特許第6196909号(P6196909)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6196909
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】移動栽培装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/00 20060101AFI20170904BHJP
【FI】
   A01G9/00 C
【請求項の数】1
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-13610(P2014-13610)
(22)【出願日】2014年1月28日
(65)【公開番号】特開2015-139397(P2015-139397A)
(43)【公開日】2015年8月3日
【審査請求日】2016年3月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
(72)【発明者】
【氏名】山田 久也
(72)【発明者】
【氏名】壺井 哲
(72)【発明者】
【氏名】川口 哲平
【審査官】 大熊 靖夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−090614(JP,A)
【文献】 実開昭51−161345(JP,U)
【文献】 特開2010−057448(JP,A)
【文献】 米国特許第05355621(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/00−9/10,9/14−9/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
栽培ベンチを搬送する第一搬送コンベアおよび第二搬送コンベアと、
前記第一搬送コンベアから前記第二搬送コンベアに栽培ベンチを案内する第一案内装置と、
前記第二搬送コンベアから前記第一搬送コンベアに栽培ベンチを案内する第二案内装置と、
前記第一搬送コンベア上に存在する栽培ベンチを前記第一案内装置上に移動させることで、前記第一案内装置上に存在する複数の栽培ベンチを前記第二搬送コンベアへ向けて玉突き状に搬送する第一上流側搬送装置と、
前記第二搬送コンベア上に存在する栽培ベンチを前記第二案内装置上に移動させることで、前記第二案内装置上に存在する複数の栽培ベンチを第一搬送コンベアへ向けて玉突き状に搬送する第二上流側搬送装置と、
前記第一案内装置上の最下流側に存在する栽培ベンチを前記第二搬送コンベア上へ搬送する第一下流側搬送装置と、
前記第二案内装置上の最下流側に存在する栽培ベンチを前記第一搬送コンベア上へ搬送する第二下流側搬送装置と、を備え、
前記第一上流側搬送装置および前記第二上流側搬送装置によって、前記第一案内装置上に存在する複数の栽培ベンチおよび前記第二案内装置上に存在する複数の栽培ベンチを搬送し、
前記第一下流側搬送装置および前記第二下流側搬送装置によって、前記第一案内装置上の最下流側に存在する栽培ベンチおよび前記第二案内装置上の最下流側に存在する栽培ベンチを前記第二案内装置上および前記第一搬送コンベア上に搬送する
ことを特徴とする移動栽培装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動栽培装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動栽培装置の技術は公知である(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載の移動栽培装置は、搬送方向を互いに逆向きにして平行状に並ぶ一対の搬送コンベヤ装置と、前記一方の搬送コンベヤ装置の搬送下流側と前記他方の搬送コンベヤ装置の搬送上流側とをつなぐ一対の案内装置と、前記各栽培ベンチを前記各案内装置上で摺動させる摺動体と、前記各搬送コンベヤ装置の搬送下流側からこれに対峙する前記案内装置に向けて前記栽培ベンチを押し出し移動させる一対の押し出し装置とを備えており、前記各押し出し装置による前記栽培ベンチの押し出し移動に伴い、前記各案内装置上にある複数の前記栽培ベンチを玉突き状に搬送する。
