(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、両面粘着シートは、通常、一方の面を剥離力の高い剥離シートで保護し、他方の面を剥離力の低い剥離シートで保護している。そして、前述のような背割れ加工を施した剥離シートに貼り替える場合、剥離力の低い側の剥離シートを剥がして、背割れ加工を施した剥離シートを露出した粘着面に積層することとなる。このようにして作製された、一方の面に背割れ加工を施した剥離シートを有する両面粘着シートでは、背割れ加工を施していない側の剥離シートを最初に剥がし、被着体へ貼付するという使用態様を要求されることがある。
【0008】
しかし、前述のとおり、背割れ加工を施していない側の剥離シートは、既に剥離力が高い剥離シートである。このため、背割れ加工を施した剥離シートの方が、剥離力が低い場合、背割れ加工を施した剥離シート側からしか剥離できず、無理に反対側の剥離シートを剥離しようとすると、背割れ加工を施した剥離シートと両面粘着シートとの界面で浮きや剥がれが発生することとなる。すなわち、上述の使用態様に対応するためには、両面粘着シートにおいて、背割れ加工を施した剥離シートを、背割れ加工を施していない側の剥離シートよりも高い剥離力を有するものとする必要がある。
【0009】
このように、一般的には、両面粘着シートにおける剥離シートの貼り替えでは、積層されている剥離シートよりも剥離力の高い剥離シートにしか貼り替えることができない。このため、貼り替えられる剥離シートには制限がある。
【0010】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、粘着積層体が薄く、剥離シートを剥離したときに浮きが生じにくく、かつ、剥離シートの貼り替えに自由度のある両面粘着シート及びその両面粘着シートの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、第1に本発明は、基材と、前記基材の一方の面側に積層された第1の粘着剤層と、前記基材の他方の面側に積層された第2の粘着剤層とを備えた粘着積層体と、前記第1の粘着剤層における前記基材とは反対の面側に積層された第1の剥離シートと、前記第2の粘着剤層における前記基材とは反対の面側に積層された第2の剥離シートとを備えた両面粘着シートであって、前記基材の厚みは1〜5μmであり、前記第1の粘着剤層及び前記第2の粘着剤層の厚みはそれぞれ1〜5μmであり、前記第1の剥離シート及び前記第2の剥離シートの剥離力は10〜30mN/25mmであり、前記第1の剥離シートの剥離力と前記第2の剥離シートの剥離力との差は5mN/25mm以下であることを特徴とする両面粘着シートを提供する(発明1)。なお、本明細書において、「シート」はテープの概念を含むものとする。
【0012】
上記発明(発明1)によれば、基材、第1の粘着剤層、第2の粘着剤層、第1の剥離シート及び第2の剥離シートが上記のように規定されていることにより、粘着積層体を薄くすることができる。また、粘着積層体が薄くても、第1の剥離シートを粘着積層体から剥離した場合に、粘着積層体が第2の剥離シートから剥がれてしまう浮きが発生することも、第2の剥離シートを粘着積層体から剥離した場合に、粘着積層体が第1の剥離シートから剥がれてしまう浮きが発生することも防止される。
【0013】
また、上記のように第1の剥離シート及び第2の剥離シートの剥離力が低いことにより、第1の剥離シート及び/又は第2の剥離シートを他の剥離シートに貼り替える場合に、当該他の剥離シートの剥離力を、少なくとも第1の剥離シート又は第2の剥離シートの剥離力よりも高くすればよく、通常よりも低く抑えることもできる。そのため、剥離シートの貼り替えに自由度があり、種々の剥離シートに貼り替えることができる。また、貼り替えを繰り返した場合にも、剥離シートの剥離力が高くなり過ぎることを抑制することができ、剥離シートの剥離性を良好に維持することができる。さらに、上記のように剥離力差が小さいことにより、第1の剥離シート及び第2の剥離シートのどちらを先に剥離しても作業性に問題はなく、したがって、剥離順序を区別する必要がないという利点がある。
【0014】
上記発明(発明1)において、前記第1の剥離シート及び前記第2の剥離シートは同一の材料からなることが好ましい(発明2)。
【0015】
上記発明(発明1,2)において、前記第1の粘着剤層及び前記第2の粘着剤層は同一の粘着剤からなることが好ましい(発明3)。
【0016】
上記発明(発明1〜3)において、前記第1の粘着剤層及び前記第2の粘着剤層を形成する粘着剤はアクリル系粘着剤であることが好ましい(発明4)。
【0017】
上記発明(発明1〜4)において、前記第1の粘着剤層及び前記第2の粘着剤層を形成する粘着剤は粘着付与剤を含有することが好ましい(発明5)。
【0018】
上記発明(発明5)において、前記粘着剤は、前記粘着付与剤として重合ロジンエステル及び芳香族石油樹脂を含有することが好ましい(発明6)。
【0019】
