特許第6197111号(P6197111)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6197111
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】ガイドワイヤ
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/09 20060101AFI20170904BHJP
【FI】
   A61M25/09 514
   A61M25/09 550
【請求項の数】14
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-524369(P2016-524369)
(86)(22)【出願日】2014年7月3日
(65)【公表番号】特表2016-526453(P2016-526453A)
(43)【公表日】2016年9月5日
(86)【国際出願番号】US2014045385
(87)【国際公開番号】WO2015003121
(87)【国際公開日】20150108
【審査請求日】2016年1月27日
(31)【優先権主張番号】61/842,692
(32)【優先日】2013年7月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】アブナー、ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ワラク、スティーブン イー.
(72)【発明者】
【氏名】ガフニー、ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】シュトルベック、ジーン ティ.
【審査官】 安田 昌司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−168717(JP,A)
【文献】 特表2006−508739(JP,A)
【文献】 特開2004−000455(JP,A)
【文献】 特表2000−506052(JP,A)
【文献】 特表2006−519060(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0276033(US,A1)
【文献】 特開2004−230142(JP,A)
【文献】 特表2007−511308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/00−25/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療処置を行うためのガイドワイヤであって、
中心コアであって、
第1の外径および先端側の面を有する第1領域であって、前記先端側の面が第1領域の先端面である第1領域と、
前記第1領域の先端側に位置し、前記第1の外径と異なる第2の外径を有し、基端側の面を有している第2領域であって、前記第1領域の先端側の面の少なくとも一部が前記第2領域の基端側の面の一部に対して角度をなす第2領域と、を有している中心コアと、
前記第1領域を囲む第1被覆部であって、該第1被覆部と前記第1領域とが第1被覆領域を形成し、前記第1被覆部が前記第1領域の先端面に先端部を有しており、前記第1被覆領域が第3の外径を有している第1被覆部と、
前記第2領域全体を囲む第2被覆部であって、該第2被覆部と前記第2領域とが第2被覆領域を形成し、該第2被覆領域が第4の外径を有し、前記第3の外径と前記第4の外径とが略同一である第2被覆部と、を備えている、ガイドワイヤ。
【請求項2】
前記第2領域の基端側の面が、前記第2領域の径方向外側面である、請求項に記載のガイドワイヤ。
【請求項3】
前記先端面が前記径方向外側面に対して略直角をなしている、請求項に記載のガイドワイヤ。
【請求項4】
前記先端面と前記径方向外側面とが曲面にて接合している、請求項に記載のガイドワイヤ。
【請求項5】
前記中心コアが前記第2領域の先端側に位置する第3領域をさらに有し、該第3領域が前記第2の外径と異なる第5の外径を有している、請求項に記載のガイドワイヤ。
【請求項6】
前記中心コアが前記第3領域の先端側に位置する第4領域をさらに有し、該第4領域が前記第5の外径と異なる第6の外径を有し、前記第4領域が前記中心コアの先端を含んでいる、請求項に記載のガイドワイヤ。
【請求項7】
医療処置を行うためのガイドワイヤであって、
中心コアであって、
第1の外径および先端側の面を有する第1領域であって、前記先端側の面が第1領域の先端面である第1領域と、
前記第1領域の先端側に位置し、前記第1の外径と異なる第2の外径を有し、基端側の面を有している第2領域であって、前記第1領域の先端側の面の少なくとも一部が前記第2領域の基端側の面の一部に対して角度をなす第2領域と、
前記第2領域の先端側に位置し、前記第2の外径と異なる第3の外径を有している第3領域と、
前記第3領域の先端側に位置し、前記第3の外径と異なる第4の外径を有している第4領域とを有しており、前記第3領域が前記第2の外径から前記第4の外径に至るテーパー部を含んでいる、中心コアと、
