特許第6196616号(P6196616)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許619661610−メトキシカンプトテシン誘導体、その製造方法及び使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6196616
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】10−メトキシカンプトテシン誘導体、その製造方法及び使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 491/22 20060101AFI20170904BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20170904BHJP
   A61K 31/4745 20060101ALI20170904BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20170904BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20170904BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20170904BHJP
   A61K 9/22 20060101ALI20170904BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20170904BHJP
【FI】
   C07D491/22CSP
   A61P35/00
   A61K31/4745
   A61K9/20
   A61K9/48
   A61K9/08
   A61K9/22
   !C07B61/00 300
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-516176(P2014-516176)
(86)(22)【出願日】2012年6月15日
(65)【公表番号】特表2014-520125(P2014-520125A)
(43)【公表日】2014年8月21日
(86)【国際出願番号】CN2012076990
(87)【国際公開番号】WO2012175002
(87)【国際公開日】20121227
【審査請求日】2015年5月25日
(31)【優先権主張番号】201110169681.0
(32)【優先日】2011年6月23日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513300967
【氏名又は名称】東北林業大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】王洋
(72)【発明者】
【氏名】閻秀峰
(72)【発明者】
【氏名】井立佳
(72)【発明者】
【氏名】丁為民
(72)【発明者】
【氏名】鄭健
(72)【発明者】
【氏名】▲ボウ▼秋穎
(72)【発明者】
【氏名】于涛
【審査官】 小川 由美
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第101402640(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第1482128(CN,A)
【文献】 特表2008−529745(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/139487(WO,A1)
【文献】 特開昭61−085319(JP,A)
【文献】 国際公開第2003/043584(WO,A1)
【文献】 特開昭58−039684(JP,A)
【文献】 国際公開第01/030753(WO,A1)
【文献】 特表2005−536464(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第1955183(CN,A)
【文献】 Molecular Pharmacology,2000年,57,243-251
【文献】 Journal of Medicinal Chemistry,1980年,23(5),554-560
【文献】 Tetrahedron Letters,2010年,51,6489-6492
【文献】 Textbook of Drug Design and Discovery,2002年,Charpter 14 (pp.460-514)
【文献】 Journal of Medicinal Chemistry,1993年,36(18),2689-2700
【文献】 Journal of Medicinal Chemistry,2006年,49(14),4344-4355
【文献】 Journal of Medicinal Chemistry,2010年,53(3),1038-1047
