【文献】
NAN JIANG,INVESTIGATION OF THE TRANSITION-METAL- AND ACID-CATALYZED REACTIONS 以下省略,THE JOURNAL OF ORGANIC CHEMISTRY,2003年 2月 1日,V68 N3,P893-900
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アミノ保護基はアセチル、トリフルオロアセチル、フタルイミド、ベンジル、トリフェニルメチル、ベンジリデニル、p−トルエンスルホニル、p−メトキシベンジル、tert−ブチルオキシカルボニル、9−フルオレニルメチルオキシカルボニルおよびカルボベンジルオキシから選択される、請求項1〜7のいずれか一項に記載のプロセス。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、発明のある一定の実施形態に対し詳細に言及し、その例を添付の構造および式で示す。発明を列挙される実施形態と併せて記載するが、これらは、発明をそれらの実施形態に限定することを意図しないことが理解されるであろう。それどころか、発明は特許請求の範囲により規定される本発明の範囲内の含められ得る全ての代替物、改変物、および等価物に及ぶことが意図される。1つ以上の組み込まれた文献および同様の材料が本出願と異なり、またはこれと矛盾する場合(例えば、限定はされないが、規定された用語、用語使用、記載技術、など)、本出願が規制する。
【0014】
「アシル」は式−C(O)−Rで表される置換基を含むカルボニルを意味し、式中、Rは水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、シクロアルキル置換アルキルまたはヘテロシクリル置換アルキルであり、ここで、アルキル、アルコキシ、シクロアルキルおよびヘテロシクリルは独立して任意に置換され、本明細書で規定される通りである。アシル基としてはアルカノイル(例えば、アセチル)、アロイル(例えば、ベンゾイル)、およびヘテロアロイル(例えば、ピリジノイル)が挙げられる。
【0015】
「アルキル」という用語は、本明細書では、1〜12個の炭素原子、および別の実施形態では1〜6個の炭素原子の飽和直鎖または分枝鎖一価炭化水素ラジカルを示し、ここで、アルキルラジカルは、任意で独立して、本明細書で記載される1つ以上の置換基で置換されてもよい。アルキル基の例としては下記が挙げられるが、それらに限定されない:メチル(Me、−CH
3)、エチル(Et、−CH
2CH
3)、1−プロピル(n−Pr、n−プロピル、−CH
2CH
2CH
3)、2−プロピル(i−Pr、i−プロピル、−CH(CH
3)
2)、1−ブチル(n−Bu、n−ブチル、−CH
2CH
2CH
2CH
3)、2−メチル−1−プロピル(i−Bu、i−ブチル、−CH
2CH(CH
3)
2)、2−ブチル(s−Bu、s−ブチル、−CH(CH
3)CH
2CH
3)、2−メチル−2−プロピル(t−Bu、t−ブチル、−C(CH
3)
3)、1−ペンチル(n−ペンチル、−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
3)、2−ペンチル(−CH(CH
3)CH
2CH
2CH
3)、3−ペンチル(−CH(CH
2CH
3)
2)、2−メチル−2−ブチル(−C(CH
3)
2CH
2CH
3)、3−メチル−2−ブチル(−CH(CH
3)CH(CH
3)
2)、3−メチル−1−ブチル(−CH
2CH
2CH(CH
3)
2)、2−メチル−1−ブチル(−CH
2CH(CH
3)CH
2CH
3)、1−ヘキシル(−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
3)、2−ヘキシル(−CH(CH
3)CH
2CH
2CH
2CH
3)、3−ヘキシル(−CH(CH
2CH
3)(CH
2CH
2CH
3))、2−メチル−2−ペンチル(−C(CH
3)
2CH
2CH
2CH
3)、3−メチル−2−ペンチル(−CH(CH
3)CH(CH
3)CH
2CH
3)、4−メチル−2−ペンチル(−CH(CH
3)CH
2CH(CH
3)
2)、3−メチル−3−ペンチル(−C(CH
3)(CH
2CH
3)
2)、2−メチル−3−ペンチル(−CH(CH
2CH
3)CH(CH
3)
2)、2,3−ジメチル−2−ブチル(−C(CH
3)
2CH(CH
3)
2)、3,3−ジメチル−2−ブチル(−CH(CH
3)C(CH
3)
3、1−ヘプチル、1−オクチル、など。
【0016】
「アルキレン」という用語は、本明細書では、1〜12個炭素原子、および別の実施形態では1〜6個の炭素原子の直鎖または分枝飽和二価炭化水素ラジカルを示し、ここで、アルキレンラジカルは、任意で独立して、本明細書で記載される1つ以上の置換基で置換されてもよい。例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、2−メチルプロピレン、ペンチレン、などが挙げられるが、それらに限定されない。
【0017】
「アルケニル」という用語は、本明細書では、少なくとも1つの不飽和部位、すなわち、炭素−炭素、sp
2二重結合を有する、2〜12個の炭素原子、および別の実施形態では2〜6個の炭素原子の直鎖または分枝鎖一価炭化水素ラジカルを示し、ここで、アルケニルラジカルは、任意で独立して、本明細書で記載される1つ以上の置換基で置換されてもよく、「cis」および「trans」配向、あるいは、「E」および「Z」配向を有するラジカルを含む。例としては、エチレニルまたはビニル(−CH=CH
2)、アリル(−CH
2CH=CH
2)、1−プロペニル、1−ブテン−1−イル、1−ブテン−2−イル、などが挙げられるが、それらに限定されない。
【0018】
「アルキニル」という用語は、本明細書では、少なくとも1つの不飽和部位、すなわち、炭素−炭素、sp三重結合を有する、2〜12個の炭素原子、および別の実施形態では2〜6個の炭素原子の直鎖または分枝一価炭化水素ラジカルを示し、ここで、アルキニルラジカルは、任意で独立して、本明細書で記載される1つ以上の置換基で置換されてもよい。例としては、エチニル(−C≡CH)およびプロピニル(プロパルギル、−CH
2C≡CH)が挙げられるが、それらに限定されない。
【0019】
「アルコキシ」という用語は、式−ORで表される直鎖または分枝一価ラジカルを示し、式中、Rはアルキル、アルケニル、アルキニルまたはシクロアルキルであり、これはさらに任意で本明細書で規定されるように置換できる。アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、モノ、ジおよびトリフルオロメトキシおよびシクロプロポキシが挙げられる。
【0020】
「アミノ」は、任意で置換された、一級(すなわち、−NH
2)、二級(すなわち、−NRH)、三級(すなわち、−NRR)および四級(すなわち、−N
+RRRX
−)アミンを意味し、式中、Rは独立してアルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、シクロアルキル置換アルキルまたはヘテロシクリル置換アルキルであり、ここで、アルキル、アルコキシ、シクロアルキルおよびヘテロシクリルは本明細書で規定される通りである。特定の二級および三級アミンはアルキルアミン、ジアルキルアミン、アリールアミン、ジアリールアミン、アラルキルアミンおよびジアラルキルアミンであり、ここで、アルキルおよびアリールは本明細書で規定される通りであり、独立して任意で置換される。特定の二級および三級アミンは、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、フェニルアミン、ベンジルアミンジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミンおよびジイソプロピルアミンである。
