(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1の実施形態)
以下、本発明を実施するための第1の形態(以下、「第1の実施形態」という)を、詳細に説明する。
図1は第1の実施形態の椅子用荷受台を備える椅子を示す斜視図であり、
図2は椅子用荷受台を備える椅子の背面図であり、
図3は椅子用荷受台を備える椅子の平面図であり、
図4は椅子用荷受台を備える椅子の側面図である。
【0014】
図1(a)には、椅子用荷受台1が取り付けられた椅子100が例示されている。
椅子100は、商談等のための会議室で使用されるものや、和食処等のレストランで使用されるものであり、スチール製のパイプを加工して形成された脚部101を備えたフレームに、座面102と背もたれ103を設けたものである。
椅子用荷受台1は、椅子100の脚部101に取り付けられ、椅子100の座面102の下に収納される。
そして、使用者が椅子を使用する際、荷受台本体10を、
図1(a)の収納状態から
図1(b)の使用状態になるように引き出すことで、荷受台本体10の上に荷物を置くことができる。
なお、
図2及び
図3において、2点鎖線で示された部分は、椅子用荷受台1の収納状態を示す。
図4(a)に示すように、椅子用荷受台1は、荷物を載置可能な荷受台本体10と、荷受台本体10を水平方向に回転自在となるように支持するとともに、椅子100に対して水平方向に回転自在となるように支持される連結アーム20と、連結アーム20を椅子100に対して水平方向に回転自在となるように連結して支持する連結部材30とを備える。
以下、椅子用荷受台1が備える各部について個別に説明する。
【0015】
(荷受台本体)
図5(a)は円形の荷受台本体10の平面図を示し、
図5(b)は荷受台本体10の側面図を示す。
図5(a)に示すように、荷受台本体10は、載置板11と、載置板11の上面より上に突出するとともに、椅子100の少なくとも一部に当接自在な取っ手12と、後述する連結アーム20の一端に形成された荷受台本体側軸21を、荷受台本体10が水平方向に回転自在となるように嵌合する穴13を備える。
【0016】
載置板11は、荷物が載置されるものであり、少なくとも荷物の重さによる荷重によって過度の変形や損傷が生じないような所定の強度及び剛性を有する。載置板11の材質としては、木製、スチール製又は樹脂製等が採用される。
取っ手12は、載置板11の上面に設けられ、載置板11の上面より上に突出するものであり、荷物の把持部が掛けられて横方向に力がかかる場合を想定して、所定の剛性を有するものとし、椅子100を構成するフレームの側部等に当接する機能を持たせる場合は、当接の衝撃によって倒れない程度の剛性を有するものとする。
【0017】
荷受台本体10が取っ手12を備えることにより、使用者がその取っ手12に対して水平方向に力を加えることで、載置板11を座面102の下から簡単に引き出すことができる。
また、荷受台本体10の取っ手12が載置板11の上面より上に突出することにより、荷物に設けられた把持部やフックを取っ手12に引っ掛けることで、荷物を載置板11の上に載置することなく荷物を保持することができる。
さらに、荷受台本体10の取っ手12が椅子100の少なくとも一部に当接自在にした場合は、取っ手12と椅子100とが当接する位置にて載置板11の収納位置と取っ手12の位置を規定することができる。よって、載置板11が座面102の下に潜り込んでしまい、引き出しが困難となることがない。
また、収納状態での取っ手12の位置が椅子100の側部に沿って配置されるので、使用者が座った状態における手の位置と近くなり、引き出し動作がし易くなる。
【0018】
なお、取っ手12は載置板11に対して所望の接合方式で取り付けられるが、取っ手12と載置板11とを一体成形してもよい。荷物を置く面積をより広く確保するため、取っ手12は載置板11の側面から載置板11の上面より上に突出するものであってもよい。
