【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様によれば、本発明は、次の段階を含む電磁波遮蔽及び吸収用不織布の製造方法を提供する:(a)無電解及び電解連続工程で銅及びニッケルメッキされた炭素繊維を長さ3〜500mmのチョップ(chopped)状に切断する段階と、(b)前記段階(a)の結果物であるチョップ状の銅及びニッケルメッキされた炭素繊維及び水を重量比1:100〜600で混合して分散させる段階と、(c)前記段階(b)の結果物を水に3〜30%(w/v)添加して分散させる段階と、(d)前記段階(c)の結果物を濾過して水を除去する段階。
【0013】
本発明者らは、電磁波遮蔽及び吸収効率に優れた複合フィルムまたはステッカーを開発するために努力してきた。その結果、無電解及び電解連続工程で製造された金属(銅及びニッケル)メッキされた炭素繊維を用いて不織布を製造した結果、従来技術に比べて、炭素繊維含量が少ない量またはさらに薄い厚さにも高導電性特性を発現して、電磁波遮蔽及び吸収率に優れていることを確認し、前記不織布を芯材として、前記不織布の両面に仕上げフィルムを積層するか、何れか一面は仕上げフィルムで、他の一面は両面接着フィルムで積層して、複合フィルムまたはステッカーを製造することによって、電磁波遮蔽及び吸収率に優れながら、外観が美麗であり、電子機器に簡単に付着して使えるということを確認した。
【0014】
以下、本発明の無電解及び電解連続工程で銅及びニッケルメッキされた炭素繊維を用いた電磁波遮蔽及び吸収用不織布を製造するための本発明の方法を段階別に詳しく説明すれば、次の通りである。
【0015】
(a)
銅及びニッケルメッキされた炭素繊維をチョップ状に切断
まず、本発明の方法は、(a)無電解及び電解連続工程で銅及びニッケルメッキされた炭素繊維を長さ3〜500mmのチョップ状に切断する段階を含む。
本発明に用いられる炭素繊維は、当業者に公知の多様な炭素繊維を利用でき、商業的に購入して利用するか、ポリアクリロニトリル(PAN)系やピッチ(Pitch)系から製造されたものを利用できる。
本発明に用いられる炭素繊維の平均直径は、7μmであり、メッキ厚さまで含めば、7.25〜9.5μmであるが、特に繊維直径に限定されるものではない。
本発明に用いられる炭素繊維にメッキされた金属は、当業者に公知の多様な金属を利用することができるが、より優れた導電性を付与するために、無電解及び電解連続工程を適用した銅及びニッケルがメッキされた炭素繊維を用いる。
【0016】
本発明に用いられる無電解及び電解連続工程を適用した銅及びニッケルがメッキされた炭素繊維については、後述する。無電解ないし電解連続工程で製造された銅及びニッケルメッキされた炭素繊維の断面写真は、
図1で確認することができる。
本発明に用いられる金属(銅及びニッケル)メッキされた炭素繊維は、作業性、表面抵抗値、分散性の多様な要素を考慮する時、金属メッキされた炭素繊維の長さは、特に限定されることはないが、水溶液上で分散と不織布製造時に、分布図を高めるために、
図6のように、チョップ状態で加工され、前記炭素繊維の長さは、目的によって3〜500mmに加工され、望ましくは、前記炭素繊維の長さは、3〜100mm、より望ましくは、3〜50mm、さらに望ましくは、3〜20mmであり、同じ長さの炭素繊維を単一使うか、他の長さの炭素繊維を混合して使うことができる。
【0017】
(b)
前記チョップ状の銅及びニッケルメッキされた炭素繊維を水に分散
次いで、本発明は、前記段階(a)の結果物であるチョップ状の銅及びニッケルメッキされた炭素繊維及び水を重量比1:100〜600で混合して分散させる段階を経る。
本発明の一具現例によれば、前記分散は、2,000〜10,000rpmの速度で実施する。
