特許第6196853号(P6196853)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6196853
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】3レベルコンバータハーフブリッジ
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/487 20070101AFI20170904BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20170904BHJP
【FI】
   H02M7/487
   H02M7/48 Z
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-187201(P2013-187201)
(22)【出願日】2013年9月10日
(65)【公開番号】特開2014-73073(P2014-73073A)
(43)【公開日】2014年4月21日
【審査請求日】2016年6月3日
(31)【優先権主張番号】10 2012 217 905.4
(32)【優先日】2012年10月1日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】592221975
【氏名又は名称】ゼミクロン エレクトローニク ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100091867
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 アキラ
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】インゴ シュタウト
(72)【発明者】
【氏名】アーレント ヴィントリッヒ
【審査官】 栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−166696(JP,A)
【文献】 特開2000−060140(JP,A)
【文献】 特開平11−089249(JP,A)
【文献】 特開平10−285950(JP,A)
【文献】 特開2013−143812(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/487
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板(2)と、該第1の基板(2)と分かれて配置された第2の基板(3)とを備えて構成される3レベルコンバータハーフブリッジであって、第1の基板(2)が第1の絶縁材料体(6a)と該第1の絶縁材料体(6a)上に配置された導電性の第1の構造化伝導層(7a)とを有し、第1のパワー半導体スイッチ(T1)、第2のパワー半導体スイッチ(T2)、第1のダイオード(D1)及び第1のダイオード装置(10)が第1の構造化伝導層(7a)上に配置され、該第1の構造化伝導層(7a)に接続されており、第2の基板(3)が第2の絶縁材料体(6b)と該第2の絶縁材料体(6b)上に配置された導電性の第2の構造化伝導層(7b)とを有し、第3のパワー半導体スイッチ(T3)、第4のパワー半導体スイッチ(T4)、第2のダイオード(D2)及び第2のダイオード装置(11)が第2の構造化伝導層(7b)上に配置され、該第2の構造化伝導層(7b)に接続されており、第1のパワー半導体スイッチ(T1)の第2の負荷電流接続部(E)が第2のパワー半導体スイッチ(T2)の第1の負荷電流接続部(C)に導電接続され、第4のパワー半導体スイッチ(T4)の第1の負荷電流接続部(C)が第3のパワー半導体スイッチ(T3)の第2の負荷電流接続部(E)に導電接続され、第1のダイオード(D1)のカソードが第1のパワー半導体スイッチ(T1)の第2の負荷電流接続部(E)に導電接続され、第2のダイオード(D2)のアノードが第3のパワー半導体スイッチ(T3)の第2の負荷電流接続部(E)に導電接続され、第2のパワー半導体スイッチ(T2)の第2の負荷電流接続部(E)が第1のダイオード装置(10)のカソード接続部に導電接続され、第3のパワー半導体スイッチ(T3)の第1の負荷電流接続部(C)が第2のダイオード装置(11)のアノード接続部に導電接続され、第1のパワー半導体スイッチ(T1)の第1の負荷電流接続部(C)が第2のダイオード装置(11)のカソード接続部に導電接続され、第4のパワー半導体スイッチ(T4)の第2の負荷電流接続部(E)が第1のダイオード装置(10)のアノード接続部に導電接続され、第1のダイオード(D1)のアノードが第2のダイオード(D2)のカソードに導電接続され、第2のパワー半導体スイッチ(T2)の第2の負荷電流接続部(E)が第3のパワー半導体スイッチ(T3)の第1の負荷電流接続部(C)に導電接続されている、3レベルコンバータハーフブリッジ。
