(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
ペルフルオロポリエーテルセグメント及びポリジオルガノシロキサンセグメントを含有しているコポリマーを記載する。コポリマーは更にアミノオキサリルアミノ基を少なくとも2つ含む。コポリマーの製造方法も記載される。
【0012】
定義
「a」、「an」、及び「the」という用語は、「少なくとも1つの」と互換可能に用いられ、記載される要素のうちの1以上を意味する。
【0013】
用語「及び/又は」とは、一方又は両方を意味する。例えば、表現X及び/又はYは、X、Y、又はこれらの組み合わせ(X及びYの両方)を意味する。
【0014】
用語「アルキル」とは、飽和炭化水素であるアルカンのラジカルである1価の基をいう。アルキルは、直鎖状、分枝状、環状、又はこれらの組み合わせであってもよく、典型的には1〜20個の炭素原子を有する。一部の実施形態では、アルキル基は炭素原子を1〜18個、1〜12個、1〜10個、1〜6個、又は1〜4個含有する。アルキル基の例としては、限定するものではないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、エチルヘキシル、及びオクタデシルが挙げられる。
【0015】
「アルキレン」という用語は、アルカンのラジカルである二価基を指す。アルキレンは、直鎖、分岐鎖、環状、又はこれらの組み合わせであり得る。典型的には、アルキレンは炭素原子を1〜20個有する。いくつかの実施形態において、アルキレンは、1〜18個、1〜12個、1〜10個、1〜8個、1〜6個、又は1〜4個の炭素原子を含有する。アルキレンのラジカル中心は、同一炭素原子上(すなわち、アルキリデン)、又は異なる炭素原子上に存在しうる。
【0016】
用語「フッ素化アルキレン」は、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換されたアルキレンを指す。ペルフルオロアルキレンは、フッ素化アルキレンの部分集合である。
【0017】
用語「アルコキシ」は、式−OR(式中、Rはアルキル基である)の一価基を指す。
【0018】
用語「アルコキシカルボニル」は、式−(CO)ORの1価の基を指し、ここで(CO)はカルボニル基を意味し、Rはアルキル基である。
【0019】
用語「アルケニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有する炭化水素であるアルケンのラジカルである一価の基を意味する。アルケニルは、直鎖、分枝状、環状又はこれらの組み合わせであることができ、典型的には、2〜20個の炭素原子を含む。一部の実施形態では、アルケニルは、2〜18個、2〜12個、2〜10個、4〜10個、4〜8個、2〜8個、2〜6個又は2〜4個の炭素原子を含む。例示的なアルケニル基としては、エテニル、1−プロペニル、及び1−ブテニルが挙げられる。
【0020】
用語「アレーン」は、炭素環式芳香族(carbocylicaromatic)化合物を指す。
【0021】
用語「アリール」は、芳香族及び炭素環式である一価の基を指す。アリールは、芳香環と結合又は縮合した1〜5個の環を有しうる。その他の環構造は、芳香族、非芳香族、又はこれらの組み合わせであることができる。アリール基の例としては、限定するものではないが、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、ナフチル、アセナフチル、アントラキノニル、フェナンスリル、アントラセニル、ピレニル、ペリレニル、及びフルオレニルが挙げられる。
【0022】
用語「置換アリール」は、ハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、又はアルコキシカルボニルから選択される1つ以上の基で置換されたアリールを指す。
【0023】
用語「アラルキル」は、式−R−Arの1価の基を指し、式中、Rはアルキレンであり、Arはアリール基である。すなわち、アラルキルは、アリールで置換されたアルキルである。用語「置換アラルキル」は、ハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、又はアルコキシカルボニルから選択される1つ以上の基で置換されたアラルキルを指す。アラルキルのアリール部分は、典型的には置換された基である。
【0024】
用語「アラルキレン」は、式−R−Ar
a−の二価の基を指し、式中、Rはアルキレンであり、Ar
aはアリーレンである(すなわち、アルキレンはアリーレンに結合している)。
【0025】
用語「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードを指す。
【0026】
用語「ハロアルキル」は、ハロで置換された少なくとも1個の水素原子を有するアルキルを指す。いくつかのハロアルキル基は、フルオロアルキル基、クロロアルキル基、又はブロモアルキル基である。
【0027】
用語「ハロカルボニル」は、式−(CO)Xの1価の基を指し、式中、(CO)はカルボニルを意味し、Xはハロである。
【0028】
本明細書で使用するとき、用語「イミノ」は式−N=CR
4R
5の基を指し、式中、R
4基は水素、アルキル、アラルキル、置換アラルキル、アリール、又は置換アリールであり、R
5基はアルキル、アラルキル、置換アラルキル、アリール、又は置換アリールである。
【0029】
用語「ヘテロアルキレン」は、チオ、オキシ、又は−NR
2−で連結されたアルキレン基を少なくとも2つ含む二価の基を指し、式中、R
2は水素、アルキル、アリール、又はアラルキルである。ヘテロアルキレンは、直鎖、分岐鎖、環状、又はこれらの組み合わせであることができ、60個以下の炭素原子及び15個以下のヘテロ原子を含むことができる。いくつかの実施形態では、ヘテロアルキレンは、50個以下の炭素原子、40個以下の炭素原子、30個以下の炭素原子、20個以下の炭素原子、又は10個以下の炭素原子を含む。いくつかのヘテロアルキレン基はポリアルキレンオキシド基であり、この場合、ヘテロ原子は酸素である。
【0030】
用語「ペルフルオロポリエーテル」は、式−(C
xF
2x−O)
y−の二価の基又はセグメントを指し、式中、xは1〜10の範囲の整数であり、yは少なくとも2に等しい整数である。整数xは、多くの場合、1〜8の範囲、1〜6の範囲、1〜4の範囲、又は2〜4の範囲であるか、3に等しいか、又は4に等しい。整数yは、多くの場合、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも8、少なくとも12、少なくとも16、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、又は少なくとも50である。
【0031】
用語「ペルフルオロアルキレン」は、すべての水素原子がフッ素原子で置換されたアルキレンを指す。
【0032】
用語「ポリジオルガノシロキサン」は、式
【化5】
の二価の基又はセグメントを指し、各R
7は独立してアルキル、ハロアルキル、アラルキル、置換アラルキル、アルケニル、アリール、又は置換アリールである。各Y
4基は独立してアルキレン、アラルキレン、又はこれらの組み合わせである。変数記号bは、少なくとも1に等しい1〜1500の範囲の整数である。
【0033】
用語「オキサリル」は、式−(CO)−(CO)−の2価の基(式中、各(CO)はカルボニル基を意味する)を指す。
【0034】
用語「オキサリルアミノ」は、式−(CO)−(CO)−NR
a−の二価の基を指し、式中、各(CO)はカルボニル基を意味し、R
aは水素、アルキル、アリール、又はアラルキルであるか、又はR
aに結合している窒素原子を含む複素環基の一部である。
【0035】
用語「アミノオキサリルアミノ」は、式−NR
a−(CO)−(CO)−NR
a−の二価の基を指し、式中、各(CO)はカルボニル基を意味し、各R
aは水素、アルキル、アリール、又はアラルキルであるか、又はR
aに結合している窒素原子を含む複素環基の一部である。
【0036】
用語「カルボニルアミノ」は、式−(CO)−NR
a−の二価の基を指し、式中、各(CO)はカルボニル基を意味し、R
aは水素、アルキル、アリール、又はアラルキルであるか、又はR
aに結合している窒素原子を含む複素環基の一部である。
【0037】
用語「一級アミノ」は、1価の−NH
2基を指す。
【0038】
用語「二級アミノ」は、1価の−NHR
3基を指し、式中、R
3はアルキル、アリール、又はアラルキルであり、又はR
3に結合している窒素原子を含む複素環基の一部である。
【0039】
用語「ポリマー」及び「ポリマー材料」は、互換的に使用され、1つ以上の反応物から調製された材料を指す(すなわちモノマー)。同様に、用語「重合」は、1つ以上の反応物からポリマー材料を作製するプロセスを指す。用語「コポリマー」及び「コポリマー材料」は互換的に使用され、少なくとも2つの異なる反応物から調製されたポリマー材料を指す。
【0040】
ペルフルオロポリエーテルセグメントを少なくとも1つ、ポリジオルガノシロキサンセグメントを少なくとも1つ、及びアミノオキサリルアミノ基を少なくとも2つ含む様々なコポリマーが提供される。これらのコポリマーは、ペルフルオロポリエーテルセグメントを有するフッ素化オキサリルアミノ含有化合物、及びポリジオルガノシロキサンセグメントを有するシリコーン系アミンを含有する、第一反応混合物の生成物であり得る。この調整方法は以下の反応スキームBにより例示する。コポリマーは、同様に、ポリジオルガノシロキサンセグメントを有するシリコーン系オキサリルアミノ含有化合物、及びペルフルオロポリエーテルセグメントを有するフッ素化アミンを含有する、第2反応混合物の生成物であり得る。この調整方法は以下の反応スキームDにより例示する。コポリマーを調製するための更に別の方法は、以下の反応スキームEにより例示する。この反応スキームにおいて、コポリマーは、シュウ酸
エステル化合物、ポリジオルガノシロキサンセグメントを有するシリコーン系アミン、及びペルフルオロポリエーテルセグメントを有するフッ素化アミンを含有する、第3反応混合物の生成物である。第3反応混合物から調製したコポリマーは、第1反応混合物又は第2反応混合物のいずれかから調製したコポリマーよりもランダムなものである傾向がある。
【0041】
第1反応混合物中のフッ素化オキサリルアミノ含有化合物、あるいは第2反応混合物中のシリコーン系オキサリルアミノ含有化合物は、それぞれ式(I)の1価のオキサリルアミノ基を少なくとも2つ有する。
【化6】
式(I)中、各R
1は独立してアルキル、ハロアルキル、アラルキル、置換アラルキル、アルケニル、アリール、置換アリール、又は式−N=CR
4R
5のイミノである。各R
2は独立して水素、アルキル、アラルキル、又はアリールである。R
4基は水素、アルキル、アラルキル、置換アラルキル、アリール、又は置換アリールである。R
5基はアルキル、アラルキル、置換アラルキル、アリール、又は置換アリールである。
【0042】
R
1に好適なアルキル基及びハロアルキル基は、多くの場合、1〜10個、1〜6個、又は1〜4個の炭素原子を有する。3級アルキル(例えば、t−ブチル)及び3級ハロアルキル基を使用することが可能ではあるが、多くの場合、1級又は2級炭素原子が、隣接したオキシ基に直接付着(すなわち、結合)している。例示のアルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、及びイソ−ブチルが挙げられる。例示のハロアルキル基としては、クロロアルキル基及びフルオロアルキル基が挙げられ、この場合、対応するアルキル基上の水素原子のいくらか(すべてではない)は、ハロ原子により置き換えられている。例えば、クロロアルキル又はフルオロアルキル基は、2−クロロエチル、2,2,2−トリクロロエチル、3−クロロプロピル、4−クロロブチル、フルオロメチル、2−フルオロエチル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、1−(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエチル(trifluorethyl)、3−フルオロプロピル、4−フルオロブチル、及び同様物であり得る。
【0043】
R
1に好適なアルケニル基は、多くの場合、炭素原子を2〜10個、2〜8個、2〜6個、又は2〜4個有する。例示的なアルケニル基としては、エテニル、プロペニル、ブテニル、及びペンテニルが挙げられる。
【0044】
R
1に好適なアリール基としては、6〜12個の炭素原子を有するもの、例えば、フェニルなどが挙げられる。アリールは、未置換であってもよく、あるいは、アルキル(例えば、メチル、エチル、又はn−プロピルなどの、炭素原子を1〜4個有するアルキル)、アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、又はプロポキシなどの、炭素原子を1〜4個有するアルコキシ)、ハロ(例えば、クロロ、ブロモ、又はフルオロ)、ハロアルキル(例えば、トリフルオロメチルなどの、炭素原子を1〜4個有するハロアルキル)、又はアルコキシカルボニル(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、又はプロポキシカルボニルなどの、炭素原子を2〜5個有するアルコキシカルボニル)により置換されてもよい。
