(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記大局類似度算出手段は、前記注目画像から背景領域を抽出し、前記異なる注目画像間において、前記背景領域同士の類似度を算出することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
前記局所類似度算出手段は、前記注目領域同士の対応付けを行い、該対応付けの結果に基づいて前記局所類似度を算出することを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
前記注目画像群抽出手段は、前記判別パラメータが前記閾値以上である注目画像同士を、前記同一の注目領域を含む注目画像群として抽出することを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
前記散発性判定手段は、前記注目領域における被写体が、発赤と、出血点と、潰瘍とのいずれかである場合、前記注目領域が前記散発的に発生する注目領域であると判定することを特徴とする請求項9又は14に記載の画像処理装置。
前記連続性判定手段は、前記注目領域における被写体が、浮遊する出血と、血管異常とのいずれかである場合、前記注目領域が前記連続的に発生する注目領域であると判定することを特徴とする請求項10又は15に記載の画像処理装置。
前記注目画像群抽出手段は、前記大局類似度が前記閾値以上である注目画像同士を、前記同一の注目領域を含む注目画像群として抽出することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
生体の管腔内を順次撮像することにより取得され、記録部に記録された一連の画像群の画像データに基づいて、コンピュータが備える演算部に実行させる画像処理方法において、
前記一連の画像群から、注目領域を含む注目画像を検出する検出ステップと、
異なる注目画像間において、少なくとも前記注目領域以外の領域を含む領域同士における類似度である大局類似度を算出する大局類似度算出ステップと、
前記大局類似度又は該大局類似度に基づく判別パラメータと閾値との比較に基づいて、同一の注目領域を含む注目画像群を抽出する注目画像群抽出ステップと、
前記注目画像群から代表画像を抽出する代表画像抽出ステップと、
を含むことを特徴とする画像処理方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態に係る画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムについて、図面を参照しながら説明する。なお、これらの実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、各図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して示している。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る画像処理装置を示すブロック図である。実施の形態1に係る画像処理装置1は、被検体である生体の管腔内をカプセル型内視鏡等の医用観察装置により順次撮像することにより取得された一連の画像群から、検出対象として推定される注目領域を含む画像(注目画像)群を抽出し、抽出した注目画像群からさらに代表画像を抽出する装置である。生体の管腔内が写った画像(管腔内画像ともいう)は、通常、各画素位置においてR(赤)、G(緑)、B(青)の波長成分に対する画素レベル(画素値)を持つカラー画像である。以下の説明においては、注目領域として出血、発赤、アフタ、潰瘍等の異常領域を検出し、これらの異常領域を含む注目画像(異常画像)群から代表画像を抽出する場合を説明するが、注目領域は上記例示した異常領域に限定されない。
【0015】
図1に示すように、画像処理装置1は、該画像処理装置1全体の動作を制御する制御部10と、カプセル型内視鏡等の医用観察装置により撮像された管腔内画像に対応する画像データを取得する画像取得部20と、外部からの操作に応じた信号を制御部10に入力する入力部30と、各種情報や画像の表示を行う表示部40と、画像取得部20によって取得された画像データや種々のプログラムを格納する記録部50と、画像データに対して所定の画像処理を実行する演算部100とを備える。
【0016】
制御部10は、CPU等のハードウェアによって実現され、記録部50に記録された各種プログラムを読み込むことにより、画像取得部20から入力される画像データや入力部30から入力される信号等に従って、画像処理装置1を構成する各部への指示やデータの転送等を行い、画像処理装置1全体の動作を統括的に制御する。
【0017】
画像取得部20は、被検体内を撮像するカプセル型内視鏡を含むシステムの態様に応じて適宜構成される。例えば、カプセル型内視鏡との間の画像データの受け渡しに可搬型の記録媒体が使用される場合、画像取得部20は、この記録媒体を着脱自在に装着し、記録された画像の画像データを読み出すリーダ装置で構成される。また、カプセル型内視鏡によって撮像された画像の画像データを保存しておくサーバを設置する場合、画像取得部20は、サーバと接続される通信装置等で構成され、サーバとデータ通信を行って画像データを取得する。
【0018】
入力部30は、例えばキーボードやマウス、タッチパネル、各種スイッチ等の入力デバイスによって実現され、これらの入力デバイスに対する外部からの操作に応じて発生させた入力信号を制御部10に出力する。
【0019】
表示部40は、LCDやELディスプレイ等の表示装置によって実現され、制御部10の制御の下で、管腔内画像を含む各種画面を表示する。
【0020】
記録部50は、更新記録可能なフラッシュメモリ等のROMやRAMといった各種ICメモリ、内蔵若しくはデータ通信端子で接続されたハードディスク、又は、CD−ROM等の情報記録装置及びその読取装置等によって実現される。記録部50は、画像取得部20によって取得された管腔内画像の画像データの他、画像処理装置1を動作させると共に、種々の機能を画像処理装置1に実行させるためのプログラムや、このプログラムの実行中に使用されるデータ等を格納する。具体的には、記録部50は、管腔内画像から出血、発赤、アフタ、潰瘍等の異常領域を検出し、これらの異常領域を含む画像(異常画像)から同一の異常領域を含む異常画像群を抽出し、各異常画像群から代表画像を抽出する画像処理を当該画像処理装置1に実行させる画像処理プログラム51や、異常領域を検出する際に用いられる判別基準や、代表画像を抽出する際に用いられる判別基準等を格納する。
【0021】
演算部100は、CPU等のハードウェアによって実現され、画像処理プログラム51を読み込むことにより、管腔内画像から同一の異常領域を含む異常画像群を抽出し、各異常画像群から代表画像を抽出する画像処理を行う。
【0022】
次に、演算部100の構成について説明する。
図1に示すように、演算部100は、一連の管腔内画像群から異常領域を含む異常画像を検出する検出部110と、異なる異常画像間における全体的な類似度である大局類似度を算出する大局類似度算出部120と、大局類似度に基づいて、検出部110が検出した異常画像から同一の異常領域を含む異常画像群を抽出する異常画像群抽出部130と、抽出された各異常画像群から代表画像を抽出する代表画像抽出部140とを備える。
【0023】
検出部110は、管腔内画像の各種特徴量に基づいて異常領域を検出する。実施の形態1においては、管腔内画像の色特徴量(色情報)に基づいて異常領域を検出する例を説明する。ここで、出血や発赤、血管異常等の異常領域は赤色調の特定色を示し、潰瘍やアフタ等の異常領域は白色調の特定色を示す。そこで、検出部110は、画素値の各色成分(R成分、G成分、B成分)や、これらの各色成分を基に公知の変換により2次的に算出した値(例えば、YCbCr変換により算出した色差、HSI変換により算出した色相、彩度、G/R、B/G等の色比など)といった色特徴量を用いて、管腔内画像内の特定色を示す領域を検出し、この領域を異常領域とする。より詳細には、事前に収集した各種の異常領域の色特徴量を基に、異常領域の判別基準(色範囲)を予め作成し、記録部50に記録しておく。そして、管腔内画像から異常領域を検出する際に、この判別基準を記録部50から読み出すと共に、管腔内画像を構成する各画素について色特徴量を算出し、各画素の色特徴量を判別基準と比較することにより、当該管腔内画像から異常領域を検出する。
【0024】
なお、異常領域の検出方法は、上述した検出方法に限定されず、異常領域を検出することができれば、公知の種々の方法を適用することができる。例えば、代表的な色特徴量との特徴空間距離に基づく方法等を用いても良い。また、上記説明においては、管腔内画像を構成する画素単位の色特徴量を用いて異常領域を検出したが、画像内のエッジ情報等を基に管腔内画像を小領域に分割し、小領域単位の色特徴量を用いて異常領域を検出しても良い。さらに、色特徴量以外の形状特徴量や、テクスチャ特徴量を用いて、異常領域を検出しても良い。
【0025】
大局類似度算出部120は、互いに異なる異常画像間において、少なくとも異常領域以外の領域を含む領域、即ち、異常領域の背景を含む領域同士における類似度を大局類似度として算出する。
【0026】
異常画像群抽出部130は、大局類似度算出部120が算出した大局類似度に基づいて、検出部110が検出した異常領域のうちで同一の異常領域を含む画像を1つの異常画像群として抽出する注目画像群抽出手段である。
【0027】
