特許第6196303号(P6196303)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6196303FCCユニットのチャンバの内壁に浸食防止被覆物を製造するための方法、及びこの被覆物を製造するための固定構造体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6196303
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】FCCユニットのチャンバの内壁に浸食防止被覆物を製造するための方法、及びこの被覆物を製造するための固定構造体
(51)【国際特許分類】
   C10G 11/18 20060101AFI20170904BHJP
   C10G 75/00 20060101ALI20170904BHJP
【FI】
   C10G11/18
   C10G75/00
【請求項の数】18
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-521035(P2015-521035)
(86)(22)【出願日】2013年6月27日
(65)【公表番号】特表2015-524859(P2015-524859A)
(43)【公表日】2015年8月27日
(86)【国際出願番号】FR2013051503
(87)【国際公開番号】WO2014009625
(87)【国際公開日】20140116
【審査請求日】2016年4月28日
(31)【優先権主張番号】1256622
(32)【優先日】2012年7月10日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】510063177
【氏名又は名称】トタル ラフィナージュ シミ
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】サイモン,ユベール
(72)【発明者】
【氏名】ボリ,マルク
【審査官】 大島 彰公
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2004/0229001(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第00180553(EP,A1)
【文献】 特表2010−500435(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10G
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動接触分解ユニットのチャンバの内側又は外側の金属壁に浸食防止被覆物を製造する工程において、
− (i) 2つの隣り合うストリップ間に複数のセルを形成するように対で連結された複数のストリップから形成された金属製のハニカム型固定構造体を成形する成形ステップであって、各ストリップは、同一の面に延びて、隣り合うストリップの一連の組立体部分に固定手段によって連結された少なくとも一連の組立体部分を含む複数の部分に前記ストリップの長さに沿って分割されており、各ストリップは、成形前に単一の面に含まれている下方長手縁部と上方長手縁部とを有しており、前記固定構造体のストリップの下方長手縁部は、前記成形ステップ中に前記金属壁の形状に沿うように構成される前記成形ステップ、
− (ii)前記固定構造体の各セルが2つの隣り合うストリップの隣接する組立体部分の少なくとも複数の接合部分で前記金属壁に溶接されているように、前記ストリップの下方長手縁部の少なくとも一部を前記金属壁に溶接することにより、前記固定構造体のストリップの下方長手縁部を前記金属壁に接触させて前記固定構造体を前記金属壁に固定するステップ、及び
− (iii) 少なくとも各ストリップの上方長手縁部まで、前記金属壁から前記固定構造体のルに複合材料を導入するステップ
を有することを特徴とする工程。
【請求項2】
2つの隣り合うストリップの隣接する組立体部分の接合部分に前記ステップ(ii)中に製造される溶接部の少なくとも1つが、前記組立体部分に隣り合うストリップ部分の少なくとも1つの全長に亘って延びていることを特徴とする請求項1に記載の浸食防止被覆物を製造する工程。
【請求項3】
前記成形ステップ(i) で使用される前記固定構造体のストリップは、
− 0.04重量%〜0.10重量%の炭素、17%〜19%のクロミウム、及び9%〜12%のニッケルを、炭素含有量の8倍から1重量%の含有量のニオブと共に含むステンレス鋼、
− 多くとも0.015 重量%の炭素、15%〜17%のクロミウム、及び33%〜37%のニッケルを含む鋼、及び
− 多くとも0.10重量%の炭素、24%〜26%のクロミウム、及び19%〜22%のニッケルを含む鋼
から選択されたオーステナイト系ステンレス鋼から形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の浸食防止被覆物を製造する工程。
【請求項4】
− 前記成形ステップ(i) で使用される固定構造体は、各ストリップの上方長手縁部が前記下方長手縁部と平行な一連の直線部分から形成されているように構成されており、前記上方長手縁部は、前記下方長手縁部から距離h離れている下側部分と、前記下方長手縁部から前記距離hより大きな距離H離れている上側部分とを交互に有しており、2つの隣り合うストリップが連結されているとき、組立体部分毎に、一方のストリップの上方長手縁部の下側部分の少なくとも一部が、隣り合うストリップの上方長手縁部の上側部分と隣接しているように、前記下側部分及び前記上側部分は前記上方長手縁部に設けられており
− 前記固定構造体のルに複合材料を導入するステップ(iii) 中に、少なくとも前記固定構造体のストリップの上方長手縁部の上側部分まで、前記金属壁から前記セルに前記複合材料を充填することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の浸食防止被覆物を製造する工程。
【請求項5】
前記成形ステップ(i) で使用される前記固定構造体の各ストリップは、前記距離Hと前記距離hとの差H−hが4〜10mmであるように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の浸食防止被覆物を製造する工程。
【請求項6】
前記金属壁は、サイクロン、再生器、ディスエンゲージャ又は流動接触分解ユニットの他の内部装置の外壁又は内壁であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の浸食防止被覆物を製造する工程。
