【文献】
PAVIC A., "The control of poultry Salmonella colonisation by vaccination and prophylactic treatment with anti-Salmonella antibodies.", (2010), The University of New South Wales [online], Chapter 6, pp.144-185, インターネット<URL: http://unsworks.unsw.edu.au/fapi/datastream/unsworks:9303/SOURCE02>
【文献】
Applied and Environmental Microbiology (2010), Vol.76, No.23, pp.7820-7825
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
サルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)血清群C2‐3感染、またはサルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)血清群C2‐3およびサルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)血清群C1感染に起因する障害を防御するための家禽への投与用ワクチンの製造における、サルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)血清群C1の血清型の使用であって、
該サルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)血清群C1の該血清型が不活性化されていることを特徴とする、使用。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1A〜1Cは、S.ハダル(S.Hadar)による攻撃感染(challenge)後の日数に対する三価および/または四価の血清型ワクチンおよび対照の有効性を比較する。データは個々のトリに対する個別的な点として表す。有効性は、総排出腔スワッブによって単離された攻撃感染の血清型のlog
10cfu/gにより反映される。
図1Aおよび1Bは、対照と対比して二の三価ワクチン(SE/ST/SIおよびSE/ST/SH)および一の四価ワクチン(Quad1、SE/ST/SH/SI)の有効性を比較する。
【0024】
図1A(研究1 ハダル(Hadar)攻撃感染:個々のトリの総排出腔スワッブ)は、研究1における攻撃感染の3日後(●)および5日後(◆)に得られたデータを示し、一方では
図1B(研究2 ハダル(Hadar):個々のトリの総排出腔スワッブ)は、研究2における攻撃感染の3日後(●)、5日後(▲)および7日後(◆)に得られたデータを示す。
【0025】
図1C(研究3:個々のトリの排出対時間。 ハダル(Hadar)攻撃感染)は、研究3の3日(●)、5日(▲)および7日(◆)に得られたデータを示し、対照と対比して三の異なる四価(SE/ST/SH/SI)製剤の有効性を比較する。
【0026】
下記の表1は、各試験ワクチンの内容を示す。平均値は、表1A〜1Cにおいて(○の中に+)で示す。
【
図2】
図2A〜2Bは、S.ハダル(S.Hadar)攻撃感染7日後に得られた死後の器官の単離により究明された、直接培養による陽性のトリのパーセンテージを示す。
【0027】
図2A(研究1 ハダル(Hadar):直接培養(7日)による陽性トリの割合)は、
図1Aに記載する研究1からの結果を示し、盲腸、肝臓および脾臓からの死後の試料を比較する。
【0028】
図2B(研究2 ハダル(Hadar):直接培養(7日)による陽性のトリの割合)は、
図1Bに記載する研究2からの結果を示し、盲腸および脾臓からの死後の試料を比較する。
【0029】
下記の表1は、各試験ワクチンの内容を示す。
【
図3】
図3A〜3Cは、S.インファンティス(S.Infantis)攻撃感染7日後および/または14日後に得られた死後の器官の単離により究明された、直接培養による陽性のトリのパーセンテージを示す。研究1および2は、対照に対比して二の三価ワクチン(SE/ST/SIおよびSE/ST/SH)および一の四価ワクチン(Quad 1、下記に定義)を比較する。
【0030】
図3A(研究1 インファンティス(Infantis):7日の直接陽性の試料の割合)は、研究1の7日における死後の盲腸試料の比較を示す。
【0031】
図3B(研究1 インファンティス(Infantis):14日の直接陽性の脾臓試料の割合)は、研究1の14日における死後の脾臓試料の比較を示す。
【0032】
図3C(研究2 インファンティス(Infantis):7日の直接陽性の試料の割合)は、研究2の7日における死後の肝臓および脾臓試料の比較を示す。下記の表1は、各試験ワクチンの内容を示す。ワクチンの内容と棒グラフの陰影処理との相関関係は、上記の
図2Aから2Bに示す通りである。
【
図4】
図4は、双方の試験群に対するすべての試料採取日における直接培養により総排出腔試料から回収された、平均Log10cfu/gでの攻撃感染細菌S.ハダル(S.Hadar)の実施例3の排出結果を示す。
【
図5】
図5は、双方の試験群に対する攻撃感染10日後および14日後における、陽性の合計脾臓試料(直接培養および集積培養による)のパーセンテージでの実施例3の転移結果を表す。
【0033】
本発明は、上記の通りの血清群C1およびC2‐3由来のサルモネラ(Salmonella)血清型の間の以前報告された顕著な抗原性の差異にもかかわらず、これら二の異なる血清群の間の交差防御の量が、双方の血清群由来の血清型を防御するためのいずれか一方の血清群由来の一の血清型を含むワクチンを可能とするために十分であることを開示する。特に、血清群C2‐3またはC1のいずれかの血清型から産生される抗原の防御能は、S.ハダル(S.Hadar)(C2/3)およびS.インファンティス(S.Infantis)(C1)の双方による攻撃感染を防御することが示された。
【0034】
従って本発明は、血清群B、DおよびさらにC2‐3またはC1由来のサルモネラ(Salmonella)の血清型を含むサルモネラ(Salmonella)三価ワクチンが、C2‐3およびC1だけでなく血清群BおよびDにわたって適正な防御を提供するであろうことを示すデータを提示する。当該三価ワクチンの四価ワクチンに優る有利な点には、商品原価を最小限に抑えること、およびある抗原の他の抗原への干渉の可能性を最小限に抑えることが含まれる。
【0035】
