特許第6196997号(P6196997)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6196997
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20170904BHJP
【FI】
   A63F7/02 304Z
   A63F7/02 326Z
【請求項の数】2
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-104935(P2015-104935)
(22)【出願日】2015年5月22日
(65)【公開番号】特開2016-214695(P2016-214695A)
(43)【公開日】2016年12月22日
【審査請求日】2016年5月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135210
【氏名又は名称】株式会社ニューギン
(74)【代理人】
【識別番号】100104514
【弁理士】
【氏名又は名称】森 泰比古
(72)【発明者】
【氏名】塚本 匠
(72)【発明者】
【氏名】高津 巨樹
(72)【発明者】
【氏名】太田 光紀
【審査官】 秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−109187(JP,A)
【文献】 特開平07−192797(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的な接続部の少なくとも一部を、挿抜可能な雌雄一対のコネクタを係合させたコネクタ接続部とした遊技機であって、以下の構成を備えていることを特徴とする遊技機。
(1A)前記雌雄一対のコネクタには、各ハウジング内に所定方向に並ぶ様にそれぞれ複数個の端子が備えられると共に、当該複数個の端子に隣接する様にそれぞれ複数個の溝又は空所が備えられ、対応する端子同士を、前記溝又は空所内において前記端子が並ぶ方向に接触させることにより、前記電気的な接続部を形成する様に構成されていること。
(1B)前記雌雄一対のコネクタの内のメス側コネクタのハウジングは、前記複数個の端子の並んだ方向に沿う方の壁面の少なくとも一方が取り去られるか若しくは当該メス側コネクタに備えられた端子の高さよりも低くされていること。
(1C)前記雌雄一対のコネクタには、オス側コネクタを前記メス側コネクタに挿入して互いに係合し合わせた状態において、前記端子が並ぶ方向に沿った所定の回動中心軸の周りに相対的な回動が可能な状態を形成する様に係合する回動軸部と軸受け部とが備えられていること
2A)前記回動軸部と前記軸受け部とが係合することによって前記回動中心がコネクタ挿抜方向と直交する方向に形成されること。
(2B)前記雌雄一対のコネクタの一方のコネクタのハウジングの所定位置に突起部が形成され、前記雌雄一対のコネクタを係合させるとき、前記突起部を前記コネクタ挿抜方向に沿ってガイドするガイド溝部が他方のコネクタのハウジングの所定位置に形成されていること
3A)前記ガイド溝部は、前記雌雄一対のコネクタを係合させるとき、前記突起部の侵入方向を、第1の深さまでは前記コネクタ挿抜方向に規制し、前記第1の深さを越えたら前記コネクタ挿抜方向には規制しない様に形成されていること。
(3B)前記突起部は、前記雌雄一対のコネクタを係合させるとき、当該突起部の侵入方向を、前記第1の深さまでは前記ガイド溝部によって前記コネクタ挿抜方向に規制され、前記第1の深さを越えたら前記ガイド溝部によって前記コネクタ挿抜方向には規制されない様に形成されていること。
(3C)前記雌雄一対のコネクタは、前記第1の深さを越えて挿入し合うことによって、前記回動軸部と軸受け部とを係合し合う様に構成されていること。
【請求項2】
電気的な接続部の少なくとも一部を、挿抜可能な雌雄一対のコネクタを係合させたコネクタ接続部とした遊技機であって、以下の構成を備えていることを特徴とする遊技機。
(1A)前記雌雄一対のコネクタには、各ハウジング内に所定方向に並ぶ様にそれぞれ複数個の端子が備えられると共に、当該複数個の端子に隣接する様にそれぞれ複数個の溝又は空所が備えられ、対応する端子同士を、前記溝又は空所内において前記端子が並ぶ方向に接触させることにより、前記電気的な接続部を形成する様に構成されていること。
(1B)前記雌雄一対のコネクタの内のメス側コネクタのハウジングは、前記複数個の端子の並んだ方向に沿う方の壁面の少なくとも一方が取り去られるか若しくは当該メス側コネクタに備えられた端子の高さよりも低くされていること。
(1C)前記雌雄一対のコネクタには、オス側コネクタを前記メス側コネクタに挿入して互いに係合し合わせた状態において、前記端子が並ぶ方向に沿った所定の回動中心軸の周りに相対的な回動が可能な状態を形成する様に係合する回動軸部と軸受け部とが備えられていること
2A)前記回動軸部と前記軸受け部とが係合することによって前記回動中心がコネクタ挿抜方向と直交する方向に形成されること。
(2B)前記雌雄一対のコネクタの一方のコネクタのハウジングの所定位置に突起部が形成され、前記雌雄一対のコネクタを係合させるとき、前記突起部を前記コネクタ挿抜方向に沿ってガイドするガイド溝部が他方のコネクタのハウジングの所定位置に形成されていること
4A)前記雌雄一対のコネクタは、メス側コネクタのハウジングが、前記回動中心軸と直交する側の壁面を該回動中心軸の両端側に備えると共に、前記回動中心軸と平行な壁面は該回動中心軸を挟んだ一方側にだけ備えた三方閉鎖型のボックス状に構成されていること。
(4B)前記ガイド溝部は前記メス側コネクタのハウジング内面に、前記三方閉鎖型のボックス状に構成された前記メス側コネクタのハウジングの壁面が開放された側から奥へと拡大する様に形成されていること。
(4C)前記突起部は、オス側コネクタのハウジングの外面に、前記回動中心軸の両端方向へと突出する様に形成されていること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機、スロットマシンなどの遊技機に係り、信号ラインや電源ラインなどの接続の少なくとも一部に雌雄一対のコネクタを採用した遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パチンコ機やスロットマシンなどの遊技機において、基板側に実装されたコネクタに対し、図14(A)に示す様に、ハーネス付きコネクタを基板に垂直な方向から挿抜する構成としたもの(特許文献1)、図14(B)に示す様に、基板に平行な方向から挿抜する構成としたもの(特許文献2)がある。
【0003】
