(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも一つの窓(1023)は、前記外側シェル(1022)の端部に配されており、前記少なくとも1つの変形可能タブ(1510;1520)は、注入後に少なくとも一つの窓(1023)から見える構成になっている
ことを特徴とする請求項5に記載の自己注射器。
前記音および/または感触による通知は、前記制御スリーブ(1004)と、前記少なくとも1つの側部材(1502)との接触、および/または、前記少なくとも1つの側部材(1502)と前記外側シェル(1022)との接触により発生する
ことを特徴とする請求項7から9までのいずれかに記載の自己注射器。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る自己注射器の二つの好適な実施の形態を種々の変形例を参照しつつ説明する。
実施の形態1は、
図1〜
図46に、実施の形態2は、
図47〜
図74(c)に、それぞれ示されている。
ただし、複雑な装置である自己注射器は、いくつかの機能を実行するためのいくつかのモジュールを備える。これらのモジュールは、他のモジュールと組み合わせることなく、それぞれ個別に独立して利用可能であり、特に、図に示されているのとは異なる構成の自己注射器において用いることができることに留意されたい。
【0019】
図1は、好適な実施の形態1に係る自己注射器の様々な構成要素を、分解した状態で示している。
実施の形態1では、自己注射器は、参照番号の順に、中央本体部1、制御リング(control ring)2、挿針用ばね3、制御スリーブ(control sleeve)4、ピストンロッド5、支持ペレット6、三つのブロック要素7(ここではボール状)、注入用ばね8、規制摺動部材9、下側本体部10、駆動スリーブ11、駆動スリーブ用ばね12、貯蔵器収容部13、キャップ14、上側本体部15、複数の太陽歯車16、複数の遊星歯車17、遅延ばね18、トリガー19、ロックピン20、ワイヤー21、外側シェル22、およびブロックリング23を備えている。
【0020】
これらの要素のすべてが上記実施の形態の一部を構成するが、これらすべてが自己注射器の動作に不可欠というわけではない。これについては、以下に、より詳細に説明する。
キャップ14は、特に輸送中や保管中に自己注射器をロックする。キャップ14は、下側本体部10に取り付けられると、駆動スリーブ11のあらゆる動作を防止し、それによって自己注射器のあらゆる突発的動作を防止する。
【0021】
貯蔵器Aを当該自己注射器に挿入することができる。この貯蔵器は、流体製品を収容し、ピストンと針とを備える。ピストンは、貯蔵容器内で移動して流体製品を針に注入するように構成されている。
本明細書では、シリンジAに関して説明するが、シリンジAは、どのような種類のものであってもよい。概して、本明細書における「シリンジ」は、針が接続されたあらゆる種類の貯蔵器を含む。
【0022】
好ましくは、シリンジAは、あらかじめ充填されたシリンジである。なお、自己注射器の使用前において針を保護し隔離する、針キャップBを備えていれば有利である。また、針キャップBは、下側本体部10からキャップ14を取り外す際に、自動的に取り外されれば有利である。
図2(a)〜2(f)は、
図1の自己注射器の使用における複数の段階を示す。
【0023】
図2(a)において、自己注射器は、使用前の静止状態にあり、キャップ14は取り外されている。
自己注射器を使用する際、ユーザーは、例えば外側シェル22を持って装置を手に取り、駆動スリーブ11を押し当てる。駆動スリーブ11は、第1突出位置にあるときには、ユーザーが注射したい部位に対して下側本体部10から突出している。
図2(b)は、ユーザーによって駆動スリーブ11に加えられた力が駆動スリーブ11を下側本体部10の内方に向けてスライドさせ、これとともに駆動スリーブ用ばね12が圧縮する様子を示している。
【0024】
図2(c)に示すように、駆動スリーブ11が駆動位置、すわなち、下側本体部10内の終端位置に到達すると、それにより挿針ロックが解除され、挿針用ばね3の作用で、下側本体部10内の制御スリーブ4が作動する。その結果、下側本体部10内でシリンジAが動き、シリンジの針がユーザーの体内に挿入される。
針が完全に挿入され注入位置に到達すると、注入段階が開始する。これは
図2(c)および
図2(d)に示されている。なお、ピストンロッド5は、注入用ばね8の作用でピストンを押すことにより、シリンジA内でスライドする。これにより流体製品が吐出される。
【0025】
注入が完了し、必要に応じて一定の遅延あるいは時間差をおくと、自己注射器は、後述するように、シリンジAを引き込む。よって針は、
図2(e)に示すように、ユーザーの体内から出て自己注射器の内方に向けて引き込まれる。
引き込みが完了すると、駆動スリーブ11は、駆動スリーブ用ばね12の作用で、再び下側本体部10から出て第2突出位置に向けて移動する。このとき駆動スリーブ11はロックされ、ユーザーの安全は完全に確保され、装置の使用後の針による怪我を防止する。なお、駆動スリーブ11の第1および第2突出位置は、この例では異なる位置であるが、同じ位置であってもよい。
【0026】
以下、好適な駆動スリーブについて、
図3(a)〜
図18を参照してより詳細に説明する。
駆動スリーブ11は、2方向に可撓性を有する可撓性タブ110を備える。まず、径方向における可撓性を有する。すなわち、駆動スリーブ11の内方に向けて変形する。そして、横方向における可撓性を有する。すなわち、駆動スリーブ11の周縁に沿って変形する。このような可撓ピンを備える駆動スリーブ11は成形が容易であり、生産コストの観点で好適である。可撓性タブ110は、可撓性を有し、かつヘッド部112を終端とするロッド部111を備えていれば、有利である。可撓性タブ110は、駆動スリーブ11が第1の突出位置から駆動位置に向けて移動し、その後、駆動位置から第2の突出位置に戻る際に、一方では径方向に変形し、また、他方では中央本体部1に対して横方向に変形するよう構成されている。
【0027】
好ましくは、可撓性タブ110は、駆動前において駆動スリーブ11が第1の突出位置から駆動位置に移動する際に、径方向に変形し、使用の最終段階において駆動スリーブ11が駆動位置から第2の突出位置に移動する際に、横方向に変形する。これは、図に示されている変形例である。
図3(a)、3(b)、および3(c)は、駆動スリーブ11の終端位置の三つの部分概略斜視図である。具体的には、
図3(a)は、駆動前の静止状態における第1の突出位置を、
図3(b)は、駆動スリーブ11が下側本体部10の内部に最大限挿入された駆動位置を、そして
図3(c)は、使用の最終段階において、駆動スリーブ11が下側本体部10に対してロックされた第2の突出位置を示す。
【0028】
なお、中央本体部1は、溝を構成する切欠き部と、肩部とを備える。これらについては以下に詳細に説明する。中央本体部1は下側本体部10に固定され、駆動スリーブ11は、下側本体部10の内部をスライドするように構成されている。
中央本体部1は、略軸方向に延伸する第1の溝101と開口103とを備え、開口103は第1の溝101とは分かれているが、第1の溝101の軸方向の延長線上に位置する。中央本体部1は、第1の溝101と開口103との間に位置する径方向カム102を備える。
