特許第6196228号(P6196228)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6196228コイル状フィラメント不織布ウェブを含む組立中間体及び物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6196228
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】コイル状フィラメント不織布ウェブを含む組立中間体及び物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/537 20060101AFI20170904BHJP
   A61F 13/00 20060101ALI20170904BHJP
【FI】
   A61F13/537 220
   A61F13/00 301Z
   A61F13/00 351
【請求項の数】15
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2014-544906(P2014-544906)
(86)(22)【出願日】2012年11月30日
(65)【公表番号】特表2015-500060(P2015-500060A)
(43)【公表日】2015年1月5日
(86)【国際出願番号】US2012067187
(87)【国際公開番号】WO2013082355
(87)【国際公開日】20130606
【審査請求日】2015年11月24日
(31)【優先権主張番号】13/308,936
(32)【優先日】2011年12月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100111903
【弁理士】
【氏名又は名称】永坂 友康
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(72)【発明者】
【氏名】リー イー.ウッド
(72)【発明者】
【氏名】ロリ−アン エス.プリオロー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス アール.ラリバート
(72)【発明者】
【氏名】ケルスティン エーラース
【審査官】 一ノ瀬 薫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−82235(JP,A)
【文献】 特許第4943436(JP,B2)
【文献】 特開2001−340382(JP,A)
【文献】 特表2007−500047(JP,A)
【文献】 特開2004−33236(JP,A)
【文献】 特表平6−509729(JP,A)
【文献】 米国特許第6096015(US,A)
【文献】 特表2015−505912(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15 − 13/84
A61L 15/16 − 15/64
A61F 13/00 − 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性材料に近接した熱可塑性不織布ウェブを備える吸収性組立中間体であって、前記熱可塑性不織布ウェブが、断続的接により相互係合されている200〜500ミクロンの平均直径を有する複数のコイル状フィラメントを含み、かつ前記ウェブが、少なくとも3〜20mmの厚さ、0.02〜0.10g/cmの範囲の密度、及び20kJ/m以下の圧縮仕事量を有する、吸収性組立中間体。
【請求項2】
前記コイル状フィラメントが一方向に連続している、請求項1に記載の吸収性組立中間体。
【請求項3】
前記断続的接着が溶融接着を含む、請求項1〜2のいずれか一項に記載の吸収性組立中間体。
【請求項4】
前記ウェブが200gsm〜400gsmの範囲の坪量を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の吸収性組立中間体。
【請求項5】
前記ウェブが、25%の伸張にて25ニュートン未満の荷重を呈する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の吸収性組立中間体。
【請求項6】
前記不織布ウェブが、5、4、3、2、又は1mm以下の食塩水の垂直ウィッキングを呈する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の吸収性の組立中間体。
【請求項7】
前記不織布ウェブが親水性繊維及び超吸収性ポリマーを含まない、請求項1〜6のいずれか一項に記載の吸収性組立中間体。
【請求項8】
前記不織布ウェブが、
重量4kgで10秒以下の流体輸送速度、
重量12kgで15秒以下の流体輸送速度、及び
重量24kgで20秒以下の流体輸送速度のうちのいずれか1つ又は組み合わせの流体輸送速度特性を呈する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の吸収性組立中間体。
【請求項9】
前記不織布ウェブが延伸されたウェブである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の吸収性組立中間体。
【請求項10】
前記不織布ウェブの1つの面が1平方センチメートル当たり少なくとも1つ、2つ、又は3つの破壊された接着を含む、請求項に記載の吸収性組立中間体。
【請求項11】
前記不織布ウェブが、第1の主面と、前記第1の主面に実質的に平行な反対側の第2の主面と、前記第1及び第2の主面に直交方向の厚さとを含み、前記厚さは横方向の縁を画定し、前記吸収性材料は少なくとも1つの横方向の縁と接触している、請求項1〜10のいずれか一項に記載の吸収性組立中間体。
【請求項12】
前記不織布ウェブの少なくとも2つの対向する横方向の縁が前記吸収性材料と接触している、請求項11に記載の吸収性組立中間体。
【請求項13】
前記不織布の2つの対向する横方向の縁が流体不透過性である、請求項11又は12に記載の吸収性の組み立てられた中間体。
【請求項14】
前記吸収性構成要素が、
重量4kgで10秒以下の流体吸い上げ速度、
重量12kgで50秒以下の流体吸い上げ速度、及び
重量24kgで50秒以下の流体吸い上げ速度のうちから選択される流体吸い上げ速度特性のいずれか1つ又は組み合わせを呈する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の吸収性組立中間体。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の吸収性組立中間体を備える吸収性物品であって、前記物品が個人衛生用品ではない、吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0001】
吸収性材料に近接した流体輸送要素を含む組立中間体を説明する。流体輸送要素は、断続的接着手段によって相互係合された、200〜500ミクロンの平均直径を有する複数のコイル状フィラメントを備える熱可塑性不織布ウェブを備えている。ウェブは、好ましくは、3〜20mmの厚さ、0.02〜0.10の範囲の密度、及び20kJ/m以下の圧縮仕事量などの特定の性質を有している。
【0002】
また、吸収性材料が個人衛生用品ではないことを条件として、吸収性材料に近接した、本明細書に記載のような組立中間体を備える吸収性物品についても説明する。この吸収性物品は、流出液の閉じ込め又は医療用途(例えば創傷包帯)としての使用に適している場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0003】
図1】延伸コイル状フィラメントウェブの生産方法の概略図である。
図2】(未延伸の)コイル状フィラメントウェブの作製に使用することができる装置の実施形態の概略図である。
図3】未延伸コイル状フィラメントウェブのマイクロ写真である。
図4】具体化された延伸コイル状フィラメントウェブのマイクロ写真である。
図5】破壊された接着を含むコイル状フィラメントのマイクロ写真である。
図6】具体化された延伸コイル状フィラメントウェブのマイクロ写真である。
図7】具体化された延伸コイル状フィラメントウェブのマイクロ写真である。
図8】コイル状フィラメントウェブを更に組み上げるために、組立中間体又は物品に使用することができる装置の実施形態の概略図である。
図9】例示的な未延伸コイル状フィラメントウェブのマイクロ写真である。
図10】例示的な、延伸され弛緩されたコイル状フィラメントウェブのマイクロ写真である。
図11】吸収性物品の上面図である。
図12図11の吸収性物品の断面図である。
図13】他の吸収性物品の断面図である。
図14】他の吸収性物品の断面図である。
図15】他の吸収性物品の断面図である。
図16】他の吸収性物品の断面図である。
図17】他の吸収性物品の断面図である。
図18】別の吸収性物品の上面図である。
図19図18の吸収性物品の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
本明細書は、吸収性材料に近接したコイル状フィラメントウェブを備える組立中間体を記載する。組立中間体は、個人衛生用品又は他の吸収性物品での使用に好適であり得る。また、組立中間体を備える、創傷包帯のような、流出液閉じ込め又は医療用途のための使用に適した吸収性物品も記載する。そのような吸収性物品は、成人用失禁製品、生理用ナプキン、使い捨ておむつのような個人衛生用品ではない。
【0005】
コイル状フィラメントウェブのフィラメントは、熱可塑性ポリマーから形成されるものであり、したがってそれを含む。フィラメント又はその構成要素を形成するために使用可能な好適な熱可塑性ポリマーの例としては、以下のクラスから選択されるポリマーが挙げられる。ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンのようなポリオレフィン、そのようなポリオレフィンの2種以上のブレンド、及びエチレン及び/又はプロピレンのコポリマーであり、それら相互のコポリマー及び/又は、ペンテン、メチルペンテン、ヘキサン、又はオクタンなどの、重合性でより高級なアルファオレフィンを少量有するもの;塩素化ポリエチレン、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(塩化ビニリデン)、及び可塑化ポリ(塩化ビニル)のようなハロゲン化ポリオレフィン;シクロヘキサンジメタノール、テトラメチレングリコール、及びテレフタル酸のコポリエステル−エーテルエラストマー;ポリブチレンテレフタレート及び長鎖ポリエステルグリコールのブロックコポリマーのようなコポリエステルエラストマー;ポリフェニレンオキシドのようなポリエーテル;例えば、ナイロン6、ナイロン6,6など、ポリ(ヘキサメチレンジパミド)のようなポリアミド;ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6,10及びポリエーテルブロックポリアミドのようなナイロンエラストマー;ポリウレタン;エチレン又はエチレン及びプロピレンと、(メタ)アクリル酸との、又は低級アルカノール及びエチレン性不飽和カルボン酸のエステルとの、コポリマーであり、例えばエチレンと(メタ)アクリル酸、ビニルアセテート、メチルアクリレート、又はエチルアクリレートのコポリマーなど;亜鉛、リチウム、又はナトリウム対イオンで安定化されたエチレンーメタクリル酸コポリマーのようなアイオノマー;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマーのようなアクリロニトリルポリマー;アクリルコポリマー;ポリエチレンとポリ(メチルアクリレート)のブレンド、エチレン−酢酸ビニルコポリマーとエチレン−メチルアクリレートのブレンドなど、無水マレイン酸又はアクリル酸グラフトホモポリマー又はオレフィンのコポリマー及び、そのようなポリマー2種以上のブレンドのような、化学修飾されたポリオレフィン;並びにポリエチレン及び/又はポリプロピレンとポリ(酢酸ビニル)のブレンド。前述のポリマーは通常固体で、一般的に高分子量で、かつ溶融押出成形可能である、これによって、流れとして押出ダイアセンブリに送り込むことができ、そこから加圧下において容易にフィラメントに押出成形可能である、溶融した粘稠な液体を形成することができ。