本発明のさらに他の具現例によれば、前記チョップ状の金属メッキされた炭素繊維を水溶液に重量比1:100〜500で混合し、4,000〜6,000rpmの速度で分散させる。
本発明の他の具現例によれば、前記段階(b)の混合は、不織布強度補完剤として天然パルプまたは低融点熱可塑性樹脂をさらに添加して実施する。
【0018】
本発明で不織布の強度補強のために用いられる天然パルプは、特に制限されるものではないが、通常の木材を繊維状に解繊して製造される当業者に公知の多様なパルプを使うことができる。
本発明で不織布の強度補強のために用いられる低融点熱可塑性樹脂は、当業者に公知の多様な低融点熱可塑性樹脂を利用でき、より望ましくは、LMPET(low melting Polyethyleneterephalate)を利用できる。
本発明のさらに他の具現例によれば、本発明の不織布の製造に用いられる不織布強度補完剤は、前記段階(a)の結果物であるチョップ状の銅及びニッケルメッキされた炭素繊維及び不織布強度補完剤の総重量を基準にして、1〜50重量%を添加し、さらに望ましくは、1〜30重量%を添加し、最も望ましくは、10〜30重量%を添加する。
【0019】
本発明のさらに他の具現例によれば、電磁波遮蔽効率を増進させるために、前記段階(b)の混合は、磁性体及び強磁性体添加剤として鉄、ニッケル及びコバルトで構成された群から選択される1種の金属またはその2種以上の金属の合金、炭素系添加剤として炭素ナノチューブ、グラファイト、カーボンブラックまたはその金属メッキされた炭素系添加剤、フェライト及び無機系添加剤で構成された群から選択される添加剤をさらに添加して実施する。
【0020】
(c)
前記段階(b)の結果物を水に添加及び分散
次いで、本発明の方法は、前記段階(b)の結果物を水に3〜30%(w/v)添加して分散させる段階を含む。
本発明の他の具現例によれば、前記段階(c)の水は、不織布の製造に用いられるシートフォーママシンに入れられている水である。
本発明のさらに他の具現例によれば、前記段階(b)の結果物を水に3〜20%(w/v)、さらに望ましくは、3〜10%(w/v)、最も望ましくは、5〜9%(w/v)を添加して分散させる。
本発明のさらに他の具現例によれば、不織布製造時に、繊維の接着力または不織布の強度を良くするために、前記段階(c)は、前記段階(c)の結果物の総重量を基準にして、水溶性接着剤または水溶性高分子0.1〜50重量%をさらに添加する。
【0021】
本発明に用いられる水溶性接着剤は、当業者に公知の多様な水溶性接着剤を利用することができれば、特に限定されるものではない。
本発明に用いられる水溶性高分子は、不織布の強度補強及び不織布製造時に、工程の効率を高めるために用いられ、このような目的として使われるものであれば、当業者に公知の多様な水溶性高分子を利用でき、望ましくは、前記水溶性高分子は、ポリビニルアルコール(polyvinylalcohol;PVA)またはポリビニルアセテート(polyvinylacetate;PVAc)である。
【0022】
本発明のさらに他の具現例によれば、前記水溶性接着剤または水溶性高分子は、前記段階(c)の結果物の総重量を基準にして、0.1〜10重量%を添加して分散させ、さらに望ましくは、前記水溶性高分子を前記段階(c)の結果物の総重量を基準にして、0.1〜3重量%を添加して分散させ、最も望ましくは、0.1〜2重量%を添加して分散させ、最も望ましくは、1.5重量%を添加して分散させる。一方、前記水溶性高分子の種類及び含量は、不織布の強度の変化を考慮して採択することができる。
【0023】
(d)
前記段階(c)の結果物の濾過及び水の除去
最後に、本発明は、(d)前記段階(c)の結果物を濾過して水を除去する段階を含む。
前記濾過を通じる水の除去は、メッシュ網を通じて実施することによって、金属(銅及びニッケル)メッキされた炭素繊維を用いて電磁波遮蔽及び吸収用不織布を製造することができる。
