特許第6196683号(P6196683)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サン−ゴバン パフォーマンス プラスティックス レンコール リミティドの特許一覧

特許6196683トルク制限トレランス・リングおよびトルク制限トレランス・リングを備える組立体
<>
  • 特許6196683-トルク制限トレランス・リングおよびトルク制限トレランス・リングを備える組立体 図000002
  • 特許6196683-トルク制限トレランス・リングおよびトルク制限トレランス・リングを備える組立体 図000003
  • 特許6196683-トルク制限トレランス・リングおよびトルク制限トレランス・リングを備える組立体 図000004
  • 特許6196683-トルク制限トレランス・リングおよびトルク制限トレランス・リングを備える組立体 図000005
  • 特許6196683-トルク制限トレランス・リングおよびトルク制限トレランス・リングを備える組立体 図000006
  • 特許6196683-トルク制限トレランス・リングおよびトルク制限トレランス・リングを備える組立体 図000007
  • 特許6196683-トルク制限トレランス・リングおよびトルク制限トレランス・リングを備える組立体 図000008
  • 特許6196683-トルク制限トレランス・リングおよびトルク制限トレランス・リングを備える組立体 図000009
  • 特許6196683-トルク制限トレランス・リングおよびトルク制限トレランス・リングを備える組立体 図000010
  • 特許6196683-トルク制限トレランス・リングおよびトルク制限トレランス・リングを備える組立体 図000011
  • 特許6196683-トルク制限トレランス・リングおよびトルク制限トレランス・リングを備える組立体 図000012
  • 特許6196683-トルク制限トレランス・リングおよびトルク制限トレランス・リングを備える組立体 図000013
  • 特許6196683-トルク制限トレランス・リングおよびトルク制限トレランス・リングを備える組立体 図000014
  • 特許6196683-トルク制限トレランス・リングおよびトルク制限トレランス・リングを備える組立体 図000015
  • 特許6196683-トルク制限トレランス・リングおよびトルク制限トレランス・リングを備える組立体 図000016
  • 特許6196683-トルク制限トレランス・リングおよびトルク制限トレランス・リングを備える組立体 図000017
  • 特許6196683-トルク制限トレランス・リングおよびトルク制限トレランス・リングを備える組立体 図000018
  • 特許6196683-トルク制限トレランス・リングおよびトルク制限トレランス・リングを備える組立体 図000019
  • 特許6196683-トルク制限トレランス・リングおよびトルク制限トレランス・リングを備える組立体 図000020
  • 特許6196683-トルク制限トレランス・リングおよびトルク制限トレランス・リングを備える組立体 図000021
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6196683
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】トルク制限トレランス・リングおよびトルク制限トレランス・リングを備える組立体
(51)【国際特許分類】
   F16D 7/02 20060101AFI20170904BHJP
   F16C 35/07 20060101ALN20170904BHJP
   F16C 35/02 20060101ALN20170904BHJP
【FI】
   F16D7/02 F
   !F16C35/07
   !F16C35/02 C
【請求項の数】14
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2015-547065(P2015-547065)
(86)(22)【出願日】2013年12月16日
(65)【公表番号】特表2016-501352(P2016-501352A)
(43)【公表日】2016年1月18日
(86)【国際出願番号】EP2013076701
(87)【国際公開番号】WO2014091031
(87)【国際公開日】20140619
【審査請求日】2015年7月30日
(31)【優先権主張番号】61/737,798
(32)【優先日】2012年12月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】310004529
【氏名又は名称】サン−ゴバン パフォーマンス プラスティックス レンコール リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100188857
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 智文
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン・ナイアス
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・ロバート・スレイン
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・ペンシリウォングス
(72)【発明者】
【氏名】ポール・ハインズ
(72)【発明者】
【氏名】ルウェリン・ピッカーリング
(72)【発明者】
【氏名】スチュアート・ケリー
(72)【発明者】
【氏名】シモン・アラン・ヒューズ
【審査官】 尾形 元
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第01886895(EP,A1)
【文献】 国際公開第2012/121018(WO,A1)
【文献】 特開2001−280441(JP,A)
【文献】 特開2012−052638(JP,A)
【文献】 特開2008−038990(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 7/02
F16D 7/04
F16C 35/02
F16C 35/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側構成要素と外側構成要素との間に設置されるよう構成されるトルク制限トレランス・リングであって、
側壁を含む略円筒形の本体を有し、前記側壁は、
未形成部分、および、
前記側壁の前記未形成部分から延在する複数の突出部を含み、
前記複数の突出部は前記内側構成要素または前記外側構成要素と係合するよう構成され、
前記複数の突出部を前記内側構成要素に形成された複数の間隙または前記外側構成要素に形成された複数の間隙に少なくとも部分的に延在させることにより、前記内側構成要素が前記外側構成要素と静的に結合された係合構造から、前記内側構成要素と前記外側構成要素の係合が解かれた非係合構造に移行可能な、トルク制限トレランス・リング。
【請求項2】
内側構成要素と、
前記内側構成要素を少なくとも部分的に囲う外側構成要素であって、前記内側構成要素が複数の間隙が形成された外側円筒面を有し、または、前記外側構成要素が複数の間隙が形成された内側円筒面を有する、外側構成要素と、
前記内側構成要素と前記外側構成要素との間に設置されたトルク制限トレランス・リングとを備える、組立体であって、
前記トルク制限トレランス・リングは、
側壁を含む略円筒形の本体を有し、前記側壁は、
未形成部分、および、
前記内側構成要素に形成された間隙または前記外側構成要素に形成された間隙に向かって前記側壁の前記未形成部分から径方向内方または外方に延在する複数の突出部を含み、非係合構造では、前記複数の突出部は前記内側構成要素に形成された前記間隙または前記外側構成要素に形成された前記間隙に少なくとも部分的に延在する、組立体。
【請求項3】
前記トルク制限トレランス・リングは、更に、前記未形成部分に隙間を有し、前記隙間は前記本体の全長に沿って延在し、前記本体に少なくとも完全なスプリットを形成する、請求項1記載のトルク制限トレランス・リングまたは請求項2記載の組立体。
【請求項4】
前記各突出部は略半球である、請求項1記載のトルク制限トレランス・リングまたは請求項2記載の組立体。
【請求項5】
前記トルク制限トレランス・リングは、係合構造において第1の直径dを有し、非係合構造において第2の直径dを有し、dはdと異なる、請求項1記載のトルク制限トレランス・リング。
【請求項6】
前記トルク制限トレランス・リングは、動作トルクTが閾値トルクTを超えると非係合構造に移行する、請求項1記載のトルク制限トレランス・リング。
【請求項7】
非係合構造では、前記内側構成要素または前記外側構成要素に作用する残留トルクTは、≦T×0.15である、請求項6記載のトルク制限トレランス・リング。
【請求項8】
前記トルク制限トレランス・リングの前記側壁の前記未形成部分は、トルク制限トレランス・リングを非係合構造に径方向外方にまたは径方向内方に付勢する復元力FRSWを有する、請求項1記載のトルク制限トレランス・リング。
【請求項9】
RSWは、RSW≧5Nである、請求項8記載のトルク制限トレランス・リング。
【請求項10】
前記各突出部は、各突出部を圧縮させるが係合構造において永久的に変形させない剛性Sを有する、請求項1記載のトルク制限トレランス・リング。
【請求項11】
前記トルク制限トレランス・リングは、係合構造から非係合構造に移行した後、非係合構造のまま保持される、請求項1記載のトルク制限トレランス・リング。
【請求項12】
トルク制限トレランス・リングは、前記内側構成要素と前記外側構成要素が静的に結合された係合構造から、前記内側構成要素と前記外側構成要素の係合が解かれた非係合構造に回転可能である、請求項2記載の組立体。
【請求項13】
前記係合構造では、前記複数の突出部は前記内側構成要素の前記外側円筒面または前記外側構成要素の前記内側円筒面と係合する、請求項12記載の組立体。
【請求項14】
前記各間隙は、長手軸に対して径方向内方または径方向外方に延在するボアを有する、請求項2記載の組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的にトレランス・リング、特に、トルク制限トレランス・リングに関する。
