(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記加熱手段は、通電を開始されて発熱するものであって、前記脱臭エレメントの所定部分を、前記通電の開始時点から60分以内に120度以上の温度に加熱できる能力を具備することを特徴とする請求項3に記載の空気清浄機。
前記通風路は、前記吸込口から前記送風手段に至るまでが横向きの風路になっており、その横向きの風路の中心を通る水平線の位置が、床面上で、30cmから70cmの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の空気清浄機。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施の形態1)
以下、図面を参照して本発明の実施の形態1について説明する。
図1〜
図6を参照すると、本実施の形態に係る空気清浄機Aは、外郭を成す筐体である本体ケースCと、この本体ケースCに設けられる脱臭部60などの各種機能部品により構成されている。
この本体ケースCは、樹脂により形成された箱形状を成しており、前パネル10と前ケース20と後ケース40などの複数の部品により構成されている。
【0013】
前ケース20は、正面視形状が長方形で、所定の奥行き幅がある枠状のフレーム21が基体となり構成されている。このフレーム21の前面には、長方形の前開口22が形成されており、後面の開口は仕切板23により覆われている。
そして、この仕切板23には、後方に向いて開口する円形の後開口24が形成されている。つまり、前ケース20は、前開口22と後開口24とが連通した状態となっている。 尚、仕切板23の後開口24は、後述する送風ファン44のファン開口44dの周囲にベルマウスを形成している。
【0014】
次に、前ケース20のフレーム21の下辺は、左右の2辺より前方に全体的に突出することで、下突出部25が形成されている。
また、フレーム21の上辺は、左右の2辺より前方に突出することで、上突出部28が形成されており、上辺の上部の前側には、複数の操作ボタンや表示部を形成するLEDなどからなる操作部26が設けられている。
そして、この操作部26に対応して、フレーム21の上辺の上部内側には、これらの操作ボタンやLEDが実装されている操作基板(図示せず)が設けられている。尚、この操作基板は、後述する制御手段47に電気的に接続されている。
【0015】
次に、前パネル10は、正面視形状が長方形で、前ケース20の前開口22を正面から覆うことが可能な形状に構成されている。
また、前パネル10の前面に、左右方向に延びるスリットを形成することにより、前パネル10の前後方向に連通する空気吸込口11(以下、吸込口11)が形成されている。つまり、前パネル10は、前後方向に貫いて空気が流れることが可能なように、通気性が確保されている。
【0016】
次に、後ケース40は、正面視形状が長方形で、前面に前開口41が開口し、上面に空気吹出口42(以下、吹出口42)となる開口が形成され、後面43が閉鎖された箱型形状を成している。
そして、後面43には、室内空気を空気清浄機内部に取り込むための送風手段である送風ファン44と、この送風ファン44から流下する空気を吹出口42へと導く風路を形成するスワロール形状の仕切45とが設けられている。
この送風手段である送風ファン44は、制御手段47に接続され、制御手段47により回転・停止・回転数が制御されている。この様に送風ファン44は、制御手段47に制御されることで、風量や風速などの送風能力が制御されている。
【0017】
また、仕切板45の下側で、後ケース40と仕切板45とで形成された空間には、空気清浄機Aの各部を所定のプログラムに基づき制御する制御手段47が設けられている。
更に、後ケース40の内側の上部であって、吹出口42の近傍には、吹出口42から室内に向けて吹き出す空気の風向を変えたり、吹出口42を閉じたりするルーバー46が設けられている。
尚、吹出口42の開口部分には、ルーバー46を直接触れられないように、格子が取付けられている。
【0018】
次に、送風ファン44は、回転方向に対して、所定の幅を有する多数の羽が取付けられた多翼の羽を用いた多翼式ファン(シロッコファン)を用いている。つまり、送風ファン44は、回転軸から所定の半径の位置に、多数の羽44aを有している。
そして、送風ファン44は、後ケース40の後面43に取付けられている。送風ファン44が取付けられた状態において、送風ファン44の羽44aを回転駆動させるモーター44bは、その回転軸44cの向きが、前方を向き、水平方向に伸びた状態となっている。
【0019】
また、周囲を羽44aに囲まれたファン開口44dは、前方に向けて開口している。
このように送風ファン44を後ケース40に取付けることで、送風ファン44は、回転軸44cの軸方向の前方を向くファン開口44dから空気を吸込み、送風ファン44の上方を含む、送風ファン44の径方向に空気を吐き出す。
【0020】
次に、仕切板45は、送風ファン44の周囲を囲むように、後ケース40の後面43から略垂直に立設しており、一端を吹出口42の右端42a、他端を吹出口42の左端42bへと接続している。
つまり仕切板45は、送風ファン44の周囲を囲み、端部が空気吹出口42と接続するように袋状となるように後ケース40に配置されている。
【0021】
ルーバー46は、複数の板状の風向板46aと、この複数の風向板46aをそれぞれ繋いで風向板46aを所定の角度に動かすリンク機構46cと、このリンク機構46cを動かすモーターなどの駆動部(図示せず)から構成されている。
そして、ルーバー46は、複数の板状の風向板46aが、空気吹出口42の開口に所定の間隔を空けて、それぞれ平行となるように並んで配置されており、それぞれの風向板46aは、この風向板46aの両端に形成された軸46dで、吹出口42に軸支されている。
【0022】
尚、リンク機構46cを動かす駆動部は、後述する制御手段47に接続されており、空気清浄機Aの状態に応じて、所定のプログラムで駆動されるものであり、これにより、ルーバー46の向きが変更される。
【0023】
次に、
図7〜
図8を参照すると、脱臭部60は、空気清浄機Aの内部に取り込んだ室内空気を通過させることにより、空気内部から臭気を取り除く部位であり、各種部品が設けられる基体となる枠体61と、脱臭エレメント62と、この脱臭エレメント62を局部的に加熱する加熱ユニット63と、脱臭エレメント62を動かして加熱ユニット63と脱臭エレメントの対向する部位の相対的位置関係を変更する位置変更手段である駆動手段64と、を有する。
【0024】
まず、枠体61は、正面視形状が長方形で、所定の奥行き幅がある枠状のフレームである。そして、枠体61の外形は、前ケース20の前開口22の内部に嵌め込むことができる大きさである。
また、枠体61の内部には、枠体61の開口を遮るように(開口を前後に仕切るように)中仕切板65が設けられている。
【0025】
そして、中仕切板65には、枠体61の前後に連通する円形状の開口65aが形成されている。この開口65aの中心には、中央支持体65bが位置し、この中央支持体65bから放射状に開口65aの開口縁と繋がる梁部65cが複数形成されている。また、中央支持体65bには、後方に突出する軸65jが設けられている。
また、開口65aの前側には、開口65a内に空気が流入可能な枠65hが設けられている。この枠65hは、後述する脱臭エレメント62に使用者が直接触れることを防止するためのものである。