前記第1領域を囲む第1被覆部であって、該第1被覆部と前記第1領域とが第1被覆領域を形成し、前記第1被覆部が前記第1領域の先端面に先端部を有しており、前記第1被覆領域が第5の外径を有している第1被覆部と、
前記第2領域全体と前記第3領域の少なくとも一部とを囲む第2被覆部であって、該第2被覆部と前記第2領域とが第6の外径を有している第2被覆領域を形成し、前記第5の外径と前記第6の外径とが略同一である第2被覆部と、
前記第4領域と前記第3領域の少なくとも一部とを囲む第3被覆部と、を備えており、前記第2被覆部の最も先端側に位置する先端と第3被覆部の最も基端側に位置する基端との間の連結部が、前記第3領域のテーパー部に沿って位置している、ガイドワイヤ。
【請求項8】
前記第2被覆部がシースである、請求項に記載のガイドワイヤ。
【請求項9】
前記第2被覆部が第1材料から形成され、前記第3被覆部が前記第1材料と異なる第2材料から形成され、前記ガイドワイヤが前記第2被覆部と第3被覆部との間の連結部にリングを有し、該リングが前記第1材料および第2材料と異なる第3材料により形成されている、請求項に記載のガイドワイヤ。
【請求項10】
前記第2被覆部のうち前記第3領域を囲む部分の壁厚が先端方向に減少する、請求項に記載のガイドワイヤ。
【請求項11】
前記第1領域、第2領域および第4領域が、それぞれ略円柱状である、請求項に記載のガイドワイヤ。
【請求項12】
前記第2被覆部において前記第2領域の先端が前記第3領域の基端に接合する箇所に配置されたX線不透過性の視覚的表示部をさらに有している、請求項に記載のガイドワイヤ。
【請求項13】
前記第3被覆部に配置されたX線不透過性の視覚的表示部をさらに有している、請求項に記載のガイドワイヤ。
【請求項14】
前記X線不透過性の視覚的表示部が、前記第3被覆部において前記第3領域の先端が前記第4領域の基端に接合する箇所に配置されている、請求項1に記載のガイドワイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、医療器具および関連する使用方法に関し、より詳細には、医療処置に使用するガイドワイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
特定の医療処置においては、患者体内の標的部位にガイドワイヤを送達させる場合がある。標的部位にガイドワイヤを送達するためには、患者の体内の曲がりくねった体腔および/または開口部を通ってガイドワイヤを移動させる必要がある。所定の位置に配置されたガイドワイヤは、医療器具を標的部位まで移動させるための補助を行う。例えば、ガイドワイヤは患者体内に挿入されて標的部位に到達し、標的部位へのカテーテル、ステント、カニューレ、内視鏡、切除器具、回収バスケット等の送達を助けるためのレールまたは補助具として機能する。
【0003】
ある種の処置においては、患者体内の胆管にガイドワイヤが送達される。次に、挿入されたガイドワイヤをレールとして用いることにより、医療器具がガイドワイヤに沿って胆管に向かって移動させられる。このような処置および他の処置における効率性は、ガイドワイヤの特性により左右される。例えば、ガイドワイヤが太すぎた場合、胆管への挿入が困難になるおそれがある。ガイドワイヤが細すぎた場合は、医療器具の補助を行えるだけの剛性を有していない場合や、容易に屈曲して胆管から後退する場合がある。
【0004】
このため、性能を向上する特性を有するガイドワイヤが求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上記した問題を解決することができるガイドワイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態による、医療処置を行うためのガイドワイヤは中心コアを有する。中心コアは、第1の幅および先端側の面を有する第1領域を有する。中心コアは、第1領域の先端側に位置し、第1の幅と異なる第2の幅を有する第2領域を有する。第2領域は基端側の面を有する。第1領域の先端側の面の少なくとも一部が第2領域の基端側の面の一部に対して角度をなす。ガイドワイヤは、第1領域を囲む第1被覆部を有する。第1被覆部と第1領域とは、第3の幅を有する第1被覆領域を形成する。ガイドワイヤは第2領域を囲む第2被覆部を有する。第2被覆部と第2領域とは、第4の幅を有する第2被覆領域を形成する。第3の幅と第4の幅とは略同一である。
【0007】
本開示の別の実施形態による、医療処置を行うためのガイドワイヤは中心コアを有する。中心コアは、第1の幅および先端側の面を有する第1領域を有する。中心コアは、第1領域の先端側に位置し、第1の幅と異なる第2の幅を有する第2領域を有する。第2領域は基端側の面を有する。第1領域の先端側の面の少なくとも一部は第2領域の基端側の面の一部に対して角度をなす。中心コアは、第2領域の先端側に位置する第3領域を有する。第3領域は、第2の幅と異なる第3の幅を有する。中心コアは、第3領域の先端側に位置する第4領域を有する。第4領域は、第3の幅と異なる第4の幅を有する。ガイドワイヤは、第1領域を囲む第1被覆部を有する。第1被覆部と第1領域とは、第5の幅を有する第1被覆領域を形成する。ガイドワイヤは、第2領域と第3領域の少なくとも一部とを囲む第2被覆部を有する。第2被覆部と第2領域とは、第6の幅を有する第2被覆領域を形成する。第5の幅と第6の幅とは略同一である。ガイドワイヤは、第4領域と第3領域の少なくとも一部とを囲む第3被覆部を有する。
