(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
ターボチャージャーを備えた車両の過給圧をセンサ等により計測し、過給圧の推定値をその他のパラメータ(例えば、エンジン回転数とトルク)から演算して、過給圧の計測値(実測値)と過給圧の推定値との偏差によって故障の有無を診断する車両用故障診断装置については、従来から提案されている。
ここで、過給圧の推定値は、試験装置上で各種パラメータが定常状態にある場合に計測された過給圧に基づいて、マップ(表や換算式等を含む)を作成し、その様にして作成されたマップによって、過給圧の推定値を演算している。
そのため、上述した故障診断(過給圧の実測値と推定値の偏差による故障判断)を実行する場合には、過給圧を含む各種パラメータが定常状態にあることが、正確な故障診断を行なう前提となっている。そして従来技術では、エンジン回転数、トルクが安定状態にあれば、過給圧も安定状態にあると仮定して過給圧の推定値を演算し、上述した故障判断を実行している。
【0003】
しかし、エンジン回転数、トルクが安定状態であっても、過給圧が安定しているとは限らない。換言すれば、エンジン回転数、トルクが安定状態にあるか否かは、過給圧が安定状態にあるか否かとは直接には関係しない。
すなわち従来技術では、過給圧が安定してないにも拘らず過給圧の推定値を演算し、その様に演算された過給圧の推定値と実測値との偏差に基づいて、故障判断を実行している恐れがある。
そのため、従来技術に係る過給圧の推定値と実測値との偏差に基づいた故障判断には、精度が低い可能性が存在する。
【0004】
ここで、過給圧を計測する計測手段の計測結果(過給圧)が安定しているか否かを判定し、過給圧の計測結果が安定している場合に、上述した故障診断(過給圧の実測値と推定値の偏差による故障判断)を行うことも考えられる。
しかし、過給圧は診断の対象となるパラメータであり、その様なパラメータを制御の前提である安定性の判断に使用することは、制御上、妥当ではない。
【0005】
その他の従来技術として、ターボチャージャーを設けた車両の過給圧を計測し、その他のパラメータ(例えば、エンジン回転数とトルク)から過給圧の推定値を求め、過給圧の計測値(実測値)と推定値の偏差により、故障の有無を診断する車両用故障診断装置の従来技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、当該従来技術(特許文献1)には、定常状態であるか否かを判断する具体的な手法については開示されていない。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
最初に
図1〜
図3を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
図1において、装置全体を符号101で示す車両用故障診断装置は、エンジン回転数計測手段(以下、「エンジンスピードセンサ」と言う)1と、トルクセンサ2と、ターボチャージャーにおけるタービン回転数センサ(以下、「ターボ回転数センサ」と言う)3と、過給圧の実測値を求めるための過給圧センサ4と、制御手段B50とを備えている。ここで、トルクセンサ2に代えて、エンジン制御に用いるトルク推定値を用いることも可能である。
制御手段B50は、推定ブロックB10と、定常状態判断ブロックB20と、故障判断手段30とを有している。
【0016】
推定ブロックB10は過給圧マップM13(過給圧マップM13により過給圧を推定する装置:以下同じ)を備えており、過給圧マップM13を用いて定常状態における過給圧を推定している。図示の実施形態では、過給圧マップM13は、エンジン回転数とエンジントルクから、定常状態における過給圧を推定するように構成されている。
定常状態判断ブロックB20は、第1のバンドパスフィルタ21と、第2のバンドパスフィルタ22と、第3のバンドパスフィルタ23と、定常状態判断手段24を備えている。
ここで、定常状態判断ブロックB20に介装されているバンドパスフィルタ21〜23の各々は、定常状態判断手段24に伝達される入力信号に含まれるノイズや振幅の大きな信号変化を除去するために設けられている。
【0017】
エンジンスピードセンサ1は、第1のバンドパスフィルタ21及びラインL6、L7を介して定常状態判断手段24に接続されている。またエンジンスピードセンサ1は、ラインL8を介して推定ブロックB10の過給圧マップM13と接続されている。