【0006】
好ましくは、コイル状フィラメントは、強靭で耐久性の、溶融接着可能な熱可塑性の大径のフィラメントであり、合成有機プラスチックポリマー又はブレンド、若しくは多成分ポリマーフィラメントを含む。いくつかの実施形態では、ウェブのフィラメントは同じ合成有機プラスチック材を含む。いくつかの実施形態では、フィラメントはポリオレフィンのような半結晶質の熱可塑性ポリマーから形成される。他の実施形態では、フィラメントの一部は1種類の合成有機プラスチック材を含み、フィラメントの一部は異なる種類の合成有機プラスチック材を含む。フィラメントは、シース・コア型フィラメント又はサイド・バイ・サイド型フィラメントのような2成分フィラメントなど、複数の(例えば2つ〜5つ)の成分を含んでもよい。フィラメントを形成するプラスチックは、更に、フィラメントの特性を改善するために又はフィラメントに特性を付与するために、安定剤、加工助剤、充填剤、着色顔料、架橋剤、発泡剤、及び難燃剤などの、組み込まれたアジュバント又は添加剤を有することができる。
【0007】
概して、コイル状フィラメントウェブのフィラメントは、少なくとも50ミクロン(すなわち0.05mm)、又は少なくとも100ミクロン、又は少なくとも150ミクロン、又は少なくとも200ミクロンの平均幅、直径、若しくは断面寸法を有する。平均直径は、1000ミクロン(1mm)までの範囲であり得るが、典型的には、800ミクロン以下、又は700ミクロン以下、又は600ミクロン以下であり、いくつかの実施形態では、500ミクロン以下又は400ミクロン以下である。フィラメントの断面寸法(及び断面形)は、好ましくは、フィラメントの長さ範囲に沿って実質的に又は本質的に均一であり、例えば均一に丸い。フィラメントの表面は典型的に滑らかである。フィラメントの形状又は形態は、繊維、ストリップ、又は他の細長い形であり得る。凝集体は、同一又は異なるプラスチック組成物、幾何形状、サイズ、及び/又は直径を有する複数のフィラメントで構成することができる。フィラメントは典型的に固体である。フィラメントの断面は、円形すなわち丸形であってもよく、あるいは、例えば葉形、楕円形、矩形、三角形、及び「X形」のような放射状アームを有する形など非円形であってもよい。フィラメントは、好ましくは連続長であり、つまり、共通の方向(例えば機械方向)に無限の長さである。
【0008】
図2を参照し、コイル状フィラメントウェブは、当該技術分野で記述されているプロセスによって作製できる(例えば、参照により本明細書に援用される米国特許第4,227,350号、同第4,351,683号、同第3,691,004号、及び同第6,762,139号を参照)。
【0009】
フィラメントは、狭い間隔で概ね平行に自由落下する別個の連続した熱い粘着性の変形可能な粘ちょうのポリマーメルトの束又は群として溶融押出成形され、次いで、それらの熱いフィラメントが(例えばコイル状に)回旋され、冷却又は急冷されて、概ね非粘着性若しくは非接着性の固体状態にされる。熱いフィラメントは、例えば水のような液体の急冷浴などの冷却手段又は媒体との接触によって冷却することができる。次いで、その浴槽を通じてウェブを前進又は運搬し、そこから引き出すことができる。急冷浴に入るフィラメントの速度より遅い取り出し速度でフィラメントが急冷浴を通じて運ばれる際、ウェブは(例えばコイル状に)回旋されて別個の連続フィラメントになる。これは、落下する、溶融した、なお変形可能なフィラメントを、米国特許第4,227,350号に記載されているように、急冷浴の表面に隣接させて(例えば本質的にらせん形のコイル状に)回旋することを可能にする。急冷浴における界面活性剤の使用(例えば、米国特許第3,837,988号に記載されているように)は、コイル形成を助けるために望ましい場合がある。
【0010】
一実施形態では、不織布ウェブは、概して、静止周辺空気において自由落下してタンク134内に入る熱い連続した大径の複数のフィラメント142の束141を下方に押し出す押出成形機ダイアセンブリ113を用いて作製される。束141は、熱い粘稠なフィラメント142のいくつかがガイドロール139の外面をかすめるように接触するのを可能にするように整列させることができる。移動する熱い粘稠なフィラメントをタンク134内の、例えば水などの急冷液の液体又は浴133の表面135の方に案内するために、ロール139には、所望により、離間配置されたガイドピン又はペグ147、若しくは、例えば静止板のような他の何らかの型式のガイドが提供される。フィラメントが浴に入る際にフィラメントの所望の直径が達成されるように、急冷液の表面は、押出成形機ダイアセンブリ113の下面より下の適した距離に配置される。ガイドロール139は、参照により本明細書に援用される前記米国特許第4,351,683号に記載のように、フィラメント142との軽い接触を引き起こすように設定することができる。熱い粘ちょうなフィラメント142は、周囲空気内を落下するにつれて、押出温度(例えば、150℃〜400℃の範囲であり得る)から冷め始める。押出し温度は、典型的には、フィラメントがコイル状になるように溶融温度より十分に高い。ガイドロール139(ならびに例えば、136、144a、144b及び145など下流のオプションのロール)は、急冷液の液体133に入る際のフィラメント142の線移動速度が、ガイドロールの上流の熱い粘稠なフィラメントの線移動速度よりも遅くなるように、既定の速度又は率で回転するように設定され得る。形成されたウェブ143の取り出し速度は、急冷浴133に熱いフィラメントが入る速度よりも遅く、かつフィラメント142は、なお十分に粘稠で変形可能すなわち溶融状態であるので、フィラメントは、それらが入って行く急冷液133の表面135のすぐ上で冷却する又は波打つ又は振動することによって、それら自身を絡ませ若しくは束ね、更に、それらの形が変形しないように十分な速さで、例えば約50℃にまで冷却して、表面135のすぐ下で固化又は硬化することができる。急冷浴133(急冷液及び急冷浴の両方を133と呼ぶ)において既に急冷され、凝集されたフィラメントによって、表面135の近くの熱い粘稠なフィラメント142の流れ又は自由落下に対してある程度の抵抗が付与される。これにより、急冷浴に入って依然として変形可能なフィラメントは、浴の表面のすぐ上でコイル状になる、振動する、又は波打つ。この運動は、依然熱いフィラメント同士の間に不規則又はランダムな周期接触を確立し、フィラメントの接触点又は交差点に、フィラメントの切れ目なく連続した表面のスポット接着若しくは粘着溶融接着をもたらす。その結果、フィラメント142はコイル状、ループ状、波状又は波打った構成をとり、絡合する若しくは相互係合する。フィラメント142は、急冷浴133に入り、隣接した浸漬したガイドロール139を通過すると、断続的に(例えばスポット接着又は粘着接着した)固化されたフィラメントの一体化したウェブ143を形成する。
【0011】
ウェブ143は、ピンチロール144a及び144bによって運ばれ、タンク134から引き出され、ロール145によって巻き取られて、ウェブの巻き取り146を形成する。
【0012】
使用される接触面は、新しく形成されたウェブを回収し、急冷浴内に及び/又は急冷浴を通じてそれを運ぶことを助けるために、前記米国特許第4,351,683号に記載されているように、例えば回転する円筒形ドラムの表面のような運動をすることができる。あるいは、接触面は、米国特許第3,691,004号に記載のように静止していてもよく、例えば板などでもよい。したがって、形成された一体になったウェブは、重なり合った又は絡み合ったフィラメントのループ又はコイルを含み、ウェブが運ばれる、輸送される、又は何らかの方法で取り扱われるのを可能にするために十分な構造的完全性を有する。
【0013】
一実施形態では、初期の前駆体コイル状フィラメントウェブの作製方法は、複数の押出成形機ダイ開口部又はオリフィスを通じて、複数の別個のかつ分離した熱い粘着性の溶融フィラメントの形状の熱可塑性ポリマーを同時に(又はともに接合させて)溶融押出成形する工程と、フィラメントを絡合してウェブの形状にする工程と、それらを例えば水の急冷浴中で冷却する工程と、得られた非粘着性の固化されたフィラメントを、そのようなフィラメントのウェブとして回収する工程と、を含む。ダイ開口部の直径は、望まれるフィラメントの直径によって異なる場合がある。自由落下中にフィラメントはある程度は延伸するので、押出成形機のダイ開口部は典型的には最終のフィラメント直径より大きい。約10cmの幅(ウェブ横幅)を有するコイル状フィラメントウェブの場合、押出成形機のダイ開口部の数は比較的少なくてよい(例えば50〜200)。しかし、より大きい幅(ウェブ横幅)のウェブの場合、押出成形機ダイ開口部の数は、典型的には、少なくとも300、400、又は500であり、典型的には3000以下である。いくつかの実施形態では、押出成形機ダイ開口部の数は、ダイの1リニアインチ(1リニアセンチメートル)当たり少なくとも20、25、又は30(8、10、又は12)である。
【0014】
このプロセスは、それぞれのフィラメントがその全長にかけてコイル状かつ波状であるウェブを生産する。実際のフィラメントの長さ(すなわち、機械方向にコイルを解いた長さ)対コイル状フィラメントの長さの比率は、典型的には、少なくとも2:1又は3:1であり、典型的には8:1以下である。いくつかの実施形態では、実際のフィラメントの長さ(すなわち、機械方向にコイルを解いた長さ)対コイル状フィラメントの長さの比率は、7:1又は6:1又は5:1以下である。この比率は、典型的には、変化しないプロセス条件においては一定である。したがって、様々な比率のウェブが作製され得るが、単一のウェブは、典型的には、実際のフィラメントの長さ対コイル状フィラメントの長さの比率が小さい範囲であることによって特徴付けられる場合がある。それぞれのフィラメントのうねりは、典型的に不規則である。しかし、規則的な螺旋のコイル状フィラメントを生産するためにプロセスを調製することは可能である。不規則なフィラメントのうねりは、押出成形ダイの開口部によって概ね画定されるパターンの、ウェブ全体のフィラメントのランダムなループ、ねじれ、又は曲がりによって特徴づけられる場合がある。典型的には、複数の列のフィラメントが押し出されて、コイル状のうねったフィラメントの層を有するウェブが生成され、それぞれの層は押し出された一列のフィラメントを表す。各層は、ウェブ内で認識可能であり得るが、場合によっては非常に難しい。層間の隣接するフィラメントは典型的にはともに接着され、それらのフィラメントが互いに接触することによって、断続的な溶融接着が形成される。
