特許第6196977号(P6196977)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6196977
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】自動切替式デュアル電源ライト
(51)【国際特許分類】
   H05B 37/02 20060101AFI20170904BHJP
【FI】
   H05B37/02 D
【請求項の数】14
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-539147(P2014-539147)
(86)(22)【出願日】2012年10月31日
(65)【公表番号】特表2014-534588(P2014-534588A)
(43)【公表日】2014年12月18日
(86)【国際出願番号】US2012062666
(87)【国際公開番号】WO2013066923
(87)【国際公開日】20130510
【審査請求日】2015年7月8日
(31)【優先権主張番号】61/553,531
(32)【優先日】2011年10月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506018363
【氏名又は名称】サウジ アラビアン オイル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100154379
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 博幸
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(72)【発明者】
【氏名】アル−ハミース,モハメド,ナジム
【審査官】 杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第02023037(EP,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0032695(US,A1)
【文献】 特開昭60−063837(JP,A)
【文献】 特開昭61−296682(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の内部を利用可能な太陽エネルギーで照らすための照明システムであって、
複数のLED灯および複数の蛍光灯を備える照明配列と、
前記照明配列の中の前記複数のLED灯に電力を提供する太陽電池パネルと、
前記建築物の前記内部における前記複数のLED灯の光レベルを感知する光電池と、
前記感知された前記複数のLED灯の光レベルが、照明目的で前記複数のLED灯の利用のために規定されたレベル未満であるときに、前記複数の蛍光灯を作動させ、前記複数の蛍光灯が作動しており、前記複数のLED灯の光レベルが規定されたレベルを上回る照明レベルを再度達成したと前記光電池が感知したときに、前記複数の蛍光灯への電力の流れを停止させるように前記光電池によって作動される制御機構と、
を備える、照明システム。
【請求項2】
前記制御機構が、電圧感応スイッチを備える、請求項1に記載の照明システム。
【請求項3】
前記電圧感応スイッチが、電力が前記複数の蛍光灯に流れることを選択的に可能にする、請求項2に記載の照明システム。
【請求項4】
前記電圧感応スイッチが、前記光電池に接続される、請求項2に記載の照明システム。
【請求項5】
電圧源が前記光電池に接続される、請求項1〜4のいずれかに記載の照明システム。
【請求項6】
建築物の内部を利用可能な太陽エネルギーで照らすための照明システムであって、
第1の光源および第2の光源を備える照明配列と、
前記照明配列の中の前記第1の光源に電力を提供する太陽電池パネルと、
前記建築物の前記内部における前記第1の光源の光レベルを感知する光電池と、
前記感知された前記第1の光源の光レベルが、照明目的で前記第1の光源の利用のために規定されたレベル未満であるときに、前記第2の光源を作動させ、前記第2の光源が作動しており、前記第1の光源の光レベルが規定されたレベルを上回る照明レベルを再度達成したと前記光電池が感知したときに、前記第2の光源への電力の流れを停止させるように前記光電池によって作動される制御機構と、
を備える、照明システム。
【請求項7】
前記制御機構が、電圧感応スイッチを備える、請求項6に記載の照明システム。
【請求項8】
前記電圧感応スイッチが、電力が前記第2の光源に流れることを選択的に可能にする、請求項7に記載の照明システム。
【請求項9】
前記電圧感応スイッチが、前記光電池に接続される、請求項7または8に記載の照明システム。
【請求項10】
電圧源が前記光電池に接続される、請求項6〜9のいずれかに記載の照明システム。
【請求項11】