【0004】
しかし、複数の栽培ベンチが玉突き状に搬送される場合で、複数の栽培ベンチの寸法に製造誤差があるときは、製造誤差が累積されて、最下流側の栽培ベンチが搬送コンベア上の目標位置に対して位置ずれをおこして、搬送コンベア上で精度よく位置決めされないおそれがあった。
また、複数の栽培ベンチが玉突き状に搬送される場合で、複数の栽培ベンチが押圧力により弾性変形したときは、弾性変形が累積されて、最下流側の栽培ベンチが搬送コンベア上の目標位置に対して位置ずれをおこして、搬送コンベア上で精度よく位置決めされないおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−90614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、案内装置上の最下流側の栽培ベンチを搬送コンベア上に搬送したときに、搬送コンベア上で精度よく位置決めすることが可能な移動栽培装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の移動栽培装置は、栽培ベンチ10を搬送する第一搬送コンベア40Aおよび第二搬送コンベア40Bと、前記第一搬送コンベア40Aから前記第二搬送コンベア40Bに栽培ベンチ10を案内する第一案内装置20Aと、前記第二搬送コンベア40Bから前記第一搬送コンベア40Aに栽培ベンチ10を案内する第二案内装置20Bと、前記第一搬送コンベア40A上に存在する栽培ベンチ10を前記第一案内装置20A上に移動させることで、前記第一案内装置20A上に存在する複数の栽培ベンチ10を前記第二搬送コンベア40Bへ向けて玉突き状に搬送する第一上流側搬送装置21Aと、前記第二搬送コンベア40B上に存在する栽培ベンチ10を前記第二案内装置20B上に移動させることで、前記第二案内装置20B上に存在する複数の栽培ベンチ10を第一搬送コンベア40Aへ向けて玉突き状に搬送する第二上流側搬送装置21Bと、前記第一案内装置20A上の最下流側に存在する栽培ベンチ10を前記第二搬送コンベア40B上へ搬送する第一下流側搬送装置21Cと、前記第二案内装置20B上の最下流側に存在する栽培ベンチ10を前記第一搬送コンベア40A上へ搬送する第二下流側搬送装置21Dと、を備え、前記第一上流側搬送装置21Aおよび前記第二上流側搬送装置21Bによって、前記第一案内装置20A上に存在する複数の栽培ベンチ10および前記第二案内装置20B上に存在する複数の栽培ベンチ10を搬送し、前記第一下流側搬送装置21Cおよび前記第二下流側搬送装置21Dによって、前記第一案内装置20A上の最下流側に存在する栽培ベンチ10および前記第二案内装置20B上の最下流側に存在する栽培ベンチ10を前記第二案内装置20B上および前記第一搬送コンベア40A上に搬送するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、案内装置上の最下流側に存在する栽培ベンチを搬送コンベア上へ搬送するときに、複数の栽培ベンチと共に玉突き状に搬送せずに、下流側搬送装置により単数で搬送する。これにより、栽培ベンチを搬送コンベア上で精度よく位置決めすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】移動栽培装置の上面図。
図2】栽培ベンチの斜視図。
図3】上流側搬送装置の斜視図。
図4】上流側搬送装置の係合爪体の斜視図。
図5】上流側搬送装置の爪部が栽培ベンチのロワフレームと係合している状態を示す側面図。
図6】上流側搬送装置により栽培ベンチを玉突き状に搬送している状態を示す側面図。
図7】上流側搬送装置の爪部を移動させている状態を示す側面図。
図8】下流側搬送装置の斜視図。
図9】下流側搬送装置の係合爪体の斜視図。
図10】下流側搬送装置の爪部が栽培ベンチのロワフレームと係合している状態を示す側面図。
図11】下流側搬送装置により栽培ベンチを玉突き状に搬送している状態を示す側面図。
図12】下流側搬送装置の爪部を移動させている状態を示す側面図。
図13】制御ブロック図。
