特許第6196868号(P6196868)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6196868
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】燃料ノズルとその組立方法
(51)【国際特許分類】
   F23R 3/28 20060101AFI20170904BHJP
   F02C 7/22 20060101ALI20170904BHJP
   F02C 7/232 20060101ALI20170904BHJP
   F23R 3/14 20060101ALI20170904BHJP
   F23R 3/20 20060101ALI20170904BHJP
   F23R 3/30 20060101ALI20170904BHJP
   F23R 3/36 20060101ALI20170904BHJP
   F23R 3/42 20060101ALI20170904BHJP
【FI】
   F23R3/28 B
   F02C7/22 A
   F02C7/232 B
   F02C7/232 C
   F23R3/14
   F23R3/20
   F23R3/30
   F23R3/36
   F23R3/42 A
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-206866(P2013-206866)
(22)【出願日】2013年10月2日
(65)【公開番号】特開2014-77627(P2014-77627A)
(43)【公開日】2014年5月1日
【審査請求日】2016年9月30日
(31)【優先権主張番号】13/647,636
(32)【優先日】2012年10月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー・アレン・ボードマン
(72)【発明者】
【氏名】マーク・アラン・ハドリー
(72)【発明者】
【氏名】ジョニー・フランクリン・マックコナヘイ
【審査官】 瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−344981(JP,A)
【文献】 特開2010−216668(JP,A)
【文献】 特表2002−528694(JP,A)
【文献】 特開2006−10193(JP,A)
【文献】 特開2010−159955(JP,A)
【文献】 特開2009−109180(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 7/22
F23R 3/14, 3/20, 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼器用の燃料ノズル(200)であって、
前記燃焼器の内筒に直接結合される前板(214)であって、前記内筒が、前記燃焼器の燃焼域を少なくとも部分的に規定し、前記燃焼器の中心線の周りに延在する、前記前板(214)と
背板(212)であって、該背板(212)が、前記燃焼器のフロースリーブに直接結合されるように前記前板(214)と離れて位置づけられ、前記フロースリーブが、前記内筒の周りに配置されて両者間に第1の空気プレナム(74)が形成される、前記背板(212)と、
前記背板(212)と前記前板(214)との間に形成される混合域(228)と
を含むノズル本体(210)を備え、
前記背板は自身内に形成される少なくとも1つの入口(216)を含み、
前記前板は自身内に形成される少なくとも1つの排出部(218)を含み、
前記燃料ノズル(200)は、
前記背板と前記前板との間に配置されると共に、前記混合域の周りにおいて周方向に離間する複数の旋回翼(250)であって、各々が空気を斜め方向に前記混合域内へと導くように配向される複数の旋回翼(250)と、
前記ノズル本体と前記複数の旋回翼との少なくとも1つに形成される少なくとも1つの出口(234、252)であって、燃料を前記混合域内へと噴射するように構成される少なくとも1つの出口(234、252)とを含み、
前記燃料ノズル(200)は、前記内筒を通り、少なくとも前記フロースリーブから半径方向に延在するように構成される、燃料ノズル(200)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの入口が、気体燃料入口(222)と液体燃料入口(220)とを含み、前記気体燃料入口が、前記少なくとも1つの出口と連通して結合され、前記少なくとも1つの出口が、前記複数の旋回翼の少なくとも1つに形成される、請求項1に記載のノズル。
【請求項3】
