特許第6196276号(P6196276)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6196276
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】充電制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/32 20060101AFI20170904BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20170904BHJP
   H02J 3/46 20060101ALI20170904BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20170904BHJP
【FI】
   H02J3/32
   H02J3/38 110
   H02J3/46
   H02J7/00 Y
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-220169(P2015-220169)
(22)【出願日】2015年11月10日
(65)【公開番号】特開2016-149924(P2016-149924A)
(43)【公開日】2016年8月18日
【審査請求日】2015年11月10日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0021090
(32)【優先日】2015年2月11日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】593121379
【氏名又は名称】エルエス産電株式会社
【氏名又は名称原語表記】LSIS CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】リ ソン チュン
【審査官】 杉田 恵一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−294298(JP,A)
【文献】 特開2003−9403(JP,A)
【文献】 特開2003−309887(JP,A)
【文献】 特開2007−252175(JP,A)
【文献】 特開2011−67047(JP,A)
【文献】 特開2012−50158(JP,A)
【文献】 特開2013−162635(JP,A)
【文献】 特開2013−246548(JP,A)
【文献】 特開2014−143771(JP,A)
【文献】 特表2015−507451(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0146610(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0077768(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0152100(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/32
H02J 3/38
H02J 3/46
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電制御装置において、
バッテリを充電または放電する複数のスレーブを含む一つ以上のスレーブグループと、
前記一つ以上のスレーブグループの動作を制御するための制御信号を前記一つ以上のスレーブグループに伝送し、前記一つ以上のスレーブグループそれぞれに含まれた複数のスレーブのうちいずれか一つを代替マスタとして選定するマスタと、を含み、
前記代替マスタは、前記マスタの全機能のうち一部または全部を行うスレーブであり、
前記代替マスタが前記マスタの一部の機能を行う場合、前記一部の機能はスレーブの過負荷の発生可否を検出する機能を含み、
複数の代替マスタのうちいずれか一つの代替マスタが他のスレーブグループに含まれたスレーブの過負荷を検出した場合、過負荷を検出した代替マスタは過負荷が発生したスレーブに関する情報を他の代替マスタまたは前記マスタに伝送することを特徴とする、充電制御装置。
【請求項2】
前記複数のスレーブの間を連結または分離する複数のスイッチの対を更に含み、
前記マスタは、受信された情報に基づいて過負荷が発生したスレーブをバイパス処理するように前記複数のスイッチの対の動作を制御する、請求項に記載の充電制御装置。
【請求項3】
前記バイパス処理は、前記複数のスレーブのうちエラーが発生したスレーブを除き、残りのスレーブの間に前記制御信号を伝達するように前記複数のスイッチの対の動作を制御する処理過程である、請求項に記載の充電制御装置。
【請求項4】
前記マスタは、前記複数のスレーブのうちエラーが発生したスレーブを確認するために制御信号を伝送し、
