特許第6197127号(P6197127)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6197127電磁波遮蔽及び吸収用不織布または不織布複合材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6197127
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】電磁波遮蔽及び吸収用不織布または不織布複合材
(51)【国際特許分類】
   H05K 9/00 20060101AFI20170904BHJP
   B32B 5/24 20060101ALI20170904BHJP
   B32B 7/02 20060101ALI20170904BHJP
   B32B 9/00 20060101ALI20170904BHJP
   C23C 18/38 20060101ALI20170904BHJP
   C25D 7/00 20060101ALI20170904BHJP
   D04H 1/4242 20120101ALI20170904BHJP
   D21H 13/48 20060101ALI20170904BHJP
   D21H 13/50 20060101ALI20170904BHJP
   D21H 27/32 20060101ALI20170904BHJP
【FI】
   H05K9/00 M
   H05K9/00 W
   B32B5/24
   B32B7/02 104
   B32B9/00 A
   C23C18/38
   C25D7/00 Y
   D04H1/4242
   D21H13/48
   D21H13/50
   D21H27/32 A
【請求項の数】16
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2016-559135(P2016-559135)
(86)(22)【出願日】2014年12月10日
(65)【公表番号】特表2017-509160(P2017-509160A)
(43)【公表日】2017年3月30日
(86)【国際出願番号】KR2014012138
(87)【国際公開番号】WO2015093777
(87)【国際公開日】20150625
【審査請求日】2016年6月14日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0159989
(32)【優先日】2013年12月20日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515329687
【氏名又は名称】ブルスウォン マテリアル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(74)【代理人】
【識別番号】100163038
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 武志
(72)【発明者】
【氏名】リ・ジョンギル
(72)【発明者】
【氏名】ホ・スヒョン
(72)【発明者】
【氏名】パク・ミニョン
(72)【発明者】
【氏名】カン・ビョンロク
(72)【発明者】
【氏名】カン・ジフン
【審査官】 白石 圭吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−225398(JP,A)
【文献】 特開2009−135526(JP,A)
【文献】 特開2002−266281(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 9/00
B32B 5/24
B32B 7/02
B32B 9/00
C23C 18/38
C25D 7/00
D04H 1/4242
D21H 13/48
D21H 13/50
D21H 27/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の段階を含む電磁波遮蔽及び吸収用不織布の製造方法:
(a)無電解及び電解連続工程で銅及びニッケルメッキされた炭素繊維を長さ3〜500mmのチョップ状に切断する段階と、
(b)前記段階(a)の結果物であるチョップ状の銅及びニッケルメッキされた炭素繊維及び水を重量比1:100〜600で混合して分散させる段階と、
(c)前記段階(b)の結果物を水に3〜30%(w/v)添加して分散させる段階と、
(d)前記段階(c)の結果物を濾過して水を除去する段階。
【請求項2】
前記段階(b)の混合は、不織布強度補完剤として天然パルプまたは低融点熱可塑性樹脂をさらに添加して実施することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記不織布強度補完剤は、前記段階(a)の結果物であるチョップ状の銅及びニッケルメッキされた炭素繊維及び不織布強度補完剤の総重量を基準にして、1〜50重量%を添加することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記低融点熱可塑性樹脂は、LMPETであることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記段階(b)の混合は、磁性体及び強磁性体添加剤として鉄、ニッケル及びコバルトで構成された群から選択される1種の金属またはその2種以上の金属の合金、炭素系添加剤として炭素ナノチューブ、グラファイト、カーボンブラックまたはその金属メッキされた炭素系添加剤、フェライト及び無機系添加剤で構成された群から選択される添加剤をさらに添加して実施することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記段階(c)は、前記段階(c)の結果物の総重量を基準にして、水溶性接着剤または水溶性高分子0.1〜50重量%をさらに添加することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記方法は、前記段階(d)以後に、(e)前記段階(d)の結果物である不織布をトルエン、アセトン、アルコール、THF、シクロヘキサン及びキシレンで構成された群から選択される溶媒に、前記溶媒総重量を基準にして、熱可塑性樹脂0.1〜10重量%を溶解させた混合溶液に浸漬させるか、前記混合溶液を、前記段階(d)の結果物である不織布に噴射する段階をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記方法は、(f)前記段階(d)または(e)の結果物を、50〜150℃で10分間〜3時間乾燥させる段階をさらに含むことを特徴とする請求項1または7に記載の方法。
【請求項9】
請求項1ないし請求項7のうち何れか一項に記載の方法によって製造された電磁波遮蔽及び吸収用不織布。
【請求項10】
次を含む電磁波遮蔽及び吸収用不織布複合材:
(i)芯材として前記請求項9に記載の不織布と、
(ii)前記(i)の芯材としての不織布の何れか一面に積層された仕上げフィルムと、
(iii)前記(i)の芯材としての不織布の他の一面に積層された仕上げフィルム。
【請求項11】
次を含む電磁波遮蔽及び吸収用不織布複合材:
(i)芯材として前記請求項9に記載の不織布と、
(ii)前記(i)の芯材としての不織布の何れか一面に積層された仕上げフィルムと、
(iii)前記(i)の芯材としての不織布の他の一面に積層された両面接着フィルム。
【請求項12】
前記不織布複合材は、フィルム状であることを特徴とする請求項10に記載の電磁波遮蔽及び吸収用不織布複合材。
【請求項13】
前記不織布複合材は、ステッカー状であることを特徴とする請求項11に記載の電磁波遮蔽及び吸収用不織布複合材。
【請求項14】
前記不織布複合材は、前記(i)の不織布と前記(ii)の仕上げフィルムとの間に、そして、前記(i)の不織布と前記(iii)の仕上げフィルムとの間に、それぞれホットメルトフィルムを積層し、熱プレスで加圧して、前記不織布と前記仕上げフィルムとを合紙させるか、水性接着剤、ソルベント系接着剤、ウレタン接着剤、エポキシ接着剤、不飽和ポリエステル系接着剤及びレゾールタイブのフェノール接着剤で構成された群から選択される接着剤を塗布して、前記不織布と前記仕上げフィルムとをラミネーティングさせて製造されることを特徴とする請求項10に記載の電磁波遮蔽及び吸収用不織布複合材。