前記複数の旋回翼の少なくとも1つが自身内に形成される気体燃料通路(260)を含み、前記気体燃料通路が、燃料を前記少なくとも1つの入口から前記少なくとも1つの出口へと送り、前記少なくとも1つの出口が、前記複数の旋回翼の少なくとも1つの半径方向外側端部(264)内に形成される、請求項1に記載のノズル。
【請求項4】
前記ノズル本体は、更に、前記背板から延在する中心体(230)を含み、前記中心体は、前記少なくとも1つの出口と連通して結合される、自身内に形成される流体通路(232)を含み、前記流体通路は、前記中心体が第1の動作モードにある場合に、自身を介して液体燃料を送るように構成され、前記流体通路は、前記中心体が第2の動作モードにある場合に、自身を介して空気を送るように構成される、請求項1に記載のノズル。
【請求項5】
前記複数の旋回翼の各々が、前記ノズル本体の半径方向中心線に対して約15°〜約60°の角度をなして斜めに配向される中心線(294)を含む、請求項1に記載のノズル。
【請求項6】
前記複数の旋回翼の各々が涙滴形の横断面を有する、請求項1に記載のノズル。
【請求項7】
前記複数の旋回翼が、複数の空気流通路(270)が隣接する旋回翼間に形成されるように、前記ノズル本体の中心線軸(290)の周りにおいて離間し、前記複数の空気流通路の各々が、前記ノズル本体の半径方向中心線に対して約15°〜約60°の角度をなして斜めに配向される、請求項1に記載のノズル。
【請求項8】
内筒とフロースリーブとを有する燃焼器(124)であって、前記内筒が、前記燃焼器の燃焼域を少なくとも部分的に規定し、前記燃焼器の中心線の周りに延在し、、前記フロースリーブが、前記内筒の周りに配置されて両者間に第1の空気プレナム(74)が形成される前記燃焼器(124)と、
前記燃焼器に結合される燃料ノズル(200)であって、前記内筒を通り、少なくとも前記フロースリーブから半径方向に延在するように構成される、前記燃料ノズル(200)とを含み、
背板(212)と前板(214)とこれらの間に形成される混合域(228)とを含むノズル本体(210)であって、前記背板は自身内に形成される少なくとも1つの入口(216)を含み、前記前板は自身内に形成される少なくとも1つの排出部(218)を含むノズル本体(210)と、
前記背板と前記前板との間に配置されると共に、前記混合域の周りにおいて周方向に離間する複数の旋回翼(250)であって、各々が空気を斜め方向に前記混合域内へと導くように配向される複数の旋回翼(250)と、
前記ノズル本体と前記複数の旋回翼との少なくとも1つに形成される少なくとも1つの出口(234、252)であって、燃料を前記混合域内へと噴射するように構成される少なくとも1つの出口(234、252)とを備える燃料ノズル(200)と、
を含み、
前記背板(212)が、前記燃焼器のフロースリーブに直接結合され、
前記前板(214)が前記燃焼器の内筒に直接結合され、
前記燃料ノズルから出た燃料空気混合物が、前記燃焼域に向けて、前記中心線に対して半径方向に向けられる、ガスタービンアセンブリ(100)。
【請求項9】
前記燃焼器が、更に、前記フロースリーブの周りに配置されて両者間に第2の空気プレナム(94)が形成されるようになっているシート(84)を含み、前記背板が前記シートに結合され、前記前板が前記フロースリーブに結合されることで、前記第2の空気プレナムが空気を前記燃料ノズル内へと導くように構成される、請求項に記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、一般にタービンエンジンに関し、特にタービンエンジンに用いる燃料ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービン等の回転機械が、しばしば発電機用に電力を生成するために用いられる。例えば、ガスタービンは、一般に、連続的な流れの関係において、吸気口とコンプレッサと燃焼器とタービンとガス出口とを含むガス流路を有する。コンプレッサ部及びタービン部は、ハウジング内において結合される、少なくとも1つの列の、周方向に離間する回転バケット又は動翼を含む。少なくとも幾つかの周知のタービンエンジンはコージェネレーション設備及び発電所で使用される。このようなエンジンは、高比仕事及び出力毎単位質量流量要件を有することがある。作業効率を高めるために、少なくとも幾つかの周知のガスタービンエンジンは、より高い燃焼温度で動作可能である。エンジン効率は、一般に、燃焼ガス温度が高くなると増加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第4984965号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、周知のタービンエンジンをより高い温度で動作させると、窒素酸化物(NOx)等の汚染排出物質の生成も増加しかねない。このような排出物質は一般に望ましくなく、環境に対して有害である場合がある。NOx排出物質の低減を促進するために、少なくとも幾つかの周知のガスタービン発電所は、選択触媒還元(SCR)システムを用いている。周知のSCRシステムは、触媒を利用してNOxを窒素分子と水とに変換する。しかし、SCRシステムは、タービンの運転に付随する全体的なコストを増加させる。
