(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係るゲートバルブの実施形態について、図面を参照しながら説明する。
<実施形態1>
図1は、本発明の実施形態1に係るゲートバルブ1の外観を示し、
図2は、ゲートバルブ1をその構造が現れるよう破断した斜視図である。ゲートバルブ1を構成する個々の要素は、ゲートバルブ1の分解図として
図3に示されている。
図4は、ゲートバルブ1をプラント等の配管2の途中に設けた例を示している。
【0022】
図1,2,5に示すように、ゲートバルブ1は、一端3と他端5に開口部7,9がそれぞれ形成されたバルブケース11と、バルブケース11に収納されバルブケース11の一端3の開口部7と他端5の開口部9との間を横切る仕切板13と、バルブケース11に仕切板13を揺動自在に支持する支軸15と、支軸15からその径方向に離れた位置で仕切板13に係合したピン17と、仕切板13を支軸15の周りに揺動させる力をピン17に入力する駆動手段である駆動装置19とを備える。
【0023】
換言すると、開口部7,9の内、開口部7が流体が流入する流入口とすると、開口部9が流体が流出する流出口となる。そして、開口部7と開口部9は同軸上に形成されている。また、仕切板13は、前記流入口から前記流出口に至るバルブケース1内の流路(以下、「バルブ内流路」と称する。)と交差する(本例では、直交する)面内で揺動される構成となっている。
【0024】
バルブケース11は、一端3と他端5のそれぞれの開口部7,9の周囲に複数の雌ねじ21が形成されている。
図4に示すパイプ23,25をバルブケース11に接続するには、パイプ23,25にそれぞれ設けたフランジ27を、複数の雌ねじ21の各々に螺合するボルト等によってバルブケース11の一端3と他端5にそれぞれ締め付ければ良い。一端3、及び他端5は相対的な呼称であり、バルブケース11の姿勢、又は向きを限定するものではない。
図2,5に示すように、バルブケース11の開口部7,9の内側には、バルブケース11の内方へ延びる筒形部31がそれぞれ形成されている。符号33は、バルブケース11の底部に設けたドレンボルトを指している。なお、ドレンボルト33は、バルブケース11の側部にも設けられている(
図7〜
図9)。
【0025】
仕切板13は、
図3,7に示すように、支軸15が基端35に挿通され、頭部37を基端35よりも広幅とした形状の板材である。仕切板13の材質はセラミック、又はステンレス鋼であっても良い。仕切板13の頭部37には切欠部39、及び絞り孔41が形成されている。切欠部39の位置は支軸15から最も離れた頭部37の先端であることが好ましいが、切欠部39、及び絞り孔41の形状、寸法、及び配置が図示の形態に限定されることはない。また、仕切板13は支軸15、及びピン17に対して、
図5の矢印Pの向きに移動できる遊びを確保されている。矢印Pは、支軸15の軸方向であり、
図4に示すパイプ23,25からバルブケース11に流体の導入される方向に一致する。
【0026】
図2,5に示すように、支軸15は、開口部7,9の下方でバルブケース11に両端が支持されている。ピン17は、その両端が、後述するエアシリンダ46のピストンロッド47に取り付けられたブラケット43に支持され、ピン17の胴部が切欠部39に挿入されている。切欠部39には、
図2,3に示す滑り材45を嵌め込むようにしても良い。滑り材45は、フッ素樹脂などの合成樹脂で形成される。滑り材45を嵌め込んだ場合、すなわち、滑り材45を介してピン17を仕切板13(切欠部39)に係合させた場合、滑り材45が緩衝材としても機能し、たとえば、仕切板13を脆性材料であるセラミックで形成した場合に、仕切板13の損傷などを防止することができる。切欠部39に、直接、ピン17を係合させた場合、ピン17が切欠部39に線状に当接して、切欠部39を押圧することとなり、当該押圧部分に応力が集中して、仕切板13が欠け易くなる。これに対し、滑り材45を介した場合、ピン17は、滑り材45に線状に当接するものの、滑り材45は、切欠部39に面接触しているため、滑り材45に加えられた押圧力は、切欠部39に分散して伝達される。このため、ピン17で直接押圧した場合の上記した応力の集中が緩和されることとなり、仕切板13における欠け等の損傷を防止することができるのである。
【0027】
