【文献】
Samsung,Precoding for polarized 4Tx configurations[online],3GPP TSG-RAN WG1#48b R1-071622,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_48b/Docs/R1-071622.zip>,2007年 3月30日
【文献】
LG Electronics,Codebook design and verification for E-UTRA MIMO pre-coding,3GPP TSG-RAN WG1#47 R1-063348,2006年11月10日
【文献】
Alcatel-Lucent,Further discussion and performance results for DL SU-MIMO Schemes for cross-polarised Antennas,3GPP TSG-RAN WG1#49b R1-072657,2007年 6月29日
【文献】
Icera Semiconductor,Performance of Frequency Selective PMI Compression for E-UTRA: Results for Rank-2 Precoding,3GPP TSG-RAN WG1#53 R1-082000,2008年 5月 9日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の好適な実施の形態を、添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。また、可能な限り、図面全体を通じて同一の又は類似の構成要素ついては、同一の参照符号を使用して説明する。
【0032】
添付の図面と共に以下に開示される詳細な説明は、本発明の例示的な実施の形態を説明するためのもので、本発明が実施しうるような唯一の実施の形態を示すものではない。以下の詳細な説明は、本発明の完全な理解を助けるために具体的な細部事項を含む。しかし、当業者には、本発明をこのような具体的細部事項なしにも実施できるということが理解できる。例えば、以下の説明では一定の用語を中心に説明するが、それらの用語に限定されず、任意の用語で称される場合にも同一の意味を示すことができる。また、本明細書の全体を通じて同一の又は類似の構成要素ついては、同一の図面符号を使用して説明する。
【0033】
PAPRは、波形の特性を示すパラメータである。この値は、波形の最大振幅を波形の時間平均された平均2乗根(RMS)値で除算した値で、無次元(dimensionless)の値である。主として、単一搬送波信号のPAPRがマルチ搬送波信号のPAPRよりも良い。
【0034】
LTE−Advancedでは、良いCM特性を維持する目的で、SC−FDMAを用いてMIMOを具現することができる。一般的なプリコーディングを用いると、1個のアンテナを通じて、多数の階層に該当する情報を含む信号が多重化されて転送されるため、当該アンテナを通じて転送される信号は一種のマルチ搬送波信号と見なすことができる。PAPRは、送信側で電力増幅器が適用しなければならないダイナミックレンジと関連付いており、CM値は、PAPRが表す数値に代替可能な別の数値である。
【0035】
図2は、MIMOを用いる送信端の一般的な構造を示す図である。
【0036】
1個又は複数個の符号語は、複数個の階層にマッピングされる。マッピングされた情報は、プリコーディングによって各物理アンテナにマッピングされて転送される。
【0037】
図3は、
図2に示すMIMOを用いる送信端をより詳細に示す図である。
【0038】
「符号語」は、データ情報に巡回冗長検査(CRC)ビットを付加した後に、特定コーディング方式で符号化したものをいう。コーディング方式には、ターボ符号、テールバイティング畳み込み符号(tail biting convolutional code)を含め、様々のコーディング方式が存在する。各符号語は、一つ以上の(仮想)階層にマッピングされ、この時にマッピングされる全体階層の個数はランク値となる。すなわち、送信ランクが3であれば、送信される階層の個数は総3個となる。各階層にマッピングされた情報はプリコーディング過程を経る。ここで、階層にマッピングされているデータ情報はプリコーディングによって物理階層にマッピングされる(ここでは、「階層」は、特別に物理階層と言及しない限り、仮想階層を指す)。各物理階層を通じて各アンテナに情報が伝達される。
図3で別に言及しない限り、プリコーディングは周波数領域で行われ、物理階層にマッピングされた情報には直交周波数分割多重(OFDM)情報転送方式が用いられる。物理階層にマッピングされた情報は、特定周波数領域にマッピングされた後、IFFT演算が行われ、その後、巡回プレフィックス(CP)が付加される。その後、高周波(RF)回路群を通じて各アンテナに情報が伝達される。
【0039】
プリコーディングは、行列を乗算する方式で行うことができる。この行列において行の個数は、物理階層の個数、すなわち、アンテナの個数と同一であり、列の個数は、ランク値と同一である。ランク値は階層の個数と同一であるから、列の個数は階層個数と同一である。式2を参照すると、(仮想)階層にマッピングされた情報はx
1、x
2であり、4×2行列の各要素p
ijは、プリコーディングに用いられる重み値である。y
1、y
2、y
3、y
14は物理階層にマッピングされる情報で、個別のOFDM転送方式を用いて各アンテナ別に転送される。
【0041】
以下では、混同がない限り、仮想階層を「階層」と略し、プリコーディングによって仮想階層信号が物理階層にマッピングされることを、「階層がアンテナにマッピングされる」と表現するものとする。
【0042】
プリコーディングは、二つの方法に大別することができる。広帯域プリコーディングとサブバンドプリコーディングがそれである。
【0043】
広帯域プリコーディングは、周波数領域でプリコーディングを行う際に、周波数領域に転送されるすべての情報に同一のプリコーディング行列を使用する方法を指す。
【0044】
図4は、各階層の情報がプリコーディングされてアンテナを通じて転送される過程を示す図である。
【0045】
図4を参照すると、複数の階層に該当する情報が各周波数領域の副搬送波別にプリコーディングされて各アンテナを通じて転送されることがわかる。このとき、広帯域プリコーディングでは、使用するプリコーディング行列‘P’がいずれも同一である。
【0046】
サブバンドプリコーディングは、広帯域プリコーディングを拡張したもので、すべての副搬送波に対して同一のプリコーディング行列を使用せずに、副搬送波ごとに複数個のプリコーディング行列を使用する方法を指す。すなわち、特定の副搬送波ではプリコーディング行列‘P’を使用し、他の副搬送波ではプリコーディング行列‘M’を使用する方法を、サブバンドプリコーディングと称する。ここで、PとMは、互いに異なる要素値を有している行列である。
【0047】
アップリンク信号転送は、ダウンリンク信号転送に比べて相対的にPAPR又はCM特性に敏感である。これは、PAPR又はCM増加に伴うフィルター価格の上昇が、ユーザ装置に相対的によって致命的になりうるからである。したがって、アップリンク信号転送には主としてSC−FDMA方式が用いられている。
【0048】
図5は、一般的なSC−FDMA方式を説明するための図である。
【0049】
OFDM方式及びSC−FDMA方式は両方とも、
図5に示すように、直列信号を並列に変換し、この並列信号を副搬送波にマッピングし、IDFT又はIFFT処理後に、再び直列信号に変換し、CP付加後にRFモジュールを通じて信号を転送する側面では同一である。ただし、SC−FDMA方式では、並列信号を直列信号に変換した後、DFT拡散を行うことによって、以降のIDFT又はIFFT処理の影響を減少させ、単一信号特性を一定のレベル以上に維持させることを特徴とする。
【0050】
一方、アップリンク信号転送時にMIMO方式を適用する場合、CM値が低下する理由について考慮すると、CMの良好な単一搬送波信号が同時に複数個重畳される場合、重畳された信号のCM値は低下することがある。したがって、SC−FDMAシステムにおいて、複数の階層から出力される情報を、できるだけ少ない個数の単一搬送波信号及び1個の物理的アンテナを通じて多重化して送信すると、良好なCMを有する送信信号を生成することができる。
【0051】
送信しようとする情報にプリコーディングを行う前に、符号語階層マッピングを行うことができる。SC−FDMA方式は、主として1Txで使用されたため、階層個数が1個である。しかし、SC−FDMAでMIMOを適用する場合には、階層個数が複数個になり、1個の転送ブロックからなる符号語は、複数の階層にマッピングできる。
【0052】
図6は、符号語が多数の階層にマッピングされる方法を例示する図である。
【0053】
図6を参照すると、SC−FDMAのためのDFTが行われた後に符号語階層マッピングが行われる場合にはCM値が増加することができる。すなわち、DFTブロックから出力された信号はIFFT処理される前に別の処理過程を経るため、すなわち、2個の階層に分離される過程を経るため、CM値が増加することがある。
【0054】
図7は、本発明の一実施例であって、アンテナ別にCM値が増加することを防止するために、符号語階層マッピングがなされた後に階層別にDFTを行う方法を提案する。
【0055】
したがって、ランク値によって階層個数別にDFTブロックの個数が可変する場合には、CM値を低く維持することができる。すなわち、DFTブロックから出力された信号は別の処理過程を経ることなく直接IFFTブロックに入力され、よって、CM値を低く維持することができる。実際に具現するときには、1個のDFTブロックを複数の階層が共有してもよい。