【0005】
少なくとも幾つかの周知の燃料噴射器アセンブリは、予混合技術を用いることによりNOx排出物質を減少させようとするものである。このようなアセンブリでは、燃料の一部分と空気が燃焼器の上流において混合され、希薄混合物が生成される。燃料と空気を予混合することにより、燃焼ガスの温度制御が容易になって、NOx排出物質が形成される閾値を超えて温度が上昇することがなくなる。幾つかの周知の燃料噴射器アセンブリは、燃焼器シリンダの周壁を貫通して延在する補助バーナを含み、こうしたアセンブリは、燃焼器シリンダに対して半径方向内方に空気を偏向させる通路を含む。しかし、周知の補助バーナでは、燃料空気混合物を適切に混合することができず、一般に液体燃料噴射機能を有さない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様において、燃料ノズルの組み立て方法を提供する。この方法は、背板と前板とこれらの間に形成される混合域とを含むノズル本体を準備するステップを含む。背板は自身内に形成される少なくとも1つの入口を含み、前板は自身内に形成される少なくとも1つの排出部を含む。この方法は、更にまた、前板と背板との間且つ周方向に混合域の周りに複数の旋回翼を配置して、これらの複数の旋回翼が空気を斜め方向に混合域内へと導くようにするステップを含む。少なくとも1つの出口がノズル本体と複数の旋回翼との少なくとも1つに形成され、この少なくとも1つの出口は燃料を混合域内へと噴射するように構成される。
【0007】
別の態様において、燃料ノズルを提供する。この燃料ノズルは、ノズル本体と複数の旋回翼と少なくとも1つの出口とを含む。ノズル本体は、背板と前板とこれらの間に形成される混合域とを含む。背板は自身内に形成される少なくとも1つの入口を含み、前板は自身内に形成される少なくとも1つの排出部を含む。複数の旋回翼は、背板と前板との間に配置されると共に、混合域の周りにおいて周方向に離間する。複数の旋回翼の各々は、空気を斜め方向に混合域内へと導く。少なくとも1つの出口は、ノズル本体と複数の旋回翼との少なくとも1つに形成され、この少なくとも1つの出口は燃料を混合域内へと噴射するように構成される。
【0008】
また別の態様において、ガスタービンアセンブリを提供する。このガスタービンアセンブリは、燃焼器と燃焼器に結合される燃料ノズルとを含む。燃料ノズルは、ノズル本体と複数の旋回翼と少なくとも1つの出口とを含む。ノズル本体は、背板と前板とこれらの間に形成される混合域とを含む。背板は自身内に形成される少なくとも1つの入口を含み、前板は自身内に形成される少なくとも1つの排出部を含む。複数の旋回翼は、背板と前板との間に配置されると共に、混合域の周りにおいて周方向に離間する。複数の旋回翼の各々は、空気を斜め方向に混合域内へと導く。少なくとも1つの出口は、ノズル本体と複数の旋回翼との少なくとも1つに形成され、この少なくとも1つの出口は燃料を混合域内へと噴射するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】例示的なタービンエンジンの略図である。
図2図1に示すタービンエンジンに用いる例示的な燃焼器アセンブリの断面図である。
図3図2に示す燃焼器アセンブリに用いる例示的な燃料ノズルの斜視図である。
図4図3に示す燃料ノズルの横断面図である。
図5図2に示す燃焼器アセンブリに用いる例示的な燃料ノズルの斜視図である。
図6図5に示す燃料ノズルの横断面図である。
図7図5に示す燃料ノズルの線7−7における斜視図である。
図8図7に示す燃料ノズルの上面図である。
図9図2に示す燃焼器アセンブリに用いる例示的な燃料ノズルの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態はタービンアセンブリに関し、特にガスタービンエンジンのNOx排出物質の生成を減少させる燃料ノズルに関する。更に具体的には、本発明の実施形態は、燃料と空気とを燃焼器アセンブリ内での使用に先立って混合可能な半径流二元燃料遅延希薄噴射予混合燃料ノズルに関する。例えば、本明細書において説明する燃料ノズルは、燃焼器アセンブリで用いられる実質的に均一な燃料空気混合物を創出する複数の旋回翼を含む。
