(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、実施例に基づき本開示を説明するが、本開示は実施例に限定されるものではなく、実施例における種々の数値や材料は例示である。尚、説明は、以下の順序で行う。
1.本開示の第1の態様〜第2の態様に係る表示装置、全般に関する説明
2.実施例1(本開示の第1の態様に係る表示装置)
3.実施例2(本開示の第2の態様に係る表示装置)
4.実施例3(実施例1の変形であり、実施例2の表示装置との組合せ)
5.実施例4(実施例1〜実施例3の変形)
6.実施例5(実施例1〜実施例4の変形)
7.実施例6(第3の態様に係る表示装置)
8.実施例7(第4の態様に係る表示装置)、その他
【0013】
[本開示の第1の態様〜第2の態様に係る表示装置、全般に関する説明]
本開示の第1の態様に係る表示装置において、光透過抑制層は反射防止機能を有する形態とすることができ、これによって、上記の本開示の第1の目的を達成することができる。そして、この場合、光透過抑制層は、反射防止層の正反射率と同程度の正反射率を有することが好ましい。ここで、「同程度」とは、限定するものではないが、
0≦(光透過抑制層の正反射率/反射防止層の正反射率)≦2
を満足することを意味する。一般に、表示装置の表面における散乱反射率の大小は、画像表示の黒沈みを決定づける。一方、表示装置の表面における正反射率の大小は、表示装置の表面に映り込んだ像の明るさを決定づけ、画像表示の品質を大きく左右する。本開示の第1の態様に係る表示装置にあっては、正反射率を上記のとおり規定することで、高い画像表示品質を達成することができる。例えば、艶消し印刷を行うことで、正反射率は低下するが、散乱反射率の値が増加してしまい、正反射率と散乱反射率との適切なバランスを取ることが困難である。また、微粒子を使用するAGコートでは、発光部の疑似減点が発生する虞がある。
【0014】
上記の好ましい形態を含む本開示の第1の態様に係る表示装置にあっては、上記の本開示の第1の目的を達成するために、反射防止層は、光透過抑制層と第2基板の第2面との間に延在している形態とすることができるし、あるいは又、反射防止層は、光透過抑制層を覆っている形態とすることができる。
【0015】
あるいは又、本開示の第1の態様〜第2の態様に係る表示装置にあっては、上記の本開示の第2の目的を達成するために、光透過抑制層に模様が付されている形態とすることができる。そして、この場合、模様の形成ピッチは、発光部の配置ピッチの整数倍、等倍又は整数分の一である形態とすることができ、これによって、発光部から構成された画素(あるいは副画素)と、この画素(あるいは副画素)に隣接した画素(あるいは副画素)との境界領域が目立たなくなるし、表示装置を、後述するように、タイリング形式の表示装置とする場合、タイリング形式の表示装置を構成する表示装置(表示装置ユニット)と表示装置ユニットとの間の境界領域を目立たなくすることができる。
【0016】
以上に説明した好ましい形態を含む本開示の第1の態様〜第2の態様に係る表示装置において、一層広い視野角を達成するために、光透過抑制層の厚さは、光透過部(第1の光透過部)に近づく程、薄い形態とすることが好ましい。光透過抑制層の厚さの変化は、直線状の変化であってもよいし、滑らかな曲線状の変化であってもよいし、階段状の変化であってもよい。
【0017】
更には、以上に説明した好ましい形態を含む本開示の第1の態様〜第2の態様に係る表示装置において、
光透過部(第1の光透過部)の外形形状を、直径D
1の円形とみなし、
発光部を直径D
0の円形とみなし、発光部の頂面から光透過部(第1の光透過部)までの距離をL
1とし、
発光部から、光透過部が設けられた光透過抑制層に至るまでの光路の平均屈折率をn
1としたとき、
tan(sin
-1(1/n
1))≦(D
1−D
0)/(2・L
1)≦2
を満足する形態することが好ましい。尚、通常、n
1の値は1.4乃至1.6の範囲にあるため、tan(sin
-1(1/n
1))の値は、通常、0.8から1.02の間の値となる。この場合、発光部の中心及び光透過部(第1の光透過部)の中心は、同じ軸線上にあることが望ましい。ここで、発光部が1つの発光素子から構成されている場合であって、実際に光を出射する1つの発光素子の部分の平面形状が円形である場合、「発光部を直径D
0の円形とみなし」とは、実際に光を出射する部分の直径をD
0とすることを意味し、実際に光を出射する部分が円形ではない場合には、実際に光を出射する部分の面積を円の面積に換算したときの円の直径をD
0とすることを意味する。一方、後述するように、発光素子・表示装置における1画素(1ピクセル)を、例えば、第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子の組(発光ユニット)から構成し、あるいは又、4つ以上の発光素子の組(発光ユニット)から構成し、これらの発光素子を1つの発光部とみなす場合、全ての発光素子を包含する円を想定し、この円の直径をD
0とすることを意味する。あるいは又、各発光素子が一直線上に配置されていない場合、各発光素子の中心を結ぶ円を想定し、この円の直径をD
0とすることを意味するし、各発光素子が一直線上に配置されている場合、最も外側に位置する2つ発光素子の中心を結ぶ線分を想定し、この線分を直径とする円の直径をD
0とすることを意味する。以下の説明においても同様である。また、光透過部(第1の光透過部)の平面形状が円形ではない場合を含めるため、「光透過部(第1の光透過部)の外形形状を、直径D
1の円形とみなし」との表現とした。
【0018】
更には、以上に説明した好ましい形態を含む本開示の第1の態様に係る表示装置において、
各発光部に対応して、第2基板の第1面側には、発光部からの光を透過させる第2の光透過部が設けられた光不透過層が形成されており、
第2の光透過部の面積は、光透過部の面積よりも小さい(狭い)構成とすることができる。そして、このような構成の本開示の第1の態様に係る表示装置にあっては、あるいは又、以上に説明した好ましい形態を含む本開示の第2の態様に係る表示装置にあっては、
第2の光透過部の外形形状を、直径D
2の円形とみなし、
発光部を直径D
0の円形とみなし、発光部の頂面から第2の光透過部までの距離をL
2とし、
発光部から、第2の光透過部が設けられた光不透過層に至るまで光路の平均屈折率をn
2としたとき、
tan(sin
-1(1/n
2))≦(D
