミッタ電極端子108と、電源110と、スプレー電荷散逸機構112と、アクチュエータキャビティ114と、を含む。
【0019】
人間工学的なハウジング102は、ハンドヘルドに及び装置内で使用される全ての要素のために十分な空間を提供するように構成されている。そのような要素として、例えば、使い捨てカートリッジ106を受けるとともに取り外し可能に保持するためのカートリッジ収容部116と、電源110と、電気回路202(
図2)と、加圧機構104と、スプレー電荷散逸機構112と、作動機構(図示せず)等が挙げられ、作動機構(図示せず)は、とりわけ、加圧機構104と、レバー226(
図2)と、を含むが、これらに限定されるものではない。ハウジング102及びその要素の適切な大きさは、
図1に示す10ミリメートル(10
-3メートル)スケールで示される。
【0020】
カートリッジ収容部116は、好ましくは、カートリッジ収容部116内部に使い捨てカートリッジ106を取り外し可能に固定するための固定機構を含む。適切な固定機構として、摩擦嵌合、ピン、ねじ、ばね装填ピン、ばね装填ラッチ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。固定機構は、使い捨てカートリッジ106がカートリッジ収容部116内部に十分に配置される場合、手動で又は自動的に係合されることができる。
【0021】
好ましい一実施形態において、使い捨てカートリッジ106は、一以上の固定収容部(locking receptacle)230と、カートリッジ収容部116の壁に取り付けられる又は貫通する対応するばね装填の、半球状ピンとの係合によって、カートリッジ収容部116内部にしっかりと保持されている。使い捨てカートリッジ106がカートリッジ収容部116内に挿入される間、各ばね装填ピンは、カートリッジ収容部116の壁内を十分に押し下げられ、使い捨てカートリッジ106がカートリッジ収容部116内に入る。使い捨てカートリッジ106がカートリッジ収容部116内部の適切な位置に完全に挿入されることによって、ばね装填の、半球状ピンと、それらの対応する固定収容部(locking receptacle)230とが一致し、それによって、ばね装填ピンが固定収容部(locking receptacle)230内に開放されるとともに、使い捨てカートリッジ106がカートリッジ収容部116内で固定される。そのような固定によって、特に、使い捨てカートリッジ106の加圧及び/又はレバー226の作動の間、カートリッジ収容部116内部での使い捨てカートリッジ106の移動が阻止されるか、最小限にされる。使い捨てカートリッジ106が十分に消耗されると、加圧機構104は、さらに、カートリッジ収容部116内を移動し、一以上の脱係合延長部(disengagement extensions)234がばね装填の、半球状ピン上に圧力を付与し、ばね装填の、半球状ピンが押圧され、固定収容部(locking receptacle)230から外される。これにより、使い捨てカートリッジ106が消耗される場合、操作者は、カートリッジ収容部116から使い捨てカートリッジ106を容易に取り外すことが可能となる。
【0022】
図1〜4Cに示される本発明の実施形態において、電気気回路202は、パワーエミッタ電極318及び比較回路206に十分な高電圧を供給するための電圧変換器204を含む。電圧変換器204は、操作者に、装置の一以上の運転状態の表示を提供する。DC‐DC電圧変換器204は、電源110からの電圧を、好ましくは、-1マイクロアンペア(μA)〜-10μA又は-1μA〜-100μAの範囲内の出力電流で、-5kV(キロボルト)〜-10kV又は-500V〜-15kVの範囲内の、静電霧化装置に出力するのに十分な電圧に変換する。
【0023】
本発明の一実施形態において、DC‐DC電圧変換器204の出力は、一以上の出口開口部212が詰まるか、又は操作不可能となる場合、或いは、電気的短絡が電極間(エミッタ‐オリフィス)領域における異物の存在に起因して生じる場合、分配装置100に対する損害を防ぐための短絡保護を含む。すなわち、DC‐DC電圧変換器204は、損傷することなく、その出力の連続的な短絡を許容することができる。DC‐DC電圧変換器204の出力電圧リップルは、好ましくは、3%未満であるが、一般的には、分配装置100の適応する(accommodating)設計に起因して、10%以上であり得る。電圧偏位及び/又は変動からの故障及びスプレー途絶を受けない、分配装置100等の分配装置は、上述のレベルでの電圧リップルによって生じる電源変動に、本質的に非感受性である。
【0024】
分配装置100のDC‐DC電圧変換器204の設計は、単位当たり10ドル未満の好ましいコストを有する低コスト生産を達成するように最適化される。例えば、市場要求によって決定されるような、より高価な変換器は、本発明の範囲から逸脱することなく代用されてもよい。好ましくは、DC‐DC電圧変換器204は、20ml未満の全容積を有するが、より大きな容積の変換器及び変換器設計は、分配装置100のハウジング102内部に容易に収容され得る。一実施形態において、DC‐DC電圧変換器204回路は、二以上の相互接続されたモジュール間で分離され、それらは、分配装置100のハウジング102の範囲内に分配され、単一回路基板のDC‐DC電圧変換器と同様の機能を提供する。
【0025】
電源110は、例えば、限定されることなく、一以上のAAバッテリ(単三電池)及び一以上の9ボルトのトランジスタバッテリ(transistor battery)を含む使い捨てバッテリと、交換可能な又は再充電可能なバッテリと、燃料電池と、太陽光発電と、オルタネータと、限定されることなく、レバー226によって作動される圧電又は摩擦電気発電機を含む機械的に作動される発電機と、を含んでもよいが、これらに限定されるものではない。一実施形態において、電源110は、三つのAAバッテリ(単三電池)を含み、
図2に示される電気回路202と電気的に接続され、電源110の電圧が約4.8Vから約3.6Vまで用途に伴って変化するのにつれて、DC‐DC電圧変換器204の必要な一定の出力電圧を提供するだろう。
【0026】
比較回路206は、オリフィス構造208、(示される実施形態における導電性の操作レバーである)レバー226、及びスプレー電荷散逸機構112からの電流を受容する。スプレー散逸は、例えば、周囲の雰囲気に対してスプレー電荷蓄積を散逸するように作用する静電芯(static wick)又はドラグラインを含んでもよいが、これらに限定されるものではない。一実施形態において、スプレー電荷散逸機構112は、エアゾール缶の静電芯(static wick)材料と同様の使用利便性を促進するハウジング102内に内蔵される市販の静電芯(static wick)材料である。
