(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
柱と梁とを含み、前記梁は、前記柱間を水平に継ぐ複数の大梁と、前記大梁で囲まれた水平架構面をさらに区分する複数の小梁とを含む建築物の架構体を、コンピュータを用いて設計するための方法であって、
前記コンピュータに、前記小梁を前記架構体に配置するための設計制約条件を入力する条件入力工程と、
前記コンピュータが、前記設計制約条件に基づいて、前記小梁の配置を特定するための数値情報である染色体情報の複数種類からなる集団を生成する集団生成工程と、
前記コンピュータが、前記集団を用いて、前記小梁の配置の最適解を、遺伝的アルゴリズムに基づいて計算する最適化計算工程とを含み、
前記コンピュータには、前記設計制約条件として、
前記水平架構面の二次元平面の位置として、前記小梁を生成させるための起点となる複数個の小梁配置点と、
前記小梁配置点を通る前記小梁の長手方向の向き及び前記小梁配置点での梁交差状態を特定する複数種類の小梁属性情報が定義された小梁属性テーブルとが入力されており、
前記集団生成工程は、前記小梁配置点と、該小梁配置点での前記小梁属性情報とを含む前記染色体情報を生成することを特徴とする架構体の設計方法。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
本実施形態の架構体の設計方法(以下、単に「設計方法」ということがある)は、例えば、工業化住宅等の建築物の架構体を、コンピュータを用いて設計するための方法である。
【0024】
図1は、本実施形態の設計方法を実行するコンピュータの斜視図である。コンピュータ1は、本体1a、キーボード1b、マウス1c及びディスプレイ装置1dを含んでいる。この本体1aには、例えば、演算処理装置(CPU)、ROM、作業用メモリ、磁気ディスクなどの記憶装置及びディスクドライブ装置1a1、1a2が設けられている。
【0025】
また、記憶装置には、本実施形態の設計方法の処理手順(プログラム)が予め記憶されている。この処理手順は、コンピュータ1の演算処理装置によって実行される。従って、コンピュータ1は、本発明の設計方法を実施するための設計装置1Aとして構成される。
【0026】
図2は、建築物の架構体を示す斜視図、
図3は、
図2の架構体の平面図である。建築物Bの架構体2は、例えば、柱3及び梁4を含む構造部材を有している。梁4は、柱3、3間を水平に継ぐ複数の大梁7と、大梁7で囲まれた水平架構面9をさらに区分する小梁8とを含んでいる。これらの大梁7及び小梁8は、2階以上の床(図示省略)を支持するための床梁、又は、屋根10を支持するための屋根梁として構成される。また、大梁7及び小梁8は、例えば、略横H字状の形鋼等から構成されている。
【0027】
さらに、建築物Bには、各水平架構面9に、階段や吹き抜け等の開口部11、及び、水平架構面9で支持される小屋束12を有している。開口部11は、大梁7又は小梁8によって形成される。本実施形態の開口部11は、例えば、
図3の左下の水平架構面9において、第1辺11a、第2辺11b、第3辺11c及び第4辺11dから構成され、略矩形状に形成されている。また、小屋束12は、
図3の左下の水平架構面9において、一つ配置された第1小屋束12aから構成されている。このような小屋束12は、その下端に、大梁7又は小梁8が配置されることにより、水平架構面9で支持される。
【0028】
図4(a)及び
図4(b)は、水平架構面の平面図である。
図4(a)に示されるように、水平架構面9には、一本目の小梁8aが配置されている。これにより、水平架構面9は、二個の小架構面13に区分される。
図4(b)に示されるように、水平架構面9は、二本目の小梁8bが、二個の小架構面13、13の何れかに配置される。これにより、水平架構面9は、三個の小架構面13に区分される。このように、水平架構面9は、小梁8が配置されることにより、複数個の小架構面13に区分される。
【0029】
図5は、本実施形態の設計方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。この設計方法では、小梁8(
図4に示す)の配置の最適解が計算され、その最適解に基づいて、架構体2及び建築物Bが製造される。
【0030】
本実施形態の設計方法では、先ず、コンピュータ1に、建築物Bの基本情報が入力される(基本情報入力工程S1)。
図6は、本実施形態の基本情報入力工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0031】
本実施形態の基本情報入力工程S1では、先ず、
図2に示した建築物Bの形状が、コンピュータ1に入力される(工程S11)。
図7は、コンピュータ1に入力された建築物Bの架構体2の斜視図である。この工程S11では、例えば、
図2及び
図3に示した建築物Bの柱3、大梁7、水平架構面9及び屋根10(
図3に示す)の形状や配置位置が、コンピュータ1に入力される。なお、この工程S11では、最適解が計算される小梁8(
図2及び
図3に示す)は入力されない。
【0032】
図7に示されるように、柱3及び大梁7は、予め定められた水平モジュール又は垂直モジュールを基準として、その配置や長さ等が設定されている。また、柱3及び大梁7は、例えば、ボルトがモデル化されたピン16によって固定される。これにより、小梁8(
図2に示す)を除いた架構体2及び水平架構面9が設定される。さらに、本実施形態の大梁7は、その長手方向がX軸方向、又は、Y軸方向に沿って配置されている。
【0033】
柱3及び大梁7には、例えば、それらの断面形状や、断面2次モーメント等の構造計算に必要なパラメータが設定されている。このような柱3及び大梁7の配置等やパラメータは、いずれも数値データとして、コンピュータ1に記憶される。
【0034】
本実施形態の水平架構面9は、屋根10(
図3に示す)を支持する第1水平架構面9a〜第4水平架構面9dと、二階の床を支持する第5水平架構面9e〜第8水平架構面9hとを含んでいる。
【0035】
図8(a)は、小梁8を省いた第1水平架構面9aの平面図、
図8(b)は、小梁8が配置された第1水平架構面9aの平面図である。
図8(a)に第1水平架構面9aが代表して示されるように、各水平架構面9a〜9hには、水平モジュールに準じて、等間隔に配された複数の節点17が定義されている。本実施形態の節点17は、大梁7及び水平架構面9内において、X軸方向及びY軸方向に等間隔に配置されている。このような各水平架構面9a〜9hは、コンピュータ1に記憶される。なお、他の水平架構面9の平面図において、一部の節点17を省略して表示する場合がある。
【0036】
屋根10(
図3に示す)は、柱3及び梁4と同様に、水平モジュール又は垂直モジュールを基準として、その配置や形状が設定されている。このような屋根10の配置等は、数値データとして、コンピュータ1に記憶される。
【0037】
次に、本実施形態では、建築物B(
図2に示す)の荷重条件が、コンピュータ1に入力される(工程S12)。荷重条件は、建築物Bに作用する外力に関する情報である。荷重条件は、建築物Bの各種仕様、例えば、外壁仕様、床仕様、屋根葺材、耐火仕様、耐震等級又は耐風等級などに基づいて入力される。このような荷重条件も数値データであり、コンピュータ1に記憶される。
【0038】
建築物基本情報は、一般的なCADや一貫構造計算システム等のソフトウェアを用いて設定することができる。本実施形態では、二階建ての建築物Bが一例として示されたが、例えば、一階建てや、三階建て以上のものでも良い。
【0039】
次に、コンピュータ1に、小梁8を架構体2に配置するための設計制約条件が入力される(条件入力工程S2)。
図9は、本実施形態の条件入力工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0040】
本実施形態の条件入力工程S2では、先ず、各水平架構面9a〜9hにおいて、小梁8(
図8(b)に示す)の向き及び固定可能位置が入力される(工程S21)。
図8(b)に示されるように、本実施形態の小梁8の向きは、その長手方向を基準に定義される。この小梁8の長手方向は、X軸方向、又は、Y軸方向に限定される。なお、小梁8の長手方向は、このような態様に限定されるわけではなく、例えば、X軸方向の成分と、Y軸方向の成分とを含む任意の方向に限定されてもよい。
【0041】
本実施形態の小梁8の固定可能位置としては、水平モジュールに準じて定義された節点17を基準に配置される。小梁8の両端8t、8tは、大梁7又は小梁8に定義される節点17に当接するように配置される。なお、大梁7又は小梁8の勝ち負けについては、図において、「●」が勝ちを示し、「○」が負けを示している。
【0042】
次に、設計制約条件として、各水平架構面9a〜9h(
図7に示す)に、複数個の小梁配置点が入力される(工程S22)。
図10は、小梁配置点19が入力された第1水平架構面9aを示す平面図である。小梁配置点19は、各水平架構面9a〜9hの二次元平面の位置として、小梁8(
図4に示す)を生成させるための起点となるものである。本実施形態の小梁配置点19は、各水平架構面9a〜9hにおいて、四隅に配置される節点17s(
図8(a)に示す)を除く全ての節点17から選択される。
【0043】
本実施形態の小梁配置点19は、例えば、第1水平架構面9aにおいて3つ選択されている。第1水平架構面9aの小梁配置点19は、第1小梁配置点19a、第2小梁配置点19b、及び、第3小梁配置点19cを含んでいる。これらの第1小梁配置点19a、第2小梁配置点19b、及び、第3小梁配置点19cは、第1水平架構面9aの複数の節点17から、例えば、乱数関数に従ってランダムに選択されてもよい。
【0044】