図14】栽培ベンチの初期状態を示す上面図。
図15】下流側搬送装置により栽培ベンチを搬送した状態を示す上面図。
図16】上流側搬送装置により栽培ベンチを搬送した状態を示す上面図。
図17】搬送コンベアにより栽培ベンチを搬送した状態を示す上面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
移動栽培装置1について説明する。本実施形態では、説明の便宜上、図1の紙面上下方向を前後方向又は縦方向とし、紙面左右方向を左右方向又は横方向とする。また、図1図3図12、及び図14図17の矢印Xは、栽培ベンチ10の搬送方向を示している。
【0011】
移動栽培装置1は、イチゴやホウレンソウといった果菜等を栽培する栽培ベンチ10を搬送するものである。図1に示すように、移動栽培装置1は、一対の搬送コンベア40A・40B、及び一対の案内装置20A・20Bと、制御装置70と、を備える。
【0012】
一対の第一搬送コンベア40Aと第二搬送コンベア40Bは、前後方向に間隔を空けた状態で、互いに平行に配置される。搬送コンベア40A・40Bは、栽培ベンチ10の搬送方向Xが互いに平行になるように配置される。搬送コンベア40A・40Bは、搬送コンベア40A・40Bは、栽培ベンチ10を左右方向に搬送し、かつ、互いに逆向きに搬送する。
【0013】
一対の第一案内装置20Aと第二案内装置20Bは、第一搬送コンベア40Aと第二搬送コンベア40Bの間に設けられ、左右方向に間隔を空けた状態で、互いに平行に配置される。案内装置20A・20Bは、栽培ベンチ10を前後方向に案内する。第一案内装置20Aは、第一搬送コンベア40Aの下流部と第二搬送コンベア40Bの上流部の間に設けられ、第一搬送コンベア40Aの下流部から第二搬送コンベア40Bの上流部に栽培ベンチ10を案内する。第二案内装置20Bは、第二搬送コンベア40Bの下流部と第一搬送コンベア40Aの上流部の間に設けられ、第二搬送コンベア40Bの下流部から第一搬送コンベア40Aの上流部に栽培ベンチ10を案内する。
【0014】
搬送コンベア40A・40Bと案内装置20A・20Bは、複数の栽培ベンチ10を循環搬送するために閉ループ状に構成されている。栽培ベンチ10は、第一搬送コンベア40A→第一案内装置20A→第二搬送コンベア40B→第二案内装置20B→第一搬送コンベア40A→・・・、の順に循環搬送される。
【0015】
以下では、栽培ベンチ10について説明する。
【0016】
図2に示すように、栽培ベンチ10は、上向きの開口を有し、横長の容器であるプランタ2と、プランタ2が収容される横長箱枠状のフレーム枠11と、を備える。プランタ2は栽培用の土を収容するものであり、その底面には余分な水分及び薬液を外部に排出する排出孔が形成される。プランタ2上面の前後縁部には、フレーム枠11の上面側を構成する左右横長のアッパーフレーム12に係合する係止片部(不図示)が形成されている。前記係止片部をアッパーフレーム12に引っ掛り係合させることによって、プランタ2が栽培ベンチ10に支持されている。
【0017】
栽培ベンチ10のフレーム枠11の下面側を構成する左右横長のロワフレーム18には、栽培ベンチ10を案内装置20A・20B上で摺動させる摺動体としての車輪13が二個一組の計四組取り付けられている。四組の車輪13は、案内装置20A(20B)の案内レール35A(35B)の幅に合わせた間隔で、栽培ベンチ10の横方向に並べて配置されている。なお、摺動体は、車輪13に限定されず、コロ、スライダー、ローラ等であってもよい。ロワフレーム18の上面側には、プランタ2下面の排出孔から排出される余分な水及び薬液を回収する受け桶14が取り付けられている。各栽培ベンチ10の受け桶14に集められた水及び薬液は、案内装置20A・20Bの長手方向(縦方向)に沿って延びる回収桶30A・30B(図1参照)に回収される。
【0018】
