(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内側の第一横動経路、この第一横動経路の外側に重なる第二横動経路、第一横動経路内をその全域にわたって横動自在な第一戸単体、及び第一横動経路と第二横動経路との間を前後に平行移動自在で且つ第二横動経路内をその全域にわたって横動自在な第二戸単体を備え、この第一戸単体と第二戸単体が、第一横動経路内で直列する直列閉じ位置にある全閉状態から、前記直列閉じ位置での第二戸単体の内側に第一戸単体が重なる第一戸単体開き状態と、前記直列閉じ位置での第一戸単体の外側に第二戸単体が重なる第二戸単体開き状態とに、切り換え可能に構成された引き違い戸装置において、
第二戸単体は、第二横動経路と平行に当該第二横動経路の全域にわたって横動自在な上側横動体に、戸横動方向一対の上側平行リンクを介して、前後平行移動可能に吊り下げられ、床面側には、第一横動経路の長さ方向の中央部領域の内側に、当該第一横動経路の長さより短い下側固定ガイドレールが、床面に形成された凹溝に嵌合固定され、この下側固定ガイドレールの上側が解放した溝状レール部に横動自在に1つの下側横動体が嵌合支持され、この下側横動体の上側には、前記上側平行リンクと同一サイズの水平揺動自在な1つの下側アームが軸支され、第二戸単体には、前記下側アームの遊端のローラーが常時係合する第二下側ガイドレールが設けられ、前記戸横動方向一対の上側平行リンクの内、第一戸単体に近い内側の上内側平行リンクと、前記下側アームには、遊端にカム従動ローラーが軸支された制御レバーが、これら上内側平行リンク及び下側アームに対して逆斜め前方向きに連設され、第一戸単体には、第一第二両戸単体が前記直列閉じ位置にあるときに、前記上下両制御レバーのカム従動ローラーが係合する上下一対のカムレールと、この上下一対のカムレールの内の下側カムレールから外れた下側制御レバーのカム従動ローラーと係合する第一下側ガイドレールが付設され、前記上下一対のカムレールは、前記直列閉じ位置にある第一戸単体と第二戸単体を互いに相対的に接近移動させたとき、前記上内側平行リンクと下側アームを退入姿勢から前方への突出姿勢に連動揺動させて、第二戸単体を第一横動経路内から第二横動経路内に平行移動させた後に、上下両制御レバーのカム従動ローラーから外れる長さを有する、引き違い戸装置。
第一横動経路の長さ方向の中央部領域の内側で床面側と第一戸単体には、この第一戸単体が前記直列閉じ位置に達したときに互いに嵌合して、当該第一戸単体の下端側の前後方向の位置を規制する嵌合部が設けられている、請求項1に記載の引き違い戸装置。
前記下側横動体の上側には、前記下側アームと下側制御レバーの水平揺動空間を隔てて架台部が架設され、前記嵌合部は、前記架台部上に取り付けられたブロックと、第一戸単体に戸横動方向に沿って取り付けられた溝形断面のガイドレールとで構成されている、請求項2に記載の引き違い戸装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1〜
図4において、1は引き違い戸装置であって、収納空間2の正面開口部を開閉する。収納空間2は、床面3上に、左右両垂直側板4a,4b、水平天板5、及び図示省略の垂直後側板によって形成されたもので、図示の収納空間2は、垂直間仕切り板6によって左右に二分割されている。引き違い戸装置1は、第一戸単体7と第二戸単体8を備えており、これら両戸単体7,8によって収納空間2の正面開口部を開閉するものであって、
図1及び
図2では、両戸単体7,8が直列閉じ位置にあって、収納空間2の正面開口部を全閉した状態を示している。
【0014】
収納空間2の正面開口部には、
図1Aに示すように、当該正面開口部の全巾にわたって第一戸単体7が横動する第一横動経路9と、この第一横動経路9の外側で前記正面開口部の全巾にわたって第二戸単体8が横動する第二横動経路10が設定されている。第一横動経路9の内側の上部には、
図3及び
図4に示すように、水平天板5の前端面をカバーする第一上側固定ガイドレール11と、水平天板5の前端上側に配置された第二上側固定ガイドレール12が設けられている。第一上側固定ガイドレール11は、水平天板5の前端面をカバーする垂直帯状板部11aの下端に凹溝状レール部11bが連設されたものであり、第二上側固定ガイドレール12は、対称形に並列する内向きの一対のコ形レール部12a,12bを、水平天板5の上面に載置される水平帯状板部12c上に連設したもので、内側のコ形レール部12bから上方に延出する垂直帯状の取付け板部12dにおいて、水平天板5の上側に付設したレール取付け板13の垂直外側面に固定されている。前記第一上側固定ガイドレール11は、その垂直帯状板部11aの上端が、第二上側固定ガイドレール12の水平帯状板部12cの底面につながるように、第二上側固定ガイドレール12と一体に成形し、必要に応じて、前記垂直帯状板部11aにおいて水平天板5の前端面に固定することが出来る。
【0015】
第一横動経路9の長さ方向の中央部領域の内側で床面3上には、戸単体下端側案内手段14が設けられている。この戸単体下端側案内手段14は、
図21A及び
図21Bに示すように、下側固定ガイドレール15と、この下側固定ガイドレール15の上側解放の凹溝レール部15a内に、第一横動経路9に沿って横動自在に嵌合支持された下側横動体16を備えている。下側固定ガイドレール15は、
図1B、
図3B、
図4Aなどに示すように、床面3に形成された凹溝部3a内に、その周囲上端部から外側へ水平に張り出す周辺張り出し部15bが床面3上に当接するように嵌合され、前記周辺張り出し部15bの適当箇所が床面3にネジ止めされることにより取り付けられている。
【0016】
図1Aに示すように、第一横動経路9上で第一戸単体7と第二戸単体8とが互いに直列状に突き合う直列閉じ位置にあるとき、第一戸単体7と第二戸単体8の互いに突き合う端部を内端とし、反対側の端部を外端とすると、
図2Aに示すように、第一戸単体7の内端外側には、切欠段部7aが形成され、第二戸単体8の内端外側には、両戸単体7,8が前記直列閉じ位置にあるときに、第一戸単体7の内端外側の切欠段部7aに入り込む薄肉張出し板部8aが、当該第二戸単体8の表面と面一に形成されている。
