(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6196377
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】自動車前照灯用の照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 8/10 20060101AFI20170904BHJP
F21V 15/01 20060101ALI20170904BHJP
【FI】
F21S8/10 171
F21V15/01 380
【請求項の数】20
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-526879(P2016-526879)
(86)(22)【出願日】2014年10月27日
(65)【公表番号】特表2016-535402(P2016-535402A)
(43)【公表日】2016年11月10日
(86)【国際出願番号】AT2014050259
(87)【国際公開番号】WO2015061822
(87)【国際公開日】20150507
【審査請求日】2016年6月8日
(31)【優先権主張番号】A50703/2013
(32)【優先日】2013年10月28日
(33)【優先権主張国】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】593045569
【氏名又は名称】ツェットカーヴェー グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(74)【代理人】
【識別番号】100119415
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 充
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー、ウド
(72)【発明者】
【氏名】タウト、ルーカス
(72)【発明者】
【氏名】ライトエッガー、オリバー
【審査官】
河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2013/020155(WO,A1)
【文献】
特開2013−110068(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/005686(WO,A1)
【文献】
特開2012−003986(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0016074(US,A1)
【文献】
特開2009−272307(JP,A)
【文献】
特表2014−522083(JP,A)
【文献】
特表2014−524115(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21S 8/10
F21S 8/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車前照灯用の照明装置(500)であって、
該照明装置は、少なくとも1つの光学系本体(1)と、該少なくとも1つの光学系本体(1)のための少なくとも1つの保持装置(100)とを含み、
前記少なくとも1つの光学系本体(1)は、並んで配置された複数の前置光学系(11,12,13,14,15)を有しており、
各前置光学系(11〜15)は導光性の材料から作製されており、かつ各前置光学系(11〜15)は光入力面(11a〜15a)と光出力面(11b〜15b)を有しており、
前記少なくとも1つの保持装置(100)は、各前置光学系(11〜15)に対して1つの受け部(111,112,113,114,115)を有しており、
該受け部(111〜115)は、境界壁(111’,112’,113’,114’,115’)により画定されており、
前記境界壁(111’,112’,113’,114’,115’)は、光出射側に境界エッジ(111a’,112a’,113a’,114a’,115a’)を有しており、
前記境界壁(111’,112’,113’,114’,115’)は、非透光性の材料から作製されており、
前記少なくとも1つの光学系本体(1)には、投影レンズ(501)が光出射方向において後置接続されており、
前記境界壁(111’,112’,113’,114’,115’)の光出射側の境界エッジ(111a’,112a’,113a’,114a’,115a’)は、共通の面(E1)内に存在し、前記投影レンズ(501)の焦点(F1)は前記共通の面(E1)内に存在し、これにより、
前記境界エッジ(111a’,112a’,113a’,114a’,115a’)は、少なくとも1つの光学系本体(1)によって形成された光分布内に、個々の前置光学系(11〜15)により形成された部分光分布の間の明暗エッジとして結像され、