【請求項15】
前記不織布複合材は、前記(i)の不織布と前記(ii)の仕上げフィルムとの間に、ホットメルトフィルムを積層し、熱プレスで加圧して、前記不織布と前記仕上げフィルムとを合紙させるか、水性接着剤、ソルベント系接着剤、ウレタン接着剤、エポキシ接着剤、不飽和ポリエステル系接着剤及びレゾールタイブのフェノール接着剤で構成された群から選択される接着剤を塗布して、前記不織布と前記仕上げフィルムとをラミネーティングさせて製造されることを特徴とする請求項11に記載の電磁波遮蔽及び吸収用不織布複合材。
【請求項16】
前記接着剤は、電磁波遮蔽及び吸収率補強添加剤としてアルミニウム、鉄、クロム、ステンレス、銅、ニッケル、ブラックニッケル、銀、金、白金、パラジウム、錫、コバルト及びその2種以上の合金で構成された群から選択された少なくとも1種の金属粉末、または炭素ナノチューブ、グラファイト、カーボンブラック、グラフェン及びその金属メッキされた添加剤で構成された群から選択される炭素系添加剤をさらに含むことを特徴とする請求項14または15に記載の電磁波遮蔽及び吸収用不織布複合材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2013年12月20日付で大韓民国特許庁に提出された大韓民国特許出願第10−2013−0159989号に対して優先権を主張し、前記特許出願の開示事項は、本明細書に参照として挿入される。
本発明は、無電解ないし電解連続工程で製造された金属(銅及びニッケル)メッキされた炭素繊維を用いて製造された電磁波遮蔽及び吸収用不織布またはそれを含む不織布複合材に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、電磁波は、電気波と磁気波との2つの波動で構成されるが、周波数が高いほど、波長が短くなり、エネルギーが増加し、周波数が低くなれば、エネルギーが減少する。そのうち、電気波は、電気が通じる金属性の導電性物質で遮断が可能であるが、磁気波の場合、金属性の導電性物質も透過する性質を有しており、別途の吸収体を使用すれば、遮断が可能であると知られている。電気波と磁気波は、共に共存する波長の概念なので、2つのうち1つのみ除去しても、共に消滅される特性がある。
【0003】
したがって、電気波を遮蔽する目的として導電性を有する金属を使うことが一般的であり、磁気波を遮蔽するために、磁性体を使用するのが一般的な技術である。
磁性体は、強磁性体に分類される鉄族金属、例えば、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)などの金属の1種または2種以上の合金を使う。
【0004】
電磁波の遮蔽効果を示す単位は、デシベル(dB)で表わし、遮蔽前と後との電磁界強度比を意味する。20dBの効果は、電磁波の量が1/10に、40dBは、電磁波の量が1/100に減少した状態を意味する。一般的に、30〜40dB以上である時、遮蔽効果が良好であると判断される。このような電磁波の発生による有害性から電子機器及び人体を保護するために、全世界的に規制が強化されており、各国家別EMI関連の規制を強化している。このような趨勢によって、電磁波の遮蔽のために、金属基材を使うか、基材に導電性を有するコーティングまたはメッキを応用している。金属基材は、複雑なパターン加工が不利で、重いという短所がある。また、基材にメッキする方式は、脱脂、エッチング、中和、活性化、促進剤、金属蒸着、活性化及びメッキ1〜3次のように、複雑なプロセスによって生産性が不利である。それ以外に、炭素ナノチューブ、金属粉末、黒鉛、フェライトなどの充填剤を用いた遮蔽材が報告されているが、分散性、加工性、電磁波遮蔽効率などの短所がある。このような短所を克服するために、充填材に金属メッキを適用しているが、このような導電性粉末のメッキ方式が難しく、生産コストが高くて、実用化が難しいのが実情である。
【0005】
最近の電磁波遮蔽に関連した従来技術は、ニッケル繊維や、電解メッキ法を通じて、ニッケルメッキされた炭素繊維を高分子樹脂に複合化した特許文献1と、導電性繊維を樹脂に複合化した特許文献2、炭素ナノチューブを含有した電磁波遮蔽フィルムに関する特許文献3、電磁波遮蔽フィルムの製造方法に関する特許文献4、炭素ナノチューブまたは炭素ナノファイバーを用いた電磁波遮蔽材に関する特許文献5、電磁波遮蔽効率に優れた高分子/炭素ナノチューブ複合体の製造方法に関する特許文献6がある。
【0006】
また、有機合成繊維にメッキして電磁波の遮断を目的として織物を作る方法についても開示されている。特許文献7には、電磁波シールド(shield)織物に対して開示している。この特許文献では、ナイロン66に銀メッキして織造、配列して遮蔽シールド織物を作る技術であり、この場合は、26dB〜30dBの電磁波の遮蔽効果を有すると言及されている。
特許文献8の場合は、ナイロン短繊維またはフィラメントに銀メッキを実施し、前記銀メッキされた繊維を他の織物と合糸段階で混合して使用することについての技術を開示している。前記技術の電磁波の遮蔽効果は、約26〜38dB程度である。
【0007】
特許文献9及び特許文献10の場合は、有機繊維からなる織物体にニッケル−銅−ニッケルをメッキして電磁波遮蔽材として使われた例を開示している。この場合、54〜62dBの電磁波遮蔽能を示している。しかし、織物体にメッキを行う場合は、メッキ後にはまるで金属板のように作用して、電磁波の遮蔽効果が反射によって現れるために、銅のような金属板と差別性がなくなる。また、携帯電話及び電子機器の電磁波遮蔽材として使う場合、反射波による機器損傷及び反射波の回折によって人体有害性を減らすには不足である。
【0008】
本明細書の全般に亘って多数の論文及び特許文献が参照され、その引用が表示されている。引用された論文及び特許文献の開示内容は、その全体として本明細書に参照して挿入されて、本発明が属する技術分野のレベル及び本発明の内容がより明確に説明される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,827,997号公報
【特許文献2】米国公開特許第2002/0108699号公報
【特許文献3】大韓民国特許出願第2009−0031184号公報
【特許文献4】大韓民国特許出願第2006−0039465号公報
【特許文献5】大韓民国特許出願第2000−0039345号公報
【特許文献6】大韓民国特許出願第2009−0057726号公報
【特許文献7】特開平10−46443号公報
【特許文献8】大韓民国公開特許第2000−0034190号公報
【特許文献9】大韓民国登録特許第10−0929328号公報
【特許文献10】大韓民国登録特許第10−1213380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明者らは、電磁波遮蔽及び吸収効率に優れた複合フィルムまたはステッカーを開発するために努力してきた。その結果、無電解ないし電解連続工程で製造された金属(銅及びニッケル)メッキされた炭素繊維を用いて不織布を製造した結果、従来技術に比べて、炭素繊維含量が少ない量またはさらに薄い厚さにも高導電性特性を発現して、電磁波遮蔽及び吸収率に優れていることを確認し、前記不織布を芯材として、前記不織布の両面に仕上げフィルムを積層するか、何れか一面は仕上げフィルムで、他の一面は両面接着フィルムで積層して、複合フィルムまたはステッカーを製造することによって、電磁波遮蔽及び吸収率に優れながら、外観が美麗であり、電子機器に簡単に付着して使えるということを確認することによって、本発明を完成した。
【0011】
したがって、本発明の目的は、電磁波遮蔽及び吸収用不織布の製造方法を提供することである。
本発明の他の目的は、前述した本発明の方法によって製造された電磁波遮蔽及び吸収用不織布を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、フィルム状の電磁波遮蔽及び吸収用不織布複合材を提供することである。
