(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6196690
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】ソフトウェア定義フレキシブルグリッド光伝送ネットワークにクラウドサービスを埋め込むための計算負荷バランシング手順を伴うネットワーク
(51)【国際特許分類】
H04L 12/70 20130101AFI20170904BHJP
H04L 12/715 20130101ALI20170904BHJP
H04L 12/915 20130101ALI20170904BHJP
【FI】
H04L12/70 D
H04L12/715
H04L12/915
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-559328(P2015-559328)
(86)(22)【出願日】2014年6月24日
(65)【公表番号】特表2016-516322(P2016-516322A)
(43)【公表日】2016年6月2日
(86)【国際出願番号】US2014043815
(87)【国際公開番号】WO2014209965
(87)【国際公開日】20141231
【審査請求日】2015年8月24日
(31)【優先権主張番号】61/838,479
(32)【優先日】2013年6月24日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/312,610
(32)【優先日】2014年6月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504080663
【氏名又は名称】エヌイーシー ラボラトリーズ アメリカ インク
【氏名又は名称原語表記】NEC Laboratories America, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】アンキットクマール・パテル
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・ナン・ジ
(72)【発明者】
【氏名】ティン・ワン
【審査官】
森谷 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】
欧州特許出願公開第02571184(EP,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0251117(US,A1)
【文献】
A.Autenrieth et al.,Evaluation of Technology Options for Software-Defined Transceivers in Fixed WDM Grid versus Flexible WDM Grid Optical Transport Networks,Photonic Networks, 14.2013 ITG Symposium. Proceedings,2013年 5月 6日,pp.1-5
【文献】
Neda Cvijetic et al.,First OpenFlow-based Software-Defined λ-Flow Architecture for Flex-Grid OFDMA Mobile Backhaul over Passive Optical Networks with Filterless Direct Detection ONUs,Optical Fiber Communication Conference and Exposition and National Fiber Optic Engineers Conference(OFC/NFOEC),2013,2013年 3月17日,pp.1-3
【文献】
中川雅弘,服部恭太,君島直樹,片山勝,三澤明,光L2スイッチネットワークにおける階層化スケジューリング方式の提案,電子情報通信学会 信学技報,2012年 9月,pp.141-146
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/70
H04L 12/715
H04L 12/915
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータによって、ソフトウェア定義フレキシブルグリッド光伝送ネットワーク上にクラウドデマンドの埋め込みを実装する工程を含む方法であって、前記実装する工程が、
前記ネットワーク内の物理的リンク上に仮想リンクVLを最初にマッピングする工程と、
仮想リンクマッピングのために潜在的な変調フォーマット及びルーティング解決策を検索する工程と、
前記変調フォーマットを使用することで計算される、前記経路上での前記仮想リンクVLのマッピングの確率に基づいて、仮想リンクVLに対して変調フォーマット及び物理的ルーティング解決策を選択する工程と、
