(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記転送部は、前記第一方向に並置され、3相又は4相の駆動信号のうち対応する駆動信号がそれぞれ与えられることにより、前記光電変換部で発生した電荷を転送する複数の転送電極を有する請求項1に記載の固体撮像装置。
前記第一バッファ部は、前記第一方向に並置され、2相の駆動信号のうち対応する駆動信号がそれぞれ与えられることにより、取得した電荷を転送する複数の転送電極を有し、
前記第二バッファ部は、前記第二方向に並置され、2相の駆動信号のうち対応する駆動信号がそれぞれ与えられることにより、取得した電荷を転送する複数の転送電極を有する請求項1又は2に記載の固体撮像装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0015】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る固体撮像装置の構成を模式的に示す図である。以下の説明では、
図1のX軸の正方向を第一方向とし、第一方向とは反対の
図1のX軸の負方向を第二方向とし、第一方向及び第二方向に直交する
図1のY軸の正方向を第三方向と称する場合がある。
【0016】
固体撮像装置1は、複数の光電変換部11,12と、複数の転送部21,22と、複数の第一バッファ部31,32と、複数の第二バッファ部51,52と、複数の第一出力部40と、複数の第二出力部60と、を備える。
【0017】
光電変換部11,12は、X軸の正方向(第一方向)に沿うように設けられている。光電変換部11,12は、光入射に応じて、入射光強度に応じた電荷を発生する。光電変換部11,12は、Y軸の正方向(第三方向)に沿って、複数並置されている。1つの光電変換部11と、1つの光電変換部12とが、Y軸方向で隣り合って配置されている。光電変換部11,12は、例えば、半導体基板上において、p型半導体層とn型半導体層とを接合させて形成されたフォトダイオードである。
【0018】
各光電変換部11,12に対応して、転送部21,22が設けられている。転送部21,22は、光電変換部11,12に沿うように、X軸方向に延びている。転送部21,22は、光電変換部11で発生した電荷を、3相又は4相の駆動信号に応じて、X軸の正方向又はその反対の方向であるX軸の負方向(第二方向)に転送する。特に、転送部21,22が、移動する対象物を撮像する際に、電荷の転送速度を対象物の移動速度に一致させて電荷を転送する場合には、固体撮像装置1はTDI動作を行うこととなる。
【0019】
転送部21,22は、転送電極23を有している。転送電極23は、光電変換部11,12の上面に架け渡されるようにY軸方向に延び、X軸方向に並置され、3相又は4相の駆動信号のうち対応する駆動信号がそれぞれ与えられることにより、光電変換部11,12で発生した電荷を転送する。転送電極23は、光電変換部11,12に対して光を透過させることができるように、例えばポリシリコン等の透明な材料により形成される。本実施形態では、駆動信号は3相とされ、転送電極23としては、転送電極23A,23B,23Cが3本1組としてX軸方向に並置されている。複数の転送電極23Aは、X軸方向に延びる配線によって互いに接続されるとともに、入力端子24Aに接続されている。同様に、複数の転送電極23Bは、X軸方向に延びる配線によって互いに接続されるとともに、入力端子24Bに接続されている。複数の転送電極23Cは、X軸方向に延びる配線によって互いに接続されるとともに、入力端子24Cに接続されている。入力端子24A,24B,24Cには、転送電極23A,23B,23Cに3相の駆動信号を与えるための信号処理回路70が接続されている。転送部21,22においては、上述した転送電極23A,23B,23Cの組が複数、X軸正方向に並置されている。
【0020】
光電変換部11,12に対応して、第一バッファ部31,32が配置されている。第一バッファ部31,32は、光電変換部11,12に対して、X軸正方向に隣接して配置されている。第一バッファ部31,32は、転送部21,22によりX軸正方向に転送された電荷を取得し、2相の駆動信号に応じて、取得した電荷をX軸正方向に転送する。第一バッファ部31,32では、2相の駆動信号により電荷をX軸正方向に転送するためのポテンシャル分布が形成されている。このようなポテンシャル分布の一例として、第一バッファ部31,32では、例えば、半導体基板中の不純物濃度の調整などにより、ポテンシャルのX軸方向への分布が、例えばX軸正方向に向かってポテンシャルが深くなる階段状分布となるように形成されている。