第2に本発明は、上記両面粘着シート(発明1〜6)を製造する方法であって、前記第1の剥離シートの剥離面に第1の粘着剤層を形成する工程と、前記第1の剥離シートの剥離面に形成された前記第1の粘着剤層を前記基材の一方の面側に積層する工程と、前記第2の剥離シートの剥離面に第2の粘着剤層を形成する工程と、前記第2の剥離シートの剥離面に形成された前記第2の粘着剤層を前記基材の他方の面側に積層する工程とを備えたことを特徴とする両面粘着シートを提供する(発明7)。
【発明の効果】
【0020】
本発明の両面粘着シートは、粘着積層体が薄く、いずれの剥離シートを剥離したときにも浮きが生じにくく、かつ、剥離シートの貼り替えに自由度があり、剥離シートを貼り替えるときに、種々の剥離シートに貼り替えることができる。また、本発明の両面粘着シートの製造方法によれば、上記のような両面粘着シートを簡易に製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について説明する。
〔両面粘着シート〕
図1は、本実施形態に係る両面粘着シート1の断面図を示したものである。
本発明の一実施形態に係る両面粘着シート1は、
図1に示すように、基材20と、基材20の一方の面(
図1では上側)に設けられた第1の粘着剤層21と、基材20の他方の面(
図1では下側)に設けられた第2の粘着剤層22と、第1の粘着剤層21の基材20とは反対側の面(
図1では上側)に設けられた第1の剥離シート31と、第2の粘着剤層22の基材20とは反対側の面(
図1では下側)に設けられた第2の剥離シート32とから構成される。なお、第1の粘着剤層21、基材20及び第2の粘着剤層22の積層体を、粘着積層体2という。
【0023】
本実施形態に係る両面粘着シート1における基材20の厚みは1〜5μmであり、第1の粘着剤層21及び第2の粘着剤層22の厚みはそれぞれ1〜5μmである。各層の厚みが上記範囲にあることにより、粘着積層体2を薄くすることができ、当該粘着積層体2によって接着する2つの被着体同士の間隔を狭くすることができ、得られる製品の薄型化に貢献することができる。
【0024】
また、本実施形態に係る両面粘着シート1における第1の剥離シート31及び第2の剥離シート32の剥離力は、それぞれ10〜30mN/25mmであり、15〜30mN/25mmであることが好ましく、特に20〜30mN/25mmであることが好ましい。上記のように、第1の剥離シート31及び第2の剥離シート32の両剥離力とも30mN/25mm以下と低いことにより、剥離シート31(又は32)を剥離する際、もう一方の側の剥離シート32(又は31)と粘着剤層との界面での浮きや剥がれを有効に防止することができる。さらに、第1の剥離シート31及び/又は第2の剥離シート32を他の剥離シートに貼り替える場合に、当該他の剥離シートの剥離力を、少なくとも第1の剥離シート31又は第2の剥離シート32の剥離力よりも高くすればよく、通常よりも低く抑えることもできる。そのため、剥離シートの貼り替えに自由度があり、種々の剥離シートに貼り替えることができる。また、貼り替えを繰り返した場合にも、剥離シートの剥離力が高くなり過ぎることを抑制することができ、剥離シートの剥離性を良好に維持することができる。
【0025】
なお、第1の剥離シート31及び第2の剥離シート32の剥離力が10mN/25mm以上であることにより、第1の剥離シート31及び第2の剥離シート32は、加工、搬送等の工程中に第1の粘着剤層21及び第2の粘着剤層22に密着して、それらを保護することができる。
【0026】
本実施形態に係る両面粘着シート1における第1の剥離シート31の剥離力と第2の剥離シート32の剥離力との差(絶対値)は5mN/25mm以下であり、4mN/25mm以下であることが好ましく、特に2mN/25mm以下であることが好ましい。上記のように、第1の剥離シート31と第2の剥離シート32との剥離力の差が5mN/25mm以下と小さいことにより、前述の剥離力と相まって、当該両面粘着シート1において、第1の剥離シート31を粘着積層体2から剥離した場合に、粘着積層体2が第2の剥離シート32から剥がれてしまう浮きが発生することも、第2の剥離シート32を粘着積層体2から剥離した場合に、粘着積層体2が第1の剥離シート31から剥がれてしまう浮きが発生することも防止される。
【0027】
また、上記のように剥離力差が小さいことにより、第1の剥離シート31及び第2の剥離シート32のどちらを先に剥離しても作業性に問題はなく、したがって、剥離順序を区別する必要がないという利点がある。なお、上記剥離力の差は絶対値であり、第1の剥離シート31の剥離力及び第2の剥離シート32の剥離力のどちらが大きくても小さくてもよい。なお、上記剥離力の測定方法は、後述する試験例に示す通りである。
【0028】
(1)基材
本実施形態に係る両面粘着シート1の基材20は、第1の粘着剤層21及び第2の粘着剤層22を支持し、粘着積層体2に所定の剛性を与える機能を有する。すなわち、両面粘着シート1が基材20を有することにより、粘着積層体2全体としての剛性が増し、これにより片方の剥離シートを剥がす際、もう一方の剥離シートと粘着剤層との界面で発生する浮きや剥がれを有効に防止することができる。
【0029】
前述した通り、基材20の厚さは1〜5μmであり、1〜4μmであることが好ましく、特に1〜2μmであることが好ましい。基材20の厚さが5μmを超えると、粘着積層体2について必要とされる薄さが得られない。また、基材20の厚さが1μm未満であると、粘着積層体2の基材としての機能を十分に果たせなくなる。