【0045】
R
1に好適なアラルキル基としては、炭素原子を1〜10個有するアルキル基を持つもの、及び炭素原子を6〜12個有するアリール基を持つものが挙げられる。例えば、アラルキルはフェニルで置換された、炭素原子を1〜10個、炭素原子を1〜6個、又は炭素原子を1〜4個有するアルキルであり得る。アラルキルのアリール部分は、未置換であってもよく、あるいは、アルキル(例えば、メチル、エチル、又はn−プロピルなどの、炭素原子を1〜4個有するアルキル)、アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、又はプロポキシなどの、炭素原子を1〜4個有するアルコキシ)、ハロ(例えば、クロロ、ブロモ、又はフルオロ)、ハロアルキル(例えば、トリフルオロメチルなどの、炭素原子を1〜4個有するハロアルキル)、又はアルコキシカルボニル(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、又はプロポキシカルボニルなどの、炭素原子を2〜5個有するアルコキシカルボニル)により置換されてもよい。
【0046】
R
1に好適なイミノ基は式−N=CR
4R
5の1価の基である。R
4又はR
5のいずれかに好適なアルキル基は、直鎖又は分枝鎖であってよく、典型的には炭素原子を1〜10個、炭素原子を1〜8個、炭素原子を1〜6個、又は炭素原子を1〜4個含有する。R
4又はR
5に好適なアリール、置換アリール、アラルキル、及び置換アラルキル基は、R
1について上記したものと同様のものである。
【0047】
式(I)中、各R
2基は独立して水素、アルキル、アラルキル、又はアリールであり得る。好適なアルキル基は直鎖又は分枝鎖であってよく、典型的には炭素原子を1〜10個、炭素原子を1〜8個、炭素原子を1〜6個、又は炭素原子を1〜4個含有する。好適なアリール基としては、典型的には炭素原子を6〜12個有するものが挙げられる。アリール基は、多くの場合、フェニルである。好適なアラルキル基としては、炭素原子を6〜12個有するアリール基で置換された、炭素原子を1〜10個有するアルキル基が挙げられる。例示的なアラルキル基としては多くの場合、フェニルで置換された、炭素原子を1〜10個、1〜6個、又は1〜4個有するアルキルが挙げられる。
【0048】
コポリマー材料の形成に使用される第1反応混合物において、式(I)の末端基を少なくとも2つ有する化合物は、ペルフルオロポリエーテルセグメントを有するフッ素化オキサリルアミノ含有化合物である。一部の実施形態では、フッ素化オキサリルアミノ含有化合物は式(II)のものである。
【化7】
式(II)中、Rfはペルフルオロポリエーテル基である。各Y
1は独立して
、(a)ヘテロアルキレン、(b)アルキレン
、(c)
第1基と、第2基と、これらを連結するカルボニルアミノ基
とで構成される基、又
は(d)これらの組み合わせであり、各第1基及び第2基は独立してヘテロアルキレン又はアルキレンである。変数記号nは、少なくとも2以上の整数である。例えば、nは少なくとも3又は少なくとも4であり得る。変数記号nは、多くの場合、10以下、8以下、6以下、4以下、又は3以下である。変数記号nは、2〜10、2〜6、又は2〜4の範囲であり得る。R
1及びR
2基は式(I)についての記載と同様のものである。Rf基の価数はnに等しい。直鎖の反応生成物を調製するために、nは通常2に等しく、Rfは二価の基である。
【0049】
式(II)中のRf基はペルフルオロポリエーテル基である。この基としては、典型的には式−(C
xF
2x−O)
y−のセグメントが挙げられ、式中、xは1〜10の範囲の整数であり、yは少なくとも2に等しい整数である。整数xは、多くの場合、1〜8の範囲、1〜6の範囲、1〜4の範囲、2〜4の範囲であるか、3に等しいか、又は4に等しい。整数yは、多くの場合、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも8、少なくとも12、少なくとも16、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、又は少なくとも50である。一部の特定のペルフルオロポリエーテル基では、xは3に等しく、ペルフルオロポリエーテル基はポリ(ヘキサフルオロプロピレンオキシド)セグメントを含む。すなわち、Rfは多くの場合、式−(C
3F
6O)
y−セグメントを含み、セグメント中の各−C
3F
6O−基は直鎖又は分枝鎖であり得る。Rf基の価数は変数記号nに等しい。多くの実施形態では、Rfは二価の基である。
【0050】
一部の例示的なRf基は式
−R
6−O[CF(CF
3)CF
2O]
wCF(CF
3)−
であり、式中、R
6は、炭素原子を1〜20個、1〜10個、1〜8個、1〜6個、1〜5個、又は1〜4個有するペルフルオロアルキレン基である。変数記号wは、1〜35、1〜30、1〜20、1〜10、又は1〜5の範囲の整数である。
【0051】
他の例示的なRf基は式
−CF(CF
3)[OCF
2CF(CF
3)]
bOCF
2−R
6−CF
2O[CF(CF
3)CF
2O]
dCF(CF
3)−
のものであり、式中、R
6は、炭素原子を1〜20個、1〜10個、1〜8個、1〜6個、1〜5個、又は1〜4個有するペルフルオロアルキレン基である。変数記号b及びdは、いずれも合計して0〜35、1〜35、2〜35、0〜30、1〜30、2〜30、0〜20、1〜20、2〜20、0〜10、1〜20、2〜15、4〜15、又は2〜10の範囲の整数である。一部の例示的なRf基では、R
6は−CF
2CF
2−に相等し、b及びdの合計は2〜20、4〜20、又は4〜15の範囲である。これらのRf基の、対応するジメチルエステルの調製は、例えば米国特許第3,250,807号(Fritz et al.)の、実施例IVなどに記載される。
【0052】
更に他の例示的なRf基は式
−CF
2O−[CF
2O]
f−[CF
2CF
2O]
g−[CF(CF
3)CF
2O]
h−CF
2−
のものであり、この場合、変数記号f、g、及びhは合計して0〜35、1〜35、2〜35、3〜35、3〜30、3〜20、3〜15、又は3〜10の範囲の整数である。例示的な材料は、商品名FOMBLIN Z−DEALでSolvay Solexis(West Deptford,NJ)から市販されている。
【0053】
更に他の例示的なRf基は、下式
−CF
2O−(CF
2CF
2O)
k−CF
2−、
−CF
2CF
2O−(CF
2CF
2CF
2O)
k−CF
2CF
2−、又は
−CF
2CF
2CF
2O−(CF
2CF
2CF
2CF
2O)
k−CF
2CF
2CF
2−
のうちの1つであり、式中、kは0〜35、1〜30、1〜30、1〜20、1〜15、又は1〜10の範囲の変数記号である。これらのRf基の、対応するジメチルエステルは、有機前駆体を直接的にフッ素化し、次いでメタノールと反応させることで調製することができる。この調製方法は、米国特許第5,488,142号(Fall et al.)の実施例2、及び米国特許第5,093,432号(Bierschenk et al.)の実施例4に記載されている。
【0054】
式(II)中、各Y
1は独立して
、(a)ヘテロアルキレン、(b)アルキレン
、(c)
第1基と、第2基と、これらを連結するカルボニルアミノ
基とで構成される基、あるいは(d)これらの組み合わせであり、各第1基及び第2基は独立してアルキレン又はヘテロアルキレンである。この際、Y
1基は、第1基を第2基と連結するカルボニルアミノ基を含み、得られる連結基は式−Y
1a−(CO)−NR
2−Y
1a−であり得、式中、各Y
1aは独立してアルキレン又はヘテロアルキレンである。このような複数の基は、例えば、−Y
1a−(CO)NR
2−Y
1a−(CO)NR
2−Y
1a−及び
−Y
1a−(CO)NR
2−Y
1a−(CO)NR
2−Y
1a−(CO)NR
2−Y
1a−などのように共に連結され得る。
【0055】
任意の好適なヘテロアルキレン基をY
1(又はY
1a)に使用することができるが、ヘテロアルキレンは、多くの場合、酸素ヘテロ原子(すなわちオキシ基)を含有するものである。ヘテロアルキレンは、多くの場合、炭素原子を少なくとも2個とヘテロ原子を少なくとも1個、炭素原子を少なくとも4個とヘテロ原子を少なくとも1個、炭素原子を少なくとも6個とヘテロ原子を少なくとも1個、炭素原子を少なくとも10個と炭素原子を少なくとも2個、あるいは炭素原子を少なくとも20個とヘテロ原子を少なくとも3個又は少なくとも4個有する。任意の好適なアルキレン基をY
1(又はY
1a)に使用することができる。アルキレン基は炭素原子を少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも6個、少なくとも10個、又は少なくとも20個有し得る。
【0056】
第1反応混合物の他の実施形態では、フッ素化オキサリルアミノ含有化合物は、式(III)のものである。
【化8】
式(III)中、各Rf、Y
1、R
1及びR
2は上記の通り式(II)について記載されるものと同一である。変数記号qは少なくとも1に等しい整数であり、多くの場合、少なくとも2、少なくとも3、又は少なくとも5に等しい。変数記号qは、多くの場合、100以下、50以下、20以下、15以下、又は10以下である。変数記号qは、多くの場合、1〜20、2〜20、1〜15、1〜10、1〜6、1〜4、又は1〜3の範囲である。qの値は、式(III)の化合物を生成するために反応させる成分の当量比により影響を受ける。
【0057】
フッ素化オキサリルアミノ含有化合物が式(III)のものである場合、変数記号qについて異なる値を有する材料の混合物であり得る。例えば、反応生成物の少なくとも50重量パーセントは、1に等しい変数記号qを有し得、反応生成物の残りのものは、2〜20、2〜10、又は2〜5の範囲の変数記号qを有し得る。一部の実施例では、少なくとも60重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、又は少なくとも95重量パーセントの反応生成物は、1に等しい変数記号qを有し、反応生成物の残りのものは、2〜20、2〜10、又は2〜5の範囲の変数記号qを有する。
【0058】
一部の式(II)又は(III)のフッ素化オキサリルアミノ含有化合物では、各Y
1基は−Y
2−(CO)−NR
2−Y
3−に相等し、化合物はそれぞれ式(IIa)及び(IIIa)のものである。
【化9】
これらの式中、各Y
2は独立して単結合、ヘテロアルキレン、アルキレン、又はこれらの組み合わせである。各Y
3は独立してヘテロアルキレン、アルキレン、又はこれらの組み合わせである。
【0059】
Y
2又はY
3のいずれについても任意の好適なヘテロアルキレンを使用することができるが、ヘテロアルキレンは、多くの場合、酸素ヘテロ原子を有する。各ヘテロアルキレンは、炭素原子を少なくとも2個とヘテロ原子を少なくとも1個、炭素原子を少なくとも4個とヘテロ原子を少なくとも1個、炭素原子を少なくとも6個とヘテロ原子を少なくとも1個、炭素原子を少なくとも10個と炭素原子を少なくとも2個、あるいは炭素原子を少なくとも20個とヘテロ原子を少なくとも3個又は少なくとも4個有する。
【0060】
Y
2に好適なアルキレン基は炭素原子を少なくとも1個有するものである一方、Y
3に好適なアルキレン基は炭素原子を少なくとも2個有するものである。Y
2又はY
3のいずれかに関し、例示的なアルキレン基は、炭素原子を少なくとも2個、少なくとも4個、少なくとも6個、少なくとも10個、又は少なくとも20個有し得る。
【0061】
式(II)、(IIa)、(III)、又は(IIIa)の、一部のより具体的なフッ素化オキサリルアミノ含有化合物は、式
−CF(CF
3)[OCF
2CF(CF
3)]
bOCF
2−R
6−CF
2O[CF(CF
3)CF
2O]
dCF(CF
3)−
のRf基を含み、式中、R
6は、炭素原子を1〜20個、1〜10個、1〜8個、1〜6個、1〜5個、又は1〜4個有するペルフルオロアルキレン基である。変数記号b及びdは、いずれも合計して0〜35、1〜35、2〜35、0〜30、1〜30、2〜30、0〜20、1〜20、2〜15、4〜15、2〜20、0〜10、1〜20又は2〜10の範囲の整数である。一部の例示的なRf基では、R
6は−CF
2CF
2−に相等し、b及びdの合計は2〜20、4〜20、又は4〜15の範囲である。
【0062】
式(II)、(IIa)、(III)、及び(IIIa)のフッ素化オキサリルアミノ含有化合物は、シュウ酸
エステル化合物を用いるフッ素化アミン反応により調製することができる。フッ素化アミンは、ペルフルオロポリエーテルセグメントを少なくとも1つ、並びに第一級アミノ基を少なくとも2つ、第二級アミノ基を少なくとも2つ、又は第一級アミノ基を少なくとも1つに加えて第二級アミノ基を少なくとも1つ有する。フッ素化アミンは、多くの場合、式(IV)又は(V)のものである。