【背景技術】
【0002】
本開示は、トレランス・リング組立体に関わり、トレランス・リングは組立体の部品間に締まりばめを提供し、第1の部品の円筒部分が第2の部品の円筒ボアに位置する。特に、本開示は、軸や軸の周りに設置される外側構成要素等の円筒形の構成要素間に締まりばめを提供するトレランス・リングを有する組立体に関わる。
【0003】
エンジニアリング技法の改善により機械部品のより高い正確性が必要となったため、製造費が高くなっている。プーリ、フライホイール、または、駆動軸等の用途でトルクを伝達するために圧入、スプライン、ピン、またはキー溝が使用される箇所では非常に近いトレランスが必要となる。
【0004】
トレランス・リングは、トルクを伝達する必要がある部品間に締まりばめを提供するよう使用されてもよい。トレランス・リングは、正確な寸法に機械加工され得ない部品間に締まりばめを提供する低コストの手段を提供する。トレランス・リングは、部品間の異なる線膨張係数を補償する、迅速な装置の組み立てを可能にする、および、耐久性といった幾つかの他の潜在的な利点を有する。
【0005】
トレランス・リングは、一般的に、例えば、ばね鋼のような金属といった弾力材の片よりなり、その両端部は合わさってリング形状となる。一群の突起部または突出部は、リングから径方向外方に延在するか、リングの中心に向かって径方向内方に延在する。通常、突起部は、構造、例えば、コルゲーション、リッジ、または、波等の通常構造である。
【0006】
リングが、例えば、軸と軸上に設置される外側構成要素におけるボアとの間の環状空間内に位置されると、突起部は圧縮される。各突起部はばねとして作用し、軸とボアの表面に対して半径方向の力を与えて、軸とハウジングとの間に締まりばめを提供する。トレランス・リングによってトルクが伝達されるため、ハウジングまたは軸の回転は、軸またはハウジングの他方に同様の回転を生ずる。典型的には、一群の突起部は、形成部を有さないリングの環状領域(従来では、トレランス・リングの“未形成領域”)によって軸方向に側面が守られている。
【0007】
トレランス・リングは、通常、湾曲された弾力材の片よりなるため片の両端部を重ねることでリングを簡単に形成できるが、トレランス・リングは環状の帯として製造されてもよい。以降使用する「トレランス・リング」といった用語は、両方のタイプのトレランス・リングを含む。以降使用する「軸」といった用語は、軸または軸受等の円筒部分を含む全ての組立体構成要素を含む。
【0008】
従って、産業では、トレランス・リング、特に、回転軸と回転軸に設置された外側構成要素とを結合するよう使用されるトレランス・リングにおいて改善が必要となり続ける。
【図面の簡単な説明】
【0009】
当業者には、添付の図面を参照することで、本開示がより理解され、多数の特徴および利点が明らかとなるであろう。
図1図1は、一実施形態による係合構造における回転組立体の斜視図を示す。
図2図2は、図1の円2における、一実施形態による係合構造における回転組立体の詳細図を示す。
図3図3は、一実施形態による係合構造における回転組立体の端面図を示す。
図4図4は、図3の円における、一実施形態による係合構造における回転組立体の詳細図を示す。
図5図5は、一実施形態による非係合構造における回転組立体の斜視図を示す。
図6図6は、図5の円6における、一実施形態による非係合構造における回転組立体の詳細図を示す。
図7図7は、一実施形態による非係合構造における回転組立体の端面図を示す。
図8図8は、図7の円8における、一実施形態による非係合構造における回転組立体の詳細図を示す。
図9図9は、別の実施形態による係合構造における回転組立体の斜視図を示す。
図10図10は、図9の円10における、別の実施形態による係合構造における回転組立体の詳細図を示す。
図11図11は、別の実施形態による係合構造における回転組立体の端面図を示す。
図12図12は、図11の円12における、別の実施形態による係合構造における回転組立体の詳細図を示す。
図13図13は、別の実施形態による非係合構造における回転組立体の斜視図を示す。
図14図14は、別の実施形態による非係合構造における回転組立体の側面図を示す。
図15図15は、図14の円15における、別の実施形態による非係合構造における回転組立体の詳細図を示す。
図16図16は、別の実施形態による非係合構造における回転組立体の端面図を示す。
図17図17は、別の実施形態による係合構造における回転組立体の端面図を示す。
図18図18は、図17の円18における、別の実施形態による係合構造における回転組立体の詳細図を示す。
図19図19は、別の実施形態による非係合構造における回転組立体の端面図を示す。
図20図20は、図19の円20における、別の実施形態による非係合構造における回転組立体の詳細図を示す。
【0010】
異なる図面において、同じ参照記号を使用して、同様または同一の要素を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の説明は、トレランス・リング、特に、コンプレッサー軸とコンプレッサー・プーリに形成されるボアとの間のエアコン用コンプレッサー組立体内に設置され得るトルク制限トレランス・リングに関わる。一態様では、トレランス・リングはコンプレッサー軸の周りに嵌められ、続いて、コンプレッサー・プーリがトルク制限トレランス・リングの周りに設置される。あるいは、トルク制限トレランス・リングがプーリに形成されたボアに挿入され、コンプレッサー軸がトルク制限トレランス・リング中に挿入されてもよい。
【0012】
典型的なトレランス・リングでは、トレランス・リングは内側構成要素と外側構成要素との間に締まりばめを提供する。このように、内側構成要素と外側構成要素は互いに対して静的に結合され一緒に回転することができる。内側構成要素と外側構成要素間のトルクが締まりばめの力より大きくなると、内側構成要素と外側構成要素は互いに対して回転することができる。内側構成要素と外側構成要素間のトルクが締まりばめの力より小さいと、二つの部品が互いと再度係合される。内側構成要素が軸であり、軸が、例えば、軸受破損により固着した場合、外側構成要素が軸上で回転し続ける。外側構成要素が回転し続けると、外側構成要素とトレランス・リングとの間、または、軸とトレランス・リングとの間の摩擦が高い熱を発生し得る。動きが継続されると、軸、外側構成要素、トレランス・リング、または、全ての三つの構成要素に永久的なダメージが与えられる。
【0013】
本願記載の一つ以上の実施形態によるトルク制限トレランス・リングは、トルク制限トレランス・リングの本体から径方向内方に、径方向外方に、または、径方向内方および径方向外方の両方に延在し得る複数の突出部を含み得る。トルク制限トレランス・リングは、スプライン軸上またはスプライン・カラー内に設置され得る。スプライン軸またはスプライン・カラーがトルク制限トレランス・リングに対して回転すると、突出部がスプラインと整列され、トルク制限トレランス・リングが径方向内方に縮小するか径方向外方に拡大する。このようなトルク制限トレランス・リングの拡大または縮小により、軸とカラーは非係合になるか分離され、軸およびカラーは熱を発生することなく互いに対して自由に回転することができる。そのため、軸またはカラーへのダメージの可能性は実質的に低下する。
【0014】
図1乃至図8を参照するに、回転組立体100が示される。回転組立体100は、内側構成要素102と外側構成要素104とを有する。トルク制限トレランス・リング106がその間に設置され得る。使用の際、以下により詳細に説明するように、トルク制限トレランス・リング106は、図1乃至図4に示す、内側構成要素102が外側構成要素104と静的に結合された係合構造から、図5乃至図8に示す、内側構成要素102と外側構成要素104の係合が解かれた非係合構造まで移行することができる。
【0015】
特定の態様では、回転組立体100はエアコン用コンプレッサー組立体、例えば、自動車用のベルト駆動式エアコン用コンプレッサー組立体でもよい。更に、この特定の態様では、内側構成要素102はエアコン用コンプレッサーから延在するコンプレッサー軸でもよく、外側構成要素104はコンプレッサー軸の周りに設置されるコンプレッサー・プーリでもよい。駆動ベルト(図示せず)は、コンプレッサー・プーリの外周の周りを少なくとも部分的に延在し得る。
【0016】
ベルトが移動すると、コンプレッサー・プーリが回転される。コンプレッサー軸がコンプレッサー・プーリに静的に結合されている係合構造では、コンプレッサー軸も回転される。エア・コンプレッサー内で障害、例えば、軸受の固着が生ずると、コンプレッサー軸はエア・コンプレッサー内で固着し回転を停止する。軸が固着すると、コンプレッサー軸/コンプレッサー・プーリ組立体内のトルク閾値トルクを上回り、トルク制限トレランス・リングはコンプレッサー軸/コンプレッサー・プーリ組立体内で角度を付けて回転することで係合構造から非係合構造に移行し得る。非係合構造では、コンプレッサー・プーリは固着したコンプレッサー軸について回転自在である。
【0017】
従って、組立体が非係合されたか分離された状態では、駆動ベルトは、固着したコンプレッサー・プーリの周りをベルトが移動し続ける一方でコンプレッサー・プーリが固着したコンプレッサー軸と静的係合されたままの場合、または、コンプレッサー・プーリが軸と完全に非係合されていない状態でベルトが軸の周りでコンプレッサー・プーリを駆動し続けた場合に起こる可能性がある、コンプレッサー・プーリ、コンプレッサー軸、および、駆動ベルトの間での剰熱または摩擦を実質的に増加することなく移動し続けることができる。このようにして、駆動ベルト、コンプレッサー・プーリ、または、ベルトを駆動する他の構成要素あるいは駆動ベルトによって駆動される他の構成要素へのダメージの危険性が実質的に低下する。コンプレッサー・プーリは、自動車が停止して駆動ベルトの移動が停止している場合でもコンプレッサー軸と非係合ののままでもよい。自動車がその後発進されると、駆動ベルトを移動しているエンジン駆動軸によって克服されるべきコンプレッサー軸とコンプレッサー・プーリとの間の残留トルクがほとんどない。
【0018】