図6および7に示すように、径方向カム102は、中央本体部1の壁部における、傾斜した、径方向に厚くなっている部分から構成可能で、この厚くなっている部分は、第1の溝101の軸方向終端部に形成されている。
【0029】
径方向カム102は、可撓性タブ110のヘッド部112と協働して可撓性タブ110を径方向に変形させ、それにより、駆動スリーブ11が駆動位置へと移動する間に、ヘッド部112を、第1の溝101から開口103に移動させる。
中央本体部1は、開口103に対し軸方向および横方向にずれた最終受付領域105を備える。図に示すように、この最終受付領域105は、第1の溝101と軸方向においておおよそ同じ高さに位置している。開口103は、横方向傾斜溝104によって最終受付領域105に繋がっている。軸方向肩部106が、最終受付領域105と横方向傾斜溝104との間に形成されている。したがって、可撓性タブ110のヘッド部112は、駆動スリーブ11が駆動位置から第2の突出位置に戻る際に、横方向傾斜溝104内をスライドし、可撓性タブ110を横方向に変形させる。
【0030】
使用後、駆動スリーブ11が第2の突出位置に達したとき、ヘッド部112は軸方向肩部106の下に嵌合し、もしくはスナップ留めされて、駆動スリーブ11を中央本体部1および下側本体部10に対してロックする。可撓性タブ110のヘッド部112と軸方向肩部106とが留め具となるため、駆動スリーブ11は、このロック位置からは駆動位置の方向に動かすことができない。
【0031】
図4〜
図8は、開始位置、すなわち、ユーザーが自己注射器の使用を開始した瞬間を示す。これらの図に示すように、ヘッド部112は、中央本体部1の第1の溝101内に位置する。駆動スリーブ11が下側本体部10の内方に向けてスライドする際、可撓性タブ110のヘッド部112は、中央本体部1の溝101の内部をスライドする。ヘッド部112が第1の溝101の軸方向終端部に到達すると、径方向カム102はヘッド部112と協働する。これにより径方向カム102は、可撓性タブ110、とりわけそのロッド部111を、その長手方向の中心軸に向けて、径方向内側に変形させる。
【0032】
図9〜12は、可撓性タブ110が径方向に変形された場合の位置を示す図である。
図11に示すように、可撓性タブ110のヘッド部112は、この径方向への変形の後、開口103に到達するまで、軸方向にさらに移動する。駆動スリーブ11は、
図13に示すように、駆動位置に到達する。
この駆動位置において、可撓性タブ110は、弾性的に、径方向に変形されていない状態に戻る。
図14に示すように、可撓性タブ110のヘッド部112は、開口103内に戻る。
【0033】
可撓性タブ110の径方向への変形は、駆動スリーブ11を第1の突出位置から駆動位置へと移動させるのに必要であり、この変形は、いくらかの抵抗力を発生する。スリーブ用ばね12の圧縮力とともに、この抵抗力が作用することにより、ユーザーは、駆動スリーブ11を下側本体部10の内側に移動するためは、少なくとも所定の力を加える必要がある。
【0034】
これにより、キャップ14を外した後に、偶然あるいは意図せず駆動する危険性が回避できる。駆動は、ユーザーが駆動スリーブ11に所定の力を加えたときに初めて実行される。この力の閾値の存在により、一定の予圧がユーザーの手にかかる。その結果、この閾値を超えたときに、駆動スリーブ11を駆動位置へ向けて確実に移動させることができる。
【0035】
駆動スリーブ11が駆動位置、すなわち
図13〜16に示す位置に到達すると、駆動スリーブ11のばね12が圧縮され、駆動スリーブ11がトリガーとなって挿針ロックが作動する。これについては後で詳述する。その結果、下側本体部10内のシリンジAが作動し、針がユーザーの体に刺さる。挿針段階、およびそれに続く注入段階にわたって、駆動スリーブ11が下側本体部10に対して移動することはない。なぜなら、ユーザーは、注射している体の部分に圧力をかけ続けるからである。
【0036】
使用の最終段階、すなわちユーザーが体から自己注射器を外そうとするとき、駆動スリーブ11のばね12は、
図3(c)に示すように、駆動スリーブ11を駆動位置から第2の突出位置に戻すように作用する。下側本体部10内における駆動スリーブ11のこの軸方向の移動により、可撓性タブ110のヘッド部112は、
図17および
図18に示すように、横方向傾斜溝104と協働する。
【0037】
これにより、
図17に示すように、可撓性タブ110、とりわけそのロッド部111が、駆動スリーブ11が軸方向にスライド可能となるまで弾性変形し、その際、ヘッド部112は横方向傾斜溝104内でスライドし、可撓性タブ110は横方向に変形する。横方向傾斜溝104の終端部は、軸方向肩部106を有する最終受付領域105にある。駆動スリーブ11の帰路の終端において、可撓性タブ110のヘッド部112が最終受付領域105を貫通し、ヘッド部112の上側端部114が軸方向肩部106と協働し、駆動スリーブ11が下側本体部10に対して移動するのを防ぐ。駆動スリーブ11は、下側本体部10の内方に向けて軸方向にスライドすることができなくなり、安全装置は最終的なロック状態となる。したがって、針は使用後に完全に保護され、ユーザーは、自己注射器を用いることも、針で怪我をすることもなくなる。
【0038】
もちろん、溝の形状、大きさ、傾きは、必要に応じて、また求められる針安全装置の特性に応じて、変形可能である。
上述の駆動スリーブは、特に効果的で信頼性があり、また頑強でシンプルであり、安価に成形できる。
図32〜46は、下側本体部10におけるシリンジを作動させる装置を、より詳細に描いた図である。この作動装置は、挿針、すなわちユーザーの体内への針の挿入、および注入後の針の引き込みを確実にする。
【0039】
すでに見たとおり、駆動の最初の時点で、シリンジAは、下側本体部10内で軸方向に移動し、ユーザーの体内に針を挿入する。ユーザーの体内に流体製品を注入した後、オプションとして上述の遅延装置によって一定の時間をおいた後、シリンジAは再び下側本体部10内を反対方向に移動して後退し、ユーザーの体内から針を自動的に引き抜く。このように、ユーザーが体から自己注射器を外したとき、針は既に突出しておらず、自己注射器内に引き込まれている。
【0040】
このような、下側本体部10内におけるシリンジAの往復運動を実現するため、制御スリーブ4、規制摺動部材9、および駆動スリーブ11と協働する制御リング2が備えられている。また、以下に説明するように、本体部内におけるシリンジAの引き込みを実現するため、トリガー19が介在する。
図33〜35は、シリンジが挿針のために移動する前の、開始位置を示す。なお、制御リング2は、挿針用ばね3によって、回転方向に駆動される。このばねは、ねじり方向に作用するばねである。このようなねじりばねにより、痛みのない挿針が可能となる。
【0041】
図33〜35に示す初期位置において、
図35がより明確に示すように、制御リング2の回転が規制摺動部材9の突起91によって防止されている。
図3(b)に示すように、駆動スリーブ11が下側本体部10内の終端位置に到達すると、駆動スリーブ11の肩部118が規制摺動部材9の肩部92と協働して、当該規制摺動部材9を、
図36に示す軸方向上方に移動させる。この規制摺動部材9の軸方向の移動により、制御リング2の回転が解放され、負荷のかかった挿針用ばね3の作用で回転可能となる。
【0042】
制御リング2は、スロープのような三つの傾いた面24、25および26を有する。これらの機能について、以下に説明する。