そして、工程S22では、第1小梁配置点19a〜第3小梁配置点19cの各座標値が、コンピュータ1に記憶される。なお、各座標値は、各水平架構面9a〜9hの左下側の頂点である基準点15aに基づいて設定される。本実施形態の第1水平架構面9aの小梁配置点19の座標値の詳細は、次のとおりである。
第1小梁配置点:
X軸方向の座標値:2
Y軸方向の座標値:5
第2小梁配置点:
X軸方向の座標値:5
Y軸方向の座標値:4
第3小梁配置点:
X軸方向の座標値:2
Y軸方向の座標値:2
【0045】
次に、複数種類の小梁属性情報を定義した小梁属性テーブルが入力される(工程S23)。小梁属性情報は、小梁配置点19を通る小梁8の長手方向の向き、及び、小梁配置点19での梁交差状態を特定するものである。梁交差状態とは、1本又は複数本の新たに配置される小梁8が、小梁配置点19で交わる状態を意味し、小梁8の勝ち負けや小梁8の本数までは特定されない。また、梁交差状態は、小梁配置点19に既に配置されている小梁8の交差状態や、新たな小梁8が配置された後の梁交差状態を特定するものではない。このような小梁属性情報により、小梁配置点19を起点として配置される新たな小梁8を特定することができる。
図11は、本実施形態の小梁属性テーブルの概念図である。
【0046】
本実施形態の小梁属性テーブル20は、第1小梁属性情報〜第7小梁属性情報を含んでいる。第1小梁属性情報〜第7小梁属性情報は、各小梁属性情報を区別する区分情報と、小梁8の長手方向の向き及び梁交差状態を特定する特定情報とから構成されている。
【0047】
区分情報は、小梁属性情報毎に割り当てられた数値からなる。本実施形態の小梁属性テーブル20には、第1小梁属性情報〜第7小梁属性情報が含まれているため、1〜7のいずれかの数値が設定される。
【0048】
特定情報は、第1小梁属性情報〜第7小梁属性情報毎に異なる特定情報が設定される。第1小梁属性情報及び第2小梁属性情報では、小梁配置点19で交わる新たな小梁8が定義される。第1小梁属性情報では、小梁配置点19を起点として、小梁配置点19からX軸方向(
図8(b)に示す)の両側にのびるX軸方向の小梁8が定義される。一方、第2小梁属性情報では、小梁配置点19を起点として、小梁配置点19からY軸方向(
図8(b)に示す)の両側にのびるY軸方向の小梁8が定義される。
【0049】
第3小梁属性情報〜第6小梁属性情報では、小梁配置点19において、T字状に交差する新たな小梁8が定義される。各小梁8は、長手方向がX軸方向(
図8(b)に示す)と平行な小梁8と、長手方向がY軸方向(
図8(b)に示す)と平行な小梁8とを含んでいる。
【0050】
第3小梁属性情報では、小梁配置点19を起点として、小梁配置点19からY軸方向(
図8(b)に示す)の両側にのびるY軸方向の小梁8と、小梁配置点19からX軸方向(
図8(b)に示す)の一方側(図において右側)のみにのびるX軸方向の小梁8とが定義される。一方、第4小梁属性情報では、小梁配置点19を起点として、小梁配置点19からY軸方向(
図8(b)に示す)の両側にのびるY軸方向の小梁8と、小梁配置点19からX軸方向(
図8(b)に示す)の他方側(図において左側)のみにのびるX軸方向の小梁8とが定義される。
【0051】
第5小梁属性情報では、小梁配置点19を起点として、小梁配置点19からX軸方向の両側にのびるX軸方向の小梁8と、小梁配置点19からY軸方向の一方側(図において下側)のみにのびるY軸方向の小梁8とが定義される。一方、第6小梁属性情報では、小梁配置点19を起点として、小梁配置点19からX軸方向の両側にのびるX軸方向の小梁8と、小梁配置点19からY軸方向の他方側(図において上側)のみにのびるY軸方向の小梁8とが定義される。
【0052】
第7小梁属性情報では、小梁配置点19を起点とする小梁8の配置を無効にする無効情報として定義される。なお、第7小梁属性情報が定義された小梁配置点19では、他の小梁配置点19を起点とする小梁8の配置が許容される。従って、第7小梁属性情報が定義された小梁配置点19の上には、小梁8が配置される場合がある。
【0053】
これらの第1小梁属性情報〜第7小梁属性情報が定義された小梁属性テーブル20は、コンピュータ1に記憶される。なお、小梁属性情報は、このような第1小梁属性情報〜第7小梁属性情報に限定されるわけではなく、例えば、建築物Bの構造に基づいて、適宜変更することができる。小梁配置点19において、2本の小梁8、8が十字状に交差する状態を定義する小梁属性情報(図示省略)が含まれてもよい。
【0054】
図12〜
図17は、本実施形態の小梁属性テーブル20で定義される小梁8の配置の一例を説明する平面図である。
図12(a)に示されるように、この例の水平架構面9には、例えば、1つの小梁配置点19のみが定義されている。また、水平架構面9には、小梁配置点19からY軸方向の両側にのびる1本の小梁8(1本目の小梁8a)が定義されている。このような水平架構面9において、例えば、第2小梁属性情報が選択された場合には、
図12(b)に示されるように、小梁配置点19からY軸方向の両側にのびる新たな小梁8が定義される。
【0055】
新たに定義されたY軸方向の小梁8は、1本目の小梁8a(
図12(a)に示す)と重複する。この場合、Y軸方向の新たな小梁8と重複する1本目の小梁8aの配置が無効にされて、Y軸方向の新たな小梁8が、2本目の小梁8bとして定義される。また、2本目の小梁8bの両端は、小梁配置点19のY軸方向の延長線上に配置される大梁7、7に当接するように配置される。これにより、水平架構面9には、小梁配置点19で交差する1本の小梁8bの配置が定義される。
【0056】
図13(a)に示されるように、この例の水平架構面9には、例えば、1つの小梁配置点19のみが定義されている。また、水平架構面9には、小梁配置点19からX軸方向の両側にのびる1本の小梁8(1本目の小梁8a)が定義されている。このような水平架構面9において、例えば、第2小梁属性情報が選択された場合、
図13(b)に示されるように、小梁配置点19からY軸方向にのびる小梁8が定義される。
【0057】
Y軸方向の小梁8は、既に配置されている1本目の小梁8aをY軸方向に突き抜けて配置することができない。従って、本実施形態では、1本目の小梁8aに対して「負け」となるように、小梁配置点19の両側にのびる2本の小梁8(2本目の小梁8b、3本目の小梁8c)として定義される。
【0058】
2本目の小梁8bの一端は、小梁配置点19のY軸方向の一方側(図において、下側)に配置される大梁7に当接するように配置される。3本目の小梁8cの一端は、小梁配置点19のY軸方向の他方側(図において、上側)に配置される大梁7に当接するように配置される。これにより、水平架構面9には、小梁配置点19で交差する3本の小梁8a、8b及び8cの配置が定義される。
【0059】
図14(a)に示されるように、この例の水平架構面9には、例えば、1つの小梁配置点19のみが定義されている。また、水平架構面9には、小梁配置点19を起点として、Y軸方向の両側にのびるY軸方向の小梁8(1本目の小梁8a)と、小梁配置点19からX軸方向の他方側(図において左側)のみにのびるX軸方向の小梁8(2本目の小梁8b)とが定義される。なお、2本目の小梁8bは、1本目の小梁8aに対して「負け」となるように定義されている。
【0060】
このような水平架構面9において、例えば、第3小梁属性情報が選択された場合には、
図14(b)に示されるように、小梁配置点19を起点として、Y軸方向の両側にのびるY軸方向の小梁8と、小梁配置点19からX軸方向の一方側(図において右側)のみにのびるX軸方向の小梁8とが定義される。
【0061】
新たに定義されたY軸方向の小梁8は、1本目の小梁8a(
図14(a)に示す)と重複する。この場合、1本目の小梁8aの配置を無効にして、Y軸方向の新たな小梁8が、3本目の小梁8cとして定義される。3本目の小梁8cの両端は、小梁配置点19のY軸方向の延長線上に配置される大梁7、7に当接するように配置される。
【0062】
新たに定義されたX軸方向の小梁8は、3本目の小梁8cに対して、「負け」となるように配置される4本目の小梁8dとして定義される。4本目の小梁8dの一端は、小梁配置点19のX軸方向の延長線上に配置される大梁7に当接するように配置される。これにより、水平架構面9には、小梁配置点19で交差する3本の小梁8b、8c及び8dの配置が定義される。
【0063】
図15(a)に示されるように、この例の水平架構面9には、例えば、1つの小梁配置点19のみが定義されている。また、水平架構面9には、小梁配置点19を起点として、X軸方向の両側にのびるX軸方向の小梁8(1本目の小梁8a)と、小梁配置点19からY軸方向の一方側(図において下側)のみにのびるY軸方向の小梁8(2本目の小梁8b)とが定義される。なお、2本目の小梁8bは、1本目の小梁8aに対して「負け」となるように定義されている。
【0064】
このような水平架構面9において、例えば、第3小梁属性情報が選択された場合には、
図15(b)に示されるように、小梁配置点19を起点として、Y軸方向の両側にのびるY軸方向の小梁8と、小梁配置点19からX軸方向の一方側(図において右側)のみにのびるX軸方向の小梁8とが定義される。
【0065】
新たに定義されたY軸方向の小梁8は、2本目の小梁8bと重複する。この場合、2本目の小梁8bの配置が無効にされる。なお、Y軸方向の新たな小梁8は、既に配置されている1本目の小梁8aをY軸方向に突き抜けて配置することができない。従って、本実施形態では、1本目の小梁8aに対して「負け」となるように、小梁配置点19の両側にのびる2本の小梁8(3本目の小梁8c、4本目の小梁8d)として定義される。
【0066】
3本目の小梁8cの一端は、小梁配置点19のY軸方向の一方側(図において、下側)に配置される大梁7に当接するように配置される。4本目の小梁8dの一端は、小梁配置点19のY軸方向の一方側(図において、上側)に配置される大梁7に当接するように配置される。
