特許第6196968号(P6196968)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6196968
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】メチシリン耐性黄色ブドウ球菌の検出
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/09 20060101AFI20170904BHJP
   C12Q 1/68 20060101ALI20170904BHJP
【FI】
   C12N15/00 A
   C12Q1/68 AZNA
【請求項の数】45
【全頁数】43
(21)【出願番号】特願2014-512092(P2014-512092)
(86)(22)【出願日】2012年5月24日
(65)【公表番号】特表2014-515268(P2014-515268A)
(43)【公表日】2014年6月30日
(86)【国際出願番号】US2012039275
(87)【国際公開番号】WO2013048583
(87)【国際公開日】20130404
【審査請求日】2015年4月28日
(31)【優先権主張番号】61/489,614
(32)【優先日】2011年5月24日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/614,381
(32)【優先日】2012年3月22日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/532,454
(32)【優先日】2011年9月8日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512136499
【氏名又は名称】エリテックグループ・ベスローテン・フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】ELITECHGROUP B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100156122
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 剛
(72)【発明者】
【氏名】イリーナ・エイ・アフォニナ
(72)【発明者】
【氏名】イェフゲニー・エス・ベロウソフ
(72)【発明者】
【氏名】ウォルト・マホニー
【審査官】 田ノ上 拓自
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/086218(WO,A1)
【文献】 特表2010−512799(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0048758(US,A1)
【文献】 FRANCOIS, P. et al.,Rapid Detection of Methicillin-Resistant Staphylococcus aureusDirectly from Sterile or Nonsterile Clinical Samples bya New Molecular Assay.,J. Clin. Microbiol.,2003年 1月,Vol.41 No.1,p.254-260
【文献】 SABET N.S. et al.,SIMULTANEOUS SPECIES IDENTIFICATION AND DETECTION OF METHICILLIN RESISTANCE IN STAPHYLOCOCCI USING TRIPLEX REAL-TIME PCR ASSAY.,DIAGNOSTIC MICROBIOLOGY AND INFECTIOUS DISEASE,NL,ELSEVIER SCIENTIFIC PUBLISHING CO,2006年 9月 1日,Vol.56 No.1,p.13-18
【文献】 RICHARDSON, A.R. et al.,A Nitric Oxide.Inducible LactateDehydrogenase Enables Staphylococcusaureus to Resist Innate Immunity.,Science,2008年 3月,Vol.319 No.5870,p.1672-1676
【文献】 STEGGER, M. et al.,RAPID DETECTION, DIFFERENTIATION AND TYPING OF METHICILLIN-RESISTANT STAPHYLOCOCCUS AUREUS HARBOURING EITHER MECA OR THE NEW MECA HOMOLOGUE MECALGA251.,CLINICAL MICROBIOLOGY AND INFECTION,2011年11月 7日,Vol.18 No.4,p.395-400
【文献】 GARCIA-ALVAREZ, L. et al.,METICILLIN-RESISTANT STAPHYLOCOCCUS AUREUS WITH A NOVEL MECA HOMOLOGUE IN HUMAN AND BOVINE POPULATIONS IN THE UK AND DENMARK: A DESCRIPTIVE STUDY.,LANCET INFECT DIS.,2011年 6月 3日,Vol.11 No.8,p.595-603
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/09
C12Q 1/68
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸を含む試料中のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (「MRSA」)を検出する方法であって:
試料中の核酸を増幅し;ついで
増幅したmecAおよびldh1遺伝子を含む試料中の核酸を検出することを含み、ここに、1:1の比での増幅したmecAおよびldh1遺伝子の存在がメチシリン耐性黄色ブドウ球菌の存在を示す、該方法。
【請求項2】
増幅したldh1遺伝子が配列番号:1を含み、増幅したmecA遺伝子が配列番号:2を含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
増幅を、検出工程の間に連続してモニターする請求項1記載の方法。
【請求項4】
さらに、増幅したmecAおよびldh1遺伝子のリアルタイム濃度を計算する工程を含み、ここに増幅したmecA遺伝子のリアルタイム濃度が増幅したldh1遺伝子のリアルタイム濃度と同じでない場合は、試料中黄色ブドウ球菌およびmecAのコアグラーゼ陰性キャリアの混合感染が存在する、請求項3記載の方法。
【請求項5】
試料がMRSA感染症を有することが疑われる動物からのものである請求項1記載の方法。
【請求項6】
動物がヒトである請求項5記載の方法。
【請求項7】
試料を、創傷スワブ、鼻咽頭スワブ、咽頭スワブ、直腸スワブまたは糞便試料から収集する請求項5記載の方法。
【請求項8】
増幅したmecAおよびldh1遺伝子を、mecAまたはldh1特異的プローブへのハイブリダイゼーションによって検出する請求項1記載の方法。
【請求項9】
プローブが蛍光発生プローブである請求項8記載の方法。
【請求項10】
増幅したmecAおよびldh1遺伝子をmecAまたはldh1特異的標識プライマーによって検出する請求項1記載の方法。
【請求項11】
プライマーが蛍光発生プライマーである請求項10記載の方法。
【請求項12】
さらに、少なくとも1の増幅したSCCmec組込み部位またはブリッジ領域を含む試料中の核酸を検出する工程を含む請求項1記載の方法。
【請求項13】
さらに、ldh1に加えて少なくとも1の増幅した黄色ブドウ球菌(「SA」)特異的遺伝子を含む試料中の核酸を検出する工程を含む請求項1記載の方法。
【請求項14】
ldh1およびmecA遺伝子の組合せた検出を用いて試料中の黄色ブドウ球菌(「SA」)およびメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(「MRSA」)核酸を検出する方法であって、
(a)試料と、式:
5'-(X)nY-3' (I)
(式中、Xはldh1遺伝子に非相補的であるフラップ・プライマーの5'部分を表し、nは0または1であり、Yはldh1遺伝子に相補的であるフラップ・プライマーの3'部分を表し、Xは3-30ヌクレオチド長である)
を有する第1のフラップ・プライマーおよび第2のフラップ・プライマーとを接触させ;
(b)工程(a)後の試料と、式:
5'-(X)nY'-3' (I)
(式中、XはmecA遺伝子に非相補的であるフラップ・プライマーの5'部分を表し、nは0または1であり、Y'はmecA遺伝子に相補的であるフラップ・プライマーの3'部分を表し、Xは3-30ヌクレオチド長である)を有する第3のフラップ・プライマーおよび第4のフラップ・プライマーとを接触させ;
(c)ldh1およびmecA遺伝子を増幅するのに十分な条件下で工程(a)および(b)後の試料をインキュベートし;ついで
(d)試料中の増幅したldh1およびmecA遺伝子を検出する
ことを含み、ここに、1:1の比での増幅したmecAおよびldh1遺伝子の存在がメチシリン耐性黄色ブドウ球菌の存在を示す該方法。
【請求項15】
増幅したldh1遺伝子が配列番号:1を含み、増幅したmecA遺伝子が配列番号:2を含む、請求項14記載の方法。
【請求項16】
Xが9〜15ヌクレオチド長である請求項14記載の方法。
【請求項17】
Xが配列番号:3、AATAAATCATAAを含む請求項14記載の方法。
【請求項18】
第1のフラップ・プライマーのYが配列番号:4の配列、GGT*GA*ACA*TGGTGACACTGAAT(式中、T*は5-(4-ヒドロキシ-ブト-1-イニル)-1H-ピリミジン-2,4-ジオンであり、A*は4-(4,6-ジアミノ-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-3-イル)-ブト-3-イン-1-オールである)を含む、請求項14記載の方法。
【請求項19】
第2のフラップ・プライマーのYが配列番号:5の配列、GCGCTTTGCCCTCAGGACGを含む請求項14記載の方法。
【請求項20】
第1のフラップ・プライマーがldh1遺伝子に非相補的である下線を引いた第1の配列を有する配列番号:6の第1の配列、
【化1】
(式中、T*は5-(4-ヒドロキシ-ブト-1-イニル)-1H-ピリミジン-2,4-ジオンであり、A*は4-(4,6-ジアミノ-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-3-イル)-ブト-3-イン-1-オールである)を含み、第2のフラップ・プライマーがldh1遺伝子に非相補的である下線を引いた第2の配列を有する配列番号:7の第2の配列、
【化2】
を含む請求項14記載の方法。
【請求項21】
第3のフラップ・プライマーが配列番号:8の第3の配列、GTGCGTTAATATTGCCATTATTTTCTAATGCGを含み、第4のフラップ・プライマーが配列番号:9の第4の配列、GGTTACGGACAAGGTGAAATAITGATTAACC(式中、Iは3-アルキニル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4(5H)-オンである)を含む請求項14記載の方法。
【請求項22】
試料が、MRSA感染症を有することが疑われる動物からのものである請求項14記載の方法。
【請求項23】
動物がヒトである請求項22記載の方法。
【請求項24】
試料を、創傷スワブ、鼻咽頭スワブ、咽頭スワブ、直腸スワブ、血液または糞便試料から収集する請求項22記載の方法。
【請求項25】
増幅した遺伝子を検出工程中に連続してモニターする請求項14記載の方法。
【請求項26】
増幅したmecAおよびldh1遺伝子を、mecA特異的プローブまたはldh1特異的プローブへのハイブリダイゼーションによって検出する請求項14記載の方法。
【請求項27】
プローブが蛍光発生プローブである請求項26記載の方法。
【請求項28】
ldh1特異的蛍光-発生プローブが、配列番号:10の配列、5'-Ra-G*ACATTACT*T*GA*ACAA*CG-Rb 5'(式中、Raは(M)a-Flまたは(M)a-Qであり、Rbは(M)a-Flまたは(M)a-Qであり、Mはマイナーグルーブバインダーであり、aは0または1であり、Flは400〜900nmの発光波長を有する発蛍光団であり、Qは非-蛍光消光剤であり、T*は5-(4-ヒドロキシ-ブト-1-イニル)-1H-ピリミジン-2,4-ジオンであり、A*は4,(4,6-ジアミノ-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-3-イル)-ブト-3-イン-1-オールであり、G*は6-アミノ-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4(5H)-オン(式中、RaおよびRbのうちの1は発蛍光団を含み、もう1は消光剤を含み、プローブがハイブリダイズしない場合に消光剤は蛍光を消光させる)を含む請求項26記載の方法。
【請求項29】
mecA特異的蛍光-発生プローブが、配列番号:11の配列、5'-Ra-G*AAAGGATCTGTACTGG*G-Rb 5'(式中、Raは(M)a-Flまたは(M)a-Qであり、Rbは(M)a-Flまたは(M)a-Qであり、Mはマイナーグルーブバインダーであり、aは0または1であり、Flは400〜900nmの発光波長を有する発蛍光団であり、Qは非-蛍光消光剤であり、G*は6-アミノ-1H-ピラゾロ [3,4-d]ピリミジン-4(5H)-オンであり、ここにRaおよびRbのうちの1は発蛍光団を含み、もう1は消光剤を含み、プローブがハイブリダイズしない場合に消光剤は蛍光を消光させる)を含む請求項26記載の方法。
【請求項30】
増幅したmecAおよびldh1遺伝子を、mecA特異的標識プライマーまたはldh1特異的標識プライマーによって検出する請求項14記載の方法。
【請求項31】
プライマーが蛍光発生プライマーである請求項30記載の方法。
【請求項32】
さらに、少なくとも1の増幅したSCCmec組込み部位またはブリッジ領域を含む試料中の核酸を検出する工程を含む請求項30記載の方法。
【請求項33】
ldh1またはmecA核酸を含むことが疑われる試料中の複数のヒトMRSAからの核酸を同時に検出する方法であって:
(a)試料と、配列番号:6の第1の配列、AATAAATCATAAGGT*GA*ACA*TGGTGACACTGAAT(式中、T*は5-(4-ヒドロキシ-ブト-1-イニル)-1H-ピリミジン-2,4-ジオンであり、A*は4,(4,6-ジアミノ-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-3-イル)-ブト-3-イン-1-オールである)を含む第1のフラップ・プライマーおよび配列番号:7の第2の配列、AATAAATCATAAGCGCTTTGCCCTCAGGACGを含む第2のフラップ・プライマー(ここに、第1および第2のフラップ・プライマーは、各々、ldh1核酸に相補的である配列部分を含む)とを接触させ;
(b)工程(a)後の試料と、配列番号:8の第3の配列、GTGCGTTAATATTGCCATTATTTTCTAATGCGを含む第3のフラップ・プライマーおよび配列番号:9の第4の配列、GGTTACGGACAAGGTGAAATAITGATTAACC(式中、Iは3-アルキニル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4(5H)-オンである)を含む第4のフラップ・プライマーとを接触させ(ここに、第3および第4のフラップ・プライマーは、各々、mecA核酸に相補的である配列部分を含む)とを接触させ;
(c)ldh1およびmecA核酸を増幅するのに十分な条件下で工程(a)および(b)後の試料をインキュベートし、それによって、増幅したldh1およびmecA核酸を産生し;ついで
(d)増幅したldh1およびmecA核酸を検出する
ことを含み、ここに、1:1の比での増幅したmecAおよびldh1遺伝子の存在がメチシリン耐性黄色ブドウ球菌の存在を示す該方法。
【請求項34】
検出工程が、さらに、増幅したmecAおよびldh1遺伝子のリアルタイム濃度を計算することを含み、ここに、2以上の濃度の差異が試料中の黄色ブドウ球菌およびmecAキャリアの混合感染を示す請求項33記載の方法。
【請求項35】
試料が、MRSA感染症を有することが疑われる動物からのものである請求項33記載の方法。
【請求項36】
動物がヒトである請求項35記載の方法。
【請求項37】
試料を、創傷スワブ、鼻咽頭スワブ、咽頭スワブ、直腸スワブ、血液または糞便試料から収集する請求項35記載の方法。
【請求項38】
増幅したldh1およびmecA核酸を検出工程で連続してモニターする請求項33記載の方法。
【請求項39】