代表画像抽出部140は、同一の異常領域を含む異常画像群の各々から代表画像を抽出する。代表画像の抽出方法は特に限定されず、単に異常画像群の時系列の先頭の画像や中央の画像を代表画像として抽出しても良いし、画像診断の上で重要度の高い異常領域を含む異常画像や、異常領域の視認性の良い異常画像を代表画像として抽出しても良い。異常領域の重要度や視認性は、例えば異常領域の色特徴量、形状特徴量、テクスチャ特徴量等に基づいて判別することができる。
【0028】
次に、
図1に示す画像処理装置1の動作について説明する。
図2は、画像処理装置1の動作を示すフローチャートである。
まず、ステップS10において、画像処理装置1は、時系列順に撮像された一連の管腔内画像の画像データを、画像取得部20を介して取得し、記録部50に記録する。
【0029】
続くステップS11において、検出部110は、記録部50に記録された管腔内画像の画像データを順次読み出し、各管腔内画像から異常領域を検出して、異常領域を含む異常画像を抽出する。具体的には、検出部110は、記録部50に予め記録されている異常領域の判別基準を読み出し、各管腔内画像を構成する各画素の色特徴量をこの判別基準と比較することにより、異常領域を検出する。
【0030】
図3は、時系列順に取得された一連の管腔内画像I
iを示す模式図である。ここで、添え字i(i=1、2、…)は、各管腔内画像の時系列的な並び順(撮像順序)を示し、画像番号に対応する。ステップS11の処理により、異常領域A
i(i=t1〜t1+4、t2、t2+2、t2+4)が検出され、各異常領域A
iを含む管腔内画像Iiが抽出される。以下、異常領域A
iを含む管腔内画像I
iを異常画像I
iと記し、時系列(撮像順序)に沿って並べられた異常画像I
iのみからなる画像列を、異常画像列ともいう。
【0031】
続くステップS12において、大局類似度算出部120は、ステップS11において抽出された各異常画像に対し、異常画像列において隣接する異常画像間の大局類似度を算出する。例えば
図3の場合、異常画像列で隣接する異常画像として、異常画像I
t1とI
t1+1、異常画像I
t1+1とI
t1+2、異常画像I
t1+2とI
t1+3、異常画像I
t1+3とI
t1+4、異常画像I
t1+4とI
t2、異常画像I
t2とI
t2+2、異常画像I
t2+2とI
t2+4の各組み合わせにおける大局類似度が算出される。
【0032】
実施の形態1においては、大局類似度として、異常領域の背景領域同士の類似度を算出する例を説明する。
図4は、ステップS12において大局類似度算出部120が実行する大局類似度算出処理を示すフローチャートである。また、
図5は、大局類似度算出処理を説明するための模式図である。
【0033】
図5に示すように、異常画像列で隣接する異常画像I
k、I
k’(k、k’はk<k’の自然数)から、異常領域A
k、A
k’がそれぞれ検出されているものとする。この場合、
図4に示すステップS101において、大局類似度算出部120は、各異常画像I
k、I
k’から、背景領域として、異常領域A
k、A
k’以外の領域、即ち非異常領域B
k、B
k’をそれぞれ抽出する。
【0034】
続くステップS102において、大局類似度算出部120は、背景領域、即ち非異常領域B
k、B
k’の特徴量c
k、c
k’をそれぞれ算出する。特徴量c
k、c
k’としては、非異常領域B
k、B
k’を構成する画素の画素値(輝度値やG成分の値)の平均値又は中央値等の統計量、非異常領域B
k、B
k’を構成する画素の色特徴量(R成分、G成分、B成分の各値を用いて、YCbCr変換により算出した色差、HSI変換により算出した色相、彩度、G/R、B/G等の色比など)の平均値又は中央値等の統計量、非異常領域B
k、B
k’の形状特徴量(面積や円形度等)、非異常領域B
k、B
k’を構成する各画素におけるテクスチャ特徴量(ソーベルフィルタやラプラシアンフィルタ等を用いて算出されるエッジ量等)の平均値又は中央値等の統計量等が挙げられる。
【0035】
続くステップS103において、大局類似度算出部120は、異常画像列で隣接する異常画像I
k、I
k’間における非異常領域B
k、B
k’の特徴量c
k、c
k’の変化量Δc(Δc=c
k−c
k’)を算出する。
【0036】
続くステップS104において、大局類似度算出部120は、特徴量の最大値c
max及び変化量Δcを用いて、次式(1)によって与えられる大局類似度s
globalを算出する。
s
global=(c
max−Δc)/c
max …(1)
式(1)において、特徴量の特徴量の最大値c
maxは、特徴量c
k、c
k’が取り得る最大の値である。例えば256階調の異常画像I
k、I
k’に対し、特徴量c
k、c
k’として画素値(G成分の値)の統計値を算出した場合、最大値c
maxは256である。また、特徴量c
k、c
k’として円形度を算出した場合、最大値c
maxは1である。その後、画像処理装置1の動作はメインルーチンに戻る。
【0037】
ステップS12に続くステップS13において、異常画像群抽出部130は、ステップS11において抽出された異常画像から、ステップS12において算出された大局類似度s
globalに基づいて、同一の異常領域を含む異常画像群を抽出する。詳細には、異常画像群抽出部130は、大局類似度s
globalが所定の閾値以上である異常画像同士を、同一の異常領域を含む異常画像として判定する。反対に、大局類似度s
globalが所定の閾値未満である異常画像同士を、同一の異常領域を含まない異常画像として判定する。そして、異常画像群抽出部130は、同一の異常領域を含む異常画像を、1つの異常画像群として抽出する。
【0038】
例えば、
図3において、異常画像I
t1とI
t1+1、異常画像I
t1+1とI
t1+2、異常画像I
t1+2とI
t1+3、及び異常画像I
t1+3とI
t1+4が、それぞれ同一の異常領域を含むと判定された場合、これらの異常画像I
t1、I
t1+1、I
t1+3、I
t1+4が、1つの異常画像群G
t1として抽出される。また、異常画像I
t1+4とI
t2が同一の異常領域を含まないと判定された場合、異常画像t
2は、異常画像I
t1+4と同じ異常画像群として抽出されない。さらに、異常画像I
t2とI
t2+2、異常画像I
t2+2とI
t2+4が、それぞれ同一の異常領域を含むと判定された場合、これらの異常画像I
t2、I
t2+2、I
t2+4が、1つの異常画像群G
t2として抽出される。
【0039】
続くステップS14において、代表画像抽出部140は、ステップS13において抽出された各異常画像群から代表画像として抽出する。抽出される代表画像の数は、定数であっても良いし(例えば、各異常画像群から1枚)、異常画像群に含まれる異常画像の枚数に応じて決定しても良い(例えば、異常画像の枚数のα倍、0<α<1)。なお、後者の場合、代表画像の枚数が1枚に満たないときには、少なくとも1枚の代表画像を抽出するものとする。或いは、抽出される代表画像の数を特定せず、所定の基準を満たす異常画像(例えば、色特徴量が所定の閾値以上の異常画像)を全て代表画像として抽出しても良い。
【0040】
代表画像の抽出方法は特に限定されない。例えば、各異常画像群の時系列順での先頭の画像や中央の画像を代表画像として抽出しても良い。或いは、各異常画像群における同一の異常領域の色特徴量に基づいて抽出しても良い。具体的には、異常領域が赤色調の特定色を示す場合、異常領域の赤色が強い異常画像を代表画像として優先的に抽出し、異常領域が白色調の特定色を示す場合、異常領域の白色が強い異常画像を代表画像として優先的に抽出する。また、異常領域の面積が大きい異常画像や、異常領域の位置が中央に近い異常画像を代表画像として優先的に抽出しても良い。
【0041】
続くステップS15において、演算部100は、ステップS14において各異常画像群から抽出された代表画像を表す情報を出力する。これに応じて、記録部50は、代表画像として抽出された管腔内画像の画像データに代表画像である旨を示す情報(フラグ)を付加する。
【0042】
以上説明したように、本発明の実施の形態1によれば、異常画像内の背景領域を含む領域間の大局類似度に基づいて異常画像群を抽出するので、異常領域が撮像された際の状況により、異常画像間において異常領域の位置や形状や色が大きく変化した、或いは、異常領域が一瞬視野から外れ、異常画像同士が時系列的に離れてしまった、といった場合であっても、これらの異常画像を同じ異常画像群として抽出することができる。そのため、同一の異常領域が写った異常画像が代表画像として連続抽出されるのを抑制することができる。従って、検出された全ての異常を網羅しつつ、抽出枚数が抑制された代表画像を観察することで、ユーザは、正確且つ効率の良い診断を行うことが可能となる。
【0043】
(変形例1−1)
次に、本発明の実施の形態1の変形例1−1について説明する。
大局類似度を算出する際に各異常画像から抽出する背景領域は、非異常領域の全体でなくても良い。例えば、異常画像内の粘膜が写った領域(粘膜領域)を背景領域として抽出し、この粘膜領域同士の大局類似度を算出しても良い。
【0044】
粘膜領域は、事前に作成された判別基準を用いて抽出することができる。判別基準は、管腔内画像に写った出血、残渣、泡、ハレーション、暗部等の非粘膜領域の色特徴量(画素値のR成分、G成分、B成分の値、これらの各色成分の値を基に公知の変換により2次的に算出した値(YCbCr変換により算出した色差、HSI変換により算出した色相、彩度、G/R、B/G等の色比など))や、形状特徴量(Histograms of Oriented Gradients(HOG)、面積、周囲長、フェレ径等の形状情報)や、テクスチャ特徴量(Local Binary Pattern(LBP)、同時正規行列等)の特徴量分布に基づき、サポートベクターマシン(SVM)等の学習器により作成し、記録部50に記録しておく。