前記代替マスタは、前記制御信号に対応した応答信号に基づいてエラーが発生したスレーブを確認する、請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の充電制御装置。
【請求項5】
前記応答信号は、複数のスレーブそれぞれの状態情報を示す応答データを含むデータフレームを含む、請求項に記載の充電制御装置。
【請求項6】
前記状態情報は、各スレーブに流れる電流値及び電圧値のうち少なくともいずれか一つを含む、請求項に記載の充電制御装置。
【請求項7】
前記代替マスタは、スレーブに流れる電流値が予め設定された値以上であれば該当スレーブに過負荷がかかったと判断する、請求項に記載の充電制御装置。
【請求項8】
前記複数のスレーブ及び前記マスタはリング構造を有するように直列連結される、請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の充電制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は充電制御装置に関するものである。より詳しくは、エネルギー貯蔵システムのエネルギー管理を効率的に行うための充電制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気エネルギーは変換と伝送が容易で広く使用されている。このような電気エネルギーを生産するために様々な発電システムが使用されている。特に、最近は石油など化石エネルギーの枯渇と環境汚染に関する懸念のため代替エネルギーに関する関心が高まっており、太陽光発電、風力発電などに関する関心が高まっている。太陽光発とは太陽電池を付着したタネルを大規模に広げて、太陽光エネルギーを利用して電気を大規模に生産することである。太陽光発電と風力発電は無限で無公害の太陽光エネルギーを利用するため燃料費がかからず、大気汚染や廃棄物の発生がない長所がある。
【0003】
発電方式には独立型方式と系統連携型方式がある。独立型方式は発電された電気エネルギーを独立した負荷に供給することである。系統連結型方式は発電装置を従来の電力系統に連結して使用する。系統連携型方式は系統が過負荷であれば発電システムから電気が発生すると送電し、系統が軽負荷であれば系統から電気を供給される。系統連携型発電システムを効率的に使用するために、軽負荷の際にはバッテリエネルギー貯蔵システム(Bettery Energy Storage System,BESS)に遊休電力を貯蔵し、過負荷の際には発電電力だけでなくバッテリエネルギー貯蔵システムを放電して電力を系統に供給する形態の太陽光発電システムが導入されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は複数のスレーブのうち一部をマスタの機能を行う代替マスタとして選定し、充電制御装置を効率的に管理するようにする充電制御装置を提供するのにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施例による充電制御装置は、バッテリを充電または放電する複数のスレーブを含む一つ以上のスレーブグループ、及び前記一つ以上のスレーブグループの動作を制御するための制御信号を前記一つ以上のスレーブグループに伝送し、前記一つ以上のスレーブグループそれぞれに含まれた複数のスレーブのうちいずれか一つを代替マスタとして選定するマスタを含むが、前記代替マスタは前記マスタの全機能のうち一部または全部を行うスレーブである。
【0006】
前記代替マスタが前記マスタの一部の機能を行う場合、前記一部の機能はスレーブの過負荷の発生可否を検出する機能を含む。
【0007】
複数の代替マスタのうちいずれか一つの代替マスタが他のスレーブグループに含まれたスレーブの過負荷を検出した場合、過負荷を検出した代替マスタは過負荷が発生したスレーブに関する情報を他の代替マスタまたは前記マスタに伝送する。
【0008】
前記複数のスレーブの間を連結または分離する複数のスイッチの対を更に含み、前記マスタは受信された情報に基づいて過負荷が発生したスレーブをバイパス処理するように前記複数のスイッチの対の動作を制御する。
【0009】
前記バイパス処理は前記エラーが発生したスレーブを除き、残りのスレーブの間に前記制御信号を伝達するように前記複数のスイッチングの対の動作を制御する処理過程である。
【0010】
前記マスタは前記複数のスレーブのうちエラーが発生したスレーブを確認するために制御信号を伝送し、前記代替マスタは前記制御信号に対応した応答信号に基づいてエラーが発生したスレーブを確認する。
【0011】
前記応答信号は複数のスレーブそれぞれの状態情報を示す応答データを含むデータフレームを含む。
【0012】
前記状態情報は各スレーブに流れる電流値及び電圧値のうち少なくともいずれか一つを含む。
