【課題を解決するための手段】
【0015】
既存の技術の課題を目的とし、本出願は、新規の硬化剤;これらの硬化剤、合成ポリマー、並びにこれらの硬化剤及びエポキシ樹脂を含む強化複合材料を合成する方法;更にポリマー及び強化複合材料を分解する方法を提供する。本発明が提供する、調製した分解性強化複合材料は優れた機械的特性を有し、様々な複合体応用分野に適しており;特定の条件下では、当該複合体は分解され、強化材料及びエポキシ樹脂のマトリックス分解生成物は分離及び回収できる。更に、強化複合材料の分解及び回収方法は経済的かつ制御が簡単であり、比較的温和な条件で進行させることが可能である。
【0016】
従って、1つの態様では、本発明は式Iを有するエポキシ樹脂のための硬化剤を提供する。
【0017】
【化1】
【0018】
式Iでは、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6はそれぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、複素環、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルキレン‐オキシ‐アルキル、アルキレン‐オキシ‐シクロアルキル、アルキレン‐オキシ‐複素環、アルキレン‐オキシ‐ヘテロ‐シクロアルキル、アルキレン‐オキシ‐アルケニル、アルキレン‐オキシ‐シクロアルケニル、アルキレン‐オキシ‐アリール、アルキレン‐オキシ‐ヘテロアリール、シクロアルキレン‐オキシ‐アルキル、シクロアルキレン‐オキシ‐シクロアルキル、シクロアルキレン‐オキシ‐複素環、シクロアルキレン‐オキシ‐ヘテロシクロアルキル、シクロアルキレン‐オキシ‐アルケニル、シクロアルキレン‐オキシ‐シクロアルケニル、シクロアルキレン‐オキシ‐アリール、シクロアルキレン‐オキシ‐ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキレン‐オキシ‐アルキル、ヘテロシクロアルキレン‐オキシ‐シクロアルキル、ヘテロシクロアルキレン‐オキシ‐複素環、ヘテロシクロアルキレン‐オキシ‐ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキレン‐オキシ‐アルケニル、ヘテロシクロアルキレン‐オキシ‐シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキレン‐オキシ‐アリール、ヘテロシクロアルキレン‐オキシ‐ヘテロアリール、アリーレン‐オキシ‐アルキル、アリーレン‐オキシ‐シクロアルキル、アリーレン‐オキシ‐複素環、アリーレン‐オキシ‐ヘテロシクロアルキル、アリーレン‐オキシ‐アルケニル、アリーレン‐オキシ‐シクロアルケニル、アリーレン‐オキシ‐アリール、またはアリーレン‐オキシ‐ヘテロアリールであり;場合により、R
5及びR
6、R
1及びA、またはR
4及びBは、R
4とBとの間の炭素原子(単数または複数)と共に環構造を形成し;
A及びBはそれぞれ独立して、アルキレン、アルキレン‐ヘテロ‐アルキレン、アルケニレン、アルケニレン‐ヘテロ‐アルケニレン、アルキレン‐ヘテロ‐アルケニレン、アルキニレン、シクロアルキレン、アルキレン‐シクロアルキレン、アルキレン‐シクロアルキレン‐アルキレン、アルケニレン‐シクロアルキレン、アルケニレン‐シクロアルキレン‐アルケニレン、アルキレン‐シクロアルキレン‐アルケニレン、アルキニレン‐シクロアルキレン、アルキニレン‐シクロアルキレン‐アルキニレン、ヘテロシクロアルキレン、アルキレン‐ヘテロシクロアルキレン、アルキレン‐ヘテロシクロアルキレン‐アルキレン、アルケニレン‐ヘテロシクロアルキレン、アルケニレン‐ヘテロシクロアルキレン‐アルケニレン、アルキレン‐ヘテロシクロアルキレン‐アルケニレン、アルキニレン‐ヘテロシクロアルキレン、アルキニレン‐ヘテロシクロアルキレン‐アルキニレン、シクロアルケニレン、アルキレン‐シクロアルケニレン、アルキレン‐シクロアルケニレン‐アルキレン、アルケニレン‐シクロアルケニレン、アルケニレン‐シクロアルケニレン‐アルケニレン、アルキレン‐シクロアルケニレン‐アルケニレン、アルキニレン‐シクロアルケニレン、アルキニレン‐シクロアルケニレン‐アルキニレン、ヘテロシクロアルケニレン、アルキレン‐ヘテロシクロアルケニレン、アルキレン‐ヘテロシクロアルケニレン‐アルキレン、アルケニレン‐ヘテロシクロアルケニレン、アルケニレン‐ヘテロシクロアルケニレン‐アルケニレン、アルキレン‐ヘテロシクロアルケニレン‐アルケニレン、アルキニレン‐ヘテロシクロアルケニレン、アルキニレン‐ヘテロシクロアルケニレン‐アルキニレン、アリーレン、アルキレン‐アリーレン、アルキレン‐アリーレン‐アルキレン、アルケニレン‐アリーレン、アルケニレン‐アリーレン‐アルケニレン、アルキレン‐アリーレン‐アルケニレン、アルキニレン‐アリーレン、アルキニレン‐アリーレン‐アルキニレン、ヘテロアリーレン、アルキレン‐ヘテロアリーレン、アルキレン‐ヘテロアリーレン‐アルキレン、アルケニレン‐ヘテロアリーレン、アルケニレン‐ヘテロアリーレン‐アルケニレン、アルキレン‐ヘテロアリーレン‐アルケニレン、アルキニレン‐ヘテロアリーレン、アルキニレン‐ヘテロアリーレン‐アルキニレン、カルボニルまたはチオカルボニルであり;
nは1、2、3または4である。
【0019】
本明細書で使用しているとおり、フレーズ「[2つの部分]の間の炭素原子(単数または複数)」は、その2つの部分の両方と結合した単数の炭素原子、またはその2つの部分に結合している複数の炭素原子を意味する。例えば、nが1である場合、「[R
4及びB]の間の炭素原子(単数または複数)」はR
4及びBの両方が結合した単数の炭素原子である;nが2である場合、「[R