【0045】
図6は、変形例1−1における大局類似度算出処理(
図2のステップS12及び
図4参照)を説明するための模式図である。
この場合、ステップS101において、大局類似度算出部120は、粘膜領域を判別するための判別基準を記録部50から読み出し、異常画像を構成する各画素について算出された特徴量を判別基準と比較することにより、粘膜領域を抽出する。それにより、
図6に示すように、異常画像列で隣接する異常画像I
k、I
k’から、出血等の異常領域A
k、A
k’や、泡等の不要領域C
k、C
k’を除いた粘膜領域D
k、D
k’がそれぞれ抽出される。
【0046】
大局類似度算出部120は、この粘膜領域D
k、D
k’を背景領域として特徴量c
k、c
k’を算出し(ステップS102参照)、該特徴量の最大値c
max及び変化量Δcを用いて、式(1)によって与えられる大局類似度s
globalを算出する(ステップS103、S104参照)。
【0047】
以上説明したように、変形例1−1によれば、異常画像間における粘膜領域同士の大局類似度を算出するので、出血、残渣、泡、ハレーション、及び暗部のように、局所的に発生する現象に起因する影響を抑制しつつ、同一の異常領域を含む異常画像群を抽出することが可能となる。
【0048】
(変形例1−2)
次に、本発明の実施の形態1の変形例1−2について説明する。
大局類似度は、背景領域だけでなく、異常領域を含む領域の特徴量に基づいて算出しても良い。具体的には、異常領域及び非異常領域を含む異常画像全体の特徴量に基づいて大局類似度を算出しても良い。或いは、異常画像全体から、残渣、泡、ハレーション、暗部等の不要領域(診断における検出対象以外の領域)を除いた領域の特徴量を用いて大局類似度を算出しても良い。いずれにしても、大局類似度は、少なくとも非異常領域を含む領域同士について算出したものであれば良い。
【0049】
(変形例1−3)
次に、本発明の実施の形態1の変形例1−3について説明する。
異常画像間の大局類似度は、異常画像に写った臓器の種類に基づいて決定しても良い。以下、臓器の種類に基づく大局類似度の決定方法を説明する。
【0050】
まず、各異常画像に写った臓器の種類を判別する。臓器の種類は、公知の種々の方法を用いて判別することができる。以下においては、一例として、特開2006−288612号公報に開示されている方法を説明する。まず、事前に、管腔内の各臓器(食道、胃、小腸、及び大腸)が写った画像におけるR、G、Bの各色成分(色要素)の数値範囲を決定しておく。そして、異常画像を構成する各画素のR成分、G成分、及びB成分の値それぞれの平均値を算出し、事前に決定した各臓器の色成分の数値範囲と比較する。その結果、異常画像について算出した色成分ごとの平均値が事前に決定した食道の色成分の数値範囲内であれば、当該異常画像に写った臓器は食道であると判別する。同様に、異常画像について算出した色成分ごとの平均値が事前に決定した胃の色成分の数値範囲内であれば当該異常画像に写った臓器は胃であり、小腸の色成分の数値範囲内であれば当該異常画像に写った臓器は小腸であり、大腸の色成分の数値範囲内であれば当該異常画像に写った臓器は大腸であると判別する。
【0051】
大局類似度算出部120は、各異常画像に対して判別された臓器の種類に基づいて大局類似度を決定する。具体的には、異常画像列で隣接する異常画像間において、臓器の種類が同一であれば、類似度を1.0に決定する。一方、異常画像列で隣接する異常画像間において、臓器の種類が異なる場合、類似度を0.0に決定する。
【0052】
なお、臓器の種類は、ユーザが判別することとしても良い。具体的には、演算部100における画像処理により、一連の管腔内画像の各々の平均色を算出し、これらの平均色を管腔内画像の並び順(時系列順)に配列したカラーバーを作成して表示部40に表示させる。このカラーバー上における平均色の変わり目(境界)が、一連の管腔内画像における臓器の境界に対応する。そこで、入力部30に対するユーザ操作に応じて、カラーバー上の特定のポイントを選択する信号が入力部30から制御部10に入力されると、制御部10は、当該ポイントに対応する管腔内画像の画像番号を演算部100に入力する。演算部100は、入力された画像番号に対応する管腔内画像を臓器の境界として、各管腔内画像に写った臓器の種類を特定する。大局類似度算出部120は、異常領域が検出された管腔内画像の臓器の種類に基づいて、大局類似度を決定する。
【0053】
(変形例1−4)
次に、本発明の実施の形態2の変形例1−4について説明する。
演算部100は、ステップS10において画像データを取得した後、一連の管腔内画像全体に対して臓器の種類の判別処理を行っても良い。なお、臓器の種類の判別方法は、変形例1−3と同様であり、自動判別を行っても良いし、ユーザが手動で判別することとしても良い。
【0054】
この場合、演算部100は、検査対象の臓器(例えば小腸)が写った管腔内画像に対して、上述したステップS11〜S14の処理(
図2参照)を実行する。一方、演算部100は、検査対象外の臓器(例えば食道、胃、大腸)が写った管腔内画像に対しては、異常領域を検出することにより異常画像を抽出した後、例えば異常領域の赤みが強い順、或いは、異常領域の白色が強い順に、異常画像を所定枚数(例えば10枚などの少数)だけ抽出し、代表画像として出力する。なお、赤みの強さは、色比G/Rによって表すことができ、色比G/Rが小さいほど赤みが強いことを示す。また、白色の強さは、色比G/R及びB/Gによって表すことができ、色比G/R及びB/Gが共に大きいほど白みが強いことを示す。或いは、演算部100は、検査対象外の臓器が写った管腔内画像については異常領域の検出を行うことなく、各管腔内画像の色特徴量(上述した色比等)に基づいて、所定枚数(例えば10枚などの少数)の管腔内画像を代表画像として抽出しても良い。さらには、演算部100は、検査対象外の臓器が写った管腔内画像からは代表画像の抽出を行わなくても良い。
【0055】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
図7は、本発明の実施の形態2に係る画像処理装置が備える演算部の構成を示すブロック図である。実施の形態2に係る画像処理装置は、
図1に示す演算部100の代わりに、
図7に示す演算部200を備える。演算部200以外の各部の構成及び動作については、実施の形態1と同様である。
【0056】
演算部200は、検出部110、位置情報取得部210、大局類似度算出部120、異常画像群抽出部220、及び代表画像抽出部140を備える。このうち、検出部110、大局類似度算出部120、及び代表画像抽出部140の動作は、実施の形態1と同様である。
【0057】
位置情報取得部210は、各異常画像I
iの一連の管腔内画像(
図3参照)における時系列的な並び順(撮像順)若しくは該並び順を表す画像番号、又は各異常画像I
iの撮像時刻を、当該異常画像I
iの時系列的な位置情報として取得する。ここで、一連の管腔内画像の撮像に用いられたカプセル型内視鏡の平均進行速度をv(例えば、1mm/秒)、撮像フレームレートをF(例えば、2枚/秒)とすると、管腔内画像(異常画像)I
iの撮像位置は、一連の管腔内画像の撮像開始位置(例えば、口腔内)から距離i・v/F(mm)だけ進行した位置であると推定することができる。また、撮像時刻を用いても、同様にしてカプセル型内視鏡の位置を推定することができる。従って、管腔内画像の並び順、画像番号、及び撮像時刻を、異常画像I
iの位置情報として扱うことができる。
【0058】
異常画像群抽出部220は、位置情報取得部210が取得した位置情報と、大局類似度算出部120が算出した大局類似度とに基づいて、同一の異常領域を含む異常画像群を抽出する。
【0059】
次に、実施の形態2に係る画像処理装置の動作について説明する。
図8は、実施の形態2に係る画像処理装置の動作を示すフローチャートである。なお、
図8に示すステップS10及びS11は、実施の形態1と同様である(
図2参照)。
【0060】
ステップS11に続くステップS21において、位置情報取得部210は、ステップS11において抽出された異常画像の時系列的な位置情報を取得する。具体的には、異常画像I
iの撮像時刻又は並び順iを位置情報として取得する。
【0061】
続くステップS22において、大局類似度算出部120は、異常画像列において隣接する異常画像間の大局類似度を算出する。大局類似度の算出方法は、実施の形態1と同様である(
図5参照)。或いは、変形例1−1〜1−3と同様にして大局類似度を算出しても良い。
【0062】
続くステップS23において、異常画像群抽出部220は、ステップS21において取得された位置情報及びステップS22において算出された大局類似度に基づいて、同一の異常領域を含む異常画像群を抽出する。
【0063】
図9は、ステップS23において異常画像群抽出部220が実行する異常画像群の抽出処理を示すフローチャートである。また、
図10は、異常画像群の抽出処理を説明するための模式図である。異常画像群抽出部220は、ステップS11において抽出された各異常画像について、ループAの処理を実行する。
【0064】
まず、ステップS201において、異常画像群抽出部220は、処理対象の異常画像I
k(kは自然数)に対し、異常画像列で隣接する異常画像I
k’(k’はk<k’の自然数)との間における撮像時刻T(I
k)、T(I
k’)の差分ΔT(=T(I
k’)−T(I
k))、即ち経過時間を算出する。
【0065】
続くステップS202において、異常画像群抽出部220は、ステップS201において算出した撮像時刻の差分ΔTが所定の閾値th1以下であるか否かを判定する。
【0066】