スペクトル断片化が最小限に抑えられ、それにより物理的経路上での仮想リンクVLのマッピングの確率を高めるように、波長及び配分スペクトルを仮想リンクVLに割り当てる工程と、
前記マッピングされた仮想リンクVLと関連付けられた仮想ノードを、前記仮想リンクVLがマッピングされる選択された経路の物理的ノードの末端に割り当てる工程を含む、物理的ノード上に仮想ノードをマッピングする工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記選択する工程が、仮想リンクVLのリストから仮想リンクVLを選択する工程と、一組の物理的ノードPN内の全ての物理的ノードPNが少なくとも必要数の各種類のリソースを有するように、前記仮想リンクVLの各マッピングされていない仮想ノードVNに対する一組の物理的ノードPNを検索する工程と、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記検索する工程が、前記仮想リンクVLの双方の仮想ノードVNがまだマッピングされていないかを確認する工程を含み、前記仮想リンクVLの前記VNの双方がまだマッピングされていない場合、ノードの各組み合わせ間のk最短経路の各々について、到達可能性制約に基づく一組の実行可能な変調フォーマットを決定し、その一方で、前記VNのうちの少なくとも1つが既にマッピングされている場合、前記VNのうちの一方が既にマッピングされているが、他方がまだマッピングされていないかの確認が存在し、これが肯定的である場合、前記VNが前記PNに既にマッピングされているノードの各組み合わせ間の前記k最短経路の各々について、前記到達可能性制約に基づく一組の実行可能な変調フォーマットの決定が存在し、さもなければ、VNがPNに既にマッピングされているノード間の前記k最短経路の各々について、前記到達可能性制約に基づく一組の実行可能な変調フォーマットの決定が存在する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記変調フォーマットを選択する工程が、ノードの各組み合わせを接続するk最短経路の各々のビットマップを検索する工程を含み、経路のビットマップが、前記経路に沿った全ての物理的リンクのビットマップ上でビット単位の論理的終了動作を実施することによって決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記選択する工程が、各変調フォーマットに対する合計必要スペクトルを決定する工程と、連続波長スロットが経路のビットマップ上で変調フォーマットに利用可能である位置から始まる波長スロットの数と、連続波長スロットがマッピングされ得る位置から始まる可能な波長スロットの合計数との比率を考慮して、変調フォーマットを使用して物理的ノードPNを接続する経路上の前記仮想リンクVLをマッピングする確率を決定する工程と、を更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記波長を割り当てる工程が、連続波長スロットが利用可能である位置から始まる最低波長スロットを検索する工程と、物理的ノードPN間の選択された経路上の検索された波長スロットにおいて前記仮想リンクVLを提供する工程と、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
コンピュータによる、ソフトウェア定義フレキシブルグリッド光伝送ネットワーク上でのクラウドデマンドの埋め込みの実装を含むシステムであって、前記実装が、
前記ネットワーク内の物理的リンク上に仮想リンクVLを最初にマッピングする工程と、
仮想リンクマッピングのために潜在的な変調フォーマット及びルーティング解決策を検索する工程と、
前記変調フォーマットを使用することで計算される、前記経路上での前記仮想リンクVLのマッピングの確率に基づいて、仮想リンクVLに対して変調フォーマット及び物理的ルーティング解決策を選択する工程と、
スペクトル断片化が最小限に抑えられ、それにより物理的経路上での仮想リンクVLのマッピングの確率を高めるように、波長及び配分スペクトルを仮想リンクVLに割り当てる工程と、
前記マッピングされた仮想リンクVLと関連付けられた仮想ノードを、前記仮想リンクVLがマッピングされる選択された経路の物理的ノードの末端に割り当てる工程を含む、物理的ノード上に仮想ノードをマッピングする工程と、を含む、システム。
【請求項8】