4及びB]の間の炭素原子(単数または複数)」はR
4及びBにそれぞれ結合した2つの炭素原子である;nが3である場合、「[R
4及びB]の間の炭素原子(単数または複数)」は、R
4及びBに結合した3つの炭素原子であり、そのうちの2つはR
4及びBにそれぞれ結合している;nが4である場合、「[R
4及びB]の間の炭素原子(単数または複数)」はR
4及びBに結合している4つの炭素原子である。
【0020】
いくつかの実施形態では、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6は同一でも、異なっていてもよく;A及びBは同一でも、異なっていてもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、nは1である。
【0022】
いくつかの実施形態では、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6はそれぞれ独立して水素または低級アルキルである。
【0023】
いくつかの実施形態では、A及びBはそれぞれ独立してアルキレン、シクロアルキレン、アリーレンまたはヘテロアリーレンである。
【0024】
上記の硬化剤の例には以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない
【0025】
【化2】
【0026】
本発明の別の態様は上述の硬化剤を調製するための方法を提供する。以下は本発明の硬化剤を合成するためにこれまで使用してきた、あるいは使用できる方法のいくつかの例示的なスキームである。
スキームA
【0027】
【化3】
【0028】
スキームAでは、X
1及びX
2はそれぞれ独立して以下である。
【0029】
【化4】
【0030】
スキームAは以下の工程を示す:
(1)触媒存在下、特定の条件下で、化合物1‐1は有機溶媒中で化合物1‐2と反応し、中間物質(化合物1‐3)を生成する。いくつかの実施形態では、化合物1‐1と化合物1‐2とのモル比は0〜10:1である。
(2)中間物質(化合物1‐3)はアミノ化反応が起こり、式Iの硬化剤が得られる。式Iは上記に定義している。
【0031】
いくつかの実施形態では、工程(1)において、有機溶媒はベンゼン、トルエン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、テトラヒドロフラン及びジオキサンから成る群より選択される少なくとも1種である。
【0032】
いくつかの実施形態では、工程(1)において、触媒はp‐トルエンスルホン酸、ピリジニウムp‐トルエンスルホン酸、硫酸、リン酸、硝酸、塩化水素、分子篩、スルホン酸樹脂及び固体超酸から成る群より選択される少なくとも1種である。
【0033】
いくつかの実施形態では、工程(1)において、反応温度は30〜200℃である。
【0034】
いくつかの実施形態では、工程(2)において、中間物質(化合物1‐3)はヒドラジン還元が起こり、式Iの硬化剤が形成される。例えば、ヒドラジン還元は、特定の反応温度で中間物質(化合物1‐3)を有機溶媒及びヒドラジン水和物または無水ヒドラジンが混合された混合系に溶解し、式Iの硬化剤を得る手技を意味する。
【0035】
いくつかの実施形態では、工程(2)の有機溶媒はベンゼン、トルエン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、テトラヒドロフラン及びジオキサンから成る群より選択される少なくとも1種であり;工程(2)の反応温度は20〜150℃である。
スキームB
【0036】
【化5】
【0037】
スキームBでは、X
1及びX
2はそれぞれ独立して塩素、臭素、ヨウ素、メタンスルホン酸エステル、トリフルオロメタンスルホン酸塩またはp‐トルエンスルホン酸エステル基である。
【0038】
スキームBは以下の工程を示す:
(1)触媒存在下、特定の条件で、化合物2‐1は有機溶媒中で化合物2‐2と反応し、中間物質(化合物2‐3)を生成する。いくつかの実施形態では、化合物2‐1と化合物2‐2とのモル比は0〜10:1である。
(2)中間物質(化合物2‐3)はアミノ化反応が起こり、式Iの硬化剤が得られる。式Iは上記に定義している。
【0039】
いくつかの実施形態では、工程(1)において、有機溶媒はベンゼン、トルエン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、テトラヒドロフラン及びジオキサンから成る群より選択される少なくとも1種であり;触媒はp‐トルエンスルホン酸、ピリジニウムp‐トルエンスルホン酸、硫酸、リン酸、硝酸、塩化水素、分子篩、スルホン酸樹脂及び固体超酸から成る群より選択される少なくとも1種であり;反応温度は30〜200℃である。
【0040】
いくつかの実施形態では、工程(2)において、中間物質(化合物2‐3)はアミノ化反応が起こり、式Iの硬化剤が形成される。例えば、アミノ化反応は、特定の反応温度で中間物質(化合物2‐3)、R
2NH
2及びR
3NH
2を、触媒存在下または非存在下で有機溶媒または水及び有機溶媒が混合された混合系に溶解し、環状アセタール、環状ケタール混合ポリアミン反応液を得て、中和、溶媒抽出及び真空蒸留後に式Iの硬化剤を得る手技を意味する。
【0041】
いくつかの実施形態では、工程(2)において、中間物質(化合物2‐3)とR
2NH
2及びR
3NH
2の総和とのモル比は1:2〜500である。例えば、中間物質(化合物2‐3)の量は1モルであり、触媒の量は0〜100モルの範囲でよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、工程(2)において、R
2NH
2及びR
3NH
2はそれぞれ独立して液体アンモニア、アンモニアまたは有機アミンである。