【0027】
本発明の代替の実施形態において、スプレー電荷散逸機構112は、限定することなく、Ultrafab社によって製造されたUltra Stat(登録商標)Static Elimination Brushesを含む一以上のブラシ片である。この散逸機構は、分配装置100によって生成される約1μAのスプレー電流を散逸することが可能であり、連続的なスプレー動作を達成するために重要である。一実施形態において、線形のブラシ片の長さは、20cm未満であり、その剛毛の長さは、約6mm長である。この大きさによって、ブラシ片が、分配装置100内に容易に組み込まれることができる。
【0028】
さらに別の代替の実施形態において、スプレー電荷散逸機構112は、Antistatic Industry社によって製造される帯電防止用塗料等の帯電防止用塗料である。そのような一実施形態において、約3cm×4cm片の帯電防止用塗料は、分配装置100のハウジング102の基部に添加されている。しかしながら、代替のスプレー電荷散逸機構は、限定することなく、トリエーテッド、ランタネート、又はセシエーテッド(cesiated)タングステン線、再構成された酸化物‐金属複合体、及び325×3250.0014’’径のステンレス鋼製金網を含む上述の散逸機構の何れかに置き換えられてもよい。
【0029】
これらの三つの電流の相対レベルに基づいて、比較回路206は、適切なインジケータ210を作動させて、例えば、装置100が待機モードにあること、装置100が適切に作動していること、カートリッジ106が空であること、及び/又は出口開口部212の一つが詰まっていること及び新しい出口開口部212が、該当する場合、所定の位置に移動されなければならないことを含むが、これらに限定されない状態を、操作者に示す。インジケータ210は、例えば、ライト、ブザー、振動器、及び他の視覚的、機械的、及び/又は聴覚的警報を含むが、これらに限定されるものではない。
【0030】
スプレー電荷散逸機構112、オリフィス構造208、及び/又はレバー226への電流フローがない場合、比較回路206は、装置が待機モード(又はその非分配位置)にあることを示す。装置100が一度流体310を噴霧し始めると、スプレー電荷散逸機構112、オリフィス構造208、及び/又はレバー226への電流フローが開始する。電流フローを検知すると、比較回路206は、装置100が適切に作動していることを、インジケータ210を介して操作者に示す。さらに、カートリッジ枯渇スイッチ220がインジケータ延長部218によって作動される場合、カートリッジ枯渇スイッチ220の位置における変更は、加圧機構104が十分に伸展されるとともに、カートリッジ106の交換が必要であることを、比較回路206に示す。スプレー電荷散逸機構112への電流及びカートリッジ106が枯渇されるというスイッチ220からの信号の何れもない場合、レバー動作は、オリフィス構造208が詰まっていること、不良であること、及び代用又は交換の必要があることを示す。
【0031】
図1及び3において最も明らかなように、加圧機構104は、流体放出流路314を通って、エミッタ電極先端部320を通過し、そして、出口開口部212を通ってカートリッジ106から流体210を噴出するために、流体リザーバ302に十分な圧力を提供する。好ましい実施形態において、加圧機構104は、ピストン及び該ピストンを移動させるための機構であり、そのような機構は、レバー226に連結されるとともに、装置100の操作者によって作動される。
【0032】
流体310は、それが非分配位置に位置される場合、流体放出流路314をシールするように作用するオリフィス構造208によってカートリッジ106の流体リザーバ302内部に含まれている。流体310は、例えば、殺虫剤、潤滑油(例えば、WD‐40)、食用油(例えば、菜種油、大豆油、オリーブ油及びコーンオイル)、香料、医薬品、身だしなみ用品、塗料等を含むがこれらに限定されない任意の非導電流体であってもよい。
【0033】
加圧機構104は、ハウジング102の内側に配置される。加圧機構104は、それがカートリッジ収容部116内に挿入された後、カートリッジ106と係合する。加圧機構104は、カートリッジ106の内部を長手方向に移動し、それによって、加圧機構104がカートリッジ106内を移動するにつれて、流体リザーバ302に圧力を付与する。
【0034】
好ましい実施形態において、加圧機構104は、カートリッジ106の外側にインジケータ延長部218を含み、インジケータ延長部218は、流体310が流体リザーバ302から十分に消費されるとともに、加圧機構104がその移動範囲の端部まで移動した場合、カートリッジ枯渇スイッチ220と係合する。インジケータ延長部218によるカートリッジ枯渇スイッチ220の作動に起因して、カートリッジ枯渇スイッチ220の位置が変更されることで、比較回路206は、例えば、インジケータ210を介して操作者にカートリッジ枯渇警報を示し、それによって、操作者に、カートリッジが取り外されるか交換されることが必要であることを知らせる。
【0035】
加圧機構104は、また、一以上の脱係合延長部234を含み、その移動範囲の端部で、一以上のカートリッジ固定機構と脱係合し、カートリッジ収容部116からカートリッジ106を解除する。脱係合延長部234は、また、作動機構からオリフィス構造208を脱係合し、それによって、操作者は、カートリッジ収容部116及びハウジング102からカートリッジ106を取り外すことが可能となる。
【0036】
ハウジング102は、オリフィス構造208及び加圧機構104を含むが、これらに限定されない装置100内部の一以上の機構を作動するための作動機構を含み、最終的に一以上の噴霧スプレーの開始となる。そのような作動機構は、一以上のソレノイド及びスイッチ、機械的リンク機構及び歯車、それらの任意の組み合わせ等を含むことができよう。
【0037】
カートリッジ106がカートリッジ収容部116内に十分に固定及び着座されると、1)カートリッジ106が一以上の固定機構によってハウジング102に固定されること、2)作動機構と可動オリフィス構造208との間に、機械的及び電気的接続が確立されること、3)エミッタ電極端子108が、電圧変換器端子228と物理的に接触し、それによって、電圧変換器204が電圧変換器端子228の通電のためにエミッタ電極318に電力を供給すること、を含むが、これらに限定されない多数の事柄が生じる。