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D,A61K
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】
[式中、Rは、C1-6アルキル基、ハロゲン化C1-6アルキル基、アリール置換C1-6アルキル基、リン酸基置換C1-6アルキル基、アミノ置換C1-6アルキル基、カルボキシ置換C1-6アルキル基、ヒドロキシ置換C1-6アルキル基、アミド基置換C1-6アルキル基から選ばれる。R1は、t‐ブトキシカルボニル置換アミノ基である。]
を有する10-メトキシカンプトテシン誘導体。
【請求項2】
Rは、C1-6アルキル基、アリール置換C1-6アルキル基から選ばれ、R1は、t‐ブトキシカルボニル置換アミノ基であることを特徴とする請求項1に記載の10-メトキシカンプトテシン誘導体。
【請求項3】
R1は、t‐ブトキシカルボニル置換アミノ基であり、かつ、
Rが、
【化2】
【化3】
【化4】
ら選ばれることを特徴とする請求項1または2に記載の10-メトキシカンプトテシン誘導体。
【請求項4】
R1は、t‐ブトキシカルボニル置換アミノ基であり、かつ、Rが−CH3であることを特徴とする請求項1または2に記載の10-メトキシカンプトテシン誘導体。
【請求項5】
カップリング剤及び触媒の作用により、10-メトキシカンプトテシンとN-t‐ブトキシカルボニルアミノ酸をエステル化反応させ、
前記カップリング剤は、N,N-ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N-カルボニルジイミダゾールまたは1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩から選ばれ、前記触媒は、ピリジンまたは4-ジメチルアミノピリジンから選ばれることを特徴とする請求項1または2に記載の10-メトキシカンプトテシン誘導体を製造する方法。
【請求項6】
請求項1−4のいずれかに記載の10-メトキシカンプトテシン誘導体、及び薬力学的に許容される担体を含有する医薬組成物。
【請求項7】
前記医薬組成物の剤形は、錠剤、カプセル、丸剤、注射剤、徐放剤、放出制御剤または各種の微粒子ドラッグデリバリーシステムであることを特徴とする請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
請求項1−4のいずれかに記載の10-メトキシカンプトテシン誘導体の抗がん医薬を製造するための使用。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、薬物化学及び治療学分野に関する。具体的に、新たな10-メトキシカンプトテシン誘導体、その製造方法及び使用に関する。
【0002】
〔背景技術〕
カンプトテシン(Camptothecin, CPT)は、Wallらにより1966年に中国特有の植物であるカンレンボクから抽出したアルカロイドである。早期のin vitro活性スクリーニングでは、カンプトテシンが相対的に強い抗がん活性を示し、多種類の固形腫瘍及び白血病に対する著しい抑制効果を有した。しかし、カンプトテシンは水溶性に劣り、毒・副作用が強いから、腫瘍を治療するための応用が限られている。10-メトキシカンプトテシン(10-methoxycamptothecin)はカンプトテシンの天然誘導体であり、抗がん活性がカンプトテシンより良いが、毒性も強い。カンプトテシンは、1985年にHsiang Y. H.らからI型トポイソメラーゼを抑制することによって細胞毒性活性を発揮することを見つけられて、再び注目されてきた。沢山の研究者はカンプトテシンの化学構造の修飾と改良を目指して、カンプトテシンの人体中の吸収状態の改良と治療效果の増強に取り組んでいる。今まで、TopotecanとIrinotecanとの二種類のカンプトテシン誘導体は、再発性卵巣癌、直腸/結腸癌を治療するための使用が既にアメリカ食品医薬品局 (FDA)からの市販認可を受けている。また、多種類の誘導体、例えば、9-ニトロカンプトテシン、9-アミノカンプトテシン、CKD-602、 DX-9815f、GI-147211に関して、異なる段階の臨床研究が行われている。カンプトテシン構造に閉鎖的なα-ヒドロキシラクトン環は、その抗がん活性を維持するための不可欠な構造であるが、このα-ヒドロキシラクトン環が人体中で加水分解されて開環されてカルボン酸塩構造に形成されやすい。このような開環形態では人血清タンパク質と結合して、その抗がん活性が失いやすい。
【0003】
【化1】
【0004】
〔発明の内容〕
本発明の一つの目的として、新しい効率的な低毒性の10-メトキシカンプトテシン誘導体を提供する。
【0005】
本発明のもう一つの目的として、このような10-メトキシカンプトテシン誘導体の製造方法を提供する。
【0006】
本発明のさらにもう一つの目的として、このような10-メトキシカンプトテシン誘導体及びその組成物の抗がん医薬としての応用を提供する。