【0021】
「シクロアルキル」「炭素環」「カルボシクリル」および「環状炭素」という用語は、本明細書では、同じ意味で使用され、3〜12個の炭素原子、および別の実施形態では3〜8個の炭素原子を有する飽和または部分不飽和環状炭化水素ラジカルを示す。「シクロアルキル」は単環および多環(例えば、二環および三環)シクロアルキル構造を含み、ここで、多環構造は、任意で飽和、部分不飽和もしくは芳香族シクロアルキルまたは複素環に縮合された飽和もしくは部分不飽和シクロアルキル環を含む。シクロアルキル基の例としては、下記が挙げられるが、それらに限定されない:シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプテニル、など。二環炭素環は、例えば、ビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]もしくは[6,6]系として、または架橋系、例えばビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、およびビシクロ[3.2.2]ノナンとして、配列された7〜12個の環原子を有するものを含む。シクロアルキルは、任意で独立して、本明細書で記載される1つ以上の置換基で置換されてもよい。
【0022】
「アリール」という用語は、本明細書では、親芳香環系の単一の炭素原子からの1つの水素原子の除去により誘導される、6−20個の炭素原子の一価芳香族炭化水素ラジカルを意味する。アリールは飽和、部分不飽和環、もしくは芳香族炭素環または複素環に縮合された芳香環を含む二環ラジカルを含む。例示的なアリール基としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニル、インデン、インダン、1,2−ジヒドロナフタレン(1,2−dihydronapthalene)、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン(1,2,3,4−tetrahydronapthalene)、などから誘導されたラジカルが挙げられるが、それらに限定されない。アリール基は、任意で独立して、本明細書で記載される1つ以上の置換基で置換されてもよい。
【0023】
「複素環」、「ヘテロシクリル(hetercyclyl)」および「複素式環」という用語は、本明細書では、同じ意味で使用され、少なくとも1つの環原子が窒素、酸素および硫黄から独立して選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子がCである、3〜12員環原子の飽和もしくは部分不飽和炭素環ラジカルを示し、ここで、1つ以上の環原子は、任意で独立して、以下で記載される1つ以上の置換基で置換されてもよい。1つの実施形態は少なくとも1つの環原子が窒素、酸素および硫黄から独立して選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子がCである3〜7員環原子の複素環を含み、ここで、1つ以上の環原子は、任意で独立して、以下で記載される1つ以上の置換基で置換されてもよい。ラジカルは炭素ラジカルまたはヘテロ原子ラジカルであってもよい。「複素環」という用語はヘテロシクロアルコキシを含む。「ヘテロシクリル」はまた、複素環ラジカルが飽和、部分不飽和、もしくは芳香族炭素環または複素環と縮合されたラジカルを含む。複素環の例としては、下記が挙げられるが、それらに限定されない:ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、チオキサニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ホモピペリジニル、オキセパニル、チエパニル、オキサゼピニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、2−ピロリニル、3−ピロリニル、インドリニル、2H−ピラニル、4H−ピラニル、ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、ピラゾリニル、ジチアニル、ジチオラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、ピラゾリジニルイミダゾリニル、イミダゾリジニル、3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニル、アザビシクロ[2.2.2]ヘキサニル、3H−インドリルキノリジニルおよびN−ピリジル尿素。スピロ部分もまた、この定義の範囲内に含まれる。複素環は、可能であれば、C付着またはN付着されてもよい。例えば、ピロールから誘導される基はピロール−1−イル(N付着)またはピロール−3−イル(C付着)であってもよい。さらに、イミダゾールから誘導される基はイミダゾール−1−イル(N付着)またはイミダゾール−3−イル(C付着)であってもよい。2個の環炭素原子がオキソ(=O)部分で置換された複素環基の例は、イソインドリン−1,3−ジオニルおよび1,1−ジオキソ−チオモルホリニルである。本明細書における複素環基は、任意で独立して本明細書で記載される1つ以上の置換基で置換される。
【0024】
「ヘテロアリール」という用語は、本明細書では、5、6、または7員環の一価芳香族ラジカルを示し、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む5−10個の原子の縮合環系(その少なくとも1つが芳香族である)を含む。ヘテロアリール基の例としては、下記が挙げられるが、それらに限定されない:ピリジニル、イミダゾリル、イミダゾピリジニル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、シノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、イソインドリル、プテリジニル、プリニル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、およびフロピリジニル。スピロ部分もまた、この定義の範囲内に含まれる。ヘテロアリール基は、任意で独立して、本明細書で記載される1つ以上の置換基で置換されてもよい。
【0025】
「脱離基」は、化学反応において第1の反応物から移動される、化学反応における第1の反応物の一部を示す。脱離基の例としては、下記が挙げられるが、それらに限定されない:水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、スルフヒドリル基、アミノ基(例えば−NRR、式中、Rは独立してアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、フェニルまたはヘテロシクリルであり、Rは独立して任意で置換される)、シリル基(例えば−SiRRR、式中、Rは独立してアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、フェニルまたはヘテロシクリルであり、およびRは独立して任意で置換される)、−N(R)OR(式中、Rは独立してアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、フェニルまたはヘテロシクリルであり、およびRは独立して任意で置換される)、アルコキシ基(例えば−OR、式中、Rは独立してアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、フェニルまたはヘテロシクリルであり、およびRは独立して任意で置換される)、チオール基(例えば−SR、式中、Rは独立してアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、フェニルまたはヘテロシクリルであり、およびRは独立して任意で置換される)、スルホニルオキシ基(例えば−OS(O)