【0008】
本開示の別の実施形態による、患者の体内の標的部位に医療器具に導入するためにガイドワイヤを使用する方法は、患者の体内を通って標的部位にガイドワイヤを挿入することを含む。本方法は、患者体内の標的部位における開口部にガイドワイヤの先端を挿入することを含む。本方法は、先端の基端側に位置するガイドワイヤのテーパー状領域を開口部に挿入することを含む。本方法は、テーパー状領域の基端が開口部に到達したことを確認することを含む。本方法は、テーパー状領域の基端が開口部に到達した後に、先端およびテーパー状領域が開口部内に配置された状態において、医療器具をガイドワイヤ上にて標的部位まで前進させることを含む。
【0009】
上記の実施形態のさらなる特性、特徴および効果が、以下の説明において部分的に記載され、以下の説明から部分的に明らかになり、または、開示を実施することにより認識される。開示された主題は、添付の特許請求の範囲に記載される要素および組み合わせにより実現および達成可能である。
【0010】
上記の概略説明および下記の詳細な説明は例示および説明のみを目的とするものであり、記載された実施形態に限定されない。
本明細書の一部である以下の図面は、本開示の例示的実施形態を示すものであり、以下の記載と共に本開示の趣旨を説明するものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の趣旨による、例示的ガイドワイヤを含むシステムが患者の体内に置かれた状態を示す図。
図2】本開示の趣旨による、図1のガイドワイヤの断面図。
図2A】本開示の趣旨による、図2の範囲Aの拡大図。
図2B】本開示の趣旨による、図1のガイドワイヤの連結領域の拡大図。
図3A】本開示の趣旨による、図2のガイドワイヤの各領域の寸法を例示する表。
図3B】本開示の趣旨による、図2のガイドワイヤに使用されるタングステン充填材の量を例示する表。
図3C】本開示の趣旨による、図2のガイドワイヤに用いるコーティングの材料および厚さを例示する表。
図3D】本開示の趣旨による、図2のガイドワイヤに用いる被覆部の材料および構成方法を例示する表。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の実施形態の詳細を以下に記載する。実施形態の例を添付の図面に示す。同一または類似の部品については、可能な限りすべての図面において同じ符号を付す。
図1は、十二指腸101等の患者の体内部位に挿入されたシステム100の概略図である。システム100は、シース、カテーテル、内視鏡等である長尺状シャフト102を有し、長尺状シャフト102は先端104にて終端している。シャフト102は、1つまたは複数の医療器具を受容する中心管腔(図示しない)を有している。シャフト102は、中心管腔と連通する側面開口部108をさらに有している。側面開口部108には昇降具109が配置されている。医療器具が側面開口部108から出る際には、昇降具109が移動(例えば上昇、下降、回転および/または傾斜)することにより、シャフト102から出る医療器具の位置決めが補助される。
【0013】
ガイドワイヤ106は、カニューレまたは括約筋切開刀105の中心管腔に挿入される。ガイドワイヤ106および括約筋切開刀105はシャフト102の基端部(図示しない)に挿入され、シャフト102の中心管腔内を側面開口部108に向かって移動する。括約筋切開刀105およびガイドワイヤ106は開口部108から出て、昇降具109内を延びるか、他の状態により昇降具109と係合する。括約筋切開刀105およびガイドワイヤ106が開口部108から出る際には、昇降具109が移動して、括約筋切開刀105およびガイドワイヤ106の位置決めを助ける。例えば、昇降具109を傾けることにより、括約筋切開刀105およびガイドワイヤ106を患者の乳頭103等の開口部と位置合わせできる。括約筋切開刀105およびガイドワイヤ106が開口部108からさらに突出すると、ガイドワイヤ106の一部が括約筋切開刀105から突出して乳頭103に入り、患者の胆管107内に進む。ガイドワイヤ106が挿入された後には、括約筋切開刀105がガイドワイヤ106から基端側に引き出されることにより取り除かれる。ガイドワイヤ106は、カテーテル、カニューレ、ステント、回収バスケット、スネア等の1つまたは複数の医療器具を患者体内の標的部位に導入するためのレールまたは補助具として機能する。ガイドワイヤ106については、図面を参照して以下に詳細を記載する。
【0014】
図2は、図1のガイドワイヤ106の断面図である。ガイドワイヤ106は長尺状部材110を有する。長尺状部材110は、曲がりくねった身体構造や細い体腔内、例えば患者の胃腸管の一部を通って標的部位に到達する。長尺状部材110は、端部112を有する。端部112は、シャフト102の基端側開口部(図示しない)を通り、シャフト102の中心管腔(図示しない)を通って、シャフト102の開口部108(図1)から出て標的部位に到達する。