なお、滑り材45は、合成樹脂に限らず、例えば、ステンレス鋼その他の金属で形成しても構わない。
【0028】
駆動装置19は、エアシリンダ46を有する。エアシリンダ46のピストンロッド47にはブラケット43が取り付けられている。ブラケット43のピストンロッド47への取付態様について、
図3及び
図7を参照しながら説明する。
【0029】
ピストンロッド47の先端部側には、雌ねじ47Aが形成されている。雌ねじ47Aに螺合する雄ねじ48Aが一端部に形成されてなるセットバー48が設けられている。雄ねじ48Aには、セットナット50が螺合している。また、ブラケット43には、挿入孔43Aが開設されている。
【0030】
セットバー48の雄ねじ48Aをブラケット43の挿入孔43Aに挿入した状態で、雄ねじ48Aをピストンロッド47の雌ねじ47Aに螺合させる。そして、セットナット50を回してブラケット43に密着させ、さらにセットナット50を締め付けることにより、ブラケット43がピストンロッド47に取り付けられる。セットバー48は、ピストンロッド47と共に往復動する。
【0031】
なお、セットバー48の往復動する範囲には、セットバー48を覆うカバー49が設けられている。セットバー48には、ブラケット43をピストンロッド47へ取り付ける機能以外に、カバー49と共に他の機能も有するのであるが、当該他の機能は本願発明の主眼ではないので、その説明については省略する。
【0032】
更に、ゲートバルブ1は、
図3,5,7に示すように、バルブケース11の一端3の開口部7、及び他端5の開口部9にそれぞれ没入された2つのシールリング51,53と、2つのシールリングのそれぞれの端部55の周りに配置されバックアッププレート57,59と、2つのシールリング51,53を仕切板13に弾性部材61を介して押し付ける押圧手段63とを備える。シールリング51は
図7で省略されている。
【0033】
シールリング51,53は、開口部7,9の内側に端部55を向け、開口部7,9の外側に外端部67を向けた筒体である。シールリング51の外端部67は、バルブケース11の一端3よりも少し開口部7の内方へ没入し、シールリング53の外端部67は、バルブケース11の他端5よりも少し開口部9の内方へ没入していれば良い。シールリング51,53の周面には突起69が形成されている。シールリング51,53のそれぞれの端部55は、互いに仕切板13を挟んで対向し仕切板13に密接している。シールリング51,53の内側は流体が導入される流路となる。シールリング51,53の材質はセラミック、又はステンレス鋼であっても良い。
【0034】
バックアッププレート57,59は、シールリング51,53のそれぞれの端部55の周面に密着された環形板である。換言すると、バックアッププレート57,59は、前記環形を形成する貫通孔57A,59Aを有し、貫通孔57A,59Aが前記バルブ内流路を囲繞するように、バルブケース11内に収納されている。シールリング51,53のそれぞれ突起69は、バックアッププレート57,59がシールリング51,53に対して軸方向に滑らないように、バックアッププレート57,59をシールリング51,53に掛止する役割を果たしている。バックアッププレート57,59の材質は、仕切板13に密接できるものであれば、ステンレス鋼等の金属でも良い。更に、バックアッププレート57,59は、
図3,7に示すように、仕切板13に沿って延出した延出部73を形成している。この両延出部73が、バックアッププレート57,59において(実体的に)対向する主な対向部分となり、当該対向領域(両延出部73間の間隙)が、後述するように、絞り孔41が前記バルブ内流路から退避して、進入する領域となる。以下、絞り孔41がバルブ内流路から退避して、進入する前記対向領域を「退避領域」と称する。
【0035】
次に仕切板13の動作を説明する。駆動装置19がピストンロッド47を進退させる動作に従って(すなわち、ピストンロッド47、ひいては、ピン17をその軸心と直交する方向に往復動させる動作に従って)、仕切板13が
図8の矢印θの方向に揺動する。
図8〜
図10は、仕切板13の揺動する過程を示している。これらの図中でシールリング51、及びバックアッププレート57は、シールリング53、及びバックアッププレート59にそれぞれ対向している。符号75は、バックアッププレート59をバルブケース11に位置決めするストッパーを指している。
【0036】