【0017】
第一戸単体7の裏面側には、
図5及び
図6に示すように、戸横動方向(第一第二両横動経路9,10の長さ方向と平行な方向)一対のローラーユニット17A,17B、上下一対のカムレール18,19、第一下側ガイドレール20、及び嵌合部用レール21が付設されている。戸横動方向一対のローラーユニット17A,17Bは、第一戸単体7の上内端角及び上外端角に近い位置に付設され、上側カムレール18は、第一戸単体7の内端側のローラーユニット17Aの真上で、第一戸単体7の上側辺に沿って付設されたもので、上側が解放され且つ水平面に沿って湾曲する傾斜カム溝部18aを備えている。下側カムレール19は、第一戸単体7の内端側のローラーユニット17Aの真下で、第一戸単体7の下側辺に沿って付設されたもので、下側が解放され且つ水平面に沿って湾曲する傾斜カム溝部19aを備えている。第一下側ガイドレール20は、下側カムレール19から第一戸単体7の外端部までの間で、当該第一戸単体7の下側辺に沿って付設され、一端が、下側カムレール19の傾斜カム溝部19aと接続する、下側が解放された直線状のレール溝20aを備えている。嵌合部用レール21は、下側カムレール19の上側に隣接するように水平に付設されたもので、下側と、第一戸単体7の外端側の一端とが解放された、直線状の案内溝21aを備えている
【0018】
図7に示すように、第二戸単体8の裏面側には、戸横動方向一対のリンク軸支部材22,23、第二下側ガイドレール24、第二戸単体8の前後動案内手段25を構成する従動部材26、及び上下一対の当り部材27a,27bが付設されている。リンク軸支部材22,23は、第二戸単体8の上側辺の内端近傍位置と外端近傍位置とに埋設され、第二下側ガイドレール24は、第二戸単体8の裏面と下端面との間の角部に、第二戸単体8の下側辺に沿って埋設されたもので、第二戸単体8の下端面の巾方向中央に位置して下側が解放された直線状の主レール溝24aを備え、この主レール溝24aの内側(第二戸単体8の裏面側)に隣接する凹入段部が、下側と第二戸単体8の裏面側とが解放された副レール溝24bとなっている。この副レール溝24bは、主レール溝24aよりも第二戸単体8の内端側へ延出する長さを有するもので、この副レール溝24bの延出内端部に、ガイドローラー嵌合凹部24cが形成されている。従動部材26は、第二戸単体8の外端側のリンク軸支部材23と第二戸単体8の外端との間で、第二戸単体8の上端に付設され、当り部材27a,27bは、第二戸単体8の外端寄りの位置に付設されたもので、ゴムなどの硬質弾性材で構成された裁頭円錐柱状のものである。
【0019】
第一戸単体7は、ローラーユニット17A,17Bを介して第一上側固定ガイドレール11に、第一横動経路9内を横動自在に吊り下げられている。ローラーユニット17A,17Bは、同一構造のものであって、
図10A〜
図10Cに示すように、取付け板28、可動体29、ガイドローラー30a,30b、及びストッパー片31を備えている。可動体29は、その両端間の中央部が、取付け板28の上端部中央に突設された円柱状突起部28aに一定範囲内で上下シーソー運動自在に支持され、この可動体29の左右両端部にガイドローラー30a,30bが水平前後方向支軸で軸支されている。29aは、可動体29が円柱状突起部28aから外れるのを防止する外れ止めビスである。ストッパー片31は、可動体29の下側で取付け板28に突設された左右一対の軸受け板部28b,28c間に、上下長さ方向の中央部が水平左右方向支軸31aにより、一定範囲内で前後シーソー運動自在に軸支されたもので、
図10Cに実線で示す、このストッパー片31の上端部が軸受け板部28b,28c間に入り込む退避姿勢と、
図10Cに仮想線で示す、ストッパー片31の上端部が軸受け板部28b,28c間から突出して、側面視において、ガイドローラー30a,30bの直下に位置する作用姿勢とで、ストッパー片31の姿勢を択一的に保持する保持手段が設けられている。図示の実施例では、ストッパー片31の上下両端部の左右両側面に突設された突起31b,31cが、軸受け板部28b,28cの内側に択一的に入り込むことにより、当該突起31b又は31cと軸受け板部28b,28cとの間の摩擦により、ストッパー片31の姿勢を択一的に保持できるように構成しているが、この図示の構成に限定されない。
【0020】
第一戸単体7を水平天板5側の第一上側固定ガイドレール11に横動自在に吊り下げるときは、ローラーユニット17A,17Bの前記ストッパー片31は、
図10Cに実線で示す退避姿勢に保持させておく。この状態で、各ローラーユニット17A,17Bのガイドローラー30a,30bを第一上側固定ガイドレール11の凹溝状レール部11b上に嵌合させる。この後、前記ストッパー片31を、
図10Cに仮想線で示す作用姿勢に切り換えることにより、
図4Aに示すように、当該ストッパー片31の上端が凹溝状レール部11bの直下に位置し、第一戸単体7の持ち上げを、当該ストッパー片31の上端が凹溝状レール部11bの下側面に当接することにより阻止出来る。取り付けた第一戸単体7を外す必要が生じたときは、ストッパー片31を、
図10Cに実線で示す退避姿勢に切り換えることにより、第一戸単体7を持ち上げて、ガイドローラー30a,30bを第一上側固定ガイドレール11の凹溝状レール部11bから浮かした後に、第一戸単体7を手前に引き出すことが出来る。
【0021】
第二戸単体8を第二上側固定ガイドレール12に横動自在に吊り下げるために、
図1A、
図4A、及び
図11A〜
図14Bに示す吊下げ手段32が使用されている。この吊下げ手段32は、第二上側固定ガイドレール12に横動自在に支持された上側横動体33と、この上側横動体33と第二戸単体8の上端部との間に架設された水平揺動自在な上側平行リンク34,35から構成されている。上側横動体33は、戸横動方向一対の横動体ユニット36,37を、連結部材38により連結一体化したものであって、各横動体ユニット36,37の外側に水平前後方向支軸により軸支された前後一対、左右二組の支持用ローラー36a,37aが、第二上側固定ガイドレール12のコ形レール部12a,12bに嵌合することにより、上側横動体33が第二上側固定ガイドレール12に横動自在に支持されている。