【0043】
いくつかの実施形態では、工程(2)において、有機溶媒はベンゼン、トルエン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、テトラヒドロフラン及びジオキサンから成る群より選択される少なくとも1種である。
【0044】
いくつかの実施形態では、工程(2)において、触媒は炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、ヘキサミン、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、ヨウ化アンモニウム、水酸化アンモニウム、硫酸アンモニウム、重硫酸アンモニウム、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、ギ酸アンモニウム、プロピオン酸アンモニウム、トリフルオロ酢酸アンモニウムまたは安息香酸アンモニウムとすることも可能である。
【0045】
いくつかの実施形態では、工程(2)において、反応温度は10〜200℃であり;反応時間は反応温度で2〜240時間である。
【0046】
いくつかの実施形態では、工程(2)において、中和反応は水性アルカリ溶液を使用してpH≧7の反応液を調製する手技を意味する。このような中和工程で使用されるアルカリの例には水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム及びアンモニアが挙げられるが、これらに限定されるものではない。上記水性アルカリ溶液の質量濃度は0.1〜100%とすることも可能である。
【0047】
いくつかの実施形態では、工程(2)において、溶媒抽出は、有機溶媒を使用して、中和した反応溶液から環状アセタール、環状ケタール混合ポリアミン類を抽出する手技を意味する。いくつかの更なる実施形態では、溶媒抽出工程で使用される有機溶媒はクロロホルム、ジクロロメタン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、t‐ブタノール、酢酸エチルまたはエチルエーテルである。
【0048】
いくつかの実施形態では、工程(2)において、真空分別は、減圧条件下で環状アセタール、環状ケタール混合ポリアミン抽出物から分解性環状アセタール、環状ケタールジアミン類を分離する手技を意味する。
スキームC
【0049】
【化6】
【0050】
スキームCは以下の工程を示す:
(1)触媒存在下、特定の条件で、化合物3‐1は有機溶媒中で化合物3‐2と反応し、中間物質(化合物3‐3)を生成する。いくつかの実施形態では、化合物3‐1と化合物3‐2とのモル比は0〜10:1である。
(2)中間物質(化合物3‐3)はアミノ化反応が起こり、式Iの硬化剤が形成される。式Iは上記に定義している。
【0051】
いくつかの実施形態では、工程(1)において、有機溶媒はベンゼン、トルエン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、テトラヒドロフラン及びジオキサンから成る群より選択される少なくとも1種であり;触媒はp‐トルエンスルホン酸、ピリジニウムp‐トルエンスルホン酸、硫酸、リン酸、硝酸、塩化水素、分子篩、スルホン酸樹脂及び固体超酸から成る群より選択される少なくとも1種であり;反応温度は30〜200℃である。
【0052】
いくつかの実施形態では、工程(2)において、中間物質(化合物3‐3)は還元反応が起こり、式Iの硬化剤が形成される。いくつかの実施形態では、還元反応はヒドラジン還元、接触水素化、金属還元または硫化物還元である。例えば、ヒドラジン還元は、触媒存在下で、中間物質(化合物3‐3)を有機溶媒及びヒドラジン水和物または無水ヒドラジンが混合された混合系に溶解し、式Iの硬化剤を形成する手技を意味する。
【0053】
いくつかの実施形態では、工程(2)において、有機溶媒はメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、t‐ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ジオキサンまたはエチレングリコールであり;触媒はパラジウム、活性炭上のプラチナ、塩化第二鉄六水和物、塩化第二鉄、三二酸化鉄または酸化マグネシウムであり;反応温度は20〜150℃である。
【0054】
本発明の更なる態様は、本発明の硬化剤(例えば式Iの硬化剤)及びエポキシ樹脂に形成された架橋ポリマーを提供するものであり、ここでは架橋ポリマーは式IIの架橋基から成る。
【0055】
【化7】
【0056】
この式IIでは、R
1、R
4、R
5及びR
6はそれぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、複素環、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルキレン‐オキシ‐アルキル、アルキレン‐オキシ‐シクロアルキル、アルキレン‐オキシ‐複素環、アルキレン‐オキシ‐ヘテロ‐シクロアルキル、アルキレン‐オキシ‐アルケニル、アルキレン‐オキシ‐シクロアルケニル、アルキレン‐オキシ‐アリール、アルキレン‐オキシ‐ヘテロアリール、シクロアルキレン‐オキシ‐アルキル、シクロアルキレン‐オキシ‐シクロアルキル、シクロアルキレン‐オキシ‐複素環、シクロアルキレン‐オキシ‐ヘテロシクロアルキル、シクロアルキレン‐オキシ‐アルケニル、シクロアルキレン‐オキシ‐シクロアルケニル、シクロアルキレン‐オキシ‐アリール、シクロアルキレン‐オキシ‐ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキレン‐オキシ‐アルキル、ヘテロシクロアルキレン‐オキシ‐シクロアルキル、ヘテロシクロアルキレン‐オキシ‐複素環、ヘテロシクロアルキレン‐オキシ‐ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキレン‐オキシ‐アルケニル、ヘテロシクロアルキレン‐オキシ‐シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキレン‐オキシ‐アリール、ヘテロシクロアルキレン‐オキシ‐ヘテロアリール、アリーレン‐オキシ‐アルキル、アリーレン‐オキシ‐シクロアルキル、アリーレン‐オキシ‐複素環、アリーレン‐オキシ‐ヘテロシクロアルキル、アリーレン‐オキシ‐アルケニル、アリーレン‐オキシ‐シクロアルケニル、アリーレン‐オキシ‐アリール、またはアリーレン‐オキシ‐ヘテロアリールであり;場合により、R