【0021】
第一バッファ部31,32は、X軸正方向に並置された転送電極33A〜33Dを有している。転送電極33A〜33Dは、Y軸方向に延びている。転送電極33Aと転送電極33Cとは、X軸方向に延びる配線によって互いに接続されるとともに、入力端子34Aに接続されている。転送電極33Bと転送電極33Dとは、X軸方向に延びる配線によって互いに接続されるとともに、入力端子34Bに接続されている。転送電極33A〜33Dは、2相の駆動信号のうち対応する駆動信号がそれぞれ与えられることにより、光電変換部11,12から取得した電荷を転送する。転送電極33A〜33Dは、転送電極23A,23B,23Cと同様に、例えばポリシリコン等の透明な材料により形成される。
【0022】
第一バッファ部31,32に対応して、第一出力部40が配置されている。第一出力部40は、第一バッファ部31,32に対して、X軸正方向に隣接して配置されている。より詳細には、第一出力部40は、Y軸方向で隣り合う第一バッファ部31,32に対応して配置される。第一出力部40は、これらの対応する第一バッファ部31,32から交互に転送された電荷を取得し、この交互に転送された電荷毎に応じた信号を出力する。第一出力部40は、第一バッファ部31,32から転送された電荷を取得し、取得された電荷に応じた信号を出力する。第一出力部40が出力する信号は、例えば電圧信号であるが、電荷に応じた信号であれば、例えば電流信号などの他の信号であってもよい。第一出力部40は、出力端子45を介して信号を出力する。
【0023】
光電変換部11,12に対応して、第二バッファ部51,52が配置されている。第二バッファ部51,52は、光電変換部11,12に対して、X軸負方向に隣接して配置されている。第二バッファ部51,52は、転送部21,22によりX軸負方向に転送された電荷を取得し、2相の駆動信号に応じて、取得した電荷をX軸負方向に転送する。第二バッファ部51,52では、2相の駆動信号により電荷をX軸負方向に転送するためのポテンシャル分布が形成されている。このようなポテンシャル分布の一例として、第二バッファ部51,52では、例えば、半導体基板中の不純物濃度の調整などにより、ポテンシャルのX軸方向への分布が、例えばX軸負方向に向かってポテンシャルが深くなる階段状分布となるように形成されている。
【0024】
第二バッファ部51,52は、X軸正方向に並置された転送電極53A〜53Dを有している。転送電極53A〜53Dは、Y軸方向に延びている。転送電極53Aと転送電極53Cとは、X軸方向に延びる配線によって互いに接続されるとともに、入力端子54Aに接続されている。転送電極53Bと転送電極53Dとは、X軸方向に延びる配線によって互いに接続されるとともに、入力端子54Bに接続されている。転送電極53A〜53Dは、2相の駆動信号のうち対応する駆動信号がそれぞれ与えられることにより、光電変換部11,12から取得した電荷を転送する。転送電極53A〜53Dは、転送電極23A,23B,23Cと同様に、例えばポリシリコン等の透明な材料により形成される。
【0025】
図2に、転送部21,22のX軸正方向の側の端部と、第一バッファ部31,32と、第一出力部40とを拡大して示す。
【0026】
部分21A,22Aは、それぞれ、転送部21,22のうち、転送電極23Aの下方に位置する部分である。部分21B,22Bは、それぞれ、転送部21,22のうち、転送電極23Bの下方に位置する部分である。部分21C,22Cは、それぞれ、転送部21,22のうち、転送電極23Cの下方に位置する部分である。
【0027】
部分31A,32Aは、それぞれ、第一バッファ部31,32のうち、転送電極33Aの下方に位置する部分である。部分31B,32Bは、それぞれ、第一バッファ部31,32のうち、転送電極33Bの下方に位置する部分である。部分31C,32Cは、それぞれ、第一バッファ部31,32のうち、転送電極33Cの下方に位置する部分である。部分32Dは、第一バッファ部32のうち、転送電極33Dの下方に位置する部分である。
【0028】