【0026】
更に、中仕切板65の裏面(後面)には、開口65aを囲むように後方に向けて立設したリング状のガイド部65eが形成されている。
このガイド部65eの縁には、開口65aの内方に突出するように、後述する脱臭エレメント62をこのガイド部65eに取付けた際に、脱臭エレメント62を受ける受部65fが設けられている。
【0027】
尚、ガイド部65eは、円形状の開口65aの円形の開口縁の外側に位置している。つまり、開口65aの縁とガイド部65eとの間には、隙間rが形成される。また、ガイド部65eが形成するリングの直径は、後述する各部が設けられた脱臭エレメント62を内部に保持可能な程度の大きさである。
【0028】
そして、中仕切板65の開口65aの中央支持体65bの下方の領域であって、中央支持体65bを中心に、左右に等しく広がる所定の開角により形成される扇形の領域は、扇形状の蓋体65dにより覆われている。
尚、この蓋体65dはステンレスにより形成されており、中仕切板65の後面側(裏面側)から、梁部65cにネジなどにより固定される。
【0029】
また、蓋体65dは、後述する加熱ユニット63と対向して位置するように配置され、加熱ユニット63のヒーターユニット63aと対向した状態において、ヒーターユニット63aを覆うことが可能な大きさとなっている。つまり、加熱ユニット63と蓋体65dとが対向することで、後述する脱臭エレメント62の加熱空間を形成している。
尚、蓋体65dには、熱放射率を向上させるための黒色の耐熱塗装が施されている。
【0030】
次に、脱臭エレメント62は、平面形状が円板形状であり、セラミック又はアルミニウムにより形成され、蜂の巣の開口のような複数の開口が形成されたハニカムコア形状の基材に、バインダーで触媒が塗布又は含浸されたものである。
この触媒は、マンガン系(例えば、神鋼アクテック株式会社製のマンガン系脱臭用触媒)や白金系を用いたものなど、臭気(特に、アンモニアやメチルメルカプタンや硫化水素の臭気)を吸着する性質を有する触媒を用いる。
このような触媒は、臭気成分を吸着すことにより、触媒の作用による酸化分解が生じ、臭気成分を臭いがしない成分へと分解する。特にこのような触媒は、加熱することにより臭気成分の分解スピードが早くなる特性がある。
【0031】
また、脱臭エレメント62の中心部には開口部62cが形成され、前面には、脱臭エレメント62を保持するステンレスにより形成されたエレメントフレーム62aが設けられている。
ここで、上記のように様に脱臭エレメント62は、ハニカムコアにより形成され、前面に設けられたエレメントフレーム62aには所定の開口が形成されているので、脱臭エレメント62の内部を前後方向に貫いて空気が流れることができる。
【0032】
更に、脱臭エレメント62の周縁には、脱臭エレメント62を囲むように、ギア部62bが設けられている。
このギア部62bを含む脱臭エレメント62の直径は、中仕切板65に形成された円形状の開口65aの直径より大きくなるように構成されている。
【0033】
次に、
図9〜
図10を参照すると、加熱ユニット63は、脱臭エレメント62を加熱する加熱手段であるヒーターユニット63aと、このヒーターユニット63aを内部に収納する所定の内部空間を有するケース63bと、から構成されている。
このヒーターユニット63aは、制御手段47に電気的に接続されており、空気清浄機Aの状態に応じて通電制御されるものである。
【0034】
また、ヒーターユニット63aは、板状の発熱部63fと、この発熱部63fを熱するヒーター部63gとから構成されている。更に、発熱部63fの平面形状は扇形状を成しており、表面にはヒーター部63gから受けた熱の放射率を向上させるための耐熱塗装(黒色)が施されている。
つまり、ヒーターユニット63aは、ヒーター部63gで生じた熱を板状の発熱部63fが受け、板面全体から熱を放射することにより、対向する脱臭エレメント62をムラが少なく加熱する。
【0035】
そして、ヒーターユニット63aは所定の時間通電された場合、ヒーターユニット63aから所定の隙間を介在して配置された脱臭エレメント62に対向した部位を、脱臭エレメント62に吸着した臭気を除去可能な所定の温度まで上昇させることができる加熱能力に設定してある。このように、脱臭エレメント62を加熱することで、臭気を捕集する能力が回復する。
【0036】
尚、臭気の捕集能力を回復させる為に行う加熱は、脱臭エレメント62の被加熱部位の温度が、脱臭エレメント62が捕集した臭気成分を分解することが可能な約120度以上になるように行う。また、この加熱温度には、約60分以内に達するように加熱ユニット63が構成されている。
このように、臭気の捕集能力回復の為の加熱工程を、60分以内に行うことができるので、使用者は空気清浄機Aを用いた作業の合間などに、脱臭エレメント62の臭気の捕集能力の回復工程を行うことができる。
【0037】
また、ヒーター部63gには、チタン酸バリウムを主成分とする半導体セラミックであるPTCヒーターを用いている。
このPTCヒーターは、自己温度制御性があり、外部からの温度制御を必要としないことから、サーモスタットのように断続的制御を行わないので、火花やノイズが発生せず、安定して使用することができる。
【0038】
次に、ケース63bには、ヒーターユニット63aを内部に保持する凹部63cと、この凹部63cの開口周縁から広がるフランジ部63dとが形成されている。
凹部63cは、ヒーターユニット63aの平面形状と一致した扇形状を成しており、内部にヒーターユニット63aを凹部63cの開口に臨ませた状態でヒーターユニット63aが設けられている。フランジ部63dには、加熱ユニット63を所定の位置に取り付ける際に螺子を貫通させるための螺子穴63eが形成されている。
以上のように構成される加熱ユニット63は、平面形状がヒーターユニット63aの発熱部63fの形状に合わせて、扇形状に構成されており、凹部63cの開口も扇形状に構成されている。
【0039】
次に、
図7を参照すると、駆動手段64は、脱臭エレメント62を動かして加熱ユニット63と脱臭エレメント62の対向する部位の相対的位置関係を変更する、つまり、加熱ユニット63と対向する脱臭エレメント62の部位を変更する位置変更手段である。
駆動手段64は、モーター64aと、このモーター64aを保持するブラケット64bからなる。モーター64aの回転軸には、ギアが取付けられている。また、モーター64aは、制御手段47に電気的に接続されており、空気清浄機Aの状態に応じて通電制御されるものである。
【0040】
図4及び
図7〜
図8を参照すると、以上の脱臭エレメント62と加熱ユニット63と駆動手段64は、次のように枠体61に取付けられることにより、脱臭部60を構成する。尚、
図7とは、各部をわかりやすく表示するために、枠65hを外した状態で示してある。
まず、枠体61の裏面より、中央支持体65bに設けられた軸65jに、脱臭エレメント62の開口部62cが軸受となって回転自在に嵌り込む。
【0041】
これにより、脱臭エレメント62は、枠体61の裏面(後面)に形成されているガイド部65eの内部に、脱臭エレメント62が開口65aに臨んだ状態(対面した状態)で、枠体61に対して回転自在に配置される。
そして、ガイド部65eの縁には、開口65aの内方に突出するようにして、受部65fが形成されている。受部65fは、脱臭エレメント62を受ける受部であり、脱臭エレメント62の回転方向の動きを大きく阻害しない程度に、脱臭エレメント62を、後方(裏面)よりガイド部65eに保持する。