【0011】
この実施例において、旋回翼は、燃料ノズルの混合域の周りに配置されると共に、空気を斜め方向に混合域内へと導く。特に、空気流通路が隣接する旋回翼間に形成され、各旋回翼は燃料ノズルの半径方向中心線から離れる方向に角度をなして、空気流通路を通って送られる空気が燃料ノズルの中心線軸の周りにおいて旋回するようになっている。燃料は、空気が旋回しているときに混合域内に噴射されて、実質的に均一な燃料空気混合物が創出される。更に、この燃料ノズルは、液体燃料及び/又は気体燃料の両方を燃焼用に用いることができる。したがって、本明細書において説明する燃料ノズルは、燃焼によって生じ得るNOx排出物質の低減を促進する多種燃料型予混合器である。
【0012】
図1は、例示的なタービンエンジン100の略図である。特に、この実施例において、タービンエンジン100は、空気吸気部112と吸気部112の下流のコンプレッサ部114とコンプレッサ部114の下流の燃焼部116と燃焼部116の下流のタービン部118と排気部120とを含むガスタービンエンジンである。タービン部118は、ロータ軸122によりコンプレッサ部114に結合される。この実施例において、燃焼部116は、複数の燃焼器124を含む。燃焼部116は、各燃焼器124がコンプレッサ部114と連通するようにコンプレッサ部114に結合される。燃料ノズルアセンブリ126は、各燃焼器内において結合される。タービン部118は、コンプレッサ部114と、発電機及び/又は機械駆動機構等であるがこれらに限定されない負荷128とにロータ軸122を介して結合される。この実施例において、コンプレッサ部114とタービン部118との各々は、ロータ軸122に結合されてロータアセンブリ132を形成する少なくとも1つのロータディスクアセンブリ130を含む。
【0013】
運転時において、吸気部112は空気をコンプレッサ部114の方へと送り、そこで空気がより高圧且つ高温に圧縮された後、燃焼部116の方へと排出される。圧縮空気は、各燃料ノズルアセンブリ126により供給される燃料及びその他の流体と混合された後に点火され、タービン部118の方へと送られる燃焼ガスを発生させる。特に、各燃料ノズルアセンブリ126は、天然ガス及び/又は燃料油等の燃料、空気、希釈剤、及び/又は窒素ガス(N2)等の不活性ガスをそれぞれの燃焼器124内及び空気流中に噴射する。燃料混合物は点火され、タービン部118の方へと送られる高温の燃焼ガスを発生させる。タービン部118は、燃焼ガスがタービン部118及びロータアセンブリ132に回転エネルギーを付与する際に、ガス流のエネルギーを機械的な回転エネルギーに変換する。
【0014】
図2は、タービンエンジン100に用いる燃焼器124の断面図である。この実施例において、燃焼器124は環状筒形燃焼器であるが、これに限定されない。更に、この実施例において、タービンエンジン100は、二重壁トランジションダクト26を含む。特に、この実施例において、トランジションダクト26は、各燃焼器124の出口端部28とタービン部118の入口端部30との間に延在して、燃焼ガス32をタービン部118内へと送る。更に、この実施例においては、各燃焼器124は実質的に筒形の燃焼器ケーシング34を含む。この実施例では、燃焼器ケーシング34の前端部40はエンドカバーアセンブリ42に結合される。エンドカバーアセンブリ42は、例えば気体燃料、液体燃料、空気及び/又は水を燃焼器に送る供給管、マニホルド、弁、及び/又はタービンエンジン100を本明細書に記載のように機能させることができるその他の何らかの構成要素を含む。
【0015】
この実施例において、実質的に筒形のフロースリーブ46は、燃焼器ケーシング34内で、フロースリーブ46がケーシング34と実質的に同心的に整合するように結合される。フロースリーブ46は、トランジションダクト26の後端部48においてトランジションダクト26の外壁50に結合されると共に、燃焼器ケーシング34の前端部52において結合される。更に、実施例では、フロースリーブ46は、自身内において結合される燃焼器内筒62を含む。燃焼器内筒62は、後端部64がトランジションダクト26の内壁66に結合されるように、且つ前端部68が燃焼器内筒キャップアセンブリ70に結合されるように、フロースリーブ46内において実質的に同心的に整合する。燃焼器内筒キャップアセンブリ70は、複数の支柱72と付随する取付部アセンブリ(図示せず)とにより、燃焼器ケーシング34内に固定される。この実施例では、第1の空気プレナム74は、内筒62とフロースリーブ46との間且つトランジションダクトの内側及び外側の壁部66及び50間に形成される。