【請求項2】
第1のダイオード装置(10)が第5のダイオード(D5)と第6のダイオード(D6)を有し、第6のダイオード(D6)のカソードが第5のダイオード(D5)のアノードと導電接続され、第2のダイオード装置(11)が第3のダイオード(D3)と第4のダイオード(D4)を有し、第4のダイオード(D4)のカソードが第3のダイオード(D3)のアノードと導電接続されることを特徴とする、請求項1に記載の3レベルコンバータハーフブリッジ。
【請求項3】
第1のダイオード(D1)のカソードが第4のダイオード(D4)のカソードに導電接続されず、第6のダイオード(D6)のカソードが第2のダイオード(D2)のアノードに導電接続されないことを特徴とする、請求項2に記載の3レベルコンバータハーフブリッジ。
【請求項4】
第1のダイオード装置(10)が個別ダイオード(D7)の様式で具現化され、第2のダイオード装置が個別ダイオード(D8)の様式で具現化されることを特徴とする、請求項1に記載の3レベルコンバータハーフブリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3レベルコンバータハーフブリッジ(three-level converter half-bridge)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
広く用いられている従来のコンバータと比べて3レベルコンバータ(整流器)は、インバータとして操作されるならば、(従来のコンバータのように)AC電圧側での負荷接続部(load connections)ACで、中間回路電圧(intermediate circuit voltage)Udの電気的に正の又は負の電圧に実質的に対応する電圧値を有する電気AC電圧を生じるだけでなく、AC電圧側での負荷接続部ACで、中間回路電圧Udの電気的に正の又は負の電圧の半分に実質的に対応する電圧値を有する電気電圧(electrical voltage)を付加的に生じることによって、区別される。
【0003】
その結果、例えばAC電圧側での負荷接続部ACでコンバータによって生じた電圧は、シヌソイドのAC電圧に良好に近似可能である。
この場合、3レベルコンバータは、多数の3レベルコンバータハーフブリッジを有し、これらは3レベルコンバータを実現するために互いに電気的に相互接続されている。
【0004】
3レベルコンバータの場合、3レベルコンバータを実現するのに要する全てのパワー半導体スイッチやダイオードが個別基板上に配置され、基板の導体層とボンディングワイヤによって互いに導電接続されることが公知である。しかしながら、3レベルコンバータを実現するのに要する全てのパワー半導体スイッチやダイオードが個別基板上に配置される3レベルコンバータにおいて実現可能である電力は、個別基板の熱散逸能が限定されているために、制限されている。
【0005】
さらに、3レベルコンバータを実現するために、特に高い電力を有する3レベルコンバータを実現するために、パワー半導体スイッチやダイオードが互いに分かれた多数の基板上に配置され、基板が例えば電気線によって互いに導電接続されることも知られている。この場合、基板上に配置されたパワー半導体スイッチやダイオードは、通常、電気的な電圧や電流を調整し逆転するのに用いられる複数の所謂ハーフブリッジ回路を形成するために、電気的に相互接続されている。基板は一般的にヒートシンクに直接、あるいは間接的に接続される。基板が接続される電気線は、比較的高い寄生インダクタンスを有し、それによって転流(整流)プロセス中に高いスイッチング過電圧が生じ、パワー半導体スイッチにとって実現可能なスイッチングスピードとスイッチング頻度を減らす欠点を有する。
