特許第6196673号(P6196673)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6196673難燃性フォームの断熱パネルを製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6196673
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】難燃性フォームの断熱パネルを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 39/16 20060101AFI20170904BHJP
   B29C 70/06 20060101ALI20170904BHJP
   B32B 5/18 20060101ALI20170904BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20170904BHJP
   B32B 27/40 20060101ALI20170904BHJP
   B32B 37/02 20060101ALI20170904BHJP
   B29C 39/18 20060101ALI20170904BHJP
   B29C 39/20 20060101ALI20170904BHJP
   E04B 1/80 20060101ALI20170904BHJP
   B29K 75/00 20060101ALN20170904BHJP
   B29L 9/00 20060101ALN20170904BHJP
   B29L 31/10 20060101ALN20170904BHJP
【FI】
   B29C39/16
   B29C70/06
   B32B5/18
   B32B15/08 105Z
   B32B27/40
   B32B37/02
   B29C39/18
   B29C39/20
   E04B1/80 100P
   B29K75:00
   B29L9:00
   B29L31:10
【請求項の数】15
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-524866(P2015-524866)
(86)(22)【出願日】2013年7月18日
(65)【公表番号】特表2015-530941(P2015-530941A)
(43)【公表日】2015年10月29日
(86)【国際出願番号】IB2013002013
(87)【国際公開番号】WO2014020439
(87)【国際公開日】20140206
【審査請求日】2016年7月4日
(31)【優先権主張番号】MI2012A001330
(32)【優先日】2012年7月31日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147762
【弁理士】
【氏名又は名称】藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ロッティ,ルカ
(72)【発明者】
【氏名】ガンダリーニ,マウリツィオ
(72)【発明者】
【氏名】ゴリーニ,パオロ
(72)【発明者】
【氏名】バートゥセリ,ルイージ,エル.
【審査官】 川崎 良平
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06030559(US,A)
【文献】 特開2009−006566(JP,A)
【文献】 特開昭58−112737(JP,A)
【文献】 米国特許第05817260(US,A)
【文献】 特開昭63−004913(JP,A)
【文献】 米国特許第06630232(US,B1)
【文献】 特開2001−150558(JP,A)
【文献】 実開昭57−114008(JP,U)
【文献】 特開昭52−110791(JP,A)
【文献】 実開昭55−018068(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 39/00,44/00,70/00
B32B 1/00−47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属性表面仕上げシートを有するフォームラミネートを調製するための連続プロセスであって、