更に、一実施形態において、燃焼器124は、フロースリーブ46の周りにおいて実質的に同心的に整合するシート84(図2には図示せず)を含んでおり、第2の空気プレナム94(図2には図示せず)がシート84とフロースリーブ46との間に形成されるようになっている。トランジションダクト外壁50は、自身内に形成される複数の孔部76を含み、これらの孔部は、コンプレッサ部114(図1には図示せず)からの圧縮空気20が第1の空気プレナム74に流入することを可能にする。この実施例において、空気22は、コンプレッサ部114からのコア流(図示せず)の方向と反対の方向にエンドカバーアセンブリ42の方へと流れる。更に、この実施例では、燃焼器124は複数の点火プラグ78及び複数の火炎伝播管80も含む。点火プラグ78及び火炎伝播管80は、燃焼域82内において燃焼器内筒キャップアセンブリ70より下流に形成される内筒62内のポート(図示せず)を貫通して延在する。点火プラグ78及び火炎伝播管80は、各燃焼器124内の燃料と空気とに点火して燃焼ガス32を創出する。
【0016】
図3は、燃焼器124(図2に示す)に用いる例示的な燃料ノズル200の斜視図であり、図4は燃料ノズル200の横断面図である。この実施例において、燃料ノズル200は、燃料空気混合物202を燃焼域82内に噴射する。特に、この実施例では、燃料ノズル200は燃料空気混合物202を燃焼器中心線86(図2に示す)に対して実質的に半径方向に燃焼域82内へと噴射する。何らかの適切な個数の燃料ノズル200が、燃焼器124が本明細書に説明するように機能することを可能にする燃焼器内筒62の周りにおいて周方向に離間配置されてよい。更に、別の実施形態において、燃焼ノズル200は、燃焼器124が本明細書に説明するように機能するように、中心線86に対して何らかの適切な軸方向位置に配置されてよい。例えば、燃料ノズル200は、トランジションダクトの内側及び外側の壁部66及び50(図2に示す)間に結合されてよい。
【0017】
上述したように、第1の空気プレナム74は、フロースリーブ46と燃焼器内筒62との間にあり、コンプレッサ部114(図1に示す)から圧縮空気20(図2に示す)を受けるように構成される。よって、この実施例では、第1の空気プレナム74は、空気22の少なくとも一部分を燃料ノズル200内へと導く。更に、空気プレナム74は、燃料ノズル200で使用されない残りの部分の空気22を燃料ノズル200より下流で使用するために送る。例えば、空気22は、内筒62の冷却に用いられること及び/又は燃焼器124内においてその他の予混合器(図示せず)に用いられてよい。
【0018】
燃料ノズル200の構造を以下により詳細に説明するが、以下の説明は燃料ノズル300(図3及び4には図示せず)にも適用可能であることを理解されたい。この実施例において、燃料ノズル200は、実質的に筒形であると共に背板212と前板214とこれらの間に形成される混合域とを含むノズル本体210を含む。燃料ノズル200がフロースリーブ46を介して挿入されると、背板212はフロースリーブ46に結合され、前板214は内筒62に結合される。複数の旋回翼が背板212と前板214との間においてノズル本体210の半径方向外側部分226に配置される。更に、実施例では、旋回翼250が、混合域228の周り及びノズル本体210の中心軸290の周りにおいて周方向に離間する。
【0019】
この実施例において、少なくとも1つの入口216が背板212内に形成され、少なくとも1つの排出部218が前板214内に形成される。この実施例では、少なくとも1つの入口216が、背板212内に各々形成される第1の入口220と第2の入口222とを含む。この実施例において、第1の入口220はノズル本体210の半径方向中心部分224内に形成され、第2の入口222はノズル本体210の半径方向外側部分226内に形成される。ノズル本体210は、この実施例では実質的に筒形であるが、ノズル本体210は、ノズル200が本明細書に説明するように機能することを可能にするいかなるその他の形状を有してもよい。
【0020】
この実施例において、ノズル本体210は、背板212から中心軸290に沿って延在する中心体230を含む。中心体230は背板212から延在すると共に、中心体230の少なくとも一部分が燃料ノズル200の混合域228内まで延在することを可能にする何らかの適切な長さを有する。この実施例において、中心体230は実質的に筒形の形状を有する。別の実施形態において、中心体230は、先細状の断面形状等であるがこれに制限されないいかなる適切な断面形状を有してもよい。中心体230は、流体通路232により第1の入口220と連通して結合される、自身内に形成される少なくとも1つの出口234を有する。