また、図14(C)に示す様に、遊技盤側に取り付けた中継基板と機構板側に取り付けた制御基板との電気的な接続にあたり、開閉時の回動中心に近い位置ではハーネス付きコネクタ同士を直接接続したままとし、回動中心から離れた位置においては開閉動作によって挿抜が行われる様に遊技盤取付枠と機構板の対応位置に雌雄一対のコネクタを埋設したパチンコ機(特許文献3)や、図14(D)に示す様に、メインユニット側の接続基板とマシン本体側の接続基板に雌雄一対のコネクタを設けてメインユニットの脱着時にコネクタの挿抜が行われる様にしたスロットマシン(特許文献4)も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−36319号公報(図3図4
【特許文献2】特開2004−167151号公報(図4
【特許文献3】実公平6−41577号公報(図1
【特許文献4】特開2003−310833号公報(図5
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献2の様に、基板に平行にコネクタを挿抜する構成を採用した場合は作業性が悪くなるという問題がある。一方、特許文献1の様に、基板に垂直にコネクタを挿抜する構成を採用すれば作業性は向上するがハーネスの取り廻しのスペースが必要であったり、取り廻しの際に折れ曲がりが生じて断線の原因となるおそれがあったりする。また、特許文献3,4の様に互いに固定されているコネクタ同士を接合する構成においては、コネクタの位置や角度等の取付精度を高くしておかないと挿抜し難かったり、端子に損傷を与えたりする可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は、信号ラインや電源ラインなどの接続の少なくとも一部に雌雄のコネクタを採用した遊技機において、端子やハーネスの損傷を抑制しつつコネクタ挿抜時の作業性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためになされた本発明の遊技機は、電気的な接続部の少なくとも一部を、挿抜可能な雌雄一対のコネクタを係合させるコネクタ接続部とした遊技機であって、以下の構成を備えていることを特徴とする。
(1A)前記雌雄一対のコネクタには、各ハウジング内に所定方向に並ぶ様にそれぞれ複数個の端子が備えられると共に、当該複数個の端子に隣接する様にそれぞれ複数個の溝又は空所が備えられ、対応する端子同士を、前記溝又は空所内において前記端子が並ぶ方向に接触させることにより、前記電気的な接続部を形成する様に構成されていること。
(1B)前記雌雄一対のコネクタの内のメス側コネクタのハウジングは、前記複数個の端子の並んだ方向に沿う方の壁面の少なくとも一方が取り去られるか若しくは当該メス側コネクタに備えられた端子の高さよりも低くされていること。
(1C)前記雌雄一対のコネクタには、前記オス側コネクタをメス側コネクタに挿入して互いに係合し合わせた状態において、前記端子が並ぶ方向に沿った所定の回動中心軸の周りに相対的な回動が可能な状態を形成する様に係合する回動軸部と軸受け部とが備えられていること。
【0008】
本発明の遊技機によれば、メス側コネクタのハウジングが、端子の並んだ方向に沿う方の壁面の少なくとも一方が取り去られるか若しくは当該メス側コネクタに備えられた端子の高さよりも低くされると共に、図1(A)に例示する様に、オス側コネクタC2をメス側コネクタC1に挿入して互いに係合し合わせたときに回動軸部J1と軸受け部J2とが係合し、端子が並ぶ方向に沿った所定の回動中心軸Jを形成し、メス側コネクタC1とオス側コネクタC2とを相対的な回動が可能な状態とする。このとき、雌雄一対のコネクタは、ハウジング内に所定方向に並ぶ様に備えられた複数個の端子に隣接する様に複数個の溝又は空所を備え、対応する端子同士を、溝又は空所内において端子が並ぶ方向に接触させることにより電気的な接続部を形成するから、電気的な接続を維持しつつ、メス側ハウジングにおいて壁面が取り去られるか低くされた方向へと回動させることができる。
【0009】
この結果、雌雄一対のコネクタを所定の挿抜方向に沿って挿入し合って係合させた後、一方のコネクタを基準にして他方のコネクタを倒すことにより、例えば、基板に実装されたコネクタに対して他方のコネクタを基板に平行な横向きに取り付ける場合の作業性等を向上することができる。また、この横向きの取り付けが容易に実行できる結果、図1(B)に例示する様に、コネクタC1に対して横向きとしたコネクタC2から延びるハーネスHは、コネクタ近傍で屈曲させなくてもよく、ハーネス設置のためのスペースを小さくすることができる。雌雄一対のコネクタC1,C2を抜き取る場合には、回動によって倒した方のコネクタC2をコネクタ挿抜方向に向くように回動してから抜き取ればよい。これにより、コネクタの挿抜時の作業性を向上させ、端子やハーネスの損傷を抑制することができる。
【0010】
なお、最終的な基板組み付け状態において基板同士が直交する状態となる様な場合の基板同士の電気的な接続部に対して本発明を適用することもできる。この場合、図1(C)に例示する様に、両方のコネクタC1,C2が基板K1,K2に実装されていて、コネクタ同士を係合させた後に基板K2ごと相対的な回動を行わせ、互いに直交した配置となる様な基板の組み付け方を行うことができ、コネクタ係合作業の作業性を向上させ、端子の損傷を抑制し、基板組み付けスペースを小さくするといった作用・効果が発揮されることとなる。かかる部分に用いる場合に、図1(D)に例示する様に、一方のコネクタC1が基板K1に直接実装され、他方のコネクタC2は基板K2に実装されたハーネスH2の先端に取り付けられている様な場合であれば、コネクタ同士を係合させた後に基板同士を回動させ、ハーネスを相手側の基板に沿った状態とする構成であってもよい。この場合、ハーネスの長さを必要最小限にしても作業性を損なうことなく基板間の電気的な接続を実行することができる。
【0011】
また、ハーネス同士の電気的な接続部において本発明を適用してもよい。この場合、図1(E)に例示する様に、係合させたコネクタC1,C2の回動によってハーネスH1,H2を屈曲させることなく、直交方向へとハーネスを配置することができる。
【0012】
ここで、本発明の遊技機は、さらに、以下の構成をも備えるとよい。
(2A)前記回動軸部と前記軸受け部とが係合することによって前記回動中心軸がコネクタ挿抜方向と直交する方向に形成されること。
(2B)前記雌雄一対のコネクタの一方のコネクタのハウジングの所定位置に突起部が形成され、前記雌雄一対のコネクタを係合させるとき、前記突起部を前記コネクタ挿抜方向に沿ってガイドするガイド溝部が他方のコネクタのハウジングの所定位置に形成されていること。
【0013】