本発明の他の具現例によれば、請求項1において、前記方法は、前記段階(d)以後に、(e)前記段階(d)の結果物である不織布をトルエン、アセトン、アルコール、THF(tetrahydrofuran)、シクロヘキサン及びキシレンで構成された群から選択される溶媒に、前記溶媒総重量を基準にして、熱可塑性樹脂0.1〜10重量%を溶解させた混合溶液(希薄溶液)に浸漬させるか、前記混合溶液(希薄溶液)を前記段階(d)の結果物である不織布に噴射する段階をさらに含む。
前記段階(e)をさらに含む理由は、金属(銅及びニッケル)メッキされた炭素繊維のみを用いて不織布を製造する場合、繊維間の接着力が弱くて所望の物理的特性を満足させず、さらに強い物理的性質を付与するために、後処理工程として前記段階(e)の過程を実施する。
【0024】
前記熱可塑性樹脂は、当業者に公知の多様な熱可塑性樹脂を利用することができるが、望ましくは、ポリスチレン(PS)を利用できる。
本発明のさらに他の具現例によれば、前記段階(e)の混合溶液(希薄溶液)は、溶媒の総重量を基準にして、熱可塑性樹脂0.1〜5重量%を溶解させて製造し、さらに望ましくは、1〜2重量%を溶解させ、最も望ましくは、1.5重量%を溶解させる。
前記段階(e)の浸漬過程は、前記段階(d)の結果物である不織布を前記混合溶液(希薄溶液)に1〜60秒間実施することが望ましく、より望ましくは、5〜30秒間、さらに望ましくは、7〜15秒間、最も望ましくは、10秒間実施する。
【0025】
本発明の他の具現例によれば、前記方法は、(f)前記段階(d)または(e)の結果物を、50〜150℃で10分間〜3時間乾燥させる段階をさらに含む。
強度補完剤として天然パルプまたは低融点熱可塑性樹脂を添加せず、金属メッキされた炭素繊維のみを用いて前述した本発明の方法によって製造された前記段階(d)の結果物としての不織布の場合、50〜100℃で1〜3時間乾燥させることが望ましく、より望ましくは、60〜80℃で1.5〜2.5時間乾燥させ、最も望ましくは、70℃で2時間乾燥させる。
【0026】
強度補完剤として低融点熱可塑性樹脂を添加して前述した本発明の方法によって製造された前記段階(d)の結果物としての不織布の場合、100〜150℃で10分間〜1時間乾燥させることが望ましく、より望ましくは、110〜130℃で20分間〜40分間乾燥させ、最も望ましくは、120℃で30分間乾燥させる。
低融点熱可塑性樹脂を添加した場合、前記温度範囲で乾燥させる理由は、低融点熱可塑性樹脂、望ましくは、LMPETの場合、100℃以上で表面溶融になりながら、高導電性金属メッキされた炭素繊維に接着効果を表わすためである。
低融点熱可塑性樹脂を添加した場合、さらに望ましくは、より安定した強度と平滑度とのために、ホットプレス(hot press)を用いて140〜160℃で3〜10秒間加圧する段階をさらに含み、最も望ましくは、ホットプレスを用いて150℃で7秒間加圧する。
【0027】
不織布の強度補強及び不織布製造時に、工程の効率を高めるために用いられる水溶性高分子(望ましくは、ポリビニルアルコール(PVA)またはポリビニルアセテート(PVAc)を添加して前述した本発明の方法によって製造された前記段階(d)の結果物としての不織布の場合、50〜100℃で30分間〜2時間乾燥させることが望ましく、より望ましくは、60〜80℃で40分間〜1.5時間乾燥させ、最も望ましくは、70℃で1時間乾燥させる。
前記段階(e)の結果物である不織布の場合、50〜100℃で10分間〜50分間乾燥させることが望ましく、より望ましくは、60〜80℃で10分間〜30分間乾燥させ、最も望ましくは、70℃で10分間乾燥させる。