配列番号:8の第1の配列、GTGCGTTAATATTGCCATTATTTTCTAATGCGを有する第1のプライマー;および配列番号:9の第2の配列、GGTTACGGACAAGGTGAAATAITGATTAACC(式中、Iは3-アルキニル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4(5H)-オンである)を有する第2のプライマーを含み、ここに第1および第2プライマーは、各々、mecA核酸に相補的である配列部分を含み、
さらに:
配列番号:6の第3の配列、AATAAATCATAAGGT*GA*ACA*TGGTGACACTGAAT(式中、T*は5-(4-ヒドロキシ-ブト-1-イニル)-1H-ピリミジン-2,4-ジオンであり、A*は4,(4,6-ジアミノ-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-3-イル)-ブト-3-イン-1-オールである)を含む第3のフラップ・プライマー;および配列番号:7の第4の配列、AATAAATCATAAGCGCTTTGCCCTCAGGACGを含む第4のフラップ・プライマー(ここに、第3および第4のフラップ・プライマーは、各々、ldh1核酸に相補的である配列部分を含む)
を含み、ここに、1:1の比での増幅したmecAおよびldh1遺伝子の存在がメチシリン耐性黄色ブドウ球菌の存在を示す、試料中のmecA核酸およびldh1核酸を検出するためのキット。
【請求項40】
さらに、mecAおよびldh1核酸にハイブリダイズし、それらを検出する蛍光発生プローブを含む請求項39記載のキット。
【請求項41】
プローブが、配列番号:10の配列、5'-Ra-G*ACATTACT*T*GA*ACAA*CG-Rb 5'および配列番号:11の配列、5'-Ra-G*AAAGGATCTGTACTGG*G-Rb 5'(式中、Raは(M)a-Flまたは(M)a-Qであり、Rbは(M)a-Flまたは(M)a-Qであり、Mはマイナーグルーブバインダーであり、aは0または1であり、Flは400〜900nmの発光波長を有する発蛍光団であり、Qは非-蛍光消光剤であり、T*は5-(4-ヒドロキシ-ブト-1-イニル)-1H-ピリミジン-2,4-ジオンであり、A*は4-(4,6-ジアミノ-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-3-イル)-ブト-3-イン-1-オールであり、G*は6-アミノ-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4(5H)-オンである)を含み、ここに、RaおよびRbの1が発蛍光団を含み、他の1が消光剤を含み、プローブがハイブリダイズしない場合に消光剤は蛍光を消光させる、請求項40記載のキット。
【請求項42】
核酸を含む試料中のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(「MRSA」)を検出する方法であって:
試料中の核酸を増幅し;ついで
増幅したmecA、ldh1およびmecALGA251遺伝子を含む試料中の核酸を検出することを含み、ここに1:1の比での増幅したmecAおよびldh1遺伝子または増幅したmecALGA251およびldh1遺伝子の存在がメチシリン耐性黄色ブドウ球菌の存在を示す該方法。
【請求項43】
ldh1、mecALGA251およびmecA遺伝子の組み合わせた検出を用いて試料中の黄色ブドウ球菌(「SA」)、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌LGA251(「LGA251」)およびメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(「MRSA」)核酸を検出する方法であって、
(a)試料と、式:
5'-(X)nY-3' (I)
(式中、Xはldh1遺伝子に非相補的であるフラップ・プライマーの5‘部分を表し、nは0または1であり、Yはldh1遺伝子に相補的であるフラップ・プライマーの3'部分を表し、Xは3-30ヌクレオチド長である)
を有する第1のフラップ・プライマーおよび第2のフラップ・プライマーとを接触させ;
(b)工程(a)後の試料と、式:
5'-(X)nY'-3' (I)
(式中、XはmecA遺伝子に非相補的であるフラップ・プライマーの5‘部分を表し、nは0または1であり、Y'はmecA遺伝子に相補的であるフラップ・プライマーの3'部分を表し、Xは3-30ヌクレオチド長である)
を有する第3のフラップ・プライマーおよび第4のフラップ・プライマーとを接触させ;
(c)工程(b)後の試料と、式:
5'-(X)nY'-3' (I)
(式中、XはmecALGA251遺伝子に非相補的であるフラップ・プライマーの5‘部分を表し、nは0または1であり、Y'はmecALGA251遺伝子に相補的であるフラップ・プライマーの3'部分を表し、Xは3-30ヌクレオチド長である)
を有する第5のフラップ・プライマーおよび第6のフラップ・プライマーとを接触させ;
(d)ldh1、mecAおよびmecALGA251遺伝子を増幅するのに十分な条件下で工程(a)、(b)および(c)後の試料をインキュベートし;ついで
(e)試料中の増幅したldh1、mecAおよびmecALGA251遺伝子を検出する
ことを含み、ここに、1:1の比での増幅したmecAおよびldh1遺伝子または増幅したmecALGA251およびldh1遺伝子の存在がメチシリン耐性黄色ブドウ球菌の存在を示す該方法。
【請求項44】
a)メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(「MRSA」)検出アッセイを用いて対象からの試料を分析して、試料についてのmecA、ldh1および対照サイクル閾値(CqsまたはCts)を決定し、それによって試料MRSA検出データを作成し;
b)該試料MRSA検出データをシステムに入力し、ここに該システムは:
i)データを受領し、プロセシングし、および通信するコンピュータ・プロセッサ、
ii)mecA、ldh1および対照サイクル閾値(Cts)の参照データベースおよびそれらの割り当てられたMRSA検出状況を含むデータを保存するためのストーレッジ・コンポーネント、および
iii)該コンピュータ・プロセッサーに包含され、該参照データベースに沿って該試料MRSA検出データをプロセシングして、結果として試料のMRSA検出状況を決定するように設計されたコンピュータ・プログラム
を含み、
c)該試料MRSA検出データを該参照データベースに沿って該コンピュータ・プログラムでプロセシングして、結果として試料の該MRSA検出状況を決定し、ここに、1:1の比での増幅したmecAおよびldh1遺伝子の存在がメチシリン耐性黄色ブドウ球菌の存在を示し;ついで
d)該コンピュータ・プログラムから該結果を通信する
ことを含む方法。
【請求項45】
MRSA検出状況が、MRSA陽性、MRSA-陰性/SA-陰性、無効な分析、MRSA-陰性/SA-陽性およびMRSA-陰性/SA-陰性を含む請求項44記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、その内容全体を出典明示して本明細書の一部とみなす、すべて「Detection of Methicillin-Resistant Staphylococcus Aureus」なる発明の名称の、2011年5月24日に出願された米国仮特許出願番号61/489,614、2011年9月8日に出願された米国仮特許出願番号61/532,454、および2012年3月22日に出願された米国仮特許出願番号61/614,381に基づく優先権を主張する。
【0002】
本開示は、細菌の診断に関し、特に、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の検出に関する。
【0003】
メチシリン耐性Staphylococcus aureus(「MRSA」)の広範な出現は、全世界的な重大な臨床的問題である。黄色ブドウ球菌、特にMRSAは今日、ヘルスケア関連やコミュニティ関連の感染症の両方の主要な原因の一つと見られている。黄色ブドウ球菌は、鼻腔、膣、咽頭、腋窩および/または損傷した皮膚表面に定着する共生細菌である。感染症は、隣接する組織や血流へのアクセスを可能にする、皮膚や粘膜の突破で発生する可能性がある。リスクは、カテーテルの存在によって増大する。黄色ブドウ球菌は、実質的にすべての部位で正常組織に侵入し、以前の正常組織に疾患を生じるその能力においてユニークである(Boucherら,CID,51(Supplement2):S183-S197,2010)。MRSAは、例えば皮膚や軟部組織感染症、血液BOME感染症や肺炎(Gemmelら,J.Antimicrob.Chemother.,57:589-608,2006)のような様々な感染症を引き起こす。抗生物質に耐性である黄色ブドウ球菌株の出現は、首尾よい治療への挑戦をもたらす。なお、黄色ブドウ球菌菌血症で入院した患者は、容認できないほど高い死亡率を有することが見られる。文献今日利用可能な文献は、最も適切な抗菌処理の適時選択は死亡率を減少させることができることを示している。選択を助け得る1のツールは、メチシリン感受性黄色ブドウ球菌(「MSSA」)からMRSAの迅速な区別である(Brownら,Pharmacoeconornics,28:567から575,2010)。
【0004】
MRSAの識別のために幾つかのツールとアッセイが存在するが、それらは理想的といえない。12.9%のもの高い偽陽性が、単一遺伝子座の市販のアッセイについて報告されている(Blancら,J.Clin.Microbiol.,49:722-724,2011)。MRSAのための2の単一および1の二重−遺伝子座リアルタイムPCRアッセイの評価は、「偽陰性」および「偽陽性」の有病率が高いことについて警告している(Kolmanら,BMC Res.Notes,3;110,2010)。そこに改善されたMRSAアッセイに対する必要性が明らかに存在する。
【0005】
概要
本開示は、生物試料を含む試料(例えば、血液、鼻咽頭または咽頭スワブ、糞便、創傷スワブ、または他の組織)中の、黄色ブドウ球菌(「SA」)およびメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(「MRSA」)を検出するための方法、プローブおよびプライマーを提供する。
【0006】
L-乳酸産生は、黄色ブドウ球菌がニトロソ化ストレス時の酸化還元恒常性を維持することを可能にし、病原性のために不可欠である。一酸化窒素(NO*)-誘導性乳酸デヒドロゲナーゼ活性およびNO*耐性は、密接に関連するS.epidermidisおよびS.saprophyticsから黄色ブドウ球菌を区別する(Richardsonら,Science,319:1672,2008)。
【0007】
β-ラクタム抗生物質に対する耐性は、mecA遺伝子によってコードされる変化したペニシリン結合タンパク質(PBP2a)によって引き起こされる(Hartman & Tomasz,J.Bacteriol.,158:513-516,1984)。この耐性の決定因子は、黄色ブドウ球菌特異的なオープンリーディングフレーム(orfX)の下流に組込まれるブドウ球菌カセット染色体mec(SCCmec)と呼ばれる可動性遺伝子エレメント上に存在する(Hiramatsuら,Int.J.Me.Microbiol.,292:67-74,2002)。SCCmec/orfX接合部を標的とするPCR法によるMRSAの検出がHuletskyらによって提案されている(J.Clin.Microbiol.,42:1875-1884,2004)。mecAはSCCmecに存在するため、SCCmec/orfX接合部の検出は、MRSAの検出を代理するとみなされている。orfXにおけるSCCmecの部位特異的な組込みに基づく多くの商業的なMRSAアッセイが存在する。すなわち、GENEXPERT,Cepheid,Sunnyvale,CA(Rossneyら,J.Clin.Microbiol,46:3285-3290,2008)、IDI-MRSAアッセイ(Warrenら,J.Clin.Microbiol.,42:5578-5581,2004)およびHain GENOQUIC MRSAアッセイ、Hain Lifescience GmbH,Nehren,Denmark(Sherlockら,Clin.Microbiol.Infect.16:955-959,2010)である。これらのアッセイを導入した直後に、「偽陽性」が報告された。これらは、アッセイが、黄色ブドウ球菌のメチシリン感受性株のみを含むMRSA-陽性標本として同定した場合に起こる(Wongら,J.Clin.Microbiol,48:3525-3531,2010)。現在では、単一-遺伝子座PCRアッセイで生じる「偽陽性」が部分的なSCCmec欠失に起因することが知られている。
【0008】
本開示では、SAおよびMRSAを含有することが疑われる生物試料または組織から得られた臨床的または試験試料中に存在する核酸は、当該技術分野において公知の方法で試料から抽出する。核酸は増幅し、SAおよびMRSA核酸を検出する。より具体的には、MRSAではないSAの場合、mecAではなく乳酸脱水素酵素1遺伝子(ldh1)が検出されるか、異なる量で検出され;MRSAの場合、ldh1およびmecA遺伝子が等量で検出される。増幅した核酸は種々の技術水準の方法によって検出でき、これには蛍光共鳴エネルギー転移(「FRET」)、放射性標識、酵素標識などが含まれる。増幅した核酸は、ハイブリダイゼーション検出プローブおよび/またはプライマーを含み得る検出技術のいずれかの組合せによって検出することもできる。
【0009】
1の態様において、本開示は、個体由来の生物試料中のSAおよびMRSAを検出するための方法を提供する。本開示はまた、黄色ブドウ球菌(「SA」)およびメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(「MRSA」)ゲノム核酸配列に特徴的な核酸配列を含むオリゴヌクレオチド・プライマーおよびプローブも提供する。この方法には、増幅およびハイブリダイゼーションの少なくとも1のサイクルの工程を行うことが含まれる。増幅工程には、試料核酸とプライマー対とを接触させて、SAおよび/またはmecA核酸が存在する場合には増幅産物(または複数の増幅産物)を生成することが含まれる。好ましいプライマーは、乳酸脱水素酵素1遺伝子(ldh1;SA)およびmecA遺伝子(メチシリン耐性)の特定の領域を標的にする。オリゴヌクレオチド・プローブは、直接的または間接的に増幅した標的を検出する。好ましいオリゴヌクレオチド・プローブは、その相補的な増幅標的にハイブリダイゼーションした際に蛍光を発する5'-マイナーグルーブバインダー-発蛍光団オリゴヌクレオチド-消光剤-3'コンジュゲートである。幾つかの実施形態において、1またはそれ以上のプライマー(またはその複数)を標識する。幾つかの実施形態において、プローブ(またはその複数)は省略する。幾つかの実施形態において、内部対照を提供する。
【0010】
1の実施形態において、方法にはldh1およびmecA遺伝子の検出が含まれる。
【0011】
さらに、SA配列の増幅に特異的な少なくとも1のアニーリング・オリゴヌクレオチドを含み、mecA配列の検出に特異的な少なくとも1のオリゴヌクレオチドを含む、生物試料中の黄色ブドウ球菌(SA)およびメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の検出のためのキットを提供する。
【0012】
この方法には、さらに、ハイブリダイゼーション・プローブまたはプライマーの蛍光シグナル(例えば、FRETから生じるシグナル)の存在または不存在を検出することが含まれる。第1の標識による蛍光シグナルの存在は、通常、SAの存在を示し、第2の標識による蛍光シグナルの検出は生物試料中のmecA遺伝子の存在を示し、一方で、第2の標識によるシグナルの不存在は生物試料中のmecAの不存在を示す。
【0013】
この方法には、さらに、プローブと増幅産物または標識プライマー(または複数の標識プライマー)の場合には、アンプリコンとの間の融解温度プロフィールを決定することを含めることができる。融解曲線は、さらに、プローブ配列領域または標識プライマー(または複数のプライマー)の場合にはアンプリコン中の誤対合とともに、SAおよびmecAの存在ならびにSAおよびmecA突然変異体の潜在的な存在を確認する。
【0014】
この方法には、さらに、ldh1およびmecAマーカーの相対量を比較することにより、ldh1およびmecAシグナルが異なる生物から生じる場合の混合した感染を決定することも含むことができる。等しい量は、MRSA感染症を示唆し、一方、異なる量はMRSA-陰性黄色ブドウ球菌および黄色ブドウ球菌mecA-キャリア以外のものの混合感染を示唆する。
【0015】
