(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記組成物は、前記バイオマス由来ポリエチレンの他に、ポリプロピレン、熱可塑性ポリオレフィン複合樹脂(通常、TPO(thermoplastic polyolefin)と称する)、ポリ乳酸(PLA)、セルロース、キチン、澱粉、熱可塑性澱粉(TPS、thermoplastic starch)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHAs、poly hydroxyl alkanoates)、ポリビニルアルコール、ポリグリコール酸(PGA、poly glycolic acid)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンサクシネート(PBS、poly butylene succinate)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT、poly butylene adipate terephthalate)、ポリブチレンアジペート―co―ブチレンサクシネート(PBAS、poly butylene adipate―co―butylene succinate)、ポリブチレンアジペート―co―ブチレンサクシネートテレフタレート(PBAST、poly butylene adipate―co―butylene succinate terephthalate)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT、poly trimethylene terephthalate)、ポリカプロラクトン(PCL、polycaprolactone)、ポリアミド(PA)、ポリウレタン(PU)、ポリ(エステル―アミド)、ポリ(エステル―ウレタン)及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれた一つの追加的なバイオマス由来樹脂をさらに含む、請求項1に記載の自動車内装材用熱可塑性樹脂組成物。
前記組成物は、前記バイオマス由来ポリエチレンの他に、ポリヒドロキシアルカノエート(PHAs、poly hydroxyl alkanoates)、ポリ乳酸(PLA)、セルロース及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれた一つの追加的なバイオマス由来樹脂を含む、請求項1に記載の自動車内装材用熱可塑性樹脂組成物。
前記部分架橋TPO複合樹脂は、熱可塑性ポリオレフィン系樹脂をマトリックスとし、ゴム状粒子が分散されて形成された複合樹脂形態のオレフィン系熱可塑性エラストマーであって、前記ゴム状粒子が部分架橋された、請求項1に記載の自動車内装材用熱可塑性樹脂組成物。
前記無架橋TPO複合樹脂は、硬度がショアA87〜92で、溶融指数(MI)が0.6g/10分〜0.8g/10分(230℃、2.16Kg)で、比重が0.88〜0.90で、伸び率は600%〜700%である、請求項1に記載の自動車内装材用熱可塑性樹脂組成物。
前記部分架橋TPO複合樹脂は、硬度がショアA63〜66で、溶融指数(MI)が0.6g/10分〜1.2g/10分(230℃、5Kg)で、比重が0.88〜0.90である、請求項1に記載の自動車内装材用熱可塑性樹脂組成物。
前記完全架橋TPO複合樹脂は、硬度がショアA64〜69で、溶融指数(MI)が20g/10分〜25g/10分(230℃、10Kg)で、比重が0.88〜0.90である、請求項1に記載の自動車内装材用熱可塑性樹脂組成物。
前記バイオマス由来ポリエチレン及び前記追加的なバイオマス由来樹脂は、それぞれトウモロコシ、キクイモ、サトウキビ、サトウダイコン、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれた一つのバイオマスを加工したり、または前記バイオマスから抽出されたバイオ燃料から製造された、請求項1に記載の自動車内装材用熱可塑性樹脂組成物。
前記自動車内装材用熱可塑性樹脂組成物は、可塑剤、無機充填剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、滑剤、難燃剤、抗菌剤、耐加水分解剤及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれた一つの添加剤をさらに含む、請求項1に記載の自動車内装材用熱可塑性樹脂組成物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一具現例は、石油系熱可塑性樹脂に取って代わるバイオマス由来樹脂を含む自動車内装材用熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【0005】
