(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレンおよび少なくとも1種のモノマー(Az)を含むモノマー混合物を重合させることを含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載のポリマー(F)の製造方法。
請求項1〜9のいずれか一項に記載のポリマー(F)、および前記ポリマー(F)に対して0.5重量%〜10重量%の量の少なくとも1種の硬化剤を含む、架橋性組成物[組成物(CC)]。
請求項1〜9のいずれか一項に記載のポリマー(F)を使用するステップを含む、電気および電子機器の一つを製造する方法であって、前記ポリマー(F)および/または請求項11または12に記載の組成物(CC)を加工するステップ、ならびにそれを架橋させるステップを含む方法。
【発明を実施するための形態】
【0019】
したがって、本発明の目的は、
− フッ化ビニリデン(VDF)に由来する繰り返し単位;
− トリフルオロエチレン(TrFE)に由来する10モル%〜50モル%[ポリマー(F)の繰り返し単位の全モルに対して]の繰り返し単位;および
− アジド基を含む少なくとも1種のモノマー[(モノマーAz)]に由来する0.01モル%〜10モル%[ポリマー(F)の繰り返し単位の全モルに対して]の繰り返し単位
を含む半結晶性フルオロポリマー[ポリマー(F)]である。
【0020】
本出願人は、驚くべきことに、上で詳述したとおりの、モノマー(Az)に由来する繰り返し単位の、VDF/TrFEポリマー鎖における組込みが、有利には、熱処理によっておよび/またはUV照射下で、を含めて、容易に架橋されるが、依然として絶縁破壊電圧について卓越した値が与えられており、したがって、対応する未修飾ポリマーの典型的な圧電特性、強誘電特性、集電特性および誘電特性を保持し得るコポリマーを与えることを発見した。
【0021】
本発明のポリマー(F)は、トリフルオロエチレン(TrFE)に由来する好ましくは15モル%〜48モル%、より好ましくは16モル%〜45モル%、さらにより好ましくは17モル%〜40モル%の繰り返し単位を含む。
【0022】
本発明のポリマー(F)は、VDFとTrFE以外の、1種以上の他のフッ素化コモノマー[コモノマー(F)]に由来する繰り返し単位をさらに含んでもよい。
【0023】
「フッ素化コモノマー[コモノマー(F)]」という用語は、少なくとも1個のフッ素原子を含むエチレン性不飽和コモノマーを意味することが本明細書によって意図される。
【0024】
コモノマー(F)は、塩素、臭素およびヨウ素原子などの1個以上の他のハロゲン原子をさらに含んでもよい。
【0025】
好適なコモノマー(F)の非限定的な例には、特に以下:
(i)C
2〜C
8パーフルオロオレフィン、例えば、テトラフルオロエチレン(TFE)およびヘキサフルオロプロピレン(HFP);
(ii)式CH
2=CH−R
f0(式中、R
f0は、C
2〜C
6パーフルオロアルキル基である)のパーフルオロアルキルエチレン;
(iii)クロロ−および/またはブロモ−および/またはヨードC
2〜C
6フルオロオレフィン、例えば、クロロトリフルオロエチレン(CTFE);
(iv)式CF
2=CFOR
f1(式中、R
f1は、C
1〜C
6パーフルオロアルキル基である)のパーフルオロアルキルビニルエーテル、例えば、パーフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)およびパーフルオロプロピルビニルエーテル(PPVE);
(v)式CF
2=CFOX
0(式中、X
0は、1個以上のエーテル基を有する、C
1〜C
12オキシアルキル基またはC
1〜C
12(パー)フルオロオキシアルキル基、例えば、パーフルオロ−2−プロポキシ−プロピル基である)の(パー)フルオロオキシアルキルビニルエーテル;
(vi)式CF
2=CFOCF
2OR
f2(式中、R
f2は、C
1〜C
6(パー)フルオロアルキル基、例えば、−CF
3、−C
2F
5、−C
3F
7、または1個以上のエーテル基を有するC
1〜C
6(パー)フルオロオキシアルキル基、例えば、−C
2F
5−O−CF
3である)の(パー)フルオロアルキルビニルエーテル;
(vii)式CF
2=CFOY
0(式中、Y
0は、C
1〜C
12アルキル基または(パー)フルオロアルキル基、1個以上のエーテル基を有するC
1〜C
12オキシアルキル基およびC
1〜C
12(パー)フルオロオキシアルキル基から選択され、Y
0は、その酸、酸ハロゲン化物または塩の形態でカルボン酸またはスルホン酸基を含む)の官能性(パー)フルオロオキシアルキルビニルエーテル;
(viii)フルオロジオキソール、特にパーフルオロジオキソールが含まれる。
【0026】
コモノマー(F)は、好ましくは水素原子を含まない。
【0027】
最も好ましいフッ素化コモノマー(F)は、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、パーフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)である。
【0028】
フッ素化コモノマー(F)が存在する場合、本発明のポリマー(F)は、ポリマー(F)の繰り返し単位の全モルに対して、前記フッ素化コモノマー(F)に由来する通常は2モル%〜20モル%、好ましくは3モル%〜18モル%、より好ましくは4モル%〜15モル%の繰り返し単位を含む。
【0029】
上述されたとおり、本発明のポリマー(F)は、半結晶性であり、すなわち、それは、ASTM D3418に従ってDSM測定にかけられた場合、検出可能な融点を有する。
【0030】
上で説明されたとおり、ポリマー(F)中の圧電性、集電性、強誘電性挙動は、特定の晶癖(ベータ相)に関係していると理解され、すなわち、結果として、特定の結晶化度の存在が、本発明の技術的利点を与えるために必須である。
【0031】
有利には、ポリマー(F)は、典型的にはASTM D3418に従って測定して10〜90J/g、好ましくは30〜60J/g、より好ましくは35〜55J/gの融解熱を有する。
【0032】
本発明のポリマー(F)のメルトフローインデックス(MFI)は、最終部品(例えば、フィルムまたはシート)を得るために選択される加工技術に関連して当業者によって選択される。
【0033】
それにもかかわらず、一般に、ポリマー(F)は、有利には最大で500g/10分、好ましくは最大で200g/10分、より好ましくは最大で50g/10分のASTM D1238(230℃、5Kg)に従って測定されるMFIを有すると理解される。
【0034】
ポリマー(F)は、アジド基を含む少なくとも1種のモノマー[モノマー(Az)]に由来する0.01モル%〜10モル%の繰り返し単位を含む。
【0035】
当業者は、ポリマー(F)の使用の目標分野で必要な架橋密度を考慮してモノマー(Az)に由来する繰り返し単位の適当な濃度を選択する。それにもかかわらず、適当な架橋密度は、モノマー(Az)に由来する繰り返し単位の量が、ポリマー(F)の繰り返し単位の全モルに対して好ましくは少なくとも0.05%、より好ましくは少なくとも0.1%である場合、有利に得られることが理解される。
【0036】
ポリマー(F)の圧電性、集電性、強誘電性挙動を損なわないことを目的として、モノマー(Az)に由来する繰り返し単位の量は、ポリマー(F)の繰り返し単位の全モルに対して、好ましくは最大で5%、より好ましくは最大で3%であることも理解される。
【0037】
モノマー(Az)は、一般に以下の式(I):
CX
1X
2=CX−(O)
p−R
f−(CH
2)
n−[S(O)
q)]
sN
3 式(I)
(式中、X、X
1およびX
2は、互いに等しいかまたは異なり、独立してHまたはFであり、pは0または1であり、nは0〜4であり、sは0または1であり、qは1または2であり、R
fは、1個以上のエーテル性酸素原子によって恐らくは割り込まれた、二価(ヒドロ)フルオロカーボン基である)
に従う。
【0038】
第1の実施形態によれば、式1中pが1であり、すなわち、モノマー(Az)は、式(II):
CX
1X
2=CX−(O)−R
f−(CH
2)
n−[S(O)
q)]
sN
3 式(II)
(式中、X、X
1およびX
2は、互いに等しいかまたは異なり、独立してHまたはFであり、nは0〜4であり、sは0または1であり、qは1または2であり、R
fは、1個以上のエーテル性酸素原子によって恐らくは割り込まれた、二価(ヒドロ)フルオロカーボン基である)
のビニルエーテルモノマーである。この実施形態の変形によれば、式(II)のアジド基は、スルホンアジドモノマー(q=2およびs=1である)であり、すなわち、モノマー(Az)は、式(III):
CX’
1X’
2=CX’−O−R’
f−(CH
2)
n’−S(O)
2)N
3 式(III)
(式中:X’、X’
1およびX’
2は、互いに等しいかまたは異なり、独立してHまたはF、好ましくはFであり、n’は0〜4であり、好ましくはn’=0であり、R’
fは、1個以上のエーテル性酸素原子を恐らくは含む、パーフルオロアルキル基である)
に従う。
【0039】
この実施形態の好ましいスルホンアジドモノマーは、式:CF
2=CF−O−CF
2−CF(CF
3)−O−CF
2CF
2−SO
2N
3、CF
2=CF−O−CF
2CF
2−SO
2N
3、CF
2=CF−O−CF
2CF
2CF
2−SO
2N
3、CF
2=CF−O−CF
2CF
2CF
2CF
2−SO
2N
3のパーフルオロビニルエーテル誘導体である。
【0040】
これらのモノマーは、フッ素のアジド(典型的にはNaN
3)による求核置換によって対応するスルホニルフルオリドモノマーから製造され得る。
【0041】
第2の実施形態によれば、式(1)中pが0であり、すなわち、モノマー(Az)は、式(IV):
CX’’
1X’’
2=CX’’−R’’
f−(CH
2)
n’’−[S(O)
q’’]
s’’N
3 式(IV)
(式中:X’’、X’’
1およびX’’