本発明の他の目的は、ステッカー状の電磁波遮蔽及び吸収用不織布複合材を提供することである。
本発明の他の目的及び利点は、下記の発明の詳細な説明、特許請求の範囲及び図面によってより明確になる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様によれば、本発明は、次の段階を含む電磁波遮蔽及び吸収用不織布の製造方法を提供する:(a)無電解及び電解連続工程で銅及びニッケルメッキされた炭素繊維を長さ3〜500mmのチョップ(chopped)状に切断する段階と、(b)前記段階(a)の結果物であるチョップ状の銅及びニッケルメッキされた炭素繊維及び水を重量比1:100〜600で混合して分散させる段階と、(c)前記段階(b)の結果物を水に3〜30%(w/v)添加して分散させる段階と、(d)前記段階(c)の結果物を濾過して水を除去する段階。
【0013】
本発明者らは、電磁波遮蔽及び吸収効率に優れた複合フィルムまたはステッカーを開発するために努力してきた。その結果、無電解及び電解連続工程で製造された金属(銅及びニッケル)メッキされた炭素繊維を用いて不織布を製造した結果、従来技術に比べて、炭素繊維含量が少ない量またはさらに薄い厚さにも高導電性特性を発現して、電磁波遮蔽及び吸収率に優れていることを確認し、前記不織布を芯材として、前記不織布の両面に仕上げフィルムを積層するか、何れか一面は仕上げフィルムで、他の一面は両面接着フィルムで積層して、複合フィルムまたはステッカーを製造することによって、電磁波遮蔽及び吸収率に優れながら、外観が美麗であり、電子機器に簡単に付着して使えるということを確認した。
【0014】
以下、本発明の無電解及び電解連続工程で銅及びニッケルメッキされた炭素繊維を用いた電磁波遮蔽及び吸収用不織布を製造するための本発明の方法を段階別に詳しく説明すれば、次の通りである。
【0015】
(a)銅及びニッケルメッキされた炭素繊維をチョップ状に切断
まず、本発明の方法は、(a)無電解及び電解連続工程で銅及びニッケルメッキされた炭素繊維を長さ3〜500mmのチョップ状に切断する段階を含む。
本発明に用いられる炭素繊維は、当業者に公知の多様な炭素繊維を利用でき、商業的に購入して利用するか、ポリアクリロニトリル(PAN)系やピッチ(Pitch)系から製造されたものを利用できる。
本発明に用いられる炭素繊維の平均直径は、7μmであり、メッキ厚さまで含めば、7.25〜9.5μmであるが、特に繊維直径に限定されるものではない。
本発明に用いられる炭素繊維にメッキされた金属は、当業者に公知の多様な金属を利用することができるが、より優れた導電性を付与するために、無電解及び電解連続工程を適用した銅及びニッケルがメッキされた炭素繊維を用いる。
【0016】
本発明に用いられる無電解及び電解連続工程を適用した銅及びニッケルがメッキされた炭素繊維については、後述する。無電解ないし電解連続工程で製造された銅及びニッケルメッキされた炭素繊維の断面写真は、図1で確認することができる。
本発明に用いられる金属(銅及びニッケル)メッキされた炭素繊維は、作業性、表面抵抗値、分散性の多様な要素を考慮する時、金属メッキされた炭素繊維の長さは、特に限定されることはないが、水溶液上で分散と不織布製造時に、分布図を高めるために、図6のように、チョップ状態で加工され、前記炭素繊維の長さは、目的によって3〜500mmに加工され、望ましくは、前記炭素繊維の長さは、3〜100mm、より望ましくは、3〜50mm、さらに望ましくは、3〜20mmであり、同じ長さの炭素繊維を単一使うか、他の長さの炭素繊維を混合して使うことができる。
【0017】
(b)前記チョップ状の銅及びニッケルメッキされた炭素繊維を水に分散
次いで、本発明は、前記段階(a)の結果物であるチョップ状の銅及びニッケルメッキされた炭素繊維及び水を重量比1:100〜600で混合して分散させる段階を経る。
本発明の一具現例によれば、前記分散は、2,000〜10,000rpmの速度で実施する。
本発明のさらに他の具現例によれば、前記チョップ状の金属メッキされた炭素繊維を水溶液に重量比1:100〜500で混合し、4,000〜6,000rpmの速度で分散させる。
本発明の他の具現例によれば、前記段階(b)の混合は、不織布強度補完剤として天然パルプまたは低融点熱可塑性樹脂をさらに添加して実施する。
【0018】
本発明で不織布の強度補強のために用いられる天然パルプは、特に制限されるものではないが、通常の木材を繊維状に解繊して製造される当業者に公知の多様なパルプを使うことができる。
本発明で不織布の強度補強のために用いられる低融点熱可塑性樹脂は、当業者に公知の多様な低融点熱可塑性樹脂を利用でき、より望ましくは、LMPET(low melting Polyethyleneterephalate)を利用できる。
本発明のさらに他の具現例によれば、本発明の不織布の製造に用いられる不織布強度補完剤は、前記段階(a)の結果物であるチョップ状の銅及びニッケルメッキされた炭素繊維及び不織布強度補完剤の総重量を基準にして、1〜50重量%を添加し、さらに望ましくは、1〜30重量%を添加し、最も望ましくは、10〜30重量%を添加する。
【0019】
本発明のさらに他の具現例によれば、電磁波遮蔽効率を増進させるために、前記段階(b)の混合は、磁性体及び強磁性体添加剤として鉄、ニッケル及びコバルトで構成された群から選択される1種の金属またはその2種以上の金属の合金、炭素系添加剤として炭素ナノチューブ、グラファイト、カーボンブラックまたはその金属メッキされた炭素系添加剤、フェライト及び無機系添加剤で構成された群から選択される添加剤をさらに添加して実施する。
【0020】
(c)前記段階(b)の結果物を水に添加及び分散
次いで、本発明の方法は、前記段階(b)の結果物を水に3〜30%(w/v)添加して分散させる段階を含む。
本発明の他の具現例によれば、前記段階(c)の水は、不織布の製造に用いられるシートフォーママシンに入れられている水である。
本発明のさらに他の具現例によれば、前記段階(b)の結果物を水に3〜20%(w/v)、さらに望ましくは、3〜10%(w/v)、最も望ましくは、5〜9%(w/v)を添加して分散させる。
本発明のさらに他の具現例によれば、不織布製造時に、繊維の接着力または不織布の強度を良くするために、前記段階(c)は、前記段階(c)の結果物の総重量を基準にして、水溶性接着剤または水溶性高分子0.1〜50重量%をさらに添加する。
【0021】
本発明に用いられる水溶性接着剤は、当業者に公知の多様な水溶性接着剤を利用することができれば、特に限定されるものではない。
本発明に用いられる水溶性高分子は、不織布の強度補強及び不織布製造時に、工程の効率を高めるために用いられ、このような目的として使われるものであれば、当業者に公知の多様な水溶性高分子を利用でき、望ましくは、前記水溶性高分子は、ポリビニルアルコール(polyvinylalcohol;PVA)またはポリビニルアセテート(polyvinylacetate;PVAc)である。
【0022】
本発明のさらに他の具現例によれば、前記水溶性接着剤または水溶性高分子は、前記段階(c)の結果物の総重量を基準にして、0.1〜10重量%を添加して分散させ、さらに望ましくは、前記水溶性高分子を前記段階(c)の結果物の総重量を基準にして、0.1〜3重量%を添加して分散させ、最も望ましくは、0.1〜2重量%を添加して分散させ、最も望ましくは、1.5重量%を添加して分散させる。一方、前記水溶性高分子の種類及び含量は、不織布の強度の変化を考慮して採択することができる。
【0023】
(d)前記段階(c)の結果物の濾過及び水の除去
最後に、本発明は、(d)前記段階(c)の結果物を濾過して水を除去する段階を含む。
前記濾過を通じる水の除去は、メッシュ網を通じて実施することによって、金属(銅及びニッケル)メッキされた炭素繊維を用いて電磁波遮蔽及び吸収用不織布を製造することができる。