前記前置光学系(11〜15)は、当該前置光学系(11〜15)の光出力面(11b〜15b)が光出射方向において境界壁(111’,112’,113’,114’,115’)の境界エッジ(111a’,112a’,113a’,114a’,115a’)を越えて突き出るように配置および/または構成されている、ことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
境界エッジ(111a’,112a’,113a’,114a’,115a’)の前記共通の面(E1)は平坦に構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前置光学系(11〜15)の光出力面(11b〜15b)は平坦に構成されている、ことを特徴とする請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項4】
前置光学系(11〜15)の光出力面(11b〜15b)は、共通の平面(E2)内に配置されている、ことを特徴とする請求項3に記載の照明装置。
【請求項5】
光出力面(11b〜15b)の前記共通の平面は、境界エッジ(111a’,112a’,113a’,114a’,115a’)の共通の平面に対して一定の間隔を有している、ことを特徴とする請求項4に記載の照明装置。
【請求項6】
前置光学系(11〜15)は、直接すなわち間隔無しで、その少なくとも1つの受け部(111〜115)の境界壁(111’,112’,113’,114’,115’)に当接している、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項7】
境界壁(111’,112’,113’,114’,115’)は、少なくとも並んで配置された受け部(複数)の間に設けられている、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項8】
外側の2つの受け部(111,115)は、それらの外側でもそれぞれ1つの境界壁(111’,115’)により画定されている、ことを特徴とする請求項7に記載の照明装置。
【請求項9】
並んで配置された受け部(111,112;112,113;113,114;114,115)は、共通の分離ウェブ(212,223,234,245)によってそれぞれ分離されており、当該分離ウェブは、隣接する受け部(111〜115)に対する境界壁(111’,112’,113’,114’,115’)を形成する、ことを特徴とする請求項7または8に記載の照明装置。
【請求項10】
保持装置(100)は、1つまたは複数の光源(2)に対する支持体(200)と接続可能であり、該光源は、光学系本体(1)の前置光学系(11〜15)に光を入射するために設けられている、ことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項11】
保持装置(100)は基部本体(101)を含み、該基部本体は、光を光学系本体(1)に供給するための1つまたは複数の光源(2)に対する支持体(200)と接続可能である、ことを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項12】
前置光学系(11〜15)のための受け部(111,112,113,114,115)は、前記基部本体(101)内に形成されている、ことを特徴とする請求項11に記載の照明装置。
【請求項13】
前置光学系(11〜15)は、該前置光学系(11〜15)に対して横方向に延在する少なくとも1つの接続ウェブ(21,22)によって、光出力面(11b〜15b)の領域で機械的に互いに接続されており、
該少なくとも1つの接続ウェブ(21,22)は、少なくとも領域的に光学的に非作用であり、
基部本体(101)はさらに少なくとも1つの当接領域(121,122)を有しており、該当接領域において前記光学系本体(1)は、前記前置光学系(11〜15)を少なくとも1つの受け部(111,112,113,114,115)に装着する際に、少なくとも1つの接続ウェブ(21,22)の裏側面(21’,22’)と当接することができる、ことを特徴とする請求項12に記載の照明装置。
【請求項14】
隣接する前置光学系(11〜15)の光出力面(11b〜15b)は、0より大(a>0)の間隔を互いに有する、ことを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項15】
光学エレメント(1)は、互いに別個の少なくとも2つの光学構成部材(1a,1b)から形成されており、各光学構成部材(1a,1b)は少なくとも1つの光導体(11,13,15;12,14)を含む、ことを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項16】
