特許第6197105号(P6197105)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6197105複合材料のスタックを形成するためのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6197105
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】複合材料のスタックを形成するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   B29C 70/46 20060101AFI20170904BHJP
   B29C 51/30 20060101ALI20170904BHJP
   B29C 51/08 20060101ALI20170904BHJP
   B29K 105/08 20060101ALN20170904BHJP
【FI】
   B29C70/46
   B29C51/30
   B29C51/08
   B29K105:08
【請求項の数】12
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-512397(P2016-512397)
(86)(22)【出願日】2013年5月8日
(65)【公表番号】特表2016-518281(P2016-518281A)
(43)【公表日】2016年6月23日
(86)【国際出願番号】ES2013070291
(87)【国際公開番号】WO2014181003
(87)【国際公開日】20141113
【審査請求日】2016年5月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】515311028
【氏名又は名称】アプラス サーヴィセス テクノロヒコス ソシエダ リミターダ
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブルファウ レドンド,ホルディ
【審査官】 辰己 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−501140(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0023728(US,A1)
【文献】 特表2014−519995(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0083620(US,A1)
【文献】 特開平03−083624(JP,A)
【文献】 米国特許第05173314(US,A)
【文献】 特表2008−521645(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0108057(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C70/00−70/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合材料のスタックを形成するためのシステムであって、
複合材料のスタック(2)がその上に配置されるフォーム(1)であり、成形されたスタック(2’)を得るために前記複合材料のスタック(2)に提供することが望ましい断面を画成しているフォーム(1)と、
前記フォーム(1)と協働して、前記成形スタック(2’)を形成し得るカウンタフォーム(3)とを備えている前記システムにおいて、前記システムがさらに、
少なくとも膜、織物、複数のロッド、プレート又はブランケットである変形可能な遷移要素(4)であって、当該遷移要素(4)の端部の一方における最初の断面から他端部までの長手方向に沿って、前記フォーム(1)により画成された前記最初の断面から他端部までの様々な断面形状に適応可能な遷移要素(4)とを備えていることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記カウンタフォーム(3)、又は、前記複合材料のスタック(2)、若しくは前記遷移要素(4)が前記システムに沿って長手方向に移動可能である、請求項1に記載の複合材料のスタックを形成するためのシステム。
【請求項3】
前記遷移要素(4)が熱を提供する、請求項1に記載の複合材料のスタックを形成するためのシステム。
【請求項4】
前記遷移要素(4)が前記複合材料のスタック(2)より上及び/又はより下に配置される、請求項1又は3に記載の複合材料のスタックを形成するためのシステム。
【請求項5】
前記カウンタフォーム(3)が前記フォーム(1)の断面に適応することができる、請求項1に記載の複合材料のスタックを形成するためのシステム。
【請求項6】