【0021】
中心体230は、第1の動作モードにある場合には自身を介して液体燃料を送り、中心体230が第2の動作モードにある場合には自身を介して空気を送る。中心体230が第1の動作モードにある場合は、出口234が液体燃料を予混合のために混合域228内へと排出する。更に、この実施例において、出口234は、燃焼に先立って液体燃料のエアブラスト処理、霧化又は予蒸発を行って燃料液滴236にし易くする。中心体230が第2の動作モードにある場合は、この中心体を介して空気が送られることで、燃料空気混合物202が燃料ノズル200内へと戻る方向に再循環しにくくなり、燃焼器124を通って送られる主流280の流れ構造を改善することができる。
【0022】
上述したように、中心体230が第1の動作モードにある場合は、出口234は液体燃料を混合域228内へと排出する。したがって、中心体230が第1の動作モードにある場合は、複数の出口234が中心体先端部238に形成されると共に、中心線軸290の周りにおいて離間配置される。したがって、複数の出口234によって、液体燃料を実質的に半径方向に混合域228内へと噴射し易くなる。中心体230が第2の動作モードにある場合は、出口234は中心体先端部238内にあって、空気が中心線軸290に対して実質的に同軸的に燃焼域82内へと放出されるようになっている。本明細書において用いる場合、「軸」、「軸方向」、又は「同軸的」という用語は、中心線軸290又は燃焼器中心線86に沿う方向又は中心線軸290又は燃焼器中心線86に対して実質的に平行な方向を指す。更に、本明細書において用いる場合、「半径」又は「半径方向」という用語は、中心線軸290又は燃焼器中心線86に対して実質的に垂直な方向を指す。
【0023】
この実施例において、各旋回翼250は、自身内に形成される燃料出口を含む。例えば、旋回軸250は、自身内に形成される第1の気体燃料出口252と第2の気体燃料出口254と第3の気体燃料出口256とを含む。気体燃料出口252、254及び256は、燃料を予混合のために混合域228内へと噴射するように構成される。この実施例は3つの気体燃料出口を含むが、燃料ノズル200は、燃料ノズル200が本明細書に記載のように機能するようないかなる適切な個数の気体燃料出口を含んでもよい。
【0024】
この実施例において、第2の入口222は、気体燃料通路258を介して気体燃料出口252、254及び256と連通して結合される。特に、気体燃料通路258は、背板212内に形成されると共に中心線軸290に対して背板212を周方向に貫通して延在する。よって、気体燃料通路258は、各旋回翼250の各燃料出口252、254及び256と連通して結合される。
【0025】
図5は、燃焼器124(図2に示す)に用いる燃料ノズル300の斜視図であり、図6は、燃料ノズル300の横断面図である。この実施例において、燃料ノズル300は燃料空気混合物202を燃焼域82内に噴射する。特に、この実施例では、燃料ノズル300が燃料空気混合物202を燃焼器中心線86(図2に示す)に対して実質的に半径方向に燃焼域82内へと噴射する。
【0026】
この実施例において、燃料ノズル300は、背板212と前板214と前板214から延在するノズル部分242とを含む。したがって、燃料ノズル300がシート84を貫通して挿入されると、背板212がシート84に結合され、前板214がフロースリーブ46に結合され、ノズル部分242が内筒62に結合される。
【0027】
上述したように、第1の空気プレナム74がフロースリーブ46と燃焼器内筒62との間に形成され、第2の空気プレナム94がフロースリーブ46とシート84との間に形成される。よって、この実施例では、第2の空気プレナム94が空気92を燃料ノズル300内に導くように構成され、第1の空気プレナム74が空気22を燃料ノズル300の下流で使用するために自身を介して送るように構成される。例えば、空気22を用いて、燃焼によってもたらされる高温生成物から内筒62を冷却すること、及び/又は空気22を燃焼器124内においてその他の予混合器(図示せず)に用いることができる。
【0028】
図7は、線7−7における燃料ノズル300の斜視横断面図であり、図8は、図7に示す燃料ノズル300の上面図である。この実施例において、各旋回翼250は、混合域228の周り及び中心線軸290の周りにおいて周方向に離間して、空気22又は92(図3〜6に示す)がノズル本体210の半径方向中心線292に対して斜め方向に混合域228内へと導かれるようになっている。特に、実施例において、各旋回翼250は、半径方向中心線292に対して約15°〜約60°の角度θ1をなして斜めに配向される中心線294を有する。旋回翼250が中心線軸290の周りにおいて離間配置されると、空気流通路270が隣接する旋回翼250間に形成される。したがって、各空気流通路は、半径方向中心線292に対して約15°〜約60°の角度θ2をなして斜めに配向される中心線296を有する。