制御リング2は、例えばスロープのような第1の内側傾斜面24を備え、これが制御スリーブ4の突起44と協働する。したがって、制御リング2は、回転することによって制御スリーブ4を少しずつ軸方向に移動させる。制御スリーブ4はシリンジを収容するシリンジ収容部13と協働し、制御スリーブ4が動くことにより下側本体部10内のシリンジAが動き、挿針を実行する。
【0043】
図39は、第1の内側傾斜面24が制御スリーブ4の突起44と協働することによって針が完全に挿入された状態を示している。
制御スリーブ4が移動し、それにより針がユーザーの体内に挿入される間、規制摺動部材9の突起91もまた、制御リング2の、例えば外側のスロープである外側傾斜面25と接触し、規制摺動部材9は、駆動スリーブ11に対して、軸方向にさらに変形する。これにより、針を刺す間、規制摺動部材9は駆動スリーブ11と同じ方向に動くことになる。その結果、
図44に示すように、規制摺動部材9の突起92は、駆動スリーブ11の上側突起119に近接し、規制摺動部材9の突起95は、トリガー19の突起191に近接する。
【0044】
制御スリーブ4の突起44と協働する第1の内側傾斜面24は、
図41に示すように、平坦部241、すなわち傾斜のない部分を有していれば有利である。この平坦部241は、非常に重要な機能を有する。なぜなら、これにより、ユーザーの体内に針が挿入される動作が完全に終わって初めて注入が開始されることが保証されるからである。
一方、多くの自己注射器では、その製造上の公差のため、針が最終的な挿入位置に到達する少し前に注入を開始する必要があるが、第1の内側傾斜面24における平坦部241がこの現象を回避する。
【0045】
実際、制御リング2がすでに制御スリーブ4を軸方向に完全に移動させ、シリンジの針がユーザーの体内に完全に挿入されたとき、制御リング2は、注入ロック手段を作動させるために、平坦部241の形成する円弧上で、例えば30度、さらに回転する必要がある。したがって、注入ロック手段のブロックリング23は、制御リング2が平坦部241の形成する円弧上でさらに回転した後でないと、ロック位置から移動できない。平坦部241が傾斜していないため、この追加的回転の間、制御スリーブ4が軸方向に移動することはない。
【0046】
したがって、シリンジAも軸方向に移動することはない。これにより、たとえ製造上の公差があったとしても、注入の開始前に挿入が完了することが保証される。同時に、制御リング2の上記追加的回転の間、制御リング2の、例えばスロープのような第2の内側傾斜面26が、注入ロック手段のブロックリング23の突起235と協働し、ブロックリング23をブロック位置から移動させて注入ロック手段を解除する。このとき、制御リング2は当該追加的回転の終わりに達する。このこともまた
図41に示されている。なお、制御リング2が、互いに120度の角度をなす三つの第2の内側傾斜面26を備え、ブロックリング23が、これも互いに120度の角度をなす三つの突起235を備え、各突起235が各第2の内側傾斜面26と協働する構成とすれば有利である。
【0047】
ブロックリング23がトリガーとなって注入が開始すると、規制摺動部材9によって再び制御リング2の回転がブロックされる。
規制摺動部材9が
図44に示す位置にあるとき、もしユーザーが、注入の途中、あるいは注入後であって遅延の終了前に自己注射器を外すと、駆動スリーブ11のばね12は、駆動スリーブ11を下側本体部10から戻すように作用する。駆動スリーブ11のこの動作によって、規制摺動部材9は、上側突起119と、当該規制摺動部材9の肩部92とが協働することにより、
図44に示す軸方向下方に向けて引っ張られる。
【0048】
したがって、制御リング2は再び規制摺動部材9から解放されて回転可能となり、挿針用ばね3は、制御リング2をさらに回転させる。これによって、シリンジおよび体内の針を引き込む。駆動スリーブ11は、動作を完了すると、上述したようにロックされる。したがって、もしユーザーが、流体製品が完全に吐出される前に自己注射器を外したとしても、針安全装置が作動する。
【0049】
通常の工程の場合、これにより注入は終了し、以下に説明するように、ピストンロッド5がトリガー19の回転を開放する。このとき、遅延装置を用いる場合には、オプションとして遅延を発生させる。トリガー19が所定の回転動作を完了した時点から、トリガー19の突起191が規制摺動部材9の突起95との協働を開始し、これにより当該規制摺動部材9が
図44に示す軸方向下方に向けて移動する。その結果、上述したとおり、制御リング2の回転が解放される。
【0050】
図45および46は、制御リング2の回転による針の引き込みを示す。この回転により、制御スリーブ4の突起44が、制御リング2の内側の溝に対向し、制御リング2の内側の制御スリーブ4が、ばねの作用で元の位置に向けて軸方向に移動する。その結果、シリンジおよび針が引き込まれる。
図19〜26は、好適な注入ロック手段の概略図である。
【0051】
本自己注射器は、注入手段を備え、特に、ピストンロッド5、注入用ばね8、およびブロックリング23を備える。これらの注入手段は、当該注入ロック手段によって、負荷のかかった状態でロックされている。注入ロック手段の解除により注入手段が駆動し、これにより針を介して流体製品が注入される。
図19に示すように、注入ロック手段は、中央本体部1内に配置された制御スリーブ4を備え、制御スリーブ4は、ピストンロッド5および注入用ばね8を包含し、ピストンロッド5は、少なくとも一つのブロック要素7をブロック位置とブロック解除位置との間で移動可能に収容する径方向窪部50を備える。
【0052】
当該少なくとも一つのブロック要素7は、好ましくは、略球状をしている。図に示す変形例では、ボール状をした三つのブロック要素7があるが、これらとはブロック要素の数および形状が多少異なっていてもよい。なお、以下では、三つのボールの場合を説明するが、これに限定されるものではない。
当該ボール7は、ピストンロッド5によって径方向外方に向けて付勢されており、本実施の形態ではブロックリング23により構成されるブロック手段によって、ブロック位置に保持されている。このブロックリング23は、ブロック要素1007をブロック位置に固定するロック位置と、ブロック要素1007が解放され上記注入ロック手段を解除するロック解除位置との間で、ピストンロッド5に対して軸方向に移動可能である。
【0053】
これにより、注入用ばね8は、ピストンロッド5を、その注入位置に向けて移動させることができる。
図20は、ブロック位置にある注入ロック手段を示す。注入用ばね8は、一方ではピストンロッド5と、他方では支持ペレット6と協働する。支持ペレット6は、ピストンロッド5の周囲に配置されたリングからなる。ピストンロッド5は、好ましくは、傾斜面51を有する径方向窪部50を備える。径方向窪部50はピストンロッド5を縮径することにより形成されている。
【0054】
このピストンロッド5は、制御スリーブ4の内部に配置され、
図20における軸方向左方に移動可能である。それによりシリンジA内のピストンを押し、当該シリンジ内の流体製品を、針を介して吐出する。
図20に示すように、ボール7はピストンロッド5の径方向窪部50内に配置されており、これにより、一方ではピストンロッド5の傾斜面51と、他方では支持ペレット6の上面61と、協働する。
【0055】