【0038】
オリフィス構造208は、カートリッジ106がハウジング102内に挿入される前に非分配位置に位置付けされるため、電圧変圧器204の通電の前にカートリッジ106をカートリッジ収容部116内に確実に着座させることは、電圧変圧器204によって提供される内部の高電圧源から電圧変換器端子228までの操作者の絶対的隔離(absolute isolation)を保証する。すなわち、本明細書中で詳述するように、非分配位置において、オリフィス構造208の絶縁体402は、エミッタ電極318及び流体放出流路314を覆い、それによって、装置100の外側の環境が流体又は電流フローから隔離されるようになる。
【0039】
好ましい一実施形態において、カートリッジ106は、上側ピン部分224a及び下側ピン部分224bを有するピン224を含む。カートリッジ106がカートリッジ収容部116内に十分に挿入されることによって、下側ピン部分224bは、加圧機構104上に取り付けられる防水性のカートリッジ挿入状態スイッチ222を作動させ、それによって、電源110と電気回路202との間の電気的接続が確立される。この電気的接続は、電圧変圧器204及び比較回路206を通電する。比較回路206は、開口部構造を接地し、カートリッジ106の挿入の状態を含むが、これに限定されない種々の運転状態を示す。
【0040】
電気的接続を確立するのに加えて、下側ピン部分224bが加圧機構104上に取り付けられる防水性のカートリッジ挿入状態スイッチ222と係合することによって、カートリッジ106の方位位置が確保される。そのような位置決めは、エミッタ電極端子108が凹型の変換器導体228と接触する(及び電気的接続を形成する)ことを確保するのに重要である。
【0041】
オリフィス構造208の作動機構との機械的接続は、
図3及び4A〜4Cに関して以下に詳述するように、切り欠き418と作動機構のインデックス構造との係合を介して生じる。
【0042】
図3に戻り、線形オリフィス構造208を有する使い捨てカートリッジ106の斜視断面図を示す。使い捨てカートリッジ106は、略円筒形状のリザーバ302を含み、その最上端は、分注装置304を含む。該分注装置304は、頭部306と、エミッタ電極318と、流体放出流路314と、固定収容部(locking receptacle)230と、オリフィス構造208と、を含む。
【0043】
本発明の一実施形態において、カートリッジ106は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、又は優れた電気的及び機械的特性を有する他の可撓性ポリマを含むが、これらに限定されない薄壁の、可撓性の、電気絶縁材料から製造される。そのような材料を使用することによって、カートリッジ106の壁の最下部は、加圧機構104が上方へ及びカートリッジ106の中へ伸展するのにつれて加圧機構104によって付与される力によってそれ自身に折り重なるようになる。この力は、流体リザーバ302の大きさを減少させ、それによって、流体310に圧力を付与する。このことは、
図3において最も明らかであり、カートリッジ106は部分的に消耗された状態で示され、加圧機構104は、カートリッジ106の後部ケーシングを内側に折り畳んでいる。
【0044】
好ましい実施形態において、加圧機構104の形状は、カートリッジ106の形状とぴったり合い、加圧機構104は、カートリッジ106の内側の折り畳まれた表面間に閉じ込められた流体310の量を最小限にするように、カートリッジを折り畳むことが可能となる。この特徴は、廃棄されたカートリッジ106に関連する廃棄物及び環境影響を最小限にする。例えば、アコーディオンプリーツを有するカートリッジを含むが、これに限定されない代替の実施形態が、代用されてもよい。
【0045】
カートリッジ106は、上側ピン部分224a及び下側ピン部分224bを有するピン224を含む。上側ピン部分224aは、略円筒形状であり、カートリッジ106が十分に消耗される場合、流体放出流路314に密接に適合する。カートリッジ106が完全に消耗される場合、カートリッジ106の壁は潰され、リザーバ上側内壁328に対して押圧され、それによって、内側の折り畳まれた壁、畳み目(creases)、又は環境への漏出から枯渇されたカートリッジ106の割れ目の内部に閉じ込められる任意の流体をシールする。この位置において、上側ピン部分224aは、流体放出流路314内に閉じ込められ、それと正確に適合し、それによって、カートリッジ106からの任意の残渣流体310の噴霧を促進する。すなわち、カートリッジ106がほとんど完全に消耗された状態にある場合、上側ピン部分224aは、流体放出流路314に対して内側に位置付けされ、ピンキャビティ326内に残っている任意の流体は、エミッタ電極318によって静電霧化され、それによって、霧化された流体310を、対応する出口開口部212を通ってカートリッジ106から押し出す。
【0046】
カートリッジ106が一度完全に消耗されるとともに圧力がレバー226から開放されると、オリフィス構造208は、その非分配状態に戻り、内側の折り畳まれた壁、畳み目(creases)、又は枯渇されたカートリッジ106の割れ目の内部に閉じ込められる任意の最小残留流体が、上側ピン部分224aの最上端と流体放出流路314との間で開口部構造208の内表面330との接触を介して、(環境への漏出から)枯渇されたカートリッジ106内部に重複してシールされる。このシールは、枯渇されたカートリッジ106の取り外しの前に生じる。
【0047】
流体リザーバ302の最上部は、頭部306によって固定されている。頭部306の面312は、略平面状であり、略円筒形状の流体リザーバ302の軸に対して約30度の角度で配置されている。そのような構造が分配位置に配置される場合、略円筒形状の流体放出流路314は、流体リザーバ302から頭部306を通って開口部構造208の一以上の出口開口部と一直線上になる。
【0048】
エミッタ電極318は、エミッタ電極端子108と、エミッタ電極先端部320と、を含む。エミッタ電極端子108は、使い捨てカートリッジ106の略円筒形状の外向き壁322内に組み込まれている。エミッタ電極先端部320は、流体放出流路314に向かって位置決めされている。流体放出流路314と整列される出口開口部212に対するエミッタ電極先端部320の位置は、エミッタ電極318のための望ましい作動電圧を最も達成するものである。エミッタ電極先端部320と出口開口部212との間の一般的な距離は、最小の出口開口部212の半径の約半分から最大の出口開口部212の半径の長さの2〜4倍まで変化する。複数の出口開口部212が、単一の中央に位置決めされたエミッタ電極先端部320によって作用を受ける場合、二つの間の距離は、出口開口部212の半径の10倍を超えてもよい。