2は、互いに等しいかまたは異なり、独立してHまたはFであり、n’’は0〜4であり、s’’は0または1であり、q’’は1または2であり、R’’
fは、1個以上のエーテル性酸素原子に恐らくは中断された、二価(ヒドロ)フルオロカーボン基である)
のモノマーであり、ここで、末端二重結合=CX’’−のsp
2混成炭素原子は、R’’
f基のsp
3炭素原子に結合している。
【0042】
この第2の実施形態の第1の変形によれば、式(IV)のアジド基は、スルホンアジドモノマー(q=2およびs=1である)であり、すなわち、モノマー(Az)は、式(V):
CX’’
1X’’
2=CX’’−R’’
f−(CH
2)
n’’−S(O)
2N
3 式(V)
(式中:X’’、X’’
1およびX’’
2は、互いに等しいかまたは異なり、独立してHまたはFであり、n’’は0〜4であり、s’’は0または1であり、q’’は1または2であり、R’’
fは、1個以上のエーテル性酸素原子に恐らくは中断された、二価(ヒドロ)フルオロカーボン基である)
に従い、ここで、末端二重結合=CX’’−のsp
2混成炭素原子は、R’’
f基のsp
3炭素原子に結合している。
【0043】
この第1の変形のある種の実施形態によれば、式(V)中n’’が、ゼロであり、すなわち、モノマー(Az)は、有利には式(VI):
CX’’
1X’’
2=CX’’−R
*f−S(O)
2N
3 式(VI)
(式中:X’’、X’’
1およびX’’
2は、互いに等しいかまたは異なり、独立してHまたはFであり、R
*fは、1個以上のエーテル性酸素原子によって恐らくは割り込まれた、好ましくは式−(CF
2)
m’’−(m’’は、1〜12、好ましくは2、4、6,8、10、または12、より好ましくは4または6の整数である)の、二価のパーフルオロアルキル基である)に従う。
【0044】
ここで上の式(VI)に従うモノマー(Az)の非限定的な例は、式(VII):
CH
2=CH−(CF
2CF
2)
m−SO
2N
3 式(VII)(mは、1〜6、好ましくは2または3の整数である)の化合物である。式(VII)の化合物は、一方の鎖末端にエチレンを選択的に付加させ、選択的に脱ヨウ化水素化し、その後、残りの鎖末端で官能基化して、スルホンアジド基を得ることよって、対応する式I−(CF
2CF
2)
m−Iのジ−ヨード前駆体から容易に製造され得る。
【0045】
この第1の変形の他の実施形態によれば、式(V)中n’’が、ゼロと異なる整数であり、すなわち、モノマー(Az)は、有利には式(VIII):
CX’’
1X’’
2=CX’’−R
*f−(CH
2)
n*−S(O)
2N
3 式(VIII)
[式中:X’’、X’’
1およびX’’
2は、互いに等しいかまたは異なり、独立してHまたはFであり、n
*は1〜4、好ましくは2または4の整数であり、より好ましくはn
*は2であり;R
*fは、1個以上のエーテル性酸素原子で恐らくは中断された、好ましくは式−(CF
2)
m’’−(m’’は、1〜12、好ましくは2、4、6、8、10、または12、より好ましくは4または6の整数である)の、二価パーフルオロアルキル基である]
に従う。
【0046】
ここで上記の式(VIII)に従うモノマー(Az)の非限定的な例は、式(IX):
CH
2=CH−(CF
2CF
2)
m1−(CH
2CH
2)n
1−SO
2N
3 式(IX)(m1は、1〜6、好ましくは2または3の整数であり、n1は、1〜3、好ましくは1の整数である)
の化合物である。式(IX)の化合物は、ヨウ素−炭素結合にエチレンを挿入/付加し、部分的に脱ヨウ化水素化し、その後、残部の−CH
2CH
2−I鎖末端で官能基化して、スルホンアジド基を得ることによって、対応する式I−(CF
2CF
2)
m−Iのジ−ヨード前駆体から容易に製造され得る。
【0047】
この第1の変形のさらなる他の実施形態によれば、式(V)中基−R
*f−は、式−CF
2−O−R
af−の基であり、すなわち、モノマー(Az)は、式(X):
CX
a1X
a2=CX
a−CF
2−O−R
3f−(CH
2)
na−SO
2N
3 式(X)
(式中:X’’、X’’
1およびX’’
2は、互いに等しいかまたは異なり、独立してHまたはFであり、好ましくはすべてがFに等しく、naは、0〜4であり、好ましくはna=0であり、−R
af−は、1〜6個の炭素原子を有する二価パーフルオロアルキル基、好ましくは−CF
2CF
2−である)
に従う。
【0048】
ここで上記の式(X)に従うモノマー(Az)の非限定的な例は、式(XI):
CF
2=CF−CF
2O−CF
2CF
2−SO
2N
3 式(XI)
の化合物である。式(IX)の化合物は、フルオロアリルフルオロスルフェートをFCO−CF
2−SO
2Fと反応させて、CF
2=CF−CF
2O−CF
2−CF
2−SO
2Fを生成させ、その後アジド塩(典型的にはNaN
3)で求核置換することによって製造され得る。
【0049】
この第2の実施形態の第2の変形によれば、式(IV)中sがゼロであり、すなわち、モノマー(Az)は、式(XII):
CX’’
1X’’
2=CX’’−R’’
f−(CH
2)
n’’−N
3 式(XII)
(式中、X’’、X’’
1およびX’’
2は、互いに等しいかまたは異なり、独立してHまたはFであり、n’’は、0〜4であり、s’’は、0または1であり、q’’は、1または2であり、R’’
fは、1個以上のエーテル性酸素原子で恐らくは中断された、二価(ヒドロ)フルオロカーボンである)に従い、ここで、末端二重結合=CX’’−のsp
2混成炭素原子は、R’’
f基のsp
3炭素原子に結合している。
【0050】
この第1の変形のある種の実施形態によれば、式(XII)中n’’は、ゼロである、すなわち、モノマー(Az)は、有利には式(XIII):
CX’’
1X’’
2=CX’’−R
*f−N
3 式(XIII)
(式中、X’’、X’’
1およびX’’
2は、互いに等しいかまたは異なり、独立してHまたはFであり、R
*fは、1個以上のエーテル性酸素原子によって恐らくは割り込まれた、好ましくは式−(CF
2)
m’’−(m’’は、1〜12、好ましくは2、4、6、8、10、または12、より好ましくは4または6の整数である)の、二価パーフルオロアルキル基である)に従う。
【0051】
ここで上記の式(XIII)に従うモノマー(Az)の非限定的な例は、式(XIV):
CH
2=CH−(CF
2CF
2)
m−N
3 式(XIV)(mは、1〜6、好ましくは2または3の整数である)
の化合物である。式(XIV)の化合物は、対応する式I−(CF
2CF
2)
m−Iのジ−ヨード前駆体から、一方の鎖末端にエチレンを選択的に付加し、選択的に脱ヨウ化水素化し、その後に残部の鎖末端で求核置換して、アジド基を得ることによって、容易に製造され得る。
【0052】
この第1の変形の他の実施形態によれば、式(V)中n’’はゼロと異なる整数であり、すなわち、モノマー(Az)は、有利には式(XV):
CX’’
1X’’
2=CX’’−R
*f(CH
2)
n*−N
3 式(XV)
(式中、X’’、X’’
1およびX’’
2は、互いに等しいかまたは異なり、独立してHまたはFであり、n
*は、1〜4、好ましくは2または4の整数であり、より好ましくはn
*は2であり;R
*fは、1個以上のエーテル性酸素原子で恐らくは中断された、好ましくは式−(CF
2)
m’’−(m’’は、1〜12、好ましくは2,4、6、8、10、または12、より好ましくは4または6の整数である)の、二価パーフルオロアルキル基である)
に従う。
【0053】
ここで上記の式(XV)に従うモノマー(Az)の非限定的な例は、式(XVI):
CH
2=CH−(CF
2CF
2)
m1−(CH
2CH
2)
n1−N
3 式(XVI)(m1は、1〜6の整数、好ましくは2または3であり、n1は、1〜3、好ましくは1の整数である)
の化合物である。式(XVI)の化合物は、対応する式I−(CF
2CF
2)
m−Iのジ−ヨード前駆体から、ヨウ素−炭素結合にエチレンを挿入/付加し、部分的に脱ヨウ化水素化し、その後、残部の−CH
2CH
2−I鎖末端で求核置換して、スルホンアジド基を得ることによって、容易に製造され得る。
【0054】
ポリマー(F)骨格は、通常は以下のスキーム:
に示されるとおりにラジカル重合の間に鎖内連鎖移動(バックバイティング)によって生じる、式−CF
2Hおよび/または−CF
2CH
3を有する末端基で停止させた短鎖分岐によって通常は割り込まれる。
【0055】
本発明の第1の好ましい実施形態によれば、ポリマー(F)は、式−CH
2Hおよび/または−CF
2CH
3の末端基を、フッ化ビニリデン(VDF)繰り返し単位1Kg当たり30ミリモル未満、好ましくはVDF繰り返し単位1Kg当たり20ミリモル未満の量で含む[ポリマー(F−1)]。
【0056】
本発明のこの第1の好ましい実施形態のポリマー(F−1)は、上に記載された少なくとも1種のモノマー(Az)に由来する好ましくは少なくとも0.02モル%、より好ましくは少なくとも0.04モル%の繰り返し単位を含む。
【0057】
本発明のこの第1の好ましい実施形態のポリマー(F−1)は、上に記載された少なくとも1種のモノマー(Az)に由来する好ましくは最大で10モル%、より好ましくは最大で8モル%の繰り返し単位を含む。
【0058】
本発明の第2の好ましい実施形態によれば、ポリマー(F)は、式−CF
2Hおよび/または−CF
2CH
3の末端基を、フッ化ビニリデン(VDF)繰り返し単位1Kg当たり少なくとも30ミリモルの量で含む[ポリマー(F−2)]。
【0059】
式−CF
2Hおよび/または−CF
2CH
3の末端基を、VDF繰り返し単位1Kg当たり有利には少なくとも40ミリモル、好ましくはVDF繰り返し単位1Kg当たり少なくとも50ミリモルの量で含む、本発明のこの第2の好ましい実施形態によるポリマー(F−2)によって、非常に良好な結果が得られた。
【0060】