【0056】
また、アップリンク信号転送の際にMIMO方式を用いて一つのアンテナに複数の階層信号が転送される場合も同様に、PAPR又はCM特性が低下することがある。したがって、以下に説明する本発明の実施の形態では、一つのアンテナには一つの階層のみが転送されるように設定されたプリコーディング行列を用いるように符号表を設計することを提案する。
【0057】
以下では、説明を容易にするために、送信システムにおいてプリコーディングブロックに伝達される信号のセットをxとし、プリコーディングされた信号のセットをyとする。この場合、プリコーディング行列がPであれば、式3が成立する。
【0059】
ここで、Pの次元は、N
T×N
Lであり、xの次元はN
L×1であり、yの次元は、N
T×1である。ここで、N
Tはアンテナの個数を表し、N
Lは階層の個数を表す。
【0060】
以下では、
I.でまず、ユーザ装置がMIMO手法を適用してアップリンク信号転送時に利用可能な符号表設計原理について説明し、
II.でIで説明した原理を満たすプリコーディング行列のうち、弦距離(Chordal distance)を考慮して選択された符号表の具体的な形態を説明する。
【0061】
I.符号表設計原理
<2Tx符号表>
以下、2Txモードで使用される符号表を構成するプリコーディング行列の構造に係る本発明の実施例について説明する。
【0062】
本発明は、符号語を複数個の階層にマッピングして複数個のストリームを生成する段階、及び当該生成された複数個のストリームをプリコーディングして複数個のアンテナにマッピングして送信する段階で構成することができ、ここで、符号表は下記のように構成することができる。ランク1の時に用いられるプリコーディング行列とランク2の時に用いられるプリコーディング行列について別々に説明する。
【0063】
2Tx−ランク1のプリコーディング行列
2Tx−ランク1の場合に、本発明の一実施例によれば、式3は式4のように書き直すことができる。
【0065】
一般に、広帯域プリコーディングを用いるとすれば、ランク1プリコーディングでは、各階層の信号に特定の定数値が乗算されるから、2Txで各アンテナを通じて転送される信号のPAPRやCM値は、1Txで転送される信号のPAPRやCM値と同一である。したがって、広帯域プリコーディングを用いる時には、2Tx−ランク1プリコーディング行列の値によってPAPR及びCMが影響を受けない。
【0066】
プリコーディングは、各チャネルを通じて転送される信号が相互補強(constructive)されるようにチャネルを変更する方法である。これによって、信号の送信性能が向上する。したがって、式4でPの第一の要素である‘a’を1に設定し、第二の要素である‘b’を任意の値に設定することができる。また、各アンテナを通じて転送される信号の電力を同一にすることで、各アンテナに設けられた電力増幅器をすべて最大限に使用することができる。このために、上記第二の要素は、絶対値1の複素数値とすることができる。すなわち、式4において
【数10】
になりうる。
【0067】
プリコーディングのために用いられる符号表に含まれるプリコーディング行列の個数には限界がある。なぜなら、送信端及び受信端の両方で符号表を持っていなければならず、場合によっては、あるプリコーディング行列に関する情報を交換するからである。したがって、制限された個数のプリコーディング行列のみを使用しなければならない。このために、例えば、プリコーディング行列の各要素として、絶対値が1であり、位相(phase)が+0゜,+45゜,+90゜,+135゜,+180゜,−135゜,−90゜,−45゜のうちいずれか一つに対応する複素数を使用することができる。すなわち、
【数11】
において
【数12】
とすることができる。すなわち、
【数13】
となりうる。
【0068】
2Tx−ランク2のプリコーディング行列
2Tx−ランク2の場合に、式3は式5のように書き直すことができる。
【0070】
式5のようにアンテナを通じて転送される信号y
kは、複数個の入力信号x
iの組み合わせで構成され、このため、CM値が増加することがある。
【0071】
ここで、p
12及びp
21、又はp
11及びp
22を0に設定すると、各アンテナ別には1個の信号のみ送信されるようにすることができる。したがって、信号x
iのCM値が良好であれば、プリコーディングされた信号のCM値も良好になる。
図7を参照して上述したとおり、符号語を階層にマッピングした後、各階層にマッピングされた信号にDFT拡散を行い、各アンテナ別に一つの階層信号のみを転送するようにプリコーディングを行うとすれば、DFT処理後に直接IDFT又はIFFT処理がなされる効果を奏し、PAPR又はCM特性を良好に維持することができる。これについてはより具体的に後述する。
【0072】
この場合、p
12及びp
21が0であれば、各階層に対応する信号は、任意の一定の複素数値が乗算された後に各アンテナから送信されるため、該乗算される複素数値を1に設定しても性能には支障を与えない。
【0073】
したがって、本発明の一実施例によれば、式5は式6のように書き直すことができる。
【0075】
<4Tx符号表>
以下、4Txモードで用いられる符号表を構成するプリコーディング行列の構造に係る本発明の実施例について説明する。
【0076】
本発明は、符号語を複数個の階層にマッピングして複数個のストリームを生成する段階、及び当該生成された複数個のストリームをプリコーディングして複数個のアンテナにマッピングして送信する段階で構成することができ、ここで、符号表は下記のように構成することができる。ランク1、ランク2、ランク3、ランク4のときに用いられるプリコーディング行列についてそれぞれ別に説明する。
【0077】
4Tx−ランク1のプリコーディング行列
4Tx−ランク1の場合に、式3は式7のように書き直すことができる。
【0079】
2Tx−ランク1符号表の場合と同様に、広帯域プリコーディングを使用する場合に、4Tx−ランク1プリコーディングによって各アンテナ別に転送される信号のCMは、1Txにおける信号のCMと同一である。したがって、CMに関しては、いかなるプリコーディング行列を使用することもできる。
【0080】
4Tx−ランク2のプリコーディング行列
4Tx−ランク2の場合に、式3は式8のように書き直すことができる。
【0082】
2Tx−ランク2符号表と略同様に、4Tx−ランク2符号表においても、プリコーディング行列の特定要素を0に設定することによって、各アンテナ別に転送される信号の重複を最小化し、よって、CMを低く維持することができる。
【0083】
式8で、各アンテナ別に転送される信号であるp
k1x
1+p
k2x
2においてp
k1又はp
k2値が0に設定されると、各アンテナ別に転送される信号は、1個の階層から転送される信号と同一になり、よって、アンテナ別に転送される信号のCMを低い値に維持することができる。
【0084】
本発明の一実施例では、式8において
【数18】
に設定することができる。この場合、式8は式9のように書き直すことができる。
【0086】
式9を参照すると、各アンテナ別に転送される信号にはそれぞれ1個の階層のみがマッピングされる。また、1個の階層の立場からは、この1個の階層を通じて転送される情報に対して2Tx−ランク1プリコーディングを使用したと見なすことができる。したがって、4Tx−ランク2プリコーディング行列は、2Tx−ランク1プリコーディング行列を使用して生成することができる。すなわち、4Tx−ランク2プリコーディング行列は、2Tx−ランク1プリコーディング行列のスーパー行列となりうる。
【0087】
例えば、本発明の一実施例に係るPは、式10のように与えられることができる。
【0089】
上に提示したプリコーディング行列は、1個の階層の信号に対して2個のアンテナを使用して情報を転送する方法のためのものである。しかし、4個の物理アンテナが備えられているときは、2個のアンテナからなる様々なアンテナの組み合わせのうち、いずれの組み合わせを使用して転送するかにしたがって通信性能が変わることがある。この場合、プリコーディング行列Pの値にしたがって、選択されるアンテナの組み合わせが変わることがある。
【0090】
例えば、本発明の一実施例によれば、プリコーディング行列Pは、式11のように様々な形態を有することができ、それぞれの形態は、それぞれ異なるアンテナ組み合わせを表す。
【0092】
式11で、プリコーディング行列Pとして適切な値を選択すると、プリコーディングによる性能を向上させることができる。上のようにプリコーディング行列を形成すると、各階層に該当する信号は、総計4個のアンテナのうち、2個のアンテナを使用するから、各階層間のチャネル推定性能を類似にすることができ、各アンテナ別にCM値を最小化することができる。
【0093】
一般に、任意のプリコーディング行列の、特定の列ベクトルに定数値を乗算しても、そのプリコーディング行列の特性が変更されない。したがって、上に言及したプリコーディング行列の特定の列に定数値を乗算してもプリコーディング行列の特性が変更されることはない。したがって、本発明の実施例によるプリコーディング行列の特定の列ベクトルに定数値を乗算することは、本発明の範囲を逸脱しない。
【0094】
また、上記式11に示すプリコーディング行列に対して一定のスケーリング係数を乗算する形態にすることもでき、下記の式12のように表現することができる。
【0096】
4Tx−ランク3のプリコーディング行列(1)
4Tx−ランク3の場合に、式3は式13のように書き直すことができる。
【0098】