前記カウンタフォーム(3)が可撓性容器から成る、請求項5に記載の複合材料のスタックを形成するためのシステム。
【請求項7】
前記カウンタフォーム(3)を形成している前記可撓性容器が充填材を含む、請求項6に記載の複合材料のスタックを形成するためのシステム。
【請求項8】
前記充填材が複数の粒子である、請求項7に記載の複合材料のスタックを形成するためのシステム。
【請求項9】
前記フォーム(1)の断面形状が当該フォーム(1)の長さに沿って異なる、請求項1に記載の複合材料のスタックを形成するためのシステム。
【請求項10】
前記フォーム(1)及び前記カウンタフォーム(3)が前記長手方向ロッドの端部の一方に配置された支持体により形成されている、請求項1に記載の複合材料のスタックを形成するためのシステム。
【請求項11】
前記フォーム(1)を形成している前記長手方向ロッドが前記複合材料のスタック(2)より下に配置される、請求項10に記載の複合材料のスタックを形成するためのシステム。
【請求項12】
前記カウンタフォーム(3)を形成している前記長手方向ロッドが前記複合材料のスタック(2)より上に配置される、請求項10に記載の複合材料のスタックを形成するためのシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合材料のスタックを形成するシステムに関し、このシステムは、プリプレグ複合材料のスタック(積層体)を形成するためのシステムの技術分野、特には、これらのスタックのプロファイルの連続製造のためのシステムの分野における用途を有する。
【0002】
このシステムは、様々な物理的エンティティ及び段階から形成される複合材料のスタックを形成するプロセスを自動化することを目的とし、これらのエンティティ及び段階の個数は、これらの複合材料のスタックの複雑なジオメトリ(形状寸法)を形成するための高い融通性を有する。
【背景技術】
【0003】
はじめに、積層された複合材料(例えば、樹脂を予め含浸させた炭素繊維シート又はガラス繊維「プリプレグ」(“prepreg”)から形成されたもの)から得られる部材が、航空機産業部品(縦通材、補剛材、及び構造補強材を含む)等の産業で広く用いられていることは公知である。これらの部品は、低重量、及び、高い機械的強度(特定の耐性)により特徴付けられる。
【0004】
複合ラミネートの連続形成のための既存の技術の1つは、ローラ及びマンドレルのシステム(ロール成形)に基づいている。このシステムは、当初、金属部材を製造するために考案された。金属ローラが複合材をマンドレルの面に押し付け、複合材をデバルクして複合材をマンドレルの形状にする。次いで、得られた部品をオートクレーブ内で硬化する。
【0005】
特許文献1は、補剛材、及び、複合材の補強のためのその他の要素を形成するための装置を開示している。この装置は、長手方向のマンドレルをその上部に有するベースを備えている。マンドレルは、その上に配置されるラミネートに与えられるべき形状を有する。また、この装置は、1又は複数の支持体に組み付けられた1又は複数のローラを備え、これにより、ローラは、複合材上を転がり、複合材をマンドレルに押し付けて成形し、所望の形状寸法を有する複合材部材を得て、硬化され得る状態にする。ローラの圧延面は、マンドレルの断面に対して相補的な構造を有する。この装置は、厚さの変化や曲げ部を有する真直な構造の部材を製造することは可能にするが、より複雑な形状寸法(例えば、障害(揺れ)、ねじれた幾何学的形状などを克服するために面が変化する形状寸法)は製造できない。
【0006】
さらに、単純な形状寸法、例えば、オメガ形状の断面を有する部品を得るためであっても、それぞれの圧力調整システムが全てに備えられている複数のローラを有することが必要であり、これは、このようなシステムの構造をより複雑で高価にし、そして、ローラが複合材に作用するときの皺の発生により得られる部品の品質を危うくする。
【0007】
これらの公知のシステムの主な欠点は、このような形状寸法の変化がローラの変更を伴うゆえに、可変断面のラミネートを形成できないことである。
【0008】
これらの欠点を克服するために、本出願と同一の出願人による、本出願の出願時には未公開である特許文献2に記載されたシステムが設計された。
【0009】
この特許文献2は、加圧流体をその内部に含んだ油圧式カバーの使用を記載しており、このカバーがラミネートをマンドレルに対して押し付けてラミネートを形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第7249943B2号明細書
【特許文献2】PCT/EP2011/069330号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明の目的は、特許文献2に記載されているシステムを改良し、以下に説明する一連の利点を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