本発明の方法により、SAおよびMRSAの特異的、高感度および迅速な検出が可能となる。MRSA感染は、他のmecAを運搬する細菌および特異的な治療が可能なウイルス病原菌から臨床的に区別できない場合がある。本発明の方法は、SAおよびMRSAの迅速な特異的検出を提供することによって診断におけるこの課題を克服し、それによって、当該技術分野における幾つかのアッセイで観察される偽陽性の結果を排除する。また、ハイブリダイゼーション-ベースのプローブまたは標識プライマー(または複数の標識プライマー)は、ldh1およびmecAの潜在的な新たな突然変異体を同定し得る融解曲線分析を可能にする。
【0016】
別の実施形態において、方法にはmecALGA251、mecAおよびldh1遺伝子の検出が含まれる。
【0017】
1の方法において、mecALGA251およびmecAは同じ蛍光色素で標識し、もう1の方法において、それらは異なる色素で標識する。
【0018】
もう1の実施形態において、方法にはldh1遺伝子、SCCmecおよびSCCmec組込み部位(または複数の部位)またはブリッジ領域の検出が含まれる。
【0019】
もう1の実施形態において、方法にはldh1遺伝子、SCCmec組込み部位(または複数の部位)またはブリッジ領域およびmecAの検出が含まれる。
【0020】
1の実施形態において、方法にはldh1遺伝子および少なくとも1のSCCmec組込み部位(または複数の部位)またはブリッジ領域の検出が含まれる。
【0021】
他の目的、特徴、および利点は、以下の詳細な説明および図面から当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1は、MRSA-陽性試料中のldh1、mecAおよび内部対照(IC)のリアルタイム検出を示す。
【0023】
図2は、SA-陰性試料中のldh1、mecA遺伝子およびICのリアルタイム検出を示す。
【0024】
図3は、SA-陽性MRSA-陰性試料中のldh1、mecAおよびICのリアルタイム検出を示す。
【0025】
図4は、MRSA-陽性およびLGA251-陽性試料中のmecA、mecALGA251、ldh1およびICのリアルタイム検出を示す。
【0026】
詳細な説明
I.一般
本開示は、黄色ブドウ球菌(SA)およびメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の検出のための方法、プローブおよびプライマーを提供する。開示する方法および組成物は、臨床的に適当なレベルの検出を可能にする高感度、高い特異性および高速でもって、SAおよびMRSAに対して特異性が高い。これらの方法および組成物を好都合に用いて、試料中のSAおよびmecAを増幅および/または検出することができる。幾つかの実施形態において、mecAは黄色ブドウ球菌以外の細菌で検出する。
【0027】
II.定義
本明細書中で使用する「試料」とは、黄色ブドウ球菌を含むことが疑われるいずれかの起源の試料をいう。これらの試料は、本明細書に記載する方法によって試験することができる。試料は研究室起源のものであっても、研究室以外の起源のものであってもよい。試料は、緩衝液、抽出溶媒、溶媒などのような液体材料に懸濁または溶解することができる。試料には、動物およびヒトの組織または全血液、血液画分、血清、血漿、脳脊髄液、リンパ液、乳、尿、呼吸器、腸および尿生殖路の様々な外分泌物、および涙などの体液などの生物試料;および細胞抽出物、細胞培養上清のような生物流体、固定組織標本および固定細胞標本も含まれる。試料には、鼻咽頭または咽頭スワブ、糞便、創傷または直腸スワブが含まれる。生物試料には、生検や剖検試料または組織学目的で採取された凍結切片のような組織の切片も含むことができる。生物試料は、例えばヒトなどを含むいずれの動物からも得られる。
【0028】
量は、量がCqs(またはCts)がΔCq2に相当する0.5log10コピー以内で場合にQuality Control for Molecular Diagnostics Organization(www.qcmd.org)が報告された量は異なると考える、それに記載されるように異なると定義する。
【0029】
「フラップ・プライマー」または「オーバーハング・プライマー」なる用語は、標的核酸配列(例えば、ldh1またはmecAの核酸配列)に対して非相補的な5'配列セグメントおよび標的核酸配列(例えば、mecAまたはldh1核酸配列)に相補的な3'配列セグメントを含むプライマーをいう。このフラップ・プライマーは、標的核酸配列(例えば、mecAまたはldh1の核酸配列)のプライマー伸長または増幅に好適である。このプライマーは、例えば、5'末端を含むいずれかのポジションにおける1またはそれを超える非相補的なまたは修飾ヌクレオチド(例えば、本明細書中にて後述するピラゾロピリミジン)を含むことができる。
【0030】
「蛍光発生プローブ」とは、a)結合したマイナーグルーブバインダー、発蛍光団および消光剤を有するオリゴヌクレオチド、b)結合した発蛍光団および消光剤を有するオリゴヌクレオチド、c)結合したマイナーグルーブバインダーおよび発蛍光団を有するオリゴヌクレオチド、d)結合した発蛍光団および消光剤を有するオリゴヌクレオチド、またはe)DNA結合試薬のいずれかをいう。このプローブには、1またはそれを超える非相補的または修飾ヌクレオチド(例えば、本願明細書に記載する、5'末端を含むいずれかの位置のピラゾロピリミジン)が含まれる。幾つかの実施形態において、発蛍光団は修飾ヌクレオチドに結合する。幾つかの実施形態において、プローブが切断されて、蛍光シグナルが得られる。
【0031】
「蛍光発生プローブ」または「発蛍光団」なる用語は、約400から約900nmに最大蛍光発光を有する化合物をいう。この化合物には、括弧内にその最大蛍光をnmで示す以下の化合物が含まれる:Cy2(商標)(506)、GFP(赤色シフト)(507)、YO-PRO(商標)-1(509)、YOYO(商標)-1(509)、カルセイン(Calcein)(517)、FITC(518)、FluorX(商標)(519)、Alexa(商標)(520)、ローダミン(Rhodamine)110(520)、5-FAM(522)、Oregon Green(商標)500(522)、Oregon Green(商標)488(524)、RiboGreen(商標)(525)、Rhodamine Green(商標)(527)、ローダミン(Rhodamine)123(529)、Magnesium Green(商標)(531)、Calcium Green(商標)(533)、TO-PRO(商標)-1(533)、TOTO(登録商標)-1(533)、JOE(548)、BODIPY(登録商標)530/550(550)、Dil(565)、BODIPY(登録商標)558/568(568)、BODIPY(登録商標)564/570(570)、Cy3(商標)(570)、Alexa(商標)546(570)、TRITC(572)、Magnesium Orange(商標)(575)、フィコエリトリン(Phycoerythrin)R&B(575)、ローダミン・ファロイジン(Rhodamine Phalloidin)(575)、Calcium Orange(商標)(576)、ピロニン(Pyronin)Y(580)、ローダミン(Rhodamine)B(580)、TAMRA(582)、Rhodamine Red(商標)(590)、Cy3.5(商標)(596)、ROX(608)、Calcium Crimson(商標)(615)、Alexa(商標)594(615)、Texas Red(登録商標)(615)、Nile Red(628)、YO-PRO(商標)-3(631)、YOYO(商標)-3(631)、R-フィコシアニン(phycocyanin)(642),C-フィコシアニン(Phycocyanin)(648)、TO-PRO(商標)-3(660)、TOTO(登録商標)-3(660)、DiD DilC(5)(665)、Cy5(商標)(670)、チアジカルボシアニン(Thiadicarbocyanine)(671)およびCy5.5(694)。さらなる発色団は、PCT公開番号WO 03/023357および米国特許第7,671,218号に開示されている。これらおよび他の適切な色素クラスの例は、Hauglandら,HANDBOOK OF FLUORESCENT PROBES AND RESEARCH CHEMICALS,SIXTH ED.,Molecular Probes,Eugene,Ore.(1996)、米国特許第3,194,805号;第3,128,179号;第5,187,288号;第5,188,934号;第5,227,487;第5,248,782号;第5,304,645号;第5,433,896号;第5,442,045号;第5,556,959号;第5,583,236号;第5,808,044号;第5,852,191号;第5,986,086号;第6,020,481号;第6,162,931号;第6,180,295号および第6,221,604号;欧州特許第1408366;Smithら,J.Chem.Soc.Perkin Trans.2:1195-1204(1993);Whitakerら,Anal.Biochem.207:267-279(1992);KrasoviskiiおよびBolotin,ORGANIC LUMINESCENT MATERIALS,VCH Publishers,NY.(1988);Zolliger,COLOR CHEMISTRY,第2版,VCH Publishers,NY.(1991);Hirschbergら,Biochemistry 37:10381-10385(1998);FieserおよびFieser,REAGENTS FOR ORGANIC SYNTHESIS,Volumes 1-17,Wiley,US(1995);およびGeigerら,Nature 359:859-861(1992)に開示されている。いまだ他の色素は、http://www.zeiss.comのようなオンラインサイトを介して提供されている。ホスホネート色素は、共有に係る米国特許第7,671,218号および第7,767,834号に開示されている。.
【0032】
消光剤および発蛍光団対ならびにオリゴヌクレオチドへのその付着については、当該技術分野において膨大なガイダンスが存在する(Haugland,1996;米国特許第3,996,345号および第4,351,760号など)。好適な消光剤は、出典明示して本明細書の一部とみなす米国特許第6,727,356号に記載されている。他の消光剤には、ビスアゾ消光剤(米国特許第6,790,945号)およびBiosearch Technologies,Inc.からの色素(Black Hole(商標)消光剤:BH-1、BH-2およびBH-3として提供される)、Dabcyl、TAMRAおよびカルボキシテトラメチルローダミンが含まれる。
【0033】
「リンカー」なる用語は、分子の種々の部分をアセンブルするためまたは分子(またはその一部)を固体支持体に共有結合するために用いる基をいう。典型的には、リンカーまたは連結基は、本明細書中に記載し使用するリガンドまたはコンジュゲートのコンポーネント(例えば、発蛍光団、オリゴヌクレオチド、小さなグルーブの結合剤、または消光剤)中の官能基と相互作用または共有結合を形成するために使用する官能基を有する。(他のコンポーネントと相互作用する前の)連結基上の官能基の例には、-NH2、-NHNH2、-ONH2、-NHC=(0)NHNH2、-OHおよび-SHが含まれる。また、連結基は、コンジュゲートに他の部分(例えば、ホスホロアミダイト部分など)を接続する分子の部分でもある。さらに、リンカーは直鎖または非環状部分、環状部分、芳香環およびそれらの組み合わせを含むことができる。
【0034】
「固体支持体」なる用語は、オリゴヌクレオチド合成と調和するいずれの支持体をもいい、例えば、ガラス、制御細孔ガラス、高分子材料、ポリスチレン、ビーズ、コーティングガラス等が含まれる。
【0035】
本明細書の記載において、略語M、FL、Q、CPG、およびODNは、各々、「マイナーグルーブバインダー」、「蛍光標識」または「発蛍光団」、「消光剤」、「制御細孔ガラス」(例として、固体支持体)、および「オリゴヌクレオチド」の部分または分子をいい、本明細書の文脈から明らかであろう。「プローブ」および「コンジュゲート」は相互交換可能に使用され、付着したマイナーグルーブバインダー、発蛍光団および消光剤を有するオリゴヌクレオチドをいう。
【0036】
用語「オリゴヌクレオチド」、「核酸」、および「ポリヌクレオチド」なる用語は、相互交換可能に使用される。これらの用語は、一本鎖または二本鎖形態の核酸、ヌクレオチドまたはそのポリマーを含む化合物、例えば、DNA、RNA、天然ヌクレオチドのアナログ、およびそのハイブリッドをいう。それらの用語は、修飾または非天然ヌクレオチドを含むポリマー、またはDNAまたはRNAに安定に塩基対形成することができるいずれか他のポリマーを包含し、限定するものではないが、Nielsenら,Science,254:1497-1500 (1991)に記載されているペプチド核酸、Bolliら,Nucleic Acids Res.,24:4660-4667 (1996)に記載されているビシクロDNAオリゴマー、および関連する構造が含まれる。別段限定しない限り、用語は、天然のヌクレオチドに類似する様式で核酸にハイブリダイズする天然のヌクレオチドの公知のアナログを包含する。かかるアナログの例には、限定するものではないが、ホスホロチオエート、ホスホルアミデート、メチルホスホネート、キラル-メチルホスホネート、2-O-メチルリボヌクレオチドおよびペプチド-核酸(PNA)が含まれる。「部分配列」または「セグメント」は、ヌクレオチドのより長い配列の一部を含むヌクレオチドの配列をいう。
【0037】
本明細書に記載する方法の実施は、別段指摘しない限り、有機化学、生化学、オリゴヌクレオチド合成および修飾、バイオコンジュゲート化学、核酸ハイブリダイゼーション、分子生物学、微生物学、遺伝学、組換えDNA、および当該技術分野の技術の範囲内である関連分野における慣用的な技術を用いるであろう。これらの技術は刊行物に十分に説明されている。例えば、Sambrook,Fritsch & Maniatis,MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL,Second Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989);Ausubelら,CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,John Wiley & Sons (1987,1988,1989,1990,1991,1992,1993,1994,1995,1996);Gait (ed.),OLIGONUCLEOTIDE SYNTHESIS:A PRACTICAL APPROACH,IRL Press (1984);およびEckstein (ed.),OLIGONUCLEOTIDES AND ANALOGUES:A PRACTICAL APPROACH,IRL Press (1991)。
【0038】
III.説明
本発明の方法は、SAマーカーとしてのldh1およびメチシリン耐性マーカーとしてのmecAを組み合わせた検出に基づくSAおよびMRSA核酸の増幅および/または検出に関する。プライマーおよびプローブは、単一の反応または別の反応において同時にSAおよびMRSAを検出する本発明の方法に使用するのに好適である。典型的に、この方法は、ゲノムDNAで行い、ついでそれをいずれかのDNA-ベースの増幅方法で増幅する。1のかかる増幅法は、ポリメラーゼ連鎖反応である(例えば、米国特許第4,683,195号および第4,965,188号;Mullisら,Cold Spring Harb.Symp.Quant.Biol.,51 Pt 1:263-273(1986))ご参照)。増幅は、幾つかの販売業者から現在入手可能な試薬を用いて行う(例えば、Life Technologies;Carlsbad,CA;およびQuiagen;Valencia,CA)。
【0039】
反応を用いたDNAテンプレートの増幅はよく知られている(例えば、米国特許第4,683,195号および第4,683,202号;PCR PROTOCOLS:A GUIDE TO METHODS AND APPLICATIONS(Innisら編,1990ご参照)。ポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)およびリガーゼ連鎖反応(「LCR」)のような方法を用いて、標的配列を含むことが疑われる試料から直接的にldh1すらmecA標的配列の核酸配列を増幅し得る。この反応は好ましくはサーマルサイクラー中で行って望ましい時間のインキュベートを促進する。変成オリゴヌクレオチドを設計して、標的DNA配列をコードする公知の配列を用いて標的DNA配列ホモログを増幅することができる。
【0040】
