(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
詳細な説明
本開示の特定の実施形態は、添付の図面を参照して、本明細書において以下に記載される。以下の記載において、周知の機能または構築は、本開示を不必要な詳細で不明瞭にすることを避けるために詳細に記載されない。
【0017】
開示される実施形態は、単に本開示の例示であり、種々の形態で具体化され得ることが理解されるべきである。従って、本明細書中で開示される特定の構造上および機能上の詳細は、限定するものではなく、単に特許請求の範囲のための基礎として、および事実上任意の適切に詳述した構造で本開示を様々に用いるために、当業者に教示するための代表的な基礎として解釈される。さらに、本明細書中で使用される用語および句は、限定することを意図せず、むしろ本開示の理解可能な説明を提供することが意図される。
【0018】
本開示が開示され、記載される前に、本明細書中で使用される用語は、特定の実施形態を記載する目的のためのみであり、限定することを意図しないことが理解されるべきである。この文書において、用語「1つ(a)」または「1つ(an)」は、本明細書中で用いられる場合、1つまたは1つより多いものと定義される。用語「複数」は、本明細書中で用いられる場合、2つまたは2つより多いものと定義される。用語「別の」は、本明細書中で用いられる場合、少なくとも第二のまたは第三等と定義される。用語「含む(including)」および/または「有する」は、本明細書中で用いられる場合、含む(comprising)(すなわち、オープンランゲージ)と定義される。用語「連結されている」は、本明細書中で用いられる場合、必ずしも直接というわけでも、必ずしも機械的にというわけでもないが、接続されていると定義される。関係語(例えば、第一のおよび第二の、ならびに頂部および底部など)は、単に、ある実体または作用を別の実体または作用と区別するために使用され得る(任意の実際のそのような実体間または作用間のそのような関係または順序を、必ずしも必要とするわけでも、暗示するわけでもない)。用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、または任意の他のそのバリエーションは、要素の一覧を含むプロセス、方法、物品、または装置はそれらの要素を含むだけではなく、そのようなプロセス、方法、物品、または装置に明確に列挙されることも本来備わっていることもない他の要素も含み得るように、排他的ではない包含を含むことが意図される。「〜を含む(comprises. .. a)」に先行される要素は、それ以上の制限なしで、要素を含むプロセス、方法、物品、または装置におけるさらなる同一の要素の存在を除外しない。
【0019】
本明細書中で用いられる場合、用語「約(about)」または「約(approximately)」は、はっきりと示されようが、示されなかろうが全ての数値に適用される。これらの用語は一般に、当業者が、引用された値と等価であると考える数字の範囲(すなわち、同じ関数または結果を有する)を指す。多くの例において、これらの用語は、もっとも近い有効数字に丸められた数字を含み得る。この文書において、用語「長手方向の」は、記載されている物の縦長の方向に対応する方向を意味することが理解されるべきである。最終的に、本明細書中で用いられる場合、用語「遠位」および「近位」は、使用者または外科医の利益から考えられ、従って、外科機器の遠位末端は、使用される場合に外科医から最も離れた部分であり、近位末端は、使用者にほぼ最も近い部分である。
【0020】
本明細書中に記載される本開示の実施形態は、特定の非プロセッサー回路および他の要素、本明細書中に記載される超音波外科機器の機能のうちのいくつか、そのうちのほとんど、またはその全てとともに、1つ以上の従来のプロセッサーと、1つ以上のプロセッサーが実装するように制御される独自の保存されたプログラム命令から構成され得ることが認識される。非プロセッサー回路としては、信号ドライバー、クロック回路、電源回路、ならびに使用者の入力および出力要素が挙げられ得るが、これらに限定されない。あるいは、いくつかの機能または全ての機能は、各機能もしくは機能のうちの特定のもののいくつかの組み合わせがカスタム論理として実装される1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)において、または製造者もしくは使用者のいずれかによって更新可能なカスタム論理の使用を可能にするフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)において、保存されたプログラム命令を有さないステートマシンによって実装され得る。もちろん、3つのアプローチの組み合わせも使用され得る。従って、これらの機能のための方法および手段は、本明細書中に記載される。
【0021】
用語「プログラム」、および「ソフトウェアアプリケーション」などは、本明細書中で用いられる場合、コンピューターシステムにおいて実行するために設計された一連の命令と定義される。「プログラム」、「コンピュータープログラム」、または「ソフトウェアアプリケーション」は、サブルーチン、関数、手順、オブジェクト方法、オブジェクト実装、実行可能アプリケーション、アプレット、サーブレット、ソースコード、オブジェクトコード、シェアードライブラリ/ダイナミックロードライブラリおよび/またはコンピューターシステムにおける実行のために設計された他の一連の命令を含み得る。
【0022】
図1は、超音波機械的移動をエンドエフェクターに適用するために使用される公知の回路のブロック概略図を示す。回路は、電源102、制御回路104、駆動回路106、整合回路108、変換器110を含み、回路は、ハンドピース112およびハンドピース112に固定され、カニューレ120によって支えられている導波管114(断続線によって図により例示される)も含む。導波管114は、刃118に向かって刃118の遠位末端において終端する。変換器110、導波管114、刃118は、一般に、同じ周波数において共振する発振構造を形成する。「エンドエフェクター」117と称されるクランプメカニズムは露出し、導波管114の刃部分118が組織および他の物質に接触することを可能にする。一般的に、エンドエフェクター117は、腕と刃118との間の組織を把持するか、またはクランプするために働く旋回する腕である。しかし、いくつかのデバイスにおいて、エンドエフェクター117は存在しない。
【0023】
駆動回路106は、高電圧自励発振信号を生み出す。駆動回路106の高電圧出力は、整合回路108に送られ、整合回路108は信号を平滑にする構成要素を含み、次いで、構成要素は変換器110に送られる駆動信号(波)を生み出す。変換器110への発振入力は、変換器110の機械的部分を、導波管114に沿って共振を提供する大きさおよび周波数で前後に移動させる。発振機器およびその構成要素の最適な共振および寿命のために、変換器110に適用される駆動信号は、実際的に達成され得るのと同じくらい平滑な正弦波であるべきである。この理由のために、整合回路108、変換器110、および導波管114は、互いとともに働くように選択され、互いに関しておよび互いに対して全てが周波数に高感度である。
【0024】
比較的高い電圧(例えば、100V以上)は、代表的な圧電変換器110を駆動するために必要とされるので、1つの一般的に使用される電源は、代表的に15Aまでの120VACの電気の主管(例えば、壁付きコンセント)である。従って、多くの公知の超音波外科機器は、
図1および2に示されるものに似ており、電力の供給のために電気の主管206に接続されるべき電気コード204を有する、台の上の箱(countertop box)202を利用する。共振は、整合回路108の出力と駆動回路106との間で閉ループを作り出す位相ロックループ(PLL)によって維持される。この理由のために、先行技術のデバイスにおいて、台の上の箱202は、駆動および制御の電子工学104、106、ならびに整合回路(複数可)108の全てを常に含んでいる。供給コード208は、箱202からの正弦波形をハンドピース112内の変換器110に送達し、それにより導波管114に送達する。共振は、しばしば、変動する導波管114負荷状態において、変換器に適用される一定の電流をモニタリングし、維持することによって存在する。