一方、本発明の実施例に用いられなかったが、通常の不織布や織造された繊維状を成形するに当たって、SMC、BMC、オートクレーブ(autoclave)、プリプレグ(prepreg)などの方式が適用可能である。プリプレグの場合は、前記導電性不織布(ウェブ)にエポキシを含浸させて70℃で8時間1次乾燥(半硬化)させ、製造されたプリプレグを150℃でホットプレスを使って加圧して硬化させる方法が有効である。前記のプリプレグ以外にも、通常の知識範囲内で導電性不織布(ウェブ)は、熱硬化性樹脂(フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂)に含浸熱硬化させてシート状に製造することができる。
【0028】
本発明の最大の特徴の1つは、本発明の方法によって製造される電磁波遮蔽及び吸収用不織布は、無電解及び電解連続工程で銅及びニッケルメッキされた炭素繊維が含まれており、比較例として用いられるプラスチック複合材よりも電磁波遮蔽及び吸収効果がより改善されたという点である。
本発明に用いられる銅及びニッケルメッキされた炭素繊維は、本発明者が開発した無電解及び電解連続工程で製造された電気伝導度に優れた高導電性炭素繊維であって、次のような方法で製造される。
具体的に、本発明の方法に用いられる無電解及び電解連続工程で銅及びニッケルメッキされた炭素繊維は、次の段階を含む方法で製造される:(a)炭素繊維を純水(pure water)の体積を基準にして、Cuイオン2.5〜5.5g/l、EDTA 20〜55g/l、ホルマリン2.5〜4.5g/l、TEA(トリエタノールアミン)2〜6g/l、濃度25%のNaOH 8〜12ml/l及び2,2’−ビピリジン(bipiridine)0.008〜0.15g/lを含み、pH12〜13及び温度36〜45℃である無電解メッキ液に通過させて、6〜10分間炭素繊維に銅をメッキさせる段階;及び(b)前記段階(a)の銅メッキされた炭素繊維をNi(NH
2SO
3)
2 280〜320g/l、NiCl
2 15〜25g/l及びH
3BO
3 35〜45g/lを含み、pH4.0〜4.2及び温度50〜60℃である電解メッキ液に通過させて、1〜3分間銅メッキされた炭素繊維にニッケルをメッキさせる段階。
【0029】
以下、無電解及び電解連続工程で金属メッキされた炭素繊維を製造するための本発明の方法を段階別に詳細に説明すれば、次の通りである。
【0030】
(a)
無電解メッキ工程
まず、本発明の方法は、炭素繊維に金属を無電解メッキさせる段階を経る。
一具現例として、炭素繊維に銅をメッキさせる場合には、無電解メッキ液は、純水、銅金属塩、錯化剤、還元剤、安定剤及びpH調節剤を含む。
前記無電解メッキ液に含まれる銅金属塩は、炭素繊維に導電性を付与するための銅イオンを供給し、還元剤は、ホルマリンを利用し、錯化剤としてEDTA、安定剤としてTEA(トリエタノールアミン)及び2,2’−ビピリジン、そして、pH調節剤としては、濃度25%のNaOHを用いた。
【0031】
実施例から確認できるように、無電解メッキ液に含まれる還元剤であるホルマリン及びpH調節剤であるNaOHの濃度が増加するにつれて、メッキ速度は上昇したが、メッキ液の寿命が短くなる短所があって、これを考慮して還元剤とpH調節剤の含量を採択した。
一方、実施例から明確に確認できるように、銅イオン及び錯化剤の含量が同じ比率で増加する時、還元剤の含量を調節することによって、メッキ速度及び液の安定性試験を実施した結果、銅イオン及び還元剤であるホルマリンの濃度の調節でメッキ速度及びメッキ層の厚さを調節し、メッキ層の厚さ調節を通じて比重、強度、弾性率及びストレイン(strain)を調節することができるが、本発明では、メッキ層の厚さが厚くなるほど、比重が増加し、強度、弾性率及びストレインが低下するので、銅イオン及び還元剤であるホルマリンの濃度調節と共に電解メッキを実施して、薄い厚さで伝導度が向上して、前記問題点を解決し、これは、本発明で無電解及び電解連続工程を採択した理由である。