【0067】
新たに定義されたX軸方向の小梁8は、1本目の小梁8aのうち、小梁配置点19のX軸方向の一方側(図において右側)の部分と重複する。この場合、1本目の小梁8aのX軸方向の一方側の部分が無効にされる。なお、3本目の小梁8cと4本目の小梁8dは、1本目の小梁8aに対して、「負け」となるように定義されている。このため、X軸方向の新たな小梁8は、1本目の小梁8aのX軸方向の他方側(図において、左側)の部分と一体に配置される。従って、X軸方向の小梁8は、1本目の小梁8aとして定義される。これにより、水平架構面9には、小梁配置点19で交差する3本の小梁8a、8c及び8dの配置が定義される。
【0068】
図16(a)に示されるように、この例の水平架構面9には、例えば、1つの小梁配置点19のみが定義されている。また、水平架構面9には、小梁配置点19を起点として、X軸方向の他方側(図において、左側)にのびるX軸方向の小梁8(1本目の小梁8a)と、小梁配置点19からY軸方向の一方側(図において下側)のみにのびるY軸方向の小梁8(2本目の小梁8b)とが定義される。なお、1本目の小梁8a及び2本目の小梁8bは、小梁配置点19に対して「負け」となるように定義されている。
【0069】
このような水平架構面9において、例えば、第3小梁属性情報が選択された場合には、
図16(b)に示されるように、小梁配置点19を起点として、Y軸方向の両側にのびるY軸方向の小梁8と、小梁配置点19からX軸方向の一方側(図において右側)のみにのびるX軸方向の小梁8とが定義される。
【0070】
新たに定義されたY軸方向の小梁8は、2本目の小梁8bと重複する。この場合、2本目の小梁8bの配置が無効にされる。1本目の小梁8aは、小梁配置点19に対して「負け」となるように定義されている。このため、Y軸方向の新たな小梁8は、小梁配置点19を起点として、Y軸方向の両側にのびる1本の小梁8(3本目の小梁8c)として定義される。また、3本目の小梁8cの両端は、小梁配置点19のY軸方向の延長線上に配置される大梁7、7に当接するように配置される。
【0071】
新たに定義されたX軸方向の小梁8は、3本目の小梁8cに対して、「負け」となるように配置される4本目の小梁8dとして定義される。4本目の小梁8dの一端は、小梁配置点19のX軸方向の延長線上に配置される大梁7に当接するように配置される。これにより、水平架構面9には、小梁配置点19で交差する3本の小梁8a、8c及び8dの配置が定義される。
【0072】
図17(a)に示されるように、この例の水平架構面9には、例えば、1つの小梁配置点19のみが定義されている。また、水平架構面9には、小梁8が配置されていない。このような水平架構面9において、第1小梁属性情報が選択された場合には、
図17(b)に示されるように、小梁配置点19を起点として、小梁配置点19からX軸方向(
図17(a)に示す)の両側にのびる1本の小梁8aの配置が定義される。また、第2小梁属性情報が選択された場合には、小梁配置点19を起点として、小梁配置点19からY軸方向(
図17(a)に示す)の両側にのびる1本の小梁8aの配置が定義される。
【0073】
第3小梁属性情報が選択された場合には、小梁配置点19を起点として、小梁配置点19からY軸方向の両側にのびる1本目の小梁8aと、小梁配置点19からX軸方向の一方側(図において右側)のみにのびる2本目の小梁8bとが定義される。なお、2本目の小梁8bは、1本目の小梁8aに対して、「負け」となるように配置される。
【0074】
第4小梁属性情報が選択された場合には、小梁配置点19を起点として、小梁配置点19からY軸方向の両側にのびる1本目の小梁8aと、小梁配置点19からX軸方向の他方側(図において左側)のみにのびる2本目の小梁8bとが定義される。なお、2本目の小梁8bは、1本目の小梁8aに対して、「負け」となるように配置される。
【0075】
第5小梁属性情報が選択された場合には、小梁配置点19を起点として、小梁配置点19からX軸方向の両側にのびる1本目の小梁8aと、小梁配置点19からY軸方向の一方側のみにのびる2本目の小梁8bとが定義される。なお、2本目の小梁8bは、1本目の小梁8aに対して、「負け」となるように配置される。
【0076】
第6小梁属性情報が選択された場合には、小梁配置点19を起点として、小梁配置点19からX軸方向の両側にのびる1本目の小梁8aと、小梁配置点19からY軸方向の他方側(図において上側)のみにのびる2本目の小梁8bとが定義される。なお、2本目の小梁8bは、1本目の小梁8aに対して、「負け」となるように配置される。また、第7小梁属性情報が選択された場合は、小梁配置点19を起点とする小梁8の配置を無効にする無効情報として定義される。
【0077】
このように、小梁属性テーブル20(
図11に示す)では、選択された小梁属性情報により、小梁配置点19を通る新たな小梁8の長手方向の向き、及び、小梁配置点19での梁交差状態を特定することができる。また、小梁8の勝ち負けや小梁8の本数は、
図12〜
図17で説明したように、水平架構面9に既に配置されている小梁8に基づいて、小梁8の勝ち負けに矛盾がないように、コンピュータ1によって決定される。このような小梁属性情報は、小梁8の勝ち負けの矛盾を防ぎつつ、1つの小梁属性情報で複数本の小梁8の配置を表現することができる。
【0078】
次に、コンピュータ1が、設計制約条件に基づいて、染色体情報の複数種類からなる集団を生成する(集団生成工程S3)。
図18は、本実施形態の集団生成工程S3の処理手順の一例を示すフローチャート、
図19は、染色体情報の複数種類からなる集団の概念図である。
【0079】
本実施形態の集団生成工程S3では、先ず、コンピュータ1に、小梁8(
図8(b)に示す)が定義される(工程S31)。小梁8は、断面形状や、断面2次モーメント等が定義された数値データである。このような数値データは、コンピュータ1に記憶される。
【0080】
次に、コンピュータ1に、染色体情報が定義される(工程S32)。染色体情報は、小梁8(
図8(b)に示す)の配置を特定するための数値情報である。
図19に示されるように、各染色体情報26は、
図7に示した水平架構面9a〜9h毎に、小梁8の配置を定義する複数の小梁遺伝子が設定される。このような染色体情報26が複数種類設定されることによって、集団31が生成される。
【0081】
染色体情報26には、小梁遺伝子が格納可能な複数の小梁遺伝子座33が設定される。本実施形態の小梁遺伝子は、該小梁遺伝子の順番を示す順番情報と、小梁配置点19の位置が指定された配置情報と、小梁属性テーブル20(
図11に示す)から選択された小梁属性情報とを含んでいる。従って、小梁遺伝子座33は、順番情報が格納可能な順番遺伝子座33aと、配置情報が格納可能な配置遺伝子座33bと、小梁属性情報が格納可能な小梁属性遺伝子座33cとを含んでいる。また、小梁遺伝子座33は、各水平架構面9a〜9hにおいて、設計制約条件として入力された小梁配置点19の個数分(例えば、第1水平架構面9aの場合、3個)だけ設定される。
【0082】
次に、コンピュータ1が、染色体情報26に、小梁遺伝子を格納する(工程S33)。小梁遺伝子は、上述のとおり、順番情報、配置情報、及び、小梁属性情報が含まれている。
図20は、第1水平架構面9aの小梁遺伝子の一例を示す概念図である。
【0083】
順番遺伝子座33aに格納される順番情報は、各水平架構面9a〜9hにおいて、小梁遺伝子の順番を定義するものである。本実施形態の小梁遺伝子座33は、例えば、第1水平架構面9aにおいて、
図10に示した第1小梁配置点19a〜第3小梁配置点19cのいずれかが割り当てられる。このため、順番遺伝子座33aには、順番情報として、1〜3の整数が設定される。なお、小梁遺伝子は、順番情報が小さい順から選択される。このような順番情報は、乱数関数に従って、重複しないようにランダムに決定される。
【0084】
配置遺伝子座33bに格納される配置情報は、小梁配置点19の位置を指定するものである。例えば、本実施形態の第1水平架構面9aの配置遺伝子座33bには、設計制約条件として入力された第1小梁配置点19a、第2小梁配置点19b、及び第3小梁配置点19cの各座標値が、互いに重複しないようにランダムに格納される。
【0085】
本実施形態の配置遺伝子座33bは、小梁配置点19のX軸方向の座標値(以下、単に「X座標値」ということがある。)を格納する第1配置遺伝子座35aと、小梁配置点19のY軸方向の座標値(以下、単に「Y座標値」ということがある。)を格納する第2配置遺伝子座35bとを含んで構成される。従って、配置遺伝子座33bには、小梁配置点19のX座標値及びY座標値がそれぞれ格納される。
【0086】
小梁属性遺伝子座33cに格納される小梁属性情報は、
図11に示した小梁属性テーブル20から選択される。本実施形態の小梁属性遺伝子座33cには、小梁属性情報として、小梁属性テーブル20の特定情報を指定する区分情報が格納される。小梁属性情報は、区分情報の1〜7の数値からランダムに選択される。
【0087】
次に、染色体情報26の小梁遺伝子(
図20に示す)で定義される小梁8の配置について、第1水平架構面9aを代表して説明する。染色体情報26では、各水平架構面9a〜9h(
図7に示す)において、順番遺伝子座33aに格納される順番情報が小さい順に、小梁8の配置が定義される。
【0088】
図21は、順番遺伝子座33aの順番情報が「1」の小梁の配置を説明する平面図である。順番情報が「1」の小梁遺伝子は、配置遺伝子座33bの配置情報が「(X座標値、Y座標値)=(2、5)」、かつ、小梁属性遺伝子座33cの小梁属性情報が「2」ある。このため、順番情報が「1」の小梁遺伝子では、第1小梁配置点19aを起点として、第1小梁配置点19aからY軸方向の両側にのびる1本の小梁8(1本目の小梁8a)が定義される。また、1本目の小梁8aの両端は、第1小梁配置点19aのY軸方向の延長線上に配置される大梁7、7に当接するように配置される。