2−D
0)/(2・L
2)≦2
を満足することが好ましい。更には、発光部の中心、光透過部の中心(第1の光透過部の中心)、及び、第2の光透過部の中心は、同じ軸線上にあり、光透過部(第1の光透過部)と第2の光透過部とは相似形であることが望ましい。尚、第2の光透過部の平面形状が円形ではない場合を含めるため、「第2の光透過部の外形形状を、直径D
2の円形とみなし」との表現とした。
【0019】
更には、以上に説明した好ましい形態、構成を含む本開示の第1の態様〜第2の態様に係る表示装置において、発光部は、発光ダイオード(LED)から成る構成とすることができるが、これに限定するものではなく、その他、半導体レーザ素子、エレクトロルミネッセンス(EL)素子等から構成することもできる。そして、更には、各発光部は、一直線上に配置された複数の発光素子(発光ダイオード)から成る構成とすることができる。尚、複数の発光素子(発光ダイオード)が「一直線上に配置」されているには、複数の発光素子(発光ダイオード)が、厳密に一直線上に配置されている場合だけでなく、設計上あるいは製造上、一直線上から若干外れて配置されている場合も包含される。即ち、複数の発光素子(発光ダイオード)が、大凡、一直線上に配置されていることを意味する。発光ダイオードや半導体レーザ素子といった発光素子から発光部を構成する場合、発光素子の大きさ(例えばチップサイズ)は特に制限されないが、典型的には微小なものであり、具体的には、例えば1mm以下、あるいは、例えば0.3mm以下、あるいは、例えば0.1mm以下の大きさのものである。赤色を発光する発光素子、緑色を発光する発光素子及び青色を発光する発光素子として、例えば、窒化物系III−V族化合物半導体を用いるものを挙げることができ、赤色を発光する発光素子として、例えば、AlGaInP系化合物半導体を用いるものを挙げることもできる。発光素子・表示装置における1画素(1ピクセル)を、第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子の組(発光ユニット)から構成する場合、第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子の配置状態に依っては、第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子の組(発光ユニット)を、1つの発光部とみなすことが望ましい場合がある。即ち、本開示の第1の態様あるいは第2の態様に係る表示装置にあっては、1つの発光ユニットから構成された1つの発光部に対応して、第2基板の第2面には、1つの発光ユニットから構成された1つの発光部からの光を透過させる1つの光透過部が設けられた光透過抑制層が形成されている形態とすることができるし、本開示の第2の態様に係る表示装置にあっては、光不透過層に、1つの発光ユニットから構成された1つの発光部からの光を透過させる1つの第2の光透過部が設けられている形態とすることができる。
【0020】
また、表示装置は、以上に説明した好ましい形態、構成を含む本開示の第1の態様〜第2の態様に係る表示装置が、複数、配列されて成るタイリング形式の表示装置とすることができる。そして、この場合、タイル毎に、異なる色又は模様を施した形態とすることができる。
【0021】
以上に説明した好ましい形態、構成を含む本開示の第1の態様〜第2の態様に係る表示装置(以下、これらを総称して、単に、『本開示の表示装置等』と呼ぶ場合がある)において、光透過抑制層や光不透過層は、隣接する画素間(あるいは副画素間)を跨がって形成されており、隙間は存在しない。
【0022】
本開示の表示装置等において、第1基板あるいは第2基板として、ポリエーテルサルホン(PES)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ポリイミド(PI)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリオレフィンフィルムを例示することができるし、ガラス基板、ガラス基板にこれらの各種フィルムが貼り合わされたもの、ガラス基板上にポリイミド樹脂層、アクリル樹脂層、ポリスチレン樹脂層、シリコーンゴム層が形成されたものを例示することができる。また、第1基板にあっては、ガラス基板を、金属基板や金属シート、合金基板、合金シート、セラミックス基板、セラミックスシート、半導体基板、プラスチック基板、プラスチックシートに置き換えてもよい。更には、第1基板として、配線が形成されたプリント配線板(リジッドプリント配線板及びフレキシブルプリント配線板を含む)を挙げることができるし、これらの基板の表面に絶縁膜が形成されたものとすることもできる。
【0023】
反射防止機能を有する光透過抑制層や、光不透過層を構成する材料として、カーボン、金属薄膜(例えば、クロム、ニッケル、アルミニウム、モリブデン等、あるいは、これらの合金)、金属酸化物(例えば、酸化クロム)、金属窒化物(例えば、窒化クロム)、耐熱性有機樹脂、ガラスペースト、黒色顔料や銀等の導電性粒子を含有するガラスペースト、黒色染料等の材料を挙げることができる。そして、これらの層は、例えば、真空蒸着法やスパッタリング法とエッチング法との組合せ、真空蒸着法やスパッタリング法、スピンコーティング法とリフトオフ法との組合せ、インクジェット印刷法を含む各種印刷法、リソグラフィ技術等、使用する材料に依存して適宜選択された方法にて形成することができる。
【0024】
反射防止層は、例えば、低屈折率(例えば、1.35以下)を有する各種フッ素樹脂層や誘電体多層膜、メソポーラスシリカ膜、これらの複合膜から構成することができる。
【0025】
模様が付された光透過抑制層を構成する材料として、模様を形成するのに適したインク、塗料等を挙げることができる。模様が付された光透過抑制層の表面には、耐久性や耐候性向上のために保護層を形成してもよい。模様には、絵、文字、ロゴ、記号、符号、印、標章、図案等が包含される。
【0026】
あるいは又、上記の第2の目的を達成するための本開示の第3の態様に係る表示装置は、
第1面、及び、該第1面と対向する第2面を有する第1基板、
第1基板と対向して配置され、第1基板の第2面と対向する第1面、及び、該第1面と対向する第2面を有する第2基板、並びに、
第1基板の第2面に、第2基板と離間して設けられた複数の発光部、
を備えており、