【0015】
図3及び9を参照し、コイル状フィラメントウェブは、ランダムな大径の熱可塑性フィラメントの三次元網目構造であることが好ましい。それらのフィラメントはランダムにコイル状又はそれに類似したようになっていて、一般には、一方向すなわち機械方向に連続であり得る。
【0016】
それらのフィラメントは、マクロ孔の開いた網目構造を形成し、それらのマクロ孔は非線形コイル状フィラメントによって画定される。コイル状フィラメントウェブは、開いたセルを有することを特徴とする。セルのサイズ及び向きは、ウェブの長さ及び深さ全体を通じてランダムである。セル構造物は、ランダムに交差する実質的に非線形のフィラメントで概ね形成されている。それらのフィラメントは、それらの接触点又は接着点の間で概ね非線形である。このウェブは、例えば40〜99%、好ましくは80%〜99%の概ね高い空隙容積を有する。
【0017】
このウェブは、典型的には、孔又は「開いた空間」がウェブの厚さ全体に均一に分布されている実質的に平面のウェブである。
【0018】
コイル状フィラメントウェブのフィラメントは、好ましくは溶融接着され、これは、開いた不織布ウェブとしてのそのようなフィラメントの複数又は集合が、それらの接触点又は交差点でともに接着されて、フィラメントの一部を融解又は軟化するようにフィラメントを十分に加熱することによってか、又は押出成形されているフィラメントの潜熱の使用によってのいずれかで、自己支持接着した構造物を形成することを意味する。それらのフィラメントは、相互係合された、絡合した、交錯した、又はもつれ合ったフィラメントの、嵩高のウェブを形成する。それらのフィラメントは、概ね、螺旋状、渦巻き状、コイル状、カーリー、波状、又は他のなんらかのやり方での回旋状であり、ウェブの一端からウェブの反対側の端まで延在している。(例えば複数列の)コイル状フィラメントが、一方向、すなわち、ウェブの製作の機械方向に連続である。
【0019】
いくつかの実施形態では、図2のプロセスにより作製できるコイル状フィラメントウェブは、本明細書に参照により援用される2011年12月1日に出願された米国特許出願第13/308,962号に記載されているように、例えばコイル状フィラメントの連続方向に実質的に平行な方向にウェブを延伸させることによって、更に加工される。他の実施形態では、コイル状フィラメント不織布ウェブは、図2のプロセスにより作製できるように、延伸を施されない。そのような実施形態は、本明細書では、「延伸されたウェブ」及び「未延伸ウェブ」と呼ばれる。「不織布ウェブ」又は「ウェブ」という語句が、「延伸された」又は「未延伸」という形容詞を伴わずに使用されているとき、そのような語句は、延伸されたウェブ及び未延伸ウェブの両方を指す。
【0020】
延伸されたウェブは、典型的には、コイル状フィラメントの連続方向に対して実質的に平行にウェブを延伸することによって生成される。実質的に平行とは、ウェブが完全に平行に又は平行からの偏差を持って延伸され得ることを意味する。平行からのずれは45度未満であり、典型的には、コイル状フィラメントの連続方向に平行にウェブを延伸することにより得られる利点を最大にするために、30度未満、20度未満、10度未満、又は5度未満である。ウェブは一般には、初期のウェブの長さの少なくとも2倍、2.5倍、又は3倍延伸される(すなわち100%、150%、又は200%)。ウェブは、フィラメントの巻きを解いた距離以下の距離まで延伸され、それにより、延伸されたときに実質的に線状に平行のフィラメントを提供する。この上限は、コイル巻取りの程度(すなわち、実際のフィラメントの長さ対コイル状フィラメントの長さの比率)に依存する。典型的な実施形態では、ウェブは初期のウェブの長さの6倍、5倍、又は4倍(すなわち、500%、400%、又は300%)を超えて延伸されない。
【0021】
図1は、延伸され、所望によりアニーリングされた(例えば、コイル状フィラメント)ウェブの生産方法の例示的方法を図示する。この方法において、(図2に示した方法により調製されるような)コイル状フィラメントウェブ43は、一対のニップローラー10と20の間に提供され、解かれて、延伸ロール30の上に延伸される。延伸ロールの表面速度はニップでのウェブの速度を超えているので、(ニップと延伸ロール30の間の位置で)ウェブの機械方向の延伸を引き起こす。ウェブは、典型的には、ウェブを少なくとも部分的に延伸した構成に維持するために更に加工される。一実施形態では、ウェブが延伸された状態で延伸ロール上に保持されている間、加熱した空気25をウェブに向ける。その加熱した空気はウェブの延伸された熱可塑性フィラメントをアニーリングし、これによって、延伸構成を熱硬化する。アニーリングの代わりに、又はアニーリングとともに、延伸されたウェブを基材に接着してもよい。そのような更なる加工は、図8に図示したようなウェブの延伸に使われるプロセスと同じプロセス中に実行し得る。あるいは、そのような更なる加工は、ウェブを組立中間体又は物品にするときなどの後続プロセス中に実行してもよい。この実施形態では、そのような更なる加工を行うまで、延伸されたウェブ40をロールに巻いておくことができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、ウェブの生産方法は、延伸されたウェブの構成を維持するために、延伸されたウェブをアニーリングする工程及び冷却する工程を含む。図1に示すように、延伸されたウェブがその延伸された状態に維持されている間にそれをアニーリング及び冷却し得る。しかし、延伸されたウェブを別の基材に接着することによってなど、延伸されたウェブが組立中間体又は物品に更に製作される実施形態では、アニーリング工程は任意であってよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、延伸されたウェブのアニーリング及び冷却の前に、延伸されたウェブを少なくとも部分的に弛緩する。弛緩したウェブを(例えば、未延伸ウェブの初期の長さの約1〜3倍に)再び延伸し得る。この実施形態では、再び延伸されたウェブをその再び延伸された状態に維持しながらアニーリング及び冷却することができる。
【0024】
延伸されたウェブは、例えば破壊された接着、配向された部分を含むフィラメント、フィラメントの直径が低減された部分を含むフィラメント、及びそれらの組み合わせなど、延伸されたことを特徴付ける1つ以上の属性を含み得る。
【0025】
いくつかの実施形態では、ウェブは、接着(例えば溶融接着)の軟化点未満の温度で延伸される。そのようにして、ウェブの延伸は、連続フィラメント間に存在する断続的接着の一部を破壊する(例えばウェブ横断方向に)。したがって、延伸されたウェブは破壊された接着を含む。しかし、そのような延伸は典型的には、フィラメントを機械方向にはほとんど又は全く破壊しない。したがって、フィラメントは延伸中及び延伸後も連続したままであり、したがって、ウェブの十分な機械的完全性を維持する。
【0026】
延伸されたコイル状フィラメントウェブは、典型的には、以前のフィラメント同士の接着点が破壊されたことの微視的な証拠を呈する。微視的な証拠としては、図4及び5に示すようなフィラメント上の棘又は他の突出部の存在が含まれるが、これらに限定されない。破壊された接着の程度には、ばらつきがあり得る。ウェブの厚さ全体を通じた破壊された接着の総数を定量化することは困難であるが、破壊された接着の部分は、延伸されたウェブの単一の面の微視的検査によって容易に明らかになる。いくつかの実施形態では、延伸されたウェブは、面積1cm当たり少なくとも1つ、2つ、又は3つの破壊された接着を含み得る。典型的には、破壊された接着の分布は、延伸されたウェブの単一の面又は全体にかけて均一な分布である。
【0027】
延伸されたウェブの面積当たりの破壊された接着の数は、未延伸ウェブと比較してウェブの1つ以上の特性が変更されるように、典型的には実質的に十分な数である。例えば、未延伸ウェブのフィラメントは典型的には十分に自己接着されており、(例えば機械方向又はウェブ横方向の)いずれの方向にもウェブは実質的に伸長しておらず、ウェブのコイル状フィラメント間の断続的接着は破壊されていない。これに対し、延伸されたウェブの断続的接着の実質的な部分は既に破壊されているので、延伸されたウェブは、接着の(追加的な)破壊を伴わずに、フィラメントの連続方向に対して実質的に平行な方向に少なくとも25%伸長することができる。追加的な接着を破壊せずに、延伸されたウェブが(2回目に)伸張され得る範囲は、ウェブが(最初に)延伸された範囲とほぼ同等である。いくつかの実施形態では、延伸されたウェブは、接着を破壊せずに、フィラメントの連続方向に対して実質的に平行な方向に少なくとも50%、75%又は100%伸長することができる。他の実施形態では、延伸されたウェブは、接着を破壊せずに、フィラメントが連続している方向に対して実質的に平行な方向に少なくとも125%、150%、175%又は200%伸長させることができる。
【0028】
破壊された接着の存在の代わりに、又はそれに加えて、延伸されたウェブは、配向された部分を含むフィラメント及び/又はフィラメントの直径が低減されている部分を含むフィラメントを含み得る。フィラメント材料の軟化点より高いが融点より低い温度でウェブを延伸すると、破壊された接着が欠如しているために、配向のある部分及び/又はフィラメントの直径が低減されている部分を含むフィラメントが明らかに示される場合がある。未延伸ウェブは典型的には、図3に示すように実質的に同じフィラメント直径のフィラメントを含むが、延伸されたウェブは、フィラメントの一部の直径が実質的により小さくなっているフィラメントを含み得る。例えば、図5及び6に示すように、延伸されたウェブは、フィラメントの一部が、隣接する(延伸された)フィラメントの部分の直径よりも約25%〜70%小さい直径を有するフィラメントを含み得る。より小さい直径を有する延伸されたフィラメントの部分は、フィラメントの全体のうちの比較的小さい部分のみを占めているので、平均フィラメント直径は、典型的には、延伸された又は未延伸のウェブの平均フィラメント直径と実質的に同じであるか、わずかに小さいのみである。いくつかの実施形態では、より小さい直径を有するフィラメントの部分は、より大きいフィラメント直径を有する隣接した部分と同じ半透明の外観を有する。他の実施形態では、より小さい直径の部分は、延伸中に向きが配向されたフィラメントの熱可塑性材料の結晶相のために、より曇っている、又はより低い透明度を有する。
【0029】
