【文献】
Eric Brouzes,Droplet microfluidic technology for single-cell high-throughput screening,PNAS,米国,2009年 8月25日,Vol.106, No.34,p.14195-14200
【文献】
Anthony D.Keefe,Functional proteins from a random-sequence library,Nature,米国,2001年 4月 5日,Vol.410,p.715-718
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記集団の個々のメンバーポリペプチドに対する生物学的応答について細胞を試験することが、前記メンバーポリペプチドをエマルジョンのマイクロカプセル中で単離された生細胞と接触させることを含む、請求項4に記載の方法。
各ポリペプチド分子が、ゲル、マイクロタイタープレートのウェル、またはエマルジョンのマイクロカプセル中でそれをコードする前記核酸分子の少なくとも1個のコピーと会合する、請求項1に記載の方法。
前記担体に結合した前記タグの前記特性の前記変化が、前記所望の生物学的活性を呈する前記試験細胞において遺伝子導入的に発現されるレポーター酵素によって媒介される、請求項18に記載の方法。
生物学的応答について前記試験細胞を試験することが、前記細胞に結合するアネキシンVを検出すること、または前記細胞におけるカスパーゼ活性化を検出することを含む、請求項24に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0042】
ポリペプチド分子の多様性に富んだライブラリの効率的なスクリーニングを可能にする新たなシステムが本明細書に詳述される。これらの分子は、結合親和性のみならず、生細胞上での生物学的活性についてもスクリーニングされ得る。所望の生物学的活性を提供するものと特定されるポリペプチドは、それらの核酸コード配列と好都合に会合され、それらの構造の迅速な決定を可能にする。一実施形態に従って、候補ポリペプチドをコードする溶液相DNAライブラリが使用され得る。ビーズと会合したライブラリDNA分子は、(例えば、ビーズに基づくエマルジョンPCRを用いて)ポリペプチド結合部分等の結合部分も含み得るビーズ上でクローン的に増幅され得る。いくつかの態様において、ライブラリは、例えば、DNA分子の溶液端部上にさらなる結合部分を含む。例えば、さらなる結合部分は、タグ付けされたプライマー(例えば、ビオチンでタグ付けされたプライマー)を用いて増幅中に付加され得る。その後、エマルジョンが破壊され、DNAライブラリを含有するビーズが精製され得る。
【0043】
ビーズライブラリのクローン発現は、無細胞転写および翻訳系を用いてDNA被覆ビーズを含有するエマルジョンを作製することによって達成され得る。このエマルジョン中、発現したポリペプチドは、発現したポリペプチドがそれらのコーディング核酸分子(およびビーズ)と会合したままであるようにビーズ上の結合部分に結合してポリペプチド−核酸複合体を生成し得る。その後、エマルジョンが破壊され、発現したポリペプチドとともにDNAライブラリを含有するビーズが精製され得る。生物活性の試験は、平均1個のビーズ/ポリペプチド−核酸複合体が、(例えば、ウェル、ゲルマトリックス、またはマイクロカプセル中の)1個以上の試験細胞と単離して置かれるように、ビーズ/ポリペプチド−核酸複合体を細胞と別々に接触させることによって達成され得る。例えば、この試験は、所望のアッセイ試薬、例えば、試験細胞、アッセイレポーター分子、およびポリペプチド分子をビーズから解離することができるプロテアーゼ等の解離剤と組み合わせられたビーズを含むエマルジョンを作製することを含み得る。その後、マイクロカプセルは、FACS、コロニー採取システム、磁気ビーズ収集、もしくは結合カラム、またはそれらの組み合わせ等を用いてカプセル化された試験細胞への影響について直接スクリーニングされ得る。あるいは、エマルジョンは、試験細胞への効果を評価する前に破壊され得る。ある場合には、DNAはビーズから解離され、さらなる結合部分を介して試験細胞に結合され得る。所与の生物学的効果を示す細胞が特定された時点で、候補ポリペプチドのコード配列は、コードDNAの試験細胞への結合により容易に決定され得る。
【0044】
3つの代替実施形態のポリペプチドスクリーニング方法の概観は、それぞれ、
図1A〜F、
図2A〜F、および
図3A〜Fに図で示される。この例において、ステップ1は、DNA分子の溶液相ライブラリを生成することを含む。このステップにおいて、二本鎖DNA(dsDNA)分子が生成され、これは、ポリペプチドの発現およびポリペプチドコード配列の増幅を可能にする配列のセグメントに加えて、スクリーニングされるポリペプチドコード配列のライブラリを含む。ライブラリ構築に用いられる配列の例が
図4Bおよび4Cに示される。ある場合には、配列は完全に合成であり得、分子は化学合成され得る。他の場合では、dsDNAライブラリは、個別に合成または増幅される配列(
図5Bに示される配列等)の複数のセグメントを用いて構築される。例えば、構築に用いられるセグメントは、(i)プライマー結合部位およびT7プロモーター等のポリメラーゼプロモーター配列を含む順方向プライマー(「基本的な順方向プライマー」)、(ii)プライマー結合部位およびポリメラーゼターミネーター配列を含む逆方向プライマー(reverse primer)(「逆方向プライマー(Reverse Primer)」)、ならびに(iii)プライマー結合部位およびライブラリを構成するポリペプチド配列をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を含み得るライブラリ鋳型(「DNAライブラリ鋳型」)を含み得る。
【0045】
ライブラリ配列自体、当業者に周知の様々な方法によって生成され得る。そのような方法のほんの数例に言及すると、ライブラリのORFは、(ランダム配列を化学合成するか、または既知の配列のエラーを起こしやすい増幅を用いるかのいずれかによって)ランダム化された組の配列から完全にまたは部分的に構成され得る。他の場合では、ライブラリORF配列は、生物由来のゲノムまたはcDNA配列のセグメントであり得る。例えば、ORFは、ヒトcDNAのセグメントから構成され得る。ORF配列がどのように生成されるかにかかわらず、ライブラリ鋳型は、好ましくは、原核生物または真核生物の翻訳開始のために最適化されるATG翻訳開始コドンおよび終止コドンを含む。
【0046】
内部リボソーム進入部位(IRES)または鋳型のポリA尾部等の他の配列は、発現を最適化するためにライブラリORFに隣接して包含され得る。なおさらに、
図5Bに示されるように、ある特定の態様において、細胞透過性ペプチドは、組み立てられたdsDNAライブラリによってコードされる。ある場合には、CPPコード配列は、順方向プライマーセグメント(「CPP順方向プライマー」)に含まれ得、他の場合では、逆方向プライマーまたはライブラリ鋳型自体に含まれ得る。当業者であれば、ある特定の態様において、このライブラリが、発現されるときに、CPPがライブラリORFを有するアミノまたはカルボキシ末端融合タンパク質を形成するように設計されることを認識するであろう。この場合、スペーサーコード配列を含むことが好ましくあり得、そのような配列は、CPPとライブラリORFとの間の一続きのポリグリシン残基をコードする。他の態様では、ライブラリORFおよびCPPは、CPPがORFに共有結合されることなく膜輸送を媒介することができる限り、別個のポリペプチドとして発現され得る。
【0047】
前述の実施形態の構築されたdsDNAライブラリの例が
図5Cに示される。ポリペプチドORFのみをコードするライブラリおよびCPPを有するORFの両方が示される。いくつかの態様において、これらの分子は、構築後およびビーズとの結合前に、例えば、サイズ排除クロマトグラフィーまたはゲル精製によって精製され得る。
【0048】
構築された時点で、DNAライブラリは、ビーズ等の上に固定化され得る。前述の実施形態に従って用いるビーズの例は、
図5Aに提供される(
図1〜3にも示される)。概して、ビーズは、ビーズが核酸分子と相互作用することを可能にする親和性部分を含む。例えば、ビーズは、ストレプトアビジン被覆ビーズであり得、ビーズ上での固定化のための核酸分子は、ビオチン部分を含み得る。ある場合には、各DNA分子は、DNAをさらに安定化させるためにビオチン等の2つの親和性部分を含み得る。ビーズは、核酸の固定化で用いるか、または下流スクリーニングもしくは選択プロセスで使用され得るさらなる特徴を含み得る。例えば、ビーズは、結合部分(例えば、アネキシンV)、蛍光標識、または蛍光消光剤を含み得る。ある場合には、ビーズは磁性であり得る。ライブラリを追加するようにビーズを調製するために、ビーズは、
図5Aに示されるように、DNA分子の複数のコピーで被覆され、それにより共通のプライマー結合配列(すなわち、dsDNAライブラリからの配列にアニールすることができる配列)を含む複数の同一のDNA分子でそれぞれ被覆されるビーズの集団を生成する。
【0049】
溶液相DNAライブラリを被覆されたビーズと結合させるためのプロセスの例が
図5〜6に示される。最初に、被覆されたビーズとDNA分子が混合され、油中水エマルジョン中に置かれる。重要なことに、この製剤は、エマルジョンのマイクロカプセル(または液滴)の大部分がdsDNAライブラリからの1個のビーズおよび1個の分子のみを含むように混合される(言うまでもなく、多くの液滴は、ビーズのみを含むか、DNA分子のみを含むか、またはいずれも含まない)。DNAポリメラーゼ、遊離ヌクレオチド、および「第2の順方向プライマー」として
図5Dに示される過剰な遊離プライマー分子もエマルジョン系に含まれる。その後、マイクロカプセルの収集物は熱サイクリングに供されて、PCR、すなわち、
図6に示されるエマルジョンPCR(ePCR)を媒介する。PCRを複数ラウンド行うことにより、ビーズに結合したDNA分子はライブラリ鋳型配列によって最初に伸長され、その後、第2の鎖が形成される。結果として生じる集団(それらは個別に
図7に示される)は、それぞれ複数の同一のライブラリDNA分子に結合したビーズから構成される。したがって、各ビーズは、ライブラリの異なるメンバーの複数のコピーを担持する。
【0050】
ビーズとライブラリを結合させた後、ビーズ−ライブラリは、エマルジョンから除去され得る。例えば、エマルジョンは、有機溶媒または非イオン洗剤の添加、その後、機械的破砕および勾配分離(例えば、ボルテックスおよび遠心分離)によって破壊され得る。ある場合には、ビーズ−ライブラリはさらに精製もされる(例えば、過剰なプライマーおよび遊離DNA分子等を除去するために)。例えば、ライブラリは、ビーズをカラム(例えば、磁気カラム)に結合させることによって、またはサイズ排除クロマトグラフィーによって精製され得る。ある場合には、ビーズ−ライブラリは、このステップでさらに改変される場合もある。例えば、結合部分は、
図8〜9に示されるようにビーズ−ライブラリに結合され得る。この場合、ビオチン等の親和性標識は、末端トランスフェラーゼを用いることによってビーズを被覆したDNA分子に付加され得る(例えば、
図8を参照されたい)。他の態様では、親和性標識は、ePCRに用いられるプライマーに含まれ、それにより、それらの合成時にDNA分子に直接組み込まれ得る。ビーズ−ライブラリが親和性標識を含んだ時点で、ビーズは結合部分に結合され得る(
図9に「一般的な細胞表面結合剤」として示される)。そのような結合の例が
図9に示されており、ビオチンおよびストレプトアビジンを用いて、ビーズ−ライブラリを細胞結合部分に結合させる。言うまでもなく、当業者であれば、ビーズ自体が結合部分に結合され得、この場合、
図8〜9に示されるビーズ−ライブラリを細胞結合部分に結合させるさらなるステップが必要ではないことを認識するであろう。
【0051】
次に、(結合部分を含む)ビーズ−ライブラリは、第2のエマルジョンに製剤化される。この場合もやはり、エマルジョンは、ビーズ−ライブラリの単一のメンバーのみを含むマイクロカプセルの数を最大化するように製剤化され(
図10を参照のこと)、したがって、多くのマイクロカプセルは任意のビーズを含まない。エマルジョンの水性部分にライブラリの発現のための試薬も含まれる。この場合、そのような試薬は、一緒になるとライブラリの生体外転写および翻訳に適格である酵素および因子の混合物を含む。これらの因子を別々に含むか、または完全な転写−翻訳系に予形成されるかのいずれかの多くの商業系が利用可能である。概して、T7またはSP6ポリメラーゼ酵素に基づく転写系等の原核生物(例えば、ファージに基づく)転写系が用いられる。翻訳のために、原核生物系または真核生物系(例えば、ヌクレアーゼ処理ウサギ網状赤血球溶解物系またはHeLa細胞溶解物系)のいずれかが用いられ得る。発現後、結果として生じるエマルジョンは、ビーズに結合した発現ポリペプチドを含む個々のマイクロカプセルを含み、次いで、発現したポリペプチドをコードする核酸分子に結合される(例えば、
図11、
図1B、
図2B、および
図3Bを参照のこと)。したがって、各ビーズは、複数の同一のDNA分子およびそれらの同一のDNA分子から発現され複数の同一のポリペプチド分子を有する。ある場合には、DNA増幅プロセスのランダム変化のため、DNAおよびポリペプチド配列の両方におけるある特定の低レベルの変化が所与のビーズ上に存在し得る。
【0052】
発現したポリペプチドのスクリーニングを媒介するために、ビーズライブラリは、試験細胞およびポリペプチド分子をビーズから解放する解離剤も含むさらなるエマルジョンに製剤化される。そのような細胞エマルジョンの製剤化に用いるための装置の例が
図12に示される。概して、生細胞は、水性媒体中に分散および分離され、その後、油相と混合されてエマルジョンを形成する。この場合もやはり、エマルジョンは、最大可能数のマイクロカプセルが最適数の細胞(例えば、1、10、50、500、または5,000個)を含むように製剤化され得る。ある場合には、細胞は、エマルジョン系中に維持され得るか、またはさらにはエマルジョン系中で増殖することができる。さらに、ある場合には、細胞エマルジョンは、水相中に下流スクリーニングを媒介するレポーター分子(例えば、蛍光染料)等のさらなる要素を含み得る。あるいは、ビーズ/核酸−ポリペプチド複合体を含むマイクロカプセルは、試験細胞を含むマイクロカプセルと融合し得る(例えば、
図13を参照のこと)。
【0053】
ある場合には、ポリペプチド発現手順は2回以上順次行われ、各ビーズ上に担持されるポリペプチド分子の数が所望通りに増加し得るように、毎回新しい転写−翻訳試薬を用いる。
【0054】
ある場合には、単一のマイクロカプセル中のライブラリビーズの数が増加して(例えば、5個、10個、またはそれを超えて)、生物学的応答を呈する細胞を特定するためにスクリーニングされなければならないマイクロカプセルの数を減少させ得る。この場合、繰り返しアッセイまたはライブラリ内の配列冗長性は、各「ヒット」と関連付けられた複数のコーディング領域の存在にもかかわらず活性であるポリペプチド配列の特定を引き続き可能にする。繰り返しアッセイについて、ヒットから回収したDNAは、各連続的なスクリーニングのためにライブラリとして再製剤化され得る。
【0055】
ライブラリのビーズを試験細胞を有するマイクロカプセルに導入すると、マイクロカプセルが直接スクリーニングされて、任意の所与のマイクロカプセルに含まれるポリペプチドが所望の生物学的活性を有するかを決定することができる。そのようなマイクロカプセルの例が
図14に図で示される。この場合、マイクロカプセルは、エマルジョンを破壊することなく(例えば、FACSによって)選別され得る。標準のFACS装置が使用される場合、既存のエマルジョンを連続水層に入れることによって二重エマルジョンが形成され得る。これは、水性系のために設計される方法であるFACSのための水溶液をもたらす。例えば、ある場合には、生物学的活性は、生物学的活性に応答してレポーター遺伝子(蛍光タンパク質等)を発現する細胞を用いて決定され得る。この場合、発現を示すマイクロカプセルは、FACSによって選択される。その後、生物学的応答を示すマイクロカプセルが単離され、ライブラリ核酸が配列決定されて、生物学的に活性なポリペプチドの構造(配列)を決定する。
【0056】
ある場合には、エマルジョンは、生物学的活性のスクリーニングの前に破壊され得る。この場合、結合部分により、ビーズ−ライブラリは、試験細胞に繋ぎ止められたままである(例えば、
図15を参照のこと)。したがって、試験細胞(ビーズライブラリを含む)は、発現したポリペプチドに対する生物学的応答について評価され得る。例えば、応答が細胞の表面上に提示される分子の変化である場合、所望の分子(例えば、ポリペプチド)に結合する抗体を用いて、生物学的応答を決定することができる。あるいは、DNA分子をビーズから解離することができ、それ故に、ビーズではなくDNA分子のみが結合部分を介して試験細胞に結合されたままの状態である。生物学的応答を示す細胞をスクリーニングまたは選択するために用いられる方法にかかわらず、細胞が特定された時点で、それらは分離され、繋ぎ止められた核酸分子が配列決定されて、生物学的に活性なポリペプチドのコード配列を決定する。
【0057】
ポリペプチドに対する応答について試験細胞をスクリーニングする方法の例が
図16〜17に示される。この例において、ビーズライブラリに結合した結合部分も用いて、生物学的応答を評価する(
図16を参照のこと)。言い換えると、ビーズライブラリは、発現したポリペプチドに対する応答を呈する細胞にのみ結合する。そのような結合部分の例にはアネキシンVがあり、これはポリペプチドに応答してアポトーシスに入る細胞にのみ結合する。しかしながら、実質的には、任意の細胞結合部分を同様に用いて試験細胞における様々な生物学的応答を調べることができることが認識される。したがって、スクリーニングを行うマイクロカプセルにおいて、生物学的応答を呈する細胞のみがビーズに繋ぎ止められる。したがって、生物学的応答を有する細胞は、ビーズを単離すること、例えば、磁気単離方法を用いることによって他の細胞から精製して分けられ得る(例えば、
図16を参照のこと)。応答を呈しない細胞が除去されると、細胞(および繋ぎ止められたビーズ)は、様々な方法によって繋ぎ止められていないビーズから単離され得る。例えば、
図17に示されるように、(例えば、細胞結合部分を用いて)細胞に結合する親和性カラムが用いられ得る。言うまでもなく、生物学的応答を呈しない細胞を除去するステップおよび細胞に繋ぎ止められていないビーズを除去するステップを任意の順序で行うことができることが認識される。あるいは、DNAは、DNA分子のみが試験細胞に繋ぎ止められたままであるようにビーズから解離され得る。いずれの場合にも、単離されたビーズ(ライブラリ核酸および繋ぎ止められた細胞を含む)が配列決定されて、生物学的に活性なポリペプチド配列を決定する。
【0058】