建築物の内部を利用可能な太陽エネルギーで照らすための方法であって、
太陽電池パネルからの電力を用いて、照明配列の中の第1の光源に電力を提供するステップと、
前記建築物の前記内部における前記第1の光源の光レベルを感知するステップと、
前記感知された前記第1の光源の光レベルが、照明目的で前記第1の光源の利用のために規定されたレベル未満であるときを判定するステップと、
前記感知された前記第1の光源の光レベルが前記規定されたレベル未満であるときに、建築物の配電網からの電力を用いて、第2の光源に対する電力を作動させ、前記第2の光源が作動しており、前記第1の光源の光レベルが規定されたレベルを上回る照明レベルを再度達成したときに、前記第2の光源への電力の流れを停止させるステップと、
を備える、方法。
【請求項12】
前記判定するステップが、電圧感応スイッチによって実施される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記作動させるステップが、
前記電圧感応スイッチに応答して、前記第2の光源に対して電力が流れることを選択的に可能にすることを更に備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の光源からの光出力を光電池によって感知するステップを更に備える、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽パネルにより電力供給されるLED配列および主電源により電力供給される蛍光灯から、建築物の内部の照明のために供給される電力のタイプの制御に関する。
【背景技術】
【0002】
主電源の電力消費を相殺するために、太陽パネルおよび他の代替の電源が、現在の建築物に追加されたり、または新しい建築物の設計に組み込まれたりしてきた。これらのシステムでは、太陽パネルは、日照ピーク時にはより高い電力出力を、非ピーク時にはより低い電力出力を提供してきた。これが、太陽パネルで生成された電力の目的が照明であるときに、ある問題を発生させた。太陽電池の非ピーク電力出力が、所定のライト一式を点灯させるには不十分であった。
【0003】
業界での設計は、バッテリを照明システムに組み込むことでこの問題を克服しようとした。バッテリによって、電力を日照ピーク時に蓄えて、非ピーク時に必要とされる時に用いることが可能となった。太陽方式やバッテリの設置には制限が存在した。第一に、ピーク時の電力出力は、使用中の光源とバッテリの充電とに分けられる必要があった。このため、所定の設置先で必要とされる太陽電池の数が増した。また、最初にバッテリを設置するのに追加の費用が生じ、バッテリも所定の時間が経てば交換する必要があった。太陽方式およびバッテリの設置には、複雑で経費のかかる設置に備えた、大規模な制御回路を必要とした。
【0004】
この問題を克服する他の設計では、太陽パネルで生成された電力または建築物の主電源によって電力供給される照明システムを必要とした。これらの設置が太陽パネルやバッテリの設置に勝る1つの長所は、初期設置の経費が軽減されることであった。加えて、これらのシステムはさらに、主電源の電力消費を減少させるという目的を達成した。このタイプの設置では、太陽パネル電源と主電源との間の変換をいつ、そしてどのようにして行うかという問題が存在していた。この分野では、光電池が用いられていた。光電池などのセンサーがこの光電池センサーの電圧出力に基づいてある光レベルを検出した。光電池は、夜明けまたは夕暮れ時に存在する照明レベルを検出するために、また、その信号に基づいて明かりを制御するために、戸外の照明設置先で用いられてきた。
【0005】
米国公開特許出願第2011/0032695号は、建築物の主電源との接続を持つ太陽電池式ライトアセンブリに関する。太陽パネルは、発光ダイオード配列に電力供給する充電式バッテリと、白熱電球に経路付けされた建築物の主電源とに電力を供給していた。このライトアセンブリは、1つの光電池センサーに従って戸外の周辺光レベルを感知して、夕暮れ時に所定の周辺光レベルが感知された時に、充電式バッテリから電力供給される発光ダイオード配列をオンにしていた。第2の光電池センサーは、発光ダイオード配列の光レベルを感知して、発光ダイオード配列に供給された光の量が、充電式バッテリが電力切れになる時のような所定の最小レベル未満である時に、白熱電球に対する電力をオンにしていた。このアセンブリは、日中と、屋内での照明設置先もしくは充電式バッテリが存在しない設置先に欠点があった。このアセンブリの1つの欠点は、第2の光電池が、筐体の中の双方の光源からの光出力を直接に感知していたことである。双方の光源からの出力を感知することにより、一旦白熱電球がオンにされると、発光ダイオード配列の光出力を感知する制御システムは、もはや機能しなくなった。このシナリオでは、白熱電球は、夜明けまで、または電球が手動でオフにされるまでは、オンのままである。