かかる構成をも備える遊技機によれば、ガイド溝部によって突起部をコネクタ挿抜方向にガイドすることにより、雌雄一対のコネクタを係合させるときに挿抜方向を安定させる。この結果、回動可能としたことによって挿抜方向が狂い易いといった新たな問題をも解消することができ、一層の作業性向上、それに伴う端子等の損傷の抑制といった作用・効果がより顕著に発揮される。
【0014】
また、ガイド溝部と突起部とを有する本発明の遊技機は、さらに、以下の構成をも備えるとよい。
(3A)前記ガイド溝部は、前記雌雄一対のコネクタを係合させるとき、前記突起部の侵入方向を、第1の深さまでは前記コネクタ挿抜方向に規制し、前記第1の深さを越えたら前記コネクタ挿抜方向には規制しない様に形成されていること。
(3B)前記突起部は、前記雌雄一対のコネクタを係合させるとき、当該突起部の侵入方向を、前記第1の深さまでは前記ガイド溝部によって前記コネクタ挿抜方向に規制され、前記第1の深さを越えたら前記ガイド溝部によって前記コネクタ挿抜方向には規制されない様に形成されていること。
(3C)前記雌雄一対のコネクタは、前記第1の深さを越えて挿入し合うことによって、前記回動軸部と前記軸受け部とを係合し合う様に構成されていること。
【0015】
かかる構成をも備える遊技機によれば、雌雄一対のコネクタを係合させるとき、第1の深さまでは、突起部はガイド溝部によって侵入方向をコネクタ挿抜方向に規制され、これにより、的確な方向に係合を開始する。第1の深さを越えたらこのガイド溝部による侵入方向の規制がなくなる。そして、回動軸部と軸受け部とは、第1の深さを越えて挿入し合うことによって係合し、両コネクタを相対的に回動可能な状態とする。上述の様に、このときは突起部はガイド溝部による規制がなされない位置まで侵入しているから、ガイド溝部に邪魔されることなく相対的な回動を行うことができる。
【0016】
さらに、この第1の深さを基準とした突起部の挿入方向の規制を行う構成を有する本発明の遊技機は、さらに、以下の構成をも備えるとよい。
(3D)前記ガイド溝部は、前記第1の深さまでの部分が前記突起部の幅とほぼ同一の細幅部とされ、前記第1の深さを越える部分は前記回動中心軸周りの相対的な回動を行ったときに前記突起部を逃がす方向に広がる拡大部とされた一連の溝として形成されていること。
【0017】
かかる構成をも備えることにより、第1の深さを越えて係合させた後に両コネクタを相対的に回動すると、突起部はガイド溝部の拡大部に入り込み、相対的に回動された状態ではコネクタ挿抜方向へ抜き取ることができない様にする。また、相対的に回動された状態で、回動させた方のコネクタを回動後の端子の向きに沿って引っ張られたとしても、ガイド溝部が細幅部と拡大部を一連とした構成となっているから、突起部が当該引っ張られた方向に移動したとしてもガイド溝部から抜け出すことはない。この結果、両コネクタを係合させてから回動させることにより、自然に、係合を離脱できないロックされた状態を構成することができる。このロックされた状態は、回動状態を元に戻すことにより、突起部をガイド溝部の細溝部の延長上に位置させることにより解除され、コネクタ挿抜方向へと抜き取ることが可能になる。よって、抜き取り作業に支障を来すこともない。
【0018】
また、ガイド溝部と突起部とを有する本発明の遊技機は、さらに、以下の構成をも備えるとよい。
(4A)前記雌雄一対のコネクタは、メス側コネクタのハウジングが、前記回動中心軸と直交する側の壁面を該回動中心軸の両端側に備えると共に、前記回動中心軸と平行な壁面は該回動中心軸を挟んだ一方側にだけ備えた三方閉鎖型のボックス状に構成されていること。
(4B)前記ガイド溝部は前記メス側コネクタのハウジング内面に、前記三方閉鎖型のボックス状に構成された前記メス側コネクタのハウジングの壁面が開放された側から奥へと拡大する様に形成されていること。
(4C)前記突起部は、オス側コネクタのハウジングの外面に、前記回動中心軸の両端方向へと突出する様に形成されていること。
【0019】
かかる構成をも備えることにより、オス側コネクタをメス側コネクタに対して90度回動した状態とすることができ、90度回動した状態において、上述したロック状態を的確に形成することができる。
【0020】
なお、この(4A)〜(4C)の構成をも備えた本発明の遊技機は、さらに、以下の構成をも備えることができる。
(5)前記雌雄一対のコネクタの内の一方のコネクタが基板の背面側に実装され、他方のコネクタは、前記三方閉鎖型のボックス状に構成された前記メス側コネクタのハウジングの壁面が開放された側から前記基板の正面側に取り廻す様に延ばされたハーネスを備えていること。
【0021】
オス側コネクタをメス側コネクタに対して端子の延びる方向から挿入する様に係合させた後に90度回動させてメス側コネクタが実装されている基板の背面に平行な方向にハーネスを延ばした状態とすることにより、ハーネスを背面側に大きく飛び出る様に屈曲させることなく基板の正面側へと取り廻すことができ、スペースの抑制とハーネスの損傷抑制とを的確に実現することができる。
【0022】
この場合、本発明の遊技機は、さらに、以下の構成をも備えることができる。
(6)前記基板は遊技盤の背面側に取り付けられる裏ユニットに設置され、前記ハーネスは、前記裏ユニットの正面側に備えられる遊技機構成部品に対して接続されていること。
【0023】
かかる構成をも備えることにより、コネクタ挿抜作業を作業スペースを十分に確保可能な裏ユニットの背面側で容易に実行することができ、こうして接続したコネクタから裏ユニットの正面側の遊技機構成部品へとハーネスを接続するためにハーネスを極端に屈曲させることなく容易に取り廻すことができる。
【0024】
この場合、本発明の遊技機は、さらに、以下の構成をも備えることができる。
(7)前記遊技機構成部品が電飾部品を備える可動体役物であり、前記ハーネスは、当該可動体役物の電飾部品が実装されたLED基板に対して接続されていること。
【0025】
かかる構成をも備えることにより、可動体役物が動作してハーネスが引っ張られたり戻されたりするとき、基板の背面で接続したコネクタ同士が相対的な回動が可能な状態で係合されているから、ハーネスに加わる引っ張ったり戻したり力をコネクタの回動によって逃がすことができる。
【0026】
なお、ガイド溝部と突起部とを有する本発明の遊技機は、さらに、以下の構成をも備えるとよい。
(8)前記ガイド溝部には、前記雌雄一対のコネクタを係合させ始めるときに前記突起部の侵入方向を前記コネクタ挿抜方向に対して傾かせ得る様に、外に向かって開いた侵入口が備えられていること。
【0027】
かかる構成をも備えることにより、コネクタ同士を差し込み合うとき、ガイド溝部の外開きの侵入口が突起部をガイド溝部へと誘導し、スムーズな差し込み作業をサポートすることができる。