4Tx−ランク2プリコーディング行列と略同様に、4Tx−ランク3プリコーディング行列においても、プリコーディング行列の特定要素を0に設定することによって、各アンテナ別に転送される信号の重複を最小化し、よって、CMを低く維持することができる。
【0099】
式13で、各アンテナ別に転送される信号であるp
k1x
1+p
k2x
2+p
k3x
3においてp
k1、p
k2、又はp
k3値が0に設定されるとすれば、アンテナ別に転送される信号のCMは低い値を維持することができる。
【0100】
本発明の一実施例では、式12において
【数24】
に設定することができる。この場合、式13は式14のように書き直すことができる。
【0102】
ランク3では転送されるべき階層の個数は3個であり、物理アンテナの個数は4個である。この場合、3個のアンテナはそれぞれ1個の階層に単独にマッピングすることができる。このとき、残っている1個のアンテナには1個の階層の信号のみをマッピングすることもでき、2個以上の階層の信号を共にマッピンクすることもできる。残っている1個のアンテナに、特定の1個の階層の信号のみをマッピングするとき、このアンテナを通じて送信される信号のCMは良好な特性を示すことができるが、この特定の1個の階層の情報の通信性能は、別の階層の情報の通信性能と異なることがある。例えば、アンテナ1及びアンテナ4には階層1の情報をマッピングし、アンテナ2には階層2の情報をマッピングし、アンテナ3には階層3の情報をマッピングすると、階層1の情報に対する通信性能は、階層2又は階層3の通信性能とは異なってくることがある。
【0103】
本発明の一実施例では、プリコーディングにおいて各アンテナ別にCM値をできるだけ低くする目的で、プリコーディング行列Pが式15のP
1、P
2、P
3のいずれか一方の値を有することができる。
【0105】
上記のプリコーディング行列P
1、P
2、P
3を使用する際には、各階層のために用いられるアンテナの個数が互いに同一でない。しかし、ある情報を転送する際にプリコーディング行列P
1、P
2、P
3のうちいずれか一方のみを使用するのではなく、P
1、P
2、P
3を均等に使用するときは、各階層のために用いられるアンテナの個数を平準化(normalize)することができる。周波数領域でプリコーディング行列P
1、P
2、P
3を交互に使用することもできるが、この方式によると、既に単一搬送波で構成された信号の単一搬送波特性がき損され、よって、CM値が上昇することがある。したがって、プリコーディング行列P
1、P
2、P
3を各SC−FDMAシンボルごとに交互に適用することでCMの増加を防止することができる。データを転送する際に、1個のサブフレーム単位で情報を復号することができる。したがって、毎SC−FDMAシンボルごとにプリコーディング行列P
1、P
2、P
3を交互に適用すると、1個のサブフレームを通じて転送される全体情報に対して、各階層の情報は平均して同一の個数のアンテナを通じて転送されることができる。
【0106】
本発明の他の実施例では、各階層が使用するアンテナの位置を変更することによって性能を向上させることができる。アンテナの位置を変更することは、時間の流れによってなされることができ、特に、SC−FDMAシンボルごとに変更することができる。アンテナの位置を変更する具体的な方法は、下記のとおりである。
【0107】
すなわち、プリコーディング行列の、0以外の値の位置を一つの行ベクトル内で変更することによって、各階層の信号が転送されるアンテナの位置を変更することができる。又は、この方法は、与えられたプリコーディング行列で行と列の置換(row/column permutation)によって具現することができる。
【0108】
図8は、プリコーディング行列の列又は行の位置を置換する方法を示す図である。
【0109】
図8の(a)は、行の位置を置換する方法を示し、
図8の(b)は、列の位置を置換する方法を示す。
【0110】
式15のプリコーディング行列において、プリコーディング行列P
1を行置換及び/又は列置換することによって、プリコーディング行列P
2又はP
3を生成することができる。したがって、プリコーディング行列P
1、P
2、P
3のような構造では、行置換によってのみ唯一の新しいプリコーディング行列を生成することができる。
【0111】
4Txにおいて可能な行置換によって変更される行の順序は、下記のとおりである。
{1, 2, 3, 4}, {1, 2, 4, 3}, {1, 3, 2, 4}, {1, 3, 4, 2},
{1, 4, 2, 3}, {1, 4, 3, 2}, {2, 1, 3, 4}, {2, 1, 4, 3},
{2, 3, 1, 4}, {2, 3, 4, 1}, {2, 4, 1, 3}, {2, 4, 3, 1},
{3, 2, 1, 4}, {3, 2, 4, 1}, {3, 1, 2, 4}, {3, 1, 4, 2},
{3, 4, 2, 1}, {3, 4, 1, 2}, {4, 2, 3, 1}, {4, 2, 1, 3},
{4, 3, 2, 1}, {4, 3, 1, 2}, {4, 1, 2, 3}, {4, 1, 3, 2}
【0112】
ここで、{w,x,y,z}は、プリコーディング行列P
kが与えられたとき、該プリコーディング行列の行ベクトル1、2、3、4を、{}中の順序に並べ替えるという意味である。
【0113】
行置換によれば、特定階層に該当する信号は、互いに異なるアンテナにマッピングされ、列置換によれば、それぞれ異なる階層の情報が互いにスイッチングされる効果を得ることができる。各階層別に特に性能を区分する必要がなく、各階層別に類似の性能を要求するシステムでは、列置換方式を用いる必要がない。すなわち、行置換のみでアンテナ選択効果を得ることができる。
【0114】
一方、上記の式15に示す4Tx−ランク3プリコーディング行列のそれぞれに一定のスケーリング係数を乗算することもでき、その形態は下記の式6のとおりである。
【0115】
【数27】
・・・ (式16)
【数28】
【0116】
4Tx−ランク3のプリコーディング行列(2)
4Tx−ランク3の場合に、各アンテナが只1個の階層に該当する情報を送信すると、アンテナを通じて送信される信号のCM値を低く維持することができるが、1個の階層の情報は1個の特定アンテナを通じてのみ送信されるから、通信性能が低下することがある。したがって、4Tx−ランク3の場合には、1個のアンテナを通じて最大2個の階層の信号が多重化して転送されるように設計することによって、CMの増加量を最小化しながら、同時に通信性能を高めることができる。
【0117】
本発明の一実施例によれば、1個のアンテナで2個の階層に該当する情報を送信するときに、式13のプリコーディング行列Pを、式17のP
4又は式18のP
5のように表すことができる。
【0120】
式17で、ランク3を満たすにはプリコーディング行列P
4のXの値とZの値を別々のものにしなければならない。
【0121】
プリコーディング行列P
4又はP
5を使用する方法には、特定のアンテナでは2個の階層の信号が多重化されて転送されるが、別のアンテナでは1個の階層の信号のみ転送されるという欠点がある。
【0122】
本発明の一実施例では、この欠点を補完するために、プリコーディング行列Pが式19のP
6、P
7、P
8のうちいずれか一方の値を有することができる。
【0124】
プリコーディング行列P
4、P
5、P
6、P
7、P
8に対して、4Tx−ランク3のプリコーディング行列と関連して上述したとおり、行列置換を行うことができる。行列置換を行うことによって、特定の階層の信号を任意のアンテナを通じて送信可能にするアンテナ選択機能を、プリコーディングによって具現することができる。
【0125】
本発明の一実施例では、プリコーディング行列の各列ベクトルが互いに直交性を有するように構成することができる。
【0126】
プリコーディング行列の各列ベクトルが直交性を有するように構成すると、プリコーディング行列は片側ユニタリ行列の特性を満たす。すなわち、プリコーディング行列Pは、式20のような特性を有することができる。
【0127】
P
HP=αI≠PP
H ・・・ (式20)
【0128】
本発明の一実施例では、ランク3のプリコーディング行列を式21のように構成することができる。式21を満たすプリコーディング行列Pは、式20の関係を満たすこととなる。
【0130】
式21で
【数33】
満たすことから、プリコーディング行列Pが式20を満たすということが確認できる。
【0131】
4Tx−ランク4のプリコーディング行列(1)
4Tx−ランク4の場合に、式3は式22のように書き直すことができる。
【0133】
4Tx−ランク4の場合には、4個の階層からの信号が各アンテナを通じて多重化して転送される。
【0134】
本発明の一実施例では、プリコーディング行列を単位行列で構成すると、1個のアンテナでは1個の階層に該当する信号のみを転送するようになる。この場合、式22は式23のように書き直すことができる。
【0136】
4Tx−ランク4のプリコーディング行列(2)
4Tx−ランク4符号表においてランク4プリコーディング行列の個数を増加させることで、通信性能を向上させることができる。符号表を構成するプリコーディング行列の個数が多いほど、実際のチャネルに一層近いプリコーディング行列を選択でき、よって、プリコーディング行列の個数が多いほど性能を向上させることができる。しかし、符号表におけるプリコーディング行列の選択が複雑になることから、符号表には適切な個数のプリコーディング行列を含めることが好ましい。しかし、4Tx−ランク4の場合、各アンテナ別に1個の階層に該当する信号のみを転送するためには、プリコーディング行列は単位行列でなければならず、複数個のランク4プリコーディング行列を使用すると、1個のアンテナを通じて2個以上の階層に該当する信号を送信しなければならない場合が生じる。したがって、CM値を最小化しながら、符号表におけるランク4プリコーディング行列の個数を増加させるためにプリコーディング行列の特定要素を0に設定することができる。式22で各アンテナ別に転送される信号であるp