5及びR
6、R
1及びA、またはR
4及びBは、それらの間の炭素原子(単数または複数)と共に環構造を形成し;
A及びBはそれぞれ独立して、アルキレン、アルキレン‐ヘテロ‐アルキレン、アルケニレン、アルケニレン‐ヘテロ‐アルケニレン、アルキレン‐ヘテロ‐アルケニレン、アルキニレン、シクロアルキレン、アルキレン‐シクロアルキレン、アルキレン‐シクロアルキレン‐アルキレン、アルケニレン‐シクロアルキレン、アルケニレン‐シクロアルキレン‐アルケニレン、アルキレン‐シクロアルキレン‐アルケニレン、アルキニレン‐シクロアルキレン、アルキニレン‐シクロアルキレン‐アルキニレン、ヘテロシクロアルキレン、アルキレン‐ヘテロシクロアルキレン、アルキレン‐ヘテロシクロアルキレン‐アルキレン、アルケニレン‐ヘテロシクロアルキレン、アルケニレン‐ヘテロシクロアルキレン‐アルケニレン、アルキレン‐ヘテロシクロアルキレン‐アルケニレン、アルキニレン‐ヘテロシクロアルキレン、アルキニレン‐ヘテロシクロアルキレン‐アルキニレン、シクロアルケニレン、アルキレン‐シクロアルケニレン、アルキレン‐シクロアルケニレン‐アルキレン、アルケニレン‐シクロアルケニレン、アルケニレン‐シクロアルケニレン‐アルケニレン、アルキレン‐シクロアルケニレン‐アルケニレン、アルキニレン‐シクロアルケニレン、アルキニレン‐シクロアルケニレン‐アルキニレン、ヘテロシクロアルケニレン、アルキレン‐ヘテロシクロアルケニレン、アルキレン‐ヘテロシクロアルケニレン‐アルキレン、アルケニレン‐ヘテロシクロアルケニレン、アルケニレン‐ヘテロシクロアルケニレン‐アルケニレン、アルキレン‐ヘテロシクロアルケニレン‐アルケニレン、アルキニレン‐ヘテロシクロアルケニレン、アルキニレン‐ヘテロシクロアルケニレン‐アルキニレン、アリーレン、アルキレン‐アリーレン、アルキレン‐アリーレン‐アルキレン、アルケニレン‐アリーレン、アルケニレン‐アリーレン‐アルケニレン、アルキレン‐アリーレン‐アルケニレン、アルキニレン‐アリーレン、アルキニレン‐アリーレン‐アルキニレン、ヘテロアリーレン、アルキレン‐ヘテロアリーレン、アルキレン‐ヘテロアリーレン‐アルキレン、アルケニレン‐ヘテロアリーレン、アルケニレン‐ヘテロアリーレン‐アルケニレン、アルキレン‐ヘテロアリーレン‐アルケニレン、アルキニレン‐ヘテロアリーレンまたはアルキニレン‐ヘテロアリーレン‐アルキニレンであり;
nは1、2、3または4である。
【0057】
いくつかの実施形態では、R
1、R
4、R
5及びR
6は同一でも異なっていてもよく;A及びBは同一でも異なっていてもよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、nは1である。
【0059】
いくつかの実施形態では、R
1、R
4、R
5及びR
6はそれぞれ独立して水素または低級アルキルである。
【0060】
いくつかの実施形態では、A及びBはそれぞれ独立してアルキレン、シクロアルキレン、アリーレンまたはヘテロアリーレンである。
【0061】
いくつかの実施形態では、硬化剤は以下のとおりである。
【0062】
【化8】
【0063】
いくつかの実施形態では、エポキシ樹脂には、グリシジルエーテルエポキシ樹脂、グリシジルエステルエポキシ樹脂、グリシジルアミンエポキシ樹脂、3官能性エポキシ樹脂、4官能性エポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、クレゾール‐ノボラックエポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂または窒素含有エポキシ樹脂が含まれる。
【0064】
いくつかの実施形態では、上述の架橋ポリマーは生分解性である。
【0065】
従って、本発明の別の態様では上述の架橋ポリマーを分解する方法が提供される。
【0066】
いくつかの実施形態では、当該方法には、溶媒及び酸(例えば加熱条件下)を使用して上述の架橋ポリマーを分解する工程、並びにアルカリ溶液を使用する中和工程が含まれる。
【0067】
より具体的には、当該方法には以下の工程が含まれる:
(1)加熱及び撹拌条件下で、分解性架橋ポリマーを、分解用に混合した酸及び溶媒系に浸漬し、分解溶液を得る。いくつかの実施形態では、加熱温度は15〜400℃、加熱時間は1〜600時間、溶媒中の酸の質量濃度は0.1〜100%である。
(2)中和:特定の温度でアルカリ溶液を使用し、分解溶液のpHを制御する工程。いくつかの実施形態では、温度は0〜200℃、最終pHは6以上、アルカリ溶液の質量濃度は0.1〜100%である。
【0068】
いくつかの実施形態では、酸は塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、乳酸、ギ酸、プロピオン酸、クエン酸、メタンスルホン酸、p‐トルエンスルホン酸、硝酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、過塩素酸、安息香酸、サリチル酸またはフタル酸である。