【0015】
一実施形態において、長尺状部材110の端部112はワイヤコア113を有する。コア113は、第1領域114、第2領域118、第3領域120および第4領域124を有する。一実施形態において、各領域の径は他の領域の径と異なっている。コア113は例えば好適な生体適合性材料により形成することができ、生体適合性材料の例としては、金属、合金、ポリマー、強化ポリマー複合材料等が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態においては、コア113は1つまたは複数の形状記憶合金(ニチノール等)から形成される。
【0016】
第1領域114はガイドワイヤ106の基端(図示しない)まで延びている。第1領域114は、第1被覆部122(図2A)により被覆されている。第1被覆部122は、第1領域114の外径が増加することを抑えるために実質的に薄い。一実施形態において、第1被覆部122の厚さは、約0.0001〜0.0010インチ(約0.00254〜0.0254mm)である。他の実施形態においては、第1被覆部122の厚さは約0.0002〜0.0004インチ(約0.00508〜0.01016mm)である。さらに別の実施形態においては、第1被覆部122の厚さは約0.0004インチ(約0.01016mm)である。さらに別の実施形態においては、第1被覆部122の厚さは約0.0007インチ(約0.01778mm)である。ガイドワイヤ106の基端において、第1被覆部122には使用者に把持された際のグリップ性および操作性を向上すべく調整された表面処理が施されている。
【0017】
第1被覆部122は、パリレン、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、PTFE混合物、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、FEP混合物、ペルフルオロエチレンプロピレンコポリマー(EFEP)、EFEP混合物および他の好適なコーティング材から形成することができる。これらの種類のコーティング材は、低摩擦性または潤滑性を有しており、ガイドワイヤ106上を摺動する医療器具に対する障害を抑制しつつ、ガイドワイヤ106の直線性を維持するよう機能している。一実施形態において、第1被覆部122は吹付け塗装されたPTFEである。第1被覆部122の材料および厚さの例を図3Cに示す。
【0018】
一実施形態において、第1被覆部122は複数の層(図示しない)を有している。各層は、第1領域114においてコア113の周囲を周方向に延びる。各層の厚さは略同一である。あるいは、1つまたは複数の層の厚さは、他の1つまたは複数の層の厚さと異なっていてもよい。
【0019】
第2領域118は第1領域114から先端側に延びる。第2領域118の径は第1領域114の径と異なっている。例えば、第2領域118の径は第1領域114の径より小さい。また、第2領域118の1つまたは複数の部分の径は第1領域114の径より小さくてもよく、第2領域118の1つまたは複数の部分の径は第1領域114径より大きくてもよい。
【0020】
表1(図3A)に、第1領域114および第2領域118等のコア113の各部位の径を例示する。ガイドワイヤ106の形成には、表1に記載する径をいかなる組み合わせにて用いてもよい。また、他の径を用いてもよい。例えば、ガイドワイヤ106の径は約0.025〜0.035インチ(約0.635〜0.889mm)である。または、ガイドワイヤ106の径は約0.014インチ(約0.3556mm)、約0.018インチ(約0.4572mm)、約0.021インチ(約0.5334mm)または約0.038インチ(約0.9652mm)であってもよい。ワイヤコア113および被覆部の径を選択または調節することにより、所望の径を有するガイドワイヤを形成できる。
【0021】
第1領域114の径は、第1領域114の一端から他端まで略一定である。第2領域118の径も第2領域118の一端から他端まで略一定である。第2領域118の径が第1領域114の径より小さい場合は、第1領域114よりも第2領域118の可撓性が高くなるため、端部112を体の開口部や曲がりくねった身体構造内にて移動させることが容易になる。さらに、第2領域118の径を小さくすることにより第2領域118の周囲に第2被覆部132を配置するスペースができるため、第1被覆部122により形成される外径から第2被覆部132が径方向に突出しない。このため、第2被覆部132の厚さは第1被覆部122の厚さと異なっている。第2被覆部132については以下に詳細を記載する。
【0022】