本発明の他の具現例によれば、請求項1において、前記方法は、前記段階(d)以後に、(e)前記段階(d)の結果物である不織布をトルエン、アセトン、アルコール、THF(tetrahydrofuran)、シクロヘキサン及びキシレンで構成された群から選択される溶媒に、前記溶媒総重量を基準にして、熱可塑性樹脂0.1〜10重量%を溶解させた混合溶液(希薄溶液)に浸漬させるか、前記混合溶液(希薄溶液)を前記段階(d)の結果物である不織布に噴射する段階をさらに含む。
前記段階(e)をさらに含む理由は、金属(銅及びニッケル)メッキされた炭素繊維のみを用いて不織布を製造する場合、繊維間の接着力が弱くて所望の物理的特性を満足させず、さらに強い物理的性質を付与するために、後処理工程として前記段階(e)の過程を実施する。
【0024】
前記熱可塑性樹脂は、当業者に公知の多様な熱可塑性樹脂を利用することができるが、望ましくは、ポリスチレン(PS)を利用できる。
本発明のさらに他の具現例によれば、前記段階(e)の混合溶液(希薄溶液)は、溶媒の総重量を基準にして、熱可塑性樹脂0.1〜5重量%を溶解させて製造し、さらに望ましくは、1〜2重量%を溶解させ、最も望ましくは、1.5重量%を溶解させる。
前記段階(e)の浸漬過程は、前記段階(d)の結果物である不織布を前記混合溶液(希薄溶液)に1〜60秒間実施することが望ましく、より望ましくは、5〜30秒間、さらに望ましくは、7〜15秒間、最も望ましくは、10秒間実施する。
【0025】
本発明の他の具現例によれば、前記方法は、(f)前記段階(d)または(e)の結果物を、50〜150℃で10分間〜3時間乾燥させる段階をさらに含む。
強度補完剤として天然パルプまたは低融点熱可塑性樹脂を添加せず、金属メッキされた炭素繊維のみを用いて前述した本発明の方法によって製造された前記段階(d)の結果物としての不織布の場合、50〜100℃で1〜3時間乾燥させることが望ましく、より望ましくは、60〜80℃で1.5〜2.5時間乾燥させ、最も望ましくは、70℃で2時間乾燥させる。
【0026】
強度補完剤として低融点熱可塑性樹脂を添加して前述した本発明の方法によって製造された前記段階(d)の結果物としての不織布の場合、100〜150℃で10分間〜1時間乾燥させることが望ましく、より望ましくは、110〜130℃で20分間〜40分間乾燥させ、最も望ましくは、120℃で30分間乾燥させる。
低融点熱可塑性樹脂を添加した場合、前記温度範囲で乾燥させる理由は、低融点熱可塑性樹脂、望ましくは、LMPETの場合、100℃以上で表面溶融になりながら、高導電性金属メッキされた炭素繊維に接着効果を表わすためである。
低融点熱可塑性樹脂を添加した場合、さらに望ましくは、より安定した強度と平滑度とのために、ホットプレス(hot press)を用いて140〜160℃で3〜10秒間加圧する段階をさらに含み、最も望ましくは、ホットプレスを用いて150℃で7秒間加圧する。
【0027】
不織布の強度補強及び不織布製造時に、工程の効率を高めるために用いられる水溶性高分子(望ましくは、ポリビニルアルコール(PVA)またはポリビニルアセテート(PVAc)を添加して前述した本発明の方法によって製造された前記段階(d)の結果物としての不織布の場合、50〜100℃で30分間〜2時間乾燥させることが望ましく、より望ましくは、60〜80℃で40分間〜1.5時間乾燥させ、最も望ましくは、70℃で1時間乾燥させる。
前記段階(e)の結果物である不織布の場合、50〜100℃で10分間〜50分間乾燥させることが望ましく、より望ましくは、60〜80℃で10分間〜30分間乾燥させ、最も望ましくは、70℃で10分間乾燥させる。
一方、本発明の実施例に用いられなかったが、通常の不織布や織造された繊維状を成形するに当たって、SMC、BMC、オートクレーブ(autoclave)、プリプレグ(prepreg)などの方式が適用可能である。プリプレグの場合は、前記導電性不織布(ウェブ)にエポキシを含浸させて70℃で8時間1次乾燥(半硬化)させ、製造されたプリプレグを150℃でホットプレスを使って加圧して硬化させる方法が有効である。前記のプリプレグ以外にも、通常の知識範囲内で導電性不織布(ウェブ)は、熱硬化性樹脂(フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂)に含浸熱硬化させてシート状に製造することができる。
【0028】
本発明の最大の特徴の1つは、本発明の方法によって製造される電磁波遮蔽及び吸収用不織布は、無電解及び電解連続工程で銅及びニッケルメッキされた炭素繊維が含まれており、比較例として用いられるプラスチック複合材よりも電磁波遮蔽及び吸収効果がより改善されたという点である。
本発明に用いられる銅及びニッケルメッキされた炭素繊維は、本発明者が開発した無電解及び電解連続工程で製造された電気伝導度に優れた高導電性炭素繊維であって、次のような方法で製造される。
具体的に、本発明の方法に用いられる無電解及び電解連続工程で銅及びニッケルメッキされた炭素繊維は、次の段階を含む方法で製造される:(a)炭素繊維を純水(pure water)の体積を基準にして、Cuイオン2.5〜5.5g/l、EDTA 20〜55g/l、ホルマリン2.5〜4.5g/l、TEA(トリエタノールアミン)2〜6g/l、濃度25%のNaOH 8〜12ml/l及び2,2’−ビピリジン(bipiridine)0.008〜0.15g/lを含み、pH12〜13及び温度36〜45℃である無電解メッキ液に通過させて、6〜10分間炭素繊維に銅をメッキさせる段階;及び(b)前記段階(a)の銅メッキされた炭素繊維をNi(NHSO 280〜320g/l、NiCl 15〜25g/l及びHBO 35〜45g/lを含み、pH4.0〜4.2及び温度50〜60℃である電解メッキ液に通過させて、1〜3分間銅メッキされた炭素繊維にニッケルをメッキさせる段階。
【0029】
以下、無電解及び電解連続工程で金属メッキされた炭素繊維を製造するための本発明の方法を段階別に詳細に説明すれば、次の通りである。
【0030】
(a)無電解メッキ工程
まず、本発明の方法は、炭素繊維に金属を無電解メッキさせる段階を経る。
一具現例として、炭素繊維に銅をメッキさせる場合には、無電解メッキ液は、純水、銅金属塩、錯化剤、還元剤、安定剤及びpH調節剤を含む。
前記無電解メッキ液に含まれる銅金属塩は、炭素繊維に導電性を付与するための銅イオンを供給し、還元剤は、ホルマリンを利用し、錯化剤としてEDTA、安定剤としてTEA(トリエタノールアミン)及び2,2’−ビピリジン、そして、pH調節剤としては、濃度25%のNaOHを用いた。
【0031】
実施例から確認できるように、無電解メッキ液に含まれる還元剤であるホルマリン及びpH調節剤であるNaOHの濃度が増加するにつれて、メッキ速度は上昇したが、メッキ液の寿命が短くなる短所があって、これを考慮して還元剤とpH調節剤の含量を採択した。
一方、実施例から明確に確認できるように、銅イオン及び錯化剤の含量が同じ比率で増加する時、還元剤の含量を調節することによって、メッキ速度及び液の安定性試験を実施した結果、銅イオン及び還元剤であるホルマリンの濃度の調節でメッキ速度及びメッキ層の厚さを調節し、メッキ層の厚さ調節を通じて比重、強度、弾性率及びストレイン(strain)を調節することができるが、本発明では、メッキ層の厚さが厚くなるほど、比重が増加し、強度、弾性率及びストレインが低下するので、銅イオン及び還元剤であるホルマリンの濃度調節と共に電解メッキを実施して、薄い厚さで伝導度が向上して、前記問題点を解決し、これは、本発明で無電解及び電解連続工程を採択した理由である。
【0032】
本発明の他の具現例によれば、前記段階(a)の無電解メッキ段階は、炭素繊維を純水の体積を基準にして、Cuイオン2.5〜3.5g/l、EDTA 25〜35g/l、ホルマリン2.5〜3.5g/l、TEA(トリエタノールアミン)2〜3g/l、濃度25%のNaOH 8〜12ml/l及び2,2’−ビピリジン0.008〜0.01g/lを含み、pH12〜13及び温度36〜40℃である無電解メッキ液に通過させて、6〜10分間炭素繊維に銅をメッキさせることを特徴とする。
【0033】