ピストンロッド5の傾斜面51は、圧縮された注入用ばね8の作用により傾斜面51がボール7に反作用力F1を加えるようにボールと接しており、この反作用力F1は、完全に軸方向ではなく、やや外側を向いており、ボール7に対し、
図20に示すブロック位置の外側に向けて径方向に付勢する。
ブロックリング23は、ボール7の径方向外方に位置し、ブロック位置にある当該ボールを径方向にブロックする。特に、
図22に示すように、ボール7は制御スリーブ4のハウジング内に収容可能で、ブロックリング23は、各ボール7について一つの突起231を備え、これらがボール7と接触することにより、ボール7が径方向外方に向けて移動するのを防ぐ。
【0056】
支持ペレット6は、注入用ばね8の力F3をボール7に伝え、ブロックリング23は、ボール7に対して反作用力F2を加えることにより、ボール7が径方向に移動するのを防止する。
したがって、ブロック位置にあるロック手段に及ぼされるすべての力を支えているのがボール7であり、力F1、力F2、および力F3の影響下で、3点で均衡がとれている。このようなロック手段は極めて安定的で頑強であり、落下テストにも耐えうる。このテストは、キャップ14を外した後に自己注射器を床に落とす行為をシミュレーションするものであり、その目的は、落下の際に注入ロックが作動するのを防ぐことである。
【0057】
特に、自己注射器の構成要素、例えば中央本体部1や下側本体部10に対して、力が及ばない。よって、このロック手段により、装置が輸送や使用中に予期せず分解する危険性が回避される。
なお、ボール7を、球体ではなく、より複雑な丸みを帯びた要素、例えば、円筒形や豆形の要素と置き換えて、ロックの安定性をさらに改善することも可能である。この場合、これらの非球体可動要素は、金属で形成可能で、例えば鋼線を切断することによって形成可能である。
【0058】
シリンジの針がユーザーの体に完全に刺さって挿入された後に初めて、後述のように、ブロックリング23が
図21に示す矢印E1の方向に移動する。その結果、ボール7がブロック位置から解放され、径方向外方に向かって矢印E2の方向に移動する。
なお、変形例として、ブロックリング23は、ボール7を開放する位置まで回転して移動するとしてもよい。支持ペレット6は、
図21の矢印E3が示すように、制御スリーブ4の内側のへりに当たって止まる。この位置では、もはやピストンロッド5はボール7に固定されず、軸方向、すなわち、
図21の左方に向かって移動し、流体製品を注入する。
【0059】
図21に示すように、ボール7は支持ペレット6に妨げられ、もはやブロック位置に戻ることはない。
図23〜26は、
図20および21を参照して上述した注入ロック手段のブロック位置およびブロック解除位置をわずかに異なる視点から描いた図である。
図19〜26に示す注入ロック手段は、ブロックリング23に対して比較的弱く制御が容易な力を加えることによって、圧縮ばね、ここでは注入用ばね8がおよぼす強い力を解放する。具体的には、ブロックリング23をブロック解除位置に移動するのに必要な力は、注入用ばね8がおよぼす力の僅か10%、あるいは5%程度である。これは、装置の信頼性の高い動作を保証する、非常に重要な性能である。
【0060】
挿入が完了すると、つまり、ピストンロッド5がその最終位置に到達し、シリンジAのピストンが流体製品を注入するために移動すると、トリガー19は、シリンジAを引き込み、それにより針を引き込む。
注入段階においては、ロックピン20は、トリガー19を介し、上側本体部15の中央路151内に延伸する。遅延ばね18は、ここではらせん状のばねであり、トリガー19を回転方向に付勢する。この回転は、好ましくは長方形のロックピン20によってブロックされている。ロックピン20は、トリガー19と一体的に回転するが、上側本体部15の中央路151によって回転がブロックされるように構成されている。
【0061】
注入段階において、ピストンロッド5は、軸方向、すなわち
図28の左方に向けて移動する。移動する際、ピストンロッド5はワイヤー21を引っ張り、それによりワイヤー21は中央路151から突出する。ロックピン20が中央路151内に位置しているため、トリガー19の回転がブロックされる。ピストンロッド5が注入終了位置に近づくと、ワイヤー21が完全に引き出されてピストンロッド5とロックピン20との間で張架され、ピストンロッド5のさらなる動きは、ロックピン20を、中央路151から軸方向に動かす。ピストンロッド5が注入終了位置に達すると、ロックピン20が中央路151と協働しなくなり、トリガー19およびロックピン20は、遅延ばね18の作用で回転可能となる。
【0062】
図31に示すように、トリガー19は、外側スロープ190を備え、外側スロープ190は一方の側に突起191を有することができる。トリガー19が、所定の回転、典型的には一回転すると、突起191は規制摺動部材9と協働し、上述したとおり、規制摺動部材9を軸方向に動かし、針を後退させる。
図27〜31は、好適な遅延装置を示す。
【0063】
遅延装置は、自己注射器においてはオプションであるが、その主な目的は、シリンジAの引き込みを遅らせ、それによって、ユーザーの体内への流体製品の注入が完了した後、針が体から引き抜かれるのを遅らせることである。これにより、注入後、数秒間、流体製品が拡散するようになる。また、このような遅延装置により、ユーザーは、注射の後、例えば10まで数える必要がなくなる。このように数を数えるのにかかる時間は、ひとによってまちまちである。遅延装置は、自己注射器の使用を容易にする。
【0064】
図27〜31に示す機械式の遅延装置は、引き込みを数秒間遅らせるものであり、この遅延はあらかじめ決めておくことができる。
図27は、この遅延装置の分解概略図である。上側本体部15、数個の太陽歯車16と数個の遊星歯車17、遅延ばね18、トリガー19、ロックピン20、ワイヤー21、およびピストンロッド5を備える。ピストンロッド5が注入終了位置に到達して流体製品がすべて注入されたときに、ピストンロッド5が遅延装置を駆動する。
【0065】
図28は、駆動前の遅延装置を示している。図に示すように、ピストンロッド5は、ワイヤー21によって、ロックピン20に接続されている。この状態では、ワイヤー21およびロックピン20は、上側本体部15の中央路151およびトリガー19内に延伸している。
図30に示すように、上側本体部15は、その内側面にギア155を備える。上側本体部15の、この内側ギア155は、太陽歯車16に組み合わされた複数の遊星歯車17と協働する。
図28に示す例では、数個の太陽歯車が軸方向に互いに重ねられている。太陽歯車16は、円盤状のプレートを備え、その片側の面上に複数の遊星歯車支持ロッド161が形成されており、それぞれが一つの遊星歯車17を回転可能に支持している。図の例では、各段に三つの遊星歯車17があり、三つの遊星歯車支持ロッド161がある。
【0066】
各太陽歯車16は、その遊星歯車17と係合し、遅延装置の一段を構成する。上記円盤状のプレートの反対側の面上においては、太陽歯車16は、隣接する段の遊星歯車17と協働するよう構成されたギア162を備える。これにより、
図30に示すように、上記遅延装置は遊星歯車列の原理を用いる。この装置の各段は、その前段の回転を減らし、かつ/または、減速させる。
【0067】