【0049】
カートリッジ106の約数分の限られた有用な可動寿命によって、流体310の一貫した電荷注入は、マイクロメートル(10
−6メートル)直径サイズのエミッタ電極を用いて確実に達成されることができる。幾つかの実施形態において、エミッタ電極318は、1マイクロメートルより大きくかつ100マイクロメートルより小さい直径を有するトリエーテッドタングステンワイヤ電極又はランタン添加タングステンワイヤ電極である。しかしながら、他のエミッタ電極が代用されてもよい。そのようなエミッタ電極の使用によって、有用な電圧レベルで十分過ぎる電荷注入が提供されるとともに、カートリッジ106を製造するコストが大幅に低減される。
【0050】
オリフィス構造208に関して、以下でさらに詳述するように、通電されると、流体310が一以上の出口開口部212を通って分配される前に、流体310が流体放出流路314を通ってカートリッジ106を出て、エミッタ電極先端部320の経路を通過するにつれて、エミッタ電極先端部320は、流体310を静電的に荷電する。すなわち、好ましい動作の一実施形態において、流体310は、加圧下で、流体放出流路314を通って液体リザーバ302を出て、エミッタ電極先端部320を通過して、オリフィス構造208内の一以上の出口開口部212から外に出る。流体310がエミッタ電極先端部320を通過すると、流体310は帯電され、その後霧化されて、出口開口部212を通ってカートリッジ106を出た後自己分散する。
【0051】
好ましい実施形態において、オリフィス構造208は可動式であり、流体放出流路31
4及びエミッタ電極先端部320と一列になるように及び一列にならないように出口開口
部212を位置決めするために、摺動又は回転する。
オリフィス構造208は、二つの基本状態、1)流体放出流路314が環境に対して閉じられるとともに、エミッタ電極318が環境から電気的に絶縁された状態(すなわち、非分配位置)と、2)流体放出流路314が環境に対して開かれるとともに、オリフィス構造208が接地されている状態(すなわち、分配位置)との間を移動されることができる。使用者がレバー226又は他の同様の作動機構を絞ると、オリフィス構造208は、液体リザーバ302の内部から流体310を分配するために分配位置に移動する。装置100がその分配位置にある場合、オリフィス構造208の接地によって、使用者に対する感電事故を解消することができる。
【0052】
図4A〜4Cに戻り、線形オリフィス構造208は、絶縁体402及び導体404を含む。線形オリフィス構造は、目詰まり問題が深刻ではなく、限定された数の開口部が作動中の目詰まり問題に対処するのに適切であるコンパクトなバーナー等の用途のために最も有用である。線形オリフィス構造のコストは、十分に安価であり、カートリッジ106及びその関連した線形オリフィス構造が使い捨て可能であるとともに、装置の各使用に対する新規のカートリッジ106の使用に適合することが可能である。
【0053】
絶縁体402は、導体404を支持することが可能な絶縁支持構造である。本発明の一実施形態において、絶縁体402は、ポリエーテルエーテルケトン(「PEEK」)で製造されるが、高温で、高強度のエンジニアリングプラスチックを含むが、これに限定されない他の材料が代用されてもよい。導体404は、導電性であり、ローカル接地と接触している。導体404は、対応する開口部414と一致する出口開口部212又は出口開口部212のグループを含む。
【0054】
本発明の一実施形態において、円形又は円筒形の出口開口部212は、約30マイクロメートル〜約125マイクロメートルの範囲の直径を有する。他の実施形態において、円形又は円筒形の出口開口部212は、約30マイクロメートル〜約500マイクロメートルの範囲の直径を有する。さらに他の代替の実施形態において、約30マイクロメートル〜約125マイクロメートルの範囲の幅を有する切込みが、同程度の大きさの円形又は円筒形の出口開口部212に代用されてもよい。さらに他の代替の実施形態において、約30マイクロメートル〜約500マイクロメートルの範囲の幅を有する切込みが、同程度の大きさの円形又は円筒形の出口開口部212に代用されてもよい。この範囲が選択されるのは、大気のバックグラウンド圧力で作動する場合、約125マイクロメートル未満の直径又は幅を有する帯電された流体出口開口部212は、通常の大気のスプレー制限絶縁破壊の強さ未満である表面電場レベルを有するからである。その一方で、円形の出口開口部の直径(又はスリット出口開口部の幅)が約125マイクロメートルより大きい場合、(印加されたエミッタ電極電圧の増加によって生じる)表面の電界強度が外気の破壊電界強度を越えると、スプレー現像は、不意に破壊される。しかしながら、円形の出口開口部の直径(又はスリット出口開口部の幅)が約125マイクロメートル未満の大きさで維持される場合、そのような破壊は生じない。さらに、開口部の直径又は幅が小さくなればなるほど、絶縁破壊の強さが高くなり、それによって、より高い高度での作動が可能となる。
【0055】
スプレー流体が上述のように破壊されないという条件で、装置100の最適操作は、広範囲のコンバータ電圧に亘って達成され得る。最適操作は、最大出力電荷密度、最小液滴直径、及び最小分配範囲を有する帯電された液滴を含む。比較的小さい出口開口部212の使用によって、また、より大きな開口部装置によって一般的に必要な最適なコンバータ電圧(すなわち、破壊限界の数パーセント以内の電圧)を維持するための制御回路の必要性がなくなる。
【0056】
さらに、約30マイクロメートル〜約125マイクロメートルの範囲の直径を有する円形又は円筒形の出口開口部212(又は同様の範囲内の幅を有する出口スリット)の使用によって、少なくとも三つの操作上の利点が提供される。一番目に、噴霧挙動が電源出力変動によって悪影響を受けないため、上記出口開口部212又は出口スリットの使用によって、安価でかつ未制御の電源110の使用が可能となる。二番目に、噴霧挙動(すなわち、流量及び流体特性)が電圧変換器の動作電圧変動によって影響されないため、上記出口開口部212又は出口スリットの使用によって、一定の動作電圧が使用可能となる。変動する又は不定の流量に対する非感受性は、本明細書中に記載の未制御のブローダウン又は手押しポンプの流体供給を含むアプリケーションにとって特に重要である。三番目に、出口開口部の直径が小さいほど、最適噴霧を達成するのに必要な最小電圧変換器の動作電圧が低くなる。例えば、約50マイクロメートルメートル径の出口開口部を有する直接噴射噴霧器は、流量に影響を及ぼすことなく約1キロボルト(kV)未満の動作電圧で作動されることができる。