a)0.2〜1.0mmの厚さを有する金属層を含む底部金属性表面仕上げシートを移動表面上に連続的に供給する工程;
b)繊維マットおよび硬化性の発泡性樹脂組成物を、移動する底部金属性表面仕上げシートに連続的に適用する工程;
c)発泡性樹脂組成物を完全に膨張させる前に、繊維マットおよびフォーム形成樹脂組成物の頂部に可撓性のバリア材料の層を連続的に適用する工程;
d)発泡性樹脂組成物を完全に膨張させる前に、底部金属性表面仕上げシート、繊維マット、樹脂組成物および可撓性バリア材料を、制限領域に連続的に通過させ、底部金属性表面仕上げ層、繊維マット、樹脂組成物および可撓性バリア材料を共に圧縮し、樹脂組成物が繊維マットに入り込み、繊維マットに含浸し、可撓性バリア材料を樹脂組成物と接触させるようにする工程;
e)次いで可撓性バリア材料の層の頂部に接着剤層の層を連続的に適用する工程;
f)次いで接着剤層の頂部に0.2〜1.0mmの厚さを有する金属層を含む頂部金属性表面仕上げシートを連続的に適用する工程、および
g)得られたアセンブリをダブルバンドラミネータを通過させて、頂部金属性表面仕上げシートを接着剤層と接触させ、アセンブリを所定の厚さに一致させ、必要により樹脂組成物、接着剤層、または樹脂組成物および接着剤層の両方をさらに硬化してフォームラミネートを形成する工程
を含む、プロセス。
【請求項2】
前記発泡性樹脂組成物が、前記頂部金属性表面仕上げ層を適用する前に、少なくとも部分的に膨張され、および少なくとも部分的に硬化される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記発泡性樹脂組成物がイソシアネート系である、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記繊維マットが、20〜80g/mの重量を有するガラス繊維のマットである、請求項1から3のいずれかに記載のプロセス。
【請求項5】
前記可撓性バリア材料が、非多孔性層と片面または両面において接着されたガラスまたは他のセラミック繊維の層を含む多層構造であって、前記可撓性バリア材料の層が20〜100mmの厚さを有する、請求項1から4のいずれかに記載のプロセス。
【請求項6】
工程b)の前または工程b)の間に、前記底部金属性表面仕上げシートと前記発泡性樹脂組成物との間に接着剤の層を堆積する工程をさらに含む、請求項1から5のいずれかに記載のプロセス。
【請求項7】
前記底部金属性表面仕上げシートと前記発泡性樹脂組成物との間に堆積された接着剤層が、繊維マットより前にまたは繊維マットと同時に堆積される、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
前記発泡性樹脂組成物が20〜216mmの厚さに膨張し、前記フォームラミネートが25〜250mmの厚さを有する、請求項1から7のいずれかに記載のプロセス。
【請求項9】
0.2〜1.0mmの厚さを有する金属層を含む底部金属性表面仕上げシート2と、繊維マット10により少なくともその厚さの一部を通して強化されたポリマー性フォーム層21であって、このポリマー性フォーム層21が、底部金属性シート2に直接または間接的に接着されているフォーム層と、繊維強化されたポリマー性フォーム層21に接着された可撓性バリア材料5の層と、可撓性のバリア材料5に接着された接着剤層4と、接着剤層4によって可撓性バリア材料5の層に接着された0.2〜1.0mmの厚さを有する頂部金属性表面仕上げシート1と、を含む断熱パネル。
【請求項10】
前記繊維マット10が20〜80g/mの重量を有する、請求項9に記載の断熱パネル。
【請求項11】
前記繊維マット10がガラス繊維のマットである、請求項9または10に記載の断熱パネル。
【請求項12】
前記可撓性バリア材料が、非多孔性層の片側または両側に接着されたガラスまたは他のセラミック繊維の層を含む多層構造である、請求項9から11のいずれかに記載の断熱パネル。
【請求項13】
前記可撓性バリア材料5の層が20〜100mmの厚さを有する、請求項9から12のいずれかに記載の断熱パネル。
【請求項14】
底部金属性層2とポリマー性フォーム層21との間に接着剤6の層をさらに含む、請求項9から13のいずれかに記載の断熱パネル。
【請求項15】
