(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
外気温度が低い場合には、外気温度が高い場合にくらべて、タンクからの放熱量が多く、タンク内の水の温度降下も速くなる。このため、停電からの復帰時のタンク内の水の温度が同じ温度であっても、外気温度が低い場合には、外気温度が高い場合にくらべて、前回の高温沸上げからの経過時間は短いものと考えられる。このため、外気温度が高い場合に用いる基準温度を、外気温度が低い場合にもそのまま適用すると、実際には前回の高温沸上げからそれほど時間が経過しておらず雑菌の繁殖のおそれがない場合についても、滅菌処理が必要と誤って判断してしまう。一般に、ヒートポンプのエネルギー効率は、低温(例えば45℃)での沸上げに比べて、高温(例えば65℃)での沸上げの方が低くなるため、本来は必要でない高温沸上げを行うことは、省エネルギーの観点から好ましいものではない。外気温度が低い場合と、外気温度が高い場合のいずれについても、滅菌処理の要否を適切に判断することが可能な技術が期待されている。
【0006】
本明細書では、停電からの復帰時に、タンク内の水の滅菌処理の要否を適切に判断することが可能な給湯システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書が開示する給湯システムは、タンクと、タンクの水を沸かし上げるヒートポンプと、タンク内の水の温度を検出するタンクサーミスタと、外気温度を検出する外気温度サーミスタと、コントローラを備えている。その給湯システムでは、コントローラは、停電からの復帰時に、タンク内の水の温度が基準温度よりも低い場合に、殺菌可能な温度までタンク内の水を沸かし上げるようにヒートポンプを駆動する。その給湯システムでは、コントローラは、外気温度が低いほど、基準温度を低く設定する。
【0008】
上記の給湯システムでは、外気温度が高い場合には、高い基準温度を用いて滅菌処理の要否を判断し、外気温度が低い場合には、低い基準温度を用いて滅菌処理の要否を判断する。このため、外気温度の高低に起因するタンク内の水の温度降下速度の違いを考慮に入れて、停電からの復帰時のタンク内の水の温度から、前回の高温沸上げからの経過時間を適切に判断することができる。このような構成とすることによって、外気温度が低い場合と、外気温度が高い場合のいずれについても、滅菌処理の要否を適切に判断することができる。
【0009】
上記の給湯システムは、タンクから給湯箇所への水の供給を制御する制御弁と、給湯箇所へ供給される水を加熱するバーナをさらに備えており、コントローラは、停電からの復帰時に、タンク内の水の温度が基準温度よりも低い場合に、タンクから給湯箇所への水の供給を停止するように制御弁を駆動するように構成することができる。
【0010】
上記の給湯システムでは、停電からの復帰時のタンク内の水の温度が基準温度よりも低い場合、すなわちタンク内の水に雑菌が繁殖しているおそれがある場合に、タンクから給湯箇所への水の供給を停止する。上記の給湯システムによれば、高温沸上げによる滅菌処理の要否だけでなく、タンクから給湯箇所への水の供給停止の要否についても、外気温度が高い場合と、外気温度が低い場合で、それぞれ適切に判断することができる。
【0011】
上記の給湯システムは、ヒートポンプの冷媒がフロン系冷媒であるように構成することができる。
【0012】
一般に、フロン系冷媒を用いるヒートポンプでは、外気温度が低い場合に、水を高温で沸上げることが困難となる。このため、タンク内の水の滅菌処理が必要と判断される場合でも、外気温度が上昇するまで高温沸上げを行うことができず、タンク内の水を給湯に使用できない期間が長いものとなる。上記の給湯システムによれば、外気温度が低い場合において、滅菌処理の要否を適切に判断できるため、タンク内の水を給湯に使用できない期間を必要最低限度に抑えることができる。ユーザの利便性を向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施例)
図1に示すように、本実施例に係る給湯システム2は、HP(ヒートポンプ)ユニット4と、タンクユニット6と、バーナユニット8を備えている。
【0015】