この第2の好ましい実施形態のポリマー(F−2)は、上に記載された少なくとも1種のモノマー(Az)に由来する好ましくは0.01モル%〜10モル%、より好ましくは0.02モル%〜8モル%、さらにより好ましくは0.04モル%〜6モル%の繰り返し単位を含む。
【0061】
本発明の別の目的は、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレンおよび少なくとも1種の上に詳述されたとおりのモノマー(Az)を含むモノマー混合物を重合させるステップを含む、上に定義されたとおりのポリマー(F)を製造する方法である。
【0062】
ポリマー(F)は、水性懸濁重合法によってか、または水性エマルション重合法によってのいずれかで製造され得る。
【0063】
ポリマー(F)は、好ましくは、フッ化ビニリデン(VDF)、トリフルオロエチレン(TrFE)、上に記載された少なくとも1種のモノマー(Az)および場合によって、上に記載されたとおりの1種以上の他のフッ素化コモノマー(F)を、
−水、
−少なくとも1種のフッ素化界面活性剤[界面活性剤(FS)]、および任意選択的に
−少なくとも1種の非官能性パーフルオロポリエーテル(PFPE)油
を含む重合媒体中少なくとも1種のラジカル開始剤の存在下で重合させる工程を含む、水性エマルション重合法によって製造される。
【0064】
本発明の水性エマルション重合法は、有利には、フッ素化界面活性剤分子[界面活性剤(FS)]の界面薄膜によって安定化された、室温で、動力学的に安定で光学的に透明な等張性水性組成物中に均一に分散されたナノサイズの液滴をもたらす。
【0065】
本出願人は、本発明の水性エマルション重合法が、それが限られた全体圧力で適切な重合速度の達成を可能にするので、本発明のポリマー(F−2)の製造に特に適することを見出した。
【0066】
重合圧力は、典型的には10〜45バール、好ましくは15〜40バール、より好ましくは20〜35バールの範囲である。
【0067】
当業者は、とりわけ、用いられるラジカル開始剤を考慮して重合温度を選択する。重合温度は、一般に80℃〜140℃、好ましくは95℃〜130℃の範囲より選択される。
【0068】
ラジカル開始剤の選択は、特に限定されないが、本発明による方法に適したものが、重合法を開始および/または促進することができる化合物から選択される。
【0069】
無機ラジカル開始剤が用いられてもよく、それらには、限定されるものではないが、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムおよび過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、過マンガン酸カリウムなどの過マンガン酸塩が含まれてもよい。
【0070】
また、有機ラジカル開始剤が用いられてもよく、それらには、限定されるものではないが、以下:アセチルシクロヘキサンスルホニルパーオキシド;ジアセチルパーオキシジカーボネート;ジアルキルパーオキシジカーボネート、例えば、ジエチルパーオキシジカーボネート、ジシクロヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート;tert−ブチルパーネオデカノエート;2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4ジメチルバレロニトリル;tert−ブチルパーピバレート;ジオクタノイルパーオキシド;ジラウロイル−パーオキシド;2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル);tert−ブチルアゾ−2−シアノブタン;ジベンゾイルパーオキシド;tert−ブチル−パー−2エチルヘキサノエート;tert−ブチルパーマレエート;2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル);ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン;tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート;tert−ブチルパーアセテート;2,2’−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン;ジクミルパーオキシド;ジ−tert−アミルパーオキシド;ジ−tert−ブチルパーオキシド(DTBP);p−メタンヒドロパーオキシド;ピナンヒドロパーオキシド;クメンヒドロパーオキシド;およびtert−ブチルヒドロパーオキシドが含まれる。
【0071】
他の好適なラジカル開始剤には、特にハロゲン化ラジカル開始剤、例えば、クロロカーボンベースおよびフルオロカーボンベースのアシルパーオキシド、例えば、トリクロロアセチルパーオキシド、ビス(パーフルオロ−2−プロポキシプロピオニル)パーオキシド、[CF
3CF
2CF
2OCF(CF
3)COO]
2、パーフルオロプロピオニルパーオキシド、(CF
3CF
2CF
2COO)
2、(CF
3CF
2COO)
2、{(CF
3CF
2CF
2)−[CF(CF
3)CF
2O]
m−CF(CF
3)−COO}
2(ここで、m=0〜8である)、[ClCF
2(CF
2)
nCOO]
2、および[HCF
2(CF
2)
nCOO]
2(ここで、n=0〜8である);パーフルオロアルキルアゾ化合物、例えば、パーフルオロアゾイソプロパン、[(CF
3)
2CFN=]
2、R
○N=NR
○(ここで、R
○は、1〜8個の炭素原子を有する直鎖または分岐のパーフルオロカーボン基である);安定またはヒンダードパーフルオロアルカンラジカル、例えば、ヘキサフルオロプロピレントリマーラジカル、[(CF
3)
2CF]
2(CF
2CF
2)C
●ラジカルならびにパーフルオロアルカンが含まれる。
【0072】
レドックス対を形成する少なくとも2種の成分を含むレドックス系、例えば、ジメチルアニリン−ベンゾイルパーオキシド、ジエチルアニリン−ベンゾイルパーオキシドおよびジフェニルアミン−ベンゾイルパーオキシドも、重合プロセスを開始させるためにラジカル開始剤として用いられ得る。
【0073】
上に定義されたとおりの有機ラジカル開始剤が、好ましい。それらのうちで、50℃よりも高い自己加速分解温度(SADT)を有する過酸化物、例えば、ジ−tert−ブチルパーオキシド(DTBP)、ジテルブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、テルブチル(2−エチル−ヘキシル)パーオキシカーボネート、テルブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエートなどが特に好ましい。
【0074】
本発明の方法のある実施形態によれば、上に定義されたとおりの1種以上の有機ラジカル開始剤と、上に定義されたとおりの1種以上の無機ラジカル開始剤、好ましくは過硫酸アンモニウムとの混合物が、有利には重合プロセスを促進させるために用いられる。
【0075】
ラジカル開始剤は、上に定義されたとおりの重合媒体の重量で、有利には0.001重量%〜20重量%の範囲の量で、本発明の工程の重合媒体に添加される。
【0076】
重合は、通常は連鎖移動剤の存在下で行われる。連鎖移動剤は、一般にフッ素化モノマーの重合で知られたもの、例えば、ケトン、エステル、エーテルまたは3〜10個の炭素原子を有する脂肪族アルコール、例えば、アセトン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、メチル−ter−ブチルエーテル、イソプロピルアルコール;1〜6個の炭素原子を有し、場合によって水素を含むクロロ(フルオロ)カーボン(例えば、クロロホルム、トリクロロフルオロメタン);ビス(アルキル)カーボネート(ここで、アルキルは、1〜5個の炭素原子を有する)(例えば、ビス(エチル)カーボネート、ビス(イソブチル)カーボネート)から選択される。連鎖移動剤は、開始時に、重合中に連続的にまたは個別的な量で(段階的に)重合媒体に供給されてもよく、連続的または段階的供給が好ましい。
【0077】
上に詳述されたとおりのエマルション重合法は、当技術分野で記載されてきた(例えば、米国特許第4990283号明細書(AUSIMONT SPA(IT))1991年2月5日、米国特許第5498680号明細書(AUSIMONT SPA)1996年3月12日および米国特許第6103843号明細書(AUSIMONT SPA)2000年8月15日を参照)。
【0078】
「非官能性パーフルオロポリエーテル(PFPE)油」によって、非官能性末端基を含むパーフルオロポリエーテル(PFPE)油が意味されることが、本明細書によって意図される。
【0079】
パーフルオロポリエーテル(PFPE)油の非官能性末端基は、フッ素または水素原子と異なる1個以上のハロゲン原子を場合によって含む、1から3個の炭素原子を有するフルオロ(ハロ)アルキル類、例えば、CF
3−、C
2F
5−、C
3F
6−、ClCF
2CF(CF
3)−、CF
3CFClCF
2−、ClCF
2CF
2−、ClCF
2−から一般に選択される。
【0080】
本発明の方法で用いられる非官能性PFPE油は、通常は、互いに等しいかまたは異なり、一般式−(CJJ’)j−CKK’−O−(式中、JおよびJ’は、互いに等しいかまたは異なり、独立してフッ素原子またはC
1〜C
6(パー)フルオロ(オキシ)アルキル基を表し、KおよびK’は、互いに等しいかまたは異なり、独立して水素原子、フッ素原子、塩素原子またはC
1〜C
6(パー)フルオロ(オキシ)アルキル基を表し、jは、0から3の間に含まれる整数である)を有する繰り返し単位であって、概して(パー)フルオロポリオキシアルキレン鎖[鎖(R
f)]に沿って統計的に分布している繰り返し単位を含む、(パー)フルオロポリオキシアルキレン鎖[鎖(R
f)]を含む。
【0081】
本発明の方法で用いられる非官能性PFPEは、有利には400〜3000、好ましくは600〜1500の間に含まれる数平均分子量を有する。
【0082】
非官能性PFPE油は、好ましくは以下:
(1)T
1−O−[CF(CF
3)CF