さらなる例において、上に詳述されるスクリーニング方法を用いて、(壊死またはアポトーシスのいずれかを介して)細胞死を誘導するポリペプチドを特定することができる。例えば、結合部分は、試験細胞由来の細胞内成分に結合し得る。そのような結合部分は、ハウスキーピングタンパク質等の一般的な頑強な細胞内タンパク質、RNAポリメラーゼサブユニット、Σ70ファミリータンパク質、GAPDHもしくはアクチンに対する抗体、または細胞内構造(例えば、クロマチンまたはミトコンドリア構造)に結合する抗体であり得る。あるいは、異種タンパク質は、細胞において遺伝子導入的に発現され得、この異種タンパク質は、結合部分を介する回収を受け入れやすい特異的エピトープを有し得る(例えば、金属荷電キレート基によって結合され得るHisタグを有するマルトース結合タンパク質)。重要なことに、結合部分は、(翻訳能力のある細胞溶解物であり得る)ライブラリ発現系に存在する成分と相互作用すべきではない。これを回避するために、いくつかの態様において、発現系は、試験細胞とは異なる生物(例えば、異なる界由来の生物)から得られ得る。例えば、試験細胞が細菌である場合、発現系は、ウサギ網状赤血球溶解物または小麦胚芽抽出物であり得る。同様に、いくつかの態様において、関連種由来の標的タンパク質と比較して交差反応をほとんどまたは全く呈しない抗体等の高度に特異的な結合部分が用いられ得る。この系は、(例えば、癌細胞中の)細胞死をもたらす抗生物質またはペプチドについてのスクリーニングに有用な細胞溶解のアッセイを提供する。DNA被覆ビーズがタンパク質に結合するのは、エマルジョン中の細胞が溶解し、その内容物を流出するときのみである(例えば、
図2Eを参照のこと)。「ヒット」と特定される核酸は、上に概説される方法と同一の方法で、例えば、同一の細胞内標的上の異なるエピトープに対する二次抗体を有する親和性カラムを第1の抗体として用い、その後、ヒットを磁気収集することによって精製され得る。これらの最後の2つのステップは、磁気収集後に親和性精製、または親和性精製後に磁気収集のいずれかの順序で行われ得る。
【0059】
したがって、前述の実施形態のシステムは、他の可能性のあるスクリーニングシステムに対して多くの重要な利点を提供する。例えば、ライブラリがin situ生成されるため、これは、ほぼ無限の大きさおよび配列多様性を有し得る。重要なことに、候補ポリペプチドが、最初にビーズ、その後エマルジョン系(または他の区画化方法)によりそれらのコード配列と会合したままであるため、活性分子は、コード配列の配列決定によって特定され得る。しかしながら、ファージディスプレイ系とは異なり、候補ポリペプチドは、不必要な配列(例えば、ファージタンパク質配列)に共有結合的に繋ぎ止められる必要はない。これは、候補ポリペプチドがそのような配列とは無関係に折り重なることを可能にし、立体的に妨害された融合タンパク質よりも高い活性を有する分子を提供し得る。さらに、特定されたポリペプチドの任意の生物学的活性は、非生物活性結合またはファージ融合タンパク質の人為産物ではなく候補ポリペプチドの活性を偽りなく示す。なおさらに、この系は、生細胞における生物学的活性を試験することを可能にし、言い換えると、この系は、一般にファージディスプレイおよび他のディスプレイ手法の場合のように結合アッセイに限定されない。したがって、前述の実施形態の方法は、広い配列多様性のスクリーニングを提供するだけでなく、生物学的に活性な候補分子を提供する任意の以前の技法よりもはるかに効果的であり得るスクリーニングも提供する。前述の実施形態の方法に適用可能なさらなる態様は、以下でより詳細に論じられる。
【0060】
I. DNAライブラリ
前述の実施形態のある特定の態様は、DNA配列のライブラリに関し、その少なくとも1つのサブセットは、翻訳オープンリーディングフレーム(ORF)をコードし、それにより鋳型タンパク質合成としての機能を果たし得る。したがって、本明細書で使用されるとき、「ライブラリ」という用語は、分子(例えば、核酸もしくはポリペプチド分子)または細胞の集合に関して使用され、ライブラリを成す複数の個々の種は、少なくとも1つの検出可能な特徴の点で同一のライブラリの他の細胞または分子とははっきりと異なる。分子のライブラリの例として、核酸、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、融合タンパク質、ポリヌクレオチド、またはオリゴヌクレオチドのライブラリが挙げられる。
【0061】
ある特定の実施形態において、前述の実施形態のDNAライブラリは、(i)翻訳開始部位(例えば、好ましいコザックコンセンサスまたはシャイン・ダルガノリボソーム結合部位(RBS)中のATGコドン)および終止コドンを含むORF、(ii)ポリメラーゼプロモーター配列(例えば、T7ポリメラーゼ結合部位)、(iii)ポリメラーゼターミネーター配列、ならびに(iv)ORFに隣接するプライマー配列を含む。いくつかの好ましい態様において、核酸分子は、ビオチンタグ等の親和性タグをさらに含む。例えば、ライブラリは、5’から3’の順に、ビオチンタグ−順方向プライマー結合配列−ポリメラーゼプロモーター配列−ORF−ポリメラーゼターミネーター配列−逆方向プライマー結合配列(例えば、5’−ビオチン−プライマー−T7プロモーター−ORF−T7ターミネーター−プライマー−3’)を含む分子から構成され得る。さらなる態様において、ORF配列は、5’から3’の順に、ビオチンタグ−順方向プライマー結合配列−ポリメラーゼプロモーター配列−さらなる順方向プライマー結合配列−ORF−さらなる逆方向プライマー結合配列−ポリメラーゼターミネーター配列−逆方向プライマー結合配列等のさらなるまたは代替のプライマー結合配列によってさらに隣接され得る。
【0062】
前述の実施形態のDNAライブラリは、天然に存在するか、または人工的に合成された分子から構成され得る。例えば、ある特定の態様において、ライブラリは、ヒト等の生物由来のゲノムDNA配列またはcDNA配列(もしくはその部分)に相当する核酸配列から構成される。さらなる態様において、ライブラリは、本質的にランダムなORFコード配列を含み得る。ライブラリのORFコード配列は、2つの異なる生物由来の配列のセグメントまたはcDNA由来の配列のセグメントおよびランダム化されるセグメントを含むキメラ配列でもあり得る。同様に、DNAマイクロアレイは、前述の実施形態のDNAライブラリの構築のための鋳型として用いられ得る。いくつかの態様において、DNAライブラリは、ヒト等の生物の全プロテオーム(またはほぼすべてのプロテオーム)に相当する。いくつかの好ましい態様において、ライブラリは、1つ以上の部位特異的なランダム化された変異体を有するcDNA由来の人工的に合成された核酸配列から構成される。いくつかの態様において、ライブラリは、可変領域中の特異的配列セグメントがランダム化される人工的に合成された一本鎖抗体断片(例えば、免疫グロブリンの重鎖(VH)および軽鎖(VL)の可変領域の融合タンパク質)から構成される。
【0063】
なおさらに、ある特定の態様において、ライブラリ配列は、cDNA、ゲノムDNA、またはランダム化された配列(すなわち、融合タンパク質をコードするORFを生成する)由来の配列とともに、ORF配列中の細胞結合ドメインまたは細胞透過性ペプチド(CPP)等の既知の機能を有するポリペプチドをコードする配列のセグメントを含み得る。したがって、ある特定の態様において、前述の実施形態のDNA分子は、CPPコード配列の5’、CPPコード配列の3’、またはこれら両方にライブラリ配列(ランダム化された配列等)のセグメントとともにCPPコード配列を含むORFを含む。本明細書で使用されるとき、「細胞透過性ペプチド」および「膜輸送ドメイン」という用語は同義に使用され、ポリペプチドが細胞膜(例えば、真核細胞の場合、原形質膜)を通過することを可能にするポリペプチド配列のセグメントを指す。CPPセグメントの例には、HIV Tat、ヘルペスウイルスVP22、ショウジョウバエアンテナペディアホメオボックス遺伝子産物、またはプロテグリンI由来のセグメントが挙げられるが、これらに限定されない。なおさらなる態様において、ライブラリ配列は、エンドソームからの脱出を促進し、核局在化またはミトコンドリア局在化を提供する配列等のライブラリポリペプチドの細胞内局在化を促進するポリペプチドをコードする配列のセグメントを含み得る。
【0064】
前述の実施形態の核酸ライブラリを生成および増幅するための方法は、当技術分野において周知である。ある特定の実施形態において、核酸を操作、単離、または増幅するための1つ以上の技法を用いることが所望され得る。そのような技法には、例えば、ベクターの調製、ならびに細胞由来の選択された核酸セグメントをクローニングする(例えば、cDNA配列またはその断片をクローニングする)方法が含まれ得る。
【0065】
増幅のための鋳型として用いられる核酸は、標準の方法論(Sambrook et al.,1989)に従って細胞、組織、もしくは他の試料から単離され得るか、または合成DNAから増幅され得、合成DNAは、直鎖、プラスミド、またはDNAマイクロアレイから得られる。ある特定の実施形態において、核酸は、(鋳型核酸の十分な精製の有無にかかわらず)全細胞もしくは組織ホモジネートまたは生体液試料から増幅され得る。核酸は、ゲノムDNAまたは分画もしくは全細胞RNAであり得る。RNAが用いられる場合、以下に概説されるように、逆転写酵素を用いて最初にRNAを相補的DNAに変換することが所望され得る。
【0066】
本明細書で使用されるとき、「プライマー」という用語は、鋳型依存的プロセスにおいて新生核酸の合成を刺激することができる任意の核酸を包含するよう意図される。典型的には、プライマーは、10〜20個および/または30個の塩基対長のオリゴヌクレオチドであるが、より長い配列が用いられ得る。プライマーは二本鎖および/または一本鎖形態で提供され得るが、一本鎖形態が好ましい。
【0067】
選択された核酸配列に対応する核酸に選択的にハイブリダイズするように設計されたプライマー対は、選択的ハイブリダイゼーションを許容する条件下で鋳型核酸と接触させられる。所望の適用に応じて、プライマーに対して完全に相補的な配列へのハイブリダイゼーションのみを可能にする高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件が選択され得る。他の実施形態では、ハイブリダイゼーションは、低下したストリンジェンシー下で生じ得、プライマー配列との1つ以上のミスマッチを含む核酸の増幅を可能にし得る。ハイブリダイズされると、鋳型−プライマー複合体は、鋳型依存的核酸合成を促進する1個以上の酵素と接触させられる。「サイクル」とも称される複数ラウンドの増幅は、十分な量の増幅産物が産生されるまで行われる。
【0068】
いくつかの鋳型依存的プロセスを利用して、所与の鋳型試料に存在するオリゴヌクレオチド配列を増幅することができる。最も既知の増幅方法のうちの1つは、それぞれ参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第4,683,195号、同第4,683,202号、および同第4,800,159号、ならびにInnis et al.,1988に詳細に記載されるポリメラーゼ連鎖反応(PCR(商標)と称される)である。
【0069】
逆転写酵素PCR(商標)増幅手順を行って、cDNA配列(またはcDNA断片)を生成することができる。RNAをcDNAに逆転写する方法は周知である(Sambrook et al.,1989を参照のこと)。代替の逆転写方法は、熱安定性のDNAポリメラーゼを利用する。これらの方法は、国際公開第90/07641号に記載されている。ポリメラーゼ連鎖反応方法論は、当技術分野で周知である。代表的なRT−PCR方法は、米国特許第5,882,864号に記載されている。
【0070】
別の増幅方法は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる欧州特許出願第320 308号に開示のリガーゼ連鎖反応(「LCR」)である。米国特許第4,883,750号は、プローブ対を標的配列に結合させるLCRと同様の方法を記載する。米国特許第5,912,148号に開示のPCR(商標)およびオリゴヌクレオチドリガーゼアッセイ(OLA)に基づく方法も用いられ得る。
【0071】
本発明の実践に用いられ得る標的核酸配列の代替の増幅方法は、米国特許第5,843,650号、同第5,846,709号、同第5,846,783号、同第5,849,546号、同第5,849,497号、同第5,849,547号、同第5,858,652号、同第5,866,366号、同第5,916,776号、同第5,922,574号、同第5,928,905号、同第5,928,906号、同第5,932,451号、同第5,935,825号、同第5,939,291号、および同第5,942,391号、英国特許出願第2 202 328号、ならびにPCT出願第PCT/US89/01025号に開示されており、それぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0072】
PCT出願第PCT/US87/00880号に記載のQβレプリカーゼも本発明において増幅方法として用いられ得る。この方法において、標的の複製配列に相補的な領域を有するRNAの複製配列は、RNAポリメラーゼの存在下で試料に付加される。ポリメラーゼは複製配列をコピーし、その後、これが検出され得る。
【0073】
制限エンドヌクレアーゼおよびリガーゼを用いて制限部位の一本鎖中にヌクレオチド5’−[α−チオ]−三リン酸塩を含有する標的分子の増幅を達成する等温増幅方法も、本発明での核酸増幅に有用であり得る(Walker et al.,1992)。米国特許第5,916,779号に開示の鎖置換増幅(SDA)は、複数ラウンドの鎖置換および合成、すなわち、ニックトランスレーションを含む核酸の等温増幅を行う別の方法である。
【0074】
他の核酸増幅手順は、核酸配列に基づく増幅(NASBA)および3SRを含む転写に基づく増幅系(TAS)を含む(参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、Kwoh et al.,1989、Gingeras et al.、PCT出願国際公開第88/10315号)。欧州特許出願第329 822号は、本発明に従って用いられ得る一本鎖RNA(「ssRNA」)、ssDNA、および二本鎖DNA(dsDNA)の周期的な合成を含む核酸増幅プロセスを開示する。
【0075】
PCT出願国際公開第89/06700号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)は、プロモーター領域/プライマー配列の標的一本鎖DNA(「ssDNA」)へのハイブリダイゼーションに続く配列の多くのRNAコピーの転写に基づいた核酸配列増幅スキームを開示する。このスキームは周期的ではなく、すなわち、新たな鋳型は結果として生じるRNA転写物からは産生されない。他の増幅方法には、「RACE法」および「片側PCR法」が含まれる(Frohman,1990、Ohara et al.,1989)。
【0076】
本明細書に詳述されるように、ある特定の態様において、前述の実施形態のDNA分子のライブラリは、ビーズ等の支持体に結合され得る。例えば、ビオチン部分を含むDNA分子のライブラリの場合、ライブラリは、ストレプトアビジン被覆ビーズに結合され得る。なおさらなる態様において、前述の実施形態で用いるビーズは、1つ以上の結合部分(例えば、ポリペプチドおよび細胞結合部分)ならびに/またはビーズの精製に役立つ部分を含み得る(例えば、ビーズは蛍光マーカーを含み得るか、またはビーズは磁性であり得る)。
【0077】
本明細書で使用されるとき、「細胞結合部分」は、細胞表面タンパク質または細胞内タンパク質等の試験細胞の成分に結合する分子を指す。そのような部分は、一般に細胞に結合し得るか、または特定の細胞集団(例えば、幹細胞、ある特定の組織型の細胞、もしくはアポトーシス細胞)に結合し得る。例えば、細胞結合部分は、抗体(例えば、モノクローナル抗体)、アプタマー、レクチン、プロテオグリカン、または、受容体もしくはリガンドポリペプチドであり得る。いくつかの特定の態様において、細胞結合部分は、アネキシンVまたは抗CD34抗体である。別の例において、細胞結合部分は、活性化好塩基球に結合する抗CD−63抗体である。この場合、アレルギー反応の誘導についてポリペプチドをスクリーニングするためのアッセイが用いられ得る。細胞結合部分のさらなる例として、エストロゲン陰性乳癌細胞に結合するための抗CD44+、抗CD49fhi、またはCD133hi抗体が挙げられる。さらなる例として、細胞結合部分は、導入遺伝子として細胞によって発現されるタンパク質であり得る。例えば、大腸菌の細胞溶解を引き起こす抗菌性ポリペプチドは、(i)大腸菌試験細胞においてヒスチジンタグを有するマルトース結合タンパク質を発現させ、かつ(ii)結合部分としてニッケル荷電キレート基を用いて、溶解した大腸菌細胞から放出されるマルトース結合タンパク質を捕捉することによって検出され得る。
【0078】
II. エマルジョンPCR
エマルジョンPCRについて、エマルジョンPCR反応は、「油中水」混合物を活発に振盪または撹拌して多数の微小水性区画を生成することによって生じる。DNAライブラリは限界希釈で混合されて、平均1個のみのDNA分子およびビーズを含有する区画を生成する(最適な希釈度で多くの区画は空であり得る)。増幅効率を促進するために、上流PCRプライマー(低濃度、ビーズ上のプライマー配列にマッチする)および下流PCRプライマー(高濃度)の両方が反応混合物に包含される。乳化ステップ中に生成される水性区画の大きさに応じて、1μL当たり最大3×10
9の個々のPCR反応が同一の管内で同時に行われ得る。本質的に、エマルジョン中の各小さい区画がマイクロPCR反応器を形成する。エマルジョン中の区画の平均的な大きさは、乳化条件に応じて、直径1ミクロン未満から100ミクロン超に及ぶ。
【0079】
エマルジョン系
多種多様のマイクロカプセル化手順が利用可能であり(Benita,1996を参照のこと)、本実施形態に従って使用されるマイクロカプセルを作製するために用いられ得る。200を超えるマイクロカプセル化方法が文献において特定されている(Finch,1993)。これらは、脂質小胞(リポソーム、New,1990)および非イオン性界面活性剤小胞(van Hal et al.,1996)等の膜エンベロープ化水性小胞を含む。これらは、非共有結合的に組み立てられた分子の単一または複数の二重層の密閉膜状カプセルであり、各二重層は、水性区画によってその隣接物から分離されている。リポソームの場合、膜は脂質分子から構成され、これらは、通常、リン脂質であるが、コレステロール等のステロールも膜に組み込まれ得る(New,1990)。RNAおよびDNA重合ならびにRNA翻訳を含む様々な酵素触媒による生化学的反応は、リポソーム内で行われ得る(Chakrabarti et al.,1994、Oberholzer et al.,1995a、Oberholzer et al.,1995b、Walde et al.,1994、Wick & Luisi,1996)。酵素触媒による生化学的反応は、様々な他の方法によって生成されたマイクロカプセルにおいて実証されている。多くの酵素は、AOT−イソオクタン−水系(Menger & Yamada,1979)等の逆ミセル溶液中で活性である(Bru & Walde,1991、Bru & Walde,1993、Creagh et al.,1993、Haber et al.,1993、Kumar et al.,1989、Luisi and Steinmann−Hofmann,1987、Mao & Walde,1991、Mao et al.,1992、Perez−Gilabert et al.,1992、Walde et al.,1994、Walde et al.,1993、Walde et al.,1988)。