【化10】
【0063】
式(V)の化合物は、式中、Y
1が−Y
2−(CO)−NR
2−Y
3−に相等する式(IV)のものに相等する。Rf、Y
1、Y
2、Y
3、及びR
2基は、式(II)、(IIa)、(III)、及び(IIIa)について上記したものと同様である。変数記号nは、上記と同様のものであるが、式(IVa)及び(Va)で示されるように、多くの場合2に等しい。
【化11】
【0064】
任意の既知の方法を用いて様々なフッ素化アミンを調製することができる。例えば、式A−Rf−Aの化合物を形成することで、フッ素化アミンを調製することができる。この式において、A基はアルコキシカルボニル又はハロカルボニルなどのカルボニル含有基を指す。このような化合物の調製は米国特許第3,250,807号(Fritz et al.)に更に記載され、例示される。該当特許中では、出発物質のペルフルオロスクシニルフッ化物などのフッ素化二塩基酸を、ビス(2−メトキシエチル)エーテル(すなわち、ジグリム)中で、触媒量のフッ化カリウムと共にヘキサフルオロプロピレンオキシドと反応させる。この化合物A−Rf−Aを、次いで式R
2HN−Y
3−NHR
2のジアミンと反応させることで、Y
2が単結合である式(Va)のフッ素化アミンを調製することができる。
【0065】
式(IVa)のフッ素化アミンの一部の例としては、限定するものではないが、式Rf−(CH
2OC
3H
6NH
2)
2又はRf−(CH
2OC
2H
4NH
2)
2のものが挙げられ、式中、Y
1はヘテロアルキレンである。他の例示的なフッ素化アミンとしては、限定するものではないが、式Rf−(CH
2CH
2NH
2)
2又はRf−(CH
2NH
2)
2のものが挙げられる。式中、Y
1はアルキレンである。
【0066】
式Rf−(CH
2OC
3H
6NH
2)
2の化合物を調製するために、式Rf−(COF)
2の化合物をRf−(CH
2OH)
2へと還元することができる。次いで、アクリロニトリルを式Rf−(CH
2OH)
2の化合物に加えて、式Rf−(CH
2OC
2H
4CN)
2の化合物を得ることができる。次いで、アンモニア及び白金触媒の存在下で、Rf−(CH
2OC
2H
4CN)
2を水素により還元して、式Rf−(CH
2OC
3H
6NH
2)
2の化合物を生成することができる。
【0067】
式Rf−(CH
2OC
2H
4NH
2)
2の化合物を調製するために、式Rf−(COF)
2の化合物をRf−(CH
2OH)
2へと還元することができる。次いでRf−(CH
2OH)
2の化合物をエチレンカーボネートと反応させることで、式Rf−(CH
2OC
2H
4OH)
2の化合物を生成することができる。次いでこの化合物をメタンスルホニルクロリドと反応させることで式Rf−(CH
2OC
2H
4OSO
2CH
3)
2の化合物を生成することができる。Rf−(CH
2OC
2H
4OSO
2CH
3)
2の化合物を、液体アンモニアと反応させることで、Rf−(CH
2OC
2H
4NH
2)
2を生成することができる。
【0068】
式Rf−(C
2H
4NH
2)
2の化合物を調製するためには、式Rf−(COF)
2の化合物をヨウ化リチウムと反応させることで、Rf−(I)
2を生成することができる。次いで、化合物Rf−(I)
2をエチレンと反応させることで、Rf−(C
2H
4I)
2を生成することができる。この生成物を更に液体アンモニアと反応させることで、Rf−(C
2H
4NH
2)
2を生成することができる。
【0069】
式Rf−(CH
2NH
2)
2の化合物を調製するために、式Rf−(COF)
2の化合物を、アンモニアと反応させることでRf−(CONH
2)
2を生成し、次いでBH
3を用いRf−(CH
2NH
2)
2へと還元することができる。代替的な合成方法は、米国特許第3,810,874号(Mitsch et al.)の実施例XIVに記載される。
【0070】
フッ素化オキサリルアミノ含有化合物を生成するためにフッ素化アミン(例えば、式(IV)、(IVa)、(V)、又は(Va)の化合物)と反応させるシュウ酸
エステルは、多くの場合、式(VI)の化合物である。
【化12】
【0071】
式(VI)中のR
1基は、式(I)について記載されるものと同様である。式(VI)のシュウ酸
エステル化合物は、例えば、式R
1−OHの化合物を二塩化オキサリルと反応させることで調製することができる。式(
VI)のシュウ酸
エステルの一部は市販されており(例えば、Sigma−Aldrich(Milwaukee,WI)及びVWR International(Bristol,CT)から市販)、限定するものではないが、シュウ酸ジメチル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、シュウ酸ジ−tert−ブチル、シュウ酸ビス(フェニル)、シュウ酸ビス(ペンタフルオロフェニル)、シュウ酸1−(2,6−ジフルオロフェニル)−2−(2,3,4,5,6−ペンタクロロフェニル)、及びシュウ酸ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)が包含される。
【0072】
フッ素化オキサリルアミノ含有化合物を調製するために使用することのできる例示的な縮合反応は、反応スキームAに示される。より具体的には、この反応スキームは、式(IVa)のフッ素化アミンと過剰量の式(VI)のシュウ酸
エステル化合物との例示的な縮合反応を示す。
【化13】
【0073】
式(III)のフッ素化オキサリルアミノ含有化合物を生成するための、式(VI)のシュウ酸
エステル化合物とフッ素化アミンとの縮合反応は、溶媒の存在下又は非存在下で生じ得る。一部の合成方法では、反応混合物には、溶媒は全く含まれず、あるいは溶媒はほんの少量だけ含まれる。溶媒の除去が、続いて生成物を縮合反応に使用する際に有利なものになり得る場合、溶媒が非存在であることが所望される。他の合成方法では、溶媒としては、例えば、トルエン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、酢酸エチル、トリフルオロエタノール、トリフルオロトルエン、tert−ブチルメチルエーテル、ヘキサフルオロイソプロパノール、又は脂肪族炭化水素(例えば、ヘキサンなどのアルカン)を挙げることができる。
【0074】
フッ素化オキサリルアミノ含有化合物を生成するために、典型的には、過剰量(例えば、当量に基づき過剰)の式(VI)のシュウ酸
エステル化合物が使用される。過剰量のシュウ酸
エステル化合物は、典型的には、縮合反応に関する所望の反応生成物(すなわち、式(II)、(IIa)、(III)、又は(IIIa)の化合物)から除去することができる。フッ素化オキサリルアミノ含有化合物が個体である場合、ろ過法が使用できる。フッ素化オキサリルアミノ含有化合物が個体又は液体である場合、ストリップ法(stripping process)が使用できる。例えば、反応させた混合物(すなわち、縮合反応による一種以上の生成物)は、過剰なシュウ酸
エステルを揮発させるために最高で150℃、最高で175℃、最高で200℃、最高で225℃、又は更には最高で250℃又は更にそれ以上の温度にまで加熱することができる。真空引きを行って、過剰な
シュウ酸エステルの除去に必要な温度を下げることができる。式(II)、(IIa)、(III)、又は(IIIa)の化合物の分解は、典型的には最高で250℃の温度でも最小限であり、あるいはほとんど見られない。シュウ酸
エステルを除去するにあたり任意の他の既知の方法を使用することができる。
【0075】
縮合反応の副生成物は、アルコール、フェノール、又はオキシムであり得る式R
1−OHの化合物である。R
1基は、多くの場合、約250℃以下の温度に加熱することにより除去(例えば、蒸発)することのできる副生成物を生成するよう選択される。このような副生成物は、反応させた混合物を加熱して、任意の過剰量の式(VI)のシュウ酸
エステル化合物を除去する際に除去することができる。
【0076】
フッ素化オキサリルアミノ含有化合物(例えば、式(II)、(IIa)、(III)、又は(IIIa)の化合物)を、第一級アミノ基を少なくとも2つ、又は第二級アミノ基を少なくとも2つ有するか、あるいは第一級アミノ基を少なくとも1つに加えて第二級アミノ基を少なくとも1つ有する、シリコーン系アミンと反応させることができる。生成物は、ポリジオルガノシロキサンセグメント、ポリエーテルセグメント、及び少なくとも2つのアミノオキサリルアミノ基を含有する。例示的な縮合反応は、式(III)のフッ素化オキサリルアミノ含有化合物とシリコーン系アミンとの反応についての反応スキームBに示される。Q
1基は、式(III)中の−Y
1−Rf−Y
1−基に相等する。シリコーン系アミンは、式(VII)のジアミンであり得、
【化14】
式中、Q
2はポリジオルガノシロキサンセグメントを含有している基を表し、R
2は前述したものと同様である。式(VII)のものなどのシリコーンジアミンは、多くの場合、線状コポリマーを調製するために使用することができる。
【化15】
【0077】
式(XIa)のコポリマー生成物において、mは少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも5、又は少なくとも10に等しい整数である。変数記号mは、例えば、最大1000、最大500、最大200、最大100、最大50又は最大20であり得る。各qは少なくとも1、少なくとも2、又は少なくとも5に等しくなり得る。変数記号qは、例えば、最大100、最大50、最大20、又は最大10であり得る。一部の実施形態では、変数記号qは、1〜20、2〜20、1〜10、又は2〜10の範囲であり得る。各星印は、コポリマー内の任意の他の基への結合を記述する。この他の基は、例えば、式(XIa)の他の基、末端基、又はコポリマー構造内の更なる他のセグメントであり得る。
【0078】
反応スキームBの式(VII)のシリコーン系アミンR
2HN−Q
2−NHR
2は、多くの場合、式(VIII)のものである。
【化16】
式(VIII)中、各Y
4は独立してアルキレン、アラルキレン、又はこれらの組み合わせである。各R
7は独立してアルキル、ハロアルキル、アラルキル、置換アラルキル、アルケニル、アリール、又は置換アリールである。変数記号bは、1以上の整数である。変数記号bは、典型的には10を超える、20を超える、30を超える、又は40を超える整数である。変数記号bは、多くの場合、最高3000、最高2000、最高1500、最高1000、又は最高500の整数である。例えば、変数記号bは、40〜1000、40〜500、50〜500、50〜400、50〜300、50〜200、50〜100、50〜80、又は50〜60の範囲であることができる。
【0079】
式(VIII)中、各Y
4は独立してアルキレン、アラルキレン、又はこれらの組み合わせである。好適なアルキレン基は典型的には、最大10個の炭素原子、最大8個の炭素原子、最大6個の炭素原子、又は最大4個の炭素原子を有する。例示的なアルキレン基としては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、及びこれらに類するものが挙げられる。好適なアラルキレン基は通常、1〜10個の炭素原子を有するアルキレン基に結合した、6〜12個の炭素原子を有するアリーレン基を有する。一部の例示的なアラルキレン基では、アリーレン部分はフェニレンである。すなわち、二価アラルキレン基は、フェニレン−アルキレンであり、この場合、フェニレンは、1〜10個、1〜8個、1〜6個、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキレンに結合している。本明細書で使用するとき、Y
4基に関して、「これらの組み合わせ」とは、アルキレン基及びアラルキレン基から選択される2つ以上の基の組み合わせを意味する。例えば、組み合わせは、単一のアルキレンに結合した単一のアラルキレン(例えば、アルキレン−アリーレン−アルキレン)であり得る。1つの例示的なアルキレン−アリーレン−アルキレンの組み合わせでは、アリーレンはフェニレンであり、各アルキレンは、1〜10個、1〜6個、又は1〜4個の炭素原子を有する。
【0080】
式(VIII)中のR
7に好適なアルキル基は、典型的には炭素原子を1〜10個、1〜6個、又は1〜4個有する。例示のアルキル基としては、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、及びイソ−ブチルが挙げられるが、これらに限定されない。R
7に好適なハロアルキル基は、多くの場合、ハロゲンで置換された対応するアルキル基の水素原子の一部を有するに過ぎない。例示のハロアルキル基としては、1〜3個のハロ原子及び3〜10個の炭素原子を備えた、クロロアルキル及びフルオロアルキル基が挙げられる。R
7に好適なアルケニル基は、多くの場合、2〜10個の炭素原子を有する。例示的なアルケニル基は、多くの場合、炭素原子を2〜8個、2〜6個、又は2〜4個有するものであり、例えばエテニル、1−プロペニル、及び1−ブテニルなどである。R