2O]
b1’(CFYO)
b2’−T
1’
(式中:
−T
1およびT
1’は、互いに等しいかまたは異なり、−CF
3、−C
2F
5および−C
3F
7基から独立して選択され;
−Yは、それぞれの出現において等しいかまたは異なり、フッ素原子および−CF
3基から選択され;
−b1’およびb2’は、互いに等しいかまたは異なり、b1’/b2’比が20〜1000の間に含まれ、かつ(b1’+b2’)の合計が5〜250の間に含まれるように、独立して≧0の整数であり;b1’およびb2’が両方ともゼロと異なる場合、異なる繰り返し単位は概してパーフルオロポリオキシアルキレン鎖に沿って統計的に分布している)。
(前記生成物は、カナダ特許第786877号明細書(MONTEDISON S.P.A.)1968年6月4日に記載されたとおりのC
3F
6の光酸化、およびその後の、英国特許第1226566号明細書(MONTECATINI EDISON S.P.A.)1971年3月31日に記載されたとおりの末端基の変換によって得ることができる)。
(2)T
1−O−[CF(CF
3)CF
2O]
c1’(C
2F
4O)
c2’(CFYO)
c3’−T
1’
(式中:
−T
1およびT
1’は、互いに等しいかまたは異なり、上に定義されたものと同じ意味を有し;
−Yは、それぞれの出現において等しいかまたは異なり、上に定義されたものと同じ意味を有し;
− c1’、c2’およびc3’は、互いに等しいかまたは異なり、(c1’+c2’+c3’)の合計が5〜250の間に含まれるように、独立して≧0の整数であり;c1’、c2’およびc3’の少なくとも2つがゼロと異なる場合、異なる繰り返し単位は概してパーフルオロポリオキシアルキレン鎖に沿って統計的に分布している)。
(前記生成物は、米国特許第3665041号明細書(MONTECATINI EDISON S.P.A.)1972年5月23日に記載されたとおりに、C
3F
6とC
2F
4との混合物の光酸化、およびその後のフッ素による処理によって製造され得る)。
(3)T
1−O−(C
2F
4O)
d1’(CF
2O)
d2’−T
1’
(式中:
−T
1およびT
1’は、互いに等しいかまたは異なり、上に定義されたものと同じ意味を有し;
−d1’およびd2’は、互いに等しいかまたは異なり、d1’/d2’比が0.1〜5の間に含まれ、かつ(d1’+d2’)の合計が5〜250の間に含まれるように、独立して≧0の整数であり;d1’およびd2’が両方ともゼロと異なる場合、異なる繰り返し単位は概してパーフルオロポリオキシアルキレン鎖に沿って統計的に分布している)。
(前記生成物は、米国特許第3715378号明細書(MONTECATINI EDISON S.P.A.)1973年2月6日に報告されたとおりにC
2F
4の光酸化、およびその後の、米国特許第3665041号明細書(MONTECATINI EDISON S.P.A.)1972年5月23日に記載されたとおりにフッ素による処理によって製造され得る)。
(4)T
2−O−[CF(CF
3)CF
2O]
e’−T
2’
(式中:
−T
2およびT
2’は、互いに等しいかまたは異なり、−C
2F
5および−C
3F
7基から独立して選択され;
−e’は、5〜250の間に含まれる整数である)。
(前記生成物は、米国特許第3242218号明細書(E.I.DU PONT DE NEMOURS AND CO.)1966年3月22日に記載されたとおりにイオン性ヘキサフルオロプロピレンエポキシドのオリゴマー化、およびその後のフッ素による処理によって調製され得る)。
(5)T
2−O−(CF
2CF
2O)
f’−T
2’
(式中:
−T
2およびT
2’は、互いに等しいかまたは異なり、上に定義されたものと同じ意味を有し;
−f’は、5〜250の間に含まれる整数である)。
(前記生成物は、米国特許第4523039号明細書(THE UNIVERSITY OF TEXAS)1985年6月11日に報告されたとおりに、ポリエチレンオキシドを、例えば、元素フッ素でフッ素化し、場合によってそのように得られたフッ素化ポリエチレンオキシドを熱的に断片化する工程を含む方法によって得ることができる)。
(6)T
1−O−(CF
2CF
2C(Hal’)
2O)
g1’−(CF
2CF
2CH
2O)
g2’−(CF
2CF
2CH(Hal’)O)
g3’−T
1’
(式中:
− T
1およびT
1’は、互いに等しいかまたは異なり、上に定義されたものと同じ意味を有し;
− Hal’は、それぞれの出現において等しいかまたは異なり、フッ素および塩素原子、好ましくはフッ素原子から選択されるハロゲンであり;
− g1’、g2’、およびg3’は、互いに等しいかまたは異なり、(g1’+g2’+g3’)の合計が、5〜250の間に含まれるように、独立して≧0の整数であり;g1’、g2’およびg3’の少なくとも2つがゼロと異なる場合、異なる繰り返し単位は概して(パー)フルオロポリオキシアルキレン鎖に沿って統計的に分布している)。
(前記生成物は、欧州特許第148482B号明細書(ダイキン工業株式会社)1992年3月25日に詳述されたとおりに、重合開始剤の存在下で2,2,3,3−テトラフルオロオキセタンを開環重合して、式:−CH
2CF
2CF
2O−の繰り返し単位を含むポリエーテルを得、場合によって、前記ポリエーテルをフッ素化および/または塩素化することによって調製され得る)。
(7)R
1f−{C(CF
3)
2−O−[C(R
2f)
2]
j1’C(R
2f)
2−O}
j2’−R
1f
(式中:
− R
1fは、それぞれの出現において等しいかまたは異なり、C
1〜C
6パーフルオロアルキル基であり;
− R
2fは、それぞれの出現において等しいかまたは異なり、フッ素原子およびC
1〜C
6パーフルオロアルキル基から選択され;
− j1’は、1または2に等しく;
− J2’は、5〜250の間に含まれる整数である)。
(前記生成物は、特許出願である国際公開第87/00538号パンフレット(LAGOW ET AL.)1987年1月29日に詳述されたとおりに、ヘキサフルオロアセトンと、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、エポキシ−ブタンおよび/またはトリメチレンオキシド(オキセタン)またはそれらの置換誘導体から選択される酸素含有環状コモノマーとの共重合、ならびにその後の、得られたコポリマーの過フッ化によって生成され得る)から選択される。
【0083】
非官能性PFPE油は、より好ましくは以下:
(1’)GALDEN(登録商標)およびFOMBLIN(登録商標)という商標名の下でSolvay Solexis S.p.A.から市販されている非官能性PFPE油、前記PFPE油は、一般に以下の式:
CF
3−[(OCF
2CF
2)
m−(OCF
2)
n]−OCF
3
m+n=40〜180;m/n=0.5〜2
CF
3−[(OCF(CF
3)CF
2)
p−(OCF
2)
q]−OCF
3
p+q=8〜45;p/q=20〜1000
のいずれかに従う少なくとも1種のPFPE油を含む。
(2’)DEMNUM(登録商標)という商標名の下でDaikinから市販されている非官能性PFPE油、前記PFPEは、一般にここで以下の式:
F−(CF
2CF
2CF
2O)
n−(CF
2CF
2CH
2O)
j−CF
2CF
3
j=0または>0の整数;n+j=10〜150
に従う少なくとも1種のPFPEを含む。
(3’)KRYTOX(登録商標)という商標名の下でDu Pont de Nemoursから市販されている非官能性PFPE油、前記PFPEは、一般に以下の式:
F−(CF(CF
3)CF
2O)
n−CF
2CF
3
n=10〜60
に従うヘキサフルオロプロピレンエポキシドの少なくとも1種の低分子量のフッ素末端封止ホモポリマーを含む。
【0084】
非官能性PFPE油は、さらにより好ましくは上記の式(1’)を有するものから選択される。
【0085】
界面活性剤(FS)は、通常、以下の式(III):
R
f§(X
−)
k(M
+)
k(III)
(式中:
−R
f§は、1個以上のカテナリーまたは非カテナリー酸素原子を場合によって含むC
5〜C
16(パー)フルオロアルキル鎖、および(パー)フルオロポリオキシアルキル鎖から選択され;
−X
−は、−COO
−、−PO
3−および−SO
3−基から選択され;
−M
+は、NH
4+およびアルカリ金属イオンから選択され、
−kは、1または2である)
に従う。
【0086】
本発明の方法に適した界面活性剤(FS)の非限定的な例には、特に以下:
(a)CF
3(CF
2)
n0COOM’(式中、n
oは、4〜10、好ましくは5〜7の範囲の整数であり、好ましくはn
0は、6に等しく、M’は、NH
4、Na、LiまたはK、好ましくはNH
4を表す);
(b)T−(C
3F
6O)
n1(CFXO)
m1CF
2COOM’’[式中、Tは、塩素原子、または式C
xF
2x+1−x’Cl
x’O(式中、xは、1〜3の範囲の整数であり、x’は、0または1である)の(パー)フルオロアルコキシド基を表し、n
1は、1〜6の範囲の整数であり、m
1は、0〜6の範囲の整数であり、M’’は、NH
4、Na、LiまたはKを表し、Xは、Fまたは−CF
3を表す];
(c)F−(CF
2CF
2)
n2−CH
2−CH
2−RO
3M’’’(式中、Rは、リンまたは硫黄原子であり、好ましくはRは、硫黄原子であり、M’’’は、NH
4、Na、LiまたはKを表し、n
2は、2〜5の範囲の整数であり、好ましくはn
2は、3に等しい);
(d)A−R
bf−B二官能性フッ素化界面活性剤[ここで、AおよびBは、互いに等しいかまたは異なり、式−(O)
pCFX’’−COOM
*(式中、M
*は、NH
4、Na、LiまたはKを表し、好ましくはM
*は、NH
4を表し、X’’は、Fまたは−CF
3であり、pは、0または1に等しい整数である)を有し、R
bfは、A−R
bf−Bの数平均分子量が、300〜1800の範囲にあるように二価の(パー)フルオロアルキルまたは(パー)フルオロポリエーテル鎖である];および