【0080】
膜に包まれた小胞系とともに、水相の大半は小胞の外側であり、それ故に区画化されない。いくつかの態様において、反応がマイクロカプセルに限定されるように、この連続水相は除去されるか、またはその中の生物系は阻害もしくは破壊される(例えば、核酸のDNaseまたはRNaseでの消化により)(Luisi and Steinmann−Hofmann,1987)。
【0081】
マイクロカプセル液滴は、界面重合および界面錯体形成によっても生成され得る(Whateley,1996)。この種のマイクロカプセルは、剛性で非透過性の膜、または半透過性の膜を有し得る。硝酸セルロース膜、ポリアミド膜、および脂質−ポリアミド膜によって境される半透過性のマイクロカプセルはすべて、多酵素系を含む生化学的反応を支持し得る(Chang,1987、Chang,1992、Lim,1984)。非常に穏やかな条件下で形成され得るアルギン酸/ポリリシンマイクロカプセル(Lim & Sun,1980)が非常に生体適合性があることも証明されており、例えば、生細胞および組織をカプセル化する効果的な方法を提供する(Chang,1992、Sun et al.,1992)。エマルジョン等のコロイド系における水性環境の相分配に基づく非膜質マイクロカプセル化システムも用いられ得る。
【0082】
好ましくは、本実施形態のマイクロカプセル液滴は、エマルジョンから形成される。一次油中水マイクロカプセル液滴は、2つの非混合性液相の不均一系から形成され、これらの相のうちの一方の相は、顕微鏡的サイズまたはコロイドサイズの液滴として他方の相中に分散される(Becher,1957、Sherman,1968、Lissant,1974、Lissant,1984)。エマルジョンは、非混和性液体の任意の好適な組み合わせから産生され得る。好ましくは、本実施形態のエマルジョンは、微粉化したマイクロカプセルの形態で存在する相(分散相、内相、または不連続相)として生化学的成分を含有する水と、これらのマイクロカプセルが懸濁されるマトリックス(非分散相、連続相、または外相)として疎水性非混和性液体(鉱油等の「油」)とを有する。そのようなエマルジョンは、「油中水」(w/o)と称される。これは、生化学的成分を含有する分離マイクロカプセル(内相)内で区画化されるといった利点を有する。疎水性油相は、概して、これらの生化学的成分のうちのいずれも含有せず、それ故に不活性である。
【0083】
一次エマルジョンは、1個以上の表面活性剤(界面活性剤)の添加によって安定し得る。これらの界面活性剤は乳化剤と称され、水/油界面で作用して、相の分離を阻止する(または少なくとも遅延させる)。多くの油および多くの乳化剤を用いて油中水エマルジョンを生成することができ、最近の編集物は16,000を超える界面活性剤を列記しており、それらのうちの多くが乳化剤として使用されている(Ash and Ash,1993)。特に好適な油は、白色軽鉱油および非イオン性界面活性剤(Schick,1966)、例えば、ソルビタンモノオレエート(Span(商標)80、ICI)、オクチルフェノールエトキシレート(Triton(商標)X−100)、およびポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween(商標)80、ICI)を含む。使用され得る他の乳化剤は、シリコーン系乳化剤、例えば、Bis−PEG/PPG−14/14ジメチコーン、シクロペンタシロキサン(ABIL EM 90)を含む。
【0084】
アニオン性界面活性剤の使用も有益であり得る。好適な界面活性剤は、コール酸ナトリウムおよびタウロコール酸ナトリウムを含む。0.5w/v%以下等の濃度のデオキシコール酸ナトリウムが特に好ましい。そのような界面活性剤の包含は、ある場合には、核酸分子の発現および/またはコードされたポリペプチドの活性を増加させ得る。いくつかのアニオン性界面活性剤の非乳化反応系への添加は、翻訳を完全に無効にする。しかしながら、乳化中、界面活性剤は水相から界面に移され、活性は回復する。アニオン性界面活性剤の乳化される混合物への添加は、反応が区画化後にのみ開始することを確実にする。
【0085】
エマルジョンの作製は、通常、機械的エネルギーを印加して相をともに混合させることを必要とする。撹拌機(磁気撹拌棒、プロペラ、およびタービン撹拌機、ボルテックス機、パドルデバイス、ならびに泡立て器等)、均質化装置(回転子固定子均質化装置、高圧弁均質化装置、およびジェット均質化装置を含む)、コロイドミル、超音波デバイス、ならびに「膜乳化」デバイス(Becher,1957、Dickinson,1994)を含む様々な機械デバイスを利用して作製を行う方法が多く存在する。
【0086】
本実施形態の油中水マイクロカプセルエマルジョンは、概して、たとえあったとしてもマイクロカプセル間の内容物(例えば、核酸)のわずかな交換で安定している。さらに、生化学的反応は、エマルジョンマイクロカプセル内で進行する。さらに、複雑な生化学的プロセス、特に遺伝子転写および翻訳もエマルジョンマイクロカプセル内で活性である。最大何千リットルといった工業規模の量のエマルジョンを作製する技術が存在する(Becher,1957、Sherman,1968、Lissant,1974、Lissant,1984)。
【0087】
好ましいマイクロカプセルの大きさは、本発明に従って行われる任意の個々の選択プロセスの正確な要件によって異なる。あらゆる場合において、遺伝子産物の効率的な発現および反応性を達成するために、遺伝子ライブラリの大きさと、個々のマイクロカプセル中の成分の要求される濃縮と、要求される濃度との間に最適なバランスが存在する。
【0088】
III. エマルジョン発現
エマルジョン発現のための多くの可能性のある利用可能なプロトコルが存在する。例えば、プロトコルは、Tawfik and Griffiths 1998、Ghadessy et al.2001、Ghadessy and Hollinger 2004、ならびに米国特許公開第20070077572号および同第20090197248号に提供され、それぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。概して、発現は、発現に必要な因子の存在下で核酸分子を提供することを含み、これは、組換え的に産生され、細胞溶解物(もしくはその抽出物)またはこれら2つの組み合わせによって提供され得る。RNAから構成された核酸分子の場合、翻訳機構のみ提供される必要がある。しかしながら、好ましい態様において、核酸分子はDNAであり、発現系は、RNA合成およびタンパク質合成(すなわち、転写および翻訳)のための因子を含む。そのような組み合わせられた転写および翻訳(「TnT」)の試薬は市販されており、前述の実施形態に従って用いられ得る(例えば、Promega,Madison WIから入手可能なTNT(登録商標)システムを参照のこと)。
【0089】
発現プロセスは、本実施形態によって提供される各個々のマイクロカプセル内で生じなければならない。生体外転写および共役転写−翻訳は両方ともに、サブナノモルDNA濃度で効率が悪くなる。限定された数のDNA分子のみが各マイクロカプセルに存在するといった要件のため、これは、可能なマイクロカプセルの大きさに実用的な上限を設ける。いくつかの態様において、真核生物の翻訳系(哺乳類細胞溶解物等)は、発現系において用いられる。この場合、タンパク質合成の効率は、RNA転写物のキャッピングおよび/またはポリA尾部のRNAへの追加を媒介するための試薬を含む転写系を提供することによって大幅に高められ得る。なおさらなる態様において、一続きのポリA残基は、コードDNA分子(例えば、ORFコード配列に続く)の鋳型であり得る。
【0090】
効果的な遺伝要素、すなわち、DNAまたはRNAのマイクロカプセル中の濃度を当業者に周知の様々な方法によって人工的に増加させることができる。これらには、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)等の体積排除化学物質の添加、ならびに様々な遺伝子増幅技法(大腸菌等の細菌由来のRNAポリメラーゼを含むRNAポリメラーゼを用いた転写(Roberts,1969、Blattner and Dahlberg,1972、Roberts et al.,1975、Rosenberg et al.,1975)、例えば真核生物(Weil et al.,1979、Manley et al.,1983)ならびにT7、T3、およびSP6等のバクテリオファージ(Melton et al.,1984)、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(Saiki et al.,1988)、Qβレプリカーゼ増幅(Miele et al.,1983、Cahill et al.,1991、Chetverin and Spirin,1995、Katanaev et al.,1995)、リガーゼ連鎖反応(LCR)(Landegren et al.,1988、Barany,1991)、ならびに自立した配列複製系(Fahy et al.,1991)および鎖置換増幅(Walker et al.,1992)を含む)が含まれる。エマルジョンおよび生体外転写または共役転写−翻訳系が熱安定性である場合、PCRおよびLCR等の熱サイクリングを必要とする遺伝子増幅技法を用いてもよい(例えば、共役転写−翻訳系は、サーマス・アクアチクス等の熱安定性の生物から作製され得る)。効果的な局所核酸濃度の増加は、より大きなマイクロカプセルの効果的な使用を可能にする。
【0091】
マイクロカプセルの大きさは、マイクロカプセル内で生じるのに必要とされる必須の生化学的反応成分のすべてを収容するのに十分に大きくなければならない。例えば、生体外で、転写反応および共役転写−翻訳反応は両方ともに、約2mMの全ヌクレオシドトリホスフェート濃度を必要とする。翻訳を伴う反応の場合、翻訳が生じるのに必要なリボソーム自体が直径約20nmであることに留意されたい。したがって、マイクロカプセルの好ましい下限は、直径約0.1μm(100nm)である。
【0092】
エマルジョンマイクロカプセルの大きさは、単に選択系の要件に従ってエマルジョンを形成するために用いられるエマルジョン条件を調整することによって変化し得る。最終的な限定因子がマイクロカプセルの大きさであり、それ故に1単位体積当たりの可能なマイクロカプセルの数であるため、マイクロカプセルの大きさが大きいほど、所与のライブラリをカプセル化するのに必要とされる体積が大きくなる。
【0093】
マイクロカプセルの大きさは、転写/翻訳系の要件のみならず、用いられる下流選択/スクリーニング系の要件および試験細胞の大きさも考慮して選択される。
【0094】
IV. 細胞エマルジョン
様々な細胞を油中水エマルジョン中の水性マイクロカプセル等のマイクロカプセル中で区画化することができる(例えば、Ghadessy,2001を参照のこと)。ある特定の態様において、エマルジョンの細胞は、懸濁液中で増殖するように適合された細胞である。例えば、MDM2を過剰発現する細胞は、懸濁液適合HeLa S3細胞、様々な白血病細胞株(例えば、ジャーカット細胞)、および293T細胞のある特定の系統が用いられ得るように、用いられ得る。いくつかの他の態様では、細胞は、懸濁液中で増殖するように適合されていないが、その細胞を含有するエマルジョンを調製する直前に懸濁される。例えば、基質上で増殖した組織から単離された細胞は、乳化前に機械的撹拌および/またはプロテアーゼでの処理(例えば、トリプシン)によって破壊され、ある場合には、そのような細胞は、クラスタまたはスフェロイドで増殖し、生物活性試験に望ましい特性を呈する。さらなる場合において、接着細胞株は、Cytodex(商標)ビーズ(Sigma−Aldrichから入手可能)等のマイクロ担体ビーズ上で増殖し得る。その後、これらの細胞被覆ビーズは、エマルジョン中に置かれ得る。
【0095】
細胞エマルジョンを産生するためのシステムを示す概略図が
図12に提供される。概して、エマルジョン形成は、上で詳述され、かつそれぞれ参照により本明細書に組み込まれる米国特許公開第20070077572号および同第20090197248号に以前に記載されたように行われ得る。単一細胞エマルジョンを生成するための方法は、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる、Brouzes et al.(2009)、Baret et al.(2010)、および米国特許公開第20100022414号にも提供される。
【0096】
細胞エマルジョン中のマイクロカプセルは、ライブラリポリペプチドの生物学的活性についてアッセイするために用いられる成分をさらに含み得る。例えば、そのような成分は、蛍光染料、緩衝液、イオン(例えば、Ca
2+、またはMg
2+)、酵素、抗体、補助因子等を含み得る。同様に、結合部分とその標的との間の非特異的または低親和性相互作用を低下させるためのヌクレアーゼ阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、および/または非特異的ブロッカーが含まれ得る。非特異的ブロッカーは、例えば、アルブミン(例えば、ウシ血清アルブミン(BSA))等の豊富な血清タンパク質であり得る。さらなる態様において、前述の成分のうちのいずれかは、生物学的応答を呈する細胞を特定するためのアッセイを行う直前(ライブラリと細胞エマルジョンの合体の後)にその系に添加され得る。
【0097】
V. エマルジョン合体
いくつかの態様において、マイクロカプセルは、融合または分割され得る。例えば、水性マイクロカプセルは、マイクロ流体システムを用いて合体(および分割)される(Song et al.,2003)。マイクロカプセル融合は、ライブラリ成分および試験細胞等の試薬の混合を可能にする。例えば、一組の実施形態において、例えば、組成、表面張力、マイクロカプセルの大きさ、界面活性剤の存在または不在等のため2個以上のマイクロカプセルが通常融合または癒合することができない場合に、2個以上のマイクロカプセル(例えば、不連続流体流に起因する)を融合または癒合させて1個のマイクロカプセルに入れることができるシステムおよび方法が提供される。ある特定のマイクロ流体システムにおいて、マイクロカプセルの大きさに対するマイクロカプセルの表面張力は、ある場合には、マイクロカプセルの融合または癒合の発生も防ぎ得る。
【0098】
一実施形態において、2個の流体マイクロカプセルは、反対電荷(すなわち、正電荷および負電荷(必ずしも同一の程度ではない))が与えられ得、これは、例えば、本明細書に記載の技法を用いてマイクロカプセルの融合または癒合がそれらが反対電荷を有するといった理由から生じ得るように、2個のマイクロカプセルの電気的相互作用を増大させ得る。例えば、電場はマイクロカプセルに印加され得、このマイクロカプセルはキャパシタを通過し得、化学反応はマイクロカプセルを帯電した状態にし得る等である。このマイクロカプセルは、界面活性剤がマイクロカプセルの表面張力を低下させるために適用されたとしても、ある場合には融合することができない場合もある。しかしながら、流体マイクロカプセルが反対電荷で帯電した場合(同一の程度であり得るが、必ずしも同一とは限らない)、マイクロカプセルは、融合または癒合することができ得る。
【0099】
別の実施形態において、流体マイクロカプセルは、必ずしも反対電荷が与えられるとは限らず(かつある場合には、所与のいかなる電荷も与えられないこともある)、流体マイクロカプセルを癒合させる流体マイクロカプセル中で誘導される双極子を用いて融合される。そのような方法で用いる電場は、交流電場または直流電場であり得、例えば電極を用いて作成され得る。それぞれの流体マイクロカプセル中の誘導された双極子は、それらの局所的反対電荷のため流体マイクロカプセルを互いに電気的に引きつけさせ、それ故にマイクロカプセルを融合させ得る。
【0100】
様々な実施形態において、癒合できる2個以上のマイクロカプセルは、必ずしも「ヘッドオン」を満たすことを要求されない。任意の接触角は、マイクロカプセルの少なくともいくつかの融合が最初に生じる限り、十分である。流体マイクロカプセルの他の融合または癒合例は、参照により本明細書に組み込まれる国際(PCT)特許出願第PCT/US2004/010903号に記載されている。
【0101】
VI. 生物活性ポリペプチドのアッセイ
さらなる態様において、前述の実施形態は、液体(例えば、マイクロカプセルの液体)、ウェル、管、またはゲル中の試験細胞および/またはマイクロカプセルをスクリーニングまたは選別し、ポリペプチドの生物学的活性を評価するためのシステムおよび方法を提供する。例えば、細胞またはマイクロカプセルの特徴は、いくつかの方法(例えば、以下にさらに説明されるような方法)で感知および/または決定され得、その後、マイクロカプセルまたは細胞が選択されるか、または例えば選別もしくはスクリーニング目的のために、デバイスの特定の領域に向けて指向され得る。さらなる態様において、細胞またはマイクロカプセルは、ポリペプチドの検出可能な生物活性に基づいて精製され得る。例えば、細胞表面の組成を変化させる活性の場合、この変化を検出する抗体等の部分を用いて細胞を精製することができる。アポトーシスを誘導する生物学的活性の場合、例えば、アネキシンの細胞への結合を用いて細胞を精製することができる。
【0102】
上述のように、いくつかの態様において、マイクロカプセル(または合体されたマイクロカプセル)は、生物学的応答を呈する細胞を検出または選択するアッセイが行われる前に破壊される。したがって、選択またはスクリーニングで用いる試薬は、エマルジョンの破壊の直前、破壊中、または破壊直後に水相に添加され得る。例えば、そのような成分は、蛍光染料、緩衝液、イオン(例えば、Ca
2+、またはMg
2+)、酵素、抗体、補助因子等を含み得る。同様に、血清タンパク質(例えば、BSA)等の非特異的ブロッカーが添加され得る。さらなる態様において、ヌクレアーゼ阻害剤および/または過剰量の無関連の核酸を添加して、ライブラリを構成する核酸分子の保存を支援することができる。
【0103】