遅延装置を用いた場合、トリガー19は、第1の太陽歯車16と協働し、そのロッド161は、トリガー19内に延伸する。この第1の太陽歯車16のギア162は、隣接する第2の太陽歯車16の遊星歯車と協働する。第2の太陽歯車16の遊星歯車は、上側本体部15の内側面のギア155と協働し、第1の太陽歯車16の回転を減らし、それによりトリガー19の回転を減らす。その結果、回転を遅らせる。
【0068】
遅延装置を構成する遊星歯車列の各段が、さらに回転を減らし、これによって、トリガー19の回転をさらに遅らせる。したがって、図に示された四つの段の場合、上側本体部15の底部に配置された最後の太陽歯車16が約50回転する間にトリガー19が1回転するように、トリガー19の回転を減らすことができる。
段の数、および/または、遊星歯車の数、および/または、太陽歯車の形状、および/または、利用される歯車の寸法によって、当該遅延装置が作動してからトリガー19が所定の回転を行ってシリンジを引き込むまでの遅延時間は、以下に説明するように、かなり正確に調整することができる。また、例えば遊星歯車17と上側本体部15の内側面ギア155との間に、摩擦ブレーキを備えていてもよい。
【0069】
したがって遅延装置は、トリガー19が針を引き込むタイミングを、注入段階が終了した時点から、所定時間ずらすことができる。
なお、延伸可能なワイヤーの一端をピストンロッド5に接続し、他端をロックピン20に接続する原理は、
図27〜31に示すような遊星歯車列のシステムなしに利用することができる。これについては、実施の形態2を参照して別途後述する。
【0070】
この非常にコンパクトなワイヤーは、注入段階が完全に終了して初めて針の引き込みが開始されることを保証し、特に、製造公差を補償するものである。より一般的には、ワイヤーの利用により、装置のサイズを小さくできる。自己注射器においては、ある部品を別の部品から引っ張る必要があるため、ワイヤーを様々な目的で好適に用いることができる。
【0071】
有利な態様において、外側シェル22は、挿針段階、注入段階、および引き込み段階の進行具合をユーザーに知らせる、いくつかのインジケーターを備える。遅延装置を用いる場合には、遅延表示器を備えることもできる。
したがって、
図2(a)〜2(f)に示すように、外側シェル22は、いくつかの表示窓を備えてもよく、図の例では三つのウィンドウ221、222、および223が、異なる駆動段階それぞれにおいて、可動要素を表示する。この要素はインジケーターからなり、典型的には、色からなる。
【0072】
したがって、静止状態において中央本体部1に対して第1の位置にある規制摺動部材9は、駆動スリーブ11が移動する間に、第2の位置に向けて軸方向に移動する。規制摺動部材9は、注入段階の全体にわたって第2の位置にとどまり、針が引き抜かれる間に第1の位置の方向に戻る。
なお、駆動スリーブ11は、規制摺動部材9が第1の位置に戻ったときに初めて第2の突出位置に到達する。規制摺動部材9は一つ以上のカラーインジケーター、例えば
図1に示すように赤色領域を備える。したがって、規制摺動部材9は、一方では駆動スリーブ11の突出位置(第1の位置)を、他方では挿針および注入段階(第2の位置)を示すのに用いることができる。
【0073】
注入の完了時に針の引き抜きを開始させるトリガー19も、インジケーターを備えていてもよい。このインジケーターは、例えば、トリガー19が所定の回転を行って針の引き抜きを完了したときに表示される、赤色領域などである。
したがって、第1のウィンドウ221は、注入の完了を示すウィンドウであってもよく、すなわち、注入が完了してシリンジが後退したときに、所定の色、例えば赤色がウィンドウ221に表示されるとしてもよい。これによりユーザーは、この第1のウィンドウ221が赤色のときに自己注射器を体から安全に取り外すことができると分かる。こうした表示は、例えばトリガー19によって提供される。
【0074】
第2の表示窓222は、挿針および注入段階を示すものであってもよく、挿針段階の開始時、および注入段階の開始時に、赤色になるとしてもよい。これにより、ユーザーが、数秒間続く可能性があるこれらの段階の最中に自己注射器を体から取り除いてしまうのを防止することができる。こうした表示は、例えば規制摺動部材9によって提供される。
第3の表示窓223は、駆動スリーブ11のものであってもよく、駆動スリーブ11が下側本体部10の外の突出位置にあるときに赤色が表示されるとしてもよい。この第3の表示窓223は、駆動前は赤色で、また、使用後に駆動スリーブ11が安全な位置にロックされたときに再び赤色になる。こうした表示は、例えば規制摺動部材9によって提供される。
【0075】
図示された例では、規制摺動部材9の赤色領域が、駆動前の状態を示す第3の表示窓223(
図2(a))から、駆動スリーブ11が挿針段階を開始させる駆動位置にある状態を示す第2表示窓222(
図2(c))に移動する。この遷移の間は、上記赤色領域は、ウィンドウ223とウィンドウ222との間に位置するため見えない(
図2(b))。挿針および注入段階の間は、規制摺動部材9は、第2の位置にとどまる(
図2(c)および
図2(d))。規制摺動部材9がトリガー19によって再び第1の位置に向けて軸方向に動かされ、針の引き込みが開始すると、赤色領域は、第2表示窓222から第3表示窓223に戻り、再び見えなくなり(
図2(e))、最終的には、駆動スリーブ11が第2の突出位置でロックされたときに再び第3表示窓223に現れる(
図2(f))。
【0076】
この構成では、第2表示窓222および第3表示窓223の赤色表示の組み合わせによって、自己注射器の使用工程の終了を確実にし、かつ針は引き込まれ、駆動スリーブ11がロックされるため、最適な安全性を保障する。
なお、他の表示あるいは指示手段が利用可能であることは言うまでもない。また、外側シェル22が何個の表示窓を有していてもよく、当該ウィンドウは、いかなる形状や大きさであってもよく、また、図に示された変形例とは異なる位置にあってもよい。一つのウィンドウが複数の機能を有していてもよい。
【0077】
オプションとして、第1表示窓221、または他の表示窓、例えばさらに追加した表示窓において、遅延装置の状態を、例えばカウント表示によって示してもよい。これは例えば、適切な表示窓に徐々に移動するトリガーの外側端面に数値を刻印し、遅延時間を秒単位で表示することによって実現可能である。その他の変形例が可能であることは言うまでもない。
【0078】
自己注射器に、針の挿入や引き抜き用のボタンを具備するような場合には、外側シェル22に、そのようなボタンを備えさせてもよい。
また、外側シェル22は、注入する流体製品の温度を示す温度計を備えていてもよい。実際、多くの注入用製品は8度で保管され、30分〜60分前に取り出すことが推奨されている場合が多い。注入の際に製品の温度が低すぎると、患者に苦痛をもたらす可能性がある。例えば、外側シェル22は、注入用製品を収容する貯蔵器の温度を示す温度計を備えていてもよい。
【0079】
変形例として、温度変化とともに色を変えるラベルを備えていてもよい。こうした温度計は、外側シェル22上、または貯蔵器上、特にシリンジ状に配置可能で、外側シェル22のウィンドウを介して見えるようにしてもよい。
図47〜74(c)は、本発明の実施の形態2のいくつかの変形例を示す図である。実施の形態2は、簡略化した自己注射器に関し、部品の数が少ない。したがって、製造および組み立てが、より簡単で、コストが安い。
【0080】