ポリマー性フォーム層21が20〜240mmの厚さを有し、断熱パネルが25〜250mmの厚さを有する、請求項9から14のいずれかに記載の断熱パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属性表面仕上げシートを有するフォーム複合体パネルを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
断熱パネルは、家、建物、冷蔵施設、船舶および他の構築物を断熱するために広く使用される。1つのタイプの断熱パネルは、ポリマー性フォームコアおよび金属性シート表面仕上げパネルを含む。このタイプの構築物は、断熱、機械的強度および難燃性の良好な組み合わせを提供することができる。いくつかの理由から、ポリマーフォーム層内に繊維強化材を含むことが望ましい場合がある。繊維強化材は、パネルの物理的特性およびその燃焼試験における性能の両方を向上させることができる。
【0003】
種々のプロセスが、断熱パネルを製造するために使用できる。表面仕上げ材およびコア材料のタイプに依存して異なるプロセスが使用される。面が非常に薄い可撓性材料である場合は単一の連続プロセスにおいて断熱パネルを製造することが公知である。パネルが2つのより厚い金属性表面仕上げパネルを含む場合、特にポリマー性コアも繊維強化されるべきである場合には、連続製造はより困難になる。単一操作においては、繊維性強化材をポリマー性フォームで含浸し、フォームを膨張させ、表面仕上げシートを適用するのが困難になる。このため、これらのパネルの製造は、別個の製造プロセスに分割される。このことが設備および操作コストを増大させる。これらのパネルを製造するためのより効率の良い、経済的なプロセスが必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、金属性表面仕上げシートを有するフォームラミネートを調製するための連続プロセスであり、
a)0.2〜1.0mmの厚さを有する金属層を含む底部金属性表面仕上げシートを移動表面上に連続的に供給する工程;
b)繊維マットおよび硬化性の発泡性樹脂組成物を移動する底部金属性表面仕上げシートに連続的に適用する工程;
c)発泡性樹脂組成物を完全に膨張させる前に、繊維マットおよびフォーム形成樹脂組成物の頂部に可撓性のバリア材料の層を連続的に適用する工程;
d)発泡性樹脂組成物を完全に膨張させる前に、底部金属性表面仕上げ層、繊維マット、樹脂組成物および可撓性バリア材料を、制限領域に連続的に通過させ、底部金属性表面仕上げ層、繊維マット、樹脂組成物および可撓性バリア材料を共に圧縮し、樹脂組成物が繊維マットに入り込み、繊維マットを含浸し、可撓性バリア材料を樹脂組成物と接触させるようにする工程;
e)次いで、可撓性バリア材料の層の頂部に接着剤層の層を連続的に適用する工程;
f)次いで接着剤層の頂部に0.2〜1.0mmの厚さを有する金属層を含む頂部金属性表面仕上げシートを連続的に適用する工程、および
g)得られたアセンブリをダブルバンドラミネータに通過させ、頂部金属性表面仕上げシートを接着剤層と接触させ、アセンブリを所定の厚さに一致させ、樹脂組成物、接着剤層または樹脂組成物および接着剤層の両方を硬化してフォームラミネートを形成する工程
を含む。
【0005】
このプロセスは、2つの金属性表面仕上げ層および繊維強化されたポリマー性フォームコアを用いて単一の連続操作により断熱パネルの製造を可能にする。プロセスは、硬化性の発泡性樹脂組成物で繊維マットを良好に含浸でき、これによりポリマーフォーム層の良好な繊維強化を導き、従って良好な機械的特性を導く。そのため、このプロセスは、設備をあまり必要とせず、操作コストを削減し、標準化された燃焼試験によって示されるように優れた断熱能と優れた難燃性との両方を有する製品を製造する。
【0006】
本発明のプロセスの製品は、少なくとも以下の層を含有する断熱パネルである:0.2〜1.0mmの厚さを有する金属層を含む底部金属性表面仕上げシート;繊維マットにより少なくともその厚さの一部を通して強化されたポリマー性フォーム層であって、このポリマー性フォーム層が、底部金属性シートに直接または間接的に接着されているフォーム層;繊維強化されたポリマー性フォーム層に接着された可撓性バリア材料の層;実質的に可撓性のバリア材料の層に接着された接着剤層、および接着剤層によって可撓性バリア材料の層に接着された0.2〜1.0mmの厚さを有する頂部金属性表面仕上げシート。任意選択による種々の層を、より完全に以下で説明されるように、プロセスに挿入できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明のプロセスの実施形態の概略図である。