【0042】
このように、脱臭エレメント62が枠体61に取付けられることで、脱臭エレメント62は、中仕切板65の開口65aに臨んだ状態で、中仕切板65の裏面(隙間r)と、ガイド部65eと、受部65fとに囲まれた空間の内部に回転自在に保持される。
尚、中央支持体65bに設けた軸65jと脱臭エレメント62の開口部62cを、上記のように軸と軸受の関係となるように構成しなくても、脱臭エレメント62をガイド部65eにより保持する構造でもよい。
【0043】
次に、上記のように枠体61に脱臭エレメント62が配置された状態で、脱臭エレメント62の一部を覆うように、枠体61に加熱ユニット63が次のように取付けられる。
まず、加熱ユニット63は、脱臭エレメント62の中心から下側の部位を跨いで脱臭エレメント62の回転を妨げないように配置される。
この状態において、加熱ユニット63のヒーターユニット63aが脱臭エレメント62に直接近接して対向するように、ヒーターユニット63aが設けられた凹部63cの開口が前方を向いている。
【0044】
そして、加熱ユニット63は、脱臭エレメント62の開口部62cに位置する中央支持体65bと、脱臭エレメント62の外側に位置する中仕切板65に形成された取付け位置に螺子止めされる。
尚、この状態において、加熱ユニット63と蓋体65dは、脱臭エレメント62を介して向かい合う位置関係となっている。
【0045】
以上のように構成することにより、加熱ユニット63は、脱臭エレメント62の回転方向の動きを阻害することなく、枠体61に固定される。
また、加熱ユニット63と蓋体65dとが向かい合って枠体61に配置されるので、加熱ユニット63と蓋体65dの間に脱臭エレメント62を介在させた状態で、ヒーターユニット63aの熱を留める空間が形成される。更に、発熱部63fは、熱の放射率を向上させる塗装が施されているので、ヒーター63gから受けた熱を効率よく放射する。
これにより、加熱ユニット63は、対向する脱臭エレメント62の部位を局所的に効率よく加熱することができるように構成されている。
【0046】
次に、駆動手段64は、モーター64aがブラケットに64bに保持された状態で、ブラケット64bが中仕切板65に固定される。この時、モーター64aの回転軸に取付けられたギアは、脱臭エレメント62に設けられたギア部62bと歯合している。
また、駆動手段64の配置位置は、中仕切板65の裏面であって、開口65aと中仕切板65の角65gとに挟まれた部位である。更に、この駆動手段64を設ける部位は、4つある角65gの内、加熱ユニット63から離れた上方に位置する角65gと開口65aにより挟まれた部位であるとよい。
【0047】
このように駆動手段64を設けることにより、制御手段47による通電制御でモーター64aが駆動されることで、枠体61に対して脱臭エレメント62を回転させることが可能となり、脱臭エレメント62の加熱ユニット63と対向する部位を変更可能となる。
つまり、加熱ユニット63と脱臭エレメント62の相対的位置関係を変更可能とすることができる。
また、開口65aと角65gとに挟まれた位置に駆動手段64を設けたので、長方形の中仕切板65に形成された開口65aの周囲のデットスペースを有効に利用できる。更に、加熱ユニット63から離れた位置に駆動手段64を設けたので、加熱ユニット63から生じる熱の影響を駆動手段64が受けにくい構造とすることができる。
【0048】
次に、以上のように各部が構成された前パネル10と前ケース20と後ケース40と脱臭部60とは、次のように他の機能部品と共に組み立てられることで、空気清浄機Aを構成する。
まず、後ケース40は開口41を前方に向けて、前ケース20の後面に取付けられる。この時、後ケース40に設けられた送風ファン44の開口44dは、前ケース20に設けられた仕切板23に形成された後開口24と、対向した位置関係となっている。また、後開口24の開口中心は、送風ファン44の回転軸の軸心と、前後に一致している。
【0049】
次に、脱臭部60は、枠体61が前ケース20の前開口22から前ケース20の内部に挿入されて、枠体61の外周が前ケース20の内部に保持されることにより、前ケース20に取付けられる。
このように脱臭部60が前ケース20に取付けられた状態において、脱臭部60の後面側(加熱ユニット63が取付けられている位置側)が、前ケース20の後開口24を向くように配置され、脱臭エレメント62と後開口24の間に、加熱ユニット63が位置することになる。
【0050】
ここで、脱臭エレメント62と、送風ファン44の開口44dの周囲にベルマウスを形成する前ケース20の仕切板23及び後開口24とは、脱臭エレメント62から後開口24へと流れ空気の流れを妨げないために、所定の間隔Dを空けて対向している。
加熱ユニット63は、このようにして形成された間隔Dの部位に位置している。
【0051】
次に、前ケース20に取付けられた脱臭部60の枠体61の内方には、枠体61の開口と同程度の大きさであるHEPAフィルター12が設けられ、このHEPAフィルター12の前面を覆うようにプレフィルター13が設けられる。
そして、プレフィルター13の前面側に、前ケース20の上突出部28と下突出部25とに挟まれて、前パネル10が設けられることで、空気清浄機Aが構成される。
【0052】
尚、HEPAフィルター12は、空気中に含まれる花粉、ダニの糞、カビの胞子、ハウスダストなどの微細な塵埃を取り除くためのフィルターである。
また、プレフィルター13は、HEPAフィルターで空気をろ過する前に、あらかじめ空気に含まれる大きな塵埃を取っておく目の粗いフィルターであり、HEPAフィルターの効果を長期間保つ為のものである。
【0053】
次に、
図4を参照すると、以上のように構成された空気清浄機Aの内部には、吸込口11から吹出口42にかけて、室内空気を取り込み、取り込んだ空気の清浄および脱臭を行い、室内へ放出する通風路Rが形成される。この風路Rについて、空気清浄機Aの空気清浄運転状態と、内部に取り込まれた空気の流れに沿って説明する。
まず、使用者が操作部26を操作することで、制御手段47に対して入力を行うことにより、空気清浄機Aの運転を行う所定のプログラムが実行される。
【0054】
上記の運転開始後、送風ファン44が駆動し、空気吸込口11から空気清浄機Aの内部に室内空気を取り込む吸込み力が生じ、室内空気が吸込口11へ流入する。
吸込口11から取り込まれた空気は、空気清浄機Aの内部を後方へと流れ、プレフィルター13で大きな塵埃を取り除いた後、HEPAフィルター12で微細な塵埃を取り除く。
【0055】
次に、塵埃が取り除かれた空気は、更に後方へと流れて脱臭部60へ到達し、開口65aを通過して、この開口65aに臨む位置に配置された脱臭エレメント62に至る。この脱臭エレメント62は、通風路Rを遮るように設けられ、表面から裏面に至るハニカム形状の多数の開口が形成されており、表面に臭気を吸着する触媒が塗布されている。
【0056】
従って、臭気を含んだ空気が、脱臭エレメント62の表側から裏側へと通過する際に、ハニカム形状の開口を通過し、脱臭エレメント62に塗布された触媒が、空気に含まれる臭気を吸着することにより、空気から臭気が取り除かれる。
尚、「空気から臭気が取り除かれる」とは、空気から完全に臭気が無くなる状態のみならず、空気の脱臭エレメント62を通過する前の状態から臭気が減少した状態も含む。
ここで、上記のように空気清浄機Aを運転し続けることにより、脱臭エレメント62には、吸着した臭気が蓄積されていくことになり、吸着した臭気が増えるに従って、脱臭エレメント62の脱臭能力が低下していく。