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は一般式(1)を有する10-メトキシカンプトテシン誘導体を提供する。
【0008】
【化2】
【0009】
式中、Rは、水素原子、C1-6アルキル基、ハロゲン化C1-6アルキル基、アリール置換C1-6アルキル基、リン酸基置換C1-6アルキル基、アミノ置換C1-6アルキル基、カルボキシ置換C1-6アルキル基、ヒドロキシ置換C1-6アルキル基、アミド基置換C1-6アルキル基から選ばれる。R1は、水素原子、t‐ブトキシカルボニル置換アミノ基から選ばれる。
【0010】
特に、Rは、水素原子、C1-6アルキル基、アリール置換C1-6アルキル基から選ばれる。R1は、水素原子、t‐ブトキシカルボニル置換アミノ基から選ばれる。
【0011】
ここで、前記10-メトキシカンプトテシン誘導体において、R1は水素原子であるとき、Rが:−CH3である。
【0012】
ここで、前記10-メトキシカンプトテシン誘導体において、R1はt‐ブトキシカルボニル置換アミノ基であるとき、Rが:
【0013】
【化3】
【0014】
【化4】
【0015】
【化5】
【0016】
【化6】
【0017】
である。
【0018】
特に、前記10-メトキシカンプトテシン誘導体において、R1はt‐ブトキシカルボニル置換アミノ基であるとき、Rが:−CH3である。
【0019】
本発明による前記10-メトキシカンプトテシン誘導体の製造方法は、カップリング剤及び触媒の作用により、10-メトキシカンプトテシンとN-t‐ブトキシカルボニルアミノ酸またはカルボン酸をエステル化反応させて、式(1)の10-メトキシカンプトテシン誘導体が得られた。
【0020】
特に、本発明による前記10-メトキシカンプトテシン誘導体の製造方法は、
1)N-t‐ブトキシカルボニルアミノ酸またはカルボン酸を有機溶媒に溶かしてから10-メトキシカンプトテシン、カップリング剤及び触媒を入れて、エステル化反応させる工程と、
2)上記エステル化反応生産物を濾過して、濾液に蒸留水を入れて、沈殿物を析出させて、粗品の10-メトキシカンプトテシン誘導体を製造する工程と
を含有する。
【0021】
ここで、工程3):前記粗品の10-メトキシカンプトテシン誘導体に対して精製処理を行うこともさらに含有する。
【0022】
特に、前記精製処理は、析出した沈殿物に対する濾過、水洗、乾燥及びカラムクロマトグラフィー分離を順に行うことを含み、10-メトキシカンプトテシン誘導体が得られた。
【0023】
ここで、前記N-t‐ブトキシカルボニルアミノ酸は、N-t‐ブトキシカルボニルグリシン、N-t‐ブトキシカルボニル-L-アラニン、N-t‐ブトキシカルボニル-L-フェニルアラニンまたはN-t‐ブトキシカルボニル-L-バリンから選ばれる。前記カルボン酸は、プロピオン酸から選ばれる。前記有機溶媒は、ジメチルスルホキシドまたはN,N-ジメチルホルムアミドから選ばれる。
【0024】
特に、前記カップリング剤は、N,N-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N,N-カルボニルジイミダゾール(CDI)または1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC.HCl)から選ばれる。前記触媒はピリジンまたは4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)から選ばれる。
【0025】
本発明はさらに有効成分としての本発明による10-メトキシカンプトテシン誘導体及び薬力学的に許容される担体を含有する各種の医薬組成物。
【0026】
「薬力学的に許容される担体」とは、一種類以上の相容性固体または液体のフィラーまたはゲル体である、これらは人々の使用に適しており、且つ十分な純度と十分に低い毒性を有する。ここで「相容性」とは、化合物の薬効果を著しく低下させずに、組成物中に各々の成分が本発明の化合物と、並びにそれらが互いにブレンドできることである。薬力学的に許容される担体の一部例として、糖(例えば、グルコース、サッカロース、乳糖など)、デンプン(例えば、トウモロコシデンプン、ポテトデンプンなど)、セルロース及びその誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースナトリウム、セルロースアセテートなど)、ゼラチン、タルク、固体潤滑剤(例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム)、硫酸カルシウム、植物油(例えば、ダイズ油、ごま油、落花生油、オリーブ油など)、多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、グリセリン、マンニトール、ソルビトールなど)、乳化剤(例えば、Tween)、潤滑剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム)、着色料、調味料、安定剤、酸化防止剤、保存剤、発熱物質フリー水などが挙げられる。