撮像時刻の差分ΔTが閾値th1以下である場合(ステップS202:Yes)、続いて、異常画像群抽出部220は、当該異常画像I
k、I
k’間の大局類似度s
globalが所定の閾値th2以上であるか否かを判定する(ステップS203)。
【0067】
大局類似度s
globalが閾値th2以上である場合(ステップS203:Yes)、異常画像群抽出部220は、処理対象の異常画像I
k及びその次に抽出された異常画像I
k’が同一の異常領域を含むと判定する(ステップS204)。
【0068】
例えば
図10に示す異常画像I
t1と異常画像I
t1+1のように、時系列的に隣接する場合(ΔT1<th1)、大局類似度s
globalが閾値th2以上であれば、これらの異常画像I
t1、I
t1+1は同一の異常領域を含むと判定される。また、異常画像I
t2と異常画像I
t2+2のように、管腔内画像群(i=1、2、…)においては時系列的に直接隣接していない場合であっても、撮像時刻の差分ΔT2が閾値th1以下であれば、大局類似度s
globalが閾値th2以上であることを条件に、これらの異常画像I
t2、I
t2+2は同一の異常領域を含むと判定される。
【0069】
一方、ステップS202において、撮像時刻の差分が閾値th1よりも大きい場合(ステップS202:No)、又は、ステップS203において、大局類似度s
globalが閾値th2よりも小さい場合(ステップS203:No)、異常画像群抽出部220は、処理対象の異常画像I
k及びその次に抽出されたI
k’は同一の異常領域を含まないと判定する(ステップS205)。例えば
図10の場合、異常画像I
t1+4と異常画像I
t2との撮像時刻の差分ΔT3は閾値th1よりも大きいので、同一の異常領域を含まないと判定される。
【0070】
全ての異常画像についてループAの処理が終了すると、ステップS206において、異常画像群抽出部220は、同一の異常領域が写っていると判定した異常画像同士を同じ異常画像群として抽出する。その後、画像処理装置の動作はメインルーチンに戻る。
【0071】
なお、ステップS201においては、撮像時刻の代わりに、異常画像I
iの並び順iの差分を算出しても良い。この場合、ステップS202においては、並び順の差分が所定の閾値以下であるか否かが判定される。
ステップS22に続くステップS14及びS15は、実施の形態1と同様である(
図2参照)。
【0072】
以上説明したように、本発明の実施の形態2によれば、異常画像の時系列的な位置情報及び大局類似度に基づいて、同一の異常領域を含む異常画像群を抽出するので、時系列的に大きく離れた異常画像同士が同一の異常画像群として抽出されるのを防ぐことができる。
【0073】
(変形例2)
次に、本発明の実施の形態2の変形例2について説明する。
上記実施の形態2においては、異常画像の時系列的な位置情報を、同一の異常領域を含む異常画像群の抽出処理に用いたが、この位置情報を用いて代表画像の抽出処理を行っても良い。
【0074】
図11は、変形例2に係る画像処理装置が備える演算部の構成を示すブロック図である。
図11に示すように、変形例2−2における演算部250は、実施の形態2における演算部200(
図7参照)が備える代表画像抽出部140の代わりに、代表画像抽出部141を備える。代表画像抽出部141以外の演算部250の各部の構成及び動作については、実施の形態2と同様である。
【0075】
代表画像抽出部141は、同一の異常領域を含む異常画像群の各々から、重要度の高い異常領域として、出血源が写った異常画像を優先的に代表画像として抽出する。より詳細には、代表画像抽出部141は、出血の異常領域が写った異常画像群から出血源を検出する出血源検出部141aを備える。この出血源検出部141aは、異常画像に写った被写体(臓器)の管腔内における位置、即ち、異常画像の管腔内における撮像位置を推定する位置推定部141bを備える。
【0076】
図12は、
図8に示すステップS14において代表画像抽出部141が実行する代表画像抽出処理を示すフローチャートである。代表画像抽出部141は、ステップS23において抽出された各異常画像群についてループBの処理を実行する。なお、以下の説明においては、各異常画像群から抽出される代表画像の枚数をn枚とする。
【0077】
まず、ステップS211において、代表画像抽出部141は、処理対象の異常画像群に含まれる同一の異常領域が出血であるか否か判定する。具体的には、ステップS11(実施の形態1参照)において、赤色調の特定色を示すものとして検出された異常領域を出血として判定する。或いは、異常領域の色特徴量、形状特徴量、又はテクスチャ特徴量に基づいて、異常領域が出血であるか否かを判定しても良い。
【0078】
同一の異常領域が出血である場合(ステップS211:Yes)、位置推定部141bは、ステップS21において位置情報取得部210が取得した時系列的な位置情報(異常画像の撮像時刻又は並び順)を取り込み、該位置情報に基づいて当該異常画像群に含まれる各異常画像の管腔内における撮像位置を推定する(ステップS212)。
【0079】
続くステップS213において、出血源検出部141aは、出血源画像(出血源が写った異常画像)を検出する。詳細には、当該異常画像群のうちで赤みの強い異常領域を含む異常画像から、管腔内における撮像位置が最も上流である異常画像(言い換えると、時系列で最も古い異常画像)を、出血源画像として検出する。ここで、赤みの強い異常領域は、例えば、色比G/Rの値が所定の閾値以下である領域として判別することができる。なお、このときに用いられる色比G/Rの閾値は、ステップS11において異常領域を検出する際に用いた判別基準(色比G/R)よりも厳しく(値を小さく)設定すると良い。
【0080】
一般に、管腔内において出血が発生した場合、血液は上流(口腔側)から下流(肛門側)に向けて流れる。そのため、赤みの強い異常領域を含む異常画像のうち撮像位置が最も上流である異常画像に出血源が写っているものと推定することができる。
【0081】
続くステップS214において、代表画像抽出部141は、ステップS213において検出された出血源画像を1枚、代表画像として抽出する。
【0082】
続くステップS215において、代表画像抽出部141は、当該異常画像群のうち、赤みの強い異常領域を含む異常画像(出血源画像を除く)から、代表画像の抽出枚数nマイナス1枚だけ、代表画像をランダムに抽出する。
【0083】
続くステップS216において、代表画像抽出部141は、代表画像をn枚抽出できたか否かを判定する。当該異常画像群のうち、赤みの強い異常領域を含む異常画像の枚数がn枚以上である場合、これらの異常画像からトータルでn枚の代表画像を抽出することができる。この場合(ステップS216:Yes)、処理はステップS219に移行する。
【0084】
一方、当該異常画像群のうち、赤みの強い異常領域を含む異常画像の枚数がn枚に満たない場合、代表画像をn枚抽出できていないことになる。この場合(ステップS216:No)、代表画像抽出部141は、赤みの強い異常領域を含まない残りの異常画像から、トータルの枚数がn枚になるまで代表画像をランダムに抽出する(ステップS217)。その後、処理はステップS219に移行する。
【0085】
また、ステップS211において、処理対象の異常画像群における同一の異常領域が出血でない場合(ステップS211:No)、代表画像抽出部141は、実施の形態1と同様にして、異常画像群からn枚の代表画像を抽出する(ステップS218)。その後、処理はステップS219に移行する。
【0086】
ステップS219において、代表画像抽出部141は、抽出したn枚の代表画像の画像データに、代表画像である旨を示す情報(フラグ)を付加する。
【0087】
ステップS23(
図8参照)において抽出された全ての異常画像群に対してループBの処理を実行した後、画像処理装置の動作はメインルーチンに戻る。
【0088】
以上説明したように、変形例2によれば、異常領域の赤みの強さと各異常画像の管腔内における位置情報とに基づいて、診断において重要度が高い出血源を代表画像として優先的に抽出することができる。
【0089】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について説明する。
図13は、本発明の実施の形態3に係る画像処理装置が備える演算部の構成を示すブロック図である。実施の形態3に係る画像処理装置は、
図1に示す演算部100の代わりに、
図13に示す演算部300を備える。演算部300以外の各部の構成及び動作については、実施の形態1と同様である。
【0090】
演算部300は、検出部110、位置情報取得部210、大局類似度算出部120、異常分類部310、異常画像群抽出部320、及び代表画像抽出部140を備える。このうち、検出部110、大局類似度算出部120、及び代表画像抽出部140の動作は、実施の形態1と同様である。また、位置情報取得部210の動作は、実施の形態2と同様である。
【0091】
異常分類部310は、注目領域としての異常領域を、該異常領域における被写体の種類に応じて分類する注目領域分類手段である。詳細には、異常分類部310は、異常領域が一連の管腔内画像において連続的に発生する異常領域であるか否かを判定する連続異常判定部(連続性判定手段)311を備える。連続異常判定部311は、異常領域における被写体が、浮遊する出血や血管異常等の異常である場合、当該異常領域が連続的に発生する異常領域であると判定する。
【0092】