(e)それらの混合物
が含まれる。
【0087】
本発明の方法における使用に適した好ましい界面活性剤(FS)は、上記の式(b)に従う。
【0088】
本発明の重合法は、典型的には上に定義されたとおりのポリマー(F)および上に定義されたとおりの少なくとも1種のフッ素化界面活性剤[界面活性剤(FS)]を含む水性ラテックスをもたらす。
【0089】
重合法から直接得られるラテックス中の上に定義されたとおりのポリマー(F)の量は、典型的には10重量%〜40重量%、好ましくは20重量%〜30重量%の範囲である。
【0090】
ポリマー(F)は、ポリマーが架橋を引き起こすのに十分には加熱されないことに注意して、任意の公知の技術によって単離および乾燥されてもよい。
【0091】
代替として、反応器から出現する水性分散液は、そのまま直接、例えば、コーティング組成物として使用されてもよいか、またはそれは、ラテックスコーティング組成物の調製のために、最初に界面活性剤の添加によって安定化され、および/または当技術分野で周知の方法によって濃縮されてもよい。
【0092】
本発明のポリマー(F)は、他の成分と混合されてもよく、本発明の別の目的である、得られた架橋性組成物[組成物(CC)]が、架橋下に置かれて、硬化物品を生成することができる。
【0093】
上に詳述されたとおりのポリマー(F)を含む架橋性組成物は、一般に少なくとも1種の硬化剤を含む。ポリマー(F)は自己架橋を行ってもよく、すなわち、いずれの追加の助剤の非存在下でも硬化され得るが、一般には硬化剤を用いることが好ましい。
【0094】
硬化剤は、本発明の架橋工程においてポリマー(F)と組み合わせて用いられる場合、一般にポリマー(F)に対して0.5重量%〜10重量%、好ましくは1重量%〜7重量%の量で用いられる。
【0095】
これらの硬化剤のうちで、以下が一般に用いられる:
−2つ以上のエチレン性不飽和アリル型二重結合を含むポリアリル誘導体(トリアリルシアヌレート;トリアリルイソシアヌレート(TAIC);トリス(ジアリルアミン)−s−トリアジン;トリアリルホスファイト;N,N−ジアリルアクリルアミド;N,N,N’,N’−テトラアリルマロンアミドを含む);
−2つ以上のエチレン性不飽和ビニル型二重結合を含むポリビニル誘導体(トリビニルイソシアヌレート;2,4,6−トリビニルメチルトリシロキサンを含む);
−一般式:
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5およびR
6は、互いに等しいかまたは異なり、HまたはC
1〜C
5アルキルであり;Zは、式−(O)
e1−E−(O)
e2−(式中、e1およびe2は、互いに等しいかまたは異なり、独立して1または0であり、Eは、酸素原子を場合によって有し、好ましくは少なくとも部分的にフッ素化された、とりわけ、例えば、欧州特許出願公開第661304A号明細書(AUSIMONT SPA)1995年7月5日に記載されたとおりの(パー)フルオロポリオキシアルキレン基のような二価C
1〜C
18基である)を有するビス−オレフィン[ビス−オレフィン(OF)];
−エチレン性不飽和基で置換されたトリアジン(例えば、とりわけ、欧州特許出願公開第860436A号明細書(AUSIMONT SPA)1998年8月26日および国際公開第97/05122号パンフレット(DU PONT)1997年2月13日に記載されたもの);
−2個以上のアジド基を含むポリアジド化合物(とりわけ、式:
{N
3−[S(O)
qd]
sd}
j−J
d−{[S(O)
qd’]
sd’−N’
3}
j’
(式中、jおよびj’のそれぞれは、互いに等しいかまたは異なり、0または1〜3の整数であり、但し、j+j’は、少なくとも2であることを条件とし、sdおよびsd’のそれぞれは、互いに等しいかまたは異なり、独立して0または1であり、qdおよびqd’のそれぞれは、互いに等しいかまたは異なり、独立して1または2であり、J
dは、酸素原子を場合によって有し、好ましくは少なくとも部分的にフッ素化された、(ヒドロ)(フルオロ)カーボン基である)
のジアジド[剤(Cz)]を含む)。
【0096】
ビス−オレフィン(OF)は、好ましくは式(OF−1)、式(OF−2)および式(OF−3):
(OF−1)
(式中、jは、2〜10、好ましくは4〜8の整数であり、R1、R2、R3、R4は、互いに等しいかまたは異なり、H、FまたはC
1〜5アルキルもしくは(パー)フルオロアルキル基である);
(OF−2)
[式中、Aのそれぞれは、互いに等しいかまたは異なり、出現するごとに、F、Cl、およびHから独立して選択され;Bのそれぞれは、互いに等しいかまたは異なり、出現するごとに、F、Cl、HおよびOR
B(ここで、R
Bは、部分的に、実質的にまたは完全にフッ素化または塩素化され得る分岐または直鎖アルキル基である)から独立して選択され;Eは、エーテル結合が挿入されていてもよい、場合によってフッ素化された、2〜10個の炭素原子を有する二価の基であり;好ましくはEは、−(CF
2)
m−基(mは、3〜5の整数である)である];(OF−2)タイプの好ましいビス−オレフィンは、F
2C=CF−O−(CF
2)
5−O−CF=CF
2である。
(OF−3)
(式中、E、AおよびBは、上に定義されたのと同じ意味を有し;R5、R6、R7は、互いに等しいかまたは異なり、H、FまたはC
1〜5アルキルもしくは(パー)フルオロアルキル基である)
に従うものからなる群から選択される。
【0097】
剤(Cz)は、好ましくは式:
{N
3[S(O)
g1]
s1}
na−(R
H)
nh−R
f−(R’
H)
nh’−{[S(O)
g2]
S2N
3}
na’ 式(A)
(式中、g1およびg2のそれぞれは、互いに等しいかまたは異なり、1または2であり、s1およびs2のそれぞれは、互いに等しいかまたは異なり、0または1であり、naおよびna’のそれぞれは、独立してゼロか、または1〜3の整数であり、但し、na+na’の合計は少なくとも2であり、R
HおよびR’
Hのそれぞれは、互いに等しいかまたは異なり、フッ素原子を含まないC
1〜C
12炭化水素基であり、nhおよびnh’は、互いに等しいかまたは異なり、独立して0または1であり、R
fは、i)1個以上のエーテル性酸素原子を恐らくは含む、C
3〜C
20フルオロカーボン基、ii)フッ化ビニリデンとトリフルオロエチレンとの共重合単位を含むオリゴマーからなる群から選択される)
のフッ素化ポリアジドである。
【0098】
第1の実施形態によれば、剤(Cz)は、有利には以下の式(B):
N
3−(CH
2)
m−R
Bf−(CH
2)
m’−N
3 式(B)
(式中、mおよびm’のそれぞれは、独立して1〜6の整数であり、R
Bfは、1個以上のエーテル性酸素原子を恐らくは含む、C
3〜C
10フルオロカーボン基である)
に従う。
【0099】
この第1の実施形態の剤(Cz)は好ましくは、以下の式(C):
N
3−(CH
2)
m−(CF
2)
nc−(CH
2)
m’N
3 式(C)
(式中、mおよびm’のそれぞれは、独立して1〜6の整数、好ましくはmおよびm’=2であり、ncは、4〜10、好ましくは4〜8の整数である)
に従う。
【0100】
この変形による剤(Cz)の非限定的な例は、とりわけ、式:N
3−(CH
2)
2−(CF
2)
2−(CH
2)
2−N
3、N
3−(CH
2)
2−(CF
2)
4−(CH
2)
2−N
3、N
3−(CH
2)
2−(CF
2)
6−(CH
2)
2−N
3、N
3−(CH
2)
2−(CF
2)
8−(CH
2)
2−N
3、N
3−(CH
2)
2−(CF
2)
10−(CH
2)
2−N
3のものである。
【0101】
式(C)の化合物は、ヨウ素の存在下でのテトラフルオロエチレンの単鎖重合、続いて、C−I結合へのエチレンの付加/組込み、その後のアジド塩、好ましくはNaN
3によるヨウ素の求核置換によって製造され得る。
【0102】
第2の実施形態によれば、剤(Cz)は、有利には以下の式(D):
N
3[S(O)
g1]−R
Df−[(S(O)
g2]−N
3 式(D)
(式中、g1およびg2のそれぞれは、互いに等しいかまたは異なり、1または2であり、R
Dfは、1個以上のエーテル性酸素原子を恐らくは含む、C
3〜C
20フルオロアルキルである)
に従う。
【0103】
好ましくは、この第2の実施形態の剤(Cz)は、以下の式(E):
N
3−SO
2−R
Ef−SO
2−N
3 式(D)
(式中、R
Efは、1個以上のエーテル性酸素原子を恐らくは含む、C
3〜C
20フルオロアルキル基である)
に従う。
【0104】
この変形による剤(Cz)の非限定的な例は、とりわけ式:N
3SO
2−C
4F
8−SO
2N
3、N
3SO
2−(CF
2)
2−O−C
4F
8−O−(CF
2)
2−SO
2N
3、N
3SO
2−(CF
2)
2−O−CF(CF
3)CF
2O−C
4F
8−O−CF
2−CF(CF
3)O−(CF
2)
2−SO
2N
3、N
3SO
2−(CF
2)
2−O−CF
2CF(CF
3)O−C
4F
8−O−CF
2−CF(CF
3)O−(CF
2)
2−SO
2N
3、N
3SO
2−(CF
2)
2−O−CF
2CF(CF
3)O−C
4F
8−O−CF(CF
3)−CF
2O−(CF
2)
2−SO
2N
3のものである。上記のそれぞれにおける式−O−C
4F
8−O−の基は、−O−(CF
2CF
2)
2−O−、−O−CF
2CF
2−CF(CF
3)−O−、−O−CF(CF
3)−CF(CF
3)−O−のいずれであることもできる。
【0105】
式(E)の化合物は、例えば、式CF
2=CF−SO
2F、CF
2=CF−O−CF
2CF
2SO
2F、CF
2=CF−O−CF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2SO
2F、CF
2=CF−O−CF
2CF(CF
3)OCF
2CF
2SO
2Fのスルホニルモノマーのフッ素補助二量化、続いて、アジド塩との反応によるフルオロスルホニル基での求核置換によって、製造され得る。