第1領域114と第2領域118とは移行領域116にて接合している。図2Aに示すように、移行領域116は、第1領域114の先端面により形成される面116aと、第2領域118の基端部の一部を形成する面116bとを有している。面116aおよび面116bは互いに対して角度をなしている。例えば、一実施形態においては、面116aおよび面116bの間の角度は約45度から約135度である。別の実施形態においては、面116aおよび面116bの間の角度は、約70度から約110度である。別の実施形態においては、面116aおよび面116bの間の角度は略直角である。面116aおよび面116bの間の接合部116cは鋭い角部を有していてもよい。または、接合部116cは曲面部を有していてもよく、この場合、第2被覆部132の基端部が接合部116cにより径方向外側に押されないようにするために、曲面部の寸法は最小限に抑えられる。移行領域116は長尺状部材110の周りを周方向に延びている。
【0023】
移行領域116と第4領域124の先端との間の距離は例えば約15cm〜約90cmである。別の実施形態においては、移行領域116と第4領域124の先端との間の距離は約50cm〜約70cmである。別の実施形態においては、移行領域116と第4領域124の先端との間の距離は約60cmである。さらに別の実施形態においては、移行領域116と第4領域124の先端との間の距離は約35cm〜約70cmである。例えば、移行領域116と第4領域124の先端との間の距離は約25cmである。
【0024】
移行領域116は、複数の段差(図示しない)を形成する複数の小さい移行領域を有していてもよい。これらの段差はそれぞれ面116aおよび面116bと同様の面を有し、前述の面116aおよび面116bの特性と同様の特性を有していてもよい。
【0025】
第3領域120は、第2領域118の先端から先端側に向かって第4領域124の基端まで延びている。第3領域120におけるコア113の径は、第2領域118におけるコア113の径とは異なっている。また、第3領域120におけるコア113の径は先端方向に変化していてもよい。例えば、第3領域120におけるコア113の径は、先端方向に減少して、第2領域118の先端と第4領域124の基端との間において第3領域120がテーパー部を形成していてもよい。テーパー部は、滑らかな斜面を有していてもよいし、これに加えて、もしくはこの代わりに、複数の段差により形成された斜面を有していてもよい。第3領域120のコア113の径は、第1の部位においては先端方向に減少し、第2の部位においては、先端方向に増加してもよいし、一定であってもよい。
【0026】
第3領域120の先端と第4領域124の先端との間の距離は例えば約10cmである。コア113は、移行領域116において第3領域120よりも急激に変化している。つまり、移行領域116の径が変化する距離は、第3領域120の径が変化する距離より短い。
【0027】
第4領域124は第3領域120の先端から先端側に延びる。第4領域124におけるコア113の径は、第4領域124の一端から他端にわたって略一定である。また、第4領域124におけるコア113の径は、第3領域120におけるコア113の径よりも小さくてもよい。さらに、第4領域124のコア113の径は変化していてもよい。例えば、第4領域124の径は一部分において増加してもよいし、一部分において減少してもよい。
【0028】
第4領域124は、乳頭103等の体の開口部内への第4領域124の挿入を容易にする寸法を有していてもよい。第4領域124のコア113も、第4領域124の先端が胆管107等の体腔内において障害物や収縮部に当たった際に第4領域124の基端が屈曲してループを形成するような寸法を有していてもよい。ループを形成する際には、端部112は自らの上に折り返されてU字形を形成する。
【0029】
第4領域124の基端が第3領域120の先端に接合する箇所には部位127が位置し、この部位127においてループの形成が開始する。部位127の基端側からコア113の径が基端方向に増加し、第3領域120がテーパー部を形成する。コア113の径が増加すると、コア113の強度および/または剛性も増加する。
【0030】
第3領域120の基端が第2領域118の先端に接合する箇所には部位129が位置する。使用時に、部位129が開口部に位置する(第4領域124および第3領域120が開口部をすでに越えている)状態になるまで端部112が開口部に挿入されると、端部112の挿入された長さ部分(例えば、第4領域124および第3領域120の長さ部分)が、医療器具をガイドワイヤ106に沿って開口部まで導入できる強度および/または剛性を有するため、挿入された長さ部分の屈曲により挿入された長さ部分が開口部から引き出されることがない。
【0031】
第2領域118と第3領域120の少なくとも一部との周囲には、シースまたは第2被覆部132が設けられている。第2被覆部132の厚さは、第2被覆部132の外径が第1被覆部122により形成される外径と略同じになるように設定される。例えば、第2被覆部132の厚さは、0.002〜0.003インチ(0.0508〜0.0762mm)である。さらに、第2被覆部132の基端と第1被覆部122および/または面116aとの間に形成された継ぎ目部の幅は0.005インチ(0.127mm)以下である。また、第2被覆部132は視認性を向上するために黒色および黄色の縞状や、他の好適な外観を有していてもよい。第2被覆部132は、可撓性、潤滑性および/または生体適合性を有する好適な材料から形成される。このような材料の例としては、PTFE、FEP、EFEP、Tecothane(登録商標)、例えば72D PEBAX(登録商標)であるPEBAX等のポリエーテルブロックアミド、Grilamid(登録商標)TR55等のポリアミド材料、ポリマーの組み合わせおよび/または他の好適な材料が挙げられる。いくつかの実施形態においては、第2被覆部132は潤滑性を向上させるために親水性コーティングにより被覆される。他の実施形態においては、第2被覆部132自体が十分な潤滑性を有しているため、親水性コーティングは省略される。