【0030】
基材20としては、上記の厚みを満たし、第1の粘着剤層21及び第2の粘着剤層22を積層することができるものであれば特に限定されるものではない。
【0031】
かかる基材20としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のポリオレフィンフィルム、トリアセチルセルロース等のセルロースフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリウレタンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポリフェニルサルホンフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、アラミドフィルム、ナイロンフィルム、アクリル樹脂フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、シクロオレフィン樹脂フィルム等のプラスチックフィルム;アルミニウム、銅等の金属箔;不織布;又はこれらの2種以上の積層体等を主体とするものが好ましい。なお、「主体とする」とは、それらよりも薄い所望の層を備えていてもよいことを意味する。
【0032】
上記の中でも、薄膜化が容易で平滑性の高いプラスチックフィルムが好ましく、中でも機械的強度や経済性に優れたポリオレフィンフィルム及びポリエステルが好ましく、特にポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
【0033】
プラスチックフィルムにおいては、その表面に設けられる第1の粘着剤層21及び第2の粘着剤層22との密着性を向上させる目的で、所望により酸化法や凹凸化法などによる表面処理、あるいはプライマー処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ放電処理、クロム酸化処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン、紫外線照射処理などが挙げられ、また、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶射処理法などが挙げられる。これらの表面処理法は、樹脂フィルムの種類に応じて適宜選ばれるが、一般にコロナ放電処理法が効果及び操作性の面から好ましく用いられる。
【0034】
(2)第1の粘着剤層/第2の粘着剤層
本実施形態に係る両面粘着シート1における第1の粘着剤層21及び第2の粘着剤層22の厚みは、前述した通り、それぞれ1〜5μmであり、1〜4μmであることが好ましく、特に1.5〜2.5μmであることが好ましい。第1の粘着剤層21又は第2の粘着剤層22の厚さが5μmを超えると、粘着積層体2について必要とされる薄さが得られない。また、第1の粘着剤層21又は第2の粘着剤層22の厚さが1μm未満であると、粘着力が低くなりすぎて、粘着剤としての機能を安定して発揮することができない。
【0035】
第1の粘着剤層21及び第2の粘着剤層22を形成する粘着剤としては、上記の厚みで所望の粘着力を発揮するものであれば、特に限定されるものではない。かかる粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤等のいずれであってもよい。また、粘着剤は、エマルション型、溶剤型または無溶剤型のいずれでもよく、架橋タイプまたは非架橋タイプのいずれであってもよい。上記の中でも、薄膜での粘着性及び取扱い性に優れたアクリル系粘着剤が好ましい。
【0036】
アクリル系粘着剤としては、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を含有するものが好ましく、さらには当該(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が架橋剤(B)によって架橋されたものを含有することが好ましい。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの両方を意味する。他の類似用語も同様である。また、「重合体」には「共重合体」の概念も含まれるものとする。
【0037】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマーとして、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含有することが好ましい。これにより、得られる粘着剤は、好ましい粘着性を発現することができる。また、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、架橋剤(B)と反応する官能基を有するモノマー(反応性官能基含有モノマー)と、所望により用いられる他のモノマーとの共重合体であることが特に好ましい。
【0038】
アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸n−ドデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。中でも、粘着性をより向上させる観点から、アルキル基の炭素数が1〜8の(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、(メタ)アクリル酸n−ブチルが特に好ましい。なお、これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0039】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを60〜100質量%含有することが好ましく、特に70〜98質量%含有することが好ましく、さらには80〜96質量%含有することが好ましい。
【0040】
上記反応性官能基含有モノマーとしては、分子内に水酸基を有するモノマー(水酸基含有モノマー)、分子内にカルボキシル基を有するモノマー(カルボキシル基含有モノマー)、分子内にアミノ基を有するモノマー(アミノ基含有モノマー)などが好ましく挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0041】
水酸基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル等が挙げられる。中でも、得られる(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)における水酸基の架橋剤(B)との反応性および他の単量体との共重合性の点から(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルが好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0042】
カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸が挙げられる。中でも、得られる(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)におけるカルボキシル基の架橋剤(B)との反応性および他の単量体との共重合性の点からアクリル酸が好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0043】
アミノ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸n−ブチルアミノエチル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0044】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、反応性官能基含有モノマーを0〜25質量%含有することが好ましく、特に0.1〜10質量%含有することが好ましく、さらには0.3〜5質量%含有することが好ましい。
【0045】
上記他のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の脂肪族環を有する(メタ)アクリル酸エステル、アクリルアミド、メタクリルアミド等の非架橋性のアクリルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノプロピル等の非架橋性の3級アミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル、酢酸ビニル、スチレンなどが挙げられる。これらのモノマー、特に酢酸ビニルを使用することにより、得られる粘着剤のガラス転移温度(Tg)等を調整することができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0046】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として酢酸ビニルを含有する場合、酢酸ビニルを0〜10質量%含有することが好ましく、特に0.1〜8質量%含有することが好ましく、さらには1〜5質量%含有することが好ましい。
【0047】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重合態様は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。
【0048】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重量平均分子量は20万〜300万であることが好ましく、特に40万〜200万であることが好ましく、さらには60万〜120万であることが好ましい。なお、本明細書における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定したポリスチレン換算の値である。
【0049】
なお、アクリル系粘着剤において、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0050】