図2】本発明に従って製造された断熱パネルの実施形態の断面図である。
図3】本発明のプロセスの一部の代替実施形態の概略図である。
図4】本発明のプロセスの一部の第2の代替実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1を参照すると、底部金属性表面仕上げシート2は連続的に供給されて、移動する底部表面仕上げシートを形成し、この上に、後に導入される材料を堆積させる。底部金属性表面仕上げシート2は、種々のタイプの機械的設備を用いて供給および移動させることができる。例えば、金属性表面仕上げシート2は、移動するプラットフォーム、例えばエンドレスベルト、一連の駆動ローラー、テンターフレームまたは他の装置上に供給できる。金属性表面仕上げシート2は、ダブルバンドラミネータ11によってまたは他の何らかの下流引張デバイス(図示せず)を通して、プロセスを通して引張ることができる。
【0009】
繊維マット10および硬化性の発泡性樹脂組成物19は、移動する底部金属性表面仕上げシート2上に適用される。示される実施形態において、樹脂組成物19は、繊維マット10の上流で堆積される。しかし、図3および4に示されるように、繊維マット10の下流で樹脂組成物19を堆積させることも可能である。繊維マット10および樹脂組成物19をプロセス中の同じ点で堆積させることも可能である。
【0010】
繊維マット10は、いずれかの好適な設備(図1に示されるような一連のローラー16を含む)を用いて堆積できる。一旦堆積されたら、繊維マット10は、金属性表面仕上げシート2によってプロセスを通して運ばれ、または金属性表面仕上げシート2と共にプロセスを通して加圧および/または引張られることができる。
【0011】
硬化性の発泡性樹脂組成物19は、同様に、種々のタイプの分配設備(当分野において周知のタイプの設備を含む)を用いて堆積できる。好適な設備としては、例えばトラバースホース、1つ以上の静止ミックスヘッド、1つ以上のスプレーノズル、または流体を分配するための他の好適な装置が挙げられる。図1において、こうした分配設備は、一般に参照記号Aによって示される。硬化性の発泡性樹脂組成物を堆積するための設備はまた、樹脂組成物の構成成分を貯蔵するための種々の槽または他の容器、こうした構成成分および/または配合された樹脂組成物を計量するための計量手段;樹脂組成物を形成するために構成成分を混合するための混合手段、樹脂組成物の構成成分をこれらそれぞれの貯蔵容器から混合手段および/または分配装置を通して移動させるためのポンプ輸送手段を含んでいてもよい。硬化性の発泡性樹脂組成物の構成成分を混合および分配するために好適な設備は、例えばCannon、SAIPおよびKrauss Maffeiから市販されている。
【0012】
所望により、分配された樹脂組成物は、設備、例えば一組のニップロールまたはドクターブレードを用いてプロセスのこの点において、層に形成されてもよく、および/または一致させてもよい。
【0013】
再び図1を参照して、実質的に非多孔性の可撓性材料5の層が、繊維マット10および樹脂組成物19の頂部に連続的に適用される。可撓性材料5は、樹脂組成物19が完全に膨張される前に適用される。樹脂組成物19は、多くの場合、堆積されるとすぐに反応を開始し、膨張し、堆積されたときであっても膨張過程にあるときもある。従って、発泡性樹脂組成物19は、図1に示されるように、可撓性材料5が適用される場合に部分的に既に膨張していてもよい。より遅い反応の樹脂組成物は、この点では測定可能な程度には膨張していないことがある。いかなる場合においても、可撓性材料5は、樹脂組成物19が完全に膨張する前に堆積されるべきである。
【0014】
底部金属性表面仕上げ層2、繊維マット10、樹脂組成物19および可撓性材料5を含む得られたアセンブリを、次いで制限領域14に連続的に通過させる。この工程は、発泡性樹脂組成物19が完全に膨張する前に行われる。制限領域14は、種々の層が制限領域14に入る直前の種々の層の合わせた高さ以下、好ましくはこうした高さよりわずかに小さい(例えば2〜25%)の高さを有する。このため、底部金属性表面仕上げ層2、繊維マット10、樹脂組成物19および可撓性材料5は、制限領域14において共に圧縮される。材料が制限領域14を通過するときに、樹脂組成物19は、繊維マット10に入り込み、繊維マット10を含浸し、底部側の可撓性材料5は、樹脂組成物19と接触する。
