特許第6197008号(P6197008)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6197008
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】空気調和機の換気予冷装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/22 20060101AFI20170904BHJP
   F24F 1/00 20110101ALI20170904BHJP
   F24F 7/08 20060101ALI20170904BHJP
   F28D 15/02 20060101ALI20170904BHJP
【FI】
   F24F1/00 361C
   F24F1/00 431A
   F24F1/00 441
   F24F7/08 A
   F28D15/02 A
   F24F13/22 225
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-156835(P2015-156835)
(22)【出願日】2015年8月7日
(65)【公開番号】特開2016-90218(P2016-90218A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2015年8月7日
(31)【優先権主張番号】103137510
(32)【優先日】2014年10月29日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】502330713
【氏名又は名称】台達電子工業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Delta Electronics,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人 エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】謝 源平
(72)【発明者】
【氏名】施 東宏
(72)【発明者】
【氏名】▲ゼン▼ 紹賢
(72)【発明者】
【氏名】頼 品蓁
【審査官】 河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04938035(US,A)
【文献】 特開2005−238875(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0028545(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0073720(US,A1)
【文献】 実開昭52−108745(JP,U)
【文献】 特開平11−2420(JP,A)
【文献】 特開2000−39178(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/074005(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/22
F24F 1/00
F24F 7/08
F28D 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸発器に隣接して設けられ、室外空気を冷却して室内を換気するための空気調和機の換気予冷装置であって、
前記蒸発器からの凝縮水を貯留するための貯留容器と、
前記凝縮水に導熱接触する冷却ユニットと、
前記室外空気を案内して前記冷却ユニットに通過させる給気ファンと、
案内通路と、を含み、
前記冷却ユニットは、伝熱管と、前記伝熱管が穿設される複数の放熱フィンと、前記伝熱管に連結されるウォーターポンプとを含み、
前記凝縮水は、前記ウォーターポンプにより前記伝熱管の一端に流入し、且つ、前記伝熱管の他端から流出して前記貯留容器内に集まり、
前記複数の放熱フィンは、前記貯留容器内に設置されて前記凝縮水に直接に接触し、
前記凝縮水の温度は、前記冷却ユニットに伝わり、
前記室外空気は、前記冷却ユニットを通過することによって、前記冷却ユニットと熱交換して前記室内に入り込む予冷空気が形成され、
前記案内通路は、前記予冷空気を前記室内に導入することを特徴とする空気調和機の換気予冷装置。
【請求項2】
前記貯留容器は、盤体であることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機の換気予冷装置。
【請求項3】
前記貯留容器は、オーバーフローチューブをさらに含み、
前記凝縮水は、前記貯留容器内で一定の高さを超えると、前記オーバーフローチューブに流入することを特徴とする請求項1または2に記載の空気調和機の換気予冷装置。
【請求項4】
前記冷却ユニットは、複数の空気流通路を有し、
前記室外空気は、前記複数の空気流通路を通過して前記冷却ユニットに接触することを特徴とする請求項1に記載の空気調和機の換気予冷装置。
【請求項5】
前記給気ファンは、前記室外空気が前記冷却ユニットを通過する前の位置、または前記室外空気が前記冷却ユニットを通過した後の位置に設置されることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機の換気予冷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機に関し、特に空気調和機の換気予冷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和設備(Air conditioning)は、特定領域内の温度、湿度及び空気清浄度を調整可能な装置である。空気調和設備の冷房機能や暖房機能、除湿機能により、周囲環境の温度や湿度を調整することができる。