ある場合には、核酸ライブラリと会合した結合部分によって認識される過剰量の可溶性成分等の特異的ブロッカーが添加され得る。結合部分が抗体である場合、抗体認識エピトープを含有するペプチドが添加され得る。そのようなブロッカーは、非結合抗体(すなわち、生物学的活性に対して陰性であった液滴由来のもの)の大半の結合部分をブロックし、それにより、エマルジョンが破壊された後(水相が混合したとき)にそれらが陽性細胞または細胞成分に結合するのを防ぐ。例えば、DNA被覆ビーズは、多くの場合、結合部分の複数のコピーを有し、1個のビーズ当たりの複数の結合事象は、結合の強度を大幅に増加させる。しかしながら、いったん水相が混合されると、マイクロカプセルのすべてのビーズは、生物学的応答を呈する細胞に結合する可能性がある。このステップでのそのような特異的ブロッカーの使用は、これらの相互作用を低下させ、それにより、特定され得る偽陽性の数を減少させる。このステップを大規模な希釈および/または低温で行い、結合反応速度を遅延させ、かつ偽陽性結合を減少させることができる。
【0104】
いくつかの態様において、生物学的に活性なポリペプチドは、酵素活性または蛍光シグナルを検出し得る。例えば、いくつかの態様において、試験細胞は、望ましい生物学的活性が検出可能な酵素触媒作用をもたらすように酵素を含む遺伝子導入細胞であり得る。例えば、試験細胞は、細胞溶解が酵素を放出する(基質の存在下で)ときに細胞溶解を示す検出可能な発光シグナルが産生されるように、ルシフェラーゼを発現し得る。別の例では、試験細胞は、レポーター遺伝子(GFP等の)発現を制御する所望の生物学的活性に応答するプロモーターを有し得る。この場合、プロモーターの活性化は、ポリペプチドの生物学的活性を示す遺伝子の検出可能な発現をもたらすであろう。
【0105】
前述の実施形態の方法に従ってスクリーニングまたは選択され得る生物学的応答の一例は、細胞死または溶解である。例えば、油中水エマルジョン中の生体外転写/翻訳反応の産物とともにインキュベートされた細菌細胞の溶解は、Σ70ファミリータンパク質、ハウスキーピングタンパク質、またはRNAポリメラーゼサブユニット等の細胞内標的に対する抗体を用いて検出され得る。あるいは、検出される細胞内標的は、導入遺伝子として細胞によって発現されたタンパク質であり得る。類似の方法を同様に用いて、ハウスキーピングタンパク質またはRNAポリメラーゼサブユニットGAPDHもしくはアクチン等の細胞内標的に特異的な抗体を用いて真核細胞の溶解を測定することができる。いずれの場合にも、DNAライブラリを含むビーズは、一次抗体に共役され得る。その後、ビーズは、油中水エマルジョン中のエマルジョン転写/翻訳反応のために用いられ、細菌(または真核)細胞と融合し、ある期間インキュベートされ得る(必要に応じてプロテアーゼ阻害剤をエマルジョンに添加して、標的タンパク質の完全性を保護することができる)。その後、油中水エマルジョンは、前述の方法を用いて破壊され、水相は、二次結合部分(一次抗体と同一の標的上の異なるエピトープに結合する抗体等)に結合した樹脂上を通過する。一次抗体に結合した目的とするタンパク質を含有しないビーズは、樹脂から洗浄され、収集される。一次抗体に結合した目的とするタンパク質を含有するビーズは、標準の方法を用い、かつ以下で詳述されるようにカラムから溶出され、単離された核酸(例えば、溶出されたビーズから単離された核酸)が配列決定される。
【0106】
いくつかの態様において、生物学的応答の検出は、決定され得る細胞もしくはマイクロカプセルの蛍光等の特徴を検出することを含み得、電場は、細胞もしくはマイクロカプセルに印加されるか、または細胞もしくはマイクロカプセルから除去されて、それを特定のチャネルに指向する。ある場合には、高速選別は、本発明のある特定のシステムおよび方法を用いて達成可能であり得る。したがって、本発明の一実施形態において、蛍光活性化細胞選別(FACS)スクリーニングまたは他の自動フローサイトメトリー法を用いて、候補ポリペプチドに対する応答を呈する試験細胞またはマイクロカプセル(および会合した核酸分子)を効率的に単離することができる。フローサイトメトリーを行うための器具は当業者に既知であり、市販されているものである。そのような器具の例として、Becton Dickinson(Foster City,Calif.)のFACS Star Plus、FACScan、およびFACSort器具;Coulter Epics Division(Hialeah,Fla.)のEpics C;ならびにCytomation(Colorado Springs,Co)のMOFLO(商標)が挙げられる。
【0107】
フローサイトメトリー法は、概して、液体試料中の細胞、エマルジョンマイクロカプセル、または他の粒子の分離を含む。典型的には、フローサイトメトリーの目的は、分離した細胞または粒子をそれらの1つ以上の特徴、例えば、標識リガンドまたは他の分子の存在について分析することである。フローサイトメトリーの基本的なステップは、液体流が感知領域を通過するように流体試料を装置を通して指向させることを含む。粒子は1つずつ感知器を通過するはずであり、大きさ、屈折、光散乱、不透明度、粗度、形状、蛍光等に基づいて分類される。
【0108】
したがって、細胞の高速定量分析は、FACSを用いて達成され得る。このシステムは、1秒当たり数千個の細胞の速度の細胞特性の多パラメータ定量分析を可能にする。これらの器具は、例えば、細胞分化促進分子を特定するためのアッセイにおいて、細胞型を区別する能力も提供する。重要なことに、所望のパラメータ(例えば、蛍光)を呈する細胞または粒子は、別個の流動流に流され、それにより細胞および/または粒子を単離する。したがって、細胞分析のみならず、細胞選別もフローサイトメトリーを用いて行われる。米国特許第3,826,364号において、機能的に異なる細胞型等の粒子を物理的に分離する装置が開示されている。この機械において、レーザーは、中の粒子から高度に局在化した散乱が存在するように、好適なレンズまたはレンズシステムによって粒子流に焦点を合わせられる照明を提供する。加えて、高強度の照明源は、粒子流中の蛍光粒子を励起させるために粒子流上に指向される。粒子流中のある特定の粒子は選択的に帯電され、その後、それらを屈折させて指定されたレセプタクルに入れることによって分離され得る。この分離の古典的形態は、分離のために1個以上の細胞型に印を付けるために用いられる蛍光タグ付け抗体による。
【0109】
フローサイトメトリー法の他の例として、米国特許第4,284,412号、同第4,989,977号、同第4,498,766号、同第5,478,722号、同第4,857,451号、同第4,774,189号、同第4,767,206号、同第4,714,682号、同第5,160,974号、および同第4,661,913号に記載のものが挙げられるが、これらに限定されず、これらの開示はそれぞれ参照により本明細書に明確に組み込まれる。
【0110】
本発明において、当業者に既知の別の利点は、フローサイトメトリーを用いて非生存細胞を回収することができることである。フローサイトメトリーが本質的に粒子選別技術であるため、細胞の増殖または繁殖する能力は必要ではない。したがって、FACSを用いて、アポトーシス等の細胞死を誘導するポリペプチドをスクリーニングすることができる。核酸をそのような非生存細胞から回収する技法は当技術分野で周知であり、例えば、PCRを含む鋳型依存的増幅技法の使用を含み得る。
【0111】
様々な実施形態が生物学的活性のスクリーニングのためにマイクロ流体方法の使用を企図するが、細胞が、例えば、ゲル中、ウェル中、またはスライド上で区画化または固定化されると同時にスクリーニングされ得ることも企図される。例えば、試験細胞は、各区画または単離区域が試験細胞および試験用のライブラリの(平均)1個のメンバーを含んだアレイを含み得る。活性を評価するための方法を上で概説されるように用いることができ(例えば、酵素活性、蛍光、発光等)、陽性ヒットは、それぞれの単離細胞集団から選択され得る。フローサイトメトリー法と同様に、細胞集団のプレートまたはアレイを用いた方法は、自動化に非常に従順であるため、ハイスループットスクリーニングに好ましい。なおさらに、固定化細胞の使用を含む方法も抗体または他の結合部分を用いて細胞における生物学的活性を検出することができる(例えば、改変されたELISAアッセイと同様に)。
【0112】
いったん細胞および会合した核酸が単離されると、核酸を配列決定して、所望の生物学的活性を有するポリペプチドの構造を提供することができる。例えば、核酸分子に含まれるプライマー結合配列を用いて、分子を迅速に増幅および/または配列決定することができる。ある場合には、特定された生物学的活性を有するコード配列は、本明細書で詳述される方法等のスクリーニング方法において新たなライブラリの基礎として用いられる。例えば、特定されたコード配列は、部分的にランダム化され、1つ以上のさらなるスクリーニングステップに供されて、増強された生物学的活性を有するコード配列を特定するか、またはコード配列のどの部分が生物学的活性に必要であるかを決定することができる。
【0113】
実施例
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を実証するために包含される。当業者であれば、以下の実施例に開示される技法が本発明の実践において十分に機能する本発明者によって発見された技法に相当するものであり、したがって、その実践に好ましい様式を構成すると見なされ得ることを認識するはずである。しかしながら、当業者であれば、本開示に照らして、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、開示される特定の実施形態において多くの変更を加えることができるが、依然として同様または類似の結果を得ることができることを認識するはずである。
【実施例1】
【0114】
真核細胞における生物学的に活性なポリペプチドのスクリーニング
一般的な細胞のDNAビーズタグ付け
装置:
−熱サイクラー装置(PCR(商標)機)
−NanoDrop分光光度計
【0115】
試薬:
−DNAオリゴヌクレオチド
【0116】
DNAライブラリ構築のために、ビーズをDNAオリゴヌクレオチド分子から増幅されたライブラリコード配列で標識化する。オリゴヌクレオチド分子を施設内で化学的に合成するか、またはIDT(www.idtdna.com/Home/Home.aspxのワールドワイドウェブを参照のこと)等の商業的供給業者から入手することができる。概して、各末端に順方向および逆方向普遍的プライマー配列を有し、かつ翻訳開始部位にATGを有するペプチドライブラリをコードする縮重DNAオリゴヌクレオチドを用いる。基本的な順方向プライマーは、5’ビオチン、スペーサー、T7プロモーター、スペーサー、シャイン・ダルガノリボソーム結合部位(RBS)、スペーサー、および普遍的プライマー配列を含む。基本的な逆方向プライマーは、T7終止配列および普遍的プライマーを含む。例えば、
図5を参照されたい。
【0117】
いくつかの態様において、細胞透過性ペプチド(CPP)をライブラリコード配列内に含むことができる。この場合、順方向プライマーは、5’ビオチン、スペーサー、T7プロモーター、スペーサー、シャイン・ダルガノRBS、スペーサー、ATG部位で始まるCPPコード領域、順方向普遍的プライマーをこの順に含む。
【0118】
基本的なPCR(商標)手順は、以下の通りである。
【0119】
1. 水またはTE中のDNAを標準のストック濃度にする。2つのプライマーセットを作製する。第1のプライマーセットは細胞内標的のためであり、CPPプライマーを含む。他方のプライマーセットは細胞外標的のためであり、基本的なプライマーのみを用いる。細胞内標的の場合、基本的なプライマーとCPP順方向プライマーを等モル濃度および一定分量で混合する。
【0120】
2. DNAライブラリオリゴをDNA鋳型として用い、プールされた順方向プライマーおよびそのプライマー基本的な逆方向プライマーに用いてPCR反応をセットアップする。標準のPCRプロトコルを実行する。
【0121】
3. 標準の方法を用いてPCR(商標)産物を精製し、分光光度計を用いてDNAを定量化する。
【0122】
ビーズに基づくエマルジョンPCR
ビーズに基づくエマルジョンPCRのプロトコルを、例えば、参照により本明細書に組み込まれるWilliams et al.2006において見出すことができる。プロセスの略図および結果として生じる産物が
図5〜7に示される。
【0123】
装置:
−ULTRA−TURRAX(登録商標)Tube Drive Workstation(IKA)
ST−20 Tube(IKA)
−オーバーヘッド撹拌機
−マイクロ遠心分離機
−PCR機
−真空遠心分離機
【0124】
試薬:
−ストレプトアビジンで被覆し、シリカで被覆した磁気ビーズ(例えば、www.products.invitrogen.com/ivgn/products/65601のワールドワイドウェブを参照のこと)。
−DNA逆方向プライマー+5’二重ビオチンを有するリンカー(IDT)
−5’ヌクレアーゼ耐性ホスホロチオエート結合を有するDNA順方向プライマー(あるいは、ロックド核酸(LNA)をホスホロチオエート結合の代わりに用いてもよい)。
−ABIL EM 90、界面活性剤(Degussa)
−BSA(Sigma−Aldrich)
−dNTP(Roche)
−ジエチルエーテル(水飽和、Riedel−de−Haen)
−酢酸エチル(水飽和、Riedel−de−Haen)
−鉱油(Sigma−Aldrich)
−Pfu Turbo DNAポリメラーゼ(2.5U/uL、Stratagene)
−Span(商標)80、界面活性剤(Fluka)
−Triton(登録商標)X−100、界面活性剤(Fisher Scientific)
−Tween(商標)80、界面活性剤(Sigma−Aldrich)
【0125】
手順:
【0126】
1.油−界面活性剤混合物を50mLの管内で摂氏25℃で混合して調製する。
Span 80 2.25mL
Tween 80 200μL
Triton X−100 25μL
鉱油 50Mlまで
【0127】
油−界面活性剤混合物をより安定化させるために、2%ABIL EM 90および0.05%Triton X−100を用いてもよい。
【0128】
2. 以下の修正を加えて標準のPCR(商標)反応混合物を調製する:
−約10
9個のビーズを添加する(上記参照のこと)
−ライブラリ由来の約10
9個のDNA分子を添加する
【0129】
順方向および逆方向プライマーを添加する。
【0130】
3. PCR反応混合物を撹拌した油−界面活性剤混合物に滴加して、エマルジョンを作製する。PCR管およびPCR機に移し、標準のプロトコルを実行する。
【0131】
4. PCR産物をプールし、遠心分離する。油相の上部を廃棄する。
【0132】
5. ジエチルエーテルおよび磁石を用いてビーズをエマルジョンから抽出する。
【0133】
6. ビーズをエタノールおよびハイブリダイゼーション緩衝液の混合物で洗浄する。
【0134】
7. 末端トランスフェラーゼを用いてビーズ上のDNAをビオチンで末端標識する。
【0135】
8. ストレプトアビジン/ビオチン相溶性の結合緩衝液中で、使用する細胞株の等モル濃度のストレプトアビジンとビオチン標識化関連細胞表面結合剤(例えば、幹細胞のCD34に対するビオチンタグ付けモノクローナル抗体)を混合して、ストレプトアビジン/細胞表面結合剤共役体を調製する。
【0136】
9.ストレプトアビジン/ビオチン相溶性の緩衝液中にビーズを再懸濁し、かつ1:1000(ビーズ対細胞表面結合剤)未満のモル比でストレプトアビジン/細胞表面結合剤共役体と混合して、この関連細胞表面結合剤/ストレプトアビジン共役体を添加して、ビーズに結合させる。例えば、
図8〜9を参照されたい。
【0137】
10.ビーズを磁気精製し、洗浄し、乾燥させる。
【0138】
エマルジョン発現
エマルジョン発現のための様々なプロトコルが利用可能であり、例えば、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる、Tawfik and Griffiths(1998)Nature Biotechnology,16:652−656、Ghadessy et al.(2001)PNAS,98:4552−4557、またはGhadessy and Hollinger(2004)DOI:10.1093/protein/gzho25を参照されたい。例示の概略図が
図10〜11に示される。
【0139】
装置:
−Ultra−Turrax Tube Drive Workstation(IKA)
−St−20 Tube(IKA)
【0140】
試薬:
−
製品 販売業者
大腸菌S30抽出物 Promega
T7 RNAポリメラーゼ Promega
デオキシコール酸ナトリウム Sigma
Span 80 Sigma
鉱油 Sigma
Tween 80 Pierce
【0141】
手順:
【0142】
1.Promega大腸菌S30抽出キットに、ビーズとともに、10nM G3担体DNA、100U T7 RNAポリメラーゼ(10
4単位)、40U RNase阻害剤、デオキシコール酸ナトリウム(0.5w/v%、乳化反応のため)を4℃で補充する。
【0143】
2.鉱油中に4.5v/v%のSpan 80を溶解し、その後、0.5%のTween 80を溶解して油相を作製する。
【0144】
3.ビーズを補充した発現キット試薬をCryoTubeバイアル中の撹拌した油−界面活性剤混合物に滴加する(約2分間にわたって5×10μL)。反応混合物を油に添加した後、1分間撹拌する。
【0145】
4.37℃で2時間インキュベートする。
【0146】
細胞乳化
装置:
−細胞乳化剤
−細胞培養系
−滅菌フード
−オートクレーブ
−インキュベーター
【0147】
試薬:
−懸濁液中で増殖することができるMDM2過剰発現細胞株由来の細胞
−増殖培地
【0148】
手順:
【0149】
1.滅菌フード内で、1エマルジョン液滴当たり平均1個の細胞をもたらす濃度で細胞を細胞乳化剤系に添加する。
【0150】
2.血清を補充するか、血清を補充せず、かつCaCl
2を補充した選択された細胞株に適切な増殖培地中の細胞をカプセル化して、油中約100μmの水滴中約2.5mMにする。
【0151】
3.1〜4時間インキュベートして、新たな環境に対する細胞の平衡化を可能にする。細胞乳化のシステムの例が
図12に示される。
【0152】
細胞へのペプチド送達
装置:
−別個の油中水エマルジョン流を合体させるためのカスタムマイクロ流体チップ
−エマルジョン流を合体チップに送達するためのシリンジポンプ
−合体エマルジョン流を収集するための一定分量収集システム
−インキュベーター
【0153】
手順:
【0154】
1.大きいシリンジに細胞エマルジョンを装填する。
【0155】
2.小さいシリンジにペプチドエマルジョンを装填する。
【0156】
3.マイクロ流体チップ上の合体モジュールを通る両方のエマルジョン流をポンプで通す。
【0157】
4.合体させたエマルジョン流を1〜3時間の一定分量収集し、インキュベートする。インキュベーション中、細胞表面結合剤タグ付けDNA被覆ビーズは細胞に結合する。エマルジョンを合体させるためのシステムの例が
図13に示される。
【0158】
表現型標識化およびヒット特定
装置:
−磁気ビーズ収集装置