典型的に、例示的なPCR反応条件には、2または3工程のサイクルのいずれかが含まれる。2工程サイクルは、変性工程につづくハイブリダイゼーション/伸長工程を有する。3工程サイクルは、変性工程につづくハイブリダイゼーション工程につづいて分離伸長工程が含まれる。PCRについては、約36℃の温度が低ストリンジェンシー増幅に典型的であるが、アニーリング温度はプライマー長に依存して約32℃から48℃の間で変化してもよい。高ストリンジェンシーPCR増幅については、約62℃の温度が典型的であり、一方、高ストリンジェンシーアニーリング温度は、プライマーの長さおよび特異性に依存して、約50℃ないし約65℃の範囲とし得る。高ストリンジェンシーおよび低ストリンジェンシーの両方の典型的なサイクル条件には、約90℃-95℃の0秒-15分間の変性相、約56-60℃の0秒-2分間のアニーリング相、および約72-76℃の0秒-2分間の伸長相が含まれる。好ましいサイクルプロトコールは、93℃にて10秒間の変性相、56℃にて30秒間のアニーリング相、および72℃にて15秒間の伸長相が含まれる。
【0041】
一般的に、本発明の方法は、試料中の核酸を増幅し、ついで、増幅したmecAおよびldh1遺伝子を含む試料中の核酸を検出することによって核酸を含む試料中のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌を検出するためのものである。等量の増幅したmecAおよびldh1遺伝子の存在は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌の存在を示す。
【0042】
したがって、1の態様において、試料中のldh1およびmecA核酸を検出するための本発明の方法の例は:
(a)ldh1核酸を含むことが疑われる試料と、式:
5'-(X)Y-3' (I)
(式中、XはSA核酸に非相補的であるフラップ・プライマーの5'部分を表し、nは0または1であり、Yはldh1核酸に相補的であるフラップ・プライマーの3'部分を表し、ここにXは約3-30ヌクレオチド長である)
を有する第1のフラップ・プライマーおよび第2のフラップ・プライマーとを接触させ、
(b)mecA核酸を含むことが疑われる同じ試料と、式::
5'-(X)Y'-3' (II)
(式中、XはmecA核酸に非相補的であるフラップ・プライマーの5'部分を表し、nは0または1であり、Y'はmecA核酸に相補的であるフラップ・プライマーの3'部分を表し、ここにXは約3-30ヌクレオチド長である)
を有する第3のフラップ・プライマーおよび第4のフラップ・プライマーとを接触させ、
(c)ldh1およびmecA核酸を増幅するのに十分な条件下で工程(a)および(b)の混合物をインキュベートし、それによって増幅したldh1およびmecA核酸を生成し;ついで
(d)存在する場合には増幅したldh1およびmecA核酸を検出することが含まれる。
【0043】
ldh1およびmecA核酸は、以下の配列を含むことができる:
配列番号:1
GGTGAACATGGTGACACTGAATTACCAGTATGGTCACACGCTAATATTGCGGGTCAACCTTTGAAGACATTACTTGAACAACGTCCTGAGGGCAAAGCGC(配列番号:1)
配列番号:2
GTGCGTTAATATTGCCATTATTTTCTAATGCGCTATAGATTGAAAGGATCTGTACTGGGTTAATCAGTATTTCACCTTGTCCGTAACC(配列番号:2)
【0044】
mecAおよびldh1核酸の増幅は継続的にモニターすることができ、相対濃度をリアルタイムで測定することができる。幾つかの実施形態において、増幅したmecAおよびldh1核酸は1:1の比で存在する。濃度における差は、試料中に黄色ブドウ球菌とコアグラーゼ陰性キャリアの混合感染が存在することを示す。
【0045】
1の実施形態において、検出は、ldh1に特異的な第1の蛍光発生プローブおよびmecAに特異的な第2の蛍光発生プローブを用いて行い、ここに発光波長は異なる。幾つかの実施形態において、検出は、ldh1およびmecA特異的な標識プライマーを用いて行い、それは蛍光発生プライマーとすることができる。
【0046】
幾つかの実施形態において、内部対照を含む試料中のldh1およびmecA核酸を検出する方法を提供する。
【0047】
幾つかの実施形態において、試料中のldh1およびmecA核酸の相対量を比較する方法を提供する。
【0048】
幾つかの実施形態において、SCCmec組込み部位(または複数の部位)またはブリッジ領域に加えて、ldh1およびmecAを検出する方法を提供する。mecA遺伝子の上流または下流のmecA組込み部位を検出する方法が開示されている。米国特許第6,156,507号は、MSSAまたはメチシリン耐性コアグラーゼ陰性連鎖球菌(MSC-NS)の染色体中のSCCmecの組込み部位を囲む染色体DNAのヌクレオチド配列を用いることによって試料との反応を行うことを含む方法が開示されており、該方法は、該試料がそれに組み込まれたSSCmecを含む場合には陰性反応の発生を使用する。米国特許第7,838,221号は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を検出および/または同定するために、新規なSCCmec右側末端接合(MREJ)配列を使用する方法を記載している。
【0049】
本発明の方法を行う場合、反応混合物には典型的に2のフラップ・プライマー:前進フラップ・プライマーおよび後進フラップ・プライマーが含まれる。前進フラップ・プライマーおよび後進フラップ・プライマーは、必ずしもその必要はないが、等しい長さとすることができる。幾つかの実施形態において、フラップ・プライマーは、1またはそれを超えるプライマーにおいてn=0である場合に用いる。
【0050】
1の実施形態において、SAまたはMRSA核酸(X)に対して非相補的であるフラップ・プライマーの5'配列部分は約9-15ヌクレオチド長であり、通常約10-14または約11-13ヌクレオチド長、およびより通常には約12ヌクレオチド長である。SAまたはMRSAに対して非相補的であるフラップ・プライマーの5'配列部分は、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15ヌクレオチド長とし得る。
【0051】
ある種の例において、SAまたはMRSA核酸に対して相補的であるフラップ・プライマーの3'配列部分(Y)は、SAまたはMRSA核酸に対して非相補的であるフラップ・プライマーの5'配列部分(X)よりもより多い数のヌクレオチドが含まれる。例えば、SAまたはMRSA核酸に対して相補的であるフラップ・プライマーの3'配列部分(Y)は、フラップ・プライマーの合計長さの約55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%または約90%を含むことができる。
【0052】
ある種の他の例において、SAまたはMRSA核酸に対して非相補的であるフラップ・プライマーの5'配列部分(X)は、SAまたはMRSA核酸に対して相補的であるフラップ・プライマーの3'配列部分(Y)とほぼ同じヌクレオチド数が含まれる。例えば、XおよびY部分の各々は、約4-30、6-25、8-20または10-15ヌクレオチド長、通常、約10-14または11-13ヌクレオチド長、およびより通常には約12ヌクレオチド長とすることができる。XおよびY部分は、各々4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30ヌクレオチド長とすることができる。
【0053】
もう1の実施形態において、SAまたはmecA核酸に対して非相補的であるフラップ・プライマーの5'配列部分(X)には、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、90%または95%のアデニンまたはチミンヌクレオチド塩基、またはそれらの修飾塩基が含まれる。
【0054】
幾つかの実施形態において、ldh1またはmecA核酸に対して非相補的であるフラップ・プライマーの5'配列部分(X)には、以下の配列が含まれる:
AATAAATCATAA(配列番号:3)。
【0055】
幾つかの実施形態において、ldh1またはmecA核酸に対して相補的であるフラップを含まないプライマーが増幅のために提供される。幾つかの例において、1のフラップ・プライマーおよび1のフラップを含まないプライマーを提供する。
【0056】
他の実施形態において、第1のフラップ・プライマーのY部分には、以下の配列が含まれる:GGT*GA*ACA*TGGTGACACTGAAT-3'(配列番号:4)(式中、T*は5-(4-ヒドロキシ-ブト-1-イニル)-1H-ピリミジン-2,4-ジオン(SUPER T(登録商標)、Elitech Group)であり、A*は4-(4,6-ジアミノ-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-3-イル)-ブト-3-イン-1-オール(SUPER A(登録商標)、Elitech Group)である)。さらなる実施形態において、第2のフラップ・プライマーのY部分には、以下の配列が含まれる:
5'-GCGCTTTGCCCTCAGGACG-3'(配列番号:5)。好ましくは、第1のフラップ・プライマーには、以下の配列が含まれ:
【化1】
(式中、下線部分のヌクレオチド配列はSA配列に非相補的であり、T*はSUPER T(登録商標)であり、A*はSUPER A(登録商標)である)、第2のフラップ・プライマーには、以下の配列が含まれる:
【化2】
(式中、下線部分のヌクレオチド配列はldh1配列に対して非相補的である)。
【0057】
もう1の実施形態において、第3のフラップmecAプライマーには、以下の配列が含まれる:GTGCGTTAATATTGCCATTATTTTCTAATGCG-3'(配列番号:8)(式中、n=0である)。さらなる実施形態において、第4のフラップmecAプライマーには、以下の配列が含まれる:GGTTACGGACAAGGTGAAATAITGATTAACC-3'(配列番号:9)(式中、x=0であり、Iは3-アルキニル-lH-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4(5H)-オン(Super Inosine)である)。
【0058】
試料は、典型的には、SA/MRSA感染症を有することが疑われる動物から得る。好ましくは、動物はヒトである。この方法に使用するのに好適な試料の例には、限定されるものではないが、脳脊髄液(CSF)、鼻咽頭スワブ、咽頭スワブ、創傷または直腸スワブ、糞便試料およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0059】
ldhlおよびmecA核酸は、当該技術分野で知られているいずれかの検出方法を用いて検出することができる。例えば、検出は、(例えば、アガロースゲル中のエチジウムブロミドを用いて)増幅反応の完了後にまたは増幅反応の間に同時に(「リアル-タイム検出」)行うことができる。例えば、PCR Primer:A Laboratory Manual,Dieffenbachら. (eds.),Cold Spring Harbor Laboratory Press (2003);McPhersonら,PCR Basics,2000;およびRapid Cycle Real-time PCR Methods and Applications:Quantification,Wittwerら(eds.),Springer-Verlag (2004)を参照されたい。好ましくは、増幅したSAおよびMRSA核酸は、増幅したSAまたはMRSA核酸に特異的に結合するプローブに対するハイブリダイゼーションによって検出する。ある種の例において、増幅したldh1またはmecA核酸は、1またはそれを超える蛍光発生プローブを用いて検出することができる。蛍光発生プローブには、切断されて蛍光(例えば、Taqman,Centaurusほか)、核酸結合化合物(例えば、米国特許第5,994,056号、第6,171,785号および第6,569,627号;Bengtssonら,Nucl. Acids Res.,31:e45 (2005))、ハイブリダイゼーション・ベース・プローブ(例えば、MGB Eclipse,Molecular Beacons,Pleides,Centaurusほか)などを放出するプローブが含まれる。ある種の実施形態において、SAまたはMRSA核酸は、1またはそれを超える核酸結合蛍光化合物(例えば、SYBR(登録商標)Green 1(Molecular Probes;Eugene,OR)、BOXTOX、BEBO(TATAA Biocenter;Gotenborg,Sweeden)等)で検出する。
【0060】
1の実施形態において、ldh1またはmecA核酸は、ldh1またはmecA核酸のいずれにハイブリダイズする蛍光発生プローブおよび少なくとも1のフラップ・プライマー配列の1またはそれを超えるヌクレオチド塩基(典型的に、相補的部分、Y)を用いて検出する。例えば、蛍光発生プローブは、SA核酸にハイブリダイズすることができ、かつ、前進フラップ・プライマー配列の1またはそれを超えるヌクレオチド塩基、後進フラップ・プライマー配列の1またはそれを超えるヌクレオチド塩基、または前進および後進フラップ・プライマー配列の両方の1またはそれを超える塩基に同時にハイブリダイズすることができる。蛍光発生プローブは、所望により、ldh1またはmecA核酸にハイブリダイズしてもよく、かつ、少なくとも1のフラップ・プライマー配列、特にフラップ・プライマーの相補的部分(Y)の1、2、3、4、5、6、7、8、9または10ヌクレオチド塩基にハイブリダイズしてもよい。
【0061】
好ましい実施形態において、ldh1遺伝子の蛍光発生プローブには、以下の配列が含まれる:
5'-Ra-G*ACATTACT*T*GA*ACAA*CG-Rb-5'(配列番号:10)
(式中、Raは独立して(M)a-Flおよび(M)a-Qから選択され、Rbは独立して(M)a-Flおよび(M)a-Qから選択され、Mはマイナーグルーブバインダーであり、aは0または1であり、F1は約400〜900nmの発光波長を有する発蛍光団であり、G*は6-アミノ-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4(5H)-オン(SUPER G(登録商標)、Elitech Group)であり、Qは非蛍光消光剤であるが、但し、RaおよびRbの置換はプローブがハイブリダイズしない場合に蛍光を消光させる)。
【0062】
もう1の好ましい実施形態において、mecAに対する蛍光発生プローブには以下の配列が含まれる:
5'-Ra-G*AAAGGATCTGTACTGG*G-Rb-5'(配列番号:11)
(式中、Raは独立して(M)a-F1および(M)a-Qから選択され、Rbは独立して(M)a-Flおよび(M)a-Qから選択され、Mはマイナーブルーブバインダーであり、aは0または1であり、Flは約400から900nmに発光波長を有する発蛍光団であり、G*はSUPER G(登録商標)(Elitech Group)であって、Qは非-蛍光消光剤であるが、但し、RaおよびRbの置換により、プローブがハイブリダイズしない場合には蛍光を消光させる)。
【0063】
1の実施形態において、配列番号:10中のRaは(M)a-Fl(式中、MはDPI3であり、FlはAquaphlour(商標)554であり、QはEclipse(登録商標)Dark Quencherである)であり、配列番号:11中、Raは(M)a-Fl(式中、MはDPI3であり、FlはFAMであり、QはEclipse(登録商標)Darkである)である。
【0064】
好ましいプライマーは、例えば核酸合成の開始点として作用するように、プライマーの検出または固定化を可能にするが、プライマーの基本的特性を変化させない付加的な機能を組み込むことができる。幾つかの例において、プライマーには、プライマーの相補的および非相補的な配列の領域のいずれかまたは両方中に1またはそれを超える非天然の塩基または修飾塩基が含まれる。
【0065】
ある種の例において、増幅はポリメラーゼを用いて行う。ポリメラーゼは、必ずしも必要でないが、5‘ヌクレアーゼ活性を有することができる。ある種の他の例において、プライマー伸長は逆転写酵素を用いて行い、増幅はポリメラーゼを用いて行う。
【0066】
別の実施形態において、プライマー配列は重複し、その場合、重複する配列二本鎖の安定性は、個々のプライマー標的二重鎖の安定性よりも低い。
【0067】
別の態様において、方法は、試料中の複数の黄色ブドウ球菌からの核酸を同時に検出するために提供され、それには:
(a)黄色ブドウ球菌の核酸を含むことが疑われる試料と:
(i)以下の配列を含む第1のフラップ・プライマー:
【化3】
(式中、下線のヌクレオチド配列はldh1配列に非相補的であり、A*はSuper A(登録商標)であり、T*はSuper T(登録商標)修飾塩基である);および
(ii)以下の配列を含む第2のフラップ・プライマー:
【化4】
(式中、下線のヌクレオチド配列はldh1配列に非相補的である)
とを接触させ、
(b)ldhl核酸を増幅するのに十分な条件下で工程(a)の反応混合物をインキュベートし、それによって、SAを含有する試料から増幅した核酸を発生させ;ついで