図9は、駆動装置19のピストンロッド47が前進する限度に達したとき、仕切板13の絞り孔41の位置がシールリング51,53から逸れ(すなわち、前記バルブ内流路から退避し)、絞り孔41が前記退避領域に進入して、絞り孔41が全閉になることを示している。
図10は、ピストンロッド47が後退する限度に達したとき、仕切板13の絞り孔41の位置がシールリング51,53の内側に合致し、すなわち、絞り孔41が前記バルブ内流路に位置して、絞り孔41が全開になることを示している。この場合、絞り孔41が、バルブ内流路を流通する流体の流通孔として機能する。また、駆動装置19は、ピストンロッド47を進退する行程の途中で停止させ、
図8に示すように絞り孔41を半開にすることもできる。
【0037】
次に押圧手段63について説明する。押圧手段63は、前述の弾性部材61と、シールリング51,53のそれぞれの突起69と、セットリング77,79とを備え、弾性部材61をシールリング51の突起69とセットリング77の先端85との間に介在させたものである。セットリング77,79は、
図5に示すように、バルブケース11の筒形部31とシールリング51,53との間に配置された金属製の筒体に、開口部7,9に嵌入するフランジ81を形成したものである。また、セットリング77,79は、バルブケース11に対して矢印Pの向きに自由に滑動でき、シールリング51,53は、セットリング77,79に対して矢印Pの向きに自由に滑動できれば良い。
【0038】
図6は、押圧手段63のセットリング77に注目した斜視図である。セットリング77の先端85は、シールリング51の突起69に対向している。
図3に示すように、弾性部材61はシールリング51の周面に沿う輪状である。一方、セットリング79の先端85はシールリング53の突起69に直に接触している。セットリング77の後端に形成されたフランジ81は、バルブケース11の一端3から少し突出し、セットリング79のフランジ81は、バルブケース11の他端5から少し突出していれば良い。符号83はOリングを指している。
【0039】
図4に示すパイプ23,25のフランジ27がボルト等によってバルブケース11に締め付けられる力は、セットリング77,79のそれぞれのフランジ81が受け止める。これにより、セットリング77,79は
図5の矢印Pの向きにバルブケース11の内方へ押し込まれる。更に、シールリング51,53のそれぞれの突起69に矢印Pの向きの力が伝わり、シールリング51,53のそれぞれの端部55、及びバックアッププレート57,59は仕切板13に押し付けられる。
【0040】
上記の矢印Pの向きの力がシールリング51に伝わるとき、セットリング77の先端85とシールリング51の突起69との間で弾性部材61が圧縮される。その分、シールリング51,53のそれぞれの端部55、及びバックアッププレート57,59が仕切板13に押し付けられる力が少し逃がされる。
【0041】
このため、駆動装置19が仕切板13を揺動させるとき、シールリング51,53の端部55、及びバックアッププレート57,59と仕切板13との間に過度の摩擦力を発生させることなく、仕切板13の円滑な動作を実現することができる。また、弾性部材61は、仕切板13の厚み、シールリング51,53の形状、又は寸法に少しの狂いがあっても、シールリング51,53の端部55、及びバックアッププレート57,59が仕切板13に押し付けられる力が変動するのを抑える役割も果たす。
【0042】
また、
図7に示すバックアッププレート57,59のそれぞれの延出部73は、次のように作用する。即ち、駆動装置19が仕切板13を揺動させることにより、
図8,9に示すように、絞り孔41がシールリング51,53のそれぞれの端部55から逸れる位置に移動する(すなわち、絞り孔41が、前記バルブ内流路から退避する)。この過程で、シールリング51,53の内側に導入される流体は絞り孔41にも流入するが、バックアッププレート57,59のそれぞれの延出部73に絞り孔41が重なり(すなわち、絞り孔41が前記退避領域に進入して)、バルブケース11の内部に流体が漏れるのを防止する。
【0043】
また、絞り孔41が前記退避領域に位置する間は、絞り孔41内に存する流体も、当該退避領域(すなわち、バルブケース11内)に留まることとなるが、次に、仕切板13が揺動されて、絞り孔41がバルブ内流路に位置されると、絞り孔41内の流体は、押し流されて、バルブケース11外へと流出するため、バルブケース11内に長期に渡って、流体が滞留するのを可能な限り防止することができる。