【0025】
図3は、本開示の1つの実施形態に従う超音波外科機器300のブロック図を示す。
図3において、超音波外科機器300は、マイクロプロセッサー302、クロック330、メモリー326、電力供給304(例えば、電池)、スイッチ306(例えば、1つ以上のMOSFET)、駆動回路308(PLL)、変圧器310、信号平滑化回路312(整合回路とも称され、例えば、タンク回路であり得る)、感知回路314、変換器316、および超音波切断刃318中で終端する導波管320を含む。本明細書中で用いられる場合、「導波管−移動−発生アセンブリ」は、少なくとも変換器316を含むサブアセンブリであるが、他の構成要素(例えば、駆動回路308(PLL)、変圧器310、信号平滑化回路312、および/または感知回路314)も含み得る。
【0026】
図2に示されるようなAC主管206に依存することに対する代替として、
図3に示される実施形態は、ハンドピース112内、または例えば、ウエストバンドにおいて使用者に取り付けられる小さな箱内のいずれかに適合するために十分に小さい、たった1つの電池、または電池の群に由来する電力を用いる。最先端の電池技術は、高さおよび幅が数センチメートル、ならびに厚みが数ミリメートルの強力な電池を提供する。
【0027】
図3の実施形態において、電池304の出力は、プロセッサー302に送られ、電力を供給する。プロセッサー302は、信号を受け取り、信号を出力し、下に記載されるように、カスタム論理に従って、またはプロセッサー302によって実行されるコンピュータープログラムに従って機能する。デバイス300はまた、コンピューター可読命令およびデータを保存するメインメモリー326、好ましくは、ランダムアクセスメモリー(RAM)を含み得る。
【0028】
電池304の出力はまた、プロセッサー302によって制御されているデューティサイクルを有するスイッチ306に行く。スイッチ306に対するオン時間を制御することによって、プロセッサー302は、最終的に変換器316に送達される電力の総量を指図することができる。1つの実施形態において、スイッチ306は、電気的に制御された酸化金属半導体電界効果トランジスター(MOSFET)であるが、他のスイッチ、電界効果トランジスター(FET)および切換え構成も適合可能である。さらに、スイッチ306は、単数で記載されるが、2つ以上のMOSFETを用い得ることを当業者は認識する。スイッチ306の出力は、例えば、位相検出PLLおよび/またはローパスフィルターおよび/または電圧制御発振器を含む駆動回路308に送られる。スイッチ306の出力は、出力信号の電圧および電流(
図3において、それぞれAD2 VinおよびAD3 Iinと称される)を決定するためにプロセッサー302によって抽出される。これらの値は、スイッチ306のパルス幅変調を調整するためにフィードバックアーキテクチャにおいて使用される。例えば、スイッチ306のデューティサイクルは、スイッチ306からの所望される実際の出力に依存して、約20%から約80%まで様々であり得る。
【0029】
スイッチ306から信号を受け取る駆動回路308は、スイッチ306の出力を単一の超音波周波数(例えば、55kHz)を有する電気的信号(
図3においてVCOと称される)に変える発振回路を含む。下で説明するように、この超音波形を平滑にした(smoothed−out)バージョンは、最終的に変換器316に送られて、導波管320に沿って共振正弦波を生み出す。共振は、電流および電圧が、変換器316の入力において実質的に同相である場合に達成される。この理由のために、駆動回路308は、PLLを使用して、変換器316への電流および電圧の入力を感知し、電流および電圧を互いに同期させる。この感知は、線328を通して実施され、電流位相は、「運動」電圧の位相と整合され、そして/または「運動」電流の位相と入力電圧位相を整合させる。運動電圧を測定する概念および技術は、下で図面とともに詳細に説明される。
【0030】
駆動回路308の出力において、低電圧信号(複数可)をより高電圧に上げることができる変圧器310がある。変圧器310の前の全ての上流の切換えが、低(すなわち、電池駆動)電圧で実施されていることに留意されたい。これは駆動回路308が低オン抵抗MOSFET切換えデバイスを有利に使用するという事実に少なくとも部分的に起因する。低オン抵抗MOSFETスイッチは、それらが慣例的なMOSFETデバイスよりも少ない熱を生み出し、より高い電流を通過させるので有利である。従って、切換え段階(変圧器の前)は、低電圧/高電流と特徴付けられ得る。
【0031】
本開示の1つの実施形態において、変圧器310は、電池電圧を120V RMSに上げる。変圧器は、当該分野において公知であり、従って、ここでは詳細に説明しない。変圧器310の出力は、方形波400に似ており、その波形は、特定の構成要素、特に変換器316に対して有害であるので、望ましくない。方形波はまた、構成要素間の干渉を発生させる。本開示の整合回路312は、これらの問題を実質的に減らすか、または排除する。
【0032】
時折、「タンク回路」と称される波整形回路または整合回路312は、変圧器310から出力される方形波を平滑にし、その波を駆動波(例えば、正弦波)に変える。整合回路312は、本開示の1つの実施形態において、直列L−C回路であり、キルヒホッフの回路の法則の周知の原理によって制御される。しかし、任意の整合回路がここで使用され得る。整合回路312から出力される平滑な正弦波500は次に、変換器316に送られる。もちろん、正弦波ではない他の駆動信号は、整合回路312から出力され得る。
【0033】
変換器316は、電気的信号を物理的移動に変換する電気機械的デバイスであり、そのようなデバイスのうちの1つの例は、圧電性結晶のスタックで形成される。より広い意味において、変換器316は、時折、信号を一形態から別の形態に変換する任意のデバイスと定義される。本開示において、駆動波(正弦波)は、変換器316に入力され、それは次に、物理的移動を導波管320に伝える。示されるように、この移動は、導波管320に共振波を提供し、導波管320の末端において運動をもたらす。
【0034】
変換器316が圧電性結晶のスタックで形成される例示的な実施形態において、各圧電性結晶は、絶縁体によって隣のものから分離される。圧電性結晶は、スタックが一単位として拡張、収縮するように同時正弦波電圧が全ての結晶に適用されることにより、その長手方向の寸法を変化させる。これらの拡張および収縮は、駆動回路308によって生み出される駆動信号の周波数においてである。変換器316の移動は、導波管320の長さに沿って正弦波を誘導し、それにより導波管320の先端の刃318を長手方向に移動させる。刃318の先端は、それが正弦波の移動点であるので理想的には「腹」である。導波管320の結果として生じる移動は、導波管320の末端における刃318において「のこぎり」移動を生み出し、多くの材料(例えば、組織および骨)を容易にスライスできる切断運動を提供する。導波管320はまた、そのように刺激される場合、多量の摩擦熱を発生させ、その熱は、導波管320が切断している組織内に伝導される。この熱は、切断されている組織内の血管を瞬時に焼灼するために十分である。
変換器316に適用され、導波管320に沿って移動する駆動信号が、超音波外科機器のための共振周波数においてではない場合、最後の腹は、導波管320の刃318において出現しない。そのような場合、導波管320の刃318は、導波管320の長手方向の軸に対して横方向に移動し得る。刃318のオフ共振運動(off resonant motion)は一般に望ましくないが、特定の適用において、そのようなオフ共振運動は、特定の期間、特定の外科成果を達成するために望ましい場合がある。
【0035】
本開示は、変換器316に送られる運動電流波形と運動電圧波形との間の位相をモニタリングすること、および駆動回路308に補正信号に送り返すことによって、導波管320の移動が導波管320に沿って共振状態のままであることを確かめるために駆動回路308においてPLLを利用する。特定の実施形態において、変換器316は、異なる面で切断され得、のこぎり運動よりむしろ、刃のねじり運動またはひねり運動を生み出す。