【0057】
次に、塵埃と臭気が取り除かれた空気は、脱臭エレメント62から更に後方に流れ、前ケース20の仕切板23に開口する後開口24を通過して、この後開口24に対向して配置されている送風ファン44へと流れる。
送風ファン44へと流れる空気は、送風ファン44の軸方向前方から周囲を羽44aに囲まれたファン開口44dの内部へと流下し、送風ファン44の上方を含む送風ファン44の径方向へと送風ファン44の外部に吐き出される。
【0058】
送風ファン44から吐き出された空気は、後ケース40に仕切板45により導かれ、ルーバー46を通過する際に風向が整えられ、吹出口42から空気清浄機Aの上方向に向けて、空気清浄機Aの内部から清浄空気として吹き出す。
このように通風路Rは、吸込口11から水平方向に空気清浄機本体の後部へと繋がり、この後部で上方へと向きを変えて吹出口42へと至る風路である。
【0059】
つまり、通風路Rは、空気の流れを基準に見ると、脱臭エレメント62の上流側に、プレフィルター13やHEPAフィルター12などの塵埃濾過フィルターが配置され、脱臭エレメント62の下流側で、空気の流れの向きを上方に屈曲して変える位置である屈曲部が形成されている。この屈曲部に送風ファン44であるシロッコファンが位置している。 このシロッコファンは、ファンの回転軸方向から空気を取り込み、ファンの径方向へと取り込んだ空気を吐き出すので、室内空気を本体ケースCの前面から後方への直線的な流れを作り出すと共に、吹出口42に向けて効率よく風の向きを変えることができる。
【0060】
尚、脱臭エレメント62,プレフィルター13,HEPAフィルター12,送風ファン44の開口44dの前面は、通風路Rを流れる空気の向きに対して、垂直な向きに配置されている。
これにより、脱臭エレメントまで空気の流れがまっすぐで、各フィルター面に垂直に空気が当たるので空気の流れがよい構成となっている。
【0061】
ここで、開口65aの位置は、本体ケースCの正面の上下方向の中央に位置し、本体ケースCの正面視における投影面積Xと、開口65aの正面視における面積Yとの関係が、
Y≧0.6X
となるように構成されている。
【0062】
次に、以上のように、空気清浄運転(脱臭運転)したことにより、多くの臭気を吸着して脱臭性能が低下した脱臭エレメント62の脱臭性能を回復させるための動作(再生動作)について説明する。
制御手段47は、所定のタイミング、例えば、運転開始又は前回行った脱臭エレメント62の脱臭性能回復動作からの累積運転時間が所定の時間を超えた場合、次のように脱臭性能回復動作を行う。
【0063】
送風ファン44が停止している状態、つまり、空気清浄機Aが空気清浄運転を終えた後、又は、空気清浄運転を行っていない状態において、制御手段47はヒーターユニット63aに対して通電を行うことで、ヒーターユニット63aを発熱させ、ヒーターユニット63aと対向している脱臭エレメント62の部位を所定の温度まで上昇させて、所定の時間加熱する。
この脱臭エレメント62の加熱温度及び加熱時間は、脱臭エレメント62に吸着した臭気を除去させるのに十分な温度と時間である。
【0064】
尚、脱臭エレメント62の加熱される部位は、前面側が熱の放射率を向上させる塗装が施されている蓋体63dに覆われ、後面側が加熱ユニット63(ヒーターユニット63a)に覆われる。従って、ヒーターユニット63aから生ずる熱と、蓋体63dから放射される熱により、効率よく脱臭エレメント62を加熱することができる。
また、脱臭エレメント62は、ヒーターユニット63aと蓋体63dとに挟まれて位置しているので、これら部材から放射される熱が、脱臭エレメント62の近傍に留まりやすく、より効率よく脱臭エレメント62を加熱することができる。
【0065】
次に、上記のように、加熱ユニット63と対向する部位の脱臭性能回復動作が終了すると、制御手段47は脱臭エレメント62を回動させる駆動手段64を動作させて、脱臭エレメント62を所定の角度だけ回転させる。
この動作により、加熱ユニット63と対向していた脱臭エレメント62の加熱処理が終了した部位が、加熱ユニット63に対して回転方向にずれる。
これにより、加熱処理が完了している脱臭エレメント62の部位が、加熱ユニット63と蓋体63dに挟まれた位置から外れると共に、新たに臭気を多く吸着した脱臭エレメント62の部位が、加熱ユニット63と蓋体63dとに挟まれた部位に位置することとなる。
【0066】
尚、脱臭エレメント62を回転させる角度は、扇形状であるヒーターユニット63aの開角と同じか、又は、この開角より小さい角度がよい。このように回転角度を設定することで、脱臭エレメント62が1周回転する内に、脱臭エレメント62のいずれの部位も、必ずヒーターユニット63aの前に留まり加熱処理されることになる。
また、脱臭エレメント62を動かすタイミングは、加熱処理の後、直ぐに行ってもよく、また、次に行う空気清浄運転の直前に行ってもよい。
【0067】
以上のように空気清浄機Aの各部を構成することにより、次のような効果を得ることができる。
本実施の形態のように、脱臭エレメント62と、この脱臭エレメント62とを局部的に加熱する加熱ユニット63との相対的位置関係を変更可能に構成することにより、加熱ユニット63を小型化することができる。
この加熱ユニット63の小型化のメリットは、例えば、脱臭エレメント62の全域を確実に加熱処理できるように、脱臭エレメント62の全域に対面するような、大型のヒーターを配置する必要がなく、構造の簡略化やコスト低減を可能とする。
【0068】
また、加熱ユニット63と脱臭エレメント62との相対的位置関係を変更可能であるので、脱臭エレメント62の全域を脱臭するにあたり、脱臭エレメント62と加熱ユニット63の対向する部位を変更すればよく、加熱ユニット63は脱臭エレメント62の全域を覆う必要がない。
つまり、常に脱臭エレメント62が加熱ユニット63と対向する部位は、限られた部分で済むことから、加熱ユニット63による、脱臭エレメント62を流れる空気の流れの妨げが、最小限ですむ。これにより、脱臭エレメント62に対して、より多くの空気を流すことが可能であり、より多くの臭気を一度に空気中から取り除くことができる。
【0069】
更に、脱臭エレメント62と加熱ユニット63との相対的位置関係を変更できるので、脱臭エレメント62の各部位に対して、確実に加熱ユニット63を対向させて加熱することが可能である。
これにより、脱臭エレメント62の各部位間の加熱ムラを少なくでき、脱臭エレメント62の脱臭能力を効率よく回復することが可能である。
【0070】
次に、空気清浄機Aの吸込口11は本体の前面に形成され、吹出口42は本体の側面、天面、又は背面のいずれかに形成されている。
このように構成することにより、臭気の発生源に対して、大きく開口する吸込口11を対向させやすいので、より速く臭気を吸込み、室内空気から臭気を除去することができる。
また、吹出口42が本体の側面、天面、又は背面のいずれかに形成されるので、臭気の発生源に清浄された空気が流れ難く、臭気の拡散を防止することができる。
【0071】
次に、脱臭エレメント62は、本体ケースCに回動可能に支持され、加熱ユニット63は、脱臭エレメント62の表面に近接して本体ケースCに固定されている。
これにより、ヒーターユニット63a発熱する部位である加熱ユニット63が本体ケースCの内部を動かないことから、発熱させるための電源を供給する配線の取り回しや高温の部位が本体ケースCの内部で位置を変えることによる本体ケースC内部の広範囲にわたる熱対策を考慮する必要がない。