図47に示す実施の形態2の変形例では、自己注射器は、下側本体部1010、駆動スリーブ1011、駆動スリーブ用ばね1012、キャップ1014、制御スリーブ1004、ピストンロッド1005、支持ペレット1006、三つのブロック要素1007(ここではボール形状)、注入用ばね1008、クリック部材1500、ワイヤー1021、および、外側シェル1022を備える。
【0081】
キャップ1014は、特に輸送中や保管中に自己注射器をロックする。キャップ1014は、下側本体部1010に取り付けられると、駆動スリーブ1011のあらゆる動作を防止し、それによって自己注射器のあらゆる突発的動作を防止する
実施の形態1同様、シリンジAは、あらかじめ充填されたシリンジである。なお、自己注射器の使用前において針を保護し隔離する、針キャップBを備えていれば有利である。また、針キャップBは、下側本体部1010からキャップ1014を取り外す際に、自動的に取り外されれば有利である。
【0082】
なお、実施の形態2は、実施の形態1と類似する構成要素をいくつか有しており、これらの要素については、実施の形態1の参照番号に1000を加えた、類似の参照番号によって示されている。したがって、例えば実施の形態1の駆動スリーブの参照番号11は、実施の形態2では1011となる。その他の要素や機能についても、二つの実施の形態の間で、まったく同じではないとしても類似しているため、実施の形態2の説明では、主に、上述した実施の形態1との差異について説明する。
【0083】
実施の形態2における主な差異は、貯蔵器、この例ではシリンジAが、下側本体部1010、制御スリーブ1004、および外側シェル1022に対して、固定されている点である。したがって、挿針を行う際には、駆動スリーブ1011のみが自己注射器のその他の部分に対してスライドする。実施の形態2は、シリンジ移動機構を備えていない。
図48(a)〜48(e)は、
図47の自己注射器の使用における複数の段階を示す。
【0084】
図48(a)において、自己注射器は、使用前の静止状態にあり、キャップ1014は取り外されている。
ユーザーが自己注射器を使用する際には、ユーザーは、例えば外側シェル1022を持って装置を手に取り、駆動スリーブ1011を保持する。駆動スリーブ1011は、第1の突出位置では、下側本体部1010から、ユーザーが注射したい部位に対して突出する。
【0085】
図48(b)は、ユーザーによって駆動スリーブ1011に加えられた圧力が、駆動スリーブ1011を下側本体部1010の内方に向けてスライドさせ、これにより針が現れ、ユーザーによって自己注射器に加えられた力で挿針が行われる様子を示している。
駆動スリーブ1011が駆動位置、すわなち、下側本体部1010内の終端位置に到達すると、それにより、
図48(c)および48(d)に示すように、注入段階が開始される。なお、ピストンロッド1005は、注入用ばね1008の作用でピストンを押すことにより、シリンジA内でスライドする。流体製品はこれにより吐出される。
【0086】
注入が完了し、ユーザーが、注射した箇所から自己注射器を取り外すと、駆動スリーブ1011は、駆動スリーブ用ばね1012の作用で、下側本体部1010から出て再び第2の突出位置に向けてスライドし、駆動スリーブ1011をロックする。これにより、ユーザーの安全は完全に確保され、装置の使用後の針による怪我を防止する。なお、駆動スリーブ1011の第1および第2突出位置は、この例では異なる位置であるが、同じ位置であってもよい。
【0087】
特に
図49(a)〜52に示すように、駆動スリーブ1011は、横方向のみにおける可撓性を有する可撓性タブ1110を備える。すなわち、可撓性タブ1110は、駆動スリーブ1011の周縁に沿ってのみ変形する。このような可撓ピンを備える駆動スリーブ1011は、実施の形態1の2方向に可撓性を有する可撓ピンと比較しても、さらに成形が容易であり、生産コストの観点で好適である。横方向にのみ可撓性を有する可撓ピンでは径方向に厚みを取れるので、美観を増すことができる。可撓性タブ1110は、可撓性を有しかつヘッド部1112を終端とするロッド部1111を備えていれば有利である。
【0088】
図51に示す第1の変形例では、可撓性タブ1110は、一方では駆動スリーブ1011が第1の突出位置から駆動位置に向けて移動したとき、他方では、駆動スリーブ1011が駆動位置から第2の突出位置に戻る方向に移動したときに、下側本体部1010に対して水平方向に変形するよう構成されている。
この場合、可撓性タブ1110のヘッド部1112は、駆動の開始時に、横方向の変形に耐え、ある種の予圧を発生させる必要がある。それにより、駆動スリーブ1011が下側本体部1010の内部に向けてスライドしたときに、針が確実に所望の位置に挿入される。
図51の例では、この抵抗力は、下側本体部1010の肩部1019が発生させる。
【0089】
しかし、
図50(a)、50(b)、50(c)、および52に示すように、駆動スリーブ1011が駆動前に第1の突出位置から駆動位置に向けて移動するときには可撓性タブ1110は変形せず、駆動スリーブ1011が使用の終了時に駆動位置から第2の突出位置に向けて移動するときにのみ可撓性タブ1110が横方向に変形するのが望ましい。この例では、駆動前、駆動スリーブ1011は、少なくとも一つの破断可能なブリッジ1500によって下側本体部1010に接続されている。
【0090】
本実施の形態は、特に成形が容易であり、よって生産コストが安く、また、破断可能なブリッジ1500のサイズ設計による当該ブリッジの破壊強度の設定と管理、および利用制御機能の実現が可能である。
図52は、二つの破断可能なブリッジ1500を示しており、これらは、ユーザーが自己注射器を注射位置上で所定の力で押圧したときに破断し、それにより駆動スリーブ1011が下側本体部1010に対してスライドできるようになる。
【0091】
ユーザーが自己注射器を注射位置から取り外し、駆動スリーブ1011が、駆動スリーブ用ばね1012の作用で駆動位置から第2の突出位置に戻るとき、可撓性タブ1110の動作は実施の形態1に関して説明したのと同じでもよく、傾斜溝、最終受付領域、および軸方向肩部が可撓性タブ1110のヘッド部1112と協働することにより、駆動スリーブ1011を第2の突出位置においてブロックする。
【0092】
変形例として、下側本体部1010は、例えば溝によって形成され少なくとも部分的に傾斜している傾斜面1018を備え軸方向内方に延伸する、肩部1019を備えていてもよい。これにより、駆動スリーブ1011が駆動位置から第2の突出位置に向けて戻るとき、可撓性タブ1110のヘッド部1112は、傾斜面1018によって横方向に変形し、最終的には、第2の突出位置で肩部1019に嵌合あるいはスナップ留めされて、駆動スリーブをブロックする。
【0093】
図51の例では、同様の肩部1019が可撓性タブ1110のヘッド部1112と協働し、駆動の開始時に予圧を発生させるとともに、駆動の終了時に駆動スリーブ1011を第2の突出位置においてブロックするよう構成することもできる。もちろん、これらの二つの機能を実行するために、二つの異なる肩部が備えられていてもよい。
なお、可撓性タブ1110は、ロッド部1111のみにおいて駆動スリーブ1011に固定されていてもよく、この場合、ヘッド部1112は、当該可撓ピンの自由端となる。また、可撓性タブ1110を駆動スリーブ1011の両側に固定し、ヘッド部1112を二つの固定位置の間に配置することとしてもよい。これにより、特に可撓性タブ1110の堅牢性を高めることができる。この変形例は、実施の形態1の可撓ピンにも適用することができる。