−フローサイトメーター
−PCR機
【0159】
試薬:
−表現型特異的標識化試薬(例えば、蛍光標識されたアネキシンVまたは生/死染色剤)
−標準のPCR試薬
【0160】
手順:
【0161】
1.エーテルを添加してエマルジョンを破壊する。
【0162】
2.磁気ビーズ収集装置を用いてビーズおよび結合した細胞を収集する。
【0163】
3.細胞を標識試薬とともにインキュベートする。標識試薬は、アネキシンV等の表現型特異的結合タンパク質に結合した蛍光標識であり得る。あるいは、それらは、生細胞と死細胞を区別するための生/死染色染料であり得る。
【0164】
4.標識ヒットを非標識陰性から分離する細胞選別デバイスを用いてヒットを収集する。
【0165】
5.適切なプライマーを用いて収集したヒットに結合したビーズ由来のDNAをPCR増幅し、配列決定のためにDNAを調製する。
【0166】
6.増幅DNAを配列決定するか、または増幅DNAを配列決定サービス会社に送る。配列決定結果は、所望の表現型を誘導したペプチドを特定する。
【実施例2】
【0167】
アポトーシス誘導ポリペプチドのスクリーニング
一般的な細胞のDNAビーズタグ付け
装置:
−熱サイクラー装置(PCR(商標)機)
−NanoDrop分光光度計
【0168】
試薬:
−DNAオリゴヌクレオチド
【0169】
DNAライブラリ構築のために、ビーズをDNAオリゴヌクレオチド分子から増幅されたライブラリコード配列で標識化する。オリゴヌクレオチド分子を施設内で化学的に合成するか、またはIDT(www.idtdna.com/Home/Home.aspxのワールドワイドウェブを参照のこと)等の商業的供給業者から入手することができる。概して、各末端に順方向および逆方向普遍的プライマー配列を有し、かつ翻訳開始部位にATGを有するペプチドライブラリをコードする縮重DNAオリゴヌクレオチドを用いる。基本的な順方向プライマーは、5’ビオチン、スペーサー、T7プロモーター、スペーサー、シャイン・ダルガノリボソーム結合部位(RBS)、スペーサー、および普遍的プライマー配列を含む。基本的な逆方向プライマーは、T7終止配列および普遍的プライマーを含む。例えば、
図5を参照されたい。
【0170】
いくつかの態様において、細胞透過性ペプチド(CPP)をライブラリコード配列内に含むことができる。この場合、順方向プライマーは、5’ビオチン、スペーサー、T7プロモーター、スペーサー、シャイン・ダルガノRBS、スペーサー、ATG部位で始まるCPPコード領域、順方向普遍的プライマーをこの順に含む。
【0171】
基本的なPCR(商標)手順は、以下の通りである。
【0172】
1. 水またはTE中のDNAを標準のストック濃度にする。2つのプライマーセットを作製する。第1のプライマーセットは細胞内標的のためであり、CPPプライマーを含む。他方のプライマーセットは細胞外標的のためであり、基本的なプライマーのみを用いる。細胞内標的の場合、基本的なプライマーとCPP順方向プライマーを等モル濃度および一定分量で混合する。
【0173】
2. DNAライブラリオリゴをDNA鋳型として用い、プールされた順方向プライマーおよびそのプライマー基本的な逆方向プライマーとして用いてPCR反応をセットアップする。標準のPCRプロトコルを実行する。
【0174】
3. 標準の方法を用いてPCR(商標)産物を精製し、分光光度計を用いてDNAを定量化する。
【0175】
ビーズに基づくエマルジョンPCR
ビーズに基づくエマルジョンPCRのプロトコルを、例えば、参照により本明細書に組み込まれるWilliams et al.2006において見出すことができる。プロセスの略図および結果として生じる産物が
図5〜7に示される。
【0176】
装置:
−ULTRA−TURRAX(登録商標)Tube Drive Workstation(IKA)
ST−20 Tube(IKA)
−オーバーヘッド撹拌機
−マイクロ遠心分離機
−PCR機
−真空遠心分離機
【0177】
試薬:
−ストレプトアビジンで被覆し、シリカで被覆した磁気ビーズ(例えば、www.products.invitrogen.com/ivgn/products/65601のワールドワイドウェブを参照のこと)。
−DNA逆方向プライマー+5’二重ビオチンを有するリンカー(IDT)
−5’ヌクレアーゼ耐性ホスホロチオエート結合を有するDNA順方向プライマー(あるいは、ロックド核酸(LNA)をホスホロチオエート結合の代わりに用いてもよい)。
−ABIL EM 90、界面活性剤(Degussa)
−BSA(Sigma−Aldrich)
−dNTP(Roche)
−ジエチルエーテル(水飽和、Riedel−de−Haen)
−酢酸エチル(水飽和、Riedel−de−Haen)
−鉱油(Sigma−Aldrich)
−Pfu Turbo DNAポリメラーゼ(2.5U/uL、Stratagene)
−Span(商標)80、界面活性剤(Fluka)
−Triton(登録商標)X−100、界面活性剤(Fisher Scientific)
−Tween(商標)80、界面活性剤(Sigma−Aldrich)
【0178】
手順:
【0179】
1.油−界面活性剤混合物を50mLの管内で摂氏25℃で混合して調製する。
Span 80 2.25mL
Tween 80 200uL
Triton X−100 25uL
鉱油 50mLまで
【0180】
油−界面活性剤混合物をより安定化させるために、2%ABIL EM 90および0.05%Triton X−100を用いてもよい。
【0181】
2. 以下の修正を加えて標準のPCR(商標)反応混合物を調製する:
−約10
9個のビーズを添加する(上記参照のこと)
−ライブラリ由来の約10
9個のDNA分子を添加する
【0182】
プライマー濃度を非対称PCRのために調整し、順方向プライマーの濃度を逆方向プライマーの濃度の8倍にする。
【0183】
3. PCR反応混合物を撹拌した油−界面活性剤混合物に滴加して、エマルジョンを作製する。PCR管およびPCR機に移し、標準のプロトコルを実行する。
【0184】
4. PCR産物をプールし、遠心分離する。油相の上部を廃棄する。
【0185】
5. ジエチルエーテルおよび磁石を用いてビーズをエマルジョンから抽出する。
【0186】
6. ビーズをエタノールおよびハイブリダイゼーション緩衝液の混合物で洗浄する。
【0187】
7. 末端トランスフェラーゼを用いてビーズ上のDNAをビオチンで末端標識する。
【0188】
8.ストレプトアビジン/ビオチン相溶性の結合緩衝液中で、使用する細胞株の等モル濃度のストレプトアビジンとビオチン標識化関連細胞表面結合剤(例えば、幹細胞のCD34に対するビオチンタグ付けモノクローナル抗体)を混合して、ストレプトアビジン/細胞表面結合剤共役体を調製する。
【0189】
9.ストレプトアビジン/ビオチン相溶性の緩衝液中にビーズを再懸濁し、かつ1:1000(ビーズ対細胞表面結合剤)未満のモル比でストレプトアビジン/細胞表面結合剤共役体と混合して、この関連細胞表面結合剤/ストレプトアビジン共役体を添加してビーズに結合させる。例えば、
図8〜9を参照されたい。
【0190】
10.ビーズを磁気精製し、洗浄し、乾燥させる。
【0191】
エマルジョン発現
エマルジョン発現のための様々なプロトコルが利用可能であり、例えば、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる、Tawfik and Griffiths(1998)、Ghadessy et al.(2001)、またはGhadessy and Hollinger(2004)を参照されたい。例示の概略図が
図10〜11に示される。
【0192】
装置:
−Ultra−Turrax Tube Drive Workstation(IKA)
−St−20 Tube(IKA)
【0193】
試薬:
−
製品 販売業者
大腸菌S30抽出物 Promega
T7 RNAポリメラーゼ Promega
デオキシコール酸ナトリウム Sigma
Span 80 Sigma
鉱油 Sigma
Tween 80 Pierce
【0194】
手順:
【0195】
1.Promega大腸菌S30抽出キットに、ビーズとともに、10nM G3担体DNA、100U T7 RNAポリメラーゼ(10
4単位)、40U RNase阻害剤、デオキシコール酸ナトリウム(0.5w/v%、乳化反応のため)を4℃で補充する。
【0196】
2.鉱油中に4.5v/v%のSpan 80を溶解し、その後、0.5%のTween 80を溶解して油相を作製する。
【0197】
3.ビーズを補充した発現キット試薬をCryoTubeバイアル中の撹拌した油−界面活性剤混合物に滴加する(約2分間にわたって5×10μL)。反応混合物を油に添加した後、1分間撹拌する。
【0198】
4.37℃で2時間インキュベートする。
【0199】
細胞乳化
装置:
−細胞乳化剤
−細胞培養系
−滅菌フード
−オートクレーブ
−インキュベーター
【0200】
試薬:
−懸濁液中で増殖することができるMDM2過剰発現細胞株由来の細胞
−増殖培地
【0201】
手順:
【0202】
1.滅菌フード内で、1エマルジョン液滴当たり平均1個の細胞をもたらす濃度で細胞を細胞乳化剤系に添加する。
【0203】
2.血清を補充するか、血清を補充せず、かつCaCl
2を補充した選択された細胞株に適切な増殖培地中の細胞をカプセル化して、油中約100μmの水滴中約2.5mMにする。
【0204】
3.1〜4時間インキュベートして、新たな環境に対する細胞の平衡化を可能にする。細胞乳化のシステムの例が
図12に示される。
【0205】
細胞へのペプチド送達
装置:
−別個の油中水エマルジョン流を合体させるためのカスタムマイクロ流体チップ
−エマルジョン流を合体チップに送達するためのシリンジポンプ
−合体エマルジョン流を収集するための一定分量収集システム
−インキュベーター
【0206】
手順:
【0207】
1.大きいシリンジに細胞エマルジョンを装填する。
【0208】
2.小さいシリンジにペプチドエマルジョンを装填する。
【0209】
3.マイクロ流体チップ上の合体モジュールを通る両方のエマルジョン流をポンプで通す。
【0210】
4.合体させたエマルジョン流を1〜3時間の一定分量収集し、インキュベートする。インキュベーション中、アポトーシスを誘導するペプチドを有する細胞は、細胞外膜上にホスファチジルセリンを提示し、アネキシンVタグ付けDNA被覆ビーズはその細胞に結合する。エマルジョンを合体させるためのシステムの例が
図13に示される。
【0211】
ヒット特定
装置:
−磁気ビーズ収集装置
−PCR機
【0212】
試薬:
−細胞結合カラム
−標準のPCR試薬
【0213】
手順:
【0214】
1.エーテルを添加してエマルジョンを破壊する(例えば、
図15を参照のこと)。
【0215】
2.磁気ビーズ収集装置を用いてビーズを収集する(
図16を参照のこと)。
【0216】
3.収集したビーズを細胞結合カラム上で泳動させて、アポトーシス細胞および結合したビーズを収集する(
図17を参照のこと)。
【0217】
4.適切なプライマーを用いてアポトーシス細胞に結合したビーズ由来のDNAをPCR増幅し、配列決定のためにDNAを調製する。
【0218】
5.増幅DNAを配列決定するか、または増幅DNAを配列決定サービス会社に送る。配列決定結果は、アポトーシスを誘導したペプチドを特定する。
【実施例3】
【0219】
抗菌性ペプチドのスクリーニング
ライブラリ調製
装置:
−NanoDrop分光光度計
【0220】
試薬:
−生体外発現に最適化されたハチ毒メリチンの部位特異的ランダム化変異体を有するマスターDNAライブラリ(DNA2.0(www.dna20.comのワールドワイドウェブを参照のこと)から入手し、pIVEXベクター(5 Prime,Inc.)にクローニングしたもの)
−Illustra GenomiPhi V2 DNA増幅キット(GE Healthcare)を用いてマスターライブラリから増幅された未加工のサブライブラリ
−制限酵素CLA1(切断されたDNA)を用いて未加工のサブライブラリから作製した線形化サブライブラリ
【0221】
DNAライブラリは、ミツバチ(セイヨウミツバチ)由来のメリチンの野生型配列(GIGAVLKVLTTGLPALISWIKRKRQQ(配列番号1))に基づいた。ライブラリを構築するために、縮重手段を用いて5、6、10、15、22、25、および26番の残基をランダムに変化させ、対応するコドンをNNK(Nが任意の塩基であり、Kがデオキシグアノシン(G)またはデオキシチミジン(T)のいずれかである)で置換した。縮重手段を用いて14番の残基をランダムに変化させ、そのコドンをCSK(Cがデオキシシチジンであり、SがCまたはGのいずれかであり、KがGまたはTのいずれかである)で置換した。縮重配列が
図18Aに図示される。T7プロモーター、スペーサー、シャイン・ダルガノリボソーム結合部位(RBS)、翻訳開始部位のATG、Hisタグ(商標)(すなわち、ヘキサヒスチジンHHHHHH、配列番号26)、タバコエッチウイルス(TEV)プロテアーゼの切断部位配列、メリチン変異体配列、2つの連続終止コドン(すなわち、TAA、TAG、またはTGA)、スペーサー、T7終止配列もベクターに含めた。例えば、
図18Bを参照されたい。ライブラリ中のユニーク配列の理論数は、100億(すなわち、10
10)である。
【0222】
6.9ng/μLの濃度の1.5μLのマスターライブラリおよび標準のIllustra Genomiphiプロトコル(ワールドワイドウェブ上のwww.gelifesciences.com/gehcls_images/GELS/Related%20Content/Files/1314774443672/litdocGPHI_V2_25660030_revB_20110831102610.pdf)を用いてマスターライブラリを増幅し、制限酵素CLA1で切断した。
【0223】
線形化サブライブラリの多様性を評価するために、Illumina MiSeq次世代配列決定器具を用いて小試料を配列決定した。多重実行時、約310万個の読み取りを線形化サブライブラリの配列決定に充て、およそ190万個の配列がユニークであった。コンピュータープログラムを用いて線形化サブライブラリの多様性を評価した。
−DNA配列をアミノ酸配列に翻訳した。
−正味電荷を計算した。
−疎水性残基を計数した。
−上に列記した8個の可変残基のうち、野生型メリチンと同一の残基を計数した。
【0224】
疎水性残基数対正味電荷およびメリチン同一性対疎水性残基数の分布を示す散布図が
図19に示される。この図は、様々な電荷および疎水性がどのように線形化サブライブラリに表されるかを示す。いくつかの配列は、メリチンと同一の変化させた残基の8個すべてを有し、これらのうちいくつかは、12個のメリチン様の疎水性残基を有する。他の配列は、変化させた残基の外側で変異を取得し、意図的に変化させた残基の8個すべてがメリチンと同一であるにもかかわらず、13個の疎水性残基をもたらした。
【0225】
ビーズに基づくエマルジョンPCR
ビーズに基づくエマルジョンPCRのプロトコルを、例えば、参照により本明細書に組み込まれるWilliams et al.2006において見出すことができる。プロセスの略図および結果として生じる産物が
図20に示される。
【0226】
装置:
−振動タービュレーター(Union Scientific Corp.)
−マイクロ遠心分離機(Eppendorf)
−PCR機(Applied Biosystems)
【0227】
試薬:
−ストレプトアビジンを被覆したHisタグ結合能力を有する二官能性ビーズ
−DNA逆方向プライマー+5’二重ビオチンを有するリンカー(IDT)
−DNA逆方向プライマー(IDT)
−DNA順方向プライマー(IDT)
−ABIL EM 90、界面活性剤(Degussa)
−BSA(Sigma−Aldrich)
−dNTP(Roche)
−鉱油(Sigma−Aldrich)
−Pfu Turbo DNAポリメラーゼ(2.5U/uL、Stratagene)
−Span(商標)80、界面活性剤(Fluka)
−破壊緩衝液(10mMトリス(pH7.5)、100mM NaCl、1%TritonX−100)
−PCR緩衝液(20mMトリス(pH8.4)、50mM KCl)
−線形化サブライブラリ(ライブラリ調製の項を参照のこと)
【0228】
手順:
【0229】
1.二官能性ビーズにビオチン化逆方向プライマーを事前装填する。
【0230】
2.油−界面活性剤混合物を50mLの管内で25℃で混合して調製する。
Span 80 1w/w%
ABIL EM 90 4w/w%
鉱油 95w/w%
【0231】
3.以下の修正を加えて標準のPCR(商標)反応混合物を調製する:
−TE緩衝液中のDNAを標準のストック濃度にする。
−線形化サブライブラリをDNA鋳型としてPCR反応をセットアップする。ライブラリ由来の約1.5×10
6個の分子を反応物に添加する。
−約1.5×10
6個のビーズを添加する(上記参照のこと)。
−T7プロモーター、RBS結合部位、ヘキサヒスチジン、TEVプロテアーゼ切断部位、縮重配列、およびT7ターミネーターを含む、ベクターDNA配列の1015塩基対セグメントを増幅する順方向および逆方向プライマーを添加する。
【0232】
4. エマルジョンを以下の通りに作製する:
−900μLの油−界面活性剤混合物を微小遠心分離管に分注する。
−100μLのPCR反応混合物をこの管に添加する。
−微小遠心分離管を振動タービュレーター上の水平な管ラック内に設置する。
−管を0.07〜0.09インチの振幅で2.5分間振盪してエマルジョンを作製する。
−このプロセスは、5〜100μmの範囲の液滴直径を有するエマルジョンを作製し、ビーズの大半は1液滴当たり1個である。
【0233】
5.PCR管およびPCR機に移し、以下のプロトコルを実行する:
−94℃で5分間
−サイクルを40回:
−94℃で30秒間
−57℃で30秒間
−72℃で2分間
−72℃で7分間
−4℃に冷却
【0234】
5. PCR産物をプールし、遠心分離する。油相の上部を廃棄する。
【0235】
6. ビーズをエマルジョンから抽出し、破壊緩衝液で3回連続洗浄する。
【0236】
7. ビーズをPCR緩衝液で洗浄する。
【0237】
8.遠心分離によってビーズを精製し、洗浄し、ヌクレアーゼを含まない水中に保存する。
【0238】
エマルジョン発現
エマルジョン発現のための様々なプロトコルが利用可能であり、例えば、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる、Tawfik and Griffiths(1998)Nature Biotechnology,16:652−656、Ghadessy et al.(2001)PNAS,98:4552−4557、またはGhadessy and Hollinger(2004)DOI:10.1093/protein/gzho25を参照されたい。例示の概略図が
図21に示される。
【0239】
装置:
−振動タービュレーター(Union Scientific Corp.)