【0003】
近年、省エネと排出炭素の削減という要求に応じて、空気調和設備の製造業者は、エネルギー消費量の削減を目指した研究開発を進めている。既存の空気調和設備では、室外の新鮮な空気を取り入れる場合、室外空気の温度と室内空気の温度との間に温度差があるため、所望の温度に達するように室内換気装置のエネルギーの消費量を増加する必要がある。一方、従来の空気調和設備の使用中には、蒸発器が熱交換で凝縮水を生成する。通常、空気調和機における凝縮水の処理方法としては、導水管で凝縮水を排出して廃棄する方法がある。この処理方法は、凝縮水を回収して再利用しないため、水資源を浪費することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国実用新案公告第202452648号明細書
【特許文献2】中国実用新案公告第201506227号明細書
【特許文献3】中国実用新案公告第203215946号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、空気調和設備の凝縮水を回収して再利用することで、室外空気を予冷して、環境に配慮して省エネルギー化を図り、さらに冷却効果の向上を図ることが可能な装置を如何にして設計するかということは、本発明の発明者の研究動機となっている。
【0006】
このように、上記の問題点を解決することが可能な空気調和機の換気予冷装置を提供するのが、本発明の解決しようとする課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を鑑みなされたものであり、空気調和設備の凝縮水を回収して室外空気を予冷することで、環境に配慮して省エネルギー化を図り、さらに冷却効果の向上を図ることが可能な空気調和機の換気予冷装置の提供を目的とする。
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る空気調和機の換気予冷装置は、蒸発器に隣接して設けられ、室外空気を冷却して室内を換気する。空気調和機の換気予冷装置は、前記蒸発器からの凝縮水を貯留するための貯留容器と、前記凝縮水に導熱接触する冷却ユニットと、前記室外空気を案内して前記冷却ユニットに通過させる給気ファンと、案内通路と、を含む。前記冷却ユニットは、伝熱管と、前記伝熱管が穿設される複数の放熱フィンと、前記伝熱管に連結されるウォーターポンプとを含む。前記凝縮水は、前記ウォーターポンプにより前記伝熱管の一端に流入し、且つ、前記伝熱管の他端から流出して前記貯留容器内に集まる。前記複数の放熱フィンは、前記貯留容器内に設置されて前記凝縮水に直接に接触する。凝縮水の温度は、冷却ユニットまで伝達される。前記室外空気は、前記冷却ユニットを通過することで、前記冷却ユニットと熱交換して前記室内に入り込む予冷空気が形成される。前記案内通路は、前記予冷空気を前記室内に導入する。
【0009】
従来技術に比べて、本発明に係る空気調和機の換気予冷装置は、空気調和設備内の低温凝縮水を回収し、且つ凝縮水に導熱接触する冷却ユニットが設置されている。冷却ユニットは、凝縮水によって熱が吸収されて、その全体温度が低下する。その後、冷却ユニットを通過する室外空気は、冷却ユニットによって熱が吸収され、すなわち、冷却ユニットによって冷却されて予冷空気が形成される。これにより、室外空気の温度と室内環境の温度との温度差が大きくならない。つまり、室外空気が室内に入り込んだ場合には、室内環境の全体温度に大きな影響を与えることがない。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る空気調和機の換気予冷装置によれば、所望の温度環境に達するための場合でも、空気調和機のエネルギーの消費量を低下させることができ、環境に配慮して省エネルギー化を図り、さらに冷却効果の向上を図ることができる。また、凝縮水を回収して再利用することで、環境に配慮するとともに、本発明の実用性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る空気調和機の換気予冷装置の設置状態を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る空気調和機の換気予冷装置の側面概略図である。
図3】本発明の他の実施形態に係る空気調和機の換気予冷装置の側面概略図である。
図4】本発明の別の実施形態に係る空気調和機の換気予冷装置の側面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の技術内容及び詳細な説明について、図面を参照しつつ説明する。ただし、図面は、参照および説明用に過ぎず、決して本発明を限定するものではないことを理解されたい。
図1は、本発明の一実施形態に係る空気調和機の換気予冷装置の設置状態を示す図である。本実施形態に係る空気調和機の換気予冷装置(換気及び予冷をするための装置)1は、蒸発器2に隣接して設けられて、室外空気3を冷却するために用いられる。また、空気調和機の換気予冷装置1は、空気調和機の作動中に蒸発器2で生じた凝縮水を回収して、室外空気を予冷する。これにより、室外空気3の温度と室内温度との温度差を低減させて、環境に配慮して省エネルギー化を図り、さらに冷却効率の向上を得る等の効果を奏する。
【0013】
図2は、本発明の一実施形態に係る空気調和機の換気予冷装置の平面概略図である。本実施形態に係る空気調和機の換気予冷装置1は、貯留容器10、冷却ユニット20、給気ファン30、及び案内通路40を含んでいる。この貯留容器10は、蒸発器2からの凝縮水4を貯留する。凝縮水4は、冷却ユニット20よりも温度が低い。