いくつかの実施形態では、図9と10を比較すると明白なように、延伸されたウェブは、フィラメントの延伸及び/又は、延伸中の断続的接着の一部の破壊のために、未延伸ウェブよりも大きい孔径を概ね有する。
【0030】
いくつかの実施形態では、延伸され、好ましくは弛緩されたウェブは、未延伸ウェブを超える長さ及び/又は厚さを有する。ウェブの(横方向の)幅は、初期のウェブすなわち延伸前の少なくとも90%である。これらの実施形態は、より低い坪量及び/又はより低い密度を有するウェブを提供するために好適であり得る。これは、望ましいウェブ密度が、図2のプロセスによって均一に及び/又は効率的に生成され得るウェブ密度よりも小さい場合に、特に有利である。
【0031】
いくつかの実施形態では、コイル状フィラメントウェブの坪量は、少なくとも200gsm又は300gsmであり、典型的には800gsm以下である。いくつかの実施形態では、ウェブは400gsm、350gsm又は300gsm以下の坪量を有する。
【0032】
いくつかの実施形態では、コイル状フィラメントウェブは、少なくとも3又は4mm〜約20mmまでの厚さを有する。いくつかの実施形態では、ウェブは、15、14、13、12、11又は10mm以下の厚さを有する。
【0033】
コイル状フィラメントウェブの密度は、典型的には、少なくとも約0.04g/cmであり、約0.10g/cm以下である。いくつかの実施形態では、延伸されたウェブは、0.06g/cm、0.05g/cm、0.04g/cm以下の密度を有する。ウェブは、少なくとも0.01g/cm又は0.02g/cmの密度を有し得る。
【0034】
コイル状フィラメントウェブは、好ましくは、十分な可撓性を呈することができ、これは、組立中間体又は(例えば使い捨て)吸収性物品としてそのようなウェブが使用されたときの快適さを高めるために好適であり得る。可撓性を示す1つの特性は、圧縮の仕事量、すなわち、応力ひずみ曲線の下の総面積である(0〜90kPa)。圧縮仕事量は、参照により本明細書に援用される第US2008/0001431号に記載されている式にしたがって計算される、材料のエネルギー吸収性の指標である。ウェブは、20kJ/m以下の圧縮仕事量を呈し得る。いくつかの実施形態では、ウェブは、15kJ/m又は10kJ/m以下の圧縮仕事量を呈する。ウェブの圧縮仕事量は、典型的には、少なくとも2又は3kJ/mである。いくつかの実施形態では、延伸されたウェブの圧縮仕事量は、9又は8又は7又は6kJ/m以下である。
【0035】
可撓性を示す別の特性は、ドレープ性である。本明細書で使用されるとき、「ドレープ性」は、ウェブの底面から、隣接する縦の構造物までの最短距離を指し、実施例に記載したドレープ性試験方法によって決定される。したがって、その距離が短いほどウェブは下方に曲がる。いくつかの実施形態では、ウェブは、100mm、90mm、80mm、75mm、70mm、65mm、60mm、55mm、又は50mm未満のドレープ性を有する。いくつかの実施形態では、延伸されたウェブのドレープ性は、45mm、40mm、35mm、又は30mm未満である。いくつかの実施形態では、延伸されたウェブのドレープ性は、45mm、40mm、35mm、又は30mm未満である。ドレープ性はゼロである場合がある。いくつかの実施形態では、ドレープ性は少なくとも3mm、5mm、又は10mmである。
【0036】
ウェブのヒステリシス特性を特徴付けることができる。いくつかの実施形態では、コイル状フィラメントウェブは、25%又は50%の伸張率で、約25又は20又は15ニュートン未満の荷重を呈する。いくつかの実施形態では、ウェブは、25%の伸び率で、約15又は14又は13又は12又は11又は10ニュートン未満の荷重を呈する。いくつかの実施形態では、ウェブは、25%の伸張率で、約9又は8又は7又は6又は5ニュートン未満の荷重を呈する。いくつかの実施形態では、ウェブは、50%の伸張率で、約20、15、又は10ニュートン未満の荷重を呈する。
【0037】
ウェブは、典型的には非ウィッキング性である。例えば、不織布ウェブは、5、4、3、2、又は1mm以下の、食塩水の縦のウィッキング性を呈し得る。そのような縦のウィッキング性は、吸収性材料に近接していない、ウェブのみの特性である。理論に縛られることは意図しないが、このウェブは、毛細管現象を生じさせるにはフィラメントから遠く離間され過ぎているために非ウィッキング性なのだと推定される。本明細書に例示するこの非ウィッキング性のウェブは、一般には、ポリオレフィンのような疎水性ポリマーから調製される。更に、そのような非ウィッキング性のウェブは、親水性(例えばセルロース)繊維及び超吸収性ポリマーを含んでいない。
【0038】
コイル状フィラメントウェブは、(実施例に記載の試験方法により試験したときに)高速の流体輸送速度を提供することが見出された。そのような流体輸送速度もまた、吸収性材料に近接していない、ウェブのみの特性である。いくつかの実施形態では、流体輸送速度は、重量4kgで10、9、8、7、6、5、4、又は約3秒以下であった。いくつかの実施形態では、流体輸送速度は、重量12kgで15、14、13、12、11、10、9、8、7、6又は約5秒以下であった。いくつかの実施形態では、流体輸送速度は、重量24kgで20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、又は約7秒以下であった。
【0039】
本明細書に記載のコイル状フィラメントウェブは、(例えば使い捨ての)吸収性の個人衛生用品での使用に好適な、組立中間体の流体輸送構成要素としての使用に好適である。完成した個人衛生用品は典型的には、流体透過性のトップシートと流体不透過性のバックシートとの間に、吸収性(例えばコア)材料に近接している流体輸送不織布ウェブを備えているが、組み立てられた中間物品では、完成した吸収性物品の少なくとも1つの必須構成要素が欠如している。例えば、組立中間体には、典型的には、流体不透過性のバックシート及び/又は流体透過性のトップシートがない。したがって、組立中間体は、完成した個人衛生用品又は他の完成品の一構成要素となり得る。
【0040】
組立中間体は、少なくとも1つの他の基材と組み合わされた、本明細書に記載の(例えば延伸された又は未延伸の)コイル状フィラメントウェブを備えている。いくつかの実施形態では、組立中間体は、別の基材に近接しているが接着されていないコイル状フィラメントウェブを含む。例えば、吸収性物品の製造中にコイル状フィラメントウェブを吸収性材料に近接して配置して、組立中間体を形成することができる。他の実施形態では、組立中間体は、別の基材に接着されたコイル状フィラメントウェブを含む。例えば、コイル状フィラメントウェブを、不織布又はティッシュのような(例えば、液体透過性)支持基材に接着して、従来の高速製造加工によるウェブの取り扱いを可能にすることができる。また別の実施形態では、コイル状フィラメントウェブのみで又は近接の吸収性材料との組み合わせとして、少なくとも1つの主面を(例えば感圧性)接着剤でコーティングし、剥離性ライナー支持基材で被覆することができる。吸収性物品の製造中、剥離性ライナーを取り外し、その接着剤を、液体不透過性のバックシートのような、吸収性物品の別の構成要素と接触させる。また別の実施形態では、近接した吸収性材料と組み合わされたコイル状フィラメントウェブを不織布又はフィルムのような支持基材と接着させることができ、後にそれを複数片に切り離して、吸収性物品に組み込むことができる。
【0041】
図8は、コイル状フィラメント不織布を組立中間体に製作する例示の1つの方法を図示する。図8を参照すると、コイル状フィラメントウェブ40は、ウェブを別個の片に切断してから吸収性材料90に近接してそれらを配置する装置80に運ばれ得る。吸収性材料に近接したコイル状フィラメントウェブの組立中間体は、組立中間体を後続の製造作業に搬送する移動ベルト85上にて搬送され得る。あるいは、組立中間体を、ベルト上に提供された支持基材に一時的又は恒久的に接着してもよい。支持基材に接着された中間体は、吸収性物品の構成要素として使用するためにロールに巻くことができる。コイル状フィラメントウェブは、(例えば不織布、ティッシュ、又は流体収集層など)液体透過性基材50のような別の基材に接着し得る。これは、例えば、接着剤をアプリケータ60で基材50に適用し、その接着剤が適用された基材を、図8に更に示すように、積層ニップ70にて、コイル状フィラメントウェブ40に積層することによって、達成し得る。ウェブの(上方の、トップシートに面した)主面に液体透過性の基材(例えば、不織布、ティッシュ又は流体獲得層)を適用する代わりに、又はそれとともに、基材は、反対側の(下方の、バックシートに面した)ウェブの主面に接着されてもよい。ティッシュのような基材を含めることは、後続の作業でのウェブの取り扱いを助けることができる。ティッシュのような基材を含めることはまた、複合吸収性構成体完成品に含めるために、材料を切断した別個の細片を別の材料の上に配置するための一般的かつ周知の方法である真空ホイール型アプリケータを使用してウェブを別個の細片に切断することも助けることができる。ウェブの多孔性及び空気の流れを低減するためのティッシュ又は他の層が欠如していると、真空支援式の切断及び配置作業を用いてウェブを取り扱うことは困難であり得る。図8は、(図1に示すような)ウェブの延伸を図示しているが、未延伸ウェブが使用されるとき、延伸ロール30及び暖気25は必要ではない。
【0042】
別の基材と接着すると、コイル状フィラメントウェブ又はより典型的には他の基材は、その表面積の全部又は一部が接着剤又はバインダーでコーティングされ得る。適切な接着剤又はバインダーの例としては、エマルジョン、ホットメルト、硬化性、又は溶剤系又は感圧性の、米国特許第Re 24,906号(Ulrich)に記載のような(メタ)アクリレート系感圧接着剤を含む接着剤、ポリウレタン接着剤、天然又は合成ゴム系接着剤、エポキシ系接着剤、硬化型接着剤、フェノール系接着剤などが挙げられる。
【0043】
吸収性(コア)材料は、典型的には、超吸収性ポリマーを含む高吸収性材料である。吸収性材料は、典型的には、セルロース繊維と超吸収性材料とのブレンドを含む。1つの例示的な吸収性材料は、約100g/m〜約700g/mの坪量を有するものであり、パルプの下端層、パルプの中間層、パルプに配置された超吸収性ポリマー、及び少なくともいくらかのパルプを含有する最上層としてエアレイドされている。吸収性材料は、0.25又は0.3g/cc〜約0.4g/ccの密度を有し得る。
【0044】
吸収性材料は、典型的には、超吸収性ポリマーを少なくとも5〜10重量%、好ましくは少なくとも15、20、25、又は30重量%含む。超吸収性ポリマーは、典型的には、吸収性材料の60重量%以下であり、いくつかの実施形態では、55、50、45、又は40重量%以下である。吸収性材料は、少なくとも150〜200g/m、典型的には300又は350g/m以下の坪量を有し得る。
【0045】
様々な吸収性(コア)材料及びその作製方法は、当該技術分野で記述されている(例えば、米国特許第4,610,678号及び同第6,896,669号を参照)。
【0046】