本発明の他の具現例は、前記自動車内装材用熱可塑性樹脂組成物から製造された自動車内装材用成形品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一具現例において、バイオマス由来ポリエチレンを含むバイオマス由来樹脂を含み、組成物のASTM D6866によるpMC値が15wt%〜35wt%である自動車内装材用熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【0007】
前記組成物は、前記バイオマス由来ポリエチレンの他に、ポリプロピレン、熱可塑性ポリオレフィン複合樹脂(通常、TPO(thermoplastic polyolefin)と称する)、ポリ乳酸(PLA)、セルロース、キチン、澱粉、熱可塑性澱粉(TPS、thermoplastic starch)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHAs、poly hydroxyl alkanoates)、ポリビニルアルコール、ポリグリコール酸(PGA、poly glycolic acid)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンサクシネート(PBS、poly butylene succinate)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT、poly butylene adipate terephthalate)、ポリブチレンアジペート―co―ブチレンサクシネート(PBAS、poly butylene adipate―co―butylene succinate)、ポリブチレンアジペート―co―ブチレンサクシネートテレフタレート(PBAST、poly butylene adipate―co―butylene succinate terephthalate)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT、poly trimethylene terephthalate)、ポリカプロラクトン(PCL、polycaprolactone)、ポリアミド(PA)、ポリウレタン(PU)、ポリ(エステル―アミド)、ポリ(エステル―ウレタン)及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれた一つの追加的なバイオマス由来樹脂をさらに含んでもよい。
【0008】
前記組成物は、前記バイオマス由来ポリエチレンの他に、ポリヒドロキシアルカノエート(PHAs、poly hydroxyl alkanoates)、ポリ乳酸(PLA)、セルロース及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれた一つの追加的なバイオマス由来樹脂を含んでもよい。
【0009】
バイオマス非由来樹脂として、部分架橋TPO(thermoplastic polyolefin)複合樹脂をさらに含んでもよい。
【0010】
前記部分架橋TPO複合樹脂は、熱可塑性ポリオレフィン系樹脂をマトリックスとし、ゴム状粒子が分散されて形成された複合樹脂形態のオレフィン系熱可塑性エラストマーであって、前記ゴム状粒子が部分架橋されたものであってもよい。
【0011】
一具現例において、前記組成物は、前記バイオマス由来ポリエチレン10重量%〜50重量%、前記追加的なバイオマス由来樹脂0重量%〜15重量%、相溶化剤0重量%〜15重量%、無架橋TPO複合樹脂0重量%〜15重量%、部分架橋TPO複合樹脂30重量%〜50重量%、完全架橋TPO複合樹脂0重量%〜10重量%、エチレンオクタンゴム(EOR、ethylene octane rubber)0重量%〜10重量%;及びポリプロピレン0重量%〜15重量%を含んでもよい。
【0012】
前記相溶化剤は、極性基が付与されて改質されたポリエチレン樹脂であってもよい。
【0013】
前記無架橋TPO複合樹脂は、硬度がショアA87〜92で、溶融指数(MI)が0.6g/10分〜0.8g/10分(230℃、2.16Kg)で、比重が0.88〜0.90で、伸び率は600%〜700%であってもよい。
【0014】
前記部分架橋TPO複合樹脂は、硬度がショアA63〜66で、溶融指数(MI)が0.6g/10分〜1.2g/10分(230℃、5Kg)で、比重が0.88〜0.90であってもよい。
【0015】
前記完全架橋TPO複合樹脂は、硬度がショアA64〜69で、溶融指数(MI)が20g/10分〜25g/10分(230℃、10Kg)で、比重が0.88〜0.90であってもよい。
