特許第6197164号(P6197164)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6197164新規な環状アセタール、環状ケタールジアミン類エポキシ硬化剤、並びにそれらをベースとする分解性ポリマー及び複合体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6197164
(24)【登録日】2017年9月1日
(45)【発行日】2017年9月20日
(54)【発明の名称】新規な環状アセタール、環状ケタールジアミン類エポキシ硬化剤、並びにそれらをベースとする分解性ポリマー及び複合体
(51)【国際特許分類】
   C08G 59/40 20060101AFI20170911BHJP
   C08J 5/24 20060101ALI20170911BHJP
   C07D 317/22 20060101ALI20170911BHJP
   C08J 11/18 20060101ALI20170911BHJP
   C08J 11/16 20060101ALI20170911BHJP
   C08G 59/50 20060101ALI20170911BHJP
【FI】
   C08G59/40ZAB
   C08J5/24CFC
   C07D317/22
   C08J11/18
   C08J11/16
   C08G59/50
【請求項の数】33
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2016-507997(P2016-507997)
(86)(22)【出願日】2014年4月18日
(65)【公表番号】特表2016-522842(P2016-522842A)
(43)【公表日】2016年8月4日
(86)【国際出願番号】CN2014075696
(87)【国際公開番号】WO2014169846
(87)【国際公開日】20141023
【審査請求日】2016年3月22日
(31)【優先権主張番号】201310136121.4
(32)【優先日】2013年4月18日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201310137251.X
(32)【優先日】2013年4月18日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517247099
【氏名又は名称】アデッソ アドバンスト マテリアルズ コーポレーション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】チン、ビン
(72)【発明者】
【氏名】リ、シン
(72)【発明者】
【氏名】リャン、ボー
【審査官】 藤代 亮
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−507377(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/071896(WO,A1)
【文献】 特表2016−522843(JP,A)
【文献】 特開昭46−005364(JP,A)
【文献】 米国特許第03714196(US,A)
【文献】 特公昭47−044230(JP,B1)
【文献】 特開昭63−297372(JP,A)
【文献】 特開2001−172426(JP,A)
【文献】 国際公開第01/025317(WO,A2)
【文献】 特開2005−255835(JP,A)
【文献】 特開2010−241855(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
・IPC
C08G 59/40
C07D 317/22
C08G 59/50
C08J 5/24
C08J 11/16
C08J 11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iを有するエポキシ樹脂のための硬化剤であって:
【化1】
式中、R、R、R、R、R及びRはそれぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、複素環、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルキレン‐オキシ‐アルキル、アルキレン‐オキシ‐シクロアルキル、アルキレン‐オキシ‐複素環、アルキレン‐オキシ‐ヘテロシクロアルキル、アルキレン‐オキシ‐アルケニル、アルキレン‐オキシ‐シクロアルケニル、アルキレン‐オキシ‐アリール、アルキレン‐オキシ‐ヘテロアリール、シクロアルキレン‐オキシ‐アルキル、シクロアルキレン‐オキシ‐シクロアルキル、シクロアルキレン‐オキシ‐複素環、シクロアルキレン‐オキシ‐ヘテロシクロアルキル、シクロアルキレン‐オキシ‐アルケニル、シクロアルキレン‐オキシ‐シクロアルケニル、シクロアルキレン‐オキシ‐アリール、シクロアルキレン‐オキシ‐ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキレン‐オキシ‐アルキル、ヘテロシクロアルキレン‐オキシ‐シクロアルキル、ヘテロシクロアルキレン‐オキシ‐複素環、ヘテロシクロアルキレン‐オキシ‐ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキレン‐オキシ‐アルケニル、ヘテロシクロアルキレン‐オキシ‐シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキレン‐オキシ‐アリール、ヘテロシクロアルキレン‐オキシ‐ヘテロアリール、アリーレン‐オキシ‐アルキル、アリーレン‐オキシ‐シクロアルキル、アリーレン‐オキシ‐複素環、アリーレン‐オキシ‐ヘテロシクロアルキル、アリーレン‐オキシ‐アルケニル、アリーレン‐オキシ‐シクロアルケニル、アリーレン‐オキシ‐アリール、またはアリーレン‐オキシ‐ヘテロアリールであり;場合により、R及びR、R及びA、またはR及びBは、RとBとの間の炭素原子(単数または複数)と共に環構造を形成し;
A及びBはそれぞれ独立して、アルキレン、アルキレン‐ヘテロアルキレン、アルケニレン、アルケニレン‐ヘテロアルケニレン、アルキレン‐ヘテロアルケニレン、アルキニレン、シクロアルキレン、アルキレン‐シクロアルキレン、アルキレン‐シクロアルキレン‐アルキレン、アルケニレン‐シクロアルキレン、アルケニレン‐シクロアルキレン‐アルケニレン、アルキレン‐シクロアルキレン‐アルケニレン、アルキニレン‐シクロアルキレン、アルキニレン‐シクロアルキレン‐アルキニレン、ヘテロシクロアルキレン、アルキレン‐ヘテロシクロアルキレン、アルキレン‐ヘテロシクロアルキレン‐アルキレン、アルケニレン‐ヘテロシクロアルキレン、アルケニレン‐ヘテロシクロアルキレン‐アルケニレン、アルキレン‐ヘテロシクロアルキレン‐アルケニレン、アルキニレン‐ヘテロシクロアルキレン、アルキニレン‐ヘテロシクロアルキレン‐アルキニレン、シクロアルケニレン、アルキレン‐シクロアルケニレン、アルキレン‐シクロアルケニレン‐アルキレン、アルケニレン‐シクロアルケニレン、アルケニレン‐シクロアルケニレン‐アルケニレン、アルキレン‐シクロアルケニレン‐アルケニレン、アルキニレン‐シクロアルケニレン、アルキニレン‐シクロアルケニレン‐アルキニレン、ヘテロシクロアルケニレン、アルキレン‐ヘテロシクロアルケニレン、アルキレン‐ヘテロシクロアルケニレン‐アルキレン、アルケニレン‐ヘテロシクロアルケニレン、アルケニレン‐ヘテロシクロアルケニレン‐アルケニレン、アルキレン‐ヘテロシクロアルケニレン‐アルケニレン、アルキニレン‐ヘテロシクロアルケニレン、アルキニレン‐ヘテロシクロアルケニレン‐アルキニレン、アリーレン、アルキレン‐アリーレン、アルキレン‐アリーレン‐アルキレン、アルケニレン‐アリーレン、アルケニレン‐アリーレン‐アルケニレン、アルキレン‐アリーレン‐アルケニレン、アルキニレン‐アリーレン、アルキニレン‐アリーレン‐アルキニレン、ヘテロアリーレン、アルキレン‐ヘテロアリーレン、アルキレン‐ヘテロアリーレン‐アルキレン、アルケニレン‐ヘテロアリーレン、アルケニレン‐ヘテロアリーレン‐アルケニレン、アルキレン‐ヘテロアリーレン‐アルケニレン、アルキニレン‐ヘテロアリーレン、アルキニレン‐ヘテロアリーレン‐アルキニレン、カルボニルまたはチオカルボニルであり;
nは1、2、3または4である
ことを特徴とする硬化剤。
【請求項2】
、R、R、R、R及びRは同一でも、異なっていてもよく;A及びBは同一でも、異なっていてもよい
請求項1に記載の硬化剤。
【請求項3】
nは1である
請求項1または2に記載の硬化剤。
【請求項4】
、R、R、R、R及びRはそれぞれ独立して水素または低級アルキルである
請求項1ないし3のいずれかに記載の硬化剤。
【請求項5】
A及びBはそれぞれ独立してアルキレン、シクロアルキレン、アリーレンまたはヘテロアリーレンである
請求項1ないし4のいずれかに記載の硬化剤。
【請求項6】
硬化剤は
【化2】
である
請求項1に記載の硬化剤。
【請求項7】
請求項1に記載の硬化剤を調製するための方法であって、
以下のスキームに示す工程を含み:
【化3】
式中、X及びXはそれぞれ独立して
【化4】

である
ことを特徴とする方法。
【請求項8】
触媒はp‐トルエンスルホン酸、ピリジニウムp‐トルエンスルホン酸、硫酸、リン酸、硝酸、塩化水素、分子篩、スルホン酸樹脂または固体超酸を含む
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
請求項1に記載の硬化剤を調製するための方法であって、
以下のスキームに示す工程を含み:
【化5】
式中、X及びXはそれぞれ独立して塩素、臭素、ヨウ素、メタンスルホン酸エステル、トリフルオロメタンスルホン酸塩またはp‐トルエンスルホン酸エステル基である
ことを特徴とする方法。
【請求項10】
触媒はp‐トルエンスルホン酸、ピリジニウムp‐トルエンスルホン酸、硫酸、リン酸、硝酸、塩化水素、分子篩、スルホン酸樹脂または固体超酸を含む
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
請求項1に記載の硬化剤を調製するための方法であって、
以下のスキーム:
【化6】
に示す工程を含む
ことを特徴とする方法。
【請求項12】
触媒はp‐トルエンスルホン酸、ピリジニウムp‐トルエンスルホン酸、硫酸、リン酸、硝酸、塩化水素、分子篩、スルホン酸樹脂または固体超酸を含む
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
請求項1ないし6のいずれかに記載の硬化剤及びエポキシ樹脂により形成された架橋ポリマーであって、
前記架橋ポリマーは式IIの架橋基を含み:
【化7】
式中:
、R、R及びRはそれぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、複素環、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルキレン‐オキシ‐アルキル、アルキレン‐オキシ‐シクロアルキル、アルキレン‐オキシ‐複素環、アルキレン‐オキシ‐ヘテロシクロアルキル、アルキレン‐オキシ‐アルケニル、アルキレン‐オキシ‐シクロアルケニル、アルキレン‐オキシ‐アリール、アルキレン‐オキシ‐ヘテロアリール、シクロアルキレン‐オキシ‐アルキル、シクロアルキレン‐オキシ‐シクロアルキル、シクロアルキレン‐オキシ‐複素環、シクロアルキレン‐オキシ‐ヘテロシクロアルキル、シクロアルキレン‐オキシ‐アルケニル、シクロアルキレン‐オキシ‐シクロアルケニル、シクロアルキレン‐オキシ‐アリール、シクロアルキレン‐オキシ‐ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキレン‐オキシ‐アルキル、ヘテロシクロアルキレン‐オキシ‐シクロアルキル、ヘテロシクロアルキレン‐オキシ‐複素環、ヘテロシクロアルキレン‐オキシ‐ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキレン‐オキシ‐アルケニル、ヘテロシクロアルキレン‐オキシ‐シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキレン‐オキシ‐アリール、ヘテロシクロアルキレン‐オキシ‐ヘテロアリール、アリーレン‐オキシ‐アルキル、アリーレン‐オキシ‐シクロアルキル、アリーレン‐オキシ‐複素環、アリーレン‐オキシ‐ヘテロシクロアルキル、アリーレン‐オキシ‐アルケニル、アリーレン‐オキシ‐シクロアルケニル、アリーレン‐オキシ‐アリール、またはアリーレン‐オキシ‐ヘテロアリールであり;場合により、R及びR、R及びA、またはR及びBは、R及びBの間の炭素原子(単数または複数)と共に環構造を形成し;