【0006】
パワー半導体スイッチは一般的に、例えばIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)やMOSFET(金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)のようなトランジスタの形態で、あるいは制御して消すことができるサイリスターの形態で存在する。
【0007】
特許文献1は、寄生インダクタンスを低下させたパワー半導体モジュールを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】EP 1 670 131 A2(特開2006-166696に対応する)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、動作過電圧(スイッチング過電圧)を減少させた3レベルコンバータハーフブリッジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、第1の基板と、該第1の基板と分かれて配置された第2の基板とを備えて構成される3レベルコンバータハーフブリッジであって、第1の基板が第1の絶縁材料体(insulating material body)と該第1の絶縁材料体上に配置された導電性の第1の構造化伝導層(structured conduction layer)とを有し、第1のパワー半導体スイッチ、第2のパワー半導体スイッチ、第1のダイオード及び第1のダイオード装置(diode arrangement)が第1の構造化伝導層上に配置され、該第1の構造化伝導層に接続されており、第2の基板が第2の絶縁材料体と該第2の絶縁材料体上に配置された導電性の第2の構造化伝導層とを有し、第3のパワー半導体スイッチ、第4のパワー半導体スイッチ、第2のダイオード及び第2のダイオード装置が第2の構造化伝導層上に配置され、該第2の構造化伝導層に接続されており、第1のパワー半導体スイッチの第2の負荷電流接続部(load current connection)が第2のパワー半導体スイッチの第1の負荷電流接続部に導電接続され、第4のパワー半導体スイッチの第1の負荷電流接続部が第3のパワー半導体スイッチの第2の負荷電流接続部に導電接続され、第1のダイオードのカソードが第1のパワー半導体スイッチの第2の負荷電流接続部に導電接続され、第2のダイオードのアノードが第3のパワー半導体スイッチの第2の負荷電流接続部に導電接続され、第2のパワー半導体スイッチの第2の負荷電流接続部が第1のダイオード装置のカソード接続部に導電接続され、第3のパワー半導体スイッチの第1の負荷電流接続部が第2のダイオード装置のアノード接続部に導電接続され、第1のパワー半導体スイッチの第1の負荷電流接続部が第2のダイオード装置のカソード接続部に導電接続され、第4のパワー半導体スイッチの第2の負荷電流接続部が第1のダイオード装置のアノード接続部に導電接続され、第1のダイオードのアノードが第2のダイオードのカソードに導電接続され、第2のパワー半導体スイッチの第2の負荷電流接続部が第3のパワー半導体スイッチの第1の負荷電流接続部に導電接続されている、3レベルコンバータハーフブリッジによって達成される。
【0011】
本発明の有利な実施形態は、従属請求項から明らかである。
第1のダイオード装置が第5のダイオードと第6のダイオードを有し、第6のダイオードのカソードが第5のダイオードのアノードと導電接続され、第2のダイオード装置が第3のダイオードと第4のダイオードを有し、第4のダイオードのカソードが第3のダイオードのアノードと導電接続されるならば、有利であると分かる。このやり方によって、3レベルコンバータハーフブリッジの全てのダイオードのために同じ逆電圧(reverse voltage)を有するダイオードの使用が可能である。
【0012】
さらに、第1のダイオードのカソードが第4のダイオードのカソードに導電接続されず、第6のダイオードのカソードが第2のダイオードのアノードに導電接続されないならば、有利であると分かる。なぜならば、3レベルコンバータハーフブリッジが結果として、より簡単に構成可能だからである。
【0013】