【0016】
前記バイオマス由来ポリエチレン及び前記追加的なバイオマス由来樹脂は、それぞれトウモロコシ、キクイモ、サトウキビ、サトウダイコン、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれた一つのバイオマスを加工したり、または前記バイオマスから抽出されたバイオ燃料から製造されたものであってもよい。
【0017】
前記自動車内装材用熱可塑性樹脂組成物は、可塑剤、無機充填剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、滑剤、難燃剤、抗菌剤、耐加水分解剤及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれた一つの添加剤をさらに含んでもよい。
【0018】
本発明の他の具現例において、前記自動車内装材用熱可塑性樹脂組成物から製造されたシートを含む自動車内装材用成形品を提供する。
【0019】
前記自動車内装材用成形品は、表面処理層をさらに含んでもよい。
【0020】
前記表面処理層は、EB硬化型水性処理剤またはEB硬化型無溶剤処理剤を適用して形成されてもよい。
【発明の効果】
【0021】
前記自動車内装材用熱可塑性樹脂組成物は、石油系熱可塑性樹脂に取って代わるバイオマス由来樹脂を使用するのでCO
2の発生量を低減させ、前記自動車内装材用成形品は、水性または無溶剤処理によって揮発性有機化合物(VOC)を低減させることがことができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の具現例を詳細に説明する。ただし、これは、例示として提示されるものであって、これによって本発明が制限されることはなく、本発明は、後述する請求項の範疇によって定義されるものに過ぎない。
【0023】
本発明の一具現例において、バイオマス由来ポリエチレンを含む自動車内装材用熱可塑性樹脂組成物を提供し、前記組成物のASTM D6866によるpMC値が約15wt%〜約35wt%である。
【0024】
前記自動車内装材用熱可塑性樹脂組成物は、バイオマス由来樹脂としてバイオマス由来ポリエチレンを含む組成物であって、前記バイオマス由来ポリエチレンのみならず、選択的に、他の追加的なバイオマス由来樹脂を含んでもよく、また、バイオマス非由来熱可塑性樹脂、例えば、石油系由来熱可塑性樹脂と前記バイオマス由来樹脂の混合物であってもよい。このような前記自動車内装材用熱可塑性樹脂組成物のうちバイオマス抽出成分の含量は、ASTM D6866によるpMC(percent modern carbon)値として評価され得る。
【0025】
前記pMC値は、バイオ原料と石油原料において炭素同位体
14Cの含量が変わることによって炭素年代測定法によって測定または計算され得る。
【0026】
前記自動車内装材用熱可塑性樹脂組成物のpMC値は、前記バイオマス由来エチレンを含む前記バイオマス由来樹脂の含量のみならず、それぞれのバイオマス由来ポリエチレン及び追加的なバイオマス由来樹脂がどのような種類のバイオマス由来樹脂を使用するかによって調節され得る。
【0027】
前記自動車内装材用熱可塑性樹脂組成物は、pMC値が約15wt%〜約35wt%になるようにバイオマス抽出成分の含量を含むものであって、環境にやさしい効果を具現すると同時に、自動車内装材用途に適した物性を具現することができる。
【0028】
前記自動車内装材用熱可塑性樹脂組成物が前記バイオマス由来ポリエチレン以外の他の追加的なバイオマス由来樹脂を含む場合、前記追加的なバイオマス由来樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、熱可塑性オレフィン複合樹脂(通常、TPO(thermoplastic olefin)と称する。本明細書において、以下、「TPO複合樹脂」と称する)、ポリ乳酸(PLA)、セルロース、キチン、澱粉、熱可塑性澱粉(TPS、thermoplastic starch)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHAs、poly hydroxyl alkanoates)、ポリビニルアルコール、ポリグリコール酸(PGA、poly glycolic acid)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンサクシネート(PBS、poly butylene succinate)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT、poly butylene adipate