(c)増幅したSA核酸を検出する
ことが含まれる。
【0068】
核酸を同時に検出するための方法においては、工程(a)の混合物と:
(i)配列番号:8の配列を含む第3のフラップ・プライマー、
GTGCGTTAATATTGCCATTATTTTCTAATGCG;および
(ii)配列番号:9の第4の配列を含む第4のフラップ・プライマー、
GGTTACGGACAGGTGAAATAITGATTACC(式中、Iは3-アルキニル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4(5H)-オン(スーパーイノシン)である)
とを接触させる、工程(a)後のさらなる工程を追加することができ、ここに第3および第4のフラップ・プライマーには、各々、mecA核酸に相補的である配列部分が含まれる。
【0069】
好ましい実施形態において、mecA、ldh1および内部対照を検出するためのプライマーおよびプローブは複合化する。各々のプローブは、異なる標識で個々に標識する。他の実施形態において、プローブは同一の標識を有する。
【0070】
試料は、典型的には、MRSA感染を有することが疑われる動物から得る。好ましくは、動物はヒトである。方法に使用するのに好適な試料の例としては、限定されるものではないが、創傷スワブ、鼻咽頭スワブ、咽頭スワブ、直腸スワブ、糞便試料、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0071】
未だ他の態様において、試料中のSA核酸を検出するためのキットが提供され、それには:
(a)以下の配列を含む第1のフラップ・プライマー:
【化5】
(式中、下線のヌクレオチド配列はldh1配列に非相補的であり、A*はSuper Aであり、T*はSuper Tである);および
(b)以下の配列を含む第2のフラップ・プライマー:および
【化6】
(式中、下線のヌクレオチド配列はldh1配列に非相補的である)
が含まれる。
【0072】
別の態様において、試料中のmecA核酸を検出するためのキットを提供し、それは単独で、またはldh1核酸を検出するためのものと組合せて提供され、それには:
(a)以下の配列を含む第1のフラップ・プライマー:
5'-GTGCGTTAATATTGCCATTATTTTCTAATGCG-3'(配列番号:8)、および
(b)以下の配列を含む第2のフラップ・プライマー:
5'-GGTTACGGACAAGGTGAAATAITGATTAACC -3'(配列番号:9)
が含まれる。
【0073】
ある種の例において、キットには、さらに、ハイブリダイゼーションベースの蛍光プローブまたは核酸結合蛍光化合物のような蛍光発生プローブが含まれる。好ましい実施形態において、ldh1蛍光発生プローブには、以下の配列が含まれる:
5'-Ra-G*ACATTACT*T*GA*ACAA*CG-Rb-5'(配列番号:10)
(式中、Raは独立して(M)a-Flおよび(M)a-Qから選択され、Rbは独立して(M)a-Flおよび(M)a-Qであり、Mはマイナーグルーブバインダーであり、aは0または1であり、Flは約400〜900nmの発光波長を有する発蛍光団であり、G*はSuper G(登録商標)(Elitech Group)であり、Qは非蛍光消光剤であるが、但し、プローブがハイブリダイズしない場合、RaおよびRbの置換により蛍光が消光される)。
【0074】
他の例において、キットには、さらに、ハイブリダイゼーションベースの蛍光プローブまたは核酸結合蛍光化合物のような蛍光発生プローブが含まれる。もう1の好ましい実施形態において、mecA蛍光発生プローブには以下の配列が含まれる:
5'-Ra-G*AAAGGATCTGTACTGG*G-Rb-3'(配列番号:11)
(式中、Raは独立して(M)a-Flおよび(M)a-Qであり、Rbは独立して(M)a-Flおよび(M)a-Qから選択され、Mはマイナーグルーブバインダーであり、aは0または1であり、Flは約400〜900nmの発光波長を有する発蛍光団であり、G*はSuper G(登録商標)(Elitech Group)であり、Qは非蛍光消光剤であるが、但し、プローブがハイブリダイズしない場合、RaおよびRbの置換により蛍光が消光される)。
【0075】
未だもう1の例において、キットには、ldhlプライマー対およびmecAプライマー対が含まれる。
【0076】
幾つかの例において、キットには、ldh1プローブおよびmecAプローブが含まれる。
【0077】
ある種の他の例において、キットには、さらに、内部対照として使用するのに好適である対照核酸が含まれる。ICテンプレートには、プラスミドベクター中のナンセンス、非特異的標的DNA断片が含まれる。好ましくは、対照核酸のプラスミド・インサートには、以下の配列が含まれる:
CTGCACGGACCAGTTACTTTACGGACCACGTACCGCATTGGTACAAGATCTCCGGTAGAAAAAATGAG-3'(配列番号:12)。
【0078】
キットには、また、対照核酸に対して向けられたプライマーおよびプローブを含めることができる。非限定的な例として、対照プローブ(例えば、蛍光発生プローブ)およびプラスミドベクター中の核酸配列ナンセンス、非特異的標的DNA断片に対して設計された一連の対照プライマー(配列番号:12)も含めることができる。好ましくは、対照プローブおよびプライマーは、以下の配列を有する:
プローブ:5'-Ra-G*AATG*CGGTACGTGGTCC-Rb-3'(配列番号:13);
プライマー:CTGCACGGACCAGTTACTTTACG (配列番号:14);
CTCATTTTTTCTACCGGAGATCTTGT (配列番号:15)
(式中、Raは独立して(M)a-Flおよび(M)a-Qから選択され、Rbは独立して(M)a-Flおよび(M)a-Qから選択され、Mはマイナーグルーブバインダーであり、aは0または1であり、Flは約400〜900nmの発光波長を有する発蛍光団であり、G*はSuper G(登録商標)(Elitech Group)であり、Qは非蛍光消光剤であるが、但し、プローブがハイブリダイズしない場合、RaおよびRbの置換により蛍光が消光される)。
【0079】
さらなる実施形態において、ldh1およびmecA遺伝子中の突然変異を、以下の方法で検出することができ、それには:
(a)試料と、式:
5'-(X)nY-3' (I)
(式中、Xはldh1遺伝子に非相補的であるフラップ・プライマーの5‘部分を表し、nは0または1であり、Yはldh1遺伝子に相補的であるフラップ・プライマーの3'部分を表し、およびXは約3-30ヌクレオチド長である)
を有する第1のフラップ・プライマーおよび第2のフラップ・プライマーとを接触させ;
(b)工程(a)後の試料と、式:
5'-(X)nY'-3' (I)
(式中、XはmecA遺伝子に非相補的であるフラップ・プライマーの5‘部分を表し、nは0または1であり、Y'はmecA遺伝子に相補的であるフラップ・プライマーの3'部分を表し、およびXは約3-30ヌクレオチド長である)
を有する第3のフラップ・プライマーおよび第4のフラップ・プライマーとを接触させ;
(c)増幅したldh1およびmecA遺伝子を産生するのに十分な条件下で工程(a)および(b)後の試料をインキュベートし;ついで
(d)増幅したldh1およびmecA遺伝子と蛍光発生プローブとを接触させ、ここに第1の蛍光発生プローブは増幅したldh1遺伝子および野生型ldh1遺伝子に相補的であり、第2の蛍光発生プローブは増幅したmecA遺伝子および野生型mecA遺伝子に相補的であり、ついで
(e)蛍光発生プローブの存在下で増幅したldh1およびmecA遺伝子に対して融解曲線分析を行うことが含まれ、ここに増幅したldh1核酸と野生型ldh1核酸との融解温度(Tm)の約3-12℃の差異が、増幅したldh1核酸中の突然変異の存在を示し、増幅したmecA核酸と野生型mecA核酸との融解温度(Tm)の約3-12℃の差異が、増幅したmecA核酸中の突然変異の存在を示す。
【0080】
方法は、さらに、ldh1およびmecAまたはmecALGA251マーカーの相対量を比較することによって、ldh1およびmecAまたはmecALGA251シグナルが異なる生物から生じる混合感染を決定することを含むことができる。等量のldh1およびmecAまたはldh1およびmecALGA251lはMRSA感染を示唆し、一方で、異なる量はldh1およびmecAキャリアのMRSA-陰性混合感染を示唆する。
【0081】
本発明の方法により、SAおよびMRSAの特異的、高感度かつ迅速な検出が可能になる。MRSA感染症は、特定の治療法が利用可能な他のmecAを運搬する細菌や他のウイルス性病原体から臨床的に区別できない場合がある。本発明の方法は、SAおよびMRSAの迅速な特異的検出を提供することによって診断におけるこの課題を克服し、それによって、当該技術分野における幾つかのアッセイで観察される偽陽性を排除する。また、ハイブリダイゼーションベースのプローブにより、ldhl、mecAおよびmecALGA251の潜在的な新しい変異体を同定するできる融解曲線分析が可能となる。
【0082】
ある種の他の例において、キットには、さらに、陽性対照(PC)として使用するのに好適である対照核酸が含まれる。PCテンプレートには、プラスミドベクター中のldhlとmecA DNAの一部分が含まれる。好ましくは、対照核酸のプラスミドインサートには、以下の配列が含まれる:
【化6】
【0083】
ある種の他の例において、キットには、さらに、mecALGA251陽性対照(mecALGA251 PC)として使用するのに好適である対照核酸が含まれる。それには、プラスミドベクター中のLGA251 mecA遺伝子の単一の断片が含まれる。好ましくは、対照核酸のプラスミド・インサートには、以下の配列が含まれる:
CTCGTCAGAATTAATTGGACCCACATAACCTAAAAGGTGTACTG
TTGCTTCGTTCAATGGATAAACACGGC(配列番号:19)
【0084】
他の実施形態において、mecALGA251に相補的なフラップを有しないプライマーが増幅のために提供される。幾つかの例において、両方のプライマーはフラップを有しない。他の例において、フラップを有しない1のプライマーおよび1のフラップ・プライマーが提供される。
【0085】
幾つかの実施形態において、第1のmecALGA251プライマーには以下の配列が含まれる:
CTCGTCAGAAT*T*AATTGGACCCAC(配列番号:20)(式中、T*は5-(4-ヒドロキシ-ブト-1-イニル)-1H-ピリミジン-2,4-ジオン(SUPER T(登録商標)、Elitech Group)であり、Qは非蛍光消光剤であるが、但し、プローブがハイブリダイズしない場合、RaおよびRbの置換により蛍光が消光される)。さらなる実施形態において、第2のmecALGA251プライマーには、以下の配列が含まれる:GCCGTGTTTATCCATTGAACGAAGCA(配列番号:21)。
【0086】
他の実施形態において、mecALGA251遺伝子の増幅は、配列GGATATGGCCAAGGCGAGATACTAGTAAACC (配列番号:23)およびGAGGATTTTGTATATTTCCGTTATTTTCTAAAGCACTG(配列番号:24);
【化7】
および
【化8】
を含むプライマー対を用いて行う。他の方法には、配列番号:23ないし26のいずれか10のヌクレオチド塩基が含まれる。
【0087】
好ましい実施形態において、mecALGA251用の蛍光発生プローブには、以下の配列が含まれる:
5'-Ra-G*TAAAAGGTGTA*CTGTTGC-Rb-3'(配列番号:27)
(式中、Raは独立して(M)a-Flおよび(M)a-Qから選択され、Rbは独立して(M)a-Flおよび(M)a-Qから選択され、G*は6-アミノ-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4(5H)-オン(SUPER G(登録商標)、Elitech Group)であり、Mはマイナーグルーブバインダーであり、aは0または1であり、Flは約400〜900nmの発光波長を有する発蛍光団であり、Qは非蛍光消光剤であるが、但し、プローブがハイブリダイズしない場合、RaおよびRbの置換により蛍光が消光される)。
【0088】
もう1の好ましい実施形態において、mecALGA251用の蛍光発生プローブには、以下の配列が含まれる:
5'-Ra-G*ATAAAAT*T*T*GTA*TA*GG-Rb-3'(配列番号:28)および
5'-Ra-FAM-AAAT*T*T*CAAATCACTAC-Rb-3'(配列番号:29)
(式中、Raは独立して(M)a-Flおよび(M)a-Qから選択され、Rbは独立して(M)a-Flおよび(M)a-Qから選択され、Mはマイナーグルーブバインダーであり、aは0または1であり、Flは約400〜900nmの発光波長を有する発蛍光団であり、G*は6-アミノ-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4(5H)-オン(SUPER G(登録商標)、Elitech Group)であり、T*はSuper Tであり、A*は4-(4,6-ジアミノ-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-3-イル)-ブト-3-イン-1-オール(SUPER A(登録商標)、Elitech Group)であり、Qは非蛍光消光剤であるが、但し、プローブがハイブリダイズしない場合、RaおよびRbの置換により蛍光が消光される)。もう1の方法には、配列番号:27ないし29のいずれか10のヌクレオチド塩基が含まれる。
【0089】
IV.プライマーおよびプローブ
1の態様において、最も一般的に5'-X-Y-3'または5'-(X)nY'-3'プライマーとして記載するオリゴヌクレオチド・プライマー(「オーバーハング・プライマー」、「フラップ・プライマー」または「アダプター・プライマー」)が提供される。Xはldh1またはmecA核酸に非相補的であるプライマーの配列部分を表し、YまたはY'は、各々、ldh1またはmecA核酸に相補的であるプライマーの配列部分を表す。
【0090】
したがって、1群の実施形態において、プライマーは、式:
5'-(X)n-Y-3' (I)または
5'-(X)n-Y'-3' (II)
(式中、Xはldh1またはmecA核酸に非相補的であるプライマーの5'配列を表し、Yはldh1に対するプライマーの相補的3'配列を表し、Y'はmecAに対するプライマーの相補的3'配列を表し、5'-X-Y-3'または5'-(X)nY'-3'は核酸オリゴマー・プライマーを表す)。ある種のさらなる実施形態において、Xは[A-B]mであり、Yは[A-B]pであり、ここにAは糖リン酸骨格、修飾型糖リン酸骨格、ロックされた核酸骨格、核酸調製に使用したそれらのキメラまたは変異型であり;Bは核酸塩基または塩基の修飾塩基を表し;およびmは約3-18または4-16、通常は約8-15、10-14または11-13、さらに通常は約12の整数である。添字pは約4-50、通常は約8-20、10-18または12-16の整数である。ある種の実施形態において、添字mおよびnの値は等しく、例えば、mおよびpの両方が同時に8-15、10-14または11-13、より通常は約12とすることができる。
【0091】
プライマーおよびプローブは、一般に当業者に周知の固相法を用いて調製される。一般に、出発物質は、市販されているか、あるいは、例えばMarchら,ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY-Reactions,Mechanisms and Structures,4th ed.,John Wiley & Sons,New York,NY (1992)に記載されている好適な官能基操作を用いて市販の出発材料から簡単な様式で調製し得る。
【0092】
1の実施形態において、プライマーおよびプローブには、当該技術分野で知られているいずれかの天然のヌクレオチド、非天然のヌクレオチド、または修飾ヌクレオチドが含まれ得る(例えば、米国特許出願公開第20050118623;および米国特許第6,949,367号を参照されたい)。
【0093】
1の実施形態において、プライマーおよびプローブは、ユニバーサルまたはプロミスクオス(promiscuous)塩基を含むことができる。
【0094】
修飾塩基は、1またはそれを超える官能基の付加または欠失、複素環構造における違い(すなわち、炭素からヘテロ原子への置換またはその反対)、および/または塩基への1またはそれを超えるリンカーアーム構造の結合によって天然の塩基とは異なるものと考える。好ましい修飾ヌクレオチドはピリミジン構造またはプリン構造に基づくもので、後者としては好ましくは7 デアザプリンならびにその誘導体およびピラゾロピリミジンである(共同所有のRE 38416;米国特許出願公開第20050118623および米国特許第6,127,121号に記載されている)。修飾塩基に含まれるのは、糖骨格が修飾された(欧州特許第1314734号)、ユニバーサル塩基(PCT国際公開番号WO 02/062816)およびプロミスクオス(promiscuous)塩基(米国特許第7,348,146号)である天然の塩基とは異なるものである。