【0069】
いくつかの実施形態では、溶媒はメタノール、エタノール、エチレングリコール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、t‐ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、ベンジルアルコール、フェネチルファルコール、p‐ヒドロキシメチルベンゼン、m‐ヒドロキシメチルベンゼン、o‐ヒドロキシベンゼン、p‐ヒドロキシエチルベンゼン、m‐ヒドロキシエチルベンゼン、o‐ヒドロキシエチルベンゼン、水、N,N‐ジメチルホルムアミド、N,N‐ジメチルアセトアミド、N‐メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、グリセロールまたはジオキサンである。
【0070】
いくつかの実施形態では、アルカリは水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウムまたはアンモニアである。
【0071】
いくつかの実施形態では、アルカリ溶媒はメタノール、エタノール、エチレングリコール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、t‐ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、水、N,N‐ジメチルホルムアミド、N,N‐ジメチルアセトアミド、N‐メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、グリセロールまたはジオキサンである。
【0072】
いくつかの実施形態では、第1の工程において、加熱温度は80〜150℃;加熱時間は4〜8時間、溶媒中の酸の質量濃度は0.5〜20%であり;第2の工程において、温度は5〜50℃、最終pHは6〜12、アルカリ溶液の濃度は5〜30%である。
【0073】
本発明の別の更なる態様では、本発明の硬化剤によって調製されたプリプレグまたは強化複合材料が提供される。いくつかの実施形態では、プリプレグまたは強化複合体は上述の式Iの硬化剤、エポキシ樹脂、補助材料、及び強化材料から成る。
【0074】
いくつかの実施形態では、エポキシ樹脂はグリシジルエーテルエポキシ樹脂、グリシジルエステルエポキシ樹脂、グリシジルエポキシアミンエポキシ樹脂、3官能性エポキシ樹脂、4官能性エポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、o‐クレゾールホルムアルデヒドエポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂または窒素含有エポキシ樹脂である。
【0075】
いくつかの実施形態では、強化材料はカーボンナノチューブ、窒化ホウ素ナノチューブ、カーボンブラック、金属ナノ粒子、金属酸化物ナノ粒子、有機ナノ粒子、酸化鉄、グラスファイバー、炭素繊維、天然繊維、合成繊維、及び繊維材料から形成された生地のうちの少なくとも1つから成る。
【0076】
いくつかの実施形態では、補助材料は促進剤、希釈剤、可塑剤、強化剤、増粘剤、カップリング剤、消泡剤、つや消し剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光沢剤、蛍光剤、顔料及び充填剤のうちの少なくとも1つから成る。
【0077】
いくつかの実施形態では、強化複合体は分解性であり、再生利用可能である。
【0078】
本発明の別の更なる態様では、上述の強化複合体を再生利用し、分解する方法が提供される。
【0079】
いくつかの実施形態では、当該方法には、溶媒及び酸(例えば加熱条件下)を使用して強化複合体を分解する工程、アルカリ溶液を使用する中和工程、並びに分解工程(例えば物理的分離)が含まれる。
【0080】
より具体的には、当該方法には以下の工程が含まれる:
(1)加熱及び撹拌条件下で、強化複合体材料を、酸及び溶媒を混合した分解系に浸漬し、分解溶液を得る。いくつかの実施形態では、溶媒中の酸の質量濃度は0.1〜100%;加熱温度は15〜400℃、加熱時間は1〜600時間である。
(2)中和:アルカリ溶液を使用し、工程(1)の分解溶液のpHを調整する工程。いくつかの実施形態では、アルカリ溶液の濃度は0.1〜100%であり、温度範囲は分解溶液のpHを調整するために0〜200℃に維持する必要があり、分解溶液の最終pHは6以上であり、沈殿物が生成された。
(3)物理的分離、並びに工程(2)におけるpH調整後の沈殿物及び分解溶液の洗浄及び乾燥。
【0081】
いくつかの実施形態では、酸は塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、乳酸、ギ酸、プロピオン酸、クエン酸、メタンスルホン酸、p‐トルエンスルホン酸、硝酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、過塩素酸、安息香酸、サリチル酸またはフタル酸である。
【0082】
いくつかの実施形態では、溶媒はメタノール、エタノール、エチレングリコール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、t‐ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、p‐ヒドロキシメチルベンゼン、m‐ヒドロキシメチルベンゼン、o‐ヒドロキシベンゼン、p‐ヒドロキシエチルベンゼン、m‐ヒドロキシエチルベンゼン、o‐ヒドロキシエチルベンゼン、水、N,N‐ジメチルホルムアミド、N,N‐ジメチルアセトアミド、N‐メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、グリセロール及びジオキサンのうちの少なくとも1種である。