第2基板の第2面側又は第1面側には、マイクロカプセル方式、電子粉流体方式、液晶方式、エレクトロウェッティング方式、電気泳動方式、化学変化方式若しくは電気泳動方式の電子ペーパー、又は、透明な液晶表示装置から成る模様表示装置が配されており、模様表示装置に模様を表示する。模様表示装置に模様を表示するときには、発光部において画像を表示しない。一方、発光部において画像を表示するときには、模様表示装置に模様を表示しない。
【0027】
あるいは又、上記の第2の目的を達成するための本開示の第4の態様に係る表示装置は、
第1面、及び、該第1面と対向する第2面を有する第1基板、
第1基板と対向して配置され、第1基板の第2面と対向する第1面、及び、該第1面と対向する第2面を有する第2基板、並びに、
第1基板の第2面に、第2基板と離間して設けられた複数の発光部、
を備えており、
第2基板の第1面側には模様が形成されている。模様は、第2基板の第1面の下に位置する層の凹凸によって発現されている形態とすることができる。
【0028】
表示装置の用途や機能、表示装置に要求される仕様等に応じて、表示装置を構成する発光部(例えば、発光素子)の数、種類、実装(配置)、間隔等が決められる。赤色を発光する発光素子、緑色を発光する発光素子及び青色を発光する発光素子から表示装置を構成すれば、カラー表示の発光素子・表示装置を得ることができる。カラー表示の発光素子・表示装置から表示装置を構成する場合、発光素子・表示装置における1画素(1ピクセル)は、第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子の組(発光ユニット)から構成されている。また、各発光素子によって副画素が構成される。そして、複数の発光ユニットが、第1の方向、及び、第1の方向と直交する第2の方向に2次元マトリクス状に配列されている。発光ユニットを構成する第1発光素子の数をN
1、発光ユニットを構成する第2発光素子の数をN
2、発光ユニットを構成する第3発光素子の数をN
3としたとき、N
1として1又は2以上の整数を挙げることができるし、N
2として1又は2以上の整数を挙げることができるし、N
3として1又は2以上の整数を挙げることができる。N
1とN
2とN
3の値は、等しくともよいし、異なっていてもよい。N
1,N
2,N
3の値が2以上の整数である場合、1つの発光ユニット内において、発光素子は直列に接続されていてもよいし、並列に接続されていてもよい。(N
1,N
2,N
3)の値の組合せとして、限定するものではないが、(1,1,1)、(1,2,1)、(2,2,2)、(2,4,2)を例示することができる。尚、前述したとおり、1つの発光ユニットを、1つの発光部とみなすこともでき、この場合、前述したとおり、本開示の第1の態様あるいは第2の態様に係る表示装置にあっては、1つの発光ユニットから構成された1つの発光部に対応して、第2基板の第2面には、1つの発光ユニットから構成された1つの発光部からの光を透過させる1つの光透過部が設けられた光透過抑制層が形成されている形態とすることができるし、本開示の第2の態様に係る表示装置にあっては、光不透過層に、1つの発光ユニットから構成された1つの発光部からの光を透過させる1つの第2の光透過部が設けられている形態とすることができる。
【実施例1】
【0029】
実施例1は、本開示の第1の態様に係る表示装置に関する。実施例1の表示装置の模式的な一部断面図を
図1Aに示し、模式的な一部平面図を
図1Bに示す。尚、
図1Aは、
図1Bの矢印A−Aに沿った模式的な一部断面図である。実施例1の表示装置10A、あるいは、後述する実施例2〜実施例4における表示装置10B,10C,10Dは、
第1面11A、及び、この第1面11Aと対向する第2面11Bを有する第1基板11、
第1基板11と対向して配置され、第1基板11の第2面11Bと対向する第1面12A、及び、この第1面12Aと対向する第2面12Bを有する第2基板12、並びに、
第1基板11の第2面11Bに、第2基板12と離間して設けられた複数の発光部20(20R,20G,20B)、
を備えている。
【0030】
そして、実施例1の表示装置10Aにあっては、各発光部20に対応して、第2基板12の第2面12Bには、発光部20からの光を透過させる光透過部32が設けられた光透過抑制層31が形成されており、光透過部32には、反射防止層33が形成されている。発光部20からの光は、光透過部32を通過して、外部に出射される。
【0031】
ここで、実施例1における表示装置10Aにおいて、光透過抑制層31は反射防止機能を有する。そして、これによって、高い耐久性を有し、しかも、充分なる低反射率を達成し得る構成、構造を有する表示装置を提供することができる。光透過抑制層31は、反射防止層33の正反射率と同程度の正反射率を有する。具体的には、限定するものではないが、
0≦(光透過抑制層の正反射率/反射防止層の正反射率)≦2
を満足する。
【0032】
更には、実施例1の表示装置10Aにあっては、
図1Aに示すように、反射防止層33は、光透過抑制層31と第2基板12の第2面12Bとの間に延在している。あるいは又、
図2Aに示すように、反射防止層33は光透過抑制層31を覆っている。
【0033】
また、第1基板11と第2基板12との間には、シリコーン樹脂から成る保護膜13、及び、アクリル樹脂若しくはシリコーン樹脂から成る粘着剤層14が設けられている。
【0034】
実施例1にあっては、発光部20を、発光ダイオードから成る発光素子から構成した。具体的には、表示装置10Aは発光素子・表示装置から構成され、発光素子・表示装置における1画素(1ピクセル)は、赤色を発光する第1発光素子20R、緑色を発光する第2発光素子20G及び青色を発光する第3発光素子20Bの組(発光ユニット)から構成されている。各発光素子20R,20G,20Bによって副画素が構成される。そして、複数の発光ユニットが、第1の方向、及び、第1の方向と直交する第2の方向に2次元マトリクス状に配列されている。発光ユニットを構成する第1発光素子の数をN
1、発光ユニットを構成する第2発光素子の数をN
2、発光ユニットを構成する第3発光素子の数をN
3としたとき、(N
1,N
2,N
3)=(1,1,1)としたが、これに限定するものではない。ここで、各実施例にあっては、第1発光素子20R、第2発光素子20G及び第3発光素子20Bの組(発光ユニット)を、1つの発光部20とみなす。そして、1つの発光ユニットから構成された1つの発光部20に対応して、第2基板12の第2面12Bには、1つの発光ユニットから構成された1つの発光部20からの光を透過させる1つの光透過部32が設けられた光透過抑制層31が形成されている。尚、光透過部32の外形形状は、直径D