前記選択する工程が、仮想リンクVLのリストから仮想リンクVLを選択する工程と、一組の物理的ノードPN内の全ての物理的ノードPNが少なくとも必要数の各種類のリソースを有するように、前記仮想リンクVLの各マッピングされていない仮想ノードVNに対する一組の物理的ノードPNを検索する工程と、を含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記検索する工程が、前記仮想リンクVLの双方の仮想ノードVNがまだマッピングされていないかを確認する工程を含み、前記仮想リンクVLの前記VNの双方がまだマッピングされていない場合、ノードの各組み合わせ間のk最短経路の各々について、到達可能性制約に基づく一組の実行可能な変調フォーマットを決定し、その一方で、前記VNのうちの少なくとも1つが既にマッピングされている場合、前記VNのうちの一方が既にマッピングされているが、他方がまだマッピングされていないかの確認が存在し、これが肯定的である場合、前記VNが前記PNに既にマッピングされているノードの各組み合わせ間の前記k最短経路の各々について、前記到達可能性制約に基づく一組の実行可能な変調フォーマットの決定が存在し、さもなければ、VNがPNに既にマッピングされているノード間の前記k最短経路の各々について、前記到達可能性制約に基づく一組の実行可能な変調フォーマットの決定が存在する工程を含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記変調フォーマットを選択する工程が、ノードの各組み合わせを接続するk最短経路の各々のビットマップを検索する工程を含み、経路のビットマップが、前記経路に沿った全ての物理的リンクのビットマップ上でビット単位の論理的終了動作を実施することによって決定される、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記選択する工程が、各変調フォーマットに対する合計必要スペクトルを決定する工程と、連続波長スロットが経路のビットマップ上で変調フォーマットに利用可能である位置から始まる波長スロットの数と、連続波長スロットがマッピングされ得る位置から始まる可能な波長スロットの合計数との比率を考慮して、変調フォーマットを使用して物理的ノードPNを接続する経路上の前記仮想リンクVLのマッピングの確率を決定する工程と、を更に含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記波長を割り当てる工程が、連続波長スロットが利用可能である位置から始まる最低波長スロットを検索する工程と、物理的ノードPN間の選択された経路上の検索された波長スロットにおいて前記仮想リンクVLを提供する工程と、を含む、請求項7に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、参照によりその内容が本明細書に援用される、2013年6月24日出願された仮出願第61/838,479号の優先権を主張する。本出願は、2014年6月23日に出願された「Compute Followed by Network Load Balancing Procedure for Embedding Cloud Services in Software−Defined Flexible−Grid Optical Transport Networks」と題される同時係属中米国特許出願第14/312,603号に関連する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、概して光通信に関し、より具体的には、ソフトウェア定義フレキシブルグリッド光伝送ネットワークにクラウドサービスを埋め込むための計算負荷バランシング手順を伴うネットワークに関する。
【0003】
ソフトウェア定義ネットワーク(SDN)アーキテクチャは、マルチベンダ、複数の技術、多層通信を支持し、サービスとしての基盤を提供するように、ネットワークプログラム可能性を可能にする。近年、低い干渉、長い到達距離、及びより低い電力消費による高容量の送信等の光送信の利益を活用するために、IP/イーサネット(登録商標)ベースのSDNアーキテクチャ内に光伝送を統合する試みが行われている。そのようなネットワークは、光伝送SDNと称される。光伝送SDNは、トランスポンダ及びROADM等の送信及び交換ネットワーク要素における柔軟性及びプログラム可能性、フレキシブルグリッドチャネルマッピング等の光チャネルの管理を可能にすること、並びに物理的ハードウェアから集中制御装置に制御プレーン知能を抽出することによって実現され得る。
【0004】
図1は、制御プレーンがネットワーク要素の物理的ハードウェアから抜き取られ、大部分のネットワーク制御及び管理知能が、集中制御装置内に存在している光伝送SDNのためのアーキテクチャを示す。集中制御装置は、標準的なプロトコル、例えば、制御装置及びネットワーク要素における標準的なインターフェース上でOpenFlowを使用して、ネットワーク要素を制御する。規則、行為、及び方針、並びにネットワーク要素の形式で存在する制御プレーン判定は、接続上の合致行為に基づいてこれらの判定を適用する。したがって、光伝送SDNは、ネットワークをソフトウェア定義光学素子(SDO)と光学素子定義制御装置(ODC)とに区分化する。
【0005】