【0095】
例示的な修飾塩基には、限定されるものではないが、グアニン・アナログ 6-アミノ-1H-ベンゾピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4(5H)-オン(ppGまたはPPG、SUPER G(登録商標)ともいう)およびアデニン・アナログ 4-アミノ-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン(ppAまたはPPA)が含まれる。キサンチン・アナログ 1H-ピラゾロ[5,4-d]ピリミジン-4(5H)-6(7H)-ジオン(ppX)を用いることもできる。これらの塩基アナログは、オリゴヌクレオチドヌクレオチド中に存在する場合、ハイブリダイゼーションを強化し、誤対合識別を改善する。天然塩基、修飾塩基および塩基アナログのすべての互変異性形態は、オリゴヌクレオチド・コンジュゲート中に含まれ得る。本発明の方法に有用な他の修飾塩基には、6-アミノ-3-プロプ-1-イニル-5-ヒドロピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン(PPPG);6-アミノ-3-(3-ヒドロキシプロプ-1-イニル)-5-ヒドロピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン(HOPPPG);6-アミノ-3-(3-アミノプロプ-1-イニル)-5-ヒドロピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン(NH2PPPG);4-アミノ-3-(プロプ-1-イニル)ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン(PPA);4-アミノ-3-(3-ヒドロキシプロプ-1-イニル)ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン(HOPPPA);4-アミノ-3-(3-アミノプロプ-1-イニル)ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン(NH2PPPA);3-プロプ-l-イニルピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4,6-ジアミノ((NH22PPPA);2-(4,6-ジアミノピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-3-イル)エチン-1-オール((NH22PPPAOH);3-(2-アミノエチニル)ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4,6-ジアミン((NH22PPPANH2);5-プロプ-1-イニル-1,3-ジヒドロピリミジン-2,4-ジオン(PU);5-(3-ヒドロキシプロプ-1-イニル)-1,3-ジヒドロピリミジン-2,4-ジオン(HOPU);6-アミノ-5-プロプ-1-イニル-3-ジヒドロピリミジン-2-オン(PC);6-アミノ-5-(3-ヒドロキシプロプ-1-イニル)-1,3-ジヒドロピリミジン-2-オン(HOPC);6-アミノ-5-(3-アミノプロプ-1-イニル)-1,3-ジヒドロピリミジン-2-オン(NH2PC);5-[4-アミノ-3-(3-メトキシプロプ-1-イニル)ピラゾロ[3,4-d〕ピリミジニル]-2-(ヒドロキシメチル)オキソラン-3-オール(CH3OPPPA);6-アミノ-l-[4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)オキソラン-2-イル]-3-(3-メトキシプロプ-1-イニル)-5-ヒドロピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン(CH3OPPPG);(4-(4,6-ジアミノ-lH-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-3-イル)-ブト-3-イン-1-オール(SUPER A(登録商標));6-アミノ-3-(4-ヒドロキシ-ブト-1-イニル)-1,5-ジヒドロ-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン;5-(4-ヒドロキシ-ブト-1-イニル)-1H-ピリミジン-2.4-ジオン(SUPER T(登録商標))、3-ヨード-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4,6-ジアミン((NH22PPAI);3-ブロモ-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4,6-ジアミン((NH22PPABr);3-クロロ-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4,6-ジアミン((NH22PPACl);3-ヨード-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イルアミン(PPAI);3-ブロモ-lH-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イルアミン(PPABr);および3-クロロ-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イルアミン(PPACl)が含まれる。
【0096】
上で述べた修飾塩基に加えて、前記オリゴヌクレオチドは、すべてのヌクレオチド間結合が天然に存在するホスホジエステル結合である、糖またはグリコシド部分、好ましくは2−デオキシリボフラノシド、の主鎖を有し得る。しかし、別の実施形態では、2−デオキシ−β−D−リボフラノース基が他の糖、例えばβ−D−リボフラノース、で置換されている。加えて、リボース部分の2−OHが、C1-6アルキル基でアルキル化されているβ−D−リボフラノース(2−(O−C1-6アルキル)リボース)、またはC2-6アルケニル基でアルキル化されているβ−D−リボフラノース(2−(O-C2-6アルケニル)リボース)、またはフルオロ基によって置換されているβ−D−リボフラノース(2−フルオロリボース)が存在し得る。関連する有用なオリゴマー形成糖は、「ロックされている」、すなわち、C-4'とC-2'の酸素原子との間にメチレン架橋を含有する。オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションと適合性の他の糖部分を使用してもよく、それらは当業者に公知であり、それらとしては、α−D−アラビノフラノシド、α−2'−デオキシリボフラノシドおよび2',3'−ジデオキシ−3'−アミノリボフラノシドが挙げられるが、これらに限定されない。α−D−アラビノフラノシドを含有するオリゴヌクレオチドは、米国特許第5,177,196号明細書に記載されているように調製することができる。2',3'−ジデオキシ−3'−アミノリボフラノシドを含有するオリゴヌクレオチドは、Chenら,Nucleic Acids Res.,23:2661-2668(1995)に記載されている。ロックト核酸についての合成手順(Singhら,Chem. Comm.,455-456(1998); Wengel,Acc. Chem. Res.,32:301-310(1998))および2'−ハロゲン−2'−デオキシリボフラノシドを含有するオリゴヌクレオチドについての合成手順(Palissaら,Z. Chem.,27:216(1987))も記載されている。本明細書に記載する修飾オリゴヌクレオチドのリン酸主鎖を、該オリゴヌクレオチドがホスホロチオエート結合および/またはメチルホスホネートおよび/またはホスホロアミデートを含有するように修飾することもできる(Chenら,Nucl. Acids Res.,23:2662-2668(1995))。オリゴヌクレオチド結合の組み合わせも本開示の範囲内である。さらに他の主鎖修飾が当業者には公知である。
【0097】
修飾塩基、マイナーグルーブバインダー、発蛍光団および/または消光剤の使用または組込みをそれらの熱力学的特性に基づいて指示することができるアルゴリズムを使用する予測可能な手法でプローブおよびプライマーを設計できることは、例えば、米国特許第6,683,173号明細書に記載されている。したがって、修飾核酸とのハイブリダイゼーション産物のTmのバランスを(例えば約5〜8℃以内で)とるための通常の塩基、非置換ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン塩基(例えばPPGおよびPPA)、3置換[3,4-d]ピリミジン、修飾プリン、修飾ピリミジン、5置換ピリミジン、ユニバーサル塩基、糖修飾、主鎖修飾および/またはマイナーグルーブバインダーの任意の組み合わせの使用を本開示は企図している。
【0098】
本方法のFRETプローブは、切断される5'−ヌクレアーゼベースのアッセイとは対照的に切断されないので、融解曲線分析を用いて、プローブ領域内で発生し得る突然変異を分析することができる。前記プローブのもとでの突然変異の分析は報告されている(Stevenson Jら,J Clin Microbiol.,43: 2391-8(2005))。
【0099】
オリゴマーマイクロアレイであって、本明細書に記載するオリゴマーのうちの少なくとも1が該アレイ上に存在するマイクロアレイも提供する。本明細書に開示するオリゴマーを、例えば、米国特許第5,492,806号、同第5,525,464号および同第5,556,752号明細書、ならびにPCT公開国際公開第92/10588号および同第96/17957号パンフレットに記載されているものなどのオリゴマーアレイにおける固定化オリゴマーとして使用することができる。
【0100】
ホスホルアミダイト法によりオリゴヌクレオチドを合成するために用いられる化学の詳細な説明は、米国特許第4,458,066号および同第4,415,732号明細書;Caruthersら,Genetic Engineering,4:1-17(1982);およびUsers Manual Model 392 and 394 Polynucleotide Synthesizers,pages 6-1 through 6-22,Applied Biosystems,Part No. 901237(1991)に提供されている。標識オリゴヌクレオチドは、酵素的に、例えば、DNAポリメラーゼもしくはリガーゼを使用して(例えばStryer,Biochemistry,Chapter 24,W. H. Freeman and Company(1981)参照)、または化学合成によって、例えば、ホスホルアミダイト法、亜リン酸トリエステル法およびこれらに類するもの(例えばGait,OLIGONUCLEOTIDE SYNTHESIS,IRL Press(1990)参照)によって合成することができる。標識ヌクレオシド三リン酸単量体を利用して酵素的合成中に標識を導入することができ、または標識非ヌクレオチドもしくはヌクレオチドホスホルアミダイトを使用して化学合成中に標識を導入することができ、または合成後に導入することができる。
V.さらなる増幅反応成分
緩衝液
【0101】
利用することができる緩衝液は、ホウ酸塩、リン酸塩、炭酸塩、バルビタール、Trisなどをベースにした緩衝液である(例えば米国特許第5,508,178号明細書参照)。反応のpHを約4.5から約9.5の範囲内で維持すべきである(例えば米国特許第5,508,178号明細書参照)。増幅反応に使用する標準緩衝液は、約8.3から8.8のpHを有する10mMと50mMの間のTrisベース緩衝液である(例えばInnisら,上掲参照)。
【0102】
対象となるすべての反応系の機能を可能にするように緩衝条件を設計すべきであることは、当業者には理解されるであろう。したがって、増幅反応はもちろん任意の後続の酵素反応も支持するように緩衝条件を設計することができる。特定の反応緩衝液を、様々な反応を支持するその能力について、それらの反応を個別および組み合わせ両方で試験することによって試験することができる。
塩濃度
【0103】
反応系に存在する塩の濃度は、標的核酸にアニールするプライマーの能力に影響を及ぼし得る(例えばInnisら,上掲参照)。塩化カリウムを約50mMの濃度まで反応混合物に添加してプライマーアニーリングを促進することができる。塩化ナトリウムを添加してプライマーアニーリングを促進することもできる(例えばInnisら,上掲参照)。
マグネシウムイオン濃度
【0104】
反応系中のマグネシウムイオンの濃度は、標的SAまたはMRSA核酸配列の増幅に影響を及ぼし得る(例えばInnisら,上掲参照)。プライマーアニーリング、鎖変性、増幅特異性、プライマー−二量体形成および酵素活性はすべて、マグネシウム濃度により影響を受けるパラメータの例である(例えばInnisら,上掲参照)。増幅反応は、dNTPの濃度より過剰な約0.5から6.0mMマグネシウム濃度を有さねばならない。反応系中のマグネシウムキレーターは、最適なマグネシウム濃度に影響を及ぼし得る。一連の増幅反応を一定の範囲のマグネシウム濃度にわたって行って、最適なマグネシウム濃度を決定することができる。最適なマグネシウム濃度は、数あるパラメータの中でも、標的SAまたはMRSA核酸の性質および使用するプライマーによって変わり得る。
デオキシヌクレオチド三リン酸濃度
【0105】
デオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)を反応に約20μMから約300μMの最終濃度まで添加する。典型的に、4のdNTP(G、A、C、T)の各々が当量濃度で存在する(例えばInnisら,上掲参照)。1の実施形態では、ウラシルN−グリコシラーゼを(TTPの代わりに)dUTPとともにPCR反応で使用する。
核酸ポリメラーゼ
【0106】
本方法および組成物を使用して機能するであろう様々なDNA依存性ポリメラーゼが市販されている。例えば、Taq DNAポリメラーゼを使用して、標的DNA配列を増幅させることができる。サーマス・アクアチカス(Thermus aquaticus)から精製された天然酵素および/または該酵素の遺伝子改変形態であり得るTaq DNAポリメラーゼを適切に含む熱安定性DNAポリメラーゼ源を酵素成分として使用して、PCRアッセイを行うことができる。他の市販ポリメラーゼ酵素としては、例えば、Life Technologies、PromegaまたはPharmaciaによって販売されているTaqポリメラーゼおよびTfi DNAポリメラーゼが挙げられる。使用することができた熱安定性DNAポリメラーゼの他の例としては、例えば、サーマス(Thermus)およびピロコッカス(Pyrococcus)種から得られるDNAポリメラーゼが挙げられる。前記ポリメラーゼの濃度範囲は、反応混合物あたり1〜5単位にわたり得る。前記反応混合物は、典型的には約5μLと100μLの間である。
VI.他の試薬
【0107】
所望の結果を達成するために時としてさらなる薬剤を添加する。例えば、DMSOを反応に添加することができるが、DMSOは、Taq DNAポリメラーゼの活性を阻害すると報告されている。それにもかかわらず、DMSOは、同じ反応での多数の標的配列の増幅に推奨されている(例えばInnisら,上掲参照)。安定剤、例えばグリセロール、ゼラチン、ウシ血清アルブミンおよび非イオン性洗浄剤(例えばTween-20)が一般に増幅反応に添加される(例えばInnisら,上掲参照)。RNase阻害剤(Ambion;Austin,TX)を添加してRNA分解を制限することもできる。加えて、イソ安定剤(isostabilizing agent)であるベタイン(Sigma-Aldrich;St.Louis,MO)を添加して、核酸二本鎖の安定性へのGC-およびAT-塩基対合の寄与を同等にすることができる。
VII.マイナーグルーブバインダー
【0108】
マイナーグルーブバインダー・オリゴヌクレオチドコンジュゲート(または「プローブ」)は、米国特許第5,801,155号および同第6,312,894号明細書に記載されている。これらのコンジュゲートは、相補DNAとともに超安定化二本鎖を形成する。特に、短いマイナーグルーブバインダープローブの配列特異性は、PCRなどの高温増幅に好適である。前記プローブ/コンジュゲートはまた、共有結合されたマイナーグルーブバインダーを場合により有する。様々な適するマイナーグルーブバインダーが文献に記載されている(例えば、米国特許第5,801,155号明細書;Wemmerら,Curr. Opin. Struct. Biol.,7:355-361(1997);Walkerら,Biopolymers,44:323-334(1997);Zimmerら,U. Prog. Biophys. Molec. Bio.,47:31-112(1986);およびReddyら,J. W.,Pharmacol. Therap.,84:1-111(1999)参照)。