図1乃至図8を参照するに、トルク制限トレランス・リング106は略円筒形の本体110を含む。本体110は、側壁112を含む。側壁112は未形成部分114を含み、複数の突出部116が本体110の側壁112から径方向外方に延在し得る。本体110の側壁112は、突出部のない略円筒形の内面118を含む。側壁112は、未形成部分114に隙間120を有してもよい。特定の態様では、隙間120は、本体110において少なくとも部分的なスプリットを定めるよう本体110の軸方向長さ全体の大部分に沿って延在し得る。別の態様では、隙間120は本体110において少なくとも完全なスプリットを定めるよう本体110の軸方向長さ全体に沿って延在し得る。
【0019】
更に、図1乃至図8に示すように、内側構成要素102は略円筒形であり略円筒形の外面130を有し、外側構成要素104は略円筒形の内面132を有する略円筒形のボアを含む。図示するように、外側構成要素104の内面132には、内面132の円周に沿って等間隔で離間された複数の間隙134が形成される。本態様では、間隙134は、外側構成要素104の軸方向長さ全体に沿って外側構成要素104の内面132に形成されるスプラインでもよい。間隙134は、外側構成要素104の中心から離れるようにして外側構成要素104の内面132に径方向に延在し得る。更に、間隙134は、回転組立体100の中心を通って延在する回転組立体100の回転軸に対して略平行である。
【0020】
本態様では、突出部116は、回転組立体100の中心から離れるようにして本体110の側壁112の未形成部分114から、外側構成要素104の内面132に形成された間隙134に向かって径方向外方に延在し得る。更に、各突出部116は一般的に細長く、各突出部116の最広部分における円周幅よりも大きい軸方向高さを有する。別の態様では、各突出部116は、同軸に沿って整列される多数の離散した突出部の列でもよく、列の全体の軸方向高さは、列における各離散した突出部の最広部分における円周幅よりも大きい。
【0021】
図1乃至図4に示す係合構造では、複数の突出部116は、外側構成要素104の内側円筒面132、例えば、間隙134間に位置する内側円筒面132の部分と係合することができる。本体110の側壁112の内面118は、内側構成要素102の外面130と係合することができる。更に、各突出部116は、内側構成要素102の外面130と外側構成要素104の内面132との間で圧縮され、外側構成要素104が内側構成要素102と回転するよう内側構成要素102と外側構成要素104を静的に結合する複数の半径方向に向けられた力を与える。
【0022】
特定の態様では、各突出部116は、各突出部116を圧縮させるが、係合構造において永久的に変形させない剛性Sを有する。Sは≧500kN/mm、例えば、≧1000kN/mm、≧5000kN/mm、または、≧10000kN/mmでもよい。更に、Sは、≦500000kN/mm、例えば、≦250000kN/mm、≦100000kN/mm、または、≦50000kN/mmでもよい。Sは、本願に記載するSの全ての最大値と最小値を含むその範囲内にある。
【0023】
例えば、Sは、≧500kN/mm、且つ、≦500000kN/mm、例えば、≧500kN/mm、且つ、≦250000kN/mm、≧500kN/mm、且つ、≦100000kN/mm、または、≧500kN/mm、且つ、≦50000kN/mmである。別の態様では、Sは、≧1000kN/mm、且つ、≦500000kN/mm、例えば、≧1000kN/mm、且つ、≦250000kN/mm、≧1000kN/mm、且つ、≦100000kN/mm、または、≧1000kN/mm、且つ、≦50000kN/mmでもよい。更に、Sは≧5000kN/mm、且つ、≦500000kN/mm、例えば、≧5000kN/mm、且つ、≦250000kN/mm、≧5000kN/mm、且つ、≦100000kN/mm、または、≧5000kN/mm、且つ、≦50000kN/mmでもよい。更に別の態様では、Sは、≧10000kN/mm、且つ、≦500000kN/mm、例えば、≧10000kN/mm、且つ、≦250000kN/mm、≧10000kN/mm、且つ、≦100000kN/mm、または、≧10000kN/mm、且つ、≦50000kN/mmでもよい。
【0024】
図5乃至図8に示す非係合構造では、複数の突出部116は、外側構成要素104の内面132に形成された間隙134に少なくとも部分的に延在し、トルク制限トレランス・リング106は径方向外方に拡大し得る。具体的には、各突出部116は、非係合構造において整列する対応する間隙134に少なくとも部分的に延在し得る。特定の態様では、トルク制限トレランス・リング106が径方向外方に拡大するため、本体110の側壁112の内面118は内側構成要素102の外面130と非係合となり、側壁112の内面118は内側構成要素102の外面130の円周の少なくとも大部分に沿って内側構成要素102の外面130から径方向に離間される。特定の態様では、トロイド空間が内側構成要素102の外面130の周りに形成され、内側構成要素102の外面130とトルク制限トレランス・リング106の側壁112の内面118との間の接触が制限される。
【0025】
特定の態様では、トルク制限トレランス・リング106は、係合構造において第1の直径dを有し、非係合構造において第2の直径dを有する。本態様では、dはdと異なる。具体的には、dは、>dである。例えば、d≧101%d、例えば、≧102%d、≧103%d、≧104%d、または、≧105%dである。更に、d≦130%d、例えば、≦125%d、≦120%d、≦115%d、または、≦110%dである。本態様では、dは本願に記載するdの全ての最大値と最小値を含むその範囲内にある。
【0026】
例えば、dは、≧101%d、且つ、≦130%d、例えば、≧101%d、且つ、≦125%d、≧101%d、且つ、≦120%d、≧101%d、且つ、≦115%d、または、≧101%d、且つ、≦110%dでもよい。更に、dは、≧102%d、且つ、≦130%d、例えば、≧102%d、且つ、≦125%d、≧102%d、且つ、≦120%d、≧102%d、且つ、≦115%d、または、≧102%d、且つ、≦110%dでもよい。別の態様では、dは、≧103%d、且つ、≦130%d、例えば、≧103%d、且つ、≦125%d、≧103%d、且つ、≦120%d、≧103%d、且つ、≦115%d、または、≧103%d、且つ、≦110%dでもよい。更に、dは、≧104%d、且つ、≦130%d、例えば、≧104%d、且つ、≦125%d、≧104%d、且つ、≦120%d、≧104%d、且つ、≦115%d、または、≧104%d、且つ、≦110%dでもよい。別の態様では、dは、≧105%d、且つ、≦130%d、例えば、≧105%d、且つ、≦125%d、≧105%d、且つ、≦120%d、≧105%d、且つ、≦115%d、または、≧105%d、且つ、≦110%dでもよい。
【0027】
別の特定の態様では、トルク制限トレランス・リング106の側壁112の未形成部分114は、突出部116が間隙134と整列した際にトルク制限トレランス・リング106を係合構造から非係合構造に径方向外方に付勢する復元力FRSWを有す。FRSWは、RSW≧5N、例えば、RSW≧10N、RSW≧15N、または、RSW≧20N/mである。更に、FRSWは、RSW≦50N、例えば、RSW≦45N、RSW≦40N、または、RSW≦35Nでもよい。FRSWは、本願に記載するFRSWの全ての最大値と最小値を含むその範囲内にある。
【0028】
例えば、FRSWは、RSW≧5N、且つ、RSW≦50N、例えば、RSW≧5N、且つ、RSW≦45N、RSW≧5N、且つ、RSW≦40N、または、RSW≧5N、且つ、RSW≦35Nでもよい。FRSWは、RSW≧10N、且つ、RSW≦50N、例えば、RSW≦10N、且つ、RSW≦45N、RSW≧10N、且つ、RSW≦40N、または、RSW≧10N、且つ、RSW≦35Nでもよい。更に、FRSWは、RSW≧15N、且つ、RSW≦50N、例えば、RSW≧15N、且つ、RSW≦45N、RSW≧15N、且つ、RSW≦40N、または、RSW≧15N、且つ、RSW≦35Nでもよい。または、FRSWは、RSW≧20N、且つ、RSW≦50N、例えば、RSW≧20N、且つ、RSW≦45N、RSW≧20N、且つ、RSW≦40N、または、RSW≧20N、且つ、RSW≦35Nでもよい。
【0029】
特定の態様では、トルク制限トレランス・リング106は、回転組立体内の動作トルクTが閾値トルクTを超えた場合に外側構成要素内で滑り回転して、非係合構造に移行する。更に、非係合構造では、トルク制限トレランス・リング106が内側構成要素102から径方向に離間されているため、内側構成要素または外側構成要素に作用する残留トルクT、T≦T×0.15、例えば、≦T×0.125≦T×0.1≦T×0.075≦T×0.05≦T×0.025、または、≦T×0.01でもよい。更に、Tは、≧T×0、例えば、≧T×0.00025≧T×0.0005≧T×0.001≧T×0.0025、または、≧T×0.005でもよい。Tは、本願に記載するTの全ての最大値と最小値を含むその範囲内にある。
【0030】
例えば、Tは、≦T×0.15、且つ、≧T×0、例えば、≦T×0.15、且つ、≧T×0.00025≦T×0.15、且つ、≧T×0.0005≦T×0.15、且つ、≧T×0.001≦T×0.15、且つ、≧T×0.0025、または、≦T×0.15、且つ、≧T×0.005でもよい。Tは、≦T×0.125、且つ、≧T×0、例えば、≦T×0.125、且つ、≧T×0.00025≦T×0.125、且つ、≧T×0.0005≦T×0.125、且つ、≧T×0.001≦T×0.125、且つ、≧T×0.0025、または、≦T×0.15、且つ、≧T×0.005でもよい。更に、Tは、≦T×0.1、且つ、≧T×0、例えば、≦T×0.1、且つ、≧T×0.00025≦T×0.1、且つ、≧T×0.0005≦T×0.1、且つ、≧T×0.001≦T×0.1、且つ、≧T×0.0025、または、≦T×0.1、且つ、≧T×0.005でもよい。Tは、≦T×0.075、且つ、≧T×0、例えば、≦T×0.075、且つ、≧T×0.00025≦T×0.075、且つ、≧T×0.0005≦T×0.075、且つ、≧T×0.001≦T×0.075、且つ、≧T×0.0025、または、≦T×0.075、且つ、≧T×0.005でもよい。別の態様では、Tは、≦T×0.05、且つ、≧T×0、例えば、≦T×0.05、且つ≧T×0.00025≦T×0.05、且つ、≧T×0.0005≦T×0.05、且つ、×0.001≦T×0.05、且つ、≧T×0.0025、または、≦T×0.05、且つ、≧T×0.005でもよい。Tは、≦T×0.025、且つ、≦T×0、例えば、≦T×0.025、且つ、≧T×0.00025≦T×0.025、且つ、≧T×0.0005≦T×0.025、且つ、≧T×0.001≦T×0.025、且つ、≧T×0.0025、または≦T×0.025、且つ、≧T×0.005でもよい。更には、Tは、≦T×0.01、且つ、≧T×0、例えば、≦T×0.01、且つ、≧T×0.00025≦T×0.01、且つ、≧T×0.0005≦T×0.01、且つ、≧T×0.001≦0.01、且つ、≧T×0.0025、または、≦T×0.01、且つ、≧T×0.005でもよい。