浮遊する出血や血管異常といった異常の種類は、事前に作成した判別基準を用いて判定することができる。判別基準は、管腔内画像に写った浮遊する出血や血管異常等の異常領域の色特徴量(画素値のR成分、G成分、B成分の値、これらの各色成分の値を基に公知の変換により2次的に算出した値(YCbCr変換により算出した色差、HSI変換により算出した色相、彩度、G/R、B/G等の色比など))や、形状特徴量(HOG、面積、周囲長、フェレ径等の形状情報)や、テクスチャ特徴量(LBP、同時正規行列等)の特徴量分布に基づき、サポートベクターマシン(SVM)等の学習器により作成し、記録部50に記録しておく。
【0093】
異常画像群抽出部320は、位置情報取得部210が取得した位置情報と、大局類似度算出部120が算出した大局類似度と、異常分類部310による分類結果とに基づいて、同一の異常領域を含む異常画像群を抽出する。
【0094】
次に、実施の形態3に係る画像処理装置の動作を説明する。
図14は、実施の形態3に係る画像処理装置の動作を示すフローチャートである。なお、
図14に示すステップS10、S11は、実施の形態1と同様である(
図2参照)。
【0095】
ステップS11に続くステップS31において、位置情報取得部210は、ステップS11において抽出された異常画像の時系列的な位置情報を取得する。具体的には、異常画像I
iの並び順i又は撮像時刻を位置情報として取得する。
【0096】
続くステップS32において、大局類似度算出部120は、異常画像列において隣接する異常画像間の大局類似度を算出する。大局類似度の算出方法は、実施の形態1と同様である(
図5参照)。或いは、変形例1−1〜1−3と同様にして大局類似度を算出しても良い。
【0097】
続くステップS33において、異常分類部310は、ステップ11において検出された各異常領域を分類する。詳細には、連続異常判定部311は、連続的に発生する異常領域を判定するための判別基準を記録部50から読み出し、処理対象の異常領域について算出された特徴量を判別基準と比較することにより、当該異常領域における被写体の種類を判別し、該被写体の種類に応じて、当該異常領域が連続的に発生する異常領域であるか否かを判定する。具体的には、異常領域における被写体が浮遊する出血や血管異常である場合、当該異常領域は連続的に発生する異常領域であると判定する。
【0098】
続くステップS34において、異常画像群抽出部320は、ステップS33における分類結果に基づき、ステップS31において取得された位置情報及びステップS32において算出された大局類似度を用いて、同一の異常領域を含む異常画像群を抽出する。
【0099】
図15は、ステップS34において異常画像群抽出部320が実行する異常画像群の抽出処理を示すフローチャートである。異常画像群抽出部320は、ステップS11において抽出された各異常画像について、ループCの処理を実行する。
【0100】
まず、ステップS301において、異常画像群抽出部320は、処理対象の異常画像I
j(jは自然数)と、該異常画像I
jに対して異常画像列において隣接する異常画像I
j+n(nは自然数)との間における位置の近接度を表すパラメータs
posを算出する。パラメータs
posは次式(2)によって与えられる。
s
pos=(N−n)/N …(2)
式(2)においてNは、並び順の差nを規格化するためのパラメータであり、例えばN=10に設定される。このパラメータs
posは、異常画像I
j、I
j+nにそれぞれ写った被写体の管腔内における位置が近いほど(nが小さいほど)、値が大きくなる。
【0101】
なお、ステップS31において、位置情報として異常画像I
iの撮像時刻が取得された場合には、式(2)における並び順の差nの代わりに撮像時刻の差を代入し、パラメータNの代わりに撮像時刻の差を規格化するためのパラメータを用いることにより、位置の近接度を表すパラメータを算出する。
【0102】
続くステップS302において、異常画像群抽出部320は、処理対象の異常画像における異常領域の分類結果(ステップS33参照)に基づいて、大局類似度s
global及び位置の近接度を表すパラメータs
posにそれぞれ与えられる重みw
1、w
2(w
1+w
2=1)を決定する。この際、重みw
1、w
2は、異常画像I
jにおける異常領域が連続的に発生する異常領域であれば、重みw
1に対して重みw
2が相対的に大きくなるように決定される。一方、異常画像I
jにおける異常領域が連続的に発生する異常領域でなければ、重みw
2に対して重みw
1が相対的に大きくなるように重みw
1、w
2が決定される。
【0103】
続くステップS303において、異常画像群抽出部320は、ステップS302において決定した重みw
1、w
2を用いて、大局類似度s
globalと位置の近接度を表すパラメータs
posとを加味したトータルの判別パラメータs
total1を算出する。トータルの判別パラメータs
total1は、次式(3)によって与えられる。
s
total1=w
1・s
global+w
2・s
pos …(3)
【0104】
続くステップS304において、異常画像群抽出部320は、トータルの判別パラメータs
total1が所定の閾値th3以上であるか否かを判定する。トータルの判別パラメータs
total1が閾値th3以上である場合(ステップS304:Yes)、異常画像群抽出部320は、処理対象の異常画像I
j及びその次に抽出された異常画像I
j+nが同一の異常領域を含むと判定する(ステップS305)。一方、トータルの判別パラメータs
totalが閾値th3よりも小さい場合(ステップS304:No)、異常画像群抽出部320は、処理対象の異常画像I
j及びその次に抽出された異常画像I
j+nが同一の異常領域を含まないと判定する(ステップS306)。
【0105】
全ての異常画像についてループCの処理が終了すると、ステップS307において、異常画像群抽出部320は、同一の異常領域が写っていると判定した異常画像同士を同じ異常画像群として抽出する。その後、画像処理装置の動作はメインルーチンに戻る。
ステップS34に続くステップS14及びS15は、実施の形態1と同様である(
図2参照)。
【0106】
以上説明したように、本発明の実施の形態3によれば、異常画像の時系列的な位置情報及び大局類似度に基づいて同一の異常領域を含む異常画像群を抽出する際に、異常画像における異常領域が連続的に発生する異常領域である否かに応じて、大局類似度と位置情報との重みを変更するので、同一の異常領域を含む異常画像群の抽出精度を向上させることが可能となる。
【0107】
(変形例3−1)
次に、本発明の実施の形態3の変形例3−1について説明する。
図16は、
図13に示す異常分類部310の別の構成例を示すブロック図である。
図13に示す演算部300においては、異常分類部310の代わりに、
図16に示す異常分類部330を設けても良い。異常分類部330は、異常領域が一連の管腔内画像において散発的に発生する異常領域であるか否かを判定する散発異常判定部(散発性判定手段)331と備える。散発異常判定部331は、異常領域における被写体が、発赤、出血点、アフタ、潰瘍等の異常である場合、当該異常領域は散発的に発生する異常領域であると判定する。
【0108】
発赤、出血点、アフタ、潰瘍といった異常の種類は、事前に作成した判別基準を用いて判定することができる。判別基準は、管腔内画像に写った発赤、出血点、アフタ、潰瘍等の異常領域の色特徴量(画素値のR成分、G成分、B成分の値、これらの各色成分の値を基に公知の変換により2次的に算出した値(YCbCr変換により算出した色差、HSI変換により算出した色相、彩度、G/R、B/G等の色比など))や、形状特徴量(HOG、面積、周囲長、フェレ径等の形状情報)や、テクスチャ特徴量(LBP、同時正規行列等)の特徴量分布に基づき、サポートベクターマシン(SVM)等の学習器により作成し、記録部50に記録しておく。
【0109】
この場合、
図14に示すステップS33においては、異常分類部330が、ステップS11において検出された各異常領域を分類する。詳細には、散発異常判定部331が、散発的に発生する異常領域を判定するための判別基準を記録部50から読み出し、処理対象の異常領域について算出された特徴量を判別基準と比較することにより、当該異常領域における被写体の種類を判別し、該被写体の種類に応じて、異常領域が散発的に発生する異常領域であるか否かを判定する。
【0110】
また、この場合、
図14に示すステップS34において、異常画像群抽出部320は、異常分類部330による分類結果に基づき、ステップS31において取得された位置情報及びステップS32において算出された大局類似度を用いて、同一の異常領域を含む異常画像群を抽出する。
【0111】
詳細には、
図15に示すステップS302において、異常画像群抽出部320は、異常分類部330による異常領域の分類結果に基づき、大局類似度s
global及び位置の近接度を表すパラメータs
posにそれぞれ与えられる重みw
1、w
2を決定する。この際、重みw
1、w
2は、異常画像I
jにおける異常領域が散発的に発生する異常領域であれば、重みw
2に対して重みw
1が相対的に大きくなるように決定される。一方、異常画像I
jにおける異常領域が散発的に発生する異常領域でなければ、重みw
1に対して重みw
2が相対的に大きくなるように重みw
1、w
2が決定される。
【0112】
(変形例3−2)
次に、本発明の実施の形態3の変形例3−2について説明する。
図17は、
図13に示す異常分類部310のさらに別の構成例を示すブロック図である。
図13に示す演算部300においては、異常分類部310の代わりに、
図17に示す異常分類部340を設けても良い。異常分類部340は、連続異常判定部311及び散発異常判定部331を備える。連続異常判定部311の動作は実施の形態3と同様であり、散発異常判定部331の動作は変形例3−1と同様である。
【0113】
この場合、