【0044】
以上に述べたゲートバルブ1は、仕切板13を支軸15、及びピン17により2箇所で支持し、シールリング51,53及びバックアッププレート57,59で挟持する構造であるため、仕切板13とこれに遮られる流体とが激しく摩擦しても、仕切板13の振動を抑制することができる。特に、仕切板13の材質がセラミックである場合でも、仕切板13に切欠部39を形成するのが容易であり、この切欠部39に係合したピン17に仕切板13を揺動させる力が入力されるので、仕切板13を動作させるときに、仕切板13に無理な外力を加えなくて済むという利点がある。これにより、セラミック製の仕切板13の割れ、又は欠損を予防することができる。
【0045】
仕切板13、及びシールリング51,53の双方の材質がセラミックである場合、仕切板13とシールリング51,53のそれぞれの端部55とを密接させるのは難しい。すなわち、シールリング51,53のそれぞれの端部55と仕切板13との間に僅かな間隙が生じてしまう。
【0046】
よって、この僅かな間隙に微粉灰、又はスラリー等の流体が侵入する場合があるが、侵入したとしても、バックアッププレート57,59が仕切板13に密接することにより、流体は、バックアッププレート57,59の貫通孔57A,59Aの内壁にて、それ以降の進行が阻止されるため、仕切板13の揺動領域から流体が流路以外のバルブケース11内に侵入することを可能な限り防止できる。
【0047】
このため、ゲートバルブ1は、流路以外のバルブケース11に微粉灰、又はスラリー等が滞留するのを予防し、バルブケース11を清掃する手間を省くことができる。
【0048】
また、仕切板13に切欠部39を形成する位置は任意に決めても良いが、仕切板13にピン17を係合させる位置から支軸15までの距離を長くすれば、その分、駆動装置19が仕切板13を揺動させる力が増大する。これは、駆動装置19の出力の比較的小さくすることに貢献し、ゲートバルブ1の全体の小型化、及び製造コストの低減を達成するのに有利である。
【0049】
尚、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々なる改良、修正、又は変形を加えた態様でも実施でき、以下の態様で実施しても良い。
【0050】
駆動装置19の動力源は、エアシリンダ46に限らず、電動シリンダ、あるいは油圧シリンダであっても良い。押圧手段63は、セットリング77,79、又はシールリング51,53をバルブケース11に対して
図5の矢印Pの向きに締め付けるボルト等であっても良い。シールリング51,53が同一の形態である必要はない。これはバックアッププレート57,59、及びセットリング77,79についても同様である。ゲートバルブ1の総ての要素の材質は何ら限定されるものではない。
【0051】
また、セットリング77のフランジ81がバルブケース11の一端3から前述のように突出していれば、セットリング79のフランジ81はバルブケース11の他端5と面一でも良い。この場合、
図2に示すにパイプ23,25をバルブケース11に接続したときの矢印Pの向きの力はセットリング77,79の両方に伝わるので、弾性部材61が圧縮されることによる上記の効果は達成される。シールリング53の突起69とセットリング79の先端85との間に弾性部材61を介在しても良い。
<実施形態2>
実施形態2は、実施形態1とは、仕切板を揺動させるための駆動手段が異なっている以外は、基本的に実施形態1と同様である。よって、実施形態2において、実施形態1と同様の構成部分には、同じ名称を付して簡単に言及するに止め、異なる部分について詳細に説明することとする。なお、実施形態2では、実施形態1において名称を付していない構成部分に新たな名称を付して説明に用いる場合がある。
【0052】
図11に実施形態2に係るゲートバルブ100の外観斜視図を、
図12、
図13にゲートバルブ100の一部切り欠き斜視図をそれぞれ示す。また、
図14にゲートバルブ100の分解斜視図を示す。
【0053】
図11に示すように、ゲートバルブ100は、バルブ本体102とバルブ本体102の後述する仕切板164を揺動させるための駆動装置104とを有する。
【0054】
バルブ本体102は、バルブケース106を有する。