【0036】
図2Aは、本開示の実施形態が実装され得るさらなるデバイスを示し、電池作動型の手で持てる超音波外科デバイス250を示す。
図1および2に示される実施形態の場合と同様に、超音波外科機器250の遠位末端(すなわち、使用中に使用者から最も離れたデバイスの末端)は、刃部分118を組み込んだエンドエフェクター117を含む。エンドエフェクター117および刃118は、導波管114を囲むカニューレ120の遠位末端に形成されるが、導波管114は、カニューレ120内に形成され、刃118に接続されている。
【0037】
超音波外科デバイス250のための電力は、電池252によって提供される。
図2Aに示される例において、電池は、超音波外科デバイス250の統合構成要素として形成される。具体的に電池252は、デバイスの残りの部分に接続されている場合、ハンドルを形成する。代替の配置において、電池は、ハンドルの区画内に取り外し可能に収容され得る。電池のための様々な代替の配置および超音波外科機器250へのその組み込みは、2008年11月12日に出願された、同一人に譲渡された米国特許出願第12/269,629号において詳細に記載され、上記出願は、本明細書中で参考として完全に援用される。電池は、それ自体が1つ以上の蓄電池セルで形成される。例えば、電池は、直列に接続されている約3.7V/セルの公称電圧を有する4つのセルを含み得、約15Vの公称電池電圧をもたらす。電池252は、Smart Battery System Implementers Forum(SBS−IF)によって1998年12月11日に最初に公開された、Smart Battery Data Specification, Revision 1.1に記載されるような、いわゆる「Smart Battery」であり得、それはその機能(それがどのように充電され、放電されるかが挙げられる)の多くが、電池252のハウジング内のセルに接続されている1つ以上のマイクロコントローラーによって制御されることを意味する。
【0038】
統合型の変換器および発生器(TAG)構成要素256は、発生器および変換器の両方を収容する。電池252と同様に、TAG 256は、超音波外科機器250に取り外し可能に接続される。従って、いくつかの実施形態において、電池252およびTAG 256のみが、再使用可能であり、超音波外科デバイス250の残りの部分(カニューレ120、導波管114、およびエンドエフェクター117が挙げられる)は使い捨てである。
図2Aに関して、TAG 256の発生器部分は、
図3に関して上に記載されるように、または
図10を参照して、より詳細に下で議論されるように、DCエネルギーを電池252から取得し、それをAC(すなわち、正弦波形)に変換し、変換されたエネルギーをTAG 256の超音波変換器部分に電力を供給するように制御し、それとともにカニューレ120内に形成されている導波管114を駆動し、最終的に刃118を駆動する。
【0039】
エンドエフェクターは、アクチュエーターメカニズム254によって作動される。電池252の方向に(すなわち、近位に)アクチュエーター254を引っ張ることは、例えば、エンドエフェクター117に組織を閉じ込めるためにエンドエフェクター117を閉める。エンドエフェクター117に組織をクランプ後、使用者は、トリガー258を押し、電力が電池からTAG 256に送達され、それを発振させ始める。TAG 256は、カニューレ120に収容されている導波管114に対するその発振運動を刃118まで伝達し、エンドエフェクター117にクランプされている組織を切断、密閉、または凝結するために、刃118を超音波外科機器250の共振周波数近くで、または超音波外科機器250の共振周波数において振動させる。導波管114および刃118と一緒に組み合わせたTAG 256の変換器部分は、発振構造を形成する。
【0040】
図4は、圧電材料を含むモデル変換器400(例えば、変換器316またはTAG 256の変換器部分)の概略的な回路図である。圧電変換器は、当該分野において周知である。圧電材料の質量(mass)および剛性は、変換器内に機械的共振構造を作り出す。圧電の影響に起因して、これらの機械的特性は、電気的に等価な特性として現れる。換言すると、電気的終端において見られる電気的共振周波数は、機械的共振周波数に等しい。
図4に示されるように、変換器316の機械的質量、剛性、および減衰は、インダクター/コイルL、コンデンサーC
2、および抵抗器Rの直列構成によって表され得、全ては、別のコンデンサーC
1と並列である。電気的に等価な変換器モデル400は、結晶について周知のモデルに非常に類似している。
【0041】
電気的に等価な変換器モデル400の入力410に流入するのは、変換器電流i
Tである。i
Tのi
C部分は、並列コンデンサーC
1を横切って流れ、並列コンデンサーC
1は、予測される周波数の範囲の大部分について、実質的に静電容量値(static capacitive value)を保持する。i
Mと定義されるi
Tの残りは、単純に(i
T−i
C)であり、実際の作業電流である。この残りの電流i
Mは、本明細書中で「運動」電流と称される。すなわち、運動電流は、導波管320を移動させるための働きを実際に実施する電流である。
【0042】
上で議論したように、いくつかの公知の設計は、総電流i
Tを調節し、それと同期し、総電流i
Tはi
Cを含んでおり、変換器316の導波管320の運動を実際にもたらす電流の実際の量の指標であるとは限らない。例えば、先行技術のデバイスの刃が軟組織からより高密度の材料(例えば、他の組織または骨)に移動する場合、抵抗Rは大いに増大する。抵抗Rにおけるこの増大は、より少ない電流i
Mを、直列構成R−L−C
2を通して流れさせ、より多くの電流i
Cを、容量要素C
1を横切って流れさせる。そのような場合において、導波管320は遅くなり、その性能は落ちる。電流全体を調節することは、一定の導波管スピードを維持する(すなわち、共振において振動すること)ための有効な方法ではないことが当業者によって理解され得る。そのように、本開示の1つの実施形態は、変換器316を通って流れる運動電流i
Mをモニタリングし、調節する。運動電流i
Mを調節することによって、導波管320の移動距離は調節される。
【0043】
図5は、変換器400の運動電流i
Mをどのようにして得るかを理解するために有用である本発明の回路500の概略的な回路図である。回路500は、変換器400の回路要素の全ておよびさらなるブリッジ容量要素C
Bを
図4の変換器400と並列して有する。しかし、C
Bの値は、C
1/C
Bが所与の比rと等しくなるように選択される。効率のために、C
Bについて選ばれる値は、比較的低くあるべきである。これは、i
Mから分流される電流を制限する。可変電源V
Tは、回路500の端子502および504を横切って適用され、容量要素C
Bを通る電流i
B、変換器400へ流れる電流i
T、コンデンサーC
1を通って流れる電流i
C、および最終的に運動電流i
Mを作り出す。それは次に、i
M=i
T−r*i
Bになる。これは、
【0045】
であるからである。従って、i
C=r*i
Bであり、方程式i
M=i
T−i
Cにおいてi
Cを置き換えることにより
i
M=i
T−r*i
B
をもたらす。
【0046】
総電流のみを知ることおよびブリッジコンデンサーi
Bを通る電流を測定することによって、変換器の運動電流i
Mの変動は、識別され得、調節され得る。駆動回路308は次に、電流コントローラーとして働き、変換器400へ流れる総電流i
Tから、ブリッジキャパシタンスC
Bを通って流れる電流と比rとの積を減算することに基づく、変圧器310の出力を変動させることによって運動電流i
Mを調節する。この調節は、様々な切断負荷にわたり、導波管320の切断刃318部分の移動の実質的に一定の速度を維持する。1つの実施形態において、感知回路314は、運動電圧および/または運動電流を測定する。電流および電圧の測定デバイス、ならびに電圧計器および電流計器を作り出すための回路構成は、当該分野において周知である。電流および電圧の値は、公知であるかまたは今後開発される任意の手法によって、限定されることなく決定され得る。