k1x
1+p
k2x
2+p
k3x
3+p
k4x
4においてp
k1、p
k2、p
k3及びp
k4のうち2個の値が0に設定されると、アンテナ別に転送される信号のCMは低い値を維持することができる。
【0137】
本発明の一実施例では、プリコーディング行列を式24のP
9、式25のP
10、及び式26のP
11のように設定することができる。
【0138】
【数36】
【数37】
・・・ (式24)
【0141】
プリコーディング行列P
9、P
10、及びP
11は、1個のアンテナごとに最大2個の階層の信号を転送するプリコーディング行列の例である。上述したとおり、プリコーディング行列P
9、P
10、及びP
11に対して行列置換を行うことによって、それぞれ異なる階層の信号がそれぞれ異なるアンテナを通じて転送されるようにすることができる。
【0142】
プリコーディング行列P
11は、ユニタリ行列であるから、ユニタリプリコーディング行列の利点を活用することができる。
【0143】
4Tx−ランク4のプリコーディング行列(3)
4Tx−ランク4の場合に、プリコーディング行列の、各行の要素のうち1個の要素のみを0に設定することができる。この方法を用いると、1個のアンテナを通じて3個の階層に該当する信号を多重化して送信することができ、通信性能を向上させることができる。ただし、この方法によると、CM値はより上昇するが、プリコーディング行列のすべての要素が0以外の値に設定される場合に比べてより小さいCM値を有する。したがって、この方法は、送信側では最大転送電力で送信しなくて済む信号対ノイズ比(SNR)の良い状態で有効に使用することができる。
【0144】
本発明が一実施例では、プリコーディング行列Pを、式27のP
12、式28のP
13、式29のP
14、式30のP
15のように表すことができる。
【0149】
式30のプリコーディング行列P
15はユニタリ行列であるから、ユニタリプリコーディング行列の利点を活用することができる。
【0150】
上述したプリコーディング行列の特定の列に定数を乗算して生成された行列、又は上述したプリコーディング行列に対して行列置換を行って得た行列を符号表の一部とすることができる。
【0151】
上述したすべてのプリコーディング行列の要素は、絶対値が1であり、その位相値が+0゜,+45゜,+90゜,+135゜,+180゜,−135゜,−90゜,−45゜のうちいずれか一つに対応する複素数から選択された。すなわち、プリコーディング行列の要素は、
【数44】
から選択された。しかし、これは例示のためのもので、絶対値が1であり、その位相値が互いに異なる複素数から構成された集合から選択してもよい。例えば、プリコーディング行列の要素は、
【数45】
(αは、任意の定数)から選択することができる。
【0152】
電力調整
一方、上述したような符号表設計において、各アンテナの転送電力調整及び/又は各階層の転送電力調整も重要な要素とされる。各アンテナ当たりの転送電力をできるだけ均一に調整しないと、各転送アンテナ別性能差を招くことにつながる。同様に、各転送階層当たりに電力をできるだけ均一に調整しないと、符号語ごとに性能差が出ることにつながる。
【0153】
したがって、本発明の一実施の形態では、プリコーディング行列において各アンテナに対応するすべての要素(プリコーディング行列の、特定の行のすべての要素)のノルムを用いて、アンテナ電力調整を考慮してプリコーディング行列を設計することを提案する。具体的に、式31で示されるプリコーディング行列を、式32のようにアンテナ電力調整を行った形態として用いることを提案する。
【0156】
また、本発明の一実施の形態では、各階層のすべての要素(プリコーディング行列の、特定の列のすべての要素)のノルムを用いて、階層電力調整を考慮してプリコーディング行列を設計することを提案する。具体的に、式33で示されるプリコーディング行列を、式34のように階層電力調整を行った形態として用いることを提案する。
【0159】
ここで、4Tx−ランク3プリコーディング行列の場合は、行の個数及び列の個数がランク2プリコーディング行列と違い、上述したアンテナ電力調整と階層電力調整を同時に行うのに適していないこともある点に注目する必要がある。ただし、特定の状況、例えば、転送時に特定パターンに従って転送に用いられる階層を変更させる階層移動(layer shift)方式を用いるシステムでは、上述した階層当たりに性能差が分散する効果を得ることができるため、上述したような階層電力調整が相対的にアンテナ電力調整に比べて重要でないこともある。したがって、本発明の一実施の形態では、アンテナ電力調整及び階層電力調整を同時に行うことができない場合、アンテナ電力調整を優先して行った形態のプリコーディング行列を用いることを提案する。
【0160】
一方、上述した4Tx−ランク3プリコーディング行列のうち、下記のプリコーディング行列は、各階層当たりに2個のシンボルが転送されることから、下記のようにアンテナ電力制御が行えることがわかる。
【0162】
同様に、上述した4Tx−ランク3プリコーディング行列のうち、下記のプリコーディング行列は、一つのアンテナ当たり一つのシンボルのみが転送されることから、階層電力調整を下記のように行えることがわかる。
【0164】
一方、本発明の他の実施形態では、アンテナ電力調整と階層電力調整を同時に行う観点から、下記のような4Tx−ランク3プリコーディング行列が下記のようなプリコーディング行列を含むことを提案する。
【0166】
すなわち、4Tx−ランク3プリコーディング行列として、特定の一つのアンテナには信号が転送されないように設定されたプリコーディング行列を用いる方式である。
【0167】
一方、4Tx−ランク4プリコーディング行列に対して階層電力調整を行った形態のプリコーディング行列の一例は、下記のとおりである。
【0169】
<符号表プルーニング>
4Txシステムでは、上述したランク1、ランク2、ランク3、ランク4に該当するプリコーディング行列を送/受信側で使用する符号表の要素として使用することができる。しかし、上述したすべてのプリコーディング行列を使用すると、符号表が大きすぎるため、性能をある程度維持しながらプリコーディング行列の個数を減らす必要がある。以下、プリコーディング行列の個数を減らす実施例について説明する。後述するプリコーディング行列を制約する方法は個別に又は共に用いることができる。
【0170】
符号表要素アルファベット制限
上述したすべてのプリコーディング行列の要素は、絶対値が1であり、その位相値が+0゜,+45゜,+90゜,+135゜,+180゜,−135゜,−90゜,−45゜のうちいずれか一つに対応する複素数から選択された。
【0171】
本発明の一実施例では、プリコーディング行列の個数を減らすために、行列の要素を、絶対値が1であり、その位相値が+0゜,+90゜,+180゜,−90゜のうちいずれか一つに対応する複素数から選択することができる。すなわち、プリコーディング行列の要素を、{1,j,−1,−j}から選択することができる。
【0172】
又は、45゜の角度で離れた8個のアルファベットのうち、任意のN個からなるサブセットから抽出して使用することもできる。
【0173】
ユニタリプリコーディング行列に制限
プリコーディング行列内のそれぞれの列ベクトルが互いに直交性を有する場合には、該プリコーディング行列は、ユニタリ行列又は部分ユニタリ行列となる。プリコーディング行列がこのような特徴を有する場合、追加的な利得を得ることができる。
【0174】
したがって、本発明の一実施例では、上述したすべてのプリコーディング行列のうち、ユニタリ行列又は部分的ユニタリ行列のみを集めて符号表を形成することができる。
【0175】
一例として、式39に並べたプリコーディング行列と、式40に並べたプリコーディング行列に対して行列置換を行って得られる行列を任意に組み合わせることで符号表を生成することができる。
【0177】
入れ子構造に制限
ランク1、ランク2、ランク3、ランク4のプリコーディング行列を構成する際に、ランク4のプリコーディング行列の列ベクトルを用いてランク2又はランク3のプリコーディング行列を構成することができると、これを、入れ子構造からなるプリコーディング行列という。特定のランク4プリコーディング行列をプリコーディング符号表の一部として使用する時には、そのランク4プリコーディング行列の列ベクトルを用いてランク3プリコーディング行列を構成可能でなければならず、プリコーディング行列の構成に制約が生じる。したがって、このノルムによって符号表大きさを制限することができる。
【0178】
本発明の一実施例では、ランク1、ランク2、ランク3、ランク4のプリコーディング行列が入れ子構造を有することができる。
【0179】
例えば、式40に列挙されたプリコーディング行列に対して行列置換を行って得られる行列の組み合わせで符号表を構成することができる。
【0181】
以上の式に表現された行列の他にも、種々の形態の適用可能な行列が存在できる。これらの行列は、以上の行列に対して行置換及び/又は列置換を行って得られるということが容易に理解できる。本発明で、プリコーディング行列に0の値を有する要素が存在するから、あるアンテナは、特定入力ストリームにはマッピングされないこともある。これをアンテナ選択機能として把握することもできる。