【0022】
戸横動方向一対の横動体ユニット36,37は、
図18Bに示すように、一端に平行リンク支持用垂直回転軸39を備えると共に、他端に連結部材取付け部40を備え、内部に平行リンク姿勢切換え保持手段41を備えた、同一構造のものであって、これら2つの横動体ユニット36,37を、平行リンク支持用垂直回転軸39が横動方向の両端に位置するように左右逆向きに配置し、それぞれの連結部材取付け部40に連結部材38の両端を結合して一体化したものである。
図18B、
図19A、及び
図19Bに示すように、平行リンク姿勢切換え保持手段41は、平行リンク支持用垂直回転軸39の下端部に固着された切換えカム42、係合片43、押圧片44、及びダンパー45から構成されている。上側平行リンク34,35は、その内端部が、各横動体ユニット36,37の平行リンク支持用垂直回転軸39の上端に固着されており、切換えカム42は、この切換えカム42の周囲の、横動体ユニット36,37のケーシングによって、その回転角度範囲が制限されており、この結果、上側平行リンク34,35は、
図18Aに示す退入姿勢と、
図20に示す突出姿勢との間の一定角度範囲内でのみ水平揺動自在となっている。上側平行リンク34,35の前記退入姿勢は、その外端部が上側横動体33の横動経路(第二上側固定ガイドレール12)に接近した、互いに平行な姿勢であり、前記突出姿勢は、上側平行リンク34,35の外端部が上側横動体33の横動経路から水平に一定角度離れた、互いに平行な姿勢である。
【0023】
切換えカム42は、
図18Bに示すように、係合片43に対応する第一突出部42aと、押圧片44に対応する第二突出部42bとを備えている。係合片43は、上側横動体33の横動方向に往復移動自在に内装されたもので、圧縮コイルバネ43aによって、先端部43bが切換えカム42の第一突出部42a側へ付勢されている。押圧片44は、係合片43と並列する状態で、上側横動体33の横動方向に往復移動自在に内装されたもので、背後に配置されたダンパー45によって、その段付き先端面44aが切換えカム42の第二突出部42b側へ付勢されている。
図18Aに示すように、上側平行リンク34,35が退入姿勢にあるときは、当該上側平行リンク34,35が突出姿勢に変化する方へ回転するのを、係合片43の先端部43bが切換えカム42の第一突出部42aの内側に入り込むことにより阻止しているが、上側平行リンク34,35に、突出姿勢へ変化する方向の一定以上の外力が作用したときは、切換えカム42の第一突出部42aが係合片43の先端部43bを、カム作用により後退方向に押圧することにより、係合片43が圧縮コイルバネ43aの付勢力に抗して後退移動し、切換えカム42の回転を許すので、退入姿勢にある上側平行リンク34,35が突出姿勢に切り換えられることになる。
【0024】
上側平行リンク34,35が突出姿勢に切り換えられたときは、
図20に示すように、係合片43の先端部43bの上に切換えカム42の第一突出部42aが乗り上げた状態であって、このとき、切換えカム42の第二突出部42bに、ダンパー45によって切換えカム42の側へ付勢されている押圧片44の段付き先端面44aが押圧していることにより、上側平行リンク34,35が突出姿勢から元の退入姿勢に不測に回転復帰することはない。このようにして突出姿勢に保持されている上側平行リンク34,35に、元の退入姿勢へ変化する方向の一定以上の外力が作用したときは、切換えカム42の第二突出部42bが押圧片44の段付き先端面44aを後退方向に押圧するので、当該押圧片44がダンパー45の付勢力に抗して後退移動し、切換えカム42の回転を許すので、突出姿勢にある上側平行リンク34,35が元の退入姿勢に切り換えられることになる。
【0025】
尚、
図19Aに示すように、上端に上側平行リンク34,35がそれぞれ取り付けられた各横動体ユニット36,37の平行リンク支持用垂直回転軸39は、その上端側が、上側平行リンク34,35を介してスラスト軸受46により支承され、その下端部は、ラジアル軸受47を介して支承されている。又、
図18Bと
図19Bにおいて、48aは、係合片43の往復動通路を形成する片側解放の柱状支承部材であり、48bは、押圧片44とダンパー45の支持空間を形成する片側解放の柱状支承部材である。これら両柱状支承部材48a,48bは、係合片43側の支承部材48aの側面解放部を、押圧片44及びダンパー45側の支承部材48bで塞ぐように、互いに並列して、横動体ユニット36,37のケーシング内に内装されている。更に、押圧片44及びダンパー45側の支承部材48bの切換えカム42側の突出端部は、切換えカム42の第一突出部42aと第二突出部42bとの間に入り込んでいる。
【0026】
上記構成の吊下げ手段32における一対の上側平行リンク34,35の内、第二戸単体8の内端側の内上側平行リンク34には、当該平行リンク34の長さ方向に対して略90度の角度で制御レバー49が一体に連設され、当該制御レバー49の遊端には、垂直支軸によりカム従動ローラー50が軸支されている。
【0027】
図11A〜
図14Bに示すように、第二戸単体8の裏面側に付設されたリンク軸支部材22,23(
図7A参照)は、前記吊下げ手段32における一対の上側平行リンク34,35の遊端部を、それぞれ垂直支軸51,52を備えた軸受部材53,54を介して軸支するものである。内上側平行リンク34の遊端部を軸支するリンク軸支部材22に組み合わされる軸受部材53は、横断面形状と縦断面形状が何れも長方形の厚板状のもので、その一端部に垂直支軸51が自転可能に支持され、当該垂直支軸51の上端部が内上側平行リンク34の遊端部に固定されている。反対側の外上側平行リンク35の遊端部を軸支するリンク軸支部材23に組み合わされる軸受部材54は、縦長四角柱状のもので、垂直支軸52が自転可能に支持され、当該垂直支軸52の上端部が外側平行リンク35の遊端部に固定されている。
【0028】