【請求項7】
前記複合材料はコンクリートであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の浸食防止被覆物を製造する工程。
【請求項8】
前記成形ステップ(i) で使用される前記固定構造体の各ストリップは、該ストリップの長さに沿って複数の部分、つまり前記ストリップの長手方向と平行な第1の面に延びている第1のストリップ部分、前記第1の面と平行であって前記第1の面とは異なる第2の面に延びている第2のストリップ部分、及び第1のストリップ部分(を第2のストリップ部分に連結している第3のストリップ部分に分割されており、
前記第1のストリップ部分及び前記第2のストリップ部分は前記ストリップの全長に亘って交互に並べられており、
ストリップの前記第1のストリップ部分は、六角形のセルを形成するように、隣り合うストリップの第2のストリップ部分に並設されて固定手段によって連結されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の浸食防止被覆物を製造する工程。
【請求項9】
流動接触分解ユニットのチャンバの内側又は外側の金属壁に浸食防止被覆物を製造するための金属製のハニカム型固定構造体であって、
前記固定構造体は、2つの隣り合うストリップ間に複数のセルを形成するように対で連結された複数の同一のストリップから形成されており、
各ストリップは、同一の面に延びて、隣り合うストリップの一連の組立体部分に固定手段によって連結された少なくとも一連の組立体部分を含む複数の部分に前記ストリップの長さに沿って分割されており、
各ストリップは、単一の面に含まれている下方長手縁部と上方長手縁部とを有しており、
各ストリップの上方長手縁部は、前記下方長手縁部と平行な一連の直線部分から形成されており、
前記上方長手縁部は、前記下方長手縁部から距離h離れている下側部分と、前記下方長手縁部から前記距離hより大きな距離H離れている上側部分とを交互に有しており、
2つの隣り合うストリップが連結されているとき、組立体部分毎に、一方のストリップの上方長手縁部の下側部分の少なくとも一部が、隣り合うストリップの上方長手縁部の上側部分と隣接しているように、前記下側部分及び前記上側部分は前記上方長手縁部に設けられていることを特徴とする固定構造体。
【請求項10】
前記固定構造体の各ストリップは、該ストリップの長さに沿って複数の部分、つまり前記ストリップの長手方向と平行な第1の面に延びている第1のストリップ部分、前記第1の面と平行であって前記第1の面とは異なる第2の面に延びている第2のストリップ部分、及び第1のストリップ部分を第2のストリップ部分に連結している第3のストリップ部分に分割されており、
前記第1のストリップ部分及び前記第2のストリップ部分は前記ストリップの全長に亘って交互に並べられており、
ストリップの前記第1のストリップ部分は、六角形のセルを形成するように、隣り合うストリップの第2のストリップ部分に並設されて固定手段によって連結されていることを特徴とする請求項9に記載の固定構造体。
【請求項11】
前記下側部分は各第1のストリップ部分の全長に亘って延びており、
前記上側部分は各第2のストリップ部分の全長に亘って延びており、
前記固定構造体の全てのストリップは同一であることを特徴とする請求項10に記載の固定構造体。
【請求項12】
2つの隣り合うストリップの各組立体部分の上方長手縁部は同一であり、一連の少なくとも1つの上側部分及び少なくとも1つの下側部分から形成されていることを特徴とする請求項9乃至11のいずれかに記載の固定構造体。
【請求項13】
前記組立体部分間に設けられているストリップ部分の上方長手縁部は、前記下方長手縁部から距離H離れていることを特徴とする請求項9乃至12のいずれかに記載の固定構造体。
【請求項14】
各ストリップの上方長手縁部は、前記上側部分及び前記下側部分間に曲線状の接合部分を有していることを特徴とする請求項9乃至13のいずれかに記載の固定構造体。
【請求項15】
前記距離Hと前記距離hとの差H−hが4〜10mmであることを特徴とする請求項9乃至14のいずれかに記載の固定構造体。
【請求項16】
前記ストリップは、
− 0.04重量%〜0.10重量%の炭素、17%〜19%のクロミウム、及び9%〜12%のニッケルを、炭素含有量の8倍から1重量%の含有量のニオブと共に含むステンレス鋼、
− 多くとも0.015 重量%の炭素、15%〜17%のクロミウム、及び33%〜37%のニッケルを含む鋼、及び
− 多くとも0.10重量%の炭素、24%〜26%のクロミウム、及び19%〜22%のニッケルを含む鋼
から選択されたオーステナイト系ステンレス鋼から形成されていることを特徴とする請求項9乃至15のいずれかに記載の固定構造体。
【請求項17】
複合材料、例えばコンクリートに埋め込まれた請求項9乃至16のいずれかに記載のハニカム型固定構造体を備えており、
前記複合材料は、前記上側部分が前記下方長手縁部から離れている距離Hと少なくとも等しい距離に亘って各ストリップの下方長手縁部から上方長手縁部まで各セルに充填されていることを特徴とする浸食防止被覆物。
【請求項18】
請求項17に記載の少なくとも1つの被覆物で覆われた少なくとも1つの内壁又は外壁を備えており、
前記被覆物の固定構造体の各ストリップの下方長手縁部は、チャンバの内壁又は外壁に溶接により固定されていることを特徴とする流動接触分解ユニットのチャンバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動接触分解(FCC)ユニットのチャンバの内壁又は外壁に浸食防止被覆物を製造する工程に関する。
【0002】
本発明は特に、流動接触分解ユニットの一部であるサイクロン、プレナム又はディスエンゲージャの壁に浸食防止被覆物を製造する工程に関する。
【0003】
本発明は更に、本発明に係る工程による浸食防止被覆物の製造に適した固定構造体に関する。
【背景技術】
【0004】
流動層接触分解(FCC)は、精油所でよく使用される化学工程であり、その目的は、例えば石油の減圧蒸留により得られた長鎖炭化水素を含む重い留分をより軽くより高品質な留分に変換することである。例えば石油製品の製造ラインで非常に高品質なより小さな分子を製造するために、特定の触媒の存在と組み合わせられた高温と、大気圧に対する僅かな超過圧力とにより、大きな炭化水素分子にひびが入る(炭化水素分子を破壊する)可能性がある。
【0005】