【0027】
ここで、前記医薬組成物の剤形が錠剤、カプセル、丸剤、注射剤、徐放剤、放出制御剤または各種の微粒子ドラッグデリバリーシステムである。
【0028】
本発明は、さらに本発明にかかる10-メトキシカンプトテシン誘導体の抗がん医薬を製造するための応用にも関する。
【0029】
in vitro活性スクリーニング実験から、一般式(1)を有する10-メトキシカンプトテシン誘導体は著しい抗がん作用及び優れた用量依存性があることを示した。人の卵巣癌細胞系2774を受検細胞株として、MTT比色法により10-メトキシカンプトテシン誘導体の半数阻害濃度(IC50)を測定した。ここで、10-メトキシカンプトテシン-20-O-(N’-t‐ブトキシカルボニル)-グリシンエステルのIC50が355.91±43.38ナノモル/ml、10-メトキシカンプトテシン-20-O-(N’-t‐ブトキシカルボニル)-L-アラニンエステルのIC50が46.73±21.74ナノモル/ml、10-メトキシカンプトテシン-20-O-(N’-t‐ブトキシカルボニル)-L-フェニルアラニンエステルのIC50が393.56±21.74ナノモル/ml、10-メトキシカンプトテシン-20-O-(N’-t‐ブトキシカルボニル)-L-バリンエステルのIC50が1971.30±93.59ナノモル/ml、10-メトキシカンプトテシン-20-O-プロピオン酸エステルのIC50が841.53±50.11ナノモル/mlである。
【0030】
〔発明を実施するための形態〕
以下、実施例を参照して本発明をさらに詳しく説明する。
【0031】
一般式(1)を有する10-メトキシカンプトテシン誘導体に関して、式中に、Rは、水素原子、C1-6アルキル基、ハロゲン化C1-6アルキル基、アリール置換C1-6アルキル基、リン酸基置換C1-6アルキル基、アミノ置換C1-6アルキル基、カルボキシ置換C1-6アルキル基、ヒドロキシ置換C1-6アルキル基、アミド基置換C1-6アルキル基から選ばれる。R1は水素原子、t‐ブトキシカルボニル置換アミノ基から選ばれる。
【0032】
前記10-メトキシカンプトテシン誘導体において、R1は水素原子であるとき、Rが−CH3である。
【0033】
前記10-メトキシカンプトテシン誘導体において、R1はt‐ブトキシカルボニル置換アミノ基であるとき、Rが
【0034】
【化7】
【0035】
【化8】
【0036】
【化9】
【0037】
【化10】
【0038】
である。
【0039】
前記10-メトキシカンプトテシン誘導体において、R1はt‐ブトキシカルボニル置換アミノ基であるとき、Rが−CH3である。
【0040】
前記10-メトキシカンプトテシン誘導体の製造方法は、カップリング剤及び触媒の作用により10-メトキシカンプトテシンとN-t‐ブトキシカルボニルアミノ酸またはカルボン酸をエステル化反応させて、式(1)の10-メトキシカンプトテシン誘導体が得られた。
【0041】
前記10-メトキシカンプトテシン誘導体、及び薬力学的に許容される担体を含有する医薬組成物。
【0042】
前記医薬組成物の剤形は錠剤、カプセル、丸剤、注射剤、徐放剤、放出制御剤または各種の微粒子ドラッグデリバリーシステムでも良い。
【0043】
前記10-メトキシカンプトテシン誘導体の抗がん医薬を製造するための使用。
【0044】
〔実施例1:10-メトキシカンプトテシン-20-O-プロピオン酸エステルの製造〕
0.5mlのプロピオン酸を20mlのジメチルスルホキシドに入れて、攪拌しながら、0.2gの10-メトキシカンプトテシン、0.4gのDCC及び0.06gのDMAPを入れて、室温で24時間反応させて、濾過して、濾液を100ml蒸留水で希釈し、白い沈殿を析出させた。沈殿を濾過、水洗、乾燥、カラムクロマトグラフィー分離して、165mgの薄い黄色固体が得られた(収率82%)。
【0045】
1HNMR (400MHz, DMSO-d6, ppm): δ0.92 (3H, t, H-19), 1.05 (3H, t, CH3), 2.00 (2H, m, H-19), 2.53 (1H, t, CH2), 3.94 (3H, s , OCH3), 5.25 (2H, s, H-5), 5.48 (2H, s, H-17) ,7.13 (1H, s, H-14), 7.48 (1H, d, H-11), 7.51 (1H, s, H-9), 8.05 (1H, d, H-12), 8.53 (1H, s, H-7)。
【0046】
ESIMS m/z:433.3 (M+H)+
【0047】
〔実施例2:10-メトキシカンプトテシン-20-O-(N’-t‐ブトキシカルボニル)グリシンエステルの製造〕
0.52gの(N’-t‐ブトキシカルボニル)グリシンを20mlのジメチルスルホキシドに溶かし、攪拌しながら0.2gの10-メトキシカンプトテシン、0.4gのCDI及び0.06gのDMAPを入れて、室温で24時間反応させて、濾過して、濾液を100ml蒸留水で希釈し、白い沈殿を析出させた。沈殿を濾過、水洗、乾燥、カラムクロマトグラフィー分離して、156mgの薄い黄色固体(収率78%)を得られた。