【0083】
いくつかの実施形態では、アルカリは水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム及びアンモニアのうちの少なくとも1種である。
【0084】
いくつかの実施形態では、アルカリ溶媒はメタノール、エタノール、エチレングリコール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、t‐ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、水、N,N‐ジメチルホルムアミド、N,N‐ジメチルアセトアミド、N‐メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、グリセロール及びジオキサンのうちの少なくとも1種である。
【0085】
いくつかの実施形態では、工程(1)において、溶媒中の酸の質量濃度は0.5〜20%;加熱温度は80〜200℃;加熱時間は2〜12時間である。
【0086】
いくつかの実施形態では、工程(2)において、アルカリ溶液の質量濃度は5〜30%;温度は5〜60℃である。
【0087】
いくつかの実施形態では、強化複合体はプリプレグ形成法により形成され得る。
【0088】
本発明は少なくとも以下の技術的利点を提供する:
(1)本発明は分解性エポキシ樹脂硬化剤、エポキシ樹脂、補助材料、強化材料によって形成された複合体を提供する。このような複合体は比較的温和な温度で分解され、また強化材料の95%以上が再生利用可能であり(炭素繊維、グラスファイバー、合成繊維及び天然繊維)、元の質感及び機械的特性の大部分を維持することが可能であり、従って新規な複合体として再使用することが可能となる。再生利用されたエポキシ樹脂ポリマー分解生成物は加工後にプラスチック生成物として使用可能である。本発明で紹介した分解性エポキシ樹脂硬化剤により生じる分解特性を有するエポキシ樹脂強化複合体はこれまで報告されていない。よって、本発明は、エポキシ樹脂を回収し、材料を強化するための新規で高効率かつ実行可能で更に経済的な方法を提供する。
(2)本発明に従えば、エポキシ樹脂複合体の分解工程中、エポキシ樹脂マトリックスの架橋構造は酸の作用下では特定の化学結合が破壊され、結果としてエポキシ樹脂マトリックスが分解される。その後、架橋構造は有機溶媒に溶解可能な非架橋エポキシ樹脂ポリマー(熱可塑性エポキシ樹脂など)に移行する。エポキシ樹脂マトリックスが有機溶媒に完全に溶解すると、繊維強化材料は溶媒から分離可能になる。アルカリ中和、沈殿及び固体‐液体分離の後、エポキシ樹脂マトリックスの分解生成物が再生利用される。再生利用された強化材料及び非架橋ポリマーは両方とも分離、再生利用、及び再使用することが可能である。複合体の可塑性部分が燃え尽きた後、熱硬化性複合体の強化材料だけが顕著に再生利用可能となる。従って、本発明は新規な生分解性エポキシ樹脂接着剤複合体を提供するものであり、このような複合体の可塑性部分及び強化材料は高効率で再生利用できる。特に、
(a)架橋エポキシ樹脂硬化生成物は分解され、熱硬化性エポキシ樹脂ポリマーを形成する。分解工程のみ収縮基の消失が限定的であり、得られた熱可塑性エポキシ樹脂ポリマーは高再生利用性の品質を有する。このようなポリマーは工業用途に加工することができる。
(b)エポキシ樹脂硬化性生成物または強化材料の再生利用品質率は96%以上であり、再生利用された強化材料は酸条件下で非常に安定的である。再生利用した強化材料の表面は清浄度が高く、基本的に欠陥はない。
(c)エポキシ樹脂複合体を再生利用し、分解するための方法はまた、以下の利点も有する:温和な反応条件、経済性、制御の簡便性。
【0089】
本明細書で用いられているように、用語「アルキル」は、単独で、あるいは大きい部位の一部として(例えば「シクロアルケニルアルキル」の形態として)用いられる場合、飽和脂肪族炭化水素基を意味する。それは1〜12個(例えば1〜8個、1〜6個または1〜4個)の炭素原子を含むことが可能である。部位としてそれは‐C
nH
2n+1と表すことも可能である。アルキル基は直鎖でも、分岐していてもよい。アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec‐ブチル、tert‐ブチル、n‐ペンチル、n‐ヘプチル及び2‐エチルヘキシルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。アルキル基は1つ以上の置換基と置換可能である(すなわち任意での置換)。炭素数調整剤、例えばC
1‐8の添加後にアルキルが生じる場合、それはアルキル基が1〜8個の炭素原子を含むことを意味する。
【0090】
本明細書で用いられているように、用語「アルキレン」は、単独で、あるいは大きい部位の一部として(例えば「アリールアアルキレンオキシ」の形態として)用いられる場合、2つの他の部位と2つの共有結合を形成するための2つのラジカル点を有する飽和脂肪族炭化水素基を意味する。それは1〜12個(例えば1〜8個、1〜6個または1〜4個)の炭素原子を含むことが可能である。部位としてそれは‐C
nH
2n‐と表すことも可能である。アルキレン基の例には、メチレン(‐CH
2‐)、エチレン(‐CH
2CH
2‐)及びプロピレン(‐CH
2CH
2CH
2‐)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。炭素数調整剤、例えばC
2‐8の添加後にアルキレンが生じる場合、それはアルキレン基が2〜8個の炭素原子を含むことを意味する。