【0032】
一実施形態において、第2被覆部132は複数の層(図示しない)を含む。各層は、第2領域118においてコア113の周囲を周方向に延びる。各層の厚さは略同一である。または、1つまたは複数の層の厚さは、別の1つまたは複数の層の厚さと異なっていてもよい。また、1つまたは複数の層は第1領域114および第2領域118の両方にわたって連続的に延びていてもよい。第2被覆部132の1つまたは複数の層は、第2被覆部132の他の1つまたは複数の層とコアワイヤ113との間の接合強度を向上させてもよい。
【0033】
一実施形態において、第2被覆部132はタングステンが充填されていない72D PEBAXから形成される。72D PEBAXはBYNEL(登録商標)等の接着性樹脂と共押出成形される。他の実施形態においては、第2被覆部132はBYNEL(登録商標)と共押出成形されたGrilamid(登録商標) TR55から形成される。さらに別の実施形態においては、第2被覆部132はリフローされた単層のEFEPから形成される。第2被覆部132の材料および構成方法を図3Dに例示する。
【0034】
部位129の位置を示す視覚的表示部138をガイドワイヤ106に設けてもよい。視覚的表示部138は、帯状、バンド状、コイル状または他の好適な形状を有している。追加的または代替的に、視覚的表示部138は印刷されたインクであってもよい。また、視覚的表示部138は、X線透視法により確認できるようにX線不透過性を有していてもよい。例えば、視覚的表示部138は、タングステン、プラチナ、金、タンタル、パラジウム、これらの塩またはこれらの合金等のうち1つまたは複数を含んでいる。また、視覚的表示部138は、肉眼で確認可能であってもよい。
【0035】
視覚的表示部138は第2被覆部132の上に配置されていてもよいし、少なくとも部分的に第2被覆部132を包囲していてもよいし、少なくとも部分的に第2被覆部132に埋め込まれていてもよいし、第2被覆部132の下側にて部位129の周囲に配置されていてもよい。視覚的表示部138は部位129を中心として配置されてもよい。例えば、視覚的表示部138の中心は第4領域124の先端から約10cm離れた位置に配置される。または、視覚的表示部138の一端は部位129の上に配置される。視覚的表示部138は少なくとも部分的に第2被覆部132の表面よりも高くなっていてもよいし、第2被覆部132の面と同一平面上に位置していてもよい。
【0036】
第4領域124と第3領域120の少なくとも一部とは、径が略一定である第3被覆部130により囲まれている。第3被覆部130(図2)は第3領域120および第4領域124の少なくとも一方においてコア113を被覆している。第3被覆部130はコア113の表面および第2被覆部132の先端と係合している。第2被覆部132の先端と第3被覆部130の基端との間には連結部133が形成されている。第3被覆部130の材料が第2被覆部132の材料とリフローまたは混合されることによって、第3被覆部130と第2被覆部132とが連結されている。第2被覆部132と第3被覆部130との間の移行領域は第3領域120の周囲を延びる。例えば、移行領域は、テーパー部の中間部位を中心として第3領域120の周囲を周方向に延びる。第3被覆部130の特性(形状および厚さ等)は、ガイドワイヤ106の径が端部112の各部分において略一定となるように設定してもよい。
【0037】
第3被覆部130はコア113を越えて先端側に延びており、このため、端部112が患者の体内に挿入される際や体内を移動する際に体組織が第4領域124に突刺されること等により損傷しないよう保護している。第3被覆部130は、TECOTHANE1095A等のポリウレタン、PEBAX2533、PEBAX2055、PEBAX3533,TECOFLEX(登録商標)等の脂肪族ポリエーテルポリウレタン、結合されたTECOTHANEおよびPEBAX、または結合されたTECOTHANEおよびTECOFLEXの1つまたは複数により形成される。第3被覆部130の材料は第3被覆部130のX線不透過性を増加させるためにタングステン充填材を有していてもよく、これにより、ガイドワイヤ106の先端をX線透視法により視認できるようになる。充填材の量は表2(図3B)に例示する。視覚的表示部138のX線不透過性を第3被覆部130のX線不透過性とは異なるようにして、X線透視法においてこれらを区別できるようしてもよい。
【0038】