複合材料のスタックを形成するための本発明のこのシステムは、上記の欠点を解決することができ、尚且つ、以下に記載するさらなる利点をもたらす。
【0013】
積層された複合材料を形成するための本発明のシステムは、
− 複合材料のスタックがその上に配置されるフォームであり、成形されたスタックを得るために複合材料のスタックに提供されるべき断面を画成しているフォームと、
− 前記フォームと協働して、前記成形スタックを形成して得るカウンタフォームとを備えており、前記システムは、さらに、
− 変形可能な遷移要素であって、当該遷移要素の端部の一方における最初の断面(好ましくは平坦)から、他端部における、前記フォームにより画成された端部断面へと可変断面となる遷移要素とを備えていることを特徴とする。
【0014】
有利には、前記カウンタフォーム、又は、前記積層された複合材料、若しくは前記遷移要素は、前記システムに沿って長手方向に移動可能である。
【0015】
好ましくは、前記遷移要素は熱を提供し、且つ、前記積層された複合材料より上及び/又はより下に配置される。
【0016】
有利には、前記カウンタフォームが適応性を有し、一実施形態によれば、前記カウンタフォームは可撓性容器により形成される。
【0017】
この実施形態において、前記カウンタフォームを形成している前記可撓性容器は、充填材、例えば複数の粒子を含む。
【0018】
一実施形態によれば、前記遷移要素は、膜又は組織により形成される。
【0019】
また、必要に応じて、前記フォームは、当該フォームの長さに沿って可変の横断面を有する。
【0020】
別の実施形態によれば、前記遷移要素は複数の長手方向ロッドにより構成され、前記フォーム及び前記カウンタフォームは、前記長手方向ロッドの端部の一方に配置された支持体から成る。
【0021】
この実施形態において、前記形状を形成しているこれらの長手方向ロッドは、前記積層された複合材料より下に配置され、前記カウンタフォームを形成している前記長手方向ロッドは、前記積層された複合材料の上に配置される。
【0022】
本発明のシステムは、以下の利点を有する。
【0023】
前記遷移要素がノズルを画成し、このノズルは可撓性であり、且つ、使用されるフォーム及びカウンタフォームに応じて様々な形状寸法に適応可能である。
【0024】
このシステムは、ラミネートの形成中に形状寸法を変更し、それにより、ラミネートの長さに沿って断面が可変のラミネートを得ることを可能にする。このために、前記フォーム及びカウンタフォームは、自在に可変の形状寸法を有することが必要である。
【0025】
このシステムは、厚さ及び組成が可変のラミネートを形成することを可能にする。従って、可変断面、及び、非真直な幾何学的形状を有するラミネートを形成できる。
【0026】
このシステムは、ラミネートをノズルの内側に通すことを自動的に行うことを可能にする。なぜなら、ノズルとラミネートの最初の部分とを同時に形成できるからである。すなわち、ラミネートは、ノズルをフォーム及び最終カウンタフォームを用いて形成する時に、2つの遷移要素間で平坦であり得る。そして、ラミネートの最初の部分は既に部分的に成形されてノズル内に通されている。
【0027】
マンドレル上でローラ(剛性、弾性、可膨張、又は粒子を有する)により成形する重要な利点は、遷移要素が摩擦により牽引力を発生し、これがラミネートをピンと張らせて、ローラの場合にローラにより押圧されているときに形成されてラミネート中で保持されてしまう、皺の発生を防止することである。
【0028】
詳細には、未公開の上記の特許文献PCT/EP2011/069330に関して、本発明の利点は、
− 遷移要素が温度を完全に調整する、
− 遷移要素がラミネート全体に牽引力を加え、これにより、皺の発生を防止する、
− 遷移要素が低温ツーリングに有効であることを可能にする。なぜなら、成形のために用いられる領域のみが加熱されるからであり、熱膨張及び収縮に関する固有の問題を抑制し、これにより、皺を回避し、且つ/又は、本発明のシステムの幾つかの部品に高コストの材料を使用する必要性をなくし、尚且つ、エネルギー消費の削減を可能にする、
− 遷移要素にローラを補足しても、またはしなくてもよい、
− 真直な準線を有するラミネートのために、遷移要素は、マンドレルの長さがラミネートの長さと同一であることを必要としないノズルを形成することを可能にする、
− 特定の形状寸法のために、特別に誂えるのではなく標準的な要素を用いて成形を行うことを可能にする。
【0029】