【0240】
試薬:
−RTS 100 HY無細胞発現キット(5 Prime)
−Span 80(Sigma)
−鉱油(Sigma)
−Abil EM90(Degussa)
−RNasin Plus(Promega)
−Haltプロテアーゼ阻害剤カクテル(EDTAを含まない)(Thermo)
−リファンピシン(Sigma)
−ニシン精子DNA
−破壊緩衝液(10mMトリス(pH7.5)、100mM NaCl、1%TritonX−100)
−ビーズに基づくエマルジョンPCR部分由来のDNA装填ビーズ
【0241】
手順:
【0242】
1.5 Prime RTS 100 HY抽出キットに、ビーズとともに、20U RNasin Plus、Haltプロテアーゼ阻害剤、2μg/mLリファンピシン、1ugニシン精子DNAを4℃で補充する。
【0243】
2.鉱油中に4v/v%Abil EM90、1v/v%Span 80を溶解して油相を調製する。
【0244】
3.エマルジョンを以下の通りに作製する:
−950μLの油−界面活性剤混合物を微小遠心分離管に分注する。
−50μLの補充した発現キットを管に添加する。
−マイクロ流体管を振動タービュレーター上の水平な管ラック内に設置する。
−管を0.07〜0.09インチの振幅で2.5分間振盪してエマルジョンを作製する。
【0245】
4.室温で4時間インキュベートする。
【0246】
5.油相の上部を廃棄する。
【0247】
6.ビーズをエマルジョンから抽出し、破壊緩衝液で3回連続洗浄する。
【0248】
7.ビーズをPCR緩衝液で洗浄する。
【0249】
8.遠心分離によってビーズを精製し、洗浄し、PBS中に保存する。
【0250】
細胞乳化およびスクリーニング
装置:
−インキュベーター/振盪機(New Brunswick Scientific)
−30℃の水浴(VWR Scientific)
【0251】
試薬:
−大腸菌BL21(DE3)Tuner_His_MBP_pJexpress414のグリセロールストック
(すなわち、Hisタグ付けマルトース結合タンパク質を担持するpJexpress414ベクター[DNA2.0 Inc.]でトランスフェクトした大腸菌BL21(DE3)Tuner株[Novagen/EMD−Millipore/Merck])
−M9最小培地
−LB培地
−1000倍アンピシリン
−0.1M DTT
−1M IPTG
−鉱油+4%Abil EM90+1%Span80
−14mLポリプロピレン丸底管
−HaloTEVプロテアーゼ
−BacLight生存能力キット(任意)
【0252】
手順:
【0253】
1日目
1)蓋付き14mL丸底管中の5mLのLB+アンピシリン(1mLのLB当たり1μLの1000倍アンピシリン)中でのグリセロールストック由来の細菌株の一晩培養を開始する。
2)200rpmで振盪して30℃の振盪機内で一晩インキュベートする。
【0254】
2日目
1)1mLの一晩培養物を蓋付き14mL丸底管中の4mLのLB+5μLの1000倍アンピシリンに添加してHisタグ付けMBPの発現を誘導するために誘導培養を確立する。振盪機内で30℃で1時間インキュベートする。
2)2.5μLの1M IPTGを培養物に添加して培養を誘導する。振盪機内で30℃で2時間インキュベートする。
3)スクリーニングで用いるためにM9混合物(以下で説明されるように調製したもの)を用いて細菌をOD
600=0.05に希釈する。この希釈をビーズのスクリーニング準備が整う直前に行うべきである。
M9混合物
0.1M DTT 10μL
M9最小培地 990μL
Baclight染料(任意) 1.5μL(各染料)
4)スクリーニングのためにHaloTEV/細菌試料を調製する:
1試料当たりの体積(μL)
M9混合物中の細菌希釈物 90
HaloTev 10
5)100μLのHaloTEV/細菌希釈物をエマルジョン発現由来の各ビーズセットに添加する。ビーズを迅速に再懸濁する。
6)900μLの鉱油混合物を各試料に添加する。底を軽く叩いて油層と水層を概ね混合する。
7)管を0.07〜0.09インチの振幅で2.5分間振盪して振動タービュレーターを用いてエマルジョンを作製する。これによって、8〜40個の範囲の細菌細胞(エマルジョン中の1個のマイクロカプセル当たり平均1個のビーズ)が提供される。
8)30℃で4時間インキュベートして、(a)TEVプロテアーゼの活性によるペプチド分子のビーズからの解離、(b)細胞のペプチドへの暴露、(c)抗菌性活性を有するペプチドに暴露したこれらの細菌の溶解、(d)Hisタグ付けマルトース結合タンパク質(MBP)の溶解細胞からの放出、および(e)Hisタグを介した放出されたMBPのビーズへの結合を可能にする。スクリーニングプロセスを図示する概略図が
図22に示される。
【0255】
ヒット単離
装置:
−磁気ビーズ収集装置
−PCR機
【0256】
試薬:
−標準のPCR試薬
−アミロース被覆磁気ビーズ
−破壊緩衝液(10mMトリス(pH7.5)、100mM NaCl、1%TritonX−100)
【0257】
手順:
【0258】
1.エマルジョンを以下によって破壊する:
i. 遠心分離して油層除去
ii. 破壊緩衝液で数回洗浄してエマルジョン破壊
iii. PBSでビーズ洗浄
【0259】
2.二官能性ビーズをアミロース被覆磁気ビーズと合わせ、45分間インキュベートする。
【0260】
3.磁気ビーズ収集装置を用いてアミロース被覆磁気ビーズおよび結合した二官能性ビーズを単離してヒットを収集する。
【0261】
4.PBS+10mMマルトースとともに45分間インキュベートしてヒットを磁気ビーズから溶出する。
【0262】
5.適切なプライマーを用いてヒットとして収集した二官能性ビーズ由来のDNAをPCR増幅し、配列決定のためにDNAを調製する。
【0263】
6.増幅DNAを配列決定サービス会社に送った。
【0264】
ヒットを単離するために用いたプロセスが
図23に図示される。
【0265】
ヒット特定
装置:
−DNA分析ソフトウェアを備えたパソコン
【0266】
手順:
【0267】
1.未加工のDNA配列を含むデータファイルを配列決定サービス会社から回収する。
【0268】
2.縮重メリチン配列を特定し、アミノ酸配列に翻訳する。
【0269】
3.各実験における各ユニーク配列の出現についての情報を収集し、各配列についての情報(正味電荷、疎水性残基数、野生型メリチンと同一の残基数)を抽出する。
【0270】
4.偽陽性を最小限に抑えるために、反復スクリーニングを4回行い、2回以上のスクリーニングで生じたヒットのみを検証に進めた。
図24は、4回のスクリーニングのそれぞれのヒット数と、それらがどのように重なり合うかを示すベン図である。
【0271】
ヒット検証
装置:
−吸収および蛍光プレートリーダー(Tecan Safire)
−CO
2インキュベーター
【0272】
試薬:
−6個の化学合成されたペプチド(Biosynthesis Inc.)
−大腸菌MG1655(ATCC)
−LB培地(Sigma−Aldrich)
−アラマーブルーアッセイキット(Life Tech)
【0273】
手順:
1)3つのヒットを検証用に選択した。選択基準は以下の通りである:
−ランダムに変化させたアミノ酸のうちの少なくとも3つがメリチンと同一でなければならない。
−4回の反復スクリーニングにおいて、ヒットは2回のスクリーニングまたは3回のスクリーニングのいずれかで特定された。
−3つのヒットの配列は以下の通りである:
ヒット1:GIGAVLKVLTTGLPTLISWIKSKRQK(配列番号2)
ヒット2:GIGALIKVLTTGLPMLISWIKRKRNK(配列番号3)
ヒット3:GIGAWTKVLTTGLPGLISWIKRKRLR(配列番号4)
2)3つの配列を対照としてランダムに選択した。対照配列は、ライブラリについて説明される残基と同一のランダムに変化させた残基を有した。対照配列は、メリチンと同一のランダムに変化させたアミノ酸のうちの少なくとも3つも有した。
−対照ペプチドの配列は以下の通りである:
対照1:GIGATVKVLSTGLRFLISWIKRKRKY(配列番号5)
対照2:GIGAIAKVLSTGLPRLISWIKGKRIR(配列番号6)
対照3:GIGAVLKVLGTGLPALISWIKFKRFP(配列番号7)
3)5mLのLB中での大腸菌MG1655の一晩培養を開始し、200rpmで振盪して37℃で増殖させる。
4)翌朝、10mL LB+1mLアラマーブルー染色剤中で一晩培養物をOD
600=0.00075に希釈する。
5)7個の1:2連続希釈物を作製し、各ペプチドを最終体積70μLのPBS中500μMから始める。
6)20μLのペプチド連続希釈物を白色の低容量96ウェルプレートに三重に添加する。20μLのPBSのみを8番目のウェルに添加する。
7)120μLの大腸菌/アラマーブルー希釈物をそれぞれの試験ウェルに添加する。
8)35℃で一晩(18時間)インキュベートする。
9)表1に示されるように、18時間時点の各ペプチドの最小阻害濃度(MIC)を決定する。
【表1】
10)吸収プレートリーダーで測定した用量曲線への4パラメータlog−ロジスティック関数の曲線当てはめに基づいて各ペプチドの50%有効濃度(EC
50)も計算した。メリチン、ヒット1、2、および3、ならびに対照1、2、および3のEC
50データが
図25に示される。
【実施例4】
【0274】
マイクロタイタープレートにおける生物学的活性試験
ヌクレオチド配列調製
試薬:
−生体外発現のために最適化された腫瘍壊死因子α(TNFα)の2つの異なる変異体を表すDNA構築物(DNA 2.0(www.dna20.comのワールドワイドウェブを参照のこと)から入手し、pIVEXベクター(5 Prime,Inc.)にクローニングしたもの)。
【0275】
【化1】
【0276】
2個のDNA構築物を作製した。構築物1は、Hisタグ、TEV切断部位、および可溶性形態のTNFαから成った。構築物2は、Hisタグ、スペーサー、TEV切断部位、および可溶性形態のTNFαから成った。これらの構築物を用いて、アミノ酸スペーサー領域(配列:GSGGSG(上の構築物2の配列の太字下線部分))の配置がTNF構築物の活性にどのように影響を与えるかを試験した。構築物1をいかなるスペーサー領域も用いずに設計した。構築物2をHisタグとTEV−プロテアーゼ部位との間のスペーサー領域の配置を試験するように設計した。
【0277】
ビーズに基づくエマルジョンPCR
ビーズに基づくエマルジョンPCRのプロトコルを、例えば、参照により本明細書に組み込まれるWilliams et al.2006において見出すことができる。プロセスの略図および結果として生じる産物が
図20に示される。
【0278】
装置:
−Vortex Genie 2(Fisher Scientific)
−マイクロ遠心分離機(Eppendorf)
−PCR機(Applied Biosystems)
【0279】
試薬:
−ストレプトアビジンを被覆したHisタグ結合能力を有する二官能性ビーズ
−DNA逆方向プライマー+5’二重ビオチンを有するリンカー(IDT)
−DNA逆方向プライマー(IDT)
−DNA順方向プライマー(IDT)
−ABIL EM 90、界面活性剤(Degussa)
−鉱油(Sigma−Aldrich)
−2x GoTaq Green Master Mix(Promega)
−Span(商標)80、界面活性剤(Fluka)
−1−ブタノール(Sigma)
−破壊緩衝液(10mMトリス(pH7.5)、100mM NaCl、1%TritonX−100)
−PCR緩衝液(20mMトリス(pH8.4)、50mM KCl)
−pIVEX 2.3d(DNA 2.0/5 Prime)にクローニングしたTNFα構築物
【0280】
手順:
【0281】
1.二官能性ビーズにビオチン化逆方向プライマーを事前装填する。
【0282】
2.油−界面活性剤混合物を50mLの管内で25℃で混合して調製する。
Span 80 1w/w%
ABIL EM 90 4w/w%
鉱油 95w/w%
【0283】
3.以下の修正を加えて標準のPCR(商標)反応混合物を調製する:
−TE緩衝液中のDNAを標準のストック濃度にする。
−pIVEXベクター(100ng/試料)中のDNA構築物とのPCR反応をセットアップする。
−約3×10
5個のビーズを添加する(上記参照のこと)。
−T7プロモーター、RBS結合部位、ヘキサヒスチジン、TEVプロテアーゼ切断部位、TNFα配列、およびT7ターミネーターを含む、それぞれ、構築物1および2のベクターDNA配列の1408および1426塩基対セグメントを増幅する順方向および逆方向プライマーを添加する。
【0284】
4. エマルジョンを以下の通りに作製する:
−950μLの油−界面活性剤混合物を微小遠心分離管に分注する。
−50μLのPCR反応混合物を管に添加する。
−管を数回軽く叩いて油中水を分散させる。
−最高設定(8)で管を15秒間ボルテックスする。
−このプロセスは、5〜100μmの範囲の液滴直径を有するエマルジョンを作製し、ビーズの大半は1液滴当たり1個である。
【0285】
5.PCR管およびPCR機に移し、以下のプロトコルを実行する:
−94℃で5分間
−サイクルを40回:
−94℃で30秒間
−57℃で30秒間
−72℃で4分間
−72℃で7分間
−4℃に冷却
【0286】
5. PCR産物をプールし、遠心分離する。油相の上部を廃棄する。
【0287】
6. 1−ブタノールおよび破壊緩衝液で交互に2回洗浄してビーズをエマルジョンから抽出する。
【0288】
7. ビーズをPCR緩衝液で洗浄する。
【0289】
8.遠心分離によってビーズを精製し、洗浄し、ヌクレアーゼを含まない水中に保存する。
【0290】
エマルジョン発現
エマルジョン発現のための様々なプロトコルが利用可能であり、例えば、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる、Tawfik and Griffiths(1998)Nature Biotechnology,16:652−656、Ghadessy et al.(2001)PNAS,98:4552−4557、またはGhadessy and Hollinger(2004)DOI:10.1093/protein/gzho25を参照されたい。例示の概略図が
図21に示される。
【0291】
装置:
−Vortex Genie 2(Fisher Scientific)
【0292】
試薬:
−RTS 100 HY無細胞発現キット(5 Prime)
−Span 80(Sigma)
−鉱油(Sigma)
−Abil EM90(Degussa)
−RNasin Plus(Promega)
−Haltプロテアーゼ阻害剤カクテル(EDTAを含まない)(Thermo)
−リファンピシン(Sigma)
−ニシン精子DNA
−ビーズに基づくエマルジョンPCR部分由来のDNA装填ビーズ
【0293】
手順:
【0294】
1.5 Prime RTS 100 HY抽出キットに、ビーズとともに、20U RNasin Plus、Haltプロテアーゼ阻害剤、2μg/mLリファンピシン、1μgニシン精子DNAを4℃で補充する。
【0295】
2.鉱油中に4v/v%Abil EM90、1v/v%Span 80を溶解して油相を調製する。
【0296】
3.エマルジョンを以下の通りに作製する:
−950μLの油−界面活性剤混合物を微小遠心分離管に分注する。
−50μLの補充した発現キットを管に添加する。
−管を数回軽く叩いて油中水を分散させる。
−最高設定(8)で管を15秒間ボルテックスする。
【0297】
4.室温で3時間インキュベートする。
【0298】
5.遠心分離管して油層の上部を除去する。
【0299】
6.破壊緩衝液で3回洗浄してエマルジョンを破壊する。
【0300】
7.ビーズをPBSで2回洗浄する。
【0301】
8.PBS中にビーズを再懸濁する。
【0302】
生物活性試験
装置:
−細胞培養インキュベーター(Fisher Scientific)
−マイクロプレートリーダー(Tecan Safire)
−黒色の底が透明な96ウェルマイクロタイタープレート(Corning)
【0303】
試薬:
−NF−κ−BのGFPレポーター構築物でトランスフェクトしたジャーカット細胞(System Biosciences,Inc.)