【0182】
II.符号表の具体的形態
以下では、上述した符号表設計原則を満たすように符号表を設計する方法であって、弦距離を考慮してより具体的に符号表内の各ランク当たりプリコーディング行列を決定する方法について説明する。
【0183】
図9は、弦距離の概念を説明するための図である。
【0184】
弦距離は、様々な符号表セットの性能を比較するノルムの一つとしてよく知られている。ここで、「弦」は、円周に位置する2個の地点をつなぐ直線を表す。したがって、2次元からすれば、弦距離は、
図9に示すように、(単位)円の円周上の2地点間の距離を表す。
【0185】
4Tx符号表の場合、4次元の弦距離を考慮しなければならず、下記の式を符号表セットを選択するための弦距離として用いることができる。
【0187】
上記の式41で、P=[v
1 v
2 … v
N]、Q=[u
1 u
2 … u
N]、(ここで、v
i,u
i(i=1,2,…N、4Txアンテナの場合N=4)は、行列P、Qの基本ベクトルである。そして、
【数57】
は、行列のフロベニウスノルム(Frobenius norm)である。上記の弦距離は、下記のような式によっても測定可能である。
【0188】
【数58】
・・・ (式42)
ここで、A及びBはそれぞれP及びQの正規直交生成行列(generation matrices)である。
【0189】
上記の弦距離概念を用いて、以下では、4個転送アンテナを使用するシステム(4Txシステム)に対して、上述の符号表設計をより具体化する。以下の説明では、説明の簡便さのために、電力調整に関連する係数を省いて表現するものとする。
【0190】
ランク2
まず、4Txランク2システムに対してCM性能を良好に維持させる下記のような3つのグループの符号表を仮定する。
【0191】
【数59】
【数60】
【数61】
・・・ (式43)
【0192】
上記のような形態を満たすプリコーディング行列の個数は相当に多いが、これらに対して合理的なノルムに従って所定個数のプリコーディング行列のみを含む符号表と設計することが好ましい。以下では、下記のようなノルムを用いて各ランク当たりのプリコーディング行列個数を所定個数以下に制限することを提案する。
ノルム1:弦距離
ノルム2:各グループから均一に選択されるか否か(符号表内のプリコーディング行列/ベクトルの個数がグループの個数で割り切れない場合、上記のノルム1を考慮してできるだけ均等に選択する。)
【0193】
このようなノルムは、以下に説明されるランク3及びランク4の場合にも同一に適用することを提案する。
【0194】
具体的に、本発明の一実施の形態では、上記ノルム1を用いて特定ランクに対する符号表からプリコーディング行列セットを選択することを提案する。第1の段階として、一つの符号表内ですべてのプリコーディング行列対に対して上記の式42を用いて弦距離を計算する。例えば、4個の符号表セットがある場合、4個の最小弦距離値は、下記のように計算できる。
d
1c,min=1,d
2c,min=0.56,d
3c,min=0.71及びd
4c,min=1
【0195】
この場合、d
ic,min(iは、符号表セット番号)値が大きいほどシステム性能が向上するから、1番目及び4番目の符号表が次の選択段階に進行することが好ましい。
【0196】
第2の段階として、様々な無線チャネル環境に適用するために、各グループ当たりにできるだけ均等にプリコーディング行列を選択することを提案する。例えば、3個の符号表グループがあり、ランク2符号表として16個のプリコーディング行列を必要とする場合、5個のプリコーディング行列が2個グループから選択され、6個のプリコーディング行列が残り一つのグループから選択されることを提案する。例えば、最初の2個のグループから5個のプリコーディング行列が選択され、最後の1個のグループから6個のプリコーディング行列が選択されることを提案する。本発明の一実施の形態では、上述したとおり、各プリコーディング行列の要素値(alphabet)を制限することを考慮できる(例えば、X=1,j,−1,−j)に制限)。上述したような過程によって構成可能な4Txランク2に対する符号表の例は、下記のとおりである。
【0197】
表1
ランク2符号表セット1−1
【数62】
ランク2符号表セット2−1
【数63】
ランク2符号表セット3−1
【数64】
ランク2符号表セット4−1
【数65】
ランク2符号表セット5−1
【数66】
ランク2符号表セット6−1
【数67】
ランク2符号表セット7−1
【数68】
ランク2符号表セット8−1
【数69】
ランク2符号表セット9−1
【数70】
ランク2符号表セット10−1
【数71】
ランク2符号表セット11−1
【数72】
ランク2符号表セット12−1
【数73】
【0198】
上記の表1で表した符号表はいずれも例示であって、行置換及び/又は列置換を全部又は一部のプリコーディング行列に適用することができる。
【0199】
4Txランク2符号表が15個のプリコーディング行列を含む場合、各プリコーディング行列グループのうち、最も多いプリコーディング行列が選択されたグループから1個プリコーディング行列を除去して構成することができる。上述の方式で構成される4Txランク2符号表の例は、下記のとおりである。
【0200】
表2
ランク2符号表セット1−2
【数74】
ランク2符号表セット2−2
【数75】
ランク2符号表セット3−2
【数76】
ランク2符号表セット4−2
【数77】
ランク2符号表セット5−2
【数78】
ランク2符号表セット6−2
【数79】
ランク2符号表セット7−2
【数80】
ランク2符号表セット8−2
【数81】
ランク2符号表セット9−2
【数82】
ランク2符号表セット10−2
【数83】
ランク2符号表セット11−2
【数84】
ランク2符号表セット12−2
【数85】
【0201】
上記の表2に表した符号表も同様、例示的なもので、各プリコーディング行列の全体又は一部に行置換及び/又は列置換を行うことができる。
【0202】
ランク3−第1の実施の形態
CM特性を良好に維持させる4Txランク3符号表設計のために、下記のように3個のプリコーディング行列グループを仮定する。以下においても同様、電力調整関連係数は省いて表現する。
【0203】
グループ1
【数86】
グループ2
【数87】
グループ3
【数88】
・・・ (式44)
【0204】
ランク3の場合もランク2と同様に、上述のノルム1及びノルム2にしたがって符号表を構成することを提案する。具体的に、上記の式42を用いて符号表内の可能なすべてのプリコーディング行列の組み合わせに対して弦距離を算定した後、最大弦距離を有する最小個数のセットを選択することができる。また、各グループ(グループ1、2、3)からプリコーディング行列をできるだけ均等に選択することを提案する。各グループ内のプリコーディング行列成分で表現されたアルファベットを(1,j,−1,−j)に制限すると、最小弦距離dc,=0.707を満たす下記のような符号表を獲得することができる。
【0205】
表3
ランク3符号表セット1−1
【数89】
ランク3符号表セット2−1
【数90】
ランク3符号表セット3−1
【数91】
ランク3符号表セット4−1
【数92】
ランク3符号表セット5−1
【数93】
ランク3符号表セット6−1
【数94】
ランク3符号表セット7−1
【数95】
ランク3符号表セット8−1
【数96】
【0206】
上記の表3に表した符号表も同様、一部又は全体プリコーディング行列に行置換及び/又は列置換を行うことができる。
【0207】
ランク3符号表に15個のプリコーディング行列のみ含まれる場合、上記の表3の符号表において各グループのうち最も多いプリコーディング行列が選択されたグループのプリコーディング行列を一つを除去して、下記のように構成することができる。
【0208】
表4
ランク3符号表セット1−2
【数97】
ランク3符号表セット2−2
【数98】
ランク3符号表セット3−2
【数99】
ランク3符号表セット4−2
【数100】
ランク3符号表セット5−2
【数101】
ランク3符号表セット6−2
【数102】
ランク3符号表セット7−2
【数103】
ランク3符号表セット8−2
【数104】
【0209】
上記の表4も同様、全体又は一部プリコーディング行列に行置換及び/又は列置換を行うことができる。
【0210】
ランク3−第2の実施の形態
本実施の形態では、CM特性を良好に維持するプリコーディング行列グループ6個を用いて符号表を構成する方法を説明する。CM特性を良好に維持する6個の4Tx−ランク3プリコーディング行列グループは、下記のように表すことができる。
【0212】
上記の式45で表した6個のグループから24個のプリコーディング行列を含むランク3符号表の一例は、下記のとおりである。下記の例は、複雑度を減らす目的で、プリコーディング行列成分として表現されたアルファベットが1,j,−1,−jに制限されたケースに該当する。
【0214】
他の例として、上記の式45に表したグループのうち、グループ1に列置換を適用して生成可能なグループ4を排除して用いる方法を提案する。一般に、3個の列ベクトルが[c1,c2,c3]で表現される場合、[c1,c3,c2]、[c2,c1,c3]、[c2,c3,c1]、[c3,c2,c1]、[c3,c1,c2]のような6個の列置換行列の生成が可能である。
【0215】
上述したとおり、特定ベクトル置換行列を使用しない動機は、エンコーディングされたシーケンスはプリコーディング行列の特定の列ベクトル(又は特定の階層)にマッピングされるからである。上記のプリコーディング行列のグループで2個の独立してエンコーディングされた符号語が、下記のように異なる階層にマッピングされると仮定する。