トルクセンサ2は、第2のバンドパスフィルタ22及びラインL11、L12を介して定常状態判断手段24に接続されている。またトルクセンサ2は、ラインL13を介して推定ブロックB10の過給圧マップM13と接続されている。
ターボ回転数センサ3は、第3のバンドパスフィルタ23及びラインL4、L5を介して定常状態判断手段24に接続されている。
過給圧センサ4は、ラインL14を介して故障判断手段30と接続されている。
【0018】
第1のバンドパスフィルタ21と定常状態判断手段24は、ラインL7を介して接続されている。
第2のバンドパスフィルタ22と定常状態判断手段24は、ラインL12を介して接続されている。
第3のバンドパスフィルタ23と定常状態判断手段24は、ラインL5を介して接続されている。
推定ブロックB10における過給圧マップM13は、ラインL9を介して故障判断手段30と接続されている。
定常状態判断ブロックB20における定常状態判断手段24は、ラインL15を介して、故障判断手段30と接続されている。
【0019】
推定ブロックB10における過給圧マップM13は、安定した状態における過給圧を求めることに用いられる。
故障診断サイクルにおけるエンジン回転数及び当該故障診断サイクルにおけるトルクの値を過給圧マップM13に入力すると、安定した状態における過給圧を推定することができる。
【0020】
定常状態判断ブロックB20は、エンジン回転数、トルク、ターボ回転数(タービン回転数)が定常状態であるか否かを判断する機能を有している。ここで、安定した状態における過給圧は、安定した状態におけるターボ回転数と強い相関関係がある。そして、ターボ回転数、エンジン回転数、エンジントルクが安定していれば、過給圧も安定している。したがって、定常状態判断ブロックB20によりターボ回転数とエンジン回転数とエンジントルクが安定していると判断される状態であれば、過給圧も安定した状態である。
故障判断手段30は、ターボ回転数を含む故障診断のパラメータ(第1実施形態では、エンジン回転数とトルクとターボ回転数)が全て定常状態である場合に、過給圧の実測値と過給圧の推定値との偏差と演算し、演算された偏差をしきい値を比較して、偏差がしきい値よりも大きければ故障と判断する機能を有している。
【0021】
次に、
図2のフローチャートに基づいて、第1実施形態における故障診断の制御について説明する。
図2のステップS1では、エンジン回転数をエンジン回転数センサ1によって計測し、エンジントルクをトルクセンサ2によって計測し、タービン回転数をターボ回転数センサ3によって計測する。
ここでトルクセンサ2により計測することに代えて、例えば噴射量と噴射タイミングから推定されるエンジントルク推定値を用いることが可能である。
計測したエンジン回転数、エンジントルク、タービン回転数は、定常状態判断ブロックB20のバンドパスフィルタ21〜23で、それぞれ、ノイズや長周期の要素等を除去し、エンジン回転数、エンジントルク、タービン回転数の安定状態を判定する周波数を取り出して、定常状態判断ブロックB20における定常状態判断手段24に送信される。
それと共に、計測されたエンジン回転数、エンジントルクは、推定ブロックB10の過給圧マップM13に送信され、マップM13により定常状態における過給圧の推定値が決定(演算)される。
【0022】
ステップS2において、定常状態判断手段24は、入力されたエンジン回転数、エンジントルク、タービン回転数のバンドパスフィルタをかけた波形の振幅としきい値を比較して、エンジン回転数、エンジントルク、タービン回転数が安定した状態であるかを判断する。上述した様に、エンジン回転数とエンジントルクとタービン回転数が安定した状態であれば、過給圧も安定した状態にある。
エンジン回転数、エンジントルク、タービン回転数が安定していなければ(ステップS2がNO)、過給圧の計測値と推定値の偏差による故障診断を行うことは出来ないと判断する。そして、故障診断を行うことなく(ステップS3)、ステップS1まで戻る。そして、ステップS1以降を繰り返す。
エンジン回転数、エンジントルク、タービン回転数が安定した状態であれば(ステップS2がYES)、過給圧の計測値と推定値の偏差による故障診断を行うことが出来ると判断して、ステップS4に進む。
【0023】
ステップS4では、過給圧センサ4によって過給圧が計測され、計測値は直ちに故障判断手段30に伝送される。