1−2R、式中、Rは独立してアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、フェニルまたはヘテロシクリルであり、およびRは独立して任意で置換される)、スルファメート基(例えば−OS(O)
1−2NRR、式中、Rは独立してアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、フェニルまたはヘテロシクリルであり、およびRは独立して任意で置換される)、カルバメート基(例えば−OC(O)
2NRR、式中、Rは独立してアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、フェニルまたはヘテロシクリルであり、およびRは独立して任意で置換される)、およびカーボネート基(例えば−OC(O)
2RR、式中、Rは独立してアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、フェニルまたはヘテロシクリルであり、およびRは独立して任意で置換される)。スルホニルオキシ基の例としては、下記が挙げられるが、それらに限定されない:アルキルスルホニルオキシ基(例えば、メチルスルホニルオキシ(メシレート基)およびトリフルオロメチルスルホニルオキシ(トリフレート基))およびアリールスルホニルオキシ基(例えばp−トルエンスルホニルオキシ(トシレート基)およびp−ニトロスルホニルオキシ(ノシレート基))。脱離基の他の例としては、置換および非置換アミノ基、例えばアミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヒドロキシルアミノ、アルコキシルアミノ、N−アルキル−N−アルコキシアミノ、アシルアミノ、スルホニルアミノ、などが挙げられる。
【0026】
「アミノ保護基」は、本明細書では、他の官能基上で実行される反応中、アミノ基が反応しないようにするために一般に使用される基を示す。そのような保護基の例としては、カルバメート、アミド、アルキルおよびアリール基、イミン、ならびに、除去されて所望のアミン基を再生させることができる多くのN−ヘテロ原子誘導体が挙げられる。特定のアミノ保護基は、Ac(アセチル)、トリフルオロアセチル、フタルイミド、Bn(ベンジル)、Tr(トリフェニルメチルまたはトリチル)、ベンジリデニル、p−トルエンスルホニル、Pmb(p−メトキシベンジル)、Boc(tert−ブチルオキシカルボニル)、Fmoc(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル)およびCbz(カルボベンジルオキシ)である。1つの例としては、Ac(アセチル)、トリフルオロアセチル、フタルイミド、Bn(ベンジル)、Tr(トリフェニルメチルまたはトリチル)、ベンジリデニル、p−トルエンスルホニル、Pmb(p−メトキシベンジル)、Fmoc(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル)およびCbz(カルボベンジルオキシ)が挙げられる。これらの基のさらなる例は下記において見られる:Wuts, P. G. M. and Greene, T. W. (2006) Frontmatter, in Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis, Fourth Edition, John Wiley & Sons, Inc., Hoboken, NJ, USA。「被保護アミノ」という用語は上記アミノ保護基の1つで置換されたアミノ基を示す。
【0027】
「置換(された)」という用語は、本明細書では、少なくとも1つの水素原子が、置換基で置き換えられた上記基のいずれかを意味する(例えば、アルキル、アルキレン、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリール)。オキソ置換基(「=O」)の場合、2つの水素原子が置き換えられる。この発明の中での「置換基」としては、下記が挙げられるが、それらに限定されず:ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、シアノ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アルコキシ、置換アルキル、チオアルキル、ハロアルキル(パーハロアルキルを含む)、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、−NR
eR
f、−NR
eC(=O)R
f、−NR
eC(=O)NR
eR
f、−NR
eC(=O)OR
f−NR
eSO
2R
f、−OR
e、−C(=O)R
e−C(=O)OR
e、−C(=O)NR
eR
f、−OC(=O)NR
eR
f、−SR
e、−SOR
e、−S(=O)
2R
e、−OS(=O)
2R
e、−S(=O)
2OR
eであり、式中、R
eおよびR
fは、同じか、または異なり、独立して水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環である。
【0028】
「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、本明細書では、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを意味する。
【0029】
「1つの(a)」という用語は、本明細書では、1つ以上を意味する。
【0030】
本明細書における「約」値またはパラメータへの言及は、その値またはパラメータそれ自体を対象にする実施形態を含み(そして記載する)および1つの実施形態では与えられた値の±20%である。例えば、「約X」に言及する記載は、「X」の記載を含む。
【0031】
「薬学的に許容される塩」は酸および塩基付加塩の両方を含む。例示的な塩としては、下記が挙げられるが、それらに限定されない:硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、過リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチジン酸塩(gentisinate)、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、糖酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、およびパモ酸塩(すなわち、1,1’−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフトエート))。薬学的に許容される塩は、別の分子、例えば酢酸イオン、コハク酸イオンまたは他の対イオンの含有を伴い得る。対イオンは親化合物上の電荷を安定化させる任意の有機または無機部分であってもよい。
【0032】