前記光学エレメント(1a,1b)は、ちょうど2つの光学構成部材(1a,1b)から形成されている、ことを特徴とする請求項15に記載の照明装置。
【請求項17】
少なくとも1つの光学構成部材(1a,1b)は、2つ以上の光導体(11,13,15;12,14)を含む、ことを特徴とする請求項1から16のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか一項に記載の照明装置(500)を少なくとも1つ含む、自動車前照灯用の光モジュール。
【請求項19】
請求項1から17のいずれか一項に記載の1つないし複数の照明装置(500)または請求項18に記載の1つないし複数の光モジュールを備える自動車前照灯。
【請求項20】
動的な光分布を形成するための請求項19に記載の自動車前照灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車前照灯用の照明装置に関するものである。ここで照明装置は、少なくとも1つの光学系本体と、少なくとも1つの光学系本体のための少なくとも1つの保持装置とを含み、少なくとも1つ光学系本体は、並んで配置された複数の前置光学系を有し、
各前置光学系は導光性の材料から作製されており、かつ各前置光学系は光入力面と光出力面を有しており、前記少なくとも1つの保持装置は、各前置光学系に対して少なくとも1つの受け部を有しており、該受け部は境界壁により画定されており、前記境界壁は、光出射側に境界エッジを有しており、該境界エッジは、少なくとも1つの光学系本体によって形成された光分布内に、個々の前置光学系により形成された部分光分布(複数)の間の明暗エッジ(複数)として結像され、前記少なくとも1つの光学系本体には、投影装置、好ましくは投影レンズが光出射方向において後置接続されている。
【0002】
さらに本発明は、少なくとも1つのそのような照明装置を備える、自動車前照灯用の光モジュールに関する。
【0003】
さらに本発明は、1つまたは複数のそのような光モジュールを備える自動車前照灯に関する。
【背景技術】
【0004】
冒頭に述べた光学系本体は、光分布を形成するための自動車前照灯用の光モジュールにおいて、例えばセグメント化された光分布を形成するために、すなわち個々の光セグメントから構築された光分布を形成するために使用される。前置光学系は通常、プラスチック、シリコーン、ガラス等から作製される。光技術的要求、すなわちとりわけ法的規制および自動車製造業者の規定を満足させ、他方では機械的負荷に対して可及的に長期に、好ましくは自動車の全寿命にわたって耐えるためには、光学系本体を正確に所望の位置に安定して固定することが必要である。
【0005】
個々の光セグメントを画定するためには、光セグメントが比較的鋭く、とりわけ側方に画定されている必要がある。さらに光学系本体の個々の前置光学系は、境界壁によって少なくとも側方に画定されており、これらの境界壁は非透光性の材料から作製されている。
【0006】
前置光学系の光出力面と、境界壁の光出射側の境界エッジは、共通の面内に存在し、この面は平坦であっても湾曲していても良い。光学系本体に後置接続された、光分布を車両の前方領域に結像する投影レンズの焦点は、ここではこの共通の平面内に存在する。これにより境界壁の境界エッジは、光像に必要なだけ先鋭に結像され、これにより光セグメントは相応に先鋭に画定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】US 2008/253144 A1
【特許文献2】DE 10204481 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら前置光学系の光出射面に塵埃堆積が頻繁に形成され、この塵埃堆積は、光分布ないし個々の光セグメントにおいて暗い斑点として可視であり、望ましくないことには光分布ないし光セグメントの均一性を妨げることが判明した。
【0009】
本発明の課題は、この問題を取り除くことである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、冒頭に述べた前置光学系により本発明にしたがって、前記前置光学系は、当該前置光学系の光出力面が光出射方向において境界壁の境界エッジを越えて突き出るように配置および/または構成されていることによって解決される。
本発明によれば以下の形態が可能である。
(形態1)自動車前照灯用の照明装置であって、該照明装置は、少なくとも1つの光学系本体と、該少なくとも1つの光学系本体のための少なくとも1つの保持装置とを含み、前記少なくとも1つの光学系本体は、並んで配置された複数の前置光学系を有しており、各前置光学系は導光性の材料から作製されており、かつ各前置光学系は光入力面と光出力面を有しており、前記少なくとも1つの保持装置は、各前置光学系に対し