【0028】
同様に、ガイド溝部と突起部とを有する本発明の遊技機は、さらに、以下の構成をも備えるとよい。
(9)前記突起部には、前記雌雄一対のコネクタを係合させ始めるときに前記ガイド溝部に対する侵入方向を前記コネクタ挿抜方向に対して傾かせ得る様に、先細となる先端部が備えられていること。
【0029】
かかる構成をも備えることにより、コネクタ同士を差し込み合うとき、突起部の先細の先端部がガイド溝部への侵入を誘導し、スムーズな差し込み作業をサポートすることができる。なお、ガイド溝部に外開きの侵入口を備えさせ、突起部に先細の先端部を備えさせる場合には、さらに、スムーズな差し込み作業を実現する。
【0030】
これら(8)又は(9)の構成をも有する本発明の遊技機は、さらに、以下の構成をも備えることができる。
(10)前記雌雄一対のコネクタは、接近・離間可能に構成された遊技機構成部品同士の対面する側を互いに当接させたときに電気的な接続を行う様に、各遊技機構成部品同士の対面する面の対応する位置に対となる様に固定されていること。
【0031】
かかる構成を備える遊技機では、接近・離間可能に構成された遊技機構成部品同士を当接させたときの電気的な接続に当たり、上述の様にガイド溝部へと突起部を侵入開始する際の誘導作用が発揮される結果、両構成部品間でのコネクタの取付位置や取付角度に若干のズレがあったとしてもスムーズにコネクタの接合を開始することができる。そして、コネクタ同士が係合した状態での相対的な回動が、こうしたズレを吸収する。両者を離間させて接続を解除するときも、コネクタ同士の相対的な回動が抜き取り開始時の動作を邪魔しない様に作用し、抜き取り作業も容易に実行させる。
【0032】
この場合、本発明の遊技機は、さらに、以下の構成をも備えることができる。
(11)前記接近・離間される遊技機構成部品同士は、上下方向又は左右方向を旋回中心軸とする様に旋回可能に連結されていること。
【0033】
かかる構成を備える遊技機では、旋回によって接近・離間を行う結果、遊技機構成部品同士を接近させる方向へ旋回してコネクタ同士を係合開始させるときのコネクタ同士の若干の傾斜は、ガイド溝部への突起部の侵入の誘導作用によって解消され、最終的に遊技機構成部品同士を当接させたときにコネクタ同士の相対的な回動が的確な接続状態へとコネクタ同士の係合状態を自然に調整する。逆に、離間方向へと旋回して遊技機構成部品同士の電気的な接続を解除するときは、コネクタ同士の相対的な回動が相対的な傾斜状態を許容し、スムーズな接続解除を可能にする。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、信号ラインや電源ラインなどの接続の少なくとも一部に雌雄のコネクタを採用した遊技機において、端子やハーネスの損傷を抑制しつつコネクタ挿抜時の作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の作用等を示し、(A)は雌雄のコネクタを係合させて回動中心軸を形成する様子、(B)はハーネスを備えたオス側コネクタをメス側コネクタに係合させた後に90度回動させる様子、(C)はボード・トゥー・ボード接続後に基板同士を90度回動させる様子、(D)は基板に実装されたメス側コネクタに基板からハーネスを延ばしたオス側コネクタを係合させた後に回動させる様子、(E)はハーネス同士の電気的な接続部に適用する様子、をそれぞれ例示する模式図である。
図2】実施例1のパチンコ機を示し、(A)は斜視図、(B)は正面図、(C)は分解斜視図である。
図3】実施例1のパチンコ機の遊技盤を示し、(A)は可動体待機状態の正面図、(B)は可動体待機状態の裏ユニットの正面図である。
図4】実施例1のパチンコ機の大型装飾体に備えられたLED基板の配置等を示し、(A)は正面図、(B)はa−a断面図、(C)はb−b断面図である。
図5】実施例1のパチンコ機の裏ユニット前面側に備えられたLED基板の配置等を示し、(A)は正面図、(B)はc−c断面図、(C)はd−d断面図である。
図6】実施例1のパチンコ機の可動体に備えられたLED基板の配置等を示し、(A)は正面図、(B)はe−e断面図、(C)はf−f断面図である。
図7】実施例1のパチンコ機のLED基板の接続状態を示し、(A)は裏ユニットの背面図、(B)は裏ユニットLED端子板へのハーネスの接続状態を示す要部拡大図である。
図8】実施例1のパチンコ機において使用するメス側コネクタを示し、(A)は斜視図、(B)は端子の配置を示す断面図、(C)は壁面の内側のガイド溝部を示す断面図である。
図9】実施例1のパチンコ機において使用するオス側コネクタを示し、(A)は一部切断して示す斜視図、(B)は端子の配置を示す断面図、(C)は壁面の外側の突起部を示す側面図である。
図10】実施例1のパチンコ機において雌雄一対のコネクタを挿抜する様子を示し、(A)は斜視図、(B)は挿入開始時の断面図、(C)は挿入向に規制した状態の断面図、(D)は回動中心軸を形成した状態の斜視図である。
図11】実施例1のパチンコ機において雌雄一対のコネクタを挿抜する様子を示し、(A)は回動軸を形成した状態の突起部とガイド溝部との関係を示す断面図、(B)はそのときの端子同士の接続の様子を示す断面図、(C)は回動中における突起部とガイド溝部との関係を示す断面図、(D)はそのときの端子同士の接続の様子を示す断面図、(E)は90度回動した状態における突起部とガイド溝部との関係を示す断面図、(F)はそのときの端子同士の接続の様子を示す断面図である。
図12】実施例2のパチンコ機の正面図である。
図13】実施例2のパチンコ機における中枠と遊技盤の電気的な接続の様子を示し、(A)は要部拡大図を併せて記載した平面図、(B)は接続開始時の断面図、(C)は挿入向に規制した状態の断面図、(D)は接続完了した状態の断面図である。
図14】従来技術の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態として、具体的な実施例を図面に基づき詳細に説明する。
【実施例1】
【0037】
[1 遊技機全体の概要]
実施例1のパチンコ機Pは、図2に示す様に、外枠A、中枠B、遊技盤1、前枠D、上の球受け皿E、下の球受け皿F及び打球発射装置Gを備えている。外枠Aはパチンコ機Pの外郭を構成する縦長方形の枠である。中枠Bは、各種の遊技用構成部材をセットするための縦長方形の枠であって、外枠Aの前面側に開閉可能かつ着脱可能に組み付けられる。遊技盤1は、中枠Bの開口部に取り付けられる。前枠Dは遊技盤1の透視保護窓であって、施錠装置Hの操作によって開閉可能な様に中枠Bの前面側に組み付けられる。上の球受け皿Eは、貸し球や賞球の受け皿で、本実施例においては前枠Dの下部と一体に構成されている。従って、前枠Dを中枠Bに対して開閉するときに上の球受け皿Eも共に開閉される。下の球受け皿Fは、上の球受け皿Eが一杯になったときに排出される遊技球や打ち損じの遊技球等を受ける受け皿であって、中枠Bの下部に固定されている。打球発射装置Gは、上の球受け皿Eから発射レールに送り込まれた遊技球をハンドル操作に対応する強さで打ち出すための装置であって、中枠Bの右下部に装備される。