「薬学的に許容される酸付加塩」は、遊離塩基の生物学的有効性および特性を保持し、生物学的に、あるいは別の点で望ましくないことはなく、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、炭酸、リン酸などの無機酸と形成されるそのような塩を指し、および有機酸は、下記から選択され得る:脂肪族、脂環式、芳香族、芳香脂肪族、複素環、カルボン酸およびスルホン酸クラスの有機酸、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸(maloneic acid)、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、アスパラギン酸、アスコルビン酸、グルタミン酸、アントラニル酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、エンボン酸、フェニル酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸(salicyclic acid)など。
【0033】
「薬学的に許容される塩基付加塩」としては、無機塩基、例えばナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウム塩などから誘導されるものが挙げられる。特定的には、塩基付加塩はアンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウムおよびマグネシウム塩である。薬学的に許容される有機無毒性塩基から誘導される塩としては、一級、二級、および三級アミン、天然起源の置換アミンを含む置換アミン、環状アミンおよび塩基性イオン交換樹脂、例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、2−ジエチルアミノエタノール、トロメタミン、ジシクロヘキシルアミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペリジン(piperizine)、ピペリジン、N−エチルピペリジン、ポリアミン樹脂などの塩が挙げられる。特定的には、有機無毒性塩基はイソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トロメタミン、ジシクロヘキシルアミン、コリン、およびカフェインである。
【0034】
「互変異性体」または「互変異性型」という用語は、低いエネルギーバリアを介して相互転換できる異なるエネルギーの構造異性体を示す。例えば、プロトン互変異性体(プロトントロピック(prototropic)互変異性体としても知られている)は、プロトンの移動による相互転換、例えばケト−エノールおよびイミン−エナミン異性化を含む。原子価互変異性体は、結合電子のいくつかの再編成による相互転換を含む。本明細書で記載される互変異性体の1つの例としては、下記式IVおよびIVaの化合物の2つの互変異性体が挙げられる。
【化9】
追加の特定の互変異性体としてはエチル2−(4−クロロフェニル)−3−ヒドロキシアクリレートおよびエチル2−(4−クロロフェニル)−3−オキソプロパノエートが挙げられる。
【0035】
本発明の化合物は、別記されない限り、1つ以上の濃縮同位体原子の存在においてのみ異なる化合物を含む。例えば、1つ以上の水素原子が重水素またはトリチウムにより置き換えられた、あるいは1つ以上の炭素原子が
13Cまたは
14C炭素原子により置き換えられた、あるいは1つ以上の窒素原子が
15N窒素原子により置き換えられた、あるいは1つ以上の硫黄原子が
33S、
34Sまたは
36S硫黄原子により置き換えられた、あるいは1つ以上の酸素原子が
17Oまたは
18O酸素原子により置き換えられた本発明の化合物は、この発明の範囲内にある。
【0036】
1つの態様は、式IIの化合物またはその塩:
【化10】
(式中、R
1およびR
2は独立して水素、C
1−C
12アルキルまたはアミノ保護基である)
を還元して式Iの化合物またはその塩:
【化11】
を形成させることを含むプロセスを含む。
【0037】
ある一定の実施形態では、式IIの化合物を還元するプロセスは、式IIbの化合物またはその塩:
【化12】
を還元して式Iの化合物またはその塩を形成させることを含む。
【0038】
ある一定の実施形態では、式IIの化合物を還元するプロセスは、式IIaの化合物またはその塩:
【化13】
を還元して式Iの化合物またはその塩を形成させることを含む。
【0039】
式II、IIa、またはIIbのある一定の実施形態では、R
1はイソプロピルであり、R
2はアミノ保護基、例えば、Boc基である。
【0040】
ある一定の実施形態では、還元することは、式II、IIa、もしくはIIbの化合物、またはその塩を還元剤と接触させることを含む。
【0041】
還元剤(例えば、式Iの化合物の調製において使用される)は、アルケンを還元できる還元剤を含む。1つの実施形態では、還元剤は金属水素化物(例えば、水素化ホウ素、アルミニウムまたはリチウム/アルミニウムヒドリドまたはアルコキシもしくはチオアルキルリチウムアルミニウムヒドリド、例えばLiAlH(OR)
3(式中、Rは独立してアルキルである)、例えばLiAlH(OMe)
3、LiAlH(SMe)
3、またはLiAlH(Otブチル)
3)還元剤を含む。
【0042】
別の実施形態では、還元剤は、不斉還元(例えば、式II、IIa、またはIIbのアルケンの式Iへの)を促進する。還元剤は、例えば、水素または水素化物転移が可能な試薬が、水素または水素化物転移反応の立体選択性を促進しまたは方向付ける作用物質、例えば立体選択的触媒または酵素と共に使用される場合、1つ以上の化合物または構成成分を含み得る。よって、1つの態様では、還元剤は、水素転移または水素化物転移が可能な作用物質と水素転移または水素化物転移反応の立体選択性を促進しまたは方向付ける作用物質とを含む、立体選択的還元試薬を含む。1つの態様では、水素転移または水素化物転移反応の立体選択性を促進しまたは方向付ける作用物質は遷移金属触媒を含む。1つの態様では、水素転移または水素化物転移反応の立体選択性を促進しまたは方向付ける作用物質は酵素を含む。
【0043】
ある一定の実施形態では、還元剤は、金属触媒および水素源を含む。ある一定の実施形態では、金属触媒はルテニウム、ロジウム、またはパラジウム触媒を含む。ある一定の実施形態では、金属触媒は、[(S)−BINAPRuCl(ベンゼン)]Clを含む。
【0044】
水素源は下記を含み:水素ガス、および転移水素化反応で使用される他の源、例えば水(任意で、ギ酸塩または酢酸塩、例えばギ酸ナトリウムと共に)、ジイミド、ヒドラジン(またはヒドラジン水和物)、アルコール、例えばメタノール、エタノールおよびイソプロパノール、シクロアルケン、例えばシクロヘキセン、シクロヘキサジエン、ジヒドロナフタレンおよびジヒドロアントラセン、有機酸(任意で、アミン例えばトリメチルまたはトリエチルアミンと共に)、例えばギ酸、酢酸またはリン酸、シラン、例えばHSiR
3(式中、Rは独立してアルキル基、例えばHSiMe
3およびHSiEt
3である)、NADH、NADPH、FADH
2、アンモニウム塩、例えばギ酸アンモニウムおよび塩化アンモニウム、およびHanztchエステル、例えば下記式のもの:
【化14】
式中、R
11、R
12、R
13およびR
14は独立してアルキルである(ある一定の例では:R
11およびR
12はメチルであり、ならびにR
13およびR
14はエチルであり;R
11およびR
12メチルであり、ならびにR
13およびR
14はブチルであり;R
11はメチルであり、R
12はイソプロピルであり、ならびにR
13およびR
14はメチルであり;R
11およびR
12はメチルであり、R
13はメチルであり、ならびにR
14はt−ブチルであり;R
11およびR
12はメチルであり、ならびにR
13およびR
14はメチルであり;R
11およびR
12メチルであり、ならびにR
13およびR