いくつかの実施形態では、(実施例に記載の試験方法にしたがって試験したときの)流体吸い上げ速度は、重量4kgで、10、9、8、7、6、5、又は約4秒以下であった。とりわけ、市販で入手可能な製品の流体吸い上げ速度は、重量4kgで約23〜31秒であることが試験で見出された。重量12kgで、いくつかの実施形態では、流体吸い上げ速度は50、40、30、20以下であり、いくつかの実施形態では、15秒以下であった。とりわけ、市販で入手可能な製品の流体吸い上げ速度は、重量12kgで、約98〜102秒であることが試験で見出された。重量24kgで、いくつかの実施形態では、流体吸い上げ速度は50秒又は40秒以下であり、いくつかの実施形態では、35秒又は約30秒以下であった。
【0047】
とりわけ、市販で入手可能な製品の流体吸い上げ速度は、重量24kgで、約102〜182秒であることが試験で見出された。このような流体吸い上げ性能は、1回(0.9% NaCl水溶液100mL)又は少なくとも2回(0.9% NaCl水溶液100mLを、間に2分間空けて2回)の流体投与で達成し得る。流体吸い上げ速度は、個人衛生用品完成品で測定したが、そのトップシート及びバックシートは試験結果にほとんど又は全く影響しないものと推定される。したがって、流体吸い上げ速度は、吸収性材料に近接したコイル状フィラメントウェブの組立中間体の特性であると推定される。
【0048】
コイル状フィラメントウェブの流体輸送特性を示す別の特性は、(実施例に記載の試験方法にしたがって試験したときの)長手方向の流体分配の長さである。いくつかの実施形態では、重量4kgで、長手方向の流体分配の長さは、少なくとも100、110、120、130、140mmであり、いくつかの実施形態では、150又は160mmであった。とりわけ、市販で入手可能な製品は、長手方向の流体分配の長さが85mmであることが試験で見出された。いくつかの実施形態では、重量12kgで、長手方向の流体分配の長さは、少なくとも100、125、150、160mmであり、いくつかの実施形態では、170、180、190又は200mmであった。とりわけ、市販で入手可能な製品は、長手方向の流体分配の長さが78〜85mmであることが試験で見出された。いくつかの実施形態では、重量24kgで、長手方向の流体分配の長さは、少なくとも125、150、160mmであり、いくつかの実施形態では、170mmであった。とりわけ、市販で入手可能な製品は、長手方向の流体分配の長さが95〜100mmであることが試験で見出された。
【0049】
吸収性構成要素の流体輸送要素として使用されるコイル状フィラメントウェブは、対称形(対称の点、線、又は面を有する)若しくは非対称形を含む様々な形を有し得る。想定されるコイル状ウェブの形としては、円形、楕円形、正方形、矩形、五角形、六角形、八角形、台形、切頭ピラミッド、砂時計、ダンベル、ドッグボーンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。縁及び角は直線でも曲線でもよい。辺は曲線(凸又は凹)、テーパー、フレア、又は斜めであり得る。加えて、コイル状ウェブは、空隙、空洞、くぼみ、チャネル、又は溝を作り出す切り取られた領域を含むことができる。いくつかの実施形態では、コイル状ウェブの形は好ましくは矩形である。その形にかかわらず、コイル状フィラメントウェブの流体輸送要素は、一般には、第1の主面と、この第1の主面に対向する、実質的に平行な第2の主面と、第1の主面及び第2の主面に直交方向の厚さとを有するように画定される。コイル状フィラメントウェブは、例えば、抗菌コーティング、イオン捕捉コーティング、乾燥剤、及び臭気制御粒子を含む、様々な機能的添加剤を含み得る。
【0050】
コイル状フィラメントウェブを、吸収性材料に近接した流体輸送要素として使用することができ、それらのいくつかは、後に説明するように、図11〜19に示されている。いくつかの好ましい実施形態では、コイル状フィラメントウェブの厚さは、吸収性材料と少なくとも部分的に流体連通する横方向の縁を画定する。いくつかの実施形態では、コイル状フィラメントウェブの横方向の縁は、直接接触によって吸収性材料と流体連通する。他の実施形態では、コイル状フィラメントウェブの横方向の縁と吸収性材料との間にティッシュ層のような低吸収性の(すなわち、超吸収性ポリマーのない)層が存在し得る。
【0051】
いくつかの好ましい実施形態では、コイル状フィラメントウェブは、横方向の縁の実質的に全てが吸収性材料と流体連通するように吸収性材料内に挿入される。この構成は、より速い流体吸い上げを有し得る。しかし、長手方向の流体分配の長さは短くなる場合がある。いくつかの実施形態では、不織布ウェブの少なくとも2つの対向する横方向の縁は、吸収性材料と接触している。例えば、コイル状フィラメントウェブの末端部で、横方向の縁は吸収性材料と接触し得る。コイル状ウェブが矩形の場合は、それらの末端部は、幅及び典型的には長さを画定する横方向の周辺縁部に相当する。しかし、図17を参照して更に説明するように、例えば縁部の封着によって、又はそのような横方向の縁と隣接する吸収性材料との間に流体不透過性フィルムを含めることによって、コイル状フィラメントウェブの中央部の長さに沿った2つの対向する周辺縁部に流体不透過性を付与してもよい。この構成は、より遅い流体吸い上げを有し得る。しかし、長手方向の流体分配の長さはより長くなり得る。
【0052】
吸収性材料に近接したコイル状フィラメントウェブ(流体輸送要素)を含む組立中間体は、(使い捨ての)吸収性物品への組み込みの前に、別の基材を更に含み得る。(使い捨ての)吸収性物品にしばしば含まれる一般的な基材としては、トップシート、獲得分配層(ADL)、及びバックシートが挙げられる。
【0053】
トップシートは、典型的には、着用者の皮膚に適合性であり、柔らかい感触であり、刺激性でない。更に、トップシートは液体透過性であり、その厚さを通して容易に液体が透過できるようにする。好適なトップシートは、多孔質発泡体、網状発泡体、孔あきプラスチックフィルム、天然繊維(例えば、木材又は綿繊維)、合成繊維(例えば、ポリエステル又はポリプロピレン繊維)、又は天然繊維と合成繊維との組み合わせなどの、広範な材料から製造され得る。トップシートは、典型的には、吸収性材料中の液体から着用者の皮膚を隔離するために疎水性材料である。
【0054】
トップシートを製造するために使用され得る多数の製造技術が存在する。トップシートは、織布、不織布、スパンボンドされたもの、カーディングされたものなどであり得る。全ての例示のトップシートは、カーディングされ、熱接着されたものである(1.5デニールの安定なポリプロピレン繊維)。トップシートは、1平方メートル当たり約18グラム〜約25グラムの坪量を有することができる。更に、トップシートは、典型的には、縦(マシン)方向に1センチメートル当たり少なくとも約400グラムの最小乾燥引張強度、及び横(クロスマシン)方向に1センチメートル当たり少なくとも約55グラムの湿潤引張強度を有する。獲得分配層(「サージ」層とも呼ばれる)は、典型的には、トップシートの下と吸収性コアの上に配置される。獲得層は、典型的には、織布の、不織布の、又はカーディングされた、繊維性の材料で構成されている。それらは、吸収性物品のトップシートを通して、一時的な保持のために(例えば、一時的なリザーバとして作用するように)液体を迅速に吸収し、その液体を下の吸収性コアが最終的に又は永久に保持するために吸収できる速度で吸収性コアに移送するように配置されている。獲得層は、典型的には、獲得層によって包含されるコアの領域にわたって「x」及び「y」平面内に体液を拡散する一方で、吸収性コアへの「z」方向にもまた流体を搬送することにより、吸収性物品の「ウィッキング性」を改善する。使い捨て吸収性物品において獲得層に使用される市販の入手可能な材料の例は、スルーエアーボンドステープル繊維、接着剤で接合されたステープル繊維、及び熱点接合されたステープル繊維である。
【0055】
バックシートは、液体に対して不透過性であり、かつ典型的には薄いプラスチックフィルムであるが、他の液体不透過性の材料もまた用いられる場合がある。バックシートは、典型的に可撓性であり、すなわち、適合性であり、着用者の身体の概ねの形状及び輪郭に容易に適合する。バックシートは、吸収性材料に吸収され包含された滲出液が、吸収性物品に接触するベッドシーツ及び下着などの物品を濡らすことを防ぐ。1つの例示的なバックシートは、約0.012mm(0.5ミル)〜約0.051mm(2.0ミル)の厚さを有するポリエチレンフィルムである。より布様の外観を提供するためにバックシートをエンボス加工又は艶消し仕上げすることができる。更に、バックシートは、吸収性部材から蒸気を逃がす一方で、浸出液がバックシートを通過するのをなお防ぐことができる。
【0056】
典型的な使い捨て吸収性物品において、トップシートとバックシートは任意の適した方法で互いに関連付けられている。典型的には、例えば接着剤又は当該技術分野で周知の任意の他の取付手段のような取り付け手段によって、トップシートとバックシートとは、物品の周囲で互いに直接貼付されている。
【0057】
図11は、吸収性(例えば、コア)材料280に近接したコイル状フィラメントウェブ流体輸送要素260の組立中間体を含む例示的な吸収性物品200の上面図を示す。吸収性物品200は、流体透過性トップシート220、トップシート220の下でトップシート220と流体連通する流体透過性獲得分配層(ADL)240、及びADLの下でADLと流体連通するコイル状フィラメントウェブ流体輸送要素260を更に備える。吸収性(例えば、コア)材料280は、典型的には、流体輸送要素260を取り囲んでいる。
【0058】
図12は、図11の例示的な組立中間体及び吸収性物品の中央断面図である。コイル状フィラメントウェブ流体輸送要素260は、例えば吸収性(コア)部分280aと直接接触によって流体連通する横方向の縁261、及び例えば吸収性(コア)部分280bと直接接触によって流体連通する横方向の縁262を備える。
【0059】
図13〜16及び図19は、吸収性物品に組み込まれた、吸収材(380、480、580、680及び880)に近接した流体輸送要素(360、460、560、660、及び860)を備えた他の例示的な組立中間体の断面図を示す。図13〜16及び図19の断面図の各々において、コイル状フィラメントウェブ流体輸送要素の厚さは、横方向の縁(361,362;461、462;561、562;661、662;861、862)を画定し、横方向の縁は、吸収性材料と直接接触などにより流体連通する。
【0060】
図12図14〜16及び図19の例示的な実施形態では、コイル状フィラメントウェブ流体輸送要素(260、460、560、660及び860)は、流体不透過性バックシート要素(290、490、590、690及び890)と直接接触している。流体不透過性バックシート要素(290、490、590、690及び890)とコイル状フィラメントウェブ流体輸送要素(260、460、560、660及び860)との間に、所望によりティッシュ層(図示せず)が存在してもよい。そのようなティッシュは、取り扱いを助けるために流体輸送要素に直接に取り付けることができる。図12図14〜16及び図19に示す実施形態では、流体不透過性バックシート要素(290、490、590、690及び890)とコイル状フィラメントウェブ流体輸送要素(260、460、560、660及び860)との間に、高吸収性(コア)材料(すなわち、超吸収性ポリマーを含んでいる)は存在しない。