【0106】
上述の硬化剤のうちで、上で詳述されたとおりの、ビス−アジド、TAIC、剤(Cz)およびビス−オレフィン(OF)、より具体的には、上で詳述されたとおりの式(OF−1)のものが、特に良好な結果を与えることがわかり;最も好ましくは、剤(Cz)が、特に良好な結果を与えることがわかった。
【0107】
本発明のポリマー(F)は、ゴムおよびプラスチック工業で周知の他の添加剤、加工助剤およびフィラー、例えば、限定されないが、カーボンブラック、無機フィラー(硫酸バリウム、タルクおよびシリカを含む)、モノマー(Az)を含まないフィブリル化または非フィブリル化熱可塑性フルオロポリマー、金属酸化物、金属水酸化物などと組成物(CC)中で混合されてもよい。
【0108】
さらに、硬化物品を生成させるために上に詳述されたとおりのポリマー(F)および/または組成物(CC)を架橋させる方法は、本発明の別の実施形態である。
【0109】
本発明のポリマー(F)および/または組成物(CC)の架橋は、ポリマー(F)をUV線および/または加熱に暴露することを含み得る。
【0110】
好ましくは、架橋は、ポリマー(F)および/または組成物(CC)をUV線に曝露することを含む。
【0111】
UV線という用語は、本発明の目的に対して、可視光のものより短いが、軟X線よりも長い波長を有する電磁放射線を意味することが意図される。それは、近UV(380〜200nm波長;略語:NUV)、遠UVまたは真空UV(200〜10nm;略語:FUVまたはVUV)、および極UV(1〜31nm;略語:EUVまたはXUV)に細分され得る。200〜380nmの波長を有するNUVが、本発明の方法において好ましい。単色または多色光のいずれも用いることができる。
【0112】
UV線は、本発明の架橋方法で任意の適切なUV線源によって与えることができる。本発明の方法のための好ましいUV線源は、水銀照明である。励起水銀蒸気から放射されるエネルギーのかなりの部分は、スペクトルの紫外部分であることが知られている。低圧放電の場合、供給される全エネルギーの半分超が、253.7nmで短波UV領域において放射される。高圧ランプは、365.0nmで長波UV領域においてそれらのエネルギーの約10%を放射するが、かなりの量が、より短い波長でも放射される。
【0113】
本発明の架橋方法は、いずれの種類の硬化物品を製造するためにも使用され得る。電気および電子機器の部品は、このような方法によってより好ましく製造される。
【0114】
硬化物品は、とりわけ、薄膜およびナノ層ならびに/またはそれらのアセンブリを含めて、シートおよびフィルムであり得る。
【0115】
本発明の硬化物品は、とりわけ、変換器、センサ、アクチュエータ、強誘電性メモリ、電気機器を動力源としたキャパシタを含めて、種々の電子機器で有用であり得る。
【0116】
本発明のさらなる目的は、上に詳述されたとおりのポリマー(F)を用いるステップを含む、電気および電子機器の一つを製造する方法である。
【0117】
このような方法は、一般にポリマー(F)および/または組成物(CC)を加工するステップならびにそれらを架橋するステップを含む。
【0118】
加工は、任意の公知の技術によって行われ得る;それにもかかわらず、インク印刷、キャスティング、リソグラフィ法などを含む、溶液加工技術が好ましい。
【0119】
ポリマー(F)および/または組成物(CC)の架橋は、上に具体化されたとおりに行われ得る。
【0120】
本発明の架橋ポリマー(F)は、一般にフィルム(薄膜、およびナノ層を含む)およびシートなどの二次元部品、またはそれらの3次元アセンブリの形態下で前記機器に含まれる。
【0121】
上に詳述されたとおりの架橋ポリマー(F)から作られた部品は、一般に前記電気および電子機器に強誘電性、圧電性、集電性または誘電性材料として含まれる。
【0122】
参照により本明細書に組み込まれるいずれかの特許、特許出願、および刊行物の開示が、本出願の記載と、それが用語を不明瞭にさせ得る程度に矛盾する場合は、本記載が優先するものとする。
【0123】
本発明は、これから以下の実施例を参照してより詳細に説明されるが、その目的は、単に例証的なものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0124】
示差走査熱量測定(DSC)分析
DSC分析は、ASTM D3418標準法に従って行った。T
m2は、第2の加熱サイクルで測定される溶融温度を表す。T
xxは、中間の冷却サイクルの間に測定される結晶化温度を表す。T
Curie2は、第2の加熱サイクルで測定されるキュリー温度を表す。
【0125】
絶縁破壊電圧の決定
絶縁破壊電圧値は、一定の厚さを有する誘電性フルオロポリマーフィルムの試験片でASTM D149−97a標準法に従って測定した。絶縁破壊電圧値が高ければ高いほど、電流が絶縁性誘電性フルオロポリマーフィルムを通って流れ始める電圧が高くなる。
【実施例】
【0126】
調製実施例1−CF
2=CFOCF
2CF
2SO
2N
3[モノマー(Az1)]の合成
米国特許第6365693号明細書(DUPONT DOW ELASTOMERS LLC)2002年4月2日に開示された手順と同様な、および以下に詳述されるとおりに変更した手順によって、上に言及した化合物を合成した。三つ口丸底ガラス製フラスコに、1.375g=21.15ミリモルのNaN
3を13mlのCH
3CN(これは、P
2O
5上での蒸留、および3Aモレキュラーシーブ上への貯蔵によって前もって乾燥させておいた)に懸濁させた。この混合物を500rpmにて20℃で約20分間撹拌し;次いで、5.05g=18.03ミリモルのCF
2=CFOCF
2CF
2SO
2F(VEFS)を19分間滴下した。したがって、混合物中のVEFS([CF
2=CFOCF
2CF
2SO
2F])のモル濃度は、1.38Mに等しかった。発熱反応は、約2℃の温度上昇を生じさせた。添加の最後において、反応混合物は、ミルク様であることがわかり、透明になった。混合物を不活性N
2雰囲気下に20℃で48時間撹拌下に保った。混合物を40℃で3時間加熱することによって、反応を終了させた。次いで、混合物を20℃で冷却し、次いで、この温度をさらに3時間維持した。未加工反応混合物は、目に見える沈殿物を含まない乳白色溶液であるように見えた。この混合物を70mlの蒸留水に注ぎ入れ;それから、刺激臭(acre smelling)を有する、清澄で透明な油が直ちに分離した。定量
19F−NMR測定から、そのように沈殿した油が、目標生成物に相当することがわかった。水相を分離し、反応副生成物としてNaFを含有することがわかった。
収率=VEFSの出発量に対して57%。
a,bCF
2=
cCFO
dCF
2eCF
2SO
2N
3に対する選択性=78モル%。
残存する22モル%は、N
3fCF
2gCFHO
hCF
2iCF
2SO
2N
3に相当することがわかった。
・
19F−NMR;(CDCl
3;ppm):a:−110;b:−118;c:−133:d:−80.2;e:−110.4;f:−90;g:−142(J
1H,F=47hz);h:−78→−83;i:−110.4。
・FT−IR(KBr;cm
−1):1839(
CF2=CFO−st.);2156(−N
3st.);1421+1463(−SO
2−N
3st.);1200〜1100(CFst.)。
【0127】
調製実施例2−CF
2=CFCF
2OCF
2CF
2SO
2N
3(モノマー(Az2))の合成
前駆体FSO
2CF
2CF
2OCF
2CF=CF
2を、文献(WLASSICS,I.,et al.Perfluoro Allyl Sulfate(FAFS):a Versatile Building Block For New Fluoroallic Compounds.Molecules.2011,vol.16,p.6512_6540)に記載された方法に従って調製した。比較アジド化合物(1)のための上に記載した合成手順を、アリルエーテルとNaF(これは、反応の副生成物である)との間の接触の最小化を確実にするように修正し、これは、パーフルオロプロピレンおよびFO
2S−CF
2−COFへのビニルエーテル前駆体の分解を触媒することができた。3つの注入口を有するガラス製円筒形ジャケット付き反応器に、15.15ミリモル=5.00gのFSO
2CF
2CF
2OCF
2CF=CF
2を、1%v/vに相当する、Aliquat(CH
3−N−[(CH
2)
7CH
3]
3+Cl
−)として市販されている90μlの相間移動剤と組み合わせて導入した。そのように得た溶液を反応器ジャケットに接続された低温保持装置を用いて15℃で冷却した。7.5mlの蒸留H
2Oおよび2.395g=36.85ミリモルのNaN
3から作られた溶液が入っている自動分注シリンジを用いて、前記溶液を0.1当量NaN
3/時間の流量で滴下した;反応器温度を添加時間全体(約24時間)の間15℃で保った。次いで、温度を20℃にさらに8時間上昇させた。反応の最後に、反応混合物は2相からなった。H
2O、NaFおよび残留NaN
3からなる上側相を廃棄した。下側相を回収し、固体粒状物残渣をなくするために15℃および4000rpmで20分間遠心分離機にかけた。特徴的な刺激臭を有する無色で清澄な油を得た。
収率(精製および分離後)=65モル%。
選択性=55/45A/B−A=
a,bCF
2=
cCF
dCF
2O
eCF
2fCF
2SO
2N
3;B=N
3gCF
2hCFH
iCF
2O
lCF
2mCF
2SO
2N
3
19F−NMR;(CDCl
3;;ppm);a:−89;b:−102;c:−185.4;d:−72.3;e:−79.3(AB);f:−109.3;g:−78→−82(m);h:−206(J
1H,F=48hz);i:−74.5;→−83;l:−79.3(AB);m:−109.3。
FT−IR(KBr;cm
−1):1792(
CF2=CF−CF
2st.);2163(−N
3st.);1464+1384(−SO
2−N