【0006】
米国公開特許出願第2009/0224681号は、ハイブリッド式の太陽電池および送電網式照明システムに関する。この出願は、照明設置先に対して、太陽パネル電力と送電網電力とを切り替える、または、太陽パネル電力と送電網電力との組み合わせに切り替えるシステムを説明していた。具体的には、このシステムは、所定の照明設置先のために追加される必要がある送電網電力の量を判定するために、太陽パネルによって生成された電力量の現在の測定結果を利用していた。これを遂行するには複雑な回路が必要であり、それが、このシステムを実現するために経費を増大させた。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、太陽パネル電力をより効率的に利用し、これにより送電網電力消費を軽減する新しい、改良された照明システムを提供する。この照明システムは、周辺光が送電網からの電気の使用量を軽減することを可能とするとき、利用可能な太陽エネルギーを用いて、建築物の内部に照明を提供する。この照明システムは、複数のLED灯および複数の蛍光灯を持つ照明配列を有する。太陽電池パネルは、この照明配列の中のLED灯に電力を提供し、光電池は、建築物の内部空間内の周辺光レベルを感知する。制御機構は、感知された周辺光レベルが、照明目的のLED灯の利用に対する規定されたレベル未満であるときに、蛍光灯を作動させるために光電池によって作動される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る、建築物の内部空間を照らすための照明システムの概略図である。
【0009】
図2】本発明に係る、照明システムを図示する概略図である。
【0010】
図3図2の照明システムのための光電池抵抗体センサー機構およびスイッチを図示する概略電気回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、太陽電池パネルによって電力供給される一次光源からの照明と、主電源から電力供給される二次光源からの照明との自動照明制御によるエネルギー節約に関する。本発明は、照明と光感知との双方が建築物の内部空間に存在する用途に特に適合される。
【0012】
図1は、本発明に係る、例示的な自動照明制御システムを図示する。一次光源30は、太陽電池パネル20によって電力供給されるLED灯の配列として示されている。LED灯配列は、太陽電池パネル20が、通常の日当たりの良い条件下で入射光線を受容しているときに、建築物または筐体の内部に十分な照明を提供する。光電池抵抗体センサー機構50は、一次光源30のLED灯からの光出力を監視する。光電池抵抗体センサー機構50は、主送電網60からの電力の二次光源40に対する流れを光電池抵抗体センサー機構50によって感知された光に基づいて制御するスイッチ70に電気的に接続される。二次光源40は、送電網60によって電力供給される。送電網60は、任意の数の源から電力を受容し得る。電源は、これには限られないが、地方公共事業プロバイダによって提供される電力または現地の発電機からの電力を含み得る。他の送電網電力源もまた利用され得ることを理解されたい。
【0013】
好ましい実施形態は、一次光源用の発光ダイオードまたはLED30の配列と、二次光源40としての蛍光灯とを用いる。LED配列は一般的には、他の利用可能な光源より消費エネルギー1ワット当りでより多くの光線を提供することが可能であり、これが、目的が送電網の電力消費を軽減することであるときに、太陽パネル電源とLED灯光源との組み合わせを有利なものとする。
【0014】
比較すると、蛍光ランプは一般的には、設置するのにLED配列より経済的であり、現在の多くの建築物の設置先では既に、蛍光ランプを利用している。本発明は、蛍光器具を既に設置している現在の建築物の設計に組み込まれ得る、または、本発明は新しい建築物の設計に用いられ得る。蛍光灯は、エネルギー効率の良い光源であることが望ましいが、他のものを用いても良い。一次光源用にLED以外の光源も用いられ得ることを理解されたい。光源には、LED、蛍光灯、白熱電球が含まれ得るが、必要に応じて、他の既存の照明源を一次光源用に用い得る。更に、好ましい本実施形態は、直射日光によってもたらされる熱を軽減するために、戸外の太陽パネル設置物、または照らされている建築物または筐体の窓もしくは屋根で部分的日よけとして設置される太陽パネルを利用し得る。
【0015】
図2は、本発明に係る、照明システムの概略図または機能ブロック図である。太陽電池パネル20は、複数の太陽電池を有する。この太陽電池パネルの構成は、太陽条件、建築物の構造に対する考慮、予測される電力需要のピーク値および平均値、等に従って、いずれかの適切な従来型であり得る。加えて、複数の太陽電池パネルが、太陽電池パネル20用に用いられ得る。太陽電池パネル20は、屋内のLED配列30に接続し、これに電力を供給する。