【0031】
特定の態様では、トルク制限トレランス・リング106から延在する突出部116が一旦外側構成要素106に形成された間隙134に移動して係合されると、突出部116は間隙134から簡単に外れず、トルク制限トレランス・リング106は、係合構造から非係合構造に移行した後に、非係合構造のまま維持される。
【0032】
各間隙134は、間隙134の一つ以上の内面によって画成される空間内で測定される容積Vを有する。各突出部116は、突出部116の一つ以上の外面によって画成される空間内で測定される容積Vを占有し得、Vは≦Vでもよい。特定の態様では、Vは、≦99%V、例えば、≦98%V、≦97%V、≦96%V、または、≦95%Vでもよい。更に、Vは、≧20%V、例えば、≧30%V、≧40%V、≧50%V、または、≧75%Vでもよい。Vは、本願に記載するVの全ての最大値と最小値を含むその範囲内にある。
【0033】
例えば、Vは、≦99%V、且つ、≧20%V、例えば、≦99%V、且つ、≧30%V、≦99%V、且つ、≧40%V、≦99%V、且つ、≧50%V、または、≦99%V、且つ、≧75%Vでもよい。Vは、≦98%V、且つ、≧20%V、例えば、≦98%V、且つ、≧30%V、≦98%V、且つ、≧40%V、≦98%V、且つ、≧50%V、または、≦98%V、且つ、≧75%Vでもよい。更に、Vは、≦97%V、且つ、≧20%V、例えば、≦97%V、且つ、≧30%V、≦97%V、且つ、≧40%V、≦97%V、且つ、≧50%V、または、≦97%V、且つ、≧75%Vでもよい。別の態様では、Vは、≦96%V、且つ、≧20%V、例えば、≦96%V、且つ、≧30%V、≦96%V、且つ、≧40%V、≦96%V、且つ、≧50%V、または、≦96%V、且つ、≧75%Vでもよい。更に、Vは、≦95%V、且つ、≧20%V、例えば、≦95%V、且つ、≧30%V、≦95%V、且つ、≧40%V、≦95%V、且つ、≧50%V、または、≦95%V、且つ、≧75%Vでもよい。
【0034】
別の態様では、各間隙134は、各間隙134の最広部分において測定される円周幅Wを有する。各突出部116は、各突出部の最広部分において測定される円周幅Wを有し、Wは≦Wでもよい。例えば、Wは、≦99%W、例えば、≦98%W、≦97%W、≦96%W、または、≦95%Wでもよい。更に、Wは、≧50%W、例えば、≧60%W、≧70%W、または、≧80%Wでもよい。Wは、本願に記載するWの全ての最大値と最小値を含むその範囲内にある。
【0035】
例えば、Wは、≦99%W、且つ、≧50%W、例えば、≦99%W、且つ、≧60%W、≦99%W、且つ、≧70%W、または、≦99%W、且つ、≧80%Wでもよい。Wは、≦98%W、且つ、≧50%W、例えば、≦98%W、且つ、≧60%W、≦98%W、且つ、≧70%W、または、≦98%W、且つ、≧80%Wでもよい。更に、Wは、≦97%W、且つ、≧50%W、例えば、≦97%W、且つ、≧60%W、≦97%W、且つ、≧70%W、または、≦97%W、且つ、≧80%Wでもよい。Wは、≦96%W、且つ、≧50%W、例えば、≦96%W、且つ、≧60%W、≦96%W、且つ、≧70%W、または、≦96%W、且つ、≧80%Wでもよい。更には、Wは、≦95%W、且つ、≧50%W、例えば、≦95%W、且つ、≧60%W、≦95%W、且つ、≧70%W、または、≦95%W、且つ、≧80%Wでもよい。
【0036】
別の態様では、Wは、≧Wである。例えば、Wは、≧101%W、例えば、≧102%W、≧103%W、≧104%W、または、≧105%Wである。更に、Wは、≦125%W、例えば、≦120%W、または、≦115%Wでもよい。Wは、本願に記載するWの全ての最大値と最小値を含むその範囲内にある。
【0037】
例えば、Wは、≧101%W、且つ、≦125%WD、例えば、≧101%W、且つ、≦120%W、または、≧101%W、且つ、≦115%Wでもよい。Wは、≧102%W、且つ、≦125%WD、例えば、≧102%W、且つ、≦120%W、または、≧102%W、且つ、≦115%Wでもよい。更に、Wは、≧103%W、且つ、≦125%WD、例えば、≧103%W、且つ、≦120%W、または、≧103%W、且つ、≦115%Wでもよい。更に、Wは、≧104%W、且つ、≦125%WD、例えば、≧104%W、且つ、≦120%W、または、≧104%W、且つ、≦115%Wでもよい。Wは、≧105%W、且つ、≦125%WD、例えば、≧105%W、且つ、≦120%W、または、≧105%W、且つ、≦115%Wでもよい。
【0038】
図9乃至図16を参照するに、別の実施形態による回転組立体900が示される。図示するように、回転組立体900は、内側構成要素902と、外側構成要素904と、それらの間に設けられるトルク制限トレランス・リング906とを有する。使用の際、以下により詳細に説明するように、トルク制限トレランス・リング906は、図9乃至図12に示す、内側構成要素902が外側構成要素904に静的に結合された係合構造から、図13乃至図16に示す、内側構成要素902と外側構成要素904の係合が解かれた非係合構造まで移行することができる。特定の態様では、回転組立体900は、図1乃至図8と併せて上述したエアコン用コンプレッサー組立体でもよい。
【0039】
図9乃至図16を参照するに、トルク制限トレランス・リング906は略円筒形の本体910を含む。本体910は、側壁912を有する。側壁912は未形成部分914を含み、複数の突出部916が本体910の側壁912から径方向外方に延在し得る。本体910の側壁912は、突出部のない略円筒形の内面918を含む。側壁912は、未形成部分914に隙間920を有してもよい。特定の態様では、隙間920は、本体910において少なくとも部分的なスプリットを定めるよう本体910の軸方向長さ全体の大部分に沿って延在し得る。別の態様では、隙間920は本体910において少なくとも完全なスプリットを定めるよう本体910の軸方向長さ全体に沿って延在し得る。
【0040】
更に、図9乃至図16に示すように、内側構成要素902は略円筒形であり略円筒形の外面930を有し、外側構成要素904は略円筒形の内面932を有する略円筒形のボアを含む。図示するように、外側構成要素904の内面932には、内面932の円周に沿って等間隔で離間された複数の間隙934が形成される。本態様では、間隙934は、外側構成要素904の内面932に機械加工されるか、さもなければ、形成されたボアでもよい。間隙934は、外側構成要素904の中心から離れるようにして外側構成要素904の内面932に径方向に延在し得る。更に、図示するように、間隙934は、外側構成要素904に部分的に延在するか、外側構成要素904を完全に貫通するよう延在する。
【0041】
本態様では、突出部916は、回転組立体900の中心から離れるように本体910の側壁912の未形成部分914から外側構成要素904の内面932に形成された間隙934に向かって径方向外方に延在し得る。更に、各突出部916は略半球である。
【0042】
係合構造では、図9乃至図12に示すように、複数の突出部916は、外側構成要素904の内側円筒面932、例えば、各間隙934間に位置する内側円筒面932の部分と係合し得る。本体910の側壁912の内面918は、内側構成要素902の外面930と係合し得る。更に、各突出部916は、内側構成要素902の外面930と外側構成要素904の内面932との間で圧縮され、外側構成要素904が内側構成要素902と回転するよう内側構成要素902と外側構成要素904を静的に結合する複数の径方向に向けられらた力を与える。
【0043】
特定の態様では、各突出部916は、各突出部916を圧縮させるが、係合構造において永久的に変形させない剛性Sを有し得る。Sは、図1乃至図8に示す実施形態と併せて説明したSと同じでもよい。
【0044】
図13乃至図16に示す非係合構造では、複数の突出部916は、外側構成要素904の内面932に形成された間隙934に少なくとも部分的に延在し、トルク制限トレランス・リング906は径方向外方に拡大し得る。具体的には、各突出部916は、非係合構造において整列される対応する間隙934に少なくとも部分的に延在し得る。特定の態様では、トルク制限トレランス・リング906は径方向外方に拡大し、本体910の側劇912の内面918は内側構成要素902の外面930と非係合となり、側壁912の内面918は内側構成要素902の外面930の少なくとも大部分の円周にわたって内側構成要素902の外面930から径方向に離間される。特定の態様では、内側構成要素902の外面930の周りにトロイド空間が形成され得、内側構成要素902の外面930とトルク制限トレランス・リング906の側壁912の内面918との接触が制限される。
【0045】
特定の態様では、トルク制限トレランス・リング906は、係合構造において第1の直径dを有し、非係合構造において第2の直径dを有する。本態様では、dはdと異なる。具体的には、図1乃至図8に示す実施形態と併せて上述したように、dは、>dでもよい。
【0046】
別の特定の態様では、トルク制限トレランス・リング906の側壁912の未形成部分914は、突出部916が間隙934と整列した際にトルク制限トレランス・リング906を係合構造から非係合構造に径方向外方に付勢する復元力FRSWを有する。FRSWは、図1乃至図8に示す実施形態と併せて説明した復元力と同じでもよい。
【0047】
特定の態様では、トルク制限トレランス・リング906は、回転組立体内の動作トルクTが閾値トルクTを超えた場合に外側構成要素内で滑り回転して、非係合構造に移行する。内側構成要素または外側構成要素に作用する残留トルクT図1乃至図8に示す実施形態と併せて説明した残留トルクと同じでもよい。
【0048】