本発明の一態様において、サルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)の血清型は、鉄制限培地で増殖される。鉄キレート剤のサルモネラ(Salmonella)の血清型の増殖培地への取り込みは、従来法で増殖された細菌よりも、インビボでの増殖に対しより応えた生理機能をもたらす鉄封鎖機構を活性化するように細菌を誘導する。鉄制限サルモネラ(Salmonella)を増殖するというこのプロセスは、野外における感染および定着の間に認められる抗原に対する抗体の産生をもたらし、従って、より有効な免疫応答を提供する。
【0036】
特定の実施形態において、本発明の三価ワクチンは、卵生産のために使用される雌鶏、すなわち産卵鶏(layer)用の、育成および産卵の間の、S.エンテリティディス(S.Enteritidis)、チフィムリウム(Typhimurium)、ハダル(Hadar)およびインファンティス(Infantis)の感染または排出または水平伝播または臓器浸潤の減少用であり得る。他の特定の実施形態において、本発明の三価ワクチンは、食肉用の家禽飼育において使用される家禽、すなわちブロイラーおよび/またはロースター用の、子孫の生後最初の数週間の、S.エンテリティディス(S.Enteritidis)、チフィムリウム(Typhimurium)、ハダル(Hadar)およびインファンティス(Infantis)の感染または排出または水平伝播または臓器浸潤の受動感染防御による減少用であり得る。
【0037】
記載における便宜上の単数形の用語の使用は、決してそのように限定されることを意図するものではない。従って、例えば、「血清型」(a “serovar”)という言及には、別段の定めがない限り当該血清型の一または複数への言及が含まれる。複数形の用語の使用もまた、別段の定めがない限り限定されることを意図するものではない。
【0038】
用語「およそ」(approximately)は、用語「約」(about)と同じ意味で使用され、数値は示された数値の五十パーセント内であることを意味し、換言すれば「約」2x10
9細胞/mlを含有する投与量は、1と3x10
9細胞/mlの間を含み得る。
【0039】
本明細書で用いる場合、「ワクチン」とは、鶏などの動物への投与の際に、野生型微生物による感染に起因する臨床疾患からの防御において最小限でも補助するほど強い、すなわち臨床疾患の予防において補助するために、および/または臨床疾患を防止、回復または治癒するために、十分に強い免疫応答を誘導する動物への適用に適した組成物である(一定の実施形態においてヒトが含まれるが、一方他の実施形態にとって特にヒト用ではない)。別段の明確な指示の無い限り、用語・ワクチンの使用には多価ワクチンが含まれる。従って以下に例示される三価ワクチンは、サルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)血清型エンテリティディス(S.Enteritidis)、チフィムリウム(Typhimurium)およびインファンティス(Infantis)のホルマリン殺菌鉄制限細胞を含む。
【0040】
本明細書で用いる場合、「多価ワクチン」とは、二以上の異なる抗原を含むワクチンである。このタイプの特定の実施形態において、多価ワクチンは、二以上の異なる病原菌に対する受容者の免疫系を刺激する。
【0041】
本明細書で用いる場合、用語「防御する」(“protect”)」、「防御している」(“protecting”)、「防御を提供する」(“provide protection to”)、「防御を提供している」(“providing protection to”」および「防御における補助」(“aids in the protection”)とは、任意の感染指標からの完全な防御を要求するものではない。例えば、「防御における補助」とは、攻撃感染後に潜在する感染の症状が少なくとも減少されるように防御が十分であること、および/または症状を引き起こす潜在する細胞的、生理学的または生化学的原因または機構の一または複数が減少されおよび/または除去されること、を意味し得る。本文脈で用いる場合、「減少される」(“reduced”)とは、感染の分子状態を含む感染の状態に対して意味するものであって、感染の生理学的状態に対してではないことを了解されたい。
【0042】
本明細書で用いる場合、用語「治療的に有効な量」とは、単回投与で提供される場合、および/または意図するときには一または複数の後続の追加投与を有する初回投与を提供される場合に、抗原がこれを防御するために投与されようとしている病原菌からの防御を提供するためにおよび/または病原菌からの防御を補助するために十分な殺菌サルモネラ(Salmonella)単離株等の所定の抗原の量である。
【0043】
本明細書で用いる場合、「有効な」ワクチンは、所定の抗原の治療的に有効な量を含む。
【0044】
本明細書で用いる場合、「薬学的に許容可能」とは、修飾される名詞が医薬製品における使用のために適していることを意味するために形容詞的に使用される。例えば、医薬ワクチン中の賦形剤を記載するためにそれが使用される場合、それは賦形剤が組成物の他の成分と適合し、かつ対象の受容者に対して不利でも有害でもないことを明らかにしている。
【0045】
用語「担体」(“carrier”)とは、化合物がそれと共に投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤またはビヒクルを表す。薬学的に許容可能な担体は、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油等の石油、動物、植物または合成起源のものを含む、水および/または油等の無菌液体であり得る。水または水溶液、生理食塩水および水性デキストロース溶液およびグリセリン溶液は、担体として、特に注射剤用として用い得る。
【0046】
本明細書で用いる場合、「アジュバント」とは、最終的により良い免疫応答、すなわち抗原に対する統合された身体上の応答をもたらす、連続して起こる免疫学的事象を補助するまたは増幅することのできる物質である。アジュバントは一般的に免疫応答を引き起こすためには要求されないが、この応答を補助または増幅する。
【0047】
本明細書で用いる場合、「全身投与」とは、身体の循環系(心血管系およびリンパ系を含む)への投与であり、従って胃腸管(例えば、経口または直腸内投与経由)および呼吸器系(例えば、鼻腔内投与経由)等の特定部位よりも身体全体に影響を及ぼす。全身投与は、例えば、筋肉組織内(筋肉内)、真皮内(皮内、経皮または皮膚上)、皮膚の下(皮下)、粘膜の下(粘膜下)、静脈の中(静脈内)等へ投与することによって実施され得る。
【0048】
「非経口投与」には、皮下注射、粘膜下注射、静脈注射、筋肉内注射、皮内注射および注入が含まれる。
【0049】
本明細書で用いる場合、用語「家禽」(“poultry”)には、鶏、七面鶏、アヒル、ガチョウ、ウズラおよびキジが含まれる。
【0050】
ワクチン:
本発明は、双方の血清群からの血清型に対して十分な防御を提供する、サルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)血清群C1またはサルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)血清群C2‐3のいずれかのメンバーを含むワクチンを提供する。本発明の特定の実施形態において、該ワクチンは、サルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)の血清型エンテリティディス(S.Enteritidis)、チフィムリウム(Typhimurium)およびインファンティス(Infantis)の殺菌(例えば、ホルマリンまたは熱失活)鉄制限細胞の液体懸濁液である。より特定の実施形態において、サルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)の殺菌血清型は、ホルマリンにより殺菌される。当該実施形態の一において、各抗原の最終濃度は、約2x10
9細胞/mlである。他の実施形態において、ワクチンは約25%(v/v)の水酸化アルミニウムアジュバントを含む。関連する実施形態において、ワクチンは筋肉内投与される。他の関連する実施形態において、ワクチンは最少六週齢で家禽(例えば、鶏)に投与される。
【0051】
本発明は、さらに鳥類の鼻気管炎、伝染性気管支炎ウイルス、ニューカスル病ウイルス、伝染性ファブリキウス嚢病(ガンボロ病)、エッグドロップ症候群ウイルス、レオウイルスおよびクロストリディアル・パーフリンゲンス(Clostridial perfringens)(C.perfringens)抗原の一または複数の菌株の使用を含む本発明のワクチンの製造における、サルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)血清群C2‐3の血清型またはサルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)血清群C1の血清型、および場合によりサルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)血清群Bの血清型および/またはサルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)血清群Dの血清型の使用をさらに提供する。特定の実施形態において、C.パーフリンゲンス(C.perfringens)抗原は、C.パーフリンゲンス(C.perfringens)アルファトキソイドである[WO2006/113722;US 2006/0233825 A1を参照されたい、その内容はその全体を参照することにより本明細書において援用される]。他の当該実施形態において、C.パーフリンゲンス(C.perfringens)抗原は、組換え弱毒化C.パーフリンゲンス(C.perfringens)菌体である[US 7,732,187 B2を参照されたい、その内容はその全体を参照することにより本明細書において援用される]。さらなる他の実施形態において、C.パーフリンゲンス(C.perfringens)抗原は、実質的にC.パーフリンゲンス(C.perfringens)アルファトキシンの非毒性の突然変異タンパク質である[US 7,972,604 B2を参照されたい、その内容はその全体を参照することにより本明細書において援用される]。
【0052】
本発明はまた、さらに鳥類の鼻気管炎、伝染性気管支炎ウイルス、ニューカスル病ウイルスおよびエッグドロップ症候群ウイルスの一または複数の菌株の使用を含む、本発明のワクチンの製造におけるサルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)血清群C2‐3の血清型またはサルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)血清群C1の血清型の使用も提供する。当該ワクチンは、特に卵を産する雌鶏(すなわち産卵鶏)に向けられ得る。
【0053】
別の実施形態において、本発明は、さらに鳥類の鼻気管炎、伝染性気管支炎ウイルスの一または複数の菌株、ニューカスル病ウイルス、および伝染性ファブリキウス嚢病(ガンボロ病)および不活化レオウイルスの使用をさらに含む、本発明のワクチンの製造におけるサルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)血清群C2‐3の血清型またはサルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)血清群C1の血清型の使用を提供する。別の実施形態において、本発明は、さらに不活化レオウイルス、伝染性気管支炎ウイルスの一または複数の菌株、伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス(ガンボロ病)およびC.パーフリンゲンス(C.perfringens)抗原、例えばC.パーフリンゲンス(C.perfringens)アルファトキソイドの使用を含む本発明のワクチンの製造における、サルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)血清群C2‐3の血清型またはサルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)血清群C1の血清型の使用を提供する。当該ワクチンは、特に食肉業界(すなわちブロイラーおよびロースター)において使用される家禽用であり得る。
【0054】
本発明は、さらに鳥類の鼻気管炎、伝染性気管支炎ウイルスの一または複数の菌株、ニューカスル病ウイルス、伝染性ファブリキウス嚢病(ガンボロ病)、エッグドロップ症候群ウイルス、レオウイルスおよびクロストリディアル・パーフリンゲンス(Clostridial perfringens)抗原の使用をさらに含む、サルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)の血清型エンテリティディス(S.Enteritidis)、チフィムリウム(Typhimurium)およびインファンティス(Infantis)またはハダル(Hadar)のホルマリン殺菌鉄制限細胞を含むワクチンの製造を提供する。
【0055】
本発明のワクチンおよび免疫原性組成物は、必ずしもではないが生理学的に適合する緩衝液および生理的食塩水等、ならびに薬学的に許容可能なアジュバントを含み得る。本発明の一実施形態において、本発明のワクチンおよび/または免疫原性組成物は、凍結して保存され、従って凍結感染細胞を保存するためにジメチルスルホキシド(DMSO)等の凍結保存剤を含む。
【0056】