【0029】
したがって、旋回翼250は、混合域228内における空気と燃料との旋回を促進させるように構成される。特に、各旋回翼250が半径方向中心線292から離れる方向に角度をなすと、空気流通路270を介して送られる空気は、混合域228内において中心線軸290の周りで旋回するように促される。よって、旋回翼250の配向が混合域228内における実質的に均一な燃料空気混合物202の形成を促進させ、この燃料空気混合物が、排出部218を介して導かれ、燃焼域82で用いられる。
【0030】
この実施例において、旋回翼250は、涙滴形の横断面形状を有する。しかし、旋回翼250は、空気22又は92を半径方向中心線292に対して斜め方向に混合域228内に導くことができるいかなるその他の形状を有してもよい。この実施例では、旋回翼250は、半径方向内側の第1の端部262と半径方向外側の第2の端部264とを含み、気体燃料出口252、254及び256は、旋回翼の第2の端部264内に形成される。よって、気体燃料出口252、254及び256から排出される気体燃料は、空気22又は92により混合域228内へと導かれると共に、空気流通路270を通って送られる。更に、この実施例では、各旋回翼250は、気体燃料通路268(図4に示す)を介した気体燃料出口252、254及び256と第2の出口222との間における連通を促進する旋回翼通路260を含む。
【0031】
図9は、燃焼器124(図2に示す)に用いる燃料ノズル400の横断面図である。この実施例において、燃料ノズル400は燃料管310、320、330、340及び350と燃料通路312、322、332、342及び258と燃料出口314、324、334、344及び354とを含む。燃料出口314、324、334、344及び354は、燃料ノズル400内において、実質的に均一な燃料空気混合物202が形成されるような何らかの適切な位置に形成される。特に、この実施例では、燃料管310は、前板214を貫通して実質的に半径方向に延在すると共に、燃料通路312と連通して結合される。燃料通路312は、燃料を予混合のために燃料出口314及び/又は気体燃料出口252、254及び256に供給するように構成される。燃料管320は、実質的に軸方向に背板212を貫通して延在すると共に、燃料通路322と連通して結合される。燃料通路322は、燃料を予混合のために燃料出口324に供給するように構成される。燃料管330は、中心体230の流体通路232内において実質的に軸方向に延在すると共に、燃料通路332と連通して結合される。燃料通路332は、燃料を予混合のために燃料出口334に供給するように構成される。燃料管340は、流体通路232内において実質的に軸方向に背板212からノズル先端部238まで延在すると共に、燃料通路342と連通して結合される。燃料通路342は、燃料を直接燃焼域82内に噴射するために出口344に燃料を供給するように構成される。燃料管350は、実質的に半径方向に背板212を貫通して延在すると共に、燃料通路258と連通して結合される。燃料通路258は、燃料を予混合のために燃料出口354及び/又は気体燃料出口252、254及び256に供給するように構成される。
【0032】
上述した燃料通路258と同様に、各燃料通路312、322、332及び342は、燃料ノズル400を貫通して、中心線軸290に対して周方向に延在する。したがって、いかなる適切な個数の燃料出口314、324、334、344及び354を燃料通路312、322、332、342及び258と連通させて結合して、燃料ノズル400が本明細書に記載のように機能するようにしてもよい。更に、一実施形態では、実質的に均一な燃料空気混合物202が形成されるように、燃料出口314、324、334、344及び354が、中心線軸290の周りにおいて実質的に均等に離間配置される。幾つかの実施形態では、燃料出口314、324、334、344及び354が、中心線軸290の周りにおいて実質的に均等に離間配置されるわけではない。
【0033】
動作時において、燃料ノズル200、300、及び400は、燃焼用に気体燃料、液体燃料又はこれらを組み合わせたものを用いることができる。この実施例は、燃料ノズル200、300及び400が一度に気体燃料のみ又は液体燃料のみを使用する、即ち二元燃料型の実施形態である。別の実施形態は、燃料ノズル200、300及び400は、動作時に気体燃料と液体燃料との両方を同時に使用できる、即ち二元燃焼型の実施形態である。