1の円形である。各発光素子20R,20G,20Bの中心は正三角形の頂点に位置し、且つ、各発光素子20R,20G,20Bは円周上に配置されている。ここで、各発光素子20R,20G,20Bを包含する円を想定したとき、この円の直径をD
0とする。また、
図1A、
図2A、
図3A、
図4A、
図4B、
図5A、
図5B、
図5C、
図12A、
図12B、
図13においては、発光ユニットを、発光部20として、ハッチングを付した矩形で示した。また、
図1B、
図3B、
図6、
図7、
図8、
図9、
図10においては、第1発光素子20Rを円印の中に「R」を付して表し、第2発光素子20Gを円印の中に「G」を付して表し、第3発光素子20Bを円印の中に「B」を付して表し、各発光素子20R,20G,20Bの中心を結ぶ円を点線で示す。
【0035】
実施例1にあっては、第1基板11を、配線(図示せず)が形成されたガラスエポキシプリント配線板から構成し、第2基板12をポリオレフィンフィルムから構成した。また、光透過抑制層31をカーボンを分散させた塗料(インク)が固化したものから構成し、インクジェット印刷法に基づき形成した。反射防止層33をフッ素樹脂層から構成し、印刷法に基づき形成した。
【0036】
光透過部の部分を拡大した模式的な一部断面図を、
図2B、
図2C、
図2Dに示す。光透過抑制層31の厚さは、同じ厚さであってもよいし(
図1A、
図2A参照)、一層広い視野角を達成するために、光透過部32に近づく程、薄くしてもよい。具体的には、光透過抑制層31の厚さの変化は、直線状の変化であってもよいし(
図2B参照)、滑らかな曲線状の変化であってもよいし(
図2C参照)、階段状の変化であってもよい(
図2D参照)。光透過抑制層31の厚さの制御は、例えば、インクジェット印刷法に基づく光透過抑制層31の形成時、インクの吐出量を制御することで行うことができる。
【0037】
また、光透過部32の外形形状を直径D
1の円形とみなし、発光部20を直径D
0の円形とみなし、発光部20の頂面から光透過部32までの距離をL
1とし、発光部20から、光透過部32が設けられた光透過抑制層31に至るまでの光路(具体的には、保護膜13、粘着剤層14、第2基板12及び反射防止層33を通過する光路)の平均屈折率をn
1としたとき、
tan(sin
-1(1/n
1))≦(D
1−D
0)/(2・L
1)≦2
を満足する。発光部20の中心及び光透過部32の中心は、同じ軸線AX
1上にある。
【0038】
以上のとおり、実施例1の表示装置にあっては、各発光部に対応して、第2基板の第2面には、発光部からの光を透過させる光透過部が設けられ、反射防止機能を有する光透過抑制層が形成されており、光透過部には、反射防止層が形成されているので、高い耐久性を有し、しかも、充分なる低正反射率を達成し得る表示装置を提供することができる。
【実施例2】
【0039】
実施例2は、本開示の第2の態様に係る表示装置に関する。実施例2の表示装置の模式的な一部断面図を
図3Aに示し、模式的な一部平面図を
図3Bに示す。尚、
図3Aは、
図3Bの矢印A−Aに沿った模式的な一部断面図である。実施例2の表示装置10Bにあっては、
各発光部20に対応して、第2基板12の第2面12Bには、発光部20からの光を透過させる第1の光透過部32が設けられた光透過抑制層31が形成されており、第2基板12の第1面側には、発光部20からの光を透過させる第2の光透過部35が設けられた光不透過層34が形成されており、
第2の光透過部35の面積は、第1の光透過部32の面積よりも小さい(狭い)。ここで、第2基板12の第1面側に光不透過層34が形成されているが、具体的には、光不透過層34は、第2基板12の第1面上に形成されていてもよいし、発光部20と第2基板12の第1面との間の領域に形成されていてもよい。即ち、光不透過層34は、図示したように、第2基板12の第1面12A上に形成されていてもよいし、代替的に、保護膜13上に形成されていてもよい(
図5A参照)。以下の説明においても、同様である。また、光不透過層34には、赤色を発光する第1発光素子20R、緑色を発光する第2発光素子20G及び青色を発光する第3発光素子20Bの1組(1つの発光ユニット)から構成された1つの発光部20からの光を透過させる1つの第2の光透過部35が設けられている。第2の光透過部35の外形形状は、直径D
2の円形である。
【0040】
実施例2において、光不透過層34は液晶表示装置用のブラックマトリクス材料から構成されており、フォトリソグラフィ技術に基づき形成されている。実施例2においても、実施例1と同様に、光透過抑制層31は反射防止機能を有する。また、光透過抑制層31の厚さは、実施例1と同様に、同じ厚さであってもよいし(
図3A参照)、一層広い視野角を達成するために、第1の光透過部32に近づく程、薄くしてもよい(
図2B、
図2C、
図2D参照)。発光部20からの光は、第2の光透過部35、第1の光透過部32を通過して、外部に出射される。光不透過層34の厚さは、同じ厚さであってもよいし、一層広い視野角を達成するために、第2の光透過部35に近づく程、薄くしてもよい。具体的には、光不透過層34の厚さの変化は、直線状の変化であってもよいし、滑らかな曲線状の変化であってもよいし、階段状の変化であってもよい。光不透過層34の厚さの制御は、例えば、インクジェット印刷法に基づく光不透過層34の形成時、インクの吐出量を制御することで行うことができる。
【0041】
尚、実施例1と同様に、第1の光透過部32の外形形状を直径D
1の円形とみなし、発光部20を直径D
0の円形とみなし、発光部20の頂面から第1の光透過部32までの距離をL
1とし、発光部20から、光透過部32が設けられた光透過抑制層31に至るまでの光路(具体的には、
図3A、
図5Aに示す例にあっては、保護膜13、粘着剤層14及び第2基板12を通過する光路、
図4A、
図4B、
図5B、
図5Cに示す例にあっては、保護膜13、粘着剤層14、第2基板12及び反射防止層33を通過する光路)の平均屈折率をn
1としたとき、
tan(sin
-1(1/n
1))≦(D
1−D
0)/(2・L
1)≦2
を満足する。更には、第2の光透過部35の外形形状を、直径D
2の円形とみなし、発光部20を直径D
0の円形とみなし、発光部20の頂面から第2の光透過部35までの距離をL