ワクチンはまた、保存のために凍結乾燥または別な方法で液体容量を減少され、次に投与前または投与時に液体希釈剤で再構成され得ることが意図される。当該再構成は、例えば、ワクチングレードの水を使用して達成され得る。ある実施形態において、多価ワクチンの凍結乾燥部分は、一または複数の抗原を含み得、しかも希釈剤も一または複数の抗原を含み得る。
【0057】
特定の実施形態において、本発明のワクチン(またはその一部分)は、本明細書においてその全体を参照することにより援用される、WO 2010/125084に記載された方法によって作成される凍結乾燥形態、例えば、錠剤および/または球体であり得る。特に、当該急速崩壊性の錠剤/球体を製造するための方法を記載するWO2010/125084の15ページ28行から27ページ9行までの実施例が参照される。当該凍結乾燥形態は、ワクチンの全身投与を可能とするために、希釈剤に容易に溶解され得る。
【0058】
ワクチン投与:
本発明のワクチンおよび/免疫原性組成物は、任意の常法、例えば、限定するものではないが、筋肉内または皮下投与、静脈注射、皮内注射、卵内またはその組み合せ等の非経口投与を含む全身投与によって投与され得る。本発明のワクチンはまた、鼻腔内投与、気管内投与、直腸投与および/または眼投与等の粘膜投与によっても投与され得る。或いはワクチンは、皮膚パッチ、乱切および/または局所投与により投与され得る。本発明のワクチンはまた、受容者の飲料水および/または食物経由を含む経口投与によっても投与され得ることが意図される。
【0059】
本発明のワクチン(多価ワクチンを含む)はまた、ワクチンそれ自体に加えて一または複数の追加の活性化剤、治療等を含む治療のような併用療法の一部としても投与され得る。その場合、「治療的に有効な」量を構成するワクチン量は、大体ワクチンが単独で投与されるならば「治療的に有効な」量を構成することになるワクチン量であり得ることを認識すべきである。他の治療法には、例えば、沈痛剤、解熱剤、去痰剤、抗炎症剤、抗ヒスタミン剤および/または液体投与等の、当該技術分野において既知の治療法が含まれ得る。
【0060】
免疫原性レベルは、一般に当該技術分野で既知の攻撃感染用量反応性試験によって実験的に決定され得る。当該技術には、典型的には何匹かの動物被検体にワクチンにより異なる投与量を接種すること、次に最小防御用量を決定するために、適切でビルレントなサルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)の血清型により動物被検体を攻撃感染することが含まれる。
【0061】
投与量/投与間隔:
特定の実施形態において、本発明の二つの0.5mlのワクチン投与は、少なくとも四週の間隔を置いて与えられる。特定の実施形態において、最初のワクチン接種の最年少齢は6週齢であり、二回目の投与は産卵の少なくとも3ないし4週前に与えられるべきである。
【0062】
好ましい投与レジメに影響を及ぼす他の要因には、例えば、年齢、重量、性別、食餌、活動性、肺サイズおよび被検体の健康状態;投与経路;使用される個々のワクチンの効力、安全性および使用される個々のワクチンの免疫持続期間特性;デリバリーシステムの使用有無;およびワクチンが薬剤および/またはワクチンの組み合せの一部として投与されるか否か、が含まれ得る。従って実際に採用される投与量は、個別の動物によって変動し得、従って上記の典型的な投与量から逸脱し得る。当該投与量の調整を決定することは、一般的に常法を使用するワクチン開発分野の当業者の技術範囲内である。ワクチンは、単回で或いは数日、数週、数か月または数年にわたる二回以上でワクチン受容者に投与され得ることが意図される。いくつかの実施例において、ワクチンは少なくとも二回投与される。一定の当該実施例において、例えばワクチンは二回投与され、二回目の投与(例えば、追加免疫)は少なくとも最初の投与の二週後に投与される。特定の実施形態においてワクチンは二回投与され、二回目の投与は長くても最初の投与の8週後に投与される。他の実施形態において、二回目の投与は、最初の投与の1週から2年後、最初の投与の1.5週から8週後または最初の投与の2から4周後に投与される。他の実施形態において、二回目の投与は、最初の投与の約3週後に投与される。
【0063】
上記の実施形態において、最初および後続の投与は、量および/または形態等において変動し得る。しかしながら、しばしば該投与は量および形態において同じである。単回投与のみが与えられる場合、その投与単独でのワクチン量は、一般的にワクチンの治療的に有効な量を含む。しかしながら二以上の投与が与えられる場合、これら投与を総合したワクチン量が治療的に有効な量を構成し得る。さらに、ワクチンが最初に投与され、次に上記の通り追加免疫が2から12週後に投与され得る。しかしながら、ワクチンの後続の投与は、追加免疫が投与されたか否かに関わらず、年一回(1年)または年二回(2年)行われ得る。
【0064】
本発明は、本発明の代表例として提供される、以下の非限定的な実施例を参照することによってより良く理解され得る。以下の実施例は、本発明の実施形態をより完全に説明するために提示される。しかしながら、それらは決して本発明の広い範囲を限定するものと解釈されてはならない。
【0065】
実施例
実施例1
種々のサルモネラ(Salmonella)血清型を含有するワクチンの比較
ワクチンは、サルモネラ・エンテリティディス(Salmonella Enteritidis)(S.エンテリティディス(S.Enteritidis);SE)およびサルモネラ・チフィムリウム(Salmonella Typhimurium)(S.チフィムリウム(S.Typhimurium);ST)(注:S.エンテリティディス(S.Enteritidis)およびS.チフィムリウム(S.Typhimurium)血清型はSALENVAC Tの血清型と同じであった)の不活化血清型だけを含んで、またはサルモネラ・ハダル(Salmonella Hadar)(S.ハダル(S.Hadar);SH)および/またはサルモネラ・インファンティス(Salmonella Infantis)(S.インファンティス(S.Infantis);SI)の不活化血清型との組み合わせを含んで調製された。血清型のすべては鉄制限培地で増殖し、使用前にホルマリンで不活性化した。研究に使用したワクチン組成物を表1に記載する。
【0066】
表1:ワクチン組成物
【表1】
【0067】
SE/ST/SH/SI四価ワクチン1(Quad 1)がアジュバントの追加量を含有したのは、高細胞数を含有する類似するワクチンに関する従前の研究において、25%の水酸化アルミニウム含量では合計8x10
9細胞/mlを含有するワクチンにとって不十分であるかもしれないことが示唆されたからである。SE/ST/SH/SI四価ワクチン2(Quad 2)は、アジュバント濃度の仮説を研究するために25%のアジュバントを含有し、SE/ST/SH/SI四価ワクチン3(Quad 3)は、市販のSALENVAC T(SE/ST)におけるのと同じ合計細胞濃度を有するワクチンを提供するためにすべての抗原の半分の用量を含有した。