A及びBはそれぞれ独立して、アルキレン、アルキレン‐ヘテロアルキレン、アルケニレン、アルケニレン‐ヘテロアルケニレン、アルキレン‐ヘテロアルケニレン、アルキニレン、シクロアルキレン、アルキレン‐シクロアルキレン、アルキレン‐シクロアルキレン‐アルキレン、アルケニレン‐シクロアルキレン、アルケニレン‐シクロアルキレン‐アルケニレン、アルキレン‐シクロアルキレン‐アルケニレン、アルキニレン‐シクロアルキレン、アルキニレン‐シクロアルキレン‐アルキニレン、ヘテロシクロアルキレン、アルキレン‐ヘテロシクロアルキレン、アルキレン‐ヘテロシクロアルキレン‐アルキレン、アルケニレン‐ヘテロシクロアルキレン、アルケニレン‐ヘテロシクロアルキレン‐アルケニレン、アルキレン‐ヘテロシクロアルキレン‐アルケニレン、アルキニレン‐ヘテロシクロアルキレン、アルキニレン‐ヘテロシクロアルキレン‐アルキニレン、シクロアルケニレン、アルキレン‐シクロアルケニレン、アルキレン‐シクロアルケニレン‐アルキレン、アルケニレン‐シクロアルケニレン、アルケニレン‐シクロアルケニレン‐アルケニレン、アルキレン‐シクロアルケニレン‐アルケニレン、アルキニレン‐シクロアルケニレン、アルキニレン‐シクロアルケニレン‐アルキニレン、ヘテロシクロアルケニレン、アルキレン‐ヘテロシクロアルケニレン、アルキレン‐ヘテロシクロアルケニレン‐アルキレン、アルケニレン‐ヘテロシクロアルケニレン、アルケニレン‐ヘテロシクロアルケニレン‐アルケニレン、アルキレン‐ヘテロシクロアルケニレン‐アルケニレン、アルキニレン‐ヘテロシクロアルケニレン、アルキニレン‐ヘテロシクロアルケニレン‐アルキニレン、アリーレン、アルキレン‐アリーレン、アルキレン‐アリーレン‐アルキレン、アルケニレン‐アリーレン、アルケニレン‐アリーレン‐アルケニレン、アルキレン‐アリーレン‐アルケニレン、アルキニレン‐アリーレン、アルキニレン‐アリーレン‐アルキニレン、ヘテロアリーレン、アルキレン‐ヘテロアリーレン、アルキレン‐ヘテロアリーレン‐アルキレン、アルケニレン‐ヘテロアリーレン、アルケニレン‐ヘテロアリーレン‐アルケニレン、アルキレン‐ヘテロアリーレン‐アルケニレン、アルキニレン‐ヘテロアリーレンまたはアルキニレン‐ヘテロアリーレン‐アルキニレンであり;
nは1、2、3または4である
ことを特徴とする架橋ポリマー。
【請求項14】
nは1である
請求項13に記載の架橋ポリマー。
【請求項15】
、R、R及びRはそれぞれ独立して水素または低級アルキルである
請求項13または14に記載の架橋ポリマー。
【請求項16】
A及びBはそれぞれ独立してアルキレン、シクロアルキレン、アリーレンまたはヘテロアリーレンである
請求項13ないし15のいずれかに記載の架橋ポリマー。
【請求項17】
硬化剤は、
【化8】

である
請求項13に記載の架橋ポリマー。
【請求項18】
エポキシ樹脂は、グリシジルエーテルエポキシ樹脂、グリシジルエステルエポキシ樹脂、グリシジルアミンエポキシ樹脂、3官能性エポキシ樹脂、4官能性エポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、クレゾール‐ノボラックエポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂または窒素含有エポキシ樹脂を含む
請求項13ないし17のいずれかに記載の架橋ポリマー。
【請求項19】
請求項13ないし18のいずれかに記載の架橋ポリマーを分解するための方法であって、
溶媒及び酸を使用して架橋ポリマーを分解する工程を含む
ことを特徴とする方法。
【請求項20】
分解工程は加熱条件下で行われる
請求項19に記載の方法。
【請求項21】
酸は塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、乳酸、ギ酸、プロピオン酸、クエン酸、メタンスルホン酸、p‐トルエンスルホン酸、硝酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、過塩素酸、安息香酸、サリチル酸またはフタル酸を含む
請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
溶媒はメタノール、エタノール、エチレングリコール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、t‐ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、p‐ヒドロキシメチルベンゼン、m‐ヒドロキシメチルベンゼン、o‐ヒドロキシベンゼン、p‐ヒドロキシエチルベンゼン、m‐ヒドロキシエチルベンゼン、o‐ヒドロキシエチルベンゼン、水、N,N‐ジメチルホルムアミド、N,N‐ジメチルアセトアミド、N‐メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、グリセロールまたはジオキサンを含む
請求項19ないし21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
アルカリ溶液を使用する中和工程を更に含む
請求項19に記載の方法。
【請求項24】
アルカリは水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウムまたはアンモニアを含む
請求項23に記載の方法。
【請求項25】
請求項1ないし6のいずれかに記載の硬化剤、エポキシ樹脂、補助材料及び強化材料を含む
ことを特徴とするプリプレグ。
【請求項26】
エポキシ樹脂はグリシジルエーテルエポキシ樹脂、グリシジルエステルエポキシ樹脂、グリシジルエポキシアミンエポキシ樹脂、3官能性エポキシ樹脂、4官能性エポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、o‐クレゾールホルムアルデヒドエポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂または窒素含有エポキシ樹脂を含み;
強化材料はカーボンナノチューブ、窒化ホウ素ナノチューブ、カーボンブラック、金属ナノ粒子、金属酸化物ナノ粒子、有機ナノ粒子、酸化鉄、グラスファイバー、炭素繊維、天然繊維、合成繊維、または繊維材料から形成された生地を含み;
補助材料は促進剤、希釈剤、可塑剤、強化剤、増粘剤、カップリング剤、消泡剤、つや消し剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光沢剤、蛍光剤、顔料または充填剤を含む
請求項25に記載のプリプレグ。
【請求項27】
請求項1ないし6のいずれかに記載の硬化剤、エポキシ樹脂、補助材料及び強化材料を含む
ことを特徴とする強化複合体。
【請求項28】
エポキシ樹脂はグリシジルエーテルエポキシ樹脂、グリシジルエステルエポキシ樹脂、グリシジルエポキシアミンエポキシ樹脂、3官能性エポキシ樹脂、4官能性エポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、o‐クレゾールホルムアルデヒドエポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂または窒素含有エポキシ樹脂を含み;
強化材料はカーボンナノチューブ、窒化ホウ素ナノチューブ、カーボンブラック、金属ナノ粒子、金属酸化物ナノ粒子、有機ナノ粒子、酸化鉄、グラスファイバー、炭素繊維、天然繊維、合成繊維、または繊維材料から形成された生地を含み;
補助材料は促進剤、希釈剤、可塑剤、強化剤、増粘剤、カップリング剤、消泡剤、つや消し剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光沢剤、蛍光剤、顔料または充填剤を含む
請求項27に記載の強化複合体。
【請求項29】
請求項27または28に記載の強化複合体を再生利用または分解するための方法であって、
溶媒及び酸を使用する強化複合体を分解する工程を含む
ことを特徴とする方法。
【請求項30】
分解工程は加熱条件下で行う
請求項29に記載の方法。
【請求項31】
酸は塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、乳酸、ギ酸、プロピオン酸、クエン酸、メタンスルホン酸、p‐トルエンスルホン酸、硝酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、過塩素酸、安息香酸、サリチル酸またはフタル酸を含み;
溶媒はメタノール、エタノール、エチレングリコール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、t‐ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、p‐ヒドロキシメチルベンゼン、m‐ヒドロキシメチルベンゼン、o‐ヒドロキシベンゼン、p‐ヒドロキシエチルベンゼン、m‐ヒドロキシエチルベンゼン、o‐ヒドロキシエチルベンゼン、水、N,N‐ジメチルホルムアミド、N,N‐ジメチルアセトアミド、N‐メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、グリセロールまたはジオキサンを含む
請求項29または30に記載の方法。
【請求項32】
アルカリ溶液を使用する中和工程及び分離工程を含む
請求項29に記載の方法。
【請求項33】
アルカリは水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウムまたはアンモニアを含む
請求項32に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照:
本出願は、2013年4月18日提出の特許文献1〜2の優先権及び利益を主張するものであり、これらの内容は、参照によりその全体が本明細書に包含される。
【0002】
本出願は全般的に、接着剤、複合材料及びエポキシ組成物の分野であり、より具体的には、新規な環状アセタール、環状ケタールジアミン類エポキシ硬化剤、並びにそれらをベースとする分解性ポリマー及び複合体に関する。
【背景技術】
【0003】
エポキシ類は熱硬化性ポリマーの重要な類型である。それらには、接着剤、構造材料、塗料塗装、ポッティング、プリント回路基板、マイクロエレクトロニクスカプセル封入、航空宇宙産業、及び他の消費財といった多様な用途がある。3つの方法のうちの1つを使用する架橋反応によって、エポキシ樹脂を硬直化または硬化させる。エポキシ硬化の化学作用は非特許文献1でかなり詳細に説明している。硬化樹脂の特性及び用途は硬化剤配合物または硬化法の選択に非常に影響を受ける。
【0004】
1つの方法は単に、エポキシ基の開環重合メカニズムを介したエポキシ樹脂とそれ自体との反応(すなわち単独重合)である。通常エポキシ樹脂の自己硬化は高温を必要とするが、(硬化剤とは対照的に)ルイス酸またはルイス塩基触媒で開始することが可能である。
【0005】
第2の方法では、エポキシ樹脂は環状酸無水物で硬化する。上記無水物はエポキシ基、ペンダントヒドロキシル基または残留水と反応し、カルボン酸塩の中間物質を形成することが可能であり、これはその後、エポキシ基と反応し、無水物とエポキシ樹脂との間に自己永続反応を起こす。通常、触媒量の第3級アミンは、無水物の開環を促進することから、添加剤として使用する。無水エポキシ配合物は室温で容易に硬化せず、一般に、高くはない温度80〜150℃を必要とする。
【0006】
第3の方法では、エポキシ樹脂はポリアミンなどの多価求核試薬と周囲環境で反応し、本質的に無限分子量のポリマー網目構造を形成する。
【0007】
一般的な配合物(NH‐R‐NH)のポリアミンは、常温硬化性組成物を提供する。第1級または第2級アミンによるエポキシ環の開環によってC‐N結合が安定する。エポキシ基は、活性水素原子を含む可能性のある全てのアミンと反応し、それにより、簡単なジアミン(NH‐R‐NH)は四官能性架橋剤として働き、4つのエポキシ基と反応する。アミンと同様、ポリチオール合成物(HS‐R‐SH)もエポキシ環と反応し、C‐S結合を形成する。チオール基とエポキシ基との反応は、第3級アミンなどの触媒量の塩基の存在によって大幅に促進される。第1級チオールは活性水素原子を1つしか含まないことから、簡単なジチオール化合物(HS‐R‐SH)は二官能性鎖増量剤としてしか作用しないが、3種を超える官能性を有するポリチオール化合物は架橋剤として作用する。ポリチオール硬化剤も、組成物を硬化させる環境を可能にする。速乾凝固配合物は通常、ホームセンターで2個入りの接着剤として販売されており、通常、ポリチオール硬化剤、またはポリチオール及びポリアミンの両方の硬化剤を含有する。
【0008】