ここで、第一バッファ部31,32と第一出力部40との境界は、Y軸に対して傾斜している。第一バッファ部32は、第一バッファ部31と比較して、X軸方向に長くなるように設けられている。
【0029】
第一出力部40は、アウトプットゲート41、フローティングディフュージョン42、リセットゲート43及びリセットドレイン44を有している。
【0030】
アウトプットゲート41は、部分31C,32Dに蓄積された電荷をフローティングディフュージョン42に転送するための駆動信号としての電圧が印加される電極である。
【0031】
フローティングディフュージョン42は、部分31C,32Dに蓄積された電荷を受け取る部分である。フローティングディフュージョン42は、半導体基板上において、例えばn型不純物を拡散して得られる半導体層である。フローティングディフュージョン42が部分31C,32Dからの電荷を受け取ると、フローティングディフュージョン42の電位は、受け取った電荷に比例した電位となる。フローティングディフュージョン42は、不図示の出力回路の入力端子(例えばソースフォロワ回路のゲート端子)に接続され、この出力回路の出力端子が出力端子45に接続されている。
【0032】
リセットゲート43は、リセット信号RGが印加される電極である。リセットゲート43は、リセット信号RGに応じてリセットドレイン44とフローティングディフュージョン42とを短絡し、フローティングディフュージョン42の電位をリセットドレイン44の電位にリセットするための電極である。
【0033】
リセットドレイン44は、半導体基板上において、例えばn型不純物を拡散して得られる半導体層である。リセットドレイン44は、時間に対して一定に保たれた基準電位(例えばグランド電位)に接続されている。
【0034】
次に、
図3を参照して、3相の駆動信号を用いて、X軸正方向に電荷を転送する場合の固体撮像装置1の動作について説明する。以下の説明では、転送電極23A,23B,23Cに印加される駆動信号としての電圧をそれぞれV1,V2,V3とする。転送電極33A,33B,33C,33Dに印加される駆動信号としての電圧をそれぞれBG1,BG2,BG3,BG4とする。リセットゲート43に印加される電圧をRGとし、フローティングディフュージョン42の電位をOSとする。
【0035】
まず、時刻t
1以前には、電圧V1がHレベル、電圧V2がLレベル、電圧V3がLレベルである。このとき、部分21A,22Aのポテンシャルは深く、部分21B,22B,21C,22Cのポテンシャルは浅い。このため、電荷は部分21A,22Aに蓄積されている。
【0036】
時刻t
1で、電圧V2がHレベルとされる。すると、部分21B,22Bのポテンシャルが深くなる。これにより、部分21A,22Aに蓄積されていた電荷の一部は、部分21B,22Bに転送される。
【0037】
時刻t
2で、電圧V1がLレベルとされる。すると、部分21A,22Aのポテンシャルが浅くなる。これにより、部分21A,22Aに蓄積されていた電荷は全て、部分21B,22Bに転送される。
【0038】
時刻t
3で、電圧V3がHレベルとされる。すると、部分21C,22Cのポテンシャルが深くなる。これにより、部分21B,22Bに蓄積されていた電荷の一部は、部分21C,22Cに転送される。
【0039】
時刻t
4で、電圧V2がLレベルとされる。すると、部分21B,22Bのポテンシャルが浅くなる。これにより、部分21B,22Bに蓄積されていた電荷は全て、部分21C,22Cに転送される。
【0040】
時刻t
5で、電圧BG1がHレベルとされる。すると、部分31A,32Aのポテンシャルが深くなる。これにより、部分21C,22Cに蓄積されていた電荷の一部は、部分21C,22Cに転送される。
【0041】
時刻t
6で、電圧V3がLレベルとされる。すると、部分21C,22Cのポテンシャルが浅くなる。これにより、部分21C,22Cに蓄積されていた電荷は全て、部分31A,32Aに転送される。
【0042】
時刻t
7で、電圧BG1がLレベルとされるとともに、電圧BG2がHレベルとされる。すると、部分31A,32Aのポテンシャルが浅くなるとともに、部分31B,32Bのポテンシャルが深くなる。これにより、部分31A,32Aに蓄積されていた電荷は全て、部分31B,32Bに転送される。
【0043】
時刻t