また、脱臭エレメント62が回動することで、加熱ユニット63と対向する面を変えるので、1つの方向にだけ脱臭エレメント62を動かすだけで、ムラ無く脱臭エレメント62の全面を加熱ユニット63に対向させることができる。
【0072】
次に、脱臭エレメント62の形状は円板形状であるので、脱臭エレメント62の回転軸方向から見た面積に対して、脱臭エレメント62が回転する回転領域を最小にすることができる。
つまり、本体ケースCの内部の脱臭エレメント62の配置領域を小さくすることができる。
【0073】
また、脱臭エレメント62は回転することで加熱ユニット63と対向する面を変えることから、脱臭エレメント62の形状が円板形状であれば、加熱ユニット63のヒーターユニット63aは、脱臭エレメント62の直径方向の大きさが、少なくとも脱臭エレメント62の回転半径と同じか、これより小さいもので、脱臭エレメント62の多くの領域を加熱することが可能である。
【0074】
更に、脱臭エレメント62の形状が円板形状であるので、上記の効果を実現する構成を有しながらも、円形状は矩形の開口である本体ケースCの開口面積に対して、最も大きな領域を形成することが可能であることから、脱臭を可能とする領域をより大きく形成することができる。
これにより、より多くの空気が脱臭エレメント62を通って流れることができるので、脱臭力を維持しながら風量を大きくすることができる。
【0075】
次に、脱臭エレメント62には、アンモニアの分解機能がある触媒を表面に塗布又は含浸させている。これにより、ペット臭や病院や介護施設や介護現場などにおける介護臭をすばやく脱臭することが可能な空気清浄機を構成することが可能となる。
特に本実施の形態であれば、短時間の間に、より多くの空気から臭気を取り除くことができるので、病院や介護施設など多くの人が利用する場所における介護などの臭いのトラブルを迅速に解決することが可能である。
【0076】
次に、送風手段である送風ファン44は通風路内部に位置し、脱臭エレメント62は、通風路Rの中で送風ファン44の上流側に位置し、送風ファン44と脱臭エレメント62の間に、加熱ユニット63が位置している。
このように構成されているので、脱臭エレメント62と送風ファン44の開口44dの周囲で生じる圧損(空気の流れの損失)を低減するために設けられたスペースを、加熱ユニット63の配置位置として用いることができる。
【0077】
次に、加熱ユニット63は、脱臭エレメント62に対向する側が開口し、所定の内部空間を有するケース63bと、このケース63b内部空間に位置し開口を通じて熱を放射する電気ヒーターユニット63aとを備え、ヒーターユニット63aは、所定時間通電された場合、脱臭エレメント62の対向した部分を所定の時間(例えば、30分)以内に所定温度(例えば、150度)まで上昇させることができる加熱能力に設定してある。これにより、脱臭エレメント62に吸着した臭気を除去することが可能である。
また、上記のケース63bの形状は扇形となっている。これにより、脱臭エレメント62を覆う面積を必要最小限とすることができる。尚、扇形の開角は、脱臭エレメント62を回転させる際の1回の回転角度を目安に構成されている。
【0078】
次に、制御手段47には、位置変更手段である駆動手段64を所定のタイミングで駆動して、脱臭エレメント62を回動させる制御プログラムを内蔵している。
これにより、脱臭エレメント62を加熱する際に、制御手段47により自動的に脱臭エレメント62を回動させて脱臭すべき部位を加熱ユニット63に対向することができる。 つまり、加熱手段である加熱ユニット63は、制御手段47によって脱臭エレメント62を加熱する場合、脱臭エレメント62の所定の領域と対面した状態で、所定時間通電することにより、脱臭エレメント62に吸着した臭気を除去して、脱臭エレメント62の局部的な臭気の捕集力を回復させる。
【0079】
また、上記の制御プログラムは、駆動手段64を所定のタイミングで駆動して脱臭エレメントを所定の回転角度だけ回動した後停止させ、その停止状態で加熱ユニットを所定時間通電する処理ステップを有する。
これにより、脱臭エレメント62の回転から加熱に至る一連の動作を制御手段47により自動的に行うことができる。
【0080】
尚、上記の脱臭エレメント62に吸着した臭気を除去する制御は、送風手段である送風ファン44の累積運転時間又は累積運転回数が所定の値を超えた場合、送風ファン44の運転が停止した後に実行されるものである。
つまり、制御手段47は、空気清浄機Aの使用頻度に応じて、この動作を繰返し行い、脱臭エレメント62と加熱ユニット63との相対的位置関係を所定の方向に順次変化させる。
これにより、脱臭エレメント62の全体の臭気の捕集力を維持することができる。
【0081】
次に、通風路Rには、脱臭エレメント62より上流側に塵埃濾過フィルター12,13が設置されており、本体ケースCの前面には、通気性を有する枠体である前パネル10が着脱可能に取り付けられ、この枠体を本体ケースCから取り外した状態で、塵埃濾過フィルターを本体ケースC前方に取り出すことが可能な構成である。
このように構成することにより、本体ケースCの前側から塵埃濾過フィルターを着脱することができるので、大きめな塵埃が付着しやすい塵埃濾過フィルターのメンテナンス性を向上することができる。
【0082】
次に、通風路Rは、脱臭エレメント62の下流側で上方に屈曲していると共に、この屈曲部に送風ファン44を配置し、この送風ファン44は、水平方向に伸びる回転軸を中心に回転し、本体ケースCの正面側から導入した空気を上方へも送り出す多翼式ファンである。
このような多翼式ファン(シロッコファン)は、ファンの回転軸方向から空気を取り込み、ファンの径方向へと取り込んだ空気を吐き出すので、室内空気を本体ケースCの前面から後方への直線的な流れを作り出すと共に、吹出口42に向けて効率よく風の向きを変えることができる。
【0083】
次に、加熱ユニット63は、脱臭エレメント62の回転中心より下側に位置するように本体に取付けられている。
このように、ヒーターユニット63aなどを有するある程度重量がある加熱ユニット63を低い位置に配置することで、空気清浄機Aの重心を低くすることができる。これにより、床面に安定して設置することができる空気清浄機Aを構成することができる。
【0084】
この他に、開口65aの位置は、本体ケースCの正面の上下方向の中央に位置し、本体ケースCの正面視における投影面積Aと、吸込口の正面視における面積Bとの関係が、
「B≧0.6A」
となるように構成されている。
この関係は、本体ケースCの正面視の面積に対して、開口65aと吸込口とが室内空気を最大限取り込める関係であり、より室内空気を多く取り込み脱臭エレメント62へ流すことが可能な空気清浄機を構成することができる。
【0085】
次に、以上のように構成された空気清浄機Aは、次のように構成することにより、臭いの発生源に、任意に接近可能である移動することができる可搬式筐体となっている。
図15〜
図17を参照すると、空気清浄機Aは、外郭を筐体となる本体ケースCと、この本体ケースCに設けられる脱臭部60などの各種機能部品により構成されている。
この本体ケースCは、樹脂により形成されており、前パネル10と前ケース20と後ケース40などの複数の部品により構成され、正面及び側面の平面形状が、縦長方形の外殻形状をなしている。
【0086】