(1)1番目の符号語は1番目の階層にマッピングされる。
(2)2番目の符号語は2番目及び3番目の階層に均等に分散してマッピングされる。
【0216】
このような符号語階層マッピングを仮定する場合、特定の列置換は、互いに異なる符号語間に平均SINR差を招かない。例えば、列ベクトル[c1,c2,c3]が[c1,c3,c2]に置換された場合は、2番目の符号語に対する階層のみがスワッピングされることがわかる。このように、同一の2番目の符号語が均等に分散してマッピングされる2個の階層間のスワッピングは性能変化を招かず、符号表に上述のような列ベクトル置換プリコーディング行列を別に含める必要はない。したがって、このような論理から、2番目及び3番目の列ベクトルのみを置換して生成されるグループを排除し、下記のようなプリコーディング行列グループのみを考慮することを提案する。
【0218】
下記の符号表は、前記プリコーディング行列グループ内のアルファベットを1,j,−1,−jに制限し、20個のプリコーディング行列を含む4Txランク3符号表の例を示すものである。
【0220】
一方、本発明の他の実施の形態では、高いランクで最適の性能を獲得するために必要なプリコーディング行列の個数が、低いランクで最適の性能を獲得するために必要なプリコーディング行列の個数よりも小さいから、ランク3符号表が24個未満のプリコーディング行列を含むように制限することができる。この場合、上記のノルム2を用いて6個のプリコーディング行列グループから下記のように均等にプリコーディング行列を選択して構成することができる。
【0222】
上記の表7は、単純にe
−jθを特定の列ベクトルに乗算したり、プリコーディング行列内の列置換が性能向上に影響を与えないことから符号表内のプリコーディング行列の個数を12個に制限したりする例を示している。一方、本発明の一実施の形態では、アンテナ選択利得を獲得するためにアンテナ置換を行うことができる。これは、上述した符号表内のプリコーディング行列の行置換によって具現することができる。
【0223】
ランク3−第3の実施の形態
本実施の形態では、CM性能を良好に維持するプリコーディング行列として、下記のような6個のプリコーディング行列グループを考慮することを仮定する。
【0224】
【数110】
【数111】
【数112】
【数113】
【数114】
【数115】
・・・ (式47)
【0225】
上記の式47で、グループ1を参照すると、上述のような符号語階層マッピング関係を考慮して[c1,c3,c2]、[c2,c1,c3]、[c2,c3,c1]、[c3,c2,c1]、[c3,c1,c2]から3個の置換行列を選択したことかわかる。グループ4の場合、一つの構成プリコーディング行列が除外されていることがわかる。これは、既にグループ1に含まれているからである。本実施の形態は、特に階層移動動作がなされない場合に活用することが好ましい。本実施の形態では、列置換がされたプリコーディング行列セットを含む符号表を用いることによって階層移動を具現することができる。これによって、情報シーケンスはすべての階層にマッピングされることができ、よって、階層間に存在する信号対干渉及びノイズ比(SINR)の差を平準化することができる。
【0226】
本実施の形態でも、上記のノルム1及びノルム2を用いてプリコーディング行列を選択することができる。
【0227】
ランク3−第4の実施の形態
本実施の形態でCM特性を良好に維持するプリコーディング行列グループとして下記のような3個のグループを考慮する。
【0229】
上記の式48に表したプリコーディング行列グループのうち、最後のベクトル
【数117】
は、DFTベースのプリコーディングベクトル/行列、又はハウスホールドベースのプリコーディングベクトル/行列のような異なるプリコーディング行列でありうる。例えば、3GPP LTEシステム(リリース8システム)のランク1符号表がその一例である。好ましくは、
【数118】
の直交性/部分ユニタリ特性を維持するために、行列
【数119】
及び
【数120】
はユニタリ特性を満たさなければならない。同様に、行列
【数121】
の行列
【数122】
及び
【数123】
、そして
【数124】
の行列
【数125】
及び
【数126】
は、ユニタリ特性を満たさなければならない。これは、パラメータが下記のような関係を満たすべきということを意味する。
【0230】
グループ1で: a=1,b=−X,及びc=−d・Y
*
グループ2で: a’=1,b’=−X,及びc’=−d’・Y
*
グループ3で: a”=1,b”=−X,及びc”=−d”・Y
*
・・・ (式49)
【0231】
ここで、特定プリコーディング行列の列ベクトルに一定の複素定数を乗じても同一のプリコーディング行列を表すと見なされるため、a、a’、a”は、1と仮定する。
【0232】
好ましくは、本実施の形態は、階層置換が動作する場合に有用でありうる。階層置換動作は、特定の情報シーケンスがすべての階層に巡回的にマッピングされて転送されるように設定することによって、階層別SINR性能差を均一化することを意味する。互いに異なる階層に同一の電力が用いられる場合、0を成分として含まない最後の列に対応する最後の階層のデータシーケンスが最高の電力(プリコーディング出力信号観点で)を有することとなる。
【0233】
階層置換が使用されないで直列干渉除去(SIC)受信器アルゴリズムが使用される場合、第1符号語がマップされる階層は、送信電力が他のプリコーディングベクトル列より比較的大きいプリコーディングベクトル列に対応することが好ましい。式48の場合、第3列は他よりも大きな送信電力を有する。第1列が第1階層にマップされる場合、第3列は第3階層にマップされ、式48の代わりに式48aを用いてもよい。このプリコーディング行列構造によって、複数の符号語送信が行われるとき、符号語全体が正しく復号される確率が向上するので、階層置換が行われないでSIC受信器が用いられる場合の性能を向上させることができる。
【0235】
ランク3−第5の実施の形態
本実施の形態ではCM性能を良好に維持するプリコーディング行列グループとして下記のようなグループを仮定する。
【0237】
上記の式50に表したプリコーディング行列グループは、上記の第4の実施形態で行又は列置換がなされたバージョンのプリコーディング行列で構成される。式50のプリコーディング行列グループで列ベクトル
【数129】
は、DFTベースのプリコーディングベクトル/行列又はハウスホールドベースのプリコーディングベクトル/行列のような、異なるプリコーディング行列でありうる。例えば、3GPP LTEシステム(release 8システム)のランク1符号表がその一例である。
【0238】
上記の第4の実施形態と略同様に、プリコーディング行列ベクトルは互いに直交し、プリコーディング行列グループの、すべての列ベクトルの最初の0でない要素が1であることが好ましい。
【0239】
本実施の形態による符号表は、上記第4の実施形態のプリコーディング行列に列置換がなされたプリコーディング行列を含む。上述したとおり、列ベクトル[c1,c2,c3]を有するプリコーディング行列は、[c1,c3,c2]、[c2,c1,c3]、[c2,c3,c1]、[c3,c2,c1]、[c3,c1,c2]のような5個の列置換プリコーディング行列を含め、6個のプリコーディング行列を有することができる。
【0240】
特定の列置換プリコーディング行列を含まない理由は、上述したとおり、第1符号語が第1階層にマッピングされ、第2符号語が第2階層と第3階層に分配してマッピングされるシステムにおいてプリコーディング行列の2番目の列と3番目の列の置換は性能差を招かないからである。
【0241】
ランク3−第6の実施の形態
本実施の形態によるプリコーディング行列は、上記の第4の実施形態による符号表のプリコーディング行列に行置換がなされた形態を有する。これは、行置換を用いたアンテナスイッチングによって利得を得ることができるからである。
【0242】
本実施の形態によるプリコーディング行列グループは、下記のように表すことができる。
【0243】
【数130】
【数131】
【数132】
・・・ (式51)
【0244】
列ベクトル
【数133】
又はこれらの行置換の形態は、DFTベースのプリコーディングベクトル/行列又はハウスホールドベースのプリコーディングベクトル/行列のような、異なるプリコーディング行列でありうる。例えば、3GPP LTEシステム(リリース8システム)のランク1符号表がその一例である。
【0245】
上記の第4の実施形態と同様に、プリコーディング行列の列ベクトルは、互いに直交し、同時にプリコーディング行列のa、a’、a”は1となることが好ましい。本実施の形態による符号表の一例は、下記のように表すことができる。
【0246】
【数134】
【数135】
【数136】
・・・ (式52)
【0247】
ランク3−第7の実施の形態
本実施の形態による符号表は、第5の実施の形態による符号表の行置換形態を有する。本実施の形態による符号表の一例は、下記のように表すことができる。
【0248】
【数137】
【数138】
【数139】
・・・ (式53)
【0249】
列ベクトル
【数140】
又はこれらの行置換の形態は、DFTベースのプリコーディングベクトル/行列又はハウスホールドベースのプリコーディングベクトル/行列のような、異なるプリコーディング行列でありうる。例えば、3GPP LTEシステム(リリース8システム)のランク1符号表がその一例である。
【0250】
上記の第4の実施形態と同様に、プリコーディング行列の列ベクトルは、互いに直交し、同時にプリコーディング行列のa、a’、a”は1となることが好ましい。本実施の形態による符号表は、アンテナ置換動作がなされない場合に用いることが好ましい。本実施の形態による符号表を用いることによって、行置換のなされたプリコーディング行列を用いてアンテナ置換効果を具現できるからである。