【0048】
1HNMR (400MHz, DMSO-d6, ppm): δ0.94 (3H, t, H-18), 1.32 (9H, s, t-boc), 2.13 (2H, m, H-19), 3.81 (1H, dd, C-H), 3.90 (3H, s , OCH3), 3.98 (1H, dd, C-H), 5.17 (2H, s, H-5), 5.48 (2H, s, H-17) ,7.13 (1H, s, H-14), 7.43 (1H, d, H-11), 7.44 (1H, t, N-H), 7.47 (1H, d, H-9), 7.97 (1H, d, H-12), 8.44 (1H, s, H-7)。
【0049】
ESIMS:m/z 533.3 (M+H)+
【0050】
〔実施例3:10-メトキシカンプトテシン-20-O-(N’-t‐ブトキシカルボニル)-L-アラニンエステルの製造〕
0.56gの(N’-t‐ブトキシカルボニル)-L-アラニンを20mlのN,N-ジメチルホルムアミドに溶かして、攪拌しながら0.2gの10-メトキシカンプトテシン、0.5gのDCC及び0.5mlのピリジンを入れて、室温で24時間反応させて、濾過して、濾液を100ml蒸留水で希釈し、白い沈殿を析出させた。沈殿を濾過、水洗、乾燥、カラムクロマトグラフィー分離して、147mgの薄い黄色固体(収率73%)が得られた。
【0051】
1HNMR (400MHz, DMSO-d6, ppm) δ0.96 (3H, t, H-18), 1.33 (3H, t, CH3), 1.44 (9H, s, t-boc), 2.09 (2H, m, H-19), 3.90 (3H, s, OCH3), 4.09 (1H, t, C-H), 5.17 (2H, q, H-5), 5.48 (2H, s, H-17), 7.18 (1H, s, H-14), 7.39 (1H, d, H-11), 7.46 (1H, d, ,N-H), 7.61 (1H, d, H-9), 7.90 (1H, d, H-12), 8.42 (1H, s, H-7)。
【0052】
ESIMS:m/z 548.4 (M+H)+
【0053】
〔実施例4:10-メトキシカンプトテシン-20-O-(N’-t‐ブトキシカルボニル)-L-フェニルアラニンエステルの製造〕
0.79gの(N’-t‐ブトキシカルボニル)-L-フェニルアラニンを20mlのN,N-ジメチルホルムアミドに溶かして、攪拌しながら0.2gの10-メトキシカンプトテシン、0.45gのEDC.HCl及び0.5mlのピリジンを入れて、室温で24時間反応させて、濾過して、濾液を100ml蒸留水で希釈し、白い沈殿を析出させた。沈殿を濾過、水洗、乾燥、カラムクロマトグラフィー分離して、150mgの薄い黄色固体(収率75%)が得られた。
【0054】
1HNMR (400MHz, DMSO-d6, ppm): δ0.95 (3H, t, H-18), 1.47 (9H, s, t-boc), 2.14 (2H, m, H-19), 2.98 (1H, m, C-H), 3.09 (1H, m, C-H), 3.92 (3H, s, OCH3), 5.22 (2H, s, H-5), 5.50 (2H, s, H-17), 7.16 (1H, s, H-14), 7.27 (5H, m, C5H5), 7.47 (2H, m, H-11, N-H), 7.87 (1H, d, H-9), 8.16 (1H, d, H-12), 8.63 (1H, s, H-7)。
【0055】
ESIMS:m/z 624.4 (M+H)+
【0056】
〔実施例5:10-メトキシカンプトテシン-20-O-(N’-t‐ブトキシカルボニル)-L-バリンエステルの製造〕
0.59gの(N’-t‐ブトキシカルボニル)-L-バリンを20mlのN,N-ジメチルホルムアミドに溶かして、攪拌しながら0.2gの10-メトキシカンプトテシン、0.45gのEDC.HCl及び0.06gのDMAPを入れて、室温で24時間反応させて、濾過して、濾液を100ml蒸留水で希釈し、白い沈殿を析出させた。沈殿を濾過、水洗、乾燥、カラムクロマトグラフィー分離して、144mgの薄い黄色固体(収率72%)が得られた。
【0057】
1HNMR (400MHz, DMSO-d6, ppm) δ0.97 (9H, t, J = 7.2Hz, CH3), 1.56 (9H, s, t-boc), 2.15 (3H, m, H-19, C-H), 3.98 (4H, s, OCH3, C-H), 5.22 (2H, s, H-5), 5.48 (2H, s, H-17), 7.19 (1H, s, H-14), 7.47 (3H, m, H-11, H-9, N-H), 7.93 (1H, d, H-12), 8.42 (1H, s, H-7)。
【0058】
ESIMS:m/z 576.4 (M+H)+