terephthalate)、ポリブチレンアジペート―co―ブチレンサクシネート(PBAS、poly butylene adipate―co―butylene succinate)、ポリブチレンアジペート―co―ブチレンサクシネートテレフタレート(PBAST、poly butylene adipate―co―butylene succinate terephthalate)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT、poly trimethylene terephthalate)、ポリカプロラクトン(PCL、polycaprolactone)、ポリアミド(PA)、ポリウレタン(PU)、ポリ(エステル―アミド)、ポリ(エステル―ウレタン)などを挙げてもよく、これらの組み合わせを使用してもよい。
【0029】
前記バイオマス由来ポリエチレン及び前記追加的なバイオマス由来樹脂は、バイオマスを原料として製造された樹脂を意味し、例えば、トウモロコシ、キクイモ、サトウキビ、サトウダイコン、またはこれらの組み合わせなどの穀物、植物などを含む生物資源としてバイオマスを加工したり、このようなバイオマスから抽出し、メタノール、エタノール、バイオディーゼル油などのバイオ燃料を得ることができる。前記バイオマス由来エチレンを含む前記バイオマス由来樹脂は、このようなバイオ燃料から製造されたものである。
【0030】
具体的な例において、サトウキビやサトウダイコンの場合は、糖を直接抽出してアルコールを発酵させることによってバイオマス由来ポリエチレンを得ることができる。二酸化炭素を排出しながらポリエチレンを生産する石油系由来ポリエチレンとは異なり、前記バイオマス由来ポリエチレン樹脂は、サトウキビを原料とするバイオエタノールによって生産され、再生が可能であるという点と、製造工程過程においても二酸化炭素の生成が大きく低く、むしろ、空気中の二酸化炭素を使用できるという点を長所とする。
【0031】
このようなバイオマス由来樹脂は、二酸化炭素の蓄積による化学燃料に取って代わる代替資源で樹脂を形成するので、従来のポリエチレン樹脂及びポリプロピレン樹脂などの石油系由来樹脂を形成する場合に比べて、その製造過程上、CO
2を低減させ得る環境にやさしい樹脂である。
【0032】
また、前記自動車内装材用熱可塑性樹脂組成物は、組成物重合などの製造過程においても前記バイオマス由来ポリエチレンまたは前記追加的なバイオマス由来樹脂との互換性が良い植物性原料及び植物性添加剤の含有比率を高めることができるという点でも環境にやさしく、前記バイオマス由来ポリエチレンと前記バイオマス由来樹脂は熱可塑性樹脂として再活用が可能である。
【0033】
前記バイオマス由来ポリエチレンと前記追加的なバイオマス由来樹脂は、バイオ原料から直接抽出された樹脂のみならず、バイオ原料と共にバイオマス非由来のモノマーを共に重合または共重合したり、バイオ原料から抽出された物質を原料として製造された樹脂の場合まで含む。
【0034】
このように、前記バイオマス由来ポリエチレンと前記追加的なバイオマス由来樹脂は、上述したバイオ原料から純粋に抽出された物質自体としての樹脂である場合と、バイオ原料から抽出された物質を原料として他の化合物と反応させて得られた樹脂である場合において、前記バイオマス由来ポリエチレンまたは前記追加的なバイオマス由来樹脂を同一の含量で組成物に含ませたとしても、そのバイオマス抽出成分の含量が変わり、その結果、上述したASTM D6866によるpMC値が異なり得る。
【0035】
前記追加的なバイオマス由来樹脂は、上述したように、PLAとPHAsのようにバイオマスから直接抽出して得ることもでき、バイオマス由来の1,4―ブタンジオールを原料として製造されるPBS、PBT、PBAS、PBAT及びPBAST;バイオマス由来のエチレングリコールから製造されるPET;バイオマス由来1,3―プロパンジオールから製造されるPTT;及びバイオマス由来澱粉、グルコースまたはラクトースから製造され得るTPSのように、バイオマス由来原料と共に他の物質を混合使用して製造された樹脂であってもよい。
【0036】
一具現例において、前記自動車内装材用熱可塑性樹脂組成物は、バイオマス由来ポリエチレン;及びポリヒドロキシアルカノエート(PHAs、poly hydroxyl alkanoates)、ポリ乳酸(PLA)、セルロース及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれた一つの追加的なバイオマス由来樹脂;を含む。
【0037】