【0013】
前記代替マスタはスレーブに流れる電流値が予め設定された値以上であれば該当スレーブに過負荷がかかったと判断する。
【0014】
前記複数のスレーブ及び前記マスタはリング構造を有するように直列連結される。
【発明の効果】
【0015】
本発明の多様な実施例によると、エラーが発生したスレーブをバイパス処理してエラーが発生していない残りのスレーブが正常な動作を行えるようにする。それを介し、一つのスレーブにエラーが発生しても残りのスレーブの動作が停止することなく効率的に運行することができる。また、エラーが発生したスレーブの交換も容易に行うことができる。
【0016】
本発明の多様な実施例によると、複数のスレーブのうち一部をマスタの機能を行う代替マスタとして選定して充電制御装置を効率的に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施例による発電システムのブロック図である。
図2】本発明の一実施例による充電制御装置の構成を説明するブロック図である。
図3】本発明の一実施例による充電制御装置の具体的な動作を説明するための図である。
図4】本発明の一実施例による充電制御装置の動作方法を説明するためのフローチャートである。
図5】本発明の一実施例によるテスト制御信号のデータフレームの構造を説明するための図である。
図6】本発明の一実施例によってエラーの発生が確認されたスレーブをバイパス処理する過程を説明する図である。
図7】本発明の他の実施例による充電制御装置の動作方法を説明するためのフローチャートである。
図8】本発明の一実施例によって複数のスレーブグループそれぞれから代替マスタが選定された状態を説明する図である。
図9】本発明の実施例によって代替マスタにエラーが検出された場合の処理方法を説明するための図である。
図10】本発明の実施例によって代替マスタにエラーが検出された場合の処理方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施例について本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施し得るように詳細に説明する。しかし、本発明は様々な相異なる形態に具現されてもよく、ここで説明する実施例に限定されることはない。そして、図面で本発明を明確に説明するために説明とは関係のない部分は省略しており、明細書全体にわたって類似した部分に対しては類似した図面符号を付けている。
【0019】
また、ある部分がある構成要素を「含む」という際、これは特に反対される記載がない限りある構成要素を除外するのではなく他の構成要素を更に含むことを意味する。
【0020】
以下、図1を参照して本発明の一実施例による発電システムを説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施例による発電システムのブロック図である。
【0022】
本発明の一実施例による発電システム100は、発電装置101、インバータ103、交流フィルタ105、交流/交流コンバータ107、系統109、充電制御装置111、バッテリエネルギー貯蔵システム113、システム制御部115及び負荷117を含む。
【0023】
発電装置101は電気エネルギーを生産する。発電システムが太陽光発電システムであれば、発電装置101は太陽電池アレイである。太陽電池アレイは複数の太陽電池モジュールを結合したものである。太陽電池モジュールは複数の太陽電池セルを直列または並列に連結し、太陽エネルギーを電気エネルギーに変換して所定の電圧と電流を発生する装置である。よって、太陽電池アレイは太陽エネルギーを吸収して電気エネルギーに変換する。また、発電システムが風力発電システムであれば発電装置101は風力エネルギーを電気エネルギーに変換するファンである。
【0024】
インバータ103は直流電力を交流電力にインバーティングする。発電装置101が供給した直流電力またはバッテリエネルギー貯蔵システム113が放電した直流電力を充電制御装置111を介して供給されて交流電力にインバーティングする。
【0025】
交流フィルタ105は交流電力にインバーティングされた電力のノイズをフィルタリングする。
【0026】
交流/交流コンバータ107は交流電力を系統109または負荷117に供給するようにノイズがフィルタリングされた交流電力の電圧の大きさをコンバーティングして電力を系統109または独立した負荷に供給する。
【0027】
系統109とは、多くの発電所、変電所、送配電線及び負荷が一体になって電力の発生及び利用が行われるシステムである。
【0028】
負荷117は発電システムから電気エネルギーを供給されて電力を消耗する。
【0029】