栽培ベンチ10において、前側のロワフレーム18の長手中途部には当接フレーム19が固定されている。当接フレーム19は、上面視コ字上に形成され、ロワフレーム18から前方に突出している。当接フレーム19先端の横パイプ部19aは、案内装置20A・20B上で、前方に存在する栽培ベンチ10のロワフレーム18に当接可能に構成される。これにより、案内装置20A・20B上で、前後に隣り合う栽培ベンチ10・10の前後間隔が確保される。なお、当接フレーム19に関しては、本実施形態のものに限定されず、案内装置20A・20Bの長手方向に突出する形状を有し、案内装置20A・20B上で、前後に隣り合う栽培ベンチ10・10の前後間隔を確保できるものであればよい。
【0019】
以下では、搬送コンベア40A(40B)について説明する。
【0020】
図5及び図10に示すように、搬送コンベア40A(40B)は、複数本の脚にて支持される左右横長の二本のコンベアフレーム47A(47B)を備える。コンベアフレーム47A(47B)の左右両端部の間に、駆動スプロケット42A(42B)の対と従動スプロケット43A(43B)の対とが回動可能に軸支されている。コンベアフレーム47A(47B)の間には、駆動スプロケット42A(42B)と従動スプロケット43A(43B)を介して二本の略平行なコンベアチェン41A(41B)が配置されている。コンベアチェン41A(41B)は、駆動スプロケット42A(42B)と従動スプロケット43A(43B)に掛け回されている。チェン及びスプロケット伝動系を介して、駆動スプロケット42A(42B)の駆動軸に搬送モータ45A(45B)を動力伝達可能に連結させ、当該搬送モータ45A(45B)によって二本の略平行なコンベアチェン41A(41B)を同期させて同一方向に回動させるように構成している。
【0021】
コンベアチェン41A(41B)には、案内装置20B(20A)から受け渡された栽培ベンチ10の車輪13を載せる載置板46A(46B)が適宜間隔を空けて取り付けられている。栽培ベンチ10の車輪13が対応する載置板46A(46B)に載った状態で、搬送モータ45A(45B)にてコンベアチェン41A(41B)を回動させることによって、栽培ベンチ10が横方向(搬送方向X)に搬送される(図17参照)。
【0022】
図1に示すように、本実施形態は、第二搬送コンベア40Bの後側スペースが作業者の作業スペースとして設定される。作業者は、当該作業スペースにおいて種々の作業(例えば収穫作業、草取り作業、剪定作業、プランタ2交換作業等)を行う。搬送コンベア40A・40Bの長手中途部には、搬送コンベア40A・40B上の栽培ベンチ10に向けて水を散布する灌水装置31が配置されている。第一搬送コンベア40Aの長手中途部には、第一搬送コンベア40A上の栽培ベンチ10に向けて防除剤や薬液を散布する散布装置32が設けられている。
【0023】
以下では、案内装置20A(20B)について説明する。
【0024】
図1に示すように、案内装置20A(20B)は、栽培ベンチ10の車輪13が走行する複数の案内レール35A(35B)を備える。案内レール35A(35B)群は、前後方向(縦方向)に延在しており、左右方向(横方向)に間隔を空けて並べられる。
【0025】
以下では、第一上流側搬送装置21A、及び第二上流側搬送装置21Bについて説明する。
【0026】
案内装置20A(20B)の搬送方向X上流側の下方には、上流側搬送装置21A(21B)が設けられている。第一上流側搬送装置21Aは、第一搬送コンベア40Aの下流部に存在する栽培ベンチ10を、第一案内装置20A上に移動させる(図6参照)。第二上流側搬送装置21Bは、第二搬送コンベア40Bの下流部に存在する栽培ベンチ10を、第二案内装置20B上に移動させる。
【0027】
図3及び図4に示すように、上流側搬送装置21A・21Bは、対応する搬送コンベア40A(40B)上の栽培ベンチ10に下方から係脱可能な一対の係合爪体51A(51B)と、係合爪体51A(51B)を栽培ベンチ10に係脱させる係脱用アクチュエータとして上流側電磁ソレノイド52A(52B)と、係合爪体51A(51B)を案内装置20A(20B)に沿って縦方向に往復動させる往復用アクチュエータとして上流側エアシリンダ53A(53B)と、を備える。
【0028】