【0089】
図22は、順番遺伝子座33aの順番情報が「2」の小梁の配置を説明する平面図である。順番情報が「2」の小梁遺伝子は、配置遺伝子座33bの配置情報が「(X座標値、Y座標値)=(5、4)」、かつ、小梁属性遺伝子座33cの小梁属性情報が「5」ある。このため、順番情報が「2」の小梁遺伝子では、第2小梁配置点19bを起点として、第2小梁配置点19bからX軸方向の両側にのびるX軸方向の小梁8(2本目の小梁8b)と、第2小梁配置点19bからY軸方向の一方側(図において下側)のみにのびるY軸方向の小梁8(3本目の小梁8c)とが定義される。
【0090】
2本目の小梁8bは、第2小梁配置点19bのX軸方向の延長線上に配置される1本目の小梁8a、及び、大梁7に当接するように配置される。さらに、3本目の小梁8cは、第2小梁配置点19bのY軸方向の延長線上に配置される大梁7に当接するように配置される。
【0091】
図23は、順番遺伝子座33aの順番情報が「3」の小梁の配置を説明する平面図である。順番情報が「3」の小梁遺伝子は、配置遺伝子座33bの配置情報が「(X座標値、Y座標値)=(2、2)」、かつ、小梁属性遺伝子座33cの小梁属性情報が「3」ある。このため、順番情報が「3」の小梁遺伝子では、第3小梁配置点19cを起点として、第3小梁配置点19cからY軸方向の両側にのびるY軸方向の小梁8(4本目の小梁8d)と、第3小梁配置点19cからX軸方向の一方側(図において右側)にのびるX軸方向の小梁8(5本目の小梁8e)とが定義される。
【0092】
4本目の小梁8dは、1本目の小梁8a(
図22に示す)と重複する。この場合、1本目の小梁8aの配置を無効にして、4本目の小梁8dの配置が新たに定義される。また、4本目の小梁8dは、1本目の小梁8aと同様に、第3小梁配置点19cのY軸方向の延長線上に配置される大梁7、7に当接するように配置される。さらに、5本目の小梁8eは、第3小梁配置点19cのX軸方向の延長線上に配置される3本目の小梁8cに当接するように配置される。
【0093】
このように、本実施形態の染色体情報26では、第1水平架構面9aにおいて、2本目の小梁8b〜5本目の小梁8eからなる合計4本の小梁8の配置(
図8(b)に示す)が定義される。なお、このようなデコード処理は、次の最適化計算工程S4の計算工程S41において実施される。
【0094】
工程S33では、第1水平架構面9aと同様に、各水平架構面9b〜9hにおいて、小梁遺伝子が設定される。これにより、各染色体情報26は、各水平架構面9a〜9hにおいて、小梁8がそれぞれ配置された一つの架構体2(設計サンプル)を特定することができる。集団生成工程S3では、このような染色体情報26が複数種類形成される。これにより、複数種類の染色体情報26からなる集団31が生成される。
【0095】
また、本実施形態の工程S33では、順番情報、配置情報、及び、小梁属性情報が、乱数関数に従ってランダムに選択される。このため、集団生成工程S3では、様々なバリエーションの染色体情報26を容易に設定することができる。
【0096】
さらに、小梁属性情報は、小梁配置点19での梁交差状態が特定される。このため、本実施形態では、1つの小梁属性情報で複数本の小梁8の配置を表現することができる。これにより、本発明の染色体情報26では、少ない小梁遺伝子で、多様な配置パターンを作成することができる。従って、本発明では、小梁8の配置パターンを効率的に進化させることができ、小梁8の配置の最適解を、短時間で求めることができる。このような染色体情報26からなる集団31は、数値データとして、コンピュータ1に記憶される。
【0097】
次に、コンピュータ1が、集団31(
図19に示した)を用いて、小梁8(
図8(b)に示す)の配置の最適解を、遺伝的アルゴリズム(GA)に基づいて計算する(最適化計算工程S4)。
【0098】
遺伝的アルゴリズムは、生物が環境に適応して進化していく過程を、工学的に模倣した学習的アルゴリズムである。この遺伝的アルゴリズムでは、遺伝子で表現した複数の染色体情報に対して、交叉、又は突然変異等の遺伝子操作を繰り返す。これにより、遺伝的アルゴリズムでは、少ないサンプルから、染色体情報を時系列的に進化させて、最適解を短時間で得ることができる。
図24は、本実施形態の最適化計算工程S4の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0099】
本実施形態の最適化計算工程S4では、先ず、集団31の各染色体情報26に基づいて、架構体2の第1目標変数及び第2目標変数が計算される(計算工程S41)。
【0100】
図25は、第1目標変数及び第2目標変数の計算結果を示す線図である。本実施形態の第1目標変数は、架構体2の概算のコストである。このコストは、例えば、染色体情報26に設定される小梁8(
図4に示す)の重量に、該小梁8の単位重量当たりの単価を乗じて合算する方法や、小梁8毎に、データベース化された部材価格に基づいて合算する方法等により計算される。
【0101】
また、第1目標変数は、数値が小さいほど良好である。さらに、第1目標変数の許容範囲は、例えば、目標コストの1.10倍以下である。目標コストは、例えば、建築物Bの予算等に基づいて、適宜設定される。このような第1目標変数は、染色体情報26毎に計算され、コンピュータ1に記憶される。
【0102】
第2目標変数は、染色体情報で定義される架構体2の設計制約条件への適応度である。この適応度は、例えば、架構体2の強度等の設計制約条件への違反数や、違反度合いに基づいて計算される。なお、第2目標変数と、第1目標変数とは、互いに独立した変数である。
【0103】
架構体の強度は、例えば、建築基準法で指定されている保有水平耐力計算(所謂ルート3計算)等によって求められる。第2目標変数は、数値が高い程良好であり、1.0以上であれば、架構体2に求められる条件を満足する。このような第2目標変数は、染色体情報26(
図19に示す)毎に計算され、コンピュータ1に記憶される。なお、適応度が1.0未満である場合は、架構体2のコストである第1目標変数に、ペナルティとして数値を加算しても良い。
【0104】
次に、コンピュータ1が、第1目標変数及び第2目標変数をともに満足する少なくとも一つの染色体情報26(以下、単に「最適解」ということがある)が存在するか否かを判断する(判断工程S42)。本実施形態の判断工程S42では、集団31を構成する全ての染色体情報26のうち、最適解が存在すると判断された場合、次の製造工程S5が実行される。
【0105】
一方、最適解が存在しないと判断された場合は、コンピュータ1が、少なくとも一部の染色体情報26に対して、交叉及び突然変異等の遺伝子操作を行い、染色体情報26を再構成する(遺伝子操作工程S43)。そして、再構成した染色体情報26に基づいて、計算工程S41及び判断工程S42が再度実行される。これにより、最適化計算工程S4では、最適解を確実に得ることができる。
【0106】
本実施形態の判断工程S42では、最適解が存在するか否かのみが判断されたが、これに限定されるわけではない。例えば、判断工程S42では、上記の条件に加え、第1目標変数で表される架構体2のコストが最も低い染色体情報26が、複数回(例えば、5〜15回)更新されない場合にのみ、次の製造工程S5が実行されるものでもよい。
【0107】
図26は、本実施形態の遺伝子操作工程S43の処理手順の一例を示すフローチャートである。本実施形態の遺伝子操作工程S43では、先ず、
図25に示されるように、コンピュータ1が、集団31に属する複数の染色体情報26を、第1目標変数で表される架構体2のコストが低い順に順位付けする(工程S431)。
【0108】
次に、コンピュータ1が、各染色体情報26を、エリート群41と、非エリート群42とに分類する(工程S432)。エリート群41は、集団31に属する全ての染色体情報26のうち、最適化度が相対的に高い染色体情報26から構成される。一方、非エリート群42は、エリート群41の染色体情報26よりも最適化度が低い染色体情報26から構成される。エリート群41の割合は、適宜設定することができるが、例えば、集団31(
図19に示す)を構成する全ての染色体情報26の5〜20%程度のものと定めてもよい。
【0109】
次に、コンピュータ1が、次の計算工程S41で用いる染色体情報26の新たな集団31を生成する(次世代集団生成工程S433)。
図27は、本実施形態の次世代集団生成工程S433の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0110】
次世代集団生成工程S433では、先ず、コンピュータ1が、エリート群41の染色体情報26を、交叉又は突然変異させることなく、新たな集団31に含める(工程S71)。これにより、計算工程S41では、エリート群41の染色体情報26が含まれるため、最適解から遠ざかるのを防ぐことができる。このエリート群41の染色体情報26は、新たな集団31を構成する染色体情報26として、コンピュータ1に記憶される。
【0111】
次に、コンピュータ1が、
図19に示した集団31を構成する一部の染色体情報26を対象に交叉を実施する(交叉工程S72)。
図28(a)は、交叉前の染色体情報を示す概念図、
図28(b)は交叉後の染色体情報を示す概念図である。
【0112】