【0061】
図13は、吸収性物品300に組み込まれた別の例示的な組立中間体の中央断面図である。この実施形態は、流体透過性トップシート320と、トップシート320の下でトップシート320と流体連通する流体透過性獲得分配層(ADL)340と、ADLの下でADLと流体連通するコイル状フィラメントウェブ流体輸送要素360とを備える。コイル状フィラメントウェブ流体輸送要素360は、直接接触などにより吸収性(コア)材料380と流体連通する横方向の縁361及び362を含む。図12図14〜16及び図19に示した実施形態と異なり、この実施形態では、コイル状フィラメントウェブ流体輸送要素360の反対側の(底の)主面363は、吸収性コア材料380と接触している。したがって、液体不透過性バックシート390とコイル状フィラメントウェブ流体輸送要素360との間に、高吸収性(コア)材料380の層が存在する。この実施形態では、吸収性コア材料380と流体連通するコイル状フィラメントウェブ流体輸送要素360の表面積は、例えば図12よりも大きい場合がある。
【0062】
図14は、吸収性物品400に組み込まれた別の例示的な組立中間体の中央断面図である。この実施形態は、流体透過性トップシート420と、トップシート420の下でトップシート420と流体連通する流体透過性獲得分配層(ADL)440と、ADLの下でADLと流体連通するコイル状フィラメントウェブ流体輸送要素460とを備える。コイル状フィラメントウェブ流体輸送要素460は、吸収性材料部分480aと流体連通する横方向の縁461、及び、例えば、吸収性(コア)材料480との直接接触によって吸収性材料部分480bと流体連通する横方向の縁462を備える。この実施形態では、コイル状フィラメントウェブ流体輸送要素460は、三角形の断面を有し、三角形の頂点の1つが液体不透過性バックシート490と接している。コイル状フィラメントウェブ流体輸送要素460の横方向の縁461及び462の表面積は、(図12に示すような)矩形の断面を有するコイル状フィラメントウェブの横方向の縁の表面積より大きい場合がある。
【0063】
図15は、吸収性物品500に組み込まれた別の例示的な組立中間体の中央断面図である。この実施形態は、流体透過性トップシート520と、トップシート520の下でトップシート520と流体連通する流体透過性獲得分配層(ADL)540と、ADLの下でADLと流体連通するコイル状フィラメントウェブ流体輸送要素560とを備える。コイル状フィラメントウェブ流体輸送要素560は、吸収性(コア)材料580との直接接触などにより、吸収性材料部分580a及び580bとそれぞれ流体連通する横方向の縁561及び562を含む。この実施形態では、コイル状フィラメントウェブ流体輸送要素560は、T形の断面を有し、底面がバックシート590と接している。
【0064】
図16は、吸収性物品600に組み込まれた別の例示的な組立中間体の中央断面図である。この実施形態は、流体透過性トップシート620と、トップシート620の下でトップシート620と流体連通する流体透過性獲得分配層(ADL)640と、ADLの下でADLと流体連通するコイル状フィラメントウェブ流体輸送要素660とを備える。コイル状フィラメントウェブ流体輸送要素660は、吸収性(コア)材料680との直接接触などにより、吸収性材料部分680a及び680bとそれぞれ流体連通する横方向の縁661及び662を含む。この実施形態では、コイル状フィラメントウェブ流体輸送要素660は、反転したT形の断面を有し、底面がバックシート690と接している。
【0065】
図17は、吸収性物品700に組み込まれた別の例示的な組立中間体の中央断面図である。この実施形態は、流体透過性トップシート720と、トップシート720の下でトップシート720と流体連通する流体透過性獲得分配層(ADL)740と、ADLの下でADLと流体連通するコイル状フィラメントウェブ流体輸送要素760とを備える。コイル状フィラメントウェブ流体輸送要素760は、コイル状フィラメントウェブ流体輸送要素760の両方の横方向の縁及び反対側の(底)面を囲む液体不透過性(例えばフィルム)の層795と接触している横方向の縁761及び762並びに底縁部763を含む。いくつかの実施形態では、この液体不透過性(例えばフィルム)の層は、液体輸送不織布ウェブと同じ長さを有する。他の実施形態では、この液体不透過性(例えばフィルム)の層はより短い長さであり、物品の中央領域(約50%)のみに存在し得る。この実施形態では、液体輸送不織布ウェブの(断面の)末端部において物品は図12と同じ外観を有し得る。
【0066】
図18は、流体透過性トップシート820と、トップシート820の下でトップシート820と流体連通する流体透過性獲得分配層(ADL)840と、ADLの下でADLと流体連通するコイル状フィラメントウェブ流体輸送要素860と、を備える吸収性物品800に組み込まれた別の例示的な組立中間体の上面図を示す。吸収性(例えば、コア)材料880は、典型的には、流体輸送要素860を取り囲んでいる。
【0067】
図19は、図18の組立中間体及び吸収性物品の中央断面図である。図19に最もよく示されているように、この実施形態は、更に、空隙850(空間)を備える。コイル状フィラメントウェブ流体輸送要素860は、典型的には、適度な圧縮で空間が維持されるように十分に弾力的である。
【0068】
いくつかの実施形態では、流体輸送要素(例えば図11の260)は、ADLの長さ(すなわち最長寸法)を超えて延びる寸法(例えば長さ)を有する。そのような実施形態では、流体輸送要素もまた、トップシートと直接接触などにより流体連通し得る。あるいは、流体輸送要素260の寸法は、流体輸送要素260の第1の主面がADLと接触するがトップシートとは接触しないように選択され得る。
【0069】
組立中間体又は吸収性物品は、更に、ADLと流体輸送要素との間に1つ以上のティッシュ層を備え得る。そのようなティッシュ層は、典型的には、超吸収性ポリマーを含む吸収性(例えばコア)材料ほど「高吸収性」ではない。
【0070】
本発明は、次の非限定的な実施例により例示される。
【0071】
コイル状ウェブの調製
【実施例】
【0072】
実施例1〜10(未延伸ウェブ)
コイル状ウェブは、米国特許第6,762,139号(Strommen)に記載の方法にしたがって調製した。1インチ(2.5cm)のスクリューを有するHaakeモデル押出成形機(Thermo Electron Corporation(ニューハンプシャー州Newington))を使用した。ダイの温度は260〜302℃に設定した。冷却浴は、100ガロン(379リットル)の水浴であり、21〜27℃に維持した。TRITON GR−5M界面活性剤(0.025%、Dow Chemical Company(ミシガン州Midland))を冷却浴に添加した。コイル状ウェブの坪量は、押出成形機の樹脂処理能力及び冷却浴からのウェブの引き出しのライン速度に対する個別の調整により制御した。押出機のスクリュー速度は50〜100rpmの範囲、冷却浴からウェブを引き出すライン速度は5〜15メートル/分の範囲であった。ELITE−5815ポリエチレン熱可塑性樹脂(Dow Chemical Company(ミシガン州Midland))を用いて実施例1〜2のコイル状ウェブを調製した。VERSIFY−4200ポリプロピレン熱可塑性樹脂を用いて実施例3〜6のコイル状ウェブを調製した。実施例7のコイル状ウェブは、ELITE−5815とENGAGE−8407ポリエチレン樹脂(Dow Chemical Company(ミシガン州Midland))の1:1重量比のブレンドから調製した。DOW C700−35Nポリプロピレンインパクトコポリマー熱可塑性樹脂(Dow Chemical Company(ミシガン州Midland))を用いて実施例8〜9のコイル状ウェブを調製した。実施例10のコイル状ウェブは、ナイロン6樹脂(BASF Corporation(ミシガン州Wyandotte)からのULTRAMID Polyamide 6として入手可能)を用いて調製した。実施例1〜9については、117個(直径760ミクロン)の穴が5列に等間隔に離間配置されている102mm×19mmのパターン付き押出成形ダイを使用した。コイル状ウェブの幅は横方向(CD)に測定したときに10cmであった。実施例1〜10に関してのフィラメント直径(ミクロン)、ウェブ坪量(gsm)、ウェブ厚さ、ウェブ密度を表1に記載する。
【0073】
実施例11〜21(延伸ウェブ)
実施例1〜10から選択した未延伸前駆体ウェブを提供し、更にそれらの前駆体ウェブを手延伸とアニーリング工程によって加工して、実施例11〜21のコイル状フィラメント延伸ウェブを調製した。測定値が機械方向(MD)30cm、横方向(CD)10cmのコイル状ウェブの試料を使用した。それぞれのマークが機械方向に縁から10cmの位置になるように、2つのインクマークを付けた。そのマークを付けた位置を手で持って、2つのマークが30cm又は40cm(3:1又は4:1の比率)のいずれかに離れるまで、機械方向に延伸した。この手延伸作業中、コイル状ウェブ内の多くのフィラメント同士の接着が破壊された。張力を取り除き、ウェブを弛緩した状態に戻らせた。弛緩した状態では、ウェブの延伸部分は40cmよりはるかに短く、2つのインクマークの間の長さは約12〜13cmである。インクマークが20〜25cm離間して保持される位置(約2:1の延伸率)まで、ウェブの延伸された部分を再び手延伸した。試料をその延伸された位置に保持し、1枚の厚紙に固定し、65℃に設定した熱風炉に30〜45秒置いた。延伸及びアニーリングされた試料を炉から取り出し、周囲温度で1分間維持し、次いで、固定装置から剥離して最終製品を提供した。
【0074】
上述の手延伸法を使用して、実施例11〜21の延伸されたコイル状ウェブを調製した。実施例11〜13は実施例1から出発して調製し、実施例14〜16は実施例7から出発して調製し、実施例17〜21は実施例3から出発して調製した。出発コイル状ウェブの厚さは、実施例1に関しては6.2mm、実施例7に関しては7.1mm、実施例3に関しては7.2mmであった。表2には、初期のウェブの延伸距離、初期延伸後の延伸されたウェブ材料の弛緩後の距離、第2のウェブ延伸の距離、及び第2の延伸及びアニーリング工程後の延伸されたウェブ材料の弛緩後の距離が記載されている。実施例11〜21に関しては、3回の反復実験からデータを収集し、平均値を記載した。
【0075】
表3には、実施例11〜21に関してのウェブ坪量(gsm)、ウェブ厚さ(mm)、及びウェブ密度(g/cm)が記載されている。これら3つのウェブ特性のそれぞれに関して、延伸ウェブの測定値と、未延伸前駆体ウェブの測定値との差を算出した。値の増加百分率又は低下百分率の計算も行った。表4に記載したこれらの計算は、コイル状ウェブの延伸が、厚さの増加、坪量の低下、及び密度の低下をもたらすことを示している。