【0032】
本発明の他の具現例によれば、前記段階(a)の無電解メッキ段階は、炭素繊維を純水の体積を基準にして、Cuイオン2.5〜3.5g/l、EDTA 25〜35g/l、ホルマリン2.5〜3.5g/l、TEA(トリエタノールアミン)2〜3g/l、濃度25%のNaOH 8〜12ml/l及び2,2’−ビピリジン0.008〜0.01g/lを含み、pH12〜13及び温度36〜40℃である無電解メッキ液に通過させて、6〜10分間炭素繊維に銅をメッキさせることを特徴とする。
【0033】
本発明のさらに他の具現例によれば、前記段階(a)の無電解メッキ段階は、炭素繊維を純水の体積を基準にして、Cuイオン2.5〜3.5g/l、EDTA 20〜30g/l、ホルマリン2.5〜3.5g/l、TEA(トリエタノールアミン)2〜3g/l、濃度25%のNaOH 8〜12ml/l及び2,2’−ビピリジン0.008〜0.01g/lを含み、pH12〜13及び温度36〜40℃である無電解メッキ液に通過させて、6〜10分間炭素繊維に銅をメッキさせることを特徴とする。
【0034】
本発明の他の具現例によれば、前記段階(a)の無電解メッキ段階は、炭素繊維を純水の体積を基準にして、Cuイオン4.5〜5.5g/l、EDTA 30〜40g/l、ホルマリン2.5〜3.5g/l、TEA(トリエタノールアミン)4〜6g/l、濃度25%のNaOH 8〜12ml/l及び2,2’−ビピリジン0.01〜0.15g/lを含み、pH12〜13及び温度40〜45℃である無電解メッキ液に通過させて、6〜10分間炭素繊維に銅をメッキさせることを特徴とする。
【0035】
本発明のさらに他の具現例として、高速メッキ浴によれば、前記段階(a)の無電解メッキ段階は、炭素繊維を純水の体積を基準にして、Cuイオン4.5〜5.5g/l、EDTA 45〜55g/l、ホルマリン3.5〜4.5g/l、TEA(トリエタノールアミン)4〜6g/l、濃度25%のNaOH 8〜12ml/l及び2,2’−ビピリジン0.01〜0.15g/lを含み、pH12〜13及び温度40〜45℃である無電解メッキ液に通過させて、6〜10分間炭素繊維に銅をメッキさせることを特徴とする。
そして、無電解メッキ後、水洗3段を行い、水洗3段のうち、3番目には、H
2SO
4 1〜2%を混ぜて水洗する。これは、電解メッキ槽のpHを保存するための手段であり、無電解メッキされた炭素繊維の表面を活性化させるためである。
【0036】
(b)
電解メッキ工程
次いで、本発明の方法は、銅を無電解メッキ工程で炭素繊維にメッキさせた後、電解メッキ工程でニッケルを連続してメッキさせる段階を経る。
本発明の特徴の1つは、無電解メッキ工程を実施した後、ニッケル電解メッキ工程を実施して、炭素繊維の電気伝導度を改善させたという点である。
前記電解メッキ工程を実施するための電解メッキ液は、ニッケル金属塩としてNi(NH
2SO
3)
2及びNiCl
2を、pH緩衝剤としてH
3BO
3を用いる。
実施例から明確に確認できるように、無電解及び電解連続工程を通じてメッキされない炭素繊維に比べて、電気抵抗値が約32〜37倍減少し、比較例に比べては、約2倍減少して、電気伝導度が改善された。
これは、無電解メッキ後、銅の空隙を早い時間にNi電解メッキを実施して埋める方式で電気伝導度が改善されたと判断される。
【0037】
本発明の他の具現例によれば、前記段階(b)の電解メッキ工程は、定電圧(CV、constant voltage)5〜15Voltを加えて実施する。
無電解銅メッキ及び電解ニッケルメッキの連続工程の場合、電解メッキ工程は、定電圧(CV)5〜10Voltを加えて実施し、より望ましくは、6〜8Voltを加えて実施する。