充電制御部111はバッテリエネルギー貯蔵システム113の充電及び放電を制御する。系統109または負荷117が過負荷であれば、充電制御部111はバッテリエネルギー貯蔵システム113から電力を供給されて系統109または負荷117に電力を伝達する。系統109または負荷117が軽負荷であれば、充電制御部111は発電装置101から電力を供給されてバッテリエネルギー貯蔵システム113に伝達する。
【0030】
バッテリエネルギー貯蔵システム113は発電装置101から電気エネルギーを供給されて充電し、系統109または負荷117の電力需給状況に応じて充電された電気エネルギーを放電する。詳しくは、系統109または負荷117が軽負荷であれば、バッテリエネルギー貯蔵システム113は発電装置101から遊休電力を供給されて充電する。系統109または負荷117が過負荷であれば、バッテリエネルギー貯蔵システム113は充電された電力を放電して系統109または負荷117に電力を供給する。系統または負荷117の電力需給情報は時間帯別に大きい差を示す。よって、発電システム100が発電装置101が供給する電力を系統109または負荷117の電力需給状況を考慮せずに一律的に供給することは非効率である。よって、発電システム100はバッテリエネルギー貯蔵システム113を使用して系統109または負荷117の電力需給状況に応じて電力供給量を調節する。それによって、発電システム100は系統109または負荷117に効率的に電力を供給することができる。
【0031】
バッテリエネルギー貯蔵システム113は複数のバッテリを含む。
【0032】
システム制御部115はインバータ103及び交流/交流コンバータ107の動作を制御する。
【0033】
次に、図2乃至図3を参照する。
【0034】
図2は本発明の一実施例による充電制御装置の構成を説明するブロック図であり、図3は本発明の一実施例による充電制御装置の具体的な動作を説明するための図である。
【0035】
図2を参照すると、充電制御装置111はマスタ200及び複数のスレーブ300_1乃至300_nを含む。
【0036】
充電制御装置111はリング構造を形成する。リング構造はマスタ200及び複数のスレーブ300_1乃至300_nが通信線を介して直列連結された構造を示す。充電制御装置111がリング構造を形成する場合、マスタ200及び複数のスレーブ300_1乃至300_nは互いに直列連結されるため通信配線の長さを減らすことができ、動作の安定性が強化する効果がある。即ち、従来の並列構造によるとマスタとスレーブとの間に送受信線が2つずつ必要であり、一つのマスタにn個のスレーブが連結される場合には2n個の通信線が必要となる。しかし、本発明の実施例によるリング構造の充電制御装置111は一つのマスタ200及びn個のスレーブに対してn+1個の通信線だけあれば十分である。
【0037】
通信線は光繊維(fiber optic)で構成されるが、これは例示に過ぎない。
【0038】
マスタ200は複数のスレーブ300_1乃至300_nの動作を制御する。マスタ200は複数のスレーブ300_1乃至300_nの動作を制御するための制御信号を生成して複数のスレーブ300_1乃至300_nに伝送する。マスタ200は複数のスレーブ300_1乃至300_nにバッテリの充電を要請する充電制御信号またはバッテリの放電を要請する放電制御信号を伝送する。
【0039】
マスタ200は複数のスレーブ300_1乃至300_nにテスト制御信号を伝送し、それに対応する応答信号を受信する。マスタ200は受信された応答信号に基づいて複数のスレーブ300_1乃至300_nのうち一つ以上のスレーブにエラーが発生したのかを確認する。
【0040】
複数のスレーブ300_1乃至300_nそれぞれはマスタ200から受信した制御信号に応じてバッテリエネルギー貯蔵システム113に含まれた複数のバッテリを充電するか放電する。複数のスレーブ300_1乃至300_nそれぞれは複数のバッテリそれぞれに対応され、各スレーブは各バッテリの充電または放電を制御する。
【0041】
図3を参照すると、充電制御装置111は複数のスイッチングの対500_1乃至500nを更に含む。
【0042】
マスタは複数のスイッチングの対500_1乃至500nの動作を制御し、エラーが発生したスレーブをバイパス処理する。バイパス処理は、マスタ200が伝送する制御信号の伝送経路を調節してエラーが発生したスレーブを除外した残りのスレーブを正常に動作させるための処理である。
【0043】
各スイッチの対はスレーブの間の連結または分離する。
【0044】
各スイッチの対は2つのスイッチを含む。2つのスイッチのうち一つはスレーブの間を直接連結または分離するためのスイッチであり、他の一つのスイッチは制御信号の伝送経路を変更するためのスイッチである。
【0045】
次に、図4を参照して本発明の一実施例による充電制御装置の動作方法を説明する。
【0046】
図4は、本発明の一実施例による充電制御装置の動作方法を説明するためのフローチャートである。