【0016】
光電池抵抗体センサー制御機構50は、屋内LED配列30の光出力を感知する光電池抵抗体を含む。所定の設置先で、光電池抵抗体154は、LED配列30の近くで照らされている建築物の中に配置され、光電池抵抗体154が、一次光源30の周辺照明レベルを感知するようにする。LED配列30の光出力が、規定された照明レベルを上回って上昇するとき、二次光源40に対する電力の流れは、スイッチ70によって遮断される。光電池抵抗体センサー機構50は、光電池抵抗体センサー機構50がLED配列30の光出力が規定されたレベル未満であることを感知するときに、スイッチ70が二次のまたは電力供給された光源40に対する送電網電力60の流れを許容することを可能にする。加えて、光電池抵抗体センサー制御機構50が、LED配列30が規定されたレベルを上回る照明レベルを再度達成したと感知するとき、光電池抵抗体センサー制御機構50は、スイッチ70に対して、送電網60から二次光源40への流れを停止させ、これにより、送電網を利用しないで電力消費を軽減させる。
【0017】
図3は、感光性の電池で形成される、市販タイプの光電池抵抗体154を含む、光電池抵抗体センサー機構50をさらに詳細に図示する。光電池抵抗体154は、電圧源158で電圧基準レベルと、159に示すように電気的アースに接続されている抵抗体152とに接続される。光電池抵抗体154と抵抗体152との間に位置する接続ポイント156は、光電池抵抗体154の抵抗値で決定される電圧レベルを示し、この抵抗値は次に建築物中の感知された周辺照明レベルによって決まる。所望の周辺照明レベルでは、光電池抵抗体154の抵抗値は、抵抗体152と実質的に同じであり、したがって、ポイント156は、電圧源158の電圧の半分である電圧レベルにある。
【0018】
光電池抵抗体154の電池は、光に敏感であり、一次光源30によって提供されるような、感知された入射光線レベルに基づいて、抵抗値の変化を示す。光源30から提供される光線が適切であるときは、光電池抵抗体154の電池の、実際には光電池の端子の抵抗値が増加して、スイッチ70に至る接続ポイント156で提示される電圧が変化する。光源30からの光線が減少すると、光電池抵抗体154の電池の抵抗値が減少して、スイッチ70に至る接続ポイント156で提示される電圧が変化する。この性能によって、本発明は、需要が感知されたときに、二次光源40のライトを作動し、一次光源30から十分な光線が存在するときには、自動的にこれらをオフに切り替える。
【0019】
光電池抵抗体154上のLED灯30による照明が夕暮れ、曇りがちな天気、または他の理由のために減少するとき、光電池抵抗体の抵抗値が減少し、したがって、ポイント156における電圧が変化する。ポイント156に接続されている電圧感応スイッチ70は、LED灯30からの許容不可能照明出力を示す電圧レベルに高感度に設定されている。したがって、ポイント156での電圧が、設定または規定されたレベルでは存在しないとき、電圧感応スイッチが70を閉じて、送電網60から二次光源40に電力が流れることを可能とする。
【0020】
逆に、光電池抵抗体154上のLED灯30による照明が、夜明け、曇りがちな天気の通過、または他の理由のために増大するとき、光電池抵抗体の抵抗値が増大し、したがって、ポイント156における電圧が変化する。ポイント156での電圧が、設定または規定されたレベルを満たすとき、電圧感応スイッチ70が開き、送電網60から二次光源40に対する電力の流れが停止する。
【0021】
このように、本発明により、照明目的のためのデュアル光源システムを持つ照明システムが提供される。一次光源30のLED灯は、太陽電池20によって動作され、二次光源40は、送電網60の主電源からの動作電力を受容する。照明目的の適切な電力供給への切り替えは、制御機構50が一次光源のLED灯からの低照明出力を感知するときに自動的に行われて、電力消費を最適化する。本発明は、太陽エネルギーを、太陽電池パネル20から利用可能な分量だけ引き出し、建築物の照明の必要性が求められるときにだけ、送電網から照明用の補助電力に切り替える。
【0022】
本発明は、関連事項の平均的知識を持つ人物が、本明細書の発明の中で言及される成果を再現し、かつ獲得し得るように十分に説明された。それでもなお、本明細書中の本発明の主題である技術分野のいかなる当業者も、本明細書中の要求に述べられていない修正を実施し、これらの修正を決定された構造またはこの構造の製造プロセスに応用し、以下の特許請求の範囲で請求される事項を要求し得るが、これらの構造は、本発明の範囲内に網羅されるものとする。
【0023】
添付の特許請求の範囲に記載された本発明の精神および範囲から逸脱することなく、詳細に上述した本発明に対して改善および修正が可能であることを留意し、理解すべきである。

図1
図2
図3