ソフトウェア定義光学素子は、可変速度トランスポンダ、フレキシブルグリッドチャネルマッピング、及び無色無方向無コンテンション無グリッド(CDCG)ROADMで構成される。可変速度トランスポンダは、様々な変調フォーマット及びFECコード化のためにプログラムされ得る。したがって、トランスポンダは、不均一な到達要件のための可変送信容量を提供し得る。フレキシブルグリッドチャネルマッピングは、スペクトル−効率的な変調フォーマットを適用し、保護周波数帯を排除することによって、チャネルへの自在な量のスペクトルの割り当てを可能にして、より高いスペクトル効率を達成する。CDCG−ROADMは、任意の波長で、任意のスペクトル要件を伴って、任意の外向き方向にわたって動作する接続を切り替えるようにプログラムされ得る。更に、接続は、コンテンションを伴わずにノードにおいて追加及び停止され得る。これらのハードウェア及びその特徴は、SDONの最適化及びカスタマイズ能力の土台を確立する。
【0006】
光学素子定義制御装置は、ネットワークを管理し、またSDOの柔軟性を利用するためにネットワークの最適化及びカスタマイズを実施する。ODC機能性は、更にネットワーク/計算ハイパーバイザ、オペレーティングシステム、ネットワークアプリケーション及びデータベース、並びにデバッガ及び管理プレーン内へ展開される。これらのプレーンは、各層において独立して同時で高速な革新を可能にするように、標準的なオープンインターフェースによって単離される。例えば、クラウドリソースマッピング、ルーティング及びリソース配分、保護及び復元、デフラグメンテーション、エネルギー最適化等の様々な制御プレーン機能性が、アプリケーション及びデータベースとしてODCにインストールされる。ネットワーク/計算ハイパーバイザは、ネットワーク動作を最適化及び単純化するために、制御装置に対して物理的層実装の詳細を非表示にしながら、データプレーン並びにネットワーク及び計算リソースの概念的ビューに対する単離及び機能共有を提供することによって、仮想化を提供する。オペレーティングシステムは、アプリケーション及びハイパーバイザの実行のためのプログラム可能なプラットフォームを提供する。デバッガ及び管理プレーンは、ネットワーク性能を監視しながらアクセス制御及びQoS管理を提供し、故障隔離、定位、及び回復を実施する。
【0007】
近年、クラウドサービスは、一から新規の基盤を構築する代わりに既存の配備された基盤内でリソースを共有することによってアプリケーションを支持するため、多くの関心を集めている。最近、ネットワークアプリケーションは、例えば、FaceBook、Twitter、及びGoogle+等のソーシャルネットワークアプリケーション、Large Hadron Collider等のe−サイエンスアプリケーション、NetFlix等のコンテンツアプリケーション、並びにGoogle及びBaidu等の検索アプリケーション等、ますますクラウドを中心としたものになってきている。クラウドアプリケーションは、データセンタ内の様々な計算、記憶装置、ソフトウェア、及びプラットフォームに向けられたリソースを、ネットワークを通じて相互接続することによって支持する。各データセンタは、提供されるサービスの種類を最適化することを目的として構築され、例えば、Googleデータセンタは、ウェブページの効率的なインデックス化及びコンテンツ検索時間の最小化を目的として構築される一方で、Facebookデータセンタは、ユーザコンテンツのための最大記憶及びユーザのソーシャルグループ内でのこれらのコンテンツの効率的な管理及びリンクを提供するように構築され、Amazon EC2データセンタは、より速い計算時間を提供するように構築される。したがって、1つのデータセンタは、全ての種類のリソースを提供するとは限らないことがあり、またクラウドアプリケーションの全ての要件を最適に満たすとは限らないことがある。そのような場合、開かれた兆戦は、不均一なリソースを提供するデータセンタ間でクラウド要求をどのようにマッピングするか、またデータセンタ間でネットワーク接続性をどのように確立するかということである。この問題は、クラウドサービス埋め込み問題と称される。本発明では、ソフトウェア定義フレキシブルグリッド伝送SDNネットワーク上でのクラウドサービス埋め込み問題について調査する。この問題は、形式上、以下のように定義される。
【0008】