【0057】
さらに、上述のような比較的小さい直径を有する出口開口部は、最大電荷密度で作動するため、それから出る流体スプレーは、可能な限り狭い粒度分布を示す。すなわち、これらの粒度分布は、従来のエアゾール噴霧器の液滴直径スパンより少なくとも三倍狭い液滴直径スパンを有する出口開口部の直径が小さいほど、液滴直径スパンは狭くなる。
【0058】
最も重要なことに、上述のような比較的小さい直径を有する帯電噴霧出口開口部は、大きい液滴テイル「tails」及び約10マイクロメートルより小さい液滴の欠如によって特徴付けられる明確に定義される粒度分布を有する。そのような噴霧は、大きくかつ無駄な液滴数(droplet Population)がないのみならず、液滴吸入が可能ではない。唯一の吸入の危険性は、液滴が標的に向かって流れる場合の蒸発された蒸気に関連する。
【0059】
示される実施形態において、絶縁体402は、プラスチック、ベークライト、ナイロン、セラミック、PEEK,ガラス、レキサン及び同類のもの等であるが、これらに限定されない任意の適切な絶縁体で製造される略四方体である。分配及び非分配位置の両方において、絶縁体402は、カートリッジ収容部116を全体的に覆い、(出口開口部212を除いて)装置の外部からカートリッジ収容部116を隔離し、それによって、装置100の内側に対して電圧変換器端子228によってエミッタ電極318に供給される高電圧を抑制し、使用者に対する感電事故を防止する。
【0060】
図4Aに示すように、絶縁体402は、直線的に配置される二つのオリフィス414を含む。示される実施形態は、二つの別々の及び選択可能なオリフィスを含むが、より多い又はより少ない量の開口部は、本発明の範囲から逸脱することなく代用されてもよい。また、開口部及び対応する出口開口部は、同一である必要ななく、特定のニーズに見合うように構成されてもよい。さらに、非線形の実施形態は、また、代用されてもよい。そのような代替の実施形態の一例として、
図5及び6A〜6Cに関して以下に述べる六つの開口部の、回転実施形態が挙げられる。
【0061】
絶縁体402の長さ方向第1縁部は、複数の略半円筒形の切り欠き418を含む。該切り欠き418は、流体リザーバ302から流体310を分配するのに必要なオリフィス構造208の移動を促進するために設けられる。絶縁体402の切り欠き418は、作動機構に不可欠な対応するインデックス構造と結合する。レバー226が使用者によって作動されると、これらのインデックス構造は、オリフィス構造208を所望の位置(すなわち、分配又は非分配)に移動(index)させる。すなわち、切り欠き418との係合を介して、インデックス構造は、出口開口部212が静電噴霧を促進するためにエミッタ電極先端部320と整列する分配位置に、又は、絶縁体402がエミッタ電極318及び流体放出流路314の外端を覆い、それによって、外部環境からカートリッジ106をシールするとともに、外部環境からカートリッジ106を電気的に絶縁する非分配位置に、オリフィス構造208を移動させる。
【0062】
本発明の幾つかの実施形態において、切り欠き418は、また、操作者に、開口部414等の複数の開口部の一つを選択することを許容する。異なる特徴を有する開口部が、使用者に特定の開口部構成を選択することを許容するように含まれる場合、そのような選択は望ましいかもしれない。しかしながら、全ての開口部が同一であっても、現在の開口部が目詰まりしているか、そうでなければ使用できない場合、操作者は、新しい開口部を選択しようとするかもしれない。この特徴を促進するために、オリフィス構造208等の線形オリフィス構造の場合、レバー226は、カートリッジ106を加圧することなくオリフィス構造208の移動を許容するように構成されるだろう。このようにする一つの方法は、操作者が開口部を選択している時のレバー226の戻り工程を不可能にするとともに、使用者が流体310をスプレーする目的で流体リザーバ302を加圧しようとする時のレバー226の戻り工程を可能にすることである。
【0063】
オリフィス構造208内の開口部414は、図に示すように、異なる出口開口部サイズ及び構成を有することができる。単一及び複数開口の一例を示す。異なる構成及びサイズは、例えば、使用される流体、望ましいスプレー流量、及びスプレーの使用目的に基づいて選択される。オリフィス構造208は、種々の出口開口部構成を含み、使用者は、使用者の用途に最適の構成を選択することが可能である。例えば、大径の出口開口部及び/又は複数の出口開口部を有する開口部の使用は、使用者により高い流量を提供するだろう。或いは、他の例において、複数の歪んだ出口開口部を有する開口部の使用は、噴霧された流体の横方向分散を向上させ得る。出口開口部の任意の構成は、本発明の範囲から逸脱することなく、含まれ得る。
【0064】
図4A〜4Cに見られるように、オリフィス構造208は、二つの同様の開口部414a及び414bを含む。しかしながら、導体404中に位置決めされ、オリフィス構造208が組み立てられる場合に開口部414a及び414bの内部に位置決めされる出口開口部212は異なる。より具体的には、開口部414aの内部に位置決めされる導体404の部分は、正方形の四隅として配置される四つの出口開口部212を含む。そのような構成は、噴霧された流体の横方向分散を最大限にする。その一方で、開口部414bの内部に位置決めされる導体404の部分は、開口部414bの内部の中央に位置決めされる単一の出口開口部212を含む。この開口部は、その出口開口部のより大きい直径に起因して、より高い流量で単一の流体の流れを提供する。
【0065】
さらに、オリフィス構造208の内部に複数の開口部414を組み込むことによって、現在使用される開口部414が目詰まりするか或いは使用できなくなると、操作者は、新しい開口部414を選択することが可能である。そのような特徴は、操作者がその交換の前にカートリッジ106内の流体310の全てを使い果たす能力を有する可能性を増加させる。
【0066】
絶縁体402の内面330は、凹部408を含み、該凹部408は、それぞれ、
図4A及び