リンク軸支部材22は、第二戸単体8の裏面と内端との間に切欠形成された凹部に嵌合固定されたもので、前記軸受部材53が第二戸単体8の内端側から差し込まれる差し込み孔55、この差し込み孔55への軸受部材53の差し込み時に垂直支軸51の上端部が遊動する切欠き長孔部56、及び差し込み孔55内の奥端まで軸受部材53が差し込まれたときに、当該軸受部材53に一体形成された抜け止め用弾性舌片57の逆止突起57aが嵌合する係止孔58が設けられている。又、差し込み孔55の両側面には、軸受部材53の差し込み方向と平行な突条59が上下2段に形成され、軸受部材53の両側面には、前記突条59が嵌合する凹溝60が形成されている。
【0029】
従って、垂直支軸51の上端部が内上側平行リンク34の遊端部に固定された状態の軸受部材53を、第二戸単体8に取り付けられているリンク軸支部材22の差し込み孔55内へ、各突条59が各凹溝60に嵌合すると共に垂直支軸51の上端部が切欠き長孔部56内に嵌入するように、第二戸単体8の内端側から外端側に向かって奥端まで水平に差し込むことにより、軸受部材53が備える抜け止め用弾性舌片57の逆止突起57aが、リンク軸支部材22側の係止孔58に自動的に嵌合して、軸受部材53がリンク軸支部材22に固定される。このとき、抜け止め用弾性舌片57の先端は、リンク軸支部材22側の差し込み孔55から外に突出する長さを有しており、リンク軸支部材22から内側平行リンク34を取り外すときは、前記抜け止め用弾性舌片57の先端を利用して当該抜け止め用弾性舌片57を、逆止突起57aが係止孔58から外れる方向に撓ませることにより、軸受部材53をリンク軸支部材22の差し込み孔55から引き抜くことが出来る。
【0030】
リンク軸支部材23は、第二戸単体8の裏面側に形成された凹部に嵌合固定されたもので、前記軸受部材54が第二戸単体8の裏面側から嵌め込まれる凹部61、この凹部61への軸受部材54の嵌め込み時に垂直支軸52の上端部が遊動する切欠き長孔部62、及び凹部61内の奥端まで軸受部材54が嵌め込まれたときに、当該軸受部材54の両側に一体形成された一対の抜け止め用弾性舌片63の逆止突起63aが嵌合する一対の係止凹部64が設けられている。
【0031】
従って、垂直支軸52の上端部が外上側平行リンク35の遊端部に固定された状態の軸受部材54を、第二戸単体8に取り付けられているリンク軸支部材23の凹部61内へ、垂直支軸52の上端部が切欠き長孔部62内に嵌入するように、第二戸単体8の裏面側から奥端まで水平に嵌め込むことにより、軸受部材54が備える抜け止め用弾性舌片63の逆止突起63aが、リンク軸支部材23側の係止凹部64の端部に自動的に係合して、軸受部材54がリンク軸支部材23に固定される。このとき、抜け止め用弾性舌片63の先端は、リンク軸支部材23側の凹部61から外に突出する長さを有しており、リンク軸支部材23から外側平行リンク35を取り外すときは、前記抜け止め用弾性舌片63の先端を利用して当該抜け止め用弾性舌片63を、逆止突起63aが係止凹部64から内側に外れる方向に撓ませることにより、軸受部材54をリンク軸支部材23の凹部61から引き抜くことが出来る。尚、リンク軸支部材23の表面側には、凹部61に嵌め込まれて係止された軸受部材54の一対の抜け止め用弾性舌片63の先端部の外側に位置するように、一対の窪み65が凹部61と連なるように形成されている。この一対の窪み65は、抜け止め用弾性舌片63の先端部を内側へ変形させるときの、当該抜け止め用弾性舌片63の先端部に対する指先の掛かりを深くするのに役立っている。
【0032】
第二戸単体8の前後動案内手段25は、
図17A〜
図17Dに示すように、第二戸単体8の外端上部に取り付けられている従動部材26と、第二上側固定ガイドレール12の一端上側に配設された案内部材66によって構成されている。従動部材26は、
図16C〜
図17Dに示すように、第二戸単体8の上端から内側へ水平に張り出す水平板部26a、ガイドローラー26b、及び垂直ピン26cによって構成されている。ガイドローラー26bは、水平板部26aの先端外側の角部に切欠形成された凹部内に垂直支軸によって軸支されたもので、当該ガイドローラー26bの周面は、水平板部26aの先端外側の角部から外側に張り出し、当該ガイドローラー26bの上面は、水平板部26aの上面から少し上側に突出している。垂直ピン26cは、前記ガイドローラー26bに対し戸横動方向の内側に隣接する位置で水平板部26aから上向きに一体に突出している。案内部材66は、
図15A〜
図16B、及び
図17A〜
図17Dに示すように、第二上側固定ガイドレール12の取付け板部12dに取り付けられた垂直板部66a、この垂直板部66aの外端部から前方直角向きに、第一横動経路9の手前まで突出する水平突出板部66b、この水平突出板部66bの外側辺から下側へ突出させたガイドローラー受止め板部66c、及び水平突出板部66bの内側に形成した前後方向の垂直ピン嵌入溝部66dから構成されている。
【0033】
上記構成の第二戸単体8の前後動案内手段25は、
図1Aに示すように、第二戸単体8が第一横動経路9内で第一戸単体7と直列する直列閉じ位置にあるとき、
図17A及び
図17Bに示すように、従動部材26側のガイドローラー26bは、案内部材66側の水平突出板部66bの下側で、ガイドローラー受止め板部66cの内側入隅部で受け止められ、従動部材26側の垂直ピン26cは、案内部材66側の水平突出板部66bの内側入隅部で受け止められており、垂直ピン嵌入溝部66dは、前記垂直ピン26cより前方に離れた位置にある。従ってこの状態では、第二戸単体8を第一横動経路9に沿う方向で内側へ斜め外向きに横動させても、垂直ピン26cが垂直ピン嵌入溝部66d内に入り込まないので、支障なく第二戸単体8を横動させることが出来る。しかし、
図17C及び
図17Dに示すように、直列閉じ位置にある第二戸単体8を、ガイドローラー26bがガイドローラー受止め板部66cの内面に当接状態で転動するように、前方へ直角向きに平行移動させたときは、従動部材26側の垂直ピン26cが、案内部材66側の垂直ピン嵌入溝部66d内に入り込み、この垂直ピン嵌入溝部66dの奥端に垂直ピン26cが達するまで、第二戸単体8の前方直角向きの平行移動を許すが、この第二戸単体8が第一横動経路9に沿う方向へ横動することは、垂直ピン26cと垂直ピン嵌入溝部66dが阻止することになる。