図14に示すステップS33においては、異常分類部340が、ステップS11において検出された各異常領域を分類する。詳細には、連続異常判定部311は、処理対象の異常領域が一連の管腔内画像群において連続的に発生する異常領域であるか否かを判定する。また、散発異常判定部331は、処理対象の異常領域が一連の管腔内画像群において散発的に発生する異常領域であるか否かを判定する。その結果、当該異常領域が、連続的に発生する異常領域と、散発的に発生する異常領域と、それ以外の異常領域とに分類される。
【0114】
また、この場合、
図14に示すステップS34において、異常画像群抽出部320は、異常分類部340による分類結果に基づき、ステップS31において取得された位置情報及びステップS32において算出された大局類似度を用いて、同一の異常領域を含む異常画像群を抽出する。
【0115】
詳細には、
図15に示すステップS302において、異常画像群抽出部320は、異常分類部340による分類結果に基づき、大局類似度s
global及び位置の近接度を表すパラメータs
posにそれぞれ与えられる重みw
1、w
2を決定する。この際、重みw
1、w
2は、異常画像I
jにおける異常領域が連続的に発生する異常領域であれば、重みw
1に対して重みw
2が相対的に大きくなるように決定される。一方、異常画像I
jにおける異常領域が散発的に発生する異常領域であれば、重みw
2に対して重みw
1が相対的に大きくなるように重みw
1、w
2が決定される。さらに、異常画像I
jにおける異常領域が連続的に発生する異常領域でもなく、散発的に発生する異常領域でもない場合、重みw
1、w
2は同程度に決定される。
【0116】
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4について説明する。
図18は、本発明の実施の形態4に係る画像処理装置が備える演算部の構成を示すブロック図である。実施の形態4に係る画像処理装置は、
図1に示す演算部100の代わりに、
図18に示す演算部400を備える。演算部400以外の各部の構成及び動作については、実施の形態1と同様である。
【0117】
演算部400は、検出部110、大局類似度算出部120、局所類似度算出部410、異常分類部310、異常画像群抽出部420、及び代表画像抽出部140を備える。このうち、検出部110、大局類似度算出部120、及び代表画像抽出部140の動作は、実施の形態1と同様である(
図1参照)。また、異常分類部310の動作は、実施の形態3と同様である。
【0118】
局所類似度算出部410は、異常画像列で隣接する異常画像間において、異常領域同士の類似度を局所類似度として算出する。
【0119】
異常画像群抽出部420は、大局類似度算出部120が算出した大局類似度と、局所類似度算出部410が算出した局所類似度と、異常分類部310による分類結果とに基づいて、同一の異常領域を含む異常画像群を抽出する。
【0120】
次に、実施の形態4に係る画像処理装置の動作について説明する。
図19は、実施の形態4に係る画像処理装置の動作を示すフローチャートである。なお、
図19に示すステップS10〜S12は、実施の形態1と同様である(
図2参照)。ステップS12については、変形例1−1〜1−3と同様にして大局類似度を算出しても良い。
【0121】
ステップS12に続くステップS41において、局所類似度算出部410は、異常画像列において隣接する異常画像間の局所類似度を算出する。局所類似度の算出方法は特に限定されない。一例として、SIFT(Scale Invariant Feature Transform)等の公知の手法によって異常画像間における対応点を抽出し、異常領域が2つの異常画像間において対応付いた場合、局所類似度を1.0とする。一方、異常領域が2つの異常画像間において対応付かない場合、局所類似度を0.0とする。
【0122】
続くステップS42において、異常分類部310は、ステップ11において検出された各異常領域を分類する。即ち、連続異常判定部311が、連続的に発生する異常領域を判定するための判別基準を記録部50から読み出し、該判別基準に基づいて、当該異常領域が連続的に発生する異常領域であるか否かを判定する。
【0123】
続くステップS43において、異常画像群抽出部420は、ステップS42における分類結果に基づき、ステップS12において算出された大局類似度及びステップS41において算出された局所類似度を用いて、同一の異常領域を含む異常画像群を抽出する。
【0124】
図20は、ステップS43において異常画像群抽出部420が実行する異常画像群の抽出処理を示すフローチャートである。異常画像群抽出部420は、ステップS11において抽出された各異常画像について、ループDの処理を実行する。
【0125】
まず、ステップS401において、異常画像群抽出部420は、処理対象の異常画像における異常領域の分類結果(ステップS42参照)に基づいて、大局類似度s
global及び局所類似度s
localにそれぞれ与えられる重みw
3、w
4を決定する。重みw
3、w
4は、当該異常領域が連続的に発生する異常領域であれば、重みw
3が相対的に大きくなるように決定される(例えば、w
3=1、w
4=0等)。一方、当該異常領域が連続的に発生する異常領域でなければ、重みw
4が相対的に大きくなるように重みw
3、w
4が決定される(例えば、w
3=0、w
4=1等)。
【0126】
続くステップS402において、異常画像群抽出部420は、ステップS401において決定した重みw
3、w
4を用いて、大局類似度s
globalと局所類似度s
localとを加味したトータルの判別パラメータs
total2を算出する。トータルの判別パラメータs
total2は、次式(4)によって与えられる。
s
total2=w
3・s
global+w
4・s
local …(4)
【0127】
続くステップS403において、異常画像群抽出部420は、トータルの判別パラメータs
total2が所定の閾値th4以上であるか否かを判定する。トータルの判別パラメータs
total2が閾値th4以上である場合(ステップS403:Yes)、異常画像群抽出部420は、処理対象の異常画像及びその次に抽出された異常画像が同一の異常領域を含むと判定する(ステップS404)。一方、トータルの判別パラメータs
total2が閾値th4よりも小さい場合(ステップS403:No)、異常画像群抽出部420は、処理対象の異常画像及びその次に抽出された異常画像が同一の異常領域を含まないと判定する(ステップS405)。
【0128】
全ての異常画像についてループDの処理が終了すると、ステップS406において、異常画像群抽出部420は、同一の異常領域が写っていると判定した異常画像同士を同じ異常画像群として抽出する。その後、画像処理装置の動作はメインルーチンに戻る。
【0129】
ステップS43に続くステップS14及びS15は、実施の形態1と同様である(
図2参照)。
【0130】
以上説明したように、本発明の実施の形態4によれば、異常領域が連続的に発生する異常領域であるか否かに応じて、異常画像の全体的な類似度と、異常領域の局所的な類似度とにそれぞれ与えられる重みを変え、これらのトータルの判別パラメータに基づいて2つの異常画像が同一の異常領域を含むか否かを判断するので、同一の異常領域を含む異常画像群の抽出精度を向上させることが可能となる。
【0131】
(変形例4−1)
次に、本発明の実施の形態4の変形例4−1について説明する。
図18に示す局所類似度算出部410は、上記実施の形態4において説明した手法の他にも、種々の手法により局所類似度を算出しても良い。
【0132】
一例として、局所類似度算出部410は、まず、各異常画像に含まれる異常領域の特徴量を算出する。特徴量としては、各異常領域を構成する画素の画素値(輝度値やG成分の値)の平均値又は中央値等の統計量、各異常領域を構成する画素の色特徴量(R成分、G成分、B成分の各値を用いて、YCbCr変換により算出した色差、HSI変換により算出した色相、彩度、G/R、B/G等の色比など)の平均値又は中央値等の統計量、各異常領域の形状特徴量(面積や円形度等)、各異常領域を構成する各画素におけるテクスチャ特徴量(ソーベルフィルタやラプラシアンフィルタ等を用いて算出されるエッジ量等)の平均値又は中央値等の統計量等が挙げられる。
【0133】
続いて、局所類似度算出部410は、異常画像列で隣接する異常画像間において、上述した特徴量の変化量Δc
aを算出する。そして、特徴量の最大値c
a(max)及び変化量Δc
aを用いて、次式(5)によって与えられる局所類似度s
localを算出する。
s
local=(c
a(max)−Δc
a)/c
a(max) …(5)
式(5)において、特徴量の最大値c
a(max)は、特徴量が取り得る最大の値である。例えば256階調の異常画像に対し、特徴量として画素値(G成分の値)の統計値を算出した場合、最大値c
a(max)は256である。また、特徴量として円形度を算出した場合、最大値c
a(max)は1である。
【0134】
(変形例4−2)
次に、本発明の実施の形態4の変形例4−2について説明する。
図18に示す演算部400においては、異常分類部310の代わりに、
図16に示す散発異常判定部331のみを備える異常分類部330を設け、処理対象の異常領域を、散発的に発生する異常領域であるか否かの2つに分類することとしても良い(変形例3−1参照)。
【0135】
この場合、
図19に示すステップS42においては、異常分類部330が、ステップS11において検出された各異常領域を分類する。即ち、散発異常判定部331が、散発的に発生する異常領域を判定するための判別基準を記録部50から読み出し、該判別基準に基づいて、異常領域が散発的に発生する異常領域であるか否かを判定する。