【0047】
図6は、変換器316が抵抗要素R、誘導要素L、および容量要素C
4の並列構成として概略的に表される本開示の別の実施形態を示す。さらなる容量要素C
3は、入力502と、抵抗要素R、誘導要素L、および容量要素C
4の並列構成との間の直列構成である。この並列の表現は、わずかに異なる周波数において起こる、作動の「反共振」モードにある変換器の作用をモデル化する。変換器電圧V
Tは、変換器316の入力端子502、504の間に適用される。変換器電圧V
Tは、容量要素C
3を横切る電圧V
Cと、抵抗要素R、誘導要素L、および容量要素C
4の並列構成を横切る運動電圧V
Mとの間で分割される。その働きを実施し、導波管320を移動させるのは、運動電圧V
Mである。従って、この例示的な実施形態において、慎重に調節されるべきなのは、運動電圧である。
【0048】
図7は、本発明の回路構成700の例示的な実施形態を示す。回路構成700は、
図6の変換器600を含み、それに3つのさらななる容量要素C
5、C
6、およびC
7を加える。容量要素C
5は、変換器回路600と直列であり、他方、容量要素C
6およびC
7は、互いに直列であり、それらは一緒に容量要素C
5と変換器回路600との直列の組み合わせと並列である。
【0049】
この回路は、ホイートストンブリッジ測定機器に類似している。ホイートストンブリッジ回路は、ブリッジ回路の2つの脚(その片方の脚は、未知の構成要素を含む)のバランスを取ることによって、未知の電気抵抗を測定するために使用される。
図10に示される瞬間回路構成は、V
T−V
Cに等しい運動電圧V
Mは、未知である。運動電圧V
Mを決定し、調節することによって、構成は、一貫した導波管移動が下に明記されるように維持されることを可能にする。
【0050】
有利には、容量要素C
7は、その値が容量要素C
3の比A(Aは1未満である)であるように選択される。同様に、容量要素C
6は、その値が容量要素C
5の同じ比Aであるように選択される。C
5/C
3の比も、比Aである。
【0051】
C
3/C
7の比がAであり、C
5/C
6もAであるので、ブリッジは、バランスが取れている。それは次に、運動電圧V
Mによって除算されるフィードバック電圧V
fbも比Aになる。従って、V
Mは、単純にA*・V
fbと表され得る。
【0052】
変換器600を横切る電圧が依然としてV
Tである場合、入力電圧Vinは、V
Tと容量要素C
5を横切る電圧V
Bとの和に等しい。フィードバック電圧V
fbは、容量要素のC
6とC
7との間に位置する第一の点、および変換器と容量要素C
5との間に位置する第二の点から測定される。次に、回路300の上流構成要素は、電圧コントローラーとして働き、一定のフィードバック電圧V
fbを維持するために電力V
inを変動させ、実質的に一定の運動電圧をもたらし、様々な切断負荷を横切る導波管320の切断刃318部分の移動の実質的に一定の速度を維持する。さらにまた、本開示は、入力電圧V
inを単純に調節するのではなく、運動電圧V
Mを調節する目的のために入力電圧V
inを変動させる。
【0053】
図8は、変換器400が
図4に示される回路構成のものである本開示の別の実施形態を示す。
図8の構成は、
図5に示されるもの、および上に記載されるものと同様に働く。しかし、この回路構成800において、変圧器804と808との対は、運動電圧V
Mを決定し、モニタリングするために使用される。この実施形態において、第一の変圧器804の一次巻線802は、ブリッジコンデンサーC
Bとの直列構成にある。同様に、第二の変圧器808の一次巻線806は、変換器400との直列構成である。第一の変圧器804の二次巻線814のリード810および812は、抵抗器R
2を通して連結される。第二の変圧器808の二次巻線820のリード816および818は、抵抗器R
1を通して連結される。さらに、第一の変圧器804の二次巻線814の第一のリード810は、第二の変圧器808の二次巻線820の第一のリード816に直接接続されている。
【0054】
第一の変圧器804の一次巻線802を通る電流i
Bは、第一の変圧器804の二次巻線814において電流を誘導する。同様に、変換器400の容量要素C
1を通るi
Cおよび変換器400の運動電流i
Mを含む電流は結合し、第二の変圧器808の一次巻線806を通り、接地822を見出す。一次巻線806における電流は、二次巻線820に電流を誘導する。変圧器804、808における点(「・」)によって示されるように、二次巻線814および820は、それぞれ一次巻線802、806に関して互いに反対の方向にあり、抵抗器R
1およびR
2を横切る電圧V
fbを誘導する。R
1/R
2の比が値C
B/C
1の比と等しくなるように、R
1およびR
2についての値を選択することによって、フィードバック電圧V
fbは、常に、運動電流i
Mに対して比例する。次に、回路300(
図3を参照のこと)の上流構成要素は、電圧コントローラーとして働き、一定のフィードバック電圧V
fbを維持するために入力電力(V
inおよびI
T)を変動させ、実質的に一定の運動電流i
Mをもたらし、様々な切断負荷を横切る導波管320の切断刃部分の移動の実質的に一定の速度を維持する。さらにまた、この実施形態は、入力電圧V
inを単純に調節するのではなく、運動電流i
Mを調節する目的のために入力電流I
Tを変動させている。
【0055】
図9は、変換器600が、
図6に示される回路構成によって形作られる本開示の別の実施形態を示す。
図9の構成900において、変圧器910は、変換器600の運動電圧V
Mを決定し、モニタリングするために使用される。この実施形態において、変圧器910の一次巻線906は、誘導要素L
2および容量要素C
1と直列回路構成にある。電圧V
inは、変圧器910の一次巻線906によって形成される回路の入力リード902および904、誘導要素L
2、および容量要素C
1を横切って適用される。一次巻線906を通る電流は、変圧器910の二次巻線908において、対応する電流を誘導する。変圧器910の二次巻線908は、変換器600とブリッジコンデンサーC
Bとの組み合わせと並列構成にある。組み合わせを形成している2つの構成要素は、直列構成にある。
【0056】
この実施形態において、二次巻線908は、点912においてタップされる。二次巻線908を、二次巻線908の第一の部分が「m」巻を有し、二次巻線1208の第二の部分が「n」巻を有する(ここでnは、m未満である)点において、タップすることによって、二次巻線908における選択可能な割合の誘導された電圧が、点912から接地914まで出現する。
【0057】
さらにまた、この回路は、ホイートストンブリッジ測定機器に類似している。1つの脚は、第一の二次巻線「m」であり、第二の脚は、第二の二次巻線「n」であり、第三の脚は、変換器600であり、第四の脚は、コンデンサーC
Bである。
図9に示される瞬間回路構成において、電圧V
Mは未知である。運動電圧V
Mを決定し、調節することによって、一貫した導波管移動が維持される。
【0058】
巻「n」の数は、巻「m」の数よりも少ない同じ割合分、変換器キャパシタンスC
3よりも小さいブリッジコンデンサーC
Bの値を選択することによって(すなわち、m/n=C
3/C
B)、フィードバック電圧V
fbの値は、運動電圧V
Mを反映する。本開示は、変化についてフィードバック電圧V
fbをモニタリングすることによって、運動電圧V
Mが変化しているかどうかを決定し得る。
【0059】
並列共振(または「反共振」)変換器を形作る等価回路変換器モデル600を用いることによって、変換器は、並列共振動作モードで駆動され得、運動は、電圧に比例する。この動作モードの利点は、必要とされる一定電圧モードの電力供給が、一定電流モードの電力供給よりも設計することがより単純であり、作動することがより安全であることである。また、変換器は、無負荷の場合、より高いインピーダンスを有するので(直列共振動作モードにおける、無負荷の場合のより低いインピーダンスとは異なり)、無負荷の場合、自然とより少ない電力をドローする傾向がある。しかし、並列共振動作モードは、維持することがより難しい。なぜなら、並列共振動作モードは、共振帯域幅が直列共振モードの共振帯域幅よりも狭く、わずかに異なる自然の共振周波数を有するからである。従って、デバイスの機械的構成要素は、直列共振動作モードまたは並列共振モードのいずれかで作動するように特定的に構成されなければならない。