【0091】
本明細書で用いられているように、用語「アルキニル」は、単独で、あるいは大きい部位の一部として(例えば「アルキニルアルキル」の形態として)用いられる場合、少なくとも1つの三重結合を有する脂肪族炭化水素基を意味する。それは2〜12個(例えば2〜8個、2〜6個または2〜4個)の炭素原子を含むことが可能である。アルキニル基は直鎖でも、分岐していてもよい。アルキニル基の例には、プロパルギル及びブチニルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。炭素数調整剤、例えばC
2‐8の添加後にアルキニルが生じる場合、それはアルキニル基が2〜8個の炭素原子を含むことを意味する。
【0092】
本明細書で用いられているように、用語「アルケニル」は、単独で、あるいは大きい部位の一部として(例えば「アルケニルアルキル」の形態として)用いられる場合、少なくとも1つの二重結合を有する脂肪族炭化水素基を意味する。それは2〜12個(例えば2〜8個、2〜6個または2〜4個)の炭素原子を含むことが可能である。1つの二重結合を有するアルケニル基は2つの二重結合を有する‐C
nH
2n−1または‐C
nH
2n−3と表すことも可能である。アルキル基と同様に、アルケニル基は直鎖でも、分岐していてもよい。アルケニル基の例には、アリル、イソプレニル、2‐ブテニル及び2‐ヘキセニルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。炭素数調整剤、例えばC
3‐8の添加後にアルキレンが生じる場合、それはアルキレン基が3〜8個の炭素原子を含むことを意味する。
【0093】
本明細書で用いられているように、用語「シクロアルキル」は、単独で、あるいは大きい部位の一部として(例えば「シクロアルキルアルキル」の形態として)用いられる場合、飽和炭素環の単環式、2環式または3環式(縮合または架橋または螺旋状)環系を意味する。それは3〜12個(例えば3〜10個、または5〜10個)の炭素原子を含むことが可能である。シクロアルキル基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチル、ノルボルニル、キュビル(cubyl)、オクタヒドロ‐インデニル、デカヒドロ‐ナフチル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.3.1]ノニル、ビシクロ[3.3.2.]デシル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、アダマンチル、アザシクロアルキル、または((アミノカルボニル)シクロアルキル)シクロアルキルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。炭素数調整剤、例えばC
3‐8の添加後にシクロアルキルが生じる場合、それはアルキル基が3〜8個の炭素原子を含むことを意味する。
【0094】
本明細書で用いられているように、用語「シクロアルケニル」は、単独で、あるいは大きい部位の一部として(例えば「シクロアルケニルアルキル」の形態として)用いられる場合、1個以上の二重結合を有する非芳香族炭素環式環系を意味する。それは3〜12個(例えば3〜10個、または5〜10個)の炭素原子を含むことが可能である。シクロアルケニル基の例には、シクロペンテニル、1,4‐シクロヘキサ - ジ - エニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル、ヘキサヒドロ - インデニル、オクタヒドロ - ナフチル、シクロヘキセニル、シクロペンテニル、ビシクロ[2.2.2]オクテニル、またはビシクロ[3.3.1]ノネニルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0095】
本明細書で用いられているように、用語「ヘテロシクロアルキル」は、単独で、あるいは大きい部位の一部として(例えば「ヘテロシクロアルキルアルキル」の形態として)用いられる場合、3〜16員の単環式、2環式または3環式(縮合または架橋または螺旋状)飽和環状構造体を意味し、ここでは1つ以上の環原子はヘテロ原子である(例えば、N、O、Sまたはこれらの組み合わせ)。ヘテロ原子(単数または複数)の他に、ヘテロシクロアルキルは3〜15個の炭素原子(例えば3〜12個または5〜10個)を含むことが可能である。ヘテロシクロアルキル基の例には、ピペリジル、ピペラジル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフリル、1,4‐ジオキソラニル、1,4‐ジチアニル、1,3‐ジオキソラニル、オキサゾリジル、イソオキサゾリジル(isoxazolidyl)、モルホリニル、チオモルホリル、オクタヒドロベンゾフリル、オクタヒドロクロメニル(octahydrochromenyl)、オクタヒドロチオクロメニル(octahydrothiochromenyl)、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロピリジニル(octahydropyrindinyl)、デカヒドロキノリニル、オクタヒドロベンゾ[b]チオフェネイル、2‐オキサ‐ビシクロ[2.2.2]オクチル、1‐アザ‐ビシクロ[2.2.2]オクチル、3‐アザ‐ビシクロ[3.2.1]オクチル、及び2,6‐ジオキサ‐トリシクロ[3.3.1.03,7]ノニルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。単環ヘテロシクロアルキル基はテトラヒドロイソキノリンなどのフェニル部分と縮合することが可能である。炭素数調整剤、例えばC