一般に使用される触媒は、非晶質シリカ及びアルミナの基質内に保持された希土のカチオン性置換物を有するゼオライトである。ゼオライトの粒子の大きさが(約50ミクロン程度と)非常に小さいため、この触媒はFCC反応区域で「流体」運動又は「疑似流体」運動に設定される場合がある。
【0006】
FCC工程では、処理される供給原料及び触媒は共に反応器に導入され、反応器内の温度は、摂氏数百度、例えば520 度から550 度に達する場合がある。化学反応中に生じて反応器を出るガス状排出物が、反応器の下流側に設けられたディスエンゲージャ内で固体状のコークス化された触媒粒子から分離される。ディスエンゲージャ内に設けられた一又は複数のサイクロンにより、触媒粒子及びガス状排出物の分離が補われてもよい。
【0007】
FCC反応器内で生じる化学反応により、触媒粒子にコークス堆積物が形成されることになる。これは、この触媒の連続的な再生を必要とする。このため、FCCユニット内で、コークスを燃やすために燃焼空気が200 度〜220 度程度の温度で吹き込まれる再生器に、コークス化された触媒を連続的に流す。コークスを燃やすために再生器内で使用される温度は、720 度〜760 度程度である。新たな触媒に例えられ得るこのように再生された熱い触媒はその後、反応器の入口で新たな供給原料と共に再注入される。
【0008】
FCC工程には、触媒を再生するためのこのような連続的な流体移動があるという特徴がみられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/229001号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
コークスが取り除かれた触媒は再生器の底部から連続的に排出されるが、特に二酸化炭素(CO2 )、窒素(N2)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx )及び硫黄酸化物(SOx )又は酸素(O2)さえも含む燃焼ガスにより、前記触媒の相当量の固体粒子が前記再生器の最上部の出口に運ばれる。その後、この燃焼ガスは、特には燃焼ガスの温度を下げるためにエネルギー回収ユニット内で様々な手段によって処理され、その後、煙突を介して排出される。触媒粒子がこの燃焼ガスにほとんど完全に存在しないか、又は完全に存在しないことが非常に重要であり、このために、これらの粒子を分離して回収するための適切な装置が、再生器の最上部の出口に必要である。反応器と同様に、分解反応中に生じたガス状排出物を有する触媒粒子を分離するために、サイクロンの少なくとも一段が再生器内で使用され、一次サイクロン及び二次サイクロンの二段が、燃焼ガスに含まれる触媒粒子を分離して回収するために直列に設置されていることが好ましい。
【0011】
ディスエンゲージャ、再生器、及び再生器又はディスエンゲージャ内に設けられた内部装置、特にはサイクロンの金属壁が、触媒粒子の循環により浸食する場合があり、再生器では、燃焼ガスにより腐食が大量且つ急速に生じる場合がある。従って、金属壁の耐用年数を延ばすために金属壁を保護する必要がある。
【0012】
従って、チャンバの金属壁、及び接触分解ユニットのチャンバ内の装置の金属壁は、主に浸食から金属壁を保護するための被覆物で覆われている。このような被覆物は一般に、通常金属製の固定構造体によって保持された複合材料、例えばコンクリートから構成されている。このような固定構造体は、金属壁に溶接されており、従って複合材料の取付部を構成する。固定構造体は、側面によって互いに堅固に取り付けられた複数の六角形のセルを有するハニカム形状であってもよい。そのため、固定構造体は、複数のセルの一部のみを金属壁に溶接することによって金属壁に溶接される。通常、4つのセルの内の1つが金属壁に溶接される。その後、各セルは複合材料で充填される。従って、このような被覆物の構成により、金属製の固定構造体の膨張と複合材料の膨張との差を確実に吸収することが更に可能になる。
【0013】
ある既存のハニカム型固定構造体は対で連結されたストリップから構成されている。各ストリップは、ストリップの長さに沿って複数の部分、つまりストリップの長手方向と平行な第1の面に延びている第1のストリップ部分、第1の面と平行であって第1の面とは異なる第2の面に延びている第2のストリップ部分、及び第1のストリップ部分を第2のストリップ部分に連結している第3のストリップ部分に分割されている。第1のストリップ部分及び第2のストリップ部分は、ストリップの全長に亘って交互に並べられている。このタイプの固定構造体を製造するために、ストリップの第1のストリップ部分は、セルを形成するように隣り合うストリップの第2のストリップ部分に並設されて、固定手段によって連結されている。従って、各セルは、ストリップの第1のストリップ部分及び第1のストリップ部分に隣り合う2つの第3のストリップ部分と、ストリップの並設された第2のストリップ部分及び第2のストリップ部分に隣り合う2つの第3のストリップ部分とによって画定されている。固定手段は、例えば連結されるストリップの開口部を通り抜けるリベット、ピン、ステープル又は同様の固定手段である。現在、様々な仕様では、2つの連結されたストリップ部分間の最大の間隙が約0.2 mmに設定されている。
【0014】
覆われるべきチャンバの壁及びチャンバ内の装置の壁は円筒状であることが多いので、固定構造体が固定される必要がある壁に適した曲率半径を有すべく、固定構造体は、例えばロールベンディングによって成形されなければならない。
【0015】
このような被覆物により、FCCユニットの金属壁を保護することが可能になる。しかしながら、この被覆物の劣化が経時的に観察され、これは、被覆物の破片がチャンバ又は内部装置内に落下する原因になり、被覆物を交換するために設備を停止する必要がある。
【0016】
観察された劣化には、問題になっているチャンバの動作条件に応じた幾つかの原因になる場合がある。
【0017】
ディスエンゲージャ又はディスエンゲージャに設けられたサイクロンは、供給原料の分解により生じるガスに接する。このようなガスは被覆物の隙間に達し、このような隙間内に、特には固定構造体の2つの並設されたストリップの接合部分にコークスを形成する原因となる。このようなコークスの形成は、チャンバの連続した冷却/加熱サイクル中における被覆物の著しい剥離の原因になる場合があり、複合材料と固定構造体との間に存在する間隙は実際、コークスによって充填され、そのため、このような収縮間隙は、固定構造体の膨張と複合材料の膨張との差を吸収する機能を果たすことができない。この結果、圧縮線の形成、ひびの発生、又は固定構造体のセルを充填する複合材料の剥離さえ生じる。