7に好適なアリール基は、多くの場合、6〜12個の炭素原子を有する。フェニルは、例示的なアリール基である。アリールは、未置換であってもよく、あるいは、アルキル(例えば、メチル、エチル、又はn−プロピルなどの、炭素原子を1〜4個有するアルキル)、アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、又はプロポキシなどの、炭素原子を1〜4個有するアルコキシ)、ハロ(例えば、クロロ、ブロモ、又はフルオロ)、ハロアルキル(例えば、トリフルオロメチルなどの、炭素原子を1〜4個有するハロアルキル)、又はアルコキシカルボニル(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、又はプロポキシカルボニルなどの、炭素原子を2〜5個有するアルコキシカルボニル)により置換されてもよい。R
7に好適なアラルキル基は通常、1〜10個の炭素原子を有するアルキレン基及び6〜12個の炭素原子を有するアリール基を有する。一部の例示的なアラルキル基では、アリール基はフェニルであり、アルキレン基は、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有する(すなわち、アラルキルの構造は、アルキレン−フェニルであり、ここでアルキレンがフェニル基に結合している)。アラルキルのアリール部分は、未置換であってもよく、あるいは、アルキル(例えば、メチル、エチル、又はn−プロピルなどの、炭素原子を1〜4個有するアルキル)、アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、又はプロポキシなどの、炭素原子を1〜4個有するアルコキシ)、ハロ(例えば、クロロ、ブロモ、又はフルオロ)、ハロアルキル(例えば、トリフルオロメチルなどの、炭素原子を1〜4個有するハロアルキル)、又はアルコキシカルボニル(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、又はプロポキシカルボニルなどの、炭素原子を2〜5個有するアルコキシカルボニル)により置換されてもよい。
【0081】
式(VIII)の多くの実施形態において、少なくとも50パーセントのR
7基はメチルである。例えば、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%のR
7基が、メチルであり得る。残りのR
7基は、炭素原子を少なくとも2個有するアルキル、ハロアルキル、アラルキル、置換アラルキル、アルケニル、又はアリールであるか、又はアルキル、アルコキシ、若しくはハロで置換されたアリールであり得る。他の実施例では、すべてのR
7基はメチルである。
【0082】
式(VIII)のポリジオルガノシロキサンジアミンは任意の既知の方法により調製することができ、700〜150,000グラム/モルの範囲の数平均分子量などの任意の好適な分子量を有し得るものである。好適なポリジオルガノシロキサンジアミン及びポリジオルガノシロキサンジアミンの製造方法については、例えば、米国特許第3,890,269号(Martin)、同第4,661,577号(Jo Lane et al.)、同第5,026,890号(Webb et al.)、同第5,276,122号(Aoki et al.)、同第5,214,119号(Leir et al.)、同第5,461,134号(Leir et al.)、同第5,512,650号(Leir et al.)、及び同第6,355,759号(Sherman et al.)に記載されている。2,000グラム/モル超又は5,000グラム/モル超の数平均分子量を有するポリジオルガノシロキサンジアミンは、米国特許第5,214,119号(Leir et al.)、同第5,461,134号(Leir et al.)、及び同第5,512,650号(Leir et al.)に記載されている方法を使用して調製することができる。一部のポリジオルガノシロキサンジアミンは市販されており、例えば、Shin Etsu Silicones of America,Inc.(Torrance,CA)、Wacker Silicones(Adrian,MI)、及びGelest Inc.(Morrisville,PA)から市販されている。
【0083】
シリコーン系アミンに加え、第1反応混合物は、第一級アミノ基を少なくとも2つ、第二級アミノ基を少なくとも2つ、又は第一級アミノ基を少なくとも1つに加えて第二級アミノ基を少なくとも1つ有する更に他の任意の第2アミン化合物を含むことができる。この任意選択的な第2アミン化合物は、シリコーン系アミンではない(例えば、第2アミン化合物はポリジオルガノシロキサンセグメントを含有しない)。任意選択的な第2アミン化合物は、例えば、ペルフルオロポリエーテルセグメントを有する式(IV)、(IVa)、(V)、又は(Va)などのフッ素化アミンであり得る。
【0084】
別の方法としては、任意選択的な第2アミンは、式(XV)のジアミンであり得る。
Q
3−(NHR
8)
n
(XV)
式(XV)中、Q
3基は変数記号nに等しい価数を有する基である。変数記号nは、上記に定義するものと同様である。Q
3基は
、(a)ヘテロアルカンラジカル、(b)アルカンラジカル、(c)フッ素化アルカンラジカル、(d)アレーンラジカル、(e)
第1基と、第2基と、これらを連結するカルボニルアミノ基
とで構成される基、(f)R
8及びR
8に結合している窒素を含有している複素環基の一部、又は(g)これらの組み合わせであり、各第1基及び第2基は独立して、ヘテロアルカンラジカル、アルカンラジカル、フッ素化アルカンラジカル、アレーンラジカル、又はこれらの組み合わせである。各R
8は独立して水素、アルキル、アラルキル、又はアリールであるか、又はQ
3及びR
8が結合している窒素を含んでいる複素環基の一部である。
【0085】
一部の実施形態では、変数記号nは少なくとも3に等しい整数である。任意のアミンが第一級アミノ基及び/又は第二級アミノ基を3つ以上有する場合、その任意のアミンは架橋剤として提供され得る。アミノ基を少なくとも3つ有する任意選択的なアミンの例としては、限定するものではないが、トリス(2−アミノエチル)アミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、及びヘキサエチレンヘプタミンが挙げられる。
【0086】
多くの実施形態では、任意選択的な第2アミンは式(XVI)のものであり、第一級アミノ基が2つ、第二級アミノ基が2つ、又は第一級アミノ基が1つと第二級アミノ基が1つ存在する。
R
8NH−Q
3−NHR
8
(XVI)
式(XVI)中、Q
3基は二価の基であり
、(a)ヘテロアルキレン、(b)アルキレン、(c)フッ素化アルキレン、(d)アリーレン
、(e)
第1基と、第2基と、これらを連結するカルボニルアミノ基
とで構成される基、(f)R
8及びR
8が結合している窒素を含んでいる複素環基の一部、又は(g)これらの組み合わせであり、各第1基及び第2基は独立してヘテロアルキレン、アルキレン、フッ素化アルキレン、アリーレン、又はこれらの組み合わせである。各R
8は独立して水素、アルキル、アラルキル、又はアリールであるか、又はQ
3及びR
8が結合している窒素原子を含んでいる複素環基の一部である。
【0087】
Q
3基にはカルボニルアミノ基を含み、得られる結合基は式−Q
3a−(CO)NR
8−Q
3a−のものであり得、式中、各Q
3aは独立してアルキレン、フッ素化アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はこれらの組み合わせである。このような複数の基は、例えば、−Q
3a−(CO)NR
8−Q
3a−(CO)NR
8−Q
3a−及び−Q
3a−(CO)NR
8−Q
3a−(CO)NR
8−Q
3a−(CO)NR
8−Q
3a−などのように連結することができる。各R
8は独立して水素、アルキル、アラルキル、又はアリールであるか、又はQ
3及びR
8が結合している窒素原子を含んでいる複素環基の一部である。
【0088】
Q
3基又はQ
3a基の組み合わせは、ヘテロアルキレン基、アルキレン基、フッ素化アルキレン基、及びアリーレン基の任意の組み合わせを指す。このような基は2つ以上連結させることができる。例えば、この組み合わせは、アルキレンをアリーレン基に結合させたものであり得る。このような組み合わせは、アラルキレン基などとも呼ばれる。他の例は、2つ以上のアルキレン基をアリーレン基に結合させたものである。一部の例示的な基は、式−C
xH
2x−C
6H
4−C
xH
2x−のアルキレン−アラルキレン基(すなわち、アルキレン−アリーレン−アルキレン基)であり、この場合、xは1〜10の範囲である。
【0089】
Q
3又はQ
3aのいずれについても任意の好適なヘテロアルキレンを使用することができるが、ヘテロアルキレンは、多くの場合、酸素ヘテロ原子を有する。各ヘテロアルキレンは、炭素原子を少なくとも2個とヘテロ原子を少なくとも1個、炭素原子を少なくとも4個とヘテロ原子を少なくとも1個、炭素原子を少なくとも6個とヘテロ原子を少なくとも1個、炭素原子を少なくとも10個とヘテロ原子を少なくとも2個、あるいは炭素原子を少なくとも20個とヘテロ原子を少なくとも3個又は少なくとも4個有する。
【0090】
任意の好適なアルキレン基又はフッ素化アルキレン基をQ
3又はQ
3aのいずれかに使用することができる。例えば、アルキレン基は炭素原子を少なくとも2個、少なくとも4個、少なくとも6個、少なくとも10個、又は少なくとも20個有し得る。アルキレン又はフッ素化アルキレン基は、例えば、炭素原子を1〜20個、炭素原子を2〜20個、炭素原子を1〜10個、炭素原子を2〜10個、炭素原子を2〜8個、又は炭素原子を2〜6個有し得る。フッ素化アルキレン基は、完全にフッ素化でき(すなわち、アルキレン上のすべての水素原子をフッ素原子で置換されたペルフルオロアルキレン基)、あるいは部分的にフッ素化することもできる(例えば、すべてではないが一部の水素原子をフッ素原子で置換されたフッ素化アルキレン基)。
【0091】
任意の好適なアリーレンをQ
3又はQ
3aに使用することができる。例示的なアリーレン基は多くの場合炭素原子を6〜12個有するものであり、限定するものではないが、フェニレン及びビフェニレンが挙げられる。アリーレン基は未置換なものであり得、あるいは、ハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、又はアルコキシカルボニルから選択された1つ以上の基で置換されたものであり得る。
【0092】
式(XVI)中の各R
8基は独立して水素、アルキル、アラルキル、アリールであるか、又はQ
3及びR
8が結合している窒素原子を含んでいる複素環基の一部である。好適なアルキル基は直鎖又は分枝鎖であってよく、典型的には炭素原子を1〜10個、炭素原子を1〜8個、炭素原子を1〜6個、又は炭素原子を1〜4個含有する。好適なアリール基としては、典型的には炭素原子を6〜12個有するものが挙げられる。アリール基は、多くの場合、フェニルである。好適なアラルキル基としては、炭素原子を6〜12個有するアリール基で置換された、炭素原子を1〜10個有するアルキル基が挙げられる。例示的なアラルキル基としては多くの場合、フェニルで置換された、炭素原子を1〜10個、1〜6個、又は1〜4個有するアルキルが挙げられる。一部のR
8基は、Q
3と窒素原子を組み合わせたものであり、R
8は窒素原子と結合して複素環基を形成する。多くの場合、複素環基は環原子を少なくとも4個、少なくとも5個、又は少なくとも6個有し、これらの環原子のうちの1つは窒素原子である。複素環基は不飽和であっても又は部分的に飽和されてもよい。1つの例示的な複素環基は、ピペリジンから誘導される二価の基である。
【化17】
【0093】
反応混合物に含むことができる、一部の例示的な任意選択的な第2アミンはポリエーテルアミンである(すなわち、Q
3基は、酸素ヘテロ原子を有するヘテロアルキレンである)。このようなジアミンはHuntsman(The Woodlands,TX)から商品名JEFFアミンで市販されている。具体的なポリエーテルアミンとしては、限定するものではないが、JEFFアミンD−230(すなわち、約230グラム/モルの数平均分子量を有するポリオキシプロプロピレンジアミン)、JEFFアミンD−400(すなわち、約400グラム/モルの数平均分子量を有するポリオキシプロピレンジアミン)、JEFFアミンD−2000(すなわち、重量平均分子量約2,000グラム/モルを有するポリオキシプロピレンジアミン)、JEFFアミンHK−511(すなわち、オキシエチレン及びオキシプロピレン基の両方が重量平均分子量約220グラム/モルを有するポリエーテルジアミン)、JEFFアミンED−2003(すなわち、ポリエチレングリコールでキャップされたポリプロピレンオキシドセグメントを有し、数平均分子量約2,000グラム/モルを有するポリエーテルジアミン)、JEFFアミンEDR−148(すなわち、トリエチレングリコールジアミン)、及びJEFFアミンXTJ−559(すなわち、平均分子量約1,400グラム/モルを有する、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)及びポリプロピレンオキシドのポリエーテルジアミンコポリマー)が挙げられる。