【0094】
図49(a)〜52の変形例では、駆動スリーブ1011の可撓性タブ1110が、
図4〜18を参照して上述したのと同様の要素である、本体部101の開口103、傾斜溝104、最終受付領域105、および軸方向肩部106と協働すれば有利である。
図72〜74(c)は、駆動スリーブの別の変形例を示す図である。この変形例では、参照番号は、上述した参照番号と類似しているが、2000を加えてある。したがって、例えば駆動スリーブの参照番号は2011である。この特定の変形例では、駆動スリーブ2011の機能と下側本体部2010の機能とが逆になっており、下側本体部2010が可撓性タブ2110を備え、駆動スリーブ2011が、可撓性タブ2110と協働する傾斜面を備えている。しかし、その動作は上述した動作と同様であり、可撓性タブ2110が、当該傾斜面、特に、開口2103を最終受付領域2105に連通させる傾斜溝2104において、徐々にスライドする。
【0095】
駆動の終了時に装置を最終受付領域2105においてロックする際には、
図74(c)に示すように、可撓性タブ2110が肩部2106に嵌合あるいはスナップ留めされる。上述したように、可撓性タブ2110は、駆動の開始時に、横方向の変形に耐え、ある種の予圧を発生させる必要がある。それにより、駆動スリーブ2011が下側本体部2010の内部に向けてスライドしたときに、針が確実に所望の位置に挿入される。
図72〜74(c)の例では、この抵抗力は、駆動スリーブ2011の肩部2019が発生させる。
【0096】
なお、可撓性タブ2110は、例えば簡略化および/または成形上の理由により、下側本体部2010と一体化されていてもよいし、あるいは、下側本体部2010上に別の部品として形成されていてもよい。
図53(a)〜53(b)、54(a)〜54(b)、57(a)〜57(c)、および58(a)〜58(c)は、実施の形態1に記載した注入ロック手段を実施の形態2に適用した例を示す。
【0097】
上述したとおり、当該自己注射器は注入手段を備え、特に、ピストンロッド1005、および、注入用ばね1008を備える。これらの注入手段は、当該注入ロック手段によって、負荷のかかった状態でロックされている。注入ロック手段の解除により注入手段が駆動し、これにより針を介して流体製品が注入される。
また、
図53(a)〜53(b)、54(a)〜54(b)、57(a)〜57(c)、および58(a)〜58(c)に示すように、上記注入ロック手段は、外側シェル1022内に配置された制御スリーブ1004を備え、制御スリーブ1004は、ピストンロッド1005と、注入用ばね1008と、支持ペレット1006を有する。
【0098】
図53(a)〜53(b)および57(a)〜57(c)に示すブロック位置において、注入用ばね1008は、一方ではピストンロッド1005と協働し、他方では支持ペレット1006と協働する。
支持ペレット1006は、ピストンロッド1005の周囲に配置されたリングからなる。ピストンロッド1005は、少なくとも一つのブロック要素1007をブロック位置とブロック解除位置との間で移動可能に収容する、少なくとも一つの径方向窪部1050を備える。
【0099】
なお、三つのブロック要素1007があれば有利であり、これらは好ましくは略球状、特にボール状であるが、これらとはブロック要素の数および形状が異なっていてもよい。ブロック要素1007には、ピストンロッド1005によって、径方向外方に向けて付勢されており、実施の形態2では制御スリーブ1004により構成されるブロック手段によって、ブロック位置に保持されている。
【0100】
この制御スリーブ1004は、ブロック要素1007をブロック位置に固定するロック位置と、ブロック要素1007が解放され上記注入ロック手段を解除するロック解除位置との間で、ピストンロッド1005に対して軸方向に移動可能である。これにより、注入用ばね1008は、ピストンロッド1005を、その注入位置に向けて移動させることができる。
【0101】
図57(a)および
図58(a)に、より明確に示すように、制御スリーブ1004は一つ以上の窓部1400を備え、この窓部1400により、制御スリーブ1004が特に
図58(a)に示すようにロック解除位置に向けて移動したときに、ブロック要素1007が移動可能となる。制御スリーブ1004の、ロック位置からロック解除位置への移動は、駆動スリーブ1011の突起1411によって実現される。
【0102】
突起1411は、駆動スリーブ1011が駆動位置に来たときに制御スリーブ1004がロック解除位置に来るように、制御スリーブ1004の肩部1410と協働する。このときピストンロッド1005はブロック要素1007によってブロックされないため、あらかじめ圧縮されている注入用ばね1008の作用で制御スリーブ1004外に出て、ピストンを貯蔵器に移動させ、針を介して流体製品を注入する。この種のロック手段は、少しの力でブロック解除が可能であり、注射中のユーザーに音や感触の観点での快適さを確保する。
【0103】
なお、自己注射器が、注入段階の完了を音または感触でユーザーに知らせる、音および/または感触による通知装置1500を備えていれば有利である。以下に、当該装置を実施の形態2の三つの変形例に関して説明するが、これは実施の形態1に係る自己注射器に適用することもできる。
第1の変形例では、音および/または感触による通知装置1500は、中央部1501を備え、中央部1501は、可撓性を有し、かつ/または破断可能なリンク1503によって当該中央部1501に接続された少なくとも一つの側部1502を備える。
図55〜59(c)の例では、二つの側部1502があり、それぞれが破断可能なリンク1503によって中央部1501に接続されている。
【0104】
中央部1501は、ワイヤー1021によってピストンロッド1005に接続されており、ワイヤー1021は、一端が中央部1501に、他端がピストンロッド1005に、それぞれ固定されている。注入開始前、注入ロック手段がブロック位置にあるとき、ワイヤー1021はピストンロッド1005の周囲に巻き付いており、中央部1501は制御スリーブ1004の外に位置している。
【0105】
制御スリーブ1004が、特に
図58(a)に示すように、ロック解除位置に向けて移動すると、制御スリーブ1004の上端が側部1502と接触する。注入の間、ピストンロッド1005が制御スリーブ1004に対して移動すると、ワイヤー1021は、
図58(b)に示すように、注入の完了時に伸びきるまで徐々にほどける。
このときから、ワイヤー1021は中央部1501に対して牽引力をおよぼし、制御スリーブ1004の上端の反応の影響を受けつつ、側部1502が移動および/または変形する。
【0106】
破断可能なリンク1503とともに示した例では、破断可能なリンク1503が破断し、側部1502は、中央部1501の上方で移動可能となり、したがって、制御スリーブ1004は、特に
図59(a)に示すように、外側シェル1022に対して軸方向に移動可能となる。
この移動は、注入用ばね1008のもたらす力のもとで生じるため、やや唐突であり、制御スリーブ1004、側部1502、および/または、外側シェル1022の間に、衝撃を発生させる。この衝撃は、ユーザーに音または感触として伝わり、よってユーザーは、注入の完了を知る。このような音および/または感触による通知装置1500が駆動した後は、