上述したように、前記自動車内装材用熱可塑性樹脂組成物は、バイオマス非由来熱可塑性樹脂、例えば、石油系由来樹脂をさらに含んでもよい。他の具現例において、前記自動車内装材用熱可塑性樹脂組成物は、バイオマス由来ポリエチレン;ポリヒドロキシアルカノエート(PHAs、poly hydroxyl alkanoates)、ポリ乳酸(PLA)、セルロース及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれた一つの追加的なバイオマス由来樹脂;及びバイオマス非由来樹脂として部分架橋TPO(thermoplastic polyolefin)複合樹脂を含んでもよい。
【0038】
前記自動車内装材用熱可塑性樹脂組成物は、ASTM D6866によるpMC値が15wt%〜35wt%になるように、バイオマス非由来樹脂の代わりにバイオマス由来ポリエチレンを含むバイオマス由来樹脂を一定含量以上含むことによって環境にやさしい組成物を構成することができ、石油系由来樹脂のようなバイオマス非由来樹脂を共にブレンディングし、組成物の物性を調節することによって所望の物性を具現することができる。
【0039】
前記自動車内装材用熱可塑性樹脂組成物は、バイオマス由来樹脂の種類によってトレードオフ(trade―off)関係にある物性が低減し得るので、そのような低減する物性を補完できるバイオマス非由来樹脂をブレンディングすることができる。
【0040】
一具現例において、前記自動車内装材用熱可塑性樹脂組成物は、バイオマス由来ポリエチレン;ポリヒドロキシアルカノエート(PHAs、poly hydroxyl alkanoates)、ポリ乳酸(PLA)、セルロース及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれた一つの追加的なバイオマス由来樹脂;相溶化剤;無架橋TPO複合樹脂;部分架橋TPO複合樹脂;完全架橋TPO複合樹脂;エチレンオクタンゴム(EOR、ethylene octane rubber);及びポリプロピレン;を含む。前記組成物は、ASTM D6866によるpMC値が15wt%〜35wt%を具現しながら、前記組成物の配合によって自動車内装材用途への適用時に要求される物性、すなわち、耐久性、耐熱性、耐光性、耐化学性、耐薬品性、加工性などの物性を優秀に具現することができる。
【0041】
一具現例において、前記自動車内装材用熱可塑性樹脂組成物は、前記バイオマス由来ポリエチレン1重量%〜50重量%、前記追加的なバイオマス由来樹脂0重量%〜15重量%、前記相溶化剤0重量%〜15重量%、前記無架橋TPO複合樹脂0重量%〜15重量%、前記部分架橋TPO複合樹脂30重量%〜50重量%、前記完全架橋TPO複合樹脂0重量%〜10重量%、前記エチレンオクタンゴム(EOR、ethylene octane rubber)0重量%〜10重量%;及び前記ポリプロピレン0重量%〜15重量%を含んでもよい。
【0042】
前記TPO複合樹脂は、当業界で一般的に公知の樹脂を意味し、このような一般的にTPOとして公知の樹脂が制限なく使用され得る。具体的に、前記TPO複合樹脂は、熱可塑性ポリオレフィン系マトリックス樹脂にゴム状粒子を分散させて形成した複合樹脂であってもよく、前記ゴム状粒子の架橋度によって完全架橋、部分架橋または無架橋に分けられ得る。このとき、架橋剤としては、フェノール系、ペルオキシド系などを使用してもよい。前記TPO複合樹脂は、タルク、炭酸カルシウムなどの無機充填剤をさらに含むものであってもよい。
【0043】
このようなTPO複合樹脂は、前記自動車内装材用熱可塑性樹脂組成物にカレンダリング工法を適用するときに要求される物性である溶融強度を上昇させることができ、また、完全架橋TPO複合樹脂と部分架橋TPO複合樹脂に分けられ、真空成形時に適正な垂れ性を確保することができる。前記部分架橋TPO樹脂は、部分架橋されたゴムの間にポリオレフィン鎖が通過する構造を形成することができ、伸張時に均一に伸びることによって成形後の製品の厚さ偏差を減少させることができる。前記完全架橋TPO樹脂は、バイオ樹脂組成物の伸び率が過多に高いことから問題が発生したり、製品の成形後にトリミング性が低下することを防止するために使用することができる。
【0044】
具体的に、前記無架橋TPO複合樹脂は、硬度がショアA約87〜約92で、溶融指数(MI)が約0.6g/10分〜約0.8g/10分(230℃、2.16Kg)で、比重が約0.88〜約0.90で、伸び率は約600%〜約700%であってもよい。前記無架橋TPO複合樹脂は、前記組成物100重量%のうち0重量%〜約15重量%、具体的に、約5重量%〜約10重量%の含量で含まれてもよい。
【0045】
前記部分架橋TPO複合樹脂は、硬度がショアA約63〜約66で、溶融指数(MI)が約0.6g/10分〜約1.2g/10分(230℃、5Kg)で、比重が約0.88〜約0.90であってもよい。前記部分架橋TPO複合樹脂は、前記組成物100重量%のうち約30重量%〜約50重量%の含量で含まれてもよい。