【0060】
次に、回路300の上流構成要素は、電圧コントローラーとして働き、一定のフィードバック電圧V
fbを維持するために電力V
inを変動させ、実質的に一定の運動電圧V
Mをもたらし、様々な切断負荷を横切る導波管320の切断刃318部分の移動の実質的に一定の速度を維持する。さらにまた、本開示は、入力電圧V
inを単純に調節するのではなく、運動電圧V
Mを調節する目的のために入力電圧V
inを変動させている。
【0061】
図10は、
図2Aに示されるような、つながれていない超音波外科デバイス250において用いられる場合に特に有用であり得る制御システム1000を示すが、
図1および2に示されるような、より慣習的なコードデバイスにおいても用いられ得る。
図10に示されるように、変換器1018の他に、(
図2Aの)TAG 256は、Direct Digital Synthesis(「DDS」)1002集積回路、TAGマイクロコントローラー1004、増幅器/フィルター回路1006、および運動ブリッジ1008を含む。TAGマイクロコントローラー1004は、メインプロセッサー1010、制御則加速装置1012(「CLA」)、パルス幅変調器1014(「PWM」)、およびアナログディジタル変換器1016(「ADC」)を含む。TAGマイクロコントローラー1004は、超音波変換器1018にその共振周波数において振動させるために、超音波変換器1018に適用される高電圧AC信号の周波数を制御する。TAGマイクロコントローラー1004は、DDS 1002、メインプロセッサー1010、CLA 1012、およびPWM 1014によって実装される位相ロックループ1020(PLL)を用いて高電圧AC信号の周波数を制御する。
【0062】
通常作動中、PLL 1020は、運動フィードバック信号V
fbの位相に基づいて、駆動信号の周波数を調整する。駆動信号の周波数を調整するために、メインプロセッサー1010は、運動フィードバック信号V
fbの位相に基づいて周波数データを決定するためにPID制御アルゴリズムを実行する。メインプロセッサー1010は、周波数データをDDS 1002に伝え、DDS 1002は、周波数データによって定義される周波数を有するクロック信号を発生させる。PWM 1014は、クロック信号を受け取り、DDS 1002によって発生されるクロック信号の周波数との所定のおよび固定の関係にある周波数を有する駆動信号を発生させる。関連する分野における当業者によって理解されるように、共振において、駆動信号は、運動フィードバック信号V
fbと同相である。
【0063】
増幅器/フィルター回路1006は、駆動信号の周波数と等しい周波数を有する高電圧AC信号を生み出すために、駆動信号を電池252からの調節された電流と合わせる。高電圧AC信号は次に、超音波変換器1018に適用される。運動ブリッジ1008は、超音波変換器1018の機械的運動を測定し、超音波変換器の機械的運動を表す運動フィードバック信号V
fbを提供する。ADC 1016は、運動フィードバック信号を抽出し、CLAは、駆動信号に関連する運動フィードバック信号の位相情報を得るために、抽出された運動フィードバック信号に対して、離散フーリエ変換(DFT)を実施する。運動フィードバックV
fbを用いて、PLL 1020は、超音波変換器の共振を達成し、それを維持するために運動フィードバック信号の位相に基づいて、駆動信号の周波数を調整する。
【0064】
TAGマイクロコントローラー1004は、DDS 1002が、それが発生させるクロック信号をマイクロコントローラー1004へ入力することを可能にする外部クロック入力1022を含む。TAGマイクロコントローラー1004はまた、内部クロック1024と、外部クロック入力1022と内部クロック1024との間のシステムクロックを切換えるスイッチ1026とを含む。
図10に示されるように、システムクロックは、メインプロセッサー1010、CLA 1012、およびADC 1016を駆動する。スタートアップ中、内部クロック1024は、システムクロック信号を発生させる。DDS 1002がクロック信号を発生し始めた後、TAGマイクロコントローラーは、システムクロックを、内部クロック1024からDDS 1002によって発生され、外部クロック入力1022へ送られるクロック信号へ切換える。
【0065】
図4〜9に記載され、示される回路構成のそれぞれにおいて、回路の構成要素の劣化は、回路全体の性能に悪影響を与え得る。構成要素の性能に直接影響する1つの要因は熱である。この理由のために、
図3に示される回路は、変圧器310の温度を感知する感知回路314を含む。この温度感知は、デバイスの使用中、変圧器310がその最大温度で、またはその最大温度の非常に近くで行われ得るので有利である。さらなる熱は、コア材料(例えば、フェライト)を破壊し、永久的な損傷が起こり得る。所定の最大温度に達する場合、回路300は、例えば、変圧器310における駆動電力を低減し得、使用者に信号を伝え得、電源を完全に切り得、電力をパルスにし得、または他の適切な応答に関与し得る。
【0066】
図1に戻って参照すると、1つの実施形態において、プロセッサー302は、刃118と物理的に接触している材料を配置させるために使用されるエンドエフェクター117に通信的に連結されている。エンドエフェクター117は、ある範囲のクランプ力(clamping force)の値を有し、プロセッサー302(
図3)は、受け取ったクランプ力の値に基づいて、運動電圧V
Mを変動させる。設定された運動速度と組み合わせた高い力の値は、高い刃の温度をもたらし得るので、温度センサー322は、プロセッサー302に通信的に連結され得、プロセッサー302は、温度センサー322から刃318の現在の温度を示す信号を受け取り、解釈し、受け取った温度に基づいて、刃の移動の標的周波数を決定するように作動可能である。
【0067】
本開示の実施形態に従って、PLL(308または1020)は、変換器316、1018の周波数を決定することができる。任意の特定の時間における変換器316、1018の既知の共振周波数(ならびにそれとともに導波管および刃の共振周波数)は、共振デバイスの作動を単に調整し、維持することを超えた目的のために利用され得る。1つのそのような目的は、刃118の温度を検出するためである。
【0068】
図11および12は、本開示の実施形態のうちの任意のものに従う超音波外科機器のボードプロットである。上で言及したように、超音波外科機器の使用中、熱が発生される。調波システムの共振周波数は、様々な要因(材料の密度、材料のかさ、またはヤング率、音のスピード、構成要素の直径、および他の要因が挙げられる)に依存する。これらの要因のうちの多くは、温度依存性であり、システムが加熱される場合に、顕著に変動し得る。これらの変化する要因の複合結果は、例えば、超音波外科機器の使用中に、システムの共振周波数を、加熱に従ってモニタリングすることによって観測可能である。
【0069】
図11は、発振構造(すなわち、変換器1018、導波管114、および刃118)の共振周波数における熱の発生によって引き起こされる周波数応答を示す。室温(例えば、23℃)にに対して、システムに対する1つの所望される共振周波数は、約55.5kHzであり得る。これは、
図11におけるプロットにおいて、駆動信号からの0°の位相の偏移を示すゼロクロッシクングにおいて示される。
図11のプロットにおいて見られ得るように、作動中に予測されるようにシステムの温度が上昇する場合、共振周波数は偏移する。具体的には、
図11に示されるように、共振周波数が55.5kHzから55.2kHzまで約300Hz低下する場合、23℃から200℃までの温度上昇が観測される。周波数における同様の偏移は、
図12のプロットにおいて観測可能であり、システムのインピーダンスZの振幅が、モニタリングされる。さらにまた、システムが共振において作動していることを示す最小インピーダンス振幅Zは、約55.5kHzから約55.2kHzまで偏移する。