そして、本体ケースCの底部には、4つの車輪90が設けられている。4つの車輪は、前ケース20の底部に2個、後ケース40の底部に2個ずつ設けられ、本体ケースCを前側から見て、本体ケースCの中心に左右対称となるようにそれぞれ左右に1つずつ配置されている。
【0087】
また、前ケース20を構成するフレーム21の上辺の上部の後側には、使用者が空気清浄機Aを移動する際に把持するハンドル91が設けられている。
このハンドル91は、その握り部91aの中心軸が本体ケースCの天面中央で、かつ左右方向を向くように設置されている。ハンドル91の本体ケースCに対する前後方向の位置は、加熱ユニット63と送風ファン44との間に位置している。また、握り部91aの床面からの高さLは、700mm以下の範囲に位置するように構成されている。
このように各部が配置された状態において、車輪90は、少なくとも握り部91aの長手方向に回転自在となるように構成されている。
【0088】
以上のように、ハンドル91の握り部91aの長手方向に車輪が回転自在となるように本体ケースCに設けられることで、大型な空気清浄機Aであっても容易に押し引きすることが可能となる。
特に、ハンドル91の本位ケースCの前後位置が、加熱ユニット63と送風ファン44との間に位置していることから、重量密度が大きい部位の略中間位置にハンドル91が位置する。これにより、ハンドル91を握って空気清浄機Aを押し引きするときに、重量のバランスが比較的取れた位置を支点に空気清浄機Aを動かすことができる。
従って、使用者が運びやすい空気清浄機Aとすることができる。
【0089】
また、本実施の形態の空気清浄機Aは、ハンドル91の握り部91aの床面からの高さLが700mm以下となるように構成されている。
このように構成されているので、日本人の成人の指節点高(人が床面に立った状態で、床面から中指指節点までの垂直距離)の平均は、男性が約695mm、女性が約632mm、全体が約662mmであることから、性別に関係なく、使用者が大きくかがむことなく、握りやすいハンドル91の高さとなっている。
【0090】
更に、本実施の形態の空気清浄機Aの奥行きSは、約300mmとなっている。
このように構成されているので、日本人の成人の肩幅の平均は、男性が約426mm、女性が約394mm、全体が約409mmであることから、性別に関係なく、空気清浄機Aを側方より押し引きする際に、人の肩幅内に納まる。
これにより、空気清浄機Aは、狭い通路や場所においても、移動を容易に行うことができる。
【0091】
更に、一般家庭の廊下幅が約850mm〜900mmであることから、空気清浄機Aを横に向けて廊下においた場合、約550mm〜600mmのスペースを確保することができる。
従って、空気清浄機Aを一般家庭の廊下に設置しても、人や物が十分に通るだけのスペースを確保することができる。
【0092】
更に、介護施設の廊下幅が約1800mm以上あることから、空気清浄機Aを横に向けて廊下においた場合、約1500mmのスペースを確保することができる。
従って、空気清浄機Aを介護施設の廊下に設置しても、人や物が十分に通るだけのスペースを確保することができる。
また、一般的に用いられる車椅子は幅が約700mmであることから、介護施設の廊下に空気清浄機Aが設置されていても、車椅子同士のすれ違いが可能である。
【0093】
以上のように各部が構成された空気清浄機Aは、制御手段47により、脱臭エレメント62を通過する空気の流速が所定値以下となるように送風ファン44を制御することで、脱臭エレメント62が、通風路Rに導入された室内の空気中の臭気の成分であるアンモニア成分などを少なくとも約70%以上で捕集するように制御される。
この構成は、吸込口11から取り込まれたアンモニア成分などを含む室内空気が、吹出口42から本体外部に吐き出されるときには、アンモニア成分などが約70%以上除去された状態で、本体から室内空間に放出される構成となっている。
【0094】
つまり、アンモニア成分を含んだ空気を、一度脱臭エレメント62を通すだけで、取り込んだ室内空気から、約70%のアンモニア成分を除去可能に構成されている。
尚、空気を一度脱臭エレメントに通すことで、脱臭エレメント62が空気中に含まれる臭気成分を除去する率を臭気成分の一過性除去率(ワンパス除去率)と呼ぶ。
例えば、全く臭気成分を除去しない場合は一過性除去率0%(ワンパス除去率0%)、空気中に含まれる臭気を80%除去する場合は一過性除去率80%(ワンパス除去率80%)、となる。
【0095】
ここで、
図18を参照して、臭気強度について説明する。
図18は、この6段階の臭気強度に、アンモニアの臭気濃度を対応させたものである。
臭気強度とは、臭気判定士などの専門家により、臭気を嗅覚測定法(官能試験法)で測り、臭いの感じ方を6段階で示したものであり、悪臭防止法における22物質の基準値を設定する際の評価基準として採用されている。この臭気強度は、高い段階から低い段階へ1ランク下がることで、人の嗅覚で臭気の減少が感じられる尺度となっている。
【0096】
尚、臭気強度の各段階における人の臭気の感じ方(臭いの程度)は、次の通りである。 臭気強度0は、無臭(一定の濃度以下では、臭いを感じない)。臭気強度1は、やっと臭気を感知できる臭い(検知閾値とも言う)。臭気強度2は、何の臭いかがわかる弱い臭い(認知閾値とも言う)。臭気強度3は、楽に検知できる臭い(臭いに関するクレームが時々ある)。臭気強度4は、強烈な臭い(全ての人が不快感、環境対策が必要)。臭気強度5は、強烈な臭い(その場に人がいられない)。
【0097】
この臭気強度に対応させて、従来からある空気清浄機と本実施の形態の空気清浄機の臭気の捕集能力について説明する。
まず、臭気の一過性除去率が50%である従来から用いられている可搬性の空気清浄機を、臭気強度が「4」(アンモニアの臭気濃度が10ppm)の空気中で使用した場合、空気中から臭気を50%取り除かれたアンモニアの臭気濃度が5ppmの空気が本体から放出される。
つまり、臭気の一過性除去率が50%の空気清浄機の場合、臭気強度が「3」には至らない、未だに強い臭いが残った空気が本体から室内空間に放出されることになる。
【0098】
従って、臭気の一過性除去率が50%の空気清浄機の場合、臭気成分は減っているが、臭気強度が1段階下がらない状態で室内に空気を戻すので、放出される空気から使用者が臭気の減少を感じられない。
また、脱臭されていても、人が臭気の減少を感じられない空気を本体から室内空間に吹き出すので、室内の脱臭に時間がかかる上、臭気を室内全体に広げてしまう。
【0099】
次に、本実施の形態である臭気の一過性除去率が80%となるように制御可能な空気清浄機を、臭気強度が「4」(アンモニアの臭気濃度が10ppm)の空気中で使用した場合、本体内部に取り込んだ空気中から、アンモニア臭気を80%取り除かれたアンモニアの臭気濃度が2ppmの空気が本体から放出される。
つまり、臭気の一過性除去率が80%の空気清浄機の場合、臭気強度が「3」となった臭気強度が1段階下がった空気が本体から放出されることになる。
【0100】
従って、臭気の一過性除去率が80%の空気清浄機の場合、臭気成分が大幅に低減されて、臭気強度が1段階下がった空気を本体から室内に放出するので、放出された空気から使用者が臭気の減少を実感することができる。
また、使用者が臭気の減少を実感することができる空気を、本体から室内空間に吹き出すので、臭気を多く含んだ室内空気をより早く薄めることができ、室内の脱臭をより早く行えると共に、臭気を室内全体に広げてしまうことがない。