14はイソブチルであり;R
11およびR
12はメチルであり、ならびにR
13およびR
14はアリルである。
【0045】
ある一定の実施形態では、式II、IIa、もしくはIIbの化合物、またはその塩を還元剤と反応させて式Iの化合物、またはその塩を提供する反応は、接触還元反応により実施され、ここで、触媒は、金属触媒、例えばルテニウム触媒、ロジウム触媒またはパラジウム触媒を含み、1つ以上のキラル中心が生成される。金属触媒の例としては、RuL
3X(式中、Xはハロゲン、例えば、Clである)またはRhL
3Clが挙げられるが、それらに限定されず、式中、Lはホスフィンリガンド、例えばPR
3であり、式中、Rは独立してアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロシクリルであり、かつ式中、Rは独立して任意に置換され、例えば[RhCl(PPh
3)
3]である。
【0046】
金属触媒のためのリガンドの例としては、下記が挙げられるが、それらに限定されない:DIOP、DIPAMP、BINAP、TolBINAP、XylBINAP、BPPFOH、BPPM、BICHEP、BPPFOH、BICHHEP、BIPHEP、BIPHEMP、MeO−BIPHEP、MOD−DIOP、CyDIOP、BCPM、MCCPM、NORPHOS、PYRPHOS(DEGUPHOS)、BDPP(SKEWPHOS)、Me−DuPhos、Et−DuPhos、iPr−DuPhos、Me−BPE、Et−BPE、iPr−BPE、o−Ph−HexaMeO−BIPHEP、RoPHOS、KetalPhos、BASPHOS、Me−PennPhos、BINAPHANE、BICP、DIOP、BDPMI、T−Phos、SK−Phos、EtTRAP、PrTRAP、PrTRAP、BuTRAP、PhTRAP、Josiphos、PPF−tBu
2、Xyliphos、FerroPHOS、FERRIPHOS、TaniaPhos、f−KetalPHos、Et−FerroTANE、t−Bu−BISP、Ad−BisP、Cy−BisP、t−Bu−MiniPhos、Cy−MiniPhos、iPr−MiniPhos、TangPhos、BIPNOR、Binapine、非対称BisP、[2,2]PHANEPHOS、Ph−o−NAPHOS、spirOP、BINAPO、Ph−o−BINAPO、DIMOP、およびChi, Y, et.al, Modern Rhodium−Catalyzed Organic Reactions,Ed.Evans,P.A.,Wiley,2005,Chapter 1で記載される他のもの。金属触媒の例としては、下記が挙げられるが、それらに限定されない:[(S)−BINAPRuCl(ベンゼン)]Cl、[(R,R)TsDACHRu(p−シメン)Cl]および[(R,R)Teth−TsDPEN RuCl]または[RhCp
*Cl
2]
2を有する(R,R)Me
2NSO
2DPEN。別の例では、触媒は不均一水素化触媒、例えば炭素上パラジウムまたは酸化アルミニウム上パラジウムである。1つの例では、触媒は5%Pd/C型A405038または5%Pd/Al
2O
3型A302011であり、cis異性体を生成させる。他の好適な触媒は、スクリーニング、例えば、所望の立体選択性、反応速度およびターンオーバーに基づき同定され得る。還元剤は、任意の好適な水素源または水素化物源、例えばギ酸またはホウ素還元剤または水素ガスを含み得る。
【0047】
いくつかの例では、水素源は、マグネシウム、ナトリウム、ルテニウム(II)、ロジウム(III)、イリジウム(III)、ニッケル、白金、パラジウムまたはそれらの組み合わせを含む金属触媒と組み合わせて使用される。
【0048】
別の態様は、式II、IIa、もしくはIIbの化合物、またはその塩を還元することを含むプロセスにより生成された式Iの化合物またはその塩を含む。
【0049】
別の実施形態は、式IIIの化合物、またはその塩:
【化15】
(式中、R
3は任意で置換されたC
1−C
12アルキルである)
を加水分解して式IIの化合物またはその塩を形成させることを含むプロセスを含む。
【0050】
ある一定の実施形態では、式IIIの化合物、またはその塩を加水分解して式IIの化合物またはその塩を形成させるプロセスは、式IIIaの化合物、またはその塩を加水分解することを含む
【化16】
【0051】
ある一定の実施形態では、式IIIの化合物、またはその塩を加水分解して式IIの化合物またはその塩を形成させるプロセスは、式IIIbの化合物、またはその塩を加水分解することを含む
【化17】
【0052】
ある一定の実施形態では、式IIIの化合物、またはその塩を加水分解して式IIの化合物またはその塩を形成させるプロセスは、式IIIの化合物、またはその塩を塩基水溶液と接触させることを含む。塩基水溶液としては、例えば、塩基と水の混合物が挙げられる。加水分解のために使用される塩基は水酸化物塩基を含む。加水分解のための水酸化物塩基の例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化アンモニウムが挙げられる。加水分解反応は任意でさらに反応を促進するための共溶媒を含み、エーテル、例えばテトラヒドロフランおよびMTBE、ならびにアルコール、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールおよびt−ブチルアルコール、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。ある一定の実施形態では、加水分解反応は、エーテル、アルコールおよび水の混合物、例えば、THF、メタノールおよび水の混合物(例えば、それぞれが等しい体積部の混合物)中で実施される。
【0053】
別の態様は、式IIIの化合物、またはその塩を加水分解することを含むプロセスにより生成される式IIの化合物またはその塩を含む。
【0054】
別の実施形態は、式IVの化合物、またはその塩もしくは互変異性体:
【化18】
を、−NHR
1R
2またはその塩と反応させて式IIIの化合物、またはその塩を形成させることを含むプロセスを含む。
【0055】
ある一定の実施形態では、化合物−NHR
1R
2は−NH(C
1−C
12アルキル)である。ある一定の実施形態では、化合物−NHR
1R
2はNH
3またはその塩である。ある一定の実施形態では、化合物−NHR
1R
2は、ギ酸塩、炭酸塩、水酸化物、酢酸塩、臭化物、カルバミン酸塩、硫酸塩、塩化物、フッ化物、硝酸塩、リン酸塩およびチオ硫酸塩から選択されるNH
3の塩である。ある一定の実施形態では、化合物−NHR
1R
2はギ酸アンモニウムである。ある一定の実施形態では、化合物−NHR
1R
2は−NH(イソプロピル)である。
【0056】
別の態様は、式IVの化合物、またはその塩もしくは互変異性体を−NHR
1R
2またはその塩と反応させることを含むプロセスにより生成される式IIIの化合物またはその塩を含む。
【0057】
別の実施形態は、式Vの化合物またはその塩:
【化19】
をHCO
2R
4(式中、R
4は任意で置換されたC
1−C
12アルキルである)またはその塩と、塩基性条件下で接触させて式IVの化合物、またはその塩を形成させることを含むプロセスを含む。
【0058】
ある一定の実施形態では、R
4はC
1−C
6アルキルである。ある一定の実施形態では、R
4はエチルである。
【0059】