【0047】
まず、マスタ200は複数のスレーブ300_1乃至300_nそれぞれが正常な動作を行うのかを確認するためにテスト制御信号を第1スレーブ300_1に伝送する。
【0048】
一実施例において、テスト制御信号は複数のスレーブ300_1乃至300_nそれぞれにエラーが発生したのかを確認するための制御信号である。テスト制御信号は各スレーブが管理するバッテリを充電しているのかまたは放電しているのかを確認するための信号である。テスト制御信号は各スレーブを介してバッテリの充電を制御するための充電制御信号または各スレーブを介してバッテリの放電を制御するための制御信号のうちいずれか一つである。スレーブから発生するエラーは断線またはスレーブの誤動作のうちいずれか一つである。
【0049】
本発明の実施例によると、マスタ200は複数のスレーブ300_1乃至300_nの間の同期を合わせるために時間同期化方式を利用してテスト制御信号を複数のスレーブ300_1乃至300_nに伝送する。時間同期化方式は通信を行う装置の間のタイムスロット(1ビットに当たる時間)の間隔が異なる場合、それらが信号を交換するのに発生し得るタイミングの一致性を保障するためのデータ伝送方式である。マスタ200は後述する図5に示したようなデータフレームを含むテスト制御信号をスレーブに伝送する。それについては図5を参照して説明する。
【0050】
図5は、本発明の一実施例によるテスト制御信号のデータフレームの構造を説明するための図である。
【0051】
図5に示したデータフレームは1周期内にマスタ同期(MS、Master Synchronization)データ、複数のスレーブデータ(Slave Data #1乃至Slave Data #n)及び循環重複検査(CRC、Cyclic Redundancy Checking)データを含む。
【0052】
マスタ同期データはマスタ200が制御信号を同期化することを示すデータである。
【0053】
複数のスレーブデータそれぞれは各スレーブの動作を制御するためのデータである。各スレーブデータはスレーブが行うべき指令を含む。指令はバッテリを充電するか放電する命令である。
【0054】
循環重複検査データは通信線に沿って伝送されたデータにエラーがあるのかを確認するためのデータである。
【0055】
本発明の他の実施例によると、データフレームにおいて循環重複検査データは含まれなくてもよい。この場合、各スレーブは応答データを該当スレーブデータに挿入して応答信号を生成し、マスタ200は応答信号に基づいて特定スレーブのエラーを確認する。それについては後述する。
【0056】
図5はテスト制御信号を仮定して説明したが、スレーブのエラーを確認するためではなくスレーブの一般的な制御動作のためにも図5のようなデータフレームを有する制御信号をスレーブに伝送してもよい。
【0057】
更に図4を説明する。
【0058】
複数のスレーブ300_1乃至300_nそれぞれは伝達されたテスト制御信号に自らの状態情報を挿入して応答信号を生成し、生成された応答信号を次の順番のスレーブに伝達する(S103)。
【0059】
即ち、第1スレーブ300_1はマスタ200から受信されたテスト制御信号に第1スレーブの状態情報を示す応答データを挿入して応答信号を生成する。第2スレーブ300_2は第1スレーブ300_1から受信された応答信号に第2スレーブ300_2の状態情報を示す応答データを挿入して応答信号を生成する。この過程を繰り返して第nスレーブ300_nは第nスレーブ300_nの状態情報を示す応答データを挿入し応答信号を生成してマスタ200に伝達する。即ち、図5に示したデータフレーム構造において各スレーブは自らの状態情報を示す応答データを各スレーブに含ませて応答信号を生成する。この場合、データフレームは循環重複検査データを含まなくてもよい。
【0060】
スレーブの状態情報はスレーブが行うバッテリの動作制御に関する情報である。例えば、スレーブの状態情報はマスタ200の制御信号に対応する指令を行ったのかに関する遂行結果を含む。即ち、スレーブの状態情報はマスタ200の制御信号に対応する充電命令または放電命令に対応してバッテリを充電または放電したのかに関する遂行結果を含む。
【0061】
マスタ200は第nスレーブ300_nから複数のスレーブ300_1乃至300_nそれぞれの状態情報を含む応答信号を受信し(S105)、マスタ200は受信された応答信号に基づいて複数のスレーブ300_1乃至300_nのうちエラーが発生したスレーブを確認する(S107)。
【0062】