【0034】
よって、一実施形態において、気体燃料は第2の入口222(図4に示す)又は燃料管350を通って気体燃料通路258に流入する。気体燃料は、気体燃料が各旋回翼通路260を通って導かれるように、実質的に気体燃料通路258を満たす。旋回翼通路260は、気体燃料が気体燃料出口252、254及び256を通って排出されるように、気体燃料出口252、254及び256と連通して結合される。よって、空気流通路270(図8に示す)を通って送られる空気22又は92は、混合域228に流入する前に、気体燃料出口252、254及び256から排出される気体燃料と混合される。
【0035】
更に、一実施形態において、中心体230が第1の動作モードにある場合、液体燃料が入口220(図4に示す)に流入すると共に、流体通路232を通って送られる。液体燃料は、その後、出口234(図4に示す)から排出されると共に、混合域228内において空気22又は92と混合される。予混合期間の後に、空気燃料混合物202は、排出部218を通って燃焼域82に流入する。よって、空気燃料混合物202は、主流280と混合されると共に、燃焼域82内において点火される。
【0036】
本明細書に記載の燃料ノズルは、空気の一部分と燃料とを予混合して燃焼ガス温度を制御することにより、NOx排出物の低減を促進する。更に、このノズルは、燃料ノズルの混合域の周りにおいて周方向に離間する複数の旋回翼を含む。各旋回翼は、燃焼器の空気流通路から燃料ノズルに流入する空気が混合域内において旋回するように、燃料ノズルの半径方向中心線から離れる方向に角度をなす。よって、燃焼域内への噴射に先立って混合域において実質的に均一な空気燃料混合物が形成されるので、燃焼ガス温度が、NOx排出物が形成される閾値を超えることの防止が容易になる。
【0037】
上記の説明は、例を用いて、最良の形態を含めた本発明の開示を行なうと共に、当業者による何らかの装置又はシステムの製作及び使用と何らかの具体化された方法の実施とを含めた本発明の実施を可能にするものである。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定められると共に、当業者が想到するその他の例を含むことがある。このようなその他の例は、それらが特許請求の範囲の文字通りの表現と相違しない構造要素を有する場合又は特許請求の範囲の文字通りの表現と実質的な相違がない等価の構造要素を有する場合に、特許請求の範囲に含まれることとする。
【符号の説明】
【0038】
20 圧縮空気
22 空気
26 トランジションダクト
28 出口端部
30 入口端部
32 燃焼ガス
34 燃焼器ケーシング
40 前端部
42 カバーアセンブリ
46 フロースリーブ
48 後端部
50 外壁
52 前端部
62 内筒
64 後端部
66 内壁
68 前端部
70 燃焼器内筒キャップアセンブリ
72 支柱
74 第1の空気プレナム
76 孔部
78 点火プラグ
80 火炎伝播管
82 燃焼域
84 シート
86 燃焼器中心線
92 空気
94 第2の空気プレナム
100 タービンエンジン
112 吸気部
114 コンプレッサ部
116 燃焼部
118 タービン部
120 排気部
122 ロータ軸
124 燃焼器
126 燃料ノズルアセンブリ
128 負荷
130 ロータディスクアセンブリ
132 ロータアセンブリ
200 燃料ノズル
202 燃料空気混合物
210 ノズル本体
212 背板
214 前板
216 入口
218 排出部
220 第1の入口
222 第2の入口
224 半径方向中心部分
226 半径方向外側部分
228 混合域
230 中心体
232 流体通路
234 出口
236 燃料液滴
238 中心体先端部
242 ノズル部分
250 旋回翼
252 第1の気体燃料出口
254 第2の気体燃料出口
256 第3の気体燃料出口
258 気体燃料通路
260 旋回翼通路
262 半径方向内側の第1の端部
264 半径方向外側の第2の端部
270 空気流通路
280 主流
290 中心線軸
292 半径方向中心線
294 中心線
296 中心線
300 燃料ノズル
310 燃料管
312 燃料通路
314 燃料出口
320 燃料管
322 燃料通路
324 燃料出口
330 燃料管
332 燃料通路
334 燃料出口
340 燃料管
342 燃料通路
344 燃料出口
350 燃料管
354 燃料出口
400 燃料ノズル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9