案内装置20A(20B)は、搬送方向Xに延びる一対の骨組フレーム54A(54B)を有している。骨組フレーム54A(54B)の間には、横方向に延びる一対の梁フレーム55A(55B)が固定されている。梁フレーム55A(55B)にはシリンダ架台56A(56B)が固定されている。シリンダ架台56A(56B)上には、上流側エアシリンダ53A(53B)が設けられている。
【0029】
上流側エアシリンダ53A(53B)は、そのピストンロッド57A(57B)を搬送方向X下流側に移動させることで伸長し、ピストンロッド57A(57B)を搬送方向X上流側に移動させることで収縮する。
【0030】
上流側エアシリンダ53A(53B)を挟んで左右両側には、搬送方向Xに延びる丸棒状のスライドバー58A(58B)が配置されている。シリンダ架台56A(56B)の前後両側端部には、左右外向きに突出する横桟ブラケット59A(59B)の基端側がそれぞれ固定されている。各横桟ブラケット59A(59B)の先端側には、バー支持板60A(60B)がそれぞれ立設されている。上流側エアシリンダ53A(53B)を挟んで左右一方側にある一対のバー支持板60A(60B)には、左右一方のスライドバー58A(58B)の前後各端部が固定され、左右他方側にある一対のバー支持板60A(60B)には、左右他方のスライドバー58A(58B)の前後各端部が固定される。両スライドバー58A(58B)は、搬送方向Xに間隔を空けて配置され、搬送方向Xに平行に延びている。
【0031】
各スライドバー58A(58B)には、スラーダー61A(61B)が摺動可能に被嵌される。スラーダー61A(61B)の上面側には平板状の移動プレート62A(62B)が取り付けられている。移動プレート62A(62B)の下面側のうち両スラーダー61A(61B)の間の箇所には、連結ロッド63A(63B)を介して、上流側エアシリンダ53A(53B)におけるピストンロッド57A(57B)の先端側に連結されている。従って、移動プレート62A(62B)は、上流側エアシリンダ53A(53B)の伸縮動によって、両スライドバー58A(58B)に沿った搬送方向Xに往復動するように構成される。
【0032】
移動プレート62A(62B)上面の左右両端側には、係合爪体51A(51B)がそれぞれ配置されている。移動プレート62A(62B)上面のうち搬送方向X下流側の左右コーナ部には、軸支金具64A(64B)が立設されている。係合爪体51A(51B)における本体アーム65A(65B)の基端部が、枢支ピン軸66A(66B)を介して軸支金具64A(64B)に回動可能に枢支される。係合爪体51A(51B)の本体アーム65A(65B)は、搬送コンベア40A(40B)の搬送方向X上流側に延びている。本体アーム65A(65B)の先端側には、栽培ベンチ10のロワフレーム18に係脱可能な爪部67A(67B)が設けられている。爪部67A(67B)は、ロワフレーム18における搬送方向X下流側の端面に係脱可能な形状を有している。
【0033】
爪部67A(67B)は、上流側エアシリンダ53A(53B)を収縮させた状態で、搬送コンベア40A(40B)の下流部に存在し、上流側エアシリンダ53A(53B)を伸長させた状態で、案内装置20A(20B)の上流部に存在するように構成される。
【0034】
移動プレート62A(62B)下面における搬送方向上流側の左右コーナ部には、上流側電磁ソレノイド52A(52B)が設けられる。上流側電磁ソレノイド52A(52B)の昇降ロッド68A(68B)は上向きに突出していて、移動プレート62A(62B)を貫通している。昇降ロッド68A(68B)の先端側は、対応する係合爪体51A(51B)における本体アーム65A(65B)の長手中途部に連結されている。本体アーム65A(65B)の先端部は、対応する上流側電磁ソレノイド52A(52B)の昇降ロッド68A(68B)の昇降動によって、枢支ピン軸66A(66B)を中心に上下回動するように構成されている。これにより、爪部67A(67B)が上下回動する。その結果、爪部67A(67B)を栽培ベンチ10のロワフレーム18に係合させたり、ロワフレーム18と爪部67A(67B)の係合を解除したりすることが可能となる。
【0035】
以下では、第一上流側搬送装置21Aの動作について説明する。なお、第二上流側搬送装置21Bの動作は、第一上流側搬送装置21Aの動作と基本的に同じであるので、その説明は省略する。