本質的に無限分子量のポリマー網目構造を形成するために、とりわけ最も一般的に使用されているエポキシ配合物は、ジエポキシド(「樹脂」)及びポリアミン(「硬化剤」)から構成されている。「樹脂及び硬化剤」の組合せは、「硬化エポキシ」、「硬化樹脂」または単に「樹脂」または「エポキシ」と称されることもある。このようなエポキシ配合物の用途が広範囲である理由は、硬化前の優れた加工性、優れた硬化後の接着性、機械的強度、熱プロファイル、電子特性、薬剤耐性等にある。更に、エポキシの高密度、不融性3次元網目構造によって極めて強靭な材料が作られ、結果として多数の長期的用途用に、材料が選択できるようになる。例えば、その優れた物理的及び機械的特性、電気絶縁並びに接着性のために、エポキシ樹脂は、複合材料、鋳造部品、電子機器、コーティング材等に広く使用されている。それと同時に、この耐久性は、その除去、リサイクル性及びリワーク性を困難にするとして悪評が高まっており、環境下でのエポキシ系材料の寿命に関する懸念が高まっている。変換して使用された2種の成分エポキシで起こる架橋反応は、基本的に不可逆的である。従って材料は、材料を分解せずに融解及び再構築することはできない。通常の消費者も、エポキシ接着剤及びコーティングの扱い難さに気付いている;インターネットの掲示板には、望まざる場所に落としたり、誤って物と付着させてしまったエポキシを除去する方法についての投稿や不平で溢れ返っている。よって、従来のエポキシの顕著な物性は保持するが、下にある構造物にダメージを与えることなく、必要に応じて制御可能かつ温和な様式で分解できる新規なエポキシ配合物が必要となっている。
【0009】
エポキシ接着剤は様々な一般的物品の組立てのために使用され、エポキシは様々な構造材料及び複合体のためのマトリックス材料として作用することから、そのような「再加工可能な」材料の開発には再生利用、回収及び廃棄物処理との兼ね合いがある。更に、容易に除去可能なエポキシにより、エポキシの使用は新たな消費者市場に拡大できる可能性がある。例えば、接合部はエポキシ接着剤で接着できるようになり、接合部は接着されたままでありながら落としたエポキシは硬化後でさえ容易に除去できるようになる可能性がある。別の例では、エポキシをベースとする塗料及びニスは、より簡単に除去できる可能性がある。
【0010】
硬化した樹脂の扱い難さは部分的に、高度に架橋された網目構造に起因している。3次元網目構造の連結が制御条件下で切断することが可能であれば、網目構造はより小さい可溶性の分子及び/またはポリマーに分解することが可能であり、よって、硬化した樹脂主剤を除去することができる。原則としてこのことは、特定の一連の条件下で切断が可能な結合を含む可溶性樹脂または硬化剤のいずれかを用いることにより、達成することができる。この主題についての先行技術の数が限られている状況では、大多数の先行技術は樹脂成分における切断可能な基に注目してきた。ほとんどのエポキシの樹脂成分がビスフェノールジグリシジルエーテル(BPADGE)をベースとしていることから、当業者は硬化剤成分中の構成成分に多大な可塑性があることを知っているため、硬化剤中に切断可能な連結を有するエポキシ配合物は特に魅力的である。
【0011】
エポキシプリプレグはエポキシ樹脂、硬化系及び強化繊維から成る配合系であり、樹脂系は複合体を調製するための中間基材としては非硬化状態であった。繊維強化エポキシ樹脂複合材料、特にエポキシプリプレグにより調製された炭素繊維複合材料は、高い特異性強度、比弾性率、考案性能及び技術創出の多様性を有し、これは建設資材、航空宇宙及び民間興行で広く利用されている。2015年までに、世界的な複合物生産量は著しく増加し、1000万トンを超えるであろう。しかし、どのように繊維複合体の廃棄物を処理し、再生利用するかということは、世界的な課題となっており、従って繊維複合体産業の成長を妨げ、それによって繊維複合体の持続可能な発展を制限している。
【0012】
繊維複合体の再生プロセスは以下の方法に概略的に報告する:1.複合材料を再生利用し、清浄度の高い充填剤及び繊維を得ることが可能であるが高温処理及び高度な標準装備が必要となる高温熱分解(非特許文献2);2.清浄度の高い繊維を得るために高温処理を必要とする流動床(非特許文献3);3.まだ実験段階であり実用的工業化には程遠い、エポキシ樹脂系を分解するための超臨界流体(非特許文献4)、アルコール(非特許文献5)または二酸化炭素(特許文献3);4.エポキシ樹脂を分解し、清浄度の高い表面を有する繊維を得て、これは硝酸などの酸の強力な耐腐食性を有し、高標準装備を必要とし、結果として操作安全性が低く、再生利用コストが高く、後処理が困難である硝酸の使用(非特許文献6)。一般的に、多様な温度、繊維収縮の欠点、性能劣化、環境汚染及び高額な再生利用コストなどの点でこれらの方法には限界があり、従って、廃棄複合材料を再生利用するための効果的かつ実行可能な方法が依然として複合体分野で取り組まなければならない課題となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】中国特許出願第201310136121.4
【特許文献2】中国特許出願第201310137251.X
【特許文献3】中国特許102181071
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Handbook of Composites(S.T.Peters編集、第3章、pp.48〜74、Chapman&Hall発行、1998年)
【非特許文献2】Thermochimica Acta 2007年(454):109〜115
【非特許文献3】Applied surface science 2008年(254):2588〜2593
【非特許文献4】water (Materials and design 2010年(31):999〜1002
【非特許文献5】Ind.eng.chem.res.2010年(49):4535〜4541
【非特許文献6】Journal of applied polymer science、2004年(95):1912〜1916
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
既存の技術の課題を目的とし、本出願は、新規の硬化剤;これらの硬化剤、合成ポリマー、並びにこれらの硬化剤及びエポキシ樹脂を含む強化複合材料を合成する方法;更にポリマー及び強化複合材料を分解する方法を提供する。本発明が提供する、調製した分解性強化複合材料は優れた機械的特性を有し、様々な複合体応用分野に適しており;特定の条件下では、当該複合体は分解され、強化材料及びエポキシ樹脂のマトリックス分解生成物は分離及び回収できる。更に、強化複合材料の分解及び回収方法は経済的かつ制御が簡単であり、比較的温和な条件で進行させることが可能である。
【0016】
従って、1つの態様では、本発明は式Iを有するエポキシ樹脂のための硬化剤を提供する。
【0017】
【化1】
【0018】
式Iでは、R、R、R、R、R及びRはそれぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、複素環、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルキレン‐オキシ‐アルキル、アルキレン‐オキシ‐シクロアルキル、アルキレン‐オキシ‐複素環、アルキレン‐オキシ‐ヘテロ‐シクロアルキル、アルキレン‐オキシ‐アルケニル、アルキレン‐オキシ‐シクロアルケニル、アルキレン‐オキシ‐アリール、アルキレン‐オキシ‐ヘテロアリール、シクロアルキレン‐オキシ‐アルキル、シクロアルキレン‐オキシ‐シクロアルキル、シクロアルキレン‐オキシ‐複素環、シクロアルキレン‐オキシ‐ヘテロシクロアルキル、シクロアルキレン‐オキシ‐アルケニル、シクロアルキレン‐オキシ‐シクロアルケニル、シクロアルキレン‐オキシ‐アリール、シクロアルキレン‐オキシ‐ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキレン‐オキシ‐アルキル、ヘテロシクロアルキレン‐オキシ‐シクロアルキル、ヘテロシクロアルキレン‐オキシ‐複素環、ヘテロシクロアルキレン‐オキシ‐ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキレン‐オキシ‐アルケニル、ヘテロシクロアルキレン‐オキシ‐シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキレン‐オキシ‐アリール、ヘテロシクロアルキレン‐オキシ‐ヘテロアリール、アリーレン‐オキシ‐アルキル、アリーレン‐オキシ‐シクロアルキル、アリーレン‐オキシ‐複素環、アリーレン‐オキシ‐ヘテロシクロアルキル、アリーレン‐オキシ‐アルケニル、アリーレン‐オキシ‐シクロアルケニル、アリーレン‐オキシ‐アリール、またはアリーレン‐オキシ‐ヘテロアリールであり;場合により、R及びR、R及びA、またはR及びBは、RとBとの間の炭素原子(単数または複数)と共に環構造を形成し;
A及びBはそれぞれ独立して、アルキレン、アルキレン‐ヘテロ‐アルキレン、アルケニレン、アルケニレン‐ヘテロ‐アルケニレン、アルキレン‐ヘテロ‐アルケニレン、アルキニレン、シクロアルキレン、アルキレン‐シクロアルキレン、アルキレン‐シクロアルキレン‐アルキレン、アルケニレン‐シクロアルキレン、アルケニレン‐シクロアルキレン‐アルケニレン、アルキレン‐シクロアルキレン‐アルケニレン、アルキニレン‐シクロアルキレン、アルキニレン‐シクロアルキレン‐アルキニレン、ヘテロシクロアルキレン、アルキレン‐ヘテロシクロアルキレン、アルキレン‐ヘテロシクロアルキレン‐アルキレン、アルケニレン‐ヘテロシクロアルキレン、アルケニレン‐ヘテロシクロアルキレン‐アルケニレン、アルキレン‐ヘテロシクロアルキレン‐アルケニレン、アルキニレン‐ヘテロシクロアルキレン、アルキニレン‐ヘテロシクロアルキレン‐アルキニレン、シクロアルケニレン、アルキレン‐シクロアルケニレン、アルキレン‐シクロアルケニレン‐アルキレン、アルケニレン‐シクロアルケニレン、アルケニレン‐シクロアルケニレン‐アルケニレン、アルキレン‐シクロアルケニレン‐アルケニレン、アルキニレン‐シクロアルケニレン、アルキニレン‐シクロアルケニレン‐アルキニレン、ヘテロシクロアルケニレン、アルキレン‐ヘテロシクロアルケニレン、アルキレン‐ヘテロシクロアルケニレン‐アルキレン、アルケニレン‐ヘテロシクロアルケニレン、アルケニレン‐ヘテロシクロアルケニレン‐アルケニレン、アルキレン‐ヘテロシクロアルケニレン‐アルケニレン、アルキニレン‐ヘテロシクロアルケニレン、アルキニレン‐ヘテロシクロアルケニレン‐アルキニレン、アリーレン、アルキレン‐アリーレン、アルキレン‐アリーレン‐アルキレン、アルケニレン‐アリーレン、アルケニレン‐アリーレン‐アルケニレン、アルキレン‐アリーレン‐アルケニレン、アルキニレン‐アリーレン、アルキニレン‐アリーレン‐アルキニレン、ヘテロアリーレン、アルキレン‐ヘテロアリーレン、アルキレン‐ヘテロアリーレン‐アルキレン、アルケニレン‐ヘテロアリーレン、アルケニレン‐ヘテロアリーレン‐アルケニレン、アルキレン‐ヘテロアリーレン‐アルケニレン、アルキニレン‐ヘテロアリーレン、アルキニレン‐ヘテロアリーレン‐アルキニレン、カルボニルまたはチオカルボニルであり;
nは1、2、3または4である。
【0019】
本明細書で使用しているとおり、フレーズ「[2つの部分]の間の炭素原子(単数または複数)」は、その2つの部分の両方と結合した単数の炭素原子、またはその2つの部分に結合している複数の炭素原子を意味する。例えば、nが1である場合、「[R及びB]の間の炭素原子(単数または複数)」はR及びBの両方が結合した単数の炭素原子である;nが2である場合、「[R及びB]の間の炭素原子(単数または複数)」はR及びBにそれぞれ結合した2つの炭素原子である;nが3である場合、「[R及びB]の間の炭素原子(単数または複数)」は、R及びBに結合した3つの炭素原子であり、そのうちの2つはR及びBにそれぞれ結合している;nが4である場合、「[R及びB]の間の炭素原子(単数または複数)」はR及びBに結合している4つの炭素原子である。
【0020】
いくつかの実施形態では、R、R、R、R、R及びRは同一でも、異なっていてもよく;A及びBは同一でも、異なっていてもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、nは1である。
【0022】
いくつかの実施形態では、R、R、R、R、R及びRはそれぞれ独立して水素または低級アルキルである。
【0023】
いくつかの実施形態では、A及びBはそれぞれ独立してアルキレン、シクロアルキレン、アリーレンまたはヘテロアリーレンである。
【0024】
上記の硬化剤の例には以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない
【0025】
【化2】
【0026】