【0094】
例示的なアルキレンジアミン(すなわち、Q
3がアルキレンである)としては、限定するものではないが、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレン1,5−ジアミン(すなわち、DuPont(Wilmington、DE)から商品名DYTEK Aで市販)、1,3−ペンタンジアミン(DuPontから商品名DYTEK EPで市販)、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,2−シクロヘキサンジアミン(DuPontから商品名DHC−99で市販)、4,4’−ビス(アミノシクロヘキシル)メタン、及び3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン(イソホロン(isophorene)ジアミンとも呼ばれる)が挙げられる。
【0095】
例示的なアリーレンジアミン(すなわち、Q
3がフェニレンなどのアリーレンである)としては、限定するものではないが、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、及びp−フェニレンジアミンが挙げられる。例示的なアラルキレンジアミン(すなわち、Q
3がアルキレン−フェニルなどのアラルキレンである)としては、限定するものではないが、4−アミノメチル−フェニルアミン、3−アミノメチル−フェニルアミン、及び2−アミノメチル−フェニルアミンが挙げられる。例示的なアルキレン−アラルキレンジアミン(すなわち、Q
3がアルキレン−アリーレン−アルキレン基である)としては、限定するものではないが、4−アミノメチル−ベンジルアミン(すなわち、パラ−キシレンジアミン)、3−アミノメチル−ベンジルアミン(すなわち、メタ−キシレンジアミン)、及び2−アミノメチル−ベンジルアミン(すなわち、オルト−キシレンジアミン)が挙げられる。
【0096】
他のジアミンは、複素環基の一部である第二級アミノ基を1つ以上有する。例としては、限定するものではないが、ピペリジンが挙げられる。
【0097】
第1反応混合物では、シリコーン系アミンに加えていずれかの他の任意選択的なアミン化合物の当量に対する、フッ素化オキサリルアミノ含有化合物の当量比は、多くの場合、約1:1である。例えば、当量比は、多くの場合、1:0.90以下、1:0.92以下、1:0.95以下、1:0.98以下、又は1:1以下である。当量比は、多くの場合、1:1.02以上、1:1.05以上、1:1.08以上、又は1:1.10以上である。例えば、当量比は、1:0.90〜1:1.10の範囲、1:0.92〜1:1.08の範囲、1:0.95〜1:1.05の範囲、又は1:0.98〜1:1.02の範囲であり得る。例えば、全体的な分子量を変更し、得られたコポリマーのレオロジーに影響を与えることができるように、当量比を変化させることが可能である。更に、当量比を変化させて、どの反応物質が過剰に存在するかにより、オキサリルアミノ含有末端基又はアミノ末端基を提供することができる。
【0098】
反応スキームBの縮合反応は、多くの場合、室温で実施され、あるいは最高で約250℃の温度などの高温で実施される。例えば、この反応は、多くの場合、室温又は約100℃以下の温度にて実施することができる。その他の実施例では、この反応は、少なくとも100℃、少なくとも120℃、又は少なくとも150℃の温度にて実施できる。例えば、反応温度は、多くの場合、100℃〜220℃の範囲、120℃〜220℃の範囲、又は150℃〜200℃の範囲である。縮合反応は、多くの場合、1時間で、2時間で、4時間で、8時間で、12時間で、24時間で、36時間で、48時間で、60時間で、又は72時間以上で完了する。
【0099】
反応スキームBは、溶媒の存在下又は不存在下で生じさせることができる。反応の終了時に、揮発性の副生成物R
1OHのみを除去する必要があるため、反応スキームBを溶媒の非存在下で実施することは望ましい場合がある。更に、反応物及び生成物の両方と適合性がない溶媒では、反応が完了せず、重合度が低い。しかしながら、他の適用では、コポリマーは溶媒系コーティング組成物に使用されることになる。このような適用では、コポリマーは好適な溶媒の存在下で調製することが望ましい場合がある。
【0100】
好適な溶媒は通常、反応に関する反応物又は生成物と反応しない。更に、好適な溶媒は通常、溶液中のすべての反応物及びすべての生成物を重合プロセス中ずっと維持することができる。例示的な溶媒としては、限定するものではないが、トルエン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、酢酸エチル、トリフルオロエタノール、トリフルオロトルエン,tert−ブチルメチルエーテル、ヘキサフルオロイソプロパノール、脂肪族炭化水素(例えば、ヘキサンなどのアルカン)、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0101】
存在する任意の溶媒を、得られる共重合反応生成物から、除去することができる。R
1−OH副生成物を除去するために使用されるのと同一条件下で除去できる溶媒が、多くの場合好ましい。この除去プロセスは、多くの場合、少なくとも100℃、少なくとも125℃、又は少なくとも150℃の温度で実施される。この除去プロセスは典型的には、300℃未満、250℃未満、又は225℃未満の温度で行われる。
【0102】
反応スキームBに従ってコポリマー材料を調製するために、任意の好適なリアクタ又はプロセスを使用することができる。反応は、バッチプロセス、半バッチ式プロセス、又は連続プロセスを使用して実施することができる。代表的なバッチプロセスは、ブラベンダー(Brabender)ミキサーのような機械的撹拌機を備えた反応容器内で実施することができるが、但し、溶融状態にある反応生成物は、反応器から排出するのに十分低い粘度を有する。代表的なセミバッチプロセスは、連続撹拌しているチューブ、タンク、又は流動床内で実施することができる。代表的な連続プロセスは、1軸又は、吐出表面(wiped surface)逆回転若しくは共回転2軸押し出し機のような2軸押し出し機内にて実施することができる。
【0103】
多くのプロセスでは、成分を計量し、次いで共に混合して、反応混合物を形成する。成分は、例えばギア、ピストン又はプログレッシング・キャビティポンプ(progressing cavity pump)を使用して、体積測定的又は重力測定的に計量することができる。成分は、例えば、静的ミキサーのような、任意の既知の静的若しくは動的な方法、又は1軸若しくは多軸押し出し機のような配合ミキサーを使用して混合することができる。次に、反応混合物は、形成する、注ぐ、ポンピングする、コーティングする、射出成形する、噴霧する、スパッタリングする、霧化する、より線にする又はシート化する、及び部分的に又は完全に重合することができる。次に、部分的に又は完全に重合した材料は、固体ポリマーへの変換前に、所望により、粒子、液滴、ペレット、球体、ストランド、リボン、ロッド、チューブ、フィルム、シート、共押出フィルム、ウェブ、不織布、マイクロ複写構造体、又は他の連続的な若しくは分離性の形状に変換することができる。これらの工程はいずれも、熱を適用して又は熱を適用しないで実施することができる。1つの代表的なプロセスでは、成分は、重合材料を固化する前に、ギアポンプを使用して計量し、静的ミキサーを使用して混合し、及び型へ射出することができる。
【0104】
コポリマー材料を生成させるために使用される第2反応混合物では、式(I)の末端基を少なくとも2つ有する化合物は、ポリジオルガノシロキサンセグメントを有するシリコーン系オキサリルアミノ含有化合物である。このシリコーン系化合物を、ペルフルオロポリエーテルセグメントを1つ、及び第一級アミノ基を少なくとも2つ、第二級アミノ基を少なくとも2つ、又は第一級アミノ基を少なくとも1つに加えて第二級アミノ基を少なくとも1つ有する、フッ素化アミンと反応させる。
【0105】
第1反応混合物及び第2反応混合物は相補的な反応混合物である。第1反応混合物では、式(I)の末端基は、ペルフルオロポリエーテルセグメントを有するフッ素化化合物上に存在する。このフッ素化オキサリルアミノ含有化合物は、ポリジオルガノシロキサンセグメントを有するシリコーン系アミン並びに複数の第一級及び/又は第二級アミノ基(すなわち、第一級アミノ基を少なくとも2つ、第二級アミノ基を少なくとも2つ、又は第一級アミノ基を少なくとも1つに加えて第二級アミノ基を少なくとも1つ)と反応する。この反応は、上記反応スキームBに例示する。第2反応混合物では、式(I)の末端基は、ポリジオルガノシロキサンセグメントを有するシリコーン系材料上に存在する。このシリコーン系オキサリルアミノ含有化合物は、ペルフルオロポリエーテルセグメントを有するフッ素化アミン並びに複数の第一級及び/又は第二級アミノ基と反応する。この反応は、下記反応スキームDに例示する。第1反応混合物又は第2反応混合物のいずれかを用い、類似の種類のコポリマー材料を、調製することができる。
【0106】
第2反応混合物に含まれるシリコーン系オキサリルアミノ含有化合物は、多くの場合、式(IX)のものである。
【化18】
式(IX)では、R
1基及びR
2基は上記に定義するものと同様である。Q
2基としては、ポリジオルガノシロキサンセグメントが挙げられる。変数記号pは、少なくとも1に等しい整数である。例えば、変数記号pは、少なくとも2、少なくとも3、又は少なくとも5であり得る。変数記号pは、例えば、最大100、最大50、最大20、又は最大10であり得る。一部の実施形態では、変数記号pは、1〜20、2〜20、1〜10、又は2〜10の範囲であり得る。
【0107】
式(IX)の一部の実施形態では、二価のQ
2基は式(X)の基である。
【化19】
R
7基及びY
4基、並びに変数記号bは、式(VIII)について記載されるものと同様である。
【0108】
式(IX)の化合物は、式(VI)のシュウ酸
エステルと式(VII)又は(VIII)のシリコーン系アミンとの反応により調製することができる。この例示的な縮合反応は、反応スキームCに示される。
【化20】
【0109】
反応スキームAについての記載のように、反応スキームCにおける縮合反応は、溶媒の存在下又は非存在下で生じ得る。一部の合成方法では、反応混合物には、溶媒は全く含まれず、あるいは溶媒はほんの少量だけ含まれる。溶媒の除去が、続いて生成物を縮合反応に使用する際に有利なものになり得る場合、溶媒が非存在であることが所望される。その他の合成方法においては、溶媒としては、例えば、トルエン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、又は脂肪族炭化水素(例えば、ヘキサンなどのアルカン)などを挙げてもよい。
【0110】
式(IX)のシリコーン系オキサリルアミノ含有化合物を生成するために、典型的には、過剰量(例えば、当量に基づき過剰)の式(VI)のシュウ酸
エステル化合物が使用される。過剰とは、多くの場合、反応に必要とされる化学量論的量の少なくとも5倍、少なくとも7倍、又は少なくとも10倍であることを意味する。過剰量のシュウ酸
エステル化合物は、典型的には、反応スキームAに記載されるものと類似の除去プロセスを用い、縮合反応の所望の反応生成物から除去することができる。縮合反応の副生成物は、式R
1−OHの化合物である。この副生成物は、通常、アルコール、フェノール、又はオキシムである。R
1基は、多くの場合、約250℃以下の温度に加熱することにより除去(例えば、蒸発)することのできるアルコール副生成物を生成するよう選択される。このような副生成物は、反応させた混合物を加熱して、任意の過剰量の式(VI)のシュウ酸エステル化合物を除去する際に除去することができる。
【0111】
一度生成すると、式(IX)のシリコーン系オキサリルアミノ含有化合物は、ペルフルオロポリエーテルセグメントを有するフッ素化アミンによる縮合反応にも耐性を有し得る。好適なフッ素化アミンは、第一級アミノ基を少なくとも2つ、第二級アミノ基を少なくとも2つ、又は第一級アミノ基を少なくとも1つに加えて第二級アミノ基を少なくとも1つ有する、前述のものである。このようなフッ素化アミンは、例えば、式(IV)、(IVa)、(V)、又は(Va)のものである。反応スキームDは、式(IX)のシリコーン系オキサリルアミノ含有化合物と、二価の基−Y
1−Rf−Y
1−に相等するQ
1を有する式(IVa)フッ素化アミンとの例示的な反応を示す。生成物は、式(XIb)基を少なくとも1つ有するコポリマーである。
【化21】
【0112】