【0136】
また、この場合、
図19に示すステップS43において、異常画像群抽出部420は、異常分類部330による分類結果に基づき、ステップS12において算出された大局類似度s
global及びステップS41において算出された局所類似度s
localを用いて、同一の異常領域を含む異常画像群を抽出する。
【0137】
詳細には、
図20に示すステップS401において、異常画像群抽出部420は、異常分類部330による異常領域の分類結果に基づき、大局類似度s
global及び局所類似度s
localにそれぞれ与えられる重みw
3、w
4を決定する。重みw
3、w
4は、当該異常領域が散発的に発生する異常領域であれば、重みw
4が相対的に大きくなるように決定される(例えば、w
3=0、w
4=1等)。一方、当該異常領域が散発的に発生する異常領域でなければ、重みw
3が相対的に大きくなるように重みw
3、w
4が決定される(例えば、w
3=1、w
4=0等)。
【0138】
(変形例4−3)
次に、本発明の実施の形態4の変形例4−3について説明する。
図18に示す演算部400においては、異常分類部310の代わりに、
図17に示す連続異常判定部311及び散発異常判定部331を備える異常分類部340を設け、処理対処の異常領域を、連続的に発生する異常領域であるか、散発的に発生する異常領域であるか、そのどちらでもないかの3つに分類することとしても良い(変形例3−2参照)。
【0139】
この場合、
図19に示すステップS42においては、異常分類部340が、ステップS11において検出された各異常領域を分類する。即ち、連続異常判定部311は、処理対象の異常領域が一連の管腔内画像群において連続的に発生する異常領域であるか否かを判定する。また、散発異常判定部331は、処理対象の異常領域が一連の管腔内画像群において散発的に発生する異常領域であるか否かを判定する。
【0140】
また、この場合、
図19に示すステップS43において、異常画像群抽出部420は、異常分類部340による分類結果に基づき、ステップS12において算出された大局類似度s
global及びステップS41において算出された局所類似度s
localを用いて、同一の異常領域を含む異常画像群を抽出する。
【0141】
詳細には、
図20に示すステップS401において、異常画像群抽出部420は、異常分類部340による分類結果に基づき、大局類似度s
global及び局所類似度s
localにそれぞれ与えられる重みw
3、w
4を決定する。重みw
3、w
4は、異常領域が連続的に発生する異常領域であれば、重みw
3が相対的に大きくなるように決定される(例えば、w
3=1、w
4=0等)。また、異常領域が散発的に発生する異常領域であれば、重みw
4が相対的に大きくなるように重みw
3、w
4が決定される(例えば、w
3=0、w
4=1等)。さらに、異常領域が、連続的に発生する異常領域でもなく、散発的に発生する異常領域でもない場合、重みw
3、w
4は、同程度の値に決定される(例えば、w
3=0.5、w
4=0.5等)。
【0142】
(実施の形態5)
次に、本発明の実施の形態5について説明する。
図21は、本発明の実施の形態5に係る画像処理装置が備える演算部の構成を示すブロック図である。実施の形態5に係る画像処理装置は、
図1に示す演算部100の代わりに、
図21に備える演算部500を備える。演算部500以外の各部の構成及び動作については、実施の形態1と同様である。
【0143】
演算部500は、検出部110、位置情報取得部210、大局類似度算出部120、局所類似度算出部410、異常分類部340、異常画像群抽出部510、及び代表画像抽出部140を備える。このうち、検出部110、大局類似度算出部120、及び代表画像抽出部140の動作は、実施の形態1と同様である(
図1参照)。位置情報取得部210の動作は、実施の形態2(
図7参照)と同様である。局所類似度算出部410の動作は、実施の形態4又は変形例4−1(
図18参照)と同様である。異常分類部340の動作は、変形例3−2(
図17参照)と同様である。
【0144】
異常画像群抽出部510は、位置情報取得部210が取得した位置情報と、大局類似度算出部120が算出した大局類似度と、局所類似度算出部410が算出した局所類似度と、異常分類部340による分類結果とに基づいて、同一の異常領域を含む異常画像群を抽出する。
【0145】
次に、実施の形態5に係る画像処理装置の動作について説明する。
図22は、実施の形態5に係る画像処理装置の動作を示すフローチャートである。なお、
図14に示すステップS10及びS11は、実施の形態1と同様である(
図2参照)。
【0146】
ステップS11に続くステップS51において、位置情報取得部210は、ステップS11において抽出された異常画像の時系列的な位置情報として、異常画像I
iの撮像時刻又は並び順iを取得する。
【0147】
続くステップS52において、大局類似度算出部120は、異常画像列において隣接する異常画像間の大局類似度s
globalを算出する。大局類似度s
globalの算出方法は、実施の形態1と同様である(
図5参照)。或いは、変形例1−1〜1−3と同様にして大局類似度s
globalを算出しても良い。
【0148】
続くステップS53において、局所類似度算出部410は、異常画像列において隣接する異常画像間の局所類似度s
localを算出する。局所類似度s
localの算出方法は、実施の形態4又は変形例4−1と同様である(
図19のステップS41参照)。
【0149】
続くステップS54において、異常分類部340は、ステップ11において検出された各異常領域を分類する。異常領域の分類方法は、変形例3−2と同様である。その結果、各異常領域が、連続的に発生する異常領域と、散発的に発生する異常領域と、それ以外の異常領域とに分類される。
【0150】
続くステップS55において、異常画像群抽出部510は、ステップS54における分類結果に基づき、ステップS51において取得された位置情報と、ステップS52において算出された大局類似度s
globalと、ステップS53において算出された局所類似度s
localとに基づいて、同一の異常領域を含む異常画像群を抽出する。
【0151】
図23は、ステップS55において異常画像群抽出部510が実行する異常画像群の抽出処理を示すフローチャートである。異常画像群抽出部510は、ステップS11において抽出された各異常画像について、ループEの処理を実行する。
【0152】
まず、ステップS501において、異常画像群抽出部510は、処理対象の異常画像I
k(kは自然数)に対し、異常画像列で隣接する異常画像I
k’(k’はk<k’の自然数)との間における撮像時刻T(I
k)、T(I
k’)の差分ΔT(=T(I
k’)−T(I
k))、即ち経過時間を算出する。
【0153】
続くステップS502において、異常画像群抽出部510は、異常画像I
kにおける異常領域の分類結果(ステップS54参照)が連続的であるか否かを判定する。
【0154】
上記分類結果が連続的である場合(ステップS502:Yes)、異常画像群抽出部510は、撮像時刻の差分ΔTが所定の閾値th5以下であるか否かを判定する(ステップS503)。
【0155】
撮像時刻の差分ΔTが閾値th5以下である場合(ステップS503:Yes)、続いて、異常画像群抽出部510は、異常画像I
k、I
k’間の大局類似度s
globalが所定の閾値th6以上であるか否かを判定する(ステップS504)。
【0156】
大局類似度s
globalが閾値th6以上である場合(ステップS504:Yes)、異常画像群抽出部510は、処理対象の異常画像I
k及びその次に抽出されたI
k’が同一の異常領域を含むと判定する(ステップS505)。
【0157】
一方、ステップS503において、撮像時刻の差分ΔTが閾値th5よりも大きい場合(ステップS503:No)、又は、ステップS504において、大局類似度s
globalが閾値th6よりも小さい場合(ステップS504:No)、異常画像群抽出部510は、処理対象の異常画像I
k及びその次に抽出されたI
k’は同一の異常領域を含まないと判定する(ステップS506)。
【0158】
ステップS502において、分類結果が連続的でない場合(ステップS502:No)、続いて、異常画像群抽出部510は、当該分類結果が散発的であるか否かを判定する(ステップS507)。
【0159】
上記分類結果が散発的である場合(ステップS507:Yes)、異常画像群抽出部510は、撮像時刻の差分ΔTが所定の閾値th7以下であるか否かを判定する(ステップS508)。ここで、散発的に発生する異常領域の場合、一連の時系列画像において、同一の異常領域が飛び飛びに写っている可能性がある。そのため、閾値th7は、ステップS503における閾値th5よりも長めに設定されている。
【0160】
撮像時刻の差分ΔTが閾値th7以下である場合(ステップS508:Yes)、続いて、異常画像群抽出部510は、異常画像I
k、I
k’間の局所類似度s
localが所定の閾値th8以上であるか否かを判定する(ステップS509)。
【0161】
局所類似度s
localが閾値th8以上である場合(ステップS509:Yes)、異常画像群抽出部510は、処理対象の異常画像I
k及びその次に抽出されたI
k’が同一の異常領域を含むと判定する(ステップS505)。
【0162】
一方、ステップS508において、撮像時刻の差分ΔTが閾値th7よりも大きい場合(ステップS508:No)、又は、ステップS509において、局所類似度s
localが閾値th8よりも小さい場合(ステップS509:No)、異常画像群抽出部510は、処理対象の異常画像I