図59(a)および59(b)に概略を示すように、ワイヤー1021は、完全に伸び切らない。
【0107】
図60〜64(c)は、音および/または感触による通知装置1500の第2の変形例を示す。第2の変形例においては、中央部が省かれている。音および/または感触による通知装置1500は、ここでは制御スリーブ1004によって構成される可動要素を備えている。この可動要素は、針から遠い側の端部に一つ以上の変形可能ピン1510を備え、これが注入の完了時に外側シェル1022に当接する。
図64(a)に示すように、制御スリーブ1004は、自己注射器の駆動前の時点では、外側シェル1022に対して第1の位置にある。また、
図64(b)に示すように、駆動中には、注入ロックの解除、および、それによる注入段階の開始により、制御スリーブ1004が第2の位置に向けて移動する。なお、ここでは鍵部1120と呼ばれる中央部が、上述した第1の変形例のワイヤーの代わりに用いられており、有利である。この鍵部1120は、特に
図63(a)〜63(b)に示すように、ピストンロッド1005を延伸するロッド部1121を備える。このロッド部1121は、第1の変形例におけるワイヤーに類似する。
【0108】
鍵部1120は、ヘッド部1122も備えており、当該鍵部の上端(すなわち、針から遠い側の端部)に配置されている。このヘッド部1122は、制御スリーブ1004の変形可能ピン(変形可能タブ)1510と協働し、変形可能ピン1510が径方向内方に変形するのを防止する。これにより変形可能ピン1510は、制御スリーブ1004を、外側シェル1022に対して第2の位置でブロックする。
【0109】
ロッド部1121の下端(すなわち、針に近い側の端部)は、注入が完了すると、ピストンロッド1005と協働し、それにより鍵部1120が、制御スリーブ1004および外側シェル1022に対してスライドする。
したがって、このスライドの後は、ヘッド部1122が制御スリーブ1004の変形可能ピン1510と協働することはなく、変形可能ピン1510は、径方向内方へ変形可能となる。これにより制御スリーブ1004のロックが解除され、制御スリーブ1004は、注入用ばね1008の力の作用により、外側シェル1022に対して第3の位置に移動する。その結果、音またはその他による、ユーザーが知覚可能な衝撃が発生し、ユーザーは注入の完了を知ることができる。
【0110】
なお、変形可能ピン1510が外側シェル1022に当たったときに視認できるように、外側シェル1022が一つ以上、特に三つの表示窓1023を備えていれば有利である。これにより、音および/または感触による通知と同時に、視覚による通知が可能となる。
なお、上述の一つ以上の表示窓1023は、当該シェルの軸方向からも径方向からも視認できるように、外側シェル1022の、針から遠い側の端部の面または端部の周りに形成されていれば有利である。これにより、ユーザーが自己注射器を握った際に上述の一つ以上の表示窓1023が隠れてしまうのを防止し、使用段階の初めから最後までずっと、確実に表示窓1023から情報が表示されるようになる。外側シェル1022の針から遠い側の端部の周りに、複数、特に三つの表示窓1023が配置されている場合、使用中の自己注射器の向きに関わらず完全な表示を保証できる。
【0111】
上述した実施の形態2の自己注射器の変形例では、三つの異なる位置を有する制御スリーブを定義している。すなわち、注入前でロック位置にあるとき、注入中でロック解除位置にあるとき、および注入後で、音および/または感触による通知装置を駆動させたときである。
これにより、これら三つの異なる位置を、適切な表示窓1023で容易に表示することができる。もちろん、実施の形態2の外側シェル1022も、実施の形態1の場合同様、複数の表示窓を備えることができる。
【0112】
図65〜71は、音および/または感触による通知装置の第3の変形例を示す。この変形例は、上述した第2の変形例と類似しているが、音および/または感触による通知装置の可動要素が、制御スリーブ1004ではなく、注入用ばね108が支持している支持ペレット1006に形成されている。
図66(a)および66(b)は、この支持ペレット1006を示している。当該支持ペレットは、上述の第2の変形例の制御スリーブ1004における変形可能ピン1510と同様の、一つ以上の変形可能タブ1520を備えている。
【0113】
動作もまた同様であり、鍵部1120が、そのヘッド部1122で、変形可能タブ1520の径方向の変形をブロックし、これにより、支持ペレット1006が外側シェル1022に対しブロックされる。注入完了時に、ピストンロッドが、ロッド部1121を引っ張ることで、鍵部1120をスライドさせると、鍵部1120のヘッド部1122は、変形可能タブ1520を解放し、これにより変形可能タブ1520は、径方向内方に向けて変形し、支持ペレット1006を外側シェル1022に対して突出させる。これにより、音および/または感触による通知を行う。
【0114】
なお、上述したように、外側シェル1022が、支持ペレット1006の変形可能タブ1520を表示する一つ以上の表示窓1023を備え、それにより視覚的に通知すれば有利である。
図69〜71は、音および/または感触による通知装置の動作をより詳細に示す。
図69において、変形可能タブ1520は、鍵部1120のヘッド部1122によって、径方向内方への変形が防止されている。
【0115】
図70において、鍵部1120がピストンロッドによって動かされ、その結果、変形可能タブ1520は、径方向内方に変形する。これにより、外側シェル1022内の支持ペレット1006が動き、変形可能タブ1520の肩部1521が当該外側シェルの一部に当接し、音および/または感触による通知、例えば、耳に聞こえる音や、感じることのできる振動を発生する。これと同時に、
図70に示すように、変形可能タブ1520の端部が外側シェル1022の表示窓1023内に位置する。
【0116】
図71は、注入の終了時を示しており、ピストンロッド1005は、鍵部1120のロッド部1121を引き寄せて、鍵部1120を移動させる。
本発明は、特に、関節リウマチ、多発性硬化症、クローン病などの、自己免疫疾患の治療や、癌の治療や、肝炎などの抗ウイルス療法による治療や、糖尿病の治療や、貧血の治療や、アナフィラキシーショックなどの危機的状況の治療に用いられる装置に適用される。
【0117】
本発明について、複数の機能モジュールを組み合わせた複数の有利な態様や変形例を参照して説明してきたが、これらのモジュールのそれぞれを独立して用いることが可能である。特に、駆動スリーブ、および/または、挿針および/または針の引き抜きを行うシリンジを作動させる装置、および/または、注入ロック手段、および/または、遅延装置、および/または、音および/または感触による通知装置は、それぞれ独立して用いることができる。挿針、および/または、注入後の針の引き抜きは、一つ以上のボタンによって制御可能である。実施の形態2の音および/または感触による通知装置は、実施の形態1に記載した種類の自己注射器と共に用いることも可能である。なお、当業者は、添付の特許請求の範囲において定義した本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、その他の変形を施すことが可能である。