マスタ200は受信された応答信号に含まれたデータフレームを介してエラーが発生したスレーブを確認する。例えば、データフレームに含まれた複数のスレーブデータのうちいずれか一つのスレーブデータが示す情報が予め設定された情報と異なる場合、該当スレーブにエラーが発生したと確認する。詳しくは、マスタ200が第nスレーブ300_nにバッテリの充電を要求したが、第nスレーブ300_nによって挿入された応答データが示すバッテリの充電を行わないことを示す場合、マスタ200は第nスレーブ300_nにエラーが発生したと確認する。
【0063】
マスタ200はエラーの発生が確認されたスレーブをバイパス距離する(S109)。
【0064】
一実施例において、バイパス処理はエラーの発生が確認されたスレーブを除いて残りの正常動作するスレーブが自らの機能を行うように処理することを意味する。そのために、図3に示したように充電制御装置111は複数のスイッチングの対500_1乃至500_nを含む。複数のスイッチングの対500_1乃至500_nそれぞれは2つのスイッチを含む。マスタ200はエラーの発生が確認されたスレーブを除き、残りのスレーブが正常動作を行うように複数のスイッチの対を制御する。それについては図6を参照して説明する。
【0065】
図6は、本発明の一実施例によってエラーの発生が確認されたスレーブをバイパス処理する過程を説明する図である。
【0066】
図6では第3スレーブ300_3にエラーが発生したと仮定して説明する。
【0067】
マスタ200はテスト制御信号の伝送に対応して受信された応答信号に基づいて第3スレーブ300_3にエラーが発生したと確認する。次に、マスタ200は制御信号を再度複数のスレーブ300_1乃至300_nに伝送する。この場合、マスタ200は第1スレーブ300_1、第2スレーブ300_2、第4スレーブ(図示せず)を経て第nスレーブ300_nに制御信号が伝達されるように伝送経路を制御する。そのために、マスタ200は複数のスイッチの対500_1乃至500_nの動作を制御する。詳しくは、第1スイッチの対500_1に含まれた第1スイッチ510_1を短絡、第2スイッチ530_1を開放、第2スイッチの対500_2に含まれた第3スイッチ510_2を短絡、第4スイッチ530_2を開放、第3スイッチの対500_3に含まれた第5スイッチ510_3を開放、第6スイッチ530_3を短絡、第nスイッチの対500_nに含まれた第n−1スイッチ510_nを短絡、第nスイッチ530_nを開放する。結果的に、マスタ200はスイッチングの対を制御することでエラーが発生した第3スレーブ300_3をバイパス処理した効果をもたらす。
【0068】
本発明の実施例によると、エラーが発生したスレーブをバイパス処理してエラーが発生していない残りのスレーブが正常動作を行うようにする。それを介し、一つのスレーブにエラーが発生しても残りのスレーブの動作が停止することなく効率的に運営することができる。また、エラーが発生したスレーブの交換も容易に行うことができる。
【0069】
次に、図7乃至図9を参照して本発明の他の実施例による充電制御装置及びその動作方法を説明する。
【0070】
特に、図7乃至図9は複数のスレーブのうちマスタの一部機能を行う一つ以上の代替マスタを選定することでバッテリエネルギー貯蔵システムを効率的に行う方法を説明する。
【0071】
図7は、本発明の他の実施例による充電制御装置の動作方法を説明するためのフローチャートである。
【0072】
マスタ200は複数のスレーブグループそれぞれを管理する複数の代替マスタを選定する(S301)。一実施例において、複数のスレーブグループそれぞれは複数のスレーブを含む。マスタ200は各スレーブグループに含まれた複数のスレーブのうちマスタ200の全ての機能のうち一部の機能を行うことができる代替マスタを選定する。マスタ200は複数のスレーブの動作を制御する。特に、マスタ200は各スレーブの過負荷の可能性、断線などのようなスレーブのエラーを検出する機能及び各スレーブに充電制御信号または放電制御信号を伝送する機能を行う。また、マスタ200はエラーが発生したスレーブをバイパス処理する。代替マスタ200は前記のようなマスタ200の機能のうち各スレーブの過負荷の可能性、断線などのようなエラーを検出する機能を行う。他の実施例において、代替マスタはマスタ200が有する全ての機能を行ってもよい。
【0073】
一実施例において、複数のスレーブグループそれぞれは3つのスレーブを含むが、これは例示に過ぎない。
【0074】
マスタ200が複数のスレーブグループそれぞれにおいて代替マスタを選定する例を図8を参照して説明する。
【0075】
図8は、本発明の一実施例によって複数のスレーブグループそれぞれから代替マスタが選定された状態を説明する図である。
【0076】
図8に示した充電制御装置111はリング構造を形成する。リング構造はマスタ200及び複数のスレーブ300_1乃至300_nが通信線を介して直列連結された構造を示す。充電制御装置111がリング構造を形成する場合、マスタ200及び複数のスレーブ300_1乃至300_nは互いに直列連結されるため通信配線の長さを減らすことができ、動作の安定性が強化する効果がある。それに関する説明は図2で説明したようである。また、図8に示した充電制御装置111に関する説明は図2乃至図3で説明した内容を含む。