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】
【0078】
【表3】
【0079】
【表4】
【0080】
ウェブの顕微鏡写真検査
Leica Model MZ16実体顕微鏡(Leica Microsystems(ドイツ、Wetzlar)から市販で入手可能)を倍率7.1Xで使用し、未延伸コイル状ウェブ(実施例1及び7)並びに延伸されたコイル状ウェブ(実施例13及び15)の顕微鏡写真を撮影した。ウェブのフィラメント同士の接着の破壊に関して、この顕微鏡写真を検査した。ウェブ試料を顕微鏡の台に平らに寝かせ、ランダムに選択したウェブの5つの領域において、ウェブの上面から顕微鏡写真を撮影した。全ての顕微鏡写真は、測定寸法0.83cm(MD 10.5mm×CD 7.9mm)の試料のものである。2人が顕微鏡写真を検査し、個別に棘の数を数えた。結果として、各試料につき合計10の複製を得た。個々の値を平均し、各コイル状ウェブ実施例の平均値を決定した。結果を表5に報告する。この試験方法では、フィラメントから横方向に突出している棘を数えることに限定して顕微鏡写真を検査した。フィラメントの後ろに隠れている棘、又はカメラの方に向かって若しくはカメラから離れる方向に突出している棘ははっきり見えなかったので、数えられていない。試料面積内の棘の実際の数は、試験方法により決定した数よりも多い。
【0081】
【表5】
【0082】
圧縮性
コイル状ウェブを圧縮するために必要とされるエネルギーを測定した。全ての試験は、一定の温度(23℃+/−2℃)及び相対湿度(50%+/−5%)で行った。全ての材料及び装置は、試験に先立って最小24時間、これらの条件で均衡させた。データ記録のためのコンピュータ及び必要な荷重範囲を備えた不変定数の拡張引張試験器具を使用した(Instron Engineering Corporation(Canton,MA)から入手可能なシリーズ4200、4500、又は5500)。計器のクロスヘッド速度を200mm/分に設定し、キャリブレーションされた定格500Nのロードセルを使用した。コイル状ウェブの完成品試料を直径3インチ(7.6センチメートル)の円に切断し、デジタル手持ち式キャリパーを使用して厚さを測定した。各試料につき、新しい材料の3つの複製を使用し、記録した値の平均値としてデータを報告する。
【0083】
2枚の圧縮用プラテン(直径6インチ(15.2センチメートル))を平行に整列させて、1枚はベースになるように下方のジョーに取り付け、もう1枚は圧縮力を付加する移動ピストンになるように上方のジョーに取り付けて、インストロン計器を装備した。それらのプラテンを接触させ、ジョーの隙間の測定値を計器上でゼロに設定した。次いで、試料の厚さと同等の距離までそれらのプラテンを引き離した。ゲージ長をゼロにリセットし、次いで、試料の配置ができるように手作業で公称距離だけ更に間隔を空けた。試料を下方のプラテン上に配置し、上方のプラテンを試料に当ててゼロ位置まで戻した。圧縮率(ひずみ百分率)の自動記録を用いて、試料を1、5、10、20、40、60、及び100kPaの圧縮応力(kPa)で圧縮した。プロットした応力ひずみ曲線(0〜90kPa)の下の面積を算出し、圧縮の仕事量(WOC)としてキロジュール/m単位で報告した(表6及び7)。
【0084】
それぞれの延伸されたウェブの試料(実施例11〜13、15及び17〜21)について測定されたWOC値と、対応する未延伸前駆体ウェブについて測定されたWOCとの差を算出した。WOCの減少率もまた決定した。その結果を表8に記す。データは、コイル状ウェブの延伸がWOC測定値の減少をもたらしたことを示している。
【0085】
【表6】
【0086】
【表7】
【0087】
【表8】
【0088】
垂直ウィッキング
浅いアルミニウムトレーに、12.7mmの深さまで食塩水(0.9% NaCl水溶液)を注いだ。可視化を高めるために、食塩水を赤色食品着色料で着色した。25.4mm×152.4mmの大きさの実施例3及び17及び比較例A1〜A3の試験試料を用意した。比較例A1は、Kimberly Clark Corporation(ワイオミング州Neenah)から「HUGGIES LITTLE MOVERS」の商標で市販により入手可能なサイズ6号の赤ちゃん用おむつから得た獲得分配層(ADL)である。このADLは、平均坪量106gsm、繊維直径平均値ミクロンを有する厚さ3mmの不織布ウェブである。比較例A2は、SCA Personal Products(ペンシルベニア州Philadelphia)から「TENA SERENITY」の商標で市販により入手可能な成人用失禁パッドから得た吸収性コアである。この吸収性コアは、セルロース繊維及び超吸収性ポリマーの層が2枚のティッシュの間に挟まれている接着されたエアレイド材である。この吸収性コアは厚さ5mmであり、440gsmの平均坪量を有する。実施例A3は、上記のKimberly Clark Corporationから市販により入手可能な「WYPALL L30」不織ティッシュである。各試料の細い端にクリップを取り付け、トレーの上に位置づけたサポートから個々に吊るした。試料は、トレーに対して垂直に位置づけられるように配向させ、試料の自由端がトレーの底に触れるように食塩水に浸漬させた。周囲温度にて、試料を食塩水に60分間維持した。試料を食塩水から取り出し、各試料における食塩水の移動距離を定規で測定した(表9)。次いで、試料を空気中に吊るして5分間滴下乾燥させてから重量測定した。ウェブにより保持された流体による重量獲得率を表9に記載する。
【0089】
【表9】
【0090】
ドレープ性
固体の水平面及び垂直面を有する矩形立方体を、ドレープ性測定のための試験構造物として使用した。101.6mm(CD)×152.4mm(MD)の不織布ウェブの試料を立方体の上面に平らに寝かせ、試料の(MD方向に)76.4mmが縁から張り出すように位置づけた。水平面に静止しているウェブ試料の部分を手圧により下方に押した。この試験構造物は、材料が縁を越えて自由に垂れ下がることができるように十分に大きい。試料のオーバーハングした部分の(下面の)外側の縁から、隣接する試験構造物の垂直面までの最短距離を測定することにより、ドレープ性を決定した。実施例3及び17の測定結果を表10に記載する。
【0091】
【表10】
【0092】
延伸されたウェブのドレープ性は、未延伸ウェブと比較して69%増加した。
【0093】
ヒステリシス
コイル状の不織布ウェブのヒステリシス特性は、データ記録用のコンピュータを備えた伸長引張試験機のユニバーサル一定速度を用いて測定し、要求されている荷重範囲を使用した(Instron Engineering Corporation(マサチューセッツ州Canton)から入手可能なModel 5500R)。全ての試験は、一定の温度(23℃+/−2℃)及び相対湿度(50%+/−5%)で行った。全ての材料及び装置は、試験に先立って最小24時間、これらの条件で均衡させた。計器の上方のジョーと下方のジョーが76.2mm間隔で位置づけられているときに最小限の弛みになるように試料を保持して、101.6mm(CD)×152.4mm(MD)のウェブ試料をInstron計器に装着した。ジョーの間の試料の滑りと破壊を最小限にするために、ラインコンタクトジョーを使用した。76.2mmの最大伸張(100%伸張)が達成されるまでは、計器のクロスヘッド速度を305mm/分に設定した。100%伸張のときに、ジョーを1秒間静止に保持し、次いで、76.2mm間隔のゼロ伸張位置に戻した。予め延伸されたコイル状ウェブ(実施例15及び19)並びに未延伸のコイル状ウェブ(実施例3及び7)について、25%、50%、75%、及び100%のウェブ伸張率で測定された荷重値(ニュートン単位)を表11に記載した。データは、対応する未延伸の試料と比較して、予め延伸されたウェブ試料が、伸張率25%で有意に低い荷重を有することを示している。
【0094】
【表11】
【0095】
流体輸送速度
未延伸コイル状ウェブ(実施例1、3、5〜8及び10)及び延伸されたコイル状ウェブ(実施例12及び17〜20)による流体輸送速度を、圧縮力を付加した場合としない場合とで測定した。コイル状ウェブの円形試料(直径75mm)を2枚のプレキシガラス板(20.3cm×20.3cm)の間に配置した。上板の中央に直径15mmの穴を切り抜いた。錐体形ガラスじょうご(ステム内径13mm)を、そのステムの底が上板の底とぴったり並ぶように、その穴に配置した。じょうごのステムと板の穴との間に緊密な漏れないシールを作るために、最小限の量のParafilm(商標)M(Pechiney Plastic Packaging(イリノイ州Chicago))でステムの周囲を巻いた。じょうごが取り付けられた状態の上板の重量は427gであった。上板の穴がコイル状ウェブ試料の中央の真上になるようにコイル状ウェブ試料を配置した。圧縮力をもたらすために、上面に総重量(0〜24キログラムを付加)が均等に分配されるようなパターンで上板に個々の重しを付加した。食塩水(100mLの0.9% NaCl水溶液)をじょうごにすばやく加え、全ての流体がコイル状ウェブに入るのに要した時間を測定することにより、異なる圧縮力(0〜24kg(0〜235N))下でのコイル状ウェブによる流体輸送速度を決定した。可視化を高めるために、食塩水を赤色食品着色料で着色した。実施例1、3、5〜8、10、12及び17〜20からの調製されたコイル状ウェブ試料についての結果を表12に記載する。
【0096】
【表12】
【0097】
成人用失禁パッドにおける流体吸い上げ速度及び流体分配
コイル状ウェブ試料の流体輸送速度を測定するために、上記の試験装置及び試験方法を用いて、パッドの吸収性コアの一区分をコイル状ウェブの試料と交換することにより変更した成人用失禁パッドの流体吸い上げ速度及び流体分配を測定した。吸収性コアの厚さ全体の中心部を取り除き、ウェブの一方の主面がトップシート又は獲得分配層(ADL)と接触し、その反対側のウェブ主面がバックシートと接触し、ウェブの厚さに相当する横方向の縁が吸収性コアと接触するようにして、その取り除いた吸収性コアの代わりにコイル状ウェブを挿入した。試験物品として使用した成人用失禁パッドの例は、当業者には周知であり、以前に、米国特許第5,019,065号(Scripps)、同第6,509,513号(Glaug)、同第4,834,735号(Alemany)、及び同第4,610,678号(Weisman)に記載されている。典型的な成人用失禁パッド被験物は、トップシートと、ボトムシートと、トップシートとボトムシートとの間に配置された吸収性コア要素とを備え、所望により、吸収性コア要素とトップシートとの間に配置されたADLを備える。トップシートとボトムシートの縁は、シールを形成するように付着されている。試験パッドの全体の寸法は、約26〜31cm(長さ)×9〜11cm(幅)×3〜10mm(厚さ)の範囲である。試験パッドの総重量は約11〜26gの範囲である。
【0098】