【0251】
本実施の形態による符号表の一例は、下記のように表すことができる。
【0252】
【数141】
【数142】
【数143】
・・・ (式54)
【0253】
追加的なプリコーディング行列選択基準
本実施の形態では、上記のノルム1及びノルム2に加えて、各プリコーディング行列グループ内のアルファベットで表現された成分を、8個の値から選択せずに、1,j,−1,−jに制限することで、符号表に含まれるプリコーディング行列の個数を減少させる方式を考慮する。
【0254】
このような実施の形態によって16個のプリコーディング行列を含む符号表セットを考慮する。例えば、4Txアンテナに対するランク1 DFTベクトルは、下記のように表すことができる。
【0255】
ユニタリ行列となるように1/√Nに正規化されたF
N=e
−j2π/Nのように与えられる成分を用いたN*N DFT行列(又は、フーリエ行列)は、下記のように表すことができる。
【0257】
上記の式55の1番目から4番目の行における16個の4×1の列ベクトルで構成される4Txアンテナに対するランク1 DFTベクトルは、下記のように表すことができる。
【0259】
4Txランク1ハウスホールドベクトルは、下記のように表すことができる。
【0261】
符号表大きさの制限
上述したとおり、符号表に含まれるプリコーディング行列の個数を制限するために、第1ノルム乃至第3ノルムのうち少なくとも一つを用いることができる。本実施の形態では、上述の説明のうち、各ランク当たり符号表の大きさ制限、特に、ランク1符号表に対する大きさ制限の観点について説明する。
【0262】
現在、3GPP LTEシステムのダウンリンク4Tx符号表は、各ランクに対して同一に16個のベクトル/行列を有するように規定している。しかし、様々な研究から、高いランクで最適の性能を獲得するために必要なプリコーディング行列の個数は、低いランクで必要なプリコーディング行列の個数に比べて小さいことが知られている。このような点から、本実施の形態では、低いランクに対するプリコーディング行列の個数が、高いランクに対するプリコーディング行列の個数より多くなるように設計して、各ランクに従ってプリコーディング行列の個数が別々に設計される符号表形態を提案する。
【0263】
一方、移動通信システムでは、様々な転送モードが適用できる。セル境界に位置しているユーザ装置(UE)がランク1 PMI(Precoding Matrix Indicator)を用いて閉ループ(closed loop)動作を適用するためにX番目の転送モードが有用に用いられる場合を仮定する。このような場合、ランク1 PMIベクトルは、簡単に開ルートMIMO(Open loop MIMO)/閉ループMIMO(closed loop MIMO)のようなY番目の転送モードを適用するための全体ランクに対するプリコーディング行列で構成される全体符号表内のランク1プリコーディング行列から選択して用いることができる。ここで、X番目の転送モードとY番目の転送モードは互いに異なると仮定する。Y番目の転送モードの場合、ランク1に対する符号表の大きさは、2の累乗の形態とならないように設定することができる。また、ランク1に対する符号表の大きさが2の累乗の形態を有しても、有意な性能向上なしに符号表の大きさのみを増加させることもある。そこで、本実施の形態では、適切な性能を有しながらも少ないフィードバック情報で表現可能となるように符号表の大きさを合理的に制限することを提案する。
【0264】
まず、Y番目の転送モードを適用するための各ランク当たりプリコーディング行列個数を、A−ランク1、B−ランク2、C−ランク3、D−ランク4と仮定する(ただし、D≦C≦B≦A)。この場合、全体符号表の大きさはA、B、C及びDの和となる。このような符号表の大きさを適用するためには、下記の条件を満たすmビットシグナリングが必要とされる。
【0265】
A + B + C + D ≦ 2
m ・・・ (式56)
【0266】
UEがX番目の転送モードを用いるように構成される場合、UEは、ランク1 PMI情報を用いることとなる。好ましくは、シグナリングに必要なビット数を減少させるために、2
n個(n<m)のランク1 PMIを新しく規定するとよい。このようにシグナリングビット数を減少させるために利用可能な方法には、下記のような方法がある。
(1)方法1 可能な場合、偶数番目のインデックスを選択
(2)方法2 可能な場合、奇数番目のインデックスを選択
(3)方法3 最初2
n個のインデックスを選択
(4)方法4 最後2
n個のインデックスを選択
(5)方法5 任意にインデックスを選択
(6)方法6 シグナリングによって構成
【0267】
例えば、Y番目の転送モードのために、ランク1用に33個、ランク2用に15個、ランク3用に15個、ランク4用に4個のプリコーディング行列を与えることができる。
【0268】
この場合、16個のプリコーディング行列のみを表すためのランク1符号表を構成する方法は、下記のとおりである。
(1)方法1 偶数番目のインデックスを選択
(2)方法2 奇数番目のインデックスを選択
(3)方法3 最初16個のインデックスを選択
(4)方法4 最後16個のインデックスを選択
(5)方法5 任意にインデックスを選択
(6)方法6 シグナリングによって構成
【0269】
一方、32個のプリコーディング行列のみを表すためのランク1符号表を構成する方法は、下記のとおりである。
(1)方法1 最初32個のインデックスを選択
(2)方法2 最後32個のインデックスを選択
(3)方法3 任意にインデックスを選択
(4)方法4 シグナリングによって構成
【0270】
16個のダウンリンクランク1ベクトルが、32個のプリコーディング行列を含むランク1用の符号表に含まれる場合、下記の方法(I)及び(II)のような制限方式を用いることができる。
【0271】
制限方法(I)は、大きさ16のランク1符号表を構成する場合に対応し、その詳細は次のとおりである。
【0272】
(A)16個のダウンリンクランク1ベクトルを選択
(B)ダウンリンクランク1ベクトルにかかわらずに16大きさのランク1符号表を選択
(1)最初16個のインデックスを選択
(2)最後16個のインデックスを選択
(3)任意にインデックスを選択
(4)シグナリングによって構成
【0273】
別の制限方法(II)は大きさ32のランク1符号表を構成する場合に対応し、その詳細は次のとおりである。
【0274】
(A)16個のダウンリンクランク1ベクトル+追加ベクトル選択
(1)最初16個のインデックスを選択
(2)最後16個のインデックスを選択
(3)任意にインデックスを選択
(4)シグナリングによって構成
(B)ダウンリンクランク1ベクトルにかかわらずに32大きさのランク1符号表を選択
(1)最初32個のインデックスを選択
(2)最後32個のインデックスを選択
(3)任意にインデックスを選択
(4)シグナリングによって構成
【0275】
上述したような様々な方式によって、各ランク別符号表個数を効率的に構成することができる。
【0276】
III.装置構成
以下では、上述したとおり、ユーザ装置がPAPR又はCM特性を良好に維持しながら、アップリンク信号転送にMIMO方式を適用するために備えるべき構成について説明する。
【0277】
図10は、一般的な基地局とユーザ装置の構成を説明するための図である。
【0278】
一般に、基地局10は、プロセッサ11、メモリ12、及びアップリンク信号の受信及びダウンリンク信号の転送を行う送受信モジュールとしてRFモジュール13を含む。プロセッサ11は、ダウンリンク信号転送のためにメモリ12に保存されている情報、例えば、ダウンリンク信号転送のための符号表内の特定プリコーディング行列を用いてダウンリンク信号転送を制御し、また、アップリンク信号の受信のためにメモリ12に保存されている情報、例えば、アップリンク信号にプリコーディングの逆過程としてユーザ装置20が用いたプリコーディング行列と同じプリコーディング行列のエルミート行列を乗算する等の信号受信過程を制御することができる。
【0279】
ユーザ装置20も同様、プロセッサ21、メモリ22、及びアップリンク信号の転送及びダウンリンク信号の受信のための送受信モジュールとしてRFモジュール23を含むことができる。プロセッサ21は、アップリンク信号転送のためにメモリ22に保存されている情報、例えばアップリンク信号転送のための上述した実施の形態で説明したような符号表内の特定プリコーディング行列を用いてアップリンク信号転送を制御し、また、ダウンリンク信号受信のためにメモリ22に保存されている情報、例えば、ダウンリンク信号にプリコーディングの逆過程としてユーザ装置20が用いたプリコーディング行列と同じプリコーディング行列のエルミート行列を乗算する等の信号受信過程を制御することができる。
【0280】
一方、上記の構成のうち、ユーザ装置20(又は、基地局10)のプロセッサの構成、特に、SC−FDMA方式で信号を転送するための構成についてより詳細に説明する。まず、3GPP LTEシステムでSC−FDMA方式信号転送のためのプロセッサ構成と一般的なOFDM方式の信号転送のためのプロセッサ構成を説明し、本発明の一実施の形態によってユーザ装置がMIMO方式を組み合わせてアップリンク信号をSC−FDMA方式で転送するためのプロセッサの構成について説明する。
【0281】
図11及び
図12は、3GPP LTEシステムでアップリンク信号転送のためのSC−FDMA方式とダウンリンク信号転送のためのOFDMA方式を説明するための図である。
【0282】
まず、
