特許第6196895号(P6196895)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6196895
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】浄化装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/28 20060101AFI20170904BHJP
   B01D 35/02 20060101ALI20170904BHJP
【FI】
   C02F1/28 G
   C02F1/28 D
   B01D35/02 K
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-250273(P2013-250273)
(22)【出願日】2013年12月3日
(65)【公開番号】特開2015-107444(P2015-107444A)
(43)【公開日】2015年6月11日
【審査請求日】2016年8月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】304039065
【氏名又は名称】カヤバ システム マシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075513
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 政喜
(74)【代理人】
【識別番号】100120260
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅昭
(74)【代理人】
【識別番号】100137604
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 淳
(72)【発明者】
【氏名】米川 典秀
(72)【発明者】
【氏名】三浦 健二
【審査官】 片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−244848(JP,A)
【文献】 特開平10−323665(JP,A)
【文献】 特開2007−117912(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3082421(JP,U)
【文献】 実開昭57−156191(JP,U)
【文献】 特開平05−169098(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/00−78
B01D 23/00−35/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸い込んだ水を濾過器に通して浄化する浄化装置であって、
モータにより回転駆動されるロータによって吸い込んだ水を吐出する非容積型の自動ポンプと、
前記自動ポンプに吸い込まれる水を導く吸込通路に介装され、水の逆流を止める逆止弁と、
手動により拡縮するポンプ室よって吸い込んだ水を吐出する容積型の手動ポンプと、
前記手動ポンプが介装され、前記手動ポンプから吐出される水を前記逆止弁を迂回して前記自動ポンプへと導くバイパス通路と、を備え、
前記手動ポンプから吐出される水が前記自動ポンプの内部を通じて前記濾過器へと導かれることを特徴とする浄化装置。
【請求項2】
設置場所を変えられる移動フレームに搭載される浄化装置であって、
前記モータに電気を供給する発電機と、
前記移動フレームに前記発電機を搭載可能にする発電機搭載機構と、をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプによって送られる水を浄化する浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の浄化装置として、例えば災害発生時等に上水道設備が使えない場所に運搬され、河川や池から吸い上げた水を浄化するものがある。
【0003】
特許文献1には、車輪を介して移動するキャスター上に、他動ポンプと、手動ポンプと、これらポンプから送られる水を濾過する濾過塔と、が搭載される浄化装置が記載されている。
【0004】
上記浄化装置は、エンジンによって駆動される他動ポンプと、手動によって駆動される手動ポンプと、が濾過塔に対して並列に接続される。浄化装置の作動時には、他動ポンプまたは手動ポンプから吐出される水が濾過塔に導かれ、濾過塔にて浄化される。
【0005】
特許文献2には、水を浄化する浄化回路に、電動モータによって駆動される自吸式ポンプと、手動によって駆動される手動ポンプと、が並列に接続される緊急浄化装置が記載されている。