8で、電圧BG2がLレベルとされるとともに、電圧BG3がHレベルとされる。すると、部分31B,32Bのポテンシャルが浅くなるとともに、部分31C,32Cのポテンシャルが深くなる。これにより、部分31B,32Bに蓄積されていた電荷は全て、部分31C,32Cに転送される。
【0044】
時刻t
9で、電圧RGがHレベルとされる。これにより、フローティングディフュージョン42の電位が、リセットドレイン44の電位と同電位にリセットされる。
【0045】
時刻t
10で、電圧RGがLレベルとされる。これにより、フローティングディフュージョン42の電位は、電荷無しの場合の電位とされる。
【0046】
時刻t
11で、電圧BG3がLレベルとされるとともに、電圧BG4がHレベルとされる。すると、部分31C,32Cのポテンシャルが浅くなるとともに、部分32Dのポテンシャルが深くなる。これにより、部分31Cに蓄積されていた電荷がフローティングディフュージョン42に転送されるとともに、部分32Cに蓄積されていた電荷が部分32Dに転送される。これにより、フローティングディフュージョン42の電位は、転送部21及び第一バッファ部31により転送されてきた電荷に対応する電位とされる。
【0047】
時刻t
12で、電圧RGがHレベルとされる。これにより、フローティングディフュージョン42の電位が、リセットドレイン44の電位と同電位にリセットされる。
【0048】
時刻t
13で、電圧RGがLレベルとされる。これにより、フローティングディフュージョン42の電位は、電荷無しの場合の電位とされる。
【0049】
時刻t
14で、電圧BG4がLレベルとされる。すると、部分32Dのポテンシャルが浅くなる。これにより、部分31Dに蓄積されていた電荷がフローティングディフュージョン42に転送される。これにより、フローティングディフュージョン42の電位は、転送部22及び第一バッファ部32により転送されてきた電荷に対応する電位とされる。
【0050】
上記の説明において、時刻t
9からt
14にかけての部分で説明したように、第一出力部40は、Y軸方向で隣り合う二つの第一バッファ部31,32から交互に転送された電荷を取得し、交互に転送された電荷毎に応じた電荷を出力する。
【0051】
次に、
図4に、転送部21,22のX軸負方向の側の端部と、第二バッファ部51,52と、第二出力部60とを拡大して示す。部分21A〜23A,21B〜23Bについては、
図2を参照して既に説明したのと同様である。
【0052】
部分51A,52Aは、それぞれ、第二バッファ部51,52のうち、転送電極53Aの下方に位置する部分である。部分51B,52Bは、それぞれ、第二バッファ部51,52のうち、転送電極53Bの下方に位置する部分である。部分51C,52Cは、それぞれ、第二バッファ部51,52のうち、転送電極53Cの下方に位置する部分である。部分52Dは、第二バッファ部52のうち、転送電極53Dの下方に位置する部分である。
【0053】
ここで、第二バッファ部51,52と第二出力部60との境界は、Y軸に対して傾斜している。第二バッファ部52は、第一バッファ部51と比較して、X軸方向に長くなるように設けられている。
【0054】
第二出力部60は、アウトプットゲート61、フローティングディフュージョン62、リセットゲート63及びリセットドレイン64を有している。第二出力部60の構成は、第一出力部40の構成と比較すると、X軸方向に関して逆方向に配置されている点で異なるが、その他の点については同様である。
【0055】
次に、
図5を参照して、3相の駆動信号を用いて、X軸負方向に電荷を転送する場合の固体撮像装置1の動作について説明する。以下の説明では、転送電極23A,23B,23Cに印加される駆動信号としての電圧をそれぞれV1,V2,V3とする。転送電極53A,53B,53C,53Dに印加される駆動信号としての電圧をそれぞれBG1,BG2,BG3,BG4とする。リセットゲート63に印加される電圧をRGとし、フローティングディフュージョン62の電位をOSとする。
【0056】
まず、時刻t
21以前には、電圧V1がHレベル、電圧V2がLレベル、電圧V3がHレベルである。このとき、部分21A,22A,21B,22Bのポテンシャルは浅く、部分21C,22Cのポテンシャルは深い。このため、電荷は部分21C,22Cに蓄積されている。
【0057】
時刻t
21で、電圧V2がHレベルとされる。すると、部分21B,22Bのポテンシャルが深くなる。これにより、部分21C,22Cに蓄積されていた電荷の一部は、部分21B,22Bに転送される。