本実施形態の交叉工程S72では、例えば、一対の染色体情報26a、26b間において、二つの交叉点43、43で挟まれた小梁遺伝子座33(図示省略)に格納されている小梁遺伝子が入れ替えられる。このような交叉は、一対の染色体情報26a、26b間において、同一の小梁8を定義する小梁遺伝子同士を入れ替えることができる。従って、交叉は、小梁遺伝子を改めて設定することなく、染色体情報26を容易に再構成することができる。この再構成された染色体情報26は、新たな集団31を構成する染色体情報26として、コンピュータ1に記憶される。なお、交叉点43、43は、コンピュータ1によってランダムに設定されるのが望ましい。
【0113】
本実施形態において、交叉は、二つの交叉点43、43で挟まれた小梁遺伝子を入れ換える二点交叉である場合が例示されたが、これに限定されるわけではない。交叉としては、例えば、一点交叉、多点交叉、又は、一様交叉などでもよく、これらを組み合わせて実施されるものでもよい。
【0114】
次に、コンピュータ1が、
図19に示した集団31を構成する一部の染色体情報26を対象に突然変異を実施する(突然変異工程S73)。本実施形態の工程S73では、順番遺伝子座33aの順番情報、配置遺伝子座33bの配置情報、及び、小梁属性遺伝子座33cの小梁属性情報を対象に、突然変異が実施される。
【0115】
順番情報については、例えば、巡回セールスマン問題( Traveling Salesman Problem : TSP )等において代表的に適用される Grefenstette らによる手法に基づいて、突然変異が実施されるのが望ましい。これにより、重複や欠落等の整合性がない順番情報が格納されるのを防ぎつつ、順番情報をランダムに設定することができる。なお、 Grefenstette らによる手法の具体的な手順については、例えば、文献( システム制御情報学会編、「遺伝アルゴリズムと最適化」、第4刷、株式会社朝倉書店、2004年、P37−P39)の記載に基づいて実施することができる。
【0116】
図29は、小梁遺伝子の突然変異を説明する概念図である。次に、本実施形態の工程S73では、各染色体情報26において、配置遺伝子座33b、又は、小梁属性遺伝子座33cがランダムに選択される。次に、選択された配置遺伝子座33bの配置情報、又は、小梁属性遺伝子座33cの小梁属性情報が、それらの取りうる全ての数値からランダムに選択された数値に置換される。
【0117】
配置遺伝子座33bの第1配置遺伝子座35aには、各水平架構面9a〜9hにおいて、各節点17のX軸方向の取りうる座標値(0〜6)からランダムに選択された座標値が格納される。また、配置遺伝子座33bの第2配置遺伝子座35bには、各水平架構面9a〜9hにおいて、各節点17のY軸方向の取りうる座標値(0〜6)からランダムに選択された座標値が格納される。これにより、工程S73では、例えば、第1水平架構面9aにおいて、初期の第1小梁配置点19a〜第3小梁配置点19cの各座標値を、無作為に更新することができる。
【0118】
小梁属性遺伝子座33cには、小梁属性テーブル20の区分情報(1〜7)がランダムに選択された数値が格納される。これにより、工程S73では、小梁配置点19を通る小梁8の長手方向の向き及び小梁配置点19での梁交差状態を、無作為に更新することができる。
【0119】
このような突然変異は、交叉とは異なり、集団31を構成する各染色体情報26に定義されている小梁属性情報に限定されることなく、新たな小梁属性情報を用いて、染色体情報26を再構成することができる。従って、突然変異は、局所的な最適解に陥ることを防ぎうる。この再構成された染色体情報26は、新たな集団31を構成する染色体情報26として、コンピュータ1に記憶される。
【0120】
このように、本実施形態の最適化計算工程S4では、
図25に示されるように、第1目標変数及び第2目標変数の最適化度が高いエリート群41の染色体情報26を残しつつ、染色体情報26を再構成し、新たな進化を試みることができる。これにより、本発明の設計方法では、少ないサンプルで、小梁8(
図8(b)に示す)の配置を進化させることができる。従って、本発明の設計方法は、最適解を短時間で求めることができる。
【0121】
突然変異させる染色体情報26の割合は、適宜設定することができるが、例えば、集団31を構成する全ての染色体情報26の10〜40%程度のものと定めてもよい。突然変異させる染色体情報26の割合が10%未満の場合、遺伝子情報を十分に進化させることができないおそれがある。逆に、突然変異される染色体情報26の割合が、40%を超える場合、設計制約条件に違反する遺伝子情報が大幅に増加し、最適解を短時間で求めることができないおそれがある。
【0122】
また、第1目標変数で表される架構体2のコストが許容範囲に収まり、かつ、第2目標変数で表される適応度を満足する染色体情報26が現れてからは、概ね最適解近傍を探索できていると判断することができる。このため、次世代集団生成工程S433では、比較的良好な染色体情報26同士の交叉による進化を優先させるのが望ましい。これにより、最適化計算工程S4では、最適解を短時間で求めることができる。この場合、突然変異の割合は、集団31を構成する全ての染色体情報26の5〜10%程度に設定されてもよい。
【0123】
また、集団31に属する染色体情報26の個数は、15〜50個が望ましい。なお、染色体情報26の個数が15個未満であると、遺伝子情報を十分に進化させることができないおそれがある。逆に、染色体情報26の個数が50個を超えると、多くの計算時間を要するおそれがある。
【0124】
さらに、集団31に属する染色体情報26の個数は、例えば、建築物Bの階数及び延べ床面積によっても決定されるのが望ましい。例えば、本実施形態のような二階建ての建築物Bの場合には、下記の延べ床面積毎に設定された個数に従って、染色体情報26が設定されるのが望ましい。また、三階建ての建築物(図示省略)の場合には、下記の個数に5個プラスした個数分の染色体情報26が設定されるのが望ましい。さらに、一階建ての建築物(図示省略)の場合には、下記個数に5個マイナスした個数分の染色体情報26が設定されるのが望ましい。
100m
2未満:20個
100〜120m
2:25個
120〜140m
2:30個
140〜160m
2:35個
160〜180m
2:40個
180〜200m
2:45個
200m
2以上:50個
【0125】
次に、最終世代の集団31において、最適化度が最も高い染色体情報26に基づいて、
図2に示した架構体2及び建築物Bが製造される(製造工程S5)。これにより、本実施形態の設計方法では、架構体2のコストを所定の範囲に抑えつつ、強度が最も高い架構体2及び建築物Bを、容易かつ確実に製造することができる。
【0126】
なお、最適化度が最も高い染色体情報26とは、例えば、第2目標変数が1以上である全ての染色体情報26のうち、第1目標変数が、最も低い第1目標変数の1.10倍以下であり、かつ、第2目標変数の計算に用いられる架構体2の強度が最も高い染色体情報26と定めることができる。
【0127】
次に、本発明の他の実施形態の設計方法について説明する。
図30(a)は、本発明の他の実施形態の第1水平架構面9aを示す平面図、
図30(b)は、
図30(a)の第1水平架構面9aに小梁8が配置された状態を示す平面図である。
図30(a)に示されるように、この実施形態の水平架構面9には、建築物Bの構造に基づいて、小梁8が必要とされる小梁8の配置予定位置21と、小梁8を配置できない配置禁止位置24とが含まれる。
【0128】
配置予定位置21は、各水平架構面9a〜9hにおいて、小梁8が必要とされる位置である。また、配置予定位置21を通る小梁8(以下、単に「第1小梁29」ということがある)は、各配置予定位置21の全域に亘って配置される小梁8である。
【0129】
配置予定位置21は、各水平架構面9a〜9hの各節点17を基準に設定される。本実施形態の配置予定位置21は、各水平架構面9a〜9hに定義される配置予定直線21aが含まれる。
【0130】
配置予定直線21aは、各水平架構面9a〜9hにおいて、少なくとも2つの座標値(本実施形態では、2つの座標値)で特定される。この座標値は、配置予定直線21aの両端が配置される節点17、17の座標値である。このような配置予定直線21aは、例えば、開口部11(
図3に示す)の周囲や手摺(図示省略)の配置位置に設定される。本実施形態の配置予定直線21aは、開口部11の周囲の少なくとも一部に設定され、開口予定位置22として定義されている。この開口予定位置22は、水平架構面9a〜9h毎に設定される。
【0131】
開口予定位置22は、例えば、第1水平架構面9aにおいて、開口部11の第1辺11a(
図3に示す)の位置を定義する第1開口予定位置22a、第2辺11b(
図3に示す)の位置を定義する第2開口予定位置22b、第3辺11c(
図3に示す)の位置を定義する第3開口予定位置22c、及び、第4辺11d(
図3に示す)の位置を定義する第4開口予定位置22dが含まれる。
【0132】
図30(b)に示されるように、第1小梁29は、例えば、第1水平架構面9aにおいて、第1開口予定位置22a(
図30(a)に示す)に通る第1開口小梁29aと、第2開口予定位置22b(
図30(a)に示す)を通る第2開口小梁29bと、第3開口予定位置22c(
図30(a)に示す)を通る第3開口小梁29cと、第4開口予定位置22d(
図30(a)に示す)を通る第4開口小梁29dとが含まれる。
【0133】
配置禁止位置24は、建築物Bの構造に基づいて、小梁配置点19を配置できない位置である。本実施形態の配置禁止位置24は、開口予定位置22の内部、及び、開口部11の四隅を除く開口予定位置22の各節点17の座標値として、コンピュータ1に記憶される。
【0134】
図31は、この実施形態の条件入力工程S2の処理手順の一例を示すフローチャートである。この実施形態の条件入力工程S2では、工程S21の後に、