本発明のさらに他の具現例によれば、前記段階(a)の無電解メッキ段階は、炭素繊維を純水の体積を基準にして、Cuイオン2.5〜3.5g/l、EDTA 20〜30g/l、ホルマリン2.5〜3.5g/l、TEA(トリエタノールアミン)2〜3g/l、濃度25%のNaOH 8〜12ml/l及び2,2’−ビピリジン0.008〜0.01g/lを含み、pH12〜13及び温度36〜40℃である無電解メッキ液に通過させて、6〜10分間炭素繊維に銅をメッキさせることを特徴とする。
【0034】
本発明の他の具現例によれば、前記段階(a)の無電解メッキ段階は、炭素繊維を純水の体積を基準にして、Cuイオン4.5〜5.5g/l、EDTA 30〜40g/l、ホルマリン2.5〜3.5g/l、TEA(トリエタノールアミン)4〜6g/l、濃度25%のNaOH 8〜12ml/l及び2,2’−ビピリジン0.01〜0.15g/lを含み、pH12〜13及び温度40〜45℃である無電解メッキ液に通過させて、6〜10分間炭素繊維に銅をメッキさせることを特徴とする。
【0035】
本発明のさらに他の具現例として、高速メッキ浴によれば、前記段階(a)の無電解メッキ段階は、炭素繊維を純水の体積を基準にして、Cuイオン4.5〜5.5g/l、EDTA 45〜55g/l、ホルマリン3.5〜4.5g/l、TEA(トリエタノールアミン)4〜6g/l、濃度25%のNaOH 8〜12ml/l及び2,2’−ビピリジン0.01〜0.15g/lを含み、pH12〜13及び温度40〜45℃である無電解メッキ液に通過させて、6〜10分間炭素繊維に銅をメッキさせることを特徴とする。
そして、無電解メッキ後、水洗3段を行い、水洗3段のうち、3番目には、HSO 1〜2%を混ぜて水洗する。これは、電解メッキ槽のpHを保存するための手段であり、無電解メッキされた炭素繊維の表面を活性化させるためである。
【0036】
(b)電解メッキ工程
次いで、本発明の方法は、銅を無電解メッキ工程で炭素繊維にメッキさせた後、電解メッキ工程でニッケルを連続してメッキさせる段階を経る。
本発明の特徴の1つは、無電解メッキ工程を実施した後、ニッケル電解メッキ工程を実施して、炭素繊維の電気伝導度を改善させたという点である。
前記電解メッキ工程を実施するための電解メッキ液は、ニッケル金属塩としてNi(NHSO及びNiClを、pH緩衝剤としてHBOを用いる。
実施例から明確に確認できるように、無電解及び電解連続工程を通じてメッキされない炭素繊維に比べて、電気抵抗値が約32〜37倍減少し、比較例に比べては、約2倍減少して、電気伝導度が改善された。
これは、無電解メッキ後、銅の空隙を早い時間にNi電解メッキを実施して埋める方式で電気伝導度が改善されたと判断される。
【0037】
本発明の他の具現例によれば、前記段階(b)の電解メッキ工程は、定電圧(CV、constant voltage)5〜15Voltを加えて実施する。
無電解銅メッキ及び電解ニッケルメッキの連続工程の場合、電解メッキ工程は、定電圧(CV)5〜10Voltを加えて実施し、より望ましくは、6〜8Voltを加えて実施する。
このような無電解及び電解メッキの長所は、電気伝導度の優秀性を帯び、密着力及び軟性に効果的であり、無電解メッキで生じた金属の空間に電解金属が張り付いて、厚さは薄く、伝導度に優れた形態の合金層が形成される。また、炭素繊維に均一にメッキができる効果を有する。
1次無電解メッキ(銅)後、連続して電解メッキを実施し、浴中に炭素繊維を置き、電圧を印加することによって、無電解メッキで生じた空隙に電解イオンが結合して、メッキ厚さが薄く、伝導度は向上した製品が生産される。
【0038】
本発明のさらに他の具現例によれば、前記段階(a)の炭素繊維は、次の段階を含む方法で前処理(pre−treatment)されることを特徴とする。(i)炭素繊維を界面活性剤、有機溶媒及び非イオン性界面活性剤を含む水溶液に通過させて炭素繊維を脱脂及び軟化させる段階;(ii)前記段階(i)の結果物である炭素繊維を亜硫酸水素ナトリウム(sodium bisulfite;NaHSO)、硫酸(HSO)、過硫酸アンモニウム(ammonium persulfate;(NH)及び純水を含む水溶液に通過させて、中和、洗浄及び調質(conditioning)作用を行うエッチング工程を実施する段階;(iii)前記段階(ii)の結果物である炭素繊維をPdCl水溶液に通過させてセンシタイジング(sensitizing)工程を実施する段階;及び(iv)前記段階(iii)の結果物である炭素繊維を硫酸(HSO)水溶液に通過させて活性化(activating)工程を実施する段階。
【0039】
(i)炭素繊維の脱脂及び軟化
本発明の方法のうち、炭素繊維の前処理は、まず、炭素繊維を界面活性剤、有機溶媒及び非イオン性界面活性剤を含む水溶液に通過させて炭素繊維を脱脂及び軟化させる段階を経る。
前記界面活性剤、有機溶媒及び非イオン性界面活性剤を含む水溶液は、炭素繊維にサイジングされたエポキシやウレタンを除去する脱脂作用を行い、同時に繊維表面を膨潤(swelling)させて軟化(softening)させる。
【0040】
本発明のさらに他の具現例によれば、前記段階(i)の水溶液は、界面活性剤として純水及びNaOHを重量比40〜49:1〜10で混合した溶液15〜35重量%、有機溶媒としてジエチルプロパンジオール(diethyl propanediol)50〜80重量%及びジプロピレングリコールメチルエーテル(dipropylene glycol methyl ether)5〜15重量%、そして、400〜600ppmの非イオン性界面活性剤を含み、さらに望ましくは、界面活性剤として純水及びNaOHを重量比45〜48:2〜5で混合した溶液20〜30重量%、有機溶媒としてジエチルプロパンジオール58〜72重量%及びジプロピレングリコールメチルエーテル8〜12重量%、そして、450〜550ppmの非イオン性界面活性剤を含む。
前記非イオン性界面活性剤は、当業者に公知の多様な非イオン性界面活性剤を含むが、望ましくは、エトキシル化リニアアルコール(ethoxylated linear alcohol)、エトキシル化リニアアルキルフェノール(ethoxylated linear alkyl−phenol)またはエトキシル化リニアチオール(ethoxylated linear thiol)であり、より望ましくは、エトキシル化リニアアルコールである。
本発明のさらに他の望ましい具現例によれば、前記段階(i)は、温度40〜60℃で1〜5分間実施し、より望ましくは、温度45〜55℃で1〜3分間実施する。
【0041】
(ii)エッチング工程
次いで、炭素繊維の前処理は、強アルカリ成分を中和させ、次の工程であるセンシタイジング工程のために洗浄作用を助け、調質作用を行うエッチング工程を実施する。
エッチング工程のための水溶液は、亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO)、硫酸(HSO)、過硫酸アンモニウム((NH)及び純水を含む。
【0042】
より望ましくは、前記段階(ii)の水溶液は、亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO)0.1〜10重量%、硫酸(HSO)0.1〜3重量%、過硫酸アンモニウム((NH)5〜25重量%及び純水62〜94.8重量%を含み、さらに望ましくは、亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO)0.8〜2重量%、硫酸(HSO)0.3〜1重量%、過硫酸アンモニウム((NH)10〜20重量%及び純水77〜88.9重量%を含む。
本発明のさらに他の具現例によれば、前記段階(ii)は、温度20〜25℃で1〜5分間実施し、さらに望ましくは、温度20〜25℃で1〜3分間実施する。
【0043】
(iii)センシタイジング工程
次いで、前記段階(ii)の結果物である炭素繊維をPdCl水溶液に通過させてセンシタイジング工程を実施する段階を経る。
前記センシタイジング工程は、表面改質された炭素繊維の表面に金属イオンを吸着させるためである。
より望ましくは、PdCl水溶液の濃度は、10〜30%であり、さらに望ましくは、15〜25%である。
本発明のさらに他の具現例によれば、前記段階(iii)は、温度20〜40℃で1〜5分間実施し、さらに望ましくは、温度25〜35℃で1〜3分間実施する。