【0038】
中枠Bは、上縁をなす上枠部材B1と、下縁をなし打球発射装置G等が設置された下枠部材B2と、左側縁をなす左枠部材B3と、右側縁をなす右枠部材B4とから構成されて、これら上下左右の枠部材B1〜B4を組み付けた際に、全体が外枠Aの開口に整合する矩形枠状に形成される。そして、上下左右の枠部材B1〜B4を組み付けた際に開口する開口部分が、遊技盤1を設置する遊技盤保持部B5として機能する。ここで、中枠Bは、外枠Aの左上端部及び左下端部に設けられた支軸を介して枢支され、左側端部を中心として中枠Bを回転させることで外枠Aに対して中枠Bを開閉し得るようになっている。
【0039】
遊技盤1は、ベニヤ板、透明合成樹脂板などによって形成され、障害釘などが前面側に取り付けられた板部材1aと、この板部材1aの裏面側から取り付けられる裏ユニット3とから構成されている。裏ユニット3には、液晶表示装置LCDをはじめ、電飾装置、可動体役物などが組み付けられる。裏ユニット3は、板部材1aの裏面と液晶表示装置LCDの前面との間で可動体役物が出没等の動作を行うためのスペースを確保できる様に、板部材1aの裏面に取り付けられる。また、可動体等が取り付けられるセンター役物5が、板部材1aの中央開口1bを取り囲み、液晶表示装置LCDの視認領域を形成する。
【0040】
遊技盤1について説明すると、図3(A)に示す様に、センター役物5は、障害釘11や風車12が植設された遊技領域10の中央に位置する様に取り付けられ、センター役物5の中央直下に始動入賞装置7が備えられる。また、この始動入賞装置7の右斜め下方に大入賞口15が設置され、センター役物5の右上から右下にかけての部分には、右打ち通路20が備えられた構成となっている。遊技盤1には、この他、誘導レール17、普通入賞口18,18,…、アウト口19等も設置されている。
【0041】
センター役物5は、大型装飾体31、ステージ32、ワープ通路33を備えるリング状を呈している。右打ち通路20は、遊技球を整列させながら流下させる通路幅に構成され、その下方に広がる右側遊技領域40へと遊技球を放出する。右側遊技領域40には、ゲート37が備えられると共に、第2始動入賞装置27及び普通入賞口18が設置されている。この第2始動入賞装置27は、ゲート37を遊技球が通過したことを契機に実行される普通図柄抽選結果に基づいて開閉動作される電動式チューリップを備えている。本実施例においては、大入賞口15も右側遊技領域40に位置させ、右打ち通路20を経由させて入賞させる大当たり遊技の方式を採用している。また、大当たり遊技終了後に確変や変短が付与された場合には、ゲート37の通過による普通図柄抽選の当選確率を「ほぼ0%の状態」から「ほぼ100%の状態」へと変更し、大当たり後も所定期間に渡って右打ち遊技を楽しませる構成も採用している。
【0042】
[2 可動体の概要]
また、図3(B)に示す様に、裏ユニット3の前面側には、演出用の上部可動体110、左可動体120、右下可動体130、右上可動体140が組み付けられている。これら各可動体110〜140は、図3(A)に示す様に、動作を行う前の待機位置においては大型装飾体31と一体化している。そして、各可動体110〜140は、図3(B)に矢印で示す様に、待機位置と動作位置との間を回動動作する。
【0043】
[3 発光演出部材の概要]
また、本実施例のパチンコ機Pには、図4図6に示す様に、LEDを用いた発光演出を行うためのLED基板が備えられている。
【0044】
図4(A)〜(C)に示す様に、大型装飾体31には、複数のLED基板501〜507が備えられ、それぞれ、裏面側の接続部501a〜507aから延ばされるハーネス501h〜507hは、大型装飾体31の内部で取り廻した後、板部材1aの所定位置に形成した配線孔1h1,1h2、及び裏ユニット3の所定位置に形成した配線孔3h1,3h2を通して、裏ユニット3の裏面側まで取り廻す様に配線される。
【0045】
図5(A)〜(C)に示す様に、裏ユニット3の前面側にも複数のLED基板511〜516が取り付けられ、それぞれ、裏面側の接続部511a〜516aから延ばされるハーネス511h〜516hは、裏ユニット3の所定位置に形成した配線孔3h3,3h4を通して、裏ユニット3の裏面側まで取り廻す様に配線される。
【0046】
また、図6(A)〜(C)に示す様に、各可動体110〜130の内部にも、LED基板521−1,521−2、522、523が設置され、それぞれの裏面側の接続部521a1,521a2,522a,523aから延ばされるハーネス521h1,521h2,522h,523hは、可動体110〜130の内部を取り廻され、裏ユニット3の各可動体110〜130の回動中心付近に形成された配線孔3h21〜3h23を通して、裏ユニット3の裏面側まで取り廻す様に配線される。これらハーネス521h1,521h2,522h,523hは、可動体110〜130の回動動作に追従し得る様に、長さに余裕を持たせて配線される。なお、上部可動体110の回動中心部の裏面には、ハーネス521h1とハーネス521h2を分けて引き出すことができる様に、円弧状開口521c1,521c2を有する裏蓋が装着さえている。
【0047】
裏ユニット3の裏面には、図7(A)に示す様に、遊技盤入出力信号中継端子板51、電源中継基板52、ランプ中継信号基板53、裏ユニットLED中継端子板54が取り付けられている。大型装飾体内部に収納されたLED基板501〜507、可動体の裏側位置に設置されたLED基板511〜516、及び可動体内部に収納されたLED基板521−1,21−2,522,523から延ばされたハーネス501h〜507h,511h〜516h,521h1,521h2,522h,523hは、図7(B)に示す様に、裏ユニットLED中継端子板54備えられたコネクタC501〜C506,C511〜C516,C521〜C524に接続される。
【0048】
[4 コネクタの概要]
裏ユニットLED中継端子板54備えられたコネクタC501〜C506,C511〜C516,C521〜C524は、図8に示す様に、いずれもメス側コネクタFCとされている。そして、このメス側コネクタFCに対して係合させるハーネス側のコネクタは、図9に示す様に、オス側コネクタMCとされている。そして、これら雌雄一対のコネクタは、図10図11に示す様に、メス側コネクタFCに形成された回動軸部FC1と、オス側コネクタMCに形成された軸受け部MC1とを係合させて電気的な接続状態を保持したままで最大90度回動可能に構成されている。