図30(a)に示されるように、配置予定位置21の少なくとも一部に、小梁配置点19が入力される(工程S22)。この工程S22では、第1開口予定位置22a〜第4開口予定位置22dの両端に配置される4つの節点17に、4つの小梁配置点19(第1小梁配置点19a〜第4小梁配置点19d)が定義される。さらに、この実施形態の工程S22では、配置予定位置21とは無関係に選択される1つの小梁配置点19(第5小梁配置点19e)も定義される。本実施形態の第5小梁配置点19eは、配置禁止位置24の節点17を除いて定義される。
【0135】
工程S22では、第1小梁配置点19a〜第5小梁配置点19eの各座標値が、コンピュータ1に記憶される。なお、各座標値は、各水平架構面9a〜9hの左下側の頂点である基準点15aに基づいて設定される。本実施形態の第1小梁配置点19a〜第5小梁配置点19eの座標値の詳細は、次のとおりである。
第1小梁配置点:
X軸方向の座標値:2
Y軸方向の座標値:3
第2小梁配置点:
X軸方向の座標値:5
Y軸方向の座標値:3
第3小梁配置点:
X軸方向の座標値:2
Y軸方向の座標値:5
第4小梁配置点:
X軸方向の座標値:5
Y軸方向の座標値:5
第5小梁配置点:
X軸方向の座標値:1
Y軸方向の座標値:2
【0136】
さらに、この実施形態の条件入力工程S2では、工程S23の後に、配置禁止位置24の少なくとも一部に、小梁配置点19が定義される(工程S24)。この工程S24では、第1開口予定位置22a〜第4開口予定位置22dよりも内側に配置される全ての節点17に、小梁配置点19(本実施形態では、第6小梁配置点19f、第7小梁配置点19g)が定義される。さらに、工程S24では、第1開口予定位置22a〜第4開口予定位置22dにおいて、第1小梁配置点19a〜第4小梁配置点19dを除く全ての節点17に、小梁配置点19(本実施形態では、第8小梁配置点19h、第9小梁配置点19i、第10小梁配置点19j、第11小梁配置点19k、第12小梁配置点19l、第13小梁配置点19m)が定義される。
【0137】
工程S24では、第6小梁配置点19f〜第13小梁配置点19mの各座標値が、コンピュータ1に記憶される。なお、各座標値は、各水平架構面9a〜9hの左下側の頂点である基準点15aに基づいて設定される。本実施形態の第1水平架構面9aの第6小梁配置点19f〜第13小梁配置点19mの各座標値の詳細は、次のとおりである。
第6小梁配置点:
X軸方向の座標値:3
Y軸方向の座標値:4
第7小梁配置点:
X軸方向の座標値:4
Y軸方向の座標値:4
第8小梁配置点:
X軸方向の座標値:3
Y軸方向の座標値:5
第9小梁配置点:
X軸方向の座標値:4
Y軸方向の座標値:5
第10小梁配置点:
X軸方向の座標値:2
Y軸方向の座標値:4
第11小梁配置点:
X軸方向の座標値:5
Y軸方向の座標値:4
第12小梁配置点:
X軸方向の座標値:3
Y軸方向の座標値:3
第13小梁配置点:
X軸方向の座標値:4
Y軸方向の座標値:3
【0138】
図32は、この実施形態の染色体情報の複数種類からなる集団の概念図である。この実施形態の染色体情報26は、各水平架構面9a〜水平架構面9hにおいて、配置予定位置21の小梁配置点19を通る小梁8(
図30(b)に示す)を定義するための第1情報部分27と、配置予定位置21とは無関係の小梁配置点19を通る小梁8(
図30(b)に示す)を定義するための第2情報部分28とを含んでいる。さらに、染色体情報26には、配置禁止位置24の小梁配置点19において、小梁8の配置を無効にするための第3情報部分32が含まれる。
【0139】
図33は、この実施形態の第1水平架構面9aの第1情報部分27、第2情報部分28及び第3情報部分32の一例を示す概念図である。本実施形態の第1情報部分27は、配置予定位置21の小梁配置点19(本実施形態の第1水平架構面9aでは、第1小梁配置点19a〜第4小梁配置点19d(
図30(a)に示す))を通る小梁8の配置を定義する第1小梁遺伝子が設定される。また、第1情報部分27は、第1小梁遺伝子を格納可能な第1小梁遺伝子座36が設定される。本実施形態の第1小梁遺伝子座36は、各水平架構面9a〜9hにおいて、第1小梁配置点19a〜第4小梁配置点19dのいずれかが割り当てられる。従って、第1水平架構面9aの第1情報部分27では、4個の第1小梁遺伝子座36が定義される。
【0140】
本実施形態の第1小梁遺伝子は、第1小梁遺伝子の順番を示す順番情報と、配置予定位置21に定義された小梁配置点19の位置が指定された配置情報と、小梁属性テーブル(
図11に示す)から選択された小梁属性情報とが含まれる。従って、各第1小梁遺伝子座36は、順番遺伝子座36aと、配置遺伝子座36bと、小梁属性遺伝子座36cとが含まれる。このような第1情報部分27は、コンピュータ1に記憶される。
【0141】
本実施形態の第2情報部分28は、配置予定位置21とは無関係の小梁配置点19(本実施形態の第1水平架構面9aでは、第5小梁配置点19e)を通る小梁8(
図30(b)に示す)の配置を定義する第2小梁遺伝子が設定される。また、第2情報部分28は、第2小梁遺伝子を格納可能な第2小梁遺伝子座37が設定される。本実施形態の第2小梁遺伝子座37は、例えば、第1水平架構面9aにおいて、第5小梁配置点19e(
図30(a)に示す)が割り当てられる。従って、第1水平架構面9aの第2情報部分27は、1個の第2小梁遺伝子座37が定義される。
【0142】
本実施形態の第2小梁遺伝子は、第2小梁遺伝子の順番を示す順番情報と、配置予定位置21とは無関係に定義された小梁配置点19の位置を特定する配置情報と、小梁属性テーブル(
図11に示す)から選択された小梁属性情報とが含まれる。従って、各第2小梁遺伝子座37は、順番遺伝子座37aと、配置遺伝子座37bと、小梁属性遺伝子座37cとが含まれる。このような第2情報部分28は、コンピュータ1に記憶される。
【0143】
本実施形態の第3情報部分32は、配置禁止位置24に定義された小梁配置点19(本実施形態の第1水平架構面9aでは、第6小梁配置点19f〜第13小梁配置点19m)において、小梁8の配置を無効にする第3小梁遺伝子が設定される。また、第3情報部分32は、第3小梁遺伝子を格納可能な第3小梁遺伝子座38が設定される。第3小梁遺伝子座38は、例えば、第1水平架構面9aにおいて、第6小梁配置点19f〜第13小梁配置点19mのいずれかが割り当てられる。従って、第1水平架構面9aの第3情報部分32では、8個の第3小梁遺伝子座38が定義される。
【0144】
本実施形態の第3小梁遺伝子は、第3小梁遺伝子の順番を示す順番情報と、配置禁止位置24に定義された小梁配置点19の位置が指定された配置情報と、小梁属性テーブル(
図11に示す)から選択された小梁属性情報とが含まれる。従って、各第3小梁遺伝子座38は、順番遺伝子座38aと、配置遺伝子座38bと、小梁属性遺伝子座38cとが含まれる。このような第3情報部分32は、コンピュータ1に記憶される。
【0145】
図34は、この実施形態の集団生成工程S3の処理手順の一例を示すフローチャートである。この実施形態の集団生成工程S3では、前実施形態の小梁遺伝子を格納する工程S33(
図18に示す)に代えて、第3情報部分32(
図33に示す)に、第3小梁遺伝子を格納する工程S34と、第1情報部分27(
図33に示す)に、第1小梁遺伝子を格納する工程S35と、第2情報部分28(
図33に示す)に、第2小梁遺伝子を格納する工程S36とが実施される。
【0146】
工程S34では、第3情報部分32に、第3小梁遺伝子の順番情報、配置情報、及び、小梁属性情報が格納される。
【0147】
順番遺伝子座38aに格納される順番情報は、各水平架構面9a〜9h(
図7に示す)において、第1情報部分27の第1小梁遺伝子、第2情報部分28の第2小梁遺伝子、及び、第3情報部分32の第3小梁遺伝子を含めた順番が定義される。本実施形態では、例えば、第1水平架構面9aにおいて、第1小梁遺伝子座36、第2小梁遺伝子座37、及び、第3小梁遺伝子座38の合計が、13個である。このため、順番情報は、1〜13の整数で定義される。本実施形態の第3小梁遺伝子の順番情報には、第1情報部分27の第1小梁遺伝子、及び、第2情報部分28の第2小梁遺伝子の順番情報よりも小さい整数が、強制的に入力される。従って、各順番遺伝子座38a、38aには、「1」〜「8」のいずれかの順番情報が、互いに重複しないようにランダムに格納される。
【0148】
配置遺伝子座38bに格納される配置情報は、第6小梁配置点19f〜第13小梁配置点19mのそれぞれ位置を特定するものである。第1水平架構面9aの配置遺伝子座38bには、設計制約条件として入力された第6小梁配置点19f〜第13小梁配置点19mの各座標値が、互いに重複しないようにランダムに格納される。本実施形態の配置遺伝子座38bは、前実施形態の配置遺伝子座33bと同様に、小梁配置点19のX座標値を格納する第1配置遺伝子座48aと、小梁配置点19のY座標値を格納する第2配置遺伝子座48bとが含んで構成される。従って、配置遺伝子座38bには、小梁配置点19のX座標値及びY座標値が、それぞれ格納される。
【0149】
小梁属性遺伝子座38cに格納される小梁属性情報は、
図11に示した小梁属性テーブル20の無効情報が選択される。従って、各小梁属性遺伝子座38cには、無効情報を指定した区分情報「7」が格納される。これにより、第1水平架構面9aでは、第6小梁配置点19f〜第13小梁配置点19mを起点とする小梁8の配置が無効にされる。
【0150】
工程S35では、第1情報部分27に、第1小梁遺伝子の順番情報、配置情報、及び、小梁属性情報が格納される。
【0151】
順番遺伝子座36aに格納される順番情報は、第3小梁遺伝子の順番情報と同様に、各水平架構面9a〜9h(