【0055】
バルブケース106は、実施形態1と同様、主として二つの部材の組立体からなる。実施形態2において二つの部材の内、流体の流入側となる方を流入側ケース108と称し、流出側となる方を流出側ケース110と称することとする。
【0056】
流入側ケース108と流出側ケース110とが組み立てられてなるバルブケース106は、
図12に示すように、一端に流体が流入する流入口となる開口部112を有し、他端に流体が流出する流出口となる開口部114を有する。開口部112と開口部114とは、同軸上に形成されている。
【0057】
流入側ケース108と流出側ケース110には、それぞれ、実施形態1と同様、筒形部116と筒形部118とが形成されている。両筒形部116,118は、本例では、実施形態1と同様、円筒形である。筒形部116と筒形部118も同軸上に形成されている。
【0058】
筒形部116と筒形部118とは、間隙を空けて対抗されており、当該間隙によって後述する仕切板164が揺動する空間が確保されている。
【0059】
図12〜
図14に示すように、流入側ケース108の開口部112の周囲端面には、複数の雌ねじ120が開口部112に沿って形成されている。なお、流出側ケース110にも、開口部114に沿って複数の雌ねじが形成されているのであるが、図には現れていない。
【0060】
流出側ケース110の底部には、3個のドレンボルト122が設けられている。
【0061】
図14に示すように、流出側ケース110の外周には、山形をした突出部124が複数個設けられており、突出部124の各々には、ボルト126の挿入孔124Aが開設されている。一方、流入側ケース108の外周にも、突出部124と対応する位置に同じく山形をした突出部128が複数個設けられており、突出部128の各々には、ねじ孔128Aが形成されている。
【0062】
流出側ケース110と流入側ケース108とは、以下に記す所定の部材が収納された後、挿入孔124Aに挿入され、ねじ孔128Aに螺合されるボルト126によって締結されて組み立てられる。
【0063】
上記の構成からなるバルブケース106において、
図12に示すように、流入側ケース108の筒形部116には、シールリング130、弾性部材132、およびセットリング134が挿入される。また、セットリング134のフランジ136の内周に形成されたOリング用の溝に、Oリング138が嵌め込まれており、シールリング130の外周面とセットリング134の内周面とが、Oリング138によってシールされている。
【0064】
一方、流出側ケース110の筒形部118には、シールリング140およびセットリング142が挿入される。なお、実施形態1のシールリング53(
図5)は、その内周の一部がテーパー状に形成されているが、実施形態2において対応するシールリング140の内周は、全長に渡ってストレートに形成されている。また、セットリング142のフランジ144の内周に形成されたOリング用の溝に、Oリング146が嵌め込まれており、シールリング140の外周面とセットリング142の内周面とが、Oリング146によってシールされている。
【0065】
バルブ本体102は、実施形態1と同様、
図14に示すように、一対のバックアッププレート148,150を有する。バックアッププレート148,150の各々は、略長円形をしており、一端部側において、その厚み方向に貫通孔148A,150Aがそれぞれ開設されている。他端部側は、実施形態1のバックアッププレート57,59の延出部73(
図3)に対応し、当該延出部152,154の対向する領域(延出部152と延出部154との間の間隙)が、前記退避領域となるのは、実施形態1と同様である。
【0066】
一方のバックアッププレート148は、
図12に示すように、その貫通孔148A(の内周面)が、シールリング130の端部156の外周面に密接状態で外挿されており、他方のバックアッププレート150は、その貫通孔150A(の内周面)が、シールリング140の端部158の外周面に密接状態で外挿されている。両バックアッププレート148,150と対応するシールリング130,140との上記した関係は、実施形態1と同様である。また、シールリング130,140の外周面に突起160,162が形成されていて、突起160,162の各々が、バックアッププレート148,150がシールリング130,140に対して、軸方向に動かないように、掛止する役割を果たしているのも、実施形態1と同様である。