HPユニット4は、外気から吸熱して水を加熱する熱源である。HPユニット4は、圧縮機10と、凝縮器12と、膨張弁14と、蒸発器16を備えている。圧縮機10は、冷媒を加圧して高温高圧にする。凝縮器12は、水との熱交換により冷媒を冷却する。膨張弁14は、冷媒を減圧して低温低圧にする。蒸発器16は、外気との熱交換により冷媒を加熱する。HPユニット4は、冷媒(例えばフロン系冷媒)を、圧縮機10、凝縮器12、膨張弁14、蒸発器16の順に循環させることで、外気から吸熱して水を加熱する。HPユニット4はさらに、凝縮器12に水を循環させる循環ポンプ18と、凝縮器12に流れ込む水の温度を検出する戻りサーミスタ20と、凝縮器12から流れ出る水の温度を検出する往きサーミスタ22と、外気温度を検出する外気温度サーミスタ23と、HPユニット4の各構成要素の動作を制御するHPコントローラ24を備えている。
【0016】
タンクユニット6は、タンク30と、混合弁32と、バイパス制御弁34を備えている。タンク30は、外側が断熱材で覆われており、内部に水を蓄える密閉型の容器である。本実施例のタンク30の容量は、例えば100リットルである。HPユニット4の循環ポンプ18が駆動すると、タンク30の底部から水が吸い出されて凝縮器12へ送られる。凝縮器12で加熱されて高温となった水は、タンク30の頂部からタンク30内に戻される。HPユニット4によって加熱された水がタンク30に流れ込むと、タンク30の内部には、低温の水の層の上に高温の水の層が積み重なった温度成層が形成される。タンク30には、上部の水の温度を検出する貯湯サーミスタ36と、中間部の水の温度を検出する中間サーミスタ38が取り付けられている。
【0017】
タンクユニット6には、給水経路40を介して水道水が供給される。給水経路40には、給水圧力を減圧する減圧弁42と、給水温度を検出する入水サーミスタ44が取り付けられている。給水経路40は、タンク30の底部に連通するタンク給水経路46と、混合弁32に連通するタンクバイパス経路48に分岐している。タンク給水経路46とタンクバイパス経路48には、それぞれ逆止弁50,52が取り付けられている。また、タンクバイパス経路48には、混合弁32に流入する水道水の流量を検出する水側水量センサ54が取り付けられている。タンク30の頂部と混合弁32は、タンク出湯経路56を介して連通している。タンク出湯経路56には、逆止弁58と、混合弁32に流入するタンク30からの水の流量を検出する湯側水量センサ60が取り付けられている。
【0018】
混合弁32は、タンクバイパス経路48から流れ込む水道水と、タンク出湯経路56から流れ込むタンク30からの水を混合して、第1給湯経路62に送り出す。混合弁32は、ステッピングモータによって弁を駆動し、タンクバイパス経路48側の開度(水側の開度)と、タンク出湯経路56側の開度(湯側の開度)を調整する。第1給湯経路62には、混合弁32から送り出される水の温度を検出する混合サーミスタ64が取り付けられている。
【0019】
タンクユニット6からは、第2給湯経路66を介して、台所やシャワー、カラン等の給湯箇所への給湯が行われる。第2給湯経路66には、給湯箇所へ供給される水の温度を検出する給湯出口サーミスタ68と、逆止弁70が取り付けられている。第1給湯経路62と第2給湯経路66の間は、給湯バイパス経路72によって連通している。給湯バイパス経路72には、バイパス制御弁34が取り付けられている。
【0020】
タンクユニット6はさらに、タンクコントローラ74と、タンクコントローラ74と通信可能なリモコン76を備えている。タンクコントローラ74は、タンクユニット6の各構成要素の動作を制御する。リモコン76は、スイッチやボタン等を介して、ユーザからの各種の操作入力を受け入れる。また、リモコン76は、表示や音声によってユーザに給湯システム2の設定や動作に関する各種の情報を通知する。
【0021】
バーナユニット8は、バーナ80と、熱交換器82と、バイパスサーボ84と、水量サーボ86と、湯はり弁88を備えている。バーナ80は、ガスの燃焼によって熱交換器82を流れる水を加熱する熱源である。熱交換器82には、バーナ往路90を介して、タンクユニット6の第1給湯経路62からの水が流れ込む。熱交換器82を通過した水は、バーナ復路92を介して、タンクユニット6の第2給湯経路66へ流れ出る。バーナ往路90には、熱交換器82へ流れ込む水の流量を調整する水量サーボ86が取り付けられている。バーナ往路90とバーナ復路92の間は、バーナバイパス経路94を介して連通している。バーナ往路90とバーナバイパス経路94の接続部に、バイパスサーボ84が取り付けられている。バイパスサーボ84は、バーナ往路90からバーナバイパス経路94へ流れる水の流量を調整する。バーナ復路92には、熱交換器82から流れ出る水の温度を検出するバーナ給湯サーミスタ96が取り付けられている。バーナ復路92からは、湯はり経路98が分岐している。湯はり経路98には、湯はり弁88が取り付けられている。バーナユニット8からは、湯はり経路98を介して、給湯箇所である浴槽への湯はりが行われる。バーナユニット8はさらに、バーナユニット8の各構成要素の動作を制御するバーナコントローラ100を備えている。