【0034】
第一戸単体7の内端上部に取り付けられた上側カムレール18(
図5、
図6A参照)は、
図8A〜
図9Bに示すように、ストッパー手段67を備えている。このストッパー手段67は、上側カムレール18の上側解放の傾斜カム溝部18aの内端部に、前後水平方向に一定範囲内で往復動自在に内装された可動体67a、この可動体67aに、傾斜カム溝部18aと接続するように形成されたカム溝部67b、このカム溝部67bが上側カムレール18の傾斜カム溝部18aから内側へずれる出限位置に可動体67aを付勢保持する圧縮コイルバネ67c、及びこの圧縮コイルバネ67cの受け部を兼ねるように可動体67aの下側に突設されたストッパー部67dから構成されている。尚、上側カムレール18の、可動体67aの上側に被さる部分には、可動体67aの往復動方向と平行に長孔67eが設けられ、この長孔67eに、可動体67aから突設されたピン67fが嵌合することにより、可動体67aの往復動範囲を規制している。
【0035】
図1Aに示すように、第一戸単体7が第一横動経路9内で第二戸単体8と直列する直列閉じ位置にあるとき、
図9Aに示すように、上側カムレール18の上側解放の傾斜カム溝部18aの内端位置まで、前記内上側平行リンク34に連設されている制御レバー49の先端のカム従動ローラー50が、入り込んでいる。このカム従動ローラー50が傾斜カム溝部18aの内端位置に達する過程で、当該カム従動ローラー50は、可動体67aのカム溝部67bに嵌入して、当該可動体67aを圧縮コイルバネ67cの付勢力に抗して後退移動させており、可動体67aのストッパー部67dが、第一戸単体7側へ退入した状態にある。そして
図9Bに示すように、制御レバー49の先端のカム従動ローラー50が、可動体67aのカム溝部67b内から離れる方向に、上側カムレール18の傾斜カム溝部18aに沿って移動すると、可動体67aが圧縮コイルバネ67cの付勢力によって出限位置まで内方へ移動するので、ストッパー部67dが、その内側に位置する第二上側固定ガイドレール12に接近する、作用位置に切り換えられることになる。この作用位置に達したストッパー部67dに対し、前記直列閉じ位置からの第一戸単体7の横動方向側に隣接するように、第二上側固定ガイドレール12の上端外側辺にストッパー本体68が付設されている。
【0036】
図21A〜
図22に示すように、戸単体下端側案内手段14の下側横動体16の上側には、下側横動体16と同一長さの架台部77が、当該架台部77の両端を支持する逆門形の支持フレーム78を介して下側横動体16との間に所定間隙を隔てて水平に架設され、この架台部77と下側横動体16との間に、制御レバー69を備えた下側アーム70が配置されている。この制御レバー69を備えた下側アーム70は、第二戸単体8の吊下げ手段32における、制御レバー49を備えた内上側平行リンク34と同一のものであって、下側横動体16にではなく、上側の前記架台部77に、垂直回転軸71により水平に揺動自在に軸支されている。制御レバー69の遊端上側にはカム従動ローラー72が垂直支軸によって軸支され、下側アーム70の遊端上側には、第二戸単体8に取り付けられている前記第二下側ガイドレール24の主レール溝24aに下から上向きに嵌合する主ガイドローラー73と、前記第二下側ガイドレール24の副レール溝24bに嵌合する副ガイドローラー74が、垂直支軸によって軸支されている。前記制御レバー69を備えた下側アーム70は、床面3と第一戸単体7及び第二戸単体8との間の隙間において、床面3に沿って水平に揺動し得る。
【0037】
又、
図22A及び
図22Bに示すように、下側横動体16の上側の架台部77内には、第二戸単体8の吊下げ手段32に使用されている平行リンク姿勢切換え保持手段41と同一作用を行う、下側アーム姿勢切換え保持手段75が内装されている。
図18Bに記載した符号と同一の符号を
図22Aに記載して示すように、この下側アーム姿勢切換え保持手段75では、架台部77の長さ方向の中央位置に前記垂直回転軸71が支承され、この垂直回転軸71の架台部77の内部に入り込んでいる上端部に切換えカム42が取り付けられ、架台部77の内部の、切換えカム42に対する左右両側の内の一方に、係合片43と圧縮コイルバネ43aを備えた柱状支承部材48aが内装され、反対側に、押圧片44とダンパー45を備えた柱状支承部材48bが内装されている。この下側アーム姿勢切換え保持手段75は、下側アーム70を、第二戸単体8の吊下げ手段32における内上側平行リンク34の退入姿勢と平行な退入姿勢と、当該内上側平行リンク34の突出姿勢と平行な突出姿勢とに択一的に切換え保持するものである。制御レバー69も、前記内上側平行リンク34に連設されている制御レバー49と常に平行な姿勢を維持するものであって、その遊端のカム従動ローラー72は、
図2Bに示すように、第一戸単体7に取り付けられている下側カムレール19の傾斜カム溝部19aと、この下側カムレール19に接続している第一下側ガイドレール20のレール溝20aに、下から上向きに嵌合する。
【0038】
図22Aは、下側アーム70が退入姿勢にあるときを示し、この退入姿勢にある下側アーム70が、
図22Aにいて時計方向に回転して突出姿勢になることを、切換えカム42の第一突出部42aを係合片43の先端部43bで受け止める作用と、切換えカム42の第二突出部42bを押圧片44の段付き先端面44aの段部で受け止める作用とで阻止し、下側アーム70を退入姿勢から突出姿勢に切り換える方向に一定以上の作用力が下側アーム70に作用したときは、切換えカム42の第一突出部42aが係合片43を圧縮コイルバネ43aの付勢力に抗して後退移動させると共に、切換えカム42の第二突出部42bが押圧片44をダンパー45の付勢力に抗して後退移動させることにより、退入姿勢にある下側アーム70が