【0018】
再生器、又は再生器内の装置、特にサイクロンでは、金属壁は、触媒粒子と、特に酸素、炭素の酸化物、硫黄及び窒素を含むガスとに接する。このガスは被覆物の隙間に入り込み、特には金属製の固定構造体を金属壁に固定する溶接部に硫化現象、炭化現象及び酸化現象を引き起こす。
【0019】
特には硫化、炭化若しくは酸化による観察された劣化現象、腐食、又はコークスの形成に関係なく、このような現象は本質的に、金属製の固定構造体及び/又は溶接による金属壁への固定構造体の結合部分で、更に具体的には固定手段によって堅固に取り付けられた固定構造体の並設されたストリップ部分で生じることを本出願人は観察した。
【0020】
文献の欧州特許出願公開第180553号明細書には、腐食及び浸食の現象が、並設されたストリップ部分間の空間で観察されることが多く、このような空間は、ハニカム型固定構造体の円筒形又は同様の形状への成形に起因する変形によって生じることが更に記載されている。複合材料はこのような空間に入り込むことが困難であるので、腐食/浸食がこのような空間で観察される。この問題を解決するために、文献の欧州特許出願公開第180553号明細書には、別の隣り合うストリップに並設されていないストリップの複数部分にオメガ(Ω)状の切欠き部分を設けることが提案されている。オメガ状の切欠き部分は、問題になっているストリップ部分の下縁部及び上縁部に開いているように配置されている。このような切欠き部分は、ハニカム構造の成形を容易にし、腐食/浸食が観察される空間の形成を防止する。
【0021】
文献の欧州特許出願公開第180553号明細書に記載されている固定構造体では、固定構造体を構成するストリップ間の空間が小さいか又は存在しない強化被覆物が製造され得るが、周囲ガスは、依然として固定構造体のストリップ間に入り込み、固定構造体のストリップと、固定構造体が溶接される金属壁との間に存在する隙間で腐食/コークスの形成を生じさせる。
【0022】
文献のカナダ特許出願公開第632486号明細書には、並設されたストリップから形成されたハニカム型固定構造体が記載されており、このハニカム型固定構造体では、並設され連結されたストリップ部分の高さが同一ではない。そのため、複合材料がセルに充填されると、複合材料は高さが最も低いストリップを覆い、並設された2つのストリップ間への腐食性液体の導入を制限し得る。周囲ガスによって引き起こされる腐食については言及されていない。
【0023】
従って、劣化現象に、特に硫化、炭化若しくは酸化による腐食、又はコークスの形成に更に耐性を示す被覆物が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は、
− (i) 2つの隣り合うストリップ間に複数のセルを形成するように対で連結された複数のストリップから形成された金属製のハニカム型固定構造体を成形する成形ステップであって、各ストリップは、同一の面に延びて、隣り合うストリップの一連の組立体部分に固定手段によって連結された少なくとも一連の組立体部分を含む複数の部分に前記ストリップの長さに沿って分割されており、各ストリップは、成形前に単一の面に含まれている下方長手縁部と上方長手縁部とを有しており、前記固定構造体のストリップの下方長手縁部は、前記成形ステップ中に前記金属壁の形状に沿うように構成されている前記成形ステップ、
− (ii)前記固定構造体のストリップの下方長手縁部を前記金属壁に接触させて前記固定構造体を前記金属壁に固定するステップ、及び
− (iii) 少なくとも各ストリップの上方長手縁部まで、前記金属壁から前記固定構造体のセルに複合材料を導入するステップ
を有し、前記固定構造体の各セルが2つの隣り合うストリップの隣接する組立体部分間の少なくとも接合部分で前記金属壁に溶接されているように、前記ストリップの下方長手縁部の少なくとも一部を前記金属壁に溶接することにより、前記固定構造体を前記金属壁に固定するステップ(ii)は行われる、流動接触分解ユニットのチャンバの内側又は外側の金属壁に浸食防止被覆物を製造する工程を提供することにより、これらの欠点を克服することを目標とする。
【0025】
本発明に係る被覆物を製造する工程により、前記固定構造体を構成するストリップの隣接する部分を分離する限定空間へのガス種の侵入及び充填を阻害する障壁を容易に設置することが可能になる。従って、複合材料の膨張及び金属構造体の膨張に関する適応性及び可撓性が保持され得る。更に、固定構造体を製造して成形し、保護されるべき金属壁に設置する手順は、既存の手順と同一である。最後に、複合材料の(一般には手動による)導入も、既存の固定構造体の使用に対して変わらない。
【0026】
固定構造体の各セルが、チャンバの壁に、特には固定構造体の2つの隣り合うストリップの組立体部分間の接合部分に溶接されるため、固定構造体とチャンバの壁との間であって固定構造体の2つの隣り合うストリップ間の接合部分まで腐食性ガスが侵入する危険性が特に低減されることができ、従って、この接合部分での腐食が制限され得る。
【0027】
成形ステップの前に固定構造体のストリップ毎に単一の面に含まれている下方長手縁部を製造することにより、この下方長手縁部の金属壁への溶接が容易になり得る。
【0028】
2つの隣り合うストリップの隣接する組立体部分の接合部分に前記ステップ(ii)中に製造される溶接部の少なくとも1つが、組立体部分に隣り合うストリップ部分の少なくとも1つの全長に亘って延びていることが有利である。このため、固定構造体及び金属壁間に2つの隣り合うストリップの接合部分で腐食性ガスを導入する危険性が更に低減され得る。
【0029】
本発明に係る工程で使用されるハニカム構造は、ステンレス鋼(規格EN10008 に準拠して多くとも1.2 重量%の炭素及び少なくとも10.5重量%のクロミウムを含有しているステンレス鋼)から有利に製造されている。特に、ステンレス鋼は、固定構造体が使用されなければならないチャンバの環境に耐えるように選択される。
【0030】
ある適用では、例えば再生器のサイクロンにおける被覆物としての適用では、ハニカム構造に使用されるステンレス鋼の重大な劣化が観察された。
【0031】
酸化クロムの外側層の下で、鋼のクロム含有量は使用中、10.5重量%未満の値に達するまで減少するようである。しかしながら、鋼のクロム含有量が10.5重量%未満になると、鋼は錆びない性質を失い、その後、鋼は急速に酸化する場合がある。
【0032】
更に、炭化物の形成も観察され、鋼に微小な亀裂を引き起こすようである。
【0033】