特定の態様では、トルク制限トレランス・リング906から延在する突出部916が一旦外側構成要素904に形成された間隙934内に移動して係合されると、突出部916は間隙934から簡単に外れず、トルク制限トレランス・リング906は、係合構造から非係合構造に移行した後に、非係合構造のまま維持される。
【0049】
特定の態様では、各間隙934は、間隙934の一つ以上の内面によって画成される空間内で測定される容積Vを有する。各突出部916は、突出部916の一つ以上の外面によって画成される空間内で測定される容積Vを占有し得、図1乃至図8に示す実施形態と併せて説明したように、Vは≦Vでもよい。
【0050】
別の態様では、各間隙934は、各間隙934の最広部分において測定される円周幅または直径Wを有する。各突出部916は、各突出部の最広部分において測定される円周幅または直径Wを有し得る。1乃至図8に示す実施形態と併せて説明したように、Wは≦Wでもよい。別の態様では、1乃至図8に示す実施形態と併せて説明したように、W≧Wでもよい。
【0051】
図17乃至図20を参照するに、別の実施形態による回転組立体1700が示される。図示するように、回転組立体1700は、内側構成要素1702と外側構成要素1704と、その間に設けられるトルク制限トレランス・リング1706とを有する。使用の際、以下により詳細に説明するように、トルク制限トレランス・リング1706は、図17乃至図18に示す、内側構成要素1702が外側構成要素1704に静的に結合された係合構造から、図19乃至図20に示す、内側構成要素1702と外側構成要素1704の係合が解かれた非係合構造まで移行することができる。特定の態様では、回転組立体1700は、図1乃至図8と併せて説明したエアコン用コンプレッサー組立体でもよい。
【0052】
図17乃至図20を参照するに、トルク制限トレランス・リング1706は略円筒形の本体1710を含む。本体1710は、側壁1712を有する。側壁1712は未形成部分1714を含み、複数の突出部1716が本体1710の側壁1712から径方向内方に延在し得る。本体1710の側壁1712は、突出部のない、略円筒形の外面1718を含む。側壁1712は、未形成部分1714に隙間1720を有してもよい。特定の態様では、隙間1720は、本体1710において少なくとも部分的なスプリットを定めるよう体1710の軸方向長さ全体の大部分に沿って延在し得る。別の態様では、隙間1720は本体1710において少なくとも完全なスプリットを定めるよう本体1710の軸方向長さ全体に沿って延在し得る。
【0053】
更に、図17乃至図20に示すように、内側構成要素1702は略円筒形であり略円筒形の外面1730を有し、外側構成要素1704は略円筒形の内面1732を有する略円筒形のボアを含む。図示するように、内側構成要素1702外面1730には、外面1730の円周に沿って等間隔で離間された複数の間隙1734が形成される。本態様では、間隙1734は、内側構成要素1702の軸方向長さ全体に沿って内側構成要素1702の外面1730に形成されたスプラインでもよい。間隙1734は、内側構成要素1702の中心に向かって内側構成要素1702の外面1730に径方向に延在し得る。更に、間隙1734は、回転組立体1700の中心を通って延在する回転組立体1700の回転軸に対して略平行である。
【0054】
本態様では、突出部1716は、回転組立体1700の中心に向かって、また、内側構成要素1702の外面1730に形成された間隙1734に向かって、本体1710の側壁1712の未形成部分1714から径方向内方に延在し得る。更に、各突出部1716は、一般的に細長く、各突出部1716の最広部分における円周幅よりも軸方向高さが大きい。別の態様では、各突出部1716は、同軸に沿って整列される多数の離散した突出部の列でもよく、全体の軸方向高さは、列における各離散した突出部の最広部分における円周幅よりも大きい。
【0055】
図17および図18に示す係合構造では、複数の突出部1716は、内側構成要素1702の外側円筒面1730、例えば、各間隙1734間に位置する外側円筒面1730の部分と係合することができる。本体1710の側壁1712の外面1718は、外側構成要素1704の内面1732と係合することができる。更に、各突出部1716は、外側構成要素1704の内面1732と内側構成要素1702の外面1730との間で圧縮され、外側構成要素1704が内側構成要素1702と回転するよう内側構成要素1702と外側構成要素1704を静的に結合する複数の半径方向に向けられた力を与える。
【0056】
特定の態様では、各突出部1716は、各突出部1716を圧縮させるが、係合構造において永久的に変形させない剛性Sを有し得る。Sは、図1乃至図8に示す実施形態と併せて説明したSと同じでもよい。
【0057】
図19および図20に示す非係合構造では、複数の突出部1716は、内側構成要素1702の外面1730に形成された間隙1734に少なくとも部分的に延在し、トルク制限トレランス・リング1706は径方向内方に縮小し得る。具体的には、各突出部1716は、非係合構造において整列し対応する間隙1734に少なくとも部分的に延在し得る。特定の態様では、トルク制限トレランス・リング1706が径方向内方に縮小するため、本体1710の側壁1712の外面1718は外側構成要素1704の内面1732と非係合となり、側壁1712の外面1718は外側構成要素1704の内面1732の円周の少なくとも大部分に沿って外側構成要素1704の内面1732から径方向に離間されているか離されている。特定の態様では、トロイド空間がトルク制限トレランス・リング1706の本体1710の外面1718の周りに形成され、外側構成要素1704の内面1732とトルク制限トレランス・リング1706の外面1718との間の接触が制限される。
【0058】
特定の態様では、トルク制限トレランス・リング1706は、係合構造において第の直径dを有し、非係合構造において第2の直径dを有する。本態様では、dはdと異なる。具体的には、dは、<dである。例えば、d≦99%d、例えば、≦98%d、≦97%d、≦96%d、または、≦95%dである。更に、d≧70%d、例えば、≧75%d、≧80%d、≧85%d、または、≧90%dである。更に、本態様では、dは本願に記載するdの全ての最大値と最小値を含むその範囲内にある。
【0059】
例えば、dは、d≦99%d、且つ、≧70%d、例えば、≦99%d、且つ、≧75%d、≦99%d、且つ、≧80%d、≦99%d、且つ、≧85%d、≦99%d、且つ、≧90%dでもよい。更に、dは、d≦98%d、且つ、≧70%d、例えば、≦98%d、且つ、≧75%d、≦98%d、且つ、≧80%d、≦98%d、且つ、≧85%d、≦98%d、且つ、≧90%dでもよい。更に、dは、d≦97%d、且つ、≧70%d、例えば、≦97%d、且つ、≧75%d、≦97%d、且つ、≧80%d、≦97%d、且つ、≧85%d、≦97%d、且つ、≧90%dでもよい。更に、dは、d≦96%d、且つ、≧70%d、例えば、≦96%d、且つ、≧75%d、≦96%d、且つ、≧80%d、≦96%d、且つ、≧85%d、≦96%d、且つ、≧90%dでもよい。dは、d≦95%d、且つ、≧70%d、例えば、≦95%d、且つ、≧75%d、≦95%d、且つ、≧80%d、≦95%d、且つ、≧85%d、≦95%d、且つ、≧90%dでもよい。
【0060】
別の特定の態様では、トルク制限トレランス・リング1706の側壁1712の未形成部分1714は、突出部1716が間隙1734と整列する際にトルク制限トレランス・リング1706を係合構造から非係合構造に径方向内方に付勢する復元力FRSWを含む。FRSWは、図1乃至図8に示す実施形態と併せて説明した復元力と同じでもよい。
【0061】
特定の態様では、トルク制限トレランス・リング1706は、回転組立体内の動作トルクTが閾値トルクTを超えた場合に内側構成要素上で滑り回転して、非係合構造に移行する。内側構成要素または外側構成要素に作用する残留トルクT図1乃至図8に示す実施形態と併せて説明した残留トルクと同じでもよい。
【0062】
特定の態様では、トルク制限トレランス・リング1706から延在する突出部1716が一旦内側構成要素1702に形成された間隙1734内に移動して係合あれると、突出部1716は間隙1734から簡単に外れず、トルク制限トレランス・リング1706は、係合構造から非係合構造に移行した後に、非係合構造のまま維持される。
【0063】
特定の態様では、各間隙1734は、間隙1734の一つ以上の内面によって画成される空間内で測定される容積Vを有する。各突出部1716は、突出部1716の一つ以上の外面によって画成される空間内で測定される容積Vを占有し得、図1乃至図8に示す実施形態と併せて説明したように、Vは≦Vでもよい。
【0064】
別の態様では、各間隙1734は、間隙1734の最広部分において測定される円周幅または直径Wを有する。各突出部1716は、各突出部の最広部分において測定される円周幅または直径Wを有し得る。1乃至図8に示す実施形態と併せて説明したように、Wは≦Wでもよい。特定の態様では、1乃至図8に示す実施形態と併せて説明したように、W≧Wでもよい。
【0065】
図示しないが明らかに本開示の範囲内である別の実施形態では、回転組立体は、図17乃至図20に示す、内側構成要素1702とトルク制限トレランス・リング1706と、図1乃至図8に示す、外側構成要素104とトルク制限トレランス・リング106とを含む。本組立体では、トルク制限トレランス・リング1706は、第1のトルク制限トレランス・リング1706と考えられ、トルク制限トレランス・リング106は第2のトルク制限トレランス・リング106と考えられる。
【0066】
回転組立体の本実施形態において、係合構造では、第1のトルク制限トレランス・リング1706は、内方に向けられた突出部1716が内側構成要素1702の外面1730と係合するよう内側構成要素1702上に設けられる。第2のトルク制限トレランス・リング106は、第2のトレク制限トレランス・リング106の内面118が第1のトルク制限トレランス・リング1706の外面1718と係合するよう第1のトルク制限トレランス・リング1706の周りに設けられる。外側構成要素104は、第2のトルク制限トレランス・リング106の外方に向けられた突出部116が外側構成要素104の内面132と係合するよう、第2のトルク制限トレランス・リング106上に設けられる。
【0067】