【0068】
2つの研究(研究1および研究2)は、Quad 1と2つの個々の三価ワクチン(SE/ST/SIおよびSE/ST/SH)の効力を比較し、対照を含んだ。第三の研究(研究3)は、S.インファンティス(S.Infantis)またはS.ハダル(S.Hadar)による攻撃感染に対する3つの四価製剤を比較し、適切な対照を含んだ。ワクチンの有効性は、商品供給業者由来の産卵鶏種の鶏を使用して試験した。トリは三週の間隔で2つの筋肉内ワクチン接種をし、三週後にS.ハダル(S.Hadar)またはS.インファンティス(S.Infantis)のおよそ10
10cufの経口投与により攻撃感染した。
【0069】
試料は以下の通りに処理した:秤量した試料は、滅菌緩衝ペプトン水(BPW)中で均質化した。塊は沈殿したままとして、上清の一定分量は滅菌BPWで連続的に希釈した。上清および希釈液の一定分量は、サルモネラ(Salmonella)選択寒天培地に播種するために使用した。上清の第二の一定分量は、サルモネラ(Salmonella)用選択培地であるラパポート・バシリアディス・ブロスのボトルに接種するために使用した[Rappaport et al.,J.Clin.Pathol.9:261‐266(1956);Vassiliadis,et al.,J.Appl.Bacteriol.44:233‐239(1978)]。ブロスおよびプレートは適切な温度でインキュベートした。プレートはサルモネラ(Salmonella)を検査し、すべてのコロニーを計数した。これが、試料グラム当たりの計数値として、または直接陽性として表現され得る直接回収を提供する。サルモネラ(Salmonella)が試料に関するプレートから見出されない場合、対応するラパポート・バシリアディス・ブロスをサルモネラ(Salmonella)選択プレートに播種しインキュベートする。その後にサルモネラ(Salmonella)が見出される場合、結果は集積陽性(enrichment positive)と記録されるが、一方でサルモネラ(Salmonella)が見出されない場合、結果は陰性である。群間の差異は、単離されたサルモネラ(Salmonella)の菌数、直接陽性の数または陽性の合計数(直接および集積)の差異として見出され得る。
【0070】
研究は、これらの血清型、およびS.インファンティス(S.Infantis)ならびに他の血清群C1の菌株および血清型が、ワクチン接種トリからの減少した排出を矛盾なく示す排出プロファイルを与えるほど十分には定着しなかったことを明らかにした。さらに当該攻撃感染の高投与量の使用は、獲得される防御レベルを圧倒したのかもしれず、従って有効性の再現可能な証明、特に排出に関する証明を妨げたのかもしれない。
【0071】
ワクチン接種の有効性は、総排出腔スワッブにおける攻撃感染血清型の排出の比較によって究明した。排出結果は、直接培養によって検出される排出微生物の菌数、および群由来の陽性の総排出腔スワッブ数の比較として表現する。さらに肝臓および脾臓への浸潤に対する防御は、死後の検査により究明した。死後の器官の単離の結果は、直接培養または後続の集積によって、各群における陽性のトリのパーセンテージとして表した(表2を参照されたい)。
【0072】
これらの研究におけるS.インファンティス(S.Infantis)の攻撃感染は、頑強でなかった。使用された攻撃感染の高投与量であってさえ、排出は対照のトリにおいて余りに低すぎて意味ある結果は獲得できなかったが、しかしながら研究3において、排出がすべての群で7日目に増加したこと、すなわちワクチン接種トリで減少がみいだされなかったことが観察された。使用された攻撃感染の高投与量が、ワクチン接種後に獲得される防御レベルを打ち破ることができたと考えられる。同様の結果が、S.インファンティス(S.Infantis)攻撃感染モデルを使用する他の群により報告された。異なる試験製剤の有効性における明らかな差異は、個々の研究の間に生じる攻撃感染における可変性のためと見られる。
【0073】
表2:攻撃感染研究結果の概要
【表2】
【0074】
結果
総排出腔スワッブからの単離の結果は、各々のトリに対する個々のポイントとして
図1A〜1Cに示し、攻撃感染血清型のlog
10cfu/gを表示する。各群の平均計数値は、明確にするために実線で繋いで示す。
図2A〜2Bおよび
図3A〜3Cの死後試料単離の結果は、攻撃感染の単離に関し陽性であった試料のパーセンテージとして表す。研究1において、試料は、各群のいくつかのトリからは攻撃感染の死後7日に、および残りからは死後14日に採取した。
【0075】
S.ハダル(S.Hadar)攻撃感染後の排出に対する有効性:
研究1:
図1Aは、S.ハダル(S.Hadar)による攻撃感染後の3日と5日の間に、対照トリからの排出がlog
10で約3に維持され、5日目にすべてのトリが直接培養で陽性であったことを示す。S.インファンティス(S.Infantis)と共に製剤化された三価ワクチン(SE/ST/SI)を含めて、ワクチン接種した群であるSE/ST/SI、SE/ST/SHおよびQuad 1(上の表1を参照されたい)のすべてについて、平均排出は経時的に減少し、直接培養で陰性のトリの数が増加した。同種ワクチン(SE/ST/SH)が最も急激な減少を示したが、一方で四価ワクチン(Quad 1)が最多数の陰性のトリを有した。
【0076】
研究2:研究2は、
図1Bに示す通りデータがS.ハダル(S.Hadar)による攻撃感染7日後について含む以外は、上記の研究1の繰り返しであった。
図1Bに見られる通り、平均排出はやはりlog
10で約3であったが、しかし対照群の中に直接培養で検出したときに攻撃感染菌を排出しないいくつかのトリが存在し、その結果ワクチン接種群の平均排出が、対照群よりも高い場合もあった。しかしながらワクチン接種の効果は、各三価ワクチン群の平均排出における急激な減少(計数値は、7日には対照群におけるよりも少なくとも10倍低い)および陰性のトリの数の増加によって確認された。四価ワクチンQuad 1は、研究2において研究1において機能したと同じようにはうまく機能しなかった。
【0077】
研究3:
図1Cに示す通り3つのすべての四価ワクチン群、すなわちQuad 1、Quad 2およびQuad 3(上の表1を参照されたい)は、7日目には対照群よりもおよそ10倍低い計数値を有した。これには、抗原50%の投与量を有する製剤であるQuad 3によりワクチン接種された群が含まれた。アジュバント25%を含有するワクチンによりワクチン接種された2つの群、すなわちQuad 2およびQuad 3はまた、アジュバント40%を含有するワクチンによりワクチン接種された群、すなわちQuad 1よりも、3日目および5日目に低い計数値を示した。
【0078】