記載される説明を補足するために、及び、本発明の特徴のより良好な理解を補助するために、以下に一連の図面を、前記説明の一部として添付する。これらの図面は例として提示されるものであり、限定的なものではない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の、複合材料のスタックを形成するための第1の実施形態としてのシステムの斜視図であり、スタックを形成する段階を示す。
図2】本発明の、複合材料のスタックを形成するための、第1の実施形態としてのシステムの斜視図であり、スタックを形成する段階を示す。
図3】本発明の、複合材料のスタックを形成するための、第1の実施形態としてのシステムの斜視図であり、スタックを形成する段階を示す。
図4】本発明の、複合材料のスタックを形成するためのシステムの、前記第1実施形態の代替としての変型例の斜視図である。
図5】本発明の、複合材料のスタックを形成するための第2の実施形態としてのシステムの斜視図であり、スタックを形成する段階を示す。
図6】本発明の、複合材料のスタックを形成するための第2の実施形態としてのシステムの斜視図であり、スタックを形成する段階を示す。
図7】本発明の、複合材料のスタックを形成するための第2の実施形態としてのシステムの斜視図であり、スタックを形成する段階を示す。
図8】本発明の、複合材料のスタックを形成するためのシステムの、前記第2実施形態の代替としての変型例の斜視図である。
図9】本発明の、複合材料のスタックを形成するための第3の実施形態によるシステムの斜視図であり、スタックを形成する段階を示す。
図10】本発明の、複合材料のスタックを形成するための第3の実施形態によるシステムの斜視図であり、スタックを形成する段階を示す。
図11】本発明の、複合材料のスタックを形成するための第3の実施形態によるシステムの斜視図であり、スタックを形成する段階を示す。
図12】本発明の、複合材料のスタックを形成するための第3の実施形態によるシステムの斜視図であり、スタックを形成する段階を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1図3に、第1の実施形態による複合材料のスタックを形成するためのシステムの第1の実施形態が示されている。
【0032】
この第1の実施形態によれば、本発明のシステムは、フォーム1、例えば細長いマンドレル1を含む。このフォーム1は、複雑な幾何学的形状(例えばΩ形状)を有し、この形状は、前記フォーム1上に配置された複合材料のスタック2(図1図3の右側)に提供されることを必要とする幾何学的形状である。
【0033】
また、本発明のシステムは、熱を提供することができる遷移要素4も備えている。これらの遷移要素4の機能は、可撓性で且つ様々な形状寸法に適応可能なノズルを画成することである。
【0034】
熱を提供する場合、遷移要素4は、スタック2を加熱して予備形成(プリフォーム)する機能も有する。前記スタックは、異なるタイプの材料、例えば、約80℃の温度で成形される熱硬化性樹脂材料、及び/又は、約300℃の温度で成形される熱可塑性樹脂材料を含み得る。
【0035】
この場合、前記遷移要素4は、スタック2より上とスタック2より下とに配置され、膜又は組織により形成されることができる。しかし、スタック2より上のみ又は下のみに配置されてもよい。示されている実施形態において、これらの遷移要素4は、組織、例えばサーマルブラケットである。
【0036】
遷移要素4が適応性を有すること、すなわち、フォーム1により画定されている形状に適応できることが重要であることに留意されたい。
【0037】
また、本発明によるシステムは、カウンタフォーム3も備えている。カウンタフォーム3も、この実施形態において、可撓性で且つ適応性を有し、すなわち、前記フォーム1により画定されている形状に適応する。
【0038】
この第1の実施形態によれば、前記カウンタフォーム3は、充填材を収容できる容器、例えばブラダーを含み、充填材は、例えば、粒子、鉛ショット、磁性粒子、又は、圧縮空気、若しくはこれらの組合せである。粒子から成る前記充填材の機能は、カウンタフォーム3が、フォーム1により画定されている複雑な形状(特には、小さい半径寸法が画定されている場合)に、より良好に適応することを可能にすることである。粒子寸法(もしあれば)が、前記複雑な形状に対応するであろうことに留意されたい。
【0039】
示されている実施形態において、前記カウンタフォーム3は、図1図3に示されているように、フォーム1に沿って移動可能である。
【0040】
スタック2を形成するプロセスは、以下の通りである、
【0041】
第1に(図1)、スタックをフォーム1上に長手方向に配置し、遷移要素4を前記スタック2の上下に配置し、この場合、遷移要素4は、スタック2に加熱及び予備成形のための適切な温度を提供する。
【0042】