2とし、発光部20から、第2の光透過部35が設けられた光不透過層34に至るまで光路(具体的には、
図3A、
図4A、
図4Bに示す例にあっては、保護膜13及び粘着剤層14を通過する光路、
図5A、
図5B、
図5Cに示す例にあっては、保護膜13を通過する光路)の平均屈折率をn
2としたとき、
tan(sin
-1(1/n
2))≦(D
2−D
0)/(2・L
2)≦2
を満足する。発光部20の中心、第1の光透過部の中心32、及び、第2の光透過部35の中心は、同じ軸線AX
2上にあり、第1の光透過部32と第2の光透過部35とは相似形である。
【0042】
以上のとおり、実施例2の表示装置にあっては、各発光部に対応して、第2基板の第2面には、発光部からの光を透過させる第1の光透過部が設けられ、反射防止機能を有する光透過抑制層が形成されており、第2基板の第1面側には、発光部からの光を透過させる第2の光透過部が設けられた光不透過層が形成されており、第2の光透過部の面積は、第1の光透過部の面積よりも小さい(狭い)ので、高い耐久性を有し、しかも、充分なる低正反射率を達成し得る表示装置を提供することができる。
【実施例3】
【0043】
実施例3は、実施例1の変形であり、実施例1の表示装置10Aと実施例2の表示装置10Bの組合せに関する。即ち、実施例3の表示装置10Cは、模式的な一部断面図を
図4A、
図5B、
図5Cに示すように、実施例1の表示装置10Aの構成に加えて、
各発光部20に対応して、第2基板12の第1面側には、発光部20からの光を透過させる第2の光透過部35が設けられた光不透過層34が形成されており、
第2の光透過部35の面積は、光透過部32の面積よりも小さい(狭い)。尚、
図4Aにあっては、光不透過層34は、第2基板12の第1面12A上に形成されている。一方、
図5B、
図5Cにあっては、光不透過層34は、保護膜13上に形成されている。
【0044】
光不透過層34、第2の光透過部35の構成、構造等に関しては、実施例2において説明したと同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【実施例4】
【0045】
実施例4は、実施例1の変形である。模式的な一部平面図を
図6、
図7、
図8、
図9あるいは
図10に示す実施例4の表示装置10Dにあっては、光透過抑制層41に模様(例えば、「模様A」及び「模様B」)が付されている。ここで、
図6、
図7、
図8、
図9及び
図10にあっては、図面の簡素化のため、模様Aを、右上から左下に向かうハッチングで示し、模様Bを、左上から右下に向かうハッチングで示した。光透過抑制層41は、印刷法、具体的には、例えば、インクジェット印刷法に基づき形成されている。絵、文字、ロゴ、記号、符号、印、標章、図案等を含む模様として、より具体的には、例えば、建築材の壁紙と同様の細かな周期パターン、好みの色(ワインレッド、紺碧、新緑等)、画素単位で2種類以上の微妙に異なる色とし、画素単位での模様の描画(市松等の幾何学模様や会社名ロゴ等)を挙げることができる。ここで、模様の形成ピッチは、発光部20の配置ピッチの整数倍であり(
図6、
図7参照)、あるいは又、等倍であり(
図8、
図9参照)、あるいは又、整数分の一である(
図10参照)。
図6と
図7、
図8と
図9では、模様は、発光部の配置ピッチの半分だけずれている。また、
図6、
図7、
図8、
図9、
図10において、副画素と副画素の境界を点線で示し、模様と模様の境界を点線及び/又は一点鎖線で示す。
【0046】
このような光透過抑制層41に模様が付されている形態を、実施例2の表示装置10B、実施例3の表示装置10Cに適用することができる。即ち、実施例2、実施例3の光透過抑制層31を光透過抑制層41に置き換えればよい。
【0047】
このように光透過抑制層に模様を付すことで、表示装置が画像を表示していないとき、即ち、表示装置が動作していないとき、表示装置が配置された環境(例えば、家庭の居間等)に好ましい印象を与えることができる。従来の表示装置の最表面が黒色の表示装置では、このような顧客の要求に応えることができない。また、従来の液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス表示装置においては画素面積の殆どを発光部が占めているため、模様を施すことが極めて困難である。また、より自由度の高い印刷を行うためには表示装置の最表面への印刷が望ましいが、表示装置の最表面には印刷することができる領域が殆ど無い。一方、実施例4の発光素子・表示装置にあっては、発光部を第2基板の第2面に射影したときの面積は小さく(狭く)、第2基板の第2面を占める光透過抑制層41の面積が大きい(広い)ので、模様を付与する余地が充分に有る。
【実施例5】
【0048】
実施例5は、実施例1〜実施例4の変形であり、概念図を
図11に示すように、実施例5の表示装置10Eは、実施例1〜実施例4において説明した表示装置10A,10B,10C,10Dが、表示装置ユニットとして、複数、配列されて成る(具体的には、2次元マトリクス状に、タイル状に配列されて成る)タイリング形式の表示装置である。尚、
図11においては、表示装置ユニットを構成する表示装置10Aが隙間を開けた状態で配置されているように図示しているが、実際には、隙間が無い状態で配置されている。この点を除き、実施例5の表示装置10Eを構成する表示装置ユニットは、実施例1〜実施例4の表示装置10A,10B,10C,10Dと同様の構成、構造を有するので、詳細な説明は省略する。このように、実施例1〜実施例4の表示装置を適用すれば、タイル状の斑、表示装置ユニットの目地、表示装置ユニット間の隙間、外光反射、表示装置ユニットのうねり等を目立たなくさせることができる。尚、タイル毎に(即ち、表示装置ユニット毎に、あるいは又、表示装置ユニットの集合体毎に)、異なる色又は模様を施してもよい。
【実施例6】
【0049】
実施例6は、本開示の第3の態様に係る表示装置に関する。概念図を
図12Aあるいは
図12Bに示すように、実施例6の表示装置10Fは、
第1面11A、及び、この第1面11Aと対向する第2面11Bを有する第1基板11、
第1基板11と対向して配置され、第1基板11の第2面11Bと対向する第1面12A、及び、この第1面12Aと対向する第2面12Bを有する第2基板12、並びに、
第1基板11の第2面11Bに、第2基板12と離間して設けられた複数の発光部20、
を備えており、
第2基板12の第2面側(