図4Bの分解図及び組立図において最もよく示されるように、導体404と結合するように構成されている。すなわち、溝408は、直線溝部410及び一連の湾曲された溝入口412を含む。各溝入口412は、対応する開口部414を含む。開口部は、その内面から外面まで絶縁体402を通って延びるため、その直径は、半球形状に広がる。
【0067】
オリフィス構造208が分配位置に移動(index)されるとともに、出口開口部212及びその周囲の導体404がエミッタ電極318と整列されると、導電性の導体404及びエミッタ電極318は、流体放出流路314内で流体310を静電的に帯電し、出口開口部212を出ると同時に流体310を霧化及び分散させる電荷注入静電霧化装置を形成する。逆に、オリフィス構造208が非分配位置に移動(indexed)されると、エミッタ電極318は、(導体404よりむしろ)絶縁体402と整列され、流体放出流路314をシールする。さらに、エミッタ電極318は、静電霧化装置として作用するのを止め、エミッタ電極318からの電流フローはなくなり、流体310の流れは止められ、エミッタ電極で存在する高電圧は、装置100の外部から隔離される。本発明のこの局面によって、エミッタ電極318は、装置100又は流体310を損傷することなく及び操作者に危険を伴うことなく、動作電圧で連続的に維持されることが可能となる。この局面によって、また、流体310の噴霧は、レバー226の作動を介してオリフィス構造208の分配位置への移動(indexing)直後に再開することが可能であり、電圧又は流体プロファイルを調整する必要がなく、この位置によって、エミッタ電極318が導体404と再び整列する。本発明のこの局面によって、さらに、ターンオン及びターンオフの両方の流体過渡現象並びに開口部構造の後だれ(dribble)が最小限となる。このことは、開口部を使用可能にする「サック」容積を伝統的に有する、ディーゼルインジェクター等のバースト又はパルススプレー用途にとって特に重要である。従来の「サック」設計での状況に反して、本発明の出口開口部はカットオフ後に外部環境に曝されず、そのため、流体の後だれ(dribble)は生じ得ない。
【0068】
装置100から(液体リザーバ302から流体放出流路314を通ってかつ出口開口部212を通って)流体310を噴霧するために、操作者は、グリース又はコーキングガンのために使用される圧力と同様の圧力でレバー226等を絞ることによって作動機構を作動させる。レバー226を絞ることによって、作動機構は、加圧機構104を移動(index)させ、それ自身の中にカートリッジ106の最底部を保持し、それによって、カートリッジ106を加圧する一方で、(インデックス構造と切り欠き418との係合を介して)エミッタ電極先端部320との整列に向けてオリフィス構造208の出口開口部212を同時に移動させる。作動機構の機械的リンク機構は、カートリッジ106の加圧がエミッタ電極先端部320とエミッタ電極先端部320との整列の直前に完了するように構成される。カートリッジ106がカートリッジ収容部116の内部に着座している時はいつでも、エミッタ電極318は、電圧変換器端子228によって動作電圧まで連続的に電圧を印加されるため、出口開口部212が流体フローを許容するために流体放出流路314に十分に露出されるとすぐに、この機械的配置によって、電荷注入噴霧化が生じる。放出される流体310が出口開口部212を出た後に十分霧化及び自己分散するためにエミッタ電極先端部320を越えて流れる際に、放出される流体310が帯電され、十分に帯電されない流体310は、(流体310が十分に帯電されるまで)装置100から全く排出されることができないように、装置100は構成される。すなわち、流体310は、それが装置100を出た後に霧化及び自己分散する。装置100のこの特徴は、特にターンオン及びターンオフの間の、従来の(非静電的)噴霧器によって示されるような非最適の霧化を除外、又は大いに最小化する。帯電噴霧は、出口開口部212を出るが、帯電噴霧の比較的低い電流レベル(すなわち、マイクロアンペア電流レベル)に起因して、操作者に感電事故を生じない。
【0069】
操作者がレバー226への加圧の適用を止めると、オリフィス構造208は、シールされた、非分配位置(すなわち、出口開口部212の何れもが流体放出流路314及びエミッタ電極先端部320と整列されていない位置)に戻る。レバー226への加圧の適用を止めることによって、また、加圧機構104は、カートリッジ106上に付与される圧力及びその中に含まれる流体310を減少させる。一実施形態において、加圧機構104は、ピストンであり、レバー226への加圧の適用を止めることによって、ピストンは後退し、それによって、カートリッジ106上に付与される圧力及びその中に含まれる流体310を減少させる。
【0070】
カートリッジ106が完全に消耗される及び/又は操作者が何らかの他の目的でカートリッジ106を取り外したい場合、圧力がレバー226から除かれ、オリフィス構造208は、その非分配位置に戻る。カートリッジ収容部116からカートリッジを取り外すことによって、より低いピン部224bは、加圧機構104の上に取り付けられる防水性のカートリッジ挿入状態スイッチ222を停止させ、それによって、電源110と電気回路202との間の電気的接続を遮断する。この電気的接続の遮断によって、電圧変換器204が消勢(de‐energize)され、比較回路206が停止状態となる。この消勢は、電源の寿命を増加させるとともに、感電事故を無くすことによって操作者に対する安全性を増加させる。
【0071】
(回転オリフィス構造)
図5及び6A〜6Cを参照して、オリフィス構造508を除いて装置100と略同一の装置500を示す。すなわち、装置500は、装置500に対して上述したオリフィス構造208の代わりにオリフィス構造508を含む。回転オリフィス構造508は、それぞれ、
図6A,6B,及び6Cの分解図、組み立てられた状態の内側図、及び組み立てられた状態の外側図において最もよく見られるように、線形オリフィス構造208と同様の特徴を有する。限られた数の開口部を有する回転オリフィス構造は、異なる流量又は噴煙形状(plume geometries)を有するスプレーを生成するための必要性を含む用途にとって理想的である。
【0072】
より具体的には、オリフィス構造508は、絶縁体602と、導体604と、を含む。絶縁体602は、導体604を支持することが可能な絶縁支持構造である。導体604は、導電性であり、ローカル接地と接触している。導体604は、対応する開口部614と整列する出口開口部612又は出口開口部612のグループを含む。
【0073】