ここで、過給圧の推定値は、既に、ステップS1の過程で演算されている。そして、ステップS2においてタービン回転数が安定した状態であると判断されれば(ステップS2がYES)、過給圧も安定した状態にある。従って、ステップS4において、マップM13で決定された過給圧の推定値が、「定常状態(安定状態)における過給圧推定値」と決定される。
そしてステップS5に進む。
【0024】
ステップS5では、制御手段B50の故障判断手段30は、過給圧の計測値(ステップS4において、過給圧センサ4によって計測された過給圧)と、過給圧の推定値(ステップS4で決定された定常状態(安定状態)における過給圧推定値)の差(絶対値)(いわゆる「偏差」)が、しきい値を超えているか否かを判断する。偏差がしきい値を超えていなければ(ステップS5がNO)、「故障ではない」と判断して(ステップS6)、ステップS1まで戻る。そして、再びステップS1以降を繰り返す。
一方、過給圧の計測値から過給圧の推定値を引いた値の絶対値が、しきい値を超えていれば(ステップS5がYES)、ステップS7で「故障」と判断する。明示はしていないが、故障と判断された場合には(ステップS7)、公知、既存の技術により対処する。そして、故障診断の制御を終了する。
【0025】
図2において、ステップS4の過給圧の計測は、ステップS1と同時に行なっても良い。
そして、過給圧の計測ステップS1で行った場合には、ステップS4の過給圧推定値の決定を、ステップS2と同時に行うことも可能であり、或いは、ステップS2に先立って行うことも出来る。
【0026】
図3は、
図2の故障診断に関する制御と常に平行して行われている別個の故障診断制御を示している。
図3のステップS11において、エンジン回転数、エンジントルク、タービン回転数、過給圧をセンサ1、2、3、4によって、それぞれ計測する。
図3で示す制御においても、エンジントルクについて、計測値に代えて推定値を用いることが可能である。
計測したエンジン回転数、エンジントルク、タービン回転数は、フィルター21、22、23の各々を経由して定常状態判断ブロックB20の定常状態判断手段24に送られる。また、センサ4で計測された過給圧の計測値は、ラインL14(
図1参照)を介して故障判断手段30に送られる。
そしてステップS13に進む。
【0027】
次のステップS12では、定常状態判断ブロックB20の定常状態判断手段24により、エンジン回転数、エンジントルク、タービン回転数の計測値から、エンジン回転数、エンジントルク、タービン回転数が安定状態(定常状態)であるか否かを判断する。
エンジン回転数、エンジントルク、タービン回転数が安定状態(定常状態)でなければ(ステップS12がNO)、ステップS11まで戻り、再びステップS11以降を繰り返す。
一方、エンジン回転数、エンジントルク、タービン回転数が安定状態(定常状態)であれば(ステップS12がYES)、ステップS13に進む。
【0028】
ステップS13では、故障判断手段30は、計測した過給圧が安定状態(定常状態)にあるか否かを判断する。
計測した過給圧が安定状態(定常状態)にあれば(ステップS13がNO)、故障診断制御が可能であると判断して、ステップS14に進み、
図2のステップS4、ステップS5へ進む。
一方、計測した過給圧が安定状態(定常状態)になければ(ステップS13がYES)、エンジン回転数、エンジントルク、タービン回転数が安定状態であるが過給圧のみが安定状態ではないということであり、何らかの故障が存在していると判断する。そのため、ステップS15に進み「故障」と判断し、従来、公知の処理をした後、故障診断の制御を終える。
【0029】
前述した通り、エンジン回転数、エンジントルク、タービン回転数(ターボ回転数)が安定しているときに、ターボ回転数と過給圧は同様な特性或いは挙動を示すことが知られている。
第1実施形態によれば、定常状態判断手段24によりターボ回転数、エンジン回転数、エンジントルクが定常状態(安定状態)であるか否かを判断することにより、過給圧が定常状態にあるか否かを判断する。定常状態判断手段24が「ターボ回転数とエンジン回転数とエンジントルクが定常状態にある」と判断した場合には、過給圧も定常状態にあると考えられる。
そして第1実施形態では、過給圧が定常状態にある場合に、過給圧の実測値と推定値の偏差に基づいて故障か否かを診断するので、当該故障診断の信頼性が向上し、車両が故障しているか否かを正確に行うことが出来る。
【0030】
次に、
図4、
図5に基づいて第2実施形態を説明する。
図4の第2実施形態の車両故障診断装置102は、