物理的ネットワークトポロジーG(N,L)が付与され、Nは、一組の物理的ノード(PN)を表し、Lは、物理的ノードを相互接続する一組の物理的リンク(PL)を表す。各ノードは、例えば、1、2、3..n個の異なる種類のリソースを提供し、各種類jに関する提供されるリソースCjnの数は、予め付与される。ノードはまた、CDCG−ROADM及び可変速度トランスポンダから構成される。CDCG−ROADMは、フレックスグリッド光接続の切り替えを提供し、可変速度トランスポンダは、一組の変調フォーマットMを提供し、各変調フォーマットmのスペクトル効率Zmビット/秒/Hz及び送信到達Dm Kmも付与される。ファイバーは、スペクトルの合計T THzを提供する。クラウドデマンドは、G’(V,E,C,L)として定義され、Vは、一組の仮想ノード(VN)であり、Eは、仮想ノードを接続する一組の仮想リンク(VL)であり、Cは、各仮想ノードiにおける要求される一組のリソース(Ci1、Ci2...Cin)であり、Lは、仮想ノードi及びjの間の要求される一組の回線速度lijである。クラウド要求の到着及び出発分布が付与される。埋め込まれるクラウドデマンドの数が最大となるように、物理的ノード上にクラウドデマンドの仮想ノードをどのようにマッピングするか(仮想ノード埋め込み問題)、かつ物理的リンク上にクラウドデマンドの仮想リンクをどのようにマッピングするか(仮想リンク埋め込み問題)が問題である。仮想リンク埋め込み問題は、物理的経路上に仮想リンクをどのようにルーティングするか、波長をどのように割り当ててスペクトルを配分するか、かつ変調フォーマットをどのように選択するか等の下位問題で構成される。ネットワークは、波長、スペクトル、又は変調フォーマット変換能力を支持しないと仮定する。
【0009】
クラウドの埋め込みは、主に仮想ノードの埋め込み及び仮想リンクの埋め込みで構成される。物理的ノード及びリンクリソースは、複数のクドデマンド間で共有されるため、埋め込み手順は、リソース容量制約を維持しながら、これらのリソースの単離を確実にする必要がある。仮想ノードを物理的ノード上にマッピングするとき、手順は、異なる仮想ノードが同一の物理的ノード上にマッピングされ得ないことを確実にする必要がある。フレックスグリッド伝送SDN内で光チャネルを通じて仮想リンクを物理的経路上にマッピングするとき、手順は、波長連続性及びスペクトル連続性、スペクトル競合を確実にする必要がある。波長連続性制約は、光チャネルの経路に沿った全リンク上の同一動作波長におけるスペクトルの配分として定義される。スペクトル連続性制約は、光チャネルの経路に沿った全リンク上の同一量のスペクトルの配分として定義される。スペクトル競合制約は、同一繊維を通じてルーティングされる全チャネルの非重複スペクトルの配分として定義される。更に、手順はまた、仮想リンクのための変調フォーマットの選択、及びネットワーク上でのそのルーティングが、仮想ノードがマッピングされる物理的ノード間の少なくとも物理的ユーグリット距離を支持すべきであることを確実にする必要がある。この制約は、到達可能性制約と称される。
【0010】
クラウドサービスの埋め込み問題は、仮想ノードの埋め込み及び仮想リンクの埋め込みの下位問題で構成される。仮想ノードが物理的ノードに予め割り当てられている場合、物理的リンク上に仮想リンクを単にマッピングする問題は、仮想ネットワーク埋め込み問題と称される。仮想ネットワーク埋め込み問題は、光伝送を無視してはいるが、IP/イーサネット(登録商標)ベースのネットワークに関して大きく解決されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、最大数のクラウドデマンドを埋め込み、したがってクラウドデマンド遮断を低減する手順を用いた、クラウドサービス埋め込み問題の最適化の必要が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、コンピュータによって、ソフトウェア定義フレキシブルグリッド光伝送ネットワーク上にクラウドデマンドの埋め込みを実装する工程と、ネットワーク内の物理的リンク上に仮想リンクを最初にマッピングする工程と、仮想リンクマッピングのために潜在的な変調フォーマット及びルーティング解決策を検索する工程と、変調フォーマットを使用して、経路上での仮想リンクのマッピングの確率に基づいて、仮想リンクに対して変調フォーマット及び物理的ルーティング解決策を選択する工程と、スペクトル断片化が最小限に抑えられ、それにより物理的経路上での仮想リンクのマッピングの可能性を高めるように、波長及び配分スペクトルを仮想リンクに割り当てる工程と、マッピングされた仮想リンクと関連付けられた仮想ノードを、仮想リンクがマッピングされる選択された経路の物理的ノードの末端に割り当てる工程を含む、物理的ノード上に仮想ノードをマッピングする工程と、を含む方法を対象とする。
【0013】
本発明の代替的な実施形態では、システムは、コンピュータによる、ソフトウェア定義フレキシブルグリッド光伝送ネットワーク上でのクラウドデマンドの埋め込みの実装を含み、この実装は、ネットワーク内の物理的リンク上に仮想リンクを最初にマッピングする工程と、仮想リンクマッピングのために潜在的な変調フォーマット及びルーティング解決策を検索する工程と、変調フォーマットを使用して、経路上での仮想リンクのマッピングの確率に基づいて、仮想リンクに対して変調フォーマット及び物理的ルーティング解決策を選択する工程と、スペクトル断片化が最小限に抑えられ、それにより物理的経路上での仮想リンクのマッピングの可能性を高めるように、波長及び配分スペクトルを仮想リンクに割り当てる工程と、マッピングされた仮想リンクと関連付けられた仮想ノードを、仮想リンクがマッピングされる選択された経路の物理的ノードの末端に割り当てる工程を含む、物理的ノード上に仮想ノードをマッピングする工程と、を含む。