さらに、前記遷移要素4を、皺が寄ることを回避するために、及び、フォーム1により画定された形状に完全に適応させるために十分に引張させなければならない。最初の形状寸法は、遷移要素の前方に配置された2つの平坦なスチールプレート5により与えられる。
【0043】
前記スタック2が適切な温度になったならば(図2)、カウンタフォーム3をフォーム1に沿って、図3の矢印により示されている方向に移動させる。カウンタフォームが遷移要素上に配置されたならば、カウンタフォームは、遷移要素4の端部をフォームに押し付け、遷移要素4がフォームの幾何学的形状となることを要求する。こうして、図2に示されているように遷移ノズルが形成され、この遷移ノズル上にスタックの端部が通される。こうして、遷移ノズルはラミネート2の端部が内側にある状態でコンフォーム(順応)され、また、ラミネート2の遷移部もコンフォームされ、且つ、ノズルに通される。
【0044】
次いで、図3に示されているように、ノズルを形成しているセットを、スタック及びマンドレルに沿って移動させ、それにより、スタックをその全長に沿って形成する(2’)。
【0045】
図4に、この第1の実施形態の変型例が示されており、この変型例においては、フォーム1の断面が可変になっている。この場合、遷移要素4及びカウンタフォーム3がフォームに沿って移動されると、遷移要素4の断面も、遷移要素4が可撓性で且つ適応性を有することにより、遷移要素4の長さに沿って変化する。そして、ラミネート2を、フォーム1の全長における異なる断面に適応させ、且つ、フォーム1が呈するカーブ部にも適応させながら成形することになる。
【0046】
図5図7に、本発明のシステムによる第2の実施形態が示されている。簡略化のため、この実施形態の説明において、等価要素を示すために同一の参照番号を用いる。
【0047】
第1実施形態と比較して、この実施形態においては、遷移要素4(ブランケットでもある)により画成されたノズル、フォーム1、及び、カウンタフォーム3は不動のままであり、ラミネート2がノズルを通過して引き出される。従って、ラミネート2は一方の側から平坦な形状で入り、そして形成されて、他方の側から出ていく。
【0048】
ラミネート2の端部を、まだ平坦な状態である2つの遷移要素4の間に配置する。遷移要素4を加熱すると、ラミネート2も加熱される。次いで、遷移要素4の後端が、フォーム1とカウンタフォーム3との間で押圧された状態で拘束される。
【0049】
こうして、遷移ノズルが、ラミネート2の端部が内側にあり、尚且つラミネート2の遷移部が順応している状態で構成される。次いで、ラミネート2を、このようにして形成されたノズルを通して引き出すと、ラミネート2は加熱及び成形されている。
【0050】
図8に、この実施形態の変型例が示されている。この変型例において、フォーム1及びカウンタフォーム3の断面は可変である。
【0051】
図9図12に、本発明のシステムの第3の実施形態が示されている。簡略化のため、この実施形態の説明において、等価要素を示すために同一の参照番号を用いる。
【0052】
この実施形態において、遷移要素4は複数の長手方向ロッドにより形成され、前記ロッドは可撓性ノズルを形成するとみなされる。なぜなら、遷移要素4の相対位置を、図に見られるように、遷移要素4間で鉛直方向及び横方向にて変更できるからである。この場合、ロッドが、フォーム1及びカウンタフォーム3により画成された形状に完全に適応するための適切な直径を有するであろうことも理解されよう。
【0053】
この第3の実施形態において、フォーム1及びカウンタフォーム3は、前記ロッドの端部の一方に配置された支持体により形成され、フォーム1を成す支持体がラミネート2より下にあり、カウンタフォーム3を成す支持体がラミネート2より上にある。
【0054】
図12における矢印で示されているように、前記支持体は、ラミネート2の望ましい断面を画成するために鉛直方向及び横方向に移動可能である。
【0055】
この第3の実施形態において、第2の実施形態と同様に、ラミネート2の形成が、図11における矢印で示されているように同一のラミネート2から引き出して行われる。
【0056】
この説明及び一連の図から鑑みて、当業者は、以上に記載してきた本発明の実施形態を、本発明の目的内で複数の方法で組み合わせられることを理解するであろう。本発明を、本発明の幾つかの好ましい実施形態に従って記載してきたが、前記好ましい実施形態に複数の変更を、請求項に係る発明の目的から逸脱せずに導入できることが、当業者には明白であろう。
【符号の説明】
【0057】
1 フォーム
2 スタック(ラミネート)
2’ 成形されたスタック
3 カウンタフォーム
4 遷移要素
5 スチールプレート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12