【0049】
メス側コネクタFCは、図8(A)に示す様に、ハウジングFC2内に幅方向に並ぶ様に複数個の端子FC3,…,FC4,…が備えられると共に、各端子に隣接する様に空所FC5,…が備えられている。これら端子FC3,FC4は、金属板からの打ち抜き加工によって剛性を有するナイフ状に形成されている。また、図8(B)に示す様に、前側の端子FC3が後側の端子FC4よりも高さが低くなる様に、前後で高さを異ならせた設計とされている。
【0050】
オス側コネクタMCは、図9(A),(B)に示す様に、ハウジングMC2内に幅方向に並ぶ様に複数個の端子MC3,…,MC4,…が備えられると共に、各端子に隣接する様に溝MC5,…が備えられている。これら端子MC3,MC4は、コネクタ係合時にメス側の端子FC3,FC4の両側面を挟む様に接触する接点MC3a,MC4aを内側に突設させる様に金属板を打ち抜き加工した後、U字状に折り曲げ加工してバネ状に形成されている。また、図9(B)に示す様に、前側の端子MC3が後側の端子MC4よりも深さが浅くなる様に、前後で深さを異ならせた設計とされている。
【0051】
メス側コネクタFCのハウジングFC2は、 図8(A),図10(A)に示す様に、端子FC3,FC4の並んだ方向に沿う背面側と、その左右両端に壁面FC6〜FC8を備え、前面側には壁面を備えない三方閉鎖型のボックス状に構成されている。前述の回動軸部FC1は、左右の壁面FC7,FC8の外面側から突設された円柱状の突起部によって構成されている。なお、本実施例においては、図7(B)に示す様に、メス側コネクタFCは、裏ユニットLED中継端子板54に対して、背面が基板中心側となり、壁のない前面が基板の外側に向く様に実装されている。
【0052】
一方、オス側コネクタMCのハウジングMC2は、 図9(A),図10(A),(C)に示す様に、ボックス状本体の左右の壁面MC7,MC8の外面側の高さ方向中程から突設された水平プレートMC7a,MC8aの端部に形成された垂直プレートMC7b,MC8bの下端に形成された下向き開口の半円形凹部によって軸受け部MC1が形成されている。
【0053】
また、図8(A)〜(C)に示す様に、メス側コネクタFCの左右の壁面FC7,FC8の内面側にはガイド溝部FC10が形成されている。これに対し、図9(A),(C)に示す様に、オス側コネクタMCの左右の壁面MC7,MC8の外面側には突起部MC10が形成されている。
【0054】
メス側コネクタFCに形成されたガイド溝部FC10は、雌雄一対のコネクタを係合させるとき、オス側コネクタMCに形成された突起部MC10の侵入方向を、第1の深さdまではコネクタ挿抜方向に規制し、第1の深さdを越えたらコネクタ挿抜方向には規制しない寸法・形状に形成されている。逆に、オス側コネクタMCに形成された突起部MC10は、雌雄一対のコネクタを係合させるとき、当該突起部MC10の侵入方向を、第1の深さdまではメス側コネクタFCに形成されたガイド溝部FC10によってコネクタ挿抜方向に規制され、第1の深さdを越えたらガイド溝部FC10によってコネクタ挿抜方向には規制されない寸法・形状に形成されている。
【0055】
より具体的には、ガイド溝部FC10は、図8(A)〜(C)に示す様に、第1の深さdまでの部分が突起部MC10の幅とほぼ同一の細幅部FC11とされ、第1の深さdを越える部分は回動中心軸周りの相対的な回動を行ったときに突起部MC10を逃がす方向に広がる拡大部FC12とされた一連の溝として形成されている。また、ガイド溝部FC10には、雌雄一対のコネクタを係合させ始めるときに、突起部MC10の侵入方向をコネクタ挿抜方向に対して傾かせ得る様に、外に向かって開いた侵入口FC13が備えられている。
【0056】
同じくより具体的な突起部MC10は、図9(A),(C)に示す様に、軸受け部MC1を突設する水平プレートの下側にだけ形成され、ガイド溝部FC10の細幅部FC11に侵入可能な幅及び厚さを有する中央部MC11と、中央部MC11よりも厚さが徐々に減少させられた上部MC12と、厚さ及び幅共に徐々に減少させられた先細となる先端部MC13とを備えている。
【0057】
[5 コネクタの係合・回動]
次に、雌雄一対のコネクタの係合と回動について、図10図11に基づいて説明する。
【0058】
図10に示す様に、メス側コネクタFCに対し、壁面のない前面側からオス側コネクタMCを挿入する。このとき、メス側コネクタFCのハウジングFC2は三方閉鎖のボックス型とされ、ガイド溝部FC10には外に向かって開いた侵入口FC13が備えられ、オス側コネクタMCの突起部MC10は先細の先端部MC13を備えているから、図10(B)に示す様に、オス側コネクタMCが傾いていても、コネクタ同士を差し込み合うとき、外開きの侵入口FC13が先細の先端部MC13を受け入れ、突起部MC10をガイド溝部MC10へと誘導し、スムーズな差し込み作業をサポートすることができる。
【0059】
その後、図10(D)に示す様に、メス側コネクタFCの回動軸部FC1に対して軸受け部MC1を係合させる位置までオス側コネクタMCを挿入する。このとき、図10(C)に示す様に、ガイド溝部FC10の細幅部FC11が、突起部MC10の中央部MC11をコネクタ挿抜方向に沿ってガイドする。
【0060】
オス側コネクタMCの差し込みが完了すると、図11(A)に示す様に、突起部MC10の中央部MC11は細幅部FC11を通過し、拡大部FC12が広がる第1の深さdよりも深い位置まで侵入する。このとき、図11(B)に示す様に、メス側コネクタFCの端子FC3,FC4は、オス側コネクタMCの端子MC3,FC4によって両側面を挟まれると共に、接点MC3a,MC4aを介して電気的に接続された状態となる。
【0061】
この状態においては、図10(D)に示した様に、メス側コネクタFCの回動軸部FC1とオス側コネクタMCの軸受け部MC1とが係合し、回動中心軸が形成されている。そこで、図11(C),(E)に示す様に、オス側コネクタMCを、前方へ向かって最大90度回動させる操作を容易に実施することができる。この間、図11(D),(F)に示す様に、メス側コネクタFCの端子FC3,FC4は、オス側コネクタMCの端子MC3,FC4によって両側面を挟まれると共に、接点MC3a,MC4aを介して電気的に接続された状態を維持したままで最大90度回動される。
【0062】