S.ハダル(S.Hadar)攻撃感染後の死後の単離:
研究1において、7日目にすべての群の大部分のトリからの盲腸内容物が陽性であった(
図2Aを参照されたい)。肝臓において、各三価ワクチンは、どの試料も直接陽性でない程度までに浸潤を減少させた。直接陽性である脾臓試料の割合の減少は、血清型特異的効果を示しているように思えるが、ここでS.ハダル(S.Hadar)細胞を含有する三価ワクチンおよび四価ワクチンだけが減少を示した。攻撃感染14日後に採取された任意の肝臓または脾臓試料からの陽性の試料は、ほとんど存在しなかった。
【0079】
研究2の結果は、三価ワクチンSE/ST/SI群が他の群と比較して陽性の盲腸内容物試料の数を減少させたことを示す(
図2Bを参照されたい)。脾臓からの単離のパターンは研究1と類似していたが、しかし陽性の対照の割合はより高く、しかもすべてのワクチンが陽性の試料の割合における減少を示した。本研究における対照のトリの肝臓からの陽性の試料は、妥当な解析にとっては余りにも少なすぎた。
【0080】
研究3において、すべてのトリからの盲腸内容物試料が陽性であった一方で、わずかな肝臓試料だけが陽性だった(12羽のワクチン接種トリの1または2羽と比較して15羽の対照トリの5羽)。各ワクチンは、アジュバント25%を含有するワクチンが以下の表3に示す通り最低の陽性割合を有する、というレベルの脾臓定着からの防御を示した。
【0081】
表3:陽性脾臓試料のパーセンテージ
【表3】
【0082】
*p=<0.05で対照と有意差有り
S.インファンティス(S.Infantis)攻撃感染後排出に対する有効性
研究1および2において、S.インファンティス(S.Infantis)が対照のトリの盲腸に定着するという明確な兆候は存在しなかった。攻撃感染7日後までに、直接培養による陽性のトリは存在しなかった。研究3において、各日における群間の平均計数値の差異は小さかったが、しかし四価ワクチン1および2は、攻撃感染3日後に対照およびQuad 3の双方と比較して直接培養における陽性のトリはより少なかった。以下の表4を参照されたい。計数値は各群において5日目から7日目までに顕著に増加し、攻撃感染の投与量が防御を打ち破るほどに十分高かったことを示している。
【0083】
表4:攻撃感染3日後の直接陽性トリのパーセンテージ
【表4】
【0084】
S.インファンティス(S.Infantis)攻撃感染後の死後単離
研究1のS.インファンティス(S.Infantis)による攻撃感染7日後に、ワクチン接種群のいずれにおいても、陽性の盲腸内容物試料は対照と比較してより少なかったが、対照からの陽性の肝臓および脾臓の割合は低すぎて意味のある解析を成し得なかった(
図3Aを参照されたい)。攻撃感染14日後の脾臓試料のデータは、対照と比較して四価群(Quad 1)からの陽性の試料の割合の減少を示した(
図3Bを参照されたい)。
【0085】
研究2の7日目において、盲腸からの陽性の試料は、妥当な解析にとって余りに少なすぎた。陽性の脾臓試料の割合の減少は、製剤のいずれに関しても認められなかった(
図3Cを参照されたい)。しかしながら、三価SE/ST/SIおよび四価ワクチン(Quad 1;
図3Cを参照されたい)の双方からの直接陽性の試料がわずかしか存在しなかったので、肝臓浸潤の同種防御が認められた。
【0086】
表5:死後における陽性肝臓試料のパーセンテージ
【表5】
【0087】
研究3の7日目の死後の検査時において、陽性の盲腸または脾臓試料の割合における減少に関する防御効果は、製剤の何れについても認められなかった。しかしながら各ワクチンは、上の表5に示す通り、最も低い陽性割合を有するアジュバント25%を含有するワクチンにより肝臓浸潤の防御レベルを示した。
【0088】
実施例2
S.ハダル(S.Hadar)またはS.インファンティス(S.Infantis)により4日齢時に攻撃感染されたブロイラー鶏における受動防御
親ドリを、Rehydrogel(登録商標)25%と共に、E.エンテリティディス(S.Enteritidis)+S.チフィムリウム(S.Typhimurium)+S.インファンティス(S.Infantis)の組み合わせワクチンによりワクチン接種し、もしくは未接種のまま対照として放置した。ワクチン接種した雌鶏またはワクチン未接種の雌鶏の卵から孵化した4日齢のブロイラー鶏は、これら2つの異なる血清型に対する受動防御を試験するために、S.ハダル(S.Hadar)またはS.インファンティス(S.Infantis)により攻撃感染した。
【0089】
研究したトリからの攻撃感染血清型の回収率は高かった。ワクチン接種群および対照群との間に、総排出腔スワッブモニタリングによる、または死後の盲腸内容物における、攻撃感染の排出に関する差異は認められなかった。しかしながら、肝臓および脾臓の双方への浸潤を考慮した場合、陽性のトリは対照群よりもワクチン接種群においてより少なかった。これは、ハダル(S.Hadar)の10
2cfuまたはS.インファンティス(S.Infantis)の10
3cfuの攻撃感染が使用された場合に、攻撃感染10日後の試料採取において最も首尾一貫していることが見い出された。S.ハダル(S.Hadar)およびS.インファンティス(S.Infantis)攻撃感染群の双方は、親群がS.ハダル(S.Hadar)ではなくS.インファンティス(S.Infantis)を含むワクチンを接種されたという事実にも関わらず、器官浸潤に対する防御に関し非常に類似した結果を示した。これらの結果は、上の実施例1の結果と一致しており、従ってこれら2つの異なるサルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)亜群の間の交差防御の強力な証拠を提供する。
【0090】
実験方法
S.エンテリティディス(S.Enteritidis)、S.チフィムリウム(S.Typhimurium)およびS.インファンティス(S.Infantis)(SE/ST/SI)の組み合せワクチンを接種された親群、またはワクチン接種されなかった親群からの卵は、孵化したひな鳥の由来が確認できることを保証するために分離して保存し、孵化しさらにインキュベートした。一日齢時にひな鳥は、ワクチン接種トリからの15羽からなる四群およびワクチン未接種トリからの四群に割り当て、各群について別々に収容した。トリは、適切なサルモネラ(Salmonella)菌株および投与量により、群の割り当てに従って4日齢時に攻撃感染した(以下の表6を参照されたい)。
【0091】
表6:攻撃感染の受動防御に関する実験プロトコル
【表6】
【0092】
感染の経過は、攻撃感染の3、5、7および10日後のトリの総排出腔検査によりモニターした。総排出腔および盲腸内容物における攻撃感染細菌の存在および肝臓および脾臓試料への転移は、各群の半分のトリの攻撃感染7日後の死後の検査によって、および残りは攻撃感染10日後の死後の検査によって究明した。