て1つの受け部を有しており、該受け部は、境界壁により画定されており、前記境界壁は、光出射側に境界エッジを有しており、前記境界エッジは、少なくとも1つの光学系本体によって形成された光分布内に、個々の前置光学系により形成された部分光分布の間の明暗エッジとして結像され、前記少なくとも1つの光学系本体には、投影装置、好ましくは投影レンズが光出射方向において後置接続されており、前記前置光学系は、当該前置光学系の光出力面が光出射方向において境界壁の境界エッジを越えて突き出るように配置および/または構成されている照明装置が提供される。
(形態2)前記境界エッジは共通の面内に存在することが好ましい。
(形態3)境界エッジの前記共通の面は平坦に構成されており、好ましくは光出射方向に対してほぼ垂直に配置されていることが好ましい。
(形態4)前置光学系の光出力面は平坦に構成されていることが好ましい。
(形態5)前置光学系の光出力面は、共通の平面内に配置されていることが好ましい。
(形態6)光出力面の前記共通の平面は、境界エッジの共通の平面に対して一定の間隔を有していることが好ましい。
(形態7)境界エッジの前記共通の面は、投影レンズの焦点内に存在する、ないし焦点を含むことが好ましい。
(形態8)前置光学系は、直接すなわち間隔無しで、その少なくとも1つの受け部の境界壁に当接していることが好ましい。
(形態9)境界壁は、少なくとも並んで配置された受け部(複数)の間に設けられていることが好ましい。
(形態10)外側の2つの受け部は、それらの外側でもそれぞれ1つの境界壁により画定されていることが好ましい。
(形態11)並んで配置された受け部は、共通の分離ウェブによってそれぞれ分離されており、当該分離ウェブは、隣接する受け部に対する
境界壁を形成することが好ましい。
(形態12)保持装置は、1つまたは複数の光源に対する支持体と接続可能であり、該光源は、光学系本体の前置光学系に光を入射するために設けられていることが好ましい。
(形態13)前記境界エッジの位置は、少なくとも1つの光源に対して固定されており、前記光学系本体は、光出射面が境界エッジとの共通の平面ないし面内にある光学系本体よりも光出射方向に延長されていることが好ましい。
(形態14)保持装置は基部本体を含み、該基部本体は、光を光学系本体に供給するための1つまたは複数の光源に対する支持体と接続可能であることが好ましい。
(形態15)前置光学系のための受け部は、前記基部本体内に形成されていることが好ましい。
(形態16)前置光学系は、該前置光学系に対して横方向に延在する少なくとも1つの接続ウェブによって、光出力面の領域で機械的に互いに接続されており、該少なくとも1つの接続ウェブは、少なくとも領域的に光学的に非作用であり、基部本体はさらに少なくとも1つの当接領域を有しており、該当接領域において前記光学系本体は、前記前置光学系を少なくとも1つの受け部に装着する際に、少なくとも1つの接続ウェブの裏側面と当接することができることが好ましい。
(形態17)隣接する前置光学系の光出力面は、0より大(a>0)の間隔を互いに有することが好ましい。
(形態18)光学エレメントは、互いに別個の少なくとも2つの光学構成部材から形成されており、各光学構成部材は少なくとも1つの光導体を含むことが好ましい。
(形態19)前記光学エレメントは、ちょうど2つの光学構成部材から形成されていることが好ましい。
(形態20)少なくとも1つ、好ましくは全ての光学構成部材は、2つ以上の光導体を含むことが好ましい。
(形態21)形態1から20のいずれか一に記載の照明装置を少なくとも1つ含む、自動車前照灯用の光モジュールが提供される。
(形態22)形態1から20のいずれか一に記載の1つないし複数の照明装置または形態21に記載の1つないし複数の光モジュールを備える自動車前照灯が提供される。
(形態23)動的な光分布を形成するための形態22に記載の自動車前照灯が好ましい。
なお、特許請求の範囲に付記した図面参照番号はもっぱら理解を助けるためであり、図示の態様に限定することを意図するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0011】
光出力面を境界エッジに関して突き出るように配置することにより、後置接続された投影レンズの焦点を含む平面内に以前と同じように存在する境界エッジは以前と同じように鋭く結像され、一方、光出力面はデフォーカスされて結像され、相応にぼやけて結像される。個々の光セグメント内での光分布に対して、このぼやけた結像は取るに足らないものである。なぜならここではいずれにしろ均一な光分布が生じ、一方、光セグメントの制限部は以前と同じように鋭く結像されるからである。光出力面のデフォーカスにより、とりわけ場合による塵埃堆積もデフォーカスされて結像され、対応してもはや識別されず、光分布の均一性をもはや損なわない。