k及びその次に抽出されたI
k’は同一の異常領域を含まないと判定する(ステップS506)。
【0163】
ステップS507において、分類結果が散発的でない場合(ステップS507:No)、続いて、異常画像群抽出部510は、撮像時刻の差分ΔTが所定の閾値th9以下であるか否かを判定する(ステップS510)。ここで、異常領域が連続的に発生する異常領域でもなく、散発的に発生する異常領域でもない場合、閾値th9は、ステップS503における閾値th5と、ステップS508における閾値th7との間の値に設定される。
【0164】
撮像時刻の差分ΔTが閾値th9以下である場合(ステップS510:Yes)、続いて、異常画像群抽出部510は、異常画像I
k、I
k’間の大局類似度s
globalが所定の閾値th6以上であり、且つ、局所類似度s
localが所定の閾値th8以上であるか否かを判定する(ステップS511)。
【0165】
大局類似度s
globalが所定の閾値th6以上であり、且つ、局所類似度s
localが所定の閾値th8以上である場合(ステップS511:Yes)、異常画像群抽出部510は、処理対象の異常画像I
k及びその次に抽出されたI
k’は同一の異常領域を含むと判定する(ステップS505)。
【0166】
一方、ステップS510において、撮像時刻の差分ΔTが閾値th9よりも大きい場合(ステップS510:No)、又は、ステップS511において、大局類似度s
globalが閾値th6よりも小さい、若しくは、局所類似度g
localが閾値th8よりも小さい場合(ステップS511:No)、異常画像群抽出部510は、処理対象の異常画像I
k及びその次に抽出されたI
k’は同一の異常領域を含まないと判定する(ステップS506)。
【0167】
全ての異常画像についてループEの処理が終了すると、ステップS512において、異常画像群抽出部510は、同一の異常領域が写っていると判定した異常画像同士を同じ異常画像群として抽出する。その後、画像処理装置の動作はメインルーチンに戻る。
ステップS55に続くステップS14及びS15は、実施の形態1と同様である(
図2参照)。
【0168】
以上説明したように、本発明の実施の形態5によれば、異常領域における被写体の種類に応じて、撮像時刻の差分ΔTを判定する際の閾値を変化させると共に、異常画像間の類似の判定に用いる類似度(大局類似度s
global、局所類似度s
local)を切り替えるので、同一の異常領域を含む異常画像群の抽出精度を向上させることが可能となる。
【0169】
なお、本実施の形態1において、連続異常判定部311及び散発異常判定部331が異常領域の判定を行う際にそれぞれ用いる判別基準を調整することにより、全ての異常領域を、連続的に発生する異常領域と散発的に発生する異常領域とのいずれかに分類することとしても良い。この場合、上記ステップS510、S511は省略される。
【0170】
(変形例5−1)
次に、本発明の実施の形態5の変形例5−1について説明する。
図21に示す演算部500においては、異常分類部340の代わりに、
図13に示す連続異常判定部311のみを備える異常分類部310を設け、処理対象の異常領域を、連続的に発生する異常領域であるか否かの2つに分類することとしても良い(実施の形態3参照)。この場合、
図23に示すステップS502においては、処理対象の異常領域が連続的に発生する異常領域でない場合(ステップS502:No)、散発的に発生する異常領域とみなし、処理は直接ステップS508に移行する。また、この場合、ステップS510、S511は省略される。
【0171】
(変形例5−2)
次に、本発明の実施の形態5の変形例5−2について説明する。
図21に示す演算部500においては、異常分類部340の代わりに、
図16に示す散発異常判定部331のみを備える異常分類部330を設け、処理対象の異常領域を、散発的に発生する異常領域であるか否かの2つに分類することとしても良い(変形例3−1参照)。この場合、
図23に示すステップS501の後、処理は直接ステップS507に移行する。そして、ステップS507において、処理対処の異常領域が散発的に発生する異常領域でない場合(ステップS507:No)、連続的に発生する異常領域とみなし、処理はステップS503に移行する。また、この場合、ステップS510、S511は省略される。
【0172】
(変形例5−3)
次に、本発明の実施の形態5の変形例5−3について説明する。
図22に示すステップS55においては、位置情報、大局類似度、及び局所類似度を用いたトータルの判別パラメータに基づいて、同一の異常領域を含む異常画像群を抽出しても良い。
【0173】
図24は、変形例5−3において異常画像群抽出部510が実行する異常画像群の抽出処理を示すフローチャートである。異常画像群抽出部510は、ステップS11において抽出された各異常画像について、ループFの処理を実行する。
【0174】
まず、ステップS511において、異常画像群抽出部510は、処理対象の異常画像I
j(jは自然数)と、該異常画像I
jに対し、異常画像列において隣接する異常画像I
j+n(nは自然数)との間における位置の近接度を表すパラメータs
pos(s
pos=(N−n)/N)を算出する。なお、ステップS51において、位置情報として異常画像I
iの撮像時刻が取得された場合には、撮像時刻の差に基づいて位置の近接度を表すパラメータを算出しても良い。
【0175】
続くステップS512において、異常画像群抽出部510は、処理対象の異常画像における異常領域の分類結果(ステップS54参照)に基づいて、大局類似度s
global、局所類似度s
local、及び位置の近接度を表すパラメータs
posにそれぞれ与えられる重みw
5、w
6、w
7(w
1+w
2+w
7=1)を決定する。
【0176】
重みw
5、w
6、w
7は、異常画像I
jにおける異常領域が連続的に発生する異常領域であれば、重みw
7が相対的に大きくなり、重みw
5、w
6の間では、重みw
5が相対的に大きくなるように設定される。一方、当該異常領域が散発的に発生する異常領域であれば、重みw
7が相対的に小さくなり、重みw
5、w
6の間では、重みw
6が相対的に大きくなるように設定される。
【0177】
続くステップS513において、異常画像群抽出部510は、ステップS512において決定した重みw
5、w
6、w
7を用いて、大局類似度s
globalと局所類似度s
localと位置の近接度を表すパラメータs
posとを加味したトータルの判別パラメータs
total3を算出する。トータルの判別パラメータs
total3は、次式(6)によって与えられる。
s
total3=w
5・s
global+w
6・s
local+w
7・s
pos …(6)
【0178】
続くステップS514において、異常画像群抽出部510は、トータルの判別パラメータs
total3が所定の閾値th10以上であるか否かを判定する。トータルの判別パラメータs
total3が閾値th10以上である場合(ステップS514:Yes)、異常画像群抽出部510は、処理対象の異常画像I
j及びその次に抽出された異常画像I
j+nが同一の異常領域を含むと判定する(ステップS515)。一方、トータルの判別パラメータs
total3が閾値th10よりも小さい場合(ステップS514:No)、異常画像群抽出部510は、処理対象の異常画像I
j及びその次に抽出された異常画像I
j+nが同一の異常領域を含まないと判定する(ステップS516)。
【0179】
全ての異常画像についてループFの処理が終了すると、ステップS517において、異常画像群抽出部510は、同一の異常領域が写っていると判定した異常画像同士を同じ異常画像群として抽出する。その後、画像処理装置の動作はメインルーチンに戻る。
【0180】
以上説明した実施の形態1〜5及びこれらの変形例においては、異なる異常画像間で大局類似度又は該大局類似度に基づく判別パラメータが所定の閾値以上の場合に、これらの異常画像が同一の異常領域を含むと判定する構成としたが、大局類似度又は判別パラメータの算出方法によっては、大局類似度又は判別パラメータが所定の閾値以下の場合に同一の異常領域を含むと判定する構成としても良い。
【0181】
以上説明した実施の形態1〜5及びこれらの変形例に係る画像処理装置は、記録媒体に記録された画像処理プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータシステムで実行することによって実現することができる。また、このようなコンピュータシステムを、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域エリアネットワーク(WAN)、又は、インターネット等の公衆回線を介して、他のコンピュータシステムやサーバ等の機器に接続して使用しても良い。この場合、実施の形態1〜5及びこれらの変形例に係る画像処理装置は、これらのネットワークを介して管腔内画像の画像データを取得したり、これらのネットワークを介して接続された種々の出力機器(ビュアーやプリンタ等)に画像処理結果を出力したり、これらのネットワークを介して接続された記憶装置(記録媒体及びその読取装置等)に画像処理結果を格納するようにしても良い。
【0182】
なお、本発明は、実施の形態1〜5及びこれらの変形例に限定されるものではなく、各実施の形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明を形成できる。例えば、各実施の形態や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を除外して形成しても良いし、異なる実施の形態や変形例に示した構成要素を適宜組み合わせて形成しても良い。