【0109】
マイナーグルーブバインダー−消光剤−オリゴヌクレオチド−発蛍光団コンジュゲートは、(式5'-M-Q-ODN-Fl-3'もしくは5'-M-Fl-ODN-Q-3'によって示唆されるように)線形配置であることもあり、またはODN、QおよびMを連結させるために役立つ結合基に消光剤(Q)およびマイナーグルーブバインダー(M)が結合している分岐配置であることもある。加えて、消光剤をマイナーグルーブバインダーの(ODNへの結合に対して)遠位端に結合させることができる(例えば5'-Q-M-ODN-Fl-3')。線形略記(M-Q-ODN-Fl)を用いるとき、前記配置の各々を含むことを意図している。加えて、マイナーグルーブバインダーおよび消光剤部分の各々を、オリゴヌクレオチドの3'もしくは5'末端部のいずれかに結合させることができ、またはそのコンジュゲートの消光のメカニズムに干渉しない限りオリゴヌクレオチドの内部位置に結合させることができる。一般に、適する結合基の使用によってこれを遂行することができる(例えば米国特許第7,381,181号明細書参照)。
【0110】
マイナーグルーブバインダー(ならびに下で説明するレポーター基、例えば発蛍光団および消光剤)をリンカーによってオリゴヌクレオチドに結合させるために適する方法は、例えば、米国特許第5,512,677号、同第5,419,966号、同第5,696,251号、同第5,585,481号、同第5,942,610号および同第5,736,626号明細書に記載されている。
【0111】
一般に、マイナーグルーブバインダーを適する連結基によってオリゴヌクレオチド部分の3'または5'位置に結合させる。5'末端部への結合は、オリゴヌクレオチド二本鎖の融解が前記末端で始まるのでハイブリッド安定性の利点をもたらしもするが、増幅反応中のプローブのヌクレアーゼ消化を低減および/または防止もする。
【0112】
マイナーグルーブバインダー−オリゴヌクレオチドコンジュゲート内のマイナーグルーブバインダーの位置も、かかるコンジュゲートの識別特性に影響を及ぼす。二本鎖内の不対領域は、不対合塩基(単数または複数)付近のマイナーグルーブの形状の変化をもたらすことになる。マイナーグルーブバインダーは、完全対合DNA二本鎖のマイナーグルーブ内に最良適合するので、マイナーグルーブの形状変化をもたらす誤対合は、誤対合を含有する領域へのマイナーグルーブバインダーの結合強度を低減させることになる。したがって、かかるハイブリッドを安定させるマイナーグルーブバインダーの能力は減少されることになり、その結果、誤対合と完全対合二本鎖とを識別するマイナーグルーブバインダー・オリゴヌクレオチドコンジュゲートの能力は増加する。その一方で、誤対合が、マイナーグルーブバインダー・オリゴヌクレオチドコンジュゲートに対して相補的な領域外に存する場合、長さが等しいコンジュゲートしていないオリゴヌクレオチドおよびマイナーグルーブ結合とコンジュゲートしているオリゴヌクレオチドについての識別能力は、ほぼ同じであると予想される。単一塩基対誤対合を識別するオリゴヌクレオチドプローブの能力はその長さに依存するので、短いオリゴヌクレオチドほど、誤対合の識別に有効である。この関連でのマイナーグルーブバインダー・オリゴヌクレオチドコンジュゲートの使用の主な利点は、より大きい識別力を有する、先行技術で使用されたもの(すなわち20mer以下)と比較してはるかに短いオリゴヌクレオチドを、マイナーグルーブバインダー・コンジュゲーションの顕著な安定化効果のため、使用できることに存する。
【0113】
実施形態の1の群では、マイナーグルーブバインダーがCC1065、レキシトロプシン、ジスタマイシン、ネトロプシン、ベレニル、デュオカルマイシン、ペンタミジン、ならびに4,6−ジアミノ−2−フェニルインドールおよびピロロ[1,2c][1,4]ベンゾジアゼピンの類似体から成る群より選択される。
【0114】
さらなる好ましいマイナーグルーブバインダーは、式:
【化9】

から選択されるものである。
【0115】
これらの式中、下付き文字mは、2から5の整数であり;下付き文字rは、2から10の整数であり;ならびに各RaおよびRbは、独立して、オリゴヌクレオチドへの(直接または消光剤による間接)結合基、H、−ORc、−NRcRd、−COORcまたは−CONRcRd(この場合の各RcおよびRdおよびは、H、(C2-C12)ヘテロアルキル、(C3-C12)ヘテロアルケニル、(C3-C12)ヘテロアルキニル、(C1-C12)アルキル、(C2-C12)アルケニル、(C2-C12)アルキニル、アリール(C1-C12)アルキルおよびアリールから選択される)であるが、但し、RaおよびRbの一方がODNまたはQへの結合基を表すことを条件とする。さらなる実施形態において、各構造中の各々の環は、H、ハロゲン、(C1-C8)アルキル、ORg、N(Rg)2、N+(Rg)3、SRg、CORg、CO2Rg、CON(Rg)2、PO3-(CH2)mSO3-、(CH2)mCO2-、(CH2)mOPO3-2およびNHC(O)(CH2)mCO2-ならびにこれらのエステルおよび塩から選択される1つ以上の追加の置換を含有することがあり、この場合の各Rgは、独立してHまたは(C1-C8)アルキルであり、および下付き文字mは、0から6の整数である。記号Rhは、Hを表すか、C、N、O、PおよびSから選択される1〜30個の原子を有する基(典型的に、固相合成で使用された結合基のなごり)であって、環式、非環式またはそれらの組み合わせのいずれかであり、および利用可能な原子価を満たすために追加の水素原子を有するものである基を表す。
【0116】
特に好ましいマイナーグルーブバインダーとしては、3−カルバモイル−1,2−ジヒドロ−(3H)−ピロロ[3,2-e]インドール−7−カルボキシレート(CDPI3)または置換ジヒドロシクロピロロインドールトリアミド(DPI3)の三量体、N−メチルピロール−4−カルボキシ−2−アミド(MPC5)の五量体、および誤対合識別増加を呈示する他のマイナーグルーブバインダーが挙げられる。使用されることになるさらなるマイナーグルーブバインダー部分は、米国特許第5,801,155号明細書に開示されている。一定の実施形態において、マイナーグルーブバインダーには水溶性向上剤(例えば、糖、アミノ酸、カルボン酸またはスルホン酸置換基、およびこれらに類するもの)が結合されていることがある。例えば、米国再発行特許第38,416号明細書および米国特許第7,582,739号明細書を参照されたし。
【0117】
最近開発された検出方法は、蛍光強度の直接検出ではなくプローブハイブリダイゼーションの検出のために蛍光共鳴エネルギー移動のプロセスを利用する。このタイプのアッセイにおいて、FRETは、ドナー発蛍光団(受容体)とアクセプター分子(消光剤)間で、該消光剤分子の吸収スペクトルが該ドナー発蛍光団の発光スペクトルと重なり、これら二分子が極めて近接しているときに発生する。前記ドナー発蛍光団の励起状態エネルギーは、共鳴双極子誘導双極子相互作用によって隣接アクセプターに移動され、その結果、ドナー蛍光の消光が生ずる。アクセプター分子が発蛍光団である場合、その蛍光は、時として増加されることがある。ドナー分子とアクセプター分子間のエネルギー移動効率は、これらの分子間の距離に高度に依存する。この関係を説明する方程式は公知である。フェルスター距離(Ro)は、エネルギー移動が50%効率である場合のドナー分子とアクセプター分子間の距離として説明される。他の蛍光消光メカニズム、例えば衝突および電荷移動消光も公知である。消光剤と発蛍光団のペアの選択およびそれらのオリゴヌクレオチドへの結合についての広範なガイダンスが当該技術分野にはある(例えば、Haugland,Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals,Ninth Edition,Molecular Probes,Eugene,OR(2002)およびwww.probes.com/handbookおけるWeb版;ならびに米国特許第3,996,345号および同第4,351,760号明細書参照)。好ましい消光剤は、米国特許第6,727,356号および同第6,790,945号明細書;ならびに米国特許出願公開第20030096254号および同第20020155484号明細書に記載されている。さらなるモノ−およびビス−アゾ色素がBerry and Associates(Dexter,MI)およびGlen Research(Sterling,VA)から市販されている。
【0118】
本方法に有用な発蛍光団は、一般に、オリゴヌクレオチドプローブの末端3'または5'炭素への、好ましくは結合基による、結合について誘導体化された蛍光有機色素である。適する発蛍光団が、蛍光性であることもあり蛍光性でないこともある消光剤(典型的にこれも有機色素である)との組み合わせで選択されることは、当業者には理解されるであろう。
【0119】
特定のプローブのための適切な発蛍光団−消光剤ペアの選択に利用可能な大量の実施ガイダンスが文献中にある。例えば、Pesceら (eds.),Fluorescence Spectroscopy,Marcel Dekker,New York (1971);Whiteら,Fluorescence Analysis: A Practical Approach,Marcel Dekker,New York (1970);およびこれらに類するものを参照されたし。前記文献は、蛍光および色素生成(消光)分子の網羅的リストならびに発蛍光団−消光剤ペアを選択するためのそれらの相対光学特性を提供する参考文献も含む。例えば、Berlman,Handbook of Fluorescence Spectra of Aromatic Molecules,2nd Edition,Academic Press,New York (1971);Griffiths,Colour and Constitution of Organic Molecules,Academic Press,New York (1976);Bishop (ed.),Indicators,Pergamon Press,Oxford (1972);Haugland,Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals,Ninth Edition,Molecular Probes,Eugene,OR (2002)およびwww.probes.com/handbookにおけるWeb版;Pringsheim,Fluorescence and Phosphorescence,Interscience Publishers,New York (1949);ならびにこれらに類するものを参照されたし。加えて、共通反応性基による共有結合のための発蛍光団および消光剤の誘導体化方法は周知である。例えば、Haugland,上掲;ならびに米国特許第3,996,345号および同第4,351,760号明細書を参照されたし。
【0120】
好ましい発蛍光団は、キサンテン色素をベースにしたものであり、オリゴヌクレオチドへの結合基の結合または直接結合に有用な置換基を有する様々なものが市販されている。蛍光化合物のもう1の群は、α位またはβ位にアミノ基を有するナフチルアミンである。かかるナフチルアミノ化合物には、1−ジメチルアミノナフチル−5−スルホネート、1−アニリノ−8−ナフタレンスルホネート、および2−p−トルイジニル−6−ナフタレンスルホネートが挙げられる。他の色素としては、3−フェニル−7−イソシアナトクマリン、アクリジン、例えば9−イソチオシアナトアクリジンおよびアクリジンオレンジ、N−(p−(2−ベンゾオキサゾリル)フェニル)マレイミド、ベンゾオキサジアゾール、スチルベン、ピレンおよびこれらに類するものが挙げられる。さらに他の適する発蛍光団としては、レゾルフィン色素、ローダミン色素、シアニン色素およびBODIPY色素が挙げられる。米国特許第7,671,218号および同第7,767,834号明細書に記載されているホスホニル化色素が特に好ましい。適するホスホニル化色素の例を表1に示す。
【表1】

VIII.連結基
【0121】
発蛍光団、消光剤およびマイナーグルーブバインダーをオリゴヌクレオチドの5'または3'末端に結合させるための様々な連結基および方法が当業者に公知である。例えば、Eckstein,(ed.),Oligonucleotides and Analogues: A Practical Approach,IRL Press,Oxford (1991); Zuckermanら,Nuc. Acids Res.,15:5305-5321 (1987);Sharmaら,Nuc. Acids Res.,19:3019 (1991);Giustiら,PCR Methods and Applications,2:223-227 (1993)、米国特許第4,757,141号および同第4,739,044号明細書;Agrawalら,Tetrahedron Letters,31:1543-1546 (1990);Sproatら,Nuc. Acids Res.,15:4837 (1987);Nelsonら,Nuc. Acids Res.,17:7187-7194 (1989);ならびにこれらに類するものを参照されたし。合成中にオリゴヌクレオチドに結合させることができる、例えばClontech Laboratories(Palo Alto,CA.)から入手できる、さらに他の市販連結基を使用してもよい。オリゴヌクレオチド部分に発蛍光団を結合させる他の方法論は、ホスホルアミダイト部分で誘導化された色素による固相合成の最終段階でのホスホルアミダイト化学の使用を含む。例えば、米国特許第5,231,191号、同第4,997,928号、同第6,653,473号、同第6,790,945号および同第6,972,339号明細書;ならびにPCT特許公開番号国際公開第01/42505号パンフレットを参照されたし。
IX.使用方法
【0122】
ldh1およびmecAマーカーの複合検出に基づきMRSAおよびSA両方を検出するためのプライマーおよびプローブは、特異性をはじめとする、既存のアッセイプライマーおよびプローブにまさる非常に多くの利点をもたらす。前記プライマーおよびプローブは、例えばPCRなどの増幅プロセスとともにリアルタイムで(または同時に)標的配列を検出するために用いると、特に有用である。加えて、好ましいプローブは、5'−ヌクレアーゼ活性により消化されない。したがって、増幅反応を融解曲線分析によってアーカイブおよび再評価することができる。
【0123】
本明細書に記載する方法を、デオキシリボ核酸(DNA)を出発原料として用いて実施することができる。典型的には、DNA標的を任意のDNAベース増幅法で増幅する。1のかかる増幅法がポリメラーゼ連鎖反応である(例えば、米国特許第4,683,195号および同第4,965,188号明細書;ならびにMullisら,Cold Spring Harb. Symp. Quant.Biol.,51 Pt 1:263-273 (1986)参照)。場合によっては、転写cDNAをPCR以外の方法によって増幅する。非PCR増幅法における前記プライマーおよびプローブのいずれか1の使用は、本開示の範囲に入る。上で論じた、より旧式の増幅反応に加えて、本方法は、三方向接合(three-way junctures)を含む増幅(例えば、PCT特許公開番号国際公開第99/37085号パンフレット参照)、シグナル増幅(例えば、Capaldiら,Nuc. Acids Res.,28:E21 (2000)参照)、RNase H、ローリングサークル、フラップエンドヌクレアーゼによるオリゴヌクレオチドプローブの侵入切断(例えば、Lyamichevら,Nature Biotechnol.,17:292-296 (1999)参照)、自家持続配列複製型アッセイ(例えば、Muellerら,Histochem. Cell Biol.,108:431-437 (1997)参照)およびこれらに類するものにおいて有用である。
【0124】
増幅されたDNAまたはcDNAを、適切に標識されたプライマーまたはプローブの使用を含む従来の技術によって検出する。適する検出可能標識としては、蛍光標識、化学発光標識、比色標識、放射性標識、化学標識、抗体および抗原標識、ビオチン標識、ならびにこれらに類するものが挙げられる。かかる標識の適する検出方法は、当該技術分野において周知であり、市販されている。
【0125】
好ましいプローブは、該プローブの5'末端部にマイナーグルーブバインダー基を含有するハイブリダイゼーションベースプローブである。増幅された標的を検出するためのこれらの検出プローブの使用は、米国特許第7,205,105号および同第7,381,818号明細書に記載されている。あるいは、ポリメラーゼの5'−ヌクレアーゼ活性によって切断されるプローブは本開示の範囲に含まれる(例えば、米国特許第6,312,894号明細書;およびLivak,Genet Anal.,14:143-149,1999参照)。
X.キット
【0126】