3st.);1200〜1100(CFst.)。
【0128】
調製実施例3−CH
2=CH(CF
2)
6CH
2CH
2N
3[モノマー(Az3))]の合成
ジテルブチルパーオキシド(DTBP)の存在下でのヨウ素(I
2)とテトラフルオロエチレン(C
2F
4)短鎖重合、I(CF
2)
6I留分の単離によって、ジヨウ化前駆体を製造した。次いで、エチレン付加を、180℃の温度で、50atmのC
2H
4圧下にエチレンによって行い、その結果、98.5%を超える選択性で対応する式ICH
2CH
2(CF
2)
6CH
2CH
2Iの付加生成物を得た。1.5モル%未満のテロマーが、オリゴマーI(C
2H
4)
2(CF
2)
6CH
2CH
2Iを生じさせた。式ICH
2CH
2(CF
2)
6CH
2CH
2Iの化合物を75℃でC
2H
5OH中0.5モル当量のKOHによる部分脱ヨウ化水素化にかけ;未加工反応混合物の蒸留は、約95モル%の純度でICH
2CH
2(CF
2)
6CH=CH
2の単離を可能にした。水で冷却される縮合器、磁気式撹拌、温度計および滴下漏斗を備えたガラス製反応器に、0.876g(13.48ミリモル)のNaN
3を導入し、11mlの蒸留H
2Oおよび341μlの相間移動触媒Aliquat(全容積に対して1%)(これは、分離相として残存した)に可溶化した。そのように形成した不均一混合物を、氷浴を用いて3℃で冷却した。次いで、20mlのCH
2Cl
2中5.0g(10.37ミリモル)のICH
2CH
2(CF
2)
6CH=CH
2を含有する均一溶液を15分間滴下した。3℃で1時間撹拌(750rpm)後、反応混合液を60分間で25℃にゆっくりと戻させ、この温度でさらに23時間維持した。次いで、下側相を分離し、ゲルクロマトグラフィー分離条件をTLC(I
2チャンバー中で展開させた)により試験し、2つのドットを生成させ、最初のドット(R
f=0)は、残留Aliquatであることがわかり、
1H−NMF分析で1.5と0.5ppmの間で典型的な脂肪族ピークを示し;2番目のドット(R
f=0.42)は、目標アジド化合物であることがわかった。次いで、CH
2Cl
2溶液を、溶離液としてn−ヘキサン(カラムの4倍容量)を用いて、h=15cmおよび直径=1.5cmを有するシリカカラムを通してクロマトグラフィーにかけた。合わせた有機溶出画分をMgSO
4上で乾燥させ、次いで、ろ過した。溶媒を真空下(760から25mmHg)30℃で除去後、刺激臭を有する浅黄色の油を得た。
単離収率=94.7モル%。
選択性=100%。
密度=1.730g/ml。
aCH
2=
bCH
cCF
2dCF
2eCF
2fCF
2gCF
2hCF
2iCH
2lCH
2N
3
19F−NMR;(CDCl
3;ppm);c:−112.2;d:−118.8;e:−120.6;f=−121;g:−119.4;g:−112.2。
1H−NMR(CDCl
3;ppm);a:6.0(m);b:5.8(m)。
FT−IR(KBr;cm
−1);2955(−CH
2−st);2107(−N
3st.);1654(CH
2=CH−st.);1255(−C−N−st.);1200〜1140(CFst.)。
【0129】
重合実験
重合実施例4−モノマー(Az2)(5モル%)の存在下でのVDF/TrFEの重合
AISI316スチール製の持ち上げて水平にして開くオートクレーブに、46.2mlの脱塩水を導入した。室温で、米国特許第7122608号明細書(SOLVAY SOLEXIS S.P.A.)2006年10月17日の実施例1に記載されたとおりに得た3.38gのナトリウムベースマイクロエマルション、次いで、0.55gの式CF
2=CFCF
2OCF
2CF
2SO
2N
3のモノマー(Az2)、続いて、シリンダから計量した2.36絶対バールのTrFE、9.07絶対バールのVDFを添加した。次いで、ポンプを用いて、重量で0.1%の濃度で水中に希釈したアンモニウムパーオキシジスルフェート(APS)の270mlの溶液を供給して、重合を開始させた。次いで、温度を70℃の定値温度にさせ、ここで、オートクレーブ中の圧力値は、23.1絶対バールであることがわかった。反応温度を一定に保って、圧力を14.2絶対バールまで降下させた。次いで、反応器を室温で冷却させ、ラテックスを回収し、48時間凍結させ、そのように共凝固させたポリマーを解凍後、脱塩水で洗浄し、80℃で48時間乾燥させた。6.2グラムのポリマーを得、その公称組成は以下のとおりであった:VDF:71.5モル%;TrFE:23.5モル%;モノマー(Az2):5モル%。
【0130】
重合実施例5−モノマー(Az1)(10モル%)の存在下でのVDF/TrFEの重合
モノマー(Az2)に代えて1.1gの式CF
2=CFOCF
2CF
2SO
2N
3のモノマー(Az1)を用いることによる以外は、重合実施例3に詳述したのと同じ手順に従った。最終圧力はほぼゼロであった。9.1グラムのポリマーを得、その公称組成は以下のとおりであった:VDF:67.5モル%;TrFE:21.5モル%;モノマー(Az1):10モル%。
【0131】
重合実施例6−モノマー(Az1)(5モル%)の存在下でのVDF/TrFEの重合
モノマー(Az2)に代えて0.55gの式CF
2=CFOCF
2CF
2SO
2N
3のモノマー(Az1)を用い、定値重合温度を105℃に整定し、圧力が4.2絶対バールに降下するまで重合を続けることによる以外は、重合実施例3におけるのと同様の手順に従った。9.6gのポリマーを得、その公称組成は、以下のとおりであった:VDF:71.5モル%;TrFE:23.5モル%;モノマー(Az1):5モル%。
【0132】
重合実施例7−モノマー(Az3)(10モル%)の存在下でのVDF/TrFEの重合
モノマー(Az1)に代えて1.1gの式CH
2=CH−(CF
2)
6−CH
2CH
2N
3のモノマー(Az3)およびAPS水溶液に代えて2mlの有機開始剤、すなわち、ジtert−ブチルパーオキシド(DTBP)を用いることによる以外は、重合実施例6に詳述したのと同じ手順に従った。105℃の定値温度で、最終圧力は約3.4絶対バールであった。8.3グラムのポリマーを得、その公称組成は、以下のとおりであった:VDF:67.5モル%;TrFE:21.5モル%;モノマー(Az3):10モル%。
【0133】
比較重合実施例8−アジドモノマーの非存在下でのコポリマーVDF−TFE(モノマー比:75/25%/%)の製造
バッフル、および90rpmで作動する撹拌機を備えたAISI316スチール水平オートクレーブに、14lの脱塩水を導入した。次いで、温度を120℃の反応温度にさせ、この温度に達したとき、米国特許第7122608号明細書(SOLVAY SOLEXIS S.P.A.)2006年10月17日の実施例1に記載されたとおりに調製した135gのナトリウムベースマイクロエマルション、7.35絶対バールのフッ化ビニリデンを導入した。コンプレッサによって、30絶対バールの圧力に達するまで、公称モル比75/25のVDF−TFEガス混合物を添加した。オートクレーブ頭部に存在するガス混合物の組成を、G.C.により分析した。反応が開始する前に、気相が、81.7モル%のVDF、18.3モル%のTrFEからなることがわかった。次いで、計量により、69ccの純ジ−tert−ブチルパーオキシド(DTBP)を供給した。上述のモノマー混合物を供給することによって、重合圧を一定に維持し;混合物の2%を供給したとき、温度を105℃に低下させ;4000gのモノマー混合物を供給したとき、供給を中断し、圧力は温度定値で15絶対バールに降下した。次いで、反応器を室温で冷却し、ラテックスを回収し、48時間凍結することによって凝固させた。ポリマーを最終的に脱塩水で洗浄し、100℃で36時間乾燥させた。
【0134】
実施例4〜実施例8Cのポリマーの特徴付け
実施例4〜8Cから得たポリマーを、ASTM D3418に従うDSC分析、および分子量決定のためにゲル透過クロマトグラフィーにかけた。結果を以下の表に詳述する。
【0135】
【0136】
実施例4、5、7および8Cのポリマーを用いるフィルムおよびその架橋の製造
A)スピンコーティング
実施例3〜実施例
8Cに詳述したとおりに得たポリマーの試験片をシクロペンタノンに溶解させ、その結果、40℃の温度で3時間撹拌後、重量で8%の濃度を有する清澄溶液を得た。前記溶液をLaurell WS−650LITE SEEIESスピンコータ中に充填し、ガラス基材上に2000rpmの速度でスピンコーティングして、基材としてのガラス上に非常に薄いポリマー層を得た。そのように得たポリマー層を85℃で2分間乾燥させた。それぞれの実施例について、ガラス上の2つのポリマーフィルムを調製した。スピンコーティング法により得たすべての試料は、すべて均一であり、完全に透明であり、Filmetrics F20単位で測定して、150〜180nmの厚さ範囲であった。
【0137】
B)架橋:
上に詳述したとおりに得たポリマーフィルムを、熱処理またはUV処理のいずれかによって、架橋手順にかけた。熱処理は、フィルムの試料を通風オーブン中約120〜135℃の温度で維持することにあった。UV処理の場合、UVランプに基づき、試料を搬送する移動ベルトを備えた半自動クロスリンカー装置に、フィルム試料を通した。手順を繰り返して、UV曝露下で以下に詳述する滞留時間を得た。試料が架橋したかどうかを証明するために、純アセトンを上で処理後のフィルム上に注いだ;このような条件における不溶性を、適切な架橋の明らかな証拠であるとみなした。結果を以下の表に要約する。
【0138】
【0139】
以上の表は、本発明によるポリマー(F)が熱処理またはUV処理のいずれかの作用下で架橋に有効であることを十分に実証する。対照的に、タイプ(Az)の繰り返し単位を含まないVDF−TrFEポリマーは、同様の架橋を行わない。
【0140】
P−Eヒステリシスループによる強誘電特性の決定
4cm×4cmの寸法を有する試験片を、実施例4および実施例6のポリマーから上に詳述したとおりに得たスピンコーティングしたフィルムから切断した。銀層を、7cm