ある一定の実施形態では、塩基性条件は非求核性塩基を含む。ある一定の実施形態では、塩基は水酸化物、アルコキシド、リチウムアルキル塩基またはリチウムアミド塩基を含む。ある一定の実施形態では、塩基はリチウムジイソプロピルアミド、t−ブチルリチウム、ナトリウムt−ブトキシド、カリウムt−ブトキシド、アンモニウムt−ブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたは水酸化アンモニウムを含む。ある一定の実施形態では、塩基はカリウムt−ブトキシドを含む。ある一定の実施形態では、塩基性条件はさらに、アルコール、エーテル、アミドもしくは他の好適な溶媒またはそれらの組み合わせから選択される、極性溶媒などの溶媒を含む。例えば、ジエチルエーテル、MTBE、メタノール、エタノールまたはイソプロパノールなどのエーテルまたはアルコール溶媒が使用される。1つの例では、溶媒はMTBEである。
【0060】
別の態様は、式Vの化合物またはその塩をHCO
2R
4(式中、R
4は任意で置換されたC
1−C
12アルキルである)またはその塩と、塩基性条件下で接触させることを含むプロセスにより生成される式IVの化合物またはその塩を含む。
【0061】
別の実施形態は式VIの化合物:
【化20】
またはその塩を含み、式中:
R
1およびR
2は独立して水素、C
1−C
12アルキルまたはアミノ保護基であり;ならびに
R
5は水素または任意で置換されたC
1−C
12アルキルである。
【0062】
式VIのある一定の実施形態では、R
1は水素またはt−ブチルオキシカルボニルであり;R
2はC
1−C
12アルキルであり;およびR
5は水素またはC
1−C
12アルキルである。
【0063】
式VIのある一定の実施形態では、R
1は水素であり;R
2はイソプロピルであり;およびR
5は水素またはエチルである。
【0064】
ある一定の実施形態では、式VIの化合物は、式VIaの化合物またはその塩を含み:
【化21】
式中、R
1は水素またはアミノ保護基である。
【0065】
ある一定の実施形態では、式VIの化合物は式VIbの化合物またはその塩を含み:
【化22】
式中、R
1は水素またはアミノ保護基である。
【0066】
ある一定の実施形態では、式Va中のR
1はt−ブチルオキシカルボニルである。ある一定の実施形態では、式Va中のR
1は水素である。
【0067】
式I−IIIおよびVIのある一定の実施形態では、R
1はアミノ保護基である。
【0068】
式I−IIIおよびVIのある一定の実施形態では、R
2はアミノ保護基である。ある一定の実施形態では、R
1およびR
2は独立してアミノ保護基である。ある一定の実施形態では、R
2はBocアミノ保護基である。ある一定の実施形態では、R
1およびR
2はBocアミノ保護基である。
【0069】
式I−IIIおよびVIのある一定の実施形態では、R
2はC
1−C
12アルキルである。ある一定の実施形態では、R
1は水素であり、およびR
2はC
1−C
12アルキルである。
【0070】
式I−IIIおよびVIのある一定の実施形態では、R
2はイソプロピルである。ある一定の実施形態では、R
1は水素であり、およびR
2はイソプロピルである。ある一定の実施形態では、R
1は水素であり、およびR
2はアミノ保護基である。ある一定の実施形態では、R
1は水素であり、およびR
2はBocアミノ保護基である。
【0071】
式I−IIIおよびVIのある一定の実施形態では、R
1はtert−ブチルオキシカルボニルであり、およびR
2はイソプロピルである。
【0072】
式I−IIIおよびVIのある一定の実施形態では、R
1およびR
2はtert−ブチルオキシカルボニルである。
【0073】
ある一定の実施形態では、アミノ保護基は、アセチル、トリフルオロアセチル、フタルイミド、ベンジル、トリフェニルメチル、ベンジリデニル、p−トルエンスルホニル、p−メトキシベンジル、tert−ブチルオキシカルボニル、9−フルオレニルメチルオキシカルボニルおよびカルボベンジルオキシから選択される。
【0074】
本明細書で詳述される化合物は、1つ以上のキラル中心を含み得る。したがって、所望であれば、そのような化合物は純粋な立体異性体として調製または単離され得る(例えば個々の鏡像異性体またはジアステレオマー、あるいは立体異性体濃縮混合物として)。そのような全ての立体異性体(および濃縮混合物)は、別記されない限り、この発明の範囲内に含まれる。純粋な立体異性体(または濃縮混合物)は、例えば、光学的に活性な開始材料または当技術分野でよく知られている立体選択的試薬を使用して調製され得る。あるいは、そのような化合物のラセミまたは立体異性体濃縮混合物は、例えば、キラルカラムクロマトグラフィー、キラル分割剤、などを使用して分離できる。
【0075】
本明細書で詳述される化合物は、立体配置またはcis/trans異性体の混合物として存在し得る。例えば、式II、IIIおよびVIの化合物は、波線により示されるように、(E)および(Z)異性体の混合物を含む。例えば、式IIの化合物は、別記されない限り、下記で示されるように、式IIa((Z)異性体)およびIIb((E)異性体)の混合物を含む。
【化23】
【0076】
例示を目的として、スキーム1は、本発明の化合物ならびに肝要な中間体を調製するための一般的方法を示す。個々の反応工程のより詳細な説明のためには、下記実施例セクションを参照されたい。当業者であれば、他の合成経路を使用して、発明の化合物を合成できることを認識するであろう。特定の開始材料および試薬がスキームにおいて描かれ、以下で記載されているが、他の開始材料および試薬に容易に置換して様々な誘導体および/または反応条件が提供できる。加えて、以下に記載される方法により調製された化合物の多くは、この開示を考慮すると、当業者によく知られている従来の化学を使用してさらに修飾できる。
【化24】
【0077】
スキーム1は式Iの化合物を調製するための一般的方法を示す。化合物Vは、HC(O)OR
4の化合物と縮合されて式IVの化合物を形成する。化合物IVのアミンHNR
1R
2とのさらなる縮合により、式IIIの化合物が形成する。式IIIの化合物においてR
1が水素である場合、アミンの追加の保護を実施して式IIIの被保護化合物を形成でき(例えば、ここで、R
1またはR
2は独立してBocなどのアミノ保護基である)、続いて、エステルの加水分解により式IIの化合物が形成される。式IIの化合物の不斉還元により式Iの化合物が得られる。R
1および/またはR
2がアミノ保護基、例えば、Boc基である場合、任意に式Iの化合物をさらに脱保護することにより、式中、R
1および/またはR
2が水素である式Iの化合物が得られる。
【0079】
スキーム2は式Iの化合物を調製するための別の一般的方法を示し、ここで、化合物IIIbおよびIIbの(E)−異性体が使用される。
【0080】
別の態様は、式Iの化合物の、2011年11月22日にMitchellらに発行された米国特許第8,063,050号に記載されるAKT阻害剤のような薬学的に活性な化合物を調製するための、中間体としての使用を提供する。例えば、下記のスキーム2で示されるように、式Iの化合物は、2011年11月22日に発行された米国特許第8,063,050号(参照により本明細書に組み込まれる)に記載され、例えば、実施例14に記載される、(S)−2−(4−クロロフェニル)−1−(4−((5R,7R)−7−ヒドロキシ−5−メチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[d]ピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−イル)−3−(イソプロピルアミノ)プロパン−1−オンを調製するために使用できる。
【化26】
【0081】
スキーム2は式2.2の化合物を製造するための方法を示す。式2.1の化合物は、米国特許第8,063,050号で記載されるように調製され、式I(例えば、式中、R