【0014】
冷却ユニット20には、凝縮水4に導熱接触することで、凝縮水4により熱が吸収される。そのため、凝縮水4に接触する冷却ユニット20の全体温度は、凝縮水4の温度に従って低下する。その後、給気ファン30の案内によって冷却ユニット20に室外空気3を通過させて予冷空気5を形成する。また、予冷空気5は、案内通路40に入り込み、案内通路40によって室内に導入される。これにより、室外空気3の給気温度を低減させて、室外空気3と室内環境との温度差を低減させることができる。
【0015】
本実施形態において、給気ファン30は、室外空気3が冷却ユニット20を通過する前の位置に設置されている。実際には、給気ファン30の個数は限定されない。また、給気ファン30は、冷却ユニット20の後方側に設置されてもよいし、冷却ユニット20の前方側及び後方側にそれぞれ設置されてもよい。
【0016】
詳細には、凝縮水4の温度(低温)は、冷却ユニット20に伝わる。また、冷却ユニット20は、複数の空気流通路200を含んでいる。室外空気3は、これらの空気流通路200を通過することで、冷却ユニット20と接触する。これにより、室外空気3は、冷却ユニット20を通過することによって、当該冷却ユニット20と熱交換して予冷空気5が形成される。なお、案内通路40内における予冷空気5は、室内に導入される。
【0017】
貯留容器10は、盤体であることが好ましいが、これに限定されない。また、貯留容器10は、オーバーフローチューブ11をさらに含んでもよい。凝縮水4は、貯留容器10内で所定の高さを超えると、オーバーフローチューブ11に流入する。これにより、貯留容器10における凝縮水4によるフラッディングの発生を防止することができる。
【0018】
本実施形態において、冷却ユニット20は、放熱フィン群で構成されている。また、放熱フィン群は、貯留容器10内に設置され、且つ凝縮水4に直接に接触する。冷却ユニット20は、凝縮水4によって熱が吸収されて、全体温度が低下する。これにより、室外空気3が複数の空気流通路200を通過する場合、室外空気3の熱は冷却ユニット20によって吸収されて、室外空気3の温度が低下するようになる。
【0019】
図3は、本発明の他の実施形態に係る空気調和機の換気予冷装置の平面概略図である。本実施形態において、空気調和機の換気予冷装置1aは、貯留容器10a、冷却ユニット20a、及び給気ファン30aを含んでいる。本実施形態は、冷却ユニットの実施形態で上述した実施形態と異なっている。
【0020】
本実施形態において、冷却ユニット20aは、ヒートパイプ21aと、このヒートパイプ21aが穿設される複数の放熱フィン22aとを含んでいる。ヒートパイプ21aは、その一部が凝縮水4中に浸漬して配置されている。また、複数の放熱フィン22aは、その一部の放熱フィンが凝縮水4中に浸漬して配置されている。なお、本実施形態は、給気ファン30aの設置場所も上述した実施形態と異なっている。本実施形態において、給気ファン30aは、冷却ユニット20aの後方側に配置され、すなわち、室外空気3が冷却ユニット20aを通過した後の位置に設置されている。上述した実施形態と同様に、室外空気3は、給気ファン30aの作動中に給気ファン30aによって換気予冷装置に導入されて、冷却ユニット20aを通過することによって、冷却ユニット20aと熱交換して予冷空気5が形成される。
【0021】
図4は、本発明の別の実施形態に係る空気調和機の換気予冷装置の平面概略図である。本実施形態において、空気調和機の換気予冷装置1bは、貯留容器10b、冷却ユニット20b、及び給気ファン30bを含んでいる。本実施形態は、冷却ユニットの実施形態で上述した実施形態と異なっている。
【0022】
本実施形態において、冷却ユニット20bは、伝熱管21bと、この伝熱管21bが穿設される複数の放熱フィン22bと、伝熱管21bに連結されるウォーターポンプ23bとを含んでいる。貯留容器10bにおける凝縮水4は、ウォーターポンプ23bにより伝熱管21bの一端に流入し、且つ、伝熱管21bの他端から流出して貯留容器10b内に集まる。好ましくは、伝熱管21bが銅管で構成され、複数の放熱フィン22bがアルミシートで構成されてもよい。実際には、伝熱管21b及び複数の放熱フィン22bは、材質が限定されることはなく、伝熱機能があるものであればよい。
【0023】
また、本実施形態は、給気ファン30bの設置も上記の実施形態と異なっている。本実施形態において、空気調和機の換気予冷装置1bは、複数の給気ファン30bを含んでいる。詳細には、給気ファン30bは、冷却ユニット20bの前方側及び後方側にそれぞれ設置されている。これにより、冷却ユニット20bへの室外空気3の給気効率を向上させることができるほか、冷却ユニット20bからの室外空気3の排気効率を向上させることもできる。
【0024】
以上、本発明の好ましい実施形態を挙げて説明したが、これは本発明の実施形態に過ぎない。説明した実施形態は、本発明の範囲を限定するものではないことが理解されたい。当業者であれば本発明の技術的思想及び概念に含まれる各種の変更や置換は、本発明の保護を求める範囲内に属するものである。
【符号の説明】
【0025】
1、1a、1b空気調和機の換気予冷装置
2 蒸発器
3 室外空気
4 凝縮水
5 予冷空気
10、10a、10b 貯留容器
11 オーバーフローチューブ
20、20a、20b冷却ユニット
200空気流通路
21aヒートパイプ
21b伝熱管
22a、22b放熱フィン
23bウォーターポンプ
30、30a、30b給気ファン
40 案内通路
図1
図2
図3
図4