第1のトルク制限トレランス・リング1706が内側構成要素1702に対して回転し、第1のトルク制限トレランス・リング1706上の突出部1716が内側構成要素1702に形成された間隙1734と整列されると、第1のトルク制限トレランス・リング1706は径方向に縮小して、第1のトルク制限トレランス・リング1706の外面1718が第1のトルク制限トレランス・リング1706の外面1718の円周の周りで第2のトルク制限トレランス・リング106の内面118から径方向に離間している非係合構造に移行する。同様にして、第2のトルク制限トレランス・リング106が外側構成要素104に対して回転し、第2のトルク制限トレランス・リング106上の突出部116が外側構成要素104に形成された間隙134と整列されると、第2のトルク制限トレランス・リング106は径方向に膨張して、第2のトルク制限トレランス・リング106の内面118が第2のトルク制限トレランス・リング106の内面118の円周の周りで第1のトルク制限トレランス・リング1706の外面1718から径方向に離間している非係合構造に移行する。他の態様では、トルク制限トレランス・リング1706、106それぞれが略同時に非係合構造に移行する。どの非係合構造においても、外側構成要素104は内側構成要素1702に対して回転自在である。
【0068】
第1のトルク制限トレランス・リング1706と第2のトルク制限トレランス・リング106の組み合わせは、間隙が外面に形成された内側構成要素と間隙が内面に形成されていない外側構成要素を有する回転組立体、または、間隙が外面に形成されていない内側構成要素および間隙が内面に形成された外側構成要素を有する回転組立体内に設けられてもよい。各回転組立体では、第1のトルク制限トレランス・リング1706および第2のトルク制限トレランス・リング106の組み合わせは、第1のトルク制限トレランス・リング上の突出部が内側構成要素の外面に形成された間隙と整列した場合、または、第2のトルク制限トレランス・リング106上の突出部が外側構成要素の内面に形成された間隙と整列した場合、非係合構造に移行することができる。
【0069】
図示しないが、明らかに本開示の範囲内である別の態様では、第1のトルク制限トレランス・リング1706および第2のトルク制限トレランス・リング106は、内方および外方に向けられた突出部を有する単一のトルク制限トレランス・リングとして一体的に形成される。このようなトルク制限トレランス・リングは、間隙が外面に形成された内側構成要素および間隙が内面に形成されていない外側構成要素を有する回転組立体、間隙が外面に形成されていない内側構成要素および間隙が内面に形成された外側構成要素を有する回転組立体、または、間隙が外面に形成された内側構成要素および間隙が内面に形成された外側構成要素を有する回転組立体内に設けられ得る。これら回転組立体それぞれでは、トルク制限トレランス・リングは、トルク制限トレランス・リング上の内方に向けられた突出部が内側構成要素の外面に形成された間隙と整列した場合、トルク制限トレランス・リング上の外方に向けられた突出部が外側構成要素の内面に形成された間隙と整列した場合、または、トレランス・リング上の内方に向けられた突出部および/または外方に向けられた突出部が内側構成要素の外面に形成された間隙および/または外側構成要素の内面に形成された間隙と整列した場合に、非係合構造に移行することができる。
【0070】
本願記載の各実施形態では、その方向性に関わらず各間隙は、内側構成要素または外側構成要素に対して深さdを有する。各突出部は、深さdだけ対応する間隙に延在することができ、dは≦dでもよい。例えば、d≦100%d、例えば、≦95%d、≦90%d、または、≦75%dでもよい。別の態様では、d≧5%d、例えば、≧10%d、≧15%d、または、≧25%dでもよい。更に、dは、本願に記載するdの全ての最大値と最小値を含むその範囲内にある。
【0071】
例えば、dは、≦100%d、且つ、≧5%d、例えば、≦100%d、且つ、≧10%d、≦100%d、且つ、≧15%d、または、≦100%d、且つ、≧25%dでもよい。更に、dは、≦95%d、且つ、≧5%d、例えば、≦95%d、且つ、≧10%d、≦95%d、且つ、≧15%d、または、≦95%d、且つ、≧25%dでもよい。別の態様では、dは、≦90%d、且つ、≧5%d、例えば、≦90%d、且つ、≧10%d、≦90%d、且つ、≧15%d、または、≦90%d、且つ、≧25%dでもよい。更に、dは、≦75%d、且つ、≧5%d、例えば、≦75%d、且つ、≧10%d、≦75%d、且つ、≧15%d、または、≦75%d、且つ、≧25%dでもよい。
【0072】
別の特定の態様では、方向性、即ち、径方向内方であるか径方向外方であるかに関わらず各間隙は、組立体の回転中心軸および突出部を通って垂直方向に延在する径方向の軸に沿って測定される径方向高さhを有する。特定の態様では、hは、≦100%d、例えば、≦95%d、≦90%d、または、≦75%dでもよい。別の態様では、h≧5%d、例えば、≧10%d、≧15%d、または、≧25%dでもよい。更に、hは、本願に記載するhの全ての最大値と最小値を含むその範囲内にある。
【0073】
例えば、hは、≦100%d、且つ、≧5%d、例えば、≦100%d、且つ、≧10%d、≦100%d、且つ、≧15%d、または、≦100%d、且つ、≧25%dでもよい。更に、hは、≦95%d、且つ、≧5%d、例えば、≦95%d、且つ、≧10%d、≦95%d、且つ、≧15%d、または、≦95%d、且つ、≧25%dでもよい。別の態様では、hは、≦90%d、且つ、≧5%d、例えば、≦90%d、且つ、≧10%d、≦90%d、且つ、≧15%d、または、≦90%d、且つ、≧25%dでもよい。更に、hは、≦75%d、且つ、≧5%d、例えば、≦75%d、且つ、≧10%d、≦75%d、且つ、≧15%d、または、≦75%d、且つ、≧25%dでもよい。
【0074】
更に別の態様では、各突出部は、それぞれの間隙に延在する突出部の部分の測定である係合高さhを有する。本態様では、hは、≦100%h、例えば、≦95%h、≦90%h、または、≦75%hでもよい。別の態様では、h≧5%h、例えば、≧10%h、≧15%h、または、≧25%hでもよい。更に、hは、本願に記載するhの全ての最大値と最小値を含むその範囲内にある。
【0075】
例えば、hは、≦100%h、且つ、≧5%h、例えば、≦100%h、且つ、≧10%h、≦100%h、且つ、≧15%h、または、≦100%h、且つ、≧25%hでもよい。更に、hは、≦95%h、且つ、≧5%h、例えば、≦95%h、且つ、≧10%h、≦95%h、且つ、≧15%h、または、≦95%h、且つ、≧25%hでもよい。別の態様では、hは、≦90%h、且つ、≧5%h、例えば、≦90%h、且つ、≧10%h、≦90%h、且つ、≧15%h、または、≦90%h、且つ、≧25%hでもよい。更に、hは、≦75%h、且つ、≧5%h、例えば、≦75%h、且つ、≧10%h、≦75%h、且つ、≧15%h、または、≦75%h、且つ、≧25%hでもよい。
【0076】
各図に示したように、各間隙は、組立体の回転軸に対して垂直に取られた断面内で、概ね長方形または正方形の断面形状を有する。別の態様では、各間隙は、例えば、弧形状または半円形のように丸みが付けられた断面形状を有する。更に別の態様では、各間隙は、概ね三角形の断面形状を有してもよい。更に、各間隙は、二等辺四辺形のように概ね形状化された断面形状を有してもよい。
【0077】
各突出部は、組立体の回転軸に対して垂直に取られた断面内で、例えば、弧形状または半円形のように概ね丸みが付けられた断面形状を有してもよい。別の態様では、各突出部は、長方形または正方形の断面形状を有してもよい。別の態様では、各突出部は、概ね三角形の断面形状を有する。更に、各突出部は二等辺四辺形のように概ね形状化された断面形状を有してもよい。各突出部は、対応する間隙と同じ形状を有してもよい。あるいは、各突出部は、対応する間隙の形状と異なる形状を有してもよい。適用法によっては、全ての突出部が同じ形状を有してもよく、また、突出部が様々な形状を有してもよい。更に、全ての間隙が同じ形状を有してもよく、また、間隙が様々な形状を有してもよい。突出部のある形状では、閾値トルクに到達するとトルク制限トレランス・リングの滑りが促される。追加的には、突出部のある形状では、非係合構造におけるトルク制限トレランス・リングの保持が促進される。
【0078】
特定の態様では、本願記載の任意の態様によるトルク制限トレランス・リングは、金属、金属合金、または、その組み合わせよりなる。金属は鉄類を含む。更に、金属は鋼を含む。鋼は、オーステナイト系ステンレス鋼等のステンレス鋼を含む。また、鋼は、クロム、ニッケル、または、その組み合わせよりなるステンレス鋼を含む。例えば、鋼はX10CrNi18−8ステンレス鋼でもよい。更に、トレランス・リングは、ビッカーズ硬さVPNを有し、VPNは、≧350、例えば、≧375、≧400、≧425、または、≧450でもよい。VPNは、≦500、例えば、≦475、または、≦450でもよい。VPNは、本願記載の全てのVPN値を含むその間の範囲内の値を含み得る。別の態様では、トレランス・リングは、耐食性を向上するよう処理されてもよい。特に、トレランス・リングは不動態化されてもよい。例えば、トレランス・リングは、ASTM規格A967に応じて不動態化されてもよい。
【0079】
別の態様では、トレランス・リングを形成するストック材料は厚さtを有し、tは、≧0.05mm、例えば、≧0.1mm、≧0.2mm、≧0.3mm、または、≧0.4mmでもよい。別の態様では、tは≦1.0mm、例えば、≦0.75mm、または、≦0.5mmでもよい。更に、tは、本願記載のtの全ての最大値と最小値を含むその範囲内にある。
【0080】
例えば、tは、≧0.05mm、且つ、≦1.0mm、例えば、≧0.05mm、且つ、≦0.75mm、または、≧0.05mm、且つ、≦0.5mmでもよい。更に、tは、≧0.1mm、且つ、≦1.0mm、例えば、≧0.1mm、且つ、≦0.75mm、または、≧0.1mm、且つ、≦0.5mmでもよい。別の態様では、tは、≧0.2mm、且つ、≦1.0mm、例えば、≧0.2mm、且つ、≦0.75mm、または、≧0.2mm、且つ、≦0.5mmでもよい。更には、tは、≧0.3mm、且つ、≦1.0mm、例えば、≧0.3mm、且つ、≦0.75mm、または、≧0.3mm、且つ、≦0.5mmでもよい。更には、tは、≧0.4mm、且つ、≦1.0mm、例えば、≧0.4mm、且つ、≦0.75mm、または、≧0.4mm、且つ、≦0.5mmでもよい。