式(XIb)のコポリマー生成物において、mは少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも5、又は少なくとも10に等しい整数である。変数記号mは、例えば、最大1000、最大500、最大200、最大100、最大50又は最大20であり得る。各qは少なくとも1、少なくとも2、又は少なくとも5に等しくなり得る。変数記号pは、例えば、最大100、最大50、最大20、又は最大10であり得る。一部の実施形態では、変数記号pは、1〜20、2〜20、1〜10、又は2〜10の範囲であり得る。各星印は、コポリマー内の任意の他の基への結合を記述する。この他の基は、例えば、式(XIb)の他の基、末端基、又はコポリマー構造内の更なる他の単位であり得る。
【0113】
フッ素化アミンに加え、第2反応混合物は、第一級アミノ基を少なくとも2つ、第二級アミノ基を少なくとも2つ、又は第一級アミノ基を少なくとも1つに加えて第二級アミノ基を少なくとも1つ有する、更に他の任意の第2アミン化合物を含むことができる。この任意選択的な第2アミン化合物は、ペルフルオロポリエーテルセグメントを有するフッ素化アミンではない。これらの任意選択的な第2アミン化合物は、例えば、式(VIII)のものなどのシリコーン系アミンであり得る。別の方法としては、任意選択的な第2アミンは、第1反応混合物との使用について記載されるような、式(XV)のアミン化合物であり得る。第一級及び/又は第二級アミノ基を2つよりも多く有する任意選択的な第2アミンを架橋コポリマーを提供するために使用することができる。
【0114】
多くの実施形態では、任意選択的な第2アミンは式(XVI)のものである。
R
8NH−Q
3−NHR
8
(XVI)
式(XVI)中、Q
3基
は(a)ヘテロアルキレン、(b)アルキレン、(c)フッ素化アルキレン、(d)アリーレン
、(e)
第1基と、第2基と、これらを連結するカルボニルアミノ基
とで構成される基、(f)R
8及びR
8が結合している窒素を含んでいる複素環基の一部、又は(g)これらの組み合わせであり、各第1基及び第2基は独立してヘテロアルキレン、アルキレン、フッ素化アルキレン、アリーレン、又はこれらの組み合わせである。各R
8は独立して水素、アルキル、アラルキル、又はアリールであるか、又はQ
3及びR
8が結合している窒素原子を含んでいる複素環基の一部である。式R
8NH−Q
3−NHR
8のこれらの任意選択的な第2アミンの好適な例は、第1反応混合物での使用に関し前述したものと同様である。
【0115】
第2反応混合物において、アミン化合物(フッ素化アミンに加え、任意選択的なアミン化合物)の当量に対するシリコーン系オキサリルアミノ含有化合物の当量の比は、多くの場合約1:1である。例えば、当量比は、多くの場合、1:0.90以下、1:0.92以下、1:0.95以下、1:0.98以下、又は1:1以下である。当量比は、多くの場合、1:1.02以上、1:1.05以上、1:1.08以上、又は1:1.10以上である。例えば、当量比は、1:0.90〜1:1.10の範囲、1:0.92〜1:1.08の範囲、1:0.95〜1:1.05の範囲、又は1:0.98〜1:1.02の範囲であり得る。例えば、全体的な分子量を変更し、得られたコポリマーのレオロジーに影響を与えることができるように、当量比を変化させることが可能である。更に、当量比を変化させて、どの反応物質が過剰(例えば、当量に基づく過剰量)に存在するかにより、オキサリルアミノ含有末端基又はアミノ末端基を提供することができる。
【0116】
反応スキームBに記載される同様のプロセス条件を反応スキームDに使用することができる。より詳細には、縮合反応は、多くの場合、室温で実施され、あるいは最高で約250℃の温度などの高温で実施される。縮合反応は、多くの場合、1時間で、2時間で、4時間で、8時間で、12時間で、24時間で、36時間で、48時間で、60時間で、又は72時間以上で完了する。任意の好適なリアクタ又はプロセスを使用することができる。
【0117】
反応スキームDの縮合反応は、溶媒の存在下又は非存在下で生じさせることができる。好適な溶媒は通常、反応に関する反応物又は生成物と反応しない。更に、好適な溶媒は通常、溶液中のすべての反応物及びすべての生成物を重合プロセス中ずっと維持することができる。例示的な溶媒としては、限定するものではないが、トルエン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、酢酸エチル、トリフルオロエタノール、トリフルオロトルエン,tert−ブチルメチルエーテル、ヘキサフルオロイソプロパノール、脂肪族炭化水素(例えば、ヘキサンなどのアルカン)、又はこれらの混合物が挙げられる。反応の終了時に得られるコポリマー材料から、存在する任意の溶媒を除去することができる。アルコール副生成物を除去するために使用されるのと同一条件下で除去できる溶媒が、多くの場合、好ましい。
【0118】
コポリマーを調製するために更に別の方法を使用することができる。式(VI)のシュウ酸
エステル化合物、式(VII)又は(VIII)シリコーン系アミンなどのポリジオルガノシロキサンセグメントを有するシリコーン系アミン、及び式(IV)、(IVa)、(V)、又は(Va)のフッ素化アミンなどのペルフルオロポリエーテルセグメントを有するフッ素化アミンを含む第3反応混合物を調製することができる。
【0119】
第3反応混合物からコポリマーを形成する方法を反応スキームEに例示する。式(VI)のシュウ酸
エステル化合物を複数のアミンの存在下で反応させる。アミンとしては、式(IVa)のペルフルオロポリエーテルセグメントを有するフッ素化アミン、及び式(VII)のポリジオルガノシロキサンセグメントを有するシリコーン系アミンが挙げられる。コポリマーは式(XI)のものである。
【化22】
【0120】
同様の条件を使用して反応スキームAで生成したフッ素化オキサリルアミノ含有化合物、又は反応スキームCで生成したシリコーン系オキサリルアミノ含有化合物を使用することができる。任意の過剰なシュウ酸
エステル化合物又は式R
1−OHの副生成物を除去するにあたり記載された任意の方法を、このコポリマーの調製法に使用することができる。
【0121】
上記に記載されるような他の任意選択的な第2アミン化合物も第3反応混合物に含むことができる。具体的には、好適な第2アミン化合物は、上記の式(XV)及び(XVI)である。この方法を用いて調製したコポリマーは、第1反応混合物又は第2反応混合物のいずれかから調製したコポリマーよりもランダムなものである傾向がある。
【0122】
第3反応混合物では、アミン化合物(フッ素化アミンに加え、シリコーン系アミンに加え、任意選択的なアミン化合物)の当量に対するシュウ酸
エステル化合物の当量比は、多くの場合約1:1である。例えば、当量比は、多くの場合、1:0.90以下、1:0.92以下、1:0.95以下、1:0.98以下、又は1:1以下である。当量比は、多くの場合、1:1.02以上、1:1.05以上、1:1.08以上、又は1:1.10以上である。例えば、当量比は、1:0.90〜1:1.10の範囲、1:0.92〜1:1.08の範囲、1:0.95〜1:1.05の範囲、又は1:0.98〜1:1.02の範囲であり得る。例えば、全体的な分子量を変更し、得られたコポリマーのレオロジーに影響を与えることができるように、当量比を変化させることが可能である。更に、当量比を変化させて、どの反応物質が過剰(例えば、当量に基づく過剰量)に存在するかにより、オキサリルアミノ含有末端基又はアミノ末端基を提供することができる。
【0123】
他の態様では、コポリマーが提供される。コポリマーは、式(XI)の基を少なくとも1つ含有する。
【化23】
式(XI)中、各Q
1基はペルフルオロポリエーテルセグメントを含有し、各Q
2基はポリジオルガノシロキサンセグメントを含有する。R
2基は式(I)について前述したものと同様である。各変数記号q、p、及びmは、独立して少なくとも1に等しい整数である。例えば、変数記号mは少なくとも2、少なくとも3、少なくとも5、又は少なくとも10に等しくなり得る。変数記号mは、例えば、最大1000、最大500、最大200、最大100、最大50又は最大20であり得る。各変数記号q及びpは、独立して少なくとも1、少なくとも2、又は少なくとも5に等しくなり得る。これらの変数記号q及びpは、独立して、例えば、最大100、最大50、最大20、又は最大10であり得る。一部の実施形態では、変数記号q及びpは独立して、1〜20、2〜20、1〜10、又は2〜10の範囲であり得る。R
2基は、式(I)について記載されるものと同様である。各星印は、コポリマー内の他の基に結合する部位を記述する。この他の基は末端基、式(XI)の他の基、又はコポリマー中の任意の他の基であり得る。式(XI)のコポリマーは、pが1に等しい場合式(XIa)のコポリマーに相等し、qが1に等しい場合式(XIb)のコポリマーに相等する。
【0124】
式(XI)の多くの実施形態では、Q
2基は式(X)基に等しい。
【化24】
R
7基及びY
4基、並びに変数記号bは、式(VIII)について記載されるものと同様である。
【0125】
式(XI)の多くの実施形態では、各Q
1基は式(XII)の二価の基、
【化25】
又は式(XIII)の二価の基
【化26】
に相等する。
【0126】
Rf基、Y
1基、Y
2基、Y
3基、及びR
2基は、上記したものと同様である。(XII)又は(XIII)のいずれかの一部のより具体的な実施形態では、Rf基は式−CF(CF
3)[OCF
2CF(CF
3)]
bOCF
2−R
6−CF
2O[CF(CF
3)CF
2O]
dCF(CF
3)−のものであり得、式中、R
6、b、及びdは上記したものと同様である。
【0127】
式(XI)の基に加え、コポリマーは更に式(XIV)のセグメントを含み得る。
【化27】
R
8基及びQ
3基は上記に定義するものと同様である。各星印は、コポリマー内の他の基に結合する部位を記述する。この他の基は、例えば末端基、他の式(XI)基、又は他の式(XIV)基であり得る。一部の実施形態では、それぞれ互いに異なる複数のQ
3基である。
【0128】
式(XI)、(XIa)、及び(XIb)のコポリマーは、溶媒から、様々な形状に成形若しくは型押されたフィルムとして成型することができ、又はフィルムへと押し出すことができる。コポリマーは高温安定性であることから、フィルム形成に関する押出法に非常に適する。
【0129】
式(XI)、(XIa)、又は(XIb)のポリマーを含有する様々な物品を作製することができる。例えば、物品は、式(XI)、(XIa)、又は(XIb)のコポリマーを含有する層、及び1つ以上の任意選択的な基材を含み得る。例えば、式(XI)、(XIa)、又は(XIb)のコポリマーは、第1の基材に隣接した層にあってよく、又は第1の基材と第2の基材との間に位置させることができる。すなわち、物品は、次の順番:第1の基材、(XI)、(XIa)、又は(XIb)のコポリマーを含有する層、及び第2の基材で配置することができる。本明細書で使用するとき、用語「隣接した」とは、第一層が第二層に接触しているか、又は第二層の近傍に配置されてはいるが第二層からは1つ以上の追加の層によって分離されていることを意味する。
【0130】
コポリマー材料は、水素結合することができるアミノオキサリルアミノ基が含まれる。水素結合の形成は、ペルフルオロポリエーテルと比較して、又はポリジオルガノシロキサン材料単独と比較して、コポリマーの強度及び剛性を増加させる傾向がある。すなわち、アミノオキサリルアミノ基は、コポリマーの特性を変更するために使用することができる。例えば、これらのコポリマー材料は、例えば、摩耗耐性が所望される用途に使用することができる。それに加え、これらのコポリマー材料は多くの場合、分解の程度が最小限である250℃までの高さの温度に曝露することができる。
【0131】
これらのコポリマー材料は、低屈折率、低表面エネルギー、撥油性及び/又は撥水性、又はこれらの組み合わせを有する材料が所望される用途に使用することができる。これらのコポリマー材料を使用して反射防止用コーティング又はフィルムを形成することもできる。コポリマー材料を含有しているフィルム又はコーティングは、通常、洗浄が容易である。
【0132】
様々な反応混合物の生成物及びコポリマーを含有している様々な品物が提供される。
【0133】
第1の品物として、反応混合物の生成物を含むコポリマーを提供する。反応混合物は、a)フッ素化オキサリルアミノ含有化合物及びb)第一級アミノ基を少なくとも2つ、第二級アミノ基を2つ、又はこれらの混合物を有するシリコーン系アミンを含む。フッ素化オキサリルアミノ含有化合物は、ペルフルオロポリエーテルセグメントを少なくとも1つ、及び式(I)の1価の末端基を少なくとも2つ含む。
【化28】
式(I)中、各R
1は独立してアルキル、ハロアルキル、アラルキル、置換アラルキル、アルケニル、アリール、置換アリール、又は式−N=CR
4R
5のイミノである。各R
2は独立して水素、アルキル、アラルキル、又はアリールである。R
4基は水素、アルキル、アラルキル、置換アラルキル、アリール、又は置換アリールである。R
5基はアルキル、アラルキル、置換アラルキル、アリール、又は置換アリールである。
【0134】
第1の品物の別型であり得る第2の品物を提供する。第2の品物では、フッ素化オキサリルアミノ含有化合物は、式(II)のものである。
【化29】
式(II)中、Rfはペルフルオロポリエーテル基である。各Y
1は独立して