(例えば、生体試料などの試料中の)MRSA/SA核酸の検出用のキットをさらに提供する。これらのキットは、典型的に、ldh1およびmecA核酸を増幅するために必要な2つ以上の構成要素を含む。構成要素は、化合物、容器および/または器具であり得る。例えば、キット内の1の容器は、第一のフラップ・プライマーおよび第二のフラップ・プライマー、例えば配列番号6および7、を収容することができ、ならびにキット内のもう1の容器は、第三および第四のフラップ・プライマー、例えば配列番号9、を収容することができる。加えて、キットは、1つ以上のプローブ、例えば配列番号10および11、を含有することができる。前記キットは、1つ以上の対照核酸配列、例えば配列番号12、ならびに該対照配列を増幅するためのプローブおよびプライマー、例えば配列番号13、14および15、を含有することもできる。一部の実施形態において、前記キットは、使用のための指示書、すなわち、本明細書に記載するような増幅および/または検出反応ならびに比較の際に前記プライマーを使用するための指示書を含む。
XI.コンピュータ解析
【0127】
別の実施形態では、被験者のアッセイ結果を分析して、該被験者がMRSA陽性であるかどうかを判定するための方法およびシステムを提供する。前記システムは、データを受け取る、処理するおよび通信するためのコンピュータプロセッサ手段;mecAおよびldh1とそれらの割当MRSA検出状態、すなわちMRSA陽性、MRSA陰性/SA陰性、無効解析、MRSA陰性/SA陽性およびMRSA陰性/SA陰性、に対応する対照サイクル閾値(Ct)とを含むリファレンスデータベースを含むデータを保存するための保存手段;および前記コンピュータプロセッサに組み込まれたコンピュータプログラムを備えている。サイクル閾値を、蛍光シグナルがその閾値を超える、すなわちバックグラウンドレベルを超過する、ために要するサイクル数と定義する。特定の試料についてのmecAおよびldh1の測定値と対照サイクル閾値(Ct)とを含む試料分析の結果から成るまたはを含むデータを受け取るまたはインプットすると、コンピュータプログラムが該データを前記リファレンスデータベースに関連して処理して、被験者のMRSA状態を結果として確定する。その結果は、好ましくは前記データをインプットした使用者に、分かり次第、通信することができる。
【0128】
1の実施形態では、前記結果を医療提供者に通信することができる。
【0129】
報告される結果が「MRSA/SA陽性」であるさらなる実施形態において、この結果は、MRSAについて陽性と考えられ、mecAおよびldh1標的のほぼ同じ量での検出を含む。MRSA陽性が例えばLGA251はじめとするすべてのmecA株を含むことは理解される。
【0130】
報告される結果が「MRSA陰性、SA陽性」である実施形態において、この結果は、SAについて陽性と考えられ、ldh1標的のみの検出または異なる量でのmecAおよびldh1の検出を含む。
【0131】
報告される結果が「MRSA/SA陰性」である実施形態において、この結果は、SAについて陰性と考えられ、ldh1標的の検出の不在を含む。
【0132】
報告される結果が「MRSA陽性」である1の実施形態において、この結果は、MRSAについて陽性と考えられ、mecA接合部配列の検出を含む。
【0133】
報告される結果が「MRSA陰性」である1の実施形態において、この結果は、MRSAについて陰性と考えられ、mecA接合部配列の検出の不在を含む。
【0134】
報告される結果が「SA陽性」である1の実施形態において、この結果は、SAについて陽性と考えられ、1つより多くのSA配列特異的標的の検出を含むが、但し、ldh1標的も検出されることを条件とする。ギャップ調節遺伝子領域(米国特許第6946267号明細書参照)、ならびにspa、nuc、Sa442、clfAおよびfemBを含む、配列特異的ldh1標的が報告されている。
【0135】
1の好ましい実施形態において、結果解釈は、コンピュータ処理によって行われる。もう1の好ましい実施形態において、コンピュータ処理は、「if」エクセル関数によって行われる。結果解釈を計算する「if」エクセル関数の使用を実施例8において実証する。
実施例
【0136】
本明細書に記載する主題を限定するためにではなく例証するために、以下の実施例を提供する。
【0137】
下の表2に示す単一試薬中のアッセイ成分の最終濃度を用いてPCRを行う。dT(8)-AP593は、パッシブリファレンス対照である。2X Tfi PCRマスターミックス(Life Science Technologies,Inc)は、ウラシル−N−グリコシラーゼ(UNG)をはじめとする、PCRを行うために必要なすべての試薬を含有する。エンハンサーは、2.65%グリセロールおよび0.3%Triton X-100である。
【表2】
【0138】
20マイクロリットルの単一試薬を、10μLの試料核酸が入っている96ウェルPCRプレートに導入した。NucliSENSE easyMAG抽出試薬および指示書(Biomieurex,l'Etoile,France)を使用するeasyMAGでの抽出によって試料核酸を得る。プレートをMicroAmp(登録商標)光学接着フィルム(Applied Biosystems,Foster City,CA)で密封し、その後、遠心分離機にかけてプレートウェルの底部にアッセイ溶液を集める。その後、ABI 7500 DX Fast BlockリアルタイムPCRマシンにおいて下の表3に示すプロトコルでアッセイを行う。
【表3】
【実施例1】
【0139】
この実施例では、mecAおよびldh1遺伝子検出を用いるMRSAおよびSAの同定のための基準を確立する。mecAおよびldh1は単一コピー遺伝子として存在するので、MRSAゲノム内でのそれぞれの相対量は、単一MRSA感染の場合、同じ(1:1)比率であるはずである。SAおよびメチシリン耐性コアグラーゼ陰性Staphylococci混合感染の場合、それぞれのマーカーの相対量は異なることになる。リアルタイムPCRによって得られるCq値が各マーカーの相対量を示す。したがって、Cq値を比較することにより、マーカーの相対量を比較することが可能である。同じ相対量(すなわちCQ1−CQ2、「2未満のΔCQ」と呼ばれるCQの差」、の絶対値)でのSAマーカーとmecAマーカー両方の存在は、MRSAを示し;異なる相対量(2以上のCQの差)または黄色ブドウ球菌特異的遺伝子マーカーのみの存在は、SAを示す。試料中にまったく同じ量の異なる細菌を有する状況は無視できるほど稀であると考えられる。
【0140】
かくて3174の臨床試料を三ヶ所で前向き調査研究で試験した。基準培養法(ブロス濃縮後のラテックス凝集およびセフォキシチンディスク感受性試験)と比較して、MRSAについて試験陽性の92%試料、SAについて試験陽性の96%試料、および95%の陰性試料を同定した。
【実施例2】
【0141】
この実施例では、MRSA陰性黄色ブドウ球菌およびコアグラーゼ陰性mecA陽性菌(MRCoNS)の混合感染に対するMRSA感染のリアルタイムPCR分析を例証する。MRSA陽性/IC(図1)、黄色ブドウ球菌陰性/IC(図2)およびMRSA陰性黄色ブドウ球菌陽性/IC−試料(図3)を上に示した試薬および条件で実行した。図1における類似したmecA Cqおよびldh1 Cqは、MRSA感染を示す。図2においてldh1リアルタイム曲線が閾値を超えることができないことは、試料中に黄色ブドウ球菌がないことを示す。図3におけるmecAとldh1間のCqの有意差は、MRSA陰性黄色ブドウ球菌およびコアグラーゼ陰性mecA陽性菌の混合感染を示す。
【実施例3】
【0142】
この実施例では、mecA、SCCmec挿入部位、およびldh1遺伝子検出を用いるMRSAおよびSAの同定のための基準を確立する。
【0143】
試料中にほぼ同量の異なる細菌(MSSAおよびMRCoNS)がある状況を説明するためにSSCmec挿入部位マーカー(SCCmec架橋領域)の検出を加える。
【0144】
下の表4は、臨床試料の代表パネルのために使用したSCCmec挿入部位、ldh1およびmecAについてのリアルタイムPCRにおけるCqの比較を示す。同じ相対量(2未満のΔCQ)でのSAマーカーとmecAマーカー両方の存在は、試料がSCCmec架橋領域PCRについて陽性である場合、MRSAを示し;異なる相対量(2以上のΔCQ)または黄色ブドウ球菌特異的遺伝子マーカーのみの存在は、試料がSCCmec架橋領域PCRについて陽性である場合でもSAを示す。SCCmec挿入部位プライマーは、以前に記載されている(Huletsky,A.,ら,J. Clin. Microbiol.,42: 1875-1884 (2004))。使用したプローブは、MGB-AP642-AATTAACACAACCCGCAT-Q(配列番号17)であった。
【表4】
【0145】
上の表4に示したように、試料261、300、337および345は、ほぼ同量のmecAおよびldh1マーカーを有するが、SCCmec架橋領域マーカーについて陰性である。これは混合感染(MSSAおよびMRCoNS)を示し、それを微生物培養結果によって確認した。
【実施例4】
【0146】
この実施例では、ATCCから購入した生物の凍結乾燥培養物を使用してアッセイの感度を例証する。この実施例では、内部対照(IC)を伴うldh1の検出のリアルタイムPCRのCqと内部対照(IC)を伴わないldh1の検出のリアルタイムPCRのCqも比較する。
【0147】
黄色ブドウ球菌;亜種Aureus;BAA-1762株、LN 593372 47培養物を次のように再水和させて二次培養した。先ず、0.3から0.4mLのトリプシン大豆ブロス培地(VWR 90000-376)をパスツールピペットで凍結乾燥材料に無菌添加し、十分に混合した。その後、全混合物を試験管の中の5mLの同じ培地に移し、37℃で24時間インキュベートした。トリプシン大豆ブロス培地中の細菌の10倍系列希釈物を作ることにより、細菌力価を判定した。100μLの10-5、10-6および10-7希釈物をTrypticase大豆寒天プレートに移し、一晩37±2℃でインキュベートした。10〜200コロニーを含有するプレート上のコロニーを計数し、コロニー形成単位(CFU)の数/mLを次のように決定した:
CFU/mL=コロニー数×10×希釈係数
【0148】
107〜10 CFU/mLの範囲をカバーする7の10倍希釈物の2セットをESwab収集培地中で調製した。1mLの第一の希釈セットに10μLの内部対照2(IC2)をスパイクし、第二のものにはしなかった。NucliSENS easyMAG自動抽出システムを使用して両方のセットを抽出し、50μLの体積で溶出した。各抽出試料についての3の10μL反復試料をPCRによって試験した。
【0149】
ブランクプールデータを示すために、同じプロセスを用いて陰性試料(SN)(無刺激ESwab培地(M110024))を別途抽出し、各抽出陰性試料についての3の10μL反復試料もCFU試料とともにPCRによって試験した。2セット(ICを伴う/伴わない)の陽性標的反応Cqを比較した。
【0150】
下の表5は、内部対照(IC)の存在および不在下で、SAマーカーであるldh1を検出する黄色ブドウ球菌培養物の系列希釈物のCqを示す。
【表5】
【0151】
この実施例は、前記アッセイが少なくとも10CFU/mLで容易に検出すること、およびICを用いてまたは用いずに類似したCqがされることを示す。
【実施例5】
【0152】
この実施例では、妥当な臨床負荷量(おおよそ100ゲノムコピー/PCR)で広範な多様性パターンをカバーする適切な数のMRSA株の99%以上を検出するアッセイの能力を例証する。
【0153】
各ATCC 黄色ブドウ球菌株(下の表6に収載)をトリプシン大豆寒天プレートにプレーティングし、37℃で24時間インキュベートした。コロニー均一性を検証した。5mLのトリプシン大豆ブロス培地が入っている別々の(各株に固有の)チューブに各プレートから1のコロニーを移し、一晩、37℃でインキュベートした。1mLのESwab培地に10μLの一夜培養物をスパイクし、Generic 2.0.1プロトコルを用いてEasyMag計器(Biomerieux)で抽出し、50μLの体積で溶出した。各試料からの10μLをPCR反応に使用した。Ldh1およびmecA結果を分析し、下の表7にまとめた。これは、mecA陰性MSSA試料とmecA陽性MRSA試料の判別成功を示す。予想どおり、すべての黄色ブドウ球菌株がSAマーカーldh1について陽性であった。
【表6】

【表7】
【0154】
表6および7に示したように、mecAおよびldh1遺伝子の検出は、MRSAおよびSAを特異的に検出する。
【実施例6】
【0155】
この実施例ではアッセイの特異性を例証する。黄色ブドウ球菌に系統発生的に関係づけられる種、病原性微生物に系統発生的に関係づけられる種、および正常鼻細菌叢に一般に存在する微生物に系統発生的に関係づけられる種に対する交差反応性について試験することによって、それを評価した。試験パネル(表8)は、17ウイルス種、3真菌種、1マイコプラズマ種および41細菌種から成った。それらの微生物を培養物として1x106 CFU(1x105 PFU)/スワブの濃度で試験した。加えて、106細胞/mLの濃度のヒト細胞を試験した。ヒト細胞および試験したすべての種がMRSAおよびSAについて陰性と判明した。分析の特異性は100%であった。
【表8-1】


【表8-2】
【実施例7】
【0156】
この実施例では、mecA遺伝子を保有するMRSA分離株、およびMRSAメチシリン耐性遺伝子の大部分とは異なる遺伝子を有し、mecALGA251と呼ばれるLGA251 MRSA分離株の検出成功を例証する。mecALGA251のPCR増幅用のプライマーおよびプローブに相当するプライマー配列番号20から22を加えたことを除き表3に記載したとおりの条件で表2に開示したようにPCR増幅を行う。
【表9】
【0157】
結果を図4に示す:MRSA陽性試料とLGA251陽性試料の両方についての、ldh1のCqとmecA(mecALGA251)のCqは類似している。
【実施例8】
【0158】
この実施例では、BioMerieux easyMag抽出およびApplied Biosystems(登録商標)7500 Fast DxリアルタイムPCR計器を使用して処理した鼻スワブ試料についてエクセル「if」機能性を用いて、本明細書に記載するコンピュータベースの方法およびシステムについての結果解釈を実証する。
【0159】
Ct(サイクル閾値;Cqとも呼ばれる)を、蛍光シグナルがその閾値を超える(すなわち、バックグラウンドレベルを超過する)ために要するサイクル数と定義する。SA(ldh1)サイクル閾値をCT1と定義し、mecAサイクル閾値をCT2と定義し、およびIC対照閾値をCTと定義する。
【0160】
下で定義する状況1〜5は、選択Ct値およびそれらの割当結果を明示する。
状況1:CT1>35.0かつCT2>35.0かつIC CT<34.0の場合には、結果は「MRSA陰性/SA陰性」である。
状況2:CT1>35.0かつCT2>35.0かつIC CT≧34.0の場合には、結果は「無効」である。
状況3:CT1≦35.0かつCT2≦35.0かつ|CT1−CT2|<2の場合には、結果は「MRSA陽性」である。
状況4:CT1≦35.0かつ|CT1−CT2|≧2の場合には、結果は「MRSA陰性/SA陽性」である。
状況5:CT1>35.0かつCT2≦35.0の場合には、結果は「MRSA陰性/SA陰性」である。
【0161】
下の表10は、列B、CおよびDに収集Ctの形での収集臨床試料データを示すものである。表10の下の状況の要約は、上に示した状況のうちの4つを代表する選択臨床試料結果を使用してエクセル「if」関数により生成した呼び出しの例を示す。E2、E7、E20およびE4は、列Eに示す試料呼び出しに対応するセル番号を指す。
【表10】

状況1
E2=IF(AND(C2<=35.05,ABS(C2-D2)<2,D2<=35.05),"MRSA",IF(AND(C2<=35.05,ABS(C2-D2)>=2),"SA","NEG"))
結果呼び出し:「MRSA陰性/SA陰性」

状況3
E7=IF(AND(C7<=35.05,ABS(C7-D7)<2,D7<=35.05),"MRSA",IF(AND(C7<=35.05,ABS(C7-D7)>=2),"SA","NEG"))
結果呼び出し:「MRSA陽性」

状況4
E20= =IF(AND(C20<=35.05,ABS(C20-D20)<2,D20<=35.05),"MRSA",IF(AND(C20<=35.05,ABS(C20-D20)>=2),"SA","NEG"))
結果呼び出し:「MRSA陰性/SA陽性」

状況5
E4 =IF(AND(C4<=35.05,ABS(C4-D4)<2,D4<=35.05),"MRSA",IF(AND(C4<=35.05,ABS(C4-D4)>=2),"SA","NEG"))
結果呼び出し:「MRSA陰性/SA陰性」
【0162】
状況2の結果が表10に無効結果がないため与えられないことに留意しなければならない。

参考文献

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