【0014】
本発明のこれらの利点及び他の利点は、以下の詳細な説明及び添付の図面を参照することによって当業者に明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】光伝送ソフトウェア定義ネットワークSDNの例示的なアーキテクチャの図である。
【
図2】本発明に従う、計算負荷バランシングを伴うネットワークを詳述するブロック図である。
【
図3】本発明を実施するための例示的なコンピュータ構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、初めに物理的リンク上に仮想リンクをマッピングした後、物理的ノード上に仮想ノードをマッピングすることによる、クラウド埋め込み問題の解決を対象とする。本発明は、効率的な手順、即ち、最初にネットワークリソースをバランシングしながら物理的リンク上に仮想リンクをマッピングし、最終的には、異なる種類の計算リソースをバランシングしながら物理的ノード上に仮想ノードをマッピングする、計算負荷バランシングを伴うネットワーク(NCLB)を含む。我々の知る限り、これは、初めに物理的リンク上に仮想リンクをマッピングした後、物理的ノード上に仮想ノードをマッピングすることによってクラウド埋め込み問題を解決する初めての発明である。
【0017】
管理の複雑性を低減するために、スペクトルは、q GHzの粒度にて組み入れられる。スロットは、波長スロットと称される。したがって、スペクトルは、一組の連続波長スロットによって表すことができ、とりわけ、第1の波長スロット指標は、光チャネルの波長として示される。したがって、ネットワークは、合計天井(T/q)波長スロットで構成される[注:天井(.)及び床(.)は、括弧内に限定される値上の天井及び床数学的動作をそれぞれ示す]。各波長スロットの状態は、二値変数によって表され、「1」は、波長スロットが利用可能であることを示し、「0」は、波長スロットが使用中であることを示す。繊維のスペクトル状態は、繊維のビットマップと称される二値ベクトルによって表される。
【0018】
手順は、各ノード対間のk最短経路に至るまでを予め算出し、k≦|N|である。手順は、初めに、ネットワークリソース上で負荷バランシングを実施しながら物理的リンク(PL)上に仮想リンク(VL)をマッピングする。手順は、初めに、クラウドデマンドのVLを要求される回線速度の降順で並べる。VLは、この規則的なリストから1つずつ選択され、物理的ネットワーク上にマッピングされる。選ばれたVLに関して、手順は初めに、一組のPN内の全てのPNが、少なくとも必要数のVNjによって要求される各種類のリソースを有するように、VLのマッピングされていないVNjの各々に対する一組のPN Gjを検索する。任意のマッピングされていないVNjの一組のGjが空白である場合、手順は、PNのいずれにもVNをマッピングすることができず、クラウドデマンドを遮断する。その一方で、全てのマッピングされていないVNjの一組のGjが空白でない場合、手順は、選択されたVLのうちの幾つのVNがマッピングされていないのかに基づいて特定の行為を実施する。選択されるVLのVNのうちの双方がマッピングされていない場合、手順は、物理的ノード(r,t)、の各組み合わせを接続するk最短経路上でのVLの潜在的マッピングを考慮し、到達可能性制約に基づいて、物理的ノードr及びtの間の経路k上の潜在的マッピングの各々について潜在的な組の変調フォーマットMrtkを検索し、r∈Gi及びt∈Gj、r≠tである。その一方で、VNのうちの一方がPNのいずれかに既にマッピングされており、残りのVNがまだマッピングされていない場合、手順は、物理的ノード(r,t)の各組み合わせを接続するk最短経路上でのVLの潜在的マッピングを考慮し、到達可能性制約に基づいて、物理的ノードr及びtの間の経路k上の潜在的マッピングの各々について潜在的な組の変調フォーマットMrtkを検索し、rは、既にマッピングされたVNであり、t∈GjはマッピングされていないVNであり、r≠tである。その一方で、VLのVNのうちの双方が既にマッピングされている場合、手順は、ノード(r,t)間のk最短経路上でのVLの潜在的マッピングを考慮し、VNi及びjは、PNr及びtに既にマッピングされており、到達可能性制約に基づいて潜在的な組の変調フォーマットMrtkを検索する。次の工程では、手順は、物理的ノード(r,t)の各組み合わせを接続するk最短潜在的経路の各々のビットマップを検索する。経路のビットマップは、経路に沿った全ての物理的リンクのビットマップ上でビット単位の論理的終了動作を実施することによって決定される。