、(a)ヘテロアルキレン基、(b)アルキレン基
、(c)
第1基と、第2基と、これらを連結するカルボニルアミノ基
とで構成される基、あるいは(d)これらの組み合わせであり、各第1基及び第2基は独立してアルキレン又はヘテロアルキレンである。変数記号nは、少なくとも2以上の整数である。
【0135】
第2の品物の別型であり得る第3の品物を提供する。第2の品物では、フッ素化オキサリルアミノ含有化合物は式(IIa)のものである。
【化30】
式(II)の各Y
1は式(IIa)の−Y
2−(CO)−NH−Y
3−に相当する。各Y
2は独立して単結合、ヘテロアルキレン、アルキレン、又はこれらの組み合わせであり;並びに各Y
3は独立してヘテロアルキレン、アルキレン、又はこれらの組み合わせである。
【0136】
第1の品物の別型であり得る第4の品物を提供する。第4の品物では、フッ素化オキサリルアミノ含有化合物は、式(III)のものである。
【化31】
式(III)中、Rfはペルフルオロポリエーテル基である。各Y
1は独立して
、(a)ヘテロアルキレン基、(b)アルキレン基
、(c)
第1基と、第2基と、これらを連結するカルボニルアミノ基
とで構成される基、あるいは(d)これらの組み合わせであり、各第1基及び第2基は独立してヘテロアルキレン又はアルキレンである。変数記号qは、少なくとも1に等しい整数である。
【0137】
第4の品物の別型であり得る第5の品物を提供する。第5の品物において、式(IIIa)のフッ素化オキサリルアミノ含有化合物。
【化32】
式(III)の各Y
1は式(IIIa)の−Y
2−(CO)−NH−Y
3−に相当する。各Y
2は独立して単結合、ヘテロアルキレン、アルキレン、又はこれらの組み合わせであり、各Y
3は独立してヘテロアルキレン、アルキレン、又はこれらの組み合わせである。
【0138】
第1〜第5の品物のうちのいずれか1つの別型であり得る第6の品物を提供する。第6の品物において、シリコーン系アミンは、式(VIII)のものである。
【化33】
式(VIII)中、各Y
4は独立してアルキレン、アラルキレン、又はこれらの組み合わせである。各R
7は独立してアルキル、ハロアルキル、アラルキル、置換アラルキル、アルケニル、アリール、又は置換アリールである。変数記号rは、1以上の整数である。
【0139】
第1〜第6の品物のうちのいずれか1つの別型であり得る第7の品物を提供する。第7の品物において、反応混合物は、更に式(XVI)の第2アミン化合物を含む。
R
8HN−Q
3−NHR
8
(XVI)
式(XVI)中、Q
3基
は(a)ヘテロアルキレン、(b)アルキレン、(c)フッ素化アルキレン、(d)アリーレン
、(e)
第1基と、第2基と、これらを連結するカルボニルアミノ基
とで構成される基、(f)R
8及びR
8が結合している窒素を含んでいる複素環基の一部、又は(g)これらの組み合わせであり、各第1基及び第2基は独立して、ヘテロアルキレン、アルキレン、フッ素化アルキレン、アリーレン、又はこれらの組み合わせである。各R
8は独立して水素、アルキル、アラルキル、又はアリールであるか、又はQ
3及びR
8が結合している窒素原子を含んでいる複素環基の一部である。
【0140】
第8の品物として、反応混合物の生成物を含むコポリマーを提供する。反応混合物は、a)シリコーン系オキサリルアミノ含有化合物及びb)ペルフルオロポリエーテルセグメントを有しかつ第一級アミノ基を少なくとも2つ、第二級アミノ基を2つ、又はこれらの混合物を有するフッ素化アミンを含む。シリコーン系オキサリルアミノ含有化合物は、ポリジオルガノシロキサンセグメントを少なくとも1つ、及び式(I)の1価の末端基を少なくとも2つ含有する。
【化34】
式(I)中、各R
1は独立してアルキル、ハロアルキル、アラルキル、置換アラルキル、アルケニル、アリール、置換アリール、又は式−N=CR
4R
5のイミノである。各R
2は独立して水素、アルキル、アラルキル、又はアリールである。R
4基は水素、アルキル、アラルキル、置換アラルキル、アリール、又は置換アリールである。R
5基はアルキル、アラルキル、置換アラルキル、アリール、又は置換アリールである。
【0141】
第8の品物の別型であり得る第9の品物を提供する。第9の品物では、フッ素化アミンは、式(IV)のものである。
【化35】
式(IV)中、Rfはペルフルオロポリエーテル基である。各Y
1は独立して
、(a)ヘテロアルキレン基、(b)アルキレン基
、(c)
第1基と、第2基と、これらを連結するカルボニルアミノ基とで構成される基
、あるいは(d)これらの組み合わせであり、各第1基及び第2基はヘテロアルキレン又はアルキレンである。変数記号nは、少なくとも1に相当する整数である。
【0142】
第9の品物の別型であり得る第10の品物を提供する。第10の品物では、フッ素化アミンは、式(V)のものである。
【化36】
式(IV)中の各Y
1は、式(V)の−Y
2−(CO)−NH−Y
3−に相当する。各Y
2は独立して単結合、ヘテロアルキレン、アルキレン、又はこれらの組み合わせであり、各Y
3は独立してヘテロアルキレン、アルキレン、又はこれらの組み合わせである。
【0143】
第8〜第10の品物のうちのいずれか1つの別型であり得る第11の品物を提供する。第11の品物では、シリコーン系オキサリルアミノ含有化合物は、式(IX)のものである。
【化37】
式(IX)では、Q
2基としてはポリジオルガノシロキサンセグメントが挙げられる。変数記号pは、少なくとも1に等しい整数である。
【0144】
第11の品物の別型であり得る第12の品物を提供する。第12の品物では、Q
2基は、式(X)の二価の基である。
【化38】
式(X)中、各Y
4は独立してアルキレン、アラルキレン、又はこれらの組み合わせである。各R
7は独立してアルキル、ハロアルキル、アラルキル、置換アラルキル、アルケニル、アリール、又は置換アリールである。変数記号bは、少なくとも1以上の整数である。
【0145】
第8〜第12の品物のうちのいずれか1つの別型であり得る第13の品物を提供する。第13の品物において、反応混合物は更に式(XVI)の第2アミン化合物を含む。
R
8HN−Q
3−NHR
8
(XVI)
式(XVI)中、Q
3基
は(a)ヘテロアルキレン、(b)アルキレン、(c)フッ素化アルキレン、(d)アリーレン
、(e)
第1基と、第2基と、これらを連結するカルボニルアミノ基
とで構成される基、(f)R
8及びR
8が結合している窒素を含んでいる複素環基の一部、又は(g)これらの組み合わせであり、各第1基及び第2基は独立してヘテロアルキレン、アルキレン、フッ素化アルキレン、アリーレン、又はこれらの組み合わせである。各R
8は独立して水素、アルキル、アラルキル、又はアリールであるか、又はQ
3及びR
8が結合している窒素原子を含んでいる複素環基の一部である。
【0146】
第14の品物として、反応混合物の生成物を含むコポリマーを提供する。反応混合物は、a)シュウ酸
エステル化合物、b)第一級アミノ基を少なくとも2つ、第二級アミノ基を2つ、又はこれらの組み合わせを有するペルフルオロポリエーテルセグメントを有するフッ素化アミン、及びc)ポリジオルガノシロキサンセグメント及び第一級アミノ基を少なくとも2つ、第二級アミノ基を少なくとも2つ、又は第一級アミノ基を少なくとも1つに加えて第二級アミノ基を少なくとも1つ有するシリコーン系アミンを含む。シュウ酸エステル化合物は式(VI)のものである。
【化39】
式(VI)中、各R
1は独立してアルキル、ハロアルキル、アラルキル、置換アラルキル、アルケニル、アリール、置換アリール、又は式−N=CR
4R
5のイミノである。各R
2は独立して水素、アルキル、アラルキル、又はアリールである。R
4基は水素、アルキル、アラルキル、置換アラルキル、アリール、又は置換アリールである。R
5基はアルキル、アラルキル、置換アラルキル、アリール、又は置換アリールである。
【0147】
式(XI)の基を少なくとも1つ有するコポリマーとして第15の品物を提供する。
【化40】
式(XI)中、各Q
1基はペルフルオロポリエーテルセグメントを含有し、各Q
2基はポリジオルガノシロキサンセグメントを含有する。各R
2は独立して水素、アルキル、アラルキル、又はアリールである。各変数記号q、p、及びmは、独立して少なくとも1に等しい整数である。各星印は、コポリマー内の他の基に結合する部位を記述する。
【0148】
第15の品物の別型であり得る第16の品物を提供する。第16の品物では、Q
2基は式(X)の二価の基である。
【化41】
式(X)中、各Y
4は独立してアルキレン、アラルキレン、又はこれらの組み合わせである。各R
2は独立してアルキル、ハロアルキル、アラルキル、アルケニル、又はアリールであるか、又はアルキル、アルコキシ、若しくはハロで置換されたアリールであり、この場合、少なくとも50パーセントのR2基はメチルである。変数記号bは、少なくとも1以上の整数である。
【0149】
第15又は第16の品物の別型であり得る第17の品物を提供する。第17の品物では、Q
1基は、式(XII)の二価の基である。
【化42】
式(XII)中、各Y
1は独立して
、(a)ヘテロアルキレン基、(b)アルキレン基
、(c)
第1基と、第2基と、これらを連結するカルボニルアミノ基
とで構成される基、あるいは(d)これらの組み合わせであり、各第1基及び第2基は独立してアルキレン又はヘテロアルキレンである。Rf基はペルフルオロポリエーテル基である。
【0150】
第16又は第17の品物の別型であり得る第19の品物を提供する。第18の品物では、Q
1基は式(XIII)の二価の基である。
【化43】
式(XIII)中、各Y
2は独立して単結合、ヘテロアルキレン、アルキレン、又はこれらの組み合わせであり、各Y
3は独立してヘテロアルキレン、アルキレン、又はこれらの組み合わせである。
【0151】
第15〜第18の品物のうちのいずれか1つの別型であり得る第19の品物を提供する。第19の品物では、コポリマーは更に式(XIV)の二価の基を少なくとも1つ含む。
【化44】
式(XIV)中、Q
3基
は(a)ヘテロアルキレン、(b)アルキレン、(c)フッ素化アルキレン、(d)アリーレン
、(e)
第1基と、第2基と、これらを連結するカルボニルアミノ基
とで構成される基、(f)R
8及びR
8が結合している窒素を含んでいる複素環基の一部、又は(g)これらの組み合わせであり、各第1基及び第2基は独立してヘテロアルキレン、アルキレン、フッ素化アルキレン、アリーレン、又はこれらの組み合わせである。各R
8は独立して水素、アルキル、アラルキル、又はアリールであるか、又はQ
3及びR
8が結合している窒素原子を含んでいる複素環基の一部である。
【0152】
第15〜第19の品物のうちのいずれか1つの別型であり得る第20の品物を提供する。第20の品物では、p又はqのうち少なくとも1つが1に等しい。
【0153】
第15〜第20の品物のうちのいずれか1つの別型であり得る第21の品物を提供する。第21の品物では、Rfは式−CF(CF
3)[OCF
2CF(CF
3)]
bOCF
2−R
6−CF
2O[CF(CF
3)CF
2O]
dCF(CF
3)−のものである。この式中、R
6はペルフルオロアルキレン基である。変数記号b及びdは合計0〜35の範囲の整数である。
【0154】
第1〜第21の品物のうちのいずれか1つの別型であり得る第22の品物を提供する。第22の品物では、コポリマーは架橋ポリマー材料である。
【0155】
第1〜第21の品物のうちのいずれか1つの別型であり得る第23の品物を提供する。第23の品物では、コポリマーは線状ポリマー材料である。
【実施例】
【0156】
これらの実施例は、例示のためだけのものであり、添付の特許請求の範囲を限定することを意味しない。特に記載のない限り、実施例に記載される部、百分率、比率などはすべて、重量による。使用される溶媒及びその他の試薬は、特に記載のない限り、Sigma−Aldrich Chemical Company(Milwaukee,WI)より入手した。
【0157】
本明細書で使用するとき、用語「HFPO」は、1価又は2価のポリ(ヘキサフルオロプロピレンオキシド)セグメントを指す。一部の実施形態では、HFPOセグメントは式
F(CF(CF
3)CF
2O)
aCF(CF
3)−
の1価の基であり、式中、aは約4〜約20の範囲の整数であり、あるいは式
−CF(CF
3)(OCF
2CF(CF
3)
bOCF
2CF
2CF
2CF
2O(CF(CF
3)CF
2O)
dCF(CF
3)−
の二価の基であり、式中、和(b+d)は約4〜約15の範囲の整数である。
【0158】
予調製例1:H
3CO(CO)−HFPO−(CO)OCH
3の合成−方法1
HFPOオリゴマービス酸フッ化物を提供する米国特許第3,250,807号(Fritz,et al.)に記載の方法に従い、出発物質としてF(CO)CF
2CF
2(CO)Fを用い、ポリ(ヘキサフルオロプロピレンオキシド)のジメチルエステルを調製した。HFPOオリゴマービス酸フッ化物をメタノリシスし、米国特許第6,923,921号(Flynn,et.al.)に記載のように低沸点材料を分留により除去することで精製した。得られた物質は、式
H
3CO(CO)CF(CF