【0101】
尚、臭気の一過性除去率が80%に制御された状態の空気清浄機で説明したが、臭気の一過性除去率が70%でも、臭気強度が「3」の状態の空気中で使用した場合、吹出口42から放出される空気は、臭気強度が1段階下がった「2」の状態まで臭気が減少するので、使用者は開始直後から直ぐに脱臭効果を実感することができる。
【0102】
ここで、空気清浄機Aは、可搬可能な大きさに構成されていることから、脱臭エレメント62の大きさが、可搬可能な本体内部に納めるために制限される。つまり、所定の場所に設置して使用する据え置き型の空気清浄機のように、脱臭能力を向上させる為に、脱臭エレメント62の大きさ(厚さ)を単純に大型化することができない。
【0103】
従って、空気清浄機Aは、上記のように大きさが制限された脱臭エレメント62であっても、臭気の一過性除去率を70%以上に維持する為に、脱臭エレメント62を通過する臭気を含んだ空気の流速を、制御手段47により秒速約0.15メートル〜秒速約1.8メートルとなるように、送風ファン44を制御している。
【0104】
このように、風速が秒速約1.8メートル以下に制御することで、臭気の一過性除去率70%を維持した状態で、可搬性が確保された空気清浄機を構成することが可能である。また、風速が上がることにより生じる送風ファン等からの騒音や振動を抑えることができる。
尚、風速を約0.15メートル以上とすることで、本体から毎分1立方メートルの清浄空気を放出することができる弱運転を可能としている。
【0105】
次に、空気清浄機Aは臭気の一過性除去率が70%以上の状態で、送風ファン44が運転している状態において、制御手段47は、通風路Rを通過する室内の空気の量(風量)が、毎分約10立方メートル以下になるように、送風ファン44を制御している。
この様に制御された状態の空気清浄機Aについて、使用例1及び使用例2を示した
図19を参照して説明する。尚、参考例として、従来の空気清浄機(従来例)についても説明
する。
【0106】
まず、使用状況は、室内面積は3畳(4.86平方メートル)、室内空間は13.122立方メートル、初期のアンモニア臭気濃度1ppmである。この使用状況は、病院や介護施設の複数の人が使用する病室において、1つのベッドエリアをカーテンで仕切った空間を想定している。
つまり、壁などの構造物によって区画された所定容積の空間内に、外部から空気清浄機を搬入して用いる場合である。
【0107】
経過時間とは、使用開始から経過した時間である。室内濃度とは、室内の空気中に含まれるアンモニア臭気の濃度である。吹出し濃度とは、空気清浄機Aの吹出口42から放出される空気に含まれるアンモニア臭気の濃度である。また、経過時間の単位は[分]、室内濃度及び吹出濃度の単位は[ppm]で示す。
このような状況において、次の各空気清浄機を用いた場合の経過時間に対する各臭気濃度の変化について説明する。
【0108】
(使用例1:臭気の一過性除去率が約80%、1分当りの風量が8立方メートル)
臭気の一過性除去率が80%であれば、吹出口42から放出される空気の臭気強度が、室内空間の臭気強度より1段階以上低いので、使用者は使用開始から臭気の減少を嗅覚で感じ取ることができる。
そして、1分当りの風量が8立方メートルであると、使用開始から3分後には、吹出口42から放出される空気の臭気濃度が、初期の室内臭気濃度1ppmの1/20である0.05ppmに低下する。これは、臭気強度が2段階低下した値である。
【0109】
更に、使用開始から6分で、室内のアンモニア臭気濃度が1/20である0.05ppmに低下する。この値は、ほぼ無臭と感じるほどの臭気濃度である。
この様に、使用例1の場合、空気清浄機Aの使用開始から5〜6分でほぼ無臭と感じる程度に急速に脱臭できるので、病院や介護施設のベッドの周囲で行われる臭気を伴う作業を病室内に拡散することなく行うことができる。
【0110】
例えば、このような作業の一例として、オムツ交換を例に説明すると、1人のオムツ交換は通常5〜6分の時間を要し、上記の場合の脱臭に要する時間内となっている。
つまり、オムツ交換開始の為に、ベッドを囲むカーテンを閉めてから、交換作業が終了してカーテンを開けるまで、オムツ交換作業と同時に空気清浄機Aを用いることにより、オムツ交換作業が終了した時点で、ほぼオムツ交換に伴う臭気の脱臭を終了させることが可能である。
【0111】
従って、空気清浄機Aを用いることにより、複数の利用者が使用する病室内においてオムツ交換を行う場合、交換作業を行っているベッド周辺から、他の利用者へ臭気が流れることを防止することができる。
また、多くの利用者のオムツ交換を行う必要がある施設において、オムツ交換に伴う臭気をほとんど拡散させること無く、効率よく作業を行うことが可能である。
【0112】
(使用例2:臭気の一過性除去率が約90%、1分当りの風量が5立方メートル)
本使用例は、使用例1と比べて風量は少ないが、臭気の一過性除去率が高い例である。
臭気の一過性除去率が90%であれば、吹出口42から放出される空気の臭気強度が、室内空間の臭気強度より1段階以上低いので、使用者は使用開始から臭気の減少を嗅覚で感じ取ることができる。
そして、1分当りの風量が5立方メートルであると、使用開始から2分後には、吹出口42から放出される空気の臭気濃度が、初期の室内臭気濃度1ppmの1/20である0.05ppmに低下する。これは、臭気強度が2段階低下した値である。
【0113】
更に、使用開始から9分で、室内のアンモニア臭気濃度が1/20である0.05ppmに低下する。この値は、ほぼ無臭と感じるほどの臭気濃度である。この様に、空気清浄機Aの使用開始から9分でほぼ無臭と難じる程度に急速に脱臭できる。
本使用例では、室内のアンモニア臭気濃度を1/20まで低下させるのに、使用例1より時間がかかるが、使用開始から2分程度で、吹出口42から放出される空気の臭気濃度を初期の室内臭気濃度の1/20である0.05ppmに低下させることができる。
また、風量を抑えて運転するので、送風ファン44などの運転音を低く抑えることができると共に、運転に伴う消費電力を低く抑えることができる。
【0114】
以上、空気清浄機Aの使用例について説明したが、可搬式である空気清浄機の場合、風量は最大でも1分当りの風量が10立方メートル以下に制御するのが望ましい。
なぜなら、可搬可能な程度の大きさに構成された空気清浄機の場合、吹出口42の開口面積に制限がある。従って、空気清浄機Aから放出される風量が増やすということは、吹出口42から放出される空気の風速が速くなり、埃などを巻き上げる原因となる。
また、風量を増やすことは、脱臭エレメント62を通過する風速を早めることになり、脱臭エレメント62の臭気の一過性除去率が低下させてしまう可能性がある。
【0115】
(従来例:臭気の一過性除去率が約50%、1分当りの風量が3立方メートル)
ここで比較の為、従来から用いられている空気清浄機の参考使用例を説明する。
従来から、可搬性の空気清浄機として、約50%の臭気の一過性除去率のものがある。
このような空気清浄機の場合、吹出口から放出される空気の臭気濃度が0.5ppm程度までしか低下していないので、臭気強度を1段階下げることができず、使用者が使用開始時点では臭気の減少を嗅覚で感じ取ることが難しい。
【0116】
また、臭気の一過性除去率が約50%で、1分当りの風量が3立方メートルであることから、使用者が使用開始から室内の臭気が減少したと感じるまで、つまり、初期の室内臭気濃度から70%以上の臭気濃度の減少させるためには、約10〜11分の運転時間が必要である。