【0006】
上記緊急浄化装置では、自吸式ポンプの作動開始時に、手動によって手動ポンプを作動させることによって、手動ポンプから自吸式ポンプに呼び水が供給され、自吸式ポンプが空回りしないようなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3082421公報
【特許文献2】特開2007−117912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の浄化装置は、水を吸い上げる回路に他動ポンプと手動ポンプが並列に設けられるため、他動ポンプを停止し、手動ポンプを作動させる場合に、他動ポンプの内部に水が滞留し、他動ポンプの内部が汚染されるという問題がある。このため、他動ポンプの内部の水を抜き取る作業等が必要になる。
【0009】
また、特許文献2に記載の緊急浄化装置でも、同様に、水を吸い上げる回路に自吸式ポンプと手動ポンプが並列に設けられるため、自吸式ポンプを停止し、手動ポンプを作動させる場合に、自吸式ポンプの内部に水が滞留し、他動ポンプの内部が汚染されるという問題がある。このため、自吸式ポンプの内部の水を抜き取る作業等が必要になる。
【0010】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、ポンプの内部の汚染を防止できる浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、吸い込んだ水を濾過器に通して浄化する浄化装置であって、モータにより回転駆動されるロータによって吸い込んだ水を吐出する非容積型の自動ポンプと、自動ポンプに吸い込まれる水を導く吸込通路に介装され、水の逆流を止める逆止弁と、手動により拡縮するポンプ室よって吸い込んだ水を吐出する容積型の手動ポンプと、手動ポンプが介装され、手動ポンプから吐出される水を逆止弁を迂回して自動ポンプへと導くバイパス通路と、を備え、手動ポンプから吐出される水が自動ポンプの内部を通じて濾過器へと導かれることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、自動ポンプが停止した状態において、手動によって手動ポンプを作動させることにより、手動ポンプから吐出される水が自動ポンプの内部を通じて濾過器へと送られる。これにより、停止した自動ポンプの内部に水が滞留することがなく、自動ポンプの内部が汚染されることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る浄化装置の構成を示すシステム図である。
図2】本発明の実施形態に係る浄化装置の側面図である。
図3】本発明の実施形態に係る浄化装置の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0015】
図1図3に示す浄化装置100は、例えば災害発生時等に上水道設備の無い場所に運搬して設置され、河川や池から吸い上げた水を浄化し、飲用水や生活水を供給する。
【0016】
浄化装置100は、電動モータ25により回転駆動される自動ポンプ20と、人がハンドル31を操作することにより駆動される手動ポンプ30と、自動ポンプ20または手動ポンプ30から送られる水を濾過する濾過器50と、を備える。
【0017】
図1に示すように、浄化装置100には、自動ポンプ20または手動ポンプ30によって吸い込んだ水を吐出するポンプ回路40と、濾過器50によって水を濾過する濾過回路58と、を備える。
【0018】
ポンプ回路40は、自動ポンプ20に吸い込まれる水を導く吸込通路41と、吸込通路41に介装されて水の逆流を止める第1逆止弁42と、第1逆止弁42を迂回して手動ポンプ30に吸い込まれる水を導くバイパス通路43と、を備える。
【0019】
吸込通路41の先端にはストレーナ45が接続される。吸込通路41には、河川や池に投入されたストレーナ45から水が取り込まれる。
【0020】
第1逆止弁42は、吸込通路41を通じて手動ポンプ30に吸い込まれる水の流れに対して開弁する一方、吸込通路41を逆流しようとする水の流れに対して閉弁する。
【0021】
非容積型の自動ポンプ20は、図示しないポンプハウジングの内壁面に間隙を持って回転自在に収容されるロータを備え、回転するロータの羽根が水に遠心力を与えることによって吸い込んだ水を吐出する遠心式ポンプによって構成される。なお、これに限らず、自動ポンプ20を、回転するロータの羽根が水に軸方向の力を与えることによって吸い込んだ水を吐出する軸流式ポンプによって構成してもよい。
【0022】