一実施形態においては、第3被覆部130が複数の層(図示しない)を含む。各層は、第3領域120および/または第4領域124のコア113の周囲を周方向に延びる。各層の厚さは略同一である。または、1つまたは複数の層の厚さが、1つまたは複数の層の厚さと異なっていてもよい。1つまたは複数の層が、第1領域114、第2領域118、第3領域120および第4領域124のうちの2つ以上の領域にわたって連続的に延びていてもよい。一実施形態においては、第3被覆部130の径方向内側層はBYNELであり、中間層はタングステン充填材が充填されたTECOTHANE、TECOFLEXおよび/またはPEBAXであり、径方向外側層は誘電性を考慮してタングステン充填材が充填されていないPEBAXである。BYNEL層の厚さは、約0.001〜0.002インチ(約0.0254〜0.0508mm)である。PEBAX外側層の厚さは、約0.001インチ(約0.0254mm)である。
【0039】
第2被覆部132がある種類の材料から形成され、第3被覆部130が別の種類の材料から形成される場合は、連結部133にリングまたはスリーブ131(図2B)が設けられる。リング131は第2被覆部132と第3被覆部130との間の結合を補助する。例えば、リング131はリフローバインダとして機能して、リフロー工程において第2被覆部132および第3被覆部130と結合する。リング131がない場合、第2被覆部132がリフローせず、第3被覆部130に対して適切に結合されないおそれがある。
【0040】
一実施形態において、リング131はVESTAMID(登録商標)Care PEBA ME−B等のポリエーテルブロックアミドにより形成される。リング131の幅は約0.1〜1.0cmである。第2被覆部132はEFEPから形成され、第3被覆部130はPEBAXから形成される。リング131がなかった場合、第2被覆部132を形成するEFEPが第3被覆部130を形成するPEBAXの下に流れ込み、第3被覆部130をコア113から離して押し上げ、連結部133または連結部133の近傍に好ましくないリップ部または他の切れ目が形成されるおそれがある。連結部133にリング131が配置されている場合、リフロー工程において第2被覆部132を形成するEFEPがリング131を形成するPEBAと結合し、第3被覆部130を形成するPEBAXがリング131を形成するPEBAと結合する。これにより第2被覆部132が第3被覆部130に結合される。第2被覆部132がPTFEまたはFEPから形成されている場合はリング131を省略してもよい。PTFEおよびFEPはリフロー工程においてEFEPよりもPEBAXとの結合性が高いためである。
【0041】
部位127の位置を示す視覚的表示部139をガイドワイヤ106に設けてもよい。視覚的表示部139は視覚的表示部138に類似している。視覚的表示部139の相違点は、視覚的表示部139のX線不透過性が第3被覆部130および/または視覚的表示部138のX線不透過性と異なっていることである。これにより、第3被覆部130および/または視覚的表示部138から視覚的表示部139を区別することができる。視覚的表示部139は第3被覆部130の周囲に配置してもよいし、第3被覆部130内に埋め込まれていてもよいし、第3被覆部130の下側にて部位127の周囲に配置されていてもよい。視覚的表示部139は部位127を中心として配置される。または、視覚的表示部139の一端が部位127に配置される。
【0042】
ガイドワイヤ106の特徴により、医療処置におけるガイドワイヤ106の性能が向上される。ガイドワイヤ106が特定の長さを有していることにより、ガイドワイヤ106の基端部がシャフト102内を延びることができ、また、ガイドワイヤ106が患者の身体構造内を移動している場合でも、ガイドワイヤ106の先端部がシャフト102から出て先端側に延び、標的部位に進入することができる。1つまたは複数の領域118、120、124においてコア113の径を小さくすることにより屈曲可能な細い領域が形成され、この領域においては、第1領域114よりも屈曲する際の応力および歪みが小さい。これにより、曲がりくねった通路内における移動が容易になる。第1領域114の径が大きくなっていることにより、ガイドワイヤ106の押込力伝達性が増加し、使用者が手で感じる器具の感触が向上され、または/さらに、ガイドワイヤ106の基端部から先端部への回転力の伝達性が向上する。
【0043】
1つまたは複数の被覆部122、130、132によりコア113を覆うことで、これらの被覆部の潤滑性のためにガイドワイヤ106が挿入しやすくなる。また、これらの被覆部の潤滑性により、使用者がガイドワイヤ106の先端部を制御可能に回転させることが容易になっている。ガイドワイヤ106の先端部を回転させる際には、使用者がガイドワイヤ106の基端部を回転させる。ガイドワイヤ106の先端部が患者体内の1つまたは複数の面に張り付いた場合、先端部は、ガイドワイヤ106の基端部が回転するようには回転しなくなる。ガイドワイヤ106の基端部および/またはガイドワイヤ106の中間部に十分な回転力が加えられた場合は、この回転力がガイドワイヤ106の先端部と体内の面との間の張り付き力(摩擦等)に打ち勝ち、ガイドワイヤ106の先端部を急に回転または移動させる。この急な移動により、使用者はガイドワイヤ106の先端部を正確に配置することができず、特定の処置を行うことができなくなる場合がある。
【0044】