このように、室内の臭気を減少させるのに、長い時間かかることから、病院や介護施設などでオムツ交換を行う際に用いるものとして、十分のものとは言えない。
【0117】
以上の使用例1及び使用例2で説明した空気清浄機Aは、次のように構成しても良い。 壁などの構造物によって区画された所定容積の空間内に、外部から搬入される空気清浄機Aであって、吸込口11と吹出口42を有した通風路Rを内部に形成し、空間内の低層界に発生したアンモニア成分を含む臭いの発生源に向けて、任意に接近させることが可能な移動式筐体と、筐体の内部に設けられ吸込口11から通風路Rに導入した室内の空気を吹出口42から吹き出す送風手段と、筐体内にあって、通風路Rに導入された空気が通過する脱臭エレメント62と、送風ファン44の送風能力を制御する制御手段を備え、脱臭エレメント62は、通風路Rに導入された空気中のアンモニア成分を吸着することで、空気中からアンモニア成分を捕集する触媒を含有し、脱臭エレメント62を通過する空気の毎分あたりの流量が、前記空間の容積の1/5倍以上となるように制御手段47が送風ファン44の風量を制御している状態において、脱臭エレメント62が、通風路Rに導入された室内の空気中のアンモニア成分を少なくとも、当該空気の1回の通過において所定率以上捕集する空気清浄機。
【0118】
このように空気清浄機Aは、室内の低層界に位置する臭気の発生源の近傍に移動可能に構成されているので、空気清浄機Aの吸込口11を臭いの発生源に対して、任意に近づけることができ、アンモニアの臭気が空間内に拡散する前に、吸込口11から空気清浄機Aの内部に取り込むことができる。
これは、室内に設置されたベッド等でオムツ交換を行いに漏れ出す臭気を、迅速に空気清浄機Aの内部に取り込むことが可能な構成である。
これに加え、脱臭エレメント62を通過する空気の毎分あたりの流量が壁などの構造物によって区画された空間の容積の1/5倍以上となるように制御手段が送風手段の風量を制御しているので、室内空間に漂う臭気を短時間のうちに捕集することができる(
図19参照)。
【0119】
また、室内の低層界とは、病室の空間やカーテンで囲まれた空間など、壁などの構造物によって区画された所定容積の空間の床面上1m以下の範囲をいう。
そして、空気清浄機において、吸込口11は筐体の横方向に向いてに開口し、その吸込口11の中心を通る水平線の位置が、前記空間の床面上で、30cmから70cmの範囲にあるよい。
このように吸込口11を形成することで、病室などで臭気の発生源となるベッド上からの臭気を効率よく空気清浄機Aの内部に取り込むことができる。
【0120】
また、通風路Rは、筐体の正面にある吸込口11から下流側で上方向に屈曲することで吹出口42は筐体の天面から上方向を向いており、脱臭エレメント62は、通風路Rにおいて吸込口11から屈曲部位の間に位置する。
このように、臭気を除去した空気を筐体の上方へ吹き出すので、臭気の発生源の近傍に空気清浄機Aを位置して使用している際に、臭気の発生源より上方に臭気を除去した空気を吹き出すことができる。
これにより、臭気の発生源近傍の気流を乱しにくいので、臭気の拡散を防止できると共に、効率よく臭気を含んだ室内空気を空気清浄機Aに取り込むことが可能である。
【0121】
(変形例)
次に、
図11〜
図12を参照して、本発明の変形例について説明する。尚、実施の形態1と同じ構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
脱臭部60を構成する中仕切板65の開口65aの内部中央に位置する中央支持体65bの下方の領域であって、中央支持体65bを中心に、左右に等しく広がる所定の開角により形成される扇形の領域は、中仕切板65の裏側より略扇形状の蓋体65dにより覆われている。
【0122】
この蓋体65dはステンレスにより形成されており、中仕切板65の後面側(裏面側)から、梁部65cにネジなどにより固定される。また、蓋体65dは、後述する加熱ユニット63のヒーターユニット63aと対向した状態において、ヒーターユニット63aを覆うことが可能な大きさとなっている。
そして、この蓋体65dが上記のように取付けられた状態において、蓋体65dの前面と梁部65cにより囲まれた部位には、断熱材66が設けられる。更にこの断熱材66の前側には、カバー67が設けられる。カバー67は、樹脂により形成されており、中仕切板65の前面側(表面側)から、梁部65cにネジなどにより固定される。
【0123】
以上のように各部を構成すれば、蓋体65dの前面を断熱材66で覆ってあるので、脱臭エレメント62を加熱ユニット63で加熱する際に、加熱ユニット63と対向することで加熱空間を形成している蓋体65dの表面から、この加熱空間の熱を逃げ難くすることができる。
従って、加熱空間の温度を効率よく上げることができ、効率よく脱臭エレメント62を加熱することが可能となると共に、高温になる蓋体65dを使用者が直接触れることができないので、火傷を防止することができる。
【0124】
次に、
図13〜
図14を参照して、本発明の別の変形例について説明する。尚、実施の形態1及び上記の変形例と同じ構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
また、
図13〜
図14において、吹出口42の開口部分には、通常は格子が取付けられているが、ルーバー46の動きを説明するため、格子を取外した状態で示してある。
まず、吹出口42の近傍にルーバー46は、複数の板状の風向板46aと、この複数の風向板46aをそれぞれ繋いで風向板46aを所定の角度に動かすリンク機構46cと、このリンク機構46cを動かす駆動部(図示せず)から構成されている。
【0125】
そして、ルーバー46は、複数の板状の風向板46aが、吹出口42の開口に所定の間隔を空けて、それぞれ平行となるように並んで配置されており、それぞれの風向板46aは、この風向板46aの両端に形成された軸で、吹出口42に軸支されている。
尚、リンク機構46cを動かす駆動部は、後述する制御手段47に接続されており、空気清浄機の状態に応じて、所定のプログラムで駆動されるものであり、これにより、ルーバー46の向きが変更される。
【0126】
また、風向板46aの大きさは、前後方向の幅が吹出口42の前後方向の幅と略一致すると共に、左右方向の最大幅は、ルーバー46を閉じた状態、つまり、風向板46aが倒れた状態において、隣り合う風向板46aにより、吹出口42をさえぎる程度の大きさに構成されている。
【0127】
そして、ルーバー46は、脱臭エレメント62を加熱処理する間、各々の風向板46aが吹出口42をさえぎるように、倒れた状態となるように、制御手段47がリンク機構46cを動かす駆動部を動作させる。
このように、脱臭エレメント62の加熱処理の間、ルーバー46により吹出口42を塞ぐことにより、加熱処理時に生じる脱臭エレメント62からに臭いなどを空気清浄機Aの外部に放出し難くすることができる。
【0128】
尚、本実施の形態において、吹出口42に設けられたルーバー46により吹出口42を塞ぐ構成を説明したが、ルーバー46とは別に、吹出口42を開閉するシャッターなどのようなものを設けてもよい。
また、吹出口42のみならず、吸込口11にこの吸込口11の開口を開閉するシャッターなどを設けて、脱臭エレメント62の加熱処理時に吸込口11を閉鎖することにより、更に、加熱処理時に生じる脱臭エレメント62からに臭いなどを空気清浄機Aの外部に放出し難くすることが可能となる。