【0044】
(iv)活性化工程
引き続き、炭素繊維の前処理方法は、前記段階(iii)の結果物である炭素繊維を硫酸(HSO)水溶液に通過させて活性化工程を実施する。
前記活性化工程は、センシタイジング工程以後に実施したと記載したが、センシタイジング工程と共に実施することも、本発明の範囲に含まれる。
活性化工程は、Pdの酸化防止のためにコロイド化されたSnの除去のために実施する。より望ましくは、硫酸(HSO)水溶液の濃度は、5〜15%である。
【0045】
本発明のさらに他の具現例によれば、前記段階(iv)は、温度40〜60℃で1〜5分間実施し、さらに望ましくは、温度45〜55℃で1〜3分間実施する。
このような方法で炭素繊維を前処理し、該前処理された炭素繊維に金属である銅及びニッケルを無電解及び電解連続工程でメッキさせることができる。
本発明の他の態様によれば、本発明は、前述した本発明の方法によって製造された電磁波遮蔽及び吸収用不織布を提供する。
本発明の電磁波遮蔽及び吸収用不織布は、前述した本発明の電磁波遮蔽及び吸収用不織布の製造方法で製造されるものであるために、両者間の共通内容は、繰り返し記載による明細書の過度な複雑性を避けるために、その記載を省略する。
【0046】
本発明のさらに他の態様によれば、本発明は、次を含む電磁波遮蔽及び吸収用不織布複合材を提供する:(i)芯材として前述した本発明の不織布と、(ii)前記(i)の芯材としての不織布の何れか一面に積層された仕上げフィルムと、(iii)前記(i)の芯材としての不織布の他の一面に積層された仕上げフィルム。
本発明の他の態様によれば、本発明は、次を含む電磁波遮蔽及び吸収用不織布複合材を提供する:(i)芯材として前述した本発明の不織布と、(ii)前記(i)の芯材としての不織布の何れか一面に積層された仕上げフィルムと、(iii)前記(i)の芯材としての不織布の他の一面に積層された両面接着フィルム。
【0047】
本発明の電磁波遮蔽及び吸収用不織布複合材は、芯材として前述した本発明の不織布を用いるものであって、両者間の共通内容は、繰り返し記載による明細書の過度な複雑性を避けるために、その記載を省略する。
本発明の一具現例によれば、本発明の不織布複合材は、フィルム状またはステッカー状であり得る。
本発明の不織布複合材がフィルム状である場合には、芯材として前述した本発明の不織布の両面に仕上げフィルムが積層された3層構造を有する。
【0048】
一方、本発明の不織布複合材がステッカー状である場合には、(i)芯材として前述した本発明の不織布の何れか一面に、(ii)仕上げフィルムが積層され、前記不織布の他の一面に、(iii)両面接着フィルムが積層された3層構造を有する。
本発明の不織布複合材(フィルムまたはステッカー)に用いられる仕上げフィルムは、当業者に公知の多様な熱可塑性樹脂フィルムを利用でき、望ましくは、PET(Polyethyleneterephalate)フィルムを利用できる。
本発明の仕上げフィルムは、その外部面にデザインを印刷したデコフィルムを利用でき、前記デザインの印刷は、当業者に公知の多様な方法で実施することができるが、望ましくは、UV印刷を実施してデザインを印刷する。
【0049】
本発明の不織布複合材がフィルム状である場合、本発明の他の具現例によれば、前記不織布複合材は、前記(i)の不織布と前記(ii)の仕上げフィルムとの間に、そして、前記(i)の不織布と前記(iii)の仕上げフィルムとの間に、それぞれホットメルトフィルムを積層し、熱プレスで加圧して、前記不織布と仕上げフィルムとを合紙させるか、水性接着剤、ソルベント系接着剤、ウレタン接着剤、エポキシ接着剤、不飽和ポリエステル系接着剤及びレゾールタイブのフェノール接着剤で構成された群から選択される接着剤を塗布して、前記不織布と仕上げフィルムとをラミネーティングさせて製造される。
【0050】
本発明の不織布複合材がステッカー状である場合、本発明のさらに他の具現例によれば、前記不織布複合材は、前記(i)の不織布と前記(ii)の仕上げフィルムとの間に、ホットメルトフィルムを積層し、熱プレスで加圧して、前記不織布と仕上げフィルムとを合紙させるか、水性接着剤、ソルベント系接着剤、ウレタン接着剤、エポキシ接着剤、不飽和ポリエステル系接着剤及びレゾールタイブのフェノール接着剤で構成された群から選択される接着剤を塗布して、前記不織布と仕上げフィルムとをラミネーティングさせて製造される。
【0051】
本発明のさらに他の具現例によれば、前記合紙工程は、80〜120℃で5〜20秒間熱プレスで加圧して実施し、さらに望ましくは、前記合紙工程は、90〜110℃で8〜12秒間熱プレスで加圧して実施する。
【0052】
本発明のさらに他の具現例によれば、前記接着剤は、電磁波遮蔽及び吸収率補強添加剤として、(a)アルミニウム、鉄、クロム、ステンレス、銅、ニッケル、ブラックニッケル、銀、金、白金、パラジウム、錫、コバルト及びその2種以上の合金で構成された群から選択された少なくとも1種の金属粉末、または(b)炭素ナノチューブ、グラファイト、カーボンブラック、グラフェン及びその金属メッキされた添加剤で構成された群から選択される炭素系添加剤をさらに含む。
【0053】
前記のように、前述した本発明の導電性不織布が十分な導電性と強度とを有しているために、経済性と生産性とを考慮して、熱可塑性樹脂で製造されたフィルムを用いて、合紙またはラミネーティング方式を適用して電磁波遮蔽及び吸収用不織布複合材(フィルムまたはステッカー)を製造した。
【0054】
本発明の導電性金属(銅及びニッケル)メッキされた炭素繊維からなる不織布を用いた電磁波遮蔽及び吸収用不織布複合材(フィルムまたはステッカー)は、携帯電話カバー、携帯電話ポーチに挿入されて電磁波の遮断に使われ、携帯用ディスプレイ製品のLCD保護用ブラケットにも適用可能であり、電気自動車の内部ハウジングに使われる。また、上下フィルムまたは両面テープで仕上げたラミネーティングフィルム複合体の場合は、電磁波遮断用ステッカーとして使われる。
【発明の効果】
【0055】
本発明の特徴及び利点を要約すれば、次の通りである。
(a)本発明は、無電解ないし電解連続工程で製造された金属(銅及びニッケル)メッキされた炭素繊維を用いて製造された電磁波遮蔽及び吸収用不織布または前記不織布を含む不織布複合材を提供する。
(b)本発明の不織布は、従来技術に比べて、さらに薄くて強く、さらなる導電性粉末の添加が不要であり、かつ金属メッキされた炭素繊維の含量調節のみで導電性調節が可能であるという利点がある。
(c)また、本発明の不織布は、それ自体で電磁波遮蔽能に優れて、上下部合紙工程、またはラミネーティング方式で簡単に電磁波遮蔽及び吸収用不織布複合材(フィルムまたはステッカー)を量産することができる経済的利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1図1は、無電解ないし電解連続工程で製造された金属メッキされた炭素繊維の断面拡大写真である。
図2図2は、本発明の一実施例によって金属メッキされた炭素繊維で製造された不織布(wet laid)を示す写真である。
図3図3は、本発明の他の実施例によるステッカー状の電磁波遮蔽及び吸収用不織布複合材を製造するための構成図を示す。
図4図4は、本発明の一実施例によって製造された金属メッキされた炭素繊維不織布及びデコフィルムを示す写真である。
図5図5は、本発明の一実施例によって製造された金属メッキされた炭素繊維不織布と電磁波遮蔽繊維を含有した射出または圧出物と比較するためのテストサンプルを示す写真である。
図6図6は、本発明に用いられた金属メッキされた炭素繊維をチョップ(chop)状態で切断したサンプル写真である。
図7図7は、実験用不織布を製造する不織布製造機を示す写真である。
図8図8は、電磁波吸収率の測定結果を示すグラフである。
図9図9は、本発明に用いられる炭素繊維の表面処理装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳しく説明する。これら実施例は、単に本発明をより具体的に説明するためのものであって、本発明の要旨によって、本発明の範囲が、これら実施例によって制限されるものではないということは、当業者にとって自明である。