【0070】
位相またはインピーダンスの振幅に対してプロットされるシステムの共振周波数における変化をモニタリングすることによって、システムの温度が、次に推定され得る。例えば、
図11に示されるように、そのシステムについて、300Hzの周波数偏移は、約23℃から約200℃までの温度の変化を表す。従って、室温においてシステムの共振周波数を観測し、次に、使用されているシステムの共振周波数を追跡することによって、発振構造の温度は推定され得る。次にこれは、温度感知を特に意図された任意の別個の要素もなしで、むしろただ使用中にシステムフィードバックをモニタリングすることによって達成され得る。上で言及したように、
図4〜9に関して、共振周波数は、運動電圧を表すV
fbをモニタリングすることによって決定され得、位相および周波数情報を確かめるために駆動信号と比較され得る。しかし、
図12にプロットされるように、本開示の範囲から外れることなく、共振周波数情報を誘導するためにインピーダンスをモニタリングすることも可能である。
【0071】
本開示の1つの実施形態において、超音波外科機器250は、製造中にその室温共振周波数について試験され、この値は、マイクロプロセッサーまたはマイクロコントローラーによってアクセス可能なメモリーに保存される。超音波外科機器が使用されると、すなわち、変換器が電圧を加えられ(energized)、発振し始めると、超音波外科機器250の共振周波数は、例えば、5ミリ秒ごとに、定期的に測定される。瞬間共振周波数に基づいて、計算は、発振構造(すなわち、変換器1018、導波管114、および刃118)の温度を決定するために実施され得る。
【0072】
あるいは、ほとんどの超音波外科機器250は、1つ以上の置き換え可能な構成要素を用いるので、医師によって組み立てられる場合に、超音波外科機器250のスタートアップルーチンの一部は、その共振周波数を決定するために短時間電圧を加えることを含み得る。例えば、
図2Aに示されるデバイスにおいて、TAG 256および電池252の両方は、再使用可能であり、他方、カニューレ120、導波管114、および刃118を含む超音波外科機器250の残りの部分は、使い捨ての構成要素である。従って、そのようなデバイスにおいて、システムの共振周波数を測定することは、 使い捨て部分がシステム、特にTAG 256に接続されるまで実用的ではない。従って、組み立てられたデバイスの共振周波数を決定するための試験は、超音波外科機器250のその初めての使用前に始められ得る。この試験は、使用者によって開始され得るか、または使用を許可する前の外科機器試験ルーチンの一部としてデバイスを組み立てると自動的に行われ得る。試験によって決定される場合、共振周波数は、超音波外科機器250のメモリーに保存されるべきである。保存された室温共振周波数は、超音波外科機器が組み立てられるたびに設定され得、従って、TAG 256が超音波外科機器250の新しい使い捨て部分と嵌合されるたびにルーチンは実施され、新しい共振周波数がメモリーにすでに保存されている任意の既存の共振周波数データを上書きする。
【0073】
あるいは、精度においていくらかの損失を招きそうだが、共振周波数は、超音波外科機器250を形成するための電池252および使い捨て部分とのTAGの初めての組み立てにおいて、TAG 256におけるメモリーに保存され得る。この1回で決定される共振周波数は、次に、TAG 256がその中に接続されている超音波外科機器250の温度を決定するための全ての将来の共振周波数比較のための基礎として使用され得る。
【0074】
図13は、超音波外科機器(例えば、
図2Aに示されるもの)について、室温共振周波数を決定するためのスタートアップルーチンの、超音波外科デバイスのメモリーに保存可能なコンピュータープログラムを示す、簡単化されたフローチャートである。TAG 256が超音波外科機器250の残りの部分に接続されると、電池252は接続され、スタートアップルーチンは、ステップS101において可能になる。スタートアップルーチンの一部として、共振周波数試験は、S103において始まる。変換器は、S105において所定の期間の間、駆動される。変換器が駆動される期間は、組み立てられる場合の、室温において超音波外科機器250の共振周波数を決定するために十分なものであるべきであるS107。共振周波数が決定された場合、その周波数は、メモリーS109に保存され、共振周波数試験は、終わりS111、超音波外科デバイス250は、作動可能になる。共振が達成されない場合、ステップS113におけるルーチンは、共振を達成することにおいて、何回試みがなされたかを決定するために調べられ得る(例えば5回の試みは、許容され得る)。共振を達成することなく、5回よりも多くの試みがなされた場合、次にS115において、エラーが信号で伝えられる。利用可能な試みの数が最大を超えていない場合、次にルーチンは、ステップS105に戻り、共振を達成するために、共振が達成されて周波数値がメモリーに保存されるか、または利用可能な試みを超えてエラーが生じるかのいずれかまで再度試みる。
【0075】
図14は、システム(変換器、導波管、および刃)の温度を決定するための、超音波外科デバイスのメモリーに保存可能なコンピュータープログラムを示す、簡単化されたフローチャートである。当業者は、それがTAG 256の製造中にメモリーに書き込まれようが、TAG 256の最初の使用において決定されようが、またはTAG 256が超音波外科デバイス250の残りの部分に接続されるたびに新たに決定されようが、その開始室温共振周波数がどのように決定されるかに関わらず、このプロセスが用いられ得ることを認識する。
【0076】
図14において、超音波外科機器250のトリガー258は、ステップS201において引かれる。次に共振のチェックがステップS203において行われる。超音波外科デバイス250に共振を達成する機会を与えるために、ステップS201とS203との間に遅延を挿入することが望ましい場合があることを当業者は理解する。共振が達成される場合、共振における周波数の値は、ステップS205において、デバイス中のメモリーに書き込まれる。次に、ステップS207において室温共振周波数に対する瞬間共振周波数の比較が行われる。周波数偏移または応答がステップS209において所定の量Y未満の場合、ルーチンは、ステップS211においてトリガーが依然として押し下げられているかどうかを知るために調べられる。トリガーが、もはや押し下げられていない場合、ルーチンはステップS213において終了する。しかし、トリガーが依然として押し下げられている場合、ステップS215において、新たな瞬間共振周波数が検出される。S215における検出ステップは、設定された遅延に従い得る。新たに検出された共振周波数は次に、ステップS205において、メモリーに書き込まれる。いくつかの実施形態において、瞬間共振周波数の1つの値のみが、室温共振周波数と比較するためにメモリーに保持され得る。他の実施形態において、共振周波数のログが、メモリーに保存される。この履歴的記録は、障害の事象またはデバイスの使用の分析を必要とする他の出来事において、デバイスの履歴的使用を調査することにおいて有用であり得る。
【0077】
ステップ209において、周波数偏移が所定の量よりも大きい場合(例えば、300Hz)、次に信号は、超音波外科デバイス250が特定の温度(例えば、200℃)よりも上であることが推定されることを示すために使用者に送られ得る。使用者に対する警報は、可聴音、光のインジケーター(例えば、デバイスにおけるLED)、または超音波外科機器250のハンドルにおいて使用者によって感じ取られる触覚応答であり得る。
【0078】
必要に応じて、超音波外科機器は、この温度を達成することに基づいて、ステップS223において自動的にスイッチオフされ得るか、またはインターロックS225が、超音波外科デバイス250、および特に刃118が冷却されるように、ある期間の間(Y秒)(例えば、15秒)超音波外科機器の電圧を加えることを防ぎ得、その期間の後、トリガー258は、ステップS201において再度引かれ得る。
【0079】