【0058】
時刻t
22で、電圧V3がLレベルとされる。すると、部分21C,22Cのポテンシャルが浅くなる。これにより、部分21C,22Cに蓄積されていた電荷は全て、部分21B,22Bに転送される。
【0059】
時刻t
23で、電圧V1がHレベルとされる。すると、部分21A,22Aのポテンシャルが深くなる。これにより、部分21B,22Bに蓄積されていた電荷の一部は、部分21A,22Aに転送される。
【0060】
時刻t
24で、電圧V2がLレベルとされる。すると、部分21B,22Bのポテンシャルが浅くなる。これにより、部分21B,22Bに蓄積されていた電荷は全て、部分21A,22Aに転送される。
【0061】
時刻t
25で、電圧BG1がHレベルとされる。すると、部分51A,52Aのポテンシャルが深くなる。これにより、部分21A,22Aに蓄積されていた電荷の一部は、部分21C,22Cに転送される。
【0062】
時刻t
26で、電圧V1がLレベルとされる。すると、部分21A,22Aのポテンシャルが浅くなる。これにより、部分21A,22Aに蓄積されていた電荷は全て、部分51A,52Aに転送される。
【0063】
時刻t
27で、電圧BG1がLレベルとされるとともに、電圧BG2がHレベルとされる。すると、部分51A,52Aのポテンシャルが浅くなるとともに、部分51B,52Bのポテンシャルが深くなる。これにより、部分51A,52Aに蓄積されていた電荷は全て、部分51B,52Bに転送される。
【0064】
時刻t
28で、電圧BG2がLレベルとされるとともに、電圧BG3がHレベルとされる。すると、部分51B,52Bのポテンシャルが浅くなるとともに、部分51C,52Cのポテンシャルが深くなる。これにより、部分51B,52Bに蓄積されていた電荷は全て、部分51C,52Cに転送される。
【0065】
時刻t
29で、電圧RGがHレベルとされる。これにより、フローティングディフュージョン62の電位が、リセットドレイン64の電位と同電位にリセットされる。
【0066】
時刻t
30で、電圧RGがLレベルとされる。これにより、フローティングディフュージョン62の電位は、電荷無しの場合の電位とされる。
【0067】
時刻t
31で、電圧BG3がLレベルとされるとともに、電圧BG4がHレベルとされる。すると、部分51C,52Cのポテンシャルが浅くなるとともに、部分52Dのポテンシャルが深くなる。これにより、部分51Cに蓄積されていた電荷がフローティングディフュージョン62に転送されるとともに、部分52Cに蓄積されていた電荷が部分52Dに転送される。これにより、フローティングディフュージョン62の電位は、転送部21及び第二バッファ部51により転送されてきた電荷に対応する電位とされる。
【0068】
時刻t
32で、電圧RGがHレベルとされる。これにより、フローティングディフュージョン62の電位が、リセットドレイン44の電位と同電位にリセットされる。
【0069】
時刻t
33で、電圧RGがLレベルとされる。これにより、フローティングディフュージョン62の電位は、電荷無しの場合の電位とされる。
【0070】
時刻t
34で、電圧BG4がLレベルとされる。すると、部分52Dのポテンシャルが浅くなる。これにより、部分51Dに蓄積されていた電荷がフローティングディフュージョン62に転送される。これにより、フローティングディフュージョン62の電位は、転送部22及び第二バッファ部52により転送されてきた電荷に対応する電位とされる。
【0071】
上記の説明において、時刻t
9からt
14にかけての部分で説明したように、第二出力部60は、Y軸方向で隣り合う二つの第一バッファ部51,52から交互に転送された電荷を取得し、交互に転送された電荷毎に応じた電荷を出力する。
【0072】
以上のように、本実施形態に係る固体撮像装置1によれば、光電変換部11,12で発生した電荷が、転送部21,22により、X軸正方向又はX軸負方向の双方向に転送される。転送部21,22は、3相又は4相の駆動信号に応じて電荷を転送し、第一バッファ部31,32又は第二バッファ部51,52の各々は、2相の駆動信号に応じて電荷を転送する。したがって、本実施形態に係る固体撮像装置1は、電荷のX軸方向における転送を高速に行うことができる。このように、本実施形態に係る固体撮像装置1によれば、双方向に電荷を転送でき、かつ電荷を高速に読み出すことができる。