【0077】
図8を参照すると、充電制御装置111はマスタ200及び複数のスレーブ部ループ350_1乃至350_nを含む。複数のスレーブグループ350_1乃至350_nそれぞれは複数のスレーブを含む。例えば、第1スレーブグループ350_1は第1スレーブ300_1、第2スレーブ300_2及び第3スレーブ300_3を含み、第2スレーブグループ350_2は第4スレーブ300_4、第5スレーブ300_5及び第6スレーブ300_6を含む。
【0078】
マスタ200は第1スレーブグループ350_1に含まれたスレーブのうち第1スレーブ300_1を第1代替マスタとして選定し、第2スレーブグループ350_2に含まれたスレーブのうち第4スレーブ300_4を第2代替マスタとして選定する。各代替マスタは自らが属するグループに含まれたスレーブの過負荷状態、断線などのエラーを検出する。代替マスタはエラーが検出されたスレーブに関する情報を他の代替マスタまたはマスタ200に知らせる。
【0079】
更に図7を参照する。
【0080】
マスタ200は複数の代替マスタを設定した後、第1スレーブ300_1に制御信号を伝送する(S303)。一実施例において、制御信号は各スレーブに過負荷が発生したのかまたは断線が発生したのかを検出するための信号である。
【0081】
本発明の実施例によると、マスタ200は複数のスレーブ300_1乃至300_nの間の同期を合わせるために時間同期化方式を利用して制御信号を複数のスレーブ300_1乃至300_nに伝送する。そのために、マスタ200は上述した図5に示したようなデータフレームを含む制御信号をスレーブに伝送する。制御信号を構成するデータフレームに関する説明は図5で説明した内容のようである。
【0082】
複数のスレーブそれぞれは伝達された制御信号に自らの状態情報を挿入して応答信号を生成し、生成された応答信号を次の順番のスレーブに伝達する(S305)。
【0083】
即ち、第1スレーブ300_1はマスタ200から受信された制御信号に第1スレーブ300_1の状態情報を示す応答データを挿入して応答信号を生成する。第2スレーブ300_2は第1スレーブ300_1から受信された応答信号に第2スレーブ300_2の状態情報を示す応答データを挿入して応答信号を生成する。この過程を繰り返し、第nスレーブ300_nは第nスレーブ300_nの状態情報を示す応答データを挿入し応答信号を生成してマスタ200に伝達する。即ち、図5に示したデータフレームの構造において、各スレーブは自らの状態情報を示す応答データを各スレーブに含ませて応答信号を生成する。この場合、データフレームは循環重複検査データを含まなくてもよい。
【0084】
スレーブの状態情報はスレーブに流れる電流またはスレーブにかかる電圧の値を含む。代替マスタはスレーブの状態情報に基づいてスレーブに過負荷がかかるのかを確認する。代替マスタはスレーブの状態情報に基づいてスレーブとスレーブの間に断線が発生したのかを確認する。
【0085】
各代替マスタは応答信号を伝達する過程でエラーが検出されたスレーブがあるのかを確認し(S307)、各代替マスタはエラーが検出されたスレーブがあると確認された場合、該当代替マスタはエラーが検出されたスレーブがあることをマスタ200または他の代替マスタに知らせる(S309)。
【0086】
一実施例において、代替マスタは応答信号を構成するデータフレームに基づいてスレーブのエラーを検出する。例えば、図8に示した第2代替マスタ300_4は第3スレーブ300_3から受信された応答信号を構成するデータフレームに基づいて第1スレーブグループ350_1にエラーが検出されたのかを確認する。より詳しくは、第2代替マスタ300_4は応答信号を構成するデータフレームに含まれた第3スレーブ300_3の電流値が予め設定された電流値以上である場合、第3スレーブ300_3に過負荷が発生したと確認する。第2代替マスタ300_4は第3スレーブ300_3に過負荷が発生したことを第1代替マスタ300_1またはマスタ200に知らせる。
【0087】
第2代替マスタ300_4は第3スレーブ300_3に過負荷が発生したことを示すエラー検出情報を応答信号を含ませ、次の順番のスレーブに伝達する。この過程を介し、エラー検出情報が含まれた応答信号がマスタ200に伝送される。マスタ200は別途に応答信号を構成するデータフレームを分析することなく第2スレーブ300_3に過負荷が発生したことを迅速に感知する。
【0088】