図22Aにいて時計方向に回転して突出姿勢に切り換わる。この下側アーム70の突出姿勢は、切換えカム42の第一突出部42aが係合片43の前進移動を阻止する作用と、切換えカム42の第二突出部42bが押圧片44の前進移動を阻止する作用とによって、保持される。
【0039】
図1B,
図2A,
図4A,
図21A及び
図21Bなどに示すように、下側横動体16の上側の架台部77には、その長さ方向の中央位置に、第一横動経路9側へ張り出す支持部材76aを介して、戸横動方向に長い、平面視で長方形の嵌合部用ブロック76が取り付けられている。
図1Aに示すように、第一戸単体7が第一横動経路9を前記直列閉じ位置に向かって横動するとき、その横動行程の終盤で、第一戸単体7に取り付けられている前記嵌合部用レール21の案内溝21aが、前記嵌合部用ブロック76に嵌合し始め、第一戸単体7が前記直列閉じ位置に到達したとき、
図2Aに示すように、案内溝21aの奥端に嵌合部用ブロック76が到達し、それ以上の第一戸単体7の横動を阻止すると共に、第一戸単体7の下端部の前後方向位置を規制している。
【0040】
以上のように構成された引き違い戸装置1の作用について説明すると、
図1A〜
図4Bに示すように、第一戸単体7と第二戸単体8が、第一横動経路9において直列する直列閉じ位置にあるとき、収納空間2の開口部がこれら両戸単体7,8によって全閉されている。この状態では、第一横動経路9上の定位置P1(
図1A参照)にある第一戸単体7は、その上端側が、第一上側固定ガイドレール11に一対のローラーユニット17A,17Bを介して吊り下げられ、下端側は、下側横動体16上に取り付けられている嵌合部用ブロック76に、第一戸単体7側の嵌合部用レール21の案内溝21aが嵌合しているので、第一戸単体7は、第一横動経路9上の定位置P1において垂直姿勢に保持されている。
【0041】
一方、第一横動経路9上の定位置P2(
図1A参照)にある第二戸単体8は、その上端側が、第二上側固定ガイドレール12に吊下げ手段32の、退入姿勢にある上側平行リンク34,35によって吊り下げられ、下端側は、吊下げ手段32の内側平行リンク34と平行な退入姿勢にある下側アーム70の遊端の主ガイドローラー73が、この第二戸単体8が備える第二下側ガイドレール24の主レール溝24aに嵌合すると共に、当該下側アーム70の遊端の副ガイドローラー74が、第二下側ガイドレール24の副レール溝24bの内端のガイドローラー嵌合凹部24cに嵌合している。前記下側アーム70は、その制御レバー69のカム従動ローラー72が、第一戸単体7の下側カムレール19の傾斜カム溝部19aの奥端に嵌合していて、前記のように定位置P1で垂直姿勢に保持されている第一戸単体7によって一定姿勢に保持されているので、第二戸単体8も、第一横動経路9上の定位置P2において垂直姿勢に保持されることになる。尚、吊下げ手段32の上側平行リンク34,35は、平行リンク姿勢切換え保持手段41の働きによって退入姿勢に保持され、下側アーム70も、前記平行リンク姿勢切換え保持手段41と同一構成の下側アーム姿勢切換え保持手段75の働きによって退入姿勢に保持されている。
【0042】
第一戸単体7と第二戸単体8が、第一横動経路9において直列する直列閉じ位置にある状態から、第二戸単体8で閉じられている収納空間2の右半分を開くときは、第二戸単体8を第一戸単体7に向かって一定以上の操作力で移動させる。この結果、
図23に示すように、この第二戸単体8を吊り下げている上側平行リンク34,35の遊端側に、第一戸単体7のある方向に押圧力が働き、これら上側平行リンク34,35を軸支している上側横動体33が同じ方向に横動しようとするが、内上側平行リンク34に連設の制御レバー49のカム従動ローラー50が、定位置P1に保持されている第一戸単体7側の上側カムレール18の傾斜カム溝部18aに嵌合しているので、上側横動体33の横動に伴って制御レバー49と内上側平行リンク34が、垂直回転軸39を中心に、内側平行リンク34が退入姿勢から突出姿勢に変化する方向に強制的に回転せしめられる。従って、第二戸単体8は、第一横動経路9上の定位置P2から、第一戸単体7のある方向に上側横動体33と共に横動しながら、上側平行リンク34,35の退入姿勢から突出姿勢への平行揺動運動を伴って第二横動経路10のある外側へ平行移動することになる。
【0043】
一方、第二戸単体8の下端側を案内している下側アーム70は、
図24Aに示すように、副ガイドローラー74が第二下側ガイドレール24の副レール溝24bの内端のガイドローラー嵌合凹部24cに嵌合しているため、当該副ガイドローラー74を介して第二戸単体8の横動方向に押されて横動するが、制御レバー69のカム従動ローラー72が、第一戸単体7側の下側カムレール19の傾斜カム溝部19aに嵌合しているため、当該制御レバー69を介して下側アーム70も、上側の内上側平行リンク34と同様に、退入姿勢から突出姿勢へと、当該内上側平行リンク34と平行に変化する。
【0044】
上記作用により、第一横動経路9上の定位置P1にある第一戸単体7の方に移動せしめられる第二戸単体8は、その内端が第一戸単体7の内端に衝突して押し合うようなことなく、当該第一戸単体7の内端部を避けるように外側へ平行移動しながら、第二横動経路10内へ移行することになる。このとき、
図23Aに示すように、第二戸単体8の前後動案内手段25の従動部材26も、第二戸単体8と一体に斜め前方へ平行移動するので、当該従動部材26の垂直ピン26cも、案内部材66の垂直ピン嵌入溝部66d内に入り込むことなく、当該案内部材66から離れてゆくことになる。第二戸単体8の斜め前方への平行移動が進むことにより、上側平行リンク34,35及び下側アーム70が退入姿勢から突出姿勢に切り換わり、第二戸単体8が第一横動経路9内から外側の第二横動経路10内に平行移動することになる。このとき、
図9Bに示すように、内上側平行リンク34の制御レバー49のカム従動ローラー50が、第一戸単体7の上側カムレール18の傾斜カム溝部18aの出口に到達すると共に、
図24Bに示すように、下側アーム70の制御レバー69のカム従動ローラー72が、第一戸単体7の下側カムレール19の傾斜カム溝部19aの出口に到達する。
【0045】