−RPMI1640+10%ウシ胎児血清+ペニシリン/ストレプトマイシン(Life Tech)
−HaloTEVプロテアーゼ(Promega)
−リン酸緩衝生理食塩水(PBS)(Sigma)
−0.1Mジチオスレイトール(Sigma)
−TNFα(50ug/mL)(Millipore)
−ビーズ上のTNF構築物1(DNAおよびタンパク質)
−ビーズ上のTNF構築物2(DNAおよびタンパク質)
【0304】
手順:
1)補充RPMI1640増殖培地を用いてNF−κB−ジャーカット細胞を100,000細胞/mLに希釈する。
2)25μLのPBSを列1、行2〜12に添加する。
3)37.5μLのTNFαを列1、行1に添加する。12.5μLを移して1〜3回連続希釈をこの列にした。
4)約150個のTNF−ビーズが送達されるように、8μLの構築物1および構築物2のビーズを希釈し、それぞれ列2および3の行1に添加する。
5)以下のHaloTevプロテアーゼ混合物を作製する:
HaloTev 350uL
0.1M DTT 35uL
6)5μLのHaloTevプロテアーゼ混合物をそれぞれの試験ウェルに添加する。
7)100μLのNF−κB−ジャーカット細胞をプレートのすべてのウェルに添加する。
8)プレートを37℃および5%CO
2で18時間インキュベートする。
9)Tecan Safireプレートリーダーを用いて各ウェルのGFP蛍光を測定する。
【0305】
発現し、捕捉され、ビーズからうまく切断され、かつNF−κBレポーター細胞株を刺激することができたTNFαタンパク質の有効濃度を蛍光に基づくマイクロタイタープレートアッセイおよび標準曲線を用いて計算した。ジャーカット細胞株をNF−κB経路が活性化されたときにGFPが発現するように操作した。TNFαの添加は、NF−κBシグナル経路を活性化し、GFPレポーターの発現を開始する。商業的供給源からの純粋なTNFαを用いて、一連の濃度のTNFαによって生成されたGFP蛍光を測定することによって標準曲線を生成した(
図26の塗りつぶされた四角形)。試験構築物によって生成された蛍光は標準曲線に当てはめられ、150個のビーズから生成された活性TNFの濃度が計算された(
図26の塗りつぶされていない三角形および円)。1個のビーズ当たりの理論負荷および100μmエマルジョン液滴中の1個のビーズ当たりの送達され得る理論濃度を各構築物に対して計算された濃度を用いて計算した(表2)。
【表2】
【実施例5】
【0306】
DNAハンドオフおよび単離
ビーズに基づくエマルジョンPCRのプロトコルを、例えば、参照により本明細書に組み込まれるWilliams et al.2006において見出すことができる。プロセスの略図および結果として生じる産物が
図20に示される。
【0307】
装置:
−Vortex Genie 2(Fisher Scientific)
−マイクロ遠心分離機(Eppendorf)
−PCR機(Applied Biosystems)
−管回転子
【0308】
試薬:
−ストレプトアビジンを被覆したHisタグ結合能力を有する二官能性ビーズ
−DNA逆方向プライマー+5’二重ビオチンを有するリンカー(IDT)
−DNA逆方向プライマー(IDT)
−DNA順方向プライマー(IDT)
−DNA順方向プライマー+5’ビオチンを有するリンカー(IDT)
−ABIL EM 90、界面活性剤(Degussa)
−鉱油(Sigma−Aldrich)
−2x GoTaq Green Master Mix(Promega)
−Span(商標)80、界面活性剤(Fluka)
−1−ブタノール(Sigma)
−破壊緩衝液(10mMトリス(pH7.5)、100mM NaCl、1%TritonX−100)
−PCR緩衝液(20mMトリス(pH8.4)、50mM KCl)
−pIVEX 2.3d(DNA 2.0/5 Prime)にクローニングしたTNFα構築物(この構築物は、Hisタグ、スペーサー、TEV切断部位、および可溶性形態のTNFαを含み、構築物の配列は、以下の通りである)
MHHHHHHGSGGSGENLYFQGVRSSSRTPSDKPVAHVVANPQAEGQLQWLNRRANALLANGVELRDNQLVVPSEGLYLIYSQVLFKGQGCPSTHVLLTHTISRIAVSYQTKVNLLSAIKSPCQRETPEGAEAKPWYEPIYLGGVFQLEKGDRLSAEINRPDYLDFAESGQVYFGIIAL**(配列番号10)
−ストレプトアビジン(Sigma)
−ビオチン化スノードロップレクチン(Vector Labs)
【0309】
手順:
【0310】
1.二官能性ビーズにビオチン化逆方向プライマーを事前装填する。
【0311】
2.油−界面活性剤混合物を50mLの管内で25℃で混合して調製する。
Span 80 1w/w%
ABIL EM 90 4w/w%
鉱油 95w/w%
【0312】
3.以下の修正を加えて標準のPCR(商標)反応混合物を調製する:
−TE緩衝液中のTNFα構築物DNAを標準のストック濃度にする。
−pIVEXベクター(100ng/試料)中のDNA構築物とのPCR反応をセットアップする。
−約3×10
5個のビーズ/試料を添加する(上記参照のこと)。
−T7プロモーター、RBS結合部位、ヘキサヒスチジン、TEVプロテアーゼ切断部位、TNFα配列、およびT7ターミネーターを含む、ベクターDNA配列の1426塩基対セグメントを増幅する順方向および逆方向プライマーを添加する。2個の試料を調製し、試料1には基本的な順方向プライマーを用い、試料2には5’ビオチン化順方向プライマーを用いた。
【0313】
4. エマルジョンを以下の通りに作製する:
−950μLの油−界面活性剤混合物を微小遠心分離管に分注する。
−50μLのPCR反応混合物を管に添加する。
−管を数回軽く叩いて油中水を分散させる。
−最高設定(8)で管を15秒間ボルテックスする。
−このプロセスは、5〜100μmの範囲の液滴直径を有するエマルジョンを作製し、ビーズの大半は1液滴当たり1個である。
【0314】
5.PCR管およびPCR機に移し、以下のプロトコルを実行する:
−94℃で5分間
−サイクルを40回:
−94℃で30秒間
−57℃で30秒間
−72℃で4分間
−72℃で7分間
−4℃に冷却
【0315】
5. PCR産物をプールし、遠心分離する。油相の上部を廃棄する。
【0316】
6. 1−ブタノールおよび破壊緩衝液で交互に2回洗浄してビーズをエマルジョンから抽出する。
【0317】
7. ビーズをPCR緩衝液で洗浄する。
【0318】
8.遠心分離によってビーズを精製し、洗浄し、ヌクレアーゼを含まない水中に保存する。
【0319】
9.(ビオチン化順方向プライマーを有する)試料2由来のビーズをストレプトアビジンで、その後、ビオチン化レクチンで連続処理する。
【0320】
DNA単離
装置:
−マイクロ遠心分離機(Eppendorf)
−インキュベーター
−PCR機(Applied Biosystems)
【0321】
試薬:
−ジャーカット細胞
−RPMI1640+10%ウシ胎児血清+ペニシリン/ストレプトマイシン(Life Tech)
−BamHI(New England Biolabs)
−アミロース被覆磁気ビーズ(New England Biolabs)
−Hisタグ付けマルトース結合タンパク質(His−MBP)
−磁気ビーズ収集装置
−DNA逆方向プライマー(IDT)
−DNA順方向プライマー(IDT)
−2x GoTaq Green Master Mix(Promega)
【0322】
手順:
【0323】
1. PCRビーズを有し、かつBamHIを有するか、またはBamHIを有しないジャーカット細胞を37℃および5%CO
2で1時間インキュベートしてDNAをビーズから切断し、特異的(レクチンを介する)または非特異的結合を介してジャーカット細胞に移し、対照をBamHIの不在下で泳動させる。4個の試料を調製した:
−試料1a:BamHIを有しない試料1由来のビーズ
−試料1b:BamHIを有する試料1由来のビーズ
−試料2a:ビオチン化プライマー、ストレプトアビジン、ビオチン化レクチンを有し、かつBamHIを有しない試料2由来のビーズ
−試料2b:ビオチン化プライマー、ストレプトアビジン、ビオチン化レクチンを有し、かつBamHIを有する試料2由来のビーズ
【0324】
2.アミロース磁気ビーズをHis−MBPとともにインキュベートする。
【0325】
3.細胞+ビーズをHis−MBPを事前装填したアミロース被覆磁気ビーズとともに室温で5分間インキュベートする。
【0326】
4. 磁気ビーズ収集装置を用いてHis−MBPを介してアミロース被覆磁気ビーズに結合した二官能性ビーズの試料を枯渇させる。
【0327】
5.細胞を含有する非結合溶液を500×gで1分間遠心分離し、細胞を水で洗浄し、再度遠心分離する。
【0328】
6. 689塩基対セグメントを増幅する最初の線形鋳型の内側のプライマーを用いて細胞由来のDNAを2x GoTaq Master Mixおよび標準のPCR調製物で増幅する。
【0329】
7.PCR管およびPCR機に移し、以下のプロトコルを実行する:
−94℃で5分間
−サイクルを25回:
−94℃で30秒間
−60℃で30秒間
−72℃で1分間
−72℃で7分間
−4℃に冷却
【0330】
8.精製されていないPCR産物の一部をTBE中の1%アガロースゲル上で泳動させて、細胞上のDNAの存在または不在を検証する。
【0331】
図27は、DNAハンドオフプロセスの概略図を示し、
図28は、アガロースゲルの結果を示すものであり、試料1b、2a、および2b中で、TNFα構築物由来の試験DNAが細胞の表面に存在し、かつ配列のPCR増幅を支援したことを示す。対照的に、DNAは、試料1a由来の細胞上には存在しなかった。DNAが試料2a中のビーズから切断されなかったにもかかわらず、レクチンを介する特異的結合が原因でいくつかのビーズが最後まで細胞とともにあり、試料1aの場合のように洗い流されなかった。
【実施例6】
【0332】
ビーズ由来のタンパク質投与
ヌクレオチド配列調製
試薬:
−生体外発現のために最適化されたDasher緑色蛍光タンパク質配列を含むDNA構築物((DNA 2.0(www.dna20.comのワールドワイドウェブを参照のこと)から入手し、pIVEXベクター(5 Prime,Inc.)にクローニングしたもの)。
【0333】
Dasher構築物の配列は以下の通りである:
MHHHHHHENLYFQGSAGQSSGRATALTEGAKLFEKEIPYITELEGDVEGMKFIIKGEGTGDATTGTIKAKYICTTGDLPVPWATLVSTLSYGVQCFAKYPSHIKDFFKSAMPEGYTQERTISFEGDGVYKTRAMVTYERGSIYNRVTLTGENFKKDGHILRKNVAFQCPPSILYILPDTVNNGIRVEFNQAYDIEGVTEKLVTKCSQMNRPLAGSAAVHIPRYHHITYHTKLSKDRDERRDHMCLVEVVKAVDLDTYQAGAMASMTGGQQMG*(配列番号11)
【0334】
DNA 2.0 Inc.から入手した、Hisタグ、TEV切断部位、およびDNA緑色蛍光タンパク質配列から成るDasher構築物。この構築物は、組み合わせたエマルジョンPCRおよびエマルジョン発現の収量を落射蛍光顕微鏡または蛍光プレートリーダーを用いて監視することを可能にする。
【0335】
ビーズに基づくエマルジョンPCR
ビーズに基づくエマルジョンPCRのプロトコルを、例えば、参照により本明細書に組み込まれるWilliams et al.2006において見出すことができる。プロセスの略図および結果として生じる産物が
図20に示される。
【0336】
装置:
−Vortex Genie 2(Fisher Scientific)
−マイクロ遠心分離機(Eppendorf)
−PCR機(Applied Biosystems)
−分光光度計(Thermo Fisher、Nanodrop)
【0337】
試薬:
−ストレプトアビジンを被覆したHisタグ結合能力を有する二官能性ビーズ
−DNA逆方向プライマー+5’二重ビオチンを有するリンカー(IDT)
−DNA逆方向プライマー(IDT)
−DNA順方向プライマー(IDT)
−ABIL EM 90、界面活性剤(Degussa)
−鉱油(Sigma−Aldrich)
−2x GoTaq Green Master Mix(Promega)
−Span(商標)80、界面活性剤(Fluka)
−1−ブタノール(Sigma)
−破壊緩衝液(10mMトリス(pH7.5)、100mM NaCl、1%TritonX−100)
−PCR緩衝液(20mMトリス(pH8.4)、50mM KCl)
−pIVEX 2.3d(DNA 2.0/5 Prime)にクローニングし、DNA順方向および逆方向プライマーを用いて増幅して線形構築物にしたDasher構築物
【0338】
手順:
【0339】
1.二官能性ビーズにビオチン化逆方向プライマーを事前装填する。
【0340】
2.油−界面活性剤混合物を50mLの管内で25℃で混合して調製する。
Span 80 1w/w%
ABIL EM 90 4w/w%
鉱油 95w/w%
【0341】
3.以下の修正を加えて標準のPCR(商標)反応混合物を調製する:
−pIVEXベクター(100ng/試料、分光光度計を用いて定量化したもの)由来の線形Dasher構築物とのPCR反応をセットアップする。
−約3×10
5個のビーズを添加する(上記参照のこと)。
−T7プロモーター、RBS結合部位、ヘキサヒスチジン、TEVプロテアーゼ切断部位、およびT7ターミネーターを含む、Dasher構築物由来のベクターDNA配列の1708塩基対セグメントを増幅する順方向および逆方向プライマーを添加する。
【0342】
4. エマルジョンを以下の通りに作製する:
−950μLの油−界面活性剤混合物を微小遠心分離管に分注する。
−50μLのPCR反応混合物を管に添加する。
−管を数回軽く叩いて油中水を分散させる。
−最高設定(8)で管を15秒間ボルテックスする。
−このプロセスは、5〜100μmの範囲の液滴直径を有するエマルジョンを作製し、ビーズの大半は1液滴当たり1個である。
【0343】
5.PCR管およびPCR機に移し、以下のプロトコルを実行する:
−94℃で5分間
−サイクルを40回:
−94℃で30秒間
−57℃で30秒間
−72℃で4分間
−72℃で7分間
−4℃に冷却
【0344】
5. PCR産物をプールし、遠心分離する。油相の上部を廃棄する。
【0345】
6. 1−ブタノールおよび破壊緩衝液で交互に2回洗浄してビーズをエマルジョンから抽出する。
【0346】
7. ビーズをPCR緩衝液で洗浄する。
【0347】
8.遠心分離によってビーズを精製し、洗浄し、ヌクレアーゼを含まない水中に保存する。
【0348】
エマルジョン発現
エマルジョン発現のための様々なプロトコルが利用可能であり、例えば、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる、Tawfik and Griffiths(1998)Nature Biotechnology,16:652−656、Ghadessy et al.(2001)PNAS,98:4552−4557、またはGhadessy and Hollinger(2004)DOI:10.1093/protein/gzho25を参照されたい。例示の概略図が
図21に示される。
【0349】
装置:
−Vortex Genie 2(Fisher Scientific)
【0350】
試薬:
−RTS 100 HY無細胞発現キット(5 Prime)
−Span 80(Sigma)
−鉱油(Sigma)
−Abil EM90(Degussa)
−RNasin Plus(Promega)
−Haltプロテアーゼ阻害剤カクテル(EDTAを含まない)(Thermo)
−リファンピシン(Sigma)
−ニシン精子DNA
−ビーズに基づくエマルジョンPCR部分由来のDNA装填ビーズ
−破壊緩衝液(10mMトリス(pH7.5)、100mM NaCl、1%TritonX−100)
【0351】
手順:
【0352】
1.5 Prime RTS 100 HY抽出キットに、ビーズとともに、20U RNasin Plus、Haltプロテアーゼ阻害剤、2ug/mLリファンピシン、1ugニシン精子DNAを4℃で補充する。
【0353】
2.鉱油中に4v/v%Abil EM90、1v/v%Span 80を溶解して油相を調製する。
【0354】
3.エマルジョンを以下の通りに作製する:
−950μLの油−界面活性剤混合物を微小遠心分離管に分注する。
−50μLの補充した発現キットを管に添加する。
−管を数回軽く叩いて油中水を分散させる。
−最高設定(8)で管を15秒間ボルテックスする。
【0355】
4.室温で2時間インキュベートする。
【0356】
5.遠心分離管して油層の上部を除去する。
【0357】
6.破壊緩衝液で3回洗浄エマルジョンを破壊する。
【0358】
7.ビーズをPBSで2回洗浄する。
【0359】
8.PBS中にビーズを再懸濁する。
【0360】
9.3個の試料を調製した:
−試料1:上のステップ1〜8を1回行った。
−試料2:上のステップ1〜8を2回連続して行った。
−試料3:上のステップ1〜8を3回連続して行った。
【0361】
タンパク質収量定量化
装置:
−カメラを備えた落射蛍光顕微鏡(Zeiss Axioskop)
−CellProfilerソフトウェア(www.cellprofiler.orgのワールドワイドウェブを参照のこと)
【0362】
試薬および供給物:
−顕微鏡スライド
−カバースリップ(CapitolBrand M3453−2222、長さ22mm、幅22mm、厚さ#1)
【0363】
手順:
1)試料1、2、および3由来のビーズを顕微鏡スライド上に別々に分注し、カバースリップで覆った。試料にわたって先の発現ラウンド由来の既存のGFPの平等な折り畳みを可能にするために3つすべての試料の分析を同時に行った。
2)カメラを備えた落射蛍光顕微鏡を用いて顕微鏡写真を捕捉した。
3)検出された各ビーズの積分蛍光強度を決定するためにCellProfilerソフトウェアを用いて顕微鏡写真を分析した。
【0364】
図29は、それぞれ、1回、2回、および3回発現した試料1、2、および3由来のビーズの平均蛍光強度の棒線図を示す。このデータは、各連続発現ラウンドが各ビーズ上に担持されたタンパク質量を増加させることを示す。
【実施例7】
【0365】
一本鎖抗体断片の生物学的活性試験
ヌクレオチド配列調製
試薬:
−一本鎖抗体断片(scFv)を表す試験DNA構築物、非関連タンパク質(キングコブラ由来のOphioluxinサブユニットα)を表す対照DNA構築物(これら両方の構築物を生体外発現のために最適化し、DNA 2.0(www.dna20.comのワールドワイドウェブを参照のこと)から入手し、pIVEXベクター(5 Prime,Inc.)にクローニングする)。
【0366】
【化2】
【0367】
scFv試験構築物は、Hisタグ、スペーサー(配列:GSGGSG(上の配列の太字下線部分))、TEV切断部位、スペーサー(配列:GSGGSG(上の配列の太字下線部分))、および腫瘍壊死因子α(TNFα)に結合することで知られている可変配列を有する一本鎖抗体断片から成った。対照構築物は、Hisタグ、スペーサー(配列:GSGGSG(上の配列の太字下線部分))、TEV切断部位、およびTNFαに結合する見込みのないキングコブラタンパク質(対照)から成った。
【0368】
ビーズに基づくエマルジョンPCR