本発明の別の態様は上述の硬化剤を調製するための方法を提供する。以下は本発明の硬化剤を合成するためにこれまで使用してきた、あるいは使用できる方法のいくつかの例示的なスキームである。
スキームA
【0027】
【化3】
【0028】
スキームAでは、X及びXはそれぞれ独立して以下である。
【0029】
【化4】
【0030】
スキームAは以下の工程を示す:
(1)触媒存在下、特定の条件下で、化合物1‐1は有機溶媒中で化合物1‐2と反応し、中間物質(化合物1‐3)を生成する。いくつかの実施形態では、化合物1‐1と化合物1‐2とのモル比は0〜10:1である。
(2)中間物質(化合物1‐3)はアミノ化反応が起こり、式Iの硬化剤が得られる。式Iは上記に定義している。
【0031】
いくつかの実施形態では、工程(1)において、有機溶媒はベンゼン、トルエン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、テトラヒドロフラン及びジオキサンから成る群より選択される少なくとも1種である。
【0032】
いくつかの実施形態では、工程(1)において、触媒はp‐トルエンスルホン酸、ピリジニウムp‐トルエンスルホン酸、硫酸、リン酸、硝酸、塩化水素、分子篩、スルホン酸樹脂及び固体超酸から成る群より選択される少なくとも1種である。
【0033】
いくつかの実施形態では、工程(1)において、反応温度は30〜200℃である。
【0034】
いくつかの実施形態では、工程(2)において、中間物質(化合物1‐3)はヒドラジン還元が起こり、式Iの硬化剤が形成される。例えば、ヒドラジン還元は、特定の反応温度で中間物質(化合物1‐3)を有機溶媒及びヒドラジン水和物または無水ヒドラジンが混合された混合系に溶解し、式Iの硬化剤を得る手技を意味する。
【0035】
いくつかの実施形態では、工程(2)の有機溶媒はベンゼン、トルエン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、テトラヒドロフラン及びジオキサンから成る群より選択される少なくとも1種であり;工程(2)の反応温度は20〜150℃である。
スキームB
【0036】
【化5】
【0037】
スキームBでは、X及びXはそれぞれ独立して塩素、臭素、ヨウ素、メタンスルホン酸エステル、トリフルオロメタンスルホン酸塩またはp‐トルエンスルホン酸エステル基である。
【0038】
スキームBは以下の工程を示す:
(1)触媒存在下、特定の条件で、化合物2‐1は有機溶媒中で化合物2‐2と反応し、中間物質(化合物2‐3)を生成する。いくつかの実施形態では、化合物2‐1と化合物2‐2とのモル比は0〜10:1である。
(2)中間物質(化合物2‐3)はアミノ化反応が起こり、式Iの硬化剤が得られる。式Iは上記に定義している。
【0039】
いくつかの実施形態では、工程(1)において、有機溶媒はベンゼン、トルエン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、テトラヒドロフラン及びジオキサンから成る群より選択される少なくとも1種であり;触媒はp‐トルエンスルホン酸、ピリジニウムp‐トルエンスルホン酸、硫酸、リン酸、硝酸、塩化水素、分子篩、スルホン酸樹脂及び固体超酸から成る群より選択される少なくとも1種であり;反応温度は30〜200℃である。
【0040】
いくつかの実施形態では、工程(2)において、中間物質(化合物2‐3)はアミノ化反応が起こり、式Iの硬化剤が形成される。例えば、アミノ化反応は、特定の反応温度で中間物質(化合物2‐3)、RNH及びRNHを、触媒存在下または非存在下で有機溶媒または水及び有機溶媒が混合された混合系に溶解し、環状アセタール、環状ケタール混合ポリアミン反応液を得て、中和、溶媒抽出及び真空蒸留後に式Iの硬化剤を得る手技を意味する。
【0041】
いくつかの実施形態では、工程(2)において、中間物質(化合物2‐3)とRNH及びRNHの総和とのモル比は1:2〜500である。例えば、中間物質(化合物2‐3)の量は1モルであり、触媒の量は0〜100モルの範囲でよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、工程(2)において、RNH及びRNHはそれぞれ独立して液体アンモニア、アンモニアまたは有機アミンである。
【0043】
いくつかの実施形態では、工程(2)において、有機溶媒はベンゼン、トルエン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、テトラヒドロフラン及びジオキサンから成る群より選択される少なくとも1種である。
【0044】
いくつかの実施形態では、工程(2)において、触媒は炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、ヘキサミン、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、ヨウ化アンモニウム、水酸化アンモニウム、硫酸アンモニウム、重硫酸アンモニウム、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、ギ酸アンモニウム、プロピオン酸アンモニウム、トリフルオロ酢酸アンモニウムまたは安息香酸アンモニウムとすることも可能である。
【0045】
いくつかの実施形態では、工程(2)において、反応温度は10〜200℃であり;反応時間は反応温度で2〜240時間である。
【0046】
いくつかの実施形態では、工程(2)において、中和反応は水性アルカリ溶液を使用してpH≧7の反応液を調製する手技を意味する。このような中和工程で使用されるアルカリの例には水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム及びアンモニアが挙げられるが、これらに限定されるものではない。上記水性アルカリ溶液の質量濃度は0.1〜100%とすることも可能である。
【0047】
いくつかの実施形態では、工程(2)において、溶媒抽出は、有機溶媒を使用して、中和した反応溶液から環状アセタール、環状ケタール混合ポリアミン類を抽出する手技を意味する。いくつかの更なる実施形態では、溶媒抽出工程で使用される有機溶媒はクロロホルム、ジクロロメタン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、t‐ブタノール、酢酸エチルまたはエチルエーテルである。
【0048】
いくつかの実施形態では、工程(2)において、真空分別は、減圧条件下で環状アセタール、環状ケタール混合ポリアミン抽出物から分解性環状アセタール、環状ケタールジアミン類を分離する手技を意味する。
スキームC
【0049】
【化6】
【0050】
スキームCは以下の工程を示す:
(1)触媒存在下、特定の条件で、化合物3‐1は有機溶媒中で化合物3‐2と反応し、中間物質(化合物3‐3)を生成する。いくつかの実施形態では、化合物3‐1と化合物3‐2とのモル比は0〜10:1である。
(2)中間物質(化合物3‐3)はアミノ化反応が起こり、式Iの硬化剤が形成される。式Iは上記に定義している。
【0051】
いくつかの実施形態では、工程(1)において、有機溶媒はベンゼン、トルエン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、テトラヒドロフラン及びジオキサンから成る群より選択される少なくとも1種であり;触媒はp‐トルエンスルホン酸、ピリジニウムp‐トルエンスルホン酸、硫酸、リン酸、硝酸、塩化水素、分子篩、スルホン酸樹脂及び固体超酸から成る群より選択される少なくとも1種であり;反応温度は30〜200℃である。
【0052】
いくつかの実施形態では、工程(2)において、中間物質(化合物3‐3)は還元反応が起こり、式Iの硬化剤が形成される。いくつかの実施形態では、還元反応はヒドラジン還元、接触水素化、金属還元または硫化物還元である。例えば、ヒドラジン還元は、触媒存在下で、中間物質(化合物3‐3)を有機溶媒及びヒドラジン水和物または無水ヒドラジンが混合された混合系に溶解し、式Iの硬化剤を形成する手技を意味する。
【0053】
いくつかの実施形態では、工程(2)において、有機溶媒はメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、t‐ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ジオキサンまたはエチレングリコールであり;触媒はパラジウム、活性炭上のプラチナ、塩化第二鉄六水和物、塩化第二鉄、三二酸化鉄または酸化マグネシウムであり;反応温度は20〜150℃である。
【0054】
本発明の更なる態様は、本発明の硬化剤(例えば式Iの硬化剤)及びエポキシ樹脂に形成された架橋ポリマーを提供するものであり、ここでは架橋ポリマーは式IIの架橋基から成る。
【0055】
【化7】
【0056】
この式IIでは、R、R、R及びRはそれぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、複素環、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルキレン‐オキシ‐アルキル、アルキレン‐オキシ‐シクロアルキル、アルキレン‐オキシ‐複素環、アルキレン‐オキシ‐ヘテロ‐シクロアルキル、アルキレン‐オキシ‐アルケニル、アルキレン‐オキシ‐シクロアルケニル、アルキレン‐オキシ‐アリール、アルキレン‐オキシ‐ヘテロアリール、シクロアルキレン‐オキシ‐アルキル、シクロアルキレン‐オキシ‐シクロアルキル、シクロアルキレン‐オキシ‐複素環、シクロアルキレン‐オキシ‐ヘテロシクロアルキル、シクロアルキレン‐オキシ‐アルケニル、シクロアルキレン‐オキシ‐シクロアルケニル、シクロアルキレン‐オキシ‐アリール、シクロアルキレン‐オキシ‐ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキレン‐オキシ‐アルキル、ヘテロシクロアルキレン‐オキシ‐シクロアルキル、ヘテロシクロアルキレン‐オキシ‐複素環、ヘテロシクロアルキレン‐オキシ‐ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキレン‐オキシ‐アルケニル、ヘテロシクロアルキレン‐オキシ‐シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキレン‐オキシ‐アリール、ヘテロシクロアルキレン‐オキシ‐ヘテロアリール、アリーレン‐オキシ‐アルキル、アリーレン‐オキシ‐シクロアルキル、アリーレン‐オキシ‐複素環、アリーレン‐オキシ‐ヘテロシクロアルキル、アリーレン‐オキシ‐アルケニル、アリーレン‐オキシ‐シクロアルケニル、アリーレン‐オキシ‐アリール、またはアリーレン‐オキシ‐ヘテロアリールであり;場合により、R及びR、R及びA、またはR及びBは、それらの間の炭素原子(単数または複数)と共に環構造を形成し;
A及びBはそれぞれ独立して、アルキレン、アルキレン‐ヘテロ‐アルキレン、アルケニレン、アルケニレン‐ヘテロ‐アルケニレン、アルキレン‐ヘテロ‐アルケニレン、アルキニレン、シクロアルキレン、アルキレン‐シクロアルキレン、アルキレン‐シクロアルキレン‐アルキレン、アルケニレン‐シクロアルキレン、アルケニレン‐シクロアルキレン‐アルケニレン、アルキレン‐シクロアルキレン‐アルケニレン、アルキニレン‐シクロアルキレン、アルキニレン‐シクロアルキレン‐アルキニレン、ヘテロシクロアルキレン、アルキレン‐ヘテロシクロアルキレン、アルキレン‐ヘテロシクロアルキレン‐アルキレン、アルケニレン‐ヘテロシクロアルキレン、アルケニレン‐ヘテロシクロアルキレン‐アルケニレン、アルキレン‐ヘテロシクロアルキレン‐アルケニレン、アルキニレン‐ヘテロシクロアルキレン、アルキニレン‐ヘテロシクロアルキレン‐アルキニレン、シクロアルケニレン、アルキレン‐シクロアルケニレン、アルキレン‐シクロアルケニレン‐アルキレン、アルケニレン‐シクロアルケニレン、アルケニレン‐シクロアルケニレン‐アルケニレン、アルキレン‐シクロアルケニレン‐アルケニレン、アルキニレン‐シクロアルケニレン、アルキニレン‐シクロアルケニレン‐アルキニレン、ヘテロシクロアルケニレン、アルキレン‐ヘテロシクロアルケニレン、アルキレン‐ヘテロシクロアルケニレン‐アルキレン、アルケニレン‐ヘテロシクロアルケニレン、アルケニレン‐ヘテロシクロアルケニレン‐アルケニレン、アルキレン‐ヘテロシクロアルケニレン‐アルケニレン、アルキニレン‐ヘテロシクロアルケニレン、アルキニレン‐ヘテロシクロアルケニレン‐アルキニレン、アリーレン、アルキレン‐アリーレン、アルキレン‐アリーレン‐アルキレン、アルケニレン‐アリーレン、アルケニレン‐アリーレン‐アルケニレン、アルキレン‐アリーレン‐アルケニレン、アルキニレン‐アリーレン、アルキニレン‐アリーレン‐アルキニレン、ヘテロアリーレン、アルキレン‐ヘテロアリーレン、アルキレン‐ヘテロアリーレン‐アルキレン、アルケニレン‐ヘテロアリーレン、アルケニレン‐ヘテロアリーレン‐アルケニレン、アルキレン‐ヘテロアリーレン‐アルケニレン、アルキニレン‐ヘテロアリーレンまたはアルキニレン‐ヘテロアリーレン‐アルキニレンであり;