さらに、載置板11と荷受台本体側軸21との隙間に、荷受台本体側軸21に対して載置板11を回転させたときのガタ防止等のためのブッシュや軸受等を設けてもよく、さらに、ブッシュや軸受等として、使用者が手で押すときの負担となることなく、荷受台本体10の慣性力に抗って直ちに静止する程度の回転抵抗が付与されているものを採用してもよい。このようにすることで、外力が取り除かれれば荷受台本体10はすぐに静止するので、使用者が手で押して連結アーム20を水平方向に回転させて荷受台本体10を所定の位置にすぐに配置できる。
【0019】
(連結アーム)
図6(a)は連結アーム20の平面図を示し、
図6(b)は連結アーム20の側面図を示す。
図6(b)に示すように、連結アーム20は、荷受台本体10に設けられた穴13に嵌合された状態で、当該荷受台本体10を水平方向に回転自在となるように軸支する荷受台本体側軸21と、連結部材30に設けられた穴31hに嵌合された状態で、連結部材30に対して水平方向に回転自在となるように支持される椅子側軸22と、荷受台本体側軸21と椅子側軸22とを繋ぎ、水平方向に延在する水平部23を備える。
また、
図6(b)に示すように、連結アーム20は、全体が略S字形状であり、水平方向に延在する水平部23に対して、荷受台本体側軸21が上側に鉛直に設けられ、椅子側軸22が下側に鉛直に設けられている。
【0020】
連結アーム20は、管部材を塑性加工して形成された管状体とすることができ、管状体とすることで、荷受台本体10を支持するのに十分な剛性を確保できるとともに、軽量であるので、椅子用荷受台1をユニットとして搬送する際や、椅子用荷受台1を備える椅子100を移動させる際等に、扱い易いものとすることができるが、管状体に限らず、荷受台本体10を支持するのに十分な剛性を確保できれば、棒状体等の他の構造体を採用してもよい。
また、荷受台本体側軸21の先端には、荷受台本体側軸21が荷受台本体10に設けられた穴13に嵌合された状態を保持するためのフランジ21fが設けられる。このフランジ21fは、荷受台本体10の穴13に、管状の荷受台本体側軸21を組み入れた後、その先端を広げるように加工することにより形成されてもよいし、その先端にナットを螺合することにより形成されてもよい。
同様に、椅子側軸22の先端には、椅子側軸22が連結部材30に設けられた穴31hに嵌合された状態を保持するためのフランジ22fが設けられる。このフランジ22fは、連結部材30の穴31hに、管状の椅子側軸22を組み入れた後、その先端を広げるように加工してもよいし、その先端にナットを螺合することにより形成してもよい。
なお、水平部23を異径の筒を重ね合わせたテレスコピック機構として伸縮自在とすることで、さらに、荷受台本体10の移動範囲を拡げられるようにしてもよい。
【0021】
連結アーム20を上記のような略S字形状とすることにより、荷受台本体10と連結アーム20とが接触することなく、荷受台本体10を荷受台本体側軸21を中心に360度回転させることができるので、使用状態において荷受台本体10を配置する自由度が高まる。
フランジ21fを、管状の荷受台本体側軸21を組み入れた後、その先端を広げるように加工することにより形成することで、部品の種類を低減することができる。
また、フランジ21fを、管状の荷受台本体側軸21を組み入れた後、その先端にナットを螺合することにより形成することで、荷受台本体10と連結アーム20と連結部材30とを分解できるようになり、いずれかの部材が損傷したときに、その部材を交換して修理できる。
【0022】
(連結部材)
図7(a)は連結部材30の平面図を示し、
図7(b)は連結部材30の側面図を示す。
図7(a)に示すように、連結部材30は、連結アーム20を支持する連結アーム支持部31と、椅子100に対して着脱自在に取り付けられる椅子取付部32と、その着脱を可能とする締結部33とを備える。
連結アーム支持部31は、連結アーム20における椅子側軸22を嵌合する穴31hを備え、その穴31hの径は、連結アーム支持部31に椅子側軸22を嵌合した際に連結アーム支持部31を中心とした連結アーム20の回転を許容する程度に、椅子側軸22の径よりも若干大きくなっている。
このような構成により、連結アーム支持部31は、椅子側軸22を穴31hに嵌合した状態で、連結アーム20を水平方向に回転自在となるように支持する。