自動ポンプ20において、作動開始時にポンプハウジング内に水が無い状態では、ロータが空回りし、吸込通路41を通じて水を吸い上げることができない。このため、自動ポンプ20では、ポンプハウジング内に水が無い作動開始時に、ポンプハウジング内に呼び水を入れる必要がある。
【0023】
この対処方法として、バイパス通路43に容積型の手動ポンプ30が介装される。容積型の手動ポンプ30は、図示しないポンプハウジングに設けられるシリンダと、シリンダに摺動自在に嵌合するピストンと、を備える。手動ポンプ30では、人によってハンドル31が繰り返し回動されることにより、図示しないピストンがシリンダ内で往復動してポンプ室を拡縮する。手動ポンプ30は、作動開始時にポンプハウジング内に水が無い状態でも、シリンダ内に生じる負圧により吸込通路41からバイパス通路43を通じて水を吸い上げ、バイパス通路43から吸込通路41を通じて自動ポンプ20のポンプハウジング内に水を供給することができる。
【0024】
なお、手動ポンプ30は、上述した構成に限らず、ダイヤフラムによって拡縮するポンプ室の容積変化で水を送る容積型のポンプを用いてもよい。また、手動ポンプ30は、他の構成により水を送る容積型のポンプを用いてもよい。
【0025】
バイパス通路43は、吸込通路41の第1逆止弁42と手動ポンプ30の間に接続される。換言すると、バイパス通路43の出口(下流端)は、吸込通路41の第1逆止弁42より下流側であり、かつ吸込通路41の手動ポンプ30の吸込口より上流側に設けられる。上記手動ポンプ30の作動時に、バイパス通路43から吸込通路41に導かれる手動ポンプ30の吐出圧によって第1逆止弁42が閉弁することにより、バイパス通路43から吸込通路41に供給される水が逆流することがなく、自動ポンプ20の内部へと導かれる。
【0026】
バイパス通路43には、手動ポンプ30の上流側に第2逆止弁44が介装される。第2逆止弁44は、バイパス通路43を通じて手動ポンプ30に吸い込まれる水の流れに対して開弁する。一方、第2逆止弁44は、バイパス通路43を逆流しようとする水の流れに対して閉弁する。
【0027】
手動ポンプ30の作動時に、河川や池の水は、吸込通路41及びバイパス通路43を通じて手動ポンプ30によって吸い上げられる。手動ポンプ30から吐出される水は、バイパス通路43及び吸込通路41を通じて自動ポンプ20の吸込口へと送られる。自動ポンプ20の吸込口に流入する水は、自動ポンプ20のポンプハウジングとロータの間隙を通じて自動ポンプ20の吐出口から流出し、濾過回路58に送られる。
【0028】
一方、自動ポンプ20の作動時に、河川や池の水は、吸込通路41を通じて自動ポンプ20によって吸い上げられる。自動ポンプ20から吐出される水は、濾過回路58に送られる。
【0029】
ポンプ回路40には、圧力計36が介装される。自動ポンプ20または手動ポンプ30から濾過器50に導かれる水の圧力が圧力計36によって測定される。
【0030】
濾過回路58には、濾過器50を構成する第1〜第5濾過カートリッジ51〜55が介装される。
【0031】
第1濾過カートリッジ51は、濾過回路58の最上流側に介装される。第1濾過カートリッジ51には、プレフィルタエレメント(図示省略)が収容される。
【0032】
第2濾過カートリッジ52及び第3濾過カートリッジ53は、濾過回路58に並列に介装される。第2濾過カートリッジ52及び第3濾過カートリッジ53には、糸巻きフィルタエレメントが収容される。糸巻きフィルタエレメントは、上流側のプレフィルタエレメントより高い濾過性能を有する。
【0033】
第4濾過カートリッジ54及び第5濾過カートリッジ55は、濾過回路58に直列に介装される。第4濾過カートリッジ54及び第5濾過カートリッジ55には、活性炭エレメントが収容される。
【0034】
濾過回路58を流れる水は、濾過器50を構成する第1〜第5濾過カートリッジ51〜55を通過して濾過され、かつ浄化されることにより、飲用水や生活水として用いられる。
【0035】
発電機60は、図示しない発電機構を回転駆動するエンジンを備える。エンジンは、ガソリン等の燃料を燃焼して運転される。発電機60によって発電される電気は、電線61を通じて自動ポンプ20の電動モータ25に送られる。また、発電機60によって発電される電気を電線62を通じてライト63に送り、ライト63によって照明が行われる構成としてもよい。なお、これに限らず、発電機60を他の電気機器を作動させる電源として用いてよい。
【0036】
浄化装置100の使用時には、発電機60が運転され、発電機60から送られる電気によって自動ポンプ20が作動する。なお、電動モータ25は、発電機60から送られる電気に限らず、他の電源設備から送られる電気によって作動させていもよい。
【0037】