この種の劣化を防ぐか制限するために、ステップ(i) で使用される固定構造体のストリップは、
− 0.04重量%〜0.10重量%の炭素、17%〜19%のクロミウム、及び9%〜12%のニッケルを、炭素含有量の8倍から1重量%の含有量のニオブと共に含むステンレス鋼、例えば、グレードAISI 347の鋼、
− 多くとも0.015 重量%の炭素、15%〜17%のクロミウム、及び33%〜37%のニッケルを含む鋼、例えば、グレードAISI 330 の鋼、及び
− 多くとも0.10重量%の炭素、24%〜26%のクロミウム、及び19%〜22%のニッケルを含む鋼、例えば、グレードAISI 310の鋼
から選択されたオーステナイト系ステンレス鋼から形成されてもよいことが有利である。
【0034】
有利には制限することなく、ステップ(i) で使用される固定構造体は、各ストリップの上方長手縁部が前記下方長手縁部と平行な一連の直線部分から形成されているように構成されており、前記上方長手縁部は、前記下方長手縁部から距離h離れている下側部分と、前記下方長手縁部から前記距離hより大きな距離H離れている上側部分とを交互に有しており、2つの隣り合うストリップが連結されているとき、ストリップの各組立体部分が、該ストリップが連結されている隣り合うストリップの組立体部分の下方長手縁部から上方長手縁部が離れている距離とは異なる距離、下方長手縁部から離れている上方長手縁部を、連結された組立体部分の全長に亘って有するように、前記下側部分の少なくとも一部が前記組立体部分の少なくとも一部の上方長手縁部を形成している。
【0035】
その後、前記固定構造体のセルに複合材料を導入するステップ(iii) 中に、少なくとも前記固定構造体のストリップの上方長手縁部の上側部分まで、前記金属壁から前記セルに前記複合材料を充填する。上方長手縁部の下側部分の高さhを超えて上方長手縁部の上側部分の高さHまで固定構造体を複合材料で覆うことにより、並設されたストリップの組立体部分間に、流体、特にはガスが侵入することを防ぐことが可能になる一方、固定構造体の成形によって生じる応力が均質になるように上側部分及び下側部分が交互に並んでいるため全面に亘って均質な機械的性質を有する固定構造体を得ることが可能になる。
【0036】
有利には制限することなく、ステップ(i) で使用される前記固定構造体の各ストリップは、前記距離Hと前記距離hとの差H−hが4〜10mmであり、好ましくは6〜8mmであるように構成されている。このような距離の差は一般に、2つの隣り合うストリップの並設されて連結された部分間に存在する空間を複合材料で覆って、ひいてはこの空間に流体が侵入することを防ぐのに十分である。
【0037】
有利には制限することなく、ステップ(i) で使用される固定構造体のストリップは全て同一である。このため、同一のストリップを使用することによりその全面に亘って特に均質な機械的性質を有する固定構造体を得ることが可能になり、そのため、固定構造体の成形によって生じる応力が特に均質になり、得られた固定構造体は優れた変形性を有する。例えば、文献のカナダ特許出願公開第632486号明細書に記載されているような夫々のセルを形成するために、同一のストリップを使用することにより、様々な部品又は1つ若しくは2つの部品を備えた固定構造体に関する製造コストを低減することが更に可能になる。
【0038】
この文献のカナダ特許出願公開第632486号明細書に述べられている第1の実施形態では、対になっている一ストリップの高さは、隣り合うストリップに並設されて連結されるように構成されている各部分に亘ってより低く、他のストリップの高さは、該ストリップの全長に亘って一定である。しかしながら、この構成は、固定構造体のロールベンディングによる成形をより困難にし、固定構造体の成形中に金属に様々な応力を加える場合がある。この文献のカナダ特許出願公開第632486号明細書に述べられている他の実施形態では、各セルは、1つのストリップ又は2つのストリップから形成されており、このため、複数のセルから形成された固定構造体を形成するために、多くの部品を製造して組み立てることが必要である。
【0039】
有利には制限することなく、被覆物が施される金属壁は、サイクロン、再生器、ディスエンゲージャ又は流動接触分解ユニットのあらゆる他の内部装置の内壁又は外壁である。
【0040】
複合材料は、本発明の意義の範囲内で、高い接着力を有する少なくとも2つの不混和性材料の混合物から形成された材料であることが好ましい。複合材料は、コンクリートのような複合建築材料であり、特には流動接触分解ユニットでの使用に適したコンクリートであることが好ましい。
【0041】
本発明に係る工程の1つの特定の実施形態によれば、ステップ(i) で使用される前記固定構造体の各ストリップは、該ストリップの長さに沿って複数の部分、つまり、前記ストリップの長手方向(L)と平行な第1の面に延びている第1のストリップ部分、前記第1の面と平行であって前記第1の面とは異なる第2の面に延びている第2のストリップ部分、及び第1のストリップ部分を第2のストリップ部分に連結している第3のストリップ部分に分割されることができ、前記第1のストリップ部分及び前記第2のストリップ部分は前記ストリップの全長に亘って交互に並べられており、ストリップの前記第1のストリップ部分は、六角形のセルを形成するように、隣り合うストリップの第2のストリップ部分に並設されて固定手段によって連結されている。
【0042】
このようなセルの六角形形状により、特に強固な固定構造体を製造することが可能になる。更に、2つのストリップの組立体により、複数のセルを得ることが可能になる。
【0043】
そのため、この特定の実施形態の固定構造体は、特に製造が簡単な以下の構成の内の1つであってもよい。
− 下側部分は各第1のストリップ部分の全長に亘って延びてもよく、上側部分は各第2のストリップ部分の全長に亘って延びてもよい、又は
− 下側部分は各第2のストリップ部分の全長に亘って延びてもよく、上側部分は各第1のストリップ部分の全長に亘って延びてもよい。
【0044】
一般的に有利には、本発明に係る工程のステップ(i) で使用される固定構造体のストリップ毎に、各組立体部分の上方長手縁部は同一であり、一連の少なくとも1つの上側部分及び少なくとも1つの下側部分から形成されており、固定構造体の全てのストリップは同一であり、このため、ストリップの製造を簡略化することが可能になる。
【0045】