図1の車両故障診断装置101におけるターボ回転数センサ3を具備しておらず、その代わりに、推定ブロックB10にターボ回転数マップM11とフィルター12が設けられている。
以下、
図4、
図5を参照して、第2実施形態の車両故障診断装置102について説明する。なお説明に際しては、主として、
図1〜
図3の第1実施形態と異なる点を説明する。
【0031】
図4において、エンジン回転数センサ1は、ラインL1を介して、推定ブロックB10におけるターボ回転数マップM11(マップM11によりターボ回転数を推定する装置:以下同じ)と接続されている。トルクセンサ2は、ラインL10を介して、ターボ回転数マップM11と接続されている。この実施形態においても、トルクセンサ2に代えて、エンジン制御に用いるトルク推定値を用いることが可能である。
ターボ回転数マップM11は、ラインL2、推定ブロックB10におけるフィルター12、ラインL3、第3のバンドパスフィルタ23を介して、定常状態判断ブロックB20における定常状態判断手段24と接続されている。
【0032】
ターボ回転数マップM11は、エンジン回転数及びトルクから、その時点におけるターボ回転数を推定する機能を有するように構成されている。
すなわち、第2実施形態に係る車両故障診断装置102では、ターボ回転数センサは設けていないが、エンジン回転数及びトルクからターボ回転数を推定し、推定されたターボ回転数に基づいて必要な制御を実行している。
【0033】
次に、
図5に基づいて、第2実施形態における故障診断の制御を説明する。
図5のステップS21において、エンジン回転数センサ1によってエンジン回転数を計測し、トルクセンサ2によってエンジントルクを計測する。そして、エンジン回転数計測値とエンジントルク計測値を、ターボ回転数マップM11に伝送する。上述した通り、トルクセンサ2によってエンジントルクを計測することに代えて、トルク推定値を用いることが出来る。
ステップS22では、ターボ回転数マップM11を用いて、エンジン回転数計測値とエンジントルク計測値に対応するターボ回転数の推定値を決定(演算)する。
図5では明記していないが、ステップS22において、エンジン回転数計測値とエンジントルク計測値が過給圧マップM13に送られ、マップM13により過給圧の推定値が演算される。
【0034】
次のステップS23では、定常状態判断ブロックB20の定常状態判断手段24は、ステップS21で求めたエンジン回転数計測値とエンジントルク計測値が安定状態(定常状態)にあるか否かを判断すると共に、ステップS22で推定したタービン回転数の推定値が安定状態(定常状態)にあるか否かを判断する。
エンジン回転数計測値、エンジントルク計測値、タービン回転数推定値の何れかが安定していない(定常状態ではない)場合には(ステップS23がNO)、過給圧の計測値と推定値の偏差による故障診断を行うことが出来ない。従って、ステップS24で「診断せず」と判断して、ステップS21まで戻る。そして、再びステップS21以降を繰り返す。
一方、エンジン回転数計測値、エンジントルク計測値、タービン回転数推定値の全てが安定した状態(定常状態)であれば(ステップS23がYES)、過給圧の計測値と推定値の偏差による故障診断を行うことが出来ると判断して、ステップS25に進む。
【0035】
ステップS25では、過給圧センサ4によって過給圧が計測され、過給圧の計測値は直ちに故障判断手段30に伝送される。
上述した様に、過給圧の推定値はステップS22で求められている。そして、ステップS23においてタービン回転数(の推定値)が安定した状態であると判断されれば(ステップS23がYES)、過給圧も安定した状態にあると推定される。その結果、ステップS25において、既にステップS22で求められた過給圧の推定値が、「定常状態(安定状態)における過給圧推定値」と決定される。
【0036】
次のステップS26では、制御手段B50の故障判断手段30は、ステップS25で計測された過給圧計測値と、ステップS25で決定された「定常状態における過給圧の推定値」の差(絶対値:いわゆる偏差)と、しきい値を比較する。そして、当該偏差がしきい値を超えているか否かを判断する。
偏差(過給圧の計測値から過給圧の推定値を引いた値の絶対値)が、しきい値を超えていなければ(ステップS26がNO)、「故障ではない」と判断(診断)して(ステップS27)、ステップS21まで戻る。そして、再びステップS21以降を繰り返す。
一方、偏差がしきい値を超えていれば(ステップS26がYES)、ステップS28で「故障」と判断する。そして、従来、公知の技術に従って必要な措置を講じて、故障診断の制御を終了する。