図12A参照)又は第1面側(
図12B参照)には、マイクロカプセル方式、電子粉流体方式、液晶方式、エレクトロウェッティング方式、電気泳動方式、化学変化方式若しくは電気泳動方式の電子ペーパー、又は、透明な液晶表示装置から成る模様表示装置51が配されており、模様表示装置51に模様を表示する。模様表示装置51に模様を表示するときには、発光部20において画像を表示しない。一方、発光部20において画像を表示するときには、模様表示装置51に模様を表示しない。模様表示装置51を構成する電子ペーパー又は液晶表示装置は、周知の構成、構造を有する電子ペーパー又は液晶表示装置から構成すればよいので、詳細な説明は省略する。模様表示装置51における画素の形成ピッチは、発光部の配置ピッチの整数倍、等倍又は整数分の一とすればよい。尚、模様表示装置51を概念的に図示している。
【0050】
第1基板11、第2基板12、発光部20の構成、構造は、実施例1において説明した表示装置の第1基板11、第2基板12、発光部20の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【実施例7】
【0051】
実施例7は、本開示の第4の態様に係る表示装置に関する。概念図を
図13に示すように、実施例7の表示装置10Gは、
第1面11A、及び、この第1面11Aと対向する第2面11Bを有する第1基板11、
第1基板11と対向して配置され、第1基板11の第2面11Bと対向する第1面12A、及び、この第1面12Aと対向する第2面12Bを有する第2基板12、並びに、
第1基板11の第2面に、第2基板12と離間して設けられた複数の発光部20、
を備えており、
第2基板12の第1面側には模様が形成されている。具体的には、模様は、第2基板12の第1面12Aの下に位置する層(具体的には、保護膜13)の凹凸52によって発現されている。発光部20からの光は、光透過部53を通過して、外部に出射される。
【実施例8】
【0052】
実施例8においては、赤色を発光する第1発光素子20R、緑色を発光する第2発光素子20G及び青色を発光する第3発光素子20Bの組(発光ユニット)から構成された表示装置の組み立て方法の概要を、
図14A、
図14B、
図14C、
図14D、
図15A、
図15B、
図16A、
図16B、
図16Cを参照して説明する。但し、表示装置の組み立て方法は、以下に説明する方法に限定するものではない。
【0053】
[工程−800]
先ず、周知の方法に基づき、発光素子製造用基板70の第1面70Aの上に、第1化合物半導体層61、化合物半導体から成る活性層63、及び、第2化合物半導体層62から成る積層構造体60を、例えば、MOCVD法に基づき形成し、更に、積層構造体60上に第2電極65を形成する。尚、積層構造体60を構成する第1化合物半導体層61、活性層63、及び、第2化合物半導体層62、並びに、第2電極65の組成、構成、構造は、発光素子に要求される仕様に基づき決定すればよい。次いで、素子分離のために、第2電極65、積層構造体60を、例えば、エッチングし、あるいは、ミーリングする。こうして、
図14Aに示すように、第2電極が形成され、素子分離された積層構造体60を得ることができる。尚、以降の図面においては、第2電極65の図示を省略する場合がある。
【0054】
[工程−810]
未硬化の接着剤層72が全面に形成された支持基板71を準備する。そして、未硬化の接着剤層72と、積層構造体60の第2化合物半導体層62とを接触させ、接着剤層72を硬化させることで、積層構造体60を支持基板71に貼り合わせる(
図14B参照)。その後、発光素子製造用基板70を裏面70Bからラッピング法やCMP法によって薄くする。ラッピングの場合、更に、アンモニア水、過酸化水素水の混合溶液にてエッチングすることで、発光素子製造用基板70を除去する。次いで、リフトオフ法と真空蒸着法にて第1電極64を第1化合物半導体層61上に形成する。こうして、
図14Cに示す構造を得ることができる。尚、[工程−800]においては素子分離を行わず、[工程−810]において素子分離を行ってもよい。
【0055】
[工程−820]
未硬化の接着剤67が積層構造体60を固定すべき部分に形成され、且つ、パッド部66が形成されたパッド部形成基板73を準備する(
図14D参照)。パッド部66は、パッド部形成基板73の表面に形成された剥離層74の上に形成されている。そして、未硬化の接着剤67と、積層構造体60(具体的には、第1化合物半導体層61)とを接触させ、例えば、エキシマレーザを接着剤層72に照射することでレーザ・アブレージョンを生じさせ、積層構造体60を支持基板71から除去した後、接着剤67を硬化させる。こうして、
図15Aに示すように、パッド部形成基板73上に、接着剤67によって積層構造体60が固定された構造(発光素子チップ21)を得ることができる。その後、第1電極64と第1パッド部40Aとをメッキ法によって電気的に接続する。
【0056】
[工程−830]
次いで、積層構造体60から第2パッド部66Bの一部の上に亙り、犠牲層75を形成する(
図15B参照)。積層構造体60の第2化合物半導体層62の一部分の上には、犠牲層75は形成されていない。
【0057】
[工程−840]
次に、第2電極65から犠牲層75、第2パッド部66Bの上に亙り、配線層68を形成する(
図16A参照)。配線層68は、下地層の形成、及び、下地層上での配線層68のメッキ法(具体的には、電解メッキ法)に基づく形成によって得られる。尚、配線層68の形成をセミアディティブ法に基づき行うこともできる。具体的には、全面にスパッタリング法に基づき、厚さ50nmのチタン(Ti)層及び厚さ200nmの銅(Cu)層を順次形成することで、下地層を得ることができる。次いで、配線層68を形成しない領域を覆うレジストマスクを形成し、電解メッキ法に基づき、レジストマスクで覆われていない下地層の部分の上に、厚さ2μmの銅層から成る配線層68を形成する。その後、レジストマスクを除去し、更に、下地層をソフト・エッチングによって除去した後、犠牲層75を除去することで、第2電極65と第2パッド部66Bとが配線層68で接続された構造を有する発光素子20’を得ることができる(
図16B参照)。
【0058】
[工程−850]
その後、発光素子20’をモールド材料を用いてモールドすることで、発光素子20’をモールドしたモールド部22を得ることができる(
図16C参照)。
【0059】
[工程−860]