【0012】
上にすでに述べたように、境界エッジは共通の面内にあり、この面は好ましくは連続性、とりわけ少なくともC0連続性である。
【0013】
典型的には、境界エッジの共通の面は平坦に構成されており、好ましくは光出射方向に対してほぼ垂直に配置されている。
【0014】
光出力面は湾曲して構成することができ、および/または湾曲した曲線に沿って配置することができる。これは例えばレンズの画像野の湾曲にしたがうためである。しかしながら好ましくは、前置光学系の光出力面は平坦に構成されている。
【0015】
さらに、前置光学系の光出力面は共通の平面内に存在すると有利である。
【0016】
さらに光出力面の共通の平面は、境界エッジの共通の平面に対して一定の間隔を有すると有利である。
【0017】
したがって光出力面は、境界壁の境界エッジを通る平面に対してどこでも同じ垂直間隔を有し、したがって平行に延在する。
【0018】
上にすでに述べたように、境界エッジの共通の面ないし平面が投影レンズの焦点内に存在すると、ないし焦点を含むと有利である。このようにして境界エッジは光像中に鋭く結像される。
【0019】
さらに好ましくは、前置光学系は直接、すなわち間隔無しで、その少なくとも1つの受け部の境界壁に当接しており、これにより光セグメントの最適の光学的表示が得られる。
【0020】
ここで境界壁は、少なくとも並んで配置された受け部(複数)の間に設けられている。
【0021】
2つの外側受け部は、それらの外側でもそれぞれ1つの境界壁により画定されていると特に好ましい。
【0022】
本発明の具体的な一実施形態では、並んで配置された受け部は、共通の分離ウェブによってそれぞれ分離されており、該分離ウェブは、隣接する受け部(複数)に対する境界壁を形成する。
【0023】
少なくとも1つの光学系本体を、光を前置光学系に供給する光源に対して所望の位置に固定するために、光学系本体のための保持装置は、1つまたは複数の光源に対する支持体と接続することができる。ここで光源は、光学系本体の前置光学系に光を入射するために設けられている。
【0024】
本発明の実際に関連する具体的な一実施形態では、少なくとも1つの光源に対する境界エッジの位置は固定されており、光学系本体は、光出射面が境界エッジとの共通の平面ないし面内に存在する光学系本体よりも光出射方向において延長されている。
【0025】
これにより、支持体−保持装置の既存のシステムにおいても本発明の効果を、光学系本体の修正だけによって達成することができる。
【0026】
具体的な一実施形態では、保持装置は基部本体を含み、この基部本体は、光を光学系本体に供給するための1つまたは複数の光源のための支持体と接続可能である。
【0027】
そして補助光学系のための受け部は、好ましくは基部本体内に形成されている。
【0028】
光学系本体は、基部本体内に保持体によって保持される。この保持体は光学系本体を、そのために適切に構成された基部本体へ押圧し、保持体を基部本体と接続した後、所望の位置に安定して保持する。
【0029】
本発明の具体的な一実施形態では、前置光学系は、該前置光学系に対して横方向に延在する少なくとも1つの接続ウェブと、光出力面の領域で互いに機械的に接続されており、該少なくとも1つの接続ウェブは、少なくとも領域的に光学的に非作用であり、前記基部本体は、さらに少なくとも1つの当接領域を有し、該当接領域において光学系本体が、前置光学系を少なくとも1つの受け部に装着する際に、少なくとも1つの接続ウェブの裏側面と当接することができる。
【0030】
セグメント化された光分布を形成するためには、隣接する前置光学系の光出力面が0より大(a>0)の間隔を互いに有すると有利である。
【0031】
製造技術的理由から、光学系本体が互いに別個の少なくとも2つの光学構成部材から作製されており、各光学構成部材が少なくとも1つの光導体を含むとさらに有利である。
【0032】
光学エレメントがちょうど2つの光学構成部材から作製されていると特に有利である。この場合、少なくとも1つの、好ましくはすべての光学構成部材が2つ以上の光導体を含むことが好ましい。
【0033】
以下、本発明を図面に基づき詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】光モジュールの形の本発明による一照明装置を斜め前方から見た概略的斜視図である。
【
図2】
図1の光モジュールの光源支持体、保持装置および光学系本体の分解斜視図である。
【
図3】
図2の保持装置の基部本体の一部分を、光学系本体の前置光学系のための受け部の領域において前方から見た斜視図である。
【
図4】
図1の光モジュールを上方から見た図である。
【
図5】
図1の光モジュールの垂直断面を、光モジュールの光軸においてまたは光軸に対して平行に見た図である。