nは1、2、3または4である。
【0057】
いくつかの実施形態では、R、R、R及びRは同一でも異なっていてもよく;A及びBは同一でも異なっていてもよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、nは1である。
【0059】
いくつかの実施形態では、R、R、R及びRはそれぞれ独立して水素または低級アルキルである。
【0060】
いくつかの実施形態では、A及びBはそれぞれ独立してアルキレン、シクロアルキレン、アリーレンまたはヘテロアリーレンである。
【0061】
いくつかの実施形態では、硬化剤は以下のとおりである。
【0062】
【化8】
【0063】
いくつかの実施形態では、エポキシ樹脂には、グリシジルエーテルエポキシ樹脂、グリシジルエステルエポキシ樹脂、グリシジルアミンエポキシ樹脂、3官能性エポキシ樹脂、4官能性エポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、クレゾール‐ノボラックエポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂または窒素含有エポキシ樹脂が含まれる。
【0064】
いくつかの実施形態では、上述の架橋ポリマーは生分解性である。
【0065】
従って、本発明の別の態様では上述の架橋ポリマーを分解する方法が提供される。
【0066】
いくつかの実施形態では、当該方法には、溶媒及び酸(例えば加熱条件下)を使用して上述の架橋ポリマーを分解する工程、並びにアルカリ溶液を使用する中和工程が含まれる。
【0067】
より具体的には、当該方法には以下の工程が含まれる:
(1)加熱及び撹拌条件下で、分解性架橋ポリマーを、分解用に混合した酸及び溶媒系に浸漬し、分解溶液を得る。いくつかの実施形態では、加熱温度は15〜400℃、加熱時間は1〜600時間、溶媒中の酸の質量濃度は0.1〜100%である。
(2)中和:特定の温度でアルカリ溶液を使用し、分解溶液のpHを制御する工程。いくつかの実施形態では、温度は0〜200℃、最終pHは6以上、アルカリ溶液の質量濃度は0.1〜100%である。
【0068】
いくつかの実施形態では、酸は塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、乳酸、ギ酸、プロピオン酸、クエン酸、メタンスルホン酸、p‐トルエンスルホン酸、硝酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、過塩素酸、安息香酸、サリチル酸またはフタル酸である。
【0069】
いくつかの実施形態では、溶媒はメタノール、エタノール、エチレングリコール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、t‐ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、ベンジルアルコール、フェネチルファルコール、p‐ヒドロキシメチルベンゼン、m‐ヒドロキシメチルベンゼン、o‐ヒドロキシベンゼン、p‐ヒドロキシエチルベンゼン、m‐ヒドロキシエチルベンゼン、o‐ヒドロキシエチルベンゼン、水、N,N‐ジメチルホルムアミド、N,N‐ジメチルアセトアミド、N‐メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、グリセロールまたはジオキサンである。
【0070】
いくつかの実施形態では、アルカリは水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウムまたはアンモニアである。
【0071】
いくつかの実施形態では、アルカリ溶媒はメタノール、エタノール、エチレングリコール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、t‐ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、水、N,N‐ジメチルホルムアミド、N,N‐ジメチルアセトアミド、N‐メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、グリセロールまたはジオキサンである。
【0072】
いくつかの実施形態では、第1の工程において、加熱温度は80〜150℃;加熱時間は4〜8時間、溶媒中の酸の質量濃度は0.5〜20%であり;第2の工程において、温度は5〜50℃、最終pHは6〜12、アルカリ溶液の濃度は5〜30%である。
【0073】
本発明の別の更なる態様では、本発明の硬化剤によって調製されたプリプレグまたは強化複合材料が提供される。いくつかの実施形態では、プリプレグまたは強化複合体は上述の式Iの硬化剤、エポキシ樹脂、補助材料、及び強化材料から成る。
【0074】
いくつかの実施形態では、エポキシ樹脂はグリシジルエーテルエポキシ樹脂、グリシジルエステルエポキシ樹脂、グリシジルエポキシアミンエポキシ樹脂、3官能性エポキシ樹脂、4官能性エポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、o‐クレゾールホルムアルデヒドエポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂または窒素含有エポキシ樹脂である。
【0075】
いくつかの実施形態では、強化材料はカーボンナノチューブ、窒化ホウ素ナノチューブ、カーボンブラック、金属ナノ粒子、金属酸化物ナノ粒子、有機ナノ粒子、酸化鉄、グラスファイバー、炭素繊維、天然繊維、合成繊維、及び繊維材料から形成された生地のうちの少なくとも1つから成る。
【0076】
いくつかの実施形態では、補助材料は促進剤、希釈剤、可塑剤、強化剤、増粘剤、カップリング剤、消泡剤、つや消し剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光沢剤、蛍光剤、顔料及び充填剤のうちの少なくとも1つから成る。
【0077】
いくつかの実施形態では、強化複合体は分解性であり、再生利用可能である。
【0078】
本発明の別の更なる態様では、上述の強化複合体を再生利用し、分解する方法が提供される。
【0079】
いくつかの実施形態では、当該方法には、溶媒及び酸(例えば加熱条件下)を使用して強化複合体を分解する工程、アルカリ溶液を使用する中和工程、並びに分解工程(例えば物理的分離)が含まれる。
【0080】
より具体的には、当該方法には以下の工程が含まれる:
(1)加熱及び撹拌条件下で、強化複合体材料を、酸及び溶媒を混合した分解系に浸漬し、分解溶液を得る。いくつかの実施形態では、溶媒中の酸の質量濃度は0.1〜100%;加熱温度は15〜400℃、加熱時間は1〜600時間である。
(2)中和:アルカリ溶液を使用し、工程(1)の分解溶液のpHを調整する工程。いくつかの実施形態では、アルカリ溶液の濃度は0.1〜100%であり、温度範囲は分解溶液のpHを調整するために0〜200℃に維持する必要があり、分解溶液の最終pHは6以上であり、沈殿物が生成された。
(3)物理的分離、並びに工程(2)におけるpH調整後の沈殿物及び分解溶液の洗浄及び乾燥。
【0081】
いくつかの実施形態では、酸は塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、乳酸、ギ酸、プロピオン酸、クエン酸、メタンスルホン酸、p‐トルエンスルホン酸、硝酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、過塩素酸、安息香酸、サリチル酸またはフタル酸である。
【0082】
いくつかの実施形態では、溶媒はメタノール、エタノール、エチレングリコール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、t‐ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、p‐ヒドロキシメチルベンゼン、m‐ヒドロキシメチルベンゼン、o‐ヒドロキシベンゼン、p‐ヒドロキシエチルベンゼン、m‐ヒドロキシエチルベンゼン、o‐ヒドロキシエチルベンゼン、水、N,N‐ジメチルホルムアミド、N,N‐ジメチルアセトアミド、N‐メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、グリセロール及びジオキサンのうちの少なくとも1種である。
【0083】
いくつかの実施形態では、アルカリは水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム及びアンモニアのうちの少なくとも1種である。
【0084】
いくつかの実施形態では、アルカリ溶媒はメタノール、エタノール、エチレングリコール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、t‐ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、水、N,N‐ジメチルホルムアミド、N,N‐ジメチルアセトアミド、N‐メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、グリセロール及びジオキサンのうちの少なくとも1種である。
【0085】
いくつかの実施形態では、工程(1)において、溶媒中の酸の質量濃度は0.5〜20%;加熱温度は80〜200℃;加熱時間は2〜12時間である。
【0086】
いくつかの実施形態では、工程(2)において、アルカリ溶液の質量濃度は5〜30%;温度は5〜60℃である。
【0087】
いくつかの実施形態では、強化複合体はプリプレグ形成法により形成され得る。
【0088】
本発明は少なくとも以下の技術的利点を提供する:
(1)本発明は分解性エポキシ樹脂硬化剤、エポキシ樹脂、補助材料、強化材料によって形成された複合体を提供する。このような複合体は比較的温和な温度で分解され、また強化材料の95%以上が再生利用可能であり(炭素繊維、グラスファイバー、合成繊維及び天然繊維)、元の質感及び機械的特性の大部分を維持することが可能であり、従って新規な複合体として再使用することが可能となる。再生利用されたエポキシ樹脂ポリマー分解生成物は加工後にプラスチック生成物として使用可能である。本発明で紹介した分解性エポキシ樹脂硬化剤により生じる分解特性を有するエポキシ樹脂強化複合体はこれまで報告されていない。よって、本発明は、エポキシ樹脂を回収し、材料を強化するための新規で高効率かつ実行可能で更に経済的な方法を提供する。
(2)本発明に従えば、エポキシ樹脂複合体の分解工程中、エポキシ樹脂マトリックスの架橋構造は酸の作用下では特定の化学結合が破壊され、結果としてエポキシ樹脂マトリックスが分解される。その後、架橋構造は有機溶媒に溶解可能な非架橋エポキシ樹脂ポリマー(熱可塑性エポキシ樹脂など)に移行する。エポキシ樹脂マトリックスが有機溶媒に完全に溶解すると、繊維強化材料は溶媒から分離可能になる。アルカリ中和、沈殿及び固体‐液体分離の後、エポキシ樹脂マトリックスの分解生成物が再生利用される。再生利用された強化材料及び非架橋ポリマーは両方とも分離、再生利用、及び再使用することが可能である。複合体の可塑性部分が燃え尽きた後、熱硬化性複合体の強化材料だけが顕著に再生利用可能となる。従って、本発明は新規な生分解性エポキシ樹脂接着剤複合体を提供するものであり、このような複合体の可塑性部分及び強化材料は高効率で再生利用できる。特に、
(a)架橋エポキシ樹脂硬化生成物は分解され、熱硬化性エポキシ樹脂ポリマーを形成する。分解工程のみ収縮基の消失が限定的であり、得られた熱可塑性エポキシ樹脂ポリマーは高再生利用性の品質を有する。このようなポリマーは工業用途に加工することができる。
(b)エポキシ樹脂硬化性生成物または強化材料の再生利用品質率は96%以上であり、再生利用された強化材料は酸条件下で非常に安定的である。再生利用した強化材料の表面は清浄度が高く、基本的に欠陥はない。
(c)エポキシ樹脂複合体を再生利用し、分解するための方法はまた、以下の利点も有する:温和な反応条件、経済性、制御の簡便性。
【0089】