架橋剤(B)としては、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が有する反応性官能基と反応するものであればよく、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アミン系架橋剤、メラミン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、ヒドラジン系架橋剤、アルデヒド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、アンモニウム塩系架橋剤等が挙げられる。上記の中でも、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が有する反応性官能基が水酸基の場合、水酸基との反応性に優れたイソシアネート系架橋剤を使用することが好ましく、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が有する反応性官能基がカルボキシル基の場合、カルボキシル基との反応性に優れたエポキシ系架橋剤を使用することが好ましい。なお、架橋剤(B)は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0051】
イソシアネート系架橋剤は、少なくともポリイソシアネート化合物を含むものである。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネートなど、及びそれらのビウレット体、イソシアヌレート体、さらにはエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体などが挙げられる。中でも水酸基との反応性の観点から、トリメチロールプロパン変性の芳香族ポリイソシアネート、特にトリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネートおよびトリメチロールプロパン変性キシリレンジイソシアネートが好ましい。
【0052】
エポキシ系架橋剤としては、例えば、1,3−ビス(N,N’−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン等が挙げられる。
【0053】
架橋剤(B)の使用量は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましく、特に0.3〜5質量部であることが好ましく、さらには0.3〜3質量部であることが好ましい。
【0054】
重合体を構成するモノマー単位として反応性官能基含有モノマーを含む(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)と、架橋剤(B)とを含有する粘着性組成物を加熱等すると、架橋剤(B)は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を構成する反応性官能基含有モノマーの反応性官能基と反応する。これにより、架橋剤(B)によって(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が架橋された構造が形成され、得られる粘着剤層の強度や耐久性が向上する。
【0055】
第1の粘着剤層21及び第2の粘着剤層22を形成する粘着剤には、粘着付与剤を添加してもよい。粘着付与剤を添加することにより、薄膜の第1の粘着剤層21及び第2の粘着剤層22が所望の粘着力を発揮し易くなる。
【0056】
粘着付与剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、重合ロジン、重合ロジンエステル、ロジン誘導体等のロジン系樹脂、ポリテルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂及びその水素化物、テルペンフェノール樹脂、クマロン・インデン樹脂、脂肪族系石油系樹脂、芳香族系石油樹脂及びその水素化物、脂肪族/芳香族共重合体石油樹脂、スチレン又は置換スチレンの低分子質量合体などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0057】
粘着付与剤を添加する場合、高い粘着力及び低い剥離力を両立する観点から、粘着付与剤の含有量は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)100質量部に対して、好ましくは2〜90質量部、より好ましくは15〜70質量部である。
【0058】
上記の中でも、重合ロジンエステルと、芳香族変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、脂肪族石油樹脂、芳香族石油樹脂、脂肪族/芳香族共重合体石油樹脂、及び重合ロジンエステルを除くロジン系樹脂から選ばれる少なくとも1種との組合せを用いることが好ましく、特に、重合ロジンエステルと、芳香族石油樹脂との組合せを用いることが好ましい。これにより、粘着力と、曲面貼付性との両面において優れた特性を発揮することができる。
【0059】
このような観点から、重合ロジンエステルは、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)100質量部に対して、好ましくは1〜50質量部、より好ましくは10〜40質量部添加される。同様の観点から、芳香族石油樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)100質量部に対して、好ましくは1〜40質量部、より好ましくは5〜30質量部添加される。