特に、各組立体部分(例えば第1のストリップ部分及び第2のストリップ部分)の上方長手縁部は、単一の上側部分及び単一の下側部分から形成されてもよい。組立体部分(例えば第1のストリップ部分又は第2のストリップ部分)の2つの上側部分及び下側部分の長さは同一であってもよく、又は好ましくは異なってもよく、このため、2つの並設されたストリップの連結された組立体部分の上側部分間のあらゆる重なりを防止することが可能になる。この理由は、重なりにより、連結された部分間への望ましくないガスの導入が容易になるためである。
【0046】
有利には制限することなく、ストリップの組立体部分間に設けられたストリップ部分(例えば、特定の実施形態における第3のストリップ部分)の上方長手縁部は、下方長手縁部から距離H離れている。
【0047】
各ストリップの上方長手縁部は、上側部分及び下側部分間に曲線状の接合部分を有利には有してもよい。このため、このような固定構造体を扱っている間、特には流動接触分解ユニットのチャンバ内で固定構造体を使用するために固定構造体を手動で充填する間の負傷を回避することが可能になる。
【0048】
有利には制限することなく、材料フラップが、組立体部分以外の少なくとも1つの部分(例えば、特定の実施形態における第3のストリップ部分)から切り取られて、この部分から突出するために曲げられてもよい。このような構成により、固定構造体への複合材料の固定を改善することが可能になり、そのため、フラップは複合材料に埋め込まれ、複合材料の保持は、折られたフラップによって解放された開口部を複合材料が貫通するため更に補強される。
【0049】
全く同一のセルの一部である部分からの複数の材料フラップは、互いに向かって折られてもよい。この配置により、ストリップが互いに連結されているとき、各セルの中心に向かって折られた2つのフラップを得ることが可能になる。
【0050】
これらのフラップも、ストリップ組立体部分の面と略平行に延びるように折られてもよい。
【0051】
固定構造体のストリップが全て同一であるとき、上記に述べた様々な構成が特に有利である。
【0052】
本発明は、流動接触分解ユニットのチャンバの内側又は外側の金属壁に浸食防止被覆物を製造するための金属製のハニカム型固定構造体に更に関する。この固定構造体は、2つの隣り合うストリップ間に複数のセルを形成するように対で連結された複数の同一のストリップから形成されており、各ストリップは、同一の面に延びて、隣り合うストリップの一連の組立体部分に固定手段によって連結された少なくとも一連の組立体部分を含む複数の部分に前記ストリップの長さに沿って分割されており、各ストリップは、単一の面に含まれている下方長手縁部と上方長手縁部とを有している。各ストリップの上方長手縁部は、前記下方長手縁部と平行な一連の直線部分から形成されており、前記上方長手縁部は、前記下方長手縁部から距離h離れた下側部分と、前記下方長手縁部から前記距離hより大きな距離H離れた上側部分とを交互に有しており、2つの隣り合うストリップが連結されているとき、ストリップの各組立体部分が、該ストリップが連結されている隣り合うストリップの組立体部分の下方長手縁部から上方長手縁部が離れている距離とは異なる距離、下方長手縁部から離れている上方長手縁部を、連結された組立体部分の全長に亘って有するように、前記下側部分の少なくとも一部が前記組立体部分の少なくとも一部の上方長手縁部を形成している。
【0053】
従って、並設されて固定された2つの組立体部分の(ストリップの長手方向に沿った)あらゆる点で、これらの組立体部分の高さが異なり、このため、2つの組立体部分の上方長手縁部が並設されていないことが保証される。
【0054】
本発明に係る固定構造体の特定の構成は、2つのストリップの並設された組立体部分間にガスが侵入することを防止するように、隣り合うストリップの上方長手縁部の下側部分の高さhを超えて1つのストリップの上方長手縁部の上側部分の高さHまで固定構造体を複合材料で覆うことができる一方、固定構造体の成形によって生じる応力が均質になるように上側部分及び下側部分が交互に並べられているため、その全面に亘って均質な機械的性質を有する固定構造体を得ることができるという利点を有する。
【0055】
更に、本発明に係る固定構造体の成形は、ストリップの高さがストリップの全長に亘って同一である固定構造体に使用される装置と同一の装置で、同様の力を加えることにより行われ得る。
【0056】
(固定構造体のあらゆる成形の前に)単一の面に含まれている下方長手縁部を製造することにより、チャンバの金属壁へのこの下方長手縁部の溶接を容易にすることができる。
【0057】
各ストリップが単一の部品から形成されている(全く同一のストリップの様々な部分が固定されない)ので、本発明に係る固定構造体は、より少ない数の部品から製造されてもよい。n個の組立体部分を有する2つのストリップの組立体により、(n−1)個のセルが得られる。
【0058】
固定構造体の大きさは、連結されたストリップの数及び長さに応じて調整され得る。固定手段は、1つのストリップの第1のストリップ部分から切り取られて、並設されたストリップの第2のストリップ部分の対応する開口部に入り込む材料フラップから特に構成されてもよい。この種の固定は、例えば、文献の米国特許第3033086 号明細書に述べられている。文献のイタリア特許第1195244 号明細書では、ストリップの第1の部分からの2つのフラップが、隣り合うストリップの第2の部分の開口部に導入され、その後、これらのフラップはこの第2の部分に押し付けられる。
【0059】
1つの特定の実施形態によれば、前記固定構造体の各ストリップは、該ストリップの長さに沿って複数の部分、つまり 前記ストリップの長手方向(L)と平行な第1の面に延びている第1のストリップ部分、前記第1の面と平行であって前記第1の面とは異なる第2の面に延びている第2のストリップ部分、及び第1のストリップ部分を第2のストリップ部分に連結している第3のストリップ部分に分割されており、前記第1のストリップ部分及び前記第2のストリップ部分は前記ストリップの全長に亘って交互に並べられており、ストリップの前記第1のストリップ部分は、六角形のセルを形成するように、隣り合うストリップの第2のストリップ部分に並設されて固定手段によって連結されている。
【0060】
この特定の実施形態では、第1のストリップ部分及び第2のストリップ部分は組立体部分を構成している。
【0061】
特に、下側部分は各第1のストリップ部分の全長に亘って延びてもよく、上側部分は各第2のストリップ部分の全長に亘って延びてもよく、固定構造体の全てのストリップは同一である。
【0062】
実施形態が何であれ、固定構造体は、以下の特徴の一又は複数を有してもよい。