手順はまた、各変調フォーマットm∈Mrtkに関して必要とされるスペクトルSrtkm=天井(lij/Zm)も決定する。次の工程では、手順は、変調フォーマットm∈Mrtkを使用して、Prtkmとして示されるPNr及びtを接続する潜在的経路k上でのVLのマッピングの確率を検索する。Prtkmは、天井(Srtkm/q)連続波長スロットが経路kのビットマップ上で変調フォーマットmに関して利用可能である位置から始まる波長スロットの数と、天井(Srtkm/q)連続波長スロットがマッピングされ得る位置から始まる可能な波長スロット[床(T/q)−天井(Srtkm/q))+1]の合計数との比率である。全ての潜在的経路及び変調フォーマットの組み合わせを評価した後、手順は、Prtkmを最大化する経路及び変調フォーマットを選択する。Prtkmが0の場合、手順は、変調フォーマットのいずれか使用して経路のいずれかの上にVLをマッピングすることはできず、予め配分されたリソースの全てを解放した後にクラウドデマンドを遮断する。その一方で、Prtkmが非ゼロの場合、手順は、天井(Srtkm/q)連続波長スロットが選択された変調フォーマットm及び経路kに関して利用可能である位置から始まる最低波長スロットを検索し、r及びt PNの間の選択された経路k及び変調フォーマットm上に、検索された波長スロットにおいてVLを提供する。VLがマッピングされると、手順は、VLの両端にVNをマッピングする。VNiに関連するリソースは、rがまだマッピングされていない場合、PNrに割り当てられる。同様に、VNjに関連するリソースは、tがまだマッピングされていない場合、PNtに割り当てられる。最後に、手順は、全てのVLが提供されているか否かを確認する。VLのうちの少なくとも1つがまだ提供されていない場合、手順は、全てのVLが提供されるまで手順を反復する。
【0019】
次の本発明の流れは、
図2の図中に示される。
【0020】
101:手順は、要求される回線速度の降順でVLを並べる。
【0021】
102:手順は、リストの上からVLを選択し、一組のPN内の全てのPNが少なくとも必要数の各種類のリソースを有するように、VLのマッピングされていないVNjの各々について一組のPN Gjを検索する。
【0022】
103:手順は、Gjが空白であるかを確認する。Gjが空白である場合、手順は工程114に従い、さもなければ手順は工程104に従う。
【0023】
104:手順は、VLの双方のVNがまだマッピングされていないかを確認する。VLの双方のVNがまだマッピングされていない場合、手順は、工程106に従う。その一方で、VNのうちの少なくとも1つが既にマッピングされている場合、手順は工程105に従う。
【0024】
105:手順は、VNのうちの一方が既にマッピングされているが、他方がまだマッピングされていないかを確認する。これが肯定的である場合、手順は工程107に従い、そうでなければ、手順は工程108に従う。
【0025】
106:r∈Gi及びt∈Gj、r≠tであるノード(r,t)の各組み合わせ間のk最短経路の各々について、手順は、到達可能性制約に基づいて一組の実行可能な変調フォーマットMrtkを決定する。
【0026】
107:t∈Gjであり、VNiは、PNrに対して既にマッピングされており、r≠tであるノード(r,t)の各組み合わせ間のk最短経路の各々について、手順は、到達可能性制約に基づいて一組の実行可能な変調フォーマットMrtkを決定する。
【0027】
108:VNi及びjがPNr及びtに既にマッピングされているノード(r,t)の各組み合わせ間のk最短経路の各々について、手順は、到達可能性制約に基づいて一組の実行可能な変調フォーマットMrtkを決定する。
【0028】
109:手順は、ノード(r,t)の各組み合わせを接続するk最短経路の各々のビットマップを検索する。経路のビットマップは、経路に沿った全ての物理的リンクのビットマップ上でビット単位の論理的終了動作を実施することによって決定される。
【0029】
110:手順は、各変調フォーマットm∈Mrtkに対する合計必要スペクトルSrtkm=天井(lij/Zm)を決定する。
【0030】
111:手順は、変調フォーマットmを使用して、PNr及びtを接続する経路k上でのVL(i,j)のマッピングの確率Prtkmを決定し、Prtkmは、天井(Srtkm/q)連続波長スロットが経路kのビットマップ上で変調フォーマットmに関して利用可能である位置から始まる波長スロットの数と、天井(Srtkm/q)連続波長スロットがマッピングされ得る位置から始まる可能な波長スロット[床(T/q)−天井(Srtkm/q))+1]の合計数との比率である。
【0031】
112:手順は、より高い確率Prtkmを提供するPNr及びt、経路k、並びに変調フォーマットmを選択する。
【0032】
113:手順は、Prtkmが0であるかを確認する。そうであれば、手順は114に従い、さもなければ工程115に従う。