本明細書で用いられているように、用語「アルキル」は、単独で、あるいは大きい部位の一部として(例えば「シクロアルケニルアルキル」の形態として)用いられる場合、飽和脂肪族炭化水素基を意味する。それは1〜12個(例えば1〜8個、1〜6個または1〜4個)の炭素原子を含むことが可能である。部位としてそれは‐C2n+1と表すことも可能である。アルキル基は直鎖でも、分岐していてもよい。アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec‐ブチル、tert‐ブチル、n‐ペンチル、n‐ヘプチル及び2‐エチルヘキシルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。アルキル基は1つ以上の置換基と置換可能である(すなわち任意での置換)。炭素数調整剤、例えばC1‐8の添加後にアルキルが生じる場合、それはアルキル基が1〜8個の炭素原子を含むことを意味する。
【0090】
本明細書で用いられているように、用語「アルキレン」は、単独で、あるいは大きい部位の一部として(例えば「アリールアアルキレンオキシ」の形態として)用いられる場合、2つの他の部位と2つの共有結合を形成するための2つのラジカル点を有する飽和脂肪族炭化水素基を意味する。それは1〜12個(例えば1〜8個、1〜6個または1〜4個)の炭素原子を含むことが可能である。部位としてそれは‐C2n‐と表すことも可能である。アルキレン基の例には、メチレン(‐CH ‐)、エチレン(‐CH CH ‐)及びプロピレン(‐CH CH CH ‐)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。炭素数調整剤、例えばC2‐8の添加後にアルキレンが生じる場合、それはアルキレン基が2〜8個の炭素原子を含むことを意味する。
【0091】
本明細書で用いられているように、用語「アルキニル」は、単独で、あるいは大きい部位の一部として(例えば「アルキニルアルキル」の形態として)用いられる場合、少なくとも1つの三重結合を有する脂肪族炭化水素基を意味する。それは2〜12個(例えば2〜8個、2〜6個または2〜4個)の炭素原子を含むことが可能である。アルキニル基は直鎖でも、分岐していてもよい。アルキニル基の例には、プロパルギル及びブチニルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。炭素数調整剤、例えばC2‐8の添加後にアルキニルが生じる場合、それはアルキニル基が2〜8個の炭素原子を含むことを意味する。
【0092】
本明細書で用いられているように、用語「アルケニル」は、単独で、あるいは大きい部位の一部として(例えば「アルケニルアルキル」の形態として)用いられる場合、少なくとも1つの二重結合を有する脂肪族炭化水素基を意味する。それは2〜12個(例えば2〜8個、2〜6個または2〜4個)の炭素原子を含むことが可能である。1つの二重結合を有するアルケニル基は2つの二重結合を有する‐C2n−1または‐C2n−3と表すことも可能である。アルキル基と同様に、アルケニル基は直鎖でも、分岐していてもよい。アルケニル基の例には、アリル、イソプレニル、2‐ブテニル及び2‐ヘキセニルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。炭素数調整剤、例えばC3‐8の添加後にアルキレンが生じる場合、それはアルキレン基が3〜8個の炭素原子を含むことを意味する。
【0093】
本明細書で用いられているように、用語「シクロアルキル」は、単独で、あるいは大きい部位の一部として(例えば「シクロアルキルアルキル」の形態として)用いられる場合、飽和炭素環の単環式、2環式または3環式(縮合または架橋または螺旋状)環系を意味する。それは3〜12個(例えば3〜10個、または5〜10個)の炭素原子を含むことが可能である。シクロアルキル基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチル、ノルボルニル、キュビル(cubyl)、オクタヒドロ‐インデニル、デカヒドロ‐ナフチル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.3.1]ノニル、ビシクロ[3.3.2.]デシル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、アダマンチル、アザシクロアルキル、または((アミノカルボニル)シクロアルキル)シクロアルキルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。炭素数調整剤、例えばC3‐8の添加後にシクロアルキルが生じる場合、それはアルキル基が3〜8個の炭素原子を含むことを意味する。
【0094】
本明細書で用いられているように、用語「シクロアルケニル」は、単独で、あるいは大きい部位の一部として(例えば「シクロアルケニルアルキル」の形態として)用いられる場合、1個以上の二重結合を有する非芳香族炭素環式環系を意味する。それは3〜12個(例えば3〜10個、または5〜10個)の炭素原子を含むことが可能である。シクロアルケニル基の例には、シクロペンテニル、1,4‐シクロヘキサ - ジ - エニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル、ヘキサヒドロ - インデニル、オクタヒドロ - ナフチル、シクロヘキセニル、シクロペンテニル、ビシクロ[2.2.2]オクテニル、またはビシクロ[3.3.1]ノネニルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0095】
本明細書で用いられているように、用語「ヘテロシクロアルキル」は、単独で、あるいは大きい部位の一部として(例えば「ヘテロシクロアルキルアルキル」の形態として)用いられる場合、3〜16員の単環式、2環式または3環式(縮合または架橋または螺旋状)飽和環状構造体を意味し、ここでは1つ以上の環原子はヘテロ原子である(例えば、N、O、Sまたはこれらの組み合わせ)。ヘテロ原子(単数または複数)の他に、ヘテロシクロアルキルは3〜15個の炭素原子(例えば3〜12個または5〜10個)を含むことが可能である。ヘテロシクロアルキル基の例には、ピペリジル、ピペラジル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフリル、1,4‐ジオキソラニル、1,4‐ジチアニル、1,3‐ジオキソラニル、オキサゾリジル、イソオキサゾリジル(isoxazolidyl)、モルホリニル、チオモルホリル、オクタヒドロベンゾフリル、オクタヒドロクロメニル(octahydrochromenyl)、オクタヒドロチオクロメニル(octahydrothiochromenyl)、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロピリジニル(octahydropyrindinyl)、デカヒドロキノリニル、オクタヒドロベンゾ[b]チオフェネイル、2‐オキサ‐ビシクロ[2.2.2]オクチル、1‐アザ‐ビシクロ[2.2.2]オクチル、3‐アザ‐ビシクロ[3.2.1]オクチル、及び2,6‐ジオキサ‐トリシクロ[3.3.1.03,7]ノニルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。単環ヘテロシクロアルキル基はテトラヒドロイソキノリンなどのフェニル部分と縮合することが可能である。炭素数調整剤、例えばC4‐8の添加後にヘテロシクロアルキルが生じる場合、それはヘテロシクロアルキル基が4〜8個の炭素原子を含むことを意味する。
【0096】
本明細書で用いられているように、用語「ヘテロ」は、単独で、あるいは大きい部位の一部として(例えば「ヘテロシクロ」、「ヘテロシクロアルキル」、「ヘテロシクロアルキレン」または「ヘテロアリール」の形態として)用いられる場合、ヘテロ原子、または‐0‐、‐S‐、‐NH‐もしくは‐C(=O)‐である基を意味する。
【0097】
本明細書で用いられているように、用語「アリール」は、単独で、あるいは大きい部位の一部として(例えば「アリールキル(arylkyl)または「アリールコキシ(arylkoxy)」の形態として)用いられる場合、単環式(例えばフェニル)、2環式(例えばインデニル、ナフタレニル、またはテトラヒドロナフチル)及び3環式(例えばフルオレニル、テトラヒドロフルオレニル、テトラヒドロアントラセニル、またはアントラセニル)環系を意味し、ここでは単環式環系は芳香族(例えばフェニル)であり、あるいは2環式または3環式環系中の少なくとも1つの環は芳香族(例えばフェニル)である。2環式及び3環式基には、ベンゾ縮合した2または3員炭素環が挙げられるが、これらに限定されるものではない。例えば、ベンゾ縮合した基には、2つ以上のC4‐8の炭素環部分と縮合したフェニルが挙げられる。
【0098】
本明細書で用いられているように、用語「ヘテロアリール」は、環原子の少なくとも1つがヘテロ原子(例えば、N、0、Sまたはこれらの組合せ)である5〜15個の環原子を有する単環式、2環式または3環式環系を意味し、ここでは単環式環系は芳香族であり、あるいは2環式または3環式環系中の少なくとも1つの環は芳香族である。それは、5〜12または8〜10個の環原子を含むことが可能である。ヘテロアリール基には、2、3個の環を有するベンゾ縮合環系が挙げられるが、これらに限定されるものではない。例えば、ベンゾ融合基には、1つまたは2つの4〜8員のヘテロシクロアルキル部分と縮合したベンゾ(例えば、インドリジル、インドリル、イソインドリル、3H‐インドリル、インドリニル、ベンゾ[b]フリル、ベンゾ[b]チオフェニル、キノリニルまたはイソキノリニル)が挙げられる。ヘテロアリールのいくつかの例は、ピリジル、1H‐インダゾリル、フリル、ピロリル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ベンゾフリル、イソキノリニル、ベンゾチアゾリル(benzithiazolyl)、キサンテニル、チオキサンテニル、フェノチアジニル、ジヒドロインドリル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、ベンゾ[b]フリル、ベンゾ[b]チオフェニル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、プリル、キノリニル、キナゾリニル、フタラジル(phthalazyl)、キナゾリル、キノキサリル、イソキノリニル、4H‐キノリジル(quinolizyl)、ベンゾ‐1,2,5‐チアジアゾリル及び1,8‐ナフチリジルである。
【0099】
本明細書で用いられているように、接尾辞「‐エン」は、2つの他の部分と2つの共有結合を形成するための2つのラジカル点を有する2価基を記述するために使用される。言い換えれば、上記で定義された用語の全てが、その部分の2価の形態を記述するために接尾辞「‐エン」で修飾することが可能である。例えば、2価のアリール環構造は「アリーレン」であり、2価のベンゼン環構造は「フェニレン」であり、2価のヘテロアリール環構造は「ヘテロアリーレン」であり、2価のシクロアルキル環構造は「シクロアルキレン」であり、2価のヘテロシクロアルキル環構造は「ヘテロシクロアルキレン」であり、2価のシクロアルケニル環構造は「シクロアルケニレン」であり、2価のアルケニル鎖は「アルケニレン」であり、2価のアルキニル鎖は「アルキニレン」である。
【0100】
本明細書で用いられているように、用語「任意で」(例えば「任意で〜と置換する」)は、対象の部分は置換することも、またはしないこともあること、また、化学的に実行可能である場合のみ置換が起こることを意味する。例えば、Hは置換基と置換することが可能ではなく、共有結合または‐C(=O)‐基は置換基と置換することが可能ではない。
【0101】
本明細書で用いられているように、「オキソ」基は=Oを意味する。
【0102】
本明細書で用いられているように、「カルボニル」基は‐C(O)‐または‐C(=O)‐を意味する。
【0103】
本明細書で用いられているように、用語「任意で」が前に付いている、または付いていない用語「置換された」は、所与の構造体中の水素ラジカルと、特定の置換基のラジカルとの置換を意味する。特定の置換基は定義として上述し、化合物及びその例の説明として下記に記述する。別段の支持がない限り、任意で置換した基は、基の置換可能な各位置で置換基を有し、また、任意の所与の構造における複数の位置が特定の基から選択された複数の置換基と置換することが可能である場合、置換基は全ての位置で同一でも異なっていてもよい。ヘテロシクロアルキルなどの環置換基はシクロアルキルなどの別の環に結合し、スピロ‐二環系を形成することが可能であり、例えば両方の環は1つの共通の原子を共有している。1人の当業者が認めていることから、本発明で想起された置換基の組み合わせは、安定的で化学的に実行可能な化合物の形成をもたらすこれらの組み合わせである。
【0104】
便宜上、そして一般的に理解されているとおり、用語「任意で置換する」は好適な置換基と置換し得る化学成分にのみ当てはまり、化学的に置換できないものには当てはまらない。
【0105】
本明細書で用いられているように、用語「または」は「または」もしくは「及び」を意味し得る。