図7に示す)において、第1情報部分27の第1小梁遺伝子、第2情報部分28の第2小梁遺伝子、及び、第3情報部分32の第2小梁遺伝子を含めた順番が定義される。なお、第1小梁遺伝子の順番情報は、第3情報部分32で使用されている順番情報を除いて割り当てられる。これにより、第1小梁遺伝子の順番と、第3小梁遺伝子の順番とが重複するのを防ぐことができる。このような順番情報は、乱数関数に従って、互いに重複しないようにランダムに決定されるのが望ましい。
【0152】
配置遺伝子座36bに格納される配置情報は、配置予定位置21の小梁配置点19の位置を特定するものである。例えば、本実施形態の第1水平架構面9aの配置遺伝子座36bには、第1小梁配置点19a〜第4小梁配置点19dの座標値が、互いに重複しないようにランダムに格納される。本実施形態の配置遺伝子座36bは、小梁配置点19のX座標値を格納する第1配置遺伝子座46aと、小梁配置点19のY座標値を格納する第2配置遺伝子座46bとが含んで構成される。従って、配置遺伝子座36bには、小梁配置点19のX座標値及びY座標値が、それぞれ格納される。
【0153】
小梁属性遺伝子座36cに格納される小梁属性情報は、小梁属性テーブル20から選択される。小梁属性遺伝子座36cには、小梁属性情報として、
図11に示した小梁属性テーブル20の特定情報を指定する区分情報が、乱数関数に従って、ランダムに格納される。
【0154】
工程S36では、第2情報部分28に、第2小梁遺伝子の順番情報、配置情報、及び、小梁属性情報が格納される。
【0155】
順番遺伝子座37aに格納される順番情報は、第1小梁遺伝子及び第3小梁遺伝子の順番情報と同様に、各水平架構面9a〜9h(
図7に示す)において、第1情報部分27の第1小梁遺伝子、第2情報部分28の第2小梁遺伝子、及び、第3情報部分32の第2小梁遺伝子を含めた順番が定義される。なお、第2小梁遺伝子の順番情報は、第1情報部分27及び第3情報部分32で使用されている順番情報を除いて割り当てられる。これにより、第1小梁遺伝子及び第3小梁遺伝子の順番と、第2小梁遺伝子の順番とが重複するのを防ぐことができる。なお、第2小梁遺伝子の順番情報は、第2小梁遺伝子が複数存在する場合、乱数関数に従って、ランダムに決定されるのが望ましい。
【0156】
配置遺伝子座37bに格納される配置情報は、配置予定位置21とは無関係に選択される小梁配置点19の位置を特定するものである。従って、配置遺伝子座37bの配置情報で特定される小梁配置点19としては、第1情報部分27の配置遺伝子座36bの配置情報で特定された配置予定位置21の小梁配置点19(この実施形態では、第1小梁配置点19a〜第4小梁配置点19d)を除く小梁配置点19が選択される。さらに、配置遺伝子座37bの配置情報で特定される小梁配置点19としては、第3情報部分32の配置遺伝子座38bの配置情報で特定された配置禁止位置24の小梁配置点19(この実施形態では、第6小梁配置点19f〜第13小梁配置点19m)を除く小梁配置点19が選択される。これにより、第2情報部分28の配置情報で特定される小梁配置点19が、第1情報部分27の配置情報、及び、第3情報部分32の配置情報で特定される小梁配置点19と重複するのを防ぐことができる。
【0157】
この実施形態の第1水平架構面9aの配置遺伝子座37bには、第5小梁配置点19eの座標値が格納される。なお、配置予定位置21とは無関係に選択される小梁配置点19が複数存在する場合、乱数関数に従ってランダムに決定されるのが望ましい。また、本実施形態の配置遺伝子座37bは、小梁配置点19のX座標値を格納する第1配置遺伝子座47aと、小梁配置点19のY座標値を格納する第2配置遺伝子座47bとが含んで構成される。従って、配置遺伝子座37bには、小梁配置点19のX座標値及びY座標値が、それぞれ格納される。
【0158】
小梁属性遺伝子座37cに格納される小梁属性情報は、小梁属性テーブル20から選択される。小梁属性遺伝子座37cには、小梁属性情報として、
図11に示した小梁属性テーブル20の特定情報を指定する区分情報が、乱数関数に従って、ランダムに格納される。
【0159】
次に、第1情報部分27、第2情報部分28及び第3情報部分32によって定義される小梁8の配置について、第1水平架構面9aを代表して説明する。染色体情報26は、各水平架構面9a〜9h(
図7に示す)において、順番遺伝子座36a、37a、38aに格納される順番情報が小さい順に、各小梁遺伝子座36〜38に格納されている各小梁遺伝子に基づいて、小梁8の配置が定義される。
【0160】
なお、本実施形態のように、第1水平架構面9aに開口予定位置22が設定される場合は、各小梁遺伝子によって小梁8の配置が定義される前に、第1開口小梁29a〜第4開口小梁29d(1本目の小梁8a〜4本目の小梁8d)が予め定義されるのが望ましい。
図35は、第1開口小梁29a〜第4開口小梁29dが予め配置された水平架構面を示す平面図である。このように、染色体情報26に基づいて小梁8の配置が定義される前に、第1開口小梁29a〜第4開口小梁29dの配置が予め定義されることにより、第1開口予定位置22a〜第4開口予定位置22dよりも外側の小梁配置点19を起点とする小梁8が、開口部11の内部を横切るのを防ぐことができる。
【0161】
そして、本実施形態では、第1開口小梁29a〜第4開口小梁29dが定義された後に、染色体情報26の順番遺伝子座36a、37a、38aに格納される順番情報が小さい順に、各小梁遺伝子座36〜38に格納されている各小梁遺伝子に基づいて、小梁8の配置が定義される。
【0162】
図33に示されるように、順番遺伝子座38aの順番情報が「1」の小梁遺伝子は、配置遺伝子座38bの配置情報が「(X座標値、Y座標値)=(3、4)」、かつ、小梁属性遺伝子座38cの小梁属性情報が「7」である。また、順番遺伝子座38aの順番情報が「2」の小梁遺伝子は、配置遺伝子座38bの配置情報が「(X座標値、Y座標値)=(4、4)」、かつ、小梁属性遺伝子座38cの小梁属性情報が「7」ある。さらに、順番遺伝子座38aの順番情報が「3」の小梁遺伝子は、配置遺伝子座38bの配置情報が「(X座標値、Y座標値)=(3、5)」、かつ、小梁属性遺伝子座38cの小梁属性情報が「7」ある。このため、
図35に示されるように、順番情報が「1」〜「3」の小梁遺伝子では、配置禁止位置24の第6小梁配置点19f〜第8小梁配置点19hを起点とする小梁8の配置が無効に設定される。
【0163】
図33に示されるように、順番遺伝子座38aの順番情報が「4」の小梁遺伝子は、配置遺伝子座38bの配置情報が「(X座標値、Y座標値)=(4、5)」、かつ、小梁属性遺伝子座38cの小梁属性情報が「7」である。また、順番遺伝子座38aの順番情報が「5」の小梁遺伝子は、配置遺伝子座38bの配置情報が「(X座標値、Y座標値)=(2、4)」、かつ、小梁属性遺伝子座38cの小梁属性情報が「7」である。さらに、順番遺伝子座38aの順番情報が「6」の小梁遺伝子は、配置遺伝子座38bの配置情報が「(X座標値、Y座標値)=(5、4)」、かつ、小梁属性遺伝子座38cの小梁属性情報が「7」である。このため、
図35に示されるように、順番情報が「4」〜「6」の小梁遺伝子では、配置禁止位置24の第9小梁配置点19i〜第11小梁配置点19kを起点とする小梁8の配置が無効に設定される。
【0164】
図33に示されるように、順番遺伝子座38aの順番情報が「7」の小梁遺伝子は、配置遺伝子座38bの配置情報が「(X座標値、Y座標値)=(3、3)」、かつ、小梁属性遺伝子座38cの小梁属性情報が「7」である。また、順番遺伝子座38aの順番情報が「8」の小梁遺伝子は、配置遺伝子座38bの配置情報が「(X座標値、Y座標値)=(4、3)」、かつ、小梁属性遺伝子座38cの小梁属性情報が「7」である。このため、
図35に示されるように、順番情報が「7」、「8」の小梁遺伝子では、配置禁止位置24の第12小梁配置点19l、第13小梁配置点19mを起点とする小梁8の配置が無効に設定される。
【0165】
図36は、順番遺伝子座36aの順番情報が「9」の小梁8の配置を説明する平面図である。順番情報が「9」の小梁遺伝子は、配置遺伝子座36bの配置情報が「(X座標値、Y座標値)=(2、3)」、かつ、小梁属性遺伝子座36cの小梁属性情報が「3」ある。このため、順番情報が「3」の小梁遺伝子では、第1小梁配置点19aを起点として、Y軸方向の両側にのびるY軸方向の小梁8(5本目の小梁8e)と、第1小梁配置点19aからX軸方向の一方側(図において右側)のみにのびるX軸方向の小梁8(6本目の小梁8f)とが定義される。
【0166】
5本目の小梁8eは、3本目の小梁8c(
図35に示す)と重複する。さらに、6本目の小梁8fは、1本目の小梁8a(
図35に示す)と重複する。この場合、1本目の小梁8a及び3本目の小梁8cの配置を無効にして、5本目の小梁8e及び6本目の小梁8fの配置が新たに定義される。
【0167】
5本目の小梁8eの両端は、第1小梁配置点19aのY軸方向の延長線上に配置される大梁7、7に当接するように配置される。このような5本目の小梁8aは、第3開口予定位置22c(
図30(a)に示す)を通る第3開口小梁29cとして定義される。また、6本目の小梁8fは、第1小梁配置点19aのX軸方向の延長線上に配置される大梁7に当接するように配置される。このような6本目の小梁8fは、第1開口予定位置22a(
図30(a)に示す)を通る第1開口小梁29aとして定義される。
【0168】
図37は、順番遺伝子座36aの順番情報が「10」の小梁の配置を説明する平面図である。順番情報が「10」の小梁遺伝子は、配置遺伝子座36bの配置情報が「(X座標値、Y座標値)=(5、3)」、かつ、小梁属性遺伝子座36cの小梁属性情報が「2」ある。このため、順番情報が「10」の小梁遺伝子では、第2小梁配置点19bを起点として、Y軸方向の両側にのびるY軸方向の2本の小梁8(7本目の小梁8g及び8本目の小梁8h)が定義される。