【0060】
第1の粘着剤層21及び第2の粘着剤層22を形成する粘着剤は、他の成分を含有してもよい。そのような成分としては、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、軟化剤、シランカップリング剤、充填剤等の添加剤が挙げられる。
【0061】
第1の粘着剤層21及び第2の粘着剤層22は、それぞれ異なる粘着剤から形成されていてもよいが、同一の粘着剤から形成されていることが好ましい。第1の粘着剤層21及び第2の粘着剤層22が同一の粘着剤から形成されていると、第1の剥離シート31の剥離力と第2の剥離シート32の剥離力との差を小さくし易くすることができ、特に第1の剥離シート31及び第2の剥離シート32が同一の材料からなるときに、第1の剥離シート31の剥離力と第2の剥離シート32の剥離力との差をなくすることができる。また、第1の粘着剤層21の粘着力及び第2の粘着剤層22の粘着力を同一にし易くすることができ、両面粘着シート1の使用時に、第1の粘着剤層21と第2の粘着剤層22とを使い分ける必要がない。
【0062】
第1の粘着剤層21及び第2の粘着剤層22のJIS Z0237:2009に準拠したステンレススチール板(#360研磨面)に対する粘着力は、それぞれ2000〜30000mN/25mmであることが好ましく、特に3000〜20000mN/25mmであることが好ましく、さらには5000〜15000mN/25mmであることが好ましい。また、第1の粘着剤層21の粘着力及び第2の粘着剤層22の粘着力は、同一であることが好ましい。
【0063】
(3)第1の剥離シート/第2の剥離シート
本実施形態に係る両面粘着シート1において、第1の剥離シート31は、その剥離面が第1の粘着剤層21に接触するように第1の粘着剤層21と積層されており、第2の剥離シート32は、その剥離面が第2の粘着剤層22に接触するように第2の粘着剤層22と積層されている。なお、本明細書における剥離シートの剥離面とは、剥離シートにおいて剥離性を有する面をいい、剥離処理を施した面および剥離処理を施さなくても剥離性を示す面のいずれをも含むものである。
【0064】
本実施形態に係る両面粘着シート1における第1の剥離シート31及び第2の剥離シート32としては、前述した剥離力及び剥離力差を有するものであれば、特に限定されるものではない。
【0065】
かかる第1の剥離シート31及び第2の剥離シート32としては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン酢酸ビニルフィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム等が用いられる。また、これらの架橋フィルムも用いられる。さらに、これらの積層フィルムであってもよい。
【0066】
上記第1の剥離シート31及び第2の剥離シート32の剥離面には、剥離処理が施されていることが好ましい。剥離処理に使用される剥離剤としては、例えば、シリコーン系、フッ素系、アルキッド系、不飽和ポリエステル系、ポリオレフィン系、ワックス系の剥離剤が挙げられる。第1の粘着剤層21及び第2の粘着剤層22がアクリル系粘着剤からなる場合、上記の中でも、シリコーン系剥離剤が好ましい。シリコーン系剥離剤によれば、第1の剥離シート31及び第2の剥離シート32が前述した剥離力及び剥離力差を有し易いものとなる。
【0067】
シリコーン系剥離剤としては、例えば、1分子中に少なくとも2個のアルケニル基(例えばビニル基)を有する第1のオルガノポリシロキサンおよび1分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する第2のオルガノポリシロキサン(架橋剤に該当)から得られる付加反応型シリコーン樹脂と、シリコーンレジンとを含有するものを好ましく使用することができる。シリコーンレジンとしては、例えば、一官能シロキサン単位[(CH
3)
3SiO
1/2]であるM単位と、四官能シロキサン単位[SiO
4/2]であるQ単位とから構成されるMQレジンを使用することができる。上記のようなシリコーン系剥離剤においては、付加反応型シリコーン樹脂の骨格により剥離剤層の硬さを調節し、シリコーンレジンの配合量により表面極性を調節することによって、所望の剥離力を得ることができる。
【0068】
第1の剥離シート31及び第2の剥離シート32の厚さは、特に制限はないが、薄膜の粘着積層体2に対応する厚さであることが好ましく、12〜100μmであることが好ましく、特に20〜75μmであることが好ましく、さらには25〜38μmであることが好ましい。
【0069】
第1の剥離シート31及び第2の剥離シート32は、それぞれ異なる材料からなってもよいが、同一の材料からなることが好ましい。第1の剥離シート31及び第2の剥離シート32が同一の材料からなると、第1の剥離シート31の剥離力と第2の剥離シート32の剥離力との差を小さくし易くすることができ、特に第1の粘着剤層21及び第2の粘着剤層22が同一の粘着剤から形成されているときに、第1の剥離シート31の剥離力と第2の剥離シート32の剥離力との差をなくすことができる。