1はイソプロピルであり、ならびにR
2はBocである)の化合物でアシル化されてアミドを提供でき、これは、Boc基の脱保護などによる任意的な官能基化後に、例えば、(S)−2−(4−クロロフェニル)−1−(4−((5R,7R)−7−ヒドロキシ−5−メチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[d]ピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−イル)−3−(イソプロピルアミノ)プロパン−1−オンなどの式2.2の化合物を与え、式中、R
1はイソプロピルであり、ならびにR
2は水素である。
【0082】
別の態様は、式2.2の化合物、またはその塩を生成するプロセスであって、
【化27】
式2.1の化合物、またはその塩
【化28】
を、式Iaの化合物またはその塩
【化29】
と反応させて式2.2の化合物を形成させることを含む、プロセスを含む。
【0083】
別の態様は、式2.1の化合物、またはその塩を、式Iaの化合物、またはその塩と反応させることを含むプロセスにより生成される、式2.2の化合物またはその塩を含む。
【0084】
本明細書で詳述される化合物、またはその塩を含む組成物もまた、発明に包含される。1つの態様では、式VIの化合物、またはその塩を含む組成物が提供される。特定のバリエーションでは、組成物は、式VIaの化合物の塩を含む。特定のバリエーションでは、組成物は式VIbの化合物の塩を含む。
【実施例】
【0085】
実施例
本発明は下記実施例を参照することによりさらに理解でき、これらの実施例は例として提供され、制限することを意味しない。
本明細書で使用される略語は下記の通りである:
AcOH:酢酸
Aq.:水溶液
DIPA:ジイソプロピルアミン
DIPEA:ジイソプロピルエチルアミン
MTBE:メチルt−ブチルエーテル
MsDPEN:N−メタンスルホニル−1,2−ジフェニルエチレンジアミン
TsDACH:N−(p−トルエンスルホニル)−1,2−ジアミノシクロヘキサン
Dppp:1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン
PhME:トルエン
DBU:1,8−ジアゾビシクロ[5,40]ウンデク−7−エン
【0086】
実施例1
【化30】
(S)−3−(tert−ブトキシカルボニル(イソプロピル)アミノ)−2−(4−クロロフェニル)プロパン酸
(E)−エチル3−((tert−ブトキシカルボニル)(イソプロピル)アミノ)−2−(4−クロロフェニル)アクリレート。ギ酸エチル(123.9L、1538.9mol)を含むMTBE(189L)の溶液に、エチル4−クロロフェニルアセテート(120kg、604.1mol)を添加した。混合物を15−30℃で30min撹拌し、その後、t−BuOK(136.8kg、1219.1mol)を含むMTBE(1215.8L)の混合物を、内部温度を5℃未満に維持しながら添加した。混合物を0−10℃で、1.5h撹拌した。反応混合物を、塩酸水溶液(35%、99.8Lを含む560LのH
2O)に、内部温度を10℃未満に維持しながら添加した。30min、0−10℃で、最終pH=2が観察されるまで、混合物を撹拌した。層を分離し、有機層を25%NaCl溶液(496L)で洗浄した。混合物を−5℃まで冷却し、その後、イソプロピルアミン(107.2L、1251.9mol)およびAcOH(70.5L、1233.3mol)を徐々に、温度<10℃を維持しながら添加した。混合物を3h、0−10℃で撹拌し、その後、有機層を、H
2O(760L)、15%Na
2CO
3水溶液(424L)で洗浄し、その後、25%NaCl水溶液(650L)で洗浄した。水層を分離し、DMF(443L)およびDMAP(14.4kg、117.9mol)を有機溶液に添加した。混合物をその後60−65℃まで加熱し、続いて(Boc)
2O(951.6L、4142mol)、DMF(228.6L)およびトリエチルアミン(263.0L、1821.8mol)を24hにわたり徐々に添加した。約6h撹拌した後、混合物を室温まで冷却し、MTBE(1434L)、水(1010L)および10%クエン酸水溶液(938L)を添加した。水層を分離し、混合物を25%NaCl水溶液(984L)により洗浄した。有機層をその後、温度を50℃未満に維持しながら、蒸留により濃縮し、最小の作業体積(約240L)とした。有機層をその後、5h、0−5℃で撹拌し、濾過した。濾過ケーキをヘプタン(20.6L)で洗浄し、乾燥させて白色固体として(E)−エチル3−((tert−ブトキシカルボニル)(イソプロピル)アミノ)−2−(4−クロロフェニル)アクリレートを得た(148.55kg、3つの工程にわたって63%収率)。
【0087】
(E)−3−(tert−ブトキシカルボニル(イソプロピル)アミノ)−2−(4−クロロフェニル)アクリル酸。(E)−エチル3−((tert−ブトキシカルボニル)(イソプロピル)アミノ)−2−(4−クロロフェニル)アクリレート(133.5kg、362.9mol)を、H
2O(252L)、NaOH(58.25kg、1456mol)およびEtOH(383.5L)の混合物に添加し室温で撹拌した。混合物を、透明な溶液が形成されるまで、40−45℃まで2.5h温めた。温度を50℃未満に維持しながら混合物を最小作業体積まで濃縮した。混合物をその後10−25℃まで冷却し、最終pH=2〜4が得られるまでHClの溶液を添加した(842Lの2N HClおよび11Lの35%HCl)。水層を分離し、有機層を25%NaCl水溶液(810L)で洗浄した。蒸留しながらn−ヘプタンを添加して懸濁液を形成させた。生成物を収集し、n−ヘプタンで洗浄し、40−45℃で約10h乾燥させて110.7kg(90.5%収率)の、HPLCによる99.9A%純度を有する(E)−3−(tert−ブトキシカルボニル(イソプロピル)アミノ)−2−(4−クロロフェニル)アクリル酸を得た。E−配置を、単結晶X線分析を用いて確認した(
図1を参照されたい)。
【0088】
(S)−3−(tert−ブトキシカルボニル(イソプロピル)アミノ)−2−(4−クロロフェニル)プロパン酸。完全に清浄にした反応器に(E)−3−(tert−ブトキシカルボニル(イソプロピル)アミノ)−2−(4−クロロフェニル)アクリル酸(33kg、84.7mol)を入れ、EtOH(164.6L)、LiBF
4(0.462kg、4.9mol)および[(S)−BINAPRuCl(ベンゼン)]Cl(0.043kg、0.049mol)を添加した。混合物を脱ガスし、その後、HPLCによりIPCが開始材料の残存を示さなくなるまで、24−26h、水素(3.0−3.5MPa)下で撹拌した。
【0089】
化合物(S)−3−(tert−ブトキシカルボニル(イソプロピル)アミノ)−2−(4−クロロフェニル)プロパン酸(約20%アッセイのEtOH溶液、680kgのEtOH中138.7kg)の溶液を139−277Lまで50℃未満で濃縮し、これにEtOAc(999L)を添加した。混合物を25%NaCl水溶液(700L×3)で洗浄し、その後、有機層を555−694Lまで50℃未満で濃縮した。溶液にシリカチオール(8.30kg)を添加し、混合物を14h、45−50℃で撹拌した。10−30℃まで冷却した後、混合物を濾過し、EtOAc(40L)で洗浄した。濾液を139Lまで50℃未満で濃縮し、n−ヘプタン(485L×2)を少しずつ、連続蒸留しながら添加して懸濁液を形成させた。懸濁液を1.5h、45−50℃で撹拌し、12−16h、−5〜5℃で撹拌した。生成物を濾過により収集し、n−ヘプタン(229L×4)で洗浄した。濾過ケーキを10h、40−45℃で乾燥させて白色固体として化合物(S)−3−(tert−ブトキシカルボニル(イソプロピル)アミノ)−2−(4−クロロフェニル)プロパン酸(126.29kg、91%収率および>99%ee)を得た。