【0036】
図5に示すように、上流側エアシリンダ53Aが収縮された状態で、上流側電磁ソレノイド52Aの昇降ロッド68Aが上昇されることによって、第一搬送コンベア40Aの下流部に存在する栽培ベンチ10のロワフレーム18に、爪部67Aが係合する。
【0037】
図6に示すように、栽培ベンチ10のロワフレーム18に爪部67Aが係合した状態で、上流側エアシリンダ53Aが搬送方向X下流側に伸長される。このとき、上流側エアシリンダ53Aは、一個の栽培ベンチ10及び当接フレーム19における搬送方向Xの寸法Z分だけ伸長される。これにより、栽培ベンチ10が、爪部67Aから押圧力を付与されて、第一搬送コンベア40Aの下流部から第一案内装置20A上に移動する。その結果、第一案内装置20A上に存在する複数の栽培ベンチ10が当接フレーム19を介して押圧力を付与されて、搬送方向Xに玉突き状に搬送される。
【0038】
図7に示すように、上流側電磁ソレノイド52Aの昇降ロッド68Aが下降されることによって、爪部67Aが栽培ベンチ10のロワフレーム18よりも下方に存在し、栽培ベンチ10から干渉を受けない状態になる。これにより、上流側エアシリンダ53Aを伸縮させて、爪部67Aを移動させることが可能となる。
【0039】
以下では、第一下流側搬送装置21C、及び第二下流側搬送装置21Dについて説明する。
【0040】
案内装置20A(20B)の搬送方向X下流側の下方には、下流側搬送装置21C(21D)が設けられている。第一下流側搬送装置21Cは、第一案内装置20Aの最下流側に存在する一つの栽培ベンチ10を、第二搬送コンベア40B上(載置板46B上)に移動させる(図11参照)。第二下流側搬送装置21Dは、第二案内装置20Bの最下流側に存在する一つの栽培ベンチ10を、第一搬送コンベア40A上(載置板46A上)に移動させる。
【0041】
下流側搬送装置21C(21D)については、上流側搬送装置21A(21B)と異なる部分についてのみ説明し、同じ構造の部分についての詳細な説明は省略する。
【0042】
図8及び図9に示すように、下流側搬送装置21C(21D)は、対応する搬送コンベア40A(40B)上の栽培ベンチ10に下方から係脱可能な一対の係合爪体51C(51D)と、係合爪体51C(51D)を栽培ベンチ10に係脱させる係脱用アクチュエータとして下流側電磁ソレノイド52C(52D)と、係合爪体51C(51D)を案内装置20A(20B)に沿って縦方向に往復動させる往復用アクチュエータとして下流側エアシリンダ53C(53D)と、を備える。
【0043】
下流側エアシリンダ53C(53D)は、シリンダ架台56C(56D)を介して、案内装置20A(20B)の梁フレーム55C(55D)に固定されている。
【0044】
下流側エアシリンダ53C(53D)は、そのピストンロッド57C(57D)を搬送方向X上流側に移動させることで伸長し、ピストンロッド57C(57D)を搬送方向X下流側に移動させることで収縮する。すなわち、下流側エアシリンダ53C(53D)は、上流側エアシリンダ53A(53B)に対して、伸縮方向が逆向きになるように配置される。
【0045】
下流側エアシリンダ53C(53D)のピストンロッド57C(57D)には、移動プレート62C(62D)が連結ロッド63C(63D)を介して連結される。移動プレート62C(62D)は、下流側エアシリンダ53C(53D)が伸縮されることによって、搬送方向Xに往復動する。移動プレート62C(62D)上面の左右両端側には、係合爪体51C(51D)がそれぞれ配置されている。係合爪体51C(51D)は本体アーム65C(65D)を有している。本体アーム65C(65D)の基端部は、移動プレート62C(62D)上面のうち搬送方向X下流側の左右コーナ部に枢支ピン軸66C(66D)により回動可能に取り付けられている。本体アーム65C(65D)の先端側には、栽培ベンチ10のロワフレーム18に係脱可能な爪部67C(67D)が設けられている。爪部67C(67D)は、ロワフレーム18における搬送方向X下流側の端面に、係脱可能な形状を有している。
【0046】