【0070】
〔両面粘着シートの製造方法〕
本実施形態に係る両面粘着シート1は、常法によって製造することができるが、第1の粘着剤層21の粘着力及び第2の粘着剤層22の粘着力を制御するには、以下の方法によって製造することが好ましい。
【0071】
第1の剥離シート31の剥離面に第1の粘着剤層21を形成し、形成された第1の粘着剤層21を、基材20の一方の面に積層(転写)する。また、第2の剥離シート32の剥離面に第2の粘着剤層22を形成し、形成された第2の粘着剤層22を、基材20の他方の面に積層(転写)する。
【0072】
第1の粘着剤層21は、当該第1の粘着剤層21を構成する粘着剤と、所望によりさらに溶媒とを含有する塗布剤を調製し、ロールコーター、ナイフコーター、ロールナイフコーター、エアナイフコーター、ダイコーター、バーコーター、グラビアコーター、カーテンコーター等の塗工機によって第1の剥離シート31の剥離面に塗布して乾燥させることにより形成することができる。第2の粘着剤層22も、同様にして第2の剥離シート32の剥離面に塗布して乾燥させることにより形成することができる。
【0073】
従来の製造方法では、第1の剥離シートの剥離面に第1の粘着剤層を形成し、形成された第1の粘着剤層を、基材20の一方の面に積層(転写)した後、基材20の他方の面に、第2の粘着剤層22を直接形成していた。この場合、第2の粘着剤層22を構成する粘着剤を基材20の他方の面に塗布し、乾燥するときに、基材20の一方の面に形成された第1の粘着剤層にも熱が印加され、これにより第1の粘着剤層の粘着力は低下していた。これに対し、上記の製造方法によれば、第1の粘着剤層21及び第2の粘着剤層22は別々に形成するため、上記のような粘着力低下の問題が生じることなく、第1の粘着剤層21の粘着力及び第2の粘着剤層22の粘着力を制御することができる。すなわち、第1の粘着剤層21を構成する粘着剤と第2の粘着剤層22を構成する粘着剤とを同一のものにした場合には、第1の粘着剤層21の粘着力と第2の粘着剤層22の粘着力とを同一にすることができる。
【0074】
なお、上記の本実施形態においては、先に第1の粘着剤層21を基材20に積層し、後に第2の粘着剤層22を基材20に積層したが、逆に、先に第2の粘着剤層22を基材20に積層し、後に第1の粘着剤層21を基材20に積層してもよい。
【0075】
〔両面粘着シートの用途〕
本実施形態に係る両面粘着シート1は、種々の部材の接合に用いることができ、特に薄型化が要求されている製品における部材同士の接合に好適に用いることができる。例えば、携帯電話、携帯情報端末、スマートフォン、タブレット端末、ノート型パーソナルコンピュータ、電子辞書、デジタル音楽プレイヤー、デジタル動画プレイヤー、携帯ゲーム機器、携帯型GPS端末、カメラ等の各種電子機器における部材同士の接合に用いることができる。接合対象としての部材としては、例えば、基板、各種電子部品、放熱シート、電磁波遮蔽シート、ガスバリアシート等が挙げられる。
【0076】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0077】
例えば、両面粘着シート1における基材20と第1の粘着剤層21及び/又は第2の粘着剤層22との間に、他の層を備えていてもよい。
【実施例】
【0078】
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
【0079】
〔実施例1〕
1.(メタ)アクリル酸エステル重合体の調製
アクリル酸n−ブチル97質量部、アクリル酸1質量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル0.5質量部、及び酢酸ビニル3質量部を共重合させて、(メタ)アクリル酸エステル重合体を調製した。この(メタ)アクリル酸エステル重合体の分子量を後述する方法で測定したところ、重量平均分子量(Mw)100万であった。
【0080】
2.粘着剤の調製
上記の工程1で得られた(メタ)アクリル酸エステル重合体100質量部(固形分換算値;以下同じ)と、架橋剤としてのトリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート(日本ポリウレタン社製,商品名「コロネートL」)1質量部と、粘着付与剤としての重合ロジンエステル(ハリマ化成社製,商品名「ハリタックFK100」)30質量部と、粘着付与剤としての芳香族石油樹脂(三井化学社製,商品名「FTR6100」)20質量部とを混合し、十分に撹拌し、メチルエチルケトンで希釈することにより、粘着剤の塗布溶液(固形分10質量%)を得た。
【0081】
3.第1の粘着剤層の形成
第1の剥離シートとして、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの片面をシリコーン系剥離剤で剥離処理した剥離シート(リンテック社製,SP−PET1130,厚み:25μm)を用意した。上記の工程2で得られた粘着剤の塗布液を、上記第1の剥離シートの剥離処理面に、乾燥後の厚みが2μmになるようにナイフコーターで塗布したのち、90℃で1分間加熱処理して第1の粘着剤層を形成した。
【0082】