【0022】
HPコントローラ24とタンクコントローラ74は、互いに通信可能である。タンクコントローラ74とバーナコントローラ100は、互いに通信可能である。従って、HPコントローラ24と、タンクコントローラ74と、バーナコントローラ100が協調して制御を行うことで、給湯システム2は沸上げ運転や給湯運転等の各種の動作を行うことができる。以下では、HPコントローラ24と、タンクコントローラ74と、バーナコントローラ100を総称して、単にコントローラとも呼ぶ。
【0023】
以下では、給湯システム2の主要な動作について説明する。
【0024】
(沸上げ運転)
沸上げ運転では、給湯システム2は、HPユニット4を駆動して、タンク30内の水を沸かし上げる。沸上げ運転を開始するタイミングは、様々な観点から設定することが可能である。例えば、割安な深夜電力を利用可能な時間帯が終了する直前に、タンク30内の水の沸上げが終了するように、コントローラが沸上げ運転の開始タイミングを決定してもよい。あるいは、前日までの給湯実績に基づいて、大きな給湯需要の発生が予想される時刻の直前に、タンク30の水の沸上げが終了するように、コントローラが沸上げ運転の開始タイミングを決定してもよい。あるいは、ユーザがリモコン76を介してタンク30の水の沸上げを指示することで、コントローラが沸上げ運転を開始してもよい。
【0025】
図2に示すように、沸上げ運転が開始されると、ステップS2で、コントローラは滅菌沸上げ要求の有無を判断する。滅菌沸上げは、タンク30内の水に雑菌が繁殖しているおそれがある場合に、タンク30の水を殺菌可能な高温(例えば65℃)で沸き上げる運転である。一般に、タンク30の内部の水が、低温(例えば60℃以下の温度)のまま長時間(例えば72時間以上)滞留している場合には、タンク30内の水に雑菌が繁殖しているおそれがあると考えられる。このような場合に、コントローラは滅菌沸上げ要求フラグをオンにしておき、その後の沸上げ運転においてタンク30内の水の滅菌処理を行う。
【0026】
ステップS2で滅菌沸上げ要求が有る場合(YESの場合)、処理はステップS4へ進み、コントローラは、高温沸上げ運転を開始する。高温沸上げ運転では、圧縮機10を駆動して、圧縮機10、凝縮器12、膨張弁14、蒸発器16の順に冷媒を循環させるとともに、循環ポンプ18を駆動して、タンク30と凝縮器12の間で水を循環させる。これによって、タンク30の底部から吸い出された水は、凝縮器12において目標とする沸上げ温度まで加熱されて、タンク30の頂部に戻される。高温沸上げ運転においては、目標とする沸上げ温度は、殺菌可能な高温(例えば65℃)に設定されている。高温沸上げ運転を行うことによって、タンク30の水は確実に殺菌されて、その後の給湯に利用することが可能となる。タンク30内の水が全て目標とする沸上げ温度の水で置き換えられると、高温沸上げ運転を終了する。
【0027】
ステップS2で滅菌沸上げ要求が無い場合(NOの場合)、処理はステップS6へ進み、コントローラは、低温沸上げ運転を開始する。低温沸上げ運転では、圧縮機10を駆動して、圧縮機10、凝縮器12、膨張弁14、蒸発器16の順に冷媒を循環させるとともに、循環ポンプ18を駆動して、タンク30と凝縮器12の間で水を循環させる。これによって、タンク30の底部から吸い出された水は、凝縮器12において目標とする沸上げ温度まで加熱されて、タンク30の頂部に戻される。低温沸上げ運転においては、目標とする沸上げ温度は、高温沸上げ運転での沸上げ温度よりも低い温度(例えば45℃)に設定されている。一般に、ヒートポンプで水を加熱する場合、沸上げ温度が低いほど、エネルギー効率は高くなる。このため、タンク30の水を殺菌する必要がない場合には、低温沸上げ運転を行うように構成することで、省エネルギーを実現することができる。タンク30内の水が全て目標とする沸上げ温度の水で置き換えられると、低温沸上げ運転を終了する。