【0093】
結果
S..ハダル(S.Hadar)による攻撃感染後:
対照群と比較しての、ワクチン接種群からの排出における減少または盲腸の単離における差異は、どちらの攻撃感染投与量についても見出されなかった。
【0094】
より高い攻撃感染レベル(10
4cfu/投与)での攻撃感染7日および10日後において、7日目および10日目の肝臓および脾臓からの単離における減少が見られ、より低い攻撃感染レベル(10
2cfu/投与)については、ワクチン接種群を対照群と比較すると減少が攻撃感染10日後において肝臓および脾臓の双方に関して見られた。陽性のトリの割合は、より低い投与量の攻撃感染の7日および10日後において、より少ない陽性の試料を有するワクチン接種群に関する単離数を反映する。低い投与量の攻撃感染では、ワクチン接種の攻撃感染10日後における防御効果だけを示した。しかしながら、これがワクチン接種トリと対照トリとの間の最大の差異であり、陽性のワクチン接種群トリの割合の減少に対する陽性の対照トリの割合の増加を反映した。結果は、以下の表7におけるS.ハダル(S.Hadar)攻撃感染後の陽性のトリの合計パーセンテージとして示す。
【0095】
表7:S.ハダル(S.Hadar)攻撃感染後の陽性トリの合計パーセンテージ(7日および10日における直接培養および集積培養)
【表7】
【0096】
【0097】
(S.Infantis)による攻撃感染後:
S.インファンティス(S.Infantis)による10
3cfuでの攻撃感染は、初期には3日目におけるワクチン接種群からの排出の減少を示したが、しかしながら群間のこの差異は、後の採取日に減少した。より高い投与レベルの攻撃感染(10
5cfu/投与)は、すべての時点にわたりワクチン接種群に関し排出の減少を示さなかった。ほとんどすべての盲腸試料は陽性であった。
【0098】
肝臓および脾臓からのS.インファンティス(S.Infantis)の単離は、より高い攻撃感染投与量での攻撃感染7日後において、対照群よりもワクチン接種群からより少ない陽性試料がもたらされたが、一方で、双方の攻撃感染レベルは10日においてワクチン接種の防御効果を示した(以下の表8を参照されたい)。より低い攻撃感染の投与量に関しては、7と10日の間で陽性の対照トリの割合の増加があったのと比較すると、陽性トリの割合の減少があった。
【0099】
表8:S.インファンティス(S.Infantis)攻撃感染後の陽性トリの合計パーセンテージ(直接培養および集積培養)
【表8】
【0100】
結論
ワクチン群は、双方のS.ハダル(S.Hadar)の攻撃感染レベルで、対照と比較して総排出腔排出(排出数および陽性の試料数)または盲腸内容物試料における減少を示さなかった。しかしながら双方の攻撃感染レベルにおけるワクチン群は、より低い攻撃感染レベル(10
2cfu)における攻撃感染10日後に見られる最大の差異を示して、器官への定着における減少を示した。従って、器官への定着を減少させることに関し、S.ハダル(S.Hadar)攻撃感染に対する交差防御の証拠が、S.インファンティス(S.Infantis)に対し受動免疫されたひな鳥において認められた。
【0101】
ワクチン群は、双方のS.インファンティス(S.Infantis)攻撃感染レベルで、対照と比較して総排出腔排出または盲腸内容物試料における減少をほとんど示さなかった。器官への浸潤における減少が、S.ハダル(S.Hadar)攻撃感染について見られたのと類似するパターンで陽性の器官試料が対照よりもより少ないことを示しながら、ワクチン接種群に関して見られた。
【0102】
実施例3
14週齢の産卵鶏におけるS.ハダル(S.Hadar)攻撃感染に対する三価ワクチンの効力試験
要約
6週齢のSPF由来の産卵鶏型ひな鳥は、鉄制限条件下で増殖された同数のS.エンテリティディス(S.Enteritidis)、S.チフィムリウム(S.Typhimurium)およびS.インファンティス(S.Infantis)のホルマリン殺菌細胞を含有する三価ワクチンにより免疫した。二回目のワクチン投与は10週齢時に与えた。二回目のワクチン接種の四週後にトリおよびワクチン未接種のコホート(同齢集団)は、S.ハダル(S.Hadar)により経口ルートによって攻撃感染し、攻撃感染菌株の排出は総排出腔スワッブ検査によってモニターした。攻撃感染細菌の臓器への転移は、攻撃感染の10日後および14日後のトリの死後の検査によって究明した。
【0103】
個々のトリの排出レベルを対照群と比較したとき、ワクチン接種群から排出される攻撃感染細菌は有意に少なかった(p=0.001)。対照トリからの陽性の脾臓試料の割合は、ワクチン接種群よりも有意に高かった(p=0.01)。本研究における肝臓培養物から、攻撃感染細菌は回収されなかった。
【0104】
本研究で試験した三価ワクチンは、S.ハダル(S.Hadar)攻撃感染に対し次の点で有効性を示した:
● 攻撃感染後の異なる採取日におけるワクチン接種トリ由来の新鮮な糞便試料中のS.エンテリカ(S.enterica)血清型ハダル(Hadar)の数は、採取の各時点で対照トリよりもワクチン接種トリにおいて低かった;経時的に合計排出を比較した場合、ワクチン接種トリによって排出された細菌数は、対照トリによるよりも有意に低かった。
【0105】
● 陽性の脾臓試料の合計数は、対照と比較したときワクチン接種トリにおいて有意な減少を示した。
【0106】
実験計画
SPF由来の産卵鶏は、共通の正常な腸内フローラを発達させるために、通常の鶏の飼育施設において研究の攻撃感染段階まで数週間一群として飼育した。55羽のトリは、胸筋肉内投与の0.5mlのワクチンにより6週齢時にワクチン接種した。四週後に、同じルートでワクチンの二回目の投与を行った。52羽のトリは、対照群としてワクチン未接種のままとした。攻撃感染投与時前にトリは、その独立した群において床飼いで収容するために封じ込め施設に移動した。
【0107】
トリは、およそ14週齢時にS.ハダル(S.Hadar)攻撃感染により経口的に攻撃感染に晒した。食餌は攻撃感染前日にトリから引き揚げ、攻撃感染後に再度与えた。感染の経過は、攻撃感染の3、5、7、10および14日後における、各群の同じ30羽のトリの総排出腔スワッブ試験によってモニターした。肝臓および脾臓における攻撃感染細菌の存在は、総排出腔採取に選抜されなかったトリから攻撃感染10日後に、または残りのトリについては攻撃感染の14日後に、死後に採取された試料検査によって究明した。研究群は表9に示した通りであった。
【0108】
表9:研究群:
【表9】
【0109】
ワクチン:
ワクチンは、S.チフィムリウム(S.Typhimurium)、S.エンテリティディス(S.Enteritidis)およびS.インファンティス(S.Infantis)の各々の鉄制限、ホルマリン殺菌細胞の1.5x10