【発明を実施するための形態】
【0106】
以下の例は説明のためにのみ提供されるものであり、いかなる態様も限定しないよう意図されている。
(実施例1)硬化剤1の調製
【0107】
【化9】
【0108】
方法1:
189gのN‐(2‐オキソエチル)フタルイミド、221gの2‐(2,3‐ジヒドロキシプロピル)イソインドール‐1,3‐ジオン、5gの無水p‐トルエンスルホン酸及び1Lのトルエンを室温で混合し、次いで溶液を加熱し、ディーン・スターク装置で還流させ、発生した水を蒸留した。20時間後、反応を終了した。溶液を室温まで冷却し、2Lの石油エーテル(沸点:60〜90℃)を添加し、濾過し、固形物を1Lの石油エーテル(沸点:60〜90℃)で洗浄し、乾燥し、950gの粗生成物を得た。次いで3.4Lの20%NaOH水溶液を添加し、溶液を加熱して還流し、10時間の還流後に冷却し、クロロホルム/イソプロピルアルコールで抽出し、分離し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、その後,減圧下で蒸留し、80gの硬化剤1を得た。
【0109】
方法2:
800gのメチルベンゼン及び440gの3‐クロロ‐1,2‐プロパンジオールを反応瓶に入れ、548gのジメチルクロロアセタール及び3gのp‐トルエンスルホン酸を撹拌しながら添加した。溶液をゆっくりと加熱してディーン・スターク装置で還流させ、発生したメタノールを蒸留した。12〜16時間後、反応を終了し、溶液を40℃未満まで冷却し、適度な量の炭酸ナトリウムを反応瓶に添加し、溶液をpH7近くまで中和した。減圧下で反応溶液を濃縮し;トルエンを再生利用し、760gの塩素化された中間物質を得た。
【0110】
400mlのN,N‐ジメチルホルムアミドを3口フラスコに入れ、撹拌しながら231gのフタルイミドカリウム及び86.5gの塩素化中間物質を添加した。溶液を150℃に加熱し、8時間後に(反応は終了させた)、減圧下で濃縮し、DMFを再生利用した。残渣は精製せずに次の工程に使用することができた。 320gのNaOH及び960gの水を室温で残渣に添加し、次いで溶液を加熱して還流させ、12時間の還流後、室温まで冷却し、クロロホルム/エタノール(体積比3:1)で3回抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した後、減圧下で蒸留し、50gの硬化剤1を得た。
【0111】
方法3:
300gの液体アンモニアを高圧反応器に入れ、30gの方法2の中間物質を室温で撹拌しながら添加し、次いで溶液を90℃までゆっくりと加熱した。6時間後、反応をTLCモニタリングにより終了した。減圧下で溶媒の大半を濃縮し、次いで残渣を反応瓶に移し、30%NaOH水溶液を添加し、残渣をpH≧10まで中和した後、100mLのクロロホルム/エタノール(体積比3:1)で3回抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムまたは無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濾過ケークを少量の溶媒で洗浄し、その後、濾液を濃縮し、減圧下で蒸留し、15gの硬化剤1を得た。
LC/MS(M+1):133
H‐NMR(CDCl,400MHz):5.13(t,1H),4.13(m,1H),3.73(d,2H),2.90(d,2H),2.83(d,2H)
(実施例2)硬化剤2の調製
【0112】
【化10】
【0113】
工程(1)
221gの水酸化ナトリウムを1.5Lのエチルアルコールに溶解し、温度を40℃未満で制御しながら溶液を5Lの撹拌器に添加した。その後、700gの4‐ニトロフェノール及び3Lのエタノールを添加し、工程中に、沈殿物を形成した。2時間後、40℃で、反応溶液を濃縮し、ナトリウム4‐ニトロフェノキシドを得た。
【0114】
工程(2)
800gのトルエン及び480gの3‐クロロ‐1,2‐プロパンジオールを反応フラスコに入れ、撹拌しながら660gのニトロアセトフェノン及び1.5gのp‐トルエンスルホン酸を添加し、反応溶液をゆっくりと加熱してディーン・スタークトラップで還流させ、水分を蒸留した。反応をTLCモニタリングにより終了した後、溶液を40℃未満まで冷却し、適度な量の炭酸ナトリウムを反応フラスコに添加し、反応溶液をpH7近くまで中和し、減圧下で濃縮し、トルエンの大半を再生利用し、熱水を添加して結晶化し、濾過し、乾燥し、1100gの粗固形物を得た。
【0115】
工程(3)
上記の工程により調製された粗固形物は更なる精製をせずに使用することができる。1Lの3口丸底フラスコ中、撹拌しながら、400mLのN,N‐ジメチルホルムアミド(DMF)、180gの工程(1)で調製したナトリウム4‐ニトロフェノキシド、及び260gの工程(2)で調製した粗固形物を添加し、反応溶液を120〜130℃まで加熱した。反応をTLCモニタリングにより終了した後、DMFを減圧下で再生利用し、残渣を冷却した後、黄色の沈殿物が現れるまで水を添加し、濾過し、固形物を真空下で乾燥し、325gの黄色固形物を得た。
【0116】
工程(4)
2Lの3口丸底フラスコ中、1.3Lのテトラヒドロフランに溶解した工程(3)で調製した黄色固形物、8.2gの10%Pd/C及び200gの80%ヒドラジン水和物を添加した。反応溶液を加熱して還流させた。反応をTLCモニタリングにより終了した後、溶液を冷却し、濾過し、10%Pd/Cを再生利用した。母液をロータリーエバポレータで蒸発させ、残渣を石油エーテル/酢酸エチルで再結晶化し、230gの硬化剤2を得た。
LC/MS(M+1):301
H‐NMR(CDCl,400MHz):7.13(t,1H),6.74(d,2H),6.72(d,1H),6.68(s,1H),6.66(d,2H),6.56(d,1H),4.40(m,1H),4.08(d,2H),3.86(d,2H),1.74(s,3H)
(実施例3)硬化剤3の調製
【0117】
【化11】
【0118】
工程(1)
800gのトルエン及び440gの3‐クロロ‐1,2‐プロパンジオールを反応フラスコに入れた後、撹拌しながら660gのニトロアセトフェノン及び3gのp‐トルエンスルホン酸を添加した。反応溶液をゆっくりと加熱してディーン・スタークトラップで還流させ、水分を蒸留した。反応をTLCモニタリングにより終了した後、溶液を40℃未満まで冷却し、適度な量の炭酸ナトリウムを反応フラスコに添加し、反応溶液をpH7近くまで中和し、減圧下で濃縮し、トルエンの大半を再生利用し、沈殿ができるまで熱水を添加し、濾過し、乾燥し、1000gの粗固形物を得た。
【0119】
工程(2)
上記の工程により調製された粗固形物は更なる精製をせずに使用することができる。1Lの3口丸底フラスコ中、撹拌しながら、400mLのN,N‐ジメチルホルムアミド(DMF)、180gのナトリウム4‐ニトロフェノキシド、及び244gの工程(1)で調製した粗固形物を添加し、反応溶液を120〜130℃まで加熱した。反応をTLCモニタリングにより終了した後、溶液を減圧下で濃縮し、DMFを再生利用した。残渣を冷却した後、黄色の固形物が現れるまで水を添加し、濾過し、固形物を真空下で乾燥し、315gの黄色固形物を得た。
【0120】
工程(3)
2Lの3口丸底フラスコ中、1.26Lのテトラヒドロフランに溶解した工程(2)で調製した黄色固形物、次いで7.8gの10%Pd/C及び250gの80%ヒドラジン水和物を添加し、反応溶液を加熱して還流させた。反応をTLCモニタリングにより終了した後、溶液を冷却し、濾過し、10%Pd/Cを再生利用し、母液をロータリーエバポレータで蒸発させ、残渣を石油エーテル/酢酸エチルで再結晶化し、220gの硬化剤3を得た。
LC/MS(M+1):287
H‐NMR(CDCl,400MHz):7.11(d,2H),6.74(d,2H),6.66(d,2H),6.56(d,2H),5.79(s,1H),4.40(m,1H),4.08(d,2H),3.86(d,2H)
(実施例4)硬化剤及びエポキシ樹脂により重合した分解性架橋ポリマー
【0121】
10gの実施例1の硬化剤1(AEW≒3.03N‐H当量/100g)及び57.1gの液体ビスフェノールA型エポキシ樹脂E52D(EEW0.52〜0.54当量/100g)を混合し、室温で均等に撹拌した。試験のとおり、ゲル化時間は70℃で4時間以上であった。混合物は室温で1カ月以上保存可能であった。適量の混合物試料をスライドガラスに塗布し、完全に硬化するまで、反応物を120℃で2時間、次いで160℃で2時間加熱した後、調製して硬化分解性エポキシ樹脂の試料とした。
(実施例5)硬化剤及びエポキシ樹脂により重合した分解性架橋ポリマー
【0122】
10gの実施例2の硬化剤2(AEW≒1.33N‐H当量/100g)及び25.1gの液体ビスフェノールA型エポキシ樹脂E52D(EEW0.52〜0.54当量/100g)を混合し、室温で均等に撹拌した。試験のとおり、ゲル化時間は70℃で4時間以上であった。混合物は室温で1カ月以上保存可能であった。適量の混合物をスライドガラスに塗布し、完全に硬化するまで120℃で2時間、次いで160℃で2時間加熱した後、調製して硬化分解性エポキシ樹脂の試料とした。
(実施例6)硬化剤及びエポキシ樹脂により重合した分解性架橋ポリマー
【0123】
10gの実施例3の硬化剤3(AEW≒1.40N‐H当量/100g)及び24.8gの液体ビスフェノールF型エポキシ樹脂(EEW0.52〜0.63当量/100g)を混合し、室温で均等に撹拌した。試験のとおり、ゲル化時間は70℃で4時間以上であった。混合物は室温で1カ月以上保存可能であった。適量の混合物をスライドガラスに塗布し、完全に硬化するまで70℃で2時間、次いで125℃で2時間加熱した後、調製して硬化分解性エポキシ樹脂の試料とした。
(実施例7)分解性架橋ポリマーの分解及び再生利用
【0124】
0.5gの実施例4の硬化試料、10mLの濃塩酸及び90mLのエチレングリコールを1口丸底フラスコに入れ、撹拌し、180℃まで加熱し、10時間後に完全に分解し、透明で澄明度の高い溶液を得て、これを20%水酸化ナトリウム溶液で中和した。沈殿した固形物を濾過し、固形物を水で洗浄し、乾燥し、0.49gの熱硬化性エポキシ樹脂の分解生成物を得た。質量回収率は95%であった。
(実施例8)分解性架橋ポリマーの分解及び再生利用
【0125】
0.6gの実施例4の硬化試料、0.1mLの濃塩酸及び90mLのエチレングリコールをオートクレーブに入れ、撹拌し、350℃まで加熱し、0.5時間後に完全に分解し、透明で澄明度の高い溶液を得て、これを20%水酸化ナトリウム溶液で中和した。沈殿した固形物を濾過し、固形物を水で洗浄し、乾燥し、0.57gの熱硬化性エポキシ樹脂の分解生成物を得た。質量回収率は95%であった。
(実施例9)分解性架橋ポリマーの分解及び再生利用
【0126】
0.06gの実施例4の硬化試料、90mLの濃塩酸及び10mLのエチレングリコールを1口丸底フラスコに入れ、撹拌し、20℃まで加熱し、120時間後に完全に分解し、透明で澄明度の高い溶液を得て、これを95%水酸化ナトリウム溶液で中和した。沈殿した固形物を濾過し、固形物を水で洗浄し、乾燥し、0.059gの熱硬化性エポキシ樹脂の分解生成物を得た。質量回収率は95%であった。
(実施例10)分解性架橋ポリマーの分解及び再生利用
【0127】
0.7gの実施例5の硬化試料、10mLの濃塩酸及び90mLのエチレングリコールを1口丸底フラスコに入れ、撹拌し、190℃まで加熱し、6時間後に完全に分解し、透明で澄明度の高い溶液を得て、これを95%水酸化ナトリウム溶液で中和した。沈殿した固形物を濾過し、固形物を水で洗浄し、乾燥し、0.67gの熱硬化性エポキシ樹脂の分解生成物を得た。質量回収率は95%であった。
(実施例11)分解性架橋ポリマーの分解及び再生利用
【0128】
0.61gの実施例5の硬化試料の試料、10mLの濃塩酸及び90mLのエチレングリコールを1口丸底フラスコに入れ、撹拌し、190℃まで加熱し、6時間後に完全に分解し、透明で澄明度の高い溶液を得て、これを2%水酸化ナトリウム溶液で中和し、沈殿した固形物を濾過し、固形物を水で洗浄し、乾燥し、0.58gの熱硬化性エポキシ樹脂の分解生成物を得た。質量回収率は95%であった。
(実施例12)分解性架橋ポリマーの分解及び再生利用
【0129】
0.65gの実施例5の硬化した試料、10mLの濃塩酸及び90mLのオクタノールを1口丸底フラスコに入れ、撹拌し、155℃まで加熱し、4時間後に完全に分解し、透明で澄明度の高い溶液を得て、これを10%水酸化ナトリウム溶液で中和し、沈殿した固形物を濾過し、固形物を水で洗浄し、乾燥し、0.62gの熱硬化性エポキシ樹脂の分解生成物を得た。質量回収率は96%であった。
(実施例13)分解性架橋ポリマーの分解及び再生利用
【0130】