第2代替マスタ300_4は第3スレーブ300_3に過負荷が発生したことを示すエラー検出情報を無線で第1代替マスタ300_1に伝送する。この場合、各代替マスタの間は無線通信が可能であると仮定する。第1代替マスタ300_1は第2代替マスタ300_4から受信したエラー検出情報に基づいて自らが管理する第3スレーブ300_3に過負荷が発生したことを確認する。
【0089】
マスタ200またはエラーを検出した代替マスタはエラーが検出されたスレーブの動作を制御する(S311)。
【0090】
S309で例示されたことに基づいて、エラーが検出されたスレーブの動作を制御する過程を説明する。
【0091】
もし、第2代替マスタ300_4が第2スレーブ300_3に過負荷が発生したことをマスタ200に知らせる場合、マスタ200は第3スレーブ300_3をバイパス処理するように制御する。この場合、充電制御装置111は図3に示したように複数のスイッチングの対を含む。マスタ200は複数のスイッチの対の動作を制御することで第3スレーブ300_3をバイパス処理する。バイパス処理の過程は図6で説明したようであるため、詳しい説明は省略する。一方、マスタ200は第1代替マスタ300_1を介して第3スレーブ300_3の動作を制御してもよい。即ち、マスタ200は第1代替マスタ300_1に第3スレーブ300_3の動作を中止する動作中止制御信号を伝送し、第1代替マスタ300_1は受信された動作中止制御信号に基づいて第3スレーブ300_3の動作を中止する。もし、第2代替マスタ300_4が第3スレーブ300_3に過負荷が発生したことを第1代替マスタ300_1に無線通信を介して知らせる場合、第1代替マスタ300_1はマスタ200から別途の制御信号を受信せずに第3スレーブ300_3をバイパス処理する。また、第2代替マスタ300_4はマスタ200から別途の制御信号を受信せずに第3スレーブ300_3の動作を中止する動作中止制御信号を第2スレーブ300_2を介して第3スレーブ300_3に伝送する。
【0092】
一方、代替マスタとして設定されたスレーブにエラーが発生する可能性もある。代替マスタにエラーが検出された場合、エラーが検出された代替マスタは他の代替マスタによって管理される。それについては図9乃至図10を参照して説明する。
【0093】
図9乃至図10は、本発明の実施例によって代替マスタにエラーが検出された場合の処理方法を説明する図である。
【0094】
図9乃至図10では第1代替マスタ350_1に過負荷が発生してエラーが検出された状態であることを仮定して説明する。
【0095】
第3代替マスタ300_4は第3スレーブ300_3から受信された応答信号に基づいて第1スレーブグループ350_1を管理する第1代替マスタ300_1に過負荷が発生したことを確認する。即ち、第2代替マスタ300_4は応答信号を構成するデータフレームに基づいて第1代替マスタ300_1に流れる電流値が予め設定された電流値以上である場合、第1代替マスタ300_1に過負荷が発生したことを確認する。第2代替マスタ300_4は第1代替マスタ300_1に過負荷が発生したことを順次的な応答信号の伝達を介してマスタ200に知らせる。マスタ200は第1スレーブ300_1に付与された代替マスタの資格を取り消し、第2代替マスタ300_4を第1スレーグループ350_1の代替マスタとして選定する。それによって、図10に示したように第2代替マスタ300_4は第1スレーブグループ350_1及び第2スレーブグループ350_2を管理する。
【0096】
本発明の多様な実施例によると、複数のスレーブのうち一部をマスタの機能を行う代替マスタとして選定して充電制御装置を効率的に管理することができる効果がある。
【0097】
特に、本発明の多様な実施例によるとエラーが発生したスレーブを迅速に検出し、それに対する対応法案を迅速に行うことができる。
【0098】
これまで実施例に説明された特徴、構造、効果などは本発明の少なくとも一つの実施例に含まれるが、必ずしも一つの実施例にのみ限定されることはない。なお、各実施例で例示された特徴、構造、効果などは実施例が属する分野の通常の知識を有する者によって他の実施例に対しても組み合わされるか変形されて実施してもよい。よって、このような組み合わせと変形に関する内容は本発明の範囲に含まれると解析すべきである。
【0099】
これまで実施例を中心に説明したが、これは単なる例示であって本発明を限定するものではなく、本発明が属する分野の通常の知識を有する者であれば本実施例の本質的な特性を逸脱しない範囲内で前記に例示されていない様々な変形と応用が可能であることが分かる。例えば、実施例に具体的に示した各構成要素は変形して実施してもよい。そして、このような変形と応用に関する差は、添付した特許請求の範囲で規定する本発明の範囲に含まれると解析すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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図10