爪部67C(67D)は、下流側エアシリンダ53C(53D)が伸長された状態で、搬送コンベア40A(40B)の下流部に存在し、下流側エアシリンダ53C(53D)が収縮された状態で、搬送コンベア40B(40A)の上流部に存在するように構成される。
【0047】
移動プレート62C(62D)下面における搬送方向上流側の左右コーナ部には、下流側電磁ソレノイド52C(52D)が設けられる。下流側電磁ソレノイド52C(52D)の昇降ロッド68C(68D)は、対応する係合爪体51C(51D)における本体アーム65C(65D)の長手中途部に連結されている。本体アーム65C(65D)の先端部は、対応する下流側電磁ソレノイド52C(52D)の昇降ロッド68C(68D)の昇降動によって、枢支ピン軸66C(66D)を中心に上下回動するように構成されている。これにより、爪部67C(67D)が上下回動する。その結果、爪部67C(67D)を栽培ベンチ10のロワフレーム18に係合させたり、ロワフレーム18と爪部67C(67D)の係合を解除したりすることが可能となる。
【0048】
以下では、第一下流側搬送装置21Cの動作について説明する。なお、第二下流側搬送装置21Dの動作は、第一下流側搬送装置21Cの動作と基本的に同じであるので、その説明は省略する。
【0049】
図10に示すように、下流側エアシリンダ53Cが搬送方向X上流側に伸長された状態で、下流側電磁ソレノイド52Cの昇降ロッド68Cが上昇されることによって、第一案内装置20Aの最下流側に存在する栽培ベンチ10のロワフレーム18に、爪部67Cが係合する。
【0050】
図11に示すように、栽培ベンチ10のロワフレーム18に爪部67Cが係合した状態で、下流側エアシリンダ53Cが搬送方向X下流側に収縮される。このとき、下流側エアシリンダ53Cは、一個の栽培ベンチ10及び当接フレーム19の搬送方向Xの寸法Z分だけ収縮される。これにより、栽培ベンチ10が、爪部67Cから押圧力を付与されて、第一案内装置20Aの下流部から第二搬送コンベア40B上に移動する。
【0051】
図12に示すように、下流側電磁ソレノイド52Cの昇降ロッド68Cが下降されることによって、爪部67Cが栽培ベンチ10のロワフレーム18よりも下方に存在し、栽培ベンチ10から干渉を受けない状態になる。これにより、下流側エアシリンダ53Cを伸長させて、爪部67Cを移動させることが可能となる。
【0052】
図13に示すように、制御装置70は、搬送モータ45A(45B)に接続されており、搬送モータ45A(45B)を操作して、搬送コンベア40A(40B)の動作を制御することが可能である。制御装置70は、上流側電磁ソレノイド52A(52B)に接続されており、上流側電磁ソレノイド52A(52B)を操作して、爪部67A(67B)を上下回動させることが可能である。制御装置70は、上流側エアシリンダ53A(53B)に接続されており、上流側エアシリンダ53A(53B)を操作して、爪部67A(67B)を搬送方向Xに移動させることが可能である。制御装置70は、下流側電磁ソレノイド52C(52D)に接続されており、下流側電磁ソレノイド52C(52D)を操作して、爪部67C(67D)を上下回動させることが可能である。制御装置70は、下流側エアシリンダ53C(53D)に接続されており、下流側エアシリンダ53C(53D)を操作して、爪部67C(67D)を搬送方向Xに移動させることが可能である。
【0053】
以下では、栽培ベンチ10・10・・・が搬送されるときの手順(1)〜(6)について説明する。なお、図14に示すように、初期状態では、第一搬送コンベア40Aの上流部には栽培ベンチ10が存在しておらず、第一搬送コンベア40Aの下流部には栽培ベンチ10が存在していることとする。また、第二搬送コンベア40Bの上流部には栽培ベンチ10が存在しておらず、第二搬送コンベア40Bの下流部には栽培ベンチ10が存在していることとする。
【0054】
(1)制御装置70は、下流側エアシリンダ53C(53D)を伸長させた状態で、下流側電磁ソレノイド52C(52D)の昇降ロッド68C(68D)を上昇させる。これにより、爪部67C(67D)が、案内装置20A(20B)の最下流側に存在する各栽培ベンチ10のロワフレーム18に係合した状態になる(図10参照)。