【
図6】従来技術から公知の光モジュールに対して、
図5に対応する部分を示す図である。
【実施例】
【0035】
図1は、光モジュールの形の本発明の照明装置500を示す。光モジュールは、複数の光源、例えばLED光源のための支持体200を含む。さらに光モジュール500は光学系本体1を含み、この光学系本体は支持体200にある保持装置100により保持される。最後にさらに焦点F1を有する投影レンズ501が示されている。光源から光学系本体に入射する光は投影レンズにより、図示の光モジュールが組み込まれている車両の前方の領域に投影される。
【0036】
図2は、光学系本体1のための一保持装置100を例として分解図に示す。光学系本体1は、側方に並べて配置された複数の前置光学系11,12,13,14,15を含み、各前置光学系11〜15は導光性材料から作製されており、各前置光学系11〜15は、光入力面11a〜15aと光出力面11b〜15bを有する。
【0037】
ここで隣接する前置光学系11〜15の光出力面11b〜15bは、間隔0より大(a>0)を互いに有し、図示のように通常は、1つの前置光学系から隣接する別の前置光学系への光の漏れを阻止するために、隣接する前置光学系は、光出力面の領域でだけではなく、それらの広がり全体にわたって互いに離間している。
【0038】
前置光学系11〜15は、当該前置光学系11〜15に対して横方向に延在する2つの接続ウェブ21,22によって、光出力面11b〜15bの領域で機械的に互いに接続されている。ここで接続ウェブ21,22は、光学系本体の(すなわち光モジュールの、ないし当該光学系本体を含む前照灯の)組み込み位置では、光学エレメント1の上方および下方の領域に配置されている。
【0039】
光学系本体ないし光学エレメント1は、1つのピースから作製することができる。しかし製造技術的理由から、光学系本体1は、図示のように互いに別個の2つの光学構成部材1a,1bから形成されると有利であり、各光学構成部材1a,1bは2つ以上の前置光学系11,13,15;12,14(具体的な例では2つと3つの前置光学系)を含む。
【0040】
ここで本発明は、このような光学系本体の使用が有利であるにしても、図面に示された光学系本体に限定されるものではないことを述べておく。本発明は、一体的な光学系本体にも、前置光学系が1つまたは複数の横ウェブにより機械的に互いに接続されていない光学系本体にも及ぶ。
【0041】
保持装置100は、図示の例では基部本体101と保持体102を有し、該保持体は、光学系本体1を基部本体101に取り付けた後、光学系本体1の取り付け方向において(すなわち実質的に出射方向とは反対方向において)基部本体101に取り付けることができ、これに固定することができる。さらに固定装置101a,102aが設けられており、これらの固定装置によって保持体102は基部本体101に固定可能である。
【0042】
図示の例で固定装置は、ロックエレメント102aと対応のロック切欠部101aを含み、ロックエレメント102aは保持体102に、対応のロック切欠部は基部本体101に配置されている。このようにして基部本体と保持体は互いに安定して接続することができ、これにより前置光学系も安定して所望の位置に保持される。
【0043】
図2から分かるように、保持体102は開口部102’を有しており、したがって光は前置光学系11〜15の光出力面11b〜15bから妨げられずに出射することができる。
【0044】
保持体102は締め付けエレメント102bを有しており、該締め付けエレメントは、接続ウェブ21,22において保持体102が基部本体101に固定された状態で、前記接続ウェブの表側の面に当接し、光学系本体1をその横ウェブ21,22と共に、基部本体101にあるストッパ121,122に対して押圧する。
【0045】
さらに、保持体102は締め付けエレメント102cを有し、この締め付けエレメントは基部本体101に保持体102が固定された状態では、1つまたは複数の光出力面において、ないし好ましくは図示のように光出力面11b〜15bの1つの領域において前置光学系11〜15に当接する。
【0046】
締め付けエレメント102b,102cは、光学系本体1を基部本体101の当接領域121,122に対して押圧する。そのために締め付けエレメント102b,102cは好ましくは弾性に、とりわけバネ弾性に構成されている。
【0047】
側方のスライド、すなわち左/右、ないし上方/下方へのスライドに対して光学系本体1はすでに上記のように確保することができる。または基部本体101は相応に構成され、これによりそのようなスライドが阻止される。例えばこのようなスライドは、下記の受け部および/またはストッパ121,122により全ての側で画定された壁によって阻止することができる。
【0048】