この回動操作が始まると、図11(C)に示す様に、突起部MC10はガイド溝部FC10の拡大部FC12へと入り込み、コネクタ挿抜方向へ抜き取ることができない状態となる。この結果、回動された後にオス側コネクタMCが引っ張られても突起部MC10はガイド溝部FC10から抜け出すことはない。この結果、両コネクタを係合させてから回動させることにより、自然に、係合を離脱できないロックされた状態を構成することができる。特に、90度回動させた状態のままではオス側コネクタMCを抜き取ることが不可能な状態となる。
【0063】
このロックされた状態は、回動状態を元に戻すことにより、突起部MC10をガイド溝部FC10の細溝部FC11の延長上に位置させることにより解除され、コネクタ挿抜方向へと抜き取ることが可能になる。よって、抜き取り作業に支障を来すこともない。
【0064】
[6 実施例1の作用・効果]
本実施例のパチンコ機Pによれば、メス側コネクタFCのハウジングFC2が、端子FC3,FC4の並んだ方向に沿う方の壁面の少なくとも一方が取り去られると共に、オス側コネクタMCをメス側コネクタFCに挿入して互いに係合し合わせたときに回動軸部FC1と軸受け部MC1とが係合し、端子が並ぶ方向に沿った回動中心軸を形成し、メス側コネクタFCとオス側コネクタMCとを相対的な回動が可能な状態とする。このとき、雌雄一対のコネクタは、ハウジングFC2,MC2内に所定方向に並ぶ様に備えられた複数個の端子に隣接する様に複数個の溝MC5又は空所FC5を備え、対応する端子同士を、溝又は空所内において端子が並ぶ方向に接触させることにより電気的な接続部を形成するから、電気的な接続を維持しつつ、裏ユニットLED中継端子板54の外側に向かってオス側コネクタMCを倒す様に回動させ、横挿しと同様の接続状態とすることができる。
【0065】
この結果、各LED基板に接続されるハーネスは、コネクタ近傍で屈曲させなくてもよく、ハーネス設置のためのスペースを小さくすることができる。また、雌雄一対のコネクタを抜き取る場合には、オス側コネクタMCをコネクタ挿抜方向に向くように回動してから抜き取ればよい。これにより、コネクタの挿抜時の作業性を向上させ、端子やハーネスの損傷を抑制することができる。
【0066】
また、ガイド溝部FC10によって突起部MC10をコネクタ挿抜方向にガイドすることにより、雌雄一対のコネクタを係合させるときに挿抜方向を安定させる。この結果、回動可能としたことによって挿抜方向が狂い易いといった新たな問題をも解消することができ、一層の作業性向上、それに伴う端子等の損傷の抑制といった作用・効果がより顕著に発揮される。
【0067】
さらに、雌雄一対のコネクタを係合させるとき、第1の深さdまでは、突起部MC10はガイド溝部FC10によって侵入方向をコネクタ挿抜方向に規制され、これにより、的確な方向に係合を開始する。第1の深さdを越えたらこのガイド溝部FC10による侵入方向の規制がなくなる。そして、回動軸部FC1と軸受け部MC1とは、第1の深さdを越えて挿入し合うことによって係合し、両コネクタを相対的に回動可能な状態とする。上述の様に、このときは突起部MC10はガイド溝部FC10による規制がなされない位置まで侵入しているから、ガイド溝部FC10に邪魔されることなく相対的な回動を行うことができる。
【0068】
また、第1の深さdを越えて係合させた後に両コネクタを相対的に回動すると、突起部MC10はガイド溝部FC10の拡大部FC12に入り込み、相対的に回動された状態ではコネクタ挿抜方向へ抜き取ることができない上に、オス側コネクタMCのハーネスが引っ張られたとしても抜けてしまうことがない。従って、可動体に収納されたLED基板へのハーネスに可動体の動作によってハーネスが引っ張られたり戻されたりするときも、コネクタ同士は相対的な回動が可能な状態で係合されているから、ハーネスに加わる引っ張ったり戻したりする力をコネクタの回動によって逃がすことができる。特に、90度回動させた状態で拡大部FC12に突起部MC10を侵入させてロックしているから、可動体の動作による引っ張り力が加わったとしても、コネクタが抜けたり緩んだりすることがない。そして、この様な確実な接続状態を維持するに当たり、ロック爪等を備える必要がないから、コネクタの挿入はもちろん、コネクタを抜き取る際も、作業性を向上することができる。
【0069】
本実施例においては、多数のLED基板のハーネスを裏ユニットLED端子板54に対して接続する構成を採用することによって組立や検査などにおける作業の管理等を容易に実施できる様にしている。この様に多くのハーネスを集約させて接続するとき、基板に垂直な方向にハーネスが延びたままであるとハーネスに奥行き方向の屈曲部が形成されてスペースを多く必要とする。この様なスペースの問題を解消するために横挿しとするとコネクタ挿抜の作業性が悪くなる。これに対し、本実施例では、オス側コネクタMCをメス側コネクタFCに対して端子の延びる方向から挿入する様に係合させた後に90度回動させてメス側コネクタFCが実装されている裏ユニットLED端子板54の背面に平行な方向にハーネスを延ばした状態とすることにより、ハーネスを背面側に大きく飛び出る様に屈曲させることなく基板の正面側へと取り廻すことができ、スペースの抑制とハーネスの損傷抑制とを的確に実現することができる。そして、コネクタ挿抜を作業スペースを十分に確保可能な裏ユニット3の背面側で容易に実行することができ、接続したコネクタから裏ユニット3の正面側のLED基板へとハーネスを接続するためにハーネスを極端に屈曲させることなく容易に取り廻すことができる。
【0070】
なお、LED基板側の接続部501a〜507a,511a〜516a,521a1,521a2,522a,523aについても、メス側コネクタFCを基板側に実装しておき、オス側コネクタMCを接続した後に回動させる様に構成すれば、LED基板から裏ユニットLED端子板54までほぼ全体に渡って大きな屈曲部を形成することなく配線することができる。
【実施例2】
【0071】
実施例2のパチンコ機P2は、図12図13に示す様に、外枠Aの開口前面側に中枠Bが着脱及び開閉可能に組付けられ、この中枠Bの前面側に遊技盤1が着脱及び開閉可能に組み付けられ、この遊技盤1の前面を透視保護する前枠(ガラス扉。図示略。)が中枠Bに対して開閉可能に取り付けられた一般的なものである。実施例1と同様に、中枠Bの前面側下部には、上部球受け皿E、下部球受け皿F及び発射ハンドルGが取り付けられる。
【0072】
中枠Bの左側面枠部BL には、遊技盤1の左辺1L を回動可能に保持する保持具201が取り付けられている。この保持具201は、L字状の金具を中枠Bの左側面枠部BL に対して回動可能に取り付けたもので、遊技盤1を、その左辺1L 及び前面1F に当接した状態で保持する。
【0073】