後述するように発電機60が使えない状況や、他の電源設備等が使えない状況において、自動ポンプ20を作動させることができない場合には、手動ポンプ30を手動により作動させる。
【0038】
手動ポンプ30の作動時に、手動ポンプ30から自動ポンプ20の吸込口に流入する水は、自動ポンプ20のポンプハウジングとロータの間隙を通じて自動ポンプ20の吐出口から流出し、濾過回路58に送られる。こうして電源等の無い場所にて浄化装置100は水を浄化することができる。
【0039】
上述したように、自動ポンプ20が停止した状態で手動ポンプ30を作動させる場合にも、手動ポンプ30から送られる水が自動ポンプ20を通じて濾過回路58に導かれるため、停止した自動ポンプ20の内部に水が滞留することが回避され、自動ポンプ20の内部が汚染されることを防止できる。
【0040】
また、自動ポンプ20が作動し、手動ポンプ30が停止した状態において、手動ポンプ30内に水が滞留する場合には、人がハンドル31を数回操作して手動ポンプ30を作動させることにより、手動ポンプ30内に水が送り出され、手動ポンプ30内が汚染されることを防止できる。
【0041】
次に、図2図3を参照して、浄化装置100の具体的な構成を説明する。
【0042】
浄化装置100は、移動フレーム70に搭載される。移動フレーム70は、左右の前輪91及び左右の後輪92を備え、人に押されて走行する台車として用いられる。
【0043】
移動フレーム70の前部には左右一対のキャスタ90が設けられ、キャスタ90に前輪91が組み込まれる。キャスタ90では、前輪91の車軸が垂直軸まわりに旋回自在に支持され、移動フレーム70の走行時に前輪91が進行方向に向けられようになっている。
【0044】
移動フレーム70の後部には左右一対の後輪92が設けられる。後輪92の車軸93は左右方向に延びるように固定される。
【0045】
移動フレーム70は、その前端部で垂直方向に延びる左右一対の前フレーム部76と、その中程部で垂直方向に延びる左右一対の中間フレーム部77と、その後端部で垂直方向に延びる左右一対の後フレーム部78と、を有する。左右の前フレーム部76は前連結フレーム部74を介してU字状に延びるように形成される(図2参照)。同様に、左右の後フレーム部78は後連結フレーム部79を介してU字状に延びるように形成される。
【0046】
移動フレーム70は、水平前後方向に延びる左右一対の下段フレーム部71と、水平方向に延びる中段フレーム部72と、水平方向に延びる上段フレーム部75と、を有する。前フレーム部76と後フレーム部78は下段フレーム部71を介してU字状に延びるように形成される(図3参照)。
【0047】
移動フレーム70の最下部には、左右の下段フレーム部71の間にわたされる支持プレート68が設けられ、支持プレート68の上に自動ポンプ20が取り付けられる。下段フレーム部71の下側には、自動ポンプ20の下方に位置して左右の後輪92の車軸93が取り付けられる。
【0048】
移動フレーム70の中段部には、発電機60を着脱可能に搭載する発電機搭載機構80が設けられる。発電機搭載機構80は、左右の中段フレーム部72の間にわたされる搭載プレート67と、発電機60を挟んで左右方向に延びる左右のサイドフレーム部73と、発電機60の前方向(図2にて右方向)に延びる2本の中間フレーム部77と、発電機60の後方向(図2にて左方向)に延びる1本の開閉バー81と、を備える。搭載プレート67の上に載せられる発電機60は、サイドフレーム部73、中間フレーム部77、及び開閉バー81に囲まれることによって保持される。
【0049】
開閉バー81は、その下端がヒンジ82を介して搭載プレート67の中央部前端に回動可能に支持され、その上端が留め具83を介して上段フレーム部75に連結される。開閉バー81が留め具83を介して閉じられた状態で、開閉バー81によって搭載プレート67上から発電機60が脱落しないように保持される。また、必要に応じて発電機60を移動フレーム70内から取り出す場合には、開閉バー81が留め具83を介して開かれる。
【0050】
浄化装置100は、移動フレーム70に搭載した発電機60によって発電される電気を電動モータ25に供給して自動ポンプ20を作動させた状態でも、移動フレーム70を移動することにより、その設置場所を変えられる。
【0051】
また、必要に応じて発電機60を移動フレーム70から取り出し、発電機60によって発電される電気を他の電気機器に供給することができる。
【0052】
手動ポンプ30は上段フレーム部75に取り付けられ、ハンドル31が上段フレーム部75から上方に突出するように設けられる。手動ポンプ30は、人がハンドル31を図2に矢印で示すように前後方向に回動させることにより、吸い込んだ水を吐出する。
【0053】