【0067】
両バックアッププレート148,150に密接状態で挟持されて、仕切板164が設けられている。仕切板164は、
図14に示すように、短冊状をした基端である柄部166と柄部166から延出され、柄部166よりも幅広の頭部168とを有する。頭部168の外形は、バックアッププレート148,150に概ね合致していて、略長円形をしている。頭部168とバックアッププレート148,150とが重なった状態で、頭部168において、バックアッププレート148,150の貫通孔148A,150Aとは反対側となる一端部側には、流体の流通孔である絞り孔170がその厚み方向に開設されている。ここで、頭部168において、絞り孔170が開設されているのとは反対側の他端部側部分を、バルブ内流路を遮断するための「遮断部171」と称することとする。また、柄部166には、貫通孔172が開設されている。
【0068】
なお、実施形態2においても、弾性部材132、シールリング130,140の突起160,162、およびセットリング134,142によって押圧手段174が構成されており、押圧手段174によって、シールリング130,140の端部156,158およびバックアッププレート148,150が、仕切板164に押し付けられる(押圧される)のであるが、実施形態2の押圧手段174が押圧力を発生する機構は、実施形態1の押圧手段63と同様なので、その説明については省略する。
【0069】
次に、仕切板164を揺動駆動するための駆動手段である駆動装置104について説明する。
【0070】
図11に示すように、駆動手段104は、エアシリンダ178を有する。
【0071】
エアシリンダ178のロッド180の先端には、ロッド180とでT字状をなすように、ピン182が取り付けられている。
【0072】
ピン182には、アーム184の一端部部分が係合している。アーム184は、その一端部部分に、二股のフォーク状に形成されてなるフォーク部186を有しており、フォーク部186の一方の足には、切欠部188が形成されている。ロッド180が切欠部188に挿通されて、ピン182がフォーク部186に係合されている。
【0073】
アーム184の他端部部分に六角孔190が開設されている。
【0074】
六角孔190には、シャフト192の一端部が挿入されている。
【0075】
シャフト192は、
図14に示すように、その軸心方向に、第1六角部194、第1円柱部196、第2円柱部198、第2六角部200、第3円柱部202がこの順で形成されてなるシャフトである。
【0076】
シャフト192の第1六角部194は、
図12に示すように、アーム184の六角孔190に挿入されている。
【0077】
シャフト192の第1円柱部196は、流入側ケース108に取り付けられた軸受204(
図14)によって回転自在に軸支されている。
【0078】
シャフト192の第2円柱部198は、流入側ケース108に開設された貫通孔206に挿通されている。
【0079】
シャフト192の第2六角部200については後述する。
【0080】
シャフト192の第3円柱部202は、仕切板164の貫通孔172に一部が挿入され、残余の端部側部分が、流出側ケース110に開設された有底孔208に遊挿されている。
【0081】
シャフト192の第2六角部200は、シャフト192の回転動力を仕切板164に伝達する動力伝達部材であるキャップ210の有する六角孔212(
図14)に挿入されている。
【0082】
キャップ210について、
図15を参照しながら説明する。キャップ210の
図15(a)は正面図を、
図15(b)は背面図を、
図15(c)は
図15(a)におけるA・A線断面図を、
図15(d)は
図15(a)におけるB・B線断面図をそれぞれ示す。
【0083】
キャップ210は、方形の板体の三辺に壁部214,216,218が立設されてなる構成を有しており、壁部214,216,218に囲まれた略中央に六角孔212が開設されている。
【0084】
3つの壁部の内対向する壁部214と壁部218の間隔は、仕切板164の柄部166の幅よりも僅かに大きく設定されている。
【0085】
図15(e)に示すように、この3つの壁部に囲まれた部分に仕切板164の柄部166が嵌め込まれている。
【0086】