【0037】
図5において、ステップS25の過給圧の計測は、ステップS21と同時に行なっても良い。
そして、過給圧の計測をステップS21で行った場合には、ステップS25における「定常状態における過給圧推定値」の決定を、ステップS22あるいはステップS23と同時に行うことも可能である。
【0038】
図4、
図5の第2実施形態によれば、エンジン回転数計測値及びエンジントルク計測値からターボ回転数を推定する様に構成されている。
そのため、ターボ回転数センサを装備していない車両であっても、ターボ回転数マップM11によるターボ回転数の推定値を用いて、ターボ回転数が定常状態であるか否かを判断して、故障診断を実行することが出来る。
【0039】
図4、
図5の第2実施形態におけるその他の構成及び作用効果については、
図1〜
図3の第1実施形態と同様である。
【0040】
次に、
図6、
図7に基づいて第3実施形態を説明する。
図6、
図7の第3実施形態の車両用故障診断装置103は、
図6に示すように、
図1の車両故障診断装置101に対して、推定ブロックB10にターボ回転数マップM11とフィルター12を設けている。
第3実施形態の車両用故障診断装置103によれば、ターボ回転数センサ3が故障した場合でも、エンジン回転数とトルクの計測値を用いてターボ回転数を推測し、ターボチャージャーの故障(過給圧の異常)の有無を判断することが出来る。
この実施形態においても、エンジントルクの計測値に代えて、エンジントルクの推定値を用いることが可能である。
【0041】
以下、
図7を参照して、第3実施形態の車両故障診断装置103における故障診断方法について説明する。
図7のステップS30では、制御手段B50は、ターボ回転数センサ3が故障しているか否かを判断する。
ここで、ターボ回転数センサ3が故障しているか否かの判断は、従来、公知の手法を採用することが可能である。例えば、エンジンが回転しているにも拘わらず、ターボ回転数センサ3が動いていなければターボ回転数センサ3が故障と判断できる。また、ターボ回転数センサ3で計測したターボ回転数の計測値がターボ回転数マップM11で推定されたターボ回転数の推定値よりも所定値以上かけ離れた値の場合に、「ターボ回転数センサ3が故障している」と判断する様に構成することも可能である。
【0042】
ターボ回転数センサ3が故障しているのであれば、ステップS30の「YES」のルートにしたがって、ステップS31に進む。
一方、ターボ回転数センサ3が故障していないのであれば、ステップS30の「NO」のルートにしたがって、ステップS41に進む。
【0043】
ステップS30の「YES」のルートにしたがった場合において、ステップS31〜S38の制御は、第2実施形態について前述した
図5のステップS21〜S28の制御ステップと同様である。
また、ステップS30の「NO」のルートにしたがった場合において、ステップS41〜S47の制御は、第1実施形態について前述した
図2のステップS2〜S7の制御ステップと同様である。
そのため、重複記載は省力する。
【0044】
図示の第3実施形態では、ターボ回転数センサ3が故障していない場合には、制御装置B50は、ターボ回転数センサ3で計測されたターボ回転数の計測値が安定しているか否かを判断し、以って、過給圧が安定しているか否かを判断して、過給圧の計測値と推定値の偏差に基づいた故障診断を実行することが出来る。
一方、ターボ回転数センサ3が故障して場合には、ターボ回転数以外のパラメータであるエンジン回転数計測値及びエンジントルク計測値(或いは、エンジントルク推定値)からターボ回転数マップM11により、ターボ回転数を推定する。そして、ターボ回転数の推定値を用いて、定常状態判断手段24により、ターボ回転数が定常状態であるか否かを判断し、以って、過給圧が安定しているか否かを判断して、過給圧の計測値と推定値の偏差に基づいた故障診断を実行することが出来る。
【0045】
図6、
図7の第3実施形態におけるその他の構成及び作用効果については、
図1〜
図3の第1実施形態及び/又は、
図4、
図5の第2実施形態と同様である。
【0046】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではないことを付記する。
例えば、上述した様に、エンジントルクをトルクセンサ2で計測することに代えて、エンジン制御に用いるトルク推定値を用いることが出来る。