このような無電解及び電解メッキの長所は、電気伝導度の優秀性を帯び、密着力及び軟性に効果的であり、無電解メッキで生じた金属の空間に電解金属が張り付いて、厚さは薄く、伝導度に優れた形態の合金層が形成される。また、炭素繊維に均一にメッキができる効果を有する。
1次無電解メッキ(銅)後、連続して電解メッキを実施し、浴中に炭素繊維を置き、電圧を印加することによって、無電解メッキで生じた空隙に電解イオンが結合して、メッキ厚さが薄く、伝導度は向上した製品が生産される。
【0038】
本発明のさらに他の具現例によれば、前記段階(a)の炭素繊維は、次の段階を含む方法で前処理(pre−treatment)されることを特徴とする。(i)炭素繊維を界面活性剤、有機溶媒及び非イオン性界面活性剤を含む水溶液に通過させて炭素繊維を脱脂及び軟化させる段階;(ii)前記段階(i)の結果物である炭素繊維を亜硫酸水素ナトリウム(sodium bisulfite;NaHSO
3)、硫酸(H
2SO
4)、過硫酸アンモニウム(ammonium persulfate;(NH
4)
2S
2O
8)及び純水を含む水溶液に通過させて、中和、洗浄及び調質(conditioning)作用を行うエッチング工程を実施する段階;(iii)前記段階(ii)の結果物である炭素繊維をPdCl
2水溶液に通過させてセンシタイジング(sensitizing)工程を実施する段階;及び(iv)前記段階(iii)の結果物である炭素繊維を硫酸(H
2SO
4)水溶液に通過させて活性化(activating)工程を実施する段階。
【0039】
(i)
炭素繊維の脱脂及び軟化
本発明の方法のうち、炭素繊維の前処理は、まず、炭素繊維を界面活性剤、有機溶媒及び非イオン性界面活性剤を含む水溶液に通過させて炭素繊維を脱脂及び軟化させる段階を経る。
前記界面活性剤、有機溶媒及び非イオン性界面活性剤を含む水溶液は、炭素繊維にサイジングされたエポキシやウレタンを除去する脱脂作用を行い、同時に繊維表面を膨潤(swelling)させて軟化(softening)させる。
【0040】
本発明のさらに他の具現例によれば、前記段階(i)の水溶液は、界面活性剤として純水及びNaOHを重量比40〜49:1〜10で混合した溶液15〜35重量%、有機溶媒としてジエチルプロパンジオール(diethyl propanediol)50〜80重量%及びジプロピレングリコールメチルエーテル(dipropylene glycol methyl ether)5〜15重量%、そして、400〜600ppmの非イオン性界面活性剤を含み、さらに望ましくは、界面活性剤として純水及びNaOHを重量比45〜48:2〜5で混合した溶液20〜30重量%、有機溶媒としてジエチルプロパンジオール58〜72重量%及びジプロピレングリコールメチルエーテル8〜12重量%、そして、450〜550ppmの非イオン性界面活性剤を含む。
前記非イオン性界面活性剤は、当業者に公知の多様な非イオン性界面活性剤を含むが、望ましくは、エトキシル化リニアアルコール(ethoxylated linear alcohol)、エトキシル化リニアアルキルフェノール(ethoxylated linear alkyl−phenol)またはエトキシル化リニアチオール(ethoxylated linear thiol)であり、より望ましくは、エトキシル化リニアアルコールである。
本発明のさらに他の望ましい具現例によれば、前記段階(i)は、温度40〜60℃で1〜5分間実施し、より望ましくは、温度45〜55℃で1〜3分間実施する。
【0041】
(ii)
エッチング工程
次いで、炭素繊維の前処理は、強アルカリ成分を中和させ、次の工程であるセンシタイジング工程のために洗浄作用を助け、調質作用を行うエッチング工程を実施する。
エッチング工程のための水溶液は、亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO
3)、硫酸(H
2SO
4)、過硫酸アンモニウム((NH
4)
2S
2O
8)及び純水を含む。
【0042】
より望ましくは、前記段階(ii)の水溶液は、亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO
3)0.1〜10重量%、硫酸(H
2SO
4)0.1〜3重量%、過硫酸アンモニウム((NH
4)
2S
2O
8)5〜25重量%及び純水62〜94.8重量%を含み、さらに望ましくは、亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO
3)0.8〜2重量%、硫酸(H
2SO
4)0.3〜1重量%、過硫酸アンモニウム((NH
4)
2S
2O
8)10〜20重量%及び純水77〜88.9重量%を含む。
本発明のさらに他の具現例によれば、前記段階(ii)は、温度20〜25℃で1〜5分間実施し、さらに望ましくは、温度20〜25℃で1〜3分間実施する。
【0043】
(iii)
センシタイジング工程
次いで、前記段階(ii)の結果物である炭素繊維をPdCl
2水溶液に通過させてセンシタイジング工程を実施する段階を経る。
前記センシタイジング工程は、表面改質された炭素繊維の表面に金属イオンを吸着させるためである。
より望ましくは、PdCl
2水溶液の濃度は、10〜30%であり、さらに望ましくは、15〜25%である。
本発明のさらに他の具現例によれば、前記段階(iii)は、温度20〜40℃で1〜5分間実施し、さらに望ましくは、温度25〜35℃で1〜3分間実施する。
【0044】
(iv)
活性化工程
引き続き、炭素繊維の前処理方法は、前記段階(iii)の結果物である炭素繊維を硫酸(H
2SO
4)水溶液に通過させて活性化工程を実施する。
前記活性化工程は、センシタイジング工程以後に実施したと記載したが、センシタイジング工程と共に実施することも、本発明の範囲に含まれる。
活性化工程は、Pdの酸化防止のためにコロイド化されたSnの除去のために実施する。より望ましくは、硫酸(H
2SO
4)水溶液の濃度は、5〜15%である。
【0045】
本発明のさらに他の具現例によれば、前記段階(iv)は、温度40〜60℃で1〜5分間実施し、さらに望ましくは、温度45〜55℃で1〜3分間実施する。
このような方法で炭素繊維を前処理し、該前処理された炭素繊維に金属である銅及びニッケルを無電解及び電解連続工程でメッキさせることができる。
本発明の他の態様によれば、本発明は、前述した本発明の方法によって製造された電磁波遮蔽及び吸収用不織布を提供する。
本発明の電磁波遮蔽及び吸収用不織布は、前述した本発明の電磁波遮蔽及び吸収用不織布の製造方法で製造されるものであるために、両者間の共通内容は、繰り返し記載による明細書の過度な複雑性を避けるために、その記載を省略する。
【0046】
本発明のさらに他の態様によれば、本発明は、次を含む電磁波遮蔽及び吸収用不織布複合材を提供する:(i)芯材として前述した本発明の不織布と、(ii)前記(i)の芯材としての不織布の何れか一面に積層された仕上げフィルムと、(iii)前記(i)の芯材としての不織布の他の一面に積層された仕上げフィルム。
本発明の他の態様によれば、本発明は、次を含む電磁波遮蔽及び吸収用不織布複合材を提供する:(i)芯材として前述した本発明の不織布と、(ii)前記(i)の芯材としての不織布の何れか一面に積層された仕上げフィルムと、(iii)前記(i)の芯材としての不織布の他の一面に積層された両面接着フィルム。
【0047】
本発明の電磁波遮蔽及び吸収用不織布複合材は、芯材として前述した本発明の不織布を用いるものであって、両者間の共通内容は、繰り返し記載による明細書の過度な複雑性を避けるために、その記載を省略する。