さらに、第1のダイオード装置が個別ダイオードの様式で具現化され、第2のダイオード装置が個別ダイオードの様式で具現化され、3レベルコンバータハーフブリッジを実現するのに要するダイオードの数を減らすことができるならば、有利であると分かる。
本発明の例示的な実施形態は図面に示され、以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】工業技術的に通例の3レベルコンバータハーフブリッジの電気回路図を示す。
図2】本発明に係る3レベルコンバータハーフブリッジの電気回路図と、第1の基板と第2の基板の間の、本発明に係る3レベルコンバータハーフブリッジのパワー半導体スイッチとダイオードの本発明に係る区分とを示す。
図3】本発明に係る3レベルコンバータハーフブリッジの第1の基板と、該第1の基板に配置されたパワー半導体スイッチとダイオードを概略図で示す。
図4】本発明に係る3レベルコンバータハーフブリッジの第2の基板と、該第2の基板に配置されたパワー半導体スイッチとダイオードを概略図でを示す。
図5】本発明に係る更なる3レベルコンバータハーフブリッジの電気回路図と、第1の基板と第2の基板の間の、本発明に係る更なる3レベルコンバータハーフブリッジのパワー半導体スイッチとダイオードの本発明に係る区分とを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、従来技術に係る3レベルコンバータハーフブリッジの電気回路図を示す。3レベルコンバータハーフブリッジは第1のパワー半導体スイッチT1と、第2のパワー半導体スイッチT2と、第3のパワー半導体スイッチT3と、第4のパワー半導体スイッチT4と、第1のダイオードD1と、第2のダイオードD2と、第3のダイオードD3と、第4のダイオードD4と、第5のダイオードD5と、第6のダイオードD6とを有し、これらは図1に示したように、電気的に相互接続されていて、所謂ハーフブリッジ回路を形成する。3レベルコンバータハーフブリッジは、2つの電圧源(図1に図示せず)によって給電される。これら電圧源は夫々、半分の中間回路電圧Ud/2を生じる(中間回路電圧Udは2つのDC電圧接続部DC+とDC−の間に存する)。
【0016】
図1において、パワー半導体スイッチはIGBTとして具現化され、制御入力部Gを介してオン・オフされる。相応してパワー半導体スイッチをオン・オフすることによって、AC電圧側での負荷接続部ACで、中間回路電圧Udの電気的電圧に基本的に対応する絶対値か半分の電気的中間回路電圧Ud/2に基本的に対応する絶対値を有する電気的電圧を生じることが可能で、パワー半導体スイッチの対応する駆動で、AC電圧側での負荷接続部ACで対応する電圧が半分の中間回路電圧Ud/2の2つか、中間回路電圧Udから生成される。3レベルコンバータの電気的作用は、一般的に既知の従来技術である。
【0017】
3レベルコンバータは多数の3レベルコンバータハーフブリッジを有することが特筆されるべきである。それゆえ、3レベルコンバータは例えば3つの3レベルコンバータハーフブリッジを有して、それらによって、3レベルコンバータハーフブリッジのパワー半導体スイッチの対応する駆動の結果として、半分の中間回路電圧Ud/2の2つからか中間回路電圧Udから、例えば電気モータを駆動するための三相AC電圧を生成することが可能である。しかしながら、3レベルコンバータはまた整流器として作動可能であることも言うまでもない。
【0018】
図1にしたがう3レベルコンバータハーフブリッジの一般的な作動の間、パワー半導体スイッチがオン・オフされる際、電流の転流(current commutations)のみが第1のパワー半導体スイッチT1、第2のパワー半導体スイッチT2、第1のダイオードD1、第5のダイオードD5及び第6のダイオードD6の間と、第3のパワー半導体スイッチT3、第4のパワー半導体スイッチT4、第2のダイオードD2、第3のダイオードD3及び第4のダイオードD4の間で生じる。第1のパワー半導体スイッチT1、第2のパワー半導体スイッチT2、第1のダイオードD1、第5のダイオードD5及び第6のダイオードD6はそれゆえ、第1の転流群を形成し、第3のパワー半導体スイッチT3、第4のパワー半導体スイッチT4、第2のダイオードD2、第3のダイオードD3及び第4のダイオードD4はそれゆえ、第2の転流群を形成する。パワー半導体スイッチがオン・オフされる際、第1の転流群と第2の転流群のパワー半導体スイッチとダイオードの間で電流の転流は生じない。