2の総電極面積を有するように前記試験片上に堆積させ、良好な導電率を得た。試験前に、それぞれの試料を硬化させ、次いで、130℃の温度で2時間アニールして、ポリマー結晶化度を増加させた。P−Eヒステリシス曲線は、±3.5%の精度で、二極ドライブによる150v/ミクロンの印加実効電圧を用いて、Ferroelectric Radiant Equipment(Precision II)によって記録した。記録したヒステリシス曲線のプロットは
図1で与えるとともに、以下の表3は、いくつかの重要データを要約する。
【0141】
【0142】
以上の表は、本発明のVDF−TrFEコポリマーが、ビニル型アジドモノマー(Az1)またはアリル型アジドモノマー(Az2)を組み込む場合、卓越した強誘電特性を与える能力を十分に実証する。
【0143】
調製実施例9−N
3SO
2CF
2CF
2−O−C
4F
8−O−CF
2CF
2SO
2N
3[アジド剤(Cz1)]の合成
ジスルホニルフルオリド前駆体を、F
2の存在下でCF
2=CFOCF
2CF
2SO
2F(VEFS)のラジカル二量化によって得;未加工前駆体の
19F−NMFにより決定してモル組成は、(FSO
2CF
2CF
2OCF(CF
3))
2FSO
2CF
2CF
2OCF(CF
3)CF
2CF
2OCF
2CF
2SO
2Fの合計に対してFSO
2CF
2CF
2O(CF
2)
4OCF
2CF
2SO
2Fの70/30モル/モル混合物に相当することがわかった。水で冷却される凝縮器、磁気式撹拌、温度計および滴下漏斗を備えたガラス製丸底フラスコに、1.27g(19.56ミリモル)のNaN
3および14mlのCH
3OHを導入した。次いで、この乳白色混合物を氷浴で3℃で冷却し;この定値温度に冷却後、5.00g(8.36ミリモル=16.7ミリ当量)の上述のジスルホニルフルオリドを約17分間滴下した。この添加の間、発熱反応が約10℃の温度上昇を引き起こし、温度は3℃から約13℃に上昇した。温度を3℃に戻した後、混合物をこのような温度で撹拌下(750rpm)60分間維持した。次いで、温度を60分間で室温(20℃)に加温させ、さらに、このような温度で撹拌下さらに15時間維持した。反応の最後に、混合物を75mlの蒸留水で洗浄した。わずかに乳白色の無色の油が、直ちに沈殿し、これを、PTFE膜(0.2μm)を通してろ過して、完全に清澄で、無色の油を得た。
−SO
2F基の転化率:99モル%
収率=60モル%
選択性=100%
異性体モル比(直鎖/分岐):75.5/24.5
密度=1.68g/ml
N
3SO
2aCF
2bCF
2O
bCF
2cCF
2cCF
2bCF
2O
bCF
2aCF
2SO
2N
3;N
3SO
2aCF
2bCF
2O
dCF(
eCF
3)
cCF
2bCF
2O
bCF
2aCF
2SO
2N
3;
19F−NMR;(CDCl
3;ppm);a:−111(m)e−114(m);b:−75(m);c:−121(m);d:−139(m);e:−80(m)
FT−IR(KBr;cm
−1):2283e2155(−N
3st.);1460e1422(−SO
2−N
3st.);1200〜1140(CFst.)。
【0144】
調製実施例10−N
3CH
2CH
2(CF
2)
6CH
2CH
2N
3[アジド剤(Cz2)]の合成
ジテルブチルパーオキシド(DTBP)の存在下でヨウ素(I
2)とのテトラフルオロエチレン(C
2F
4)短鎖重合、I(CF
2)
6I留分の分離によって、ジヨウ化前駆体を製造した。次いで、180℃の温度で50気圧のC
2H
4圧下に、エチレン付加をエチレンによって行い、その結果、98.5%を超える選択性を有して対応する式ICH
2CH
2(CF
2)
6CH
2CH
2Iの付加生成物を得た。1.5モル%未満のテロマーが、オリゴマーI(C
2H
4)
2(CF
2)
6CH
2CH
2Iを生じさせた。−N
3基の導入について、文献(KARIMI ZARCHI,M.A.et al.A mild and clean synthesis of alkyl azides from alkyl halides mediated by poly(4−vinylpyridine)−supported sodium azide under non−aqueous conditions.J.Appl.Polym.Sci.,2011,vol.121,p.1916〜1920;ITO,M.,et al.A simple and conveniente synthesis of alkyl azides under mild conditions.Synthesis.1995、no.4,p.376〜378)に記載された技術と同様の手順に従い;従った手順を以下に詳述する。水で冷却される凝縮器、磁気式撹拌、温度計および滴下漏斗を備えたガラス製丸底フラスコに、11mlの蒸留水に均一に溶解させた2.13g(32.8ミリモル)のNaN
3を導入した。次いで、Aliquat(CH
3−N−[(CH
2)
7CH
3]
3+Cl
−)として市販されている310μlの相間移動触媒も導入し、直ちに水相から分離した。次いで、反応混合物を撹拌下(1000rpm)氷浴によって3℃に冷却し、20mlのジCH
2Cl
2中に希釈した5.00g(8.2ミリモル=16.4ミリ当量)のI−CH
2CH
2−(CF
2)
6−CH
2CH
2−Iを約15分間滴下した。3℃で60分撹拌後、温度を室温(24℃)に90分間で戻させた。次いで、混合物を、24℃および1000rpmで15時間維持した。反応の過程の間に色の変化を認め、添加の最後に、下側有機相(CH
2Cl
2を含む)は、−CH
2I部分の存在のために赤みがかっていたが、反応が進むにつれて、前記相は次第に変色し、無色の発色団である−CH
2N
3の形成のために、浅黄色になった。並行して、上側水相は、次第に無色(NaN
3)から黄色/橙色(NaI)に変化することがわかった。下側有機相を回収し、MgSO
4上で乾燥させ;次いで、ろ過後、CH
2Cl
2を蒸発させた。ろう様白色固体をこのようにして得、微量の残留Aliquatを含有した。したがって、この固体をCH
2Cl
2に再溶解させ、4容量のCH
2Cl
2を用いてSiO
2カラムで溶出させ、一方でAliquatは、カラム中に取り込まれたまま残った。
転化率=95.2モル%
収率=95モル%
−N
3官能性=1.905(4.8モル%の式−CF
2Iの末端基の存在)
N
3aCH
2bCH
2cCF
2dCF
2eCF
2eCF
2dCF
2cCF
2bCH
2aCH
2N
3
19F−NMR;(CDCl
3;ppm);c:−115;d:−122;e:−124;
1H−NMR(CDCl
3;ppm);a:2.95;b:3.4
FT−IR(KBr;cm
−1):2955(−CH
2−st);2100(−N
3st.);1263(−C−N−st.);1200〜1140(CFst.)。
【0145】
調製実施例11−N
3基で終端したVDF/TrFEオリゴマーの合成[アジド剤(Cz3)]
連鎖移動剤としてC
4F
8I
2を用いて、エマルション重合によって、非常に低い分子量のVDF/TrFEオリゴマーを製造した。DMSOd
6中定量
19F−NMR分析は、オリゴマーについて以下の特性を与えた:Mw=20659g/モル;VDF=86モル%;TrFE=13.7モル%;−CF
2CH
2I=0.2モル%;−CF
2CH
2OH=0.43モル%。連鎖移動剤から得た、非常に不十分な安定を有する式−CH
2CF
2Iの末端基の切断によって、重合の間に高い安定性の式−CF
2CH
2Iの末端基を得た。これらは、NaN
3による求核置換に対する反応性部位であるはずであった基である。式−CF
2CH
2OHの末端基を、式−CF
2CH
2Iの末端基の加水分解から得、これは、ラジカル開始剤APSの存在下で水相中での重合の間に生じた。水で冷却される凝縮器、磁気式撹拌、温度計および滴下漏斗を備えたガラス製丸底フラスコに、70mlのDMSOに溶解させた粉末形態の9.24g(0.894μモル、Mw=20659を考慮して)の上述のオリゴマーを導入し、したがって、6.37mMのポリマー溶液、および式−CF
2CH
2Iの反応性基の12.8μM溶液を得た。次いで、大過剰のNaN
3(90mg=1.38ミリモル=1543ミリ当量)を20℃で10分間添加し、この溶液を45℃で加熱した。溶液は、約2時間以内でNaIの形成のために、暗赤色になった。5時間の総反応時間を得るまで、反応をさらに3時間続行させた。反応の最後に、この溶液を500mlの蒸留水に注ぎ入れることによって、アジド基を含むオリゴマーを沈殿させた。オリゴマーを繊維状かつゴム状固体として回収し;それを、ブフナー漏斗の上のセルロースフィルター上で約2リットルの蒸留水、次いで、2回分(各300ml)のCH
2Cl
2ですすぎ洗いして、オリゴマー中に吸着されたかまたはそれを膨潤させる残留DMSOを抽出した。最後に、オリゴマーをオーブン中減圧(10mmHg)下に50℃で乾燥させた。分析は以下の結果をもたらした:
Mwアジドオリゴマー=20650g/mol;収率=ポリマーの初期重量に対して64重量%;アセトン溶解性:20℃で完全;FT−IR(DMSO;cm
−1):2115(−N
3st.)。
【0146】
ビス−アジド架橋剤(Cz1)、(Cz2)および(Cz3)と組み合わせて実施例6および実施例8Cのポリマーを用いるフィルムおよびその架橋の製造
同じシクロペンタノン溶液中ビス−アジド架橋剤(Cz1)、(Cz2)および(Cz3)と組み合わせてポリマー4およびポリマー8Cを用いる以外は、上に詳述したとおりのと同じ手順に従った。結果を、以下の表4および表5に与える。
【0147】
【0148】
【0149】
上記の表は、本発明によるポリマー(F)が、熱処理またはUV処理のいずれかの作用下でビス−アジドタイプ(Cz)の硬化剤と組み合わせた架橋に有効であることを十分に実証する。対照的に、タイプ(Az)の繰り返し単位を含まないVDF−TrFEポリマーは、ビス−アジド硬化剤(Cz)と組み合わせてさえも、同様の架橋を行わない。