− 2つの隣り合うストリップの各組立体部分の上方長手縁部は、有利には同一であり、一連の少なくとも1つの上側部分及び少なくとも1つの下側部分から形成されてもよい。
− 組立体部分間に設けられたストリップ部分の上方長手縁部は、下方長手縁部から距離H離れている。
− 各ストリップの上方長手縁部は、上側部分及び下側部分間に曲線状の接合部分を有する。
− 距離Hと距離hとの差H−hは、4〜10mmであり、好ましくは6〜8mmである。
− 前記ストリップは、
− 0.04重量%〜0.10重量%の炭素、17%〜19%のクロミウム、及び9%〜12%のニッケルを、炭素含有量の8倍から1重量%の含有量のニオブと共に含むステンレス鋼、
− 多くとも0.015 重量%の炭素、15%〜17%のクロミウム、及び33%〜37%のニッケルを含む鋼、及び
− 多くとも0.10重量%の炭素、24%〜26%のクロミウム、及び19%〜22%のニッケルを含む鋼
から選択されたオーステナイト系ステンレス鋼から形成されている。
− 材料フラップは、組立体部分以外の少なくとも1つのストリップ部分から切り取られており、この組立体部分から突出するために折り返されている。
− 全く同一のセルの一部である部分からの複数の材料フラップは、互いに向かって折られてもよい。
【0063】
本発明の別の主題は、複合材料に埋め込まれた本発明に係るハニカム型固定構造体を備えた浸食防止被覆物に関しており、前記複合材料は、前記上側部分が前記下方長手縁部から離れている距離Hと少なくとも等しい距離に亘って各ストリップの下方長手縁部から前記上方長手縁部まで各セルに充填されている。
【0064】
複合材料は、前記工程に関して上述された材料であってもよく、例えばコンクリートであってもよい。
【0065】
本発明の別の主題は、本発明に係る少なくとも1つの被覆物で覆われた少なくとも1つの内壁又は外壁を備えた、流動接触分解ユニットのチャンバに関しており、前記被覆物の固定構造体の各ストリップの下方長手縁部は、前記チャンバの内壁又は外壁に溶接により固定されている。
【0066】
このチャンバは、サイクロン、再生器、ディスエンゲージャ、又は流動接触分解ユニットのあらゆる他の内部装置のチャンバであってもよい。
【0067】
溶接は、本発明に係る工程のステップ(ii)に従って有利に行われる。
【0068】
複合材料の導入は、本発明に係る工程のステップ(iii) に従って有利に行われる。
【0069】
本発明を、本発明を限定するものではない添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0070】
図1】本発明の一実施形態に係る固定構造体を示す斜視図である。
図2】本発明の第2の実施形態に係る固定構造体を示す斜視図である。
図3】本発明の第3の実施形態に係る固定構造体を示す斜視図である。
図4】明瞭化のために、ストリップ12の内の1つが実線で表されており、別の隣り合うストリップ12が破線で表されている、図3に示された固定構造体を成形するストリップ12を示す側面図である。
図5】金属壁に固定され、複合材料に埋め込まれた固定構造体の2つの隣り合うストリップの連結部分を示す断面図である。
図6図1〜3に示された固定構造体と同様の固定構造体を溶接するための一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0071】
図1は、互いに側面によって連結された複数の六角形のセル14を形成するように、対で連結された複数のストリップ12から形成された金属製のハニカム型固定構造体10を示す。
【0072】
セルの内部寸法は、約1.5 〜3.0 cmの厚さに対して4cmから6cmまで変わってもよい。
【0073】
一部品から形成された各ストリップ12は、ストリップ12の長さに沿って複数の部分121,122,123 、つまり
− ストリップの長手方向Lと平行な第1の面に沿って延びている複数の第1のストリップ部分121 、
− 第1の面と平行であって第1の面とは異なる第2の面に沿って延びている複数の第2のストリップ部分122 、
− 第1のストリップ部分121 を第2のストリップ部分122 に夫々連結している複数の第3のストリップ部分123
に分割されている。
【0074】
第1のストリップ部分121 及び第2のストリップ部分122 はストリップ12の全長に亘って交互に並べられており、一ストリップの第1のストリップ部分121 は、隣り合うストリップ12の第2のストリップ部分122 に並設されて、固定手段によって連結されている。第1のストリップ部分121 及び第2のストリップ部分122 は、本発明の意義の範囲内で組立体部分を構成している。
【0075】
固定構造体10は、複数の同一のストリップ12から形成されている。各ストリップ12は、(固定構造体のあらゆる成形の前に)単一の面に含まれている下方長手縁部12a と、下方長手縁部12a と平行な一連の直線部分12c,12d から形成された上方長手縁部12b とを有している。
【0076】
上方長手縁部12b は、下方長手縁部12a から距離h離れた下側部分12d と、下方長手縁部12a から距離hより大きな距離H離れた上側部分12c とを交互に有している。従って、上側部分12c 及び下側部分12d は、下方長手縁部12a から異なる距離に設けられている。
【0077】
図1に示された例では、上側部分12c は、各第2のストリップ部分122 及び各第3のストリップ部分123 の全長に亘って延びている。下側部分12d は、各第1のストリップ部分121 の全長に亘って延びている。
【0078】
従って、各ストリップの第1のストリップ部分121 の高さhは、各ストリップの第2のストリップ部分122 の高さHより低い(更に図4参照)。
【0079】
上側部分12c と下側部分12d との差H−hは、4〜10mmであり、好ましくは6〜8mmである。
【0080】
各ストリップ12の上方長手縁部12b は、上側部分12c 及び下側部分12d 間に曲線状の接合部分124 を有している。
【0081】
図示されたストリップ12は、各第3のストリップ部分123 から切り取られた材料フラップ125 を更に有している。第3のストリップ部分から突出して、固定構造体10を続いて覆う複合材料のための追加の固定部を形成するために、フラップ125 は、前記第3のストラップ部分に対して折り広げられている。従って、折り広げられたフラップ125 は、切り取られた開口部126 を解放する。このようなフラップ125 は、第1のストリップ部分121 及び第2のストリップ部分122 の面と略平行に延びるように折り広げられている。更に、第1のストリップ部分121 によって分離された同一のストリップの2つの第3のストリップ部分123 のフラップ125 は、互いに向かって折り広げられている。