同様に、ステップS203において、共振がまだ達成されていない場合、遅延X(例えば、5ミリ秒)が、ステップS219において誘発され、その後、ステップS221において、開始トリガー258が引かれて、共振を達成してから時間が経ち過ぎたかどうかを決定するための問合わせが行われる。時間が経ち過ぎている場合、次にステップS223において、デバイスは電源が切られ得、エラーが信号で伝えられ得る。
【0080】
当業者は、高温信号が発生される単一の周波数偏移を有することに加えて、メモリーは、一連の周波数偏移を保存し得、使用者に対して温度の進行性の信号を発生させ得ることを認識する。例えば、周波数偏移が100Hzである場合、デバイスは、温度上昇が大きくなく、恐らくほんの70℃までにすぎないことを示すために緑色の視覚信号を発生させ得る。同様に、黄色の視覚信号は、恐らく130℃の温度を示す200Hzの共振周波数偏移を示すために使用され得る。
【0081】
あるいは、実験式は、感知された周波数応答を推定された温度に変換するために、超音波外科デバイスのメモリーに用いられ得、保存され得る。従って、瞬間共振周波数が検出される場合、室温共振周波数および/または温度比較関数に対する加重(weighted)周波数応答を含み得る式が、周波数応答に対して等価である温度変化を推定するために利用される。これは、さらに、視覚、可聴、または他の信号で伝える手段に関係があり得る。そのような状況において、推定された温度値を、表示器、または例えば、液晶表示器(LCD)を介して使用者に示すことは可能である。
【0084】
であり、式中、Tは温度であり、Fは周波数であり、Roomは、スタートアップにおいて測定された値を表し、Inst.は、瞬間測定である。刃の瞬間周波数を用い、推定された温度を計算することによって、超音波外科機器は、上に記載されるように、先端が温かいか、または熱いことを外科医に警告するために、発生器におけるマイクロコントローラーによって制御され得る。
【0085】
図15は、
図1、2および2Aに示される超音波外科機器の刃118および導波管114の遠位末端の拡大された図を示す。刃118に埋込まれているのは超音波共振器150である。超音波共振器150は、上に記載されたタイプの圧電性結晶で形成され得るが、共振器150(例えば、加速度計)は、電気エネルギーを取得し、それを機械的運動に変換するよりもむしろ、分析のために、適用された機械的な力を取得し、それをリード152を介してマイクロプロセッサー302またはマイクロコントローラー1004に送られる電気的信号に変換する。
【0086】
1つの実施形態において、超音波共振器150は、超音波外科機器250の刃118に配置される。超音波共振器150は、それが超音波外科機器256(例えば、TAG 256、導波管114、および刃118)の共振周波数からはるかに離れた共振周波数を有するようにサイズ決めされる。例えば、超音波外科機器250が、55.5kHzの室温共振周波数を有する場合、超音波共振器150は、101.7kHzまたは約100kHzの室温共振周波数を有し得る。しかし、共振器150の共振周波数は、超音波外科機器250の共振周波数からなおさらに離され得、それは、例えば、800kHzまたは超音波外科機器250の作動範囲外の他の周波数であり得る。
【0087】
作動において、刃118の機械的運動は、機械的な力を超音波共振器150に伝える。この機械的運動は、共振器150によって電気的信号に変換される。機械的な力が大きくなればなるほど、生み出される電気的信号はより大きくなる。適用される力に依存する電気的信号の結果として、最も大きい電気的信号は、超音波外科機器250の腹において発生され、調波発振の振幅は最も大きい。上で説明したように、刃118は、機械的運動の最大振幅が組織に伝えられ得るように、腹において最も有効に位置される。従って、共振器150は、導波管114および刃118に沿って任意の場所に位置され得るが、腹の近接にそれらを配置するか、または移動がほとんどない、もしくは全くない節から少なくとも離してそれらを配置することはより有効である。
【0088】
使用中、刃118が熱せられると、共振器150も熱せられる。共振器150のこの加熱は、発生される電気的信号に影響を与える。刃118が加熱されるとその共振周波数が偏移し、共振器150の共振周波数も偏移し、それとともに、共振器150によって発生され、マイクロプロセッサー302またはマイクロコントローラー1004に伝えられる電気的信号の構成要素(例えば、周波数および電圧)が偏移する。共振器150は、超音波外科デバイス250の他の構成要素から適度に分離されているので、共振周波数およびそれとともに共振器によって発生される電気的信号の変化の主要な原因は、刃118の加熱によって引き起こされる温度の上昇である。
【0089】
図11〜14に関して上に記載される共振周波数のモニタリングの場合と同様に、共振器150の共振周波数は、製造中に超音波外科デバイス250のメモリーに保存され得る。同様に、スタートアップ中、室温で超音波外科デバイス250が共振を達成する場合に共振器150によって生み出される電気的信号(例えば、周波数および電圧)の特性が、決定され得、メモリーに保存され得る。室温共振において共振器150によって生み出される電気的信号は次に、超音波外科デバイス250の共振周波数がその加熱に起因して使用中に偏移する場合に、共振器150によって生み出される電気的信号と比較され得る。室温電気的信号値を作動中に感知される値と比較することによって、任意の時点における共振器150の温度は、
図14を参照して、発振構造全体の温度を検出することに関して本明細書中に記載されるように、ルックアップテーブルを用いることによる実験式の使用を通して、または当業者に公知の他の手段によって決定され得る。
【0090】
複数の共振器150を導波管114および刃118に沿って配置することによって、超音波外科機器250のどの構成要素が加熱されているか、およびどの程度それらが加熱されているかを共振器150のそれぞれによって生み出される信号を比較することによって決定することが可能である。この手法において、例えば、刃118に位置する共振器150によって発生される電気的信号だけが、室温共振として生み出されたその電気的信号と比較して変化しているので、超音波システム全体(例えば、TAG 256、導波管114、および刃118)の300Hzの周波数偏移が存在するが、顕著な加熱を経ているのは刃118のみであることを、超音波外科機器250、および特にマイクロプロセッサー302または1004は見分け得る。従って、複数の共振器150は、確かめられるべき発振構造に沿って温度勾配を可能にする。あるいは、刃118および導波管118の両方における共振器150が電気的信号の変化を示す場合、超音波外科機器250は、発振構造の全てではないにしても、そのほとんどが加熱を経験していることを決定し得る。
【0091】
代替の実施形態において、共振器150は、別個の信号発生器によって駆動される。従って、例えば、101.7kHzにおける駆動信号は、1つ以上の共振器150に適用され、各共振器の戻り信号は、共振器150の発振を共振に維持するためにモニタリングされる。超音波外科機器250の個々の構成要素が熱せられる場合、各共振器150の共振周波数は、その特定の共振器150の温度から独立して変化する。各個々の共振器150の周波数偏移は、
図13および14におけるシステム全体の温度の検出に関して上に記載されるのと同じ様式で各共振器の温度を決定するためにもともとの101.7kHzと比較され得る。この様式において、単一の構成要素(例えば、刃118)のみが高温を達成する場合に外科医が信号で伝えられるように、またはシステム全体(例えば、TAG 256、導波管114、および刃118)が加熱されているかどうかを外科医が信号で伝えられるように、さらなる情報が使用者に提供され得る。
【0092】
図13および14に関して上に記載される実装の場合と同様に、視覚および可聴、ならびに所定の時間の間、または構成要素もしくはシステムの感知された温度が容認可能なレベルまで戻るまで超音波外科機器250の使用を中止するインターロックを含む種々のインジケーターが、使用者に提供され得る。
【0093】