【0081】
本願記載の任意の態様によるトレランス・リングは、全体的な外径ODを有し、ODは、≧5mm、例えば、≧10mm、≧20mm、≧30mm、または、≧40mmでもよい。別の態様では、ODは≦100mm、例えば、≦90mm、≦80mm、≦70mm、≦60mm、または、≦50mmでもよい。更に、ODは、本願に記載するODの全ての最大値と最小値を含むその範囲内にある。
【0082】
例えば、ODは、≧5mm、且つ、≦100mm、例えば、≧5mm、且つ、≦90mm、≧5mm、且つ、≦80mm、≧5mm、且つ、≦70mm、≧5mm、且つ、≦60mm、または、≧5mm、且つ、≦50mmでもよい。ODは、≧10mm、且つ、≦100mm、例えば、≧10mm、且つ、≦90mm、≧10mm、且つ、≦80mm、≧10mm、且つ、≦70mm、≧10mm、且つ、≦60mm、または、≧10mm、且つ、≦50mmでもよい。ODは、≧20mm、且つ、≦100mm、例えば、≧20mm、且つ、≦90mm、≧20mm、且つ、≦80mm、≧20mm、且つ、≦70mm、≧20mm、且つ、≦60mm、または、≧20mm、且つ、≦50mmでもよい。ODは、≧30mm、且つ、≦100mm、例えば、≧30mm、且つ、≦90mm、≧30mm、且つ、≦80mm、≧30mm、且つ、≦70mm、≧30mm、且つ、≦60mm、または、≧30mm、且つ、≦50mmでもよい。追加的には、ODは、≧40mm、且つ、≦100mm、例えば、≧40mm、且つ、≦90mm、≧40mm、且つ、≦80mm、≧40mm、且つ、≦70mm、≧40mm、且つ、≦60mm、または、≧40mm、且つ、≦50mmでもよい。
【0083】
別の態様では、トレランス・リングは、全体的な軸方向長さLを有し、Lは、≧5mm、例えば、≧10mm、または、≧15mmでもよい。更に、Lは≦50mm、例えば、≦40mm、≦30mm、または、≦20mmでもよい。更に、Lは、本願に記載するLの全ての最大値と最小値を含むその範囲内にある。
【0084】
例えば、Lは、≧5mm、且つ、≦50mm、例えば、≧5mm、且つ、≦40mm、≧5mm、且つ、≦30mm、または、≧5mm、且つ、≦20mmでもよい。更に、Lは、≧10mm、且つ、≦50mm、例えば、≧10mm、且つ、≦40mm、≧10mm、且つ、≦30mm、または、≧5mm、且つ、≦20mmでもよい。更に、Lは、≧15mm、且つ、≦50mm、例えば、≧15mm、且つ、≦40mm、≧15mm、且つ、≦30mm、または、≧15mm、且つ、≦20mmでもよい。
【0085】
別の態様では、各突出部は、径方向高さHを有し、Hは、≧0.3mm、例えば、≧0.4mm、≧0.6mm、または、≧0.7mmでもよい。更に、Hは≦1.5mm、例えば、≦1.25mm、または、≦1mmでもよい。更に、Hは、本願に記載するHの全ての最大値と最小値を含むその範囲内にある。
【0086】
例えば、Hは、≧0.3mm、且つ、≦1.5mm、例えば、≧0.3mm、且つ、≦1.25mm、または、≧0.3mm、且つ、≦1mmでもよい。更に、Hは、≧0.4mm、且つ、≦1.5mm、例えば、≧0.4mm、且つ、≦1.25mm、または、≧0.4mm、且つ、≦1mmでもよい。Hは、≧0.5mm、且つ、≦1.5mm、例えば、≧0.5mm、且つ、≦1.25mm、または、≧0.5mm、且つ、≦1mmでもよい。Hは、≧0.6mm、且つ、≦1.5mm、例えば、≧0.6mm、且つ、≦1.25mm、または、≧0.6mm、且つ、≦1mmでもよい。更には、Hは、≧0.7mm、且つ、≦1.5mm、例えば、≧0.7mm、且つ、≦1.25mm、または、≧0.7mm、且つ、≦1mmでもよい。
【0087】
特定の実施形態では、本願記載の任意の態様によるトルク制限トレランス・リングは、内側構成要素と外側構成要素との間に画成される環状領域に挿入され得る。環状領域は、径方向に測定される厚さTを有する。トルク制限トレランス・リングは、係合された場合に少なくとも三周方向(接触)位置において約1.0Tを占有するよう適応され、更に、非係合された場合にどの位置(少なくとも三周方向位置を含む)においても約0.95T以上にわたらないよう適応される。
【0088】
別の態様では、トルク制限トレランス・リングは、非係合された場合に約0.90T以上にわらないように、例えば、約0.85T以上、約0.80T以上、約0.75T以上、約0.70T以上、約0.65T以上、または、約0.60T以上にわたらないよう適応される。更に、トルク制限トレランス・リングは、内側構成要素および外側構成要素から非係合された場合に、トルク制限トレランス・リングが本願に記載する全てのT値を含む範囲の距離にわたるよう適応される。
【0089】
本願記載の少なくとも一つの実施形態によるトルク制限トレランス・リングは、図1乃至図20に示すように、組立体内に設置され得る。最初に、トルク制限トレランス・リングは、第1の構成要素、例えば、内側または外側構成要素と係合され、トルク制限トレランス・リングの側壁から延在する複数の突出部それぞれが第1の構成要素の表面に形成された隣接する間隙間の表面部分と整列される。その後、第2の構成要素は、トルク制限トレランス・リングが第1の構成要素と第2の構成要素との間に設けられるよう、トルク制限トレランス・リングと係合される。更に、トルク制限トレランス・リング上の円筒面は第2の構成要素の円筒面と係合され、トルク制限トレランス・リング上の複数の突出部それぞれは第1の構成要素と第2の構成要素との間で圧縮される。
【実施例】
【0090】
トルク制限トレランス・リングは、X10CrNi18−8ステンレス鋼ストックより製造される。ステンレス鋼ストックは、0.4mm±0.013の厚さを有する。更に、ステンレス鋼ストックは、400乃至450のVPNを有し、ASTM規格A967に応じて不動態化される。ステンレス鋼ストックは、ステンレス鋼ストックに沿って等間隔で配置される複数の細長い突出部を含むようスタンプされる。各突出部は、1.3mmの径方向高さを有する。ステンレス鋼ストックは、円筒形に丸められ、43mmの外径を有する軸の回りに位置決めされる。形成されたトルク制限トレランス・リングは、トルク制限トレランス・リングの円周に沿って等間隔に配置され、トルク制限トレランス・リングの軸方向長さに沿って延在する11本の細長い突出部を有する。各突出部は、1.3mmの径方向高さを有する。更に、トルク制限トレランス・リングは、15.75mmの軸方向長さを有する。
【0091】
複数のスプライン(8.8mmの径方向深さ)が形成された外側カラーはトルク制限トレランス・リングの周りに設置され、突出部はスプラインとスプラインの間で外側カラーの内壁と係合され、カラーは軸と静的に係合される。外側カラーは、44.5mmの内径を有する。外側カラーに制動力が加えられ徐々に増加させられながら、軸は回転される。制動力が約71Nmといった臨界値に到達すると、軸とカラーとの間のトルクは閾値に到達し、トレランス・リングはカラー内で回転される。トルク制限トレランス・リングは、トルク制限トレランス・リング上の突出部がスプラインと整列されるまでカラー内で回転される。その後、トルク制限トレランス・リングは径方向外方に拡大し、突出部はスプライン内に延在する。これにより、トルク制限トレランス・リングは軸と非係合となり、軸はカラー内で回転自在となる。
【0092】
当業者には、本願記載の特徴を一つ以上有するトルク制限トレランス・リングを利用する他の用途が明らかであろう。
【0093】
上述の技術的内容は制限的でなく例示的に過ぎず、添付の特許請求の範囲が本発明の真の範囲内の全ての変更態様、改善、および、他の実施形態を網羅することが意図される。そのため、法律によって許容される最大限の範囲において、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲およびその等価物の最も広い許容可能な解釈によって決められ、前述の詳細な説明によって制約または制限されてはならない。
【0094】
更に、前述の[発明を実施するための形態]では、本開示を合理化するために、様々な特徴を組み合わせるか単一の実施形態において説明してもよい。本開示は、主張する実施形態が各請求項に明示的に記載する特徴以上の特徴を必要とする、といった意図を反映していると解釈されてはならない。以下の請求項が反映するように、本発明の技術的内容は、任意の開示する実施形態の全ての特徴より少ない特徴に関わる。そのため、以下の請求項は[発明を実施するための形態]に組み込まれ、各請求項は、それぞれ個別に主張する技術的内容を定めている。
【0095】
[付記1] 内側構成要素と外側構成要素との間に設置されるよう構成されるトルク制限トレランス・リングであって、
側壁を含む略円筒形の本体を有し、側壁は、
未形成部分、および、
側壁の未形成部分から延在する複数の突出部であって、複数の突出部は内側構成要素または外側構成要素と係合するよう構成される、複数の突出部を含み、
内側構成要素が外側構成要素と静的に結合される係合構造から内側構成要が外側構成要素と非係合な非係合構造に移行可能な、トルク制限トレランス・リング。
【0096】
[付記2] 内側構成要素と、
外側構成要素と、
内側構成要素と外側構成要素との間に設置されるトルク制限トレランス・リングと、を備える組立体であって、
トルク制限トレランス・リングは、側壁を含む略円筒形の本体を有し、側壁は、
未形成部分、および、
側壁の未形成部分から延在する複数の突出部を含み、
トルク制限トレランス・リングは、内側構成要素が外側構成要素と静的に結合される係合構造から、内側構成要素が外側構成要素と非係合な非係合構造に回転可能である、組立体。
【0097】
[付記3] コンプレッサー軸と、
コンプレッサー軸の周りに設置されるコンプレッサー・プーリと、
コンプレッサー軸とコンプレッサー・プーリとの間に設置されるトルク制限トレランス・リングとを備えるエアコン用コンプレッサー組立体であって、
トルク制限トレランス・リングは、側壁を含む略円筒形の本体を有し、側壁は、
未形成部分、および、
側壁の未形成部分上の複数の突出部を含み、
トルク制限トレランス・リングは、コンプレッサー・プーリがコンプレッサー軸と静的に結合される係合構造から、コンプレッサー・プーリがコンプレッサー軸と非係合な非係合構造に回転可能である、エアコン用コンプレッサー組立体。