【0015】
図1に示される実施形態において、制限領域14は、ローラー12および13によって規定され、これらは、所定の距離で離れるように設定されており、従って制限領域14の高さを規定する。
【0016】
制限領域14を出るアセンブリは、樹脂組成物19(部分的に膨張されてもよい)で含浸された繊維マット10の層17を含む。層17は、底部金属性表面仕上げ層2と可撓性材料5との間に挟持される。可撓性材料5がバリア層として作用するので、樹脂組成物19は、これらの底部表面と接触するが、それらを通して浸透せず、こうした理由から、ローラー12または制限領域14を規定する他の機械的デバイスと接触しない。
【0017】
アセンブリが制限領域14を出た後、接着剤層4が、可撓性材料5の頂部に連続的に適用される。種々のタイプの分配、混合、計量、展延および/または一致設備が使用されて、接着剤層4を形成できるが、これらとしては樹脂水組成物19に関して上記で記載されるようなタイプが挙げられる。図1において、この分配設備は、一般に参照記号Bによって示される。樹脂組成物19は、接着剤層4が適用される点において、膨張していなくてもよく、部分的に膨張してもよく、または完全に膨張してもよい。図1に示される実施形態において、樹脂組成物19は、接着剤層4が導入される点において部分的にのみ膨張している。
【0018】
頂部金属性表面仕上げ層1を適用する前に、樹脂組成物19は、少なくとも部分的に膨張および/または部分的に硬化してもよい。部分的な硬化により、膨張している樹脂組成物が、頂部金属性表面仕上げシート1の重量を支持するのに役立ち得る。膨張は、既に記載したように、接着剤層4が適用される前、適用される間および/または適用された後に生じ得る。同様に硬化(通常、膨張と同時に進行するが、部分的には膨張工程の後に続き得る)は、接着剤層4の適用前、または好ましくは適用の間または適用後に行われることができる。頻繁には特に樹脂組成物19がイソシアネートに基づく場合、膨張ガスの発生、ひいては膨張工程自体は、硬化反応の一部をなし、こうした場合に、少なくとも部分的に硬化工程と同時に生じるが、一部の追加硬化反応は、吹込みガスが生じた後および膨張が完了した後に継続してもよい。部分的に硬化され、膨張した樹脂組成物19が頂部金属性表面仕上げ層1の重量を支持し得る場合、頂部金属性表面仕上げ層1を適用する前に樹脂組成物19を完全に硬化させる必要はない。
【0019】
頂部金属性表面仕上げシート1は、接着剤層4上に連続的に適用される。頂部金属性表面仕上げシート1を送達する様式は、特に重要ではない。広範囲の機械的デバイスが、頂部金属性表面仕上げシート1を適用するために使用できる(底部金属性表面仕上げシート2に関して記載されたデバイスのいずれをも含む)。
【0020】
頂部金属性表面仕上げシート1がプロファイルされる場合、接着剤層4は、その底部表面を水平にするまで表面仕上げシートの凹型領域を満たし得る。
【0021】
その後、得られたアセンブリは、ダブルバンドラミネータ11を連続的に通過して、頂部金属性表面仕上げシート1を接着剤層4と接触させ、このアセンブリを所定の厚さに一致させ、必要に応じて樹脂組成物19および/または接着剤層4の硬化を完了させて、フォームラミネート20を形成する。硬化の際、樹脂組成物19はポリマー性フォーム層21を形成し、これは、繊維マット10によってその厚さの少なくとも一部を通して強化される。ゲージ(すなわち、ラミネータ11の頂部バンド11aと底部バンド11bとの距離)は、パネル厚さを規定する。アセンブリがラミネータ11を通過するとき、頂部バンド11aは、頂部金属性表面仕上げ層1に対して弱い下方応力を生じ、それを接着剤層4と接触させ、接着させる。膨張した樹脂組成物は、この工程で幾分圧縮され得るが、圧力は、フォームを破壊するまたは大きな背圧を生じる程には大きくしてはならない。接着剤層4および任意選択による接着剤層6(以下に記載されるように)は、熱硬化を必要とし、この熱硬化はこの積層工程の間に少なくとも部分的に生じ、頂部金属性表面仕上げ層4を、強化されたフォーム層21に接着させるのが好ましい。熱は、樹脂組成物19および/または接着剤層4の硬化を駆動するのに必要とされる場合に、片面または両面を通して適用されてもよい。
【0022】