【0028】
(給湯運転)
給湯運転では、給湯設定温度の水を給湯箇所へ供給する。本実施例の給湯システム2では、例えば水側水量センサ54で検出される水量と、湯側水量センサ60で検出される水量を合算した水量(給湯水量)が、所定値以上となった場合に、給湯運転を開始する。
【0029】
図3に示すように、給湯運転が開示されると、ステップS8で、コントローラは、タンク止水要求の有無を判断する。ここでいうタンク止水とは、タンク30内の水に雑菌が繁殖しているおそれがある場合に、混合弁32においてタンク出湯経路56側の開度(湯側の開度)を全閉にし、タンク30から給湯箇所へ水が供給されないようにすることを意味する。例えば、コントローラは、タンク30の内部の水が、低温(例えば60℃以下の温度)のまま長時間(例えば96時間以上)滞留している場合に、タンク止水要求フラグをオンにしておき、その後の給湯運転においてタンク30内の水が給湯箇所へ供給されないようにする。
【0030】
ステップS8でタンク止水要求が有る場合(YESの場合)、処理はステップS10へ進み、コントローラは、バーナ80の燃焼運転を許可する。さらに、ステップS12で、コントローラは、混合弁32を制御して、タンクバイパス経路48側の開度(水側の開度)を全開にして、タンク出湯経路56側の開度(湯側の開度)を全閉にする。これによって、タンク30から給湯箇所への水の供給が禁止される。この場合、給水経路40から供給される低温の水道水が、バーナ80によって給湯設定温度まで加熱されて、給湯箇所へ供給される。
【0031】
ステップS8でタンク止水要求が無い場合(NOの場合)、処理はステップS14へ移行する。ステップS14では、タンク30が湯切れをしているか否かを判断する。本実施例では、コントローラは、貯湯サーミスタ36で検出される温度が給湯設定温度を下回った場合に、タンク30が湯切れしたものと判断する。
【0032】
タンク30が湯切れしていない場合(ステップS14でNOの場合)、処理はステップS16へ進む。ステップS16では、コントローラは、バーナ80の燃焼運転を禁止する。また、ステップS18では、コントローラは、混合サーミスタ64で検出される温度が給湯設定温度となるように、混合弁32の開度を調整する。この場合、タンク30の上部から供給される高温の水と、給水経路から供給される低温の水道水が、混合弁32において給湯設定温度となるように混合されて、給湯箇所へ供給される。
【0033】
ステップS14でタンク30が湯切れしている場合(YESの場合)、処理はステップS20へ進む。ステップS20では、コントローラは、バーナ80の燃焼運転を許可する。また、ステップS22では、コントローラは、混合サーミスタ64で検出される温度が、給湯設定温度よりもわずかに低い温度となるように、混合弁32の開度を調整する。この場合、タンク30の上部から供給される高温の水と、給水経路から供給される低温の水道水が、混合弁32において混合された後、バーナ80によって給湯設定温度まで加熱されて、給湯箇所へ供給される。
【0034】
ステップS24では、給湯箇所への給湯が終了したか否かを判断する。本実施例の給湯システム2では、例えば水側水量センサ54で検出される水量と、湯側水量センサ60で検出される水量を合算した水量(給湯水量)が、所定値を下回った場合に、給湯が終了したものと判断する。ステップS24で給湯が終了していない場合(NOの場合)、処理はステップS8へ戻る。給湯が終了した場合(ステップS24でYESの場合)、ステップS26でバーナ80の燃焼運転を禁止して、給湯運転処理を終了する。
【0035】
(停電時復帰処理)
給湯システム2において停電が生じると、コントローラには電力が供給されなくなり、停電の間は計時を行うことができなくなる。このため、停電から復帰した時点では、コントローラは、タンク30内の水の滞留時間を把握することができず、滅菌沸上げの要否やタンク止水の要否を判断することができない。そこで、本実施例の給湯システム2では、
図4に示す停電時復帰処理を行って、滅菌沸上げおよびタンク止水の要否を判断する。
【0036】