【0046】
前記完全架橋TPO複合樹脂は、硬度がショアA約64〜約69で、溶融指数(MI)が約20g/10分〜約25g/10分(230℃、10Kg)で、比重が約0.88〜約0.90であってもよい。前記完全架橋TPO複合樹脂は、前記組成物100重量%のうち0重量%〜約10重量%、具体的に約3重量%〜約5重量%の含量で含まれてもよい。
【0047】
前記自動車内装材用熱可塑性樹脂組成物が前記バイオマス由来ポリエチレンと前記追加的なバイオマス樹脂を共に含む場合、相溶性を高めるために相溶化剤を含んでもよい。例えば、前記相溶化剤は、作用基を含有したTPO複合樹脂であってもよい。他の例を挙げると、前記相溶化剤は、極性基が付与されて改質されたポリエチレン樹脂であってもよい。前記相溶化剤は、前記組成物100重量%のうち0重量%〜約15重量%、具体的に約5重量%〜約10重量%の含量で含まれてもよい。前記範囲の含量で相溶化剤を使用すると、前記バイオマス由来ポリエチレンと前記追加的なバイオマス樹脂の混和性を高めると共に、不必要な物性の低下を防止することができる。
【0048】
前記バイオマス由来ポリエチレンの含量は、前記組成物100重量%のうち約1重量%〜約50重量%、具体的に約10重量%〜約40重量%であってもよい。
【0049】
前記エチレンオクタンゴムは、エチレンの含量によって等級が分けられるが、主に製品の柔らかい質感を向上させるために使用され、架橋剤による架橋がされていないため臭いがなく、耐光性及び耐熱性に優れる。具体的に、前記エチレンオクタンゴムとしては、溶融指数が約0.4g/10分〜約0.6g/10分(190℃、2.16Kg)で、比重が約0.86〜約0.88、硬度ショアAが約60〜約70であるものを使用してもよい。前記エチレンオクタンゴムは、前記組成物100重量%のうち0重量%〜約10重量%、具体的に約3重量%〜約5重量%の含量で含まれてもよい。
【0050】
前記エチレン―オクタンゴム(EOR)は、それ自体では溶融強度が低いが、無機充填剤と共に含まれることによって、前記EORが前記無機充填剤に含浸されてTPO複合樹脂と類似する溶融強度を付与すると同時に、臭い改善効果を付与することができる。
【0051】
前記EORは、オクタンの含量によってその等級が分けられ、オクタンの含量が高くなると、硬度が低くなり、製品のソフトな質感は向上するが、カレンダリング加工性が低下するので、用途に合わせてオクタンの含量を調節することができる。
【0052】
前記ポリプロピレン樹脂は、前記自動車内装材用熱可塑性樹脂組成物のカレンダリング加工後、その成形品形態の維持力を高めるために使用することができる。前記ポリプロピレンは、前記組成物100重量%のうち0重量%〜約15重量%、具体的に約5重量%〜約10重量%の含量で含まれてもよい。前記範囲の含量でポリプロピレンを使用して成形品を加工すると、成形性を改善することができ、成形品の強度を適宜具現することによって真空成形時の裂け現象を防止し、製品の質感を向上させることができ、また、製品の外観品質を改善することができる。
【0053】
前記自動車内装材用熱可塑性樹脂組成物は、通常的に公知の添加剤を含んで物性を調節することができ、例えば、可塑剤、無機充填剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、滑剤、難燃剤、抗菌剤、耐加水分解剤及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれた一つの添加剤をさらに含んでもよい。例えば、前記添加剤は、前記自動車内装材用熱可塑性樹脂組成物100重量%のうち0重量%〜約10重量%、具体的に約3重量%〜約8重量%含んでもよい。
【0054】
例えば、前記無機充填剤は、前記自動車内装材用熱可塑性樹脂組成物によって製造される成形品の機械的特性を増加させるために使用するものであって、前記無機充填剤としては、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、マイカ、タルクなどから選ばれた1種以上のものを混合して使用してもよい。
【0055】
本発明の他の具現例において、前記自動車内装材用熱可塑性樹脂組成物から製造されたシートを含む自動車内装材用成形品を提供する。上述したように、前記自動車内装材用成形品は、バイオマス由来エチレンを含むバイオマス由来樹脂を含んで製造されたものであるので、その分だけ石油系原料から製造された樹脂を使用しないことによって、CO
2を低減させる環境にやさしい効果を具現することができる。
【0056】