3)(OCF
2CF(CF
3)
bOCF
2CF
2CF
2CF
2O(CF(CF
3)CF
2O)
dCF(CF
3)(CO)OCH
3
のものであった。式中、和(b+d)は約4〜約15の範囲の整数である。この式は互換的にH
3CO(CO)−HFPO−(CO)OCH
3又はHFPO−((CO)OCH
3)
2又はHFPOジメチルエステル又はHFPO−DMEとしても参照される。
【0159】
より詳細には、商品名PARRでParr Instrument Company(Moline,IL)から市販されている600mLのジャケットリアクタに、KF(15.1グラム,0.26モル)及びテトラグリム(125グラム)を充填した。リアクタを撹拌し、真空ポンプを用い大気圧を0.033気圧(3.3kPa)に真空引きし、4℃に冷却した。Exfluor Research Corporation(Austin,TX)から得たペルフルオロスクシニルフッ化物(85グラム,0.44モル)をリアクタに充填した。外部冷却することでリアクタの中身を0℃に冷却した後、ヘキサフルオロプロピレンオキシド(482グラム,2.9モル)を5時間かけてゆっくりと添加した。ヘキサフルオロプロピレンオキシドはDuPont(Wilmington,DE)から得た。最大圧力は2.38気圧(241.2kPa)であり、8℃の発熱が得られた。添加を完了させた後、リアクタを室温に加温し、窒素を用いて0.033気圧(3.3kPa)のリアクタの真空を破り、リアクタ内の圧力を大気圧に上昇させた。
【0160】
690グラムの粗混合物をリアクタから吸引し、メタノール(120グラム,3.8モル)と反応させて、二塩基酸フッ化物末端基をジメチルエステル末端基に転化させた。商品名FC77 FLUORINERTで3M Company(Saint Paul,MN)から市販のフッ素化溶媒(300グラム)を添加することで、フッ素化合物粗生成物を単離し、水で2回洗浄した。下部フッ化物層をフッ素化溶媒から除去し、130〜190℃で煮沸した切片を取り出すことで生成物を単離した。数平均分子量1250グラム/モルを有するHFPOジメチルエステル390グラム(71パーセント)が回収され、NMRによる末端基解析により、96パーセントの官能基が決定された。
【0161】
予調製例2:H
3CO(CO)−HFPO−(CO)OCH
3の合成−方法2
予調製例1に記載の方法と本質的に同様の方法で、5℃下、ペルフルオロスクシニルフッ化物(511グラム,2.6モル)及びKF(102グラム,1.75モル)の存在下、テトラグリム(1008グラム)中での、ヘキサフルオロプロピレンオキシド(5900グラム,35.5モル)のオリゴ重合反応により、ポリ(ヘキサフルオロプロピレンオキシド)ジメチルエステルを調製した。1500グラム/時間の速度でヘキサフルオロプロピレンオキシドを添加した。オリゴ重合反応の完了後、メタノールを添加し、HFPOジメチルエステルを真空蒸留したところ、収率は80パーセントであった。分子量は2400グラム/モルであった。
【0162】
予調製例3:H
2NCH
2CH
2−NH(CO)−HFPO−(CO)NH−CH
2CH
2NH
2の合成
磁気撹拌棒、N
2導入口及び還流凝縮器を取り付けた1Lの3口丸底フラスコに、N
2雰囲気下でNH
2−CH
2CH
2−NH
2(420.0グラム,7モル)を充填した。充填物を75℃に加熱した。次いで75℃下で180分かけて予調製例1のHFPOジメチルエステル(8.75×10
−2モル)150.0グラムを滴加した。反応混合物をN
2雰囲気下で12時間撹拌し、反応の進行をIR分光法により監視した。1792cm
−1のエステルのピークが消失し、1719cm
−1のNH−C=Oのピークが出現した後、反応混合物を分離漏斗に注ぎ入れ、下側の部分をフラスコに回収し、高真空下で更に8時間乾燥させた。得られた粘稠な油を使用した。
【0163】
予調製例4a〜4b:ポリジメチルシロキサンジアミンの合成
下式
【化45】
のポリジメチルシロキサンジアミンを、米国特許第5,214,119号に記載のものと同様の手順を用いて調製することができる。予調製例4aは、数平均分子量約25,000グラム/モルである。予調製例4bは、数平均分子量約5,000グラム/モルである。
【0164】
予調製例5:25Kオキサリルアミノエステル末端化シリコーン化合物の合成
オキサリルアミノエステル末端化ポリジメチルシロキサンを米国特許第7,501,184号(Leir et al.)に記載のように調製した。より詳細には、シーブ乾燥させた
シュウ酸ジエチル(DEO)(398.6グラム)を12Lの3口フラスコに量り取った。フラスコを密封し、ヘッドスペースにアルゴンをパージした。DEOを激しく撹拌しながら、予調製例4aのポリジメチルシロキサンジアミン(6,818.7グラム)を約75分かけて添加した。反応フラスコの蒸留準備をした。温度を周囲温度から165℃へとゆっくりと上昇させ、高真空下で反応生成物から過剰量のDEO及びエタノール副生成物を留去した。このようにして得られた生成物は粘稠で、透明で無色の液体であった。
【0165】
予調製例6:5Kオキサリルアミノエステル末端化シリコーン化合物の合成
予調製例4bのポリジメチルシロキサンジアミンを用い、予調製例5の手順を繰り返した。
【0166】
予調製例7:1Kオキサリルアミノエステル末端化シリコーン化合物の合成
Wacker Chemical Company(Adrian,MI)から商品名FLUID NH 15 D PDMSで購入した数平均分子量1,000グラム/モルのポリジメチルシロキサンジアミンを用い、予調製例5の手順を繰り返した。
【0167】
予調製例8:H
2N[CH
2CH
2O]
2CH
2CH
2NH(CO)−HFPO−(CO)NHCH
2CH
2[OCH
2CH
2]
2NH
2の合成
1000mLの3口丸底フラスコに磁気撹拌棒、N
2導入口及び還流凝縮器を取り付けた。N
2雰囲気下で、フラスコにNH
2CH
2CH
2−O−CH
2CH
2−O−CH
2CH
2NH
2(トリエチレングリコールジアミン−TEGDA)(52.9グラム,0.3モル)を充填した。充填物を75℃に加熱した。この溶液に75℃下で180分かけて予調製例1(5.0グラム,3.75×10
−2モル)のHFPO−DMEを滴加した。反応混合物をN
2雰囲気下で12時間撹拌し、IRにより監視した。エステルのピークが消失した後、反応混合物を分離漏斗に注ぎ入れ、下側の部分をフラスコに回収し、高真空下で更に8時間乾燥させた。このようにして得られた粘稠な油を使用した。
【0168】
予調製例9
250mLの3口フラスコに64.9グラムの乾燥DEOを量り取った。フラスコにスターラーをはめ込ませ、フラスコのアルゴン掃引を穏やかに開始した。DEOを激しく撹拌しながら、約120分かけて予調製例8のフッ素化アミン(150.0グラム)を滴加漏斗から滴加した。フッ素化アミンをすべて添加した後、滴加漏斗を取り外し、フラスコの蒸留準備をした。高い真空下で、温度をゆっくりと室温から165℃に上昇させた。反応時に生じた過剰量のDEO及びエタノールはフラスコから留去した。約147.38グラム(理論収率94.2パーセント)のオキサリルアミノエステル末端化前駆体生成物を単離した。生成物をエタノールアミン及び1NのHClにより逆滴定したところ、1,950グラム/当量のエステル等量を示した。
【0169】
予調製例10:
シュウ酸ジ(メチルエチルケトキシム
)の合成
【化46】
オーバーヘッドスターラー、滴加漏斗、氷浴、温度プローブ、及び窒素導入口を取り付けた1Lのフラスコに、2−ブタノンオキシム(93.23グラム,1.070モル)及びtert−ブチルメチルエーテル(500mL)を添加した。内容物を10℃に冷却し、内部温度を15℃以下に維持しながら30分かけて塩化オキサリル(67.9グラム,0.535モル)を添加した。次いで外部冷却により内部温度を30℃以下に維持しながら、30分かけてトリエチルアミン(108グラム,1.07モル)を滴加した。得られた固体を溶解するのに十分な水を添加し、次いで水層を取り除いた。有機層を0.1NのHClにより2回、2M炭酸ナトリウムで1回洗浄し、その後MgSO
4により乾燥し、セライトのパッドを通してろ過した。溶媒をロータリーエバポレーターにより除去し、120グラムの
シュウ酸ジ(メチルエチルケトキシム
)を無色透明の油として得た。
1H NMR(CDCl
3)は目的とされた構造と一致した。材料は立体異性体が含んでいた。
【0170】
(実施例1)
バイアル瓶中で、予調製例3のH
2NCH
2CH
2−NH(CO)−HFPO−(CO)NH−CH
2CH
2NH
2(0.6301グラム)をtert−ブチルメチルエーテル(23.0グラム)に溶解させた。数平均分子量約25,000グラム/モルの予調製例5(8.37グラム)を添加し、混合物を実験室での周囲条件下で、ローラー上で1日混合した(得られたポリマーは溶液からゲル化した)。反応混合物を実験室での周囲条件下で、ローラー上で3日間混合した。ポリマーをドラフト内でアルミニウム製の計量皿で乾燥させ、次いで60℃で一晩乾燥させた。得られたポリマーは、透明で、無色で中程度に固いエラストマーであった。Cannon−Fenske粘度計(型番50 P296,Cannon Instrument Company(State College,PA)から入手)を用い、0.2グラム/dL濃度のテトラヒドロフラン溶液を27℃下で使用し、ポリマーの平均固有粘度(IV)を27℃にて測定した。固有粘度値(0.722dL/グラム)は平均3以上で実施した。ポリマーは屈折率1.3981を有していた。
【0171】
(実施例2)
バイアル瓶中で、予調製例3のH
2NCH
2CH
2−NH(CO)−HFPO−(CO)NH−CH
2CH
2NH
2(1.0055グラム)をtert−ブチルメチルエーテル(10.0グラム)に溶解させた。数平均分子量約5,000グラム/モルの予調製例6(3.4992グラム)のオキサリルアミノ含有シリコーンを添加し、混合物を周囲条件下で、ローラー上で1日混合した(得られるポリマーは溶液からゲル化した)。反応の混合物を実験室での周囲条件下で、ローラー上で3日間混合した。ポリマーをドラフト内でアルミニウム製の計量皿で乾燥させ、次いで60℃で一晩乾燥させた。得られたポリマーは、透明で、無色で固いエラストマーであった。
【0172】
(実施例3)
バイアル瓶中で、予調製例3のH
2NCH
2CH
2−NH(CO)−HFPO−(CO)NH−CH
2CH
2NH
2(0.9946グラム)をtert−ブチルメチルエーテル(2.3グラム)に溶解させた。数平均分子量約1,000グラム/モルの予調製例7(0.6499グラム)のオキサリルアミノ含有シリコーンを添加し、混合物を実験室での周囲条件下で、ローラー上で1日混合した(得られるポリマーは溶液からゲル化した)。反応混合物を実験室での周囲条件下で、ローラー上で1日間混合した。Launder−O−Meterで反応混合物を50℃で4日間混合し、更に1日実験室での周囲条件下でローラー上で混合した。ポリマーをドラフト内でアルミニウム製の計量皿で乾燥させ、次いで60℃で一晩乾燥させた。得られたポリマーは、透明で、無色で固い樹脂であった。Cannon−Fenske粘度計(型番50 P296,Cannon Instrument Company(State College,PA)から入手)を用い、0.2グラム/dL濃度のテトラヒドロフラン溶液を27℃下で使用し、ポリマーの平均固有粘度(IV)を27℃にて測定した。固有粘度値(0.160dL/g)は、3つ以上実施した平均のものであった。ポリマーは屈折率1.3895を有した。
【0173】
(実施例4)
第1バイアル瓶中で、予調製例9の化合物(5.8605グラム)をトリフルオロエタノール(12.5グラム)に溶解させた。エチレンジアミン(0.0452グラム)及びWacker Silicones(Adrian,MI)から商品名FLUID NH 15 D PDMS(0.7566グラム)で市販されている数平均分子量約1,000グラム/モルのポリジメチルシロキサンアミンを、第2バイアル瓶中で、トリフルオロエタノール12.5グラムに溶解させた。第1バイアル瓶の内容物を第2バイアル瓶の内容物と組み合わせ、得られた反応混合物をLaunder−O−Meterで50℃にて4日間混合した。ポリマーをドラフト内でテフロントレーで乾燥させ、次いで60℃にて一晩乾燥させた。得られたポリマーは、透明で、無色のエラストマーであった。
【0174】
(実施例5)
バイアル瓶中で、予調製例3のH
2NCH
2CH
2−NH(CO)−HFPO−(CO)NH−CH
2CH
2NH
2(1.0576グラム)及び調製例4bのPDMSジアミン(2.9362グラム)を10グラムのtert−ブチルメチルエーテルに溶解させた。予調製例10の
シュウ酸ジ(メチルエチルケトキシム
)(0.2630グラム)を添加し、実験室での周囲条件下でローラー上で1日混合し、続いてLaunder−O−Meterで50℃にて4日間混合した。ポリマーをドラフト内でテフロントレーで乾燥させ、次いで60℃にて一晩乾燥させた。得られたポリマーは、かすみがかって、わずかに黄色く、固いエラストマーであった。