使用者にとっては、ガイドワイヤ106の基端部における回転とガイドワイヤ106の先端部における回転とが一対一の関係になっていることが好ましい。被覆部122、130、132の潤滑性により、ガイドワイヤ106と体内の面との間の張り付き/摩擦が低減されるため、使用者の操作性が向上される。これにより、急な移動の発生が抑制され、ガイドワイヤ106において、基端部の回転と先端部の回転とがより近い関係になる。コア113に径の小さい部分を設けることにより、使用時においてガイドワイヤ106の屈曲部にかかる応力および歪みが確実に抑えられるため、急な移動がさらに抑制される。これは、応力および歪みは回転を妨げる要因となるためである。
【0045】
また、被覆部122、被覆部130および/または被覆部132により、括約筋切開刀105等の付属製品に対する絶縁抵抗がもたらされ、括約筋切開刀105とコア113との間の静電結合が抑制されるとともに、括約筋切開刀105とコア113との間の直接的な短絡が抑制される。被覆部122、130、132の材料も、他の側面においてガイドワイヤの性能を強化している。例えば、EFEP被覆部は潤滑性が高く、他の被覆部よりも薄い。EFEP被覆部がガイドワイヤ106の屈曲領域に設けられている場合は、被覆部が薄いことにより屈曲領域において応力および歪みが低減される。また、被覆部の潤滑性により張り付きが抑制されるため、使用者による回転操作性が向上する。FEP被覆部はコア113との結合性が高い。72D PEBAX被覆部は、硬質であり、コア113と結合するためにBYNELとの共押出成形が可能であり、潤滑性をさらに増加させるために親水性コーティングを施すことが可能である。Grilamid TR55コーティングは、他のコーティングに比べて衝撃強度および/または耐久性が高く、コア113と結合するためにBYNELと共に好適に押出成形可能であり、例えば昇降具109によりガイドワイヤ106が強く曲げられる場合に適したコーティングである。
【0046】
患者の乳頭103等の身体開口部に到達して患者の胆管106等の標的部位を治療する方法は、十二指腸101等の患者体内の通路内にシャフト102を挿入することを含む。シャフト102の先端104は、乳頭103の近くに配置され、開口部108および昇降具109が乳頭103に向けられる。
【0047】
ガイドワイヤ106は、シャフト102が患者の体内に挿入される前、シャフト102の挿入中またはシャフト102の挿入後に、シャフト102の中心管腔内に挿入される。ガイドワイヤ106は開口部108から押し出され、昇降具109が作動してガイドワイヤ106を乳頭103に向かうよう誘導する。
【0048】
ガイドワイヤ106の先端部112が乳頭103に近づく。第3被覆部130の丸い先端を含むガイドワイヤ先端142が乳頭103に到達し、ガイドワイヤ先端142の比較的低い可撓性(ガイドワイヤ106の他の部分に比べて低い)により、乳頭103への進入が容易になっている。端部112は、視覚的表示部138が乳頭103に到達して、これにより部位129が乳頭103に到達したことが確認されるまで、乳頭103内に押し入れられる。使用者は、X線透視法を用いて視覚的表示部138が乳頭103に到達したことを確認できる。この状態になると、使用者は、乳頭103に挿入された端部112の長さ部分が十分な強度および/または剛性を有し、挿入された長さ部分が乳頭103から引き出されるほど大きく屈曲されることなく、ガイドワイヤ106をレールとして医療器具をガイドワイヤ106に沿って移動可能であると判断できる。
【0049】
ガイドワイヤ106は、乳頭103を通ってさらに奥側、例えば胆管107に挿入される。使用者はX線透視法によりガイドワイヤ先端142の動きを追跡することができ、ガイドワイヤ106の挿入深度を把握できる。胆管107内においてガイドワイヤ先端142が結石(図示しない)等の障害物や収縮部に接触した場合、ガイドワイヤ先端142が結石と係合する。第4領域124は部位127において屈曲し始めてループを形成する。使用者はX線透視法により屈曲が発生したことを確認し、これにより胆管107内における結石のおおよその位置を把握できる。屈曲が発生しない場合は、胆管107には障害物や収縮部が存在しないと判断し得る。
【0050】
結石等の障害物が発見された場合、回収バスケット等の医療器具が、ガイドワイヤ106をレールとして用いながらガイドワイヤ106上をガイドワイヤ106に沿って挿入されることにより、回収バスケットが結石に到達する。回収バスケットは、作動して結石を捕獲した後、ガイドワイヤ106から引き戻される。
【0051】
本開示の実施形態は、様々な異なる医療処置および非医療処置に適用可能である。さらに、上記の実施形態の特定の要素は、本開示の範囲から逸脱することなく、実施において、選択的に協働または省略可能である。
【0052】
本開示の他の実施形態が、ここに開示される実施形態の記載および実施例から当業者に明らかになるであろう。上記の記載および実施例は例示のみを意図するものであり、本開示の範囲および趣旨は特許請求の範囲により示される。
図1
図2
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D