本明細書の全般に亘って、特定物質の濃度を表わすために使われる“%”は、別途の言及のない場合、固体/固体は、(重量/重量)%、固体/液体は、(重量/体積)%、そして、液体/液体は、(体積/体積)%である。
【実施例】
【0058】
実施例1:無電解及び電解連続工程で銅及びニッケルメッキされた炭素繊維不織布の製造
無電解及び電解連続工程で金属(銅及びニッケル)メッキされた炭素繊維を3mm、6mmまたは12mmに切断し、それぞれに対してチョップ状に加工された金属メッキされた炭素繊維1gを水500gに分散させて、ミキサー機で1分間5,000rpmで高速分散させた。前記金属メッキ炭素繊維が分散された混合溶液は、水7Lが満たされたシートフォーママシン(sheet former machine)(自社製作)に投入し、3秒後、メッシュ網を通じて水を排出し、残っている炭素繊維不織布を得た。メッシュ網にフィルタリングされた炭素繊維不織布は、70℃のオーブンで2時間乾燥して、最終的に30g/mの重量を有する金属メッキされた炭素繊維不織布を得た。
前記実施例1及び以下の実施例2ないし実施例5で使われる金属メッキされた繊維は、ブルズワン新素材社で製造した無電解ないし電解連続工程を適用したCu−Ni二重メッキされた炭素繊維を利用し、炭素繊維は、3mm、6mm、12mmの長さでチョップ切断を実施した。
【0059】
実施例2:LMPETが添加された強度補完用複合不織布の製造
強度を高めるために、チョップ状に加工された金属(銅及びニッケル)メッキされた炭素繊維にLMPETを0.1g、0.2gまたは0.3gそれぞれ追加して金属メッキされた炭素繊維及びLMPETの総重量に比べて、10wt%、20wt%または30wt%のLMPETが添加された強度補完用複合不織布を製造した。10wt%のLMPETを含む複合不織布は、金属メッキされた炭素繊維0.9gとLMPET0.1gを、20wt%のLMPETは、金属メッキされた炭素繊維0.8gとLMPET0.2g、30wt%のLMPETは、金属メッキされた炭素繊維0.7gとLMPET0.3gを水500gに分散させてミキサー機で1分間5,000rpmで高速分散させ、水7Lが満たされたシートフォーママシンに投入し、3秒間後、メッシュ網を通じて水を排出し、残っている炭素繊維不織布を得た。
メッシュ網にフィルタリングされた炭素繊維不織布は、120℃のオーブンで2時間乾燥して、金属メッキされた炭素繊維不織布を得た。得られた不織布は、150℃のホットプレスで7秒間加圧して、30g/mの最終製品を得た。
【0060】
実施例3:60g/m及び90g/mの金属メッキされた炭素繊維不織布の製造
前記実施例1及び実施例2は、坪量が30g/mであるサンプルを得るのに使われた方法であり、金属メッキされた炭素繊維の含量によって電磁波の遮蔽効果が変わりうるので、含量による電磁波遮蔽効率を測定するために、60g/m、90g/mの不織布を製造した。製造方法は、実施例1と同一であり、繊維の総重量のみそれぞれ2g及び4.5gに増量して、同じ方法で60g/m及び90g/mを有する不織布を製造した。
【0061】
実施例4:金属メッキされた炭素繊維不織布を用いた不織布複合材の製造
30g/m、60g/m及び90g/mの不織布の両側にホットメルトフィルムを積層し、上部及び下部にUV印刷されたPETフィルムで仕上げた。合紙工程は、100℃で10秒間熱プレスにより加圧して成形した。
前記実施例4及び以下の実施例5及び実施例6に用いられた接着フィルムは、金属メッキされた炭素繊維不織布とPETデコフィルムとを接着させるために、ホットメルト型接着フィルムを用いた。一方、接着の方式を、特にホットメルト型接着フィルムに限定せず、通常の接着剤を利用できる。
そして、前記実施例4及び以下の実施例5及び実施例6に用いられたデコフィルムとしてUV印刷されたPETフィルムは、SKC社のSW84G製品にUV印刷を実施してデザインを印刷して使ったが、デザイン印刷は、特にUV印刷に限定されるものではない。
【0062】
実施例5:LMPETが添加された強度補完用複合不織布を用いた不織布複合材の製造
LMPETが10wt%、20wt%または30wt%含有された不織布の両側にホットメルトフィルムを積層し、上部/下部にUV印刷されたPETフィルムで仕上げた。合紙は、100℃で10秒間熱プレスにより加圧して成形した。
【0063】
実施例6:不織布複合材を用いたステッカーの製造
前記実施例1及び実施例3の金属(銅及びニッケル)メッキされた炭素繊維不織布または実施例2のLMPETが添加された強度補完用複合不織布の両側にホットメルトフィルムを積層し、上部には、UV印刷されたPETフィルムで仕上げ、下部には、離型フィルムが処理された両面テープを積層して合紙した。合紙は、100℃で10秒間熱プレスにより加圧して成形した。得られた試片は、下部離型フィルムを除去すれば、ステッカーのように便利に付着可能にした。
【0064】
比較例1:電磁波遮蔽用複合材の製造
比較例は、下記の表1に示された含量で熱可塑性樹脂であるPPと銅及びニッケルメッキされた炭素繊維を射出成形して、電磁波遮蔽用複合材を製造して用いた。射出成型品は、厚さが0.5mm及び0.7mmであるシート状に製作した。具体的に、80℃の真空オーブンでPP(polypropylene、grade BJ700、溶融指数25、密度0.91g/cm、熱変形温度105℃、三星トータル社)を6時間乾燥した後、乾燥されたPPは、PPを80重量%と銅及びニッケルメッキ炭素繊維(6mm)20重量%とを混合した。そして、前記混合物を射出機(twin injection machine;宇進製造社、韓国、GT−1 9300)に投入して、ASTM D4935が指定する規格の金型モールドに射出して製造した。この場合、温度区間を5区間に分け、それぞれ215℃、220℃、220℃、220℃及び230℃に設定し、55rpm、60bar、金型冷却時間8秒間で作業した。
【0065】
実験例1:電磁波吸収率及び遮蔽率(specific absorption rate;SAR)試験
実施例1ないし実施例3の不織布と比較例のプラスチック複合体に対して、SAR試験を実施し、その結果は、下記の表1に整理した。
【0066】
携帯電話の電磁波減衰試験
【表1】
前記の表1を通じて見れば、前記実施例1及び実施例3の不織布の製造に用いられた金属メッキされた炭素繊維の量が多いほど(一般的に、“坪量”と称する)、SAR遮蔽及び吸収効率に優れていることを確認することができた。また、比較例のプラスチック複合材の厚さに比べて、約30%程度の厚さでも、同一またはより優れた遮蔽効果が表われるので、スリム化される電子機器に使われるのに適している。
そして、原素材の固有な電磁波遮蔽効率を測定するASTM D4935による実験結果、実施例1ないし実施例3の場合、種類に関係なく類似した電磁波遮蔽結果が得られた。
これは、試片製造時に、不織布10枚を積層して製造し、試験片を加工したために、坪量の差による電磁波の遮蔽効果の差が大きくなかった。
しかし、実施例1ないし実施例3の不織布で製造された試片が、比較例のプラスチック複合材試片よりも約10dB以上良い電磁波遮蔽能を示しているということが分かるが、これは、実施例1ないし実施例3の不織布の場合、繊維の長さがプラスチック複合材に比べて長く、繊維状ネットワーク構造が緻密に形成されているためである。
【0067】
一方、図8は、素材の電磁波吸収率の測定結果グラフである。不織布及びプラスチック複合材の吸収率が約60〜70%であるが、一方、織造された有機繊維に金属メッキをした遮蔽剤の場合は、自体吸収率が10%程度で反射による遮蔽効果が主になされると見られる。これは、純粋に反射作用によって電磁波を遮断する銅板の吸収率と類似したものであって、緻密に織造された繊維に金属メッキすることは、電磁波を吸収させて消滅する作用とは距離が遠いと見られる。
したがって、本発明に用いられた不織布及びプラスチック複合材の場合は、素材自体の電磁波遮蔽率は99.99%以上であり、そのうち、電磁波の吸収消滅が約60〜70%であり、反射による遮蔽率が約29〜39%程度であると言える。
【0068】