ビーズに基づくエマルジョンPCRのプロトコルを、例えば、参照により本明細書に組み込まれるWilliams et al.2006において見出すことができる。プロセスの略図および結果として生じる産物が
図20に示される。
【0369】
装置:
−Vortex Genie 2(Fisher Scientific)
−マイクロ遠心分離機(Eppendorf)
−PCR機(Applied Biosystems)
【0370】
試薬:
−ストレプトアビジンを被覆したHisタグ結合能力を有する二官能性ビーズ
−DNA逆方向プライマー+5’二重ビオチンを有するリンカー(IDT)
−DNA逆方向プライマー(IDT)
−DNA順方向プライマー(IDT)
−ABIL EM 90、界面活性剤(Degussa)
−鉱油(Sigma−Aldrich)
−2x GoTaq Green Master Mix(Promega)
−Span(商標)80、界面活性剤(Fluka)
−1−ブタノール(Sigma)
−破壊緩衝液(10mMトリス(pH7.5)、100mM NaCl、1%TritonX−100)
−PCR緩衝液(20mMトリス(pH8.4)、50mM KCl)
−pIVEX 2.3d(DNA 2.0/5 Prime)にクローニングし、DNA順方向および逆方向プライマーを用いて増幅して線形構築物にしたscFv構築物
−pIVEX 2.3d(DNA 2.0/5 Prime)にクローニングし、DNA順方向および逆方向プライマーを用いて増幅して線形構築物にした対照構築物
【0371】
手順:
【0372】
1.二官能性ビーズにビオチン化逆方向プライマーを事前装填する。
【0373】
2.油−界面活性剤混合物を50mLの管内で25℃で混合して調製する。
Span 80 1w/w%
ABIL EM 90 4w/w%
鉱油 95w/w%
【0374】
3.以下の修正を加えて標準のPCR(商標)反応混合物を調製する:
−pIVEXベクター(100ng/試料)由来の線形DNA構築物とのPCR反応をセットアップする。
−約3×10
5個のビーズを添加する(上記参照のこと)。
−T7プロモーター、RBS結合部位、ヘキサヒスチジン、TEVプロテアーゼ切断部位、scFv(または対照)配列、およびT7ターミネーターを含む、それぞれ、scFvおよび対照構築物由来のベクターDNA配列の1708および1015塩基対セグメントを増幅する順方向および逆方向プライマーを添加する。
【0375】
4. エマルジョンを以下の通りに作製する:
−950μLの油−界面活性剤混合物を微小遠心分離管に分注する。
−50μLのPCR反応混合物を管に添加する。
−管を数回軽く叩いて油中水を分散させる。
−最高設定(8)で管を15秒間ボルテックスする。
−このプロセスは、5〜100μmの範囲の液滴直径を有するエマルジョンを作製し、ビーズの大半は1液滴当たり1個である。
【0376】
5.PCR管およびPCR機に移し、以下のプロトコルを実行する:
−94℃で5分間
−サイクルを40回:
−94℃で30秒間
−57℃で30秒間
−72℃で4分間
−72℃で7分間
−4℃に冷却
【0377】
5. PCR産物をプールし、遠心分離する。油相の上部を廃棄する。
【0378】
6. 1−ブタノールおよび破壊緩衝液で交互に2回洗浄してビーズをエマルジョンから抽出する。
【0379】
7. ビーズをPCR緩衝液で洗浄する。
【0380】
8.遠心分離によってビーズを精製し、洗浄し、ヌクレアーゼを含まない水中に保存する。
【0381】
エマルジョン発現
エマルジョン発現のための様々なプロトコルが利用可能であり、例えば、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる、Tawfik and Griffiths(1998)Nature Biotechnology,16:652−656、Ghadessy et al.(2001)PNAS,98:4552−4557、またはGhadessy and Hollinger(2004)DOI:10.1093/protein/gzho25を参照されたい。例示の概略図が
図21に示される。
【0382】
装置:
−Vortex Genie 2(Fisher Scientific)
【0383】
試薬:
−RTS 100 HY無細胞発現キット(5 Prime)
−Span 80(Sigma)
−鉱油(Sigma)
−Abil EM90(Degussa)
−RNasin Plus(Promega)
−Haltプロテアーゼ阻害剤カクテル(EDTAを含まない)(Thermo)
−リファンピシン(Sigma)
−ニシン精子DNA
−ビーズに基づくエマルジョンPCR部分由来のDNA装填ビーズ
−破壊緩衝液(10mMトリス(pH7.5)、100mM NaCl、1%TritonX−100)
【0384】
手順:
【0385】
1.5 Prime RTS 100 HY抽出キットに、ビーズとともに、20U RNasin Plus、Haltプロテアーゼ阻害剤、2ug/mLリファンピシン、1ugニシン精子DNAを4℃で補充する。
【0386】
2.鉱油中に4v/v%Abil EM90、1v/v%Span 80を溶解して油相を調製する。
【0387】
3.エマルジョンを以下の通りに作製する:
−950μLの油−界面活性剤混合物を微小遠心分離管に分注する。
−50μLの補充した発現キットを管に添加する。
−管を数回軽く叩いて油中水を分散させる。
−最高設定(8)で管を15秒間ボルテックスする。
【0388】
4.室温で3時間インキュベートする。
【0389】
5.遠心分離管して油層の上部を除去する。
【0390】
6.破壊緩衝液で3回洗浄エマルジョンを破壊する。
【0391】
7.ビーズをPBSで2回洗浄する。
【0392】
8.PBS中にビーズを再懸濁する。
【0393】
TNFα無細胞発現
装置:
− Vortex Genie 2(Fisher Scientific)
− インキュベーター−振盪機(New Brunswick Scientific)
− −細胞培養インキュベーター(Fisher Scientific)
【0394】
試薬:
−RTS 100 HY無細胞発現キット(5 Prime)
−RNasin Plus(Promega)
−Haltプロテアーゼ阻害剤カクテル(EDTAを含まない)(Thermo)
−リファンピシン(Sigma)
−ニシン精子DNA
−実施例4のHis−スペーサー−TEV−TNFα構築物2
−ジチオスレイトール(DTT)
−HaloTEV
【0395】
手順:
【0396】
1.5 Prime RTS 100 HY抽出キットに、20U RNasin Plus、Haltプロテアーゼ阻害剤、2ug/mLリファンピシン、1ugニシン精子DNA、および1μgDNA構築物を4℃で補充する。
【0397】
4.振盪しながらインキュベーター内で37℃で2時間インキュベートする。
【0398】
5.Hisタグ結合ビーズ(約1500万個のビーズ)を添加し、室温で10分間インキュベートする。
【0399】
6.PBSで2回洗浄して非結合TNFαを洗い流す。
【0400】
7.インキュベーター内でビーズをDTTおよびHaloTEVとともに37℃で一晩インキュベートする。
【0401】
8.試料を遠心分離し、切断されたTNFαを含有する上澄みを次の項で用いる。
【0402】
抗体断片結合の試験
装置:
−カメラを備えた落射蛍光顕微鏡(Zeiss Axioskop)
【0403】
試薬および備品:
−洗浄緩衝液(PBS+20mMイミダゾール+0.05%Tween20)
−抗TNFα−FITC抗体(Abcam、ab65099)
−顕微鏡スライド(Fisher Scientific)
−カバースリップ(CapitolBrand M3453−2222、長さ22mm、幅22mm、厚さ#1)
−タンパク質およびDNA装填二官能性ビーズ(scFvおよび対照)
−切断されたTNFαの上澄み
【0404】
手順:
【0405】
1.発現したscFvまたは対照タンパク質を有する切断されたTNFαの上澄みで1時間処理した。
【0406】
2.ビーズを洗浄緩衝液で2回洗浄した。
【0407】
3.ビーズを1μg抗TNFα−FITC抗体を含有する洗浄緩衝液中で1時間インキュベートした。
【0408】
4.scFvおよび対照試料由来のビーズを顕微鏡スライド上に別々に分注し、カバースリップで覆った。
【0409】
5.カメラを備えた落射蛍光顕微鏡を用いて顕微鏡写真を捕捉した。
【0410】
6.検出された各ビーズの積分蛍光強度を決定するためにCellProfilerソフトウェアを用いて顕微鏡写真を分析した。
【0411】
図30は、一本鎖抗体断片試験および対照タンパク質試験の概略図を示す。これらの2個の試料由来のビーズの平均蛍光強度の棒線図。このデータは、ビーズ上で発現したscFvが予想したTNFαに結合することを示す。
【実施例8】
【0412】
マイクロタイタープレート内の単一のビーズの生物学的活性試験
ヌクレオチド配列調製
試薬:
−2個の異なるDNA構築物(一方の構築物は腫瘍壊死因子α(TNFα)を表し、他方の構築物は一本鎖抗体断片(対照として使用)を表し、これら両方の構築物を生体外発現のために最適化し、それぞれDNA 2.0(www.dna20.comのワールドワイドウェブを参照のこと)から入手し、pIVEXベクター(5 Prime,Inc.)にクローニングする)
【0413】
【化3】
【0414】
TNFα試験構築物は、Hisタグ、スペーサー(配列:GSGGSG(上の配列の太字下線部分))、TEV切断部位、スペーサー(配列:GSGGSG(上の配列の太字下線部分))、および可溶性形態のTNFαから成った。対照ScFV構築物は、Hisタグ、スペーサー、TEV切断部位、スペーサー、およびNFkBシグナル経路における応答を誘発することが予想されないScFVタンパク質から成った。
【0415】
ビーズに基づくエマルジョンPCR
ビーズに基づくエマルジョンPCRのプロトコルを、例えば、参照により本明細書に組み込まれるWilliams et al.2006において見出すことができる。プロセスの略図および結果として生じる産物が
図20に示される。
【0416】
装置:
−Vortex Genie 2(Fisher Scientific)
−マイクロ遠心分離機(Eppendorf)
−PCR機(Applied Biosystems)
【0417】
試薬:
−ストレプトアビジンを被覆したHisタグ結合能力を有する二官能性ビーズ
−DNA逆方向プライマー+5’二重ビオチンを有するリンカー(IDT)
−DNA逆方向プライマー(IDT)
−DNA順方向プライマー(IDT)
−ABIL EM 90、界面活性剤(Degussa)
−鉱油(Sigma−Aldrich)
−2x GoTaq Green Master Mix(Promega)
−Span(商標)80、界面活性剤(Fluka)
−1−ブタノール(Sigma)
−破壊緩衝液(10mMトリス(pH7.5)、100mM NaCl、1%TritonX−100)
−PCR緩衝液(20mMトリス(pH8.4)、50mM KCl)
−pIVEX 2.3d(DNA 2.0/5 Prime)にクローニングしたTNFα構築物
【0418】
手順:
【0419】
1.二官能性ビーズにビオチン化逆方向プライマーを事前装填する。
【0420】
2.油−界面活性剤混合物を50mLの管内で25℃で混合して調製する。
Span 80 1w/w%
ABIL EM 90 4w/w%
鉱油 95w/w%
【0421】
3.以下の修正を加えて標準のPCR(商標)反応混合物を調製する:
−TE緩衝液中のDNAを標準のストック濃度にする。
−pIVEXベクター(100ng/試料)中のDNA構築物とのPCR反応をセットアップする。
−約3×10
5個のビーズを添加する(上記参照のこと)。
−T7プロモーター、RBS結合部位、ヘキサヒスチジン、TEVプロテアーゼ切断部位、TNFα(または対照)配列、およびT7ターミネーターを含む、それぞれ、構築物1および2のベクターDNA配列の1408および1426塩基対セグメントを増幅する順方向および逆方向プライマーを添加する。
【0422】
4. エマルジョンを以下の通りに作製する:
−950μLの油−界面活性剤混合物を微小遠心分離管に分注する。
−50μLのPCR反応混合物を管に添加する。
−管を数回軽く叩いて油中水を分散させる。
−最高設定(8)で管を15秒間ボルテックスする。
−このプロセスは、5〜100μmの範囲の液滴直径を有するエマルジョンを作製し、ビーズの大半は1液滴当たり1個である。
【0423】
5.PCR管およびPCR機に移し、以下のプロトコルを実行する:
−94℃で5分間
−サイクルを40回:
−94℃で30秒間
−57℃で30秒間
−72℃で4分間
−72℃で7分間
−4℃に冷却
【0424】
5. PCR産物をプールし、遠心分離する。油相の上部を廃棄する。
【0425】
6. 1−ブタノールおよび破壊緩衝液で交互に2回洗浄してビーズをエマルジョンから抽出する。
【0426】
7. ビーズをPCR緩衝液で洗浄する。
【0427】
8.遠心分離によってビーズを精製し、洗浄し、ヌクレアーゼを含まない水中に保存する。
【0428】
エマルジョン発現
エマルジョン発現のための様々なプロトコルが利用可能であり、例えば、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる、Tawfik and Griffiths(1998)Nature Biotechnology,16:652−656、Ghadessy et al.(2001)PNAS,98:4552−4557、またはGhadessy and Hollinger(2004)DOI:10.1093/protein/gzho25を参照されたい。例示の概略図が
図21に示される。
【0429】
装置:
−Vortex Genie 2(Fisher Scientific)
【0430】
試薬:
−RTS 100 HY無細胞発現キット(5 Prime)
−Span 80(Sigma)
−鉱油(Sigma)
−Abil EM90(Degussa)
−RNasin Plus(Promega)
−Haltプロテアーゼ阻害剤カクテル(EDTAを含まない)(Thermo)
−リファンピシン(Sigma)
−ニシン精子DNA
−ビーズに基づくエマルジョンPCR由来のDNA装填ビーズ
−破壊緩衝液(10mMトリス(pH7.5)、100mM NaCl、1%TritonX−100)
【0431】
手順:
【0432】
1.5 Prime RTS 100 HY抽出キットに、ビーズとともに、20U RNasin Plus、Haltプロテアーゼ阻害剤、2ug/mLリファンピシン、1ugニシン精子DNAを4℃で補充する。
【0433】
2.鉱油中に4v/v%Abil EM90、1v/v%Span 80を溶解して油相を調製する。
【0434】
3.エマルジョンを以下の通りに作製する:
−950μLの油−界面活性剤混合物を微小遠心分離管に分注する。
−50μLの補充した発現キットを管に添加する。
−管を数回軽く叩いて油中水を分散させる。
−最高設定(8)で管を15秒間ボルテックスする。
【0435】
4.室温で3時間インキュベートする。
【0436】
5.管を遠心分離して油層の上部を除去する。
【0437】
6.破壊緩衝液で3回洗浄してエマルジョンを破壊する。
【0438】
7.ビーズをPBSで2回洗浄する。
【0439】
8.PBS中にビーズを再懸濁する。
【0440】
生物活性試験
装置:
−細胞培養インキュベーター(Fisher Scientific)
−マイクロプレートリーダー(Tecan Safire)
−黒色の底が透明な1536−ウェルマイクロタイタープレート(Corning)
【0441】
試薬:
−NF−κ−BのGFPレポーター構築物でトランスフェクトしたジャーカット細胞(System Biosciences,Inc.)
−RPMI1640+10%ウシ胎児血清+ペニシリン/ストレプトマイシン(Life Tech)
−HaloTEVプロテアーゼ(Promega)
−リン酸緩衝生理食塩水(PBS)(Sigma)
−0.1Mジチオスレイトール(Sigma)
−TNFα(50ug/mL)(Millipore)
−ビーズ上のTNFα
−ビーズ上の対照ScFV
−エマルジョン発現由来のタンパク質およびDNA装填ビーズ
【0442】
手順:
1)補充RPMI1640増殖培地を用いてNF−κB−ジャーカット細胞を4×10
6細胞/mLに希釈する。
2)以下のレイアウトの1536ウェルを調製する:
【表3】
M=培地、A=TNFビーズ、B=対照ビーズ
3)7.μLの補充RMPI1640培地を上のプレートレイアウトにおける「M」でラベル付けされたすべてのウェルに添加する。
4)以下の細胞マスター混合物を作製する:
NFkB−ジャーカット細胞 40uL
0.1M DTT 1uL
HaloTEV 10uL
補充RMPI1640 49uL
5)試験および対照ビーズを添加するときに細胞の最終的な数が1ウェル当たり4,800個になるように、3μLの細胞マスター混合物を「A」および「B」でラベル付けされたウェルに添加する。
6)TNFビーズおよび対照ビーズを補充RPMI1640中で希釈して、2μL当たり1〜2個のビーズにする。
7)2μLのTNFビーズを「A」でラベル付けされたプレートのウェルに添加し、2μLの対照ビーズを「B」でラベル付けされたプレートのウェルに添加する。
8)プレートを37Cおよび5%CO2で18時間インキュベートする。
9)Tecan Safireプレートリーダーを用いて各ウェルのGFP蛍光を測定する。
【0443】
単一のビーズをマイクロタイタープレート中の細胞レポーターを誘導するタンパク質の活性についてスクリーニングするために用いることができるかを決定する実験を行った。この実験を示す概略図が
図31Aに示される。1536ウェルプレートを用いて、アッセイを行った量を減少させた。試験TNFビーズと同一のプロトコルを用いてscFv抗体断片から成る対照ビーズを生成した。対照ビーズを用いて、アッセイのベースラインシグナルを確立した。試験ビーズウェルは、1ウェル当たり0〜2個のビーズの範囲であった。1ウェル当たり0個のビーズを有するウェルは、対照ビーズで測定されたGFPシグナルと同程度のGFPシグナルを有した(
図31B)。1ウェル当たり1個および2個のビーズを有する試験ウェルは、基準を超えたシグナルの増加をもたらすことができた。
* * *
【0444】
本明細書に開示され、かつ特許請求される方法はすべて、本開示を踏まえて、必要以上に実験することなく実行および遂行され得る。本発明の組成物および方法が好ましい実施形態の観点から説明されているが、本発明の概念、精神、および範囲から逸脱することなく、変形例を本明細書に記載の方法および本明細書に記載の方法のステップまたはステップの順序に適用することができることは当業者には明らかである。より具体的には、同一または同様の結果が得られるのであれば、本明細書に記載の作用物質の代わりに化学的にも生理学的にも関連したある特定の作用物質を用いてもよいことは明らかである。当業者に明らかであるそのようなすべての同様の代替物および修正点は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神、範囲、および概念の範囲内であると見なされる。
【0445】
参考文献
以下の参考文献は、それらが本明細書に記載されるものの補足となる例示の手順または他の詳細を提供する限り、参照により本明細書に明確に組み込まれる。
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