【0019】
この技術的見識が、本発明に係る3レベルコンバータハーフブリッジを実現するために用いられる。図2は、本発明に係る3レベルコンバータハーフブリッジ1の電気回路図と、第1の基板2と第2の基板3の間の、本発明に係る3レベルコンバータハーフブリッジ1のパワー半導体スイッチとダイオードの本発明に係る区分とを示す。図3は、本発明に係る3レベルコンバータハーフブリッジ1の第1の基板2と、該第1の基板2に配置されたパワー半導体スイッチとダイオードを概略図で示す。図4は、本発明に係る3レベルコンバータハーフブリッジ1の第2の基板3と、該第2の基板3に配置されたパワー半導体スイッチとダイオードを概略図でを示す。
【0020】
本発明によれば、第1の転流群のパワー半導体スイッチとダイオードは、第1の基板2上に配置され、第2の転流群のパワー半導体スイッチとダイオードは、第2の基板3上に配置される。したがって、本発明に係る3レベルコンバータハーフブリッジ1の操作の間、第1の基板2上に配置されたパワー半導体スイッチ及びダイオードと、第2の基板3上に配置されたパワー半導体及びダイオードの間で電流の転流は起こらないので、第1の基板と第2の基板を相互に導電接続する電気接続線の寄生インダクタンスの重要性は著しく減少し、したがって本発明に係る3レベルコンバータハーフブリッジ1の場合における動作過電圧(switching overvoltages)は、パワー半導体スイッチとダイオードが多数の基板上に異なる形態で分配された従来の3レベルコンバータハーフブリッジに比べて著しく減少する。
【0021】
既に記載したように、本発明に係る3レベルコンバータハーフブリッジ1は、第1の基板2と、該第1の基板2から分かれて配置されている第2の基板3とを有する。第1の基板2と第2の基板3とは共通のハウジング内に配置可能であり、また互いに分かれた2つのハウジング内に配置されることも可能である。第1の基板2は、第1の絶縁材料体6aと、該第1の絶縁材料体6a上に配置され且つその構造のために電気導体トラックを形成する導電性の第1の構造化伝導層とを有する。図3には、明瞭さの目的のため、僅かに3つの導体トラック7aのみに参照符号が与えられている。好ましくは、第1の基板2は導電性の、好ましくは構造化されていない更なる伝導層を有し、絶縁材料体6aが第1の構造化伝導層と更なる伝導層の間に配置される。第1の基板2上に配置された要素を冷却するのに供せられるヒートシンクが一般的に第1の基板2の更なる伝導層に配置される。第1の基板2の更なる伝導層は、第1の絶縁材料体6aの裏側に配置されていて、図3における描写では見ることができない。第1の基板2の第1の構造化伝導層は、例えば銅で構成可能である。第1の基板はDCB基板の形態で存することができ、また例えば絶縁金属基板の形態で存することもできる。DCB基板の場合、第1の絶縁材料体6aは例えばセラミックで構成可能であり、第1の基板の更なる伝導層は銅で構成可能である。絶縁金属基板の場合、第1の絶縁材料体6aは例えばポリイミド又はエポキシの層で構成可能であり、第1の基板の更なる伝導層は金属成形体で構成可能である。金属形成体は例えばアルミニウム又はアルミニウム合金で構成可能である。
【0022】
第2の基板3は、第2の絶縁材料体6bと、該第2の絶縁材料体6b上に配置され且つその構造のために電気導体トラックを形成する導電性の第2の構造化伝導層とを有する。図4には、明瞭さの目的のため、僅かに3つの導体トラック7bのみに参照符号が与えられている。好ましくは、第2の基板3は導電性の、好ましくは構造化されていない更なる伝導層を有し、絶縁材料体6bが第2の構造化伝導層と更なる伝導層の間に配置される。第2の基板3上に配置された要素を冷却するのに供せられるヒートシンクが一般的に第2の基板3の更なる伝導層に配置される。第2の基板3の更なる伝導層は、第2の絶縁材料体6bの裏側に配置されていて、図4における描写では見ることができない。第2の基板3の第2の構造化伝導層は、例えば銅で構成可能である。第2の基板はDCB基板の形態で存することができ、また例えば絶縁金属基板の形態で存することもできる。DCB基板の場合、第2の絶縁材料体6bは例えばセラミックで構成可能であり、第2の基板の更なる伝導層は銅で構成可能である。絶縁金属基板の場合、第2の絶縁材料体6bは例えばポリイミド又はエポキシの層で構成可能であり、第2の基板の更なる伝導層は金属成形体で構成可能である。金属形成体は例えばアルミニウム又はアルミニウム合金で構成可能である。