図11を参照すると、アップリンク信号転送のためのユーザ装置及びダウンリンク信号転送のための基地局は両方とも、直列−並列変換器401、副搬送波マッパ403、M−ポイントIDFTモジュール404、及び並列−直列変換器405などを含む点では同一である。ただし、SC−FDMA方式で信号を転送するためのユーザ装置は、N−ポイントDFTモジュール402をさらに含み、M−ポイントIDFTモジュール404のIDFT処理影響を一定部分打ち消すことで、転送信号が単一搬送波の特性を有するようにすることが異なる。
【0283】
図12では、3GPP LTEシステム規格を規定しているTS 36.211に示されたアップリンク信号処理過程のためのブロック図、及び
図11に示すSC−FDMA方式で信号を転送するためのプロセッサの構成との関係を示している。TS 36.211に従うと、アップリンク信号転送のためにユーザ装置ごとに特定スクランブルシーケンスを用いて転送信号にスクランブルを行い、このスクランブルされた信号を変調して複素シンボルを生成する。以降、複素シンボルにDFT拡散処理を行う変換プリコーディングを行う。すなわち、TS 36.211で規定する変換プリコーダは、NポイントDFTモジュールに対応することができる。その後、当該DFT拡散された信号は、リソース要素マッパによってリソースブロック単位のマッピング規則にしたがって特定リソース要素にマッピングされ、これは、
図11の副搬送波マッパに対応することがわかる。このようにリソース要素にマッピングされた信号は、SC−FDMA信号生成モジュールによってMポイントIDFT又はIFFT処理され、並列−直列変換された後、CPが付加される。
【0284】
一方、
図12では、このような過程を経て基地局に転送された信号を受信するための基地局のプロセッサ構成も示している。
【0285】
このように、3GPP LTEシステムでSC−FDMA転送のためのプロセッサ構成は、MIMO方式を適用するための構成を含んでいない。したがって、まず、3GPP LTEシステムでMIMO転送のための基地局のプロセッサ構成について説明し、続いて、これを用いてユーザ装置がSC−FDMA方式とMIMO方式を結合してアップリンク信号を転送するためのプロセッサの構成について説明する。
【0286】
図13は、3GPP LTEシステムにおいてMIMO方式で基地局がダウンリンク信号を転送するためのプロセッサ構成を示す図である。
【0287】
3GPP LTEシステムにおいて基地局は、ダウンリンクで一つ以上の符号語を転送することができる。したがって、一つ以上の符号語はそれぞれ、
図12のアップリンクにおいてと同様に、スクランブルモジュール301及び変調マッパ302で複素シンボルとして処理されることができ、該複素シンボルは、階層マッパ303によって複数の階層にマッピングされ、各階層は、プリコーディングモジュール304でチャネル状態に応じて選択された所定プリコーディング行列と乗算されて各転送アンテナに割り当てられることができる。このように処理された各アンテナ別転送信号はそれぞれ、リソース要素マッパ305で転送に用いられる時間−周波数リソース要素にマッピングされ、続いて、OFDM信号発生器306を経て各アンテナから転送されることができる。
【0288】
ただし、
図13のような3GPP LTEシステムにおけるダウンリンク信号方式によると、PAPR又はCM特性が劣化する問題につながることがある。したがって、ユーザ装置は、
図11及び
図12を参照して上述したような、良好なPAPR、CM特性を維持するためのSC−FDMA方式と
図13のMIMO方式とを効率的に結合し、上述の実施の形態で説明したような、良好なPAPR、CM特性を維持できるプリコーディング行列を用いてプリコーディングを行うための構成を必要とする。
【0289】
まず、本発明の好ましい一実施の形態によって、多重アンテナを通じてアップリンクで信号を転送するためのユーザ装置は、信号送受信用の多重アンテナ(図示せず)を含むと仮定する。また、
図10を参照すると、ユーザ装置20は、多重アンテナのそれぞれにつき一つの階層信号が転送されるように設定されたプリコーディング行列を含む符号表を保存するメモリ22、多重アンテナ(図示せず)、及びメモリ(22)に接続されてアップリンク信号転送を処理するプロセッサ21を含む。このような構成を有するユーザ装置のプロセッサ21の構成についてより具体的に説明する。
【0290】
図14は、本発明の好ましい一実施の形態によるユーザ装置のプロセッサ構成を具体的に示す図である。
【0291】
図14に示すように、本発明の好ましい一実施の形態によるユーザ装置20のプロセッサは、アップリンク信号を特定ランクに対応する個数の階層にマッピングする階層マッパ1401、所定個数の階層信号のそれぞれにDFT拡散を行う所定個数のDFTモジュール1402、及びメモリ22に保存されている符号表から多重アンテナ1405のそれぞれにつき一つの階層信号が転送されるように設定された特定プリコーディング行列を選択して、DFTモジュール1402から受信したDFT拡散された階層信号のそれぞれをプリコーディングするプリコーダ1403と、を含むことを提案する。特に、本実施の形態では、DFTモジュール1402が各階層信号をそれぞれ拡散し、階層信号それぞれを拡散するDFTモジュール1402をプリコーダ1403の直前段階に位置すると共に、プリコーダ1403のプリコーディング時に各階層信号が一つのアンテナにマッピングされて転送されるように構成することによって、各階層信号の単一搬送波特性を維持し、良好なPAPR/CM特性を維持するようにすることを特徴とする。一方、ユーザ装置20は、このようにプリコーディングされた信号にSC−FDMAシンボル構成のための処理(例えば、IFFTモジュール1404による時間領域信号生成及びCP付加等)をして、多重アンテナ1405を通じて基地局に転送する転送モジュールをさらに含む。
【0292】
一方、プリコーダ1403は、メモリ22に保存されている符号表から信号転送に用いるプリコーディング行列を選択してプリコーディングに使用することができ、これらのプリコーディング行列は、多重アンテナそれぞれの転送電力及び/又は階層それぞれの転送電力が均等となるように設定されたプリコーディング行列とすることが好ましい。
【0293】
多重アンテナ1405の個数は、2個又は4個とすることができる。また、本発明の一実施の形態によるユーザ装置のプロセッサは、特定符号語がマッピングされる階層を周期的に又は非周期的に変更する階層移動機能及び/又は特定階層信号が転送されるアンテナを周期的又は非周期的に変更するアンテナ移動機能をさらに行うことができる。階層移動機能は、階層マッパ1401によってプリコーダ1403のプリコーディングと別に行われることもでき、プリコーダ1403がプリコーディングの際にプリコーディング行列の列置換によって行うこともできる。また、アンテナ移動機能も同様、プリコーディングと別に又はプリコーディング行列の行置換によって行うことができる。
【0294】
以上で説明された実施例は、本発明の構成要素や特徴が所定形態で結合してなるものである。各構成要素又は特徴は、別の明示的な言及がない限り、選択的なものとして考慮しなければならない。各構成要素又は特徴は、別の構成要素や特徴と結合しない形態で実施することもできる。また、一部の構成要素及び/又は特徴を結合して本発明の実施例を構成することもできる。本発明の実施例で説明される動作の順序は変更可能である。ある実施例の一部構成や特徴は別の実施例に含まれることもでき、又は、別の実施例の対応する構成又は特徴に取って代わることもできる。特許請求の範囲で引用関係が明示されていない請求項を結合して実施例を構成したり、出願後の補正によって新しい請求項として含めたりできることは明らかである。
【0295】
本発明に係る実施例は、様々な手段、例えば、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア又はそれらの結合などによって具現することができる。ハードウェアによる具現の場合、本発明の一実施例は、一つ又はそれ以上の特定用途集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、デジタル信号処理デバイス(DSPD)、プログラマブル論理デバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサなどによって具現することができる。
【0296】
ファームウェアやソフトウェアによる具現の場合、本発明の一実施例は、以上で説明された機能又は動作を行うモジュール、手順又は関数などの形態で具現することができる。ソフトウェアコードはメモリユニットに記憶されてプロセッサによって駆動されることができる。メモリユニットは、プロセッサの内部又は外部に設けられて、既に公知の様々な手段によってプロセッサとデータを交換することができる。
【0297】
本発明は、本発明の技術的思想及び必須特徴を逸脱し範囲で他の特定の形態に具体化できることは、当業者には自明である。したがって、上記の詳細な説明はいずれの面においても制約的に解釈されてはならず、例示的なものとして考慮されなければならない。本発明の範囲は、添付の請求項の合理的解釈によって決定されなければならず、よって、本発明の等価的範囲内における変更はいずれも、本発明の範囲に含まれる。
【0298】
上記の説明から明らかなように、本発明はMIMO方式を用いてアップリンク信号を送信しつつ、PAPR又はCM特性を維持することができる。
【0299】
さらに、本発明はアンテナ/階層の送信電力を均一に制御又は調整し、プリコーディング行列情報に必要な信号オーバーヘッド量を最小にし、最大のダイバシチ利得を得ることができる。