本発明の一実施形態において、円形又は円筒形の出口開口部612は、約30マイクロメートル〜約125マイクロメートルの範囲の直径を有する。代替の実施形態において、約30マイクロメートル〜約125マイクロメートルの範囲の幅を有する切込みが、同程度の大きさの円形又は円筒形の出口開口部612に代用されてもよい。この直径は、
図4A〜4Cに関して上述した種類又は理由のために選択される。
【0074】
示される実施形態において、絶縁体602は、プラスチック、ベークライト、ナイロン、セラミック、PEEK,ガラス、レキサン及び同類のもの等であるが、これらに限定されない任意の適切な絶縁体で製造される略環状体である。分配及び非分配位置の両方において、絶縁体602は、カートリッジ収容部116を全体的に覆い、(出口開口部612を除いて)装置の外部からカートリッジ収容部116を隔離し、それによって、装置100の内側に対して電圧変換器端子228によってエミッタ電極318に供給される高電圧を抑制し、使用者に対する感電事故を防止する。
【0075】
図6Aに最もよく示すように、絶縁体602は、環状に配置される六つのオリフィス614を含む。示される実施形態は、六つの別々の及び選択可能な開口部を含むが、より多い又はより少ない量の開口部は、本発明の範囲から逸脱することなく代用されてもよい。また、開口部及び対応する出口開口部は、同一である必要ななく、特定のニーズに見合うように構成されてもよい。さらに、非回転形の実施形態は、また、代用されてもよい。
【0076】
絶縁体602の周縁部は、複数の略半円筒形の切り欠き618を含む。該切り欠き618は、装置100に関して上述した液体リザーバ302から流体310を分配するのに必要なオリフィス構造508の移動を促進するために設けられる。絶縁体602の切り欠き618は、作動機構に不可欠な対応するインデックス構造と結合する。レバー226が使用者によって作動されると、これらのインデックス構造は、オリフィス構造508を所望の位置(すなわち、分配又は非分配)に移動(index)させる。すなわち、切り欠き618との係合を介して、インデックス構造は、出口開口部212が静電噴霧を促進するためにエミッタ電極先端部320と一直線になる分配位置に、又は、絶縁体602がエミッタ電極318及び流体放出流路314の外端を覆い、それによって、外部環境からカートリッジ106をシールするとともに、外部環境からカートリッジ106を電気的に絶縁する非分配位置に、オリフィス構造508を移動させる。
【0077】
本発明の幾つかの実施形態において、切り欠き618は、また、操作者に、開口部614等の複数の開口部の一つを選択することを許容する。異なる特徴を有する開口部が、使用者に特定の開口部構成を選択することを許容するように含まれる場合、そのような選択は望ましいかもしれない。しかしながら、全ての開口部が同一であっても、現在の開口部が目詰まりしているか、そうでなければ使用できない場合、操作者は、新しい開口部を選択しようとするかもしれない。この特徴を促進するために、オリフィス構造508等の回転オリフィス構造の場合、レバー226は、カートリッジ106を加圧することなくオリフィス構造508の回転を許容するように構成されるだろう。このようにする一つの方法は、操作者が開口部を選択している時のレバー226の戻り工程を不可能にするとともに、使用者が流体310をスプレーする目的で流体リザーバ302を加圧しようとする時のレバー226の戻り工程を可能にすることである。
【0078】
オリフィス構造508内の開口部614は、図に示すように、例えば、たった一つの出口開口部612が各開口部614内に示されていたとしても、異なる出口開口部サイズ及び構成を有することができる。異なる構成及びサイズは、例えば、使用される流体、望ましいスプレー流量、及びスプレーの使用目的に基づいて選択される。さらに、オリフィス構造508の内部に複数の開口部614を組み込むことによって、現在使用される開口部614が目詰まりするか或いは使用できなくなると、操作者は、新しい開口部614を選択することが可能である。そのような特徴は、操作者がその交換の前にカートリッジ106内の流体310の全てを使い果たす能力を有する可能性を増加させる。
【0079】
絶縁体602の内面606は、それぞれ、
図6A及び
図6Bの分解図及び組立図において最もよく示されるように、導体604と結合するように構成される凹部608を含む。すなわち、溝608は、環状溝部610及び一連の線形溝延長部612を含む。各線形溝延長部612は、対応する開口部614を含む。開口部は、その内面から外面まで絶縁体602を通って延びるため、その直径は、
図6Cの組み立てられた状態の外側図において最もよく示される半球形状に広がる。
【0080】
(包含された回転開口部構造)
図7A及び7Bを参照して、包含された回転オリフィス構造708の一部を切り取って、それぞれ内側及び外側を見た図を示す。すなわち、
図1〜3に関して上記した装置100は、装置100に関して上述したオリフィス構造208、エミッタ電極318、及び流体放出流路314の代わりに、包含された回転オリフィス構造708及び流体放出経路730を組み込んでもよい。
【0081】
限定された数の導体出口開口部712を有する包含された回転オリフィス構造708は、異なる流量又は噴煙形状(plume geometries)を有するスプレーを生成するための必要性を含む用途にとって理想的である。包含された回転オリフィス構造708は、また、複数の開口部が高瞬時流量及び急速ターンオン及びターンオフ一過性(transients)を提供するために使用されるディーゼル又は直接内燃機関用途にとって理想的である。
【0082】
包含された回転オリフィス構造708は、絶縁体702、導体704、導体出口開口部712、専用のエミッタ電極718、ケース720、ソレノイド722、電機子724及び絶縁構造734を含む。絶縁体702は、導体704を支持することが可能な絶縁支持構造である。導体704は、導電性であり、接地されたケース720との接触を介してローカル接地と接触している。導体704は、対応する開口部714と一致する導体出口開口部712又は導体出口開口部712のグループを含む。各導体出口開口部712は、対応する専用のエミッタ電極718を有する。
【0083】