【0073】
本実施形態では、転送部21,22は、X軸方向に並置され、3相又は4相の駆動信号のうち対応する駆動信号がそれぞれ与えられることにより、光電変換部11,12で発生した電荷を転送する複数の転送電極23A〜23Cを有している。これにより、転送部21,22が有する複数の転送電極23A〜23Cのそれぞれに、3相又は4相の駆動信号のうち対応する駆動信号が与えられる。これにより、転送部21,22は、X軸正方向又はX軸負方向の双方向に電荷を転送することができ、かつ高速に電荷を転送することができる。
【0074】
本実施形態では、第一バッファ部31,32は、X軸方向に並置され、2相の駆動信号のうち対応する駆動信号がそれぞれ与えられることにより、取得した電荷を転送する複数の転送電極33A〜33Dを有し、第二バッファ部51,52は、X軸方向に並置され、2相の駆動信号のうち対応する駆動信号がそれぞれ与えられることにより、取得した電荷を転送する複数の転送電極53A〜53Dを有していてもよい。この場合には、第一バッファ部31,32及び第二バッファ部51,52が有する複数の転送電極33A〜33D,53A〜53Dのそれぞれに、2相の駆動信号のうち対応する駆動信号が与えられる。これにより、第一バッファ部31,32及び第二バッファ部51,52は、2相の駆動信号によって高速に電荷を転送することができる。
【0075】
本実施形態では、X軸方向に直交するY軸方向に並置された複数の光電変換部11,12を備えており、転送部21,22と、第一バッファ部31,32及び第二バッファ部51,52とは、各光電変換部11,12に対応してそれぞれ配置され、第一出力部40は、複数の第一バッファ部31,32のうち、Y軸方向で隣り合う二つの第一バッファ部31,32に対応して配置され、Y軸方向で隣り合う二つの第一バッファ部31,32から交互に転送された電荷を取得し、交互に転送された電荷毎に応じた信号を出力し、第二出力部60は、複数の第二バッファ部51,52のうち、Y軸方向で隣り合う二つの第二バッファ部51,52に対応して配置され、交互に転送された電荷毎に応じた信号を出力する。これにより、第一出力部40は、Y軸方向で隣り合う二つの第一バッファ部31,32から交互に転送された電荷毎に応じた信号を出力する。第二出力部60は、Y軸方向で隣り合う二つの第二バッファ部51,52から交互に転送された電荷毎に応じた信号を出力する。このため、隣り合う二つの第一バッファ部31,32又は第二バッファ部51,52のうち一方が電荷を出力していない時間に、他方が電荷を出力することができる。このため、電荷の出力に要する時間を長くすることなく、高速に電荷を読み出すことができる。
【0076】
(第2実施形態)
第2実施形態の固体撮像装置101は、第1実施形態の固体撮像装置1とは、転送部における駆動信号の相数が異なる。すなわち、第1実施形態の転送部21が、3相の駆動信号に応じて電荷を転送していたのに対し、第2実施形態の転送部121は、4相の駆動信号に応じて電荷を転送する。
【0077】
図6に示すように、第2実施形態の固体撮像装置101は、転送部121以外は、
図1に示した第1実施形態の固体撮像装置1とほぼ同様の構成を有している。具体的には、転送部121は、3本の転送電極23A〜23Cに代えて、4本の転送電極123A〜123Dを有している。
【0078】
図7に、第2実施形態の固体撮像装置101の転送部121,122のX軸正方向の側の端部と、第一バッファ部31,32と、第一出力部40とを拡大して示す。
【0079】
部分121A,122Aは、それぞれ、転送部121,122のうち、転送電極123Aの下方に位置する部分である。部分121B,122Bは、それぞれ、転送部121,122のうち、転送電極123Bの下方に位置する部分である。部分121C,122Cは、それぞれ、転送部121,122のうち、転送電極123Cの下方に位置する部分である。部分121D,122Dは、それぞれ、転送部121,122のうち、転送電極123Dの下方に位置する部分である。
【0080】
部分31A〜31C,32A〜32D及び第1出力部40については、
図2を参照して説明した第1実施形態と同様なので、説明を省略する。
【0081】
次に、