図4に示すように、停電時復帰処理が開始されると、ステップS28で、コントローラは、混合弁32を制御して、タンクバイパス経路48側の開度(水側の開度)を全開にして、タンク出湯経路56側の開度(湯側の開度)を全閉にする。これによって、タンク30から給湯箇所への水の供給が禁止される。これにより、万が一、タンク30内の水に雑菌が繁殖している場合でも、その水が給湯箇所へ供給されることを防ぐことができる。
【0037】
ステップS30では、コントローラは、外気温度サーミスタ23で検出される外気温度が、所定の切換温度(例えば5℃)を下回るか否かを判断する。外気温度が切換温度を下回る場合(YESの場合)、処理はステップS32へ進み、コントローラは基準温度を25℃に設定する。外気温度が切換温度以上の場合(NOの場合)、処理はステップS34へ進み、コントローラは基準温度を35℃に設定する。
【0038】
ステップS36では、中間サーミスタ38で検出されるタンク30内の水の温度(貯湯温度ともいう)が、基準温度を下回るか否かを判断する。タンク30内の水の温度が基準温度を下回る場合(YESの場合)、タンク30の内部の水に雑菌が繁殖しているおそれがあると考えられる。このため、ステップS38で、コントローラはタンク止水要求フラグをオンにし、ステップS40で、コントローラは滅菌沸上げ要求フラグをオンにして、停電時復帰処理を終了する。ステップS36で、タンク30内の水の温度が基準温度以上の場合(NOの場合)、そのまま停電時復帰処理を終了する。
【0039】
以上のように、本実施例の給湯システム2は、タンク30と、タンク30の水を沸かし上げるHPユニット4(ヒートポンプに相当する)と、タンク30内の水の温度を検出する中間サーミスタ(タンクサーミスタに相当する)と、外気温度を検出する外気温度サーミスタ23と、HPコントローラ24、タンクコントローラ74およびバーナコントローラ100からなるコントローラを備えている。コントローラは、停電からの復帰時に、タンク30内の水の温度が基準温度よりも低い場合に、殺菌可能な温度までタンク内の水を沸かし上げるようにHPユニット4を駆動する。コントローラは、外気温度が低いほど、基準温度を低く設定する。このため、本実施例の給湯システム2によれば、外気温度の高低に起因するタンク30内の水の温度降下速度の違いを考慮に入れて、停電からの復帰時のタンク30内の水の温度から、前回の高温沸上げからの経過時間を適切に判断することができる。このような構成とすることによって、外気温度が低い場合と、外気温度が高い場合のいずれについても、滅菌処理の要否を適切に判断することができる。なお、上記の実施例では、外気温度に応じて基準温度が段階的に変化するように基準温度を設定する場合を例として説明したが、例えば外気温度に応じて基準温度が比例的に変化するように基準温度を設定してもよい。
【0040】
上記の給湯システム2は、タンク30から給湯箇所への水の供給を制御する混合弁32(制御弁に相当する)と、給湯箇所へ供給される水を加熱するバーナ80をさらに備えており、コントローラは、停電からの復帰時に、タンク30内の水の温度が基準温度よりも低い場合に、タンク30から給湯箇所への水の供給を停止するように混合弁32を駆動する。このような構成とすることによって、高温沸上げによる滅菌処理の要否だけでなく、タンク30から給湯箇所への水の供給停止の要否についても、外気温度が高い場合と、外気温度が低い場合で、それぞれ適切に判断することができる。
【0041】
上記の給湯システム2では、HPユニット4の冷媒がフロン系冷媒である。一般に、フロン系冷媒を用いるヒートポンプでは、外気温度が低い場合に、水を高温で沸上げることが困難となる。このため、タンク30内の水の滅菌処理が必要と判断される場合でも、外気温度が上昇するまで高温沸上げを行うことができず、タンク30内の水を給湯に使用できない期間が長いものとなる。上記の給湯システム2によれば、外気温度が低い場合において、滅菌処理の要否を適切に判断できるため、タンク30内の水を給湯に使用できない期間を必要最低限度に抑えることができる。ユーザの利便性を向上することができる。
【0042】
以上、各実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0043】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は、複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。