【0033】
114:手順は、クラウドデマンドを遮断し、全ての予め配分されたノード及びリンクリソースを解放する。
【0034】
115:手順は、天井(Srtkm/q)連続波長スロットが選択されたm及びkに関して利用可能である位置から始まる最低波長スロットを検索し、r及びt PN間の選択された経路k上に、検索された波長スロットにおいてVLを提供する。
【0035】
116:手順は、rがまだマッピングされていない場合、VNiに関連するリソースをPNに割り当て、tがまだマッピングされていない場合、VNjに関連するリソースをPNt割り当てる。
【0036】
117:手順は、全てのVLがマッピングされているかを確認する。少なくとも1つのVLがまだマッピングされていない場合、手順は、工程102を反復し、さもなければ終了する。
【0037】
本発明は、ハードウェア、ファームウェア、若しくはソフトウェア、又はこの3つの組み合わせに実装されてもよい。好ましくは、本発明は、プロセッサ、データ記憶システム、揮発性及び不揮発性メモリ並びに/又は記憶要素、少なくとも1つの入力装置及び少なくとも1つの出力装置を有するプログラム可能なコンピュータ上で実行されるコンピュータプログラム内に実装される。更なる詳細は、参照によりその内容が援用される米国特許第8380557号において考察されている。
【0038】
例として、システムを指示するコンピュータのブロック図が、次に
図3で考察される。コンピュータは、好ましくは、CPUバスによって連結されるプロセッサ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、プログラムメモリ(好ましくは、フラッシュROM等の書き込み可能な読み取り専用メモリ(ROM))、及び入力/出力(I/O)制御装置を含む。コンピュータは、ハードディスク及びCPUバスに連結されるハードドライブ制御装置を任意追加的に含んでもよい。ハードディスクは、本発明等のアプリケーションプログラム、及びデータを記憶するために使用され得る。別法として、アプリケーションプログラムは、RAM又はROM内に記憶されてもよい。I/O制御装置は、I/OバスによってI/Oインターフェースに連結される。I/Oインターフェースは、シリアルリンク、ローカルエリアネットワーク、無線リンク、及び並列リンク等の通信リンク上で、アナログ又はデジタル形式でデータを受信及び送信する。任意追加的に、ディスプレイ、キーボード、及びポインティングディバイス(マウス)も、I/Oバスに接続され得る。別法として、別個の接続(別個のバス)が、I/Oインターフェース、ディスプレイ、キーボード、及びポインティングディバイスのために使用され得る。プログラム可能な処理システムは、予めプログラムされてもよく、又はプログラムを別のソース(例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、CD−ROM、又は別のコンピュータ)からダウンロードすることによって、プログラム(及び再プログラム)されてもよい。
【0039】
各コンピュータプログラムは、記憶媒体又は装置がコンピュータによって読み取られ、本明細書に説明される手順を実施するときに、コンピュータの動作を構成及び制御するために、汎用又は特殊用途プログラム可能コンピュータによって読み取ることができる機械可読記憶媒体又は装置(例えば、プログラムメモリ又は磁気ディスク)内に明確に記憶される。本発明のシステムはまた、コンピュータプログラムを用いて構成されるコンピュータ可読記憶媒体内に具現化されるものと解釈されてもよく、そのように構成された記憶媒体は、コンピュータに、特定の及び所定の方法で動作させて、本明細書に説明される機能を実施させる。
【0040】
上記の内容から、本発明の重要な特徴は、最大数のクラウドデマンドの埋め込み、パス計算要素(PCE)及びソフトウェア定義制御装置内のアプリケーション等の光制御プレーンにおける適用可能性、並びに実践的な時間制限内でのクラウドデマンドの埋め込みを可能にし、したがってソフトウェア定義伝送光ネットワーク性能を強化することが理解され得る。
【0041】
上記の内容は、あらゆる点において、例証的及び例示的であるが、限定的なものではないと理解されるべきであり、本明細書に開示される本発明の範囲は、発明を実施するための形態から決定されるべきではなく、むしろ特許法により認められる範囲に従って解釈される通り特許請求の範囲から決定されるべきである。本明細書に示され、説明される実施形態は、単に本発明の原理を例証するものであり、当業者は、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、様々な修正を実装し得ることが理解されるべきである。当業者は、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、様々な他の特徴の組み合わせを実装することができる。