ケース720は、ケース床面726によってその最下端で結合される略円筒形の導電性ケースである。ケース720は、静電噴霧器要素、すなわち、絶縁体702、導体704、専用のエミッタ電極718、ソレノイド722、電機子724及び絶縁構造734を包み込むとともに支持する。絶縁構造734は、ケース720と結合され、各エミッタ電極718は、絶縁構造734を貫通する。絶縁構造734は、その対応する導体出口開口部712及びケース出口開口部740に関して定位置に各エミッタ電極718を維持し、それとともにエミッタ電極718の適切な配置を確保する。絶縁構造734は、流路736を含み、流体310は、エミッタ電極718と導体出口開口部712/ケース出口開口部740との間の噴霧化のために流路736を通過する。
【0084】
図7Bに最もよく示すように、ケース床面726は、環状に配置される八つのケース開口部728を含む。示される実施形態は、八つの別々の及び選択可能な開口部を含むが、より大飯又はより少ない量の開口部は、本発明の範囲から逸脱することなく代用されてもよい。また、開口部及び対応するケース出口開口部は、同一である必要ななく、特定のニーズに見合うように構成されてもよい。さらに、エミッタ電極/導体出口開口部/ケース出口開口部の組合せの複数の円形配列は、流体流速を増加させるように組み込まれてもよい。開口部は、その内面から外面までケース床面726を通って延びるため、その直径は、
図7Bの外側から見た図に最も明らかなように、半球形状に広がる。
【0085】
回転オリフィス構造708は、専用のエミッタ電極718によってそれぞれ供給される複数の導体出口開口部712を含み、従来のディーゼルインジェクターにおいて現在使用されている1000バールより高いレベルからはるかに低いレベルまでフィード圧を制限する。導体出口開口部の量に拘らず、操作は、本明細書中に記載のものと同様であろう。エミッタ電極供給電圧及びフィード圧は、固定されるとともに連続的に供給される。絶縁体702が本明細書中に記載のように分配位置まで回転させられる時は何時でも、噴霧は生じ、絶縁体702が非分配位置まで回転させられる時は何時でも、噴霧は停止される。
【0086】
示される実施形態において、絶縁体702は、プラスチック、ベークライト、ナイロン、セラミック、PEEK,ガラス、レキサン及び同類のもの等であるが、これらに限定されない任意の適切な絶縁体で製造される略環状体である。分配及び非分配位置の両方において、絶縁体702は、カートリッジ収容部116を全体的に覆い、(導体出口開口部712及びケース出口開口部740を除いて)装置の外部からカートリッジ収容部116を隔離し、それによって、回転オリフィス構造708の内側までエミッタ電極718に供給される高電圧を抑制し、使用者に対する感電事故を防止する。
【0087】
図7Aに最もよく示すように、絶縁体702は、環状に配置される八つの出口開口部712を含む。示される実施形態は、八つの別々の及び選択可能な出口開口部を含むが、より多い又はより少ない量の開口部は、本発明の範囲から逸脱することなく代用されてもよい。また、開口部740及び対応する導体出口開口部712は、同一である必要ななく、特定のニーズに見合うように構成されてもよい。
【0088】
本発明の一実施形態において、円形又は円筒形の導体出口開口部712は、約30マイクロメートル〜約125マイクロメートルの範囲の直径を有する。代替の実施形態において、約30マイクロメートル〜約125マイクロメートルの範囲の幅を有する切込みが、同程度の大きさの円形又は円筒形の導体出口開口部712に代用されてもよい。この直径は、
図4A〜4Cに関して上述した種類又は理由のために選択される。
【0089】
オリフィス構造708内のオリフィス714は、例えば、たった一つの導体出口開口部712が各オリフィス714内に示されていたとしても、異なるサイズ及び/又は構成の導体出口開口部712を有することができる。異なる構成及びサイズは、例えば、使用される流体、望ましいスプレー流量、及びスプレーの使用目的に基づいて選択される。
【0090】
絶縁体702の外面706は、一以上の導体704と結合するように構成される凹部708(図示せず)を含む。絶縁体702の外面706は、ケース床面726の内側に向いた面と密接に接触している。導体704は、常にケース720と正の電気的接触をしている。
【0091】
ソレノイド722は、絶縁体702の内側に向いた面上の中央に位置し、また、絶縁体702の内側に向いた面に取り付けられる電機子724を回転させる。ソレノイド722の作動によって、開口部構造は、搖動可能に又は連続的な制御可能な回転で作動されることができる。
【0092】
ソレノイド722が搖動可能に制御される場合、ケース720の周縁部は、分配又は非分配位置における絶縁体702の正確な位置決めのための一以上のインデックスタブ(図示せず)を含む。ケース720のインデックスタブは、作動機構に不可欠な対応するインデックス構造と一致する。電機子724が使用者によって作動される場合、これらのインデックス構造は、所望の位置(すなわち、分配又は非分配)に絶縁体702を移動(index)させる。
【0093】
絶縁体702が分配位置に移動される(indexed)場合、導体出口開口部712及びその周囲の導体704は、その専用のエミッタ電極718及びその対応するケース出口開口部740と軸方向に整列され、ケース出口開口部740は、導電性の導体704及びエミッタ電極718に、流体放出経路730内で流体310を静電霧化する電荷注入静電霧化装置を形成させる。逆に、絶縁体702が非分配位置に移動される(indexed)場合、エミッタ電極718は、流体放出経路730をシールする(導体704よりむしろ)絶縁体702と整列される。さらに、エミッタ電極718は、静電霧化装置として作用するのを止め、エミッタ電極318からの電流フローはなくなり、流体310の流れは止められ、エミッタ電極で存在する高電圧は、分配装置の外部から隔離される。低い長さと直系の比の導体出口開口部712内に含まれる流体のみが、オリフィス構造移行の間、非最適霧化を潜在的に受ける。本発明のこの局面によって、エミッタ電極718は、分配装置又は内部に含まれる流体を損傷することなく及び操作者に危険を伴うことなく、動作電圧で連続的に維持されることが可能となる。この局面によって、また、流体310の噴霧は、絶縁体702の分配位置への移動(indexing)直後に再開することが可能であり、電圧又は流体プロファイルを調整する必要がなく、この位置によって、エミッタ電極718が出口開口部712と再び整列する。
【0094】
その広い発明概念から逸脱することなく、変更が上述の実施形態に行われ得ることは、当業者によって理解されよう。従って、本発明は、開示される特定の実施形態に限定されず、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神及び範囲内で改良を含むことが意図される。