【0169】
7本目の小梁8gの一端は、第2小梁配置点19bのY軸方向の一方側(図において、下側)に配置される大梁7に当接するように配置される。このような7本目の小梁8gは、配置予定位置21(
図30(a)に示す)を通らない第2小梁30として定義される。
【0170】
8本目の小梁8hは、4本目の小梁8d(
図36に示す)と重複する。この場合、4本目の小梁8dの配置が無効にされ、8本目の小梁8hの配置が新たに定義される。さらに、8本目の小梁8hの一端は、第2小梁配置点19bのY軸方向の他方側(図において、上側)に配置される大梁7に当接するように配置される。このような8本目の小梁8hは、第4開口予定位置22d(
図30(a)に示す)を通る第4開口小梁29dとして定義される。
【0171】
図38は、順番遺伝子座36aの順番情報が「11」の小梁の配置を説明する平面図である。順番情報が「11」の小梁遺伝子は、配置遺伝子座36bの配置情報が「(X座標値、Y座標値)=(2、5)」、かつ、小梁属性遺伝子座36cの小梁属性情報が「1」ある。このため、順番情報が「11」の小梁遺伝子では、第3小梁配置点19cを起点として、X軸方向の両側にのびるX軸方向の2本の小梁8(9本目の小梁8i及び10本目の小梁8j)が定義される。
【0172】
9本目の小梁8iは、2本目の小梁8b(
図37に示す)と重複する。この場合、2本目の小梁8bの配置が無効にされ、9本目の小梁8iの配置が新たに定義される。さらに、9本目の小梁8iの一端は、第3小梁配置点19cのX軸方向の一方側(図において、右側)に配置される第4開口小梁29dに当接するように配置される。このような9本目の小梁8gは、第2開口予定位置22b(
図30(a)に示す)を通る第2開口小梁29bとして定義される。
【0173】
10本目の小梁8jの一端は、第3小梁配置点19cのX軸方向の他端側(図において、左側)に配置される大梁7に当接するように配置される。このような10本目の小梁8jは、配置予定位置21(
図30(a)に示す)を通らない第2小梁30として定義される。
【0174】
図39は、順番遺伝子座36aの順番情報が「12」の小梁の配置を説明する平面図である。順番情報が「12」の小梁遺伝子は、配置遺伝子座36bの配置情報が「(X座標値、Y座標値)=(5、5)」、かつ、小梁属性遺伝子座36cの小梁属性情報が「4」ある。このため、順番情報が「12」の小梁遺伝子では、第4小梁配置点19dを起点として、Y軸方向の両側にのびるY軸方向の小梁8(11本目の小梁8k)と、第4小梁配置点19dからX軸方向の他方側(図において左側)のみにのびるY軸方向の小梁8(12本目の小梁8l)が定義される。
【0175】
11本目の小梁8kは、8本目の小梁8h(
図38に示す)と重複する。この場合、8本目の小梁8h(
図38に示す)の配置が無効にされ、11本目の小梁8kが定義される。11本目の小梁8kの両端は、第4小梁配置点19dのY軸方向の延長線上に配置される大梁7、及び、第1開口小梁29aに当接するように配置される。このような11本目の小梁8kは、第4開口予定位置22d(
図30(a)に示す)を通る第4開口小梁29dとして定義される。
【0176】
12本目の小梁8lは、9本目の小梁8i(
図38に示す)と重複する。この場合、9本目の小梁8i(
図38に示す)の配置が無効にされ、12本目の小梁8lが定義される。12本目の小梁8lの端部は、第4小梁配置点19dのX軸方向の延長線上に配置される第3開口小梁29cに当接するように配置される。このような12本目の小梁8lは、第2開口予定位置22b(
図30(a)に示す)を通る第2開口小梁29bとして定義される。
【0177】
図40は、順番遺伝子座37aの順番情報が「13」の小梁の配置を説明する平面図である。順番情報が「13」の小梁遺伝子は、配置遺伝子座37bの配置情報が「(X座標値、Y座標値)=(1、2)」、小梁属性遺伝子座37cの小梁属性情報が「1」ある。このため、順番情報が「13」の小梁遺伝子では、第5小梁配置点19eを起点として、X軸方向の両側にのびるX軸方向の小梁8(13本目の小梁8m)が定義される。13本目の小梁8mの両端は、第5小梁配置点19eのX軸方向の延長線上に配置される大梁7、及び、第3開口小梁29cに当接するように配置される。このような13本目の小梁8mは、配置予定位置21を通らない第2小梁30として定義される。
【0178】
このように、本実施形態の染色体情報26では、第1水平架構面9aにおいて、7本の小梁8の配置(
図30(b)に示す)が定義される。本実施形態の染色体情報26では、第1情報部分27の配置情報として、配置予定位置21に配置された小梁配置点19が指定されるため、配置予定位置21を通る第1小梁29が優先的に含まれるように、染色体情報26を生成することができる。これにより、本発明の設計方法では、配置予定位置21に小梁8が配置されていない配置パターンが生成されるのを抑制できる。配置予定位置21に小梁8が配置されていない配置パターンは、小梁8の配置の最適解から除外されるものである。従って、本発明の設計方法では、次の最適化計算工程S4において、計算効率の低下を防ぐことができ、小梁8の配置の最適解を、短時間で求めることができる。
【0179】
また、本実施形態では、
図35に示されるように、小梁8の配置を禁止する配置禁止位置24が設定される。さらに、本実施形態では、各小梁遺伝子によって小梁8の配置が定義される前に、第1開口小梁29a〜第4開口小梁29d(1本目の小梁8a〜4本目の小梁8d)の配置が予め定義される。このため、本実施形態では、開口部11を横切る小梁8を含む配置パターンが生成されるのを確実に防ぐことができる。このような配置パターンも、小梁8の配置の最適解から除外されるものである。従って、本発明の設計方法では、計算効率の低下をより効果的に防ぐことができ、小梁8の配置の最適解を、さらに短時間で求めることができる。
【0180】
配置予定位置21には、配置予定直線21a(
図30(a)に示す)に加えて、各水平架構面9a〜9hにおいて、1つの座標値で特定される配置予定点(図示省略)が含まれてもよい。配置予定点は、例えば、小屋束12(
図3に示す)を支える位置や、太陽光パネル設置用架台の支柱位置(フラット屋根の場合)等に設定される。このような配置予定点は、小屋束12や、支柱位置を支える小梁8が確実に含まれるように、染色体情報26を生成することができる。
【0181】
この実施形態において、交叉工程S72及び突然変異工程S73では、第3小梁遺伝子を除いて、第1小梁遺伝子及び第2小梁遺伝子のみを対象に実施されるのが望ましい。これにより、配置禁止位置24を横切る小梁8を含む配置パターンが生成されるのを防ぎつつ、染色体情報26を再構成することができる。なお、第1小梁遺伝子座36の配置遺伝子座36bに格納される配置情報については、突然変異されないのが望ましい。これにより、配置予定位置21に配置されている小梁配置点19の座標値が更新されるのを防ぐことができるため、配置予定位置21に小梁8が配置されていない配置パターンが生成されるのを防ぐことができる。また、第2小梁遺伝子座37の配置遺伝子座37bに格納される配置情報については、配置予定位置21及び配置禁止位置24の節点17を除いて、突然変異されるのが望ましい。
【0182】
この実施形態では、
図33に示されるように、染色体情報26に、第1情報部分27、第2情報部分28及び第3情報部分32が含まれるものが例示されたが、これに限定されるわけではない。
図41は、本発明のさらに他の実施形態の染色体情報の一例を示す概念図である。染色体情報26は、第3情報部分32(
図33に示す)を省いて、第1情報部分27及び第2情報部分28のみで構成されてもよい。
【0183】
図42は、この実施形態の集団生成工程S3の処理手順の一例を示すフローチャートである。この実施形態では、染色体情報26に第3情報部分32が含まれていないため、前実施形態とは異なり、第3小梁遺伝子を格納する工程S34(
図34に示す)を省略して実施される。
【0184】
図41に示されるように、この実施形態では、例えば、第1水平架構面9aにおいて、第1小梁遺伝子座36、及び、第2小梁遺伝子座37の合計が、5個である。このため、第1情報部分27に第1小梁遺伝子を格納する工程S35では、各第1小梁遺伝子座36の順番遺伝子座36aに格納される順番情報として、1〜5から選択された整数が割り当てられる。
【0185】
第2情報部分28に第2小梁遺伝子を格納する工程S36では、各第2小梁遺伝子座37の順番遺伝子座37aに格納される順番情報として、1〜5の整数のうち、第1情報部分27で使用されている順番情報を除いた整数が割り当てられる。
【0186】
また、この実施形態の工程S36では、配置遺伝子座37bに格納される配置情報が、第1情報部分27の配置遺伝子座36bの配置情報で特定された配置予定位置21の小梁配置点19(この実施形態では、第1小梁配置点19a〜第4小梁配置点19d)を除く小梁配置点19が選択される。
【0187】
さらに、この実施形態の工程S36では、配置遺伝子座37bに格納される配置情報が、工程S24で定義された配置禁止位置24の小梁配置点19の座標値と一致する場合、その第2小梁遺伝子座37の小梁属性遺伝子座37cに、第7小梁属性情報が強制的に格納される。これにより、染色体情報26は、第3情報部分32(
図33に示す)の第3小梁遺伝子を設定することなく、配置禁止位置24に小梁8の配置が定義されるのを防ぐことができる。従って、この実施形態では、染色体情報26の構造を簡略化でき、デコード処理や最適化計算工程S4等において、効率よく計算することができる。
【0188】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。