0.75gの実施例6の硬化試料、10mLの濃塩酸及び90mLのヘキサノールを1口丸底フラスコに入れ、撹拌し、155℃まで加熱し、4時間後に完全に分解し、透明で澄明度の高い溶液を得て、これを20%水酸化ナトリウム溶液で中和し、沈殿した固形物を濾過し、固形物を水で洗浄し、乾燥し、0.71gの熱硬化性エポキシ樹脂の分解生成物を得た。質量回収率は95%であった。
(実施例14)分解性架橋ポリマーの分解及び再生利用
【0131】
0.9gの実施例6の硬化試料、5mLのメタンスルホン酸及び90mLのエチレングリコールを1口丸底フラスコに入れ、撹拌し、135℃まで加熱し、6時間後に完全に分解し、透明で澄明度の高い溶液を得て、これを0.1%水酸化ナトリウム溶液で中和し、沈殿した固形物を濾過し、固形物を水で洗浄し、乾燥し、0.88gの熱硬化性エポキシ樹脂の分解生成物を得た。質量回収率は98%であった。
(実施例15)分解性架橋ポリマーの分解及び再生利用
【0132】
0.95gの実施例6の硬化試料、5mLのメタンスルホン酸及び90mLのオクタノールを1口丸底フラスコに入れ、撹拌し、135℃まで加熱し、6時間後に完全に分解し、透明で澄明度の高い溶液を得て、これを90%水酸化ナトリウム溶液で中和し、沈殿した固形物を濾過し、固形物を水で洗浄し、乾燥し、0.91gの熱硬化性エポキシ樹脂の分解生成物を得た。質量回収率は96%であった。
(実施例16)分解性エポキシ樹脂マトリックスのゲル化時間及び保管寿命
【0133】
ビスフェノールAエポキシ樹脂E51(EEW0.48〜0.54当量/100g)、E20(EEW0.18〜0.22当量/100g)、及びE44(EEW0.41〜0.47当量/100g)を混合し、100℃、質量比(3.5:5:1.5)で、均等に撹拌した。混合物を70℃まで冷却し、当量の実施例2の硬化剤2(AEW=1.33N‐H当量/100g)を添加した後、樹脂混合物を高速で撹拌した。70℃で、ゲル化時間は6時間以上であった。
【0134】
樹脂混合物の粘度は、70℃で18000〜24000cpsである。同様に、樹脂混合物を−18℃で7日、及び30日間保存した後は、70℃での樹脂混合物の粘度及びゲル化時間には有意な変化は全く見られなかった;樹脂混合物を25℃で7日、及び30日間保存した後は、70℃での樹脂混合物の粘度及びゲル化時間には有意な変化は全く見られなかった。
(実施例17)分解性エポキシ樹脂マトリックスのゲル化時間及び保管寿命
【0135】
質量比(3.5:5:1.5)のビスフェノールAエポキシ樹脂E52D(EEW0.52〜0.54当量/100g)、E20(EEW0.18〜0.22当量/100g)、及びE44(EEW0.41〜0.47当量/100g)を混合し、100℃でよく撹拌し、その後、70℃まで冷却し、当量の実施例3の硬化剤3(AEW=1.40N‐H当量/100g)を添加した後、樹脂混合物を高速で撹拌した。70℃で、樹脂混合物のゲル化時間は6時間以上であった。
【0136】
樹脂混合物の粘度は、70℃で18000〜25000cpsである。同様に、樹脂混合物を−18℃で7日、及び30日間保存した後は、70℃での樹脂混合物の粘度及びゲル化時間には有意な変化は全く見られなかった;樹脂混合物を25℃で7日、及び30日間保存した後は、70℃での樹脂混合物の粘度及びゲル化時間には有意な変化は全く見られなかった。
(実施例18)分解性エポキシ樹脂炭素繊維プリプレグ及び炭素繊維複合ラミネートの調製
【0137】
工程1:分解性エポキシ樹脂マトリックスの調製
予備として、20gのビスフェノールAエポキシ樹脂E51(EEW0.48〜0.54当量/100g)及び25.8gの実施例2の硬化剤2(AEW=1.33N‐H当量/100g)を秤量し、ブレンダで混合した後、3ロール式ミルで30分間粉砕した。15gのビスフェノールAエポキシ樹脂E51(EEW0.48〜0.54当量/100g)、15gのビスフェノールAエポキシ樹脂E44(EEW0.41〜0.47当量/100g)及び50gのビスフェノールAエポキシ樹脂E20(EEW0.18〜0.22当量/100g)をオーブンに入れ、120℃で3時間予熱し、その後、加熱した樹脂を混練機に入れ、1時間混錬し、70℃まで冷却した後、樹脂を混合ブレンダに入れ、真空にし、3ロール式破砕機で破砕してある前記予備のE51/硬化剤2混合系を70℃で添加し、その後、樹脂混合物を高速で30分間撹拌し、取り出し、室温まで冷却した後、冷凍保存した。
【0138】
上記で調製したとおりの調製分解性エポキシ樹脂マトリックスのゲル化時間は70℃で4時間以上であった。それは室温では1か月以上、0℃では半年、−18℃では1年保存可能である。
【0139】
工程2:分解性エポキシ炭素繊維プリプレグ及び炭素繊維複合ラミネートの調製
上記工程により調製されたエポキシ系を70℃まで加熱し、湿式法により3K炭素繊維生地を使用して炭素繊維プリプレグを作成した。プリプレグは室温でやや粘着性があり、150℃でタブレットプレス機で押圧し、炭素繊維複合体のラミネートを得た。
(実施例19)分解性エポキシ樹脂一方向性炭素繊維プリプレグ及び炭素繊維複合ラミネートの調製
【0140】
工程1:生分解性エポキシ樹脂マトリックスの調製
予備として、20gのビスフェノールAエポキシ樹脂E52D(EEW0.52〜0.54当量/100g)及び24.6gの実施例3の硬化剤3(AEW=1.40N‐H当量/100g)を秤量し、ブレンダで混合した後、3ロール式ミルで30分間粉砕した。15gのビスフェノールAエポキシ樹脂E52D(EEW0.52〜0.54当量/100g)、15gのビスフェノールAエポキシ樹脂E44(EEW0.41〜0.47当量/100g)及び50gのビスフェノールAエポキシ樹脂E20(EEW0.18〜0.22当量/100g)をオーブンに入れ、120℃で3時間予熱し、その後、加熱した樹脂を混練機に入れ、1時間混錬し、70℃で冷却した後、樹脂を混合ブレンダに入れ、次いで真空にし、3ロール式ミルで破砕してある前記予備のE52/硬化剤3混合系を70℃で添加し、その後、樹脂混合物を高速で30分間撹拌し、取り出し、室温まで冷却した後、冷凍保存した。
【0141】
上記の分解性エポキシ樹脂マトリックスのゲル化時間は70℃で4時間以上である。それは室温では1か月以上、0℃では半年、−18℃では1年保存可能である。
【0142】
工程2:分解性エポキシ炭素繊維プリプレグ及び炭素繊維複合ラミネートの調製
上記で調製されたエポキシ系を70℃まで加熱し、湿式法により3K炭素繊維生地を使用して炭素繊維プリプレグを作成した。プリプレグは室温でやや粘着性があり、150℃でタブレットプレス機で押圧し、炭素繊維複合体のラミネートを得た。
(実施例20)炭素繊維複合ラミネートの分解
【0143】
実施例18の炭素繊維複合ラミネートの1.5gの試料、10mLの濃塩酸及び90mLのフェニルカルビノールを1口丸底フラスコに入れ、撹拌し、190℃まで加熱し、エポキシ樹脂マトリックスを3時間後に完全に分解し、溶液が熱いうちに濾過し、炭素繊維と分解溶液とを分離し、その溶液を20%水酸化ナトリウム溶液で中和し、沈殿した固形物を濾過し、固形物を水で洗浄し、乾燥し、1.47gの熱硬化性エポキシ樹脂及び炭素繊維の分解生成物を得た。質量回収率は98%であった。再生利用繊維の表面は清浄度が高く、基本的に欠陥はない。
(実施例21)炭素繊維複合ラミネートの分解
【0144】
実施例18の炭素繊維複合ラミネートの1.5gの試料、10mLの濃塩酸及び90mLのエチレングリコールを1口丸底フラスコに入れ、撹拌し、160℃まで加熱し、エポキシ樹脂マトリックスを3時間後に完全に分解し、溶液が熱いうちに濾過し、炭素繊維と分解溶液とを分離し、その溶液を30%水酸化ナトリウム溶液で中和し、沈殿した固形物を濾過し、固形物を水で洗浄し、乾燥し、1.46gの熱硬化性エポキシ樹脂の分解生成物及び炭素繊維を得た。質量回収率は97%であった。再生利用繊維の表面は清浄度が高く、基本的に欠陥はない。
(実施例22)炭素繊維複合ラミネートの分解
【0145】
実施例18の炭素繊維複合ラミネートの1.5gの試料、10mLの濃塩酸及び90mLのヘキサノールを1口丸底フラスコに入れ、撹拌し、135℃まで加熱し、エポキシ樹脂マトリックスを4時間後に完全に分解し、溶液が熱いうちに濾過し、炭素繊維と分解溶液とを分離し、その溶液を20%水酸化ナトリウム溶液で中和し、沈殿した固形物を濾過し、固形物を水で洗浄し、乾燥し、1.43gの熱硬化性エポキシ樹脂及び炭素繊維の分解生成物を得た。質量回収率は95%であった。再生利用繊維の表面は清浄度が高く、基本的に欠陥はない。
(実施例23)炭素繊維複合ラミネートの分解
【0146】
実施例18の炭素繊維複合ラミネートの1.5gの試料、10mLの濃塩酸及び90mLのオクタノールを1口丸底フラスコに入れ、撹拌し、135℃まで加熱し、エポキシ樹脂マトリックスを4時間後に完全に分解し、溶液が熱いうちに濾過し、炭素繊維と分解溶液とを分離し、その溶液を40%水酸化ナトリウム溶液で中和し、沈殿した固形物を濾過し、固形物を水で洗浄し、乾燥し、1.44gの熱硬化性エポキシ樹脂及び炭素繊維の分解生成物を得た。質量回収率は96%であった。再生利用繊維の表面は清浄度が高く、基本的に欠陥はない。
(実施例24)炭素繊維複合ラミネートの分解
【0147】
実施例19の炭素繊維複合ラミネートの1.5gの試料、10mLの濃塩酸及び90mLのエチレングリコールを1口丸底フラスコに入れ、撹拌し、135℃まで加熱し、エポキシ樹脂マトリックスを4時間後に完全に分解し、溶液が熱いうちに濾過し、炭素繊維と分解溶液とを分離し、その溶液を20%水酸化ナトリウム溶液で中和し、沈殿した固形物を濾過し、固形物を水で洗浄し、乾燥し、1.42gの熱硬化性エポキシ樹脂及び炭素繊維の分解生成物を得た。質量回収率は95%であった。再生利用繊維の表面は清浄度が高く、基本的に欠陥はない。
(実施例25)炭素繊維複合ラミネートの分解
【0148】
実施例19の炭素繊維複合ラミネートの1.5gの試料、5mlのメチルスルホン酸及び90mLのエチレングリコールを1口丸底フラスコに入れ、撹拌し、190℃まで加熱し、エポキシ樹脂マトリックスを3時間後に完全に分解し、溶液が熱いうちに濾過し、炭素繊維と分解溶液とを分離し、その溶液を10%水酸化ナトリウム溶液で中和し、沈殿した固形物を濾過し、固形物を水で洗浄し、乾燥し、1.43gの熱硬化性エポキシ樹脂及び炭素繊維の分解生成物を得た。質量回収率は95%であった。再生利用繊維の表面は清浄度が高く、基本的に欠陥はない。
(実施例26)炭素繊維複合ラミネートの分解
【0149】
実施例19の炭素繊維複合ラミネートの2gの試料、5mlのメチルスルホン酸及び90mLのオクタノールを1口丸底フラスコに入れ、撹拌し、160℃まで加熱し、エポキシ樹脂マトリックスを3時間後に完全に分解し、溶液が熱いうちに濾過し、炭素繊維と分解溶液とを分離し、その溶液を50%水酸化ナトリウム溶液で中和し、沈殿した固形物を濾過し、固形物を水で洗浄し、乾燥し、1.94gの熱硬化性エポキシ樹脂及び炭素繊維の分解生成物を得た。質量回収率は97%であった。再生利用繊維の表面は清浄度が高く、基本的に欠陥はない。
(実施例27)炭素繊維複合ラミネートの分解
【0150】
実施例19の炭素繊維複合ラミネートの2gの試料、5mlのメチルスルホン酸及び90mLのヘキサノールを1口丸底フラスコに入れ、撹拌し、135℃まで加熱し、エポキシ樹脂マトリックスを4時間後に完全に分解し、溶液が熱いうちに濾過し、炭素繊維と分解溶液とを分離し、その溶液を20%水酸化ナトリウム溶液で中和し、沈殿した固形物を濾過し、固形物を水で洗浄し、乾燥し、0.95gの熱硬化性エポキシ樹脂及び炭素繊維の分解生成物を得た。質量回収率は1.9%であった。再生利用繊維の表面は清浄度が高く、基本的に欠陥はない。
(実施例28)炭素繊維複合ラミネートの分解
【0151】
実施例19の炭素繊維複合ラミネートの0.5gの試料、0.1mlの濃塩酸及び90mLのエチレングリコールをオートクレーブに入れ、撹拌し、350℃まで加熱し、エポキシ樹脂マトリックスを0.5時間後に完全に分解し、100℃まで冷却し、溶液が冷めないうちに濾過し、炭素繊維と分解溶液とを分離し、その溶液を0.1%水酸化ナトリウム溶液で中和し、沈殿した固形物を濾過し、固形物を水で洗浄し、乾燥し、0.47gの熱硬化性エポキシ樹脂及び炭素繊維の分解生成物を得た。質量回収率は95%であった。
(実施例29)炭素繊維複合ラミネートの分解
【0152】
実施例19の炭素繊維複合ラミネートの0.15gの試料、90mlの濃塩酸及び2mlのエチレングリコールをオートクレーブに入れ、撹拌し、20℃まで加熱し、エポキシ樹脂マトリックスを120時間後に完全に分解し、100℃まで冷却し、溶液が冷めないうちに濾過し、炭素繊維と分解溶液とを分離し、その溶液を100%水酸化ナトリウム溶液で中和し、沈殿した固形物を濾過し、固形物を水で洗浄し、乾燥し、0.143gの熱硬化性エポキシ樹脂及び炭素繊維の分解生成物を得た。質量回収率は95%であった。