上記のようにして第二戸単体8が第一横動経路9内から外側の第二横動経路10内に平行移動し終わったとき、
図24Bに示すように、下側アーム70の副ガイドローラー74は、第二下側ガイドレール24の副レール溝24bの内端のガイドローラー嵌合凹部24cから完全に脱出しているので、この後は、
図24Cに示すように、突出姿勢に切り換えられた下側アーム70と制御レバー69を残して、第二戸単体8が第二横動経路10を、第一横動経路9上の定位置P1にある第一戸単体7の外側に重なるように、直線状に横動することになる。このとき、突出姿勢の下側アーム70の主ガイドローラー73は、第二戸単体8の第二下側ガイドレール24の主レール溝24aに嵌合した状態で、両者が相対移動し、下側アーム70の副ガイドローラー74は、第二戸単体8の第二下側ガイドレール24の副レール溝24b内を相対移動することになる。
【0046】
第二戸単体8を吊り下げている突出姿勢の上側平行リンク34,35は、上側横動体33と共に第二上側固定ガイドレール12に案内されながら、第二戸単体8と一体に横動することになる。従って、内上側平行リンク34の制御レバー49のカム従動ローラー50は、第一戸単体7の上側カムレール18の傾斜カム溝部18aから外れて、制御されない状態になるが、上側平行リンク34,35の突出姿勢は、平行リンク姿勢切換え保持手段41によって保持され、突出姿勢を超えて上側平行リンク34,35が揺動運動することはない。上記のようにして、第二戸単体8を、
図25A及び
図25Bに示すように、第一横動経路9上の定位置P1にある第一戸単体7の外側に重なる開動限位置P3まで横動させることにより、収納空間2の開口部の右半分を開くことが出来る。このときの第二戸単体8の開動限位置P3は、
図25Aに示すように、第二戸単体8側の上下一対の当り部材27a,27bが、定位置P1にある第一戸単体7の内端の切欠段部7aに当接することによって決まる。
【0047】
図25Aに示すように、開動限位置P3まで開動させた第二戸単体8を再び元の第一横動経路9上の定位置P2に閉動復帰させるときは、第二戸単体8を第二横動経路10上で逆方向に横動させれば良い。この場合、第二戸単体8の内端部が、定位置P1にある第一戸単体7の内端部に重なる位置に達するまでは、上側平行リンク34,35と下側アーム70の働きで、第二戸単体8は第二横動経路10上を直線状に横動することになり、この後、内上側平行リンク34の制御レバー49(カム従動ローラー50)と第一戸単体7の上側カムレール10、及び下側アーム70の制御レバー69(カム従動ローラー72)と第一戸単体7の下側カムレール19の働きで、第二戸単体8を開動させたときとは逆に、第二戸単体8が、第一横動経路9内に向かって斜め内側へ平行移動し、第一横動経路9上の定位置P2に復帰することが出来る。
【0048】
尚、定位置P2から第二戸単体8が開動せしめられることにより、
図9Bに示すように、第一戸単体7の上側カムレール18に内装されたストッパー手段67から、第二戸単体8側の制御レバー49のカム従動ローラー50が離れているため、当該ストッパー手段67の可動体67aが、
図8Aにも示すように、圧縮コイルバネ67cの付勢力で出限位置に復帰し、当該可動体67aの下側に設けられているストッパー部67dが、内側に位置する第二上側固定ガイドレール12の外側面に接近している。従って、上記のように第二戸単体8を開動限位置P3から元の定位置P2に戻す閉動操作を行ったとき、仮に、摩擦や誤った操作などにより、第一戸単体7が定位置P1から離れる方向の外力を受けたとしても、その直後に、前記ストッパー部67dが、第二上側固定ガイドレール12に取り付けられているストッパー本体68の側面に当接し、第一戸単体7が、第一横動経路9上の定位置P1から離れる方向に横動することはない。
【0049】
第一戸単体7と第二戸単体8が、
図1Aに示す直列閉じ位置にある状態から、第一戸単体7で閉じられている収納空間2の左半分を開くときは、第一戸単体7を第二戸単体8に向かって一定以上の操作力で移動させる。このように両戸単体7,8が直列閉じ位置にある状態では、上記のように第一戸単体7の上側カムレール18が備えているストッパー手段67は、
図9Aに示すように、ストッパー部67dが第二上側固定ガイドレール12の外側面から離れた解除状態にあるので、第一戸単体7を第二戸単体8に向かって横動させることは、支障なく行わせることが出来る。而して、第一横動経路9上の定位置P2にある第二戸単体8は、
図17A及び
図17Bに示すように、第二戸単体8の前後動案内手段25における従動部材26のガイドローラー26bが、案内部材66のガイドローラー受止め板部66cの内側に隣接していて、前方へ直線的に平行移動することは可能である。
【0050】
従って、収納空間2の左半分を開くために、第一戸単体7を第二戸単体8に向かって移動させると、第二戸単体8は、前記のように前後動案内手段25によって受け止められていて前方へのみ平行移動できる状態であるから、
図27A及び
図27Bに示すように、内上側平行リンク34の制御レバー49(カム従動ローラー50)と第一戸単体7の上側カムレール18、及び下側アーム70の制御レバー69(カム従動ローラー72)と第一戸単体7の下側カムレール19の働きで、上側平行リンク34,35と下側アーム70が、上側平行リンク34,35を軸支する上側横動体33と、下側アーム70を軸支する下側横動体16の、第一戸単体7の横動方向への移動を伴いながら、退入姿勢から突出姿勢に平行揺動運動し、第二戸単体8が、前方へ第二横動経路10上まで直線状に平行移動せしめられ、この第二戸単体8の内側で第一横動経路9上を第一戸単体7が横動する。
【0051】
上記の第一戸単体7の開動時には、
図28Aに示すように、第一戸単体7の嵌合部用レール21が嵌合部用ブロック76から離脱し、
図28Bに示すように、下側アーム70の制御レバー69のカム従動ローラー72は、下側カムレール19の傾斜カム溝部19aから第一下側ガイドレール20のレール溝20a内に相対的に移入し、下側アーム70の突出姿勢を保持する。このようにして第一戸単体7が、第一横動経路9上を定位置P1から、