また、椅子取付部32は、脚部101を嵌合する穴32hを備え、椅子取付部32に脚部101を嵌合し、脚部101への着脱を自在とするため、その穴32hは、脚部101の断面形状の略相似形状とし、その断面形状を包含するような大きい寸法となっている。
そして、椅子取付部32には、スリット32sが設けられているので、スリット32sを拡げた状態で椅子取付部32の穴32hに脚部101を配置し、その状態から締結部33により締結することでスリット32sを狭めて、椅子取付部32を脚部101にしっかりと固定できる。
締結部33は、ボルト等の雄ねじ部33mと、連結アーム支持部31と椅子取付部32の間に設けられた雌ねじ部33fを備える。
そして、
図7(a)に示すように、雄ねじ部33mを雌ねじ部33fに対して螺合することで、スリット32sが狭められ、椅子取付部32が脚部101に固定できる。
【0023】
連結部材30は、スリット32sを拡げたり狭めたりすることで脚部101に対して着脱自在に取り付けられるものであるため、そのような変形の範囲域で弾性を有するスチール製等の金具を使用することが好ましい。
なお、上記の構成では、
図7(a)に示すように、連結アーム支持部31と椅子取付部32を一体形成されたものとしたが、スリットを連結アーム支持部31にも設けて、2分割されたものとしてもよい。
また、連結アーム支持部31と椅子取付部32との隙間に、連結アーム20を回転させたときのガタ防止等のためのブッシュや軸受等を設けてもよく、さらに、ブッシュや軸受等として、使用者が手で押すときの負担となることなく、荷受台本体10と連結アーム20の慣性力に抗って直ちに静止する程度の回転抵抗が付与されているものを採用してもよい。このようにすることで、外力が取り除かれれば荷受台本体10はすぐに静止するので、使用者が手で押して連結アーム20を水平方向に回転させて荷受台本体10を所定の位置にすぐに配置できる。
さらに、連結アーム20における椅子側軸22の外周の一部に突起を設けるとともに、椅子取付部32の内周の一部に突起を設け、椅子側軸22に対して連結アーム20を所定の角度回転させたときに、それらの突起が係合することで、連結アーム20の回転可能範囲を制限するようにしてもよい。
椅子取付部32を取り付ける場所は、脚部101に限らず、座面102の側部や背もたれ103にあるフレームとしてもよい。
【0024】
(第2の実施形態)
以下、本発明を実施するための第2の形態(以下、「第2の実施形態」という)を、詳細に説明する。
第2の実施形態における椅子用荷受台1と第1の実施形態における椅子用荷受台1との差異は、主に荷受台本体10の平面形状であるので、以下では、その他の構成については説明を省略する場合がある。
【0025】
図8(a)は第2の実施形態における荷受台本体10の平面図であり、
図8(b)はその側面図であり、
図8(c)は椅子100に取り付けられた椅子用荷受台1の使用状態と収納状態を示す図である。
図8(a)及び
図8(b)に示すように、荷受台本体10は、平面視で略長方形の外形をなす載置板11と、載置板11の側面に設けられ、載置板11の上面より上に突出する取っ手12と、連結アーム20の一端に形成された荷受台本体側軸21を、荷受台本体10が水平方向に回転自在となるように嵌合する穴13を備える。
そして、
図8(c)において2点鎖線で示すように、荷受台本体10の長辺の長さを連結アーム20の長さと略等しくすることで、収納状態において、荷受台本体10と連結アーム20とが平面視で重ね合わされる面積が大きくなり、コンパクトに収納できる。
【0026】
(作用及び使用方法)
次に、椅子用荷受台1を使用する際の椅子用荷受台1の作用及び使用方法を説明する。
事前に、
図1(a)に示すように、椅子用荷受台1を脚部101に取り付け、取っ手12が椅子100の側部に沿うようにして、荷受台本体10と連結アーム20を座面102の下に収納する。
この際、荷受台本体10と連結アーム20と連結部材30が組み立てられた状態のユニットを用意して、そのユニットを脚部101に取り付けてもよいし、脚部101に連結部材30を取り付けてから、連結部材30に連結アーム20と荷受台本体10を取り付けてもよい。