したがって、本発明は、無電解ないし電解連続工程で製造された高導電性炭素繊維を不織布で製造して、電磁波遮断用芯材として使い、上下部に美麗な仕上げフィルムや両面接着フィルムを使えば、経済的かつ生産性が高い高性能の電磁波遮断フィルムまたはステッカーを製造することができるということを示している。
一方、前記実施例1ないし実施例6で使われるブルズワン新素材社で製造した無電解ないし電解連続工程を適用したCu−Ni二重メッキされた炭素繊維は、下記の過程を通じて前処理及び製造される。
【0069】
実施例7:炭素繊維の前処理過程
1)脱脂及び軟化工程
まず、有機溶媒を用いて炭素繊維にサイジングされたエポキシやウレタンを除去し、同時に繊維表面を膨潤させて軟化させる工程を実施した。
界面活性剤として純水及びNaOHを重量比47:3で混合した溶液25重量%、有機溶媒としてジエチルプロパンジオール65重量%及びジプロピレングリコールメチルエーテル10重量%、そして、500ppmの非イオン性界面活性剤(non−ionic surfactant、low foam)としてエトキシル化リニアアルコールを含む前処理槽に炭素繊維(12K、購入先:東レ(Toray)社、暁星社または泰光(TK)社)を通過させて脱脂及び軟化工程を実施した。脱脂及び軟化工程は、温度50℃で2分間実施した。
【0070】
2)エッチング工程
NaOHの強アルカリ成分を、硫酸(HSO)を用いて中和させ、次の工程であるセンシタイジング工程に負担を減らし、過硫酸アンモニウム((NH)を用いて洗浄作用を助け、調質作用を行って、パラジウムの吸着を強力にするために、エッチング工程を実施した。
具体的に、亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO)1重量%、硫酸(HSO)0.5重量%、過硫酸アンモニウム((NH)15重量%及び純水83.5重量%を含む前処理槽に脱脂及び軟化工程を経た炭素繊維を通過させて、中和、洗浄及び調質作用を行うエッチング工程を実施した。前記エッチング工程は、温度20〜25℃で2分間実施した。
【0071】
3)センシタイジング工程(触媒付与工程)
前記エッチング工程を実施した炭素繊維に濃度20%のPdClを温度30℃で2分間処理して、センシタイジング工程を実施した。センシタイジング工程は、表面改質された炭素繊維の表面に金属イオンを吸着させるために実施した。
【0072】
4)活性化工程
センシタイジング工程と共に実施する工程でPdの酸化防止のために、コロイド化されたSnの除去のために、温度50℃で濃度10%の硫酸(HSO)を炭素繊維に2分間処理した。
前記工程で炭素繊維を前処理した。
【0073】
実施例8及び実施例9:無電解及び電解連続メッキ工程で銅及びニッケルメッキされた炭素繊維
下記の添付の図9のメッキ装置を用いて、前記実施例7で前処理された炭素繊維(12K、購入先:東レ社)、そして、前記実施例7で前処理された炭素繊維(12K、購入先:泰光(TK)社)を次の表2の組成及び条件で無電解銅メッキを実施し、連続工程で次の表3の組成及び条件で電解ニッケルメッキ工程を実施して、銅及びニッケルがメッキされた炭素繊維を製造し、これをそれぞれ実施例8及び実施例9として用いた。以下の実施例に記載のメッキ液成分の含量は、純水1Lを基準とする。
【0074】
無電解銅メッキ液
【表2】
【0075】
Ni電解メッキ液
【表3】
【0076】
実施例10:無電解及び電解連続メッキ工程で銅及びニッケルメッキされた炭素繊維
下記の添付の図9のメッキ装置を用いて、前記実施例7で前処理された炭素繊維を次の表4の組成及び条件で無電解銅メッキを実施し、連続工程で次の表5の組成及び条件で電解ニッケルメッキ工程を実施して、銅及びニッケルがメッキされた炭素繊維を製造した。
【0077】
無電解銅メッキ液
【表4】
【0078】
Ni電解メッキ液
【表5】
電解メッキの場合、電解ニッケル槽に定電圧(CV)5〜10Voltを加えた。正極として用いられた金属板は、Ni金属板またはNiボール(ball)を用いた。
【0079】
実施例11:無電解及び電解連続メッキ工程で銅及びニッケルメッキされた炭素繊維
下記の添付の図9のメッキ装置を用いて、前記実施例7で前処理された炭素繊維を次の表6の組成及び条件で無電解銅メッキを実施し、連続工程で次の表7の組成及び条件で電解ニッケルメッキ工程を実施して、銅及びニッケルがメッキされた炭素繊維を製造した。
【0080】
無電解銅メッキ液
【表6】
【0081】
Ni電解メッキ液
【表7】
電解メッキの場合、電解ニッケル槽に定電圧(CV)5〜10Voltを加えた。正極として用いられた金属板は、Ni金属板またはNiボールを用いた。
【0082】
実験例2:電流密度の変化及びメッキされた炭素繊維の線抵抗値の測定
前記実施例10の銅及びニッケルメッキされた炭素繊維を製造する組成及び条件のうち、pHを調節するNaOHの濃度とCuの還元反応を助けるHCHOの濃度調節を通じて無電解及び電解メッキの最適化条件を設定した。
濃度25%のNaOHを8、9、10、11及び12ml/l、そして、HCHOを2.5、2.7、2.9、3.1、3.3g/lにそれぞれ変化させながら、炭素繊維に流れる電流密度(A)の変化を測定し、最終的に得られた製品(銅及びニッケルメッキされた炭素繊維)の線抵抗値(Ω/30cm)で評価した。その結果は、下記の表8に整理し、電解ニッケル槽に定電圧(CV)7Voltを加え、その他の一定に保持した条件は、次の表9及び表10に整理した。
【0083】
【表8】
前記の表8で、1turnは、無電解銅メッキ1建浴量を示す。
【0084】
無電解銅メッキ液
【表9】
【0085】
電解メッキ液
【表10】
【0086】
前記の表8から確認できるように、還元剤及びNaOHの量が増加するにつれて、メッキ速度は上昇するということが分かるが、メッキ液の寿命が短くなる短所が分かった。これにより、還元剤の量は、最小(2.5〜3.0g/l)に保持し、NaOHの量を最大に上げて作業することが望ましいと言える。
【0087】
実験例3:メッキ速度及び液の安定性試験
銅イオン及び錯化剤(EDTA)の濃度調節を通じてメッキ速度及び液の安定性試験は、銅イオンと錯化剤とが同じ比率で上昇する時、還元剤の量を調節して(表11)、銅メッキの最適化条件を試験し、その他の一定に保持される成分及び条件については、下記の表12及び表13に整理した。
【0088】
【表11】
【0089】
無電解銅メッキ液
【表12】
【0090】
電解メッキ液
【表13】
【0091】
前記の表11から分かるように、銅濃度とHCHOの濃度とが高いほど、高速メッキが可能となり、メッキ層の厚さも高まることを確認した(メッキ厚さ0.7μm以上)。炭素繊維に望ましいメッキ厚さ0.3μmを有するためには、銅イオン濃度2.5〜3.0g/l及びHCHO濃度2.5〜3.0g/l以下で最も良い結果物を得た。
炭素繊維のメッキ厚さが増加するほど、比重も増加し、強度、弾性率及びストレインが低下するために、無電解メッキで無理にメッキ厚さを上げるよりは、無電解メッキ後、Cuの空隙を早い時間にNi電解メッキを行って、優れた電気伝導度を有する炭素繊維を製造することが望ましいと判断される。
【0092】
実験例4:物性及び電気伝導度の比較
次の表12には、実施例8及び実施例9の銅及びニッケルメッキされた炭素繊維と販売中である無電解メッキ工程で製造されたニッケルメッキ炭素繊維とを比較例2にして、物性及び電気伝導度などの特性を比較して整理した。
【0093】
【表12】
前記の表12から分かるように、無電解メッキ工程によって製造された比較例2に比べて、実施例8及び実施例9の銅及びニッケルメッキされた炭素繊維は、物性に優れ、電気抵抗値が低くて、優れた電気伝導度値を示していることが分かった。
【0094】
以上、本発明の特定の部分を詳しく記述したところ、当業者にとって、このような具体的な技術は、単に望ましい具現例であり、これにより、本発明の範囲が制限されるものではないという点は明白である。したがって、本発明の実質的な範囲は、添付の請求項とその等価物とによって定義される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9