得られたラミネート20は、ダブルバンドラミネータ11の後方端部から連続的に排出される。次いでラミネート20は、通常、任意の所望の長さに切断され(例えばナイフ15によって、または好ましくはバンドまたは円形ソーによって)、必要によりまたは所望によりポスト硬化され、倉庫保管および/または出荷のために包装される。
【0023】
頂部金属性表面仕上げ層1および底部金属性表面仕上げ層2はそれぞれ単層または多層材料であり、0.2〜1.0mmの厚さを有する少なくとも1つの金属性層を含む。金属性層は、操作温度にて固体である任意の金属であってもよいが、この目的のために好ましい金属は、鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、亜鉛、チタン、青銅、銅、黄銅、マグネシウム、およびこれらのいずれかの種々の合金である。鋼は、低コストおよび所望の機械的特性の基準から最も好ましい。金属性層は平坦であってもよいが、プロファイルされることもできる(例えば溝付きまたはその長さに沿ったチャンネル付き)。金属性層は、接着剤層4に接着する能力を改善するために、例えばコロナ放電によって表面処理されてもよい。金属性層はまた、本発明のプロセスに導入する前に加熱されてもよい。プロファイリング、表面処理および/または加熱工程は、本発明のプロセスに一体化されてもよい。
【0024】
金属性層は、金属性表面仕上げ層の単独構成成分であってもよい。あるいは金属性表面仕上げ層のいずれかまたは両方は、他の材料の1つ以上の層、例えば紙、保護コーティング、塗料、装飾ベニヤ板などを含有するラミネートであってもよい。ラッカー塗装の鋼パネルは、金属性表面仕上げ層として特に好適である。頂部金属性表面仕上げ層1および底部金属性表面仕上げ層2は、同一であってもよく、または互いに異なっていてもよい。
【0025】
繊維マットは、例えば整列した連続繊維;連続ロービング;ランダム配向された短繊維(長さが15cm以下)または長繊維であってもよい。繊維マットの繊維は、発泡性樹脂組成物が膨張および硬化するときに上方に少なくとも部分的に運ばれるので、繊維強化材は、樹脂組成物が形を成すときに形成されるフォームコア層の厚さ全体を通して膨張するのが好ましい。このため、一部の実施形態において繊維マットの繊維は機械的に接着され(例えばエンタングルメント、縫合および/またはニードルパンチを通して)、熱接着されおよび/または接着剤接着され、織られまたは編まれることもできるが、好ましいマットにおいて繊維は、好ましくは熱接着または接着剤接着されず、最大でも軽くエンタングルされる程度であるので、繊維は、互いに対して容易に移動でき、少なくともその一部は、樹脂組成物の膨張につれて上方に運ばれ得る。繊維は、好ましくはパネル製造プロセスの間に直面する温度において熱安定性である材料から製造され、ポリマー性フォーム材料よりも堅い。ガラスは、好ましいタイプの繊維であるが、他のタイプ、例えば他のセラミック材料(ミネラルウール、窒化ホウ素、窒化ケイ素などを含む)、金属、炭素、高融点ポリマー性繊維、および天然繊維、例えば羊毛、綿、ジュート、大麻、または絹が有用である。コスト、利用可能性および全体的に良好な性能に基づいてガラス繊維が好ましい。好ましい繊維マット重量は、例えば20〜80g/mの重量であってもよい。繊維マットは、2つ以上の積み重ねられた層の形態で提供されてもよい。繊維マットの全体厚さ(樹脂組成物の硬化の間に膨張する前)は、例えば3〜10mmであってもよい。
【0026】
硬化性の発泡性樹脂組成物19は、気泡性のポリマーフォームを製造するためのプロセスにおいて反応するポリマー前駆体および吹込み剤および/または吹込み剤前駆体の混合物である。硬化性の発泡性樹脂組成物19は、好ましくは16〜320kg/m、より好ましくは24〜80kg/mの自由発泡密度を有するフォームを製造するように配合される。「自由発泡」密度は、垂直方向への膨張を制限することなく、繊維マットの不存在下、樹脂組成物のサンプルを硬化し、こうして製造されるフォームの密度を測定することによって決定される。こうして製造される気泡性ポリマーフォームは、好ましくは硬質フォームである。
【0027】