トップシートは、約27〜37gsmの坪量を有する液体透過性ポリプロピレン不織布である。バックシートは、約0.5〜2.0ミル(0.012〜0.051mm)の厚さを有する液体不透過性ポリエチレンフィルムである。吸収性コア材料は、セルロース繊維(約70〜80重量%)と超吸収性ポリマー(約20〜30重量%)との混合物で構成されている。吸収性コア要素の寸法は、約24〜29cm(長さ)×7〜9cm(幅)×3〜10mm(厚さ)の範囲である。パッド内の吸収性コアの量は8〜25グラムの範囲である。コイル状ウェブを挿入するために取り除かれる吸収性コアの量は約1.5〜3.5gの範囲である。挿入されたコイル状ウェブ構成要素を有するパッドの実施例では、パッドを再び組み立てたが、開かれた縁領域の再封着はしなかった。任意のADLは、約50〜150gsmの坪量を有するティッシュ又は不織布層である。ADLの寸法は、約17〜31cm(長さ)×4〜8cm(幅)の範囲である。
【0099】
パッドのトップシートが上板に面する(バックシートは下板上に静置される)ようにして失禁パッドを試験装置に配置し、上のガラス板の穴に対してパッドを中央に位置合わせした。それぞれの試験に使用した食塩水の量は75mLである。食塩水をじょうごにすばやく加え、全ての流体がパッドに入るのに要した時間を測定することにより、異なる圧縮力(0〜24kg(0〜235N))下でのパッドによる流体の吸い上げ速度を決定した。パッドを装置から取り出し、パッド内の液体が移動した長手方向距離の合計(mm)を測定することにより、各パッドにおける液体の長手方向の分配を決定した。最初に試験装置全体をパンに配置することにより、パッドからの液体の漏れ(グラム)を測定した。試験中にパッドから漏れ出た液体を全てパンに収集し、回収し、重量測定した。その結果を表13〜17に示す。
【0100】
(実施例22)
TENA SERENITY成人用失禁パッド(SCA Personal Products,(ペンシルベニア州Philadelphia))は、そのパッドの30mm×120mm区分の吸収性コア(パッドの長手方向及び横方向の両方において中央に位置づけられている)の全てを手作業で取り除き、その結果得られた空隙を実施例13の試料1.16gで満たすことにより、変更した。空隙を満たした後、パッドの元のトップシート及び獲得分配層(ADL)を再び配置することにより、パッドを再び組み立てた。この構成では、じょうごから送達される流体は、挿入されたコイル状ウェブに流れ込む前にトップシート及びADLを通過する(コイル状ウェブに最初に接触せずに吸収性コアに接触した流体の量はごくわずかであった)。実施例13のコイル状ウェブの試料を、それぞれの試験条件について再び使用した。それぞれの試験の間に、ウェブ試料をぬれたパッドから取り出し、叩くようにして乾かし、次いで、新しい(乾燥した)パッドの空隙に再び挿入した。
【0101】
(実施例23)
実施例22に記載したのと同じ手順を用いて、POISE成人用失禁パッド(Kimberly−Clark Corporation(ウィスコンシン州Neenah)から入手可能)を変更した。パッド内に作り出された空隙を実施例13の試料1.09gで満たした。
【0102】
(実施例24)
TENA LADY EXTRA成人用失禁パッド(SCA Hygeine Products(スウェーデン、Stockholm))は、そのパッドの25.4mm×140mm区分の吸収性コア(パッドの長手方向及び横方向の両方において中央に位置づけられている)の全てを手作業で取り除き、得られた空隙を実施例15の試料1.22gで満たすことにより、変更した。空隙を満たした後、パッドの元のトップシート及び獲得分配層を再び配置することにより、パッドを再び組み立てた。この構成では、じょうごから送達される流体は、挿入されたコイル状ウェブに流れ込む前にトップシート及びADLを通過する(コイル状ウェブに最初に接触せずに吸収性コアに接触した流体の量はごくわずかであった)。実施例15のコイル状ウェブの試料を、それぞれの試験条件について再び使用した。それぞれの試験の間に、ウェブ試料をぬれたパッドから取り出し、叩くようにして乾かし、次いで、新しい(乾燥した)パッドの空隙に再び挿入した。
【0103】
(実施例25)
パッドの空隙を実施例13のものではなく実施例1の試料1.94gで満たしたことを除き、実施例22と同じ構成体を使用した。
【0104】
(実施例26)
パッドの空隙を実施例13のものではなく実施例1の試料1.91gで満たしたことを除き、実施例23と同じ構成体を使用した。
【0105】
(実施例27)
パッドの空隙を実施例15のものではなく実施例7の試料1.68gで満たしたことを除き、実施例24と同じ構成体を使用した。
【0106】
比較例B、C、及びD
比較例Bは、変更されていないTENA SERENITY成人用失禁パッドである。比較例Cは、変更されていないPOISE成人用失禁パッドであり、比較例Dは、変更されていないTENA LADY EXTRA成人用失禁パッドである。
【0107】
【表13】
【0108】
【表14】
【0109】
【表15】
【0110】
【表16】
【0111】
【表17】
【0112】
複数回流体投入後の成人用失禁パッドにおける流体吸い上げ速度及び流体分配
実施例22及び25にしたがって構築した成人用失禁パッドの流体吸い上げ速度及び流体分配を、75mLの食塩水を2回投入後に評価した。流体吸い上げ速度を決定するために、上記の装置を使用した。1回目の投入後、付加した重量及び上のガラス板を取り除き、パッドをそのまま2分間維持した。装置を再び組み立て、2回目の食塩水投入を行った。その結果を表18〜19に示す。
【0113】
【表18】
【0114】
【表19】
本発明の実施態様の一部を以下の項目[1]−[31]に記載する。
[1]
吸収性材料に近接した熱可塑性不織布ウェブを備える吸収性組立中間体であって、前記熱可塑性不織布ウェブが、断続的接着座剤により相互係合されている200〜500ミクロンの平均直径を有する複数のコイル状フィラメントを含み、かつ前記ウェブが、3〜20mmの厚さ、0.02〜0.10g/cmの範囲の密度、及び20kJ/m以下の圧縮仕事量を有する、吸収性組立中間体。
[2]
前記コイル状フィラメントが一方向に連続している、項目1に記載の吸収性組立中間体。
[3]
前記断続的接着剤が溶融接着剤を含む、項目1〜2のいずれかに記載の吸収性組立中間体。
[4]
前記ウェブが、15kJ/m以下の圧縮仕事量を有する、項目1〜3のいずれかに記載の吸収性組立中間体。
[5]
前記ウェブが、10kJ/m以下の圧縮仕事量を有する、項目4に記載の吸収性組立中間体。
[6]
前記ウェブが200gsm〜400gsmの範囲の坪量を有する、項目1〜5のいずれかに記載の吸収性組立中間体。
[7]
前記ウェブが300gsm未満の坪量を有する、項目1〜5のいずれかに記載の吸収性組立中間体。
[8]
前記ウェブが10mm以下の厚さを有する、項目1〜7のいずれかに記載の吸収性組立中間体。
[9]
前記ウェブが0.02〜0.05g/cmの範囲の密度を有する、項目1〜8のいずれかに記載の吸収性組立中間体。
[10]
前記ウェブが、25%の伸張にて25ニュートン未満の荷重を呈する、項目1〜9のいずれかに記載の吸収性組立中間体。
[11]
前記不織布ウェブが、25%の伸張にて15ニュートン未満の荷重を呈する、項目10に記載の吸収性組立中間体。
[12]
前記不織布ウェブが100mm未満のドレープ性を有する、項目1〜11のいずれかに記載の吸収性組立中間体。
[13]
前記不織布ウェブが50mm未満のドレープ性を有する、項目12に記載の吸収性組立中間体。
[14]
前記不織布ウェブが、5、4、3、2、又は1mm以下の食塩水の垂直ウィッキングを呈する、項目1〜13のいずれかに記載の吸収性の組立中間体。
[15]
前記不織布ウェブが親水性繊維及び超吸収性ポリマーを含まない、項目1〜14のいずれかに記載の吸収性組立中間体。
[16]
前記不織布ウェブが、
重量4kgで10秒以下の流体輸送速度、
重量12kgで15秒以下の流体輸送速度、及び
重量24kgで20秒以下の流体輸送速度のうちのいずれか1つ又は組み合わせの流体輸送速度特性を呈する、項目1〜15のいずれかに記載の吸収性組立中間体。
[17]
前記不織布ウェブが延伸されたウェブである、項目1〜16のいずれかに記載の吸収性組立中間体。
[18]
前記不織布ウェブの1つの面が1平方センチメートル当たり少なくとも1つ、2つ、又は3つの破壊された接着剤を含む、項目17に記載の吸収性組立中間体。
[19]
前記延伸されたウェブが、前記平均直径より小さい直径を有するフィラメントの部分、配向されているフィラメントの部分、又はそれらの組み合わせを含む、項目17〜18のいずれかに記載の吸収性組立中間体。
[20]
前記不織布ウェブが、第1の主面と、前記第1の主面に実質的に平行な反対側の第2の主面と、前記第1及び第2の主面に直交方向の厚さとを含み、前記厚さは横方向の縁を画定し、前記吸収性材料は少なくとも1つの横方向の縁と接触している、項目1〜19のいずれかに記載の吸収性組立中間体。
[21]
前記不織布ウェブの少なくとも2つの対向する横方向の縁が前記吸収性材料と接触している、項目20に記載の吸収性組立中間体。
[22]
前記不織布ウェブの前記横方向の縁の全てが前記吸収性材料と接触している、項目20〜21のいずれかに記載の吸収性組立中間体。
[23]
前記不織布の2つの対向する横方向の縁が流体不透過性である、項目20〜21のいずれかに記載の吸収性の組み立てられた中間体。
[24]
前記吸収性材料がセルロース繊維及び超吸収性ポリマーを含む、項目1〜23のいずれかに記載の吸収性組立中間体。
[25]
前記吸収性構成要素が、
重量4kgで10秒以下の流体吸い上げ速度、
重量12kgで50秒以下の流体吸い上げ速度、及び
重量24kgで50秒以下の流体吸い上げ速度のうちから選択される流体吸い上げ速度特性のいずれか1つ又は組み合わせを呈する、項目1〜24のいずれかに記載の吸収性組立中間体。
[26]
前記吸収性構成要素が、
重量4kgで少なくとも100mmの長手方向の流体分配の長さ、
重量12kgで少なくとも100mmの長手方向の流体分配の長さ、及び
重量24kgで少なくとも125mmの長手方向の流体分配の長さのうちから選択される長手方向の流体分配の長さのいずれか1つ又は組み合わせを呈する、項目1〜25のいずれかに記載の吸収性組立中間体。
[27]
前記吸収性構成要素が、1回又は2回の流体投入で流体吸い上げ特性及び/又は長手方向の流体分配の長さ特性を呈する、項目25〜26のいずれかに記載の吸収性組立中間体。
[28]
項目1〜27のいずれかに記載の吸収性組立中間体を備える吸収性物品であって、前記物品が個人衛生用品ではない、吸収性物品。
[29]
前記熱可塑性不織布ウェブの第1の主面の少なくとも一部分が、トップシート又は流体獲得分配層と流体連通する、項目28に記載の吸収性物品。
[30]
前記熱可塑性不織布ウェブの第2の対向する主面の少なくとも一部分が、流体不透過性バックシートと接触している、項目28又は29のいずれかに記載の吸収性物品。
[31]
前記不織布ウェブと、前記吸収性材料又はトップシート又は流体分配獲得層又はバックシート又はそれらの組み合わせとの間にティッシュ層が存在する、項目28〜30のいずれかに記載の吸収性物品。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19