図29Aに示す開動限位置P4まで横動することにより、定位置P1にあった第一戸単体7で閉じられていた収納空間2の開口部の左半分を開くことが出来る。この第一戸単体7の開動限位置P4は、第一横動経路9上の定位置P2の外側へ平行移動した第二戸単体8の上下一対の当り部材27a,27bに、第一戸単体7の内端の切欠段部7aが当接した位置となる。
【0052】
上記のように、第一戸単体7を開動限位置P4まで横動させて、収納空間2の開口部の左半分を開いた状態では、
図17Cに示すように、第二戸単体8の前後動案内手段25における従動部材26が、第二上側固定ガイドレール12に固定されている案内部材66に対する前方への移動限位置まで移動した状態にあり、当該従動部材26の垂直ピン26cが案内部材66の垂直ピン嵌入溝部66dの奥端まで入り込んでいる。従って、この状態では、第二戸単体8を第二横動経路10上で横動させることは出来ない。開動限位置P4にある第一戸単体7を元の定位置P1に戻すときは、
図29A及び
図29Bに示すように、第二戸単体8の内側で開動限位置P4にある第一戸単体7の外端部を、第二戸単体8の内端より突出させているので、この第一戸単体7の外端部に操作力を与えて、第一戸単体7を第一横動経路9上で逆方向に横動させ、元の定位置P1に戻すことにより、収納空間2の開口部全体を、直列閉じ位置にある両戸単体7,8で全閉することが出来る。
【0053】
上記のように、開動限位置P4にある第一戸単体7を元の定位置P1まで横動させたときは、第一戸単体7の内端部が、定位置P2の外側に位置している第二戸単体8の内端部と重なる位置に達するまでは、上側平行リンク34,35と下側アーム70が、平行リンク姿勢切換え保持手段41と下側アーム姿勢切換え保持手段75の働きで、突出姿勢に保持されているので、第二戸単体8は、定位置P2の外側で第二横動経路10上に保持されており、第一戸単体7の定位置P1への復帰横動には影響がない。第一戸単体7の内端部が、定位置P2の外側に位置している第二戸単体8の内端部と重なる位置に達した後の第一戸単体7の横動により、内上側平行リンク34の制御レバー49(カム従動ローラー50)と第一戸単体7の上側カムレール18、及び下側アーム70の制御レバー69(カム従動ローラー72)と第一戸単体7の下側カムレール19との働きで、上側平行リンク34,35を軸支する上側横動体33と、下側アーム70を軸支する下側横動体16の、第一戸単体7の横動方向への横動を伴って、第二戸単体8が、前後動案内手段25によって案内されながら、第二横動経路10から第一横動経路9上の定位置P2まで直線状に平行移動する。この結果、第一戸単体7と第二戸単体8は、
図1Aに示すように、定位置P1に達した第一戸単体7の内端の切欠段部7a上に、第二戸単体8の内端の薄肉張出し板部8aが重なる、元の直列閉じ位置に復帰する。
【0054】
以上のように使用出来る本発明の引き違い戸装置においては、戸単体下端側案内手段14の下側固定ガイドレール15と下側横動体16は、床面3から上方には殆ど突出しておらず、当該下側横動体16より上側にある下側アーム70と制御レバー69、及び架台部77が床面3より上方に突出しているに過ぎない。しかもこれら下側アーム70と制御レバー69、及び架台部77は、
図2Bに示すように、直列閉じ位置にある第一戸単体7と第二戸単体8の内端部の内側に位置するが、第一戸単体7が開動するときは、
図28A及び
図28Bに示すように、下側アーム70が退入姿勢から突出姿勢に切り換わるのに伴って、下側横動体16と共に、下側アーム70と制御レバー69、及び架台部77が第一戸単体7の横動方向に横動し、第二戸単体8が開動するときは、
図24B及び
図24Cに示すように、下側アーム70が退入姿勢から突出姿勢に切り換わるのに伴って、下側横動体16と共に、下側アーム70と制御レバー69、及び架台部77が第二戸単体8の横動方向に横動することになるので、
図25B及び
図29Bに示すように、第一戸単体開き状態と第二戸単体開き状態の何れにおいても、床面3より上方に突出している下側アーム70と制御レバー69、及び架台部77は、第一戸単体7と第二戸単体8の重なり合った部分の内側に隠れることになり、開かれた開口部の床面3上には、床面3に埋設された下側固定ガイドレール15の床面3上に突出する部分、実施例では、周辺張り出し部15b、の一部分が存在するだけであり、開かれた開口部の床面3上を通行する作業者などの邪魔になることはない。
【0055】
尚、上記実施例では、下側横動体16の上側に架台部77を設け、この架台部77の下側に下側アーム70(制御レバー69)を軸支すると共に、下側アーム姿勢切換え保持手段75を前記架台部77に内装したが、下側固定ガイドレール15の凹溝レール部15aを深くし、この凹溝レール部15a内に嵌合して横動する下側横動体16の厚さを大きくすることによって、前記下側アーム姿勢切換え保持手段75を下側横動体16に内装することが出来る。この場合、下側アーム70(制御レバー69)は下側横動体16の上に軸支して架台部77を無くすことも可能であるし、仮に嵌合部用ブロック76を前記架台部77で支持させるとしても、当該架台部77を薄く構成することが出来る。又、嵌合部用ブロック76を、僅かな距離といえども横動する下側横動体16に支持させたが、全く横動しない下側固定ガイドレール15から、下側横動体16の上側に延出する支持部材を連設し、この支持部材に嵌合部用ブロック76を取り付けるようにしても良い。
【解決手段】第一戸単体7が横動する第一横動経路9の外側の第二横動経路10上を横動する第二戸単体8は、その上端側が、上側横動体33に一対の平行リンク34,35を介して吊り下げられ、第一横動経路9の長さ方向の中央部の内側には、下側横動体16が設けられ、この下側横動体16に軸支された下側アーム70の遊端の主ガイドローラー73が、第二戸単体8の下側第二ガイドレール24に係合し、内側の前記平行リンク34と下側アーム70には、先端にカム従動ローラー50,72を有する制御レバー49,69が連設され、第一戸単体7には、カム従動ローラー50と係合する上側カムレール18と、カム従動ローラー72に係合する下側カムレール19とが設けられている。