本発明の一具現例によれば、本発明の不織布複合材は、フィルム状またはステッカー状であり得る。
本発明の不織布複合材がフィルム状である場合には、芯材として前述した本発明の不織布の両面に仕上げフィルムが積層された3層構造を有する。
【0048】
一方、本発明の不織布複合材がステッカー状である場合には、(i)芯材として前述した本発明の不織布の何れか一面に、(ii)仕上げフィルムが積層され、前記不織布の他の一面に、(iii)両面接着フィルムが積層された3層構造を有する。
本発明の不織布複合材(フィルムまたはステッカー)に用いられる仕上げフィルムは、当業者に公知の多様な熱可塑性樹脂フィルムを利用でき、望ましくは、PET(Polyethyleneterephalate)フィルムを利用できる。
本発明の仕上げフィルムは、その外部面にデザインを印刷したデコフィルムを利用でき、前記デザインの印刷は、当業者に公知の多様な方法で実施することができるが、望ましくは、UV印刷を実施してデザインを印刷する。
【0049】
本発明の不織布複合材がフィルム状である場合、本発明の他の具現例によれば、前記不織布複合材は、前記(i)の不織布と前記(ii)の仕上げフィルムとの間に、そして、前記(i)の不織布と前記(iii)の仕上げフィルムとの間に、それぞれホットメルトフィルムを積層し、熱プレスで加圧して、前記不織布と仕上げフィルムとを合紙させるか、水性接着剤、ソルベント系接着剤、ウレタン接着剤、エポキシ接着剤、不飽和ポリエステル系接着剤及びレゾールタイブのフェノール接着剤で構成された群から選択される接着剤を塗布して、前記不織布と仕上げフィルムとをラミネーティングさせて製造される。
【0050】
本発明の不織布複合材がステッカー状である場合、本発明のさらに他の具現例によれば、前記不織布複合材は、前記(i)の不織布と前記(ii)の仕上げフィルムとの間に、ホットメルトフィルムを積層し、熱プレスで加圧して、前記不織布と仕上げフィルムとを合紙させるか、水性接着剤、ソルベント系接着剤、ウレタン接着剤、エポキシ接着剤、不飽和ポリエステル系接着剤及びレゾールタイブのフェノール接着剤で構成された群から選択される接着剤を塗布して、前記不織布と仕上げフィルムとをラミネーティングさせて製造される。
【0051】
本発明のさらに他の具現例によれば、前記合紙工程は、80〜120℃で5〜20秒間熱プレスで加圧して実施し、さらに望ましくは、前記合紙工程は、90〜110℃で8〜12秒間熱プレスで加圧して実施する。
【0052】
本発明のさらに他の具現例によれば、前記接着剤は、電磁波遮蔽及び吸収率補強添加剤として、(a)アルミニウム、鉄、クロム、ステンレス、銅、ニッケル、ブラックニッケル、銀、金、白金、パラジウム、錫、コバルト及びその2種以上の合金で構成された群から選択された少なくとも1種の金属粉末、または(b)炭素ナノチューブ、グラファイト、カーボンブラック、グラフェン及びその金属メッキされた添加剤で構成された群から選択される炭素系添加剤をさらに含む。
【0053】
前記のように、前述した本発明の導電性不織布が十分な導電性と強度とを有しているために、経済性と生産性とを考慮して、熱可塑性樹脂で製造されたフィルムを用いて、合紙またはラミネーティング方式を適用して電磁波遮蔽及び吸収用不織布複合材(フィルムまたはステッカー)を製造した。
【0054】
本発明の導電性金属(銅及びニッケル)メッキされた炭素繊維からなる不織布を用いた電磁波遮蔽及び吸収用不織布複合材(フィルムまたはステッカー)は、携帯電話カバー、携帯電話ポーチに挿入されて電磁波の遮断に使われ、携帯用ディスプレイ製品のLCD保護用ブラケットにも適用可能であり、電気自動車の内部ハウジングに使われる。また、上下フィルムまたは両面テープで仕上げたラミネーティングフィルム複合体の場合は、電磁波遮断用ステッカーとして使われる。