イソシアネート系樹脂組成物は、これらの組成物が初期粘度が低い状態で配合できるので(これにより、繊維マットの繊維間の隙間に組成物が容易に浸透する)、およびイソシアネート系樹脂組成物が、膨張し、迅速に硬化するように配合でき、有用な特性を有するポリマーフォームを形成できるので、極めて好ましい。イソシアネート系樹脂組成物は、ウレタン基、尿素基、および/またはイソシアネート基を有するポリマーを製造するために配合されてもよい。特に好ましいタイプのイソシアネート系樹脂組成物は、これらのタイプのフォームが高い断熱および優れた強度対重量比の優れた組み合わせを示すので、ポリイソシアヌレートまたはポリウレタンポリイソシアヌレートフォーム形成組成物である。
【0028】
好適なイソシアネート系樹脂組成物は周知である。例えば国際公開第2010/114703号および同第2007/02588号に記載されるものが好適である。一般に、イソシアネート系樹脂組成物は、少なくとも1つのポリイソシアネート化合物、少なくとも1つの吹込み剤、少なくとも1つのポリオール、およびイソシアネート基とこれら自体との、および/またはイソシアネート基と組成物中のイソシアネート反応性材料(例えばポリオールおよび存在し得る場合には水)との反応のための少なくとも1つの触媒(イソシアヌレート基を製造するために)を含む。
【0029】
可撓性バリア材料の層は、硬化性発泡性樹脂組成物が、制限領域14を形成するために使用される設備と接触することを防止する。そのため、これは、非多孔性であるか、またはこれが孔または開口部を有する場合には、こうした孔または開口部は、プロセスの間に可撓性バリア材料を通して硬化性の発泡性樹脂組成物を浸透しないように十分小さい。「可撓性」とは、シートの組成物および厚さが、永続的な損傷も歪曲も生じることなく、1インチ(2.54cm)以下、好ましくは0.25インチ(6.25mm)以下の曲げ半径に可逆的に曲げることができるようなものであることを意味する。可撓性材料は、好ましくは本発明のプロセスの条件下で熱安定性であり、硬化性の発泡性樹脂組成物に溶解もせず、この組成物によって劣化もしない。
【0030】
種々の材料が可撓性バリア材料として有用である。これらのうち、紙:ポリマーフィルムおよび/またはポリマーフォーム(熱可塑性ポリマーフィルムおよびフォーム、例えばポリオレフィン、ポリエステル、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリウレタン;金属箔、例えばアルミニウム箔など;織布または不織布を挙げることができる。可撓性バリア材料は、2つ以上の層を含有する多層構造であってもよく、このうち少なくとも1つが樹脂組成物の通過に対してバリアを形成する。例えば、可撓性バリア材料は、非多孔性層に接着される多孔性層を含んでいてもよい。こうした可撓性バリア材料の例としては、気泡性ポリマー、顆粒材料もしくは繊維性材料または非多孔性層に接着した他の多孔性材料、例えば紙シート、ポリマーフィルムの層などの層が挙げられる。好ましいタイプの可撓性バリア材料は、非多孔性層、例えば紙またはポリマーフィルムの片側または両側に接着したガラスまたは他のセラミック繊維の層を含む多層構造である。特に好ましいタイプの可撓性バリア材料は、紙層に対して片側または両側に接着した鉱物ウールの層である。
【0031】
可撓性バリア材料の層は、例えば20〜100mmの厚さを有していてもよい。
【0032】
接着剤層4は、例えばホットメルト接着剤または好ましくは硬化性タイプ、例えばエポキシ接着剤またはイソシアネート系接着剤であることができる。好適なエポキシ接着剤は、周知であり、例えば国際公開第2006/093949号および同第2006/052726号に記載されている。これらのエポキシ接着剤は、エポキシ樹脂、硬化剤および少なくとも1つのエポキシ硬化触媒を含む。好適なポリウレタンおよびポリウレタン−ポリイソシアヌレート接着剤も周知であり、例えば国際公開第2011/045139号に記載される。ポリウレタンおよびポリウレタン−ポリイソシアヌレート接着剤は、少なくとも1つのポリイソシアネート化合物、少なくとも1つのポリオール、アミノアルコールまたはポリアミン、および好ましくは硬化反応のための少なくとも1つの触媒を含む。ポリイソシアヌレート基が形成されるべきである場合、接着剤は、好ましくはイソシアネート基の三量化用の触媒、ならびにヒドロキシル基に対するイソシアネート基の反応のための触媒を含む。エポキシまたはポリウレタン接着剤は、1つの構成成分または2つの構成成分の接着剤として配合できる。
【0033】