【0023】
第1のパワー半導体スイッチT1、第2のパワー半導体スイッチT2、第1のダイオードD1及び第1のダイオード装置10が第1の基板2の第1の構造化伝導層上に配置され、該第1の構造化伝導層に接続される。図2〜4に示された実施形態に関連して、第1のダイオード装置10は第5のダイオードD5と第6のダイオードD6を有し、第6のダイオードD6のカソードは、実施形態においてボンディングワイヤによって、第5のダイオードD5のアノードと導電接続されている。図3には、明瞭さの目的のため、僅かに3つのボンディングワイヤ8aのみに参照符号が与えられている。第1のパワー半導体スイッチT1、第2のパワー半導体スイッチT2、第1のダイオードD1、及び第5のダイオードD5と第6のダイオードD6は、実施形態において、第1の基板2に面した側で、例えば溶接、半田付け又は焼結接続によって夫々割り当てられた導体トラック7aに接続する電気負荷電流接続部(electrical load current connection)を有し、第1の基板2と逆の側で、ボンディングワイヤによって夫々割り当てられた導体トラックに接続する電気負荷電流接続部を有する。
【0024】
第3のパワー半導体スイッチT3、第4のパワー半導体スイッチT4、第2のダイオードD2及び第2のダイオード装置11が第2の基板3の第2の構造化伝導層上に配置され、該第2の構造化伝導層に接続される。図2〜4に示された実施形態に関連して、第2のダイオード装置11は第3のダイオードD3と第4のダイオードD4を有し、第4のダイオードD4のカソードは、実施形態においてボンディングワイヤによって、第3のダイオードD3のアノードと導電接続されている。図4には、明瞭さの目的のため、僅かに3つのボンディングワイヤ8bのみに参照符号が与えられている。第3のパワー半導体スイッチT3、第4のパワー半導体スイッチT4、第2のダイオードD2、及び第3のダイオードD3と第4のダイオードD4は、実施形態において、第2の基板3に面した側で、例えば溶接、半田付け又は焼結接続によって夫々割り当てられた導体トラック7bに接続する電気負荷電流接続部を有し、第2の基板3と逆の側で、ボンディングワイヤによって夫々割り当てられた導体トラックに接続する電気負荷電流接続部を有する。
【0025】
関連した要素は、ボンディングワイヤによる代わりに、他の電気接続手段を介した互いに導電接続されることも可能である。
第1のパワー半導体スイッチT1の第2の負荷電流接続部Eは、第2のパワー半導体スイッチT2の第1の負荷電流接続部Cに導電接続されている。さらに、第4のパワー半導体スイッチT4の第1の負荷電流接続部Cは、第3のパワー半導体スイッチT3の第2の負荷電流接続部Eに導電接続されている。
【0026】
第1のダイオードD1のカソードは第1のパワー半導体スイッチT1の第2の負荷電流接続部Eに導電接続され、第2のダイオードD2のアノードは第2のパワー半導体スイッチT3の第2の負荷電流接続部Eに導電接続されている。さらに第2のパワー半導体スイッチT2の第2の負荷電流接続部Eは、第1のダイオード装置10のカソード接続部に導電接続されており、第1のダイオード装置10のカソード接続部は、本発明のこの実施形態において第5のダイオードD5のカソードによって形成されている。
【0027】
さらに第3のパワー半導体スイッチT3の第1の負荷電流接続部Cは、第2のダイオード装置11のアノード接続部に導電接続されており、本発明のこの実施形態において、第2のダイオード装置11のアノード接続部は第4のダイオードD4のアノードによって形成されている。
【0028】
第1のパワー半導体スイッチT1の第1の負荷電流接続部Cは、第2のダイオード装置11のカソード接続部に導電接続されており、本発明のこの実施形態において、第2のダイオード装置11のカソード接続部は第3のダイオードD3のカソードによって形成されている。さらに、第4のパワー半導体スイッチT4の第2の負荷電流接続部Eは、第1のダイオード装置10のアノード接続部に導電接続されており、本発明のこの実施形態において、第1のダイオード装置10のアノード接続部は第6のダイオードD6のアノードによって形成されている。