中枠Bの右側面枠部BR には、保持具201によって左辺1L を保持された遊技盤1を中枠Bに向かって回動したときに右辺1R の側を固定支持する固定装置202も取り付けられている。この固定装置202は、遊技盤1の右上角部1R1及び右下角部1R2を前面から押圧固定する回動操作部材203を備えている。
【0074】
また、遊技盤1の裏面には、図13(A)に示す様に、回動中心である左辺1L から所定距離L1だけ外方向へ離れた右辺1R 近くの位置に遊技盤側コネクタ210が取り付けられている。そして、中枠Bの前面側には、保持具201の回動軸から所定距離L2(≒L1)だけ離れた位置に、遊技盤側コネクタ210と挿脱される中枠側コネクタ220が取り付けられている。
【0075】
これら中枠側コネクタ220及び遊技盤側コネクタ210は、図12に示す様に、端子Pinの配列方向が中枠の左右の辺とほぼ平行となる様に取り付けられている。
【0076】
ここで、中枠側コネクタ220には、図13(A)に示す様に、実施例1と同様の突起部MC10を備えたオス側コネクタMCを、遊技盤側コネクタ210には、実施例1と同様のガイド溝部FC10を備えたメス側コネクタFCを用いる。このとき、メス側コネクタFCの背面側の壁面FC6が外側になる様に取り付ける。また、オス側コネクタMCは、中枠Bに対してバネ230を介在させたフローティング支持によって取り付けておく。
【0077】
図13(B)に示す様に、中枠Bと遊技盤1とを閉じてコネクタ同士を係合させ始めるときは、メス側コネクタFCとオス側コネクタMCの間には若干の傾きがあるが、ガイド溝部FC10の外開きの侵入口FC13が、突起部MC10の先細の先端部MC13を受け入れ、突起部MC10をガイド溝部MC10へと誘導し、スムーズに差し込みが開始する。そして、図13(C)に示す様に、ガイド溝部FC10の細幅部FC11が、突起部MC10の中央部MC11をコネクタ挿抜方向に沿ってガイドし、図13(D)に示す様に、最終的には、突起部MC10の中央部MC11は細幅部MC11を通過し、拡大部MC13が広がる第1の深さdよりも深い位置まで侵入する。このとき、実施例1において説明した様に、メス側コネクタFCの端子FC3,FC4は、オス側コネクタMCの端子MC3,FC4によって両側面を挟まれると共に、接点MC3a,MC4aを介して電気的に接続された状態となる。このとき、図10(D)に示す様に、回動軸部FC1と軸受け部MC1が係合した状態となる。この結果、コネクタ同士の相対的な回動が的確な接続状態へとコネクタ同士の係合状態を自然に調整する。
【0078】
本実施例によれば、中枠Bと遊技盤1の電気的な接続にあっては、旋回によって接近を行う結果、コネクタ同士を係合開始させるときのコネクタ同士の若干の傾斜は、ガイド溝部FC10への突起部MC10の侵入の誘導作用によって解消される。
【0079】
一方、中枠Bと遊技盤1とを離間させる際には、回動軸が形成されている状態においてバネ130でフローティング支持されたオス側コネクタMCが傾動可能となっていることから、回動中心軸の周りに相対的な回動が生じ、離間時のコネクタ抜き取り開始をスムーズに実行させる。
【0080】
この結果、旋回による離間で電気的な接続を解除するときは、コネクタ同士の相対的な回動が相対的な傾斜状態を許容し、スムーズな接続解除を可能にする。
【0081】
以上、発明を実施するための最良の形態としての実施例及びいくつかの変形例を説明したが、本発明は、これらに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内における種々の変更が可能である。
【0082】
例えば、オス側コネクタMCを基板に実装しておき、ハーネス側をメス側コネクタFCとしても構わない。また、スロットマシンにおける配線接続等に適用しても構わない。さらに、オス側もメス側も基板に実装し、ボード・トゥー・ボード接続を採用した遊技機に適用しても構わない。
【0083】
LED基板に限らず、モータ、ソレノイド、液晶表示装置との接続はもちろん、センサとの接続、さらにはメイン制御基板とサブ制御基板との接続部など、信号線、電源線の接続において、本発明を適用することができる。また、本発明によって配線したハーネスをハーネスダクトで覆う様にしたり、接続して90度回動させたコネクタをカバー体で覆う様にしても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は遊技機に利用することができる。
【符号の説明】
【0085】
1・・・遊技盤、1a・・・板部材、1h1,1h2・・・配線孔、3・・・裏ユニット、3h1,3h2,3h3,3h4,3h21〜3h23・・・配線孔、5・・・センター役物、31・・・大型装飾体、51・・・遊技盤入出力信号中継端子板、52・・・電源中継基板、53・・・ランプ中継信号基板、54・・・裏ユニットLED中継端子板、110・・・上部可動体、120・・・左可動体、130・・・シャッタ付可動体(右下可動体)、140・・・右上可動体、201・・・保持具、202・・・固定装置、203・・・回動操作部材、210・・・遊技盤側コネクタ、220・・・中枠側コネクタ、230・・・バネ、501,502,503,504,505,506,507,511,512,513,514,515,516,521−1,521−2,522,523・・・LED基板、501a〜507a,511a〜516a,521a1,521a2,522a,523a・・・接続部、501h〜507h,511h〜516h,521h1,521h2,522h,523h・・・ハーネス、521c1,521c2・・・円弧状開口、A・・・外枠、B・・・中枠、C1・・・メス側コネクタ、C2・・・オス側コネクタ、C501〜C506,C511〜C516,C521〜C524・・・コネクタ、D・・・前枠、FC・・・メス側コネクタ、FC1・・・回動軸部、FC2・・・ハウジング、FC3,FC4・・・端子、FC5・・・空所、FC6〜FC8・・・壁面、FC10・・・ガイド溝部、FC11・・・細幅部、FC12・・・拡大部、FC13・・・侵入口、H,H1,H2・・・ハーネス、J・・・回動中心軸、J1・・・回動軸部、J2・・・軸受け部、K1,K2・・・基板、MC・・・オス側コネクタ、MC1・・・軸受け部、MC2・・・ハウジング、MC3,MC4・・・端子、MC3a,MC4a・・・接点、MC5・・・溝、MC7,MC8・・・壁面、MC7a,MC8a・・・水平プレート、MC7b,MC8b・・・垂直プレート、MC10・・・突起部、MC11・・・中央部、MC12・・・上部、MC13・・・先端部、P,P2・・・パチンコ機。
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