ハンドル31は、手動ポンプ30から取り外せるように設けられる。移動フレーム70には、取り外したハンドル31を格納するハンドル格納部34が設けられる。浄化装置100の格納時にハンドル31を手動ポンプ30から取り外すことにより、ハンドル31が上段フレーム部75から突出せず、浄化装置100の格納スペースを小さくすることができる。
【0054】
手動ポンプ30には、呼び水弁33が接続される。手動ポンプ30の作動開始時に、必要に応じて呼び水が呼び水弁33を介して手動ポンプ30内に供給される。
【0055】
移動フレーム70には、自動ポンプ20の吸込口及び手動ポンプ30の吸込口に連通する吸込管48が設けられる。自動ポンプ20及び手動ポンプ30は、吸込管48に接続されるホース(図示省略)を通じて河川や池から水を吸い上げる。
【0056】
移動フレーム70の側部には圧力計36が取り付けられる。作業者は、圧力計36を見て自動ポンプ20または手動ポンプ30から濾過器50に送られる水の圧力を確認することができる。
【0057】
濾過器50は、濾過カートリッジ51〜55を着脱可能に搭載するカートリッジ搭載機構56を備える。カートリッジ搭載機構56は、上段フレーム部75に取り付けられる複数のヘッド57を備える。ヘッド57には、濾過カートリッジ51〜55が吊り下げられるようにして取り付けられる。ヘッド57は、自動ポンプ20または手動ポンプ30から送られる水を濾過カートリッジ51〜55に通すように導く濾過回路58を構成する。
【0058】
濾過器50の出口には、給水弁37を介して給水管49が接続される。濾過器50によって浄化された水は、給水管49に接続されるホース(図示省略)を通じて供給先に導かれる。
【0059】
移動フレーム70の前部には、ホースハンガ35が取り付けられる。上記ホースがホースハンガ35に掛け回されるようにして格納される。これにより、移動フレーム70を移動する際に、ホースが邪魔にならないで済む。
【0060】
以上の実施形態によれば、以下に示す作用効果を奏する。
【0061】
〔1〕浄化装置100は、モータ25により回転駆動されるロータによって吸い込んだ水を吐出する自動ポンプ20と、自動ポンプ20に吸い込まれる水を導く吸込通路41に介装され、水の逆流を止める第1逆止弁42と、手動により拡縮するポンプ室よって吸い込んだ水を吐出する手動ポンプ30と、手動ポンプ30から吐出される水を第1逆止弁42を迂回して自動ポンプ20へと導くバイパス通路43と、を備え、手動ポンプ30から吐出される水が自動ポンプ20の内部を通じて濾過器50へと導かれる構成とした。
【0062】
上記構成に基づき、自動ポンプ20の作動開始時に、手動ポンプ30を手動により作動させ、手動ポンプ30から吐出される水を呼び水として自動ポンプ20へと送る。これにより、自動ポンプ20内で回転するロータのまわりに水が供給され、回転するロータの羽根によって水を濾過器50へと送ることが開始される。
【0063】
電源等のない場所にて自動ポンプ20が停止した状態では、手動ポンプ30を手動により作動させることにより、手動ポンプ30から吐出される水が自動ポンプ20のロータのまわりに設けられた隙間を通じて濾過器50へと送られる。これにより、停止した自動ポンプ20内に水が滞留することが回避され、自動ポンプ20内が汚染されることを防止できる。このため、自動ポンプ20は、ポンプハウジングに滞留した水を抜き取る水抜き孔を設ける必要がなく、構造の簡素化がはかれる。
【0064】
〔2〕設置場所を移動可能にする移動フレーム70に搭載される浄化装置100であって、モータ25は発電機60から供給される電気によって回転作動する構成とし、移動フレーム70に発電機60を搭載可能にする発電機搭載機構80を備える構成とした。
【0065】
上記構成に基づき、電源のない場所でも、移動フレーム70に搭載した発電機60によって発電される電気をモータ25に供給し、自動ポンプ20を作動させることができる。また、発電機60を移動フレーム70から取り出し、発電機60によって発電される電気を他の電気機器に供給することができる。
【0066】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0067】
例えば、上記実施形態では、手動ポンプ30の駆動源として、電気によって回転作動する電動モータ25を用いたが、ガソリン等の燃料を燃焼して運転されるモータ(エンジン)を用いてもよい。
【符号の説明】
【0068】
20 自動ポンプ
25 電動モータ(モータ)
30 手動ポンプ
41 吸込通路
42 第一逆止弁(逆止弁)
43 バイパス通路
50 濾過器
60 発電機
70 移動フレーム
80 発電機搭載機構
100 浄化装置
図1
図2
図3