1H NMR (400 MHz、MeOH−d
4) δ 7.33 (s、4H)、3.7−3.73 (3H)、3.44 (s、1H)、1.44 (s、9H)、1.07−1.09 (d、3H)、0.96−0.98 (d、3H)。
【0090】
実施例2
【化31】
(S)−3−((ビス−tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−2−(4−クロロフェニル)プロパン酸
エチル2−(4−クロロフェニル)−3−オキソプロパノエート。オーブン乾燥させ、窒素でパージした、4−エチル2−(4−クロロフェニル)アセテート(100g、0.51mol、1.0equiv)を含むMTBE(1.0L、10vol)の溶液を含む丸底フラスコに、t−BuOK(113.0g、1.0mol、2.0equiv)を少しずつ0℃で添加した。反応混合物を15min、0℃で撹拌し、その後ギ酸エチル(101.7mL、1.3mol、2.5equiv)を1滴ずつ添加した。反応をHPLCによりモニタした(LCMS(m/z):[M]
+によるIPCは226.9を示す)。反応混合物を0−10℃で3h撹拌し、その後、冷2N HCl水溶液中で反応停止させた。有機相を分離し、ブライン(3×300mL)で洗浄した。有機相を減圧下で濃縮して、帰属されていない異性体の混合物(エチル2−(4−クロロフェニル)−3−オキソプロパノエート/エチル2−(4−クロロフェニル)−3−ヒドロキシアクリレートの約1:1混合物)および褐色油として粗生成物(91g、81%収率)を得た。粗生成物混合物は、さらに精製することなく直接次の工程に使用した。
【0091】
エチル3−アミノ−2−(4−クロロフェニル)アクリレート.エチル2−(4−クロロフェニル)−3−オキソプロパノエート/エチル2−(4−クロロフェニル)−3−ヒドロキシアクリレートの約1:1混合物(50.0g、0.22mol、1.0equiv)およびギ酸アンモニウム(69.6g、1.10mol、5.0equiv)を含むEtOH(500mL、10vol)を65℃で8h加熱した。反応をHPLCによりモニタした(LCMS(m/z):[M]
+によるIPCは225.9を示す)。反応混合物をその後、減圧下で濃縮し、最小作業体積とした。混合物を、冷水(200mL)とEtOAc(200mL)との間で分配させた。有機相を分離し、飽和NaHCO
3水溶液(100mL)およびブライン(3×100mL)で洗浄した。有機物を無水Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、濃縮して、帰属されていないE/Z異性体の混合物(約1:1)および褐色油として粗生成物エチル3−アミノ−2−(4−クロロフェニル)アクリレート(42g、85%収率)を得た。粗生成物は、さらに精製することなく直接次の工程に使用した。
【0092】
(E)−エチル3−((ビス−tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−2−(4−クロロフェニル)アクリレート。エチル3−アミノ−2−(4−クロロフェニル)アクリレート(63.7g、0.28mol、1.0equiv)を含むDMF(382mL、6vol)の溶液に、トリエチルアミン(85.0g、0.84mol、3.0equiv)およびDMAP(6.8g、0.056mol、0.2equiv)を入れた。Boc
2O(305.6g、1.4mol、5.0equiv)およびDMF(255mL、4vol)の溶液を、1滴ずつフラスコに65℃で1hにわたり添加し、得られた反応混合物を65℃で約8h維持した。反応混合物をその後、飽和NaHCO
3水溶液(130mL)を室温で1滴ずつ添加することにより反応停止させ、EtOAc(260mL)で抽出した。有機物をブライン(3×200mL)で洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、減圧下で濃縮して、褐色油として粗生成物(E)−エチル3−((ビス−tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−2−(4−クロロフェニル)アクリレートを得た。クロマトグラフィー(1:20、EtOAc/石油エーテル)による精製により、黄色油として純粋生成物(63.7g、53%収率)を得た。
1H NMR (400MHz、CDCl
3) δ: 7.62 (s、1H)、7.31 (d、J=8.4Hz、2H)、7.18 (d、J=8.4Hz、2H)、4.24 (dd、J=7.2Hz およびJ=14.2Hz、2H)、1.34 (s、18H)、1.28 (t、J=6.8Hz、3H); MS−ESI (m/z): [M+Na]
+ 448.0。
【0093】
3−((ビス−tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−2−(4−クロロフェニル)アクリル酸。(E)−エチル3−((ビス−tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−2−(4−クロロフェニル)アクリレート(73.4g、0.172mol、1.0equiv)をNaOH(8.96g、0.224mol、1.3equiv)を含むTHF/MeOH/H
2O(1:1:1体積、734mL、10vol)と共に10h撹拌し、その後、2N HCl水溶液を、pH=7となるまでフラスコに添加し、反応を停止させた。有機溶媒を真空蒸留により除去し、生成物を濾過により収集した。石油エーテル(146mL、2vol)中での粉砕後、白色粉末として3−((ビス−tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−2−(4−クロロフェニル)アクリル酸(48.0g、70%収率)を得た。
1H NMR (400MHz、CD
3CN) δ: 7.54 (s、1H)、7.37 (d、J=8.0Hz、2H)、7.17 (d、J=8.0Hz、2H)、1.31 (s、18H); MS−ESI (m/z): [M+Na]
+ 420.0。
【0094】
(S)−3−((ビス−tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−2−(4−クロロフェニル)プロパン酸。LiBF
4(4.67g、0.05mol、1.0equiv)および3−((ビス−tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−2−(4−クロロ−フェニル)アクリル酸5(20g、0.05mol、1equiv)を含むエタノール(400mL、20vol)の懸濁液に、触媒[(S)−BINAP−RuCl(ベンゼン)]Cl(0.44g、0.0005mol、0.01equiv)を、窒素雰囲気下で添加した。3回の真空脱ガスおよび水素パージ後、反応混合物を55℃で水素雰囲気下(50psi)で24h撹拌し、セライトを通して濾過し、金属触媒を除去した。濾液を減圧下で濃縮して乾燥させて、淡色固体として純粋生成物(S)−3−((ビス−tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−2−(4−クロロフェニル)プロパン酸(20.1g、>99%収率および95.9%ee)を得た。
1H NMR (400MHz、CDCl
3) δ: 7.30 (s、4H)、3.75〜3.73 (m、3H)、1.41 (s、18H); MS−ESI (m/z): [M+Na]
+ 422.0。