あるいは、共振器150は、刃118から延びる単純金属突起(示されない)であり得る。各金属突起は、刃118の残り部分と異なる特定の共振周波数を有する。突起の共振周波数は、質量、長さ、材料、および当業者に公知の他の要因に依存する。共振器150の既知のピーク(すなわち、それらの共振周波数)に焦点を当てた上に記載されたDFTまたは高速フーリエ変換のいずれかのフーリエ変換の使用が、刃の共振周波数が検討された手法とほぼ同じ手法において行われ得る。共振器150の共振周波数における、またはその近くにおける変化に焦点を合わせることによって、共振器150の温度の変化は、上に記載された手法と大体同じ手法で決定され得る。
【0094】
図16および17は、超音波外科機器250の品質すなわちQを示すさらなるボードプロットであって、まさに空気中の場合、および組織に触れている場合に、共振において作動する場合のQを比較する、ボードプロットである。Qは、システムの共振の質の尺度である。高質共振(高Q)は、ピークのある形(peaked shape)を有し、より低質共振(低Q)は、より小さい全体の応答およびよりピークのないプロットを有する。
【0095】
図16および17の両方においてわかり得るように、共振構造(例えば、超音波外科機器250)のQは、まさに空気中で作動する場合、または組織と接触している場合に、大いに変動する。事実、Qは、組織に関する様々な要因に依存して変動する。例えば、Qは、乾いた組織と比較して濡れた組織について異なり、剛な構造(例えば、骨)は、より軟らかい構造(例えば、血管および結合組織)とは異なるQを作り出す。刃に適用されるクランプ圧でさえQに影響し得、クランプ圧が高い場合に、より低いQをもたらす。同様に、Qは、エンドエフェクター117において組織に接触することのみによって影響されるのではなく、共振構造(例えば、変換器、導波管、および刃)デバイスの長さに沿った任意の組織接触が、Qを変化させ得る。さらに、節における接触は、腹における接触とは異なる効果を有する。
【0098】
を用いて計算され得、式中、f
rは共振周波数であり、Δfは帯域幅であり、ω
r=2πf
rは角共振周波数であり、Δωは角帯域幅である。より一般に、および反応構成要素仕様(特に、インダクター)の状況において、以下:
【0100】
の通りであるQの周波数依存性の定義が使用される。
【0101】
従って、Qは、共振周波数を測定すること、およびそのプロットを最大エネルギーの半分における帯域幅と比較することによってプロットから誘導され得る。Qは、プロットの「ピーキネス(peakiness)」を実質的に説明する。それは、どのくらいが導波管に保存されるのかと比較してどのくらいのエネルギーが散逸されるのかと考えられ得る。空気中で超音波導波管は、エネルギーがほとんど空気中に散逸されず、全てが導波管に保存されるので非常に高いQを有する。導波管が組織に触れる場合、エネルギーは、組織中に散逸され、Q値を顕著に低下させ、これは、観測された帯域幅が同様の共振周波数に対してはるかにより広いことを意味する。導波管が金属または水に触れる場合、Qはまた、導波管がどれくらい良好にエネルギーを金属または水に散逸するかに依存して異なる。エネルギーが散逸されるほど、Qはより小さくなる。
【0102】
本開示の1つの実施形態において、様々なQ値は、経験的に導かれ、超音波外科機器250のメモリーに保存される。超音波外科機器250が電圧を加えられる場合、Qの定期的な測定が行われ得、メモリーに保存された値と比較され得る。測定された値を保存された値と比較することによって、信号は、エンドエフェクター117中の材料のタイプに関して、いつでも使用者に提供され得る。これは、エンドエフェクター117内に骨が存在すること、または大きすぎるクランプ圧が問題の組織に適用されていること、または刃118もしくは導波管114が、例えば、別の外科的実装または患者内の移植物からの金属に接触していること、または熱い場合がある導波管がその長さに沿ったある場所で組織に接触していることを、例えば、使用者に警告するために有用であり得る。さらに、Q値は、刃118がエンドエフェクターの他の部分(それは、非常に剛である)に接触していること、およびそのような継続した接触は、超音波外科機器250を損傷し得ることを外科医に示し得る。
【0103】
さらなる実施形態において、超音波外科機器250は、エンドエフェクター117内に把持されている特定の組織のQ値を導出し、より良好な組織効果を実現するために電力および駆動信号パラメーターを調整し得る。これは、インピーダンスが共振周波数に対してプロットされ、それが、刃118に適用される負荷を示す
図17におけるプロットのQ値を考慮することによって達成され得る。
【0104】
なおさらなる実施形態において、超音波外科機器250は、Q値がいつ変化するかを決定するためにQ値をモニタリングし得、そのような変化の際にエネルギーの適用を変更し(例えば、エネルギーの適用を止める)得、それとともに刃118の運動を変更し得る。これは、例えば、異なる特性を有する組織の層が存在する例、例えば、組織の第一の層を切断するが、組織の第二の層を切断しないことが望ましい腸の手術(例えば、腸切開)において有用であり得る。そのような例において、エンドエフェクター117の最初の把持、および超音波エネルギーの適用後、第一のQ値が決定され得、次にQ値は、組織についてのQ値の変化が検出されるまでモニタリングされ得る。いくつかの例において、変化は事前設定した量または割合よりも大きくなければならない。または他の例において、任意の変化は、エンドエフェクターが下にある組織を処置することを防ぐために、手順の停止をもたらし得る。それにもかかわらず、Q値の所望される変化の際に、組織のさらなる切断または処置を防ぐために超音波外科デバイスに適用されるエネルギーは変更される(例えば、停止される)。
【0105】
Q値のモニタリングは、本明細書中で詳細に記載されるが、超音波外科機器の作動のモニタリングおよび調整は、Q値に限定されない。代わりに、刃と接触している材料に関しての情報を含む信号の他の特性もモニタリングされ得、刃に適用されるエネルギーは、Q値に関して本明細書中で記載されるように、その特性の変化および閾値を検出する際に、本明細書中に記載されるのと同様の様式で調整される。
【0106】
本明細書中に記載される実施形態のうちの全てにおいて、収集されたデータ(例えば、共振周波数データ)、行われた計算(例えば、温度またはQ値)、および超音波外科機器250に関する他のパラメーターは、メモリー(例えば、EEPROM、または例えば、TAG 256内に収容される他のデータ保存デバイス)内に局所的に保存され得る。このデータはまた、超音波外科機器250のTAG 256または他の要素の使用に関する問題が持ち上がった場合にそれが後に分析され得るようにメモリーからダウンロード可能であり得る。
【0107】
さらに、本明細書中の実施形態のうちのいくつかは、
図2Aに示される超音波外科機器250を参照して具体的に記載されたが、これらの概念および制御の特徴は、他の超音波外科システムにおいて同等に使用可能であり、他の超音波外科システムとしては、
図1、2、および3に示され、本明細書中で超音波外科機器300として詳細に記載されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0108】
本開示の特定の実施形態が開示されているが、当業者は、本開示の趣旨および範囲から外れることなく、特定の実施形態に対して変更がなされ得ることを理解する。従って、本開示の範囲は、特定の実施形態に対して制限されるべきではなく、添付の特許請求の範囲が任意および全てのそのような適用、改変、および実施形態を本開示の範囲内に含むことが意図される。
【0109】
前述のものから、および種々の図面を参照して、当業者はまた、本開示の範囲から外れることなく、特定の改変が本開示に対してなされ得ることを認識する。本開示のうちのいくつかの実施形態は、図面に示され、そして/または本明細書中で議論されるが、本開示は、当該分野が許可するのと同じくらい範囲が広いこと、および本明細書が同様に読まれることを意図するので、本開示がそれに対して限定されることは意図されない。従って、上の記載は、限定するものではなく、単に特定の実施形態の例示として解釈されるべきである。当業者は、本明細書に添付される特許請求の範囲の範囲および趣旨内にある他の改変を想定する。