【0098】
[付記4] 内側構成要素と、
前記内側構成要素を少なくとも部分的に囲う外側構成要素であって、内側構成要素は複数の間隙が形成された外側円筒面を含む、または、外側構成要素は複数の間隙が形成された内側円筒面を含む、外側構成要素と、
内側構成要素と外側構成要素との間に設置されるトルク制限トレランス・リングとを有する組立体であって、
トルク制限トレランス・リングは、側壁を含む略円筒形の本体を有し、側壁は、
未形成部分、および、
側壁の未形成部分から内側構成要素に形成された間隙に向かってまたは外側構成要素に形成された間隙に向かって径方向内方にまたは径方向外方に延在する複数の突出部を含む、組立体。
【0099】
[付記5] トルク制限トレランス・リングは、更に、未形成部分に隙間を含み、隙間は本体の全長の大部分に沿って延在し、本体に少なくとも部分的なスプリットを形成する、付記1、2、3、または、4のうちいずれか一付記記載のトルク制限トレランス・リング、組立体、または、エアコン用コンプレッサー組立体。
【0100】
[付記6] トルク制限トレランス・リングは、更に未形成部分に隙間を含み、隙間は本体の全長に沿って延在し、本体に少なくとも完全なスプリットを形成する、付記1、2、3、または、4のうちいずれか一付記記載のトルク制限トレランス・リング、組立体、または、エアコン用コンプレッサー組立体。
【0101】
[付記7] 各突出部は略半球である、付記1、2、3、または、4のうちいずれか一付記記載のトルク制限トレランス・リング、組立体、または、エアコン用コンプレッサー組立体。
【0102】
[付記8] 各突出部は概ね細長く、円周幅よりも大きい軸方向高さを有する、付記1、2、3、または、4のうちいずれか一付記記載のトルク制限トレランス・リング、組立体、または、エアコン用コンプレッサー組立体。
【0103】
[付記9] トルク制限トレランス・リングは、係合構造において第1の直径dを有し、非係合構造において第2の直径dを有し、dはdと異なる、付記1、2、または、3のうちいずれか一付記記載のトルク制限トレランス・リング、組立体、または、エアコン用コンプレッサー組立体。
【0104】
[付記10] d>d、例えば、d≧101%d、≧102%d、≧103%d、≧104%d、または、≧105%dである、付記9記載のトルク制限トレランス・リング、組立体、または、エアコン用コンプレッサー組立体。
【0105】
[付記11] d≦130%d、例えば、≦125%d、≦120%d、≦115%d、または、≦110%dである、付記10記載のトルク制限トレランス・リング、組立体、または、エアコン用コンプレッサー組立体。
【0106】
[付記12] d>d、例えば、d≧101%d、≧102%d、≧103%d、≧104%d、または、≧105%dである、付記9記載のトルク制限トレランス・リング、組立体、または、エアコン用コンプレッサー組立体。
【0107】
[付記13] d≦130%d、例えば、≦125%d、≦120%d、≦115%d、または、≦110%dである、付記12記載のトルク制限トレランス・リング、組立体、または、エアコン用コンプレッサー組立体。
【0108】
[付記14] トルク制限トレランス・リングは、動作トルクTが閾値トルクTを超えると非係合構造に移行する、付記1、2、または、3のうちいずれか一付記記載のトルク制限トレランス・リング、組立体、または、エアコン用コンプレッサー組立体。
【0109】
[付記15] 非係合構造では、内側構成要素または外側構成要素に作用する残留トルクT、T≦T×0.15、例えば、≦T×0.125≦T×0.1≦T×0.075≦T×0.05≦T×0.025、または、≦T×0.01である、付記14記載のトルク制限トレランス・リング、組立体、または、エアコン用コンプレッサー組立体。
【0110】
[付記16] Tは、≧T×0、例えば、≧T×0.00025≧T×0.0005≧T×0.001≧T×0.0025、または、≧T×0.005である、付記15記載のトルク制限トレランス・リング、組立体、または、エアコン用コンプレッサー組立体。
【0111】
[付記17] トルク制限トレランス・リングの側壁の未形成部分は、トルク制限トレランス・リングを非係合構造に径方向外方にまたは径方向内方に付勢する復元力FRSWを有する、付記1,2、または、3のうちいずれか一付記記載のトルク制限トレランス・リング、組立体、または、エアコン用コンプレッサー組立体。
【0112】
[付記18] FRSWは、RSW≧5N、例えば、RSW≧10N、RSW≧15N、または、RSW≧20N/mである、付記17記載のトルク制限トレランス・リング、組立体、または、エアコン用コンプレッサー組立体。
【0113】
[付記19] FRSWは、RSW≦50N、例えば、RSW≦45N、RSW≦40N、または、RSW≦35Nである、付記19記載のトルク制限トレランス・リング、組立体、または、エアコン用コンプレッサー組立体。
【0114】
[付記20] 各突出部は、各突出部を圧縮させるが係合構造において永久的に変形させない剛性Sを有する、付記1,2、または、3のうちいずれか一付記記載のトルク制限トレランス・リング、組立体、または、エアコン用コンプレッサー組立体。
【0115】
[付記21] Sは、≧500kN/mm、例えば、≧1000kN/mm、≧5000kN/mm、または、≧10000kN/mmである、付記20記載のトルク制限トレランス・リング、組立体、または、エアコン用コンプレッサー組立体。
【0116】
[付記22] Sは、≦500000kN/mm、例えば、≦250000kN/mm、≦100000kN/mm、または、≦500000kN/mmである、付記21記載のトルク制限トレランス・リング、組立体、または、エアコン用コンプレッサー組立体。
【0117】
[付記23] トルク制限トレランス・リングは、係合構造から非係合構造に移行した後、非係合構造のまま保持される、付記1,2、または、3のうちいずれか一付記記載のトルク制限トレランス・リング、組立体、または、エアコン用コンプレッサー組立体。
【0118】
[付記24] トルク制限トレランス・リングは、内側構成要素が外側構成要素と静的に結合された係合構造から、内側構成要素が外側構成要素と非係合な非係合構造に回転可能である、付記4記載の組立体。
【0119】
[付記25] 係合構造では、複数の突出部は内側構成要素の外側円筒面または外側構成要素の内側円筒面と係合する、付記24記載の組立体。
【0120】
[付記26] 非係合構造では、複数の突出部は内側構成要素に形成された間隙または外側構成要素に形成された間隙に少なくとも部分的に延在する、付記24記載の組立体。
【0121】
[付記27] 各間隙は長手軸に対して平行に延在する軸方向のスプラインを有する、付記4記載の組立体。
【0122】
[付記28] 各間隙は、長手軸に対して径方向内方または径方向外方に延在するボアを有する、付記4記載の組立体。
【0123】
[付記29] 各間隙は、間隙の一つ以上の内面によって画成された空間内で測定される容積Vを有し、各突出部は突出部の一つ以上の外面によって画成された空間内で測定される容積Vを占有し、V≦Vである、付記4記載の組立体。
【0124】
[付記30] V≦99%V、例えば、≦98%V、≦97%V、≦96%V、または、≦95%Vである、付記29記載の組立体。
【0125】
[付記31] V≧20%V、例えば、≧30%V、≧40%V、≧50%V、または、≧75%Vである、付記30記載の組立体。
【0126】
[付記32] 各間隙は、各間隙の最広部分において測定される周方向幅Wを有し、各突出部は各突出部の最広部分において測定される周方向幅Wを有し、W≦Wである、付記4記載の組立体。
【0127】
[付記33] W≦99%W、例えば、≦98%W、≦97%W、≦96%W、または、≦95%Wである、付記32記載の組立体。
【0128】
[付記34] W≧50%W、例えば、≧60%W、≧70%W、または、≧80%W、付記33記載の組立体。
【0129】
[付記35] 各間隙は、各間隙の最広部分において測定される周方向幅Wを有し、各突出部は各突出部の最広部分において測定される周方向幅Wを有し、W≧Wである、付記4記載の組立体。
【0130】
[付記36] W≧101%W、例えば、≧102%WD、≧103%W、≧104%W、または、≧105%Wである、付記35記載の組立体。
【0131】
[付記37] W≦125%W、例えば、≦120%W、または、≦115%W、付記36記載の組立体。
【0132】
[付記38]
トルク制限トレランス・リングを設置する方法であって、
トルク制限トレランス・リングを第1の構成要素と係合するステップであって、トルク制限トレランス・リングの側壁から延在する複数の突出部のうちの一つが第1の構成要素の表面に形成された隣接する間隙間の表面部分と整列するよう係合するステップと、
トルク制限トレランス・リングを第2の構成要素と係合するステップであって、トルク制限トレランス・リングが第1の構成要素と第2の構成要素との間に配置され、トルク制限トレランス・リングの円筒面が第2の構成要素の円筒面と係合され、トルク制限トレランス・リングの複数の突出部それぞれが第1の構成要素と第2の構成要素との間で圧縮されるステップと、を備える方法。
【0133】
[付記39] 内側構成要素と、
内側構成要素を少なくとも部分的に囲う外側構成要素であって、内側構成要素と外側構成要素は半径方向の厚さTを有する環状領域を画成する、外側構成要素と、
環状領域内に設置されるトルク制限トレランス・リングと、を備え、
トルク制限トレランス・リングは、係合された場合に少なくとも三周方向位置において約1.0Tを占有し、非係合された場合にどの位置においても約0.95T以上にわたらない、組立体。
【0134】
[付記40] 内側構成要素と外側構成要素との間に設置されるトルク制限トレランス・リングであって、
内側構成要素と外側構成要素は半径方向の厚さTを有する環状領域を画成し、
係合構造では、トルク制限トレランス・リングはTAにわたり、非係合構造では、トルク制限トレランス・リングは約0.95TA以下にわたり、約0.90TAにわたり、約0.85TAにわたり、約0.80TAにわたり、約0.75TAにわたり、約0.70TAにわたり、約0.65TAにわたり、または、約0.60TAにわたる、トルク制限トレランス・リング。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20