そして、荷物を持った使用者が椅子100に座る際は、使用者が椅子100に座った状態で取っ手12を握るか軽く触れながら、椅子100から離れる方向の水平方向に軽い力を加えると、
図3に示すように、荷受台本体10の移動に連れて、椅子100に取り付けられた連結部材30を中心にして、連結アーム20が椅子100から離れる方向の水平方向(
図3における反時計回り)に回転する。
連結アーム20を回転させて荷受台本体10を引き出した状態で、さらに、連結アーム20の回転とは別に、連結アーム20を中心にして、荷受台本体10を水平方向に自在に回転させることもできる。
なお、取っ手12を握ったまま荷受台本体10を平行移動することもできるので、取っ手12を握った手がねじられることがなく、簡単に荷受台本体10を移動できる。
所望の位置に荷受台本体10を移動させ、取っ手12に加えていた力を取り除くと、荷受台本体10が静止する(
図1(b)に示す状態となる)ので、この上に荷物を置くことができる。
また、荷物を持って使用者が椅子100から離れる際は、荷受台本体10から荷物を取り、取っ手12に対して椅子100に近づく方向に軽い力を加えると荷受台本体10が椅子100に向けて移動し、取っ手12が椅子100の側面に当接するところで移動が制限されたと同時に、荷受台本体10が座面102の下の空間に収納される(
図1(a)に示す状態となる)。
【0027】
以上、本発明を実施形態に基づき説明したが、本発明は実施形態に限定されるものではない。
図1から
図4及び
図8に示された椅子100は、左側の脚部101に椅子用荷受台1を取り付けたものであるが、椅子用荷受台1は右側の脚部101に取り付けてもよく、左側及び右側の両側に取り付けてもよい。
また、
図2に示された椅子用荷受台1は、連結部材30を脚部101の上部に設けたものであるが、下部に設けてもよい。このようにすることで、高さのある荷物を荷受台本体10に置いたまま、荷受台本体10を座面102の下に収納することができる。
【0028】
本発明によれば、荷受台本体10が連結アーム20に対して回転自在となるように支持されるとともに、連結アーム20も椅子100に対して回転自在となるように支持されるので、水平回転軸が2つとなり、使用状態において、荷受台本体10を椅子100の側方の遠くまで配置することや、椅子100の前方や後方に移動することもでき、椅子100を中心として荷受台本体10を配置する領域が広くなり、利便性が高まる。
また、水平回転軸が2つであるため、収納状態において、荷受台本体10と連結アーム20を重ねるようにしてコンパクトに収納でき、座面の下の空間を有効利用できる。
さらに、水平回転軸が2つであるため、使用者が取っ手を持った状態で荷受台本体10を水平方向に平行移動することができるため、使用者の手への負担を低減できる。
荷受台本体10の取っ手が、椅子100に対する荷受台本体10の移動を制限するストッパーの機能を兼ね備えるので、取っ手が座面の下に潜りこむことなく、収納状態における取っ手と荷受台本体10の位置が定まるので、使用時に引き出し易くなり、利便性が高まる。
連結アーム20が、全体が略S字形状であり、連結アーム20に対して荷受台本体を水平方向に自在に回転できるので、荷受台本体10と連結アーム20を平面視において重ね合わせることで、椅子用荷受台1をコンパクトに収納できる。
連結部材30が椅子100に対して着脱自在に取り付けられるので、荷受台本体10と連結アーム20と連結部材30とをユニットとして組み立てておくことができ、既存の椅子100に対する後付を容易にできる。
【0029】
本発明は、その要旨を逸脱しない範囲での種々の変更が可能であり、そのような種々の変更を行ったものも本発明の技術的範囲に含まれることは、当業者にとって、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【解決手段】本発明の椅子用荷受台1は、荷物を載置可能な荷受台本体10と、荷受台本体10を水平方向に回転自在となるように支持するとともに、椅子100に対して水平方向に回転自在となるように支持される連結アーム20と、連結アーム20を椅子100に対して水平方向に回転自在となるように連結して支持する連結部材30とを、備える。