【0029】
さらに第1のダイオードD1のアノードは第2のダイオードD2のカソードに導電接続されていて、第2のパワー半導体スイッチT2の第2の負荷電流接続部Eは第3のパワー半導体スイッチT3の第1の負荷電流接続部Cに導電接続されている。
【0030】
実施形態に関して、第1又は第2の基板に接続された負荷接続要素によって、第1及び第2の基板はケーブル及び/又はバスバー13によって互いに導電接続されている。明瞭さの目的のため、図3,4には、僅かに2つの負荷接続要素9a,9bのみに参照符号が与えられている。
【0031】
本発明に係る3レベルコンバータハーフブリッジ1において、図2にて点線で示された導電性の接続部4,5は必要でなく、省略可能である。したがって、第1のダイオードD1のカソードは好ましくは、第4のダイオードD4のカソードに導電接続されず、第6のダイオードD6のカソードは好ましくは、第2のダイオードD2のアノードに導電接続されない。
【0032】
この際、実施形態に関連して、パワー半導体スイッチがIGBTの形式で存在し、夫々のパワー半導体スイッチの第1の負荷電流接続部Cは夫々のIGBTのコレクタの形式で存在し、夫々のパワー半導体スイッチの第2の負荷電流接続部Eは夫々のIGBTのエミッタの形式で存在することに言及されるべきである。明瞭さの目的のため、パワー半導体スイッチの制御接続部Gは図3図4に示されておらず、実施形態において夫々のIGBTのゲートの形式で存在する。
【0033】
さらにこの際、本発明の意義の範囲内で、「2つの要素が導電接続される」なる表現は、例えば2つの要素の間に配された溶接、半田付け又は焼結接続による2つの要素の直接的な導電接続を意味し、また例えば1つ以上の接続要素、2つの要素を互いに導電接続して互いに導電接続した2つの要素の間で電気的な流れを可能とする例えば導体トラック、ボンディングワイヤ、導電フォイルコンポジット、バスバー(busbar)やケーブルのようなものによる間接的な導電接続を意味すると言及されるべきである。
【0034】
図5は、本発明に係る更なる3レベルコンバータハーフブリッジ1’の電気回路図と、第1の基板2と第2の基板3の間の、本発明に係る更なる3レベルコンバータハーフブリッジ1’のパワー半導体スイッチとダイオードの本発明に係る区分とを示す。この場合、3レベルコンバータハーフブリッジ1’は、機能と構造に関して、図2〜4に従う3レベルコンバータハーフブリッジ1に対応し、第1のダイオード装置10が個別ダイオード(以下、第7のダイオードD7と称する)の様式で具現化され、第2のダイオード装置11が個別ダイオード(以下、第8のダイオードD8と称する)の様式で具現化される点で相違する。本発明のこの実施形態において、第5のダイオードD5と第6のダイオードD6は組み合わされて第7のダイオードD7を形成し、第3のダイオードD3と第4のダイオードD4は組み合わされて第8のダイオードD8を形成する。
【0035】
このやり方の結果として、3レベルコンバータハーフブリッジを実現するのに要するダイオードの数を減らすことができ、それゆえ3レベルコンバータハーフブリッジ1’は3レベルコンバータハーフブリッジ1に比べて、構造が小さくなる。
【0036】
好ましくは、この場合、第7のダイオードD7と第8のダイオードD8は第3、第4、第5及び第6のダイオードに比べて高い逆電圧を有するはずである。
この際、適切であるならば、本発明に係る3レベルコンバータハーフブリッジの電流容量を増すために、1つ又は複数の更なるパワー半導体スイッチが夫々、パワー半導体スイッチと並列に電気接続され得ることに言及されるべきである。
【符号の説明】
【0037】
1 3レベルコンバータハーフブリッジ
2 第1の基板
3 第2の基板
6a 第1の絶縁材料体
6b 第2の絶縁材料体
7a 第1の構造化伝導層
7b 第2の構造化伝導層
10 第1のダイオード装置
11 第2のダイオード装置
T1 第1のパワー半導体スイッチ
T2 第2のパワー半導体スイッチ
T3 第3のパワー半導体スイッチ
T4 第4のパワー半導体スイッチ
D1 第1のダイオード
D2 第2のダイオード
C 第1の負荷電流接続部
E 第2の負荷電流接続部
図1
図2
図3
図4
図5