4‐8の添加後にヘテロシクロアルキルが生じる場合、それはヘテロシクロアルキル基が4〜8個の炭素原子を含むことを意味する。
【0096】
本明細書で用いられているように、用語「ヘテロ」は、単独で、あるいは大きい部位の一部として(例えば「ヘテロシクロ」、「ヘテロシクロアルキル」、「ヘテロシクロアルキレン」または「ヘテロアリール」の形態として)用いられる場合、ヘテロ原子、または‐0‐、‐S‐、‐NH‐もしくは‐C(=O)‐である基を意味する。
【0097】
本明細書で用いられているように、用語「アリール」は、単独で、あるいは大きい部位の一部として(例えば「アリールキル(arylkyl)または「アリールコキシ(arylkoxy)」の形態として)用いられる場合、単環式(例えばフェニル)、2環式(例えばインデニル、ナフタレニル、またはテトラヒドロナフチル)及び3環式(例えばフルオレニル、テトラヒドロフルオレニル、テトラヒドロアントラセニル、またはアントラセニル)環系を意味し、ここでは単環式環系は芳香族(例えばフェニル)であり、あるいは2環式または3環式環系中の少なくとも1つの環は芳香族(例えばフェニル)である。2環式及び3環式基には、ベンゾ縮合した2または3員炭素環が挙げられるが、これらに限定されるものではない。例えば、ベンゾ縮合した基には、2つ以上のC
4‐8の炭素環部分と縮合したフェニルが挙げられる。
【0098】
本明細書で用いられているように、用語「ヘテロアリール」は、環原子の少なくとも1つがヘテロ原子(例えば、N、0、Sまたはこれらの組合せ)である5〜15個の環原子を有する単環式、2環式または3環式環系を意味し、ここでは単環式環系は芳香族であり、あるいは2環式または3環式環系中の少なくとも1つの環は芳香族である。それは、5〜12または8〜10個の環原子を含むことが可能である。ヘテロアリール基には、2、3個の環を有するベンゾ縮合環系が挙げられるが、これらに限定されるものではない。例えば、ベンゾ融合基には、1つまたは2つの4〜8員のヘテロシクロアルキル部分と縮合したベンゾ(例えば、インドリジル、インドリル、イソインドリル、3H‐インドリル、インドリニル、ベンゾ[b]フリル、ベンゾ[b]チオフェニル、キノリニルまたはイソキノリニル)が挙げられる。ヘテロアリールのいくつかの例は、ピリジル、1H‐インダゾリル、フリル、ピロリル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ベンゾフリル、イソキノリニル、ベンゾチアゾリル(benzithiazolyl)、キサンテニル、チオキサンテニル、フェノチアジニル、ジヒドロインドリル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、ベンゾ[b]フリル、ベンゾ[b]チオフェニル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、プリル、キノリニル、キナゾリニル、フタラジル(phthalazyl)、キナゾリル、キノキサリル、イソキノリニル、4H‐キノリジル(quinolizyl)、ベンゾ‐1,2,5‐チアジアゾリル及び1,8‐ナフチリジルである。
【0099】
本明細書で用いられているように、接尾辞「‐エン」は、2つの他の部分と2つの共有結合を形成するための2つのラジカル点を有する2価基を記述するために使用される。言い換えれば、上記で定義された用語の全てが、その部分の2価の形態を記述するために接尾辞「‐エン」で修飾することが可能である。例えば、2価のアリール環構造は「アリーレン」であり、2価のベンゼン環構造は「フェニレン」であり、2価のヘテロアリール環構造は「ヘテロアリーレン」であり、2価のシクロアルキル環構造は「シクロアルキレン」であり、2価のヘテロシクロアルキル環構造は「ヘテロシクロアルキレン」であり、2価のシクロアルケニル環構造は「シクロアルケニレン」であり、2価のアルケニル鎖は「アルケニレン」であり、2価のアルキニル鎖は「アルキニレン」である。
【0100】
本明細書で用いられているように、用語「任意で」(例えば「任意で〜と置換する」)は、対象の部分は置換することも、またはしないこともあること、また、化学的に実行可能である場合のみ置換が起こることを意味する。例えば、Hは置換基と置換することが可能ではなく、共有結合または‐C(=O)‐基は置換基と置換することが可能ではない。
【0101】
本明細書で用いられているように、「オキソ」基は=Oを意味する。
【0102】
本明細書で用いられているように、「カルボニル」基は‐C(O)‐または‐C(=O)‐を意味する。
【0103】
本明細書で用いられているように、用語「任意で」が前に付いている、または付いていない用語「置換された」は、所与の構造体中の水素ラジカルと、特定の置換基のラジカルとの置換を意味する。特定の置換基は定義として上述し、化合物及びその例の説明として下記に記述する。別段の支持がない限り、任意で置換した基は、基の置換可能な各位置で置換基を有し、また、任意の所与の構造における複数の位置が特定の基から選択された複数の置換基と置換することが可能である場合、置換基は全ての位置で同一でも異なっていてもよい。ヘテロシクロアルキルなどの環置換基はシクロアルキルなどの別の環に結合し、スピロ‐二環系を形成することが可能であり、例えば両方の環は1つの共通の原子を共有している。1人の当業者が認めていることから、本発明で想起された置換基の組み合わせは、安定的で化学的に実行可能な化合物の形成をもたらすこれらの組み合わせである。
【0104】
便宜上、そして一般的に理解されているとおり、用語「任意で置換する」は好適な置換基と置換し得る化学成分にのみ当てはまり、化学的に置換できないものには当てはまらない。
【0105】
本明細書で用いられているように、用語「または」は「または」もしくは「及び」を意味し得る。