仕切板164の貫通孔172とキャップ210の六角孔212には、シャフト192が上述したように挿入されているため、シャフト192が回転されると、シャフト192の第2六角部200からキャップ210の六角孔212を介して、回転動力が伝達され、当該回転動力は、壁部214,218が仕切板164の柄部166の両側面に当接して、仕切板164に伝達される。その結果、仕切板164は、シャフト192の軸心を中心として揺動することとなる。
【0087】
本例では、シャフト192の回転動力を、キャップ210を介して仕切板164に伝達しているため、仕切板164を例えば、セラミックのような脆性材料で形成したとしても、以下に記す理由により、欠けやひびなどの損傷を効果的に防止できる。
【0088】
例えば、仕切板164に直接、六角孔を開設し、当該六角孔にシャフト192の第2六角部200を挿入して、シャフト192の回転動力を仕切板164に伝達するとした場合、キャップ210を介したのと同じ大きさのトルクであれば、シャフト192が仕切板164を押圧する位置が、キャップ210を介した場合よりもシャフト192の軸心に近くなるため、当該押圧力が大きくなる。その結果、キャップ210の被押圧位置に応力が集中して欠けやひびなどが入り易くなってしまう。これに対し、本例では、キャップ210によって仕切板164に回転動力を与えるための押圧力を加えている。このため、当該押圧力が加わる位置が、シャフト192の回転動力を直接伝達した場合と比較して、シャフト192の軸心からの距離が遠くなる。その結果、前記押圧力を小さくすることができる関係上前記のような応力集中を緩和できるため、仕切板164の損傷を可能な限り防止することができるのである。
【0089】
図16は、ゲートバルブ100を配管の途中に設けた(当該配管で形成される流路に挿入した)状態を示す斜視図である。本例では、実施形態1と同様、パイプ23とパイプ25との間にゲートバルブ100を設けている。
【0090】
パイプ23,25をゲートバルブ100(バルブケース106)に接続するには、実施形態1と同様、パイプ23,25のそれぞれに設けたフランジ27を、複数の雌ねじ120に螺合したボルトによって、流入側ケース108と流出側ケース110に締結すれば良い。
【0091】
上記の構成からなるゲートバルブ100の動作について、
図17〜
図20を参照しながら説明する。
図17は、流入側ケース108および流入側ケース108に嵌め込まれているシールリング130、セットリング134などを取り除き、流出側ケース110を切断して表した斜視図である。
図18〜
図20は、
図17において、シャフト192の軸心方向と平行な矢印Xの方向から視た図である。
【0092】
図17、
図18は、エアシリンダ178のロッド180が最も後退した位置にあり、仕切板164の頭部168が、
図18において最も右側に振れ、絞り孔170がシールリング140と連通する位置にあって(絞り孔170がバルブ内流路に位置していて)、ゲートバルブ100が全開状態である状態を示している。
【0093】
全開状態から、エアシリンダ178のロッド180が、最も前進した位置まで突出すると、ロッド180の先端に設けられたピン182で、アーム184のフォーク部186が押し下げられ、これにより、アーム184がシャフト192の軸心を中心として、時計回りに回転する。アーム184の回転動力は、上記したように、シャフト192、キャップ210を介して仕切板164に伝達される。その結果、仕切板164は、その頭部168が、
図19に示すように、最も左側に振れた状態になり、絞り孔170が、両バックアッププレート148,150の両延出部152,154が対向する領域(退避領域)に進入すると共に、遮断部171がバルブ内流路に位置して、全閉状態となる。
【0094】
全閉状態から全開状態とするには、ロッド180を
図18に示す状態まで後退させれば良いことは言うまでもない。全閉状態と全開状態を繰り返しても、バルブケース106内に長期に渡って流体が滞留するのを可能な限り防止することができるのは、実施形態1の場合と同様であるので、その説明については省略する。
【0095】
なお、エアシリンダ178のロッド180を、最も後退した位置と最も前進した位置の中間位置で停止させ、
図20に示すように、絞り孔170の一部をシールリング140と連通させ(絞り孔170一部をバルブ内流路に位置させ)、半開状態とすることができるのも実施形態1と同様である。