【0082】
図示された例では、ストリップ12を互いに固定する手段は、第2のストリップ部分122 での切り取りによって形成された第2のストリップ部分122 毎に2つのフラップ127 と、第1のストリップ部分121 の対応する開口部128 とを有している。従って、ストリップ12の固定は、第2のストリップ部分122 のフラップ127 を第1のストリップ部分121 の対応する開口部128 に導入して、その後、フラップ127 を第1のストリップ部分121 に対して折り返すことにより非常に簡単に行われる。
【0083】
変形例として、各フラップ127 が対応する開口部に導入され得るか、又は単一のフラップ127 が第2のストリップ部分122 毎に設けられ得る。フラップ127 及び開口部128 は第1のストリップ部分又は第2のストリップ部分のいずれかに設けられてもよい。
【0084】
第1のストリップ部分及び第2のストリップ部分の対応する開口部を貫通するステープル又はリベットのような他の実施手段が想到され得る。
【0085】
図2は、上方長手縁部12b'に沿った上側部分12'c及び下側部分12'dの分配のみ、図1に示された実施形態とは異なる第2の実施形態を示す。他の参照番号は、図1に示された要素と同一の要素を表す。本例では、ストリップの各第1のストリップ部分121 及び各第2のストリップ部分122 の上方長手縁部が、長さが同一の上側部分12'c及び下側部分12'dから形成されている。
【0086】
第3のストリップ部分123 の上方長手縁部は、下方長手縁部から上側部分12'cと同一の距離H離れている。
【0087】
上側部分12'cと下側部分12'dとの差H−hは、4〜10mmであり、好ましくは6〜8mmである。
【0088】
図3は、上方長手縁部12"bに沿った上側部分12"c及び下側部分12"dの分配のみ、図1に示された実施形態とは異なる第3の実施形態を示す。他の参照番号は、図1に示された要素と同一の要素を表す。本例では、ストリップの各第1のストリップ部分121 及び各第2のストリップ部分122 の上方長手縁部が、長さが異なる上側部分12"c及び下側部分12"dから形成されている。従って、ストリップが連結されているとき、一ストリップの第1のストリップ部分121 の上側部分12"cは、図4に示されているように、ストリップの長手方向に沿って第1のストリップ部分121 に接する、隣り合うストリップの第2のストリップ部分122 の上側部分12"cから離れている。
【0089】
第3のストリップ部分123 の上方長手縁部の中央部分が、下方長手縁部から上側部分12"cと同一の距離H離れている。
【0090】
上側部分12"cと下側部分12"dとの差H−hは、4〜10mmであり、好ましくは6〜8mmである。
【0091】
2つの隣り合うストリップ12の組立体部分121 及び組立体部分122 間の固定手段は、図2及び図3には示されていないが、例えば、図1を参照して述べられた固定手段と同一である。
【0092】
図4は、図3に示された固定構造体を構成するストリップ12を示す側面図であり、ストリップ12の内の1つが実線で表されており、別の隣り合うストリップ12が破線で表されている。
【0093】
図5は、金属壁20に固定されて複合材料22に埋め込まれた固定構造体10を示す横断面図である。複合材料22の高さは、上側部分12c 、上側部分12'c又は上側部分12"cが下方長手縁部12a から離れている距離Hと略等しい。このように得られた被覆物は、実施形態に関係なく、高さHの部分と、連結された第1のストリップ部分121 及び第2のストリップ部分122 間の隙間とを完全に覆う。
【0094】
固定構造体10は、金属壁20に溶接によって固定され得る。
【0095】
従って、流動接触分解ユニットのチャンバの内壁又は外壁が、
− (i) 固定構造体10のストリップ12の下方長手縁部12a が金属壁20の形状に沿うように、ハニカム型固定構造体10を成形し、
− (ii)ストリップ12の下方長手縁部12a が金属壁20に接しているように、固定構造体10を金属壁20に固定し、
− (iii) 少なくとも固定構造体の上方長手縁部12b の上側部分12c 、(上側部分12'c又は上側部分12"c)まで、金属壁20から固定構造体10のセル14に複合材料22を導入する
ことにより保護されてもよい。
【0096】
特に、金属壁20は、サイクロン、再生器、ディスエンゲージャ又は流動接触分解ユニットのあらゆる他の内部装置の壁であってもよい。
【0097】
一般に、固定構造体10を固定するために、固定構造体10は、金属壁20の全体を覆うように保護されるべき金属壁20に多点で溶接され得る。従って、固定構造体は、セルの一連の溶接部によって金属壁に固定される。
【0098】
図6は、本発明に係る実施工程の固定ステップ(ii)によってもたらされてもよい溶接結果を示す図である。表わされた図面によれば、各セル14が金属壁20に個々に溶接されているように、ストリップの下方長手縁部12a の少なくとも一部が金属壁20に溶接されている。
【0099】
表わされた例では、各セル14は2つの溶接部16,17 によって金属壁に溶接されている。これらの溶接部16,17 は、2つの隣り合うストリップ12の第3のストリップ部分123 間の接合部分に設けられている。溶接部16の内の1つは、隣り合うストリップの第3のストリップ部分123 のフラップ125 まで第3のストリップ部分123 の全長に亘って延びている。他方の溶接部17は、第3のストリップ部分のフラップ125 まで第3のストリップ部分の一方に亘って、且つ、フラップ125 の切り取りによって解放された開口部126 の縁部まで第3のストリップ部分の他方に亘って延びている(この開口部126 は図4に表わされていない)。従って、フラップ125 によって解放された開口部126 が(図面に表されているように)第3のストリップ部分の中央部に設けられているとき、この溶接部17は、各第3のストリップ部分123 の全く同一の長さに亘って延びている。
【0100】
2つの隣り合うストリップの隣接する組立体部分121,122 と金属壁20との接合部分が溶接部によって覆われているという条件下で、溶接部16,17 の長さは、図5を参照して述べられた長さとは異なってもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6