【0055】
(2)制御装置70は、下流側エアシリンダ53C(53D)を収縮させる。これにより、案内装置20A(20B)の最下流側の各栽培ベンチ10が、爪部67C(67D)から押圧力を付与されて、搬送コンベア40B(40A)上に移動する(図11及び図15参照)。
【0056】
(3)制御装置70は、上流側エアシリンダ53A(53B)を収縮させた状態で、上流側電磁ソレノイド52A(52B)の昇降ロッド68A(68B)を上昇させる。これにより、爪部67A(67B)が、搬送コンベア40A(40B)の下流部に存在する各栽培ベンチ10のロワフレーム18に係合した状態になる(図5参照)。
【0057】
(4)制御装置70は、上流側エアシリンダ53A(53B)を伸長させる。これにより、搬送コンベア40A(40B)の下流部の各栽培ベンチ10が、爪部67C(67D)から押圧力を付与されて、案内装置20A(20B)上に移動する。その結果、案内装置20A(20B)上にそれぞれ存在する複数の栽培ベンチ10が当接フレーム19を介して押圧力を付与されて、搬送方向Xに玉突き状に搬送される。(図6及び図16参照)。
【0058】
(5)制御装置70は、搬送モータ45A(45B)を操作して、搬送コンベア40A(40B)上の各栽培ベンチ10を搬送方向Xに搬送する(図17参照)。その結果、栽培ベンチ10の位置が、上記した初期状態から搬送方向Xに一個分づつずれた状態になる。
【0059】
(6)制御装置70は、上流側電磁ソレノイド52A(52B)の昇降ロッド68A(68B)を下降させてから、上流側エアシリンダ53A(53B)を収縮させる。これにより、爪部67A(67B)が、搬送コンベア40A(40B)の下流部に存在する各栽培ベンチ10の下方に移動する(図7参照)。また、制御装置70は、下流側電磁ソレノイド52C(52D)の昇降ロッド68C(68D)を下降させてから、下流側エアシリンダ53C(53D)を伸長させる。これにより、爪部67C(67D)が、案内装置20A(20B)の最下流側に存在する各栽培ベンチ10の下方に移動する(図12参照)。
【0060】
上記(1)〜(6)の工程が順に繰り返されることによって、栽培ベンチ10が搬送方向Xに閉ループ状に搬送されていく。
【0061】
以上のように、移動栽培装置1は、案内装置20A(20B)上の最下流側に存在する各栽培ベンチ10を、搬送コンベア40B(40A)上へ搬送するときに、複数の栽培ベンチ10と共に玉突き状に搬送せずに、下流側搬送装置21C(21D)を用いて単数で搬送する(図12及び図15参照)。これにより、各栽培ベンチ10を搬送コンベア40B(40A)上で精度よく位置決めすることが可能となる。
【0062】
なお、本実施形態では、制御装置70は、下流側搬送装置21C(21D)により最下流側に存在する各栽培ベンチ10を搬送した後に、上流側搬送装置21A(21B)により複数の栽培ベンチ10を玉突き状に搬送する。しかし、本発明は、これに限定されず、下流側搬送装置21C(21D)と上流側搬送装置21A(21B)を同時に作動させて、下流側搬送装置21C(21D)による栽培ベンチ10の搬送と、上流側搬送装置21A(21B)による栽培ベンチ10の搬送とを、同時に行うように構成してもよい。しかし、この場合、瞬間的に多量の電力が必要となる可能性がある。従って、本実施形態のように、下流側搬送装置21C(21D)を作動させるタイミングと、上流側搬送装置21A(21B)を作動させるタイミングとを、異ならせた方が、栽培ベンチ10を安定的に搬送できる。
【符号の説明】
【0063】
1 移動栽培装置
10 栽培ベンチ
20A 第一案内装置
20B 第二案内装置
21A 第一上流側搬送装置
21B 第二上流側搬送装置
21C 第一下流側搬送装置
21D 第二下流側搬送装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11
図12
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図16
図17