接着層が全面に形成された中継基板を準備する。そして、接着層とモールド部22とを接触させ、接着層にモールド部22を付着させる。その後、エキシマレーザを剥離層74に照射することでレーザ・アブレージョンを生じさせ、発光素子20’からパッド部形成基板73を除去する。その後、中継基板上の発光素子20’のパッド部66を第1基板11に設けられた配線に電気的に接続し、中継基板を周知の方法で除去する。こうして、第1基板11に発光部20(発光素子20’)が取り付けられた構造を得ることができる。
【0060】
より具体的には、赤色を発光する第1発光部が多数、配されたパッド部形成基板から、中継基板の所定の位置に第1発光部を転写する。また、緑色を発光する第2発光部が多数、配されたパッド部形成基板から、この中継基板の所定の位置に第2発光部を転写する。更には、青色を発光する第3発光部が多数、配されたパッド部形成基板から、この中継基板の所定の位置に第3発光部を転写する。こうして、中継基板の所望の位置に、第1発光部、第2発光部及び第3発光部の組(発光ユニット)を配置することができる。そして、中継基板上の発光ユニットを構成する各発光素子20’のパッド部66を第1基板11に設けられた配線に電気的に接続し、中継基板を周知の方法で除去する。こうして、第1基板11に発光部20(発光素子20’)が取り付けられた構造を得ることができる。尚、1画素(1ピクセル)は、第1発光部、第2発光部及び第3発光部の組(発光ユニット)から構成されている。また、各発光部によって副画素が構成されている。そして、複数の発光ユニットが、第1の方向、及び、第1の方向と直交する第2の方向に2次元マトリクス状に配列されている。
【0061】
[工程−870]
その後、第1基板11の第2面側に、周知の方法で保護膜13を形成する。
【0062】
[工程−880]
例えば、実施例1の表示装置の製造にあっては、光透過抑制層31や反射防止層33が形成された第2基板12を準備し、粘着剤層14を介して、第1基板11と第2基板12の第1面12Aとを貼り合わせる。また、実施例2や実施例3の表示装置を製造する場合には、保護膜13の上に光不透過層34を形成した後、光透過抑制層31等が形成された第2基板12の第1面12Aと、第1基板11とを、粘着剤層14を介して貼り合わせる。あるいは又、実施例2や実施例3の表示装置を製造する場合には、光透過抑制層31等が第2面12Bに形成され、光不透過層34が第1面12Aに形成された第2基板12の第1面12Aと、第1基板11とを、粘着剤層14を介して貼り合わせる。
【0063】
以上、本開示を好ましい実施例に基づき説明したが、本開示はこれらの実施例に限定するものではない。実施例において説明した表示装置、発光部、並びに、係る発光部が組み込まれた発光素子・表示装置の構成、構造は例示であるし、これらを構成する部材、材料等も例示であり、適宜、変更することができる。
【0064】
発光ユニットを構成する発光部として、第1発光部、第2発光部、第3発光部に、更に、第4発光部、第5発光部・・・を加えてもよい。これらの発光部によって副画素が構成され、発光ユニットによって1画素が構成される。このような例として、例えば、輝度向上のために白色光を発光する副画素を加えた発光ユニット、色再現範囲を拡大するために補色を発光する副画素を加えた発光ユニット、色再現範囲を拡大するためにイエローを発光する副画素を加えた発光ユニット、色再現範囲を拡大するためにイエロー及びシアンを発光する副画素を加えた発光ユニットを挙げることができる。発光部が4つ以上の発光素子から構成されている場合、全ての発光素子を包含する円を想定し、この円の直径をD
0とすればよい。あるいは又、発光部が4つ以上の発光素子から構成されており、しかも、一直線上に位置していない場合、発光部においてより外側に位置する3つの発光素子の中心を結ぶ円を想定し、この円の直径をD
0とすればよい。
【0065】
図1A、
図1Bに示した実施例1の表示装置の変形例を、
図17A、
図17Bに示し、
図3A、
図3Bに示した実施例2の表示装置の変形例を、
図18A、
図18Bに示す。これらの変形例にあっては、1つの発光部は1つの発光素子から構成されている。尚、このような構成を、実施例3〜実施例8にも適用することができる。
【0066】
また、実施例においては、各発光素子20R,20G,20Bの中心が円周上に配置されているとしたが、各発光素子20R,20G,20Bの配置はこれに限定するものではない。例えば、実施例1の表示装置における各発光素子20R,20G,20Bの配置の変形例を
図19に示し、実施例2の表示装置における各発光素子20R,20G,20Bの配置の変形例を
図20及び
図21に示す。尚、
図21において、第2の光透過部35の平面形状は矩形である。これらの変形例にあっては、各発光素子20R,20G,20Bの中心が一直線上に配置されている。そして、これらの場合、全ての発光素子を包含する円を想定し、この円の直径をD
0とすればよい。あるいは又、最も外側に位置する2つ発光素子20G,20Bの中心を結ぶ線分を想定し、この線分を直径とする円の直径をD
0とすればよい。
【0067】
表示装置の動作時、即ち、発光部の動作時(発光部の点灯時)、模様をキャンセルする画像を重畳してもよい。何らの処理を行わない場合、発光部における表示画像の輝度と模様に伴う輝度とが認識され、模様が重畳された画像が認識される。ここで、元の表示画像から、模様の輝度に相当する輝度(便宜上、『信号処理後の輝度』と呼ぶ)を減じた画像を表示することで、即ち、元の表示画像を表示する信号から模様の輝度に対応した信号を減じることで、
(元の画像表示における輝度)+(模様に伴う輝度)−(信号処理後の輝度)
=(元の画像表示における輝度)
となる。それ故、発光部の動作時(発光部の点灯時)、模様をキャンセルすることができる。このような信号処理は、周知の信号処理に基づき行うことができるし、信号処理回路は、周知の信号処理回路とすることができる。尚、実際には、模様に伴う輝度は、照明や外光によって異なる場合がある。それ故、元の表示画像から模様の輝度を減じるとき、表示装置の設置環境に依存した係数を「処理後の輝度」に対して乗ずる必要がある場合がある。
【0068】
尚、本開示は、以下のような構成を取ることもできる。
[A01]《表示装置:第1の態様》
第1面、及び、該第1面と対向する第2面を有する第1基板、
第1基板と対向して配置され、第1基板の第2面と対向する第1面、及び、該第1面と対向する第2面を有する第2基板、並びに、