9細胞、および水酸化アルミニウムアジュバントを含んだ。ワクチンは、使用前に無菌試験および分析試験に合格した。
【0110】
攻撃感染:
トリは、微好気性環境下、37℃での一晩培養液から調製したばかりの、S.ハダル(S.Hadar)PT16株の3.8x10
8c.f.u.によりそれぞれ攻撃感染した。
【0111】
該培養液は遠心分離により10倍に濃縮し、血液寒天培地に蒔くことによって生存能および純度を検討した。攻撃感染は、トリ当たり20mlの経口投与として与えた。
【0112】
動物:
雌雄混合、初回ワクチン接種時6週齢のSPF白色レグホン産卵鶏。
【0113】
方法および手順
環境試料の試験:
敷きわら試料は、檻の床の少なくとも異なる五カ所から糞便物質の試料を無菌容器に採取することによって、ワクチン接種時および攻撃感染時におけるサルモネラ(Salmonella)の存在に関する試験を行った。糞便物質は、1:10(w/v)の糞便対培養液の比率で緩衝ペプトン水に懸濁し、37℃で24時間までインキュベートした。ブロスの増殖液試料100μlを、ラパポート・バシリアディス(RV)ブロス10mlに接種し、42℃で72時間までインキュベ―トした。各RVブロス増殖液の一白金耳をBrilliance(登録商標)サルモネラ(Salmonella)選択培地(Oxoid)に接種し、37℃で24時間までインキュベートした。いかなるサルモネラ(Salmonella)の存在も藤色のコロニーの存在によって明らかにされた。いかなる疑わしいコロニーも血清学的同定によって確認した。環境からのサルモネラ(Salmonella)の単離は、研究を無効としたであろう。
【0114】
血清学:
血液試料を、攻撃感染前に各々の研究トリの径脈から採取した。血清試料は、内製のELISAを使用してS.チフィムリウム(S.Typhimurium)、S.エンテリティディス(S.Enteritidis)およびS.インファンティス(S.Infantis)に対する抗体の存在に関する試験を行った。該アッセイは、関連する血清型のサルモネラ(Salmonella)細胞から調製された鞭毛により前もって被覆されたマクロタイタープレート上での試験および対照血清の希釈液のインキュベーションを含んだ。洗浄後、結合した抗体は、基質とのインキュベーションが後に続く、ペルオキシダーゼに共役した抗ニワトリIgY抗体を使用して検出した。発色を酸により停止し、450nmで光学密度を読み取った。抗体レベルは、各々の血清型について対照血清と比較して算出した。
【0115】
サルモネラ(Salmonella)の単離
総排出腔スワッブおよび肝臓および脾臓の死後の試料は、実施例1に記載した通り攻撃感染細菌の存在に対して検査した。
【0116】
データ解析:
総排出腔スワッブからの糞便グラム当たり単離されるサルモネラ(Salmonella)の数は、直接培養からの単離より算出した。集積後の各群からの陽性の試料の数もまた記録した。
【0117】
排出、陽性の試料の合計およびトリ当たりの合計排出の幾何平均を算出した。群における各トリの研究期間にわたる合計排出は、「曲線下面積」推定を使用して算出し、2つの群は二標本t検定を使用して比較した。
【0118】
陽性の脾臓試料を有するトリの割合は(直接培養および集積培養の双方)、適切な場合、分割表(イエーツの連続補正を有するカイ二乗検定)を使用して比較した。サルモネラ(Salmonella)が陽性であることが見出だされた肝臓試料は存在しなかったので、肝臓試料の結果は含めなかった。
【0119】
結果
サルモネラ・ハダル(Salmonella Hadar)攻撃感染菌株の排出‐総排出腔スワッブ結果;
攻撃感染後の総排出腔スワッブからの各時点における回収されたサルモネラ(Salmonella)の幾何平均数を算出した。盲腸内容物グラム当たりの計数値のlog10を算出し、各群についての各時点での平均を算出した(
図4および表10を参照されたい)。
【0120】
攻撃感染14日後までの各時点において、ワクチン接種群と比較して対照群からより高い平均レベルの回収率が存在した。攻撃感染14日後における、双方の群による排出数は類似していた。各々のトリについての経時的な合計排出を算出したところ、ワクチン接種群(1)と対照群(2)の間に、t検定で比較した場合に統計的に有意差があることが明らかになった(p=0.001)。
【0121】
表10:ワクチン接種トリおよび対照トリから経時的に回収された幾何平均log10cfu/gの比較
【表10】
【0122】
死後のS.ハダル(S.Hadar)の単離:
各時点において、直接培養からおよび合計としての双方において、ワクチン接種群からよりもワクチン未接種トリからより多くの陽性の試料が存在した。
【0123】
攻撃感染10日後に、対照群からの22個中の16個(73%)が陽性で、その中の11個が直接陽性であったのと比較して、ワクチン接種群からの25個の脾臓試料中の合計9個(36%)が陽性で、その中の7個が直接陽性であった。
【0124】
攻撃感染14日後に、対照群からの30個中の14個(47%)が陽性で、その中の11個が直接陽性であったのと比較して、ワクチン接種群からの30個の試料中の合計8個(27%)が陽性で、その中の4個が直接陽性であった(
図2および表11を参照されたい)。
【0125】
表11:陽性脾臓試料数(直接培養および集積培養)
【表11】
【0126】
攻撃感染10および14日の両日後に採取された肝臓試料からの直接培養または集積培養による攻撃感染細菌の回収は認められなかった。
【0127】
攻撃感染10および14日後における、群1および2からの合計した陽性の脾臓試料(直接培養および集積培養)のパーセンテージについては
図5を参照されたい。
【0128】
死後の陽性の試料をもたらすトリの数を表12にまとめる。
【0129】
表12:死後陽性トリの合計数の概要(直接培養および集積培養)
【0130】
結論
本研究の目的は、異種性のS.ハダル(S.Hadar)の攻撃感染に対するサルモネラ三価ワクチンの有効性を証明することであった。
【0131】
排出を減少させることにおけるワクチンの有効性は、研究期間にわたり対照群と比較してワクチン接種群からの糞便に排出された攻撃感染細菌が有意に少なかったことより(p=0.001)、納得のいくように証明された;100倍低い排出レベルではじまっていた。
【0132】
臓器への転移に対する優れた有効性もまた、死後陽性の試料を提示するワクチン接種群からのトリが対照と比較して有意に少なかったことより、明らかにされた(p<0.01);事実、転移レベルは効果的に半減した。
【0133】
結果として、本研究で試験した三価ワクチンは、対照と比較してワクチン接種トリからの新鮮な糞便試料中のS.エンテリカ(S.enterica)の数の顕著な減少をもたらし、該数は試験の最後まで少ないままであった。また、肝臓または脾臓からのサルモネラ(Salmonella)陽性の試料の数も対照よりもワクチン接種において顕著に少なかった。