形成された第1の粘着剤層を、基材としてのPETフィルム(三菱樹脂社製,商品名「ダイアホイルK100−2.0W」,厚さ:2μm)の一方の面に貼合して積層(転写)し、第1の剥離シート/第1の粘着剤層/基材からなる積層体を得た。
【0083】
4.両面粘着シートの作製
第2の剥離シートとして、PETフィルムの片面をシリコーン系剥離剤で剥離処理した剥離シート(リンテック社製,SP−PET1130,厚み:25μm)を用意した。上記の工程2で得られた粘着剤の塗布液を、上記第2の剥離シートの剥離処理面に、乾燥後の厚みが2μmになるようにナイフコーターで塗布したのち、90℃で1分間加熱処理して第2の粘着剤層を形成した。
【0084】
形成された第2の粘着剤層を、上記の工程3で得られた積層体における基材の他方の面(露出面)に貼合して積層(転写)し、第1の剥離シート/第1の粘着剤層/基材/第2の粘着剤層/第2の剥離シートからなる両面粘着シートを得た。
【0085】
〔実施例2〕
実施例1の工程2で得られた粘着剤の塗布液を、実施例1の工程3で得られた積層体における基材の他方の面(露出面)に、乾燥後の厚みが2μmになるようにナイフコーターで塗布したのち、90℃で1分間加熱処理して第2の粘着剤層を形成した。
【0086】
形成された第2の粘着剤層に対して、実施例1と同じ第2の剥離シートを、その剥離処理面が第2の粘着剤層に接するように、当該第2の剥離シートを貼合して積層し、第1の剥離シート/第1の粘着剤層/基材/第2の粘着剤層/第2の剥離シートからなる両面粘着シートを得た。
【0087】
〔比較例1〕
第1の剥離シート及び第2の剥離シートとして、PETフィルムの片面をシリコーン系剥離剤で剥離処理した剥離シート(リンテック社製,SP−PET1031,厚み:25μm)を使用する以外、実施例1と同様にして両面粘着シートを作製した。
【0088】
〔比較例2〕
第1の剥離シートとして、PETフィルムの片面をシリコーン系剥離剤で剥離処理した剥離シート(リンテック社製,SP−PET1031,厚み:25μm)を使用する以外、実施例1と同様にして両面粘着シートを作製した。
【0089】
ここで、前述した重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定(GPC測定)したポリスチレン換算の重量平均分子量である。
<測定条件>
・GPC測定装置:東ソー社製,HLC−8020
・GPCカラム(以下の順に通過):東ソー社製
TSK guard column HXL−H
TSK gel GMHXL(×2)
TSK gel G2000HXL
・測定溶媒:テトラヒドロフラン
・測定温度:40℃
【0090】
〔試験例1〕(剥離力の測定)
実施例及び比較例で得られた両面粘着シートを125mm×25mmに裁断し、23℃、50%RHの環境下で、上記両面粘着シートから第2の剥離シートを剥離し、露出した第2の粘着剤層を、PETフィルム(東レ社製,商品名「ルミラーT−61M」,厚み:25μm)に貼付した。そして、得られた積層体のPETフィルム側を、ステンレススチール板に固定した。
【0091】
次いで、23℃、50%RHの環境下で、ISO 8510−2:1990に準じて、上記積層体から第1の剥離シートを180°方向に引張速度300mm/分で剥離したときの力を測定し、これを剥離力(mN/25mm)とした。また、同様にして、第2の剥離シートを剥離したときの剥離力を測定した。結果を表1に示す。
【0092】
〔試験例2〕(剥離性評価)
実施例及び比較例で得られた両面粘着シートにおいて、第1の剥離シートと第1の粘着剤層との間に剥離の起点部分を作り、第1の剥離シートを第1の粘着剤層から剥離した。このとき、粘着剤層(第2の粘着剤層)と第2の剥離シートとの間で浮きが発生するかどうか、目視にて確認した。その結果、浮きが無かったものを○、浮きがあったものを×と評価した。
【0093】
また、同様にして、第2の剥離シートを剥離したときに、粘着剤層(第1の粘着剤層)と第1の剥離シートとの間で浮きが発生するかどうか、目視にて確認し、評価した。結果を表1に示す。
【0094】
〔試験例3〕(粘着力の測定)
実施例及び比較例で得られた両面粘着シートを250mm×25mmに裁断し、23℃、50%RHの環境下で、上記両面粘着シートから第2の剥離シートを剥離し、露出した第2の粘着剤層を、PETフィルム(東レ社製,商品名「ルミラーT−61M」,厚み:25μm)に貼付した。次いで、上記両面粘着シートから第1の剥離シートを剥離し、露出した第1の粘着剤層を、ステンレススチール板(#360研磨面)に貼付した。
【0095】
その後、23℃、50%RHの環境下で、JIS Z0237:2009に準じて、上記ステンレススチール板から上記両面粘着シートを180°方向に引張速度300mm/分で剥離したときの力を測定し、これを粘着力(mN/25mm)とした。また、同様にして、第2の粘着剤層をステンレススチール板から剥離するときの粘着力を測定した。結果を表1に示す。
【0096】
【表1】
【0097】
表1から分かるように、実施例1及び2で得られた両面粘着シートは、いずれから剥離シートを剥離した場合であっても、剥離力は同じであり、また、浮きが生じることがなかった。また、実施例1で得られた両面粘着シートでは、第1の粘着剤層も第2の粘着剤層も同じ粘着力を示した。