前記自動車内装材用成形品は、表面処理層をさらに含んでもよい。前記表面処理層は、表面処理剤を使用して形成することができる。前記表面処理剤としては、溶剤の種類によって油性処理剤、水性処理剤、無溶剤処理剤などが使用されてもよく、硬化方法によって熱硬化型処理剤、UV硬化型処理剤、EB硬化型処理剤などが使用されてもよい。前記表面処理層は、公知の方法によって制限なく形成可能である。しかし、油性処理剤揮発性有機化合物(Total Volatile Organic Compounds、TVOC)及びホルムアルデヒドの放出問題が発生し得るので、前記自動車内装材用成形品は、水性処理剤または無溶剤処理剤、及び電子ビーム(Electron Beam、EB)を通じて硬化される処理剤を使用して表面処理層を形成することによって、より環境にやさしい成形品を製造することができる。
【0057】
前記自動車内装材用成形品を製造する方法は、特別に制限されなく、前記自動車内装材用成形品は、前記自動車内装材用熱可塑性樹脂組成物を用いて公知の熱可塑性樹脂組成物を成形する方法によって製造され得る。
【0058】
例えば、前記自動車内装材用熱可塑性樹脂組成物の各樹脂の構成成分を混合した混合物を準備し、前記混合物を溶融させた後、前記の溶融された溶融物をカレンダーロールに通過させてカレンダリングすることによって前記自動車内装材用成形品を製造することができる。
【0059】
前記混合物の溶融は、一軸押出器、二軸押出器、ニーダー(kneader)、バンバリーミキサーなどを使用して通常の方法で行うことができる。また、前記カレンダリングは、公知の通常の方法を用いて行うことができる。
【0060】
具体的に、前記混合物の溶融は、約160℃〜約230℃の温度で行うことができる。そして、前記の溶融された溶融物は、表面温度が約130℃〜約180℃であるカレンダーロールに通過させてカレンダリングすることができる。
【0061】
前記自動車内装材用成形品が表面処理層をさらに含む場合、前記自動車内装材用熱可塑性樹脂組成物から製造されたシートの表面に表面処理剤を塗布した後、例えば、電子ビームによって表面処理することによって表面処理層を形成することができる。電子ビームによって表面処理層を形成する場合、電子ビームを照射することによってラジカルが発生し、重合・固化するので、熱硬化及びUV硬化とは異なり、重合開始剤などが不必要であり、変質のおそれがほとんどなく、また、熱硬化またはUV硬化に比べてエネルギー利用効率が高く、硬化速度が速いので、生産性の向上を期待することができる。
【0062】
前記表面処理のための表面処理剤としては、油性処理剤または水性処理剤を使用してもよく、上述した電子ビームの照射によって硬化可能な表面処理剤としては、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、ゴム系樹脂、アクリル系樹脂、エステル系樹脂、ウレタン系樹脂などまたはこれらの組み合わせを使用してもよい。
【0063】
例えば、アクリル系ベースのポリマーで表面処理する場合、可塑剤の移行を防止し、製品表面の強度を高めるので耐久性に優れる。
【0064】
前記電子ビームによって表面処理された表面処理層は、前記自動車内装材用成形品の伸び率を向上させ、前記自動車内装材用熱可塑性樹脂組成物から前記自動車内装材用成形品に成形された後にも破れや耐光、耐熱性が低下しないようにする。また、ベンゼン及びトルエンなどを溶剤として使用するUV硬化及び熱硬化とは異なり、電子ビームで表面処理するときは、VOCなどの環境に有害な各要素を放出する原因となり得る溶剤を使用しないこともあるので、電子ビームによる表面処理は、バイオマス由来樹脂を含んで環境低負荷性を向上させようとする前記自動車内装材用成形品の達成効果の具現に符合できるようにする。
【0065】
前記自動車内装材用成形品は、耐溶剤性、耐磨耗性、耐スクラッチ性、耐光性及び耐薬品性などの物性に優れると共に、環境にやさしいバイオマス由来樹脂を含むので、自動車の室内臭いを誘発せず、自動車内装部品の表皮材として使用して自動車の室内感性を向上させることができる。
【0066】
以下、本発明の実施例及び比較例を記載する。そのような下記の実施例は、本発明の一実施例に過ぎなく、本発明が下記の実施例に限定されることはない。
【0069】
各実施例1―4及び比較例1―2に対して下記の表1で記載した組成で、下記に記載した化合物を使用して組成物を準備した。前記各実施例1―4及び比較例1―2の組成物に対してASTM D6866によるpMCを測定し、これを下記の表1に記載した。
【0070】
前記の混合された組成物を溶融させた後、溶融された溶融物を設備からカレンダーロールの間に通過させて圧着させ、シート状に加工するカレンダリングを行うことによってシートを製作した。
【0071】