図2および3から分かるように、保持装置100、すなわち基部本体101は各前置光学系11〜15に対して少なくとも1つの受け部111,112,113,114,115を有する。これらの受け部111〜115は境界壁111’,112’,113’,114’,115’により画定されており、ここで境界壁111’,112’,113’,114’,115’は光出射側に境界エッジ111a’,112a’,113a’,114a’,115a’を有している。
【0049】
ここで並んで配置されている受け部111,112;112,113;113,114;114,115は、具体的な例ではそれぞれ共通の分離ウェブ212,223,234,245によって分離されており、これらの分離ウェブは、互いに隣接する受け部111〜115に対する境界壁111’,112’,113’,114’,115’を形成する。
【0050】
境界壁は非透光性の材料から作製されており(通常は基部本体全体が、ただ1つの非透光性の材料から、しばしばワンピースで作製されている)、したがって境界エッジ111a’,112a’,113a’,114a’,115a’は、光学系本体1により形成された光分布内に、個々の前置光学系11〜15により形成された部分光分布の間で垂直に延在する明暗エッジとして結像される。
【0051】
前置光学系11〜15は好ましくは直接、すなわち間隔無しでそれらの受け部111〜115の境界壁111’,112’,113’,114’,115’に当接しており、これにより光セグメントの最適の光学的提示を獲得する。
【0052】
ここで境界壁111’,112’,113’,114’,115’および境界エッジ111a’,112a’,113a’,114a’,115a’は、少なくとも互いに並んで配置された受け部の間に設けられており、このことは、外側にある2つの受け部111,115の外側もそれぞれ1つの境界壁111’,115’により画定されている場合に特に好ましい。
【0053】
図2から分かるように、図示の例で前置光学系11〜15の光出力面11b〜15bは平坦に構成されており、共通の平面E2(
図4、5参照)内に存在する。
【0054】
境界エッジ111a’,112a’,113a’,114a’,115a’も同様に共通の平面E1内に存在する。
【0055】
従来技術に対応する光学系本体1’では、
図6に示すようにこれら2つの平面E1,E2は一致し、この共通の平面内に投影レンズの焦点F1も存在する。これは厳密には正確に1つの焦点ではなく焦点ラインであり、後者の場合、この焦点ラインは平面E1,E2に接する。
【0056】
本発明によれば前置光学系11〜15は、当該前置光学系11〜15の光出力面11b〜15bが光出射方向において境界壁111’,112’,113’,114’,115’の境界エッジ111a’,112a’,113a’,114a’,115a’を越えて突き出るように配置および/または構成されている。したがって光出力面が存在する平面E2は、境界エッジの平面E1よりも投影レンズ501の近傍に配置されている。
【0057】
しかし投影レンズ501の焦点F1(ないし焦点ライン)は、従来法と同じように境界エッジの平面E1内に存在する。したがって境界エッジは光像中に鋭く結像され、したがって光セグメントは先鋭に画定されている。
【0058】
光出力面が境界エッジに関して突き出ている配置により、後置接続されたプロジェクトレンズの焦点を含む平面内に従来法と同じように存在する境界エッジは従来法と同じように鋭く結像され、一方、光出力面はデフォーカスされて結像され、相応にぼやけて結像される。個々の光セグメント内での光分布に対して、このぼやけた結像は取るに足りないものである。なぜなら、ここではいずれにしろ均一な光分布が生じ、一方、光セグメントの制限部は以前と同じように鋭く結像されるからである。光出力面のデフォーカスにより、とりわけ場合による塵埃堆積もデフォーカスされて結像され、対応してもはや識別されず、光分布の均一性をもはや損なわない。
【0059】
2つの平面E1,E2は好ましくは図示のように互いに平行である。
【符号の説明】
【0060】
1,1’ 光学系本体、光学エレメント
1a,1b 光学構成部材
2 光源
11〜15 前置光学系
11a〜15a 光入力面
11b〜15b 光出力面
21,22 接続ウェブ
21’,22’ 裏側面
100 保持装置
101 基部本体
101a 固定装置、ロック切欠部
102 保持体
102a 固定装置、ロックエレメント
102b,102c 締め付けエレメント
102’ 開口部
111〜115 受け部
111’〜115’ 境界壁
111a’〜115a’ 境界エッジ
121,122 ストッパ
200 支持体
212,223,234,245 分離ウェブ
500 照明装置、光モジュール
501 投影レンズ
F1 焦点
E1,E2 共通の平面