図8を参照して、4相の駆動信号を用いて、X軸正方向に電荷を転送する場合の固体撮像装置101の動作について説明する。以下の説明では、転送電極123A,123B,123C,123Dに印加される駆動信号としての電圧をそれぞれV1,V2,V3,V4とする。転送電極33A,33B,33C,33Dに印加される駆動信号としての電圧をそれぞれBG1,BG2,BG3,BG4とする。リセットゲート43に印加される電圧をRGとし、フローティングディフュージョン42の電位をOSとする。
【0082】
まず、時刻t
41以前には、電圧V1がLレベル、電圧V2がLレベル、電圧V3がHレベル、電圧V4がHレベルである。このとき、部分121A,122Aのポテンシャルは浅い。このため、電荷は部分121A,122Aには蓄積されていない。
【0083】
時刻t
41で、電圧V1がHレベルとされる。すると、部分121A,122Aのポテンシャルが深くなる。これにより、部分121A,122Aに電荷が転送される。
【0084】
時刻t
42で、電圧V2がHレベルとされる。すると、部分121B,122Bのポテンシャルが深くなる。これにより、部分121B,122Bに電荷が転送される。
【0085】
時刻t
43で、電圧V3がHレベルとされる。すると、部分121C,122Cのポテンシャルが深くなる。これにより、部分121C,122Cに電荷が転送される。
【0086】
時刻t
44で、電圧V1がLレベルとされる。すると、部分121A,122Aのポテンシャルが浅くなる。これにより、部分121A,122Aに蓄積されていた電荷は、全て部分121B,122Bに転送される。
【0087】
時刻t
45で、電圧V4がHレベルとされる。すると、部分121D,122Dのポテンシャルが深くなる。これにより、部分121D,122Dに電荷が転送される。
【0088】
時刻t
46で、電圧V2がLレベルとされる。すると、部分121B,122Bのポテンシャルが浅くなる。これにより、部分121B,122Bに蓄積されていた電荷は、全て部分121C,122Cに転送される。
【0089】
時刻t
47で、電圧V3がLレベルとされる。すると、部分121C,122Cのポテンシャルが浅くなる。これにより、部分121C,122Cに蓄積されていた電荷は、全て部分121D,122Dに転送される。同時に、電圧BG1がHレベルとされる。すると、部分31A,32Aのポテンシャルが深くなる。これにより、部分121D,122Dに蓄積されていた電荷の一部は、部分31A,32Aに転送される。
【0090】
時刻t
48で、電圧V4がLレベルとされる。すると、部分121D,122Dのポテンシャルが浅くなる。これにより、部分121D,122Dに蓄積されていた電荷は、全て部分31A,32Aに転送される。
【0091】
時刻t
49で、電圧BG1がLレベルとされるとともに、電圧BG2がHレベルとされる。すると、部分31A,32Aのポテンシャルが浅くなるとともに、部分31B,32Bのポテンシャルが深くなる。これにより、部分31A,32Aに蓄積されていた電荷は全て、部分31B,32Bに転送される。
【0092】
時刻t
50〜t
56における動作については、
図3を参照して説明した、第1実施形態における時刻t
8〜t
14における動作と同様であるので、説明を省略する。
【0093】
第2実施形態の固体撮像装置101においても、上述したX軸正方向への電荷の転送に加えて、X軸負方向への電荷の転送も可能である。X軸負方向への電荷の転送を行う場合には、転送部121,122の転送電極123A〜123Dに、それぞれ、
図8に示した駆動信号V4,V3,V2,V1を印加し、第二バッファ部51,52の転送電極53A〜53Dにそれぞれ
図8に示した駆動信号BG1〜BG4を印加すればよい。
【0094】
第2実施形態の固体撮像装置101によっても、第1実施形態の固体撮像装置1とほぼ同様の作用効果が得られる。
【0095】
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0096】
例えば、上述の実施形態では、隣り合う2つの第一バッファ部31,32に対応して第一出力部40が配置されることとした。しかしながら、3つ以上、例えば4つの第一バッファ部31,32,31,32など、に対応して第一出力部40が配置されることとしてもよい。1つの第一バッファ部31又は第一バッファ部32に対応して第一出力部40が配置されることとしてもよい。第二バッファ部51,52及び第二出力部60についても同様である。