前記の製作されたシートの一表面に表面処理剤としてEB硬化型水性処理剤をスプレーで塗布した後、電子線架橋機で硬化させて表面処理層を形成することによって自動車内装材用成形品のサンプルを製作した。
【0072】
実施例及び比較例で使用された化合物:
【0073】
― 完全架橋TPO樹脂:N65EH、和承R&A
【0074】
― 部分架橋TPO樹脂:8165N、現代EP
【0075】
― 無架橋TPO樹脂:Q100F、Baselle
【0076】
― エチレンオクタンゴム:Engage8180、DOW
【0077】
― ポリプロピレン樹脂:B330F、SKエネルギー
【0078】
― ポリエチレン樹脂:SF 316、湖南石油化学
【0079】
― バイオマス由来ポリエチレンの製造:溶融指数(MI)1.0(190℃/2.16kg)、比重0.92、引張強度40MPa、伸び率1400%
【0080】
― 相溶化剤:WD203、SUMITOMO
【0081】
― ポリ乳酸(PLA):2002D、NatureWorks
【0082】
― ポリヒドロキシアルカノエート(PHA):EM10051、Ecoman
【0083】
― セルロース(DAC):CA―398―6、EASTMAN
【0087】
ASTM D2240によって硬度を測定し、これを下記の表3に記載した。
【0089】
ASTM D638により、引張試験機を用いて試験速度200mm/分、標点間の距離70mm、1号型の試験片で一定面積に対する最大荷重及び破断時の伸び率を測定した。
【0091】
110±2℃の温度に維持された強制対流オーブンにサンプルを300時間維持させた後、分光光度計(Spectrophotometer)による45゜角度での△Ecmc及び肉眼による退色の差をISO 105―A02に規定されている灰色表(Gray scale)で判定し、等級を求めた。
【0093】
ISO105によって規定した試験機を用いて黒色パネルの温度89±3℃、槽内の湿度50±5%RH、126MJ/m
2で電子ビームを照射した後、肉眼による退色の差をISO 105―A02に規定されている灰色表で判定し、等級を求めた。
【0095】
下記の表2に指示された試験液を十分に漬けて濡らしたガーゼで表皮面を10回往復しながら拭いた後、室温中に1時間放置させ、肉眼による退色の差をISO 105―A02に規定されている灰色表で判定し、等級を求めた。
【0098】
GMN 10033によってアルミニウム板(50mm×50mm)に同一のサイズの白綿布2枚を重ねて載せた後、日焼け止めクリーム(Coppertone Waterbabies SPF 45)0.25gを全面に塗布して供試品上に載せ、アルミニウム板に500gの荷重で密着させ、80±2℃の恒温槽内に1時間放置してから取り出し、白綿布とアルミニウム板を除去して10分〜15分程度常温に放置した後、中性洗剤で洗って乾燥させ、肉眼による変退色の差を判定した。変退色の発生がほとんどない場合は優秀、変退色の発生程度が微々たるものである場合は良好、変退色が発生するが、品質に異常がない場合は普通、変退色が激しい場合は不良と判定した。
【0100】
4Lのガラス容器を100℃で1時間ほど加熱してから再び1時間常温に放置させ、ガラス容器内の臭いを揮発させ、試片を50mm×60mmに切断し、再び100℃で2時間加熱してから取り出し、室温(23±2℃)に60分間放置して冷やした後、蓋を3cm〜4cmほど開放して評価した。臭いの発生程度が激しい場合を1点、普通である場合を3点、ほとんどない場合を5点にし、臭いの発生程度を点数化して評価した。
【0102】
バイオ成形組成物を溶融してロールの間に圧着させ、シート状に加工するカレンダリング設備で配合別シートを生産し、作業性及び表面状態を肉眼で確認した。表面に未溶融の樹脂成分が残っているか、流れ性の低下によって表面に不均一な面が発生した場合は不良と判断した。
【0103】
前記実施例1―4及び比較例1―2で製作された自動車内装材用成形品のサンプルに対して測定した各物性データを下記の表3に記載した。
【0105】
実施例1―4で製造された自動車内装材用成形品のサンプルは、バイオマス由来樹脂を使用して環境低負荷性を確保しながらも、石油系樹脂のみを使用して製造されたサンプルと同一の優れた物性を具現し、特に、比較例2でのバイオマス由来樹脂を使用しないと共に、ポリプロピレンとポリエチレンのオレフィン系樹脂を使用した場合に具現できる物性の水準に具現されたことを確認することができる。しかし、比較例2では、バイオマス由来樹脂を全く使用していない組成であるので、前記実施例1―4は、環境低負荷性を具現すると同時に、物性を具現したものとして意義を有する。比較例1は、バイオマス由来ポリエチレンを使用せず、PLAのみを使用してpMCが25wt%になるように配合したが、前記の評価された物性結果はいずれも良好でなかった。