接着剤層4は、無機充填剤を含有してもよく、これはコストを削減し、その物理的特性を調整し、熱バリアを提供し、追加の難燃性を提供し、および/または膨張剤として作用するために含まれていてもよい。膨張性グラファイトは、膨張剤として作用する無機充填剤の例である。接着剤層4は、好ましくは非気泡性であり、または気泡性の場合は、少なくとも150kg/m、より好ましくは少なくとも400kg/m、特に少なくとも700kg/mの密度を有する。
【0034】
図2を参照して、本発明に従って調製された断熱パネル20は、底部金属性表面仕上げ層2、ポリマー性フォーム層21(これは樹脂組成物19の膨張および硬化によって製造され、その厚さの少なくとも一部を通して繊維マット10で強化される)、可撓性層5、接着剤層4および頂部金属性表面仕上げ層1を含む。接着剤層4は、可撓性層5と頂部金属性表面仕上げ層1とを接着する。可撓性層5は、ポリマー性フォーム層21に直接接着される。図2に示される実施形態において、任意選択による接着剤層6がポリマー性フォーム層21と底部金属性表面仕上げ層2とを接着させるが、接着剤層6は省略でき、この場合ポリマー性フォーム層21は、底部金属性表面仕上げ層2に直接接着する。繊維マット10は、ポリマー性フォーム層21の厚さの10%程度から100%程度までに及び得るが、好ましくはポリマー性フォーム層21の厚さの少なくとも50%程度に及ぶ。良好な例示のために、種々の層の厚さは、図2において正確な縮尺ではない。
【0035】
断熱パネル20は、好ましくは25〜250mmの厚さを有する。強化されたフォーム層は、5〜240mmの厚さを有していてもよい。
【0036】
一部の実施形態において、任意選択による接着剤層は、底部金属性表面仕上げ2および強化されたフォーム層21の間に挿入できる。こうした任意選択による接着剤層は、図1、3および4において参照番号6により示される。任意選択による接着剤層6は、接着剤層4に関して記載されるように、例えばホットメルト接着剤または好ましくは硬化性のタイプ、例えばエポキシ接着剤またはイソシアネート系接着剤であることができる。接着剤層6が存在する場合、それは接着剤層4と同じまたは接着剤層4とは異なることができる。
【0037】
図1に示される実施形態において、任意選択による接着剤層6は、樹脂組成物19および繊維マット10が導入される点の上流において、底部金属性表面仕上げ層2に直接、参照記号Cによって示される装置を用いて適用される。金属性表面仕上げシート1がプロファイルされる場合、接着剤層6が表面仕上げシートの凹型領域をその頂部表面が水平になるように埋めてもよい。代替実施形態において、任意選択による接着剤層6、繊維マット10および樹脂組成物19が導入される順番は、変動できる。装置Cは、一般に装置AおよびBに関して先に記載される通りである。
【0038】
図3に示されるような代替実施形態において、任意選択による接着剤層6は、底部金属性表面仕上げ2に適用され、次いで繊維マット10が任意選択による接着剤層6上に直接適用され、続いて樹脂組成物19および可撓性バリア材料5が適用された後、ローラー12および13によって、規定される制限領域14に材料を通過させる。
【0039】
図4に示される代替実施形態において、繊維マット10は、底部金属性表面仕上げ2に直接載置され、続いて任意選択による接着剤層6、次いで樹脂組成物19および可撓性バリア材料5に載置された後、材料をローラー12および13によって規定される制限領域14に通過させる。
【0040】
図3および4に示される代替実施形態において、繊維マット10は、樹脂組成物19によって部分的に含浸されることに加えて、接着剤層6で部分的に含浸されてもよい。接着剤6は、繊維マット10よりも薄くなければならず、繊維マット10の少なくとも一部は、接着剤層6から延び、樹脂組成物19で含浸されるので、得られたフォーム層21は、先に記載されたような、その厚さの少なくとも一部を通して繊維マット10によって強化される。
【0041】
本発明のフォームラミネートは、種々の構造、断熱および/または装飾用途において使用できる。それらは、内壁もしくは外壁の建設物材料、建物の天井および屋根材料;装飾および/またはファザード材料、配管システムパネル、建物の壁および天井;建物および種々の冷蔵施設のための断熱パネルとして使用できる。ラミネートは、船舶および他の輸送車両のための敷板として使用できる。これらのフォームラミネートは、一般に従来のパネルと同じ用途および同じ様式で使用できる。
図1
図2
図3
図4