第1基板の第2面に、第2基板と離間して設けられた複数の発光部、
を備えており、
各発光部に対応して、第2基板の第2面には、発光部からの光を透過させる光透過部が設けられた光透過抑制層が形成されており、
光透過部には、反射防止層が形成されている表示装置。
[A02]光透過抑制層は、反射防止機能を有する[A01]に記載の表示装置。
[A03]光透過抑制層は、反射防止層の正反射率と同程度の正反射率を有する[A01]又は[A02]に記載の表示装置。
[A04]反射防止層は、光透過抑制層と第2基板の第2面との間に延在している[A01]乃至[A03]のいずれか1項に記載の表示装置。
[A05]反射防止層は、光透過抑制層を覆っている[A01]乃至[A03]のいずれか1項に記載の表示装置。
[A06]光透過抑制層には模様が付されている[A01]に記載の表示装置。
[A07]模様の形成ピッチは、発光部の配置ピッチの整数倍、等倍又は整数分の一である[A06]に記載の表示装置。
[A08]光透過抑制層の厚さは、光透過部に近づく程、薄い[A01]乃至[A07]のいずれか1項に記載の表示装置。
[A09]光透過部の外形形状を、直径D
1の円形とみなし、
発光部を直径D
0の円形とみなし、発光部の頂面から光透過部までの距離をL
1とし、
発光部から、光透過部が設けられた光透過抑制層に至るまでの光路の平均屈折率をn
1としたとき、
tan(sin
-1(1/n
1))≦(D
1−D
0)/(2・L
1)≦2
を満足する[A01]乃至[A08]のいずれか1項に記載の表示装置。
[A10]発光部の中心及び光透過部の中心は、同じ軸線上にある[A09]に記載の表示装置。
[A11]各発光部に対応して、第2基板の第1面側には、発光部からの光を透過させる第2の光透過部が設けられた光不透過層が形成されており、
第2の光透過部の面積は、光透過部の面積よりも小さい[A01]乃至[A10]のいずれか1項に記載の表示装置。
[A12]第2の光透過部の外形形状を、直径D
2の円形とみなし、
発光部を直径D
0の円形とみなし、発光部の頂面から第2の光透過部までの距離をL
2とし、
発光部から、第2の光透過部が設けられた光不透過層に至るまで光路の平均屈折率をn
2としたとき、
tan(sin
-1(1/n
2))≦(D
2−D
0)/(2・L
2)≦2
を満足する[A11]に記載の表示装置。
[A13]発光部の中心、光透過部の中心、及び、第2の光透過部の中心は、同じ軸線上にあり、
光透過部と第2の光透過部とは相似形である[A12]に記載の表示装置。
[B01]《表示装置:第2の態様》
第1面、及び、該第1面と対向する第2面を有する第1基板、
第1基板と対向して配置され、第1基板の第2面と対向する第1面、及び、該第1面と対向する第2面を有する第2基板、並びに、
第1基板の第2面に、第2基板と離間して設けられた複数の発光部、
を備えており、
各発光部に対応して、第2基板の第2面には、発光部からの光を透過させる第1の光透過部が設けられた光透過抑制層が形成されており、第2基板の第1面側には、発光部からの光を透過させる第2の光透過部が設けられた光不透過層が形成されており、
第2の光透過部の面積は、第1の光透過部の面積よりも小さい表示装置。
[B02]光透過抑制層は、反射防止機能を有する[B01]に記載の表示装置。
[B03]光透過抑制層には模様が付されている[B01]に記載の表示装置。
[B04]模様の形成ピッチは、発光部の配置ピッチの整数倍、等倍又は整数分の一である[B03]に記載の表示装置。
[B05]光透過抑制層の厚さは、第1の光透過部に近づく程、薄い[B01]乃至[B04]のいずれか1項に記載の表示装置。
[B06]第1の光透過部の外形形状を、直径D
1の円形とみなし、
発光部を直径D
0の円形とみなし、発光部の頂面から第1の光透過部までの距離をL
1とし、
発光部から、光透過部が設けられた光透過抑制層に至るまでの光路の平均屈折率をn
1としたとき、
tan(sin
-1(1/n
1))≦(D
1−D
0)/(2・L
1)≦2
を満足する[B01]乃至[B05]のいずれか1項に記載の表示装置。
[B07]第2の光透過部の外形形状を、直径D
2の円形とみなし、
発光部を直径D
0の円形とみなし、発光部の頂面から第2の光透過部までの距離をL
2とし、
発光部から、第2の光透過部が設けられた光不透過層に至るまで光路の平均屈折率をn
2としたとき、
tan(sin
-1(1/n
2))≦(D
2−D
0)/(2・L
2)≦2
を満足する[B06]に記載の表示装置。
[B08]発光部の中心、第1の光透過部の中心、及び、第2の光透過部の中心は、同じ軸線上にあり、
第1の光透過部と第2の光透過部とは相似形である[B06]又は[B07]に記載の表示装置。
[B09]第1面、及び、該第1面と対向する第2面を有する第1基板、
第1基板と対向して配置され、第1基板の第2面と対向する第1面、及び、該第1面と対向する第2面を有する第2基板、並びに、
第1基板の第2面に、第2基板と離間して設けられた複数の発光部、
を備えており、
第2基板の第2面側又は第1面側には模様表示装置が配されており、模様表示装置に模様を表示する表示装置。
[B10]模様表示装置は、電子ペーパー、又は、透明な液晶表示装置から成る[B09]に記載の表示装置。
[B11]模様表示装置に模様を表示するときには、発光部において画像を表示せず、発光部において画像を表示するときには、模様表示装置に模様を表示しない[B09]又は[B10]に記載の表示装置。
[B12]第1面、及び、該第1面と対向する第2面を有する第1基板、
第1基板と対向して配置され、第1基板の第2面と対向する第1面、及び、該第1面と対向する第2面を有する第2基板、並びに、
第1基板の第2面に、第2基板と離間して設けられた複数の発光部、
を備えており、
第2基板の第1面側には模様が形成されている表示装置。
[B13]模様は、第2基板の第1面の下に位置する層の凹凸によって発現される[B12]に記載の表示装置。
[C01]発光部は、発光ダイオードから成る[A01]乃至[B13]のいずれか1項に記載の表示装置。
[C02]各発光部は、一直線上に配置された複数の発光ダイオードから成る[A01]乃至[B13]のいずれか1項に記載の表示装置。
[C03][A01]乃至[C02]のいずれか1項に記載の表示装置が、複数、配列されて成るタイリング形式の表示装